(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】癌を治療するためのMDM2阻害剤とERKの阻害剤との組合せ
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4965 20060101AFI20230816BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20230816BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230816BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230816BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230816BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
A61K31/4965
A61K31/4439
A61P43/00 121
A61P35/00
A61P17/00
A61K31/506
(21)【出願番号】P 2020520070
(86)(22)【出願日】2018-10-11
(86)【国際出願番号】 IB2018057894
(87)【国際公開番号】W WO2019073435
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-10-06
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】カポニグロ,ジオルダノ
(72)【発明者】
【氏名】ハリロビッチ,エンサー
(72)【発明者】
【氏名】モナコ,ケリー-アン
【審査官】石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/037579(WO,A1)
【文献】特表2016-540728(JP,A)
【文献】特表2007-537295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メラノーマを治療する方法で用いるための医薬組成物であって、
(a)(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン又はその薬学的に許容できる塩であるMDM2阻害剤、
並びに
(b)4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド
又は
その薬学的に許容できる塩
であるERK阻害剤
の少なくとも1つを含み、
前記方法が、共同で治療上有効である量の前記MDM2阻害剤及び前記ERK阻害剤を組み合わせて対象に投与することを含み、
前記量の前記MDM2阻害剤及び前記ERK阻害剤が、BRAF変異を発現するメラノーマの治療に共同で治療上有効である、
医薬組成物。
【請求項2】
同時又は連続的な使用のための、請求項1
に記載の医薬組成物。
【請求項3】
固定された組合せの形態である、請求項1
又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
固定されていない組合せの形態である、請求項1
又は2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
メラノーマを治療する方法で用いるための医薬組成物であって、
(a)(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン又はその薬学的に許容できる塩であるMDM2阻害剤、並びに
(b)4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド
又は
その薬学的に許容できる塩
であるERK阻害剤
の少なくとも1つを含み、
前記方法が、それを必要とする対象に、治療上有効な量の前記MDM2阻害剤及び治療上有効な量の前記ERK阻害剤を組み合わせて投与することを含み、
前記治療上有効な量の前記MDM2阻害剤と前記治療上有効な量の前記ERK阻害剤が、前記MDM2阻害剤及び前記ERK阻害剤による相乗的な有効性により共同で有効であり、
前記メラノーマがBRAF変異を発現している、医薬組成物。
【請求項6】
前記治療上有効な量の前記MDM2阻害剤と前記治療上有効な量の前記ERK阻害剤が、野生型p53を発現しているメラノーマの治療に共同で有効である、請求項
5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
メラノーマを治療する方法で用いるための医薬組成物であって、
(a)(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン又はその薬学的に許容できる塩であるMDM2阻害剤、
(b)4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド
又は
その薬学的に許容できる塩
であるERK阻害剤;並びに
(c)少なくとも1種の薬学的に許容できる担体又は賦形剤
を含み、
前記方法が、共同で治療上有効である量の前記MDM2阻害剤及び前記ERK阻害剤を組み合わせて対象に投与することを含み、
前記量の前記MDM2阻害剤及び前記ERK阻害剤が、BRAF変異を発現するメラノーマの治療に共同で治療上有効である、
医薬組成物。
【請求項8】
共同で治療上有効である量の前記MDM2阻害剤及び前記ERK阻害剤を含む、請求項
7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
メラノーマを治療する方法で用いるための医薬組成物を製造するための、
(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン又はその薬学的に許容できる塩であるMDM2の阻害剤、並びに、
4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド
又は
その薬学的に許容できる塩
であるERKの阻害剤
の少なくとも1つの使用であって、
前記方法が、共同で治療上有効である量の前記MDM2阻害剤及び前記ERK阻害剤を組み合わせて対象に投与することを含み、
前記量の前記MDM2阻害剤及び前記ERK阻害剤が、BRAF変異を発現するメラノーマの治療に共同で治療上有効である、使用。
【請求項10】
メラノーマを治療する方法で用いるための医薬組成物であって、
(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン又はその薬学的に許容できる塩であるMDM2阻害剤を含み、
前記方法が、共同で治療上有効である量の前記MDM2阻害剤と、4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド
又は
その薬学的に許容できる塩
であるERK阻害剤を組み合わせて対象に投与することを含み、
前記量の前記MDM2阻害剤及び前記ERK阻害剤が、BRAF変異を発現するメラノーマの治療に共同で治療上有効である、医薬組成物。
【請求項11】
メラノーマを治療する方法で用いるための医薬組成物であって、
4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド
又は
その薬学的に許容できる塩
であるERK阻害剤を含み、
前記方法は、共同で治療上有効である量の前記ERK
阻害剤と、(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン又はその薬学的に許容できる塩であるMDM2阻害剤を組み合わせて対象に投与することを含み、
前記量の前記MDM2阻害剤及び前記ERK阻害剤が、BRAF変異を発現するメラノーマの治療に共同で治療上有効である、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌、特にKRAS経路に変異を有する癌の治療に使用するためのMDM2阻害剤及びERK阻害剤を含む医薬組合せ(pharmaceutical combination)に関する。本発明は、そのような癌の治療のため、及び癌の治療のための医薬品の調製のための、組み合わせたこれらの化合物の使用;癌治療を必要とする対象に、共同で治療上有効な(jointly therapeutically effective)量の前記組合せを投与することを含む、前記対象の癌を治療する方法;そのような組合せを含む医薬組成物;並びにそのような組合せを含む商品包装(commercial packages)にも関する。
【背景技術】
【0002】
