(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】内臓神経の血管内アブレーションの為の方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20230821BHJP
【FI】
A61B18/14
(21)【出願番号】P 2020540716
(86)(22)【出願日】2019-01-28
(86)【国際出願番号】 US2019015400
(87)【国際公開番号】W WO2019148094
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-12
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519030774
【氏名又は名称】アクソン セラピーズ,インク.
【氏名又は名称原語表記】AXON THERAPIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】パネスク,ドリン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,アンドリュウ
(72)【発明者】
【氏名】エンジェルマン,ゾアル,ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】ゲルファンド,マーク
(72)【発明者】
【氏名】リャン,マーク,エス.
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-536186(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0189972(US,A1)
【文献】特表2017-536187(JP,A)
【文献】特表2003-526481(JP,A)
【文献】米国特許第05928229(US,A)
【文献】特開2017-035519(JP,A)
【文献】国際公開第2001/66177(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00-18/00
A61F 2/01
A61N 7/00
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内静脈穿刺用デバイスであって、
a.カテーテル長軸(104、604)に沿って延在し、カテーテル近位部分とカテーテル遠位部分を有する長形のカテーテル(102、602)と、
b.鈍端である針ガイド遠位端(103、622a)を有する針ガイド(101、620a)であって、前記針ガイド(101、620a)は、前記カテーテル(102、602)から、針ガイド格納位置から針ガイド作動位置へと展開可能であり、前記針ガイド作動位置において、前記針ガイド遠位端(103、622a)は、前記カテーテル(102、602)から半径方向に離隔しており、前記針ガイド格納位置において、前記針ガイド遠位端(103、622a)は、前記針ガイド作動位置に対して前記カテーテル(102、602)の方に引き込まれる、前記針ガイドと、
c.鋭利な穿刺端(107)を有する針(105、628a)であって、前記針(105、628a)は、前記針ガイド(101、620a)内から、針格納位置から穿刺位置へと展開可能であり、前記針格納位置において、前記穿刺端(107)は、前記針ガイド遠位端(103、622a)より内側にあり、前記穿刺位置において、前記穿刺端(107)は、前記針ガイド遠位端(103、622a)から突出する、前記針と、を備え、
前記針(105、628a)内から、送達デバイス格納位置から送達デバイス処理位置へと展開可能な送達デバイス(115)を更に備
え、
前記送達デバイス(115)は、鈍端である送達デバイス遠位端(117)を有し、
前記送達デバイス処理位置において、前記送達デバイス遠位端(117)は、針穿刺距離より大きい送達距離だけ前記穿刺端(107)より外に突出している、
血管内静脈穿刺用デバイス。
【請求項2】
前記送達デバイス(115)は、流体送達デバイス、熱エネルギー送達デバイス、無線周波数エネルギー送達デバイス、極低温エネルギー送達デバイス及び電気エネルギー送達デバイスのうち少なくとも1つである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記送達距離は
、3mm~15mm、又は、4mm~6mmである、請求項
1に記載のデバイス。
【請求項4】
-前記カテーテル(102、602)は、カテーテル外径(110)を有し、
-前
記穿刺位置において、前記穿刺端(107)は、前記カテーテル外径(110)より小さい針展開距離(113)だけ前記針ガイド遠位端(103、622a)から離隔しており、
-前記針ガイド作動位置において、前記針ガイド遠位端(103、622a)は、前記カテーテル外径(110)より小さい針ガイド展開距離(111)だけ前記カテーテルから半径方向に離隔している、
請求項1から
3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記針展開距離(113)は、2mm未満
、又は、1mm未満である、請求項
4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記針ガイド展開距離(111)は、
0.5mm~6mm、0.5mm~3mm、又は、2mm~6mmである、請求項
4又は5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記カテーテル外径に前記針ガイド展開距離(111)を加えたものは、前記針ガイドが完全に展開した時に、2~4mmの範囲又は3.5~6.5mmの範囲の距離に等しい、請求項
4から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記カテーテル(102、602)は、周方向外面と、前記周方向外面内の第1のサイドポートを備え、前記針ガイドは、前記第1のサイドポートから展開可能である、請求項1から
7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記カテーテル(102、602)は、
カテーテル長軸(104、604)に沿ってその中を延びるガイドワイヤルーメンを備え、前記カテーテル遠位部分は、ガイドワイヤ出口ポート(112)を備え、前記カテーテル(102、602)は、遠位端面と周方向外面を備え、前記ガイドワイヤ出口ポート(112)は、前記遠位端面と前記周方向
外面で、且つ両面に跨って開いたノッチを備える、請求項1から
8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
-前記針ガイド(101、620a)は、前記カテーテル(102、602)の第1の周方向位置において、前記カテーテル(102、602)から展開可能であり、
-前記ノッチは、前記第1の周方向位置の30度以内であるノッチ周方向位置において、前記周方向
外面において開いており、
-前記ノッチ周方向位置は、前記第1の周方向位置と整列している、
請求項
9に記載のデバイス。
【請求項11】
a.前記カテーテル(602)から展開可能な第2の針ガイド(620b)と、
b.前記第2の針ガイド(620b)からその中において展開可能な第2の針(628b)であって、前記針ガイド(620a)は、前記カテーテル(602)上の第1の長手方向位置において、前記カテーテル(602)から展開可能であり、前記第2の針ガイド(620b)は、前記カテーテル(602)上の第2の長手方向位置において、前記カテーテル(602)から展開可能であり、前記第2の長手方向位置は前記第1の長手方向位置から離隔している、前記第2の針と、を備え、
前記針ガイド(620a)は、前記カテーテル(602)上の第1の円周方向位置において、前記カテーテル(602)から展開可能であり、前記第2の針ガイド(620b)は、前記カテーテル(602)上の第2の円周方向位置において、前記カテーテル(602)から展開可能であり、前記第2の円周方向位置は、前記第1の円周方向位置と整列している、
請求項1から
10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記針ガイド(620a)及び前記針(628a)は、
前記カテーテルの遠位端におけるノッチ(642)から、1.5cm
と2.5cmとの間の間隔だけ長手方向に離隔しており、前記第2の長手方向位置は、前記第1の長手方向位置から
、3cm
と5cmとの間の間隔だけ離隔している、請求項
11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記送達デバイス(115)は、前記送達デバイス処理位置にある時、送達距離(99)だけ前記穿刺端(107)より外に突出している、請求項1から
12のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2018年1月26日に出願された米国仮特許出願第62/622,407号、2018年2月1日に出願された米国仮特許出願第62/625,183号及び2018年2月1日に出願された米国仮特許出願第62/625,195号の優先権を主張し、これら出願はあらゆる目的の為に参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0002】
(参照による援用)
本明細書で言及する全ての公報及び特許出願は、個々の公報又は特許出願が恰も具体的且つ個々に参照により組み込まれたと示されるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本明細書は、米国特許出願公開第2018/0110561号、PCT国際公開特許出願WO2018/023132、及びPCT/US2018/066047(2018年12月17日出願)の主題に関連し、これらはあらゆる目的でその全体を参照により本明細書に援用する。
【0004】
本発明は、内臓神経の血管内アブレーションの為の方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0005】
心不全(HF)は、心臓が体内の臓器を維持する為に十分にポンピングできない場合に発生する病状である。心不全は重症であり、米国及び世界中で数百万人の患者を侵している。
【0006】
心臓の健康状態の1つの一般的指標は、左室駆出率(LVEF)又は駆出率である。定義では、収縮直前の心室内の血液量は、拡張末期容積(EDV)として知られる。同様に、収縮の末期に心室に残った血液の容積は、収縮末期容積(ESV)である。EDVとESVの差が一回拍出量(SV)である。SVは、各心拍毎に右心室及び左心室から駆出される血液量を表す。駆出率(EF)は、各心拍毎に駆出されるEDVの率であり、即ち、SVをEDVで割ったものである。心拍出量(CO)は、心臓の各心室によって毎分送り出される血液の量として定義される。COは、SVに心拍数(HR)を掛けたものに等しい。
【0007】
心筋が弱る、伸びる、又はその他の構造的問題を呈する心筋症は更に、心室駆出率に基づいて、収縮性機能障害と拡張性機能障害に分類され得る。
【0008】
幾つかの薬物療法は収縮性機能障害及びHFrEFを有効に対象にしているが、拡張性機能障害及びHFpEFを患う患者の大集団に対して、見込みのある療法は未だ特定されていない。HFrEFとHFpEFを両方患っている患者の臨床経過は、呼吸困難、運動耐容能低下、末梢浮腫などの症状を伴う急性非代償性心不全(ADHF)の再現性発現には重要である。ADHFでの再入院は現在のヘルスケアリソースの大きな部分を使用し、莫大なコストを生み続ける可能性がある。
【0009】
HFの病態生理に関する理解は深まりつつあるが、現代の医薬は、これまで、HF又は再発性ADHFの症状の慢性期治療の為の新たな療法の開発には成功していない。過去数十年にわたり、ADHF治療及び防止の戦略は、塩分と水分の保持が血管内の液体膨張及び心臓の代償不全の原因であるとする伝統的なパラダイムにフォーカスしてきており、今後もそうであり続ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、安全且つ有効な、心不全患者の為の改良された療法、及びこれらの療法を実行するように適合され構成されたデバイスとシステムに対する必要が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下の発明の概要の第1の部分は、1つ以上の胸内臓神経又は神経根(例えば、大内臓神経又は神経根)の血管内アブレーションの方法の種々の態様を読者に紹介することを意図しているが、必ずしも発明を定義又はその範囲を定める、又は開示を限定する意図はない。
【0012】
本開示は、1つ以上の胸内臓神経又は胸内臓神経根を焼灼する方法、デバイス及び手法に関する。アブレーションは、高血圧及び心不全のうち少なくとも1つを治療する為に実行され得るが、他の治療の為に一般的方法も使用されてよい。例えば、本明細書の方法は、痛みの治療に使用されることができ、又は、内臓床から胸部中枢静脈に排出される血の量を低減して患者に一般に役立つことまでもできる。
【0013】
本明細書の治療は、内臓容量を増加させることによって達成され得る。療法は一般に、患者の節前胸内臓神経又は胸内臓神経枝のうち1つ以上を焼灼して内臓容量を増加させ、それによって高血圧及び心不全のうち少なくとも1つを治療することを含む。
【0014】
本明細書の方法は、大内臓神経又は大内臓神経根等の胸内臓神経を焼灼することについて説明する。本明細書の方法は、大内臓神経又は大内臓神経根を標的にする特定の例を提示することがあるが、それは、他の胸内臓神経(例えば、小、最小)を焼灼して、本明細書の1つ以上の治療を実行することの代替又は追加である可能性がある。
【0015】
本開示の1つの態様は、医療デバイスを血管内に、標的組織近傍に位置決めし、医療デバイスを用いて組織を焼灼して損傷部を形成することによって組織を焼灼する方法である。本開示の1つの態様は、医療デバイスを血管内に、1つ以上の標的血管内に位置決めし、医療デバイスを用いて組織を焼灼して損傷部を形成することによって組織を焼灼する方法である。本開示の方法はこのように、医療デバイスを焼灼対象の標的組織付近に配置する方法及び/又は医療デバイスを1つ以上の血管内に位置決めする方法として記述され得、標的組織は、1つ以上の血管内の標的領域に比較的接近している。本明細書のいずれの方法ステップも(例えば、限定はしないが、請求項内、または説明部分を含む)、本明細書で特に相反する示唆がない限り、本明細書の任意の他の方法に組み込まれ得る。
【0016】
本開示の1つの態様は、大内臓神経又は大内臓神経根を焼灼して内臓静脈血容量を増加させる方法であり、方法は、医療デバイスを第1の血管内に前進させ、医療デバイスを第2の血管内に前進させ、医療デバイスからアブレーションエネルギーを送達して、第1の血管を包囲する組織内に損傷部を形成することを含む。
【0017】
幾つかの実施形態では第1の血管は奇静脈であり第2の血管は肋間静脈である。
【0018】
幾つかの実施形態では、肋間静脈は3つの最下肋間静脈のうち1つである。
【0019】
幾つかの実施形態では、肋間静脈はT9、T10又はT11肋間静脈である。
【0020】
方法は、エネルギーを送達する場合に、アブレーション要素の遠位端を第2の血管内に、且つ第1の血管と第2の血管との接合部から30mm以内(例えば、20mm、15mm、12mm)のところに位置決めすることを含み得る。
【0021】
方法は、エネルギーを送達する場合に、アブレーションの近位部分を第2の血管内に位置決めすることを含み得る。
【0022】
方法は、医療デバイスの流体ルーメンから膜に流体を送達することを含んでよく、膜は少なくとも部分的に流体チャンバを画定する。流体を送達すると、膜を膨張させ、膜を、拡張構成又は拡張状態に変化させ得る。膜を拡張させると、膜は、血管のサイズよりも大きい外径を有するようになり得る。
【0023】
方法は、アブレーション要素を第2の血管の壁と接触させて位置決めする、任意選択的に、アブレーション要素の全長に沿って、又は少なくともアブレーション要素の有効アブレーション長さに沿って位置決めすることを含み得る。
【0024】
方法は、膜を、2~4mmの外径を有するように拡張させることを含み得る。
【0025】
損傷部を形成することは、アブレーション要素の周囲に少なくとも5mmの深さを有する損傷部を形成することを含み得る。
【0026】
損傷部を形成することは、胸内臓神経又は胸内臓神経根の一部、例えば、大内臓神経又はGSN根を焼灼することを含み得る。
【0027】
損傷部は途切れない損傷部であり得る。損傷部は、5~20mmの長さ、例えば10~20mm、12~18mmの長さを有し得る。
【0028】
損傷部は、第2の血管の周囲全体に亘る周方向損傷部であり得る。損傷部は、第2の血管の周囲全体に亘る周長未満、例えば、225度以下、180度以下、135度以下、90度以下、45度以下に亘っていてよい。
【0029】
方法は、アブレーション要素全体を第2の血管内に位置決めすることを含み得るが、その一方で、方法は、アブレーション要素の全長に満たない部分を第2の血管内に位置決めすることも含み得る。
【0030】
方法は、アブレーションプロセスを、肋間静脈又は奇静脈等の2つ以上の標的血管内で実行することを含み得る。本明細書のアブレーション方法は、第2の血管内でも実行され得る。
【0031】
方法は、本明細書の試験のうちいずれか等のアブレーション確認試験を実行することを含み得る。望ましい場合又は必要な場合、アブレーション要素は、奇静脈又は別の肋間静脈であり得る第2の標的血管に再配置され得る。
【0032】
方法は、1~20mmの長さ、例えば、5~20mmの長さ、例えば10~20mmの長さを有する途切れない損傷部を形成し得る。
【0033】
方法は、アブレーションエネルギーの送達前、送達中及び/又は送達後に、医療デバイスによって担持される第1の刺激電極と第2の刺激電極のうち少なくとも1つに刺激エネルギーを送達することも含み得る。刺激エネルギーを送達することは、アブレーション要素が肋間静脈内の標的位置にあるかどうか、及び/又はアブレーション手順が有効であったかを判断することを補助し得る。
【0034】
本開示の1つの態様は、高血圧及び心不全のうち少なくとも1つを治療する為に胸内臓神経又は胸内臓神経根を焼灼する方法であって、長形医療デバイスを肋間静脈内に前進させることを含み、長形医療デバイスは、医療デバイスの遠位領域に配置されたアブレーション部材を備え、更に、アブレーション部材を肋間静脈内で拡張し、アブレーション部材を作動させて肋間静脈周囲の組織内に電磁場を形成することを含む。方法は、肋間静脈を包囲する組織を99℃の温度まで加熱して、胸内臓神経又は胸内臓神経根を焼灼することを含み得る。
【0035】
本開示の1つの態様は、標的組織の経血管アブレーションの方法であって、方法は、アブレーションカテーテルを、患者の血管系を介して第1の血管に送達することを含み、アブレーションカテーテルは少なくとも1つのエネルギー送達要素を備え、少なくとも1つのエネルギー送達要素を第2の血管内に前進させ、第2の血管は第1の血管に直接接続しており、更に、少なくとも1つのエネルギー送達要素からアブレーションエネルギーを標的組織に送達することを含む。アブレーションカテーテルは、第2の血管の直径の1mm以内である直径を有する(例えば、第2の血管の直径よりも1mm少ない、又は1mm大きい)少なくとも1つのRF電極を含み得る。
【0036】
エネルギー送達要素は、RF電極、マイクロ波アンテナ、超音波トランスデューサ、極低温アプリケータ及び/又は熱素子を含み得る。少なくとも1つのエネルギー送達要素を前進させるステップは、第1の血管から第2の血管へと、エネルギー送達要素の遠位端を30mm以下、例えば20mm以下前進させることを含み得る。一実施形態では、少なくとも1つのエネルギー送達要素は、前進ステップ中と、アブレーションエネルギーを送達するステップ中では同じ直径を有する。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのエネルギー送達要素は、前進ステップ中よりもアブレーションエネルギーを送達するステップ中により大きい直径を有する。
【0037】
別の方法の文脈で説明された本明細書の別の方法ステップはいずれも、この例示的方法で実行され得る。
【0038】
本開示のもう1つの態様は、以下のステップを含む大内臓神経の経血管アブレーションの方法である:遠位領域と、その遠位領域上のアブレーション要素と、アブレーション要素に対して遠位及び近位に配置された2つの神経刺激電極を備えたアブレーションカテーテルを肋間静脈に送達するステップ、アブレーション要素を肋間静脈内の標的領域に位置決めするステップ、アブレーションカテーテルからエネルギーを送達せずに第1の生理的条件を測定して基準反応を定立するステップ、神経刺激信号をバイポーラモードで2つの神経刺激電極に送達するステップ、神経刺激信号送達中に第2の生理的条件を測定し、第2の生理的条件が、第1の生理的条件に比べて交感反応の増加を示した場合に、アブレーション要素からアブレーションエネルギーを送達するステップ、アブレーションエネルギー送達後又はアブレーションエネルギー送達中に、第2の神経刺激信号を送達して第3の生理的条件を測定し、第3の生理的条件が、第1の生理的条件に比べて交感反応の減少を示した場合に、カテーテルを患者から取り外すステップ、アブレーション要素の肋間静脈内での位置を調節するか、又は異なる肋間静脈に移動させて、第2の生理的条件が、第1の生理的条件に比べて交感反応の増加を示さない場合は、神経刺激信号を送達するステップからアブレーションエネルギーを送達するステップまでを繰り返すステップ、アブレーション要素を隣接する肋間静脈に移動させて、第3の生理的条件が、第1の生理的条件に比べて交感反応の減少を示さない場合に、神経刺激信号を送達するステップからアブレーションエネルギーを送達するステップまでを繰り返すステップ。
【0039】
生理的条件は例えば静脈コンプライアンスであってよく、測定は、下肢挙上テスト、握力テスト、及び/又はSNSを活性化する検査であり得る。
【0040】
本明細書のいずれの神経刺激信号も、例えば50Hz1Vを含んでよい。
【0041】
本開示の1つの態様は、エネルギー送達要素(又は部材)を備えたアブレーションカテーテルを患者の静脈系を介して送達し、T9、T10及びT11肋間静脈から選択された静脈内部にエネルギー送達要素を少なくとも部分的に(任意選択的に完全に)位置決めし、エネルギー送達要素からアブレーションエネルギーを送達して、少なくとも5mmの深さと、10~20mmの長さを有する途切れない損傷部を形成することを含む方法である。途切れない損傷部とそのパラメータは、損傷部を形成する特定のエネルギー送達パラメータを選択又は選定することによって形成され得る。幾つかの実施形態では、損傷部は、奇静脈口から肋間静脈に沿って20mmまで延出し得る。
【0042】
他の方法の文脈で説明された本明細書の何れの他の方法ステップでも、この例示的方法で実行され得る。
【0043】
本明細書の幾つかの別の方法では、複数のアブレーション(即ち、アブレーションエネルギーオンからエネルギーアブレーションオフへ)が、単一の標的血管(例えば、肋間静脈)内で実行されて、複数のアブレーションから形成された2つ以上の損傷部から、総合損傷部を形成することができる。複数の損傷部から形成された総合損傷部は、本明細書の他の損傷部の特徴のうち何れを有していてもよい。例えば、総合損傷部は途切れないものであってよく(別々のアブレーション中に形成された複数の損傷部の連結によって形成される)、長さ20mmまでであってよく、周方向である(又は周方向でない)等であり得る。第1のアブレーション後に、アブレーションデバイスは同じ血管内で移動されて第2の損傷部を形成してもよく、第2の損傷部は第1の損傷部と重複しても重複しなくてもよい。これを所望の回数繰り返してよい。複数のアブレーションが単一の血管に行われる場合であっても、本明細書の刺激又は検査ステップは何れも、任意のアブレーションステップの前、その最中又はその後に実行され得る。
【0044】
本開示の1つの態様は、患者の大内臓神経又は大内臓神経根の血管内アブレーション向けに適合されたアブレーションデバイス(例えば、アブレーションカテーテル)である。デバイスは、遠位部分及び近位部分を有する可撓性シャフトと、遠位部分によって(直接又は間接的に)担持される少なくとも1つのアブレーション要素を含んでよく、少なくとも1つのアブレーション要素は、1~20mm(任意選択的に5~20mm)の有効アブレーション長さと、2~4mmの外径を有する。有効アブレーション長さは、10~20mm、例えば12~18mmであり得る。
【0045】
本開示の1つの態様は、患者の大内臓神経又は大内臓神経根の血管内アブレーションの為のアブレーションデバイスであって、遠位部分及び近位部分を有する可撓性シャフトと、可撓性シャフトの少なくとも一部分を通って延在する流体ルーメンと、遠位部分に配置された少なくとも1つのアブレーション要素を含み、少なくとも1つのアブレーション要素は、1~20mm(例えば5~20mm)の有効アブレーション長さと、2~4mmの外径を有する膜を備え、膜は、流体ルーメンと連通する流体の内容積を画定する。
【0046】
本明細書の何れのアブレーションデバイスでも、アブレーション要素は、配置された血管の周囲に周方向損傷部を形成するように適合され構成され得る。
【0047】
本明細書の何れのアブレーションデバイスでも、アブレーション要素は、配置された血管の周囲に全周に満たない損傷部を形成するように適合され構成され得る。
【0048】
