(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】気泡発生装置、及び、気泡発生方法
(51)【国際特許分類】
A47K 3/00 20060101AFI20230817BHJP
B01F 21/00 20220101ALI20230817BHJP
B01F 23/20 20220101ALI20230817BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20230817BHJP
B01F 35/75 20220101ALI20230817BHJP
【FI】
A47K3/00 G
B01F21/00
B01F23/20
B01F35/71
B01F35/75
A47K3/00 E
(21)【出願番号】P 2020010664
(22)【出願日】2020-01-27
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2019219208
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】島津 智行
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-120711(JP,A)
【文献】特開2009-018118(JP,A)
【文献】特開2019-181460(JP,A)
【文献】特開2008-284109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00
B01F 21/00
B01F 23/20
B01F 35/71
B01F 35/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクに気体を導入する気体導入路を開閉する気体導入弁と、
前記タンクに供給湯水を導入する湯水導入路を開閉する湯水導入弁と、
前記タンクから浴槽に気体溶解水を導出する湯水導出路と、
前記湯水導入路から前記供給湯水を前記タンクへ送る第1のポンプと、
前記タンクに残存していた湯水を排出するとともに、前記タンクに前記気体を導入する給気運転、及び、前記タンクに前記供給湯水を導入しつつ、導入された前記供給湯水に前記給気運転で導入された前記気体を溶解させて前記気体溶解水を生成するとともに、生成された前記気体溶解水を前記浴槽に導出する給水運転を実行する制御装置とを備え、
前記浴槽に導入された前記気体溶解水によって、前記浴槽に貯留されている浴槽湯水に気泡を発生させて、前記浴槽湯水を白濁化させる気泡発生装置であって、
前記浴槽から前記浴槽湯水を前記湯水導出路へ送る第2のポンプを備え、
前記制御装置は、前記給水運転の実行後、次回の前記給水運転の実行前に、前記第2のポンプの駆動及び停止を制御して、前記浴槽から前記浴槽湯水を前記湯水導出路へ吸い込む残水処理運転を実行することを特徴とする気泡発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の気泡発生装置において、
前記タンクに残存していた湯水が排出される排出水路を備え、
前記湯水導出路と前記排出水路とが連通していない第1の状態と、前記湯水導出路と前記排出水路とが連通している第2の状態とを切り換え自在な切換弁を備え、
前記第2のポンプは、前記切換弁よりも前記排出水路側に介装され、
前記制御装置は、前記給気運転の実行中に、前記切換弁を制御して前記第1の状態から前記第2の状態に切り換えて、前記残水処理運転を実行することを特徴とする気泡発生装置。
【請求項3】
請求項2に記載の気泡発生装置において、
前記タンクの内部の水位を検知するセンサを備え、
前記制御装置は、前記残水処理運転が開始されてから、前記湯水導出路の長さに応じて設定された所定時間の経過後に、前記センサが検知した水位が所定の水位以上であった場合には、前記切換弁を制御して前記第2の状態から前記第1の状態に切り換えることを特徴とする気泡発生装置。
【請求項4】
タンクに気体を導入する気体導入路を開閉する気体導入弁と、
前記タンクに供給湯水を導入する湯水導入路を開閉する湯水導入弁と、
前記タンクから浴槽に気体溶解水を導出する湯水導出路と、
前記湯水導入路から前記供給湯水を前記タンクへ送る第1のポンプと、
前記タンクに残存していた湯水を排出するとともに、前記タンクに前記気体を導入する給気運転、及び、前記タンクに前記供給湯水を導入しつつ、導入された前記供給湯水に前記給気運転で導入された前記気体を溶解させて前記気体溶解水を生成するとともに、生成された前記気体溶解水を前記浴槽に導出する給水運転を実行する制御装置とを備え、
前記浴槽に導入された前記気体溶解水によって、前記浴槽に貯留されている浴槽湯水に気泡を発生させて、前記浴槽湯水を白濁化させる気泡発生装置であって、
前記湯水導出路を含み、前記浴槽湯水が循環する循環用水路と、
前記循環用水路に前記浴槽湯水を循環させる第3のポンプとを備え、
前記制御装置は、前記給水運転の実行後、次回の前記給水運転の実行前に、前記第3のポンプの駆動及び停止を制御して、前記湯水導出路を介して前記循環用水路を循環している前記浴槽湯水を前記浴槽へ供給する残水処理運転を実行することを特徴とする気泡発生装置。
【請求項5】
気体溶解水を浴槽に導入して、前記浴槽の内部に貯留されている浴槽湯水に気泡を発生させる気泡発生方法であって、
制御装置が、タンクに気体を導入する気体導入路を開閉する気体導入弁を開状態にすることと、前記タンクに供給湯水を導入する湯水導入路を開閉する湯水導入弁を閉状態にすることと、前記湯水導入路から前記供給湯水を前記タンクへ送る第1のポンプを停止することとによって、前記タンクから湯水を排出するとともに、前記タンクに気体を導入する給気運転を開始する工程と、
前記制御装置が、前記気体導入弁を閉状態にすることと、前記湯水導入弁を開状態にすることと、前記第1のポンプを駆動することとによって、前記タンクに前記供給湯水を導入しつつ、導入された前記供給湯水に前記給気運転で導入された前記気体を溶解させて前記気体溶解水を生成するとともに、生成された前記気体溶解水を前記浴槽に導出する給水運転を開始する工程と、
