(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】車載電気システム
(51)【国際特許分類】
B60L 1/00 20060101AFI20230816BHJP
B60L 8/00 20060101ALI20230816BHJP
B60L 50/53 20190101ALI20230816BHJP
B60L 58/20 20190101ALI20230816BHJP
B60R 16/03 20060101ALI20230816BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230816BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20230816BHJP
【FI】
B60L1/00 L
B60L8/00
B60L50/53
B60L58/20
B60R16/03 J
H02J7/00 B
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J7/00 302C
H02J50/10
(21)【出願番号】P 2018243659
(22)【出願日】2018-12-26
【審査請求日】2021-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】坂田 心之佐
(72)【発明者】
【氏名】牧野 和輝
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-098302(JP,A)
【文献】国際公開第2014/097469(WO,A1)
【文献】特開2017-205009(JP,A)
【文献】特開2018-170854(JP,A)
【文献】特開2015-073380(JP,A)
【文献】特開2015-104143(JP,A)
【文献】特開平10-125359(JP,A)
【文献】特開2004-173395(JP,A)
【文献】特開2016-084121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00
B60L 8/00
B60L 50/53
B60L 58/20
B60R 16/03
H02J 7/00
H02J 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
力行時に車輪の駆動源として機能し回生時に発電機として機能するモータ・ジェネレータと、
前記モータ・ジェネレータが生成した電力に基づき充電が行われると共に、前記モータ・ジェネレータの前記力行時の電源として用いられる高圧バッテリと、
車両内で得られる動力を入力とせずに車両走行中における電力の取得が可能とされ取得した電力を前記高圧バッテリに供給可能とされた電力取得部と、
前記高圧バッテリよりも出力電圧が低圧とされた補機バッテリと、前記補機バッテリより給電される補機類とを有する補機系と、
前記高圧バッテリの出力電圧を降圧して前記補機系に供給可能とされた第一降圧部と、
前記電力取得部の出力電圧を降圧して前記補機系に供給可能とされた第二降圧部と、
前記高圧バッテリ、前記電力取得部それぞれからの給電について制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記補機バッテリの負荷の大きさが所定の大きさ以上であるか否かを判定し、前記負荷の大きさが前記所定の大きさ以上の場合は、前記電力取得部からの電力を前記第二降圧部を介して前記補機系に供給させると共に、前記高圧バッテリか
ら前記補機系への電力供給を停止させる
車載電気システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記負荷の大きさが前記所定の大きさ以上であれば、前記高圧バッテリが満充電か否かに拘わらず、前記電力取得部からの電力を前記第二降圧部を介して前記補機系に供給させる
請求項1に記載の車載電気システム。
【請求項3】
前記制御部はさらに、
前記高圧バッテリが満充電であるか否かを判定し、前記高圧バッテリが満充電でなく、前記負荷の大きさが前記所定の大きさ以上でない場合に、前記電力取得部により前記高圧バッテリを充電させる
請求項1又は請求項2に記載の車載電気システム。
【請求項4】
前記制御部はさらに、
前記補機バッテリについて満充電か否かを判定し、前記高圧バッテリが満充電であり前記補機バッテリが満充電でない場合は、前記負荷の大きさが前記所定の大きさ以上でない場合に、前記電力取得部からの電力を前記第二降圧部を介して前記補機系に供給させる
請求項3に記載の車載電気システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記高圧バッテリと前記補機バッテリの双方が満充電であり、且つ前記負荷の大きさが前記所定の大きさ以上でない場合は、前記電力取得部から前記高圧バッテリ、前記補機系それぞれへの電力供給を停止させる
請求項4に記載の車載電気システム。
【請求項6】
前記電力取得部は、電磁誘導を利用して車外より受電を行う
請求項1から請求項5の何れかに記載の車載電気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力行時に車輪の駆動源として機能し回生時に発電機として機能するモータ・ジェネレータと、モータ・ジェネレータが生成した電力に基づき充電が行われると共に、モータ・ジェネレータの力行時の電源として用いられる高圧バッテリとを備えた車載電気システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、HEV(Hybrid Electric Vehicle:ハイブリッド電気自動車)等の電動車両においては、力行時に車輪の駆動源として機能し、回生時に発電機として機能するモータ・ジェネレータが備えられている。
この種の車両では、モータ・ジェネレータが生成した電力に基づき充電が行われると共に、モータ・ジェネレータの力行時の電源として用いられる高圧バッテリを有するものがある。
【0003】
高圧バッテリを有する車両としては、高圧バッテリからDC/DCコンバータ(降圧部)を介して補機系に給電を行うように構成されたものがある。なお、補機系とは、高圧バッテリよりも出力電圧が低圧とされた補機バッテリと、補機バッテリより給電される補機類とを有する電気系を意味する。
【0004】
なお、関連する従来技術については下記特許文献1~4を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-228753号公報
【文献】特開2015-82866号公報
【文献】特開2015-98302号公報
【文献】特許第6065920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように高圧バッテリから補機系に給電を行う構成が採られる場合は、高圧バッテリからは、モータ・ジェネレータ以外に補機系からも電力が持ち出される。このため、高圧バッテリからの電力持ち出しの頻度が高まり、高圧バッテリの劣化を招来する虞がある。また、補機系によっても電力が持ち出されることで、モータ・ジェネレータの駆動電力不足を招来する虞もある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み為されたものであり、モータ・ジェネレータの駆動電源として用いられる高圧バッテリから補機系に対する電力供給が可能とされた車両において、高圧バッテリの劣化抑制、及びモータ・ジェネレータの駆動電力不足の発生防止を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車載電気システムは、力行時に車輪の駆動源として機能し回生時に発電機として機能するモータ・ジェネレータと、前記モータ・ジェネレータが生成した電力に基づき充電が行われると共に、前記モータ・ジェネレータの前記力行時の電源として用いられる高圧バッテリと、車両走行中における電力の取得が可能とされ取得した電力を前記高圧バッテリに供給可能とされた電力取得部と、前記高圧バッテリよりも出力電圧が低圧とされた補機バッテリと、前記補機バッテリより給電される補機類とを有する補機系と、前記高圧バッテリの出力電圧を降圧して前記補機系に供給可能とされた第一降圧部と、前記電力取得部の出力電圧を降圧して前記補機系に供給可能とされた第二降圧部と、前記高圧バッテリ、前記電力取得部それぞれからの給電について制御を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記補機バッテリの負荷の大きさが所定の大きさ以上であるか否かを判定し、前記負荷の大きさが前記所定の大きさ以上の場合は、前記電力取得部からの電力を前記第二降圧部を介して前記補機系に供給させるものである。