本明細書の何れのアブレーションデバイスでも、少なくとも1つのアブレーション要素の有効アブレーション長さは10~20mm、例えば12~18mmであり得る。
【0049】
本明細書の何れのアブレーションデバイスでも、可撓性シャフトの遠位部分は少なくとも90度の曲げ角及び4~15mmの曲げ半径で屈曲するように適合され構成され得る。
【0050】
本明細書の何れのアブレーションデバイスでも、少なくとも1つのアブレーション要素は、5~20mmの長さと1.5~2.5mmの外径の送達構成を有するように適合され構成され得る。
【0051】
本明細書の何れのアブレーションデバイスでも、デバイスは更に、アブレーション要素に対して近位に配置された近位刺激電極と、アブレーション要素に対して遠位に配置された遠位刺激電極を含んでよく、任意選択的に、近位刺激電極及び遠位刺激電極は夫々、アブレーション要素から5mm以下のところにある。
【0052】
本明細書の何れのアブレーションデバイスでも、デバイスは更に、アブレーション要素に対して近位に配置された近位刺激電極と、アブレーション要素に対して遠位に配置された遠位刺激電極を含んでよく、近位刺激電極と遠位刺激電極は25mm以下の距離だけ離隔され得る。
【0053】
本明細書の何れのアブレーションデバイスでも、有効アブレーション長さは12~18mmであってよい。
【0054】
本明細書の何れのアブレーションデバイスでも、前記可撓性シャフトの遠位部分は、少なくとも90度の曲げ角と4~15mmの曲げ半径に従って屈曲するように構成され得る。
【0055】
本明細書の何れのアブレーションデバイスでも、デバイスは更に、任意選択的にアブレーション要素内部に配置された少なくとも1つの温度センサを含んでよい。少なくとも1つのアブレーション要素と少なくとも1つの温度センサは、アブレーションエネルギー源に接続可能であってよい。
【0056】
本明細書の何れのアブレーションデバイスでも、1つ以上の神経刺激電極は1.5mm+/-0.5mmの長さであってよい。
【0057】
本明細書の何れのアブレーションデバイスでも、デバイスは更に、アブレーション要素の外部の温度センサを備えてよく、それは、アブレーション要素の表面によって担持されることも含み得る。
【0058】
本明細書の何れのアブレーションデバイスでも、アブレーション要素は、遠位領域の外周のセグメントから焼灼エネルギーを放出するように構成され得る。例えば、セグメントは、外周の50%、40%、30%又は25%というリストから選択された外周のパーセンテージであってよい。セグメントは、225度未満、180度以下、135度以下、90度以下又は45度以下等の角度としても記述され得る。焼灼エネルギーを放出するように適合されていない外周の残りの部分は任意選択的に、電気抵抗性材料(例えば、膜層上又は膜層内に配置された)を備えてもよい。任意選択的に、セグメントは、シース内の穿孔によって画定され得る。デバイスの遠位領域は更に、径方向配向を指示するように構成されたX線不透過性マーカーを備えてよい。例えば、X線不透過性マーカーは焼灼エネルギーを放射するように適合されたセグメントと半径方向に整列してよい。
【0059】
本明細書の何れのアブレーションデバイスでも、遠位先端部は、第1の血管から、より小さい管腔径を有する第2の血管への送達を促進する為にテーパ状になっていてよい。
【0060】
本明細書の何れのアブレーションデバイスでも、デバイスは更に、長形管状シャフトよりも大きい可撓性を有する遠位管状延長部を備えてよく、ガイドワイヤルーメンは任意選択的に、遠位管状延長部を通って延在する。
【0061】
本明細書の何れのアブレーションデバイスでも、アブレーション要素の有効アブレーション長さは、アブレーションステップ中に、組織と接触する、又は組織と接触するように構成されたアブレーション要素の長さと考えられる。
【0062】
以下の、発明の概要の第2の部分は、読者に、血管内静脈穿刺の為のデバイスの種々の態様を紹介することを意図したものであるが、何れの発明をも定義又はその限界を定めることを意図してはいない。
【0063】
血管内静脈穿刺用デバイスの第1の態様によれば、デバイスは、カテーテル長軸に沿って延在しカテーテル近位部分とカテーテル遠位部分を有する長形カテーテルを含む。デバイスは更に、針ガイド遠位端を有する針ガイドを含む。
【0064】
第1の態様に係る第2の態様では、針ガイドは鈍端である針ガイド遠位端を有する。
【0065】
第1乃至第2の態様の何れか一態様に係る第3の態様では、針ガイドは、カテーテルから、針ガイド格納位置から針ガイド作動位置へと展開可能である。針ガイド作動位置において、針ガイド遠位端はカテーテルから半径方向に離隔しており、針ガイド格納位置において、針ガイド遠位端は、針ガイド作動位置に相対してカテーテルの方に引き込まれる。
【0066】
第1乃至第3の態様のうち何れか一態様に係る第4の態様では、デバイスは更に、鋭利な穿刺端を有する針を含む。針は、針格納位置から穿刺位置へと針ガイド内で展開可能である。針格納位置では、穿刺端は針ガイド遠位端より内側にあり、穿刺位置では、穿刺端は針ガイド遠位端より外に延出する。
【0067】
第1、第2、第4の態様と組み合わせた、第3の態様に係る第5の態様では、カテーテルはカテーテル外径を有する。言い換えると、カテーテルの断面は、前記外径を有する実質的に円形の外周面を提示し得る。
【0068】
第5の態様に係る第6の態様では、穿刺位置において、穿刺端はカテーテル外径未満である針展開距離だけ針ガイド遠位端から離隔している。
【0069】
第6の態様に係る第7の態様では、針展開距離は2mm未満、又は1mm未満であり得る。
【0070】
第5乃至第7の態様のうち何れか一態様に係る第8の態様では、針ガイド作動位置において、針ガイド遠位端は、カテーテル外径未満である針ガイド展開距離だけカテーテルから半径方向に離隔している。
【0071】
第8の態様に係る第9の態様では、針ガイド展開距離は約0.5~6mm、又は約0.5~約3mm、又は約2~約6mmであり得る。
【0072】
第1、第2、第4乃至第9の態様のうち何れか一態様と組み合わせた、第3の態様に係る第10の態様では、カテーテルは、周方向外面と、その周方向外面内の第1のサイドポートを有し、針ガイドは第1のサイドポートから展開可能である。
【0073】
第1、第2、第3、第5乃至第10の態様のうち何れか一態様と組み合わせた、第4の態様に係る第11の態様では、デバイスは更に、針内から、送達デバイス格納位置から送達デバイス処理位置へと展開可能な送達デバイスを含む。
【0074】
第11の態様に係る第12の態様では、送達デバイスは、流体送達デバイス、熱エネルギー送達デバイス、無線周波数エネルギー送達デバイス、極低温エネルギー送達デバイス及び電気エネルギー送達デバイスのうち少なくとも1つであり得る。
【0075】
第11及び第12の態様の何れか一態様に係る第13の態様では、送達デバイスは鈍端である送達デバイス遠位端を有し得る。
【0076】
第11、第12及び第13の態様のうち何れか一態様に係る第14の態様では、送達デバイス処理位置において、送達デバイス遠位端は、穿刺距離より大きい送達距離だけ穿刺端を超えて延出し得る。
【0077】
第14の態様に係る第15の態様では、送達距離は、15mmまで、又は約3~約7mm、又は約4~約6mmであり得る。
【0078】
第1乃至第15の態様のうち何れか一態様に係る第16の態様では、カテーテルは、カテーテル軸線に沿ってカテーテルを通じて延在するガイドワイヤルーメンを含み、カテーテル遠位部分は、ガイドワイヤ出口ポートを有する。
【0079】
第16の態様に係る第17の態様では、カテーテルは遠位端面と周方向外面を含み、ガイドワイヤ出口ポートは、遠位端面と周方向面で、及び遠位端面と周方向面の間で開いたノッチである。
【0080】
第3の態様及び第17の態様に係る第18の態様では、針ガイドは、カテーテル上の第1の周方向位置でカテーテルから展開可能であり、ノッチは、第1の周方向位置の30度以内であるノッチ周方向位置で周方向面で開いている。任意選択的に、ノッチ周方向位置は第1の周方向位置と整列され得る。
【0081】
第3乃至第18の態様のうち何れか一態様に係る第19の態様では、デバイスは更に、カテーテルから展開可能な第2の針ガイドと、第2の針ガイド内から展開可能な第2の針を含む。
【0082】
第19の態様に係る第20の態様では、針ガイドは、カテーテル上の第1の長手方向位置でカテーテルから展開可能であり、第2の針ガイドは、カテーテル上の第2の長手方向位置でカテーテルから展開可能である。
【0083】
第20の態様に係る第21の態様では、第2の長手方向位置は第1の長手方向位置から離隔している。
【0084】
第19乃至第21の態様のうち何れか一態様に係る第22の態様では、針ガイドは、カテーテル上の第1の周方向位置でカテーテルから展開可能であり、第2の針ガイドはカテーテル上の第2の周方向位置でカテーテルから展開可能である。任意選択的に、第2の周方向位置は第1の周方向位置と整列され得る。
【0085】
第1乃至第22の態様のうち何れか一態様に係る第23の態様では、デバイスは少なくとも第1のX線不透過性マーカーを含む。第1のX線不透過性マーカーは、カテーテル、針ガイド又は針上にあり得る。
【0086】
第23の態様に係る第24の態様では、第1のX線不透過性マーカーはカテーテル上にあり、カテーテルの回転配向を指示するように構成される。
【0087】
第23及び第24の態様のうち何れか一態様に係る第25の態様では、第1のX線不透過性マーカーはX線不透過性材料製である。
【0088】
第23乃至第25の態様のうち何れか一態様に係る第26の態様では、第1のX線不透過性マーカーは非対象形状であり、任意選択的に第1のX線不透過性マーカーはN字形である。
【0089】
第23乃至第26の態様のうち何れか一態様に係る第27の態様では、デバイスは更に、カテーテル上にあり、カテーテルの回転位置が設定公差内にある場合に視覚的に指示するように構成された1つの付加的なX線不透過性マーカーを含む。
【0090】
第27の態様に係る第28の態様では、付加的なX線不透過性マーカーは2本の線を含み、その中心は第1のX線不透過性マーカーから周方向に約180度離隔しており、その結果、配向が設定公差内である場合に第1のX線不透過性マーカーが付加的なX線不透過性マーカーの両線の間に現れる。
【0091】
第3乃至第28の態様のうち何れか一態様に係る第29の態様では、針ガイド作動位置において、針ガイドは真直ぐであるか、又は湾曲しておりカテーテル軸線に対して傾斜しているかの何れかである。
【0092】
第3乃至第29の態様のうち何れか一態様に係る第30の態様では、デバイスは、
針ガイドの、針ガイド格納位置から針ガイド作動位置への展開を引き起こし、
針の、針格納位置から穿刺位置への展開を引き起こす、
ように構成されたコントローラを備えている。
【0093】
第11乃至第15の態様のうち何れか一態様と組み合わせた第30の態様に係る第31の態様において、コントローラは更に、送達デバイスの、送達デバイス格納位置から送達デバイス処理位置への展開を引き起こすように構成される。
【0094】
第30及び第31の態様のうち何れか一態様に係る第32の態様において、コントローラはアナログ若しくはデジタル回路又はそれらの組み合わせであり、コントローラは、コントローラからのコマンドによって上述の展開可能構成要素の展開を引き起こすように構成された適切なアクチュエータ(電動モータ、空気圧式若しくは油圧式アクチュエータ又は他のタイプのアクチュエータ若しくはモータ等)に接続されている。
【0095】
第11乃至第15の態様のうち何れか一態様に係る第33の態様において、送達デバイスは、源から極低温エネルギー送達デバイスの遠位端への極低温流体の送達の為の第1のルーメンと、極低温流体を源に戻す為の第2のルーメンを含む極低温エネルギー送達デバイスである。
【0096】
第33の態様に係る第34の態様において、極低温流体の源は、流体リザーバと、流体リザーバと第1のルーメンの間の供給弁と、戻った極低温流体を大気中に排出する為の、第2のルーメンの出口の圧力解放弁と、供給弁と圧力解放弁を制御するように構成されたコントローラ又は前記コントローラを含む。
【0097】
第34の態様に係る第35の態様において、コントローラは、送達デバイスの遠位端の温度センサと連通しており、温度サンサによって感知された温度に応答して極低温流体の供給を制御するように構成される。
【0098】
第1乃至第35の態様の何れか一態様に係る第36の態様において、デバイスは、胸内臓神経、胸内臓神経根又は大内臓神経を焼灼する為に使用される。
【0099】
以下の、要約の第3の部分は、読者に、血管内静脈穿刺の方法に関する種々の態様を紹介することを意図したものであるが、何れの発明をも定義又はその限界を定めることを意図してはいない。任意選択的に、この要約の第3の部分で説明される方法は、第1乃至第36の態様の何れか一態様に係るデバイスを使用してよい。
【0100】
幾つかの態様によれば、血管内静脈穿刺及び処理の方法は、a.カテーテル遠位部分を、患者の静脈系を通して、静脈内の標的位置に前進させ、b.針ガイドを、カテーテルから、カテーテルの長軸に対して横断方向である方向に展開し、c.針ガイドの遠位鈍端で静脈壁に接触し、針ガイドを展開し続けて遠位鈍端を静脈壁に押し付け、d.針を、針ガイドの遠位端から展開して、静脈壁を針の鋭利な穿刺端で穿刺し、e.鋭利な穿刺端を介して、静脈の外部の領域に処理を送達する、ことを含む。
【0101】
幾つかの例では、カテーテルはカテーテル外径を有し、ステップbは、針ガイドを、カテーテル外径未満である展開距離に展開することを含む。展開距離は、0.5~6mm、又は0.5~3mm、又は2~6mmであり得る。
【0102】
幾つかの例では、カテーテルはカテーテル外径を有し、ステップdは、針を、カテーテル外径未満である穿刺距離に展開することを含む。穿刺距離は、2mm未満、又は1mm未満であり得る。
【0103】
幾つかの例では、方法は、ステップeに先行して、遠位鈍端又は鋭利な穿刺端を介して神経刺激試験パルスを送達することを含む。
【0104】
幾つかの例では、ステップeは、送達デバイスを穿刺端から展開して、送達デバイスを用いて処理を送達することを含む。ステップeは、送達デバイスを、穿刺距離より大きい送達距離だけ展開することを含み得る。送達距離は、15mmまで、又は3~7mm、又は4~6mmであり得る。
【0105】
幾つかの例では、ステップeは神経を焼灼することを含む。
【0106】
幾つかの例では、ステップeは、流体、熱エネルギー処理、極低温エネルギー処理及び無線周波数エネルギー処理のうち少なくとも1つを送達することを含む。
【0107】
幾つかの例では、標的位置は奇静脈内又は肋間静脈内にある。標的位置はT9、T10又はT11肋間静脈内にあり得る。標的位置はT11肋間静脈とT9肋間静脈の間の奇静脈内にあり得る。
【0108】
幾つかの例では、ステップeは、処理を胸内臓神経又は胸内臓神経根に送達することを含む。
【0109】
幾つかの例では、ステップeは、処理を大内臓神経に送達することを含む。
【0110】
幾つかの例では、ステップeは、心不全の為の処置を送達することを含む。
【0111】
幾つかの例では、方法は、ステップeを、患者の呼吸と整合させて、処理で患者の肺を損傷することを回避することを含む。方法は、患者の肺への針の近接度を監視することを含み得る。
【0112】
幾つかの例では、ステップaは、カテーテルをガイドワイヤの上から前進させることを含む。標的位置は奇静脈にあり得、ガイドワイヤは奇静脈を超えて肋間静脈へと延出し得る。方法は、ステップbに先行して、ガイドワイヤがカテーテル遠位部分の配向ノッチ内に位置決めされるまでカテーテルを回転させることによって、カテーテルを標的配向に配向させることを含み得る。ステップbは、針ガイドを、カテーテルの周方向外面内のサイドポートから展開することを含み得る。ノッチはノッチ周方向位置にあり得、サイドポートは、ノッチ周方向位置の30度以内、又は20度以内、又は10度以内である第1の周方向位置にあり得る。
【0113】
幾つかの例では、方法は、ステップaの後に、第2の針ガイドを、カテーテルから、カテーテルの長軸に対して横断方向の第2の方向に展開し、第2の針ガイドの第2の遠位鈍端で静脈壁に接触し、第2の針ガイドを展開し続けて第2の遠位鈍端を静脈壁に押し付け、第2の針を、第2の針ガイドの第2の遠位端から展開して、静脈壁を第2の針の第2の穿刺端で穿刺し、第2の穿刺端を介して、第2の処理を送達することを含む。針ガイドはカテーテル遠位部分内の第1のサイドポートから展開されることができ、第2の針ガイドはカテーテル遠位部分内の第2のサイドポートから展開されることができ、第1のサイドポートと第2のサイドポートは長手方向に離隔し得る。第1のサイドポートと第2のサイドポートは長手方向に3~5cmだけ離隔し得る。第1のサイドポートと第2のサイドポートは周方向に整列し得る。
【0114】
幾つかの例では、ステップcは、針ガイドを展開し続けてカテーテルを静脈壁から離れる方向に押しやって反対側の静脈壁に当接させることを含む。
【0115】
本開示の1つの態様は、肋間静脈と奇静脈のうち少なくとも1つを医療用アブレーションデバイスで血管内穿刺し、医療用アブレーションデバイスを用いて胸内臓神経又は胸内臓神経根を焼灼することを含むアブレーション方法である。医療用アブレーションデバイスは、本発明細書に記載の医療用デバイスのうち何れであってもよい。
【0116】
本開示の1つの態様は、奇静脈と肋間静脈のうち少なくとも1つに血管内で前進させられるように構成された血管内医療デバイスであって、医療デバイスは、本明細書の関連する医療用デバイスの何れかのように、血管内医療デバイスの外側シャフトから展開されて奇静脈と肋間静脈のうち少なくとも1つを穿刺するように適合された穿刺要素を含む。
【0117】
以下の、要約の第4の部分は、読者に、経血管神経アブレーションの実施形態に関する種々の態様を紹介することを意図したものであるが、何れの発明をも定義又はその限界を定めることを意図してはいない。任意選択的に、この要約の第4の部分で説明される方法は、先行する態様又は後続の態様の何れか1態様に係るデバイスを使用してよい。
【0118】
1つの態様は、血管内神経アブレーション向けで、特に、血管内内臓神経アブレーション向けに構成されたアブレーションカテーテルであり、長形シャフトと、長形シャフトの一部分によって担持されるアブレーションアセンブリを備え、アブレーションアセンブリは、例えば、少なくとも12mmの長さを有する周方向アブレーションパターンか、例えば、少なくとも12mmの長さを有する指向性アブレーションパターンの何れかを形成するように構成される。
【0119】
アブレーションアセンブリは、12~30mm、任意選択的に12~20mmの長さを有する周方向アブレーションパターンか、12~30mm、任意選択的に12~20mmの長さを有する指向性アブレーションパターンの何れかを形成するように構成され得る。
【0120】
アブレーションアセンブリは、長形シャフトの遠位直線状部分によって担持され得る。
【0121】
アブレーションアセンブリは更に、長形シャフトによって担持され、非拡張状態と拡張状態を有する拡張可能部材を備えてよく、アブレーションアセンブリは拡張可能部材上に取り付けられる。
【0122】
カテーテルは、ヒトの動脈性静脈内に挿入されるように構成され得る。
【0123】
拡張可能部材は、非拡張状態ではヒトの患者の肋間静脈内に挿入されるように構成され得、拡張状態では、前記肋間静脈の血管壁に当接するように構成され得る。
【0124】
拡張可能部材は、拡張状態では、血管壁に接触するように構成され12~30mmの範囲、任意選択的に12~20mmの範囲の長さを有する、カテーテルの長軸に沿って延在する周方向処理ゾーンを含み得る。
【0125】
拡張可能部材は、非拡張状態では、約1~2.5mmの範囲の直径と約3.14~7.85mmの範囲の外周を有し得る。
【0126】
拡張可能部材は、拡張状態では、約3~5mmの範囲の直径と約9.4~15.7mmの範囲の外周を有し得る。
【0127】
アブレーションアセンブリと拡張可能部材は、拡張可能部材が拡張状態である場合、アブレーションアセンブリが少なくとも12mmの長さ、好ましくは12~30mmの長さの周方向アブレーションパターンを形成するように構成され得る。
【0128】
拡張可能部材は、長形シャフトの遠位部分に取り付けられて、任意選択的に、応従性材料か、又は可撓的に折り曲がって収縮する非応従性材料製である展開可能バルーンを備ええ得る。
【0129】
長形シャフトは、拡張可能部材に対して10mm以内に近接して配置された、又はアブレーションアセンブリに対して10mm以内に近接して配置された可撓性ネックを備え得る。可撓性ネックは、4mmの最小曲率半径に従って屈曲することが可能であってよく、それによって、長形シャフトの遠位部分の配向を可能にして、その部分の、肋間静脈静脈への自然な配向での挿入を促進する。可撓性ネックは、可撓性ネックに対して近接した長形シャフトの部分に使用される材料と比べて、よりデュロメータ硬度が軟質であるポリマー、任意選択的にペバックス(Pebax)から製造され得る。可撓性ネックの材料内にワイヤコイルが埋め込まれていてよい。
【0130】
アブレーションアセンブリは、拡張可能部材の外面に取り付けられて、カテーテルが患者の血管に挿入されたときに血管壁と直接接触するように構成された複数の電極パッドアセンブリを備え得る。各電極パッドアセンブリは、電極パッドの形態の複数の電極を含み得、電極パッドは電気トレースによって電気的に相互接続され、任意選択的に、同じ電極パッドアセンブリの電極パッドとトレースは、共通の導電性支持基板によって形成されている。同じ電極パッドアセンブリの電極パッドと電気トレースは、カテーテルの長軸に対して実質的に平行に整列し得る。拡張可能部材に取り付けられ得る電極パッドアセンブリは、拡張可能部材の周囲に配置されて長さ20mmまでの周方向アブレーションパターンを形成する複数の電極パッドを画定してよく、任意選択的に、周方向アブレーションパターンは、12~18mmに含まれる長さを有する。各電極パッドは、角度的に隣接する電極パッドから、5mm未満、任意選択的に2.5mm未満の距離だけ周方向に離隔していてよい。各電極パッドは、3~3.5mmの範囲でアーク長に沿って拡張可能部材の周囲に延出することができる。各電極パッドは、カテーテル長軸に平行に測定された約3~5mmの長さを有し得る。各電極パッドアセンブリは、カテーテルに沿って実質的に直線的に展開してよく、各々の電気トレースによって分離された列状の電気パッドを備えている。
【0131】
カテーテルは、各々に複数の電極パッドが配置された複数の電極パッドアセンブリを含んでよく、複数の電極パッドアセンブリは列状の電極パッドを形成し、任意選択的に、少なくとも4列の電極パッドが電気トレースによって互いに接続されている。電極パッドの列は拡張可能部材の外周の周りに均分に離隔し得る。1つの列上の電極パッドは、隣接する列の電極パッドから長手方向に偏位していてよい。拡張可能部材がその非拡張状態にあるときの隣接する電極パッド間の空間は、拡張可能部材がその拡張状態にあるときの隣接する電極パッド間の空間よりも小さい。拡張可能部材が拡張したときに、各電極パッドは、隣接する電極パッドから0~1mmに含まれる距離だけ周方向に離隔していてよい。隣接する列の電極パッドは、拡張可能部材がその非拡張状態にあるときに互いに連結していてよい。拡張可能部材がその拡張状態にあるときに、各電極パッドは、隣接する電極パッドから約2~5mmに含まれる距離だけ周方向に離隔していてよい。
【0132】
2つの連続した電極パッドを接続する電気トレースは、拡張可能部材の周囲で周方向に測定された、電極パッドのアーク長より有意に小さい幅を提示する狭窄導電性ストリップを備えてよく、任意選択的に、各電気トレースの幅は0.5mm未満である。
【0133】
電極パッドアセンブリは、電極パッドを拡張可能部材の1側部のみに配置して、任意選択的に拡張可能部材の外周を25~50%カバーし、全て同じ側部に向き且つ標的アブレーションゾーンの長さである指向性アブレーションパターンを生成するように構成され得る。
【0134】
アブレーションアセンブリは、長形シャフト上に取り付けられた軸方向に離隔した管状電極の形態の複数の電極を備え得る。管状電極は、2~3mmの範囲の外径を有し得る。管状電極は、長形シャフト上に連続的に取り付けられ、2~4mmの範囲の、2つの連続する管状電極間の間隔を有し得る。管状電極は各々、1~4mm範囲の長さを有し得る。カテーテルは、長形シャフトの直線部分に沿って配置された複数の管状電極を含み得る。複数の管状電極は、長形シャフトの直線部分に沿って配置されることができ、12~20mmに含まれる距離に亘り得る。長形シャフトは、直線部分に近接したループ形部分を有し得る。ループ形部分は複数の管状電極を備え得る。管状電極又は管状電極間のシャフトの部分は、液体を送達するように構成され流体源に接続可能な灌注ポートを含み得る。
【0135】
アブレーションアセンブリは、12~20mmの範囲の長さを有する、拡張可能部材の軸線に対して平行な少なくとも1つのストレート電極を備え得る。ストレート電極は、拡張可能部材外周の少なくとも25%のセグメントをカバーすることができる。カテーテルは、周方向アブレーションの為に、拡張可能部材の周囲に配置された複数のストレート電極を備え得る。カテーテルは、指向性アブレーションの為に、拡張可能部材外周の25~50%の範囲のセグメントをカバーする1つの単一のストレート電極のみを含み得る。各ストレート電極は、電極ストリップの形態であり得る。各ストレート電極は、流体の源に接続されるように構成された1つ以上の灌注ポートを含み得る。
【0136】