前記制御装置が、前記給水運転の実行後、次回の前記給水運転の実行前に、前記浴槽から前記浴槽湯水を前記タンクから前記浴槽に気体溶解水を導出する湯水導出路へ送る第2のポンプの駆動及び停止を制御して、前記浴槽から前記浴槽湯水を前記湯水導出路へ吸い込む残水処理運転を開始する工程とを備えていることを特徴とする気泡発生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体溶解水を浴槽に供給して、浴槽に貯留されている浴槽湯水に気泡を発生させて白濁化させる気泡発生装置、及び、気泡発生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風呂給湯装置等に組み込まれる気泡発生装置としては、気体溶解水を浴槽に導出することによって、浴槽に貯留されている浴槽湯水に気泡を発生させて白濁化させるものがある。
【0003】
この種の気泡発生装置では、タンクに残存していた湯水を排出するとともに、タンクに気体を導入する給気運転と、タンクの内部に供給湯水を導入しつつ、導入された供給湯水に給気運転で導入された気体を溶解させて気体溶解水を生成するとともに、生成された気体溶解水を浴槽に導出する給水運転とを、交互に繰り返して行う間欠式のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のような気泡発生装置では、給水運転の実行後に、タンクから浴槽に気体溶解水を導出する配管(湯水導出路)の内部に、気体溶解水が残存している場合がある。
【0006】
ここで、一般に、配管の内部における圧力は、気体溶解水を生成している状態におけるタンクの内部の圧力よりも低い。そのため、配管の内部では、その内部に残存している気体溶解水そのものの中に気泡が発生し、その気泡が大きく成長してしまう場合があった。
【0007】
そして、次回の給水運転で、そのような大きな気泡を含む気体溶解水が、新たに生成された気体溶解水によって押し出されて浴槽に導出されてしまうおそれがあった。そのような大きな気泡が浴槽に導出されると、浴槽の内部に存在していた微細気泡が、その大きな気泡に吸収されてしまい、微細気泡によって生じていた白濁の度合いが低下してしまうおそれがあった。
【0008】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、大きな気泡を含む気体溶解水を浴槽に供給してしまうことを抑制することができる気泡発生装置、及び、気泡供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の気泡発生装置は、
タンクに気体を導入する気体導入路を開閉する気体導入弁と、
前記タンクに供給湯水を導入する湯水導入路を開閉する湯水導入弁と、
前記タンクから浴槽に気体溶解水を導出する湯水導出路と、
前記湯水導入路から前記供給湯水を前記タンクへ送る第1のポンプと、
前記タンクに残存していた湯水を排出するとともに、前記タンクに前記気体を導入する給気運転、及び、前記タンクに前記供給湯水を導入しつつ、導入された前記供給湯水に前記給気運転で導入された前記気体を溶解させて前記気体溶解水を生成するとともに、生成された前記気体溶解水を前記浴槽に導出する給水運転を実行する制御装置とを備え、
前記浴槽に導入された前記気体溶解水によって、前記浴槽に貯留されている浴槽湯水に気泡を発生させて、前記浴槽湯水を白濁化させる気泡発生装置であって、
前記浴槽から前記浴槽湯水を前記湯水導出路へ送る第2のポンプを備え、
前記制御装置は、前記給水運転の実行後、次回の前記給水運転の実行前に、前記第2のポンプの駆動及び停止を制御して、前記浴槽から前記浴槽湯水を前記湯水導出路へ吸い込む残水処理運転を実行することを特徴とする。
【0010】
このように、本発明の気泡発生装置では、次回の給水運転の実行前に、タンクから浴槽に気体溶解水を導出する湯水導出路に、逆に浴槽から浴槽湯水を吸い込ませる残水処理運転を実行している。これにより、今回の給水運転の実行後に湯水導出路に残存していた気体溶解水が浴槽に貯留されている浴槽湯水に置き換わる、又は、その気体溶解水に浴槽湯水が混合されることになる。
【0011】
ここで、浴槽湯水(すなわち、浴槽に供給された後の気体溶解水)は、既に溶解していた気体を開放した後のものであるので、湯水導出路に残存していた気体溶解水(すなわち、タンクから供給された直後の気体溶解水)に比べ、配管の内部に存在したとしても、気泡が大きく成長しにくい。また、気体溶解水に浴槽湯水が混合された湯水も、気体溶解水に比べ、配管の内部に存在したとしても、気泡が大きく成長しにくい。
【0012】
したがって、本発明の気泡発生装置によれば、配管の内部の湯水で気泡が大きく成長しにくいので、次回の給水運転で、大きな気泡を含む気体溶解水を浴槽に供給してしまうことを抑制することができる。ひいては、浴槽湯水の白濁の度合いの低減を抑制することができる。
【0013】
また、本発明の気泡発生装置においては、
前記タンクに残存していた湯水が排出される排出水路を備え、
前記湯水導出路と前記排出水路とが連通していない第1の状態と、前記湯水導出路と前記排出水路とが連通している第2の状態とを切り換え自在な切換弁を備え、
前記第2のポンプは、前記切換弁よりも前記排出水路側に介装され、
前記制御装置は、前記給気運転の実行中に、前記切換弁を制御して前記第1の状態から前記第2の状態に切り換えて、前記残水処理運転を実行することが好ましい。
【0014】
このように構成すると、残水処理運転と給気運転とを同時に実行することができるようになる。これにより、給気運転及び残水処理運転の実行時間(すなわち、次回の給水運転までの時間)を短縮して、浴槽の白濁状態を維持しやすくなる。
【0015】
また、本発明の気泡発生装置においては、給気運転の実行中に、第1の状態から第2の状態に切り換えて、残水処理運転を実行する構成の場合、
前記タンクの内部の水位を検知するセンサを備え、
前記制御装置は、前記残水処理運転が開始されてから、前記湯水導出路の長さに応じて設定された所定時間の経過後に、前記センサが検知した水位が所定の水位以上であった場合には、前記切換弁を制御して前記第2の状態から前記第1の状態に切り換えることが好ましい。