【0009】
これにより、補機類の消費電力が大きい場合には、補機系に対し高圧バッテリからだけではなく電力取得部からも給電が行われるようにすることが可能とされる。
【0010】
上記した本発明に係る車載電気システムにおいては、前記制御部は、前記負荷の大きさが前記所定の大きさ以上の場合は、前記電力取得部からの電力を前記第二降圧部を介して前記補機系に供給させると共に、前記高圧バッテリから前記第一降圧部を介した前記補機系への電力供給を停止させる構成とすることが可能である。
【0011】
これにより、補機類の消費電力が大きい場合には、高圧バッテリから補機系に対する給電が停止される。
【0012】
上記した本発明に係る車載電気システムにおいては、前記制御部は、前記負荷の大きさが前記所定の大きさ以上であれば、前記高圧バッテリが満充電か否かに拘わらず、前記電力取得部からの電力を前記第二降圧部を介して前記補機系に供給させる構成とすることが可能である。
【0013】
これにより、補機バッテリの負荷が大きければ、高圧バッテリが満充電でない場合にも補機系に対し電力取得部より給電が行われることになる。すなわち、高圧バッテリから補機系に大電力が持ち出される頻度のさらなる低減が図られる。
【0014】
上記した本発明に係る車載電気システムにおいては、前記制御部はさらに、前記高圧バッテリが満充電であるか否かを判定し、前記高圧バッテリが満充電でなく、前記負荷の大きさが前記所定の大きさ以上でない場合に、前記電力取得部により前記高圧バッテリを充電させる構成とすることが可能である。
【0015】
これにより、補機系の負荷が大きい場合に対応して補機系に電力取得部より給電が行われるようにしつつ、高圧バッテリが満充電でなければ、電力取得部の電力により高圧バッテリを充電させることが可能とされる。
【0016】
上記した本発明に係る車載電気システムにおいては、前記制御部さらに、前記補機バッテリについて満充電か否かを判定し、前記高圧バッテリが満充電であり前記補機バッテリが満充電でない場合は、前記負荷の大きさが前記所定の大きさ以上でない場合に、前記電力取得部からの電力を前記第二降圧部を介して前記補機系に供給させる構成とすることが可能である。
【0017】
これにより、補機系の負荷が大きい場合に対応して補機系に電力取得部より給電が行われるようにしつつ、高圧バッテリの充電が不要で且つ補機バッテリの充電を要する場合には、電力取得部の電力により補機バッテリを充電させることが可能とされる。
【0018】
上記した本発明に係る車載電気システムにおいては、前記制御部は、前記高圧バッテリと前記補機バッテリの双方が満充電であり、且つ前記負荷の大きさが前記所定の大きさ以上でない場合は、前記電力取得部から前記高圧バッテリ、前記補機系それぞれへの電力供給を停止させる構成とすることが可能である。
【0019】
これにより、高圧バッテリ、補機バッテリの過充電防止を図ることが可能とされる。
【0020】
上記した本発明に係る車載電気システムにおいては、前記電力取得部は、電磁誘導を利用して車外より受電を行う構成とすることが可能である。
【0021】
電磁誘導を利用することで、車外から非接触且つ大容量の受電を行うことが可能とされる。
【0022】
また、本発明に係る別の車載電気システムは、上記したモータ・ジェネレータと、高圧バッテリと、電力取得部と、補機系と、第一降圧部と、第二降圧部と、制御部とを備え、前記制御部は、前記高圧バッテリの充電率が閾値以下であるか否かを判定し、前記充電率が前記閾値以下である場合は、前記電力取得部から前記第二降圧部を介した前記補機系への電力供給を停止させ、前記電力取得部により前記高圧バッテリを充電させるものである。
【0023】
上記構成によれば、電力取得部の出力電圧を降圧して補機系に供給可能とされた第二降圧部を有することで、補機系に対し高圧バッテリからだけではなく電力取得部からも給電が行われるようにすることが可能とされる。そして、制御部による上記の制御によって、高圧バッテリの充電残量が所定残量以下に低下している場合には、補機バッテリの負荷の大きさに拘わらず、電力取得部により高圧バッテリを充電させることが可能とされる。
【0024】
また、本発明に係るさらに別の車載電気システムは、上記したモータ・ジェネレータと、高圧バッテリと、電力取得部と、補機系と、第一降圧部と、第二降圧部と、制御部とを備えると共に、前記高圧バッテリを電源として動作する電動機を備え、前記制御部は、前記電動機の消費電力の大きさが所定の大きさ以上であるか否かを判定し、前記消費電力の大きさが前記所定の大きさ以上の場合は、前記電力取得部による前記高圧バッテリの充電を停止させ、前記電力取得部からの電力を前記電動機に供給させるものである。
【0025】
上記構成によれば、電力取得部の出力電圧を降圧して補機系に供給可能とされた第二降圧部を有することで、補機系に対し高圧バッテリからだけではなく電力取得部からも給電が行われるようにすることが可能とされる。そして、制御部による上記の制御によって、電動機の消費電力が大きい場合には、高圧バッテリからだけではなく電力取得部からも電動機に給電が行われ、高圧バッテリから電動機に大電力が持ち出される頻度の低減が図られる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、モータ・ジェネレータの駆動電源として用いられる高圧バッテリから補機系に対する電力供給が可能とされた車両において、高圧バッテリの劣化抑制、及びモータ・ジェネレータの駆動電力不足の発生防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係る第一実施形態としての車載電気システムの構成例を示した回路ブロック図である。
【
図2】第一実施形態としての給電制御処理を示したフローチャートである。
【
図3】第一実施形態の変形例としての給電制御処理を示したフローチャートである。
【
図4】本発明に係る第二実施形態としての車載電気システムの構成例を示した回路ブロック図である。
【
図5】第二実施形態としての給電制御処理を示したフローチャートである。
【
図6】第二実施形態の第一変形例としての給電制御処理を示したフローチャートである。
【
図7】第二実施形態の第二変形例としての車載電気システムの構成例を示した回路ブロック図である。
【
図8】第二実施形態の第二変形例としての給電制御処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<1.第一実施形態>
図1は、本発明に係る第一実施形態としての車載電気システム1の構成例を示した回路ブロック図である。
本実施形態の車載電気システム1は、車輪の駆動源としてエンジン(E/G)50、及びMG(モータ・ジェネレータ)2を具備するHEV(Hybrid Electric Vehicle)としての車両に備えられている。