癌の標的療法の出現は、種々の悪性腫瘍に関して患者の寿命を延ばし、薬剤耐性機構の研究により腫瘍の複雑さを理解することを助けてきた。標的薬に対する臨床反応が一般的に不完全であり、且つ/又は一過性であるという事実は、広く2つの種類に分けられる多数の因子から生じる:薬物の最適な投薬を妨げ、その結果ターゲットエンゲージメントを限定する毒性(Brana and Siu 2012,Chapman,Solit et al.2014)、及び癌が適応し混乱に対してその増殖能を維持する能力(Druker 2008、Chandarlapaty 2012、Doebele,Pilling et al.2012、Duncan,Whittle et al.2012、Katayama,Shaw et al.2012、Lito,Rosen et al.2013、Sullivan and Flaherty 2013、Solit and Rosen 2014)。薬物の組合せは、全体的有効性を改善し、同時に腫瘍の頑強性及び複雑さを標的化して耐性に反撃することにより、これらの因子の両方に対処できる(Robert,Karaszewska et al.2015、Turner,Ro et al.2015)。しかし、癌を克服するには何種類の薬物が必要であるか、及びどのプロセス又はどの経路の組合せを組み合わせて標的化する必要があるかは未だ明らかでない。しかし、特定の場合に、2種以上の薬物の組合せ(Bozic,Reiter et al.2013)が癌をより効果的に治療でき、単剤への曝露後に変異して適応し、効果的に1種の治療剤に対する耐性を発生させる癌と戦うことができることが分かった。
【0003】
特定の種類の癌を有する患者のための多くの治療選択肢にもかかわらず、癌の有効な長期治療のために、及び単剤療法に対する耐性を有するか、又は発生させる傾向がある癌の治療のために投与できる、有効で安全な併用療法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一目的は、癌の治療を改善し、とりわけ細胞成長(増殖)の阻害及びアポトーシスの誘導により癌の治療を改善する医薬品を提供することである。本発明の一目的は、相乗的に働いて、より効果的に腫瘍細胞の増殖を減少させ、且つ/又はアポトーシスを誘導する新規併用療法を提供し、且つ腫瘍成長阻害を含むより大きな抗癌作用を提供することである。
【0005】
マウス二重微小染色体2ホモログ(MDM2)は、E3ユビキチンタンパク質リガーゼMdm2としても知られ、腫瘍タンパク質p3(p53)の負の調節因子である。MDM2のp53への結合は、p53の分解を促進するが、それは、健康でストレスを受けていない細胞中でp53のレベルを低く保つ主要な調節機構である。タンパク質p53は、細胞中で、腫瘍抑制因子の機能を含む多くの機能を有する。正常なストレスを受けていない細胞において、p53のレベルは低いが、p53のレベルが増加すると、それは活性化されていくつかの細胞変化を起こし得る。ストレスを受けているか、又は損傷のある細胞において、p53は増加し、リン酸化により活性化される:活性化されたp53は、DNA修復を引き起こすことによるなど、細胞に対する損傷を限定することができ、又はそれは、アポトーシスを誘導して、損傷を受けた細胞の除去を起こすことができる。MDM2(又はMdm2)の阻害剤は、MDM2のp53との結合を妨げる化合物である。MDM2とp53との相互作用の崩壊がp53の増加につながり、高レベルのp53が、細胞死を含む種々の作用を起こし得るので、MDM2の阻害剤は潜在的に腫瘍成長を停止させ、腫瘍細胞を殺傷することすらできる。実際に、少なくとも7種のMDM2の阻害剤が、2015年までに種々の癌を治療するための臨床試験に入った。Zhao,et al.,J.Med.Chem.58(3),1038-52(2015)。これらの化合物は、MDM2を過剰発現する腫瘍、例えば、数種の脂肪肉腫、神経膠芽腫、及び白血病、並びに野生型p53を有する腫瘍を治療するのに特に有用であることが期待される。p53に変異を有する腫瘍は、変異したp53へのMDM2の結合を崩壊させるMDM2阻害剤の能力が変異のために減少している場合、MDM2阻害剤に対する感受性が低い可能性がある。
【0006】
MDM2阻害剤及びERK阻害剤は、別々な単独療法として有用な抗癌活性を示す。驚くべきことに、MDM2阻害剤をERK阻害剤と組み合わせて使用すると、異種移植片モデルにおいて示される通り、相乗的な抗癌活性を与え得ることがいまや見出された。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため一態様において、本発明は、
(a)国際公開第2013/111105号パンフレットに開示されている(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン(「化合物A(Compound A)」又は「化合物A(COMPOUND A)」)、
【化1】
又はその薬学的に許容できる塩であるMDM2阻害剤;並びに
(b)4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド(「化合物B(Compound B)」又は「化合物B(COMPOUND B)」);4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-2-フルオロ-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-ヨードフェニル)-2-ヒドロキシエチル)ベンズアミド;及び(S)-4-(5-クロロ-2-(イソプロピルアミノ)ピリジン-4-イル)-N-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロール-2-カルボキサミド(BVD-523);及びこれらの化合物の薬学的に許容できる塩から選択されるERK阻害剤
を含む医薬組合せを提供する。
【0008】
化合物A(本明細書で「化合物A」とも称される)は、別名(S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-ピリジン-3-イル)-6-(4-クロロ-フェニル)-2-(2,4-ジメトキシ-ピリミジン-5-イル)-1-イソプロピル-5,6-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-d]イミダゾール-4-オンによっても知られている。
【0009】
本発明の組合せは、種々のERK阻害剤と共に実施できる。本発明の組合せ及び方法での使用に好ましいERK阻害剤は、4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド:
【化2】
である化合物B(本明細書で「化合物B」とも称される)である。
【0010】
この化合物は、ERK1及びERK2の阻害剤である。化合物は、公開されているPCT特許出願国際公開第2015/066188号パンフレットに開示されており、その調製は記載されている。いくつかの実施形態において、この化合物はその塩酸塩として使用されている。
【0011】
本発明の方法及び組成物に使用するための別の好ましいERK阻害剤は、4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-2-フルオロ-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-ヨードフェニル)-2-ヒドロキシエチル)ベンズアミド:
【化3】
である。
【0012】
この化合物は、ERK1及びERK2の阻害剤である。化合物は、公開されているPCT特許出願国際公開第2015/066188号パンフレットに開示されており、その調製は記載されている。
【0013】
本発明の方法に使用できる別のERK阻害剤は、(S)-4-(5-クロロ-2-(イソプロピルアミノ)ピリジン-4-イル)-N-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロール-2-カルボキサミド:
【化4】
であるBVD-523、別名ウリキセルチニブである。
【0014】
好ましい実施形態において、
(a)(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン又はその薬学的に許容できる塩であるMDM2阻害剤、及び
(b)4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド又はその薬学的に許容できる塩であるERK阻害剤
を含む医薬組合せも提供される。
【0015】
また、下記も提供される
・4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド;4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-2-フルオロ-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-ヨードフェニル)-2-ヒドロキシエチル)ベンズアミド;及び(S)-4-(5-クロロ-2-(イソプロピルアミノ)ピリジン-4-イル)-N-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロール-2-カルボキサミド又はこれらの化合物の1つの薬学的に許容できる塩から選択されるERK阻害剤と組み合わせて癌を治療することに使用するための、(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン又はその薬学的に許容できる塩であるMDM2阻害剤;
【0016】