【0016】
タンクの内部の湯水を排出するために必要な時間は、タンクの内部に残存している湯水の量、ポンプの駆動の状態等によって、変動する場合がある。ところで、一般に湯水導出路は、それほど長いものではなく、また、その内部に残存している気体溶解水の量もそれほど多いものではない。そのため、湯水導出路の内部に残存している気体溶解水を排出するために必要な時間は、ほぼ一定の時間となっている。
【0017】
そこで、このように、既知である湯水導出路の長さに応じて定められた所定時間(すなわち、湯水導出路の内部に残存している気体溶解水を排出するために必要な時間)の経過後に、まだタンクの内部に所定量以上の湯水が残存していることが検知された場合には、第2の状態から第1の状態(すなわち、タンクの内部の湯水のみを回収する状態)に切り換えるように構成するとよい。
【0018】
このように構成すると、想定以上の湯水がタンクの内部に残存していたり、ポンプの駆動の状態等の理由でタンクからの湯水の排出が滞っていたりした場合であっても、湯水導出路の内部の気体溶解水を十分に回収したうえで、タンクの内部の湯水を迅速に排出させることができる。
【0019】
これにより、給気運転における湯水の排出のための時間、ひいては、給気運転の実行時間(すなわち、次回の給水運転までの時間)を短縮して、浴槽の白濁状態を維持しやすくなる。
【0020】
また、本発明の気泡発生装置は、
タンクに気体を導入する気体導入路を開閉する気体導入弁と、
前記タンクに供給湯水を導入する湯水導入路を開閉する湯水導入弁と、
前記タンクから浴槽に気体溶解水を導出する湯水導出路と、
前記湯水導入路から前記供給湯水を前記タンクへ送る第1のポンプと、
前記タンクに残存していた湯水を排出するとともに、前記タンクに前記気体を導入する給気運転、及び、前記タンクに前記供給湯水を導入しつつ、導入された前記供給湯水に前記給気運転で導入された前記気体を溶解させて前記気体溶解水を生成するとともに、生成された前記気体溶解水を前記浴槽に導出する給水運転を実行する制御装置とを備え、
前記浴槽に導入された前記気体溶解水によって、前記浴槽に貯留されている浴槽湯水に気泡を発生させて、前記浴槽湯水を白濁化させる気泡発生装置であって、
前記湯水導出路を含み、前記浴槽湯水が循環する循環用水路と、
前記循環用水路に前記浴槽湯水を循環させる第3のポンプとを備え、
前記制御装置は、前記給水運転の実行後、次回の前記給水運転の実行前に、前記第3のポンプの駆動及び停止を制御して、前記湯水導出路を介して前記循環用水路を循環している前記浴槽湯水を前記浴槽へ供給する残水処理運転を実行することを特徴とする。
【0021】
このように、この気泡発生装置では、タンクから浴槽に気体溶解水を導出する湯水導出路に浴槽湯水を循環させて、次回の給水運転の実行前に、その湯水導出路から浴槽へ気体溶解水を排出させる残水処理運転を実行している。これにより、湯水導出路に残存していた気体溶解水が排出されることになる。
【0022】
その結果、気体溶解水が湯水導出路に残存しなくなるので、次回の給水運転までの間に、湯水導出路に存在している湯水の内部で、気泡が大きく成長するおそれがない。
【0023】
したがって、本発明の気泡発生装置によれば、配管の内部の湯水で気泡が大きく成長しないので、次回の給水運転で、大きな気泡を含む湯水を浴槽に供給してしまうことを抑制することができる。ひいては、浴槽湯水の白濁の度合いの低減を抑制することができる。
【0024】
また、本発明の気泡供給方法は、
気体溶解水を浴槽に導入して、前記浴槽の内部に貯留されている浴槽湯水に気泡を発生させる気泡発生方法であって、
制御装置が、タンクに気体を導入する気体導入路を開閉する気体導入弁を開状態にすることと、前記タンクに供給湯水を導入する湯水導入路を開閉する湯水導入弁を閉状態にすることと、前記湯水導入路から前記供給湯水を前記タンクへ送る第1のポンプを停止することとによって、前記タンクから湯水を排出するとともに、前記タンクに気体を導入する給気運転を開始する工程と、
前記制御装置が、前記気体導入弁を閉状態にすることと、前記湯水導入弁を開状態にすることと、前記第1のポンプを駆動することとによって、前記タンクに前記供給湯水を導入しつつ、導入された前記供給湯水に前記給気運転で導入された前記気体を溶解させて前記気体溶解水を生成するとともに、生成された前記気体溶解水を前記浴槽に導出する給水運転を開始する工程と、
前記制御装置が、前記給水運転の実行後、次回の前記給水運転の実行前に、前記浴槽から前記浴槽湯水を前記タンクから前記浴槽に気体溶解水を導出する湯水導出路へ送る第2のポンプの駆動及び停止を制御して、前記浴槽から前記浴槽湯水を前記湯水導出路へ吸い込む残水処理運転を開始する工程とを備えていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】
図1の風呂給湯装置が給気運転を実行する場合における系統図。
【
図3】
図1の風呂給湯装置が給水運転を実行する場合における系統図。
【
図4】
図1の風呂給湯装置が追い焚き運転を実行する場合における系統図。
【
図5】
図1の風呂給湯装置が給気運転及び残水処理運転を実行する場合における系統図。
【
図6】
図1の風呂給湯装置が給気運転、残水処理運転及び給水運転の際に行う処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、
図1~
図6を参照して、実施形態に係る風呂給湯装置1について説明する。
【0027】
この風呂給湯装置1は、浴室に設置された浴槽2への湯はりを行う湯はり運転(浴槽2への給湯を行う運転)、及び、浴槽2に足し湯を行う足し湯運転等に加え、浴槽2に貯留されている浴槽湯水を循環加熱する追い焚き運転を実行可能なものである。
【0028】
また、この風呂給湯装置1は、それらの運転に加え、湯水に気体を溶解させた気体溶解水を生成するために空気等の気体を取り込む給気運転、及び、生成した気体溶解水を浴槽2に導入して、浴槽2の浴槽湯水に気泡を発生させる給水運転を実行可能なものである。
【0029】
[風呂給湯装置の構成]
まず、
図1~
図5を参照して、風呂給湯装置1の構成について説明する。なお、
