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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/12 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
H01Q1/12 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020039917
(22)【出願日】2020-03-09
(65)【公開番号】P2021141530
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】木原 正行
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-183623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状の根本部と、
前記根本部に対して一方向に沿って屈曲可能に取り付けられたロッド部と、
前記根本部に巻きつけられた巻き付け部および前記巻き付け部に接続された延伸部を有し、外力が作用しない状況において、当該延伸部の延伸方向が前記一方向とは非平行である板ばね部と、
前記延伸部を支持する支持部と、
を備えていることを特徴とする電気機器。
【請求項2】
前記根本部は円柱状である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記延伸部の延伸方向は前記一方向とは略垂直である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記巻き付け部は、
前記根本部の外周を一回転するよう配置され、
前記根本部の延伸軸から見て、当該巻き付け部の始点又は終点とは反対側において、前記根本部に固定されている、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の電気機器。
【請求項5】
前記板ばね部は、
第1の延伸部と、
開口を有する第2の延伸部と、
前記巻き付け部の少なくとも一部を構成する接続部であって、前記第1の延伸部と第2の延伸部とを接続し、前記根本部に巻きつくと共に前記開口を貫通する接続部と、
を備えている
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の電気機器。
【請求項6】
前記板ばね部は、
第1の延伸部と、
第2の延伸部と、
前記巻き付け部の少なくとも一部を構成する接続部であって、前記第1の延伸部と前記第2の延伸部とを接続し、前記根本部に巻きつく接続部と、
前記第1の延伸部と前記接続部との境界に設けられた第1の切欠きと、
前記第2の延伸部と前記接続部との境界に設けられた第2の切欠きであって、前記第1の切欠きに嵌合する第2の切欠きと、
を備えていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の電気機器。
【請求項7】
前記延伸部は、湾曲した状態で前記支持部によって支持されている、
ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器に関し、より詳細には、ロッド部の破断を抑制した構造を具備する電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナを支持する支持装置として、従前より多種多様な構造が知られており、一例として、特許文献1に開示されている支持装置がある。特許文献1の支持装置は、アンテナを支持するばねクリップ型の支持装置であり、具体的には、一方のばねクリップ片に、固定ブラケットおよびコネクタを介して、アンテナを支持している。固定ブラケットとコネクタとは、固定ブラケット側に設けられたスリットに、コネクタ側に設けられたタングが嵌合しており、これらスリットとタングに設けられたヒンジ軸によって、コネクタが傾動可能に枢着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平4-92809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1のような支持装置には、図13を用いて説明するような問題がある。
【0005】
