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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】ペット用トイレ
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/01 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
A01K1/01 801A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019229727
(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公開番号】P2021097602
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅田 智重
(72)【発明者】
【氏名】伴 武
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-509057(JP,A)
【文献】特開2004-313114(JP,A)
【文献】実開平03-067546(JP,U)
【文献】特開2019-083792(JP,A)
【文献】特開2009-136274(JP,A)
【文献】登録実用新案第3193414(JP,U)
【文献】登録実用新案第3032527(JP,U)
【文献】登録実用新案第3068326(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄物処理材を収容する収容部と、該収容部の上方の周囲に配されたガイド壁部とを備え、
長手方向及び該長手方向に直交する幅方向を有する略長方形の平面視形状を有しているペット用トイレであって、
前記ペット用トイレは、前記略長方形の四辺に前記ガイド壁部を有しており、
前記ガイド壁部のうち、前記ペット用トイレの前記長手方向に沿って延びる第1壁部と前記幅方向に沿って延びる第2壁部とに跨ってペットの出入口を有している、ペット用トイレ。
【請求項2】
前記ペット用トイレの前記長手方向に沿って延びる第1壁部と前記幅方向に沿って延びる一対の第2壁部それぞれとに跨って前記出入口を有している、請求項1に記載のペット用トイレ。
【請求項3】
前記収容部は、前記幅方向の長さに対する前記長手方向の長さの比が1.7以上である、請求項1又は2に記載のペット用トイレ。
【請求項4】
前記収容部は、前記長手方向の長さが600mm超である、請求項1~3のいずれか一項に記載のペット用トイレ。
【請求項5】
トイレ本体と、該トイレ本体を上層部分と下層部分とに区画し且つ尿を通液可能な通液部を有する仕切り部と、該下層部分に出し入れ可能に収容される尿受け用のトレーとを備え、
前記上層部分における前記仕切り部上に前記収容部が形成されており、該上層部分における前記収容部より上方に、前記出入口を有する前記ガイド壁部が形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のペット用トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
猫などのペットの排泄物を屋内で処理するために使用されるペット用トイレは、典型的には、本体容器と、該本体容器を上層部分と下層部分とに区画する簀の子状の通液部と、該下層部分に収容されるトレーとを備える。また、このトレー上には、通液部を通過した尿を吸収する吸収体を設けることができる。
【0003】
このような構成を有するペット用トイレとして、特許文献1には、用便後のペットに付着した砂状物の除去及びトイレ本体の清掃の容易さを目的として、床を形成する砂状物を収容するトイレ本体と、該トイレ本体と組み合わされて、ペットをトイレ本体に誘導する外形を提供するトイレフレーム体とからなるペット用トイレが開示されている。このペット用トイレは、トイレフレーム体の傾斜面部に臨んで、メッシュ板の天板から下方に砂を落す砂除去板を配置したものであることも同文献に開示されている。
【0004】
また特許文献2には、吸収体を効率よく使用することを目的として、長手方向、短手方向、及び高さ方向を備え、動物が排泄するための空間である内部空間を有する動物用トイレが開示されている。この動物用トイレは、排泄物を吸収する吸収体を配置する吸収体配置部が高さ方向における下側に設けられており、長手方向において、吸収体配置部の中央位置と、内部空間の中央位置とがずれていることも同文献に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-49030号公報