図2~
図5の系統図においては、理解を容易にするために、各状態において、風呂給湯装置1に含まれる水路のうち、気体又は湯水の流れる部分を実線で示し、気体又は湯水の流れない部分を破線で示している。
【0030】
図1に示すように、風呂給湯装置1は、気体溶解水を生成して、浴槽2に供給するための気泡発生装置3と、浴槽2の浴槽湯水を循環加熱するための熱源機4とを備えている。気泡発生装置3は、浴槽2及び熱源機4に接続されている。また、熱源機4は、気泡発生装置3に加え、浴槽2及び水道等の水供給源5に接続されている。気泡発生装置3は、独立したユニットとして構成されており、既存の風呂設備に追加可能となっている。
【0031】
気泡発生装置3は、タンク30と、タンク30の上流側に接続されている第1水路31(湯水導入路)と、タンク30の下流側及び浴槽2に接続されている第2水路32と、第2水路32の中間部に接続されている第3水路33と、第1水路31のタンク30側とは反対側の端部、第3水路33の第2水路32側の端部とは反対側の端部及び浴槽2に接続されている第4水路34と、タンク30に接続されている気体導入路35とを備えている。
【0032】
また、気泡発生装置3は、電動式の三方弁によって構成された第1切換弁36及び第2切換弁37を備えている。第1切換弁36は、第1水路31の端部、第3水路33の端部及び第4水路34の端部に接続されている。第2切換弁37は、第2水路32の中間部に介装されており、第3水路33の第1切換弁36側の端部とは反対側の端部に接続されている。
【0033】
タンク30には、第1水路31を介して、浴槽2から引き込まれた浴槽湯水、水供給源5から供給された水等の供給湯水が導入され、気体導入路35を介して、空気等の気体が導入される。
【0034】
タンク30の内部では、導入されて貯留された供給湯水に気体を溶解させて気体溶解水が生成される。生成された気体溶解水は、第2水路32を介して、浴槽2に供給される(
図3参照)、又は、後述する排出水路6を介して、浴槽2に排出される(
図2参照)。
【0035】
タンク30は、その内部に、第1水路31から導入された湯水を噴射するための噴射ノズル30aと、タンク30の内部の湯水の水位を検知するための第1水位センサ30b及び第2水位センサ30cとを備えている。
【0036】
第1水位センサ30b及び第2水位センサ30cは、公知の電極式の水位センサである。第1水位センサ30bは、タンク30が満水となったときの水位である高水位を検知する。第2水位センサ30cは、高水位よりも低い低水位を検知する。低水位は、給水運転の際に要求される気体溶解水の生成能力、タンク30の容量、各水路の長さ、後述する各ポンプの性能、水供給源5の供給能力等に応じて、適宜設定される。
【0037】
なお、水位を検知するためのセンサは、このような構成に限定されるものではない。例えば、電極式の水位センサに代わり、他の公知のセンサ(例えば、圧力式のセンサ等)を用いてもよい。また、例えば、高水位として検出する水位は、必ずしもタンクが満水となる水位である必要はなく、低水位と同様に、給水運転の際に要求される気体溶解水の生成能力等に応じて設定してもよい。
【0038】
第1水路31の一方の端部は、タンク30の上流端に接続されており、他方の端部は、第1切換弁36を介して、第3水路33の端部、及び、第4水路34の端部に接続されている。第1水路31には、熱源機4の循環水路40の下流端が接続されている。
【0039】
第1水路31には、循環水路40の接続部と第1水路31のタンク30側の端部との間で、上流側から順に、第1水路31を開閉するための電磁弁である閉止弁31aと、第1水路31の内部の湯水をタンク30に圧送するための加圧ポンプ31b(第1のポンプ)とが介装されている。
【0040】
第2水路32の一方の端部は、タンク30の下流端に接続されており、他方の端部は、浴槽2の給湯口に設けられたアダプタ2aを介して、浴槽2に接続されている。第2水路32には、一方の端部側から順に、逆止弁32aと、第2切換弁37とが介装されている。第2水路32は、第2切換弁37を境にして、タンク30側の部分である第1部分32bと、浴槽2側の部分である第2部分32c(湯水導出路)とに分かれている。
【0041】
第3水路33の一方の端部は、第1切換弁36に接続されており、他方の端部は、第2切換弁37に接続されている。第3水路33の中間部には、循環水路40の上流端が接続されている。
【0042】
第4水路34の一方の端部は、第1切換弁36を介して、第1水路31のタンク30側の端部とは反対側の端部、及び、第3水路33の第2水路32側の端部とは反対側の端部に接続されており、他方の端部は、浴槽2の給湯口に設けられたアダプタ2aを介して、浴槽2に接続されている。
【0043】
アダプタ2aには、気泡発生ノズルであるノズル2bが設けられている。タンク30から導出された気体溶解水は、ノズル2bを介して、噴射されるようにして浴槽2の内部に供給される。この供給の際に、気体溶解水から気泡が発生し、浴槽2に貯留されている浴槽湯水が白濁化する。
【0044】
気体導入路35の上流端は、気体供給源(不図示)に接続されており、下流端は、タンク30に接続されている。気体導入路35には、気体導入路35を開閉するための電磁弁である気体導入弁35aが介装されている。
【0045】
第1切換弁36は、第1水路31と、第3水路33と、第4水路34とに接続されている。
【0046】
この第1切換弁36を切り換えることによって、第1水路31から第4水路34に湯水が流れる状態(
図2及び
図4参照)と、第4水路34から第3水路33に湯水が流れる状態(
図3参照)とが切り換えられる。
【0047】
第2切換弁37は、第2水路32の第1部分32bと、第2水路32の第2部分32cと、第3水路33とに接続されている。
【0048】
この第2切換弁37を切り換えることによって、
図2に示すように、第2水路32の第1部分32bから第3水路33に湯水が流れる状態(第1の状態)と、
図3に示すように、第2水路32の第1部分32bから第2部分32cに湯水が流れる状態と、
図4に示すように、第2水路32の第2部分32cから第3水路33に湯水が流れる状態と、