カテーテルは、拡張可能部材の内部に配置された複数の超音波トランスデューサを備え得る。超音波トランスデューサは、拡張可能部材の中心に配置された支持シャフトによって担持され得る。トランスデューサは、12~20mmの範囲にある長さに連続的に亘って配置されて、同じ長さのアブレーションを生成することができる。支柱又は突部は、トランスデューサと拡張可能部材の間に配置され得る。支柱は、トランスデューサから離れる方向に半径方向に拡張するように弾性的に予備成形されたポリマーストランドを備えてよい。トランスデューサは、任意選択的に少なくとも4mmの長さであり、可撓性の間隙を間に備えて互いに離隔している。超音波トランスデューサは、標的血管の周囲に周方向アブレーションを形成する為に円筒形であり得る。超音波トランスデューサは、標的血管の外周の部分セグメントであるアブレーションを形成する為に平坦又は半円筒形であり得る。
【0137】
アブレーションアセンブリは複数の電極を備えてよく、拡張可能部材は、任意選択的に3列以上の弾性支柱のバスケットを備えてよく、各支柱には少なくとも1つの電極が取り付けられている。バスケットは、2.00mm未満、任意選択的に約1.7mmの直径での収縮した送達状態を有し得る。バスケットは、約2.5~4mmの範囲の直径を有する拡張したアブレーション状態を有し得る。カテーテルは、支柱に関連する、非閉塞、半径方向に拡張可能な管状膜を備えてよく、管状膜の外面に電極がある。管状膜は電気絶縁材料であり得る。管状膜は、支柱に接続されてよく、任意選択的に支柱の上に配置され得る。カテーテルは、管状膜によって外部の境界を区切られる容積内に冷却液を注入して、対流で電極の冷却を可能にするように構成された冷却液送達ポートも含み得る。冷却液送達ポートはバスケットの遠位端にあり得る。支柱は、支柱の残りの部分よりも大きい可撓性を有して屈曲を促進する、取り付けられた電極の間の狭窄部分を備え得る。バスケットと電極の位置は、長さ12~20mmの範囲、任意選択的に15mm長さであるアブレーションパターンを形成するように構成され得る。バスケットと電極の位置は、バスケットの実質的に全長に沿った周方向アブレーションパターンを形成する為に生じるように構成され得る。電極は、バスケットの1つ又は2つの支柱のみに取り付けられて、指向性アブレーション向けに、血管の周方向セグメントのみを焼灼してよい。カテーテルは、カテーテルの遠位領域に、任意選択的に支柱に配置されたバスケットの半径方向を指示するX線不透過性マーカーも含み得る。各支柱は、各々最大幅と最大厚さを備えた断面を有してよく、各電極は各々最大幅と最大厚さを備えた断面を有し、電極の最大厚さは支柱の最大厚さよりも大きく、電極の最大幅は、支柱の最大幅よりも大きい。各支柱は幅が約0.5mmで厚さが約0.13mmの断面を有し得る。各電極は、幅が約1mmであり、厚さが最大約0.33mmでテーパ状に縁で約0.25mmまで厚さが狭まる断面を有し得る。
【0138】
電源はアブレーションアセンブリに接続されてよく、制御ユニットは、電源を制御してよく、また、電源にアブレーションエネルギーを、特に、RFアブレーションエネルギーをアブレーションアセンブリに送達するように命令するように構成され得る。制御ユニットは、残りの電極(複数可)よりも近位電極(複数可)に対して、より大量のアブレーションパワー、任意選択的にRFエネルギーが供給されて、血流冷却を補償するように電源を制御するように構成され得る。制御ユニットは、残りの電極(複数可)よりも近位電極(複数可)に対して、より長い期間のアブレーションパワー、任意選択的にRFエネルギーが供給されて、血流冷却を補償するように電源を制御するように構成され得る。制御ユニットは、RFアブレーションエネルギーを、逐次ユニポーラモード、同時ユニポーラモード及びバイポーラモードのうち少なくとも1つで送達するように電源を制御するように構成され得る。制御ユニットは、パルス波形でRFアブレーションエネルギーを送達するように電源を制御するように構成され得る。制御ユニットは、電源を制御し、対の電極、特に、別々の電極パッドアセンブリの電極パッドの対間でバイポーラエネルギー、特にバイポーラRFアブレーションエネルギーを駆動するように構成され得る。冷却液源は、拡張可能部材の内部と流体連通し得るカテーテルの冷却液注入ポートに接続され得るか、又は接続可能であり得る。制御ユニットは更に、冷却液源を制御してよく、冷却液源に、前記冷却液注入ポートを介して冷却液流体を拡張可能部材内に注入させるように命令するように構成され得る。カテーテルは更に、冷却液が血流内に沈着し得るように、カテーテル長形シャフト内に延在する出口ルーメンに接続されるか、又は、カテーテルの外部と直接連通するかの何れかである冷却液出口ポートも含み得る。冷却液出口ポートは、拡張可能部材内の圧力を増加させて拡張可能部材を膨張させる為に、冷却液注入ポートよりも小型であり得る。
【0139】
カテーテルは更に、半径方向を指示する為にカテーテルの遠位領域上に配置されたX線不透過性マーカーを含んでもよく、任意選択的に、X線不透過性マーカーは非対称であって、電極と同じ側または反対側に配置される。
【0140】
カテーテルは、電極の対の間に各々配置された1つ以上の温度センサも含み得る。温度センサは、カテーテルが血管内に挿入され、拡張可能部材がその拡張状態にある場合に血管壁に直接接触するように構成され得る。制御ユニットは、温度センサからの温度信号を受信し、前記温度信号に基づいて、冷却液源に冷却液を注入させるように制御する、及び/又は、前記温度信号に基づいて、アブレーションエネルギーの電源放出を制御するように構成され得る。
【0141】
以下の、発明の概要の第5の部分は、読者に、二重電極経血管神経アブレーションの実施形態に関する種々の態様を紹介することを意図したものであるが、何れの発明をも定義又はその限界を定めることを意図してはいない。任意選択的に、この要約の第5の部分で説明される方法及びデバイスは、先行する態様又は後続の態様の何れか1態様に係るデバイス又は方法を使用してよい。
【0142】
この部分の1つの態様は、節前TSN又はTSN神経根の経血管アブレーション向けに適合され構成された経血管アブレーションデバイスであって、患者の外部に留まるように適合された近位部分と、患者の血管系を通って挿入されるサイズの遠位部分を備え、遠位部分は、長形シャフトと、長形シャフトによって担持される第1のアブレーション部材と、長形シャフトによって担持される第2のアブレーション部材と、長形シャフトによって、第1のアブレーション部材と第2のアブレーション部材の間に軸方向に担持される閉塞部材を備え、閉塞部材は、送達構成と拡張構成を有するように適合されている。
【0143】
第2のアブレーション部材は、第1のアブレーション部材から3~6mmの距離だけ軸方向に離隔していてよい。
【0144】
第1のアブレーション部材と第2のアブレーション部材のうち少なくとも1つは3~5mmの長さを有し得る。
【0145】
第1のアブレーション部材の外径は1.5~3mmであり得、第2のアブレーション部材の外径は1.5~3mmであり得る。
【0146】
閉塞部材は1~6mmの軸長を有し得る。
【0147】
拡張構成での閉塞部材の直径は3~5mmであり得、任意選択的に、送達構成では1.5~2mmの直径を有する。
【0148】
デバイスは更に、近位部分から、遠位部分のガイドワイヤ出口ポートへと延在するガイドワイヤルーメンを備え得る。
【0149】
第1のアブレーション部材は第1の導電体と電気的に連通してよく、第2のアブレーション部材は第1の導電体とは異なる第2の導電体と電気的に連通してよい。
【0150】
第1と第2のアブレーション部材は各々、長形シャフトを通って、灌注流体供給に接続可能な場所である近位部分に至る少なくとも1つの灌注ルーメンと流体連通する1つの灌注出口ポートを備えてよい。
【0151】
第1と第2のアブレーション部材は各々、長形シャフトを通って、灌注流体供給と接続可能な場所である近位部分に至る独立した灌注ルーメンと流体連通する1つの灌注出口ポートを備え得る。
【0152】
何れの灌注出口ポートも、0.020インチ+/-0.005インチの直径を有してよい。何れの灌注出口ポートも、各々第1のアブレーション部材の側又は第2のアブレーション部材の側に配置され得る。
【0153】
第1のアブレーション部材は電極を備えてよく、電極は、電極の長さに亘る少なくとも1つのチャネル内に配置された少なくとも1つの灌注出口ポートを備えている。第1のアブレーション部材は電極を備えてよく、電極は、電極の少なくとも遠位端又は近位端までの電極の長さの一部に亘る少なくとも1つのスカラップ内に配置された少なくとも1つの灌注出口ポートを備えている。
【0154】
第1と第2のアブレーション部材のうち少なくとも1つは、長形シャフトを通って、近位部分に至る少なくとも2つの灌注ルーメンと流体連通するキャビティを備えてよく、近位部分で、少なくとも2つの灌注ルーメンのうち第1のルーメンは灌注流体供給と接続可能となり、少なくとも2つの灌注ルーメンのうち第2のルーメンは流体戻り受容部と接続可能となる。
【0155】
第1と第2のアブレーション部材のうち少なくとも1つは温度センサを備え得る。
【0156】
閉塞部材は膨張可能な閉塞バルーンであり得る。
【0157】
閉塞バルーンはチャンバを備えてよく、チャンバは、長形シャフトを通って、膨張流体供給に接続可能となる場所である近位部分に至る膨張可能なルーメンと流体連通し得る。温度センサはチャンバ内に配置されてよく、温度センサはチャンバ内の流体の温度を監視するように適合され得る。
【0158】
この部分の1つの態様は、節前大内臓神経又は神経根の経血管アブレーション向けに適合され構成された経血管アブレーションデバイスであって、患者の外部に留まるように適合された近位部分と、患者の血管系を通って挿入されるサイズの遠位部分を備え、遠位部分は、長形シャフトと、長形シャフトによって担持される第1のアブレーション部材と、長形シャフトによって担持され、第1のアブレーション部材から軸方向に離隔した第2のアブレーション部材と、長形シャフトによって、第1のアブレーション部材と第2のアブレーション部材の間に軸方向に担持される閉塞部材を備え、閉塞部材は、送達構成と拡張構成を有するように適合されている。
【0159】
第1と第2のアブレーション部材のうち少なくとも1つは、1.5~3mmの外径を有し得る。閉塞部材は拡張構成において3~5mmの直径を有してよい。
【0160】
第1のアブレーション部材と第2のアブレーション部材のうち少なくとも1つは3~5mmの長さを有し得る。
【0161】
この部分の1つの態様は、節前大内臓神経又は神経根の経血管アブレーション向けに適合され構成された経血管アブレーションデバイスであって、患者の外部に留まるように適合された近位部分と、患者の血管系を通って挿入されるサイズの遠位部分を備え、遠位部分は、長形シャフトと、長形シャフトによって担持される第1のアブレーション部材と、長形シャフトによって担持され、第1のアブレーション部材から軸方向に離隔した第2のアブレーション部材とを備え、第1と第2のアブレーション部材は両方とも、長形シャフトの直径未満である外方寸法、任意選択的に直径を有する。
【0162】
外方寸法は1.5~2.5mmであり得る。
【0163】
長形シャフトの直径は2~3mmであり得る。
【0164】
外方寸法は直径よりも0.2~1mm小さくあり得る。
【0165】
第1のアブレーション部材及び第2のアブレーション部材各々の一部分は電気的に絶縁されてよく、各々の残りの部分は導電性であり、導電性部分は、外周の50%以下、40%未満、30%未満又は25%未満であるセグメントを備えている。
【0166】
デバイスは、アブレーションコンソールに接続されるように適合され得、アブレーションコンソールは、アブレーションデバイスを、バイポーラモード、モノポーラモード、及びバイポーラモードとモノポーラモードの組み合わせのうち少なくとも1つで作動させるように適合されている。
【0167】
この部分の1つの態様は、TSN又はTSN神経根(例えば、大内臓神経又は大内臓神経根)を焼灼して内臓静脈血容量を増加させる方法であって、長形医療デバイスを奇静脈内に前進させることを含み、長形医療デバイスは遠位領域を含み、遠位領域は、可撓性シャフトと、シャフトによって担持される第1のアブレーション部材と、シャフトによって担持され、第1のアブレーション部材から軸方向に離隔した第2のアブレーション部材とを含み、第1のアブレーション部材を、奇静脈からT9、T10又はT11肋間静脈へと前進させ、第1のアブレーション部材からアブレーションエネルギーを送達し、アブレーション損傷部を形成し、それによって大内臓神経又は大内臓神経根の一部を焼灼することを含む。
【0168】
方法は更に、第2のアブレーション部材を、奇静脈からT9、T10又はT11肋間静脈へと前進させ、第2のアブレーション部材からアブレーションエネルギーを送達することを含み得る。
【0169】
送達ステップは、第1と第2のアブレーション部材からエネルギーをモノポーラモードで送達することを含み得る。
【0170】
送達ステップは、第1と第2のアブレーション部材からエネルギーをバイポーラモードで送達することを含み得る。
【0171】
送達ステップは、第1と第2のアブレーション部材からエネルギーをモノポーラモードとバイポーラモードの組み合わせで送達することを含み得る。
【0172】
方法は、閉塞部材を第1と第2のアブレーション部材の間でT9、T10又はT11肋間静脈へと前進させることも含み得る。閉塞部材は、第1と第2のアブレーション部材の間で長形シャフトによって担持され得る。方法は更に、閉塞部材をT9、T10又はT11肋間静脈内で拡張することを含み得る。方法は更に、閉塞部材でT9、T10又はT11肋間静脈を完全に閉塞することを含み得る。
【0173】
第2のアブレーション部材を前進させることは、第2のアブレーション部材の近位端を、奇静脈の口と肋間静脈に位置決めすることを含み得る。
【0174】
第1のアブレーション部材を奇静脈からT9、T10又はT11肋間静脈内に前進させることは、第1のアブレーション部材をT9、T10又はT11肋間静脈内に、奇静脈の口から、肋間静脈の方に20mmまで前進させることを含み得、第1のアブレーション部材からアブレーションエネルギーを送達することは、第1のアブレーション部材が口から20mmまでのところに位置決めされたときに起こり得る。
【0175】
エネルギーが第1のアブレーション部材から送達されると、第2のアブレーション部材は奇静脈内に位置決めされ得る。
【0176】
方法は更に、閉塞部材を奇静脈の口と肋間静脈で拡張することを含み得、閉塞部材を拡張すると、血流を口から逸れた方向に指向させる。
【0177】
エネルギーは第1のアブレーション部材からモノポーラモードで送達され得る。
【0178】
損傷部を形成することは、第2のアブレーション部材からアブレーションエネルギーを送達することを含まなくてもよい。
【0179】
第2のアブレーション部材が奇静脈内に位置決めされた場合には、第1と第2のアブレーション部材はバイポーラモードで作動され得る。
【0180】
アブレーション損傷部を形成することは、肋間静脈から少なくとも5mmの深さを有するアブレーション領域を形成することを含み得る。
【0181】
アブレーション損傷部を形成することは、周方向アブレーション領域を形成することを含み得る。
【0182】
方法は更に、第1のアブレーション部材を、奇静脈から、T9、T10及びT11肋間静脈のうち他方の1つへと前進させ、又、T9、T10及びT11肋間静脈のうち他方内にある場合に第1のアブレーション部材からアブレーションエネルギーを送達することを含み得る。
【0183】
損傷部を形成することは、第2のアブレーション部材からアブレーションエネルギーを送達することを含まなくてもよい。
【0184】
方法は更に、第1と第2のアブレーション部材のうち少なくとも1つから刺激信号を送達することを含み得る。刺激信号を送達することは第1と第2のアブレーション部材の間でバイポーラモードで刺激信号を送達することを含み得る。方法は更に、刺激信号への反応を測定することを含み得る。刺激信号を送達することと、反応を測定することは、第1のアブレーション部材からアブレーションエネルギーを送達した後に行われ得る。
【0185】
方法は更に、閉塞部材を、第1のアブレーション部材に近接したT9、T10又はT11肋間静脈に前進させることを含み得る。閉塞部材は長形シャフトによって担持され得る。方法は更に、閉塞部材をT9、T10又はT11肋間静脈内で拡張することを含み得る。方法は更に、T9、T10又はT11肋間静脈を閉塞部材で完全に閉塞することを含み得る。閉塞部材を拡張することは、流体を閉塞部材へと送達することを含み得る。
【0186】
方法は更に、灌注流体を第1と第2のアブレーション部材のうち少なくとも1つに送達することを含み得る。方法は、閾値温度を超過した灌注流体を監視することを含み得る。方法は更に、灌注流体が閾値温度を超過していることを監視ステップが示唆した場合にエネルギー送達パラメータを変更することを含み得る。方法は更に、灌注流体流速を制御することを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0187】
ここに含まれる図面は、本明細書の品目、方法及び装置の種々の例を例示する為であり、開示の範囲を如何なる意味でも限定する意図はない。
【0188】
【
図1】1つの例示的血管内静脈穿刺用デバイスの斜視図である。
【
図2】
図1のデバイスのカテーテルの遠位部分の拡大斜視図である。
【
図3】
図1のデバイスのカテーテルの遠位部分の、作動位置にある針ガイドを示す拡大斜視図である。
【
図4】
図1のデバイスのカテーテルの遠位部分の、穿刺位置にある針を示す拡大斜視図である。
【
図5】
図1のデバイスのカテーテルの遠位部分の、処理位置にある送達デバイスを示す拡大斜視図である。
【
図6】別の例示的血管内静脈穿刺用デバイスの、カテーテルの遠位部分の拡大斜視図である。
【
図7】
図6のカテーテルの遠位部分の更なる拡大斜視図である。
【
図8】
図6のカテーテルの遠位部分の拡大平面図である。
【
図9】ガイドワイヤが患者のT10肋間静脈内に位置決めされ、
図1のデバイスがガイドワイヤの上から標的位置に前進された状態での、患者の胸郭の一部分の模式図である。
【
図10】デバイスの針ガイドが作動位置の方に前進させられた状態の
図9の模式図である。
【
図11】デバイスの針ガイドが作動位置にある
図10の模式図である。
【
図12】デバイスの針ガイドが穿刺位置にある
図11の模式図である。
【
図13】デバイスの送達デバイスが大内臓神経に近接した処理位置にある
図12の模式図である。
【
図14】ガイドワイヤが患者のT11肋間静脈内に位置決めされ、
図1のデバイスがガイドワイヤの上から奇静脈内の標的位置に前進された状態での、患者の胸郭の一部分の模式図である。
【
図15】ガイドワイヤがカテーテルのノッチに収まるまでデバイスのカテーテルが回転されてその配向を調節された状態の、
図14の模式図である。
【
図16】針ガイドと針が展開された状態の、
図15の模式図である。
【
図17】別の例示的血管内静脈穿刺用デバイスのカテーテルの遠位部分を上から見た拡大平面図である。
【
図18】デバイスが所望の回転配向にある場合のX線透視法下の
図17のデバイスのX線不透過性マーカーの現れ方を示す模式図である。
【
図19】デバイスが所望の回転配向と逆の回転配向にある場合のX線透視法での
図17のデバイスのX線不透過性マーカーの現れ方を示す模式図である。
【
図20】デバイスが所望の回転配向に対して横向きの回転配向にある場合のX線透視法での
図17のデバイスのX線不透過性マーカーの現れ方を示す模式図である。
【
図21】
図17のデバイスのカテーテルの遠位部分の拡大底面図である。
【
図22】デバイスが所望の回転公差内にある場合のX線透視法下の
図17のデバイスの付加的なX線不透過性マーカーの現れ方を示す模式図である。
【
図23】デバイスが所望の回転公差内にない場合のX線透視法での
図17のデバイスの付加的なX線不透過性マーカーの現れ方を示す模式図である。
【
図24】別の例示的血管内静脈穿刺用デバイスの送達デバイスの模式図である。
【
図26A】胸内臓神経のアブレーションの為に肋間静脈内に位置決めされたアブレーションバルーンを有するアブレーションカテーテルの略図である。
【
図27】胸内臓神経のアブレーションの為に肋間静脈内に位置決めされたアブレーションカテーテルの略図である。
【
図28】胸内臓神経のアブレーションの為に肋間静脈内に位置決めされたアブレーションバルーンを有するアブレーションカテーテルの略図である。
【
図29】胸内臓神経のアブレーションの為に肋間静脈内に位置決めされた超音波アブレーションカテーテルの略図である。
【
図30A】胸内臓神経のアブレーションの為に肋間静脈内に位置決めされたアブレーションバルーンを有するアブレーションカテーテルの略図である。
【
図31】胸内臓神経のアブレーションの為に肋間静脈内に位置決めされたアブレーションカテーテルの略図である。
【
図32B】流体流出機構を有する電極の別の実施形態の略図である。
【
図33】胸内臓神経のアブレーションの為に肋間静脈の口に位置決めされた
図31のアブレーションカテーテルの略図である。
【
図34A】胸内臓神経のアブレーションの為に肋間静脈内に位置決めされたアブレーションカテーテルの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0189】
本開示は、米国特許出願公開第2018/0110561号、PCT国際公開特許出願WO2018/023132及びPCT/US2018/066047(2018年12月17日出願)の開示に内容が関連し、これら出願は、参照することによって全体があらゆる目的で本明細書に組み込まれる。
【0190】
本明細書の開示は一般に、内臓容量を増加させることによって心不全及び高血圧のうち少なくとも1つを治療する方法に関する。幾つかの手法は、内臓容量を増加させる為の標的組織の経血管(例えば、経静脈)アブレーションの為のシステム、デバイス及び方法を含む。デバイス及び方法は、幾つかの例では、内臓容量を増加させる為に1つ以上の内臓神経を焼灼する為に使用され得る。例えば、本明細書で開示するデバイスは、節前大内臓神経(「GSN」)、小内臓神経又は最小内臓神経又はそれらの根のうち1つ(TSN神経根)等の胸内臓神経(「TSN」)を含む標的神経の領域内で標的血管に血管内で前進させられてよい。標的血管は例えば肋間静脈又は奇静脈(又はそれら両方)又は或いは奇静脈系の静脈、好ましくは最下(即ち、最も尾側(caudal)の)3肋間静脈(T9、T10及びT11であり得る)のうち1つ以上であり得る。標的静脈内の標的領域は例えば、肋間静脈内にルーメンを含んでよく、隣接する奇静脈又は半奇静脈から静脈に30mmを超えて延出せず、又、任意選択的に、隣接する奇静脈又は半奇静脈から静脈に20mmを超えて延出しない領域であり得る。従って、標的領域は、口から特定の距離(又は距離の範囲)より離れていない遠位端を有する。従って、血管の標的領域内にアブレーション要素(又はアブレーション部材全般)を位置決めする本明細書の使用方法は、アブレーション要素の全長が標的血管内に位置決めされることを要求することに限定されず、寧ろ、近位部分、恐らくはその比較的小さい部分(例えば、長さの25%未満)が、隣接する血管(例えば、奇静脈)内に依然として配置されている方法を含む。アブレーション要素又は部材を、口から特定距離以内で標的血管内に配置することを記述する本明細書の方法は、従って、アブレーション要素全体が同じ血管(例えば肋間静脈)内にあるか、又は、一部分が隣接する血管(例えば奇静脈)内に配置されているか否かに係らず、アブレーション要素の遠位端を標的血管の標的領域内に位置決めすることを一般に記述している。本明細書の方法のうち何れにおいても、アブレーション要素の長さの50%未満、例えば、45%未満、又は40%未満、又は35%未満、又は30%未満、又は25%未満、又は20%未満、又は15%未満、又は10%未満が、隣接する血管内に位置決めされてよい。
【0191】
TSNは殆どのヒトでは標的肋間静脈から5mmまでにあり得る。より下位レベルの(例えば、T9、T10、T11レベル)の肋間静脈では、標的領域内に2~3.5mmの直径範囲を有する内部ルーメンを有し得る。TSN、特に、完全に形成されたGSNは、隣接する奇静脈又は半奇静脈間の標的領域内に、且つ隣接する奇静脈又は半奇静脈から15mm以下の距離で標的肋間静脈を横断してよい。隣接する奇静脈又は半奇静脈から20mmの距離を超えると、交感神経は肋間静脈を横断し得る。
【0192】
熱凝固によるTSNのアブレーションは、標的肋間静脈内に位置決めされたアブレーション要素で組織を加熱することを含んでよく、それが種々の技術的困難を防止する。小さい静脈からの熱アブレーションは、エネルギー送達中に血管を収縮させる可能性があり、それは、例えば組織接触又は血流における有意な変化によって引き起こされて、特に血管がアブレーション要素の周囲で収縮した場合にアブレーション要素の熱的及び電気的環境を劇的に変えて、エネルギー送達を不安定にし、アブレーションを予測し難くしたり制御し難くする可能性がある。
【0193】
本明細書で開示するデバイス及び方法で、TSNは、(肺又は他の神経への損傷など)悪影響が最小限又は低減された状態で、比較的安全な方式で焼灼され得る。本明細書の幾つかの使用方法の実施形態は、血流を一時的に閉塞して、静脈虚脱の効果を低減し、それによって、加熱プロセス中の熱的及び電気的環境変化の困難を有利に回避する。本明細書の幾つかの使用方法の実施形態は、神経を、標的血管から5mmまで焼灼し得る。本明細書のデバイスのうち幾つかは、標的神経(例えば、TSN、GSN)を焼灼するように特定された血管系内での送達と位置決め向けの寸法及び構成となっている。
【0194】