・(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン又はその薬学的に許容できる塩であるMDM2阻害剤と組み合わせて癌を治療することに使用するための、4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド;4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-2-フルオロ-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-ヨードフェニル)-2-ヒドロキシエチル)ベンズアミド;及び(S)-4-(5-クロロ-2-(イソプロピルアミノ)ピリジン-4-イル)-N-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロール-2-カルボキサミド又はこれらの化合物の1つの薬学的に許容できる塩から選択されるERK阻害剤;
【0017】
・4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド;4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-2-フルオロ-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-ヨードフェニル)-2-ヒドロキシエチル)ベンズアミド;及び(S)-4-(5-クロロ-2-(イソプロピルアミノ)ピリジン-4-イル)-N-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロール-2-カルボキサミド又はこれらの化合物の1つの薬学的に許容できる塩から選択されるERK阻害剤との共投与により癌を治療することに使用するための、(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン又はその薬学的に許容できる塩であるMDM2阻害剤;並びに
【0018】
・(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン又はその薬学的に許容できる塩であるMDM2阻害剤との共投与により癌を治療することに使用するための、4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド;4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-2-フルオロ-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-ヨードフェニル)-2-ヒドロキシエチル)ベンズアミド;及び(S)-4-(5-クロロ-2-(イソプロピルアミノ)ピリジン-4-イル)-N-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロール-2-カルボキサミド又はこれらの化合物の1つの薬学的に許容できる塩から選択されるERK阻害剤。
【0019】
別の態様において、本発明は、本発明の医薬組合せ及び少なくとも1種の薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物に関する。
【0020】
一態様において、本発明は、医薬として使用するための本発明の医薬組合せ又は医薬組成物に関する。
【0021】
別の態様において、本発明は、癌の治療に使用するための本発明の医薬組合せ又は医薬組成物に関する。
【0022】
別の態様において、本発明は、癌の治療のための医薬品の調製のための本発明の医薬組合せの使用を提供する。
【0023】
さらに別な態様において、本発明は、癌治療を必要とする対象の癌を治療する方法であって、対象に、治療上有効な量の本発明の医薬組合せ又は本発明の医薬組成物を投与することを含む方法に関する。
【0024】
具体的には、本発明は、以下の請求項に列記される通り、それぞれ単独又は組合せた以下の態様及び具体的な実施形態を提供する。
【0025】
本発明の組合せにより治療すべき癌は、以下に列記されている。本発明の組合せは、少なくとも1つのKRAS変異及び/又は少なくとも1つのBRAF変異を含む癌、例えば、メラノーマを有する対象の治療に特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン(化合物A)と4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド(化合物B)との組合せの細胞成長阻害活性を示すインビトロ結果である。
【
図2-1】
図2:
図2Aは追加の活性化MEK変異、TP53 WT、及びp53再活性化に対する感受性を示すバイオマーカーシグナチャーを有する、ベムラフェニブ服用中に再発した(無増悪生存期間(PFS)46週、最良効果安定)BRAF-V600E患者からの患者由来異種移植片(PDX)モデルである。マウス(n=10/群)内のPDX腫瘍異種移植片を、ERK阻害剤BVD-523 50mg/kg 1日2回強制経口投与、MDM2阻害剤CGM097 100mg/kg 1日1回強制経口投与、又は両者の組合せにより処置した。CGM097は、(S)-1-(4-クロロ-フェニル)-7-イソプロポキシ-6-メトキシ-2-(4-{メチル-[4-(4-メチル-3-オキソ-ピペラジン-1-イル)-トランス-シクロヘキシルメチル]-アミノ}-フェニル)-1,4-ジヒドロ-2H-イソキノリン-3-オンである。
図2BはPDXモデルにおける反応の不均一性を強調するBVD-523+CGM097処置群の単一のマウス成長曲線である。腫瘍の大多数は安定を示したが、2匹のマウスは早期の再発を有し、2匹のマウスは完全奏功(CR)を有した。投薬は、群全体で38日目に停止され、2匹のCRマウスは残存疾患の再成長を示した。
【発明を実施するための形態】
【0027】
一態様において、本発明は、ERK阻害剤と組み合わせて使用されるMDM2阻害剤を含む医薬組合せであって、2種の化合物が、別々にも、連続的にも、単一の医薬組成物としてなど一緒にも投与できる医薬組合せに関する。それは、ERK阻害剤と組み合わせてMDM2阻害剤を使用して癌を治療する方法を提供し、これらの組合せ及び方法で使用するための具体的なMDM2及びERK阻害剤を提供する。
【0028】
本発明の組合せを使用して効率的に癌を治療できることが見出された。とりわけ、MDM2阻害剤とERK阻害剤との組合せでの使用から生じる細胞増殖の阻害及び/又はアポトーシスの誘導における相乗効果により、組合せを使用して癌を治療できることが確認された。そのため、本発明は、本発明の組合せにより治療される対象に投与される、より低い用量の一方若しくは両方の化合物の使用を可能にし、又はそれは、別々な化合物の有効性に基づいて期待されただろうより高い治療効果をもたらす。
【0029】
本発明を説明する文脈での(特に以下の請求項の文脈での)用語「1つの(a)」及び「1つの(an)」及び「前記(the)」及び類似の言及は、本明細書で特記されない限り又は文脈により明らかに矛盾しない限り、単数と複数の両方を含むと解釈されるものとする。複数形が、化合物、患者、癌などに使用される場合、単一の化合物、患者なども意味するものとする。
【0030】
本明細書での用語「相乗効果」は、例えば、少なくとも1種の本発明のMDM2阻害剤化合物及び少なくとも1種の本発明のERK阻害剤化合物などの2種の治療剤の作用であって、効果、例えば、増殖性疾患、特に癌又はその症状の進行の緩徐化を生み出す、それ自体で投与される各薬物の効果の単純な付加よりも大きい作用を指す。相乗効果は、例えば、シグモイド-Emax式(Sigmoid-Emax equation)(Holford,N.H.G.and Scheiner,L.B.,Clin.Pharmacokinet.6:429-453(1981))、Loeweの相加性の式(Loewe,S.and Muischnek,H.,Arch.Exp.Pathol Pharmacol.114:313-326(1926))、及び中央値効果の式(median-effect equation)(Chou,T.C.and Talalay,P.,Adv.Enzyme Regul.22:27-55(1984))などの好適な方法を利用して計算できる。上記で言及された各式を実験データに適用して、対応するグラフを生成させ、薬物組合せの効果の評価を支援することができる。上記で言及された式と関連する対応するグラフは、それぞれ、濃度効果曲線、アイソボログラム曲線、及び併用指数曲線である。
【0031】
とりわけ、TP53野生型メラノーマ細胞株におけるMDM2とERKの組み合わせた阻害が、別々な単剤治療薬として使用される場合の阻害剤の足された活性から予測されるものより優れた相乗的な活性を与えることが示された。そのため、本発明の組合せは、単剤のそれぞれと比べて反応を改善することが可能である効果的な療法選択肢を与え、単剤活性に基づいて予測されただろうよりも、より永続性のある反応を臨床においてもたらし得る。
【0032】