図13は、上述の特許文献1の支持装置におけるタング周辺の拡大断面図であり、ヒンジ軸219に沿った断面を示す。先述のように、コネクタ220はヒンジ軸219を回転軸として傾動可能である。しかしながら、ヒンジ軸219の軸方向からコネクタ220に荷重がかかった場合(図13に矢印でその荷重方向を示す)には、コネクタ220は傾動せず、タング218にストレスが加わり、図13中にBPで示した箇所において破断しやすいという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の一態様は、ロッドアンテナのタングが破断し難い電気機器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る電気機器は、柱状の根本部と、前記根本部に対して一方向に沿って屈曲可能に取り付けられたロッド部と、前記根本部に巻きつけられた巻き付け部および前記巻き付け部に接続された延伸部を有し、外力が作用しない状況において、当該延伸部の延伸方向が前記一方向とは非平行である板ばね部と、前記延伸部を支持する支持部と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、ロッドアンテナのタングが破断し難い電気機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一形態に係る電気機器の断面図である。
図2図1に示す電気機器の平面図である。
図3図1に示す電気機器の動作メカニズムの概要を説明する概略斜視図である。
図4図1に示す電気機器に具備される板バネの一例の形状および巻き付き状態を示す図である。
図5図1に示す電気機器の動作メカニズムを説明する概略平面図および概略断面図であり、所定の方向から荷重が加わる初期状態を示す。
図6図1に示す電気機器の動作メカニズムを説明する概略平面図および概略断面図であり、図4に示す状態から平行移動と回動の開始直後の状態を示す。
図7図1に示す電気機器の動作メカニズムを説明する概略平面図および概略断面図であり、図5に示す状態から、平行移動と回動とが更に進展した状態を示す。
図8図1に示す電気機器に具備される板バネの他の例の形状および巻き付き状態を示す図である。
図9図1に示す電気機器に具備される板バネの取付けの一変形例を示す上面図である。
図10図1に示す電気機器に具備される板バネの取付けの他の変形例を示す上面図である。
図11図1に示す電気機器に具備される板バネの一変形例を示す平面図である。
図12図1に示す電気機器に具備される板バネの他の変形例を示す平面図である。
図13】従来技術を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、図1から図7を用いて説明する。
【0011】
(1)電気機器の構成
図1は、本実施形態の電気機器の構成を示す断面図である。図2は、本実施形態の電気機器の平面図である。図3は、本実施形態の電気機器に対して外力が作用していない状況と外力が作用している状況とにおける当該電気機器の斜視図を示す。
【0012】
本実施形態の電気機器1は、柱状の根本部20と、根本部20に対して一方向に沿って屈曲可能に取り付けられたロッド部10と、根本部20に巻きつけられた巻き付け部32および巻き付け部32に接続された延伸部34(図2および図3)を有し、外力が作用しない状況において、当該延伸部34の延伸方向が前記一方向とは非平行である板ばね部30と、延伸部34を支持する支持部40(図2)と、を備えている。更に電気機器1は、回転台座50および筐体60を備えている。
【0013】
本実施形態の電気機器1は、アンテナおよび当該アンテナを支持する支持装置を構成しており、前記ロッド部10がアンテナロッドに相当し、前記根本部20、前記板ばね部30および前記支持部40が、ロッド部10を支持する支持装置に相当する。図3に示すように、柱状の根本部20には、根本部20と同軸上にロッド部10が連結されている。なお、説明の便宜上、根本部20およびロッド部10の延伸軸をZ軸として、Z軸に垂直であるXY平面に関して、外力が作用しない状況下における根本部20およびロッド部10の連結部分に具備されるヒンジ軸22の軸方向をX軸とするXYZ座標系を規定する。また、必要に応じて図面内に当該XYZ座標系を付記している。
【0014】
(ロッド部10)