MG2は、力行時に車輪の駆動源として機能し回生時に発電機として機能する。
【0029】
車載電気システム1は、MG2と、MG2が生成した電力に基づき充電が行われると共に、MG2の力行時の電源として用いられる高圧バッテリ3と、車両走行中における電力の取得が可能とされ取得した電力を高圧バッテリ3に供給可能とされた電力取得部4と、例えば鉛蓄電池とされた補機バッテリ6を含む補機系5と、高圧バッテリ3の出力電圧を降圧して補機系5に供給可能とされたメインDC/DCコンバータ8と、電力取得部4の出力電圧を降圧して補機系5に供給可能とされたサブDC/DCコンバータ9と、高圧バッテリ3、電力取得部4それぞれからの給電について制御を行う制御部10と、継電スイッチSWhと、第一スイッチSW1とを備えている。
【0030】
高圧バッテリ3は、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池による電池セルを複数備えて構成されている。高圧バッテリ3の定格出力電圧は、例えば数百V(ボルト)程度である。
高圧バッテリ3には、SOC(State Of Charge:充電率)を検出するIC(Integrated Circuit)チップが搭載されている。該ICチップは、制御部10と通信可能に接続されており、これにより制御部10は高圧バッテリ3のSOCを取得可能とされている。
【0031】
継電スイッチSWhは、高圧バッテリ3とMG2との間に挿入されたリレー(電磁継電器)とされ、高圧バッテリ3とMG2との間の電気的接続を断続可能とされる。この継電スイッチSWhにより、回生時にMG2で得られる電力による高圧バッテリ3の充電のON/OFF、及び力行時のMG2に対する高圧バッテリ3からの給電のON/OFFを切り替えることが可能とされる。
【0032】
電力取得部4は、本例では、車外からの受電により電力を取得する。具体的に本例では、受電方式として電磁誘導方式が採用されている。すなわち、電力取得部4は受電コイルを有し、道路の路面下(地中)に埋設された給電コイルにより生じる磁力によって、該受電コイルに電流を発生させる方式である。このような受電方式により、車外より非接触による受電を行うことができる。
なお、受電方式としては、非接触型の方式に限定されず接触型の方式を採用することもできる。例えば、電力取得部4に受電用の電極を設け、車外に設けられた給電用の電極に該受電用の電極を接触させて受電を行う方式等を挙げることができる。
また、電力取得部4は、車外から受電を行う構成に限定されず、例えば太陽光発電機等の発電手段によって電力を取得する構成とすることもできる。
車両の燃料消費率や電力消費率の向上を図る上では、電力取得部4としては、エンジン50やMG2の動力等、車両内で得られる動力を入力して発電を行う構成としないことが望ましい。
【0033】
第一スイッチSW1は、電力取得部4と高圧バッテリ3との間に挿入されたリレーとされ、電力取得部4と高圧バッテリ3との間の電気的接続を断続可能とされる。つまり、この第一スイッチSW1により、電力取得部4で得られた電力による高圧バッテリ3の充電のON/OFF切り替えを行うことが可能とされる。
【0034】
補機系5は、高圧バッテリ3よりも出力電圧が低圧とされた補機バッテリ6と、補機バッテリ6より給電される補機類とを有する。補機バッテリ6の定格出力電圧は例えば12V程度である。
補機類は、車載された各種の電装機器であり、図中では補機類の例としてISG(Integrated Starter Generator)7を示している。ISG7は、エンジントルクを電力に変換する発電機能に加え、電力をエンジンのトルクへと変換してエンジン始動に用いることができる。そのため、エンジン始動用のスタータモータと、エンジントルクを利用して発電を行うオルタネータとの両者の機能をISGに集約することができる。
図示は省略したが、補機類としては、このISG7以外にも、例えばカーナビゲーション機器やオーディオ機器等の他の電装機器も補機バッテリ6に対して接続されている。
【0035】
メインDC/DCコンバータ8は、MG2と継電スイッチSWhとの接続点に得られる電圧(直流電圧)を入力し、該入力した電圧を降圧して補機系5に出力する。メインDC/DCコンバータ8には、継電スイッチSWhがONの状態において高圧バッテリ3の出力電圧が入力され、この場合には高圧バッテリ3の出力電圧を降圧して補機系5に出力することになる。
【0036】
サブDC/DCコンバータ9は、電力取得部4の出力電圧(直流電圧)を入力し、入力した電圧を降圧して補機系5に出力する。
【0037】
制御部10は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータを有して構成され、第一スイッチSW1のON/OFF切り替え制御や、メインDC/DCコンバータ8、サブDC/DCコンバータ9の動作制御を行うことで、高圧バッテリ3、電力取得部4それぞれからの給電について制御を行う。
本例では、制御部10はHEVとしての車両における動力伝達経路の切り替え制御を担うECU(Electronic Control Unit)とされ、MG2に対し力行/回生の切り替え指示を行う。
また、制御部10は、継電スイッチSWhのON/OFF切り替え制御を行うことで、高圧バッテリ3からMG2、メインDC/DCコンバータ8への給電や、回生時におけるMG2から高圧バッテリ3に対する充電についてON/OFF切り替えを行う。
【0038】
また、制御部10に対しては、検出部11が接続されている。
検出部11は、補機バッテリ6の出力電圧値、及び出力電流値(補機バッテリ6の負荷電流値)を検出する。
ここで、補機バッテリ6の出力電圧値によっては、補機バッテリ6の充電状態を推定可能である。また、補機バッテリ6の出力電流値によっては補機バッテリ6の負荷の大きさ(補機類の消費電力の大きさ)を推定可能である。
【0039】
本実施形態における制御部10は、検出部11による検出値、及び高圧バッテリ3のSOCに基づいて、高圧バッテリ3、電力取得部4それぞれからの給電について制御を行う。
【0040】
ここで、本実施形態の車載電気システム1は、高圧バッテリ3から補機系5にメインDC/DCコンバータ8を介して給電可能な構成とされている。このような構成においては、高圧バッテリ3からはMG2以外に補機系5からも電力が持ち出されるので、高圧バッテリ3からの電力持ち出しの頻度が高まり、高圧バッテリ3の劣化を招来する虞がある。また、補機系5によっても電力が持ち出されることで、高圧バッテリ3の充電量不足から、MG2の駆動電力不足を招来する虞もある。
このような高圧バッテリ3の劣化やMG2の駆動電力不足の問題は、ISG7によるエンジン50のクランキングが頻発することにより生じる可能性が高まる。
【0041】
そこで、本実施形態では、補機バッテリ6の負荷の大きさが所定の大きさ以上であるか否かを判定し、負荷の大きさが所定の大きさ以上の場合は、電力取得部4からの電力をサブDC/DCコンバータ9を介して補機系5に供給させる。
【0042】
これにより、補機類の消費電力が大きい場合には、補機系5に対し高圧バッテリ3からだけでなく電力取得部4からも給電が行われるようにすることが可能とされる。
従って、高圧バッテリ3から補機系に大電力が持ち出される頻度の低減が図られるため、高圧バッテリ3の劣化抑制、及びMG2の駆動電力不足の発生防止を図ることができる。
【0043】
図2は、制御部10が行うより具体的な給電制御処理を示したフローチャートである。
なお、
図2に示す処理は所定周期で繰り返し実行される処理とされる。
また、ここでは、電力取得部4が電力を取得可能な状態にあることを前提とする。なお、
図2に示す処理は、電力取得部4が電力を取得可能な状態にあるか否かを判定し、肯定結果が得られたことを条件に開始されるものとしてもよい。
以上の点については、後述する