本明細書のデバイスのうち幾つかは、標的血管への安全な送達を提供する1つ以上の特徴を有してよい。
【0195】
本明細書のデバイス及び使用方法のうち幾つかは、温度監視付きエネルギー送達でエネルギーを安全に送達してよい。
【0196】
本明細書の使用方法のうち幾つかは、エネルギーの単一の位置決め及び送達で、標的血管からの距離が5mmまでであると共に、長さが20mmまで(例えば、15mm、12mm)の途切れない損傷部長さを有する標的領域内で神経を標的とすることが可能な損傷部を生成してよい。
【0197】
本明細書のデバイス及び方法のうち幾つかは、アブレーション効力を低下させ得る沸騰、ホットスポット又は不安定なエネルギー送達の危険を回避するように適合されている。更に、幾つかの実施形態は、アブレーション前に位置決めを確認する為に、又は、アブレーション中又はアブレーション後に技術的成功を確認する為に、標的神経又は非標的神経を識別する為の神経刺激を含み得る。
【0198】
本開示を告知する為に実行された研究は、医療用アブレーションデバイスの配置には最下3肋間静脈が最高の位置であり得るということを示唆したが、それは、TSN、GSN又はGSN根(標的神経)が、口と奇静脈の間の最下3肋間静脈のうち1つ以上に交差する可能性が高く、且つ口から特定の距離以内にあるからである。従って、本開示の一態様は、特定の番号の肋間静脈のうち1つに医療デバイス(少なくともそのアブレーション部材部分)を位置決めし、それに加えて、奇静脈の口から特定の距離以内に位置決めすることを含む好ましい方法である。この位置と配置は、作動された場合に、以下により詳細に説明するように、医療デバイスが標的神経を効果的に焼灼する最高の可能性を提供し得る。
【0199】
必須ではないが、アブレーションの方法が、途切れないアブレーションゾーン(即ち、互いに接続されていない焼灼組織の別々の離散した領域を有さない)を形成することが好ましくあり得る。これで、標的GSN神経又はGSN神経根が位置している可能性がある組織の領域が、アブレーションエネルギーによって効果的に焼灼される可能性が最も高くなることが保証される。途切れないアブレーションゾーンは全周か、又は全周未満であり得る。
【0200】
必須ではないが、アブレーションの方法が、少なくとも5mmの深さと、5~20mmの範囲、好ましくは10~20mmの範囲の長さを有するアブレーションゾーンを形成することも好ましくあり得る。これらのパラメータを備えたアブレーション領域又はゾーンは、アブレーション領域が標的GSN又はGSN根を含む可能性を増加させる。本開示は一般に5~20mmの範囲内の長さの損傷部を説明するが、例えば、1~5mm等の、5mm未満の長さを有する損傷部で標的神経を効果的に焼灼することも可能であり得る。例えば、幾つかの標的神経は、例えば、奇静脈と肋間静脈の間の口に非常に接近している可能性があり、5mm未満の長さのアブレーション領域又はゾーンの形成を許容しながらも、依然として標的神経を効果的に焼灼することが可能であり得る。血管を刺激する神経を標的にする処理(例えば、幾つかの腎臓神経除去手法)とは違って、これらの例示的処理方法は、肋間静脈静脈に比較的近接近しており、静脈に沿うというよりは静脈を横断又は交差する1つ以上の標的神経を標的にしている。この文脈における横断は、その神経が静脈構造を如何なる方式でも貫通することを意味せず、寧ろ、神経と静脈の一般的相対配向を指している。
【0201】
本明細書の幾つかの方法は、特定範囲内の長さを有する損傷部を形成するが、方法は、アブレーションゾーンの長さが手順に直接入力されなくてもこれらのアブレーション長さを本質的に形成し得ることを理解されたい。例えば、エネルギーを送達する為にコンソール又はエネルギー発生器が使用される場合、1つ以上の送達パラメータが、手順の一部(例えば、時間、パワー等)として選択されてよく、アブレーション長さは必ずしも手順に入力されなくてもよい。これは、アブレーション長さがユーザによって特に選択されなくても、又は、発生器等のエネルギー発生デバイスに入力されなくても、手順の結果として発生し得るということを意味する。手順の結果が、本明細書の範囲内の長さの損傷部の形成であれば、(又は、本明細書の範囲内の長さを備えて形成された場合)、方法は、アブレーションゾーン長さを含む請求項の範囲内にあると理解される。
【0202】
血管内血管穿刺の実施形態
血管内静脈穿刺と、静脈の外部の標的構造(例えば、神経)の後続処理との為のデバイス及び方法が本明細書で開示される。デバイス及び方法は、幾つかの例では、心不全の治療の為の内臓神経アブレーションに使用され得る。例えば、本明細書で開示するデバイスは、大内臓神経(GSN)又はTSN神経根等の胸内臓神経(TSN)の領域内で標的静脈に血管内で前進させられてよい。標的静脈は、例えば、肋間静脈又は奇静脈又は奇静脈系の静脈であってよい。その場合デバイスは、標的静脈の静脈壁を穿刺する為に作動又は展開され得る。デバイスは次に、例えば、TSNを一時的に遮断するか、又はTSNを恒久的に焼灼することによってTSNを処理する為に再び作動又は展開され得る。TSNのアブレーションは、例えば、無線周波数(RF)アブレーション、冷凍アブレーション、熱アブレーション、化学的アブレーション又は薬剤アブレーションによって実行され得る。TSNのアブレーションは、心不全を治療する為に、特許出願PCT/US2017/044747号に記載のように、循環血液量、血圧、血流及び全体的な心臓及び循環系機能に影響し得る。TSNのアブレーションは更に、難治性腹痛又は運動性を治療する等の治療上の利点も有し得る。本明細書で開示するデバイス及び方法で、TSNは、悪影響(肺又は他の神経への損傷等)が最小限又は低減された状態で、比較的安全な方式で焼灼され得る。
【0203】
血管内血管穿刺デバイス
図1を参照すると、血管内静脈穿刺用デバイス100の第1の実施例が示されている。デバイス100は、長軸104(本明細書では「カテーテル軸線」とも呼ばれる)(
図2に示す)に沿って延在し、カテーテル近位部分106とカテーテル遠位部分108を有する長形カテーテル102を含む。カテーテル遠位部分108は一般に、デバイス100の作用端として機能する。カテーテル近位部分106は使用時に一般に患者の外部に留まってよく、外科医又はその他の専門家によって操作されてよい。カテーテル102はカテーテル外径110(
図2に示す)を有する。
【0204】
幾つかの例では、カテーテルは、特に蛇行した送達経路に亘ってトルク能力(即ち、カテーテル近位部分106からカテーテル遠位部分108へのトルクの伝達)を促進する為のブレードシャフトを含み得る。
【0205】
図2を参照すると、図示の例では、カテーテル102は、全体を通して延在する(カテーテル軸線104に沿って)ガイドワイヤルーメン(図示せず)を含み、カテーテル遠位部分108はガイドワイヤ出口ポート112を含み、その結果、カテーテル102がガイドワイヤに沿って静脈系へと前進させられ得る。カテーテル102は周方向外面114と遠位端面116を有し、図示の例では、ガイドワイヤ出口ポート112は遠位端面116にある。
【0206】
別の例では、ガイドワイヤルーメンと出口ポートは省略されてよく、カテーテルはガイドワイヤの補助なしで患者の心臓血管系(例えば、静脈又は動脈)内に前進させられ得る。
【0207】
カテーテル外径110は患者の奇静脈内に通るサイズであってよく、任意選択的に、患者の肋間静脈に通るサイズであってよい。例えば、カテーテル外径110は、約1~5mm、又は約1~3mmであってよい。
【0208】
図2及び3を参照すると、図示の例では、デバイス100は更に、鈍端である遠位端103(本明細書では、「針ガイド遠位端」とも呼ばれる)を有する針ガイド101を含む。針ガイド101は、カテーテル102から、針ガイド格納位置(
図2に示すが、針ガイド101は見えていない)から針ガイド作動位置(
図3に示す)へと展開可能である。
【0209】
一般に、針ガイド格納位置は、針ガイド遠位端103が、針ガイド作動位置に相対してカテーテル102の方に引き込まれた任意の位置であり得る。依然として
図2及び3を参照すると、図示の例では、針ガイド101が格納位置にある場合、針ガイド遠位端103はカテーテル内に入れ子状に収納されている。針ガイド101は、カテーテルの周方向外面114内のサイドポート109を介してカテーテル102から展開可能である。展開位置にある場合、針ガイド101はサイドポート109から延出し、その結果、針ガイド遠位端103はカテーテル102から半径方向に離隔する(即ち、カテーテル102から、カテーテル軸線104に対して横断方向に離隔する)。図示の例では、針ガイド作動位置にある場合、針ガイド101は略直線状であり、カテーテル軸線104に対して傾斜している。別の例では、針ガイドは屈曲又は湾曲し得る、及び/又はカテーテル軸線104に対して垂直であり得る。
【0210】
依然として
図3を参照すると、図示の例では、針ガイド101は比較的短い。即ち、図示の例では、針ガイド101が針ガイド作動位置にある場合、針ガイド遠位端103は針ガイド展開距離111だけカテーテルから半径方向に離隔している。幾つかの例では、針ガイド展開距離111は、針ガイド101が展開位置にあって静脈壁(例えば、肋間静脈壁、奇静脈壁、又は奇静脈系の静脈の壁)に当接した場合に、針ガイド遠位端103が幾分の圧力で(以下に説明するように)静脈壁に押し付けられるように選択される。例えば、針ガイド101が展開位置にあって静脈壁に当接した場合、針ガイド101はカテーテル102を押して反対側の静脈壁に当接させ、それは次に針ガイド遠位端103を静脈壁に押し付けることになる。針ガイド遠位端103による静脈壁への十分な圧力の印加を助長する為に、針ガイドが完全展開した場合に、カテーテル直径110に針ガイド展開距離111を足したものが、標的静脈の内径に等しいか、又はそれより少し大きくあり得る。患者の静脈直径が、カテーテル直径110と針ガイド展開距離111を合わせた距離よりも少し小さい状況では、静脈は針ガイド101の完全展開に合わせる為に伸びる可能性がある。例えば、ヒトのT10又はT11肋間静脈内で使用されるように構成されたそのようなカテーテルは、カテーテル直径110に針ガイド展開距離111を加えたものが、2~4mmの範囲(例えば、2.5~3.5mmの範囲)の距離に等しくあり得る。別の例では、T10又はT11のレベルのヒトの奇静脈又は半奇静脈内で使用されるように構成されたそのようなカテーテルは、カテーテル直径110に針ガイド展開距離111を加えたものが、3.5~6.5mmの範囲(例えば、4~5mmの範囲)の距離に等しくあり得る。任意選択的に、ユーザは、アブレーションカテーテルを送達する前に標的血管のサイズを測って(例えば、CT血管造影又は他の医療イメージングモダリティで)、標的静脈の直径に従って適切なアブレーションカテーテルを選択してもよい。幾つかの例では、針ガイド展開距離111はカテーテル外径110より小さい。例えば、針ガイド展開距離111は、約0.5~約6mm、又は約0.5~約3mm又は約2~約6mmであり得る。
【0211】
図3及び4を参照すると、図示の例では、デバイスは更に、鋭利な穿刺端107を有する針105を含む。針105は、針ガイド101内から、針格納位置(
図3に示すが、針105は見えていない)から穿刺位置(
図4に示す)へと展開可能である。
【0212】
依然として
図3及び4を参照すると、図示の例では、針105が針格納位置にある場合、針105は針ガイド101内にあり、その結果、穿刺端107は針ガイド遠位端103より内側にある。穿刺位置にある場合、針105は針ガイド101から突出し、その結果、穿刺端107は針ガイド遠位端103から外に突き出る。
【0213】
図4を参照すると、図示の例では、針105は比較的短い。つまり、図示の例では、針105が穿刺位置にある場合に、穿刺端107は針展開距離113だけ針ガイド遠位端103から離隔している。幾つかの例では、針展開距離113は、静脈壁を越えて有意に突出せずに、肋間静脈壁又は奇静脈壁等の静脈壁のみを穿刺するのに十分な長さに選択される。これは、肺組織等の近くの組織を損傷する危険を極減又は低減しながら、静脈の正確な穿刺を可能にし得る。例えば、針展開距離113は、2mm未満、又は1mm未満、又は約0.5mmであり得る。幾つかの例では、針展開距離113はカテーテル外径110未満である。
【0214】
図5を参照すると、図示の例では、デバイス100は、患者に処理を送達できる送達デバイス115を更に含む。処理は、幾つかの例では、TSN神経アブレーション等の神経アブレーション向けであり得る。例えば、送達デバイス115は、流体送達デバイス(焼灼化学品又は薬剤の送達の為の)、熱エネルギー送達デバイス(熱の送達の為の)、冷凍焼灼エネルギー送達デバイス、電気エネルギー送達デバイス及び/又はRFエネルギー送達デバイスであり得る。処理は、送達デバイス115から周方向に送達されてもよいし、又は、送達デバイス115から長手方向に(「指向的に」とも呼ばれる)送達されてもよい。
【0215】
依然として
図5を参照すると、図示の例では送達デバイス115は、概ね丸められた遠位鈍端117(本明細書では、「送達デバイス遠位端」とも呼ばれる)を有するプローブである。送達デバイス115は更に、送達デバイス115の側壁上の遠位鈍端117に接近して配置された流体ポート118を含む。流体ポート118は、化学的若しくは薬剤焼灼剤、麻酔剤、冷却流体、又はその他の流体等の流体を送達する為のものであり得る。
【0216】
依然として
図4及び5を参照すると、図示の例では、送達デバイス115は針105内から、針105及び針ガイド101内部に収容された送達デバイス格納位置(
図4に示されているが、送達デバイス115は見えていない)から、送達デバイス遠位端117が針の穿刺端107より外に突き出ている送達デバイス処理位置(
図5に示す)へと展開可能である。図示の例では、流体ポート118も針の穿刺端107より外に突き出ている。
【0217】
図示の例では、送達デバイス処理位置にある場合、送達デバイス115は、針の穿刺端107より外に送達距離99だけ突き出ている。送達距離99は、送達デバイス115を処理位置に近接して位置決めするように選択され得る。例えば、デバイス100が、肋間静脈の穿刺によってGSNを焼灼する為に使用されている場合、送達距離99は、約3~約7mm、又は約4~約6mmであり得る。別法として、デバイス100が、奇静脈又は奇静脈系の静脈の穿刺によってGSNを焼灼する為に使用されている場合、送達距離99は、15mmまでであり得る。
【0218】
別の例では、送達デバイス115は省略され得る。そのような例では、処理は、針105から直接送達されてよい。例えば、薬剤は針から直接送達され得る。
【0219】
図1乃至5のデバイス100は、デバイスの前進、位置決め又は配向を助長する為の1つ以上のX線不透過性マーカーを含んでよい。X線不透過性マーカー(複数可)は、例えば、カテーテル、針ガイド、針又は送達デバイス上にあり得る。例えば、カテーテル遠位部分108は血管内の標的位置に前進させられてよく、針ガイド101を展開する前に、ユーザはX線透視法を用いてカテーテル102を、X線不透過性マーカーを及び/又は患者の生体構造の部分を撮像することによってカテーテル遠位部分108の回転配向を視覚的に評価してよい。これは、針ガイド101を展開する方向を指示し得る。
【0220】
図17を参照すると、所望の配向でのカテーテル1702の配置を助長するように構成されたX線不透過性マーカー1746を含むデバイス1700が示されている。デバイス1700はデバイス100と類似しており、簡潔にする為、デバイス100と同様な特徴については詳述しない。デバイス1700において、X線不透過性マーカー1746は、X線不透過性マーカー1746がCアームヘッドに照準を定めている場合を区別するように構成される。X線不透過性マーカー1746の位置は針ガイド(図示せず)の展開の方向と周方向に整列している為、X線不透過性マーカー1746は、針ガイドがCアームヘッドに照準を定めている場合を指示する為に使用され得る。図示の例では、X線不透過性マーカー1746はX線不透過性材料製であって非対象形状である。具体的には、X線不透過性マーカー1746はN字形である。X線不透過性マーカー1746がCアームヘッドの方に向いている場合、X線不透過性マーカー1746は、
図18に示すように文字Nとして現れることになる。X線不透過性マーカー1746がCアームヘッドと逆方向に(例えば、椎骨の方に)向いている場合、X線不透過性マーカー1746は、
図19に示すように、文字Nの裏側として現れることになる。X線不透過性マーカー1746が横向きである場合、X線不透過性マーカー1746は、
図20に示すように線として現れることになる。
【0221】
図21を参照すると、図示の例では、デバイス1700は更に、カテーテル1702の回転位置が設定公差内にある場合を視覚的に指示するように構成された付加的なX線不透過性マーカー1748を含む。特に、付加的なX線不透過性マーカー1748は2本の線を含み、両線の中心はX線不透過性マーカー1746から周方向に約180度離隔しており、その結果、
図22に示すように、配向が設定公差内である場合に、X線不透過性マーカー1746が付加的なX線不透過性マーカー1748の線間に現れる。配向が設定公差外である場合には、X線不透過性マーカー1746は付加的なX線不透過性マーカー1748の線のうち1本と重なるか、又は、
図23に示すように付加的なX線不透過性マーカー1748の線の外側になる。例えば、設定公差は、完全整列の何れかの側の45度まで(例えば、35度まで、又は25度、又は15度、又は5度)であり得る。
【0222】
次に
図6乃至8を参照すると、血管内静脈穿刺の為の別の例示的デバイス600が示されている。デバイス600は
図1乃至5のデバイス100と類似しており、簡潔にする為、デバイス100と同様な特徴については詳述しない。更に、デバイス600の説明において、デバイス100の特徴と同様な特徴は、デバイス100の特徴と同じ参照符号で示されるが、500増えた符号で示す。
【0223】
図6を参照すると、デバイス100と同様に、デバイス600は、カテーテル602と、カテーテル602から、カテーテル軸線104に対して横断方向に展開可能な針ガイド620a(本明細書では「第1の針ガイド」とも呼ばれる)と、針ガイド620から展開可能な比較的短い針628a(本明細書では、「第1の針」とも呼ばれる)を含む。しかしながら、デバイス600は更に、カテーテル602から、カテーテル軸線104に対して横断方向に(この方向は、本明細書では、カテーテル軸線に対して横断方向である「第2の方向」とも呼ばれ得る)展開可能な第2の針ガイド620bと、第2の針ガイド620bから展開可能である第2の針628bを含む。第2の針ガイド620b及び第2の針628bは第1の針ガイド620a及び第1の針628aと構成及び動作が同じである為、詳述しない。
【0224】
依然として
図6を参照すると、図示の例では、第1の針ガイド620a及び第1の針628aは、遠位端608のノッチ642から、1.5~約2.5cm又は約2cmの間隔609だけ長手方向に離隔して、繋留静脈と第1の標的位置の間の距離に一致する(例えば、繋留静脈は、ガイドワイヤが送達されるT11肋間静脈であってよく、第1の標的位置は、T10肋間静脈とT11肋間静脈の間の奇静脈であり得る)。更に、第1の針ガイド620a及び第1の針628aは、第2の針ガイド620b及び第2の針628bから長手方向に離隔している。つまり、第1の針ガイド620aはカテーテル602からカテーテル602の第1の長手方向位置で展開可能であり、第2の針ガイド620bはカテーテル602からカテーテル602の第2の長手方向位置で展開可能であり、第2の長手方向位置は第1の長手方向位置から離隔している。第2の長手方向位置は、約3~約5cm、又は約4cmの間隔644だけ第1の長手方向位置から離隔して、標的位置間の距離と一致してよい(例えば、第1の標的位置は、T10肋間静脈とT11肋間静脈の間の奇静脈であってよく、第2の標的位置は、T9肋間静脈とT10肋間静脈の間の奇静脈であってよい)。
【0225】
依然として
図6を参照すると、図示の例では、第1の針ガイド620a及び第1の針628aは第2の針ガイド620b及び第2の針628bから周方向に整列している。つまり、第1の針ガイド620aはカテーテル602からカテーテル上の第1の周方向位置で展開可能であり、第2の針ガイド620bは、カテーテル602からカテーテル602の第2の周方向位置で展開可能であり、第2の周方向位置は第1の周方向位置と整列している。
【0226】
図6のデバイスは、比較的大きな解剖学的領域の処理を、簡単及び/又は比較的短い時間枠で行うことを可能にし得る。つまり、処理(例えば、焼灼処理)は、大きな領域を焼灼する為に、第1の針628aと第2の針628bから同時に送達され得る。
【0227】
デバイス100と同様に、第1の針628aと第2の針628bは各々、処理を送達する為に任意選択的に、各送達デバイスを収容してもよい。
【0228】
図7及び8を参照すると、デバイス100と同様に、デバイスはガイドワイヤルーメンと、カテーテル遠位端608にガイドワイヤ出口ポート612を含む。しかしながら、ガイドワイヤ出口ポート612はノッチ642(本明細書では、「配向ノッチ」とも呼ばれる)であり、ノッチ642は遠位端面616と周方向外面614の両方で開いており、これら2つの面に跨っている。
【0229】
図示の例では、ノッチ642はカテーテル上のノッチ周方向位置で開いている。ノッチ周方向位置は、幾つかの例では第1の周方向位置及び/又は第2の周方向位置の30度以内であり得る。図示の例では、ノッチ周方向位置は第1の周方向位置及び第2の周方向位置に整列している。
【0230】
第1の針ガイド620a及び第2の針ガイド620bに対するノッチ642の周方向位置決めを用いて、使用時の第1の針ガイド620a及び第2の針ガイド620bの所望の配向での位置決めを助長できる。例えば、以下に詳述するように、使用時、ガイドワイヤは特定の方向、例えば第1の血管(例えば、静脈又は動脈)から横方向に第2の血管に指向され得る。次にカテーテル602はガイドワイヤの上から前進させられて第1の静脈内で停止し得る。次にカテーテル602は、ガイドワイヤがノッチ642内に収まるまでカテーテル軸線604周りに回転され得る。ガイドワイヤがノッチ642内に収まると、第1の針ガイド620a及び第2の針ガイド620bは横方向を向いて第2の静脈と同じ方向にある。
【0231】
図6乃至8のデバイスは、デバイスの前進、位置決め及び/又は配向を助長する為の1つ以上のX線不透過性マーカーを含んでよい。X線不透過性マーカー(複数可)は、例えば、カテーテル、針ガイド(複数可)、針(複数可)又は送達デバイス(複数可)上にあり得る。図示の例では、カテーテルの遠位先端部(遠位端面616及びノッチ642に隣接する周方向外面614の部分を含む)はX線不透過性である。
【0232】
上述のように、本明細書に記載のデバイスは、処理を送達する為の送達デバイスを含んでよく、送達デバイスは極低温エネルギー(冷凍焼灼エネルギーとも呼ばれる)を送達し得る。アブレーションの為に極低温エネルギーを使用することは幾つかの例では有利であるが、それは、制御可能且つ予測可能なアブレーションゾーン(例えば、送達デバイスの周囲に約3~5mm周方向に延在するゾーン)を可能にし得る、標的ゾーンに自在に送達される流体を保持する必要を省き得る、処理のより良い可視化を可能にし得る(医療撮像では氷が見える為)、他のアブレーションモードよりも痛みが少なくあり得る、及び一時的神経遮断の為に使用され得るからである。次に
図24を参照すると、1つの例示的極低温エネルギー送達デバイス2334が示されている。簡潔にする為、
図24では、針ガイド及び針等のデバイスの他の特徴は図示していない。
【0233】
図示の例では、極低温エネルギー送達デバイス2334は、源2358から、極低温エネルギー送達デバイス2334の遠位端2336への極低温流体(例えば、米国特許第7,921,657号に記載のような超臨界液体窒素などの液体窒素)の送達の為の第1のルーメン2350(供給ルーメンとも呼ばれる)と、極低温流体の源2358への戻りの為(例えば、再生の為、又は最終的な廃棄若しくは排気の為)の第2のルーメン2352(戻りルーメンとも呼ばれる)を含む。図示の例では、第1のルーメン2350は極低温エネルギー送達デバイス2334内の中心管2354によって形成され、第2のルーメンは、極低温エネルギー送達デバイス2334の中心管2354と外壁2356の間に形成され、その結果、第1のルーメン2350と第2のルーメン2352が同軸になる。別の例では、第1のルーメン2350と第2のルーメン2352は、他の方式によって形成されてもよく、例えば、極低温エネルギー送達デバイス2334内の2本の隣接する管によって形成されてもよい。
【0234】
幾つかの例では、中心管2354と外壁2356は、ステンレス鋼製の皮下チューブによって形成され得る。送達デバイス2334の遠位端2336は、ドーム溶接された端部を有してよい。
【0235】
幾つかの例では、送達デバイス2334の遠位端2336は、1つ以上の温度センサ(図示せず)を含み得る。幾つかの例では、送達デバイス2334は1つ以上の刺激電極(図示せず)を含み得る。例えば、送達デバイス2334は2つの互いに離隔した帯状電極を含んでよく、それらはバイポーラモードで使用され得る。
【0236】
幾つかの例では(図示せず)、カテーテル及び/又は針及び/又は針ガイドは、冷凍アブレーションが送達デバイス2334のみから送達され、デバイスの他の部分からは送達されないように熱的に絶縁されていてよい。
【0237】
デバイスが2本の針、2本の針ガイド及び2つの極低温エネルギー送達デバイス(デバイス600等)を含む例では、単一の供給ルーメンが両方の極低温エネルギー送達デバイスに供給してもよい。