本明細書での用語「MDM2阻害剤」又は「HDM2阻害剤」又は「Mdm2阻害剤」は、HDM2/p53(Mdm2/p53)相互作用会合(interaction association)を阻害するあらゆる化合物を指す。HDM2(マウス二重微小染色体2のヒトホモログ)は、p53の負の調節因子である。Mdm2阻害剤は、Mdm2/p53会合の阻害が適応とされる場合、例えば、腫瘍及び/又は癌細胞成長の治療において、ヒト又は獣医学的使用のための医薬組成物において有用である。とりわけ、Mdm2阻害剤はヒト癌の治療に有用であるが、その理由は、これらの癌の進行が、p53の「ゲートキーパー」機能の無効化、例えばMdm2の過剰発現に、少なくとも部分的に依存し得るからである。
【0033】
本発明によると、Mdm2阻害剤は、化合物
(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン又はその薬学的に許容できる塩である。
【0034】
MDM2阻害剤は、本明細書で化合物Aとも称される。このMdm2阻害剤は、新規なクラスのイミダゾピロリジノン化合物に属し、MDM2/p53相互作用(この用語は特にHdm2/p53相互作用を含む)の強力な阻害を示す。とりわけ、この化合物は、MDM2に結合することにより、p53とのMDM2相互作用の阻害剤として作用する。MDM2阻害剤(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン、
【化5】
は、参照により本明細書に全体として組み込まれる国際公開第2013/111105号パンフレットの実施例102に記載されている。
【0035】
(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オンの結晶形は、国際公開第2013/111105号パンフレットで実施例6、実施例7、及び実施例8として記載されている。本発明は、(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン化合物のコハク酸共結晶を包含する。化合物は、エタノール溶媒和物の形態でもあり得る。
【0036】
CGM097はMDM2阻害剤であり、(S)-1-(4-クロロ-フェニル)-7-イソプロポキシ-6-メトキシ-2-(4-{メチル-[4-(4-メチル-3-オキソ-ピペラジン-1-イル)-トランス-シクロヘキシルメチル]-アミノ}-フェニル)-1,4-ジヒドロ-2H-イソキノリン-3-オンであり、国際公開第2011/076786号パンフレットの実施例106に記載されている。
【化6】
【0037】
国際公開第2012/066095号パンフレットは、そのビスファート塩(bisuphate salt)及び結晶形を記載している。
【0038】
一実施形態において、本発明の組成物及び方法に使用するためのERK阻害剤は、経口送達による投与用に調製され、その塩酸塩として使用できる。いくつかの実施形態において、化合物又はそのHCl塩は、経口投与用のハード又はソフトジェルキャップなどの薬学的に許容できる容器に単純に封入される。ジェルキャップは、柔軟な投与のために種々の用量で製造できる;例えば、約5mg、約20mg、約50mg、又は約100mgの化合物B又はそのHCl塩を含むジェルキャップを調製できる。
【0039】
用語「薬学的に許容できる塩」は、化合物の生物学的な有効性及び性質を保持し、典型的には生物学的にも他の面でも望ましくないことがない塩を指す。化合物は、アミノ基の存在により酸付加塩を形成することが可能であり得る。
【0040】
特記されない限り、又は本文により明らかに示されていない限り、本発明の医薬組合せにおいて有用な治療剤への言及は、化合物の遊離塩基と化合物の全ての薬学的に許容できる塩の両方を含む。
【0041】
用語「組合せ」又は「医薬組合せ」は、1用量単位形態の固定された組合せ(fixed combination)、治療剤が、一緒に、同じ時間で独立に、若しくは時間間隔内で別々に投与され得る固定されていない組合せ(non-fixed combination)、又は組合せ投与のための要素のキットのいずれかを指すように本明細書で定義され、それは、好ましくは、組合せパートナーが、協調的な効果、例えば、相乗効果を示すことを可能にする。そのため、本発明の医薬組合せの単一の化合物は、同時にも、連続的にも投与され得る。
【0042】
さらに、本発明の医薬組合せは、固定された組合せの形態でも、固定されていない組合せの形態でもあり得る。
【0043】
用語「固定された組合せ」は、治療剤、例えば、組合せの単一の化合物が単一の実体又は剤形の形態であることを意味する。
【0044】
用語「固定されていない組合せ」は、治療剤、例えば、組合せの単一の化合物が、別々な実体又は剤形として、同時に、又は具体的な時間の制限なしに連続的に患者に投与されることを意味するが、好ましくはそのような投与は、対象、例えば、それを必要とする哺乳動物又はヒトの体内に治療上有効なレベルの2種の治療剤を与える。
【0045】
医薬組合せは、少なくとも1種の薬学的に許容できる担体をさらに含み得る。そのため、本発明は、本発明の医薬組合せ及び少なくとも1種の薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物に関する。
【0046】
本明細書では、用語「担体」又は「薬学的に許容できる担体」は、当業者には公知である通り、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、酸化防止剤、保存剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、保存剤、薬物安定剤、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、着香剤、染料など、及びこれらの組合せを含む(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990,pp.1289-1329参照)。従来の担体が有効成分と不適合性でない限り、治療剤又は医薬組成物におけるその使用が企図される。
【0047】
句「薬学的に許容できる」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症なしにヒト及び動物の組織と接触する使用に好適であり、妥当なベネフィット/リスク比に釣り合う化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指すように本明細書で利用される。
【0048】
一般に、用語「医薬組成物」は、対象、例えば、哺乳動物又はヒトに投与すべき少なくとも1種の治療剤を含む混合物又は溶液を指すと本明細書で定義される。本医薬組合せは、腸内又は非経口投与用の好適な医薬組成物、例えば、糖衣錠、錠剤、カプセル剤、若しくは坐剤、又はアンプルなどの単位剤形で製剤できる。特記されない限り、それらは自体公知の方法で、例えば、種々の従来の混合、粉砕、直接打錠、造粒、糖衣、溶解、凍結乾燥プロセス、又は当業者に明らかである作製技法により調製される。複数の用量単位の投与により必要な有効量に達し得るので、各剤形の個別の投与量に含まれる組合せパートナーの単位含量がそれ自体で有効量を構成する必要がないことが認識されるだろう。医薬組成物は、約0.1%~約99.9%、好ましくは約1%~約60%の治療剤を含み得る。当業者は、定型的な実験により、過度の負担なく、剤形の特定の所望の性質に関して上述の担体の1種以上を選択できる。使用される各担体の量は、当技術分野の従来の範囲内で変動し得る。以下の参照文献は、経口剤形を製剤するのに利用される技法及び賦形剤を開示する。The Handbook of Pharmaceutical Excipients,4th edition,Rowe et al.,Eds.,American Pharmaceuticals Association(2003);及びRemington:the Science and Practice of Pharmacy,20th edition,Gennaro,Ed.,Lippincott Williams & Wilkins(2003)を参照されたい。これらの任意選択の追加の従来の担体は、造粒の前若しくはその間に1種以上の従来の担体を初期の混合物に組み込むか、又は1種以上の従来の担体を、経口剤形中の薬剤の組合せ若しくは薬剤の組合せの個別の薬剤を含む顆粒と合わせることにより、経口剤形に組み込むことができる。後者の実施形態において、合わされた混合物を、例えばVブレンダーによりさらにブレンドして、その後に圧縮又は型に入れて、錠剤、例えば一体型錠剤(monolithic tablet)にすることも、カプセルにより封入することも、分包に充填することもできる。明らかに、本発明の医薬組合せを利用して医薬品を製造できる。
【0049】
本発明は、医薬品として特に有用であるそのような医薬組合せ又は医薬組成物に関する。
【0050】
具体的に、本発明の組合せ又は組成物は、癌の治療に適用できる。
【0051】
本発明は、本発明の医薬組合せ又は医薬組成物の、癌の治療のための医薬品の調製のための使用、及び癌治療を必要とする対象の癌を治療する方法であって、対象に、治療上有効な量の本発明による医薬組合せ又は本発明による医薬組成物を投与することを含む方法にも関する。
【0052】