ロッド部10は、下端部においてヒンジ軸22を介して根本部20の上端部に連結している。後述するように、根本部20が回転台座50に収容されているのに対して、ロッド部10は、回転台座50の上方に露出している構造である。ロッド部10は、根本部20に軸支されたヒンジ軸22を中心に傾動可能であり、これにより、根本部20に対して一方向に沿って屈曲可能に取り付けられている。ロッド部10がヒンジ軸22を中心に傾動可能であることにより、電気機器1は所望のアンテナ特性を享受できるようアンテナ角度を調整できる構成となっている。図3の左側に示す外力が作用しない状況下における電気機器1で言えば、ロッド部10は、ヒンジ軸22を中心にYZ平面内において傾動する。
【0015】
(根本部20)
根本部20は、Z軸に沿って軸を有する円柱状の構造物で、図1に示すように回転台座50に収容されている。根本部20は、回転台座50に直接支持されておらず、後述するように板ばね部30を介して支持されており、フローティング状態である。根本部20の上端部には、先述のヒンジ軸22を軸支する軸部24が設けられている。軸部24の中心にはスリット26が設けられており、スリット26に、ロッド部10の下端部に構成されるタング部11が嵌合されている。図2には、説明の便宜上、ヒンジ軸22とタング部11を図示している。
【0016】
(板ばね部30)
板ばね部30は、図2および図3に示すように、根本部20に巻きつけられた巻き付け部32と、巻き付け部32に接続された延伸部34(図2および図3)とを有する。
【0017】
巻き付け部32は、根本部20の外周を一回転するよう配置され、根本部20の延伸軸から見て、巻き付け部32の始点又は終点とは反対側において、根本部20に固定されている。図2に巻き付け部32の始点又は終点である交差部36と、根本部20に対する固定部38とを図示している。交差部36は、巻き付け部32と延伸部34との境界部分であると換言できる。固定部38における固定方法は特に限定されず、接着剤による固定、ネジ留めによる固定などが挙げられる。
【0018】
延伸部34は、図2に示す状態において、延伸方向(X軸に沿った方向)が前記一方向(図2の平面図で見ればY軸に沿った方向)とは非平行である。具体的には、延伸方向(X軸に沿った方向)が前記一方向(Y軸に沿った方向)と略垂直である。また、延伸部34は、図2に示すように、両端部において支持部40に支持されている。
【0019】
板ばね部30について、図4を用いて説明する。図4の左側には、根本部20に対する巻きつきを解除した状態の板ばね部30の平面図を示し、右側には、根本部20に板ばね部30が巻き付いた状態の平面図と側面図とを示す。
【0020】
先述のように板ばね部30は根本部20に巻きつけられているが、巻きつきを解除して平坦にすれば、図4の左側の図に示す形状を有している。図4の左側に示すように、板ばね部30は、一方の端部側にある第1の延伸部34Aと、他方の端部側にある第2の延伸部34Bと、これらの間に位置する巻き付き部32を有する。巻き付き部32には、狭小領域31Cと、先述の固定部38とを含む。また、第2の延伸部34Bと巻き付き部32との境界部分には、第1の延伸部34Aを丸めた状態として通すことができる開口31Dが設けられている。すなわち、開口31DのZ軸方向の幅は、狭小領域31CのZ軸方向の幅よりも大きく、第1の延伸部34AのZ軸方向の幅よりも小さい。図4の右側に板ばね部30を根本部20に巻きつけた状態を示しており、図4の右下側に示す状態が、開口31Dに狭小領域31Cが通って、狭小領域31Cと第2の延伸部34Bとが交差している部分である(交差部36)。図4の右上側に示すように、巻き付け部32は、根本部20の外周を一回転するよう配置され、根本部20の延伸軸20cから見て、当該巻き付け部32の始点又は終点(交差部36)とは反対側において、根本部20に固定されている固定部38を設けている。
【0021】
(支持部40)
支持部40は、図2に示すように延伸部34を支持する。支持部40は、延伸部34が延伸方向に沿って移動しないように延伸部34を固定できればよく、回転台座50に接続されていても良いし、回転台座50の一部を成していてもよい。
【0022】
(回転台座50)
以上の板ばね部30を支持部40によって内部に収納した回転台座50は、図1に示すように下部に位置する台座回転軸部56を有する。
【0023】
回転台座50は、筐体60の凹部62に収納されており、台座回転軸部56を回転軸としてZ軸を中心に回転することができる。台座回転軸部56の回転軸は、ロッド部10および根本部20と同軸上にある。そのため、台座回転軸部56を例えばユーザが回転させることにより、ロッド部10および根本部20を、延伸軸を中心に回転させることができる。
【0024】
回転台座50には、根本部20が貫通する貫通孔54が設けられている。貫通孔54は、延伸部の延伸方向(X軸方向)に沿って長径を有する長孔である。このような形状を有している理由は、後述する。