【0238】
依然として
図24を参照すると、図示の例では、極低温流体の源2358は、流体リザーバ2360と、流体リザーバ2360と第1のルーメン2350の間の供給弁2362と、戻った極低温流体を大気中に排出する為の、第2のルーメン2352の出口の圧力解放弁2364と、供給弁2362及び圧力解放弁2364を制御する為のコントローラ2366を含む。コントローラ2366は送達デバイス2334の遠位端2336の温度センサと連通してよく、極低温流体の供給は、感知された温度に応答して自動制御されてよい。別法として、極低温流体の供給は手動で制御されてよい。
【0239】
幾つかの例では、送達デバイス2334は極低温エネルギーと熱エネルギーを周期的に送達してよい(例えば、RFを用いて)。これは、熱エネルギーを送達して神経を可逆的に遮断し(即ち、比較的低温で比較的短時間、例えば、1~4分間、2~50Wの60乗未満、又は20W未満で熱エネルギーを送達する)、次に極低温エネルギーを送達して神経を可逆的に遮断する(即ち、比較的短時間且つ比較的高温、例えば摂氏15度より上で極低温エネルギーを送達する)ことによる、有髄神経の可逆的遮断の為に使用されてよい。RFエネルギーは送達デバイス2334の外壁2356を介して送達されてよい。代替的に、送達デバイスは、外壁2356上に1つ以上の電極(例えば、2つの帯状電極)を含んでよく、外壁2356は電気絶縁性であり得る。
【0240】
幾つかの例では(図示せず)、静脈を穿刺せずに極低温エネルギーを送達する為に、針ガイド又は針を含まないデバイス内で、送達デバイス2334に類似した送達デバイスが使用されてよい。そのようなデバイスでは、RFエネルギーは、血流が低減されるように(それで冷却力を抑止する)、冷却前に静脈を暖めて極低温エネルギー送達デバイスの周囲に収縮させる為に使用され得る。代替的に、閉塞バルーンが、極低温エネルギー送達デバイスに対して遠位及び近位に展開されて、血流が冷却を抑止することを止めてもよい。
【0241】
上述のデバイスは任意選択的に種々のセンサ及び電極を含み得る。例えば、デバイス100及び/又は600は、1つ以上の温度センサ及び/又はバイオインピーダンスセンサを含み得る。更なる例として、デバイス100及び/又は600は、1つ以上の電気的刺激電極を含み得る。そのようなセンサ及び電極は、カテーテル、針ガイド(複数可)、針(複数可)及び/又は送達デバイス(複数可)上に位置決めされ得る。そのようなセンサ及び電極は、特許出願PCT/US2017/044747号に詳細に説明されている。
【0242】
上記の何れの例においても、送達デバイス(例えば、送達デバイス115)は可撓性となるように構成され得る為、肺との接触が生じた場合、送達デバイスは屈曲して肺の運動に合わせることができ、肺への損傷を極減又は低減する。例えば、可撓性送達デバイスが肺に接触するか、又は穿刺してしまった場合でも、肺の運動は、肺を破る代わりに送達デバイスの屈曲をもたらし得る。例えば、可撓性送達デバイスは、標的の方に前進するにつれ、脂肪等の軟性組織を通って前進することを可能にする為に十分な軸向圧縮強度の可撓性シャフトを含んでよく、可撓性シャフトはコイルばねであってよい。
【0243】
血管内血管穿刺デバイスの使用方法
胸郭の或る種の解剖学的構造を以下に参照する。これらの解剖学的構造は、米国特許出願公開第2018/0110561号、PCT国際公開特許出願WO2018/023132号及びPCT/US2018/066047号(2018年12月17日出願)に詳細に説明され示されており、これら出願はそれらを参照することによって全体があらゆる目的で本明細書に組み込まれる。
【0244】
本明細書の文脈では、TSNは、右又は左胸内臓神経及びそれらの貢献する神経を意味し得るものであり、血管内穿刺及び処理(例えば、アブレーション)は、右胸内臓神経にアクセスする為に奇静脈又は1つ以上の肋間静脈から、又は、左胸内臓神経にアクセスする為に半奇静脈又は肋間静脈から、又は、それらの各々の分枝から実行されることができる、或いは、右及び左胸内臓神経両方にアクセスする為に、左右両側の処理は奇静脈及び半奇静脈両方並びにそれらの分枝から実行され得る。
【0245】
図9乃至13を参照して、血管内穿刺及び処理の為の第1の例示的方法を説明する。方法は、
図1乃至5のデバイス100を参照して説明される。しかしながら、方法はデバイス100に限定されず、デバイス100はこの方法に係る使用に限定されない。
【0246】
図示の例では、方法は、血管内肋間静脈の穿刺、及びアブレーションによるGSNの処理の為のものである。方法はT10肋間静脈内で示されている。別の例では、方法は、T9又はT11肋間静脈等の他の肋間静脈内で実行されてよく、それらの例を本明細書で記載している。GSNのアブレーションは、米国特許出願公開第2018/0110561号、PCT国際公開特許出願WO2018/023132及びPCT/US2018/066047(2018年12月17日出願)に記載のように、心不全又はその他の関連症状を治療する為であり得る。別の例では、同じ方法が、他の治療の目的で他の血管の血管内穿刺に使用され得る。
【0247】
肋間静脈は、鎖骨下静脈、頸静脈又は大腿静脈からを含めた幾つかの手法によって血管内でアクセスされてよい。種々の手法が米国特許出願公開第2018/0110561号、PCT国際公開特許出願WO2018/023132及びPCT/US2018/066047(2018年12月17日出願)に記載されており、本明細書では必ずしも詳述しない。
【0248】
ここで
図9を参照すると、第1のステップとして、ガイドワイヤ900が患者の静脈系を通ってT10肋間静脈902に前進させられてよい。次にカテーテル遠位部分108が、ガイドワイヤ900の上から静脈系を通ってT10肋間静脈902に前進させられて、T10肋間静脈902内の標的位置へと前進させられる。幾つかの例では、標的位置は、T10肋間静脈902へと約3cmまで入ったところである。処理がGSN904のアブレーションであり、交感神経鎖への損傷を避けるべき幾つかの例では、標的位置は奇静脈906からT10肋間静脈902へと約1.5cmまで、又はT10肋間静脈902へと約1cmまで入ったところであってよい。幾つかの例では、カテーテル102はT10肋間静脈内に約3cm以上前進させられてよく、次にカテーテル102から刺激パルスが印加される。パルスが交感神経鎖を刺激すると、カテーテルは少し退縮され得る。刺激と退縮は、刺激パルスが交感神経鎖を刺激せずにGSNを刺激するまで繰り返され得る。
【0249】
幾つかの例では(図示せず)、カテーテル102のX線不透過性マーカー(上述のX線不透過性マーカー1746及び1748)を用いてカテーテル102の所望の回転配向での配置を助長してもよい。所望の配向は、針ガイド101が、椎骨から逸れた方向(例えば、椎骨の反対側)の半径方向且つTSNの方に展開する配向であり得る。例えば、標的血管が右T11肋間静脈であれば、CアームX線蛍光透視装置はT11椎骨上に中心決めされ、任意選択的に、前部後部中心位置(AP位置)から患者の右側に回転されて、椎骨の接線に対して略直角な角度を得てよい。この位置において、針ガイド101を、GSNが多くの場合に肋間静脈を横断する場所であるCアームヘッドの方に半径方向に展開させることが望ましくあり得る。カテーテル102は、針ガイド101がCアームの方に展開され従って標的神経の方に展開されたことをX線不透過性マーカーが示すまで、カテーテル遠位部分108を肋間静脈内で回転させる為にトルクを掛けられてよい。
【0250】
GSNは肋間静脈と壁側胸膜の間であり、この位置にある胸膜は多くの場合に脊椎とほぼ同じ輪郭を有する為、針ガイド101を椎骨の接線に対して直角に展開すると、針ガイドを胸膜に対して直角に指向させ得る。針105が静脈壁を越えて穿刺するのは微量のみであり、送達デバイス115は鈍端を有し得るとしても、壁側胸膜を貫通して穿刺する若干のリスクは依然として存在する可能性があり、その場合、流体又はエネルギーはGSNに効果的に送達され得ない。針105又は送達デバイス115を、直角の代わりに斜角(例えば、約45度)で送達することによって、胸膜を穿刺するリスクが低減され得る。従って、別の例では、カテーテルは、針ガイドから周方向に離隔したX線不透過性マーカーを含んでよく、その結果、X線不透過性マーカーがCアームヘッドに照準を定めている場合、針ガイドは、Cアームヘッドに照準を定めない方向(例えば、Cアームヘッドから45度逸れている)に展開する。
【0251】
図10及び11を参照すると、次に針ガイド101がカテーテル102から展開されてよい。「デバイス」セクションで上述したように、針ガイド101は、針ガイド遠位端103がカテーテル102の周方向外面114から半径方向に離隔するように、カテーテル軸線104に対して横断方向に展開され得る(
図1に示す)。針ガイド101は、
図10に示すように針ガイド遠位端103が静脈壁908に接するまで展開され得る。連続した展開により、針ガイド遠位端103が静脈壁908に押し付けられる(針105の展開に備えて)。例えば、連続した展開により、カテーテル102は静脈壁908から逸れる方向に押され、その結果カテーテル102は、
図11に示すように静脈902の反対側の壁910に当接する(本明細書では、「反対側の静脈壁」とも呼ばれる)か、又は、別の解剖学的構造に接触する。代替的に、連続した展開はカテーテル102の他の運動を引き起こすこともあり、それにより、遠位端103が、針105の展開に備えて静脈壁908に圧力を印加する結果となる。
【0252】
図12を参照すると、針ガイド遠位端103が静脈壁908に押し付けられると(例えば、カテーテル102が反対側の静脈壁910又はその他の解剖学的構造に当接した結果として)、針105は針ガイド遠位端103から展開されて、針105の鋭利な穿刺端107で静脈壁908を穿刺する。針105の比較的短い穿刺距離により、静脈壁908は、肺又は他の付近の組織を穿刺するリスクを極減又は低減しながら正確に穿刺され得る。例えば、上記のように、針105は、カテーテル外径110未満(
図2に示す)、及び/又は2mm未満、若しくは1mm未満若しくは約0.5mmの展開距離に展開され得る。
【0253】
静脈902が穿刺され終わると、種々のオプションのステップが実行され得る。例えば、神経刺激試験が、GSN904又は他の神経若しくは解剖学的構造に対する鋭利な穿刺端107の位置を確認する為に、鋭利な穿刺端107を介して電気的刺激パルスを送達することによって実行され得る。更なる例として、肺又は壁側胸膜が穿刺されていないことを確認する為に造影剤が送達され得る。
【0254】
次に、針105の鋭利な穿刺端107を介して、静脈902の外部の領域に処理が送達されてよい。図示の例では、送達デバイス115は穿刺端107から展開されて、処理を送達する為に使用される。別の例では、針105自体が処理を送達する。例えば、流体(焼灼流体等)は針を介して送達されてよい。
【0255】
図13を参照すると、上述のように、送達デバイス115は穿刺端107から送達距離99だけ展開され得る(
図5に示す)。処理のモードによって、送達距離99は例えば、15mmまで、又は3~7mm、又は4~6mmであり得る。多くの場合、RFエネルギーを用いて肋間静脈からGSN904を焼灼する為に、送達デバイス115は4~6mmで展開され得る。任意選択的に、神経刺激試験は、GSN904又は他の神経解剖学的構造に対する送達デバイス115の位置を確認する為に、送達デバイス115を介してパルスを送達することによって実行され得る。
【0256】
次に処理が送達デバイス115から送達され得る。例えば、上述のように、処理流体が送達され得る、又は熱エネルギー処理が送達され得る、又は極低温エネルギー処理が送達され得る、又はRFエネルギー処理が送達され得る。
【0257】
処理が完了すると、デバイス100は、送達デバイス115を針105の方に退縮させ、針105を針ガイド101の方に退縮させ、針ガイド101をカテーテル102の方に退縮させ、次にカテーテル遠位部分108を患者の静脈系を介して引き出すことによって患者から引き出されてよい。
【0258】
ここで
図14乃至16を参照して、血管内穿刺及び処理の為の別の方法を説明する。方法は、
図6乃至8のデバイス600を参照して説明される。しかしながら、この方法はデバイス600に限定されず、デバイス600はこの方法に係る使用に限定されない。
【0259】
図示の例では、方法は、右側のT9~T11レベルでの奇静脈906の血管内穿刺及びアブレーションによるGSN904の処理の為のものである。奇静脈906は、鎖骨下静脈、頸静脈又は大腿静脈からを含めた幾つかの手法によって血管内でアクセスされてよい。種々の手法が、国際特許出願PCT/US2017/044747号に記載されており、本明細書では詳述しない。
【0260】
ここで
図14を参照すると、図示の例では、第1のステップとして、ガイドワイヤ900が患者の静脈系を通って前進させられてよい。奇静脈906が穿刺の標的であるが、ガイドワイヤ900は奇静脈906を通ってT11肋間静脈912へと前進させられてよい。カテーテル遠位部分608は次に、ガイドワイヤ900の上から静脈系を通って奇静脈906内へと、奇静脈960内の標的位置に前進させられてよい。幾つかの例では、標的位置は、T9レベルとT11レベルの間にあり得る。例えば、カテーテル遠位部分608は、第1の針ガイド620a(
図16に示す)が、展開されたときに、T10肋間静脈902とT11肋間静脈912の間になるように、又、第2の針ガイド620bが、展開されたときに、T9肋間静脈(図示せず)とT10肋間静脈902の間になるように位置決めされ得る。
【0261】
図15を参照すると、カテーテル遠位部分608が標的位置にあるとき、その配向は、
展開されたときに第1の針ガイド620a及び第2の針ガイド620b(
図16に示す)がGSN904の方に向くように調整されてよい。身体の右側では、肋間静脈は一般にGSN904と奇静脈906の同じ側にあり、且つGSN904と略同平面内にあり、T11肋間静脈912内にガイドワイヤ900を配置するとカテーテルの回転配向602の調整を助長できる。つまり、ガイドワイヤ900がT11肋間静脈912内にあり、カテーテル遠位部分608が奇静脈906内の標的位置にある状態で、カテーテル602はカテーテル軸線604の周りで回転され得る。カテーテル遠位部分608内のノッチ642がT11肋間静脈912と同じ方向に向いている場合、即ち、GSN904の方に向いている場合、ガイドワイヤ900はノッチ642内に収まって、周方向外面614で開いているノッチ642の部分に入れ子式に収まる。ガイドワイヤ900のこの位置決め(即ち、周方向外面614で開いているノッチ642の部分に入れ子式に収まる)は、X線透視法下で確認され得る。
【0262】
別の例では、ノッチと第1及び第2の針ガイドが周方向に約30度離隔しているデバイスが使用され得る。これは、第1及び第2の針ガイドが肺から少し逸れた方向を向き、椎骨の方を向いている為、肺の穿刺の危険を低減又は極減することができる。
【0263】
図16を参照すると、カテーテル602の配向が確認された状態で、第1の針ガイド620a及び第2の針ガイド620bは、カテーテル602から順次又は同時に展開され得る。上述のように、第1の針ガイド620a及び第2の針ガイド620bは、針ガイド遠位鈍端622a,622bが夫々奇静脈壁916に接触するまで、又、カテーテル602が押されて反対側の奇静脈壁918に当接するまで展開され得る。第1の針628a及び第2の針628bは次に、奇静脈壁916を穿刺する為に展開され得る。
【0264】
任意選択的に、第1及び第2の送達デバイスは次に第1の針628a及び第2の針628bから展開され得、処理を送達する為に使用され得る。例えば、
図25を参照すると、極低温エネルギー送達デバイス2334(
図24に関して上述した)が、極低温エネルギーを送達する為に使用され得る。幾つかの例では、極低温エネルギー送達デバイス2334は、奇静脈906からGSN904を処置する為に15mmまでの送達距離だけ展開され得る。
【0265】
代替的に、第1の針628a及び第2の針628b自体が処置を送達する為に使用され得る。
【0266】
上記の何れの例においても、針又は送達デバイスによる肺への穿刺又は他の損傷を回避する為に、種々の技法が使用されてよい。例えば、患者は、肺をデバイスから離しておく為に、手順中に短時間息を止めるように指示されてもよい。代替的に又は付加的に、肺の運動を検出する為に種々のセンサ(例えば、流量センサ、生体インピーダンスセンサ、圧力センサ)が使用されてもよい。そのような技法は、米国特許出願公開第2018/0110561号、PCT国際公開特許出願WO2018/023132及びPCT/US2018/066047(2018年12月17日出願)に記載されており、本明細書では詳述しない。
【0267】
上記の何れの例においても、熱がGSNのアブレーションの為に使用される場合(例えば、直接熱処理により、又はRFエネルギー処理により)、GSNの領域内の血流(例えば、奇静脈内の血流)は、その領域を冷却することによって処理に干渉する可能性がある。幾つかのそのような例では、GSNの領域内への血流は遮断され得るか、又はGSNの領域から逸れた方に向けられ得る。例えば、バルーンが肋間静脈の口付近の奇静脈内で膨張され得る。そのような技法は、米国特許出願公開第2018/0110561号、PCT国際公開特許出願WO2018/023132及びPCT/US2018/066047(2018年12月17日出願)に記載されており、本明細書では詳述しない。
【0268】
処理流体が送達される上記の何れの例においても、流体は、任意選択的に、流体がGSNの領域に留まるように、比較的高い、又は比較的高くなり得る粘度を有し得る。例えば、流体は、最初は比較的粘度が低いが(例えば、室温又は室温未満)、体温で粘度が上昇するものであってもよい。代替的に、流体は、デバイス内の2つの別個のルーメンを介して2つの別個の成分として提供され得る。両流体成分は比較的低粘度を有してよいが、結合されると粘度が増加し得る。
【0269】
上記の何れの例においても、アブレーション処理が完了した後で、GSNが焼灼されたことを確認する為に刺激が実行される。そのような刺激は、米国特許出願公開第2018/0110561号、PCT国際公開特許出願WO2018/023132及びPCT/US2018/066047(2018年12月17日出願)に記載されており、本明細書では詳述しない。
【0270】
上記の何れの例においても、カテーテルは送達シースを介して静脈系内に前進させられる。
【0271】
上記の何れの例においても、患者からデバイスが退縮されると、静脈内の穿刺の治癒を促進する為に物質がデバイスを介して注入されてよい。
【0272】
上記の説明は1つ以上のプロセス又は装置の例を提供するが、他のプロセス又は装置も添付の特許請求の範囲の範囲内にあり得る。
【0273】
経血管神経アブレーションの実施形態
高血圧の処置の為の腎臓神経除去の為の神経の経血管アブレーション向けに特別に構成された、幾つかのデバイスが市販、又は開発中及び特許出願で開示されている。これらのデバイスは腎臓動脈内での使用向けに設計されており、腎臓動脈を刺激する神経を標的にするように設計されている。これらのデバイスで使用されるエネルギーモダリティのうち幾つかは、肋間静脈内からのGSNアブレーションに理論的に使用され得る。しかしながら、これらのデバイスは、肋間静脈内への配置、及び肋間静脈内からのGSNアブレーションには適していない。本開示はこのことを認め、本明細書の療法を実行する為に、これらのデバイス及び使用方法の1つ以上の態様にどのような修正の必要があるかに対処する。
【0274】
例えば、腎臓動脈は約5mmの直径を有するのに対し、肋間静脈は約3mmの直径を有する。この直径の差により、電極、カテーテルシャフト等のデバイス構成要素、又はバルーン等の展開可能構造の小型化が必要になり得る。更に、肋間静脈は腎臓動脈よりも有意に少ない血流を含む。幾つかの腎臓神経除去デバイスは、アブレーションエネルギー送達要素が正しく機能する為にアブレーションエネルギー送達要素を冷却するのに血流に頼っている。従って、より少ない血流を考慮する為に、幾つかのデバイスを修正する必要があり得る。例えば、GSNアブレーションデバイスは、アブレーション要素を灌注することによる、又は血管に冷却剤を送り込むことによる、又は、例えば、より長い期間に亘りより低パワーでの、異なるエネルギー送達パラメータによる能動冷却を必要とする可能性がある。腎臓神経除去デバイスは、動脈の周囲に予測不能なパターンで腎臓動脈の外膜内にある神経を焼灼することを目指しており、標的アブレーションゾーンは3mm未満の深があれば十分であり得る。逆に、肋間静脈からのGSNアブレーションは、血管から更に離れたより大きい神経を焼灼することを目指しており、標的アブレーションゾーンは5mmまでの深さである必要があり得る。更に、腎臓神経除去アブレーションパターンは典型的に、長手方向及び周方向に、螺旋パターンで離隔して拡散した幾つかのアブレーションを含む。周方向アブレーションは腎臓神経除去では一般に避けられる。その一方で、肋間静脈で展開されたそのようなパターンは標的GSNを見失う可能性がある。経血管腎臓神経除去では、カテーテルは大腿動脈から大動脈を通って腎臓動脈へと前進させられ得る。大動脈及び腎臓動脈のサイズは、奇静脈と肋間静脈のサイズよりもより大きい曲げ半径を可能にする。従って、GSNアブレーションを目的としたデバイスは、より可撓性であると共に、腎臓神経除去デバイスと比べてより小さい曲げ半径を横断することが可能である必要があり得る。GSNアブレーションにより適したものにする為の、既存の腎臓神経除去デバイスへの幾つかの特定的修正が本明細書で更に説明される。
【0275】
ベシックス・バスキュラー(Vessix Vascular)は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9028472号、米国特許第9037259号、米国特許第9174050号、米国特許第9566114号、米国特許第9592386号、米国特許第9072902号に記載され、組織の経血管アブレーションに有益な多くの特徴を含む、以前に開示されているバルーンアブレーションカテーテルを有する。肋間静脈内からのGSNアブレーションに適したものにする為に、これらのデバイス及び方法への修正が必要である。
【0276】
肋間神経内からTSN又はGSNを焼灼する為の経血管アブレーションカテーテル241の一実施形態が
図26Aに示されている。デバイス241は、長軸に沿って延在するカテーテルを含み得る。非拡張状態と拡張状態を有する、例えば、バルーン242の形態の拡張可能部材がカテーテルの遠位領域243に結合され得る。拡張可能部材又はバルーンは、拡張状態において長軸に沿って延在し血管55を包囲する周方向処理ゾーン248(例えば、12~20mmの範囲の長さを有する)を有し得る。複数の電極パッド244を備えた電極アセンブリ252がバルーン242に取り付けられてよい。各電極パッドアセンブリは、第1及び第2の電極パッドを支持する基板を含んでよく、各電極パッドは一対の長形バイポーラ電極を有し、電気トレース249に接続されている。各電極パッドアセンブリの電極パッドは互いに長手方向及び周方向に偏位している。方法は更に、バルーンを肋間静脈内で拡張させて、その結果、電極を肋間静脈の壁と電気的に結合させ、各バイポーラ対の電極間でバイポーラエネルギーを駆動して、患者の血液量が、肺高血圧又は心不全等の疾患の治療の為に再分配されるように、肋間静脈の5mm以内のTSN又はGSNを治療的に変化させることを含んでもよい。
【0277】
各電極パッドは、対の電極間に配置された温度センサを含んでよい。バルーンを拡張すると、温度センサを肋間静脈の壁に結合させ得る。幾つかの実施形態では、方法は更に、壁を略均等に加熱する為に、温度センサからの温度信号に応答してバイポーラ対にエネルギーを指向させることを含み得る。
【0278】
肋間静脈からGSNを標的にする為に5mmの深さを有するアブレーションを形成する為に、アブレーション深さを妨げる乾燥を静脈壁の組織に引き起こさずに、より大きなパワーが送達されることを可能にする為に、電極パッドは冷却されてよい。電極は、例えば、バルーン242内で冷却液を循環させることによって冷却され得る。一実施形態では、冷却液は、バルーンチャンバの一端部の冷却液注入ポート246からバルーン242に注入されてよく、冷却液は、チャンバの反対側端部の出口ポート247を通ってチャンバから出て、出口ルーメンを通ってカテーテルを介して戻ることが可能になる。
【0279】
別の実施形態では、冷却液はカテーテル内のルーメンを通って戻る代わりに血流に沈着されてもよい。この実施形態は、より薄型でより可撓性のカテーテルシャフト又はより大きな冷却液送達ルーメンを可能にして、冷却液の流量を増加させ得る。冷却液出口ポートは、バルーン内で圧力が増加してバルーンを膨張させることを可能にする為に、冷却液注入ポートよりも小さくあり得る。冷却液出口ポートはルーメンと連通していてよく、ルーメンは、カテーテルシャフト全体を通過して近位端に至らないが、代わりにカテーテルの遠位端に通って冷却液(例えば、生理食塩水)を肋間静脈に沈殿させる。任意選択的に、冷却液出口ルーメンはガイドワイヤ送達ルーメンと同じルーメンであってよい。
【0280】
電極パッドはバルーンの周囲に位置決めされて、標的アブレーションゾーン58までの長さ(例えば、20mmまで、約15mm、12~18mm)の周方向アブレーションパターンを形成してよい。例えば、