本明細書での用語「治療」は、対象の少なくとも1つの症状を軽減し、減少させ、若しくは緩和し、無増悪生存期間、全生存期間を増加させ、奏功期間を延ばし、又は疾患の進行を遅延させる治療を含む。例えば、治療は、疾患の1つ若しくはいくつかの症状の減弱でも、癌などの疾患の完全な根絶でもあり得る。本発明の意味の中で、用語「治療」は、発症を停止し、遅延させること(すなわち疾患の臨床徴候の前の期間)、且つ/又は、患者、例えば、哺乳動物の疾患の発生若しくは悪化のリスクを減少させることを指し、特に患者はヒトである。本明細書での用語「治療」は、原発腫瘍成長の直接阻害及び/又は転移性癌細胞の全身性阻害を組み込む腫瘍の成長の阻害を含む。
【0053】
「対象」、「個人」、又は「患者」は本明細書において互換的に使用され、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを指す。哺乳動物には、マウス、サル、ヒト、家畜、スポーツ動物(sport animals)、及びペットがあるが、これらに限定されない。
【0054】
本発明の化合物(例えば、化学成分又は生物製剤)の「治療上有効な量」という用語は、対象の生物学的若しくは医学的反応、例えば酵素若しくはタンパク質活性の減少若しくは阻害を引き出し、又は症状を改善し、病態を緩和し、疾患進行を緩徐化若しくは遅延させ、又は疾患を予防する、本発明の化合物の量を指す。一実施形態において、インビボでの治療上有効な量は、投与経路によって、約0.1~500mg/kg、又は約1~100mg/kgになり得る。
【0055】
癌の治療のための各組合せパートナーの最適な用量は、公知の方法を利用して、各個人に対して経験的に決定でき、疾患の進行の程度;個人の年齢、体重、全般的な健康、性別、及び食事;投与の時間及び経路;並びに個人が服用している他の医薬品を含むがこれらに限定されない種々の因子に依存するだろう。最適な用量は、当技術分野に周知である定型的な試験及び手順を利用して確立できる。担体材料と合わされて単一の剤形を生み出し得る各組合せパートナーの量は、治療される個人及び特定の投与様式によって様々だろう。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の薬剤の組合せを含む単位剤形は、薬剤が単独で投与される場合に典型的に投与される、組合せの各薬剤の量を含むだろう。
【0056】
用量の頻度は、使用される化合物及び治療又は予防すべき特定の病態により様々になり得る。一般に、有効な療法を与えるのに充分な最低用量の使用が好ましい。患者は、一般に、当業者に知られている、治療又は予防されている病態に好適なアッセイを利用して、治療の有効性に関してモニターされ得る。
【0057】
(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オンの治療量又は投与量は、経口投与される場合、3週ごとに100~1500mgの範囲、特に3週ごとに100~800mgの範囲、又は毎日50~600mgの範囲であり得る。(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オンの治療量又は投与量は、28日サイクルの最初の21日の毎日投与で、400mgであり得て、より好ましくは300mgである。或いは、(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オンの総治療量又は総投与量は、サイクルあたり560mgである(40mg 1日1回2週間服用/2週間休薬、又は80mg 1日1回1週間服用/3週間休薬)。さらに、本発明の組合せにおける使用の用量は、典型的には、この化合物の単剤としての使用に適切である上述のものより低いだろう。したがって、3週ごとに100~500mgの用量が好適であり得て、又は毎日50~400mgの用量が経口投与に好適になり得て、28日サイクルの最初の21日間毎日200mg又は300mgなどのより低い用量が利用され得る。静脈内投与量であれば、それに応じて減らす必要があるだろう。
【0058】
各治療剤が、簡便には、例えば、1つの個別の用量単位で投与されても、複数の用量単位に分割されてもよいことが理解される。その各治療剤が、簡便には1日1回の投与量でも、1日当たり4回までの投与量でも投与できることがさらに理解される。
【0059】
用語「癌」は、広範囲の腫瘍、とりわけ固形腫瘍を意味するように本明細書で使用される。そのような腫瘍の例には、肺(小細胞肺癌及び非小細胞肺癌を含む)、気管支、前立腺、乳房(散発性乳癌及びカウデン病の患者を含む)、膵臓、消化管、結腸、直腸、結腸癌腫、大腸癌、甲状腺、肝臓、胆道、肝内胆管、肝細胞、副腎、胃(stomach)、胃(gastric)、グリオーマ、膠芽腫、子宮内膜、腎臓、腎盂、膀胱、子宮、子宮頸部、膣、卵巣、多発性骨髄腫、食道、頭頚部、脳、口腔及び咽頭、喉頭、小腸の良性又は悪性腫瘍、メラノーマ、繊毛結腸腺腫、肉腫、新生物、上皮形質(epithelial character)の新生物、乳癌、基底細胞癌、扁平上皮癌、日光角化症、真性多血病、本態性血小板症、白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性白血病、及び骨髄性白血病を含む)、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫及びホジキンリンパ腫を含む)、骨髄化生を伴う骨髄線維症、ワルデンシュトレーム病、及びバレット腺癌があるが、これらに限定されない。
【0060】
好ましくは、癌は、メラノーマ、脂肪肉腫、膠芽腫、神経芽細胞腫、大腸癌、リンパ腫、又は白血病である。好ましい実施形態において、癌はメラノーマである。一実施形態において、本発明は、BRAFのV600E変異など、RAF阻害剤に対する耐性を付与する変異を有するメラノーマに関する。そのようないくつかの実施形態において、メラノーマは、野生型p53をさらに特徴とする。
【0061】
組合せは、機能的p53又はp53野生型癌における優れた効果を得ることが期待される。TP53遺伝子は、ヒト癌において最も頻繁に変異している遺伝子の1つである。そのため、腫瘍抑制因子p53は、ヒト癌のほぼ50%において変異又は欠失により機能障害を受けている。残りのヒト癌において、p53は野生型状態を保持しているが、その機能は、その主要な細胞阻害因子(cellular inhibitor)、マウス二重微小染色体2(Mdm2、MDM2;HDM2(マウス二重微小染色体2のヒトホモログ))により阻害される。Mdm2は、p53腫瘍抑制因子の負の調節因子である。Mdm2タンパク質は、p53のプロテアソーム分解をもたらすE3ユビキチンリガーゼとp53転写活性化の阻害因子の両方として機能する。多くの場合、Mdm2はp53野生型腫瘍中で増幅している。Mdm2とp53の間の相互作用が、野生型p53を保持している癌内のp53機能の阻害の主要な機構であるため、MDM2阻害剤を含む本発明の組合せは、機能的p53又はp53野生型癌の治療に特に有用である。
【0062】
さらに、組合せの有効性は、NRAS若しくはKRAS変異及び/又はBRAF変異の1つ以上を特徴とする癌において増加すると期待される。
【0063】
KRAS又はBRAF変異を有するメラノーマの患者は、一般的に予後不良と関連する(Arrington,Heinrich et al.2012,Safaee Ardekani,Jafarnejad et al.2012)。本発明の組合せは、少なくとも1つのKRAS変異及び/又は少なくとも1つのBRAF変異を含むメラノーマを有する対象の治療に特に有用である。
【0064】
BRAF変異の例には、V600E、R461I、I462S、G463E、G463V、G465A、G465E、G465V、G468A、G468E、N580S、E585K、D593V、F594L、G595R、L596V、T598I、V599D、V599E、V599K、V599R、V600K、A727Vがあるが、これらに限定されない。これらの変異のほとんどは、2つの領域:NローブのグリシンリッチPループ並びに活性化セグメント及び隣接領域に集中している。V600E変異は種々の癌に検出されており、ヌクレオチド1799でのチミンのアデニンによる置換によるものである。これにより、コドン600で、バリン(V)がグルタミン酸(E)により置換されている(ここで、V600Eと称される)。
【0065】
とりわけ、本発明の組合せは、BRAF変異体メラノーマ、例えば、BRAF-V600E変異メラノーマを治療するのに有用であり得る。これらのメラノーマはベムラフェニブに耐性でもあり得る。
【0066】
以下の実施例は上述の本発明を説明するが、本発明の範囲を決して限定しないものとする。該当分野の当業者にそれ自体知られている他の試験モデルも、請求項記載の本発明の有益な効果を決定できる。
【実施例】
【0067】
以下の実施例は、ERK阻害剤がMDM2阻害剤と組み合わせて使用されて、BRAF変異を有する癌が治療される場合の相乗的な活性を表す。実施例1はインビトロでの相乗効果を表し、実施例2は、ERK及びMDM2の阻害剤の異なる組合せを使用するインビボ異種移植片モデルにおける相乗効果を表す。
【0068】
実施例1:メラノーマ細胞株WM-266-4及びA-375の増殖に対する、Mdm2阻害剤化合物AをERK阻害剤化合物Bと組み合わせることのインビトロの効果