図5に示すように、第2水路の第1部分32b及び第2部分32cから第3水路に湯水が流れる状態(第2の状態)とが切り換えられる。
【0049】
気泡発生装置3では、閉止弁31a(湯水導入弁)、第1切換弁36、及び、第2切換弁37によって、切換装置38が構成されている。
【0050】
この切換装置38によって、
図2に示すように、後述する排出水路6を介してタンク30の内部の湯水を浴槽2に排出する給気状態と、
図3に示すように、後述する気泡供給水路7に湯水を循環させる給水状態と、
図4に示すように、後述する循環加熱水路8(循環用水路)に浴槽湯水を循環させる循環加熱状態と、
図5に示すように、第2水路32の第2部分32cの内部に残存してしまっている気体溶解水を排出水路6に排出する残水処理状態とが切り換えられる。
【0051】
また、気泡発生装置3は、制御装置39を備えている。制御装置39は、実装されたハードウェア構成又はプログラムにより実現される機能(処理部)として、切換制御部39aと、タイマ39bと、ポンプ制御部39cとを有している。
【0052】
切換制御部39aは、ユーザからの指示を示す信号、第1水位センサ30b及び第2水位センサ30cの検知した水位、並びに、タイマ39bの計測した時間に基づいて、切換装置38を構成する弁(すなわち、閉止弁31a、第1切換弁36、及び、第2切換弁37)の開閉を制御する。
【0053】
タイマ39bは、残水処理運転の実行開始からの経過時間を測定する。具体的には、タイマ39bは、第2切換弁37の切り換えが行われてからの経過時間を測定する。
【0054】
ポンプ制御部39cは、ユーザからの指示を示す信号、第1水位センサ30b及び第2水位センサ30cの検知した水位、並びに、タイマ39bの計測した時間に基づいて、加圧ポンプ31b及び後述する循環ポンプ40a(第2のポンプ、第3のポンプ)の駆動及び停止を制御する。
【0055】
熱源機4は、気泡発生装置3の第3水路33及び第1水路31に接続されている循環水路40と、水供給源5に接続されており、水供給源5からの水を風呂給湯装置1に供給するための注水路41とを備えている。
【0056】
循環水路40の上流端は、気泡発生装置3の第3水路33の中間部に接続されており、下流端は、第1水路31の閉止弁31aと第1切換弁36との間となる部分に接続されている。循環水路40の中間部には、注水路41の下流端が接続されている。
【0057】
循環水路40の注水路41の接続部と下流端との間には、循環水路40の内部の湯水を第1水路31に圧送するための循環ポンプ40aが介装されている。また、循環ポンプ40aの下流側には、循環水路40の内部の湯水を加熱するための第1熱源部40bが設けられている。
【0058】
注水路41の上流端は、水供給源5に接続されており、下流端は、循環水路40の上流端と循環ポンプ40aとの間となる部分に接続されている。
【0059】
注水路41には、注水路41を開閉するための電磁弁である注水弁41aが介装されている。また、注水弁41aの上流側には、注水路41の内部の湯水を加熱するための第2熱源部41bが設けられている。
【0060】
図2に示すように、このように構成されている風呂給湯装置1では、気泡発生装置3の備えている水路と、熱源機4の備えている水路とによって、排出水路6が形成されている。
【0061】
具体的には、第2水路32の第1部分32bと、第3水路33の第2切換弁37と循環水路40の上流端の接続部との間の部分、循環水路40、第1水路31の循環水路40の下流端の接続部と第1切換弁36との間の部分、及び、第4水路34によって、排出水路6が形成されている。
【0062】
この排出水路6は、給気運転の際に、タンク30の内部に残存する湯水を浴槽2に排出するための水路である。
【0063】
また、
図3に示すように、このように構成されている風呂給湯装置1では、気泡発生装置3の備えている水路と、熱源機4の備えている水路とによって、気泡供給水路7が形成されている。
【0064】
具体的には、第1水路31の循環水路40の下流端の接続部とタンク30との間の部分、第2水路32、第4水路34、第3水路33の第1切換弁36と循環水路40の上流端の接続部との間の部分、及び、循環水路40によって、気泡供給水路7が形成されている。
【0065】
この気泡供給水路7は、給水運転の際に、タンク30を介して浴槽2の浴槽湯水を循環させて、その浴槽湯水から気体溶解水を生成し、生成した気体溶解水を浴槽2に供給するための水路である。
【0066】
また、
図4に示すように、このように構成されている風呂給湯装置1では、気泡発生装置3の備えている水路と、熱源機4の備えている水路とによって、循環加熱水路8が形成されている。
【0067】
具体的には、第2水路32の第2部分32c、第3水路33の第2切換弁37と循環水路40の上流端の接続部との間の部分、循環水路40、第1水路31の循環水路40の下流端の接続部と第1切換弁36との間の部分、及び、第4水路34によって、循環加熱水路8が形成されている。
【0068】
この循環加熱水路8は、追い焚き運転の際に、タンク30を介さずに浴槽2の浴槽湯水を循環させて、その浴槽湯水を加熱し、加熱した浴槽湯水を浴槽2に供給するための水路である。
【0069】
このように、排出水路6、気泡供給水路7、及び、循環加熱水路8は、互いにそれぞれの一部を共用して形成されているので、切換装置38の動作によって、選択的に切り換えられる。
【0070】
[運転時における動作及び処理]
次に、
図2~
図6を参照して、風呂給湯装置1が給気運転、残水処理運転及び給水運転の際に行う動作及び処理(気泡発生方法)について説明する。
【0071】
ここで、
図2は、給気運転を実行する場合における系統図である。
図3は、給水運転を実行する場合における系統図である。
図4は、追い焚き運転を実行する場合における系統図である。
図5は、給気運転及び残水処理運転を実行する場合における系統図である。
図6は、給気運転及び給水運転の際に制御装置39が実行する制御を示すフローチャートである。
【0072】
図6に示すように、風呂給湯装置1では、タンク30に残存していた湯水を排出するとともに、タンク30に気体を導入する給気運転(