図3、
図5、
図6、及び
図8の処理についても同様に当て嵌まるものである。
【0044】
先ず、制御部10はステップS101で、補機バッテリ6の出力電流値、出力電圧値を取得する処理を実行する。すなわち、検出部11により検出されるこれらの電流値及び電圧値を取得する。
次いで、制御部10はステップS102で、高圧バッテリ3のSOCを取得する。
【0045】
ステップS102に続くステップS103で制御部10は、補機バッテリ6の負荷が大きいか否かを判定する。具体的には、ステップS101で取得した補機バッテリ6の出力電流値が所定の閾値以上であるか否かを判定する。
補機バッテリ6の出力電流値が所定の閾値以上であり、補機バッテリ6の負荷が大きいと判定した場合、制御部10はステップS106に進み、サブDC/DCコンバータ9をONとし、メインDC/DCコンバータ8をOFFとする制御を行う。すなわち、サブDC/DCコンバータ9をON状態とすることで電力取得部4からの電力をサブDC/DCコンバータ9を介して補機系5に供給させると共に、メインDC/DCコンバータ8をOFF状態(動作停止状態)とすることで高圧バッテリ3からメインDC/DCコンバータ8を介した補機系5への電力供給を停止させる。
【0046】
ここで、補機バッテリ6の負荷が大きい場合に対応して、上記のように高圧バッテリ3から補機系5への電力供給を停止させることで、高圧バッテリから補機系5に持ち出される電力量の低減が図られる。従って、高圧バッテリ3の劣化抑制効果、及びMG2の駆動電力不足発生防止効果を高めることができる。
【0047】
なお、ステップS106では、高圧バッテリ3から補機系5への電力供給を停止させるにあたりメインDC/DCコンバータ8をOFFさせるものとしたが、高圧バッテリ3から補機系5への電力供給を停止させる制御はこれに限定されない。例えば、メインDC/DCコンバータ8の出力が補機系5のみでなく
図1に不図示とした車載電子機器等にも分岐して供給される構成においては、メインDC/DCコンバータ8による補機系5への出力のみを停止させる制御を行うことで、補機系5への電力供給を停止させることができる。
【0048】
また、制御部10はステップS103で補機バッテリ6の負荷が大きくないと判定した場合は、ステップS104に進んで高圧バッテリ3が満充電であるか否かを判定する。このステップS104の判定処理は、ステップS102で取得したSOCの値が満充電としての値(例えば100%)以上であるか否かを判定することで行う。
【0049】
ステップS104において、高圧バッテリ3が満充電でないと判定した場合、制御部10はステップS107に進んで第一スイッチSW1をONとし、サブDC/DCコンバータ9をOFFとする制御を行う。
第一スイッチSW1がON状態とされることで、電力取得部4からの電力により高圧バッテリ3が充電される。このとき、サブDC/DCコンバータ9がOFF状態とされることで、電力取得部4から補機系5への給電は停止される。これにより、電力取得部4から高圧バッテリ3に効率良く充電を行うことができる。
【0050】
一方、ステップS104で高圧バッテリ3が満充電であると判定した場合、制御部10はステップS105に進んで補機バッテリ6が満充電であるか否かを判定する。本例では、補機バッテリ6が満充電であるか否かの判定は、ステップS101で取得した補機バッテリ6の出力電圧値が所定閾値(例えば14V)以上であるか否かの判定として行う。
【0051】
ステップS105において、補機バッテリ6が満充電ではないと判定した場合、制御部10はステップS108に処理を進めて、第一スイッチSW1をOFFとし、サブDC/DCコンバータ9をONとする制御を行う。これにより、補機バッテリ6の負荷が大きくない場合において、高圧バッテリ3が満充電で補機バッテリ6が満充電でない場合には、電力取得部4からサブDC/DCコンバータ9を介して補機系5に給電が行われる。このとき、第一スイッチSW1はOFFとされるため、電力取得部4からの電力による高圧バッテリ3の充電は行われない。つまり、高圧バッテリ3の過充電が防止される。
【0052】
また、ステップS105において、補機バッテリ6が満充電であると判定した場合、制御部10はステップS109に進んで給電停止制御を行う。すなわち、電力取得部4から高圧バッテリ3、補機系5それぞれへの給電を停止させる制御である。この給電停止制御として本例の制御部10は、電力取得部4をOFF(動作停止)させる制御を行う。
ステップS109の給電停止制御を行うことで、補機バッテリ6の負荷が大きくなく、且つ高圧バッテリ3及び補機バッテリ6の双方が満充電である場合には、高圧バッテリ3、補機バッテリ6の双方が電力取得部4の電力により充電されないようにすることができる。従って、高圧バッテリ3、補機バッテリ6の双方について過充電防止を図ることができる。
【0053】
なお、ステップS109の給電停止制御としては、電力取得部4をOFFさせる制御に限定されない。例えば、電力取得部4が取得した電力が
図1に不図示とした車載電子機器等にも供給される構成においては、給電停止制御としては、電力取得部4を動作停止状態とはせずに、第一スイッチSW1及びサブDC/DCコンバータ9をOFFする制御として行うこともできる。
【0054】
制御部10は、ステップS106~S109の何れかの処理を実行したことに応じて
図2に示す処理を終える。
【0055】
図3は、第一実施形態の変形例としての給電制御処理を示したフローチャートである。
図2に示した処理では、補機バッテリ6の負荷が大きいと判定した場合(S103:Y)に、高圧バッテリ3が満充電であるか否かを判定することなく、ステップS106の処理、すなわち補機系5に対し電力取得部4より給電を行う制御を実行するものとした。換言すれば、補機バッテリ6の負荷の大きさが所定の大きさ以上である場合は、高圧バッテリ3が満充電であるか否かに拘わらず、補機系5に対し電力取得部4より給電が行われるようにした。これにより、補機バッテリ6の負荷が大きい場合に対応した電力取得部4から補機系5への給電を、電力取得部4から高圧バッテリ3に対する充電よりも優先して行うことができる。
【0056】
図3に示す変形例は、電力取得部4から高圧バッテリ3に対する充電の方を優先させる例である。
具体的に、この場合の制御部10は、ステップS101及びS102の取得処理を実行したことに応じ、ステップS501で高圧バッテリ3のSOCが閾値THe以下であるか否かを判定する。閾値THeとしては、満充電時のSOC(本例では100%)よりも小さな値を設定する。例えば、50%以下の値を設定する等が考えられる。
このステップS501の処理は、高圧バッテリ3の残量が充電を要する程度に低下しているか否かを判定することを意図したものである。
【0057】
ステップS501において、高圧バッテリ3のSOCが閾値THe以下であると判定した場合、制御部10はステップS107に進み第一スイッチSW1をON、サブDC/DCコンバータ9をOFFとする制御を行う。
これにより、高圧バッテリ3の残量が所定残量以下に低下している場合には、補機バッテリ6の負荷の大きさに拘わらず、電力取得部4により高圧バッテリ3が充電される。
【0058】
一方、ステップS501において、高圧バッテリ3のSOCが閾値THe以下でないと判定した場合、制御部10はステップS103に進んで補機バッテリ6の負荷が大きいか否かを判定する。補機バッテリ6の負荷が大きければ、この場合もステップS106の処理が実行されて補機系5に対し高圧バッテリ3からではなく電力取得部4より給電が行われる。
【0059】
ステップS103において、補機バッテリ6の負荷が大きくないと判定した場合、制御部10はステップS105に進んで補機バッテリ6が満充電か否かを判定する。補機バッテリ6が満充電でなければ、制御部10はステップS108の処理を実行する。すなわち、電力取得部4から高圧バッテリ3に対する充電が行われないようにしつつ、電力取得部4から補機バッテリ6に対する充電が行われるようにする。