【文献】特開2019-83792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、頭胴長が比較的大きいペット種が屋内で飼育されるようになっており、大型のペットが快適に排泄できるように、排泄スペースを大きくしたペット用トイレが望まれる。一方で、ペットの大きな頭胴長に合わせて大型化したペット用トイレは、屋内での配置場所が制限されてしまうので、配置場所の制限を受けづらいように省スペース化されたものが望まれる。このような相反する課題を両立して達成することに関して、特許文献1及び2に記載の技術では何ら検討されていない。
【0007】
したがって、本発明の課題は、従来技術の欠点を解決し得るペット用トイレを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、排泄物処理材を収容する収容部と、該収容部の上方の周囲に配されたガイド壁部とを備えるペット用トイレに関する。
一実施形態では、前記ペット用トイレは、長手方向及び該長手方向に直交する幅方向を有する略長方形の平面視形状を有する。
一実施形態では、前記ペット用トイレは、前記ガイド壁部における、前記長方形の角部に位置する場所にペットの出入口を有している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ペットの排泄スペースを十分に確保しつつ、省スペース化を実現するように配置可能なペット用トイレが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明のペット用トイレの一実施形態を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すペット用トイレを分解した状態を模式的に示す分解斜視図であり、収容部に配される粒状の排泄物処理材を併せて示す。
図3図3(a)は、図1に示すペット用トイレを上面から見た模式平面図であり、図3(b)は、図1に示すペット用トイレを出入口が設けられている側から見た側面図である。
図4図4は、本発明のペット用トイレの別の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図5図5は、本発明のペット用トイレの更に別の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図6図6は、実施例及び比較例において、排泄時のペットの体の向きを示すベクトル図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を、その好ましい一実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明のペット用トイレは、例えば犬や猫、ウサギ、ハムスター等のペットの排泄物の処理又は排泄物の採取等に用いることができるものであり、特に、室内で飼育され、且つ頭胴長が大きな大型の猫用のトイレとして有用なものである。なお頭胴長とは、ペットの全長(体長)から尾の長さを差し引いた長さであり、頭部の先端から尾の付け根までの長さを指す。
【0012】
図1ないし図3には、本発明のペット用トイレの一実施形態が示されている。図1ないし図3に示す本実施形態のペット用トイレ1は、粒状の排泄物処理材Pを収容する収容部10Cと、該収容部10Cの上方の周囲に配されたガイド壁部2とを備えている。また図3(a)に示すように、ペット用トイレ1は、長手方向Xと、長手方向Xに直交する幅方向Yを有する略長方形の平面視形状を有している。図1ないし図3中、高さ方向を符号Zで示す。
【0013】
本実施形態のペット用トイレ1は、トイレ本体10と、トイレ本体10を上層部分10Aと下層部分10Bとに区画し且つ尿を通液可能な通液部21を有する仕切り部20と、下層部分10Bに出し入れ可能に収容される尿受け用のトレー30とを備えている。
を備えている。
【0014】
ペット用トイレ1は、トイレ本体10の内部に、粒状の排泄物処理材Pを収容する収容部10Cを備えており、またトイレ本体10の上部に、ガイド壁部2を有している。ガイド壁部2は、収容部10Cの上方の空間の周囲を囲むように配されており、収容部10C上に、ガイド壁部2に周囲を囲まれたペットの排泄スペースが形成される。
【0015】
より詳細には、トイレ本体10は、尿を通液可能な通液部21を有する仕切り部20によって、上層部分10Aと下層部分10Bとに区画されている。また、トイレ本体10は、上層部分10Aにおける仕切り部20上に収容部10Cが形成されており、上層部分10Aにおける収容部10Cより上方にガイド壁部2が形成されている。なお、周囲を囲むという表現には、後述する出入口2Eがガイド壁部2に形成されていることによって、周囲の一部に壁のない部分を有する場合も含まれる。
【0016】