図26Bに示すように、長形シャフト253に電極パッドが取り付けられたバルーンは、約1~2.5mmの直径と約3.14~7.85mmの外周を有する非展開状態を有することができ、又、約3~5mmの範囲の直径と、約9.4~15.7mmの範囲の外周を有する展開状態に拡張可能である。電極パッド244は、5mm未満(例えば、2.5mm未満)の距離250及び3~3.5mmの範囲の幅又はアーク長251だけ離隔されていてよい。電極パッド244は夫々約3~5mmの長さを有してよい。
図26Aに示すように、電極パッドアセンブリ252は、電気トレース249によって互いに接続された4列の別個の列上に配置された複数の電極パッド244を備えてよく、列は、バルーン242の外周に均分に離間配置されている(例えば、各90度の四分円に4列がある)。長手方向では、1つの列上のパッド244は、隣接する列のパッドから偏位していてよい。バルーンがその非拡張状態にある場合、電極パッド間の空間は減少されて(例えば、約0~1mmに)、隣接する列は互いに連結する。その拡張状態において、パッド間の空間250は、拡張可能なバルーン242により、約2~5mmに拡張する。バルーン242は、ラテックス等の応従性材料、又は可撓的に折り曲げられて収縮する非応従性材料であってよい。
【0281】
代替的に、電極パッドは1つの側部のみに配置されて(例えば、バルーンの外周の50%、40%、30%、25%)、標的アブレーションゾーン58と同じ側に向いており標的アブレーションゾーン58の長さである指向性アブレーションパターンを生成してもよい。指向性アブレーションカテーテル用に、カテーテルの遠位領域上にX線不透過性マーカーが配置されて半径方向を示してもよい。例えば、X線不透過性マーカーは非対称であり、指向性電極パッドと同じ側又は反対側に配置されて指示を行い、使用時に医師はカテーテルにトルクを掛けてX線不透過性マーカーを標的にし、従って、電極パッドを、常にGSNの方に向いている椎骨から逸らす。
図26Aは幾つかの小型の電極パッドを示す。代替的に、デバイスはより多数の電極パッドを有しても、より少数の電極パッドを有してもよく、例えば、標的アブレーションゾーン58に亘るバルーンの同じ側上に2つ又は3つの指向性電極パッド(例えば、3~5mm長さ)を有してもよい。電極パッド間の間隙(例えば、1~3mm)は、奇静脈から肋間静脈に横断するデバイスの屈曲を助長し得る。
【0282】
バルーンのすぐ近傍に、カテーテルシャフトは、アブレーションバルーンが肋間静脈の自然配向に収まることを可能にする可撓性ネック245を備えてよい。この位置に小さい曲げ半径があることで、剛性シャフトはアブレーションバルーンに力を掛けて、アブレーションバルーンに肋間静脈を変形させ、アブレーションゾーンの予測可能性を減少させる。可撓性ネックはより軟質のデュロメータポリマー(例えば、ペバックス(Pebax))製であってよく、材料に埋め込まれたワイヤコイルを有してよく、それが、押し込み性を提供しながら可撓性の屈曲を可能にし得る。
【0283】
最も近位の電極(複数可)は、口付近の肋間静脈内丁度のところに配置するように意図されている。奇静脈を通る血流はその付近の組織を代謝的に冷却して、アブレーションの形成を防止する。血流冷却を補償する為に、電極(複数可)の残りの部分よりも大量のアブレーションパワー(例えばRF)又はより長い期間が、この近位電極(複数可)に送達されてよい。
【0284】
メドトロニック/アーディアン・インク(Medtronic/Ardian Inc.)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれ、組織の経血管アブレーションに有益な多くの特徴を含む、例えば米国特許第9125661号、米国特許出願公開第2012/0143293号の、腎臓動脈で展開された場合に螺旋形状を形成するカテーテルの遠位部分シャフトの長さに沿って取り付けられた幾つかの電極を有する腎臓神経除去の為のカテーテルを開示している。肋間静脈内からのGSNアブレーションに適したものとする為に、これらのデバイス及び方法への修正が必要である。このデバイスは、極めて小型で薄型の電極を有し、それが、深さ3mmを超えないアブレーションをもたらし、腎臓動脈血流と類似した血流に頼って組織炭化を回避し、電極間隔とシャフトの螺旋状成形は、標的神経を見失う可能性がある為、GSNアブレーションに適していないアブレーションパターンを形成する。
【0285】
図27は、近位領域及び遠位領域を備えた長形シャフト205と、遠位領域に取り付けられたアブレーションアセンブリ211を有するカテーテル200を示す。カテーテル200をGSNアブレーションに適したものに修正する為に、電極201はサイズを増加させ(例えば、2~3mmの直径202)、電極間の間隔203を減少させてよい(例えば、2~4mm離隔している)。電極の長さ204は、1~2mmの範囲に留まってもよく、又は、3~4mmの範囲に増加されてもよい。電極が血管ルーメンの直径に近い直径202を有する場合に、直線状シャフトが好ましい肋間では、シャフトの螺旋形状は必要でない。直線状部分209に沿って配置された電極は、20mmまで(例えば、18mm、15mm)の距離に亘って標的アブレーションゾーン58をカバーする。電極201は管状シャフト205に取り付けられる。遠位領域内のシャフト材質は、弾性特性が螺旋プリフォーム形状を形成して剛性である必要はないが、代わりに、奇静脈から肋間静脈への小さい曲げ半径を介した送達を助長する為に極めて可撓性であり得る。任意選択的に、シャフトは、肋間静脈55内に配置することが意図された、直線状部分209に近接したループ形状を弾性的に形成する部分210を有し得る。ループ形状は電極206を備えてよく、口59に押し付けて配置することが意図されてよく、それが、標的神経があり得る口の周囲の組織を焼灼することができると共に、直線状部分209を肋間静脈55内の正しい深さ(例えば、10~20mm)に位置決めする為の深さストッパとして働き得る。RFアブレーションエネルギーは、深部(例えば5mm)アブレーションと連続アブレーションの両方を達成する為に、ユニポーラモードで順次又は同時に送達されてもよく、任意選択的に、バイポーラモードで送達されてもよい。任意選択的に、RFは、より深部の組織がより緩慢に冷却しながら、休止中に表面組織が若干冷却されて、目標とする5mmのアブレーション深さを助長できるパルス波形で送達され得る。又、任意選択的に、電極は灌注されてもよい。例えば、電極又は電極間のシャフトの部分は、生理食塩水等の流体を送達する為の灌注ポート207を有してよい。任意選択的に、カテーテル200はガイドワイヤ79の上からの送達の為のガイドワイヤルーメン208を有し得る。
【0286】
コヴィディエン(Covidien)は、例えば、参照により組み込まれており組織の経血管アブレーションに有益な多くの特徴を含む米国特許出願公開第2015/0105659号等の冷却食塩水又は麻酔薬等の液体を滴らせる開口を更に備えたバルーンに螺旋状構成で取り付けられた可撓性RF電極を備えた展開可能なバルーンを有する腎臓神経除去カテーテル及び使用方法を開示している。肋間静脈内からのGSNアブレーションに適したものにする為に、これらのデバイス及び方法への修正が必要である。インサイチュに配置されたアブレーションカテーテル180が
図28に示されている。カテーテルの遠位領域181は、膨張可能なバルーン182が長形管状シャフト183に取り付けられたアブレーションアセンブリ190を有する。バルーンの寸法は肋間静脈に適応し(たとえば、膨張状態で直径2.5~4mm)、12~30mmの範囲の長さに及ぶように変えられてよい。コヴィディエンデバイスの電極の螺旋形状は、標的GSNを見失う可能性がある。電極184は、直線状且つバルーンの軸線に対して平行になって、指向性アブレーション向けにバルーンの外周の一セグメント(例えば、50%、40%、30%、25%)をカバーするように変えられてよい。電極184は、標的アブレーションゾーン58の長さのアブレーションを形成することができる12~20mmの範囲(例えば、20mmまで)の長さ189を有してよい。遠位領域181は、電極184が、標的GSN52が肋間静脈55の上を通る身体の前部の方に配向していることを確認する為に、半径方向に識別可能であるX線不透過性マーカー186を有してよい。代替的に、バルーンによって担持され、バルーンの長軸に対して直角に配置された1つ以上の電極等の1つ以上の電極が、周方向アブレーションの為にバルーンの周囲に配置されてもよい。電極ストリップ184は流体のウィーピング(weeping)の為にその表面上に灌注ポート185を含み得る。流体開口は、より多い流量を可能にする為にサイズを増加してもよい。任意選択的に、シャフト183は、バルーン182の10mm近傍内に可撓性ネック187を有して、遠位領域181が肋間静脈内に上手く収まることを可能にしてもよい。任意選択的に、カテーテル180はガイドワイヤルーメン188を有してもよい。
【0287】
リコールメディカル(Recor Medical)は、例えば、参照により組み込まれており組織の経血管アブレーションに有益な多くの特徴を含む米国特許出願公開第2015/0290427号、米国特許出願公開第2014/0031727号等の、超音波を用いて腎臓動脈周囲の組織を焼灼する腎臓神経除去デバイス及び使用方法を開示している。超音波トランスデューサは、トランスデューサを血管内に中心決めするバルーン内に収容されている。トランスデューサは円筒形であり、血管の周囲に周方向アブレーションを形成する。トランスデューサを冷却する為に冷却流体がバルーンに注入される。このデバイスによって形成されるアブレーションは長さ約5mmである。
【0288】
超音波アブレーションは、エネルギーを指向させるポテンシャルを有し、周波数、パワー及び時間に関して表されるエネルギー投与量を指令するアブレーションエネルギー送達パラメータに関する超音波トランスデューサのサイズによって主に制限される。神経を肋間静脈から5mmまでのところで焼灼する為に、肋間静脈内に配置された小型トランスデューサ(例えば、長さ5mm、直径1.5mmの円筒形トランスデューサ)から、約2~20秒で神経を効果的に焼灼する為に、10~30MHzの周波数及び約1~10ワットのパワーが必要であり得る。これらの設定では、例えば、超音波トランスデューサの周囲の密封チャンバ内で液体を循環させることによって、又は代替的に、血流が、開放表面生体適合性トランスデューサに接触することを可能にすることによって、又は、振動超音波トランスデューサによって生成された局所熱が、制御されたアブレーションサイクルの一部として使用され得る冷却膜と血流が接触することを可能にすることによって、超音波トランスデューサの有意な加熱が軽減され得る。超音波トランスデューサによって生じた熱は、静脈内部に消散されることができ、超音波トランスデューサ周囲の温度場を変化させ得る。そのような誘導加熱と能動超音波アブレーションの組み合わせの結果としての効果は、任意の小血管近傍での壊死領域の形成の効果的な方法を提供し得る。熱消散は、超音波トランスデューサの正しい機能には要件であり、血管壁損傷のリスク上昇を避ける為に注意を払わなければならない。効率的且つ並列した損傷のない神経のアブレーションが手順目標である場合は特に、局所熱の熱消散を考慮に入れながらの超音波エネルギーの入念な滴定が、革新的且つより厳重な血管内アブレーション手法を構成する。
【0289】
別の実施形態では、診断及び治療超音波が、標的アブレーションゾーンから外部のトランスデューサから送達され得る。患者の外部の肋間静脈の近傍であることは、肋骨間の空間を介した外部アブレーションの送達の見込みを可能にする。超音波トランスデューサは掌内に適合して、一組の解剖学的基準点を用いてエネルギーを血管系に指向させることによって、3~10MHzの周波数窓で作動してよい。具体的に、奇静脈から肋間静脈の口でのほぼ90度の角度が、外部に配置されたトランスデューサから発せられる超音波パルスの方向に対して垂直な血流のドップラー信号可視化を提示し、それは、焼灼超音波エネルギーを標的アブレーションゾーンに集束させる。このように、口の位置は、T11椎骨とT10椎骨の間、又はT9椎骨とT10椎骨の間の大内臓神経の更なる標的の為の解剖学的基準を可能にする。体外超音波は更に、標的アブレーションゾーンに近接した肺を検出し、肺を損傷することを避ける為にエネルギー送達を滴定する為に使用されてよい。一例において、焼灼エネルギーは、肺が呼気中に標的アブレーションゾーンから離れる方向に(例えば、10mmの閾値距離より大きく)移動したときに送達されることができ、肺が標的アブレーションゾーンに接近している(例えば、10mmの閾値距離内)場合に減少又は中断される。
【0290】
図29は、近位領域及び遠位領域を備えた長形シャフト231と、遠位領域に取り付けられたアブレーションアセンブリ232を有するカテーテル220を示す。肋間静脈内からのGSNアブレーションの為のデバイスを修正する為に、超音波アブレーションカテーテル220は、肋間静脈内での拡張に適した幾何形状(例えば、その膨張状態で、3~4mmの範囲の外径222)及び12~30mmの範囲の長さ223を有し得る膨張可能なバルーン221を有する。バルーン221内に、複数の超音波トランスデューサ224が、バルーン221内に中心決めされたシャフト233上に位置決めされている。トランスデューサ224は、12~20mmの範囲にある長さ226に連続的に亘って配置されて、標的アブレーションゾーン58の長さのアブレーションを形成できる同じ長さのアブレーションを生成してよい。肋間静脈の小さい直径により、縮小したバルーンサイズは、トランスデューサに接触する危険又はトランスデューサによって過熱を被る危険があり、それはバルーンを破裂させたり、アブレーションの効力を減じる可能性がある。この危険を修正する為に、トランスデューサとバルーンの間に支柱又は突部227が配置され得る。支柱227は、例えば、トランスデューサ224から離れる方向に半径方向に拡張するように弾性的に予備成形されたポリマーストランドであってよい。より長いアブレーションが標的アブレーションゾーンに亘るようにする為に、複数のトランスデューサが組み込まれて(例えば、3個の長さ4mmのトランスデューサ)、奇静脈から肋間静脈までの小さい曲げ半径の横断を助長する為に、間に可撓性間隙228を伴って離隔していてもよい。例えば、シャフト225は、ガイドワイヤ79の上からの送達の為のオプションのガイドワイヤルーメン229を備え、トランスデューサ224を付勢する導電体を担持するブレード強化ポリイミドチューブであり得る。超音波トランスデューサ224は、標的静脈の周囲に周方向アブレーションを生成する為に円筒形であり得る。代替的に、超音波トランスデューサは、静脈の外周の部分セグメントであるアブレーションを生成する為に平坦又は半円筒形であってよく、半径方向に識別可能なX線不透過性マーカー230が遠位領域上に位置決めされて、GSNが静脈55の上を通過する場所である患者の前部の方にユーザがアブレーションの方向を配向することを可能にしてもよい。任意選択的に、超音波トランスデューサは、イメージング並びに焼灼するように構成されてよく、イメージング機能は、肺、椎骨、肋骨等の付近の構造を評価する為に使用され得る。イメージング超音波は、トランスデューサが、標的GSNの方向である肺の方に照準を定めていることを確認する為に使用され得る。任意選択的に、シャフトは、遠位領域が肋間静脈内にうまく収まるようにバルーン221の近傍10mm以内に可撓性ネック231を有してよい。
【0291】
超音波アブレーションカテーテルの別の実施形態において、カテーテルは、能動超音波トランスデューサと、同じカテーテル上又は代替的に別個のカテーテル上にあり得る膨張可能なリフレクタバルーンから構成され得る。リフレクタバルーンは、2.5~4mmの範囲の膨張された直径を有してよく、その近位表面に、標的アブレーションゾーン上に反射波を集束させる凹湾状等の形状を有する。リフレクタバルーンはトランスデューサに対して遠位に配置され、より狭い肋間静脈内に挿入されるのに対し、超音波トランスデューサはより大きい奇静脈内に留まる。超音波トランスデューサは、奇静脈内の血流に露出されてもよく、又は代替的に、冷却液(例えば、減菌水又は生理食塩水等の循環冷却液)で充填された膨張可能なバルーン内のチャンバ内に収容されてもよい。超音波エネルギーは、遠位リフレクタバルーンの方に指向され、内臓神経を包囲する組織に反射され集束される。この手法の利点は、能動超音波トランスデューサを大型にすることができ、奇静脈から肋間静脈に鋭角の回転を経る必要がないということである。第2の利点は、幾つかの肋間静脈を用いて、同じカテーテルでアブレーションを標的にすることができるということである。
【0292】
レナル・ダイナミクス(Renal Dynamics)は、例えば、参照により組み込まれており組織の経血管アブレーションに有益な多くの特徴を含むEP2934357号、WO2016132340号等の、半径方向に拡張可能な支柱に取り付けられて腎臓動脈の周囲の組織を焼灼する為のバスケットを形成するRF電極(例えば、4分円に離隔した8個のRF電極)を配備し、又、血を隔離し、熱損失を極減し、より深い組織アブレーションを可能にすることを意図した非閉塞膜も含む腎臓神経除去デバイス及び使用方法を開示している。デバイスは腎臓動脈内の血流に依存して、アブレーションを形成する為の電極冷却等の熱特性を提供する。潜在的に、何人かの患者では、電極を冷却する為に肋間内に十分な血流があり得るが、それは腎臓動脈よりも格段に少ないものであり得、代替的エネルギー送達パラメータがより少ない血流を補償し得る。例えば、振幅休止中に表面組織が冷却することを可能にするパルスRF波形は、有効5mm深さのアブレーションを生成する。
図30A及び30Bは、近位領域及び遠位領域を備えた長形シャフト275と、遠位領域に取り付けられたアブレーションアセンブリ276を有するRFアブレーションカテーテル260を示す。アブレーションアセンブリ276は、弾性支柱261のバスケットで形成され(例えば、3列又は4列の支柱)、各々は、バスケットが、約1.7mmの直径を有する収縮した送達状態と、約2.5~4mmの範囲の直径を有する拡張したアブレーション状態を有することを可能にする構成で取り付けられた少なくとも1つの電極262を有する。非閉塞の、半径方向に拡張可能な管状膜263は電気絶縁性であり、電極262が膜の外面にある状態で支柱261に接続されている(例えば、その上に位置決めされている)。膜263は、電気的RFエネルギーが血を介して分路されることを防止して、電気的RFエネルギーが血管壁によって標的アブレーションゾーンに集中するようにする。任意選択的に、付加的な電極冷却は、生理食塩水等の冷却液264を、非閉塞膜のルーメンを介して注入して電極を対流で冷却することによって達成され得る。肋間内での血流は、デバイスの遠位端から奇静脈の方向である為、冷却液は、血流と同じ方向に流れるように、バスケットの遠位端にある冷却液送達ポート265を介して注入され得る。バスケットを形成する支柱の寸法は、例えば3~4mmの範囲の最大直径を有する、より小さい血管に適合するように修正され得る。支柱は、奇静脈から肋間静脈への小さい曲げ半径に亘って送達する場合に屈曲を助長する為に、支柱の残りの部分よりも大きい可撓性を有する取り付けられた電極間の狭窄部分266(例えば、同じ長手方向距離で)を備えてよい。バスケットの長さ267と、電極の位置は、12~20mm長さの範囲(例えば15mm長さ)にある標的アブレーションゾーン58に沿ってアブレーションを生成する為に短縮され得る。電極は、標的アブレーションゾーンの全長に沿って周方向アブレーションを形成する為に配置され得る。代替的に、電極は、指向性アブレーション向けに血管外周の一セグメントのみ(例えば、50%、40%、30%、25%)を焼灼する為にバスケットの1つ又は2つの支柱上にのみ取り付けられ得る。バスケットの半径方向を識別するX線不透過性マーカー268は、カテーテルの遠位領域上に位置決めされる(例えば、支柱上に、支柱として、バスケット付近のカテーテルシャフト上のX線不透過性であり得る電極の位置を用いて)。
図30B、
図30Aの断面図に示すように、支柱261は、約0.5mmの幅269と約0.13mmの厚さ270を有してよい。電極262は、約1mmの幅271と、約0.33mmの最大厚さ272を有してよく、その厚さはテーパ状に縁で約0.25mmの狭まった厚さ273となる。電極長さは約3~5mmであり得る。任意選択的に、シャフトは、遠位領域が肋間静脈内にうまく収まることを可能にする為にバルーンバスケットの近傍10mm以内に可撓性ネック274を有し得る。
【0293】
二重電極の実施形態
以下の開示は一般に、標的組織の経血管アブレーションの為のシステム、デバイス及び方法に関する。デバイス及び方法は、幾つかの例では、心不全の治療の為の内臓神経アブレーションに使用され得る。例えば、本明細書で開示するデバイスは、大内臓神経(GSN)又はTSN神経根等の、胸内臓神経(TSN)内の領域内の標的静脈に血管内で前進され得る。神経アブレーションに関連する本明細書の何れの開示も以下の開示に適用され、以下の開示に参照により組み込まれる。
【0294】
二重電極カテーテル
図31は、アブレーションデバイスの一例示的実施形態を、例示的使用位置で示す。
図31において、小静脈(例えば、T11肋間静脈55、T10肋間静脈56、T9肋間静脈、下方の3肋間静脈)から標的神経(例えば、GSN52,GSN根53,TSN)の経血管アブレーションの為の例示的位置に配置されたデバイス120が示されている。デバイス120は、長形シャフト121と、使用時に患者の外部に留まることが意図され医師によって操作され得るカテーテル近位部分(図示せず)と、近位電極123及び遠位電極124と、その間の閉塞要素128を含む少なくとも2つのアブレーション要素(本明細書ではアブレーション部材とも呼ばれ得る)を含むカテーテル遠位部分122とを含む。本明細書の何れの閉塞要素も、閉塞部材とも呼ばれ得る。
【0295】
図示の例では、カテーテル120は内部を貫通するガイドワイヤルーメン(図示せず)を含み、カテーテル遠位部分122は、カテーテル120がガイドワイヤ79に沿って静脈系へと前進され得るように遠位部分122の遠位端に、またはその付近に配置されたガイドワイヤ出口ポート126を含む。カテーテルは、送達シース80を介して送達され得る。幾つかの例では、長形シャフト121は、特に、蛇行した送達経路に亘るトルク能力(即ち、カテーテル近位部分からカテーテル遠位部分122へのトルクの伝達)を助長する為のブレードシャフトを含み得る。別の例では、ガイドワイヤルーメン及び出口ポート126は省略されてよく、カテーテルは、ガイドワイヤの補助なしで患者の心臓血管系(例えば、静脈又は動脈)内に前進され得る。例えば、カテーテルは、第1の静脈から第2の静脈への前進を助長する為に屈曲され得る(例えば、6~15mmの範囲の曲げ半径で90度偏向可能な屈曲)偏向可能な遠位先端部に接続されたプルワイヤの張力を制御する近位部分上のハンドル上のアクチュエータによって制御可能である偏向可能な遠位先端部を有し得る、又は、アブレーションカテーテルは、ガイドワイヤの上から標的血管に前進され得る送達シースを介して前進されてよく、ガイドワイヤは、アブレーションカテーテルを前進させる前に除去されてよい。
【0296】
図31に示すアブレーション要素123及び124は、カテーテルシャフト121を通って、エネルギー送達コンソールに接続可能となる場所であるカテーテルの近位領域に至るそれら自身の独立した導体に夫々接続された電極を備え、エネルギー送達コンソールは2つの電極をバイポーラRFモードで動作させ得る。各電極は、小血管(例えば、T10肋間静脈56、T11肋間静脈55、T9肋間静脈、ヒトの下方3肋間静脈)に適合しRFアブレーションエネルギーを送達するのに適した寸法を有し得る。各電極123及び124は灌注によって冷却され得、任意選択的に、カテーテルシャフト121を通って、灌注流体供給に接続可能な場所であるカテーテルの近位領域に至る少なくとも1つの灌注ルーメン(図示せず)と流体連通する、それらの側部又は端部の灌注出口ポート129を備えている。任意選択的に、別個の灌注ルーメンが存在して、各電極に別個に灌注を供給してよい。別個の灌注ルーメンは、各電極への灌注流量のより厳密な制御を助長し得る。灌注出口ポート129は約0.020インチ+/-0.005インチの直径を有し得る。代替的に、電極の灌注は、出口ポートを介して血流に灌注流体を送達する代わりに、クローズドループであってカテーテル内に収容されてもよい。クローズドループ灌注での実施形態は、流体を各電極内のチャンバに送達する少なくとも1つの灌注流体送達ルーメンと、流体をカテーテルの近位領域に戻す少なくとも1つの戻りルーメンを含み得る。各電極123及び124は、3~5mmの範囲の長さ(例えば、4mm)及び1.5~3mmの範囲の外径(例えば、2mm)を有し得る。電極間の距離127は、3~6mmの範囲(例えば、4.5mm)であり得る。電極の長さ及び電極間距離のこの組み合わせと共に、本明細書で開示の適切なアブレーションエネルギープロファイル、閉塞バルーン128及び電極の灌注は、20mm迄の長さと5mm迄の深さを含む標的領域58をカバーすることが可能な望ましいアブレーションサイズを形成する為に適切であり得る。各電極123及び124は、電極内又は電極上に、エネルギー送達を制御する為に使用され得る関連する温度センサ131を有してよい(例えば、カテーテルシャフト121を介してカテーテルの近位領域に通り、アブレーションエネルギーコンソールに接続可能な導体に電気的に接続される熱電対又はサーミスタ)。任意選択的に、電極は白金イリジウム等のX線不透過性材料製であってもよい。
【0297】