一方、補機バッテリ6が満充電であれば、制御部10はステップS109の給電停止制御を実行する。これにより、高圧バッテリ3の残量が所定残量以下に低下しておらず、且つ補機バッテリ6の負荷が大きくなく、さらに補機バッテリ6が満充電である場合には、電力取得部4から高圧バッテリ3、補機系5それぞれへの給電が停止される。
【0060】
なお、ステップS501の判定処理については、閾値THeを満充電時のSOCの値に設定し、満充電であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0061】
上記のように第一実施形態としての車載電気システム(同1)は、力行時に車輪の駆動源として機能し回生時に発電機として機能するモータ・ジェネレータ(MG2)と、モータ・ジェネレータが生成した電力に基づき充電が行われると共に、モータ・ジェネレータの力行時の電源として用いられる高圧バッテリ(同3)と、車両走行中における電力の取得が可能とされ取得した電力を高圧バッテリに供給可能とされた電力取得部(同4)と、高圧バッテリよりも出力電圧が低圧とされた補機バッテリ(同6)と、補機バッテリより給電される補機類(例えば、ISG7)とを有する補機系(同5)と、高圧バッテリの出力電圧を降圧して補機系に供給可能とされた第一降圧部(メインDC/DCコンバー89)と、電力取得部の出力電圧を降圧して補機系に供給可能とされた第二降圧部(サブDC/DCコンバータ9)と、高圧バッテリ、電力取得部それぞれからの給電について制御を行う制御部(同10)とを備えている。
そして、制御部は、補機バッテリの負荷の大きさが所定の大きさ以上であるか否かを判定し、負荷の大きさが所定の大きさ以上の場合は、電力取得部からの電力を第二降圧部を介して補機系に供給させる。
【0062】
これにより、補機類の消費電力が大きい場合には、補機系に対し高圧バッテリからだけではなく電力取得部からも給電が行われるようにすることが可能とされる。
従って、高圧バッテリから補機系に大電力が持ち出される頻度の低減が図られるため、高圧バッテリの劣化抑制、及びモータ・ジェネレータの駆動電力不足の発生防止を図ることができる。
また、本実施形態では、電力取得部からの電力を第二降圧部(サブDC/DCコンバータ9)を介して補機系に供給可能に構成している。仮に、第二降圧部を設けない場合、電力取得部からの電力を補機系に供給するにあたっては、電力取得部からの電力を高圧バッテリ→第一降圧部(メインDC/DCコンバータ8)を介して補機系に供給することになる。これに対し本実施形態では、電力取得部からの電力は第二降圧部のみを介して補機系に供給可能であるため、電力取得部から補機系に対する電力供給ロスの低減を図ることができる。
【0063】
また、第一実施形態としての車載電気システムにおいては、制御部は、負荷の大きさが所定の大きさ以上の場合は、電力取得部からの電力を第二降圧部を介して補機系に供給させると共に、高圧バッテリから第一降圧部を介した補機系への電力供給を停止させている。
【0064】
これにより、補機類の消費電力が大きい場合には、高圧バッテリから補機系に対する給電が停止される。
従って、高圧バッテリから補機系に持ち出される電力量の低減が図られ、高圧バッテリの劣化抑制効果、及びモータ・ジェネレータの駆動電力不足発生防止効果を高めることができる。
【0065】
さらに、第一実施形態としての車載電気システムにおいては、制御部は、負荷の大きさが所定の大きさ以上であれば、高圧バッテリが満充電か否かに拘わらず、電力取得部からの電力を第二降圧部を介して補機系に供給させている。
【0066】
これにより、補機バッテリの負荷が大きければ、高圧バッテリが満充電でない場合にも補機系に対し電力取得部より給電が行われることになる。すなわち、高圧バッテリから補機系に大電力が持ち出される頻度のさらなる低減が図られる。
従って、高圧バッテリの劣化抑制効果の向上、及びモータ・ジェネレータの駆動電力不足防止効果の向上を図ることができる。
【0067】
さらにまた、第一実施形態としての車載電気システムにおいては、制御部はさらに、高圧バッテリが満充電であるか否かを判定し、高圧バッテリが満充電でなく、負荷の大きさが所定の大きさ以上でない場合に、電力取得部により高圧バッテリを充電させている。
【0068】
これにより、補機系の負荷が大きい場合に対応して補機系に電力取得部より給電が行われるようにしつつ、高圧バッテリが満充電でなければ、電力取得部の電力により高圧バッテリを充電させることが可能とされる。
従って、高圧バッテリから補機系に大電力が持ち出される頻度の低減を図りながら、電力取得部の給電先を高圧バッテリの充電状態に応じて適切に切り替えることができる。
【0069】
また、第一実施形態としての車載電気システムにおいては、制御部はさらに、補機バッテリについて満充電か否かを判定し、高圧バッテリが満充電であり補機バッテリが満充電でない場合は、負荷の大きさが所定の大きさ以上でない場合に、電力取得部からの電力を第二降圧部を介して補機系に供給させている。
【0070】
これにより、補機系の負荷が大きい場合に対応して補機系に電力取得部より給電が行われるようにしつつ、高圧バッテリの充電が不要で且つ補機バッテリの充電を要する場合には、電力取得部の電力により補機バッテリを充電させることが可能とされる。
従って、高圧バッテリから補機系に大電力が持ち出される頻度の低減を図りながら、電力取得部の給電先を高圧バッテリ及び補機バッテリの充電状態に応じて適切に切り替えることができる。
【0071】
さらに、第一実施形態としての車載電気システムにおいては、制御部は、高圧バッテリと補機バッテリの双方が満充電であり、且つ負荷の大きさが所定の大きさ以上でない場合は、電力取得部から高圧バッテリ、補機系それぞれへの電力供給を停止させている。
【0072】
これにより、高圧バッテリ、補機バッテリの過充電防止を図ることができる。
【0073】
さらにまた、第一実施形態としての車載電気システムにおいては、電力取得部は、電磁誘導を利用して車外より受電を行っている。
【0074】
電磁誘導を利用することで、車外から非接触且つ大容量の受電を行うことが可能とされる。
従って、接触型の受電を行う場合における各種制約を排除しながら、高圧バッテリを車外電源を利用して高効率に充電することができる。また、充電効率の向上により高圧バッテリの大容量化を図ることができる。
【0075】
また、第一実施形態としての車載電気システムは、変形例(
図3参照)として説明したように、上記したモータ・ジェネレータと、高圧バッテリと、電力取得部と、補機系と、第一降圧部と、第二降圧部と、制御部とを備え、制御部は、高圧バッテリの充電率が閾値以下であるか否かを判定し(ステップS501)、充電率が閾値以下である場合は、電力取得部から第二降圧部を介した補機系への電力供給を停止させ、電力取得部により高圧バッテリを充電させる(ステップS107)ものである。
【0076】
上記構成によれば、電力取得部の出力電圧を降圧して補機系に供給可能とされた第二降圧部を有することで、補機系に対し高圧バッテリからだけではなく電力取得部からも給電が行われるようにすることが可能とされる。そして、制御部による上記の制御によって、高圧バッテリの充電残量が所定残量以下に低下している場合には、補機バッテリの負荷の大きさに拘わらず、電力取得部により高圧バッテリを充電させることが可能とされる。
従って、高圧バッテリの劣化抑制、及びモータ・ジェネレータの駆動電力不足の発生防止を図りながら、高圧バッテリが充電不足となることの防止を図ることができる。
【0077】
<2.第二実施形態>
続いて、本発明に係る第二実施形態としての車載電気システム1Aについて説明する。
図4は、車載電気システム1Aの構成例を示した回路ブロック図である。