ガイド壁部2及び収容部10Cは、ペット用トイレ1の平面視形状と同様に、長手方向Xと、長手方向Xに直交する幅方向Yを有していることが好ましく、また図1ないし図3に示すように、ガイド壁部2及び収容部10Cの各長手方向Xと、ペット用トイレ1の長手方向Xとが一致していることも好ましい。
【0017】
図1ないし図3に示すように、トイレ本体10は、上部が開口し、床面上に配される底部を形成する底部形成部3と、ガイド壁部2とを備えていることが好ましい。トイレ本体10を構成するガイド壁部2及び底部形成部3はともに、ペット用トイレ1の外形を形成しており、長手方向Xに直交する幅方向Yを有する略長方形の平面視形状を有している。
【0018】
本実施形態におけるガイド壁部2は、上面及び下面がともに開口した筒状の形状を有しており、底部形成部3に重ねて配置した仕切り部20の上方から嵌め込むことによって、ガイド壁部2を底部形成部3の上部に着脱自在に固定できるようになっている。このとき、ガイド壁部2は、仕切り部20によって形成される排泄物処理材Pの収容部10Cの上方の周囲に配される。
【0019】
ペット用トイレ1は、上述したとおり、略長方形状の平面視形状を有しており、ガイド壁部2は、その長方形の形状の角部に位置する場所に、ペットが出入りするための出入口2Eを有している。出入口2Eは、ペット用トイレ1の使用時において、ペットがペット用トイレ1に出入りしやすいように形成されている部位である。出入口2Eは、ペット用トイレ1を平面視したときに、ガイド壁部2における、長方形形状の少なくとも一つの角部に位置する場所に設けられていることが好ましい。また出入口2Eは、ガイド壁部2のうち、ペット用トイレ1の長手方向Xに沿って延びる第1壁部2xと幅方向Yに沿って延びる第2壁部2yとに跨って形成されていることが、第2壁部2yを部屋の壁面に近接させて配置してもペットの出入りが容易となる観点から好ましい。
【0020】
詳細には、図1及び図2に示すように、出入口2Eは、ペット用トイレ1の平面視において、ガイド壁部2における、ペット用トイレの平面視形状である長方形の一つの長辺の両端に位置する2つの角部に設けられている。これに代えて、図4に示す実施形態のペット用トイレ1のように、ペット用トイレの平面視形状である長方形の一つの長辺の両端のうちの一方の端部に位置する角部のみに設けられていてもよく、前記長方形の対角線の両端に位置する2つの角部のみに設けられていてもよく、あるいはガイド壁部2における全ての角部に設けられていてもよい。これらのうち、ペット用トイレ1を屋内の壁に近づけて配置した場合であっても、ペットの出入りを容易にする観点から、図1及び図2に示すように、出入口2Eは、ガイド壁部2における一つの長辺の両端に位置する角部に設けられていることが更に好ましい。
【0021】
図1ないし図4に示すように、トイレ本体10を構成する底部形成部3は、仕切り部20の底部を少なくとも収容し得る容積を有することが好ましい。トイレ本体10における底部形成部3の一側面には、該側面視において略矩形状の切り欠き部11が形成されており、切り欠き部11を介してトレー30がトイレ本体10内に出し入れ可能になっている。本実施形態においては、出入口2Eが配されている長辺側に切り欠き部11が形成されている。
【0022】
図1ないし図4に示すように、仕切り部20は、上部が開口し、トイレ本体10における底部形成部3よりも浅底の有底形状となっており、トイレ本体10を上層部分10Aと下層部分10Bとに区画する。本実施形態では、仕切り部20の上方に位置するガイド壁部2がトイレ本体10の上層部分10Aを主に構成し、仕切り部20の下方に位置する底部形成部3がトイレ本体10の下層部分10Bを主に構成しており、仕切り部20によって、粒状の排泄物処理材Pをトイレ本体10の上層部分10Aに収容できるようになっている。つまり、仕切り部20は、その上面が排泄物処理材Pを収容する収容部10Cとして構成されている。
【0023】
仕切り部20は、その底部に通液部21を有している。本実施形態における通液部21は、互いに平行に延びる複数本の線材を有するように、網状に構成されている。通液部21における線材どうしの間は、排泄物処理材Pや排泄された糞が落下せず、且つ尿が下方へ通過する程度の空隙を有している。仕切り部20は、その周縁から通液部21に向けて下方に傾斜しており、これによって、仕切り部20は、排泄された尿を通液部21側に流れるように誘導することができ、その尿を、通液部21を介して下方に通液できるように構成されている。仕切り部20は、トイレ本体10における底部形成部3の上部から着脱可能に構成されていることが好ましい。
【0024】