図6/STEP10及びSTEP15)と、タンク30に供給湯水を導入しつつ、導入された供給湯水に給気運転で導入された気体を溶解させて気体溶解水を生成するとともに、生成された気体溶解水を浴槽2に導出する給水運転(
図6/STEP12)とを実行可能に構成されている。
【0073】
そして、風呂給湯装置1(すなわち、気泡発生装置3)は、給気運転と給水運転とを交互に繰り返し実行する。すなわち、気泡発生装置3は、いわゆる間欠式の気泡発生装置として構成されている。
【0074】
ここで、
図2~
図5の系統図、並びに、
図6のフローチャートを参照して、給気運転、残水処理運転及び給水運転の際に制御装置39が行う処理について説明する。
【0075】
前提として、以下の説明においては、給気運転、残水処理運転及び給水運転の開始前の状態において、タンク30の内部には、湯水が満水となる高さまで貯まっている状態(すなわち、第1水位センサ30bによって高水位が検知されている状態)となっているとする。
【0076】
また、給気運転、残水処理運転及び給水運転の開始前の状態において、風呂給湯装置1の水路は、循環加熱水路8に浴槽湯水が循環する状態(
図4参照)となっているとする。このとき、風呂給湯装置1の備えている弁及びポンプは、以下の状態になっている。
【0077】
[給気運転の開始前の状態]
閉止弁31a:閉状態
加圧ポンプ31b:停止
気体導入弁35a:閉状態
第1切換弁36:第1水路31と第4水路34とを接続した状態
第2切換弁37:第2水路32の第2部分32cと第3水路33とを接続した状態
循環ポンプ40a:駆動
注水弁41a:閉状態
【0078】
そして、給気運転、残水処理運転及び給水運転を実行するための処理においては、まず、浴槽2への気泡の供給を指示する信号が認識されると、制御装置39は、タンク30から残存していた湯水を排出するとともに、タンク30に気体を導入する給気運転を開始する(
図6/STEP10)。
【0079】
具体的には、制御装置39が、気体導入弁35aを開状態にすることと、第2切換弁37を切り換えることとによって、風呂給湯装置1の備えている弁及びポンプを以下の状態(
図2に示す状態)とする。
【0080】
[給気運転の実行中の状態]
閉止弁31a:閉状態
加圧ポンプ31b:停止
気体導入弁35a:開状態
第1切換弁36:第1水路31と第4水路34とを接続した状態
第2切換弁37:第2水路32の第1部分32bと第3水路33とを接続した状態
循環ポンプ40a:駆動
注水弁41a:閉状態
【0081】
これにより、
図2に示すように、風呂給湯装置1の水路は、排出水路6となる。この状態では、タンク30の内部に残存している生成された気体溶解水又は導入された供給湯水が、浴槽2に排出される。その結果、タンク30の水位は、時間の経過とともに下降していく。
【0082】
このとき、風呂給湯装置1では、循環水路40(すなわち、排出水路6)に介装されている循環ポンプ40aの駆動によって、タンク30から、その内部に残存している生成された気体溶解水又は導入された供給湯水が吸い出される。これにより、タンク30の内部は負圧となるので、タンク30の内部には、タンク30に接続されている気体導入路35を介して、気体が導入される。
【0083】
これは、循環ポンプ40aを利用して、タンク30からそれらの湯水を迅速に排出するとともに、タンク30に気体を迅速に導入するためである。しかし、本発明の風呂給湯装置は、このような構成に限定されるものではなく、給気運転の実行の際に、タンクに気体が導入されるように構成されていればよい。
【0084】
そのため、例えば、気体導入路にコンプレッサーを介装させて、給気運転の際にタンクに気体を圧送するように構成してもよい。このように構成すると、給気運転の際に、循環ポンプを停止させることが可能になる。また、例えば、ポンプ、コンプレッサー等を省略して、単純に、排出水路を介して残存している湯水をタンクから排出するとともに、気体導入路を介してタンクに気体を導入するように構成してもよい。このように構成すると、構成を簡略化することができる。
【0085】
次に、制御装置39は、第2水位センサ30cによってタンク30の内部の水位が低水位にまで下降したか否かを判定する(
図6/STEP11)。
【0086】
タンク30の内部の水位が低水位にまで下降していないと判定された場合(STEP11でNOの場合)、制御装置39は、所定の制御間隔で同じ判定を繰り返す。
【0087】
一方、タンク30の内部の水位が低水位にまで下降したと判定された場合(STEP11でYESの場合)、制御装置39は、給気運転を終了するとともに、給水運転を開始する(
図6/STEP12)。
【0088】
具体的には、制御装置39が、閉止弁31aを開状態にすることと、気体導入弁35aを閉状態にすることと、加圧ポンプ31bを駆動することと、第1切換弁36及び第2切換弁37を切り換えることとによって、風呂給湯装置1の備えている弁及びポンプを以下の状態(
図3に示す状態)とする。
【0089】
[給水運転の実行中の状態]
閉止弁31a:開状態
加圧ポンプ31b:駆動
気体導入弁35a:閉状態
第1切換弁36:第3水路33と第4水路34とを接続した状態
第2切換弁37:第2水路32の第1部分32bと第2部分32cとを接続した状態
循環ポンプ40a:駆動
注水弁41a:閉状態
【0090】
これにより、
図3に示すように、風呂給湯装置1の水路は、気泡供給水路7となる。この状態では、タンク30の内部で気体溶解水が生成されるとともに、生成した気体溶解水がタンク30から導出され、ノズル2bを介して浴槽2に供給される。
【0091】
ここで、タンク30に加圧された供給湯水が導入される速度は、タンク30から気体溶解水の導出される速度よりも大きい。その結果、タンク30の内部の水位は、時間の経過とともに上昇していく。
【0092】
次に、制御装置39は、第1水位センサ30bによってタンク30の内部の水位が高水位にまで上昇したか否かを判定する(
図6/STEP13)。
【0093】
タンク30の内部の水位が高水位にまで上昇していないと判定された場合(STEP13でNOの場合)、制御装置39は、所定の制御間隔で同じ判定を繰り返す。