なお、以下の説明において、既にこれまでで説明済みとなった部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0078】
車載電気システム1Aは、第一実施形態の車載電気システム1と比較して、電動コンプレッサ20、第二スイッチSW2、及び検出部21が追加された点と、サブDC/DCコンバータ9及び検出部11が省略された点と、制御部10に代えて制御部10Aが設けられた点が異なる。
【0079】
電動コンプレッサ20は、車室の温度調整を行う車室温調装置用の電動コンプレッサとされ、継電スイッチSWhとMG2との接続点に得られる電圧を電源電圧として入力して動作する。すなわち、電動コンプレッサ20は高圧バッテリ3を電源として動作することが可能とされている。
また、電動コンプレッサ20には、第二スイッチSW2を介して電力取得部4からの電力を供給可能とされている。なお、第二スイッチSW2には、例えば電磁継電器としてのリレーが用いられる。
【0080】
検出部21は、電動コンプレッサ20への電力供給ライン、つまり本例では高圧バッテリ3から継電スイッチSWhを介しての電力供給ライン、電力取得部4から第二スイッチSW2を介しての電力供給ラインに流れる電流(つまり電動コンプレッサ20の消費電流)の電流値を検出する。
【0081】
制御部10Aは、
図1に示した制御部10と同様にマイクロコンピュータを有して構成され、継電スイッチSWhや第一スイッチSW1のON/OFF切り替え制御やメインDC/DCコンバータ8の動作制御と共に、第二スイッチSW2のON/OFF切り替え制御を行うことが可能とされている。また、制御部10Aとして制御部10と同様、車両における動力伝達経路の切り替え制御を担うECUとされ、MG2に対し力行/回生の切り替え指示を行う。
【0082】
制御部10Aに対しては、検出部21が接続され、これにより制御部10Aは検出部21が検出した電動コンプレッサ20の消費電流値を取得可能とされている。検出部21が検出する消費電流値によっては電動コンプレッサ20の消費電力を推定可能である。
【0083】
第二実施形態における制御部10Aは、検出部21が検出する消費電力検出値、及び高圧バッテリ3のSOCに基づいて、少なくとも電力取得部4からの給電について制御を行う。
【0084】
ここで、高圧バッテリ3が電動コンプレッサ20のような消費電力の大きい電動機の電源に用いられる場合には、高圧バッテリ3から大電力が持ち出される頻度が高まり、高圧バッテリ3の劣化やMG2の駆動電力不足を招来する虞がある。
【0085】
そこで、第二実施形態では、電動コンプレッサ20の消費電力の大きさが所定の大きさ以上であるか否かを判定し、消費電力の大きさが所定の大きさ以上の場合は、電力取得部4からの電力を電動コンプレッサ20に供給させる。
これにより、電動コンプレッサ20の消費電力が大きい場合には、高圧バッテリ3からだけではなく電力取得部4からも電動コンプレッサ20に給電が行われ、高圧バッテリ3から電動コンプレッサ20に大電力が持ち出される頻度の低減が図られる。
従って、高圧バッテリ3の劣化抑制、及びMG2の駆動電力不足の発生防止を図ることができる。
【0086】
図5は、制御部10Aが行うより具体的な給電制御処理を示したフローチャートである。
先ず、制御部10AはステップS201で、電動コンプレッサ20の消費電流値を取得する。すなわち、検出部21が検出した電動コンプレッサ20の消費電流値を取得する。
次いで、制御部10AはステップS202で高圧バッテリ3のSOCを取得する。
【0087】
ステップS202に続くステップS203で制御部10は、電動コンプレッサ20の消費電力が大きいか否かを判定する。具体的には、ステップS201で取得した消費電流値が所定の閾値以上であるか否かを判定する。
該消費電流値が所定の閾値以上であり、電動コンプレッサ20の消費電力が大きいと判定した場合、制御部10AはステップS205に進み、第一スイッチSW1をOFFとし、第二スイッチSW2をONとする制御を行う。すなわち、第二スイッチSW2をON状態とすることで、電力取得部4から電動コンプレッサ20に対する給電が行われる。
このとき、第一スイッチSW1をOFF状態とすることで、電力取得部4から高圧バッテリ3に対する充電が行われないようになる。これにより、電力取得部4から電動コンプレッサ20に対する給電ロスを低減することができる。
【0088】
上記のように電動コンプレッサ20の消費電力が大きい場合には、電力取得部4から電動コンプレッサ20に対する給電が行われる。
【0089】
また、ステップS203において、電動コンプレッサ20の消費電力が大きくないと判定した場合、制御部10AはステップS204に進んで高圧バッテリ3が満充電であるか否かを判定する。すなわち、ステップS202で取得したSOCの値が満充電としての値(例えば100%)以上であるか否かを判定することで行う。
【0090】
ステップS204において、高圧バッテリ3が満充電でないと判定した場合、制御部10AはステップS206に進んで第一スイッチSW1をONとし、第二スイッチSW2をOFFとする制御を行う。
第一スイッチSW1がON状態とされることで電力取得部4から高圧バッテリ3に対する充電が行われる。このとき、第二スイッチSW2がOFF状態とされることで、電力取得部4から高圧バッテリ3に効率良く充電を行うことができる。
【0091】
上記のように制御部10Aは、高圧バッテリ3が満充電であるか否かを判定し、満充電でなければ電力取得部4により高圧バッテリ3を充電させている。
これにより、電動コンプレッサ20の消費電力が大きい場合に対応して電力取得部4から電動コンプレッサ20に給電が行われるようにしつつ、高圧バッテリ3が満充電でなければ、電力取得部4により高圧バッテリ3を充電させることが可能とされる。
【0092】
一方、ステップS204において高圧バッテリ3が満充電であると判定した場合、制御部10AはステップS207の給電停止制御として、電力取得部4から高圧バッテリ3、電動コンプレッサ20それぞれへの電力供給を停止させる制御を行う。このステップS207の給電停止制御としては、例えば電力取得部4を動作停止状態とする制御を行う。或いは、電力取得部4が取得した電力が
図4に不図示とした車載電子機器等にも供給される構成においては、電力取得部4を動作停止状態とはせずに、第一スイッチSW1及び第二スイッチSW2をOFFする制御として行うこともできる。
高圧バッテリ3が満充電である場合にステップS207の給電停止制御を行うことで、高圧バッテリ3の過充電防止を図ることができる。
【0093】
制御部10Aは、ステップS205~S207の何れかの処理を実行したことに応じて
図5に示す処理を終える。
【0094】
なお、上記では電動コンプレッサ20の消費電力を電動コンプレッサ20の消費電流値により推定する例を挙げたが、電動コンプレッサ20の消費電力は、例えば車室温調装置の設定風量や設定温度、冷房機能(A/Cスイッチ)のON/OFF等に基づいて推定することもできる。
【0095】
また、上記では高圧バッテリ3を電源とする電動機の例として車室温調装置用の電動コンプレッサ20を例示したが、該電動機としては電動コンプレッサ20に限定されない。例えば、電動機の他の例として、トランスミッションの作動油吐出源等として用いられるEOP(Electric Oil Pump)等を挙げることができる。
【0096】
図5に示した処理では、電動コンプレッサ20の負荷が大きいと判定した場合(S203:Y)に、高圧バッテリ3が満充電であるか否かを判定することなく、ステップS205の処理、すなわち電動コンプレッサ20に対し電力取得部4より給電を行う制御を実行するものとした。換言すれば、電動コンプレッサ20の消費電力の大きさが所定の大きさ以上である場合は、高圧バッテリ3が満充電であるか否かに拘わらず、電動コンプレッサ20に対し電力取得部4より給電が行われるようにした。これにより、電動コンプレッサ20の消費電力が大きい場合に対応した電力取得部4から電動コンプレッサ20への給電を、電力取得部4から高圧バッテリ3に対する充電よりも優先して行うことができる。
