(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】シートリフタ
(51)【国際特許分類】
B60N 2/16 20060101AFI20230816BHJP
A47C 7/02 20060101ALI20230816BHJP
B60N 2/68 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
B60N2/16
A47C7/02 D
B60N2/68
(21)【出願番号】P 2020042234
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2022-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 尚也
(72)【発明者】
【氏名】久米 将
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-054929(JP,U)
【文献】特開2019-077336(JP,A)
【文献】実開平03-042248(JP,U)
【文献】実開昭62-092737(JP,U)
【文献】特開2004-352135(JP,A)
【文献】実開平01-103436(JP,U)
【文献】特開平09-039623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-2/90
A47C 7/02,3/20,1/02
B60R 22/26
F16H 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の幅方向における内側に配置されるインナーロアアームの前記車両のフロアに対する高さ位置を変更するためのインナーリンクと、
前記幅方向における前記インナーロアアームの外側に配置されるアウターロアアームの前記フロアに対する高さ位置を変更するためのアウターリンクと、
前記インナーリンクと前記アウターリンクとが一体的に回転するように前記インナーリンクと前記アウターリンクとを連結する連結ロッドと、
前記連結ロッドに接続されており、前記インナーロアアーム及び前記アウターロアアームに対して前記連結ロッドを相対回転させることが可能な遊星歯車機構と、
前記遊星歯車機構を駆動可能な駆動部と、
前記駆動部の動力を前記遊星歯車機構に伝達する動力伝達ロッドと、を備え、
前記遊星歯車機構は、前記インナーロアアームと前記アウターロアアームとの間に配置されており、
前記駆動部は、前記幅方向に
おいて前記インナーロアアーム
を基準として前記アウターロアアームが配置された側とは反対側又は前記幅方向に
おいて前記アウターロアアーム
を基準として前記インナーロアアームが配置された側とは反対側に配置されて
おり、
前記遊星歯車機構は、
前記動力伝達ロッドの先端に接続された太陽歯車と、
前記太陽歯車に噛み合いながら前記太陽歯車のまわりを回動する遊星歯車と、
前記遊星歯車に噛み合う内歯を有するとともに、前記インナーロアアーム及び前記アウターロアアームに対して相対回転不能となるように前記インナーロアアーム及び前記アウターロアアームのいずれかに固定された固定内歯車と、
前記遊星歯車に噛み合う内歯を有するとともに、前記インナーリンクとともに前記固定内歯車に対して相対回転可能なインナー可動内歯車と、
前記遊星歯車に噛み合う内歯を有するとともに、前記アウターリンクとともに前記固定内歯車に対して相対回転可能なアウター可動内歯車と、を有し、
前記固定内歯車は、前記インナーロアアームと前記アウターロアアームとの間に配置されており、
前記インナー可動内歯車は、前記固定内歯車と前記インナーロアアームとの間に配置されており、
前記アウター可動内歯車は、前記固定内歯車と前記アウターロアアームとの間に配置されており、前記インナー可動内歯車と一体的に回転する、シートリフタ。
【請求項2】
前記遊星歯車は、
前記固定内歯車に噛み合う固定ギア部と、
前記固定ギア部の歯数と同じ歯数を有し、前記インナー可動内歯車に噛み合うインナーギア部と、
前記インナーギア部の歯数と同じ歯数を有し、前記アウター可動内歯車に噛み合うアウターギア部と、を有し、
前記インナー可動内歯車の歯数及び前記アウター可動内歯車の歯数は、前記固定内歯車の歯数と異なる、請求項
1に記載のシートリフタ。
【請求項3】
前記アウターロアアームは、バックフレームにおける一対のサイドフレームのうちシートベルトを挿通させるベルト挿通部に近い側に位置するアウターサイドフレームの下端部に接続可能であり、
前記インナー可動内歯車は、前記幅方向における前記連結ロッドの外側の端部に接続されており、
前記アウター可動内歯車は、前記幅方向における内側から前記アウターロアアームに接続されている、請求項
1又は
2に記載のシートリフタ。