【0094】
一方、タンク30の内部の水位が高水位にまで上昇したと判定された場合(STEP13でYESの場合)、制御装置39は、停止を指示する旨の信号が有ったか否かを判定する(
図6/STEP14)。
【0095】
停止を指示する旨の信号が有ったと判定されなかった場合(STEP14でNOの場合)、制御装置39は、給水運転を終了するとともに、給気運転及び残水処理運転を開始する(
図6/STEP15)。
【0096】
具体的には、制御装置39が、閉止弁31aを閉状態にすることと、気体導入弁35aを開状態にすることと、加圧ポンプ31bを停止することと、第1切換弁36及び第2切換弁37を切り換えることとによって、風呂給湯装置1の備えている弁及びポンプを以下の状態(
図5に示す状態)とする。
【0097】
[給気運転及び残水処理運転の実行中の状態]
閉止弁31a:閉状態
加圧ポンプ31b:停止
気体導入弁35a:開状態
第1切換弁36:第1水路31と第4水路34とを接続した状態
第2切換弁37:第2水路32の第1部分32b及び第2部分32cと第3水路33とを接続した状態
循環ポンプ40a:駆動
注水弁41a:閉状態
【0098】
これにより、
図5に示すように、風呂給湯装置1の水路は、排出水路6に第2水路32の第2部分32cが接続された状態となる。この状態では、タンク30の内部に残存する湯水が浴槽2に排出され、第2部分32cの内部に残存していた気体溶解水が排出水路6に引き込まれ、浴槽湯水が第2部分32cに引き込まれる。
【0099】
ここで、第2水路32の第2部分32cは、それほど長い水路ではないので、その内部に残存し得る気体溶解水の量も、それほど多いものとはならない。そのため、予め定められた所定時間(例えば、5秒)で、気体溶解水の排出水路6への引き込みはほぼ完了する。
【0100】
一方で、タンク30の内部に残存している湯水の排出水路6への排出に必要な時間は、タンク30の内部に残存している湯水の量、循環ポンプ40aの駆動状態等によって、変動するおそれがある。そのため、第2水路32の第2部分32cに残存している気体溶解水を排出水路6に引き込むために必要とされる時間だけでは、タンク30の内部に残存している湯水を、十分に排出できないおそれがある。
【0101】
そこで、風呂給湯装置1では、次に、制御装置39は、残水処理運転が開始されてから予め定められた所定時間が経過したか否かを判定する(
図6/STEP16)。
【0102】
ここで、その所定時間は、既知である第2水路32の第2部分32cの長さに応じて定められたものである。すなわち、その所定時間は、第2部分32cの内部に残存している気体溶解水を排出するために必要な時間である。
【0103】
所定時間経過していないと判定された場合(STEP16でNOの場合)、制御装置39は、所定の制御間隔で同じ判定を繰り返す。
【0104】
一方、所定時間が経過したと判定された場合(STEP16でYESの場合)、制御装置39は、第2水位センサ30cによってタンク30の内部の水位が低水位にまで下降したか否かを判定する(
図6/STEP17)。
【0105】
タンク30の内部の水位が低水位にまで下降していないと判定された場合(STEP17でNOの場合)、制御装置39は、給気運転を継続しつつ、残水処理運転を停止する(
図6/STEP18)。
【0106】
具体的には、制御装置39が、第2切換弁37を切り換えることによって、風呂給湯装置1の備えている弁及びポンプを給気運転のみを実行している状態(
図2に示す状態)とする。
【0107】
その後、制御装置39は、所定の制御周期でSTEP17の判定を再度実行する。すなわち、タンク30の内部の水位が低水位になるまで、給気運転のみを実行している状態を継続する。
【0108】
一方、タンク30の内部の水位が低水位にまで下降したと判定された場合(STEP17でYESの場合)、制御装置39は、STEP12~STEP14の処理を再度実行する。具体的には、給気運転を停止し、給水運転を開始した後、給水運転の完了時に、停止を指示する旨の信号が有ったか否かを判定する。
【0109】
そして、前述のように、停止を指示する旨の信号が有ったと判定されなかった場合(STEP14でNOの場合)、制御装置39は、STEP15~STEP18の処理を再度実行する。
【0110】
一方、停止を指示する旨の信号があったと判定された場合(STEP14でYESの場合)、制御装置39は、気体溶解水の生成、及び、生成した気体溶解水の浴槽2への供給を停止して(
図6/STEP19)、今回の処理を終了する。
【0111】
具体的には、制御装置39が、少なくとも、閉止弁31aを閉状態にすることと、加圧ポンプ31b及び循環ポンプ40aを停止することとによって、タンク30への供給湯水の導入、タンク30からの気体溶解水の導出が停止される。例えば、切換制御部39aが、風呂給湯装置1の水路を、気泡供給水路7から循環加熱水路8に切り換える。
【0112】
以上説明したように、風呂給湯装置1に組み込まれている気泡発生装置3では、次回の給水運転の実行前に、タンク30から浴槽2に気体溶解水を導出する第2水路32の第2部分32cに、逆に浴槽2から浴槽湯水を吸い込ませる残水処理運転を実行している。
【0113】
これにより、今回の給水運転の実行後に第2部分32cに残存していた気体溶解水が浴槽2に貯留されている浴槽湯水に置き換わる、又は、その気体溶解水に浴槽湯水が混合されることになる。
【0114】
ここで、浴槽湯水(すなわち、浴槽に供給された後の気体溶解水)は、既に溶解していた気体を開放した後のものであるので、第2部分32cに残存していた気体溶解水(すなわち、タンク30から供給された直後の気体溶解水)に比べ、第2部分32cの内部に存在したとしても、気泡が大きく成長しにくい。また、気体溶解水に浴槽湯水が混合された湯水も、気体溶解水に比べ、第2部分32cの内部に存在したとしても、気泡が大きく成長しにくい。
【0115】
したがって、気泡発生装置3によれば、配管の内部の湯水で気泡が大きく成長しにくいので、次回の給水運転で、大きな気泡を含む気体溶解水を浴槽2に供給してしまうことを抑制することができる。ひいては、浴槽湯水の白濁の度合いの低減を抑制することができる。