【0097】
しかしながら、
図6に示す第一変形例としての処理のように、電力取得部4から高圧バッテリ3に対する充電の方を優先させることもできる。
図6において、この場合の制御部10Aは、ステップS201及びS202の取得処理を実行したことに応じ、ステップS501で高圧バッテリ3のSOCが閾値THe以下であるか否かを判定する。
ステップS501において、高圧バッテリ3のSOCが閾値THe以下であると判定した場合、制御部10AはステップS206に進み第一スイッチSW1をON、第二スイッチSW2をOFFとする制御を行う。
これにより、高圧バッテリ3の残量が所定残量以下に低下している場合には、電動コンプレッサ20の消費電力の大きさに拘わらず、電力取得部4により高圧バッテリ3が充電されるようにすることができる。
【0098】
一方、ステップS501で高圧バッテリ3のSOCが閾値THe以下でないと判定した場合、制御部10AはステップS203に進んで電動コンプレッサ20の消費電力が大きいか否かを判定する。電動コンプレッサ20の消費電力が大きければ、この場合もステップS205の処理が実行されて電動コンプレッサ20に対し電力取得部4より給電が行われる。
【0099】
ステップS203において、電動コンプレッサ20の消費電力が大きくないと判定した場合、制御部10AはステップS204に進んで高圧バッテリ3が満充電か否かを判定する。高圧バッテリ3が満充電でなければ、制御部10AはステップS206の処理を実行する。これにより、電力取得部4から高圧バッテリ3に対する充電が行われる。このとき、第二スイッチSW2はOFFとされるので、電力取得部4から電動コンプレッサ20への給電は行われず、従って高圧バッテリ3を効率良く充電することができる。
【0100】
一方、高圧バッテリ3が満充電であれば、制御部10AはステップS207の給電停止制御を実行する。これにより、高圧バッテリ3の過充電防止が図られる。
【0101】
ここで、第二実施形態の車載電気システム1Aとしては、
図1に示した車載電気システム1のように電力取得部4から補機系5に高圧バッテリ3を介さずに給電を行う構成とすることもできる。
図7は、車載電気システム1Aに対し、電力取得部4から補機系5への給電を可能とするためのサブDC/DCコンバータ9を追加して構成される第二変形例としての車載電気システム1Bの構成例を示した回路ブロック図である。
図示のように車載電気システム1Bにおいては、制御部10Aに代えて制御部10Bが設けられる。また、補機バッテリ6の出力電流値及び出力電圧値を検出する検出部11が設けられる。
【0102】
制御部10Bは、検出部11による検出値や検出部21による検出値に基づき、第一スイッチSW1や第二スイッチSW2、メインDC/DCコンバータ8やサブDC/DCコンバータ9を制御することで、以下で説明するような第二変形例としての給電制御を実現する。
【0103】
図8は、制御部10Bが実行する第二変形例としての給電制御処理を示したフローチャートである。
先ず、制御部10Bは、先に説明したステップS101、S201、S102の処理を実行することで補機バッテリ6の出力電流値と出力電圧値、電動コンプレッサ20の消費電流値、及び高圧バッテリ3のSOCを取得する。
次いで、制御部10BはステップS203で、電動コンプレッサ20の消費電力が大きいか否かを判定し、電動コンプレッサ20の消費電力が大きいと判定した場合はステップS301で第一スイッチSW1をOFF、第二スイッチSW2をON、サブDC/DCコンバータ9をOFFとする制御を行う。
これにより、電動コンプレッサ20の消費電力が大きい場合に対応して電力取得部4から電動コンプレッサ20に給電が行われる。
このとき、第一スイッチSW1がOFFされることで電力取得部4から高圧バッテリ3に対する充電が行われなくなり、これにより電力取得部4から電動コンプレッサ20に対する給電ロスを低減することができる。また、サブDC/DCコンバータ9がOFFされて電力取得部4から補機系5への給電が行われないことによっても、電力取得部4から電動コンプレッサ20に対する給電ロスが低減される。
【0104】
また、ステップS203において、電動コンプレッサ20の消費電力が大きくないと判定した場合、制御部10BはステップS103で補機バッテリ6の負荷が大きいか否かを判定し、補機バッテリ6の負荷が大きいと判定した場合はステップS302で第二スイッチSW2をOFF、サブDC/DCコンバータ9をON、メインDC/DCコンバータ9をOFFとする制御を行う。
これにより、電動コンプレッサ20の消費電力が大きくない場合において、補機バッテリ6の負荷が大きければ、電力取得部4から電動コンプレッサ20への給電が行われず(SW2=OFF)、補機系5に対し高圧バッテリ3からではなく電力取得部4から給電が行われるようになる(サブDC/DC=ON、メインDC/DC=OFF)。
【0105】
ここで、上記した処理の流れから理解されるように、制御部10Bは、電動コンプレッサ20の消費電力が所定の大きさ以上であれば、補機バッテリ6の負荷の大きさに拘わらず、電力取得部4からの電力を電動コンプレッサ20に供給させるようにしている。
これにより、補機類よりも電動コンプレッサ20の方が駆動に大電力を要する場合に対応して、電力取得部4からの電力を電動コンプレッサ20に対し補機系5よりも優先して供給することが可能とされる。
従って、電力取得部4からの電力を電動コンプレッサ20と補機系5とに供給可能な構成において、高圧バッテリ3の劣化抑制、及びMG2の駆動電力不足の発生防止を適切に図ることができる。
【0106】
続いて、制御部10Bは、ステップS103で補機バッテリ6の負荷が大きくないと判定した場合には、ステップS104に進んで高圧バッテリ3が満充電であるか否かを判定し、高圧バッテリ3が満充電でなければステップS303に進んで第一スイッチSW1をON、第二スイッチSW2をOFF、サブDC/DCコンバータ9をOFFとする制御を行う。
これにより、電動コンプレッサ20の消費電力、補機バッテリ6の負荷が共に大きくなく、高圧バッテリ3が満充電でない場合には、第一スイッチSW1がONとされて電力取得部4から高圧バッテリ3に対する充電が行われる。このとき、第二スイッチSW2とサブDC/DCコンバータ9をOFFとして、電力取得部4から電動コンプレッサ20、補機系5それぞれへの給電が行われないようにしていることで、電力取得部4から高圧バッテリ3に効率良く充電が行われるように図られている。
【0107】
また、ステップS104で高圧バッテリ3が満充電であると判定した場合、制御部10BはステップS105に進んで補機バッテリ6が満充電であるか否かを判定し、補機バッテリ6が満充電でなければ、ステップS304に進んで第一スイッチSW1をOFF、第二スイッチSW2をOFF、サブDC/DCコンバータ9をONとする制御を行う。
これにより、電動コンプレッサ20の消費電力、補機バッテリ6の負荷が共に大きくなく、高圧バッテリ3と補機バッテリ6のうち高圧バッテリ3のみが満充電である場合には、サブDC/DCコンバータ9がONとされて電力取得部4から補機系5への給電が行われる。すなわち、電力取得部4から補機バッテリ6に対する充電が行われる。
このとき、第二スイッチSW2をOFFとして電力取得部4から電動コンプレッサ20への給電が行われないようにしていることで、電力取得部4から補機バッテリ6に効率良く充電が行われるように図られている。また、第一スイッチSW1をOFFとすることで、高圧バッテリ3の過充電防止が図られる。
【0108】