【0025】
(筐体60)
筐体60には、下部に、台座回転軸部56の回転軸を収納するための貫通部64が設けられているとともに、貫通部64の上部に、貫通部64よりも拡径した凹部62が設けられている。筐体60は、アンテナを搭載する電気機器に取り付け可能である。
【0026】
(2)電気機器1の動作メカニズム
以上の構成を具備する電気機器1においては、ロッド部10がX方向の外力を受けた場合のタング部11の破断が抑制される。電気機器1の動作メカニズムを、図5図7を用いて説明する。
【0027】
図5は、図1に示す電気機器1の動作メカニズムを説明する概略平面図および概略断面図であり、根本部20の平行移動と回動の開始直前の状態を示す。図5に示されるように、ロッド部10に対して、ヒンジ軸22が延在する方向(X方向)に外力Fが印加される。これにより、図3の右側に示すように、根本部20がX方向に移動し、それに伴って巻き付き部32の一部が伸び、それに伴って根本部20が回動する。
【0028】
図6は、図1に示す電気機器1における、図5に示す状態からの平行移動と回動とが開始した状態を示す概略平面図および概略断面図である。図6に示されるように、根本部20が回動すると、外力Fの向きは、ヒンジ軸22の軸方向とずれる。このため、外力Fは、XY平面においては、ヒンジ軸22の軸方向に平行な向きの力の成分Fと、当該軸方向に垂直な向きの力の成分Fとに分解される。
【0029】
また、図6に示されるように、外力Fの向きがヒンジ軸22の軸方向とずれると、ロッド部10には、ヒンジ軸22による回動方向を含む平面において、力の成分Fに応じた回転モーメントMが生じる。回転モーメントMは、力の成分Fと、Z方向におけるヒンジ軸22の中心から外力Fの作用点までの距離Lとの積で表される。
【0030】
さらに、図6に示されるように、外力Fの向きがヒンジ軸22の軸方向とずれると、根本部20には、XY平面において、力の成分Fに応じた回転モーメントMが生じる。回転モーメントMは、力の成分Fとヒンジ軸22がロッド部10を軸支する長さRとの積と、根本部20の回転抵抗Mとの和で表される。距離Rは、互いに対抗する二つの軸部24のより外側の壁面間の距離である。また、回転抵抗Mは、巻き付き部32の巻き付き力である。
【0031】
図6に示される状態では、回転モーメントMは、回転モーメントMよりも大きい。したがって、外力Fの印加によって巻き付き部32が徐々に延ばされ、それに伴って根本部20が反時計回りに回動しながらX方向に移動する。
【0032】
図7は、図1に示す電気機器の動作メカニズムを説明する概略平面図および概略断面図であり、図6に示す状態から、平行移動と回動とが更に進展した状態を示す。外力Fの印加によって根本部20が反時計回りに回動しながらX方向に進出するにつれて、力の成分Fはより小さくなり、力の成分Fはより大きくなる。したがって、回転モーメントMはより小さくなり、回転モーメントMはより大きくなる。
【0033】
回転モーメントMが回転モーメンMよりも大きくなると、根本部20の回動およびX方向への進出が止まり、外力Fの印加によってロッド部10がヒンジ軸22を中心に傾動する。このように、ロッド部10は転倒する。
【0034】
ロッド部10が転倒する前に、外力Fの印加が解除されると、巻き付き部32が根本部20に巻き付くのに伴って、根本部20が時計回りに回動しながら、X方向に沿って当初の位置まで後退する。こうして、外力Fの印加の解除によって、根本部20、板ばね部30およびロッド部10が、外力Fの印加前の状態に復元される。
【0035】
なお、前述したように、回転台座50は、根本部20が貫通する貫通孔54を有しており、貫通孔54の開口形状は、延伸部の延伸方向に沿って長径を有する。このため、根本部20が上記のようにX方向に沿って進出、退行可能である。貫通孔54の開口形状は、このような根本部20の移動範囲において根本部20が移動可能な十分な大きさで開口している形状であればよい。
【0036】
(3)電気機器1の作用効果
外力Fの印加方向はX方向である。X方向は、ヒンジ軸22が当初延在する方向である。このため、根本部20が固定されている場合では、ロッド部10はヒンジ軸22を軸に傾動することができない。また、ロッド部10は、それよりも薄いタング部11にヒンジ軸22が挿通される構造によって、傾動可能に構成されている。したがって、根本部20が固定されている場合では、ロッド部10に外力Fが印加されると、タング部11に負荷が集中し、タング部11の基端部において破断しやすい。しかしながら、本実施形態では、電気機器1が前述の根本部20、ロッド部10、板ばね部30および支持部40を備えている。このため、前述の二つの回転モーメントの大きさに応じて外力Fの印加の影響を、根本部20の回動とX方向への移動とによって吸収することが可能である。よって、外力Fの印加によるタング部11の破断が防止される。