【請求項4】
前記駆動部は、前記幅方向における前記アウターロアアームの外側に配置されている、請求項
3に記載のシートリフタ。
【請求項5】
前記インナーリンクは、前記連結ロッドに固定されており、
前記アウターリンクは、前記アウター可動内歯車に固定されている、請求項
3又は
4に記載のシートリフタ。
【請求項6】
前記インナーロアアームを前記フロアに対してスライドさせるインナースライドレールと、
前記アウターロアアームを前記フロアに対してスライドさせるアウタースライドレールと、をさらに備え、
前記インナースライドレールは、
前記フロアに固定されるインナーロアレールと、
前記インナーロアレールに対してスライド可能なインナーアッパーレールと、を有し、
前記アウタースライドレールは、
前記フロアに固定されるアウターロアレールと、
前記アウターロアレールに対してスライド可能なアウターアッパーレールと、を有し、
前記インナーリンクは、前記インナーアッパーレールに対して回転可能となるように前記インナーアッパーレールに連結されており、
前記アウターリンクは、前記アウターアッパーレールに対して回転可能となるように前記アウターアッパーレールに連結されている、請求項
3から
5のいずれかに記載のシートリフタ。
【請求項7】
前記幅方向における前記駆動部の外端部は、前記幅方向における前記アウタースライドレールの外端部より内側に位置している、請求項
6に記載のシートリフタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シートリフタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊星歯車機構を用いたシートリフタが知られている。例えば、特開2019-77336号公報には、左右一対のサイドフレームと、左右一対のスライダと、左右一対の後部リンクと、左右一対の前部リンクと、各後部リンクに接続された左右一対の遊星歯車機構と、遊星歯車機構同士を連結する連結軸と、左側の遊星歯車機構に操作力を伝達する操作力伝達部と、を備えるシートリフタが開示されている。
【0003】
遊星歯車機構は、操作力伝達部による操作力を受けることによって回転する太陽歯車と、太陽歯車の周囲を自転しながら公転する3つの遊星歯車と、サイドフレームに固定された固定内歯車と、を有している。後部リンクは、固定内歯車の歯数と異なる歯数を有する内歯を有しており、可動内歯車として機能する。このため、操作力伝達部が駆動されると、左右一対の太陽歯車及び左右の各遊星歯車が回転する。これにより、各後部リンク(可動内歯車)は、当該後部リンクの内歯の歯数と固定内歯車の内歯の歯数との差に起因して、固定内歯車に対して太陽歯車の中心軸まわりに回転する。その結果、左右のサイドフレームがスライダに対して昇降動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2019-77336号公報に記載のシートリフタでは、車両の幅方向における外側に設けられた遊星歯車機構の一部が後部リンクから外側に突出しており、さらにその外側に操作力伝達部が配置されているため、遊星歯車機構及び操作力伝達部のサイドフレームからの外側への突出量が大きい。
【0006】
本発明の目的は、遊星歯車機構及び駆動部の車両の幅方向における外側への突出量を低減可能なシートリフタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一局面に従ったシートリフタは、車両の幅方向における内側に配置されるインナーロアアームの前記車両のフロアに対する高さ位置を変更するためのインナーリンクと、前記幅方向における前記インナーロアアームの外側に配置されるアウターロアアームの前記フロアに対する高さ位置を変更するためのアウターリンクと、前記インナーリンクと前記アウターリンクとが一体的に回転するように前記インナーリンクと前記アウターリンクとを連結する連結ロッドと、前記連結ロッドに接続されており、前記インナーロアアーム及び前記アウターロアアームに対して前記連結ロッドを相対回転させることが可能な遊星歯車機構と、前記遊星歯車機構を駆動可能な駆動部と、前記駆動部の動力を前記遊星歯車機構に伝達する動力伝達ロッドと、を備え、前記遊星歯車機構は、前記インナーロアアームと前記アウターロアアームとの間に配置されており、前記駆動部は、前記幅方向における前記インナーロアアームの外側又は前記幅方向における前記アウターロアアームの外側に配置されている。
【0008】
このシートリフタでは、遊星歯車機構がインナーロアアーム及びアウターロアアーム間に配置されており、駆動部がインナーロアアームの外側又はアウターロアアームの外側に配置されているため、遊星歯車機構及び駆動部の幅方向における外側への突出量が低減される。