トレー30は、排泄物処理材P及び仕切り部20を通過して、下方に落下した尿を採取するためのものである。トレー30は、平面視において略矩形状を有する薄型のものであり、トイレ本体10の下層部分10Bに収容可能となっている。トレー30の平面視面積は、仕切り部20における通液部21が配されている面積以上であり、ペット用トイレ1の平面視面積よりも小さくなっていることが、仕切り部20を通過した尿を蓄積しやすくして、尿の処理又は採取を簡便に行う観点から好ましい。
【0025】
以上の構成を有するペット用トイレ1は、一方向に長い略長方形の平面視形状を有しているので、頭胴長が大きい猫などのペットがペット用トイレ内に入った場合でも、トイレ内で体の向きを変えたり、あるいはトイレ内で体を曲げたりするなどの窮屈な体勢となることなく、楽な体勢で排泄することができ、排泄スペースが十分に確保されたものとなる。また、長方形形状の角部に位置する場所に出入口2Eが設けられていることによって、ペット用トイレ1の平面視形状における長手方向又は幅方向に沿うように出入口2Eを設けた場合と比較して、ペットの頭胴長が大きい場合でもペット用トイレ1に容易に出入りできるとともに、ペットの排泄時の体勢をペット用トイレ1の平面視における対角線方向又は長手方向に沿うように誘導させることができるので、ペットの排泄スペースが十分に確保される。更に、一方向が短い略長方形の平面視形状を有し、且つ角部に位置する場所に出入口2Eが設けられていることによって、ペット用トイレ1を室内の壁に近接するように配置した場合に、ペット用トイレ1の奥行を小さくできるので、ペット用トイレ1を屋内に配置したときに省スペース化を実現することができ、また、ペット用トイレ1の長辺側又は短辺側を室内の壁面に近接させて配置した場合であっても、ペットが出入口2Eを介して容易に出入りすることができる。特に、出入口2Eを一つの長辺における両端に位置する場所に設けることによって、ペットがペット用トイレ1に出入りする際に、ペットがペット用トイレ1に入る体勢と、ペットがペット用トイレ1から出る体勢とをペット用トイレ1内で入れ替える必要がなくなるので、ペットの体勢が楽になるように誘導し、且つペットの効率的な動線を確保できるという利点がある。
【0026】
上述した効果を顕著なものとする観点から、収容部10Cが、長手方向Xと幅方向Yを有している場合、その収容部10Cにおける幅方向Yの長さD1に対する長手方向Xの長さW1の比(W1/D1)は、好ましくは1.7以上、より好ましくは1.8以上、更に好ましくは1.9以上であり、また、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.5以下、更に好ましくは3.0以下である。このような寸法を有していることによって、ペット用トイレ1を室内の壁面に近接させて配置したときに省スペース化を効果的に達成することができる。
【0027】
頭胴長が大きいペットの出入りを更に容易にするとともに、ペットの排泄スペースを十分に確保する観点から、収容部10Cにおける長手方向Xの長さW1(図3(a)参照)は、好ましくは600mm超、より好ましくは650mm以上、更に好ましくは700mm以上であり、好ましくは1500mm以下、より好ましくは1200mm以下、更に好ましくは1000mm以下である。
【0028】
また、頭胴長が大きいペットの出入りの容易さと、ペットの排泄スペースの確保とを両立する観点から、長手方向Xの長さW1は、ペットの頭胴長に対して、120%以上200%以下の長さに設定することが好ましい。
【0029】
また同様の観点から、収容部10Cにおける幅方向Yの長さD1(図3(a)参照)は、好ましくは200mm以上、より好ましくは250mm以上、更に好ましくは300mm以上であり、好ましくは600mm以下、より好ましくは500mm以下、更に好ましくは400mm以下である。
【0030】
上述した収容部10Cにおける長手方向Xの長さW1及び幅方向Yの長さD1は、図1ないし図4に示すように、収容部10Cが仕切り部20によって構成されている場合には、仕切り部20の平面視における長手方向Xの長さ及び幅方向Yの長さとする。これに代えて、トイレ本体10の内部に形成され且つ仕切り部20が配されていない態様で収容部10Cが形成されている場合、長手方向Xの長さW1及び幅方向Yの長さD1は、トイレ本体10における内径に基づくものとする。
【0031】
ペットの出入りを容易にするとともに、排泄時におけるペットの体勢が楽なものとなるように誘導する観点から、ペット用トイレ1の平面視における出入口2Eの開口寸法D3(図3(a)参照)は、好ましくは125mm以上、より好ましくは150mm以上、更に好ましくは175mm以上であり、好ましくは350mm以下、より好ましくは300mm以下、更に好ましくは250mm以下である。この開口寸法は、出入口2Eにおける両端部2f,2g間の最短距離とする。
【0032】