デバイス120は更に、膨張可能な閉塞部材128を備えてよく、それはこの実施形態では近位電極123と遠位電極124の間でカテーテルシャフトに位置決めされたアブレーションバルーン128である。バルーンは膜から製造されてよく(例えば、応従性、半応従性又は非応従性バルーン)、カテーテルバルーン製造の医療デバイス産業での既知の技法で製造されてよい。膜はバルーンの近位端と遠位端でシャフトに対して密封されて、膜内にチャンバを画定してよい。チャンバ内にバルーン膨張ポート130が位置決めされて、カテーテルシャフト121を通って、膨張流体供給(例えば、注射器又はポンプ等の加圧デバイスで送達されるガス又は液体)に接続可能な場所であるカテーテルの近位領域に至る膨張ルーメン(図示せず)と流体連通する。バルーン128内のチャンバに、膨張流体温度を監視する為に使用され得る温度センサ132が配置されてよい。バルーンは、非膨張状態では、1.5~2mmの範囲の直径を有してよく、膨張状態では、3~5mmの範囲の直径又は標的血管ルーメンとほぼ同じサイズを有してよい。任意選択的に、使用時に、第1の血管(例えば、肋間静脈)に配置された時に膨張流体の第1量がバルーンに注入されて、バルーンの直径を増加させて第1の血管を閉塞してもよく、又、第2の血管(例えば、奇静脈)に配置された時に膨張流体の第2量が注入されてバルーンの直径を増加させて第2の血管を閉塞してもよい。バルーンは血管を閉塞するように機能してもよく、それは電極周囲により安定したアブレーション環境(例えば、熱的及び電気的特性)を提供して、加熱された場合に標的血管が収縮することを止めることができ、それは、より安定したアブレーション環境を提供し、血管開存性を維持する、又は、アブレーションエネルギーを組織内に指向させ得る。
【0298】
灌注ポート129は、電極123及び124の側部に位置決めされ得る。任意選択的に、灌注ポートは、血管が電極の周囲で収縮したとしても灌注流体が流れ続けることを可能にする特徴を有し得る。
図32A及び32Bは、カテーテルに接続されていない単一の電極の略図であり、それは、任意選択的に、
図31又は本明細書の任意の他の実施形態の近位電極123及び遠位電極124のうち何れかと置き換わり得る。
図32Aに示すように、電極140の別の実施形態は、電極140の長さに及ぶチャネル142内に位置決めされた灌注ポート141を備えてよい。複数のポート及びチャネル、例えば、図示のように3個のポート及びチャネルがカテーテルの周囲に配置され得る。電極140は、灌注ルーメンの上からシャフト121に取り付ける為の中央ルーメン143、アブレーションエネルギーの為の導電体、又は温度センサ(図示せず)を備えている。
図32Bに示すように、電極146の別の実施形態(本明細書の何れかのアブレーション要素又はアブレーション部材として使用され得る)は、電極146の長さの一部のみに及ぶスカラップ148内に配置された灌注ポート147を備えてよい。複数のポート及びスカラップ、例えば図示のように6個のポートとチャネルがカテーテルの周囲に配置されてよいが、より多数又はより少数のポートとチャネルが使用されてもよい。電極146は、灌注ルーメンの上からシャフト121に取り付ける為の中央ルーメン149、アブレーションエネルギーの為の導電体、又は温度センサ(図示せず)を備えている。
【0299】
アブレーションエネルギー送達コンソール(図示せず)は、電極123,124のうち1つ以上に無線周波数(RF)電流を送達して個々のアブレーションを同時に形成するか又は個別に形成して、標的ゾーン58に亘る全体的に大型のアブレーションを形成する為に、カテーテル120に接続可能であり得る。代替的に、電極のうち1つのみを付勢することによって小型のアブレーションが形成されてもよく、その場合、標的神経が単一の電極のアブレーションゾーン内にあることを確認する為に、電極から神経刺激信号を送達することが望ましくあり得る。電極123と124の両方が同時に付勢された場合、それらは同相電圧又は電流で付勢されてもよく、各電極を付勢する2つのRF源は、互いに対して浮動していてよい。温度制御式エネルギー送達向けの温度設定点、又は一定パワーエネルギー送達の為のパワー設定点等のエネルギー送達パラメータは同じ値に設定されて、異なる血流又はインピーダンスにより、特に、近位電極123が、付近の奇静脈からより多い血流を経験し得る為、反応に基づいて自動修正され得る。例えば、エネルギー送達中の温度増加が近位電極に関してより緩慢であった場合、それは、血流によって提供される対流冷却の増加を示唆し得る。パワー送達アルゴリズムは、近位電極に関して、より緩慢な温度増加を認識してパワー設定点を増加を増加させ得るか、又は、補償する為に、より高い温度設定点又は期間のエネルギー送達が使用される。一定パワーモード向けのエネルギー送達パラメータの例は、5~10Wの範囲内(例えば、7~8W)でのパワー設定点を有し得、組織炭化を回避する為の最大灌流電極温度は、60~95℃の範囲(例えば、約85℃)であり、バルーンチャンバ内の最大温度は100℃未満であり、60~240秒の範囲の期間である。
【0300】
別のエネルギー送達プロトコルは、2チャネル結合モノポーラ・バイポーラRFアブレーション構成を含み得る。この構成は、分散電極と連通するモノポーラモードの各電極123及び124に異なる電圧でRFエネルギーを送達することを含む。印加されるRF電圧の差が、エネルギーが高電圧電極から、その高電圧電極に関連する低電圧を有する電極に移行する、部分バイポーラモード効果をもたらす。これは、意図的なモノポーラ・バイポーラコンボモードをもたらす。従って、電極を駆動する2つの源が、共通のグランドを有することが好ましくあり得る。電極サイズ、間隔及びカテーテル120のバルーンを組み合わせた、エネルギー送達のこの構成は、アブレーションゾーン内の標的神経を焼灼する為の、標的アブレーションゾーン58に亘ると共に5mmの深さのアブレーションを生成する効果を有し得る。上述のように、温度又はパワー設定点等のエネルギー送達パラメータは自動調節されて、近位電極と遠位電極の異なる熱的及び電気的環境を補償し得る。
【0301】
任意選択的に、エネルギー送達アルゴリズムは、沸騰を開始する貯留生理食塩水を監視してよい(例えば、インピーダンス及び/又は温度における急な変動を介して)。沸騰が検出された場合(例えば、温度センサで)、アルゴリズムはパワーを減少させる及び/又はパワーを一時的に遮断して、所定時間、又は温度が一定の閾値(例えば、95℃)より下に降下するまで待機し、次に再びパワーを強化する。アルゴリズムは、沸騰が以前に検出された最大パワーを識別してもよく、その値を、再開されたパワー期間中に最大パワーを制限する為に使用してもよい。代替的に、アルゴリズムは、以前に沸騰を招いた標的温度よりも低い温度設定点を選択してもよい。
【0302】
コンソールは更に、RFが送達されながら灌注が発生するように、灌注流体ポンプをオン・オフで切り替えることによって電極灌注を制御してもよい。灌注の流量は、一定速度(例えば、約2mL/分)に設定され得る。代替的に、遠位電極により多い流量が送達されてもよいが、それは、遠位電極では、
図31に示すように使用された場合に近位電極よりも血流からの冷却が少ないからである。代替的に、流量は、温度対出力比がより高い電極に対してより高くなり得る。
【0303】
デバイス121の使用方法は、汎用的位置決め及びエネルギー送達プロファイルを含み、それは、広範な解剖学的変動性での使用に有益であり得る。特に、肋間静脈内からのGSNアブレーション向けのデバイスを使用する場合、使用方法は、最下肋間静脈(例えば、T11肋間静脈)内から第1の標的領域を焼灼し、引き続いて、第2最下肋間静脈(例えば、T10肋間静脈)内から第2の標的領域を焼灼することを含み得る。第1の使用方法は、近位電極123の近位端129が、肋間静脈が奇静脈50に接続する場所である口59と整列するように、最下肋間静脈55内に電極123及び124の両方を完全に送達し、
アブレーション手順を実行し、遠位領域122を第2最下肋間静脈56に再配置し、第2のアブレーション手順を実行することを含み得る。
【0304】
患者によっては、標的静脈内に電極123及び124の両方を完全に送達するには、1つ以上の標的肋間静脈が狭過ぎるか蛇行し過ぎている場合がある。このシナリオでは、第2の使用方法は、遠位電極124のみを標的静脈に挿入して、第1の使用方法と比べて短いアブレーションを形成することを含み得る。第2の又は第3の最下肋間静脈に両方の電極を送達して標的領域全体を焼灼することが可能となり得る場合と、なり得ない場合がある。任意選択的に、肋間静脈内の遠位電極124のみで焼灼する場合、アブレーションエネルギーは遠位電極124のみに送達されてよく、その場合電気回路は、任意選択的に、カテーテル又は患者の皮膚上の何れかの場所に、分散電極によって競合される。代替的に、近位電極123は、バイポーラモードで回路を完成してもよく、その場合近位電極は、奇静脈内に位置決めされることが予期され、そこで、より多い血流が近位電極と血管を冷却する。閉塞バルーン128は、口から血流を逸らす為に膨張され得る。
【0305】
第3の使用方法は、第1の使用方法のステップを実行し、付加的に、デバイスを
図33に示す位置に移動させることを含んでよく、その場合遠位電極124は肋間静脈55(又は他の肋間静脈)内にあり、バルーン128が膨張されて奇静脈血流をアブレーションゾーンから逸らし、更に、肋間静脈周囲且つ口59から10mm以内(例えば6mm)に更なるアブレーションを形成することを含んでよい。奇静脈50内の血流が、効果的なアブレーションサイズを潜在的に妨げている標的アブレーション領域58内にある口付近の組織を冷却し得る。
【0306】
本明細書に記載の何れの使用方法も、標的神経内のデバイスの位置を決定する為の視覚化ステップを更に含み得る。X線透視法等の医療イメージング技術が、特に、患者の血管系に関する近位電極123及び遠位電極124等のデバイスのX線不透過性の態様等の、デバイスをイメージングする為に使用され得る。X線不透過性造影剤は、X線透視イメージングを促進する為に患者の血流に(例えば、送達シース80、ガイドワイヤルーメン及び出口ポート126又は電極灌注ポート129を介して)注入され得る。
【0307】
凹型電極を備えた二重電極カテーテル
別の実施形態として、経血管アブレーション(例えば、肋間静脈からTSN又はGSNを)の為のカテーテル155が
図34A及び34Bに示されている。このカテーテル155は、アブレーションエネルギー又は神経刺激信号を送達する為の少なくとも1つの電極を有する。図示のように、カテーテル155は2つの電極、近位電極156及び、距離158だけ離隔した遠位電極157を有する。電極156及び157はカテーテルの遠位領域160のシャフト159に取り付けられ、遠位領域のシャフト159の直径162よりも小さい直径161を有する。例えば、肋間静脈内からの経血管アブレーションの為に、電極直径161は、1.5~2.5mmの範囲であってよく、シャフト直径162は2~3mmの範囲であってよく、電極直径161は0.2~1mmだけシャフト直径162よりも小さくあり得る。小血管(例えば、4mm未満)内からアブレーションエネルギーを送達することは、血管壁を加熱することになり、それで血管壁を収縮させ得る。電極の表面をシャフト表面から凹ませることによって、遠位領域160のシャフト159は血管壁を電極表面から離して保持して間隙を維持することができ、それは次に、エネルギー送達中により整合性のある熱的及び電気的環境を提供することができ、それが次に、エネルギー送達の安全性と効力を改善し得る。各電極156及び157は灌注で冷却され得、任意選択的に、カテーテルシャフト159を通って、灌注流体供給に連結可能となる場所であるカテーテルの近位領域に至る少なくとも1つの灌注ルーメン(図示せず)と流体連通するそれらの側部上に灌注出口163を備えている。電極灌注は、血管壁から5mmまでの深さを焼灼する為に必要であり得るより大きいアブレーションパワーを送達できるように(例えば、GSNアブレーション用に)、エネルギー送達中に電極を冷却する。任意選択的に、別個の灌注ルーメンが存在して、各電極に灌注を別個に供給してもよい。別個の灌注ルーメンは、各電極への灌注流量のより厳密な制御を促進し得る。灌注出口ポート163は、約0.020インチ+/-0.005インチの直径を有し得る。代替的に、電極の灌注はクローズドループ式であって、灌注流体を出口ポートから血流に送達する代わりに、カテーテル内に収容されてもよい。クローズドループ灌注での実施形態は、流体をチャンバに送達する少なくとも1つの灌注流体送達ルーメンと、流体をカテーテルの近位領域に戻す少なくとも1つの戻りルーメンを含んでよい。
図34A及び34Bに示すようなオープンループ灌注を有する実施形態では、遠位領域160のシャフト159は、血管がシャフト159の周囲で収縮したとしても流体がチャネル164に沿って流れることを可能にする、シャフト159の長さの少なくとも一部に沿って延在するチャネル又は溝164を有し得る。これは、流体の過熱を引き起こし、効果がなく安全でないアブレーションエネルギー送達を引き起こし得る、電極156及び157の周囲での望ましくない滞留又は停留した灌注流体を回避し得る。
図34Bは、
図34Aで示された断面位置でのシャフト159の断面を示し、シャフト159は、電極157の直径161よりも大きい直径162を有し、シャフト159は、シャフトの長さに沿った流体流の為のチャネル164を有する。ガイドワイヤ79の上からの送達の為のガイドワイヤルーメン326も示されている(
図34Aに示す)。
【0308】
灌注流体は任意選択的に高張生理食塩水であってよく、それは、電極が壁と接触していなくても、電極156及び157からのアブレーションエネルギーを血管壁に伝導できる。
【0309】
各電極156及び157は3~5mmの範囲の長さ(例えば、4mm)を有し得る。電極間の距離158は3~6mmの範囲(例えば、4.5mm)であり得る。この構成は、GSNアブレーションに適した標的アブレーションゾーン58内での組織のアブレーションを可能にし得る。
【0310】
電極(
図31のデバイスの123及び124、又は
図34Aのデバイスの156及び157)は代替的に、ばね状ステンレス鋼等の弾性且つ導電性材料製のコイルワイヤ電極であってよい。コイル電極は、カテーテルの遠位領域の可撓性を改善して、奇静脈から肋間静脈への屈曲等の急なカーブを横断することを可能にしてもよい。コイル電極は、コイルピッチ内の小間隙を通って灌注ルーメンから流体を通すことによって灌注され得る。
【0311】
図31に示したデバイス等の幾つかの実施形態では、アブレーション要素123及び124は、標的血管55の標的領域58に焼灼エネルギーを周方向に、言い換えると、半径方向に対称なパターンで送達することが可能な電極の外周の周りで導電性である。この特徴の利点は、ユーザが径方向配向を考慮する必要がない、又は、トルクを加えてカテーテルの径方向配向を調節する必要がなく、それで手順の時間又はユーザエラーを低減できるということであり得る。しかしながら、別の実施形態では、アブレーション要素は、アブレーションエネルギーを外周のセグメントの方に指向させてもよく、例えば、セグメントは外周の50%以下(例えば、40%未満、30%未満、25%未満)であり得る。指向性アブレーションカテーテルはアブレーションエネルギーを標的神経の方に指向させてもよく、それはより少ないアブレーションエネルギーを要する、非標的組織を損傷するリスクを低減する、痛みを低減する、又は標的血管の損傷又は収縮を低減する。肋間静脈からTSN又はGSNを焼灼する為に使用される場合、TSN又はGSNは常に静脈に対して同じ方向にあり、それは、椎骨から逸れた方向であると共に肺の方に向いている。幾つかの例では(図示せず)、カテーテルのX線不透過性マーカーが、カテーテルの径方向配向を助長する為に使用され得る。所望の配向は、指向されるアブレーションエネルギーが、椎骨から逸れた方向(例えば椎骨の反対側)であると共に肺の方に向いている半径方向に照準を合わせた配向であり得る。例えば、標的血管が右T11肋間静脈であれば、CアームX線蛍光透視装置はT11椎骨に中心決めされてよく、任意選択的に、前部後部中心位置(AP位置)から患者の右側に回転されて、椎骨の接線に略直交する角度を得る。この位置において、所望のアブレーションエネルギーが、TSNが肋間静脈を横断することが多い場所であるCアームヘッドの方に半径方向に照準を合わせられることが望ましくあり得る。カテーテルは、トルクを加えられて、X線不透過性マーカーが、Cアームの方に、従って標的神経の方にアブレーションエネルギーが照準を合わせられていることを示すまで、肋間静脈内でカテーテル遠位部分122を回転させてよい。X線不透過性マーカーは、X線不透過性マーカーが何時Cアームヘッドに回転的に照準を合わせられたかを区別するように構成され得る。X線不透過性マーカーの位置はアブレーションの方向と周方向に整列している為、X線不透過性マーカーは、アブレーションの方向が何時Cアームヘッドに照準を定めているかを示唆する為に使用され得る。X線不透過性マーカーはX線不透過性材料製であり、非対象形状である。例えば、X線不透過性マーカーはN字形であり得る。X線不透過性マーカーがCアームヘッドの方に向いている場合、X線不透過性マーカーは文字Nとして現れることになる。X線不透過性マーカーがCアームヘッド(例えば、椎骨の方)から逸れた方向を向いている場合、X線不透過性マーカーは文字Nの裏側として現れることになる。X線不透過性マーカーがCアームに対して横向きであれば、X線不透過性マーカーは線として現れることになる。任意選択的に、デバイスは更に、カテーテルの遠位部分84の回転位置が設定公差内にある場合に視覚的に指示するように構成された付加的なX線不透過性マーカーを含んでもよい。特に、付加的なX線不透過性マーカーは、2本の線を含んでよく、その中心が第1のX線不透過性マーカーから約180度周方向に離隔しており、その結果、第1のX線不透過性マーカーは、配向が設定公差内である場合に、付加的なX線不透過性マーカーの線間に現れる。配向が設定公差外である場合、X線不透過性マーカーは付加的なX線不透過性マーカーの線のうち1つと重複するか、又は、付加的なX線不透過性マーカーの線の外側になる。例えば、設定公差は、完全整列の何れかの側部上で45度までであり得る(例えば、35度まで、又は25度、又は15度、又は5度)。
【0312】
電極は、アブレーション方向から逸れた方向を向く電極の部分を電気的に絶縁することによって指向性エネルギー送達向けに構成され得る。
【0313】
処理の方法
本明細書のGSNアブレーション手順の幾つかの実施形態では、大多数の患者において、完全に形成されたGSNは、隣接する奇静脈間であり、口から肋間静脈内に20mmまでの距離で、標的領域内の最下肋間静脈を横断する故に、最下肋間静脈が最初に標的にされる。しかしながら、第1のアブレーションが十分でない何人かの患者では、試験を行って臨床的効果を評価し、臨床的に有意な効果を達成する為に1つ又は2つの付加的なレベルでの標的領域の後続アブレーションを行うかどうかを評価してもよい。例えば、以下の説明は、胸内臓神経を焼灼することによってヒトの患者の心不全を処置する例示的方法である。アブレーション要素を備えたアブレーションカテーテルの遠位領域が、患者の第1の肋間静脈(例えば、最下肋間静脈、T11肋間静脈)に送達され得る。次に、アブレーションエネルギーがアブレーションカテーテルから送達されて、第1の損傷部(例えば、10~20mmの範囲、例えば、12~15mmの範囲の長さを有する損傷部)を、第1の肋間静脈から5mmまでの組織内に形成してもよい。アブレーションカテーテルの遠位領域は、第1の肋間静脈より上の(例えば、第1の肋間静脈より上であり隣接している)第2の肋間静脈に移動され得る。次に、アブレーション確認試験が実行され得る。アブレーション確認試験に対する生理学的反応(例えば、内臓血管収縮、心拍数増加、血圧上昇)に関するモニタリングが実行され得る。第1の損傷部が、臨床的に有意な量のGSN遮断を提供しなかったことを生理学的反応が示した場合(例えば、生理学的反応の欠如を観察した場合)、アブレーションカテーテルからアブレーションエネルギーが送達されて、第2の肋間静脈から5mmまでの組織内に第2の損傷部を形成する。アブレーションカテーテルの遠位領域は、第2の肋間静脈より上の(例えば、第2の肋間静脈より上であり隣接している)第3の肋間静脈に移動され得る。同じ又は異なるアブレーション確認試験が実行され得、それに続いて、別のモニタリング試験が実行される。第1の損傷部及び第2の損傷部が臨床的に有意な量のGSN遮断を提供しなかったことを生理学的反応が示した場合(例えば、生理学的反応の欠如を観察した場合)、アブレーションカテーテルからアブレーションエネルギーが送達されて、第3の肋間静脈から5mmまでの組織内に第3の損傷部を形成する。何れのアブレーション確認試験も、胸内臓神経内に活動電位を生成するように構成された、アブレーションカテーテルの遠位領域上に配置された刺激電極からの神経刺激信号を送達することを含み得る。代替的に又は付加的に、アブレーション確認試験は下肢挙上テストを含み得る。代替的に又は付加的に、アブレーション確認試験は、流体量を静脈系に追加することを含み得る。代替的に又は付加的に、アブレーション確認試験は握力テストを含み得る。
【0314】
アブレーション確認試験が下肢挙上テストを含む例示例示的方法において、方法は、以下のステップのうち何れを含んでもよい。最下肋間静脈内でのアブレーションの前に、脚部を持ち上げて中心静脈圧の変化を測定し、中心静脈及び内臓床を含む総合静脈コンプライアンスの基準である平衡を待機することによって基礎測定が得られてよい。次に脚部を下げて平衡させて、血が脚部に再分配されるようにする。次に、最下肋間静脈(例えば、T11)内のアブレーションが、本明細書に記載のように実行され得る。次に脚部を持ち上げて、次に平衡を待機して中心静脈圧の再測定が続いて行われる。次に測定が行われて、総合静脈コンプライアンスにおける適切な減少があったか否かを決定してよい。減少があった場合は、GSNがうまく焼灼されたということである。減少がない場合、次に、本明細書に記載のように、次点に高位の肋間静脈(例えば、T10)内のアブレーションが実行され得る。測定は繰り返され得る。次に、総合静脈コンプライアンスにおける適切な減少があったか否かを見極める為に、測定が行われてよい。減少があった場合は、GSNがうまく焼灼されたということである。減少がない場合、次に、次点に高位の肋間静脈(例えば、T9)内のアブレーションが実行され得る。
【0315】
アブレーション確認試験が握力テストを含む、又は、内臓床への交感神経系(SNS)流出を増加させる他の行為を含む例示的方法は、以下のステップを含み得る。最下肋間静脈(例えば、T11)にアブレーションが実行され得る。次に静脈コンプライアンスが測定され得る。次に、所定期間(例えば、60秒)に亘り握力テストが実行され得る。次に、静脈コンプライアンスが再測定され得る。静脈コンプライアンスに変化がない場合、初期アブレーションで、臨床的に有意な成果を十分に達成している。依然としてコンプライアンスが減少している場合、握力テストによって引き起こされたSNS活動のうち一部が通じている。従って、最下肋間静脈内のアブレーションは、臨床的に有意な効果を達成するには不十分であった。次に、次点に高位の肋間静脈(例えば、T10)にアブレーションが実行され得る。所定期間(例えば、60秒)に亘り握力テストが実行され得る。次に、静脈コンプライアンスが再測定され得る。静脈コンプライアンスに変化がない場合、第2のアブレーションで十分だということである。コンプライアンスが減少している場合、握力テストによって引き起こされたSNS活動のうち一部が通じており、次点に高位の肋間静脈神経内のアブレーションはこのように、臨床的に有意な効果を達成するのに不十分であった。次に、次点に高位の肋間静脈(T9)内のアブレーションが実行され得る。この時点で、第3の最下肋間静脈より高いレベルでのアブレーションとして実行される手順は想定されない。
【0316】
アブレーション確認試験は、神経刺激信号を送達して、生理学的反応を監視し評価することを含み得る。本明細書に記載の何れの使用方法も更に、神経刺激ステップを含み得る。例えば、アブレーションに使用される電極又は他の電極が、1つ以上の神経刺激信号を送達する為に使用され得る。例えば、近位及び遠位電極(
図31及び33の123及び124、又は
図34Aの156及び157)が、1つ以上の神経刺激信号を送達する為に使用され得る。各電極は、カテーテルを介して、刺激信号供給に接続可能な場所であるカテーテルの近位端へと移動可能な独立した導体(図示せず)を介して電気的に接続され、それは、コンピュータ制御式RFアブレーションエネルギーコンソールであってもよい。コンソールは、電極が刺激又はアブレーションの何れかで使用され得るように、刺激信号の送達とアブレーション信号の送達との間で切り替えられ得る。使用時、電極(例えば、
図31の123及び124)は、標的血管55の標的領域58の近位端と遠位端に配置されてよく、それは、例えば、
図31及び
図34Aに示すように、標的血管55の口59に近位電極(例えば、
図31の123)を配置することによって、X線透視法で視覚化され得る。神経刺激電極は、2つの電極間に信号を集中したバイポーラモードで神経刺激信号を送達して、2つの電極間且つ所定アブレーションゾーン内に配置された神経の活動電位を生成してよい。25mm以下(例えば、4~6mm)の2つの神経刺激電極間の距離は、ベクトル内の神経を刺激することが可能な神経刺激信号強度を有するベクトルのペーシングを確実にする。神経刺激(即ち、ペーシング)パラメータは、TSN又はGSNの活動電位を生成する為に使用される50Hz1Vを含み得る。TSN又はGSNの刺激は更に、腹直筋の収縮、心拍数増加又は血圧上昇等の上腹部反応等の測定可能な生理学的反応をもたらし得る。TSN又はGSNの陽性刺激は、アブレーション要素が標的TSN又はGSNを焼灼するのに適切な位置にあるということを確認することができるのに対し、反応がないということは、アブレーション要素を動かす必要があるということを示唆し得る。神経刺激パラメータは、肋間筋肉反応の欠如が測定された場合に肋間神経から間が空いていることを確認する為に、又は、交感神経からの反応の欠如が測定された場合に交感神経から間が空いていることを確認する為に、肋間神経又は交感神経を刺激する為に使用される2Hz2Vを含み得る。電極は任意選択的に又は代替的に、ペーシング範囲内のバイオインピーダンス及び組織の段階を測定する為に使用されてもよく、それは、神経組織の存在を検出する為に、アブレーションによって引き起こされた組織の変化を検出する為に、その後の安全性の懸念(例えば、血凝固、過熱、気泡生成)を予測し得る急激なインピーダンスの変化を検出する為に使用され得る。任意選択的に、神経刺激信号は、痛覚神経線維の刺激を低減又は排除しながらも、標的TSN又はGSNを刺激する特徴を有し得る。