【0009】
この場合において、前記遊星歯車機構は、前記動力伝達ロッドの先端に接続された太陽歯車と、前記太陽歯車に噛み合いながら前記太陽歯車のまわりを回動する遊星歯車と、前記遊星歯車に噛み合う内歯を有するとともに、前記インナーロアアーム及び前記アウターロアアームに対して相対回転不能となるように前記インナーロアアーム及び前記アウターロアアームのいずれかに固定された固定内歯車と、前記遊星歯車に噛み合う内歯を有するとともに、前記インナーリンクとともに前記固定内歯車に対して相対回転可能なインナー可動内歯車と、前記遊星歯車に噛み合う内歯を有するとともに、前記アウターリンクとともに前記固定内歯車に対して相対回転可能なアウター可動内歯車と、を有し、前記固定内歯車は、前記インナーロアアームと前記アウターロアアームとの間に配置されており、前記インナー可動内歯車は、前記固定内歯車と前記インナーロアアームとの間に配置されており、前記アウター可動内歯車は、前記固定内歯車と前記アウターロアアームとの間に配置されており、前記インナー可動内歯車と一体的に回転することが好ましい。
【0010】
この態様では、各可動内歯車が一体的に回転するため、インナーロアアーム及びアウターロアアームが同時に昇降動作する。
【0011】
また、前記遊星歯車は、前記固定内歯車に噛み合う固定ギア部と、前記固定ギア部の歯数と同じ歯数を有し、前記インナー可動内歯車に噛み合うインナーギア部と、前記インナーギア部の歯数と同じ歯数を有し、前記アウター可動内歯車に噛み合うアウターギア部と、を有し、前記インナー可動内歯車の歯数及び前記アウター可動内歯車の歯数は、前記固定内歯車の歯数と異なることが好ましい。
【0012】
また、前記アウターロアアームは、バックフレームにおける一対のサイドフレームのうちシートベルトを挿通させるベルト挿通部に近い側に位置するアウターサイドフレームの下端部に接続可能であり、前記インナー可動内歯車は、前記幅方向における前記連結ロッドの外側の端部に接続されており、前記アウター可動内歯車は、前記幅方向における内側から前記アウターロアアームに接続されていることが好ましい。
【0013】
この態様では、アウターロアアームとアウターサイドフレームとの接続部が遊星歯車機構によって補強されるため、前記接続部の強度が高まる。
【0014】
この場合において、前記駆動部は、前記幅方向における前記アウターロアアームの外側に配置されていることが好ましい。
【0015】
また、前記インナーリンクは、前記連結ロッドに固定されており、前記アウターリンクは、前記アウター可動内歯車に固定されていることが好ましい。
【0016】
また、前記シートリフタは、前記インナーロアアームを前記フロアに対してスライドさせるインナースライドレールと、前記アウターロアアームを前記フロアに対してスライドさせるアウタースライドレールと、をさらに備えていてもよい。前記インナースライドレールは、前記フロアに固定されるインナーロアレールと、前記インナーロアレールに対してスライド可能なインナーアッパーレールと、を有し、前記アウタースライドレールは、前記フロアに固定されるアウターロアレールと、前記アウターロアレールに対してスライド可能なアウターアッパーレールと、を有し、前記インナーリンクは、前記インナーアッパーレールに対して回転可能となるように前記インナーアッパーレールに連結されており、前記アウターリンクは、前記アウターアッパーレールに対して回転可能となるように前記アウターアッパーレールに連結されていることが好ましい。
【0017】
また、前記幅方向における前記駆動部の外端部は、前記幅方向における前記アウタースライドレールの外端部より内側に位置していることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、遊星歯車機構及び駆動部の車両の幅方向における外側への突出量を低減可能なシートリフタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態のシートフレームを概略的に示す斜視図である。
【
図2】クッションフレーム及びシートリフタの平面図である。
【
図3】クッションフレーム及びシートリフタの背面図である。
【
図4】クッションフレーム及びシートリフタの斜視図である。
【
図5】
図4とは異なる角度におけるクッションフレーム及びシートリフタの斜視図である。
【
図7】
図2におけるVII-VII線での断面図である。
【
図8】
図7において実線VIIIで示される範囲の拡大図である。
【
図9】
図8に示されるIX-IX線での断面図である。
【
図10】
図8に示されるX-X線での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で参照する図面では、同一又はそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態のシートフレームを概略的に示す斜視図である。