この試験は、BRAF変異を発現するメラノーマモデルに対する、MDM2阻害剤をERK阻害剤と組み合わせることのインビトロの効果を研究するために設計した。MDM2阻害剤(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン(「化合物A」)を、ある範囲の濃度でERK阻害剤4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド(「化合物B」)と組み合わせて使用した。2種のBRAF変異メラノーマ細胞株、WM-266-4及びA-375を試験した。
【0069】
化合物を100%DMSO(Sigma、カタログ番号D2438-50ML)に10mMのストック濃度で溶解させ、-20℃で使用まで保存した。組合せのために、化合物を、Dilux dilution reservoirs(Chemglass Life Sciences、カタログ番号CLS-3796-001)中で3倍の段階希釈で希釈した。化合物Aを0.0~4.0μMの濃度範囲で使用した。化合物Bを0.0~10.0μMの濃度範囲で使用した。
【0070】
細胞株をAmerican Type Culture Collectionから購入した。A-375細胞をダルベッコ改変イーグル培地(Life Technologies、カタログ番号11995-065)で培養し、WM-266-4細胞を最小必須培地α(Life Technologies、カタログ番号12561-056)で培養した。両株に、10%FBS(Seradigm、カタログ番号1500-500)を補った。全細胞株を、Idexx Radil(Columbia、MO、USA)で実施されたPCR検出アッセイによりマイコプラズマ汚染がないと確認し、SNP分析により本物であると証明した。細胞を凍結ストックから解凍し、1以上の継代により増殖させ、37℃5%CO2中で成長させた。細胞をT-75フラスコに増殖させ、播種の前にBeckman-Coulter ViCellカウンターを使用して生存能力に関して評価した。細胞株を分けて増殖させるために、細胞を、0.25%トリプシン-EDTA(Corning Costar、カタログ番号25-053-CL)を使用してフラスコから取り除いた。
【0071】
組合せアッセイのために、細胞を、ウェルあたり80μLの最終体積及びウェルあたり2500細胞(A-375用)又は4000細胞(WM-266-4用)の密度で、96-ウェルプレート(Corning Costar、カタログ番号3904)に加えた。12~24時間の培養後、10μLの各化合物希釈系列を三連でプレートに移し、先に明示した化合物濃度範囲を生じさせた。さらに、0日のプレートを、以下に説明するCellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assayを使用して、この時点でアッセイした。72時間の化合物処理の後、細胞増殖に対する化合物の効果を、CellTiter-Glo(商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega、カタログ番号G7573)を使用して測定した。これは、代謝活性がある細胞の存在の信号を送る、存在するATPの定量化により培養物中の生細胞の数を測定する均質な方法である。方法は、the Technical Bulletin,TB288 Promegaに詳述されている。簡単に言うと、100μlのCTG Reagentをプレートに加え、プレートをオービタルシェーカー上で20~30分間インキュベートした。次いで、プレートをPerkin Elmer Victor(商標)X4プレートリーダーで読み取った。
【0072】
成長阻害パーセント、過剰阻害(excess inhibition)、及び成長阻害を、Loewe相乗効果モデル(Lehar et al.2009に記載)を使用しCombo Moduleソフトウェアを使用して計算したが、それは、2種の薬物が用量相加的(dose additive manner)にふるまう場合に期待されるだろうよりも高い成長に対する効果を測定するものである。正の数は相乗効果増加の部分を表す。DMSOに対する成長阻害のパーセンテージは、「阻害」と記されたパネル中に表される。期待される量を上回る阻害の量は「ADD過剰阻害」と記されたパネルにある。0日目に対して正規化された阻害の量は、「成長阻害」と記されたパネルに表される。化合物Aの濃度は一番下の列に沿って左から右に示され、化合物Bの増加する濃度は一番左の行に沿って下から上に示されている。グリッド中の残りの点全ては、2つの軸上に示される単剤濃度に対応する2種の阻害剤の組合せの結果を表す。絶対的なAC50は、計算された曲線が50%活性マークと交わる化合物濃度を見つけることにより決定した。絶対的なAC50及び相乗効果スコアを、Lehar et al.(2009)に記載の通りCombo moduleソフトウェアで計算した。
相乗効果スコア
SS約0→用量相加的
SS>2→相乗効果
SS>1→弱い相乗効果
【0073】
図1は、メラノーマ細胞株における化合物Aとの化合物B組合せの阻害、Loewe(ADD)過剰阻害、及び成長阻害のマトリックスを示す。
【0074】
以下の表は、各化合物の単剤IC50値及び相乗効果を評価するためのLehar J,Krueger AS,Avery W,et al.(2009)に記載の方法を利用した化合物A+化合物Bの組合せの相乗効果スコア測定値を示す。相乗的な薬物組合せは、治療上適切な選択性を改善する傾向がある。Nat Biotechnol 27:659-666)。2.0以上のスコアが観察された場合、相互作用を相乗的であるとみなした。データは、BRAF耐性変異を含む2種の異なるメラノーマ細胞株における化合物Aと化合物Bの間の相乗的な活性を表す。
【0075】
【0076】
実施例2:BRAF阻害剤耐性メラノーマの異種移植片における活性
BRAF阻害剤であるベムラフェニブによる治療にもかかわらずメラノーマが進行した患者から誘導した異種移植片モデルを、免疫不全マウス中に確立した(Hidalgo et al.,2014)。異種移植片組織が、BRAF V600E変異及び野生型p53を有し、並びに追加の未特定の活性化MEK変異も有することを確認した。バイオマーカーシグナチャーは、組織がp53再活性化に対して感受性があるだろうことを示唆した。予測通り、この異種移植片を有するマウスはBRAF阻害剤に反応しなかった。
【0077】
この異種移植片を有するマウスを、CGM097(1日あたり100mg/kg 1回、強制経口投与による)、又はBVD-523(50mg/kg 1日2回、強制経口投与による)、又は両者一緒により処置した(処置あたり10匹の動物)。
図2Aは、各処置の平均腫瘍成長曲線を示す。単剤処置を受けている動物の腫瘍成長の速度は、対照と大きくは変わらなかった。しかし、CGM097とBVD-523の組合せは、38日の期間にわたり腫瘍成長を大幅に抑えた。このように、BVD-523とCGM097との一緒の処置は相乗効果を生み出し、この期間にわたる安定をもたらした。
【0078】
図2Bは、併用処置群の各個別の動物の腫瘍成長曲線を示す。2匹の動物は併用処置に充分に反応しなかったが、6匹は38日まで安定を示し、他の2匹は著しい腫瘍縮小を示したので、10匹のうち8匹の動物は組合せに反応した。38日目に処置を停止すると(
図2Bの矢印)、処置の間に腫瘍がほぼ消失していた動物のどちらにも腫瘍再成長が起こった。
以下の態様を包含し得る。
[1] (a)(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン又はその薬学的に許容できる塩であるMDM2阻害剤、
並びに
(b)4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド;4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-2-フルオロ-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-ヨードフェニル)-2-ヒドロキシエチル)ベンズアミド;及び(S)-4-(5-クロロ-2-(イソプロピルアミノ)ピリジン-4-イル)-N-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロール-2-カルボキサミド(BVD-5)又はこれらの化合物の1つの薬学的に許容できる塩から選択されるERK阻害剤
を含む医薬組合せ。
[2] 前記ERK阻害剤が、4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド又はその薬学的に許容できる塩である、請求項1に記載の医薬組合せ。
[3] 前記ERK阻害剤が、4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-2-フルオロ-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-ヨードフェニル)-2-ヒドロキシエチル)ベンズアミド又はその薬学的に許容できる塩である、請求項1に記載の医薬組合せ。