【0116】
なお、風呂給湯装置1に組み込まれている気泡発生装置3では、制御装置39が、給気運転の実行中に、第2切換弁37を制御することによって、第2水路32の第1部分32bから第2部分32cに湯水が流れる状態(第1の状態)(
図3参照)から、第2水路32の第1部分32b及び第2部分32cから第3水路33に湯水が流れる状態(第2の状態)(
図5参照)に切り換えて、給気運転と残水処理運転とを同時に実行するように構成されている。
【0117】
これにより、気泡発生装置3では、給気運転及び残水処理運転の実行時間(すなわち、次回の給水運転までの時間)を短縮して、浴槽2の白濁状態を維持しやすくなっている。
【0118】
また、気泡発生装置3では、給気運転及び残水処理運転を同時に実行するとともに、残水処理運転の実行開始後、所定時間経過した段階で、タンク30の内部の水位が低水位となっていなかった場合には、残水処理運転を停止して、給気運転のみを実行するように構成されている。
【0119】
すなわち、既知である第2水路32の第2部分32cの長さに応じて定められた所定時間(すなわち、第2部分32cの内部に残存している気体溶解水を排出するために必要な時間)を経過した後に、まだタンク30の内部に所定量以上の湯水が残存していることが検知された場合には、第2の状態から第1の状態(すなわち、タンク30の内部の湯水のみを回収する状態)に切り換えるように構成されている。
【0120】
このように構成すると、想定以上の湯水がタンク30の内部に残存していたり、ポンプの駆動の状態等の理由でタンク30からの湯水の排出が滞っていたりした場合であっても、第2部分32cの内部の気体溶解水を十分に回収したうえで、タンク30の内部の湯水を迅速に排出させることができる。
【0121】
これにより、気泡発生装置3では、給気運転における湯水の排出のための時間、ひいては、給気運転の実行時間(すなわち、次回の給水運転までの時間)を短縮して、浴槽2の白濁状態を維持しやすくなっている。
【0122】
しかし、本発明の気泡発生装置は、そのような構成に限定されるものではなく、給水運転の実行後、次回の給水運転の実行前に、残水処理運転が実行されるものであればよい。そのため、例えば、給気運転の実行前又は実行後に、残水処理運転を実行するように構成してもよい。
【0123】
[変形例]
ところで、前述のように、風呂給湯装置1は、追い焚き運転を実行可能なものとして構成されている。
【0124】
そして、追い焚き運転を実行する場合、風呂給湯装置1の水路は、
図4に示すように、循環加熱水路8に湯水が循環する状態となっている。このとき、風呂給湯装置1の備えている弁及びポンプは、以下の状態になっている。
【0125】
[追い焚き運転の実行中の状態]
閉止弁31a:閉状態
加圧ポンプ31b:停止
気体導入弁35a:閉状態
第1切換弁36:第1水路31と第4水路34とを接続した状態
第2切換弁37:第2水路32の第2部分32cと第3水路33とを接続した状態
循環ポンプ40a:駆動
注水弁41a:閉状態
【0126】
このとき、浴槽2の湯水は、循環加熱水路8に流れ込む。その後、循環加熱水路8の内部を流れる湯水は、循環加熱水路8の一部である循環水路40の第1熱源部40bが設けられている部分を通過する際に加熱されて、浴槽2に再度供給される。
【0127】
ここで、循環加熱水路8は、第2水路32の第2部分32cを含むものとなっている。そこで、この循環加熱水路8を用いて、残水処理運転を実行するように構成してもよい。
【0128】
具体的には、給水運転の実行後、次回の給水運転の実行前に、風呂給湯装置1の水路を、循環加熱水路8と同様の状態とするとともに、一時的に循環ポンプ40aを逆転駆動させて、第2水路32の第2部分32cの内部に残存していた気体溶解水を、浴槽2に押し出すように構成してもよい。
【0129】
そのように構成すると、気体溶解水が第2部分32cに残存しなくなるので、次回の給水運転までの間に、第2部分32cに存在している湯水の内部で、気泡が大きく成長するおそれがない。
【0130】
この結果、第2部分32cの内部の湯水で気泡が大きく成長しないので、次回の給水運転で、大きな気泡を含む湯水を浴槽2に供給してしまうことを抑制することができる。ひいては、浴槽湯水の白濁の度合いの低減を抑制することができる。
【0131】
[その他の実施形態]
以上、図示の実施形態について説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
【0132】
例えば、
図1~
図5等に示すように、上記実施形態においては、残水処理運転の際に第2水路32の第2部分32cから気体溶解水を回収するための駆動源(第2のポンプ、第3のポンプ)として、熱源機4の備えている循環ポンプ40aを利用している。しかし、本発明の循環ポンプは、必ずしも熱源機に配置されているものを利用しなくてもよく、独立したポンプを採用してもよい。
【0133】
例えば、上記実施形態における風呂給湯装置1において、第1水路31に介装されている加圧ポンプ31bを、同じく第1水路31に介装されている閉止弁31aよりも第1切換弁36側に配置して、その加圧ポンプ31bを、本発明における第2のポンプ又は第3のポンプとして利用してもよい。
【符号の説明】
【0134】
1…風呂給湯装置、2…浴槽、2a…アダプタ、2b…ノズル、3…気泡発生装置、4…熱源機、5…水供給源、6…排出水路、7…気泡供給水路、8…循環加熱水路(循環用水路)、30…タンク、30a…噴射ノズル、30b…第1水位センサ、30c…第2水位センサ、31…第1水路(湯水導入路)、31a…閉止弁(湯水導入弁)、31b…加圧ポンプ(第1のポンプ)、32…第2水路、32a…逆止弁、32b…第1部分、32c…第2部分(湯水導出路)、33…第3水路、34…第4水路、35…気体導入路、35a…気体導入弁、36…第1切換弁、37…第2切換弁、38…切換装置、39…制御装置、39a…切換制御部、39b…タイマ、39c…ポンプ制御部、40…循環水路、40a…循環ポンプ(第2のポンプ、第3のポンプ)、40b…第1熱源部、41…注水路、41a…注水弁、41b…第2熱源部。