図1に示されるように、本実施形態のシートフレーム1は、クッションフレーム10と、バックフレーム20と、シートリフタ50と、を備えている。このシートフレーム1は、乗り物用シート、特に、車両用シートのフレームとして機能する。
【0022】
クッションフレーム10は、シートクッションの骨格を構成している。クッションフレーム10は、インナーロアアーム11と、アウターロアアーム12と、フロントパネル13と、を有している。
【0023】
インナーロアアーム11は、車両の幅方向における内側に配置される。インナーロアアーム11は、車両の前後方向に延びる形状を有している。
【0024】
アウターロアアーム12は、幅方向におけるインナーロアアーム11の外側に配置される。アウターロアアーム12は、車両の前後方向に延びる形状を有している。
【0025】
フロントパネル13は、インナーロアアーム11の前端部とアウターロアアーム12の前端部とを連結している。
【0026】
バックフレーム20は、シートバックの骨格を構成している。バックフレーム20は、クッションフレーム10に対して傾動可能である。バックフレーム20は、インナーサイドフレーム21と、アウターサイドフレーム22と、アッパーフレーム23と、を有している。
【0027】
インナーサイドフレーム21は、インナーロアアーム11の後端部に接続されている。インナーサイドフレーム21は、インナーロアアーム11の後端部から上方に向かって延びる形状を有している。インナーサイドフレーム21は、その下端部を傾動中心としてインナーロアアーム11に対して傾動可能である。
【0028】
アウターサイドフレーム22は、アウターロアアーム12の後端部に接続されている。アウターサイドフレーム22は、アウターロアアーム12の後端部から上方に向かって延びる形状を有している。アウターサイドフレーム22は、その下端部を傾動中心としてアウターロアアーム12に対して傾動可能である。
【0029】
アッパーフレーム23は、インナーサイドフレーム21及びアウターサイドフレーム22の上端部間を連結している。アッパーフレーム23の外側の端部、つまり、アウターサイドフレーム22の上部には、シートベルト2を挿通させるベルト挿通部23aが設けられている。
【0030】
シートリフタ50は、クッションフレーム10に接続されている。シートリフタ50は、クッションフレーム10の車両のフロアに対する高さ位置を変更させる機構である。
【0031】
図2は、クッションフレーム及びシートリフタの平面図である。
図3は、クッションフレーム及びシートリフタの背面図である。
図4は、クッションフレーム及びシートリフタの斜視図である。
図5は、
図4とは異なる角度におけるクッションフレーム及びシートリフタの斜視図である。
図6は、遊星歯車機構の分解斜視図である。
【0032】
図1~
図6に示されるように、本実施形態のシートリフタ50は、インナースライドレール100と、アウタースライドレール200と、インナーリンク300と、アウターリンク400と、連結ロッド500と、遊星歯車機構600と、駆動部700と、動力伝達ロッド800と、を備えている。
【0033】
インナースライドレール100は、インナーロアアーム11を前記フロアに対してスライドさせる機構である。インナースライドレール100は、インナーロアアーム11の下方に配置されている。インナースライドレール100は、インナーロアレール110と、インナーアッパーレール120と、を有している。
【0034】
インナーロアレール110は、フロアに固定される。インナーロアレール110は、前後方向に延びる形状を有している。
【0035】
インナーアッパーレール120は、インナーロアレール110に対して前後方向にスライド可能である。
【0036】
アウタースライドレール200は、アウターロアアーム12をフロアに対してスライドさせる機構である。アウタースライドレール200は、アウターロアアーム12の下方に配置されている。アウタースライドレール200は、インナースライドレール100と同様の構造を有している。すなわち、アウタースライドレール200は、フロアに固定されるアウターロアレール210と、アウターロアレール210に対して前後方向にスライド可能なアウターアッパーレール220と、を有している。
【0037】
インナーリンク300は、インナーロアアーム11の前記フロア(インナースライドレール100)に対する高さ位置を変更するための部材である。本実施形態では、インナーリンク300は、インナーフロントリンク310と、インナーリアリンク320と、を有している。
【0038】