[4] 前記ERK阻害剤が、(S)-4-(5-クロロ-2-(イソプロピルアミノ)ピリジン-4-イル)-N-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロール-2-カルボキサミド又はその薬学的に許容できる塩である、請求項1に記載の医薬組合せ。
[5] (a)(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン又はその薬学的に許容できる塩であるMDM2阻害剤、及び
(b)4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド又はその薬学的に許容できる塩であるERK阻害剤
を含む医薬組合せ。
[6] 共同で治療上有効である量の前記MDM2阻害剤及び前記ERK阻害剤を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組合せ。
[7] 前記量の前記MDM2阻害剤及び前記ERK阻害剤が、BRAF変異を発現する癌の治療に共同で治療上有効である、請求項6に記載の医薬組合せ。
[8] 前記量の前記MDM2阻害剤及び前記ERK阻害剤が、BRAF変異を発現するメラノーマの治療に共同で治療上有効である、請求項7に記載の医薬組合せ。
[9] 同時又は連続的な使用のための、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組合せ。
[10] 固定された組合せの形態である、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組合せ。
[11] 固定されていない組合せの形態である、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組合せ。
[12] 癌を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の(a)(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン又はその薬学的に許容できる塩であるMDM2阻害剤、並びに
(b)治療上有効な量の、4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド;4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-2-フルオロ-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-ヨードフェニル)-2-ヒドロキシエチル)ベンズアミド;及び(S)-4-(5-クロロ-2-(イソプロピルアミノ)ピリジン-4-イル)-N-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロール-2-カルボキサミド又はこれらの化合物の1つの薬学的に許容できる塩から選択されるERK阻害剤
を投与することを含む方法。
[13] 前記治療上有効な量の前記MDM2阻害剤と前記治療上有効な量の前記ERK阻害剤が、野生型p53を発現している癌の治療に共同で有効である、請求項12に記載の方法。
[14] 前記治療上有効な量の前記MDM2阻害剤と前記治療上有効な量の前記ERK阻害剤が、前記MDM2阻害剤及び前記ERK阻害剤による相乗的な有効性により共同で有効である、請求項12又は13に記載の方法。
[15] 前記癌がBRAF変異を発現している、請求項14に記載の方法。
[16] 前記癌がメラノーマである、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
[17] (a)(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン又はその薬学的に許容できる塩であるMDM2阻害剤、
(b)4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド;4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-2-フルオロ-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-ヨードフェニル)-2-ヒドロキシエチル)ベンズアミド;及び(S)-4-(5-クロロ-2-(イソプロピルアミノ)ピリジン-4-イル)-N-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロール-2-カルボキサミド又はこれらの化合物の1つの薬学的に許容できる塩から選択されるERK阻害剤;並びに
(c)少なくとも1種の薬学的に許容できる担体又は賦形剤
を含む医薬組成物。
[18] 共同で治療上有効である量の前記MDM2阻害剤及び前記ERK阻害剤を含む、請求項17に記載の医薬組成物。
[19] 4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド;4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-2-フルオロ-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-ヨードフェニル)-2-ヒドロキシエチル)ベンズアミド;及び(S)-4-(5-クロロ-2-(イソプロピルアミノ)ピリジン-4-イル)-N-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロール-2-カルボキサミド又はこれらの化合物の1つの薬学的に許容できる塩から選択されるERKの阻害剤と組み合わせる、(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン又はその薬学的に許容できる塩であるMDM2の阻害剤の療法における使用。
[20] 癌の治療のための、請求項19に記載のERKの阻害剤と組み合わせたMDM2の阻害剤の使用。
[21] BRAF変異を発現している癌、且つ任意選択で野生型p53を発現している癌の治療のための、請求項20に記載のERKの阻害剤と組み合わせたMDM2の阻害剤の使用。
[22] メラノーマの治療のための、請求項19~21のいずれか一項に記載のERKの阻害剤と組み合わせたMDM2の阻害剤の使用。
[23] 4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド;4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-2-フルオロ-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-ヨードフェニル)-2-ヒドロキシエチル)ベンズアミド;及び(S)-4-(5-クロロ-2-(イソプロピルアミノ)ピリジン-4-イル)-N-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロール-2-カルボキサミド又はこれらの化合物の1つの薬学的に許容できる塩から選択されるERK阻害剤と組み合わせて癌を治療することに使用するための、(6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン又はその薬学的に許容できる塩であるMDM2阻害剤。
[24] (6S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-6-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-(プロパン-2-イル)-5,6-ジヒドロピロロ[3,4-d]イミダゾール-4(1H)-オン又はその薬学的に許容できる塩であるMDM2阻害剤と組み合わせて癌を治療することに使用するための、4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-N-((S)-1-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-2-フルオロベンズアミド;4-(3-アミノ-6-((1S,3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロヘキシル)ピラジン-2-イル)-2-フルオロ-N-((S)-1-(3-フルオロ-5-ヨードフェニル)-2-ヒドロキシエチル)ベンズアミド;及び(S)-4-(5-クロロ-2-(イソプロピルアミノ)ピリジン-4-イル)-N-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロール-2-カルボキサミド又はこれらの化合物の1つの薬学的に許容できる塩から選択されるERK阻害剤。
【0079】
REFERENCES CITED HEREIN
Arrington, A. K., E. L. Heinrich, W. Lee, M. Duldulao, S. Patel, J. Sanchez, J. Garcia-Aguilar and J. Kim (2012). “Prognostic and predictive roles of KRAS mutation in colorectal cancer.” Int J Mol Sci 13(10): 12153-12168.