【0037】
また、電気機器1では根本部20が円柱状である。このため、巻き付き部32が均質に根本部20に巻き付くことから、回転モーメントMによる根本部20の回動をより円滑にすることが可能である。
【0038】
また、電気機器1では、板ばね部30の延伸部の延伸方向は、ヒンジ軸22によるロッド部10の傾動方向に対して略垂直である。通常、ヒンジ軸22によってロッド部10をタング部11において軸支する場合では、タング部11は、ロッド部10の傾動方向に対して直交する方向に破断しやすい。上記の構成では、タング部11が破断しやすい方向からロッド部10が外力Fを受けた場合に、根本部20が円滑に移動しやすいので、外力Fのタング部11への影響がより抑制される。よって、外力Fの印加によってタング部11が破断することを防止するのにより好適である。
【0039】
また、電気機器1では、巻き付け部32が根本部20の外周を一回転し、かつ巻き付け部32の根本部20における巻きつけの始点又は終点とは反対側で根本部20に固定されている。このため、外力Fの印加時に、回転モーメントMによる根本部20の回動から回転モーメントMによるロッド部10の回動へ円滑に移行する。よって、外力Fの印加が解除されることにより、ロッド部10および根本部20を印加前の状態へ円滑かつ確実に復帰させるのに好適である。
【0040】
また、電気機器1では、板ばね部30は、前述の第1の延伸部34A、第2の延伸部34B、巻き付け部32および狭小領域31Cを備えている。狭小領域31Cは、巻き付き部32の一部を構成し、巻き付き部32が根本部20に巻き付く際に、根本部20に巻きつくと共に第2の延伸部34Bの開口31Dに挿通される。このように、根本部20に巻き付き可能な一連の板状の弾性部材によって板ばね部30が構成される。このため、外力Fの印加に対して板ばね部30の弾性力が連続して円滑に変化し、外力Fのロッド部10への影響がより円滑に解消される。
【0041】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。本実施形態の電気機器は、板ばね部が異なる以外は、前述した実施形態1と同様に構成される。
【0042】
図8は、図1に示す電気機器1に具備される板バネの他の例の形状および巻き付き状態を示す図である。
【0043】
本実施形態の板ばね部80は、略矩形の平面形状を有している。板ばね部80は、一端側から、第1の延伸部81A、接続部82および第2の延伸部81Bをこの順に備えている。第1の延伸部81Aは、板ばね部80の一端部を含み、第2の延伸部81Bは、板ばね部80の他端部を含み、接続部82は、板ばね部80の中央部を含む。接続部82は、板ばね部80の長手方向において、第1の延伸部81Aと第2の延伸部81Bとを接続している。
【0044】
また、板ばね部80は、第1の延伸部81Aと接続部82との境界に、第1の切欠き83Aを有しており、第2の延伸部81Bと接続部82との境界に、第2の切欠き83Bを有している。第1の切欠き83Aは、板ばね部80の短手方向に沿って延在する矩形の平面形状を有し、板ばね部80の平面形状における一側縁に開口している。第2の切欠き83Bは、板ばね部80の短手方向に沿って延在する矩形の平面形状を有し、板ばね部80の平面形状における他側縁に開口している。
【0045】
さらに、板ばね部80は、平面形状の中央部に固定部84を有している。固定部84は、位置以外は、実施形態1における固定部38と同様に構成される。
【0046】
板ばね部80は、接続部82で根本部20に巻き付く。板ばね部80は、固定部84において根本部20に固定される。根本部20の延伸軸から見て固定部84の反対側において、第1の切欠き83Aと第2の切欠き83Bとが嵌合している。このようにして、板ばね部80は根本部20に巻き付けられる。第1の延伸部81Aの端部および第2の延伸部81Bの端部は、それぞれ支持部40に支持される。
【0047】
本実施形態においても、電気機器1は、前述した実施形態1における作用効果を奏する。
【0048】