また、ペット用トイレ1の平面視において、出入口2Eの両端部2f,2gを通る第1仮想直線L1と、長手方向Xに沿う第2仮想直線L2とのなす鋭角側の角度θ(図3(a)参照)は、好ましくは10°以上、より好ましくは15°以上、更に好ましくは20°以上であり、好ましくは80°以下、より好ましくは75°以下、更に好ましくは70°以下である。第1仮想直線L1は、出入口2Eの両端部2f,2g間において最短距離となる位置の両端部2f,2gを通るものとする。このような構成になっていることによって、ペット用トイレ1の出入口2Eが配されている側の辺部分を室内の壁面に近接させて配置した場合であっても、ペットが容易に出入りすることができる通路が十分に確保されたものとなる。またこれに伴って、出入口2Eを介した通路を確保するために、ペット用トイレ1の配置場所を特段考慮する必要がなくなるという利点もある。
【0033】
出入口2Eの上端部からガイド壁部2の上端部までの高さH1(図3(b)参照)は、ペットの頭胴長や排泄物処理材Pの大きさに応じて適宜選択可能であるが、好ましくは25mm以上、より好ましくは50mm以上、更に好ましくは75mm以上であり、好ましくは300mm以下、より好ましくは250mm以下、更に好ましくは200mm以下である。このような構成になっていることによって、粒状の排泄物処理材Pをトイレ本体10内に収容して用いる際に、ペットの動作に起因する排泄物処理材Pのペット用トイレ1外部への飛散を効率的に防ぐことができる。
【0034】
トイレ本体10の底面から出入口2Eの上端部までの高さH2(図3(b)参照)は、ペットの頭胴長や排泄物処理材Pの大きさに応じて適宜選択可能であるが、好ましくは50mm以上、より好ましくは75mm以上、更に好ましくは100mm以上であり、好ましくは200mm以下、より好ましくは180mm以下、更に好ましくは160mm以下である。このような構成になっていることによって、ペットの出入りを更に容易なものとすることができる。
【0035】
ペット用トイレ1の外寸法は、ペットの頭胴長や排泄物処理材Pの大きさに応じて適宜選択可能であるが、長手方向Xの長さは、好ましくは610mm以上、更に好ましくは660mm以上であり、好ましくは1250mm以下、更に好ましくは1200mm以下である。
同様に、ペット用トイレ1の外寸法における幅方向Yの長さは、好ましくは210mm以上、更に好ましくは260mm以上であり、好ましくは650mm以下、更に好ましくは550mm以下である。
また同様に、ペット用トイレ1の外寸法における高さ(高さ方向Zの長さ)は、好ましくは75mm以上、更に好ましくは125mm以上であり、好ましくは500mm以下、更に好ましくは430mm以下である。
【0036】
本発明のペット用トイレを好適に使用可能なペットの頭胴長は、動物種によるが、ペット用トイレ1の配置位置における省スペース化を達成する観点から、好ましくは400mm以上、更に好ましくは450mm以上であり、好ましくは1000mm以下、更に好ましくは800mm以下である。
【0037】
ペット用トイレ1の別の実施形態として、図5に示す形態を採用することもできる。本実施形態については、上述した実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、上述した実施形態についての説明が適宜適用される。
【0038】
詳細には、図5に示すガイド壁部2は、上面が開口している第1部位2Cと、上面が覆われてドーム状に成形された第2部位2Dとを備えている。第1部位2Cは、ペット用トイレ1の長手方向Xにおける一方の端部領域側に形成されており、第2部位2Dはペット用トイレ1の長手方向Xにおける他方の端部領域側に形成されている。第1部位2Cにおける角部には、出入口2Eが形成されている。同図に示す第1部位2C及び第2部位2Dは、ペット用トイレ1における長手方向Xの略中央部を境界にして形成されており、第2部位2Dにおける第1部位2C側の側面は開口している。このような構成であっても、ペットの頭胴長が大きい場合でもペット用トイレ1に容易に出入りできるとともに、ペットの排泄時の体勢をペット用トイレ1の平面視における対角線方向又は長手方向に沿うように誘導させることができるので、ペットの排泄スペースが十分に確保される。また、ペット用トイレ1を屋内に配置したときに省スペース化を実現することができる。これに加えて、ペットの周囲が第2部位2Dによって覆われるので、ペットは、その排泄時に周囲を気にすることなく落ち着いて排泄を行うことができる。また、トイレ1からペットが外に出ることも容易である。
【0039】