インナーフロントリンク310の下端部は、インナーアッパーレール120の前部に連結されている。具体的に、インナーフロントリンク310は、当該インナーフロントリンク310の前記下端部を回動中心としてインナーアッパーレール120に対して回動可能となるようにインナーアッパーレール120に接続されている。インナーフロントリンク310の上端部は、後述するフロント連結ロッド510に接続されている。
【0039】
インナーリアリンク320の下端部は、インナーアッパーレール120の後部に連結されている。具体的に、インナーリアリンク320は、当該インナーリアリンク320の前記下端部を回動中心としてインナーアッパーレール120に対して回動可能となるようにインナーアッパーレール120に接続されている。インナーリアリンク320の上端部は、後述するリア連結ロッド520に接続されている。
【0040】
アウターリンク400は、アウターロアアーム12の前記フロア(アウタースライドレール200)に対する高さ位置を変更するための部材である。本実施形態では、アウターリンク400は、アウターフロントリンク410と、アウターリアリンク420と、を有している。
【0041】
アウターフロントリンク410の下端部は、アウターアッパーレール220の前部に連結されている。具体的に、アウターフロントリンク410は、当該アウターフロントリンク410の前記下端部を中心としてアウターアッパーレール220に対して回動可能となるようにアウターアッパーレール220に接続されている。アウターフロントリンク410の上端部は、フロント連結ロッド510に接続されている。
【0042】
アウターリアリンク420の下端部は、アウターアッパーレール220の後部に連結されている。具体的に、アウターリアリンク420は、当該アウターリアリンク420の前記下端部を中心としてアウターアッパーレール220に対して回動可能となるようにアウターアッパーレール220に接続されている。アウターリアリンク420の上端部は、後述のアウター可動内歯車660に接続されている。
【0043】
連結ロッド500は、インナーリンク300とアウターリンク400とが一体的に回転するようにインナーリンク300とアウターリンク400とを連結するロッドである。本実施形態では、連結ロッド500は、フロント連結ロッド510と、リア連結ロッド520と、を有している。
【0044】
フロント連結ロッド510は、インナーフロントリンク310の上端部とアウターフロントリンク410の上端部とを連結している。幅方向におけるフロント連結ロッド510の内側の端部は、インナーロアアーム11の前部に接続されている。フロント連結ロッド510の幅方向における外側の端部は、アウターロアアーム12の前部に接続されている。フロント連結ロッド510は、円筒状に形成されている。
【0045】
リア連結ロッド520は、インナーリアリンク320の上端部とアウターリアリンク420の上端部とを連結している。幅方向におけるリア連結ロッド520の内側の端部は、インナーロアアーム11の後部に接続されている。リア連結ロッド520の幅方向における外側の端部は、遊星歯車機構600に接続されている。リア連結ロッド520は、インナーリアリンク320及びアウターリアリンク420と一体的に回転する。リア連結ロッド520は、円筒状に形成されている。
【0046】
遊星歯車機構600は、リア連結ロッド520に接続されている。遊星歯車機構600は、インナーロアアーム11及びアウターロアアーム12に対してリア連結ロッド520をその中心軸まわりに相対回転させることが可能である。遊星歯車機構600は、インナーロアアーム11とアウターロアアーム12との間に配置されている。本実施形態では、遊星歯車機構600は、リア連結ロッド520の外側の端部に接続されている。遊星歯車機構600は、幅方向における内側からアウターロアアーム12に接続されている。
【0047】
遊星歯車機構600は、アウターサイドフレーム22の下端部を補強する機能を有している。本実施形態では、シートベルト2を介してベルト挿通部23aに引っ張り荷重が作用すると、アウターサイドフレーム22の下端部に比較的大きな荷重が作用するため、遊星歯車機構600は、幅方向における内側からアウターロアアーム12に接続されている。
【0048】
図6に示されるように、遊星歯車機構600は、太陽歯車610と、少なくとも一つの(本実施形態では3つの)遊星歯車620と、キャリア632と、キャリアカバー634と、キャリア固定ボルト636と、固定内歯車640と、インナー可動内歯車650と、アウター可動内歯車660と、を有している。
【0049】
太陽歯車610は、リア連結ロッド520の中心軸まわりに回転する。太陽歯車610には、内側軸部612と、外側軸部614と、が接続されている。
図8に示されるように、内側軸部612は、ベアリングBを介してインナー可動内歯車650に保持されている。外側軸部614は、ベアリングBを介してアウター可動内歯車660に保持されている。