加えて、本実施形態では、切欠きの嵌合によって板ばね部80を根本部20に巻き付けることが可能である。したがって、実施形態1における板ばね部30に比べてより強い弾性を有する板ばね部80であっても、根本部20に容易に巻き付けることが可能である。また、板ばね部80の弾性をより強めることが可能であることから、電気機器1がより大きなロッド部10を有する場合、あるいはより強い外力Fが印加される場合、により有利である。
【0049】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。本実施形態の電気機器は、支持部による板ばね部の支持形態が異なる以外は、前述した実施形態1または実施形態2と同様に構成される。
【0050】
図9は、図1に示す電気機器1に具備される板バネの取付けの一変形例を示す上面図である。また、図10は、図1に示す電気機器1に具備される板バネの取付けの他の変形例を示す上面図である。
【0051】
図9に示されるように、本実施形態では、板ばね部30の延伸部34が湾曲した状態で支持部40に支持されている。このように、延伸部34の支持形態は、根本部20のX方向への進出、退行を可能とする範囲において適宜に決めることが可能である。上記のような湾曲した状態に延伸部34を支持部40によって支持することは、回転台座50の平面視したときの径をより短くする観点から好適である。
【0052】
また、図10に示されるように、本実施形態では、板ばね部30の延伸部34が回転台座50の内周壁面50aに湾曲して当接することによって支持されてもよい。延伸部34は、湾曲する延伸部34の反発力(図10中の矢印で示す方向の力)によって回転台座50の内周壁面50aを押し付ける。当該反発力により、板ばね部30が回転台座50内に固定される。この構成によれば、板ばね部30を、支持部40を要さないより簡素な構成で回転台座50に固定することが可能である。
【0053】
また、図10に示されるように、回転台座50の内周壁面50aにおいて延伸部34が当接する部分と、延伸部34において上記内周壁面50aに当接する部分とには、互いに嵌合する凹凸部のそれぞれが形成されていてもよい。当該凹凸部における凸部の例には、突起およびリブが含まれ、凹部の例には、凸部に嵌合する孔および溝が含まれる。より具体的には、以下に示す構造の板ばね部が挙げられる。
【0054】
図11は、図1に示す電気機器に具備される板バネの一変形例を示す平面図である。板ばね部110は、図11に示されるように、第1の延伸部34Aに開口する貫通孔111Aおよび第2の延伸部34Bに開口する貫通孔111Bをさらに有する以外は、板ばね部30と同様の構成を有している。貫通孔111Aおよび貫通孔111Bは、それぞれ、回転台座50の内周壁面50aから突出する凸部に嵌合するように形成される。
【0055】
また、図12は、図1に示す電気機器に具備される板バネの他の変形例を示す平面図である。板ばね部120は、図12に示されるように、第1の延伸部34Aに開口する溝121Aおよび第2の延伸部34Bに開口する溝121Bをさらに有する以外は、板ばね部30と同様の構成を有している。溝121Aおよび溝121Bは、それぞれ、回転台座50の内周壁面50aから突出するリブに嵌合するように形成される。
【0056】
これらの図示の板ばね部は、延伸部の湾曲によって板ばね部を回転台座内に固定する際の位置を簡易な構成で決めるのに好適である。
【0057】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る電気機器は、柱状の根本部20と、前記根本部20に対して一方向に沿って屈曲可能に取り付けられたロッド部10と、前記根本部20に巻きつけられた巻き付け部32と、前記巻き付け部32(接続部82)に接続された延伸部34(第1の延伸部34Aおよび第2の延伸部34B)(第1の延伸部81Aおよび第2の延伸部81B)とを有し、外力Fが作用しない状況において、当該延伸部34の延伸方向(X方向)が前記一方向とは非平行である板ばね部30、80、110、120と、前記延伸部34を支持する支持部40と、を備えている。
【0058】
前記の構成によれば、前記外力Fの印加の影響を、外力Fの印加方向に沿った根本部20の回動と移動とによって吸収することが可能である。よって、外力Fの印加によるタング部11の破断が防止される。
【0059】
本発明の態様2に係る電気機器は、前記態様1において、前記根本部20は円柱状であってもよい。
【0060】
前記の構成によれば、根本部20が円柱状であるため、巻き付き部32(接続部82)が均質に根本部20に巻き付くことから、根本部20の回動をより円滑にすることが可能である。