上述した各実施形態において、ペット用トイレ1の各構成部材の材質は、耐食性を有するものであれば特に制限はない。軽量で取り扱い易く、成形性が良い等の点から、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)等の汎用の合成樹脂で一体成形されたものが好ましい。また、ペット用トイレ1の各構成部材は、その表面に撥水加工や抗菌加工が施されたものを用いることが更に好ましい。
【0040】
上述した各実施形態において、排泄物処理材Pは、例えば当該技術分野において猫砂やトイレ砂等として用いられている材料を特に制限無く用いることができる。排泄物処理材Pとしては、好ましくは、スギ科、マツ科またはヒノキ科などの針葉樹の粉砕物を粉砕した木粉やパルプ等の植物由来の素材の粉砕物、結合剤、ゼオライト等の鉱物、酸化亜鉛等の塩、並びにガラス等の成分の1種以上を含んで成形された成形物が挙げられる。結合剤としては、植物由来の素材の粉砕物及び必要に応じて含まれる成分を粒状に固めることができるものであれば特に制限なく用いることができ、例えばポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂を用いることができる。
【0041】
排泄物処理材Pは、例えば、円筒、球、立方体、直方体等の形状を有する粒状物とすることができる。尿検査の試料として尿を回収する場合には、尿検査の信頼性向上の観点から、尿の組成、特性に影響を与えないか、又は殆ど与えない材料からなる排泄物処理材Pを用いることが好ましい。また、水分の存在によって成形体が崩壊しないような材料を排泄物処理材Pの形成に用いることも好ましい。
【0042】
以上に説明したペット用トイレ1の使用方法の好適な実施形態を以下に説明する。まず、トレー30をトイレ本体10の下層部分10Bに収容する。また好ましくは仕切り部20を底部形成部3に重ねて配置して、仕切り部20上に収容部10Cを形成する。また好ましくは、仕切り部20の上面に粒状の排泄物処理材Pを適量配して、ペット用トイレ1の便床を形成する。その後、ガイド壁部2を底部形成部3に重ねて配置して、上層部分10Aに形成された収容部10Cよりも上方に、ガイド壁部2を配置するようにする。また、必要に応じて、トレー30の上面に尿吸収シート等の尿吸収体を収容してもよい。
【0043】
この状態で、ペットが、好ましくは出入口2Eを介して、ペット用トイレ1における上層部分10Aに入るようにして、排泄させる。ペットから排尿された尿は、仕切り部20における通液部21を通過して、下層部分10B側へ流れ落ちる。下層部分10Bに流れ落ちた尿は、トレー30上に蓄積するか、あるいはトレー30内の尿吸収体に吸収されて、回収される。また、ペットから排泄された糞は、仕切り部20の上部、あるいは排泄物処理材P上に残存する。ペットの排泄物を清掃する際には、仕切り部20及びトレー30を洗浄したり、排泄物処理材P及び尿吸収体を未使用のものに取り換えたりすればよい。尿吸収体としては、例えばパルプ繊維、粘土鉱物系材料、高分子吸収材料等の成分の1種以上を含む原料をシート状又は板状に成形したものを使用することができる。ペットの排泄された尿を尿検査などの検体として用いる場合には、排泄された尿の回収を容易にする観点から、トレー30内には何も収容しないことが好ましい。
【0044】
また、仕切り部20が配されていないペット用トイレ1を用いる場合には、例えば、トイレ本体10内部の収容部10Cに排泄物処理材Pを適量配して、ペット用トイレ1の便床を形成し、この状態で、ペットが排泄物処理材P上に入るようにして排泄させることができる。
【0045】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は本実施形態に限定されない。例えば本実施形態の切り欠き部11は、ペット用トイレ1の平面視において、出入口2Eが存在する長辺側に形成されており、トレー30を幅方向Yに沿う方向に出し入れできるように構成されていたが、本発明の効果が奏される限りにおいて、これ以外の構成となっていてもよい。詳細には、切り欠き部11が出入口2Eが存在する長辺の対辺側に形成されて、トレー30を幅方向Yに沿う方向に出し入れできるように構成されていてもよく、切り欠き部11がペット用トイレ1の平面視短辺側又は短辺の対辺側に形成されて、トレー30を長手方向Xに沿う方向に出し入れできるように構成されていてもよい。
【0046】
また、本実施形態のトレー30は一つのみ配された形態となっているが、これに限られず、複数のトレー30が収容された態様となっていてもよい。
【実施例
【0047】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
【0048】
〔実施例1〕