Bozic, I., J. G. Reiter, B. Allen, T. Antal, K. Chatterjee, P. Shah, Y. S. Moon, A. Yaqubie, N. Kelly, D. T. Le, E. J. Lipson, P. B. Chapman, L. A. Diaz, Jr., B. Vogelstein and M. A. Nowak (2013). “Evolutionary dynamics of cancer in response to targeted combination therapy.” Elife 2: e00747.
Brana, I. and L. L. Siu (2012). “Clinical development of phosphatidylinositol 3-kinase inhibitors for cancer treatment.” BMC Med 10: 161.
Chandarlapaty, S. (2012). “Negative feedback and adaptive resistance to the targeted therapy of cancer.” Cancer Discov 2(4): 311-319.
Chapman, P. B., D. B. Solit and N. Rosen (2014). “Combination of RAF and MEK inhibition for the treatment of BRAF-mutated melanoma: feedback is not encouraged.” Cancer Cell 26(5): 603-604.
Chatterjee, M. S., J. E. Purvis, L. F. Brass and S. L. Diamond (2010). “Pairwise agonist scanning predicts cellular signaling responses to combinatorial stimuli.” Nat Biotechnol 28(7): 727-732.
Chou, T. C. and P. Talalay (1981). “Generalized equations for the analysis of inhibitions of Michaelis-Menten and higher-order kinetic systems with two or more mutually exclusive and nonexclusive inhibitors.” Eur J Biochem 115(1): 207-216.
Doebele, R. C., A. B. Pilling, D. L. Aisner, T. G. Kutateladze, A. T. Le, A. J. Weickhardt, K. L. Kondo, D. J. Linderman, L. E. Heasley, W. A. Franklin, M. Varella-Garcia and D. R. Camidge (2012). “Mechanisms of resistance to crizotinib in patients with ALK gene rearranged non-small cell lung cancer.” Clin Cancer Res 18(5): 1472-1482.
Druker, B. J. (2008). “Translation of the Philadelphia chromosome into therapy for CML.” Blood 112(13): 4808-4817.
Duncan, J. S., M. C. Whittle, K. Nakamura, A. N. Abell, A. A. Midland, J. S. Zawistowski, N. L. Johnson, D. A. Granger, N. V. Jordan, D. B. Darr, J. Usary, P. F. Kuan, D. M. Smalley, B. Major, X. He, K. A. Hoadley, B. Zhou, N. E. Sharpless, C. M. Perou, W. Y. Kim, S. M. Gomez, X. Chen, J. Jin, S. V. Frye, H. S. Earp, L. M. Graves and G. L. Johnson (2012). “Dynamic reprogramming of the kinome in response to targeted MEK inhibition in triple-negative breast cancer.” Cell 149(2): 307-321.
Hidalgo, M. et al. (2014), “Patient-derived xenograft models: an emerging platform for translational cancer research,” Cancer Discov. 4, 998-1013.
Katayama, R., A. T. Shaw, T. M. Khan, M. Mino-Kenudson, B. J. Solomon, B. Halmos, N. A. Jessop, J. C. Wain, A. T. Yeo, C. Benes, L. Drew, J. C. Saeh, K. Crosby, L. V. Sequist, A. J. Iafrate and J. A. Engelman (2012). “Mechanisms of acquired crizotinib resistance in ALK-rearranged lung Cancers.” Sci Transl Med 4(120): 120ra117.
Lehar, J., A. Krueger, G. Zimmermann and A. Borisy (2008). “High-order combination effects and biological robustness.” Mol Syst Biol 4: 215.
Lito, P., N. Rosen and D. B. Solit (2013). “Tumor adaptation and resistance to RAF inhibitors.” Nat Med 19(11): 1401-1409.
Robert, C., B. Karaszewska, J. Schachter, P. Rutkowski, A. Mackiewicz, D. Stroiakovski, M. Lichinitser, R. Dummer, F. Grange, L. Mortier, V. Chiarion-Sileni, K. Drucis, I. Krajsova, A. Hauschild, P. Lorigan, P. Wolter, G. V. Long, K. Flaherty, P. Nathan, A. Ribas, A. M. Martin, P. Sun, W. Crist, J. Legos, S. D. Rubin, S. M. Little and D. Schadendorf (2015). “Improved overall survival in melanoma with combined dabrafenib and trametinib.” N Engl J Med 372(1): 30-39.
Safaee Ardekani, G., S. M. Jafarnejad, L. Tan, A. Saeedi and G. Li (2012). “The prognostic value of BRAF mutation in colorectal cancer and melanoma: a systematic review and meta-analysis.” PLoS One 7(10): e47054.
Solit, D. B. and N. Rosen (2014). “Towards a unified model of RAF inhibitor resistance.” Cancer Discov 4(1): 27-30.
Sullivan, R. J. and K. T. Flaherty (2013). “Resistance to BRAF-targeted therapy in melanoma.” Eur J Cancer 49(6): 1297-1304.
Turner, N. C., J. Ro, F. Andre, S. Loi, S. Verma, H. Iwata, N. Harbeck, S. Loibl, C. Huang Bartlett, K. Zhang, C. Giorgetti, S. Randolph, M. Koehler and M. Cristofanilli (2015). “Palbociclib in Hormone-Receptor-Positive Advanced Breast Cancer.” N Engl J Med.