【0050】
各遊星歯車620は、太陽歯車610に噛み合いながら太陽歯車610のまわりを旋回する。換言すれば、遊星歯車620は、当該遊星歯車620の回転中心軸を自転中心として自転(回転)しながら、太陽歯車610の回転中心軸を公転(旋回)中心として太陽歯車610のまわりを公転する。各遊星歯車620は、太陽歯車610の回転中心軸まわりに配置されている。本実施形態では、3つの遊星歯車620は、太陽歯車610の回転方向に沿って互いに等しい間隔を置いて配置されている。各遊星歯車620は、固定ギア部624と、インナーギア部625と、アウターギア部626と、を有している。
【0051】
固定ギア部624は、遊星歯車620における前記幅方向(遊星歯車620の回転中心軸方向)の中央部に形成されている。
【0052】
インナーギア部625は、遊星歯車620のうち前記幅方向における内側の端部に形成されている。インナーギア部625の歯数は、固定ギア部624の歯数と同じである。
図8及び
図9に示されるように、インナーギア部625は、内側軸部612のまわりに配置されている。
【0053】
アウターギア部626は、遊星歯車620のうち前記幅方向における外側の端部に形成されている。アウターギア部626の歯数は、インナーギア部625の歯数と同じである。
図8に示されるように、アウターギア部626は、外側軸部614のまわりに配置されている。幅方向(
図8における左右方向)におけるアウターギア部626の長さは、同方向におけるインナーギア部625の長さよりも大きく設定されることが好ましい。
【0054】
各遊星歯車620は、キャリア632に保持されている。キャリアカバー634は、キャリア632とともに各遊星歯車620を挟持している。キャリアカバー634は、キャリア固定ボルト636によってキャリア632に固定されている。
【0055】
固定内歯車640は、アウターロアアーム12に固定されている。
図1及び
図2に示されるように、固定内歯車640は、アウターロアアーム12に対して相対回転不能となるように当該アウターロアアーム12に連結部材642によって固定されている。固定内歯車640は、各遊星歯車620の固定ギア部624に噛み合う内歯640aを有している。
【0056】
インナー可動内歯車650は、各遊星歯車620のインナーギア部625に噛み合う内歯650aを有している。インナー可動内歯車650の歯数は、固定内歯車640の歯数と異なる。インナー可動内歯車650は、固定内歯車640に対して太陽歯車610の回転中心軸まわりに相対回転可能である。インナー可動内歯車650は、固定内歯車640とインナーロアアーム11との間に配置されている。インナー可動内歯車650は、インナーリアリンク320とともに固定内歯車640に対して相対回転可能である。具体的に、インナー可動内歯車650は、リア連結ロッド520と一体的に回転するようにリア連結ロッド520の外側の端部に接続されている。リア連結ロッド520の内側の端部には、当該リア連結ロッド520とインナーリアリンク320とが一体的に回転するようにインナーリアリンク320が固定されている。
【0057】
アウター可動内歯車660は、各遊星歯車620のアウターギア部626に噛み合う内歯660aを有している。アウター可動内歯車660の歯数は、インナー可動内歯車650の歯数と同じである。アウター可動内歯車660は、固定内歯車640に対して太陽歯車610の回転中心軸まわりに相対回転可能である。アウター可動内歯車660は、固定内歯車640とアウターロアアーム12との間に配置されている。アウター可動内歯車660は、アウターリアリンク420とともに固定内歯車640に対して相対回転可能である。具体的に、アウター可動内歯車660には、当該アウター可動内歯車660とアウターリアリンク420とが一体的に回転するようにアウターリアリンク420が固定されている。アウター可動内歯車660は、幅方向における内側からアウターロアアーム12に接続されている。アウター可動内歯車660には、動力伝達ロッド800を挿通させる挿通孔660hが設けられている。
【0058】
駆動部700は、遊星歯車機構600を駆動可能である。本実施形態では、駆動部700として、モータが用いられている。ただし、駆動部700は、手動によって遊星歯車機構600を駆動する構成であってもよい。駆動部700は、幅方向におけるアウターロアアーム12の外側に配置されている。
図3に示されるように、幅方向における駆動部700の外端部は、幅方向におけるアウタースライドレール200の外端部より内側に位置している。
【0059】
動力伝達ロッド800は、駆動部700の出力を遊星歯車機構600に伝達する部材である。動力伝達ロッド800は、駆動部700の出力軸と外側軸部614とを連結している。このため、駆動部700が駆動されると、太陽歯車610が回転する。