また、ステップS105で補機バッテリ6が満充電であると判定した場合、制御部10BはステップS305に進んで給電停止制御を行う。この場合の給電停止制御としては、電力取得部4から高圧バッテリ3、電動コンプレッサ20、補機系5それぞれへの電力供給を停止させる制御を行う。具体的に本例では、電力取得部4を動作停止状態とする制御を行う。
或いは、電力取得部4が取得した電力が
図7に不図示とした車載電子機器等にも供給される構成においては、電力取得部4を動作停止状態とはせずに、第一スイッチSW1、第二スイッチSW2、及びサブDC/DCコンバータ9をOFFする制御として行うこともできる。
高圧バッテリ3及び補機バッテリ6が満充電である場合にステップS305の給電停止制御を行うことで、高圧バッテリ3及び補機バッテリ6の過充電防止を図ることができる。
【0109】
制御部10BはステップS301~S305の何れかの処理を実行したことに応じて
図8に示す処理を終える。
【0110】
以上のように第二実施形態としての車載電気システム(同1A又は同1B)は、力行時に車輪の駆動源として機能し回生時に発電機として機能するモータ・ジェネレータ(MG2)と、モータ・ジェネレータが生成した電力に基づき充電が行われると共に、モータ・ジェネレータの力行時の電源として用いられる高圧バッテリ(同3)と、高圧バッテリを電源として動作する電動機(電動コンプレッサ20)と、車両走行中における電力の取得が可能とされ取得した電力を高圧バッテリと電動機に供給可能とされた電力取得部(同4)と、電力取得部からの給電について制御を行う制御部(同10A又は10B)とを備える。
そして、制御部は、電動機の消費電力の大きさが所定の大きさ以上であるか否かを判定し、消費電力の大きさが所定の大きさ以上の場合は、電力取得部からの電力を電動機に供給させる。
【0111】
これにより、電動機の消費電力が大きい場合には、高圧バッテリからだけではなく電力取得部からも電動機に給電が行われ、高圧バッテリから電動機に大電力が持ち出される頻度の低減が図られる。
従って、高圧バッテリの劣化抑制、及びモータ・ジェネレータの駆動電力不足の発生防止を図ることができる。
【0112】
また、第二実施形態としての車載電気システムにおいては、制御部は、電動機の消費電力の大きさが所定の大きさ以上の場合は、高圧バッテリが満充電か否かに拘わらず、電力取得部からの電力を電動機に供給させている。
【0113】
これにより、電動機の消費電力が大きければ、高圧バッテリが満充電でなくても電力取得部からの電力が電動機に供給されることになる。すなわち、電力取得部から電動機に給電が行われる頻度がより高められる。
従って、高圧バッテリの劣化抑制効果の向上、及びモータ・ジェネレータの駆動電力不足防止効果の向上を図ることができる。
【0114】
さらに、第二実施形態としての車載電気システムにおいては、制御部は、電動機の消費電力の大きさが前記所定の大きさ以上でない場合は、高圧バッテリが満充電であるか否かを判定し、高圧バッテリが満充電でなければ、電力取得部により高圧バッテリを充電させている。
【0115】
これにより、電動機の消費電力が大きい場合に対応して電力取得部から電動機に給電が行われるようにしつつ、高圧バッテリが満充電でなければ、電力取得部により高圧バッテリを充電させることが可能とされる。
従って、高圧バッテリから電動機に大電力が持ち出される頻度の低減を図りながら、電力取得部による給電先を高圧バッテリの充電状態に応じて適切に切り替えることができる。
【0116】
さらにまた、第二実施形態としての車載電気システムにおいては、制御部は、電動機の消費電力の大きさが所定の大きさ以上でない場合に、高圧バッテリが満充電であれば、電力取得部から高圧バッテリ、電動機それぞれへの電力供給を停止させている。
【0117】
これにより、高圧バッテリの過充電防止を図ることができる。
【0118】
また、第二実施形態としての車載電気システム(同1B)においては、高圧バッテリよりも出力電圧が低圧とされた補機バッテリ(同6)と、補機バッテリより給電される補機類(例えばISG7)とを有する補機系(同5)と、電力取得部の出力電圧を降圧して補機系に供給可能とされた降圧部(サブDC/DCコンバータ9)と、をさらに備え、制御部(同10B)は、電動機の消費電力の大きさが所定の大きさ以上であれば、補機バッテリの負荷の大きさに拘わらず、電力取得部からの電力を降圧部を介して補機系に供給させずに電動機に供給させている。
【0119】
これにより、補機類よりも電動機の方が駆動に大電力を要する場合に対応して、電力取得部からの電力を電動機に対し補機系よりも優先して供給することが可能とされる。
従って、電力取得部からの電力を電動機と補機系とに供給可能な構成において、高圧バッテリの劣化抑制、及びモータ・ジェネレータの駆動電力不足の発生防止を適切に図ることができる。
【0120】
また、第二実施形態としての車載電気システムにおいては、制御部は、電動機の消費電力の大きさが所定の大きさ以上でなく、且つ補機バッテリの負荷の大きさが所定の大きさ以上でない場合に、高圧バッテリと補機バッテリの双方が満充電であれば、電力取得部から電動機、高圧バッテリ、補機系それぞれへの電力供給を停止させている(
図8ステップS305参照)。
【0121】
これにより、満充電である高圧バッテリ、補機バッテリに対する充電が行われない。
従って、高圧バッテリ及び補機バッテリの過充電防止を図ることができる。
【0122】
さらに、第二実施形態としての車載電気システムにおいては、電力取得部は、電磁誘導を利用して車外より受電を行っている。
【0123】
電磁誘導を利用することで、車外から非接触且つ大容量の受電を行うことが可能とされる。
従って、接触型の受電を行う場合における各種制約を排除しながら、高圧バッテリを車外電源を利用して高効率に充電することができる。また、充電効率の向上により高圧バッテリの大容量化を図ることができる。
【0124】
また、第二実施形態としての車載電気システムは、第二変形例(
図7、
図8参照)として説明したように、上記したモータ・ジェネレータと、高圧バッテリと、電力取得部と、補機系と、第一降圧部と、第二降圧部と、制御部とを備えると共に、高圧バッテリを電源として動作する電動機を備え、制御部(同10B)は、電動機の消費電力の大きさが所定の大きさ以上であるか否かを判定し(ステップS203)、消費電力の大きさが所定の大きさ以上の場合は、電力取得部による高圧バッテリの充電を停止させ、電力取得部からの電力を電動機に供給させる(ステップS301)ものである
【0125】
上記構成によれば、電力取得部の出力電圧を降圧して補機系に供給可能とされた第二降圧部を有することで、補機系に対し高圧バッテリからだけではなく電力取得部からも給電が行われるようにすることが可能とされる。そして、制御部による上記の制御によって、電動機の消費電力が大きい場合には、高圧バッテリからだけではなく電力取得部からも電動機に給電が行われ、高圧バッテリから電動機に大電力が持ち出される頻度の低減が図られる。
従って、高圧バッテリの劣化抑制、及びモータ・ジェネレータの駆動電力不足の発生防止を図ることができる。
【0126】
なお、本発明は上記で説明した具体例に限定されず、多様な変形例が考えられるものである。
例えば、上記では、本発明がHEVとしての車両に適用される例を挙げたが、本発明はエンジン50を備えないEVとしての車両にも好適に適用できる。
【符号の説明】
【0127】
1、1A、1B 車載電気システム、2 MG(モータ・ジェネレータ)、3 高圧バッテリ、4 電力取得部、5 補機系、6 補機バッテリ、7 ISG(モータ機能付発電機)、8 メインDC/DCコンバータ、9 サブDC/DCコンバータ、10、10A、10B 制御部、11、21 検出部、20 電動コンプレッサ、SWh 継電スイッチ、SW1 第一スイッチ、SW2 第二スイッチ