【0061】
本発明の態様3に係る電気機器は、前記態様1または2において、前記延伸部34の延伸方向(X方向)は前記一方向(Z方向)とは略垂直であってもよい。
【0062】
通常、ヒンジ軸22によってロッド部10をタング部11において軸支する場合では、タング部11は、ロッド部10の傾動方向に対して直交する方向に破断しやすい。上記の構成では、タング部11が破断しやすい方向(X方向)からロッド部10が外力Fを受けた場合に、根本部20が円滑に回動しやすいので、外力Fのタング部11への影響がより抑制される。よって、外力Fの印加によってタング部11が破断することを防止するのにより好適である。
【0063】
本発明の態様4に係る電気機器は、前記態様1から3において、前記巻き付け部32(接続部82)は、前記根本部20の外周を一回転するよう配置され、前記根本部20の延伸軸から見て、当該巻き付け部32の始点又は終点とは反対側において、前記根本部20に固定されていてもよい。
【0064】
前記の構成によれば、外力Fの印加時に、根本部20の回動からロッド部10の傾動へ円滑に移行する。
【0065】
本発明の態様5に係る電気機器は、前記態様1から4において、前記板ばね部30は、第1の延伸部34Aと、開口31Dを有する第2の延伸部34Bと、前記巻き付け部32の少なくとも一部を構成する接続部であって、前記第1の延伸部34Aと第2の延伸部34Bとを接続し、前記根本部20に巻きつくと共に前記開口31Dを貫通する接続部(狭小領域31Cを備えた巻き付き部32)と、を備えていてもよい。
【0066】
前記の構成によれば、接続部(巻き付き部32)が根本部20に巻き付く際に、根本部20に巻きつくと共に第2の延伸部34Bの開口31Dに挿通される。このように、根本部20に巻き付き可能な一連の板状の弾性部材によって板ばね部30が構成される。このため、外力Fの印加に対して板ばね部30の弾性力が連続して円滑に変化し、外力Fのロッド部10への影響がより円滑に解消される。
【0067】
本発明の態様6に係る電気機器は、前記態様1から4において、前記板ばね部80は、第1の延伸部81Aと、第2の延伸部81Bと、前記巻き付け部32の少なくとも一部を構成する接続部82であって、前記第1の延伸部81Aと前記第2の延伸部81Bとを接続し、前記根本部20に巻きつく接続部82と、前記第1の延伸部81Aと前記接続部82との境界に設けられた第1の切欠き83Aと、前記第2の延伸部81Bと前記接続部82との境界に設けられた第2の切欠きであって、前記第1の切欠き83Aに嵌合する第2の切欠き83Bと、を備えていてもよい。
【0068】
前記の構成によれば、板ばね部80は、接続部82で根本部20に巻き付く。板ばね部80は、固定部84において根本部20に固定される。根本部20の延伸軸から見て固定部84の反対側において、第1の切欠き83Aと第2の切欠き83Bとが嵌合している。このようにして、板ばね部80は根本部20に巻き付けられる。第1の延伸部81Aの端部および第2の延伸部81Bの端部は、それぞれ支持部40に支持される。
【0069】
また、切欠きの嵌合によって板ばね部80を根本部20に巻き付けることが可能である。したがって、実施形態1における板ばね部30に比べてより強い弾性を有する板ばね部80であっても、根本部20に容易に巻き付けることが可能である。また、板ばね部80の弾性をより強めることが可能であることから、電気機器1がより大きなロッド部10を有する場合、あるいはより強い外力Fが印加される場合、により有利である。
【0070】
本発明の態様7に係る電気機器は、前記態様1から6において、前記延伸部34は、湾曲した状態で前記支持部40によって支持されていてもよい。
【0071】
前記の構成によれば、支持部40を接続した回転台座の平面視したときの径をより短くする観点から好適である。
【0072】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 電気機器
10 ロッド部
11 タング部
20 根本部
20c 延伸軸
22 ヒンジ軸
24 軸部
30、80、110、120 板ばね部
31C 狭小領域
31D 開口
34 延伸部
34A、81A 第1の延伸部
34B、81B 第2の延伸部
36 交差部
38、84 固定部
40 支持部
54、111A、111B 貫通孔
82 接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13