図1に示すように、略長方形の平面視形状を有し、一つの長辺の両端に位置する角部に出入口2Eが2箇所設けられたペット用トイレ1を屋内の床に載置して用いた。ペット用トイレ1の外寸法は、長手方向Xの長さが750mmであり、幅方向Yの長さが400mmであり、ペット用トイレ1の載置面からガイド壁部2の上端部までの高さ(高さ方向Zの長さ)が260mm、ペット用トイレ1の載置面から出入口2Eまでの高さH2が134mmであった。収容部10Cは仕切り部20によって構成されており、仕切り部20の平面視における長手方向Xの長さW1は716mmであり、幅方向Yの長さD1は360mmであり、長さの比W1/D1は1.99であった。収容部10Cには、植物由来の素材の粉砕物及び合成樹脂を含んで成形された粒状物が排泄物処理材Pとして収容されていた。
【0049】
〔比較例1〕
本比較例では、特開2019-83792号に記載の構成を有するペット用トイレを屋内の床に載置して用いた。このペット用トイレは、略長方形の平面視形状を有し、出入口がペット用トイレの長手方向に沿うように1箇所設けられており、角部に位置する場所に出入口が設けられていない。このペット用トイレの外寸法は、その長手方向Xの長さが701mmであり、幅方向Yの長さが471mmであり、ペット用トイレ1の載置面から壁部上部までの高さ(高さ方向Zの長さ)が350mm、ペット用トイレ1の載置面から出入口までの高さH2が142mmであった。収容部は仕切り部20によって構成されており、仕切り部20の平面視における長手方向Xの長さW1は670mmであり、幅方向Yの長さD1は440mmであり、長さの比W1/D1は1.52であった。収容部10Cには、実施例1と同様の粒状物が排泄物処理材Pとして収容されていた。
【0050】
〔ペットによるトイレ使用評価〕
<1.ペット排泄時における体の向き>
実施例及び比較例のペット用トイレを屋内に配置して、以下の表1に示す頭胴長を有する複数の猫に排泄させた。ペット用トイレを平面視したときに、排泄時の猫の体の向きを図6に示す。同図中、猫の頭胴長及びその方向並びに頭の位置をベクトルにて示す。矢じり部分は猫の頭の方向である。また、これとともにペット用トイレ1の長手方向Xと幅方向Yとを同図中に示す。
【0051】
<2.ペット排泄前後におけるターン数>
上述の評価<1.>と同時に、猫がペット用トイレに入ってから出るまでの間に、排泄前後におけるペット用トイレ内で体の向きを入れ替えた回数(ターン数)を計測した。排泄前後のターン数が少ないほど、トイレ内に入ってスムーズに排泄姿勢をとることができる動線が確保されていることを示す。結果を表1に示す。
【0052】
〔ペットの出入り位置〕
上述の評価<1.>及び<2.>と同時に、排泄前後において、猫が出入口から出入りしたか否かを目視にて観察した。実施例1のペット用トイレにおいては、排泄前に一方の出入口2Eから入り、且つ排泄後に他方の出入口2Eから出た猫について「適切に出入りした」と評価し、それ以外の出入りを行った猫は「適切に出入りしていない」と評価した。また、比較例1のペット用トイレにおいては、排泄前に出入口から入り、且つ排泄後に同一の出入口から出た猫について「適切に出入りした」と評価し、それ以外の出入りを行った猫は「適切に出入りしていない」と評価した。
表1中、適切に出入りした猫は「〇」の記号で示し、適切に出入りしていない猫は「×」の記号で示す。また、表1中、「平均値(回)」は、排泄前における猫のターン数及び排泄後における猫のターン数をそれぞれ、ペット用トイレを使用した猫の数で除した算術平均値であり、「割合(%)」は、ペット用トイレを使用した猫の数に対する、適切に出入りした猫(表1中「〇」の記号にて評価された猫)の数の百分率である。結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
表1及び図6に示すように、実施例のペット用トイレは、比較例のものと比較して、各ベクトルはペット用トイレ1の長手方向Xに沿う方向に向いており、且つ猫のターン数が少ないものであった。これに加えて、実施例のペット用トイレは、ペットが適切に出入りした割合が比較例のものよりも高いので、ペットの体勢が楽になるように誘導し、且つペットの効率的な動線を確保できていることが判る。したがって、本発明のペット用トイレは、ペットの排泄スペースが十分に確保されたものである。これに加えて、本発明のペット用トイレは、出入口が角部に位置する場所に設けられているので、屋内の壁側に近接させて配置することができ、またその場合でもペットの通路が確保されている。その結果、省スペース化を実現するように配置できる。
【符号の説明】
【0055】
1 ペット用トイレ
2 ガイド壁部
2E 出入口
10 トイレ本体
10A 上層部分
10B 下層部分
10C 収容部
20 仕切り部
30 トレー
P 排泄物処理材
X 長手方向
Y 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6