【0060】
次に、シートリフタ50の動作について説明する。
【0061】
まず、駆動部700が駆動されると、動力伝達ロッド800とともに太陽歯車610が回転する。これにより、各遊星歯車620が太陽歯車610のまわりを回転する。
【0062】
そうすると、固定内歯車640と、各可動内歯車650,660と、の歯数の差に起因して、固定内歯車640に対して各可動内歯車650,660が太陽歯車610の回転中心軸まわりに相対回転する。
【0063】
インナー可動内歯車650及びアウター可動内歯車660とともに、アウターリアリンク420、リア連結ロッド520及びインナーリアリンク320が一体的に回転する。具体的に、インナーリアリンク320は、その下端部を回転中心としてインナーアッパーレール120に対して相対回転するとともに、アウターリアリンク420は、その下端部を回転中心としてアウターアッパーレール220に対して相対回転する。このとき、インナーフロントリンク310は、その下端部を回転中心としてインナーアッパーレール120に対して相対回転するとともに、アウターフロントリンク410は、その下端部を回転中心としてアウターアッパーレール220に対して相対回転する。これにより、クッションフレーム10及びバックフレーム20がフロアに対して昇降動作する。
【0064】
以上に説明したシートリフタ50では、遊星歯車機構600がインナーロアアーム11及びアウターロアアーム12間に配置されており、駆動部700がアウターロアアーム12の外側に配置されているため、遊星歯車機構600及び駆動部700の幅方向における外側への突出量が低減される。
【0065】
また、遊星歯車機構600は、幅方向における内側からアウターロアアーム12に接続されているため、アウターロアアーム12とアウターサイドフレーム22との接続部が遊星歯車機構600によって補強される。このため、前記接続部の強度が高まる。
【0066】
また、各可動内歯車650,660とともに、アウターリアリンク420、リア連結ロッド520及びインナーリアリンク320が一体的に回転するため、単一の遊星歯車機構600によってクッションフレーム10の昇降動作が可能となる。
【0067】
また、幅方向(
図8における左右方向)におけるアウターギア部626の長さが同方向におけるインナーギア部625の長さよりも大きく設定されることにより、アウター可動内歯車660の強度を強くすることが可能となる。
【0068】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0069】
例えば、駆動部700は、幅方向におけるインナーロアアーム11の外側に配置されてもよい。この場合、インナー可動内歯車650の中央部に、動力伝達ロッド800を挿通させる挿通孔が設けられ、動力伝達ロッド800は、リア連結ロッド520内に配置された状態で前記挿通孔を通じて外側軸部614に接続される。
【0070】
また、遊星歯車機構600は、リア連結ロッド520の中間部に設けられてもよい。すなわち、リア連結ロッド520が、インナーロアアーム11とインナー可動内歯車650とを連結するインナー側のロッドと、アウターロアアーム12とアウター可動内歯車660とを連結するアウター側のロッドと、に分割されてもよい。この場合、アウターリアリンク420の上端部は、前記アウター側のロッドに接続されることが好ましい。
【符号の説明】
【0071】
1 シートフレーム 、2 シートベルト、10 クッションフレーム、11 インナーロアアーム、12 アウターロアアーム、13 フロントパネル、20 バックフレーム、21 インナーサイドフレーム、22 アウターサイドフレーム、23 アッパーフレーム、23a ベルト挿通部、50 シートリフタ、100 インナースライドレール、110 インナーロアレール、120 インナーアッパーレール、200 アウタースライドレール、210 アウターロアレール、220 アウターアッパーレール、300 インナーリンク、310 インナーフロントリンク、320 インナーリアリンク、400 アウターリンク、410 アウターフロントリンク、420 アウターリアリンク、500 連結ロッド、510 フロント連結ロッド、520 リア連結ロッド、600 遊星歯車機構、610 太陽歯車、612 内側軸部、614 外側軸部、620 遊星歯車、624 固定側ギア部、625 インナーギア部、626 アウターギア部、632 キャリア、634 キャリアカバー、640 固定内歯車、640a 内歯、650 インナー可動内歯車、650a 内歯、660 アウター可動内歯車、660a 内歯、660h 挿通孔、700 駆動部、800 動力伝達ロッド、B ベアリング。