【0317】
本明細書のアブレーション確認試験を含む本明細書の何れの方法においても、必ずしも全てのステップを実行する必要はない。ステップのち幾つかは異なる順に発生してもよい。本明細書の手順は、特定の神経又は神経根を標的にすることを意図しており、それを特定の標的静脈から行っており、これらの静脈内であっても、特定の領域にアブレーション要素又は部材を配置していることに留意されたい。評価され標的にされる解剖学的領域は、特定の設計要件を必要にする。配置するにあたり異なる解剖学的位置を標的にしている、又、異なる標的神経を標的にしている他の処理では、これらの手法のデバイス設計制約は非常に異なる為、これらの処理で使用され得るデバイスは非常に異なり得る。従って、本明細書の開示は、特定のデバイスを設計する為の特定の理由を提供し、これらの理由は、本明細書に具体的に記載された処理を効果的に実行できることを含む。
【0318】
上記の説明は1つ以上のプロセス又は装置の例を提示するが、他のプロセス又は装置も添付の請求項の範囲内にあることが理解されよう。
【0319】
具体的に示されていなくても、本開示に記載の1つ以上の技法は、少なくとも部分的に、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらの任意の組み合わせで実施され得る。例えば、種々の態様又は構成要素のより多くの技法が、1つ以上のマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DPS)、特殊用途集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジック回路等のうち1つ以上を、単独又は任意の適切な組み合わせで含めて、1つ以上のプロセッサ内で実装され得る。用語「プロセッサ」又は「処理回路」は一般に、上記の回路系のうち何れかを、単独又は他の回路系との組み合わせ、又は任意の他の等価回路系との組み合わせで言及し得る。
【0320】
そのようなハードウェア、ソフトウェア又はファームウェアは、同じデバイス内で、又は、別個のデバイス内で実装されて、本開示に記載の関連する種々の操作又は機能をサポートしてよい。更に、記載されたユニット、モジュール又は構成要素のうち何れも、一緒に実装されても、又は、個別ではあるが相互運用可能なロジックデバイスとして実装され得る。モジュール又はユニットとしての異なる特徴の説明は、異なる機能的態様を強調する目的であって、必ずしも、そのようなモジュール又はユニットが別個のハードウェア又はソフトウェア構成要素によって実現されなければならないということを意味するものではない。寧ろ、1つ以上のモジュール又はユニットに関連する機能性は、別個のハードウェア又はソフトウェア構成要素によって実行されてもよく、又は、共通又は別個のハードウェア又はソフトウェア構成要素内に一体化されてもよい。
【0321】
ソフトウェアで実施される場合、本開示に記載のシステム、デバイス及び技法に帰する機能性は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性RAM(NVRAM)、電気的消去可能なプログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ等のコンピュータ可読媒体上の命令として具体化されてよい。命令は、本開示に記載の機能性の1つ以上の態様をサポートするプロセッサによって実行され得る。
【0322】
従来技術又はその他の技術に関して以前に行った任意の修正、キャラクタライゼーション又は主張(本願又は、任意の親出願、兄弟(sibling)出願又は子(child)出願を含む任意の他の特許出願又は特許)は、本願の本開示によってサポートされる任意の主題のディスクレーマーとして解釈されることができ、本出願人はこれにより、そのようなディスクレーマーを無効にし退ける。本出願人は更に、任意の親出願、兄弟(sibling)出願又は子(child)出願を含む任意の関連特許出願又は特許において以前に考慮された任意の従来技術を再考する必要があり得ることを謹んで提示する。
【0323】
本明細書に記載の特定の実施形態は、何れの請求項にも限定されることを意図しておらず、任意の請求項は、特段に別途明記しない限り、以下に記載のものと異なるプロセス又は装置を網羅し得る。請求項は、特段に別途明記しない限り、以下に記載の任意の1つの装置又はプロセスの特徴のうち全てを有する装置又はプロセス、或いは以下に記載の装置のうち複数又は全てに共通の特徴に限定されない。以下に記載の装置又はプロセスは、本特許出願の発行によって許諾される任意の独占権の1つの実施形態ではないということもあり得る。以下に記載の、又は、独占権が本特許出願の発行によって許諾されない任意の主題は、別の保護法律文書、例えば、特許継続出願の主題であり得、出願人、発明人又は所有者には、本明細書内でのその開示によってそのような主題を放棄、免責又は発明を開放する意図はない。
〔付記1〕
血管内静脈穿刺用デバイスであって、
a.カテーテル長軸に沿って延在し、カテーテル近位部分とカテーテル遠位部分を有する長形カテーテルと、
b.針ガイド遠位鈍端を有する針ガイドであって、前記針ガイドは前記カテーテルから、針ガイド格納位置から針ガイド作動位置へと展開可能であり、前記針ガイド作動位置において、前記針ガイド遠位端は前記カテーテルから半径方向に離隔しており、前記針ガイド格納位置において、前記針ガイド遠位端は、前記針ガイド作動位置に対して前記カテーテルの方に引き込まれる、針ガイドと、
c.鋭利な穿刺端を有する針であって、前記針は、前記針ガイド内から、針格納位置から穿刺位置へと展開可能であり、前記針格納位置において、前記穿刺端は前記針ガイド遠位端より内側にあり、前記穿刺位置において、前記穿刺端は前記針ガイド遠位端から突出する、針と、
を備えた血管内静脈穿刺用デバイス。
〔付記2〕
-前記カテーテルはカテーテル外径を有し、
-前記穿刺位置において、前記穿刺端は、前記カテーテル外径未満である針展開距離だけ前記針ガイド遠位端から離隔している、
付記1に記載のデバイス。
〔付記3〕
前記針展開距離は2mm未満である、付記2に記載のデバイス。
〔付記4〕
前記針展開距離は1mm未満である、付記2又は3に記載のデバイス。
〔付記5〕
-前記カテーテルはカテーテル外径を有し、
-前記針ガイド作動位置において、前記針ガイド遠位端は、前記カテーテル外径未満である針ガイド展開距離だけ前記カテーテルから半径方向に離隔している、付記1に記載のデバイス、
又は、前記針ガイド作動位置において、前記針ガイド遠位端は、前記カテーテル外径未満である針ガイド展開距離だけ前記カテーテルから半径方向に離隔している、付記2乃至4のうち何れか一項に記載のデバイス。
〔付記6〕
前記針ガイド展開距離は約0.5~6mmである、付記5に記載のデバイス。
〔付記7〕
前記針ガイド展開距離は約0.5~約3mmである、付記5又は6に記載のデバイス。
〔付記8〕
前記針ガイド展開距離は約2~約6mmである、付記5又は6に記載のデバイス。
〔付記9〕
前記カテーテルは周方向外面と、前記周方向外面内の第1のサイドポートを備え、前記針ガイドは前記第1のサイドポートから展開可能である付記1乃至8のうち何れか一項に記載のデバイス。
〔付記10〕
前記針内から、送達デバイス格納位置から送達デバイス処理位置へと展開可能な送達デバイスを更に備えた付記1乃至9のうち何れか一項に記載のデバイス。
〔付記11〕
前記送達デバイスは、流体送達デバイス、熱エネルギー送達デバイス、無線周波数エネルギー送達デバイス、極低温エネルギー送達デバイス及び電気エネルギー送達デバイスのうち少なくとも1つである、付記10に記載のデバイス。
〔付記12〕
前記送達デバイスは鈍端である送達デバイス遠位端を有する、付記10又は11に記載のデバイス。
〔付記13〕
前記送達デバイス処理位置において、前記送達デバイス遠位端は、針穿刺距離より大きい送達距離だけ前記穿刺端より外に突出している、付記10乃至12のうち何れか一項に記載のデバイス。
〔付記14〕
前記送達距離は約3~約15mmである、付記13に記載のデバイス。
〔付記15〕
前記送達距離は約4~約6mmである、付記13又は14に記載のデバイス。
〔付記16〕
前記カテーテルは内部を貫通してカテーテル軸線に沿って延在するガイドワイヤルーメンを備え、前記カテーテル遠位部分はガイドワイヤ出口ポートを有する付記1乃至15のうち何れか一項に記載のデバイス。
〔付記17〕
前記カテーテルは遠位端面と周方向外面を備え、前記ガイドワイヤ出口ポートは、前記遠位端面と前記周方向面で、且つ両面に跨って開いたノッチを備えている、付記16に記載のデバイス。
〔付記18〕
-前記針ガイドは前記カテーテル上の第1の周方向位置で前記カテーテルから展開可能であり、
-前記ノッチは、前記第1の周方向位置の30度以内のノッチ周方向位置で前記周方向面で開いている、付記17に記載のデバイス。
〔付記19〕
前記ノッチ周方向位置は前記第1の周方向位置と整列している付記18に記載のデバイス。
〔付記20〕
a.前記カテーテルから展開可能な第2の針ガイドと、
b.前記第2の針ガイド内から展開可能な第2の針と、
を更に備えた付記1乃至19のうち何れか一項に記載のデバイス。
〔付記21〕
前記針ガイドは、前記カテーテル上の第1の長手方向位置で前記カテーテルから展開可能であり、前記第2の針ガイドは、前記カテーテル上の第2の長手方向位置で前記カテーテルから展開可能であり、前記第2の長手方向位置は前記第1の長手方向位置から離隔している付記20に記載のデバイス。
〔付記22〕
前記針ガイドは前記カテーテル上の第1の周方向位置で前記カテーテルから展開可能であり、前記第2の針ガイドは前記カテーテル上の第2の周方向位置で前記カテーテルから展開可能であり、前記第2の周方向位置は前記第1の周方向位置と整列している付記20又は21に記載のデバイス。
〔付記23〕
更に、少なくとも1つの第1のX線不透過性マーカーを備え、前記第1のX線不透過性マーカーは前記カテーテル、前記針ガイド又は前記針上にある、付記1乃至22のうち何れか一項に記載のデバイス。
〔付記24〕
前記X線不透過性マーカーは前記カテーテル上にあり、前記カテーテルの回転配向を示すように構成されている付記23に記載のデバイス。
〔付記25〕
大内臓神経を焼灼する為の、付記1乃至24のうち何れか一項に記載のデバイス。
〔付記26〕
血管内穿刺及び処理の方法であって、前記方法が、
a.カテーテル遠位部分を、患者の静脈系を通して、静脈内の標的位置に前進させ、
b.針ガイドを、前記カテーテルから、前記カテーテルの長軸に対して横断方向である方向に展開し、
c.前記針ガイドの遠位鈍端で静脈壁に接触し、前記針ガイドを展開し続けて前記遠位鈍端を前記静脈壁に押し付け、
d.針を、前記針ガイドの遠位端から展開して、前記静脈壁を前記針の鋭利な穿刺端で穿刺し、
e.前記鋭利な穿刺端を介して、静脈の外部の領域に処理を送達する、
ことを含む方法。
〔付記27〕
前記カテーテルはカテーテル外径を有し、ステップbが、前記針ガイドを、前記カテーテル外径未満である展開距離に展開することを含む、付記26に記載の方法。
〔付記28〕
前記展開距離は0.5~6mmである付記27に記載の方法。
〔付記29〕
前記展開距離は0.5~3mmである付記27又は28に記載の方法。
〔付記30〕
前記展開距離は2~6mmである付記27又は28に記載の方法。
〔付記31〕
前記カテーテルはカテーテル外径を有し、ステップdは、前記針を、前記カテーテル外径未満である穿刺距離に展開することを含む、付記26に記載の方法。
〔付記32〕
前記穿刺距離は2mm未満である付記31に記載の方法。
〔付記33〕
前記穿刺距離は1mm未満である付記31又は32に記載の方法。
〔付記34〕
ステップeの前に、前記遠位鈍端又は前記鋭利な穿刺端を介して神経刺激試験パルスを送達することを更に含む付記26乃至33のうち何れか一項に記載の方法。
〔付記35〕
ステップeが、前記穿刺端から送達デバイスを展開して、前記送達デバイスを用いて前記処理を送達することを含む、付記26乃至34のうち何れか一項に記載の方法。
〔付記36〕
ステップeが、前記送達デバイスを、穿刺距離より大きい送達距離だけ展開することを含む付記35に記載の方法。
〔付記37〕
前記送達距離は15mmまでである、付記36に記載の方法。
〔付記38〕
前記送達距離は3~7mmである、付記36又は37に記載の方法。
〔付記39〕
前記送達距離は4~6mmである、付記36乃至38のうち何れか一項に記載の方法。
〔付記40〕
ステップeが、神経を焼灼することを含む、付記26乃至39のうち何れか一項に記載の方法。
〔付記41〕
ステップeが、流体、熱エネルギー処理、極低温エネルギー処理及び無線周波数エネルギー処理のうち少なくとも1つを送達することを含む、付記23乃至35のうち何れか一項に記載の方法。
〔付記42〕
前記標的位置は奇静脈内又は肋間静脈内にある付記26乃至41のうち何れか一項に記載の方法。
〔付記43〕
前記標的位置は、T9、T10又はT11肋間静脈内にある、付記42に記載の方法。
〔付記44〕
前記標的位置はT11肋間静脈とT9肋間静脈の間の奇静脈内である、付記42に記載の方法。
〔付記45〕
ステップeは、処理を胸内臓神経又は胸内臓神経根に送達することを含む、付記26乃至44の何れか一項に記載の方法。
〔付記46〕
ステップeは、処理を大内臓神経に送達することを含む付記26乃至45のうち何れか一項に記載の方法。
〔付記47〕
ステップeは、心不全の為の処置を送達することを含む、付記26乃至46のうち何れか一項に記載の方法。
〔付記48〕
更に、ステップeを、患者の呼吸と整合させて、前記処理で患者の肺を損傷することを回避することを含む、付記26乃至47のうち何れか一項に記載の方法。
〔付記49〕
更に、前記患者の肺への前記針の近接度を監視することを含む、付記48に記載の方法。
〔付記50〕
ステップaが、前記カテーテルをガイドワイヤの上から前進させることを含む、付記26乃至49のうち何れか一項に記載の方法。
〔付記51〕
-前記標的位置は奇静脈内にあり、前記ガイドワイヤは、前記奇静脈を超えて肋間静脈へと延出し、
-方法は更に、ステップbに先行して、前記ガイドワイヤが前記カテーテル遠位部分の配向ノッチ内に位置決めされるまで前記カテーテルを回転させることによって、前記カテーテルを標的配向に配向させることを含む、
付記50に記載の方法。
〔付記52〕
-ステップbは、前記針ガイドを、前記カテーテルの周方向外面内のサイドポートから展開することを含み、
-前記ノッチはノッチ周方向位置にあり、
-前記サイドポートは、前記ノッチ周方向位置の30度以内である第1の周方向位置にある、
付記51に記載の方法。
〔付記53〕
ステップa後に、
-第2の針ガイドを、前記カテーテルから、前記カテーテルの長軸に対して横断方向の第2の方向に展開し、
-前記第2の針ガイドの第2の遠位鈍端で前記静脈壁に接触し、前記第2の針ガイドを展開し続けて前記第2の遠位鈍端を前記静脈壁に押し付け、
-前記第2の針ガイドの前記第2の遠位端から第2の針を展開して、前記第2の針の第2の穿刺端で前記静脈壁を穿刺し、
-前記第2の穿刺端を介して第2の処理を送達する、
ことを含む、付記26乃至52のうち何れか一項に記載の方法。
〔付記54〕
前記針ガイドは、前記カテーテル遠位部分内の第1のサイドポートから展開され、前記第2の針ガイドは前記カテーテル遠位部分の第2のサイドポートから展開され、前記第1のサイドポートと前記第2のサイドポートは長手方向に互いに離隔している、付記53に記載の方法。
〔付記55〕
前記第1のサイドポートと前記第2のサイドポートは長手方向に3~5cm互いに離隔している、付記54に記載の方法。
〔付記56〕
前記第1のサイドポートと前記第2のサイドポートは周方向に整列している、付記55に記載の方法。
〔付記57〕
ステップcは、前記針ガイドを展開し続けて前記カテーテルを前記静脈壁から離れる方向に押しやって反対側の静脈壁に当接させることを含む、付記26乃至56のうち何れか一項に記載の方法。
〔付記58〕
前記針ガイド作動位置において、前記針ガイドは直線状であるか、又は湾曲しており前記カテーテル軸線に対して傾斜しているかの何れかである、付記1乃至24のうち何れか一項に記載のデバイス。
〔付記59〕
前記第1のX線不透過性マーカーはX線不透過性材料製であって非対象形状であり、任意選択的に前記X線不透過性マーカーはN字形である、付記23又は24に記載のデバイス。
〔付記60〕
前記カテーテル上にあり、カテーテルの回転位置が設定公差内にある場合を視覚的に示すように構成された付加的なX線不透過性マーカーを更に含む、付記23又は24又は59に記載のデバイス。
〔付記61〕
前記付加的なX線不透過性マーカーは2本の線を含み、前記2本の線の中心は、配向が前記設定公差内である場合に前記第1のX線不透過性マーカーが前記付加的なX線不透過性マーカーの線の間に現れるように、前記第1のX線不透過性マーカーから約180度周方向に離間している、付記60に記載のデバイス。
〔付記62〕
前記針ガイドの、前記針ガイド格納位置から前記針ガイド作動位置への展開を引き起こし、
前記針の、前記針格納位置から穿刺位置への展開を引き起こす、
ように構成されたコントローラを備えた付記1乃至24又は付記58乃至61のうち何れか一項に記載のデバイス。
〔付記63〕
前記コントローラは更に、前記送達デバイスの、前記送達デバイス格納位置から前記送達デバイス処理位置への展開を引き起こすように構成されている、付記10乃至15の何れか一項と組み合わせた付記62に記載のデバイス。
〔付記64〕
前記送達デバイスは、源から極低温エネルギー送達デバイスの遠位端への極低温流体の送達の為の第1のルーメンと、前記極低温流体を前記源に戻す為の第2のルーメンを含む極低温エネルギー送達デバイスである、付記1乃至9、付記16乃至24及び付記58乃至63の何れか一項と組み合わせた付記10乃至15のうち何れか一項に記載のデバイス。
〔付記65〕
前記極低温流体の源は、流体リザーバと、前記流体リザーバと前記第1のルーメンの間の供給弁と、戻った極低温流体を大気中に排出する為の、前記第2のルーメンの出口の圧力解放弁と、前記供給弁と前記圧力解放弁を制御するように構成されたコントローラ又は前記コントローラを含む、付記64に記載のデバイス。
〔付記66〕
前記コントローラは前記送達デバイスの遠位端の温度センサと連通しており、前記温度サンサによって感知された温度に応答して前記極低温流体の供給を制御するように構成されている、付記65に記載のデバイス。
〔付記67〕
長形シャフト(121,159,183,205,225,253,275)と、
前記長形シャフトの一部分によって担持されるアブレーションアセンブリ(134,165,190,211,232,252,276)を備え、前記アブレーションアセンブリは、少なくとも12mmの長さを有する周方向アブレーションパターンか、又は、少なくとも12mmの長さを有する指向性アブレーションパターンのうち何れかを形成するように構成される、
特に血管内内臓神経アブレーション向けの血管内神経アブレーション向けに構成されたアブレーションカテーテル。
〔付記68〕
前記アブレーションアセンブリ(134,165,190,211,232,252,276)は、12~30mm、任意選択的に12~20mmの長さを有する周方向アブレーションパターンか、12~30mm、任意選択的に12~20mmの長さを有する指向性アブレーションパターンの何れかを形成するように構成されている、付記67に記載のカテーテル。
〔付記69〕
前記アブレーションアセンブリ(134,165,190,211,232,252,276)は、前記長形シャフトの遠位直線状部分によって担持される、付記67又は68に記載のカテーテル。
〔付記70〕
前記長形シャフトによって担持され非拡張状態と拡張状態を有する拡張可能部材(182,221,242,261)を備え、前記アブレーションアセンブリ(134,165,190,211,232,252,276)は、前記拡張可能部材(182,221,242,261)に取り付けられている、付記67又は68又は69に記載のカテーテル。
〔付記71〕
長形シャフト(121,159,183,205,225,253,275)と、
前記長形シャフトによって担持され非拡張状態と拡張状態を有する拡張可能部材(182,221,242,261)と、
前記拡張可能部材(242)に取り付けられたアブレーションアセンブリ(134,165,190,211,232,252,276)と、
を備えた、特に血管内内臓神経アブレーション向けの血管内神経アブレーション向けに構成されたアブレーションカテーテル。
〔付記72〕
ヒトの動脈性静脈内への挿入向けに構成された、付記67乃至71のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記73〕
前記拡張可能部材(182,221,242,261)は、前記非拡張状態においてヒトの患者の肋間静脈に挿入するように構成され、前記拡張状態において前記肋間静脈の血管壁に当接するように構成されている、付記70乃至72のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記74〕
前記拡張可能部材(182,221,242,261)は、前記拡張状態において血管壁に接触するように構成された周方向処理ゾーン(248)を備え、前記周方向処理ゾーン(248)は、前記カテーテルの長軸に沿って、12~30mm、任意選択的に12~20mmの範囲の長さを有する、付記70乃至73のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記75〕
前記拡張可能部材(182,221,242,261)は、前記非拡張状態において、約1~2.5mmの範囲の直径と約3.14~7.85mmの範囲の外周を有する、付記70乃至74のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記76〕
前記拡張可能部材(182,221,242,261)は、前記拡張状態において、約3~5mmの範囲の直径と約9.4~15.7mmの範囲の外周を有する、付記70乃至75のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記77〕
前記アブレーションアセンブリと前記拡張可能部材は、前記拡張可能部材が前記拡張状態にある場合に、前記アブレーションアセンブリが、少なくとも12mmの長さ、好ましくは12~30mmの長さの周方向アブレーションパターンを形成するように構成されている、付記70乃至76のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記78〕
前記拡張可能部材(182,221,242,261)は、前記長形シャフトの遠位部分に取り付けられると共に任意選択的に応従性材料製であるか又は可撓的に折り曲げられて収縮する非応従性材料製である展開可能バルーンを備えている、付記70乃至77のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記79〕
前記長形シャフトが、前記拡張可能部材に10mm以内に近接して、又は前記アブレーションアセンブリに10mm以内に近接して配置された可撓性ネック(245;187;231;274)を備えている、付記67乃至78のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記80〕
前記可撓性ネックは4mmの最小曲率半径に従って屈曲可能であって、前記長形シャフトの遠位部分の配向を可能にし、肋間静脈の自然配向での前記長形シャフトの遠位部分の挿入を助長する、付記79に記載のカテーテル。
〔付記81〕
前記可撓性ネックは、前記可撓性ネックに近接した前記長形シャフトの部分に使用される材料と比べて軟質のデュロメータポリマー、任意選択的にペバックス(Pebax)で製造される、付記78又は79に記載のカテーテル。
〔付記82〕
前記可撓性ネックの材料にワイヤコイルが埋め込まれている付記78又は79又は80に記載のカテーテル。
〔付記83〕
前記拡張可能部材(242)の外面に取り付けられると共に、前記カテーテルが患者の血管に挿入されたときに、血管壁と直接接触するように構成された複数の電極パッドアセンブリ(244)を前記アブレーションアセンブリ(252)が備えている、付記70乃至82のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記84〕
各電極パッドアセンブリ(252)は電極パッド(244)の形態の複数の電極を含み、前記電極パッドは電気トレース(249)によって電気的に相互接続され、任意選択的に、前記電極パッド(244)と、同じ電極パッドアセンブリの前記トレース(249)は、共通の導電性支持基板によって形成されている、付記83に記載のカテーテル。
〔付記85〕
前記電極パッド(244)と、同じ電極パッドアセンブリの前記トレース(249)は、前記カテーテルの長軸に対して実質的に平行に整列している、付記84に記載のカテーテル。
〔付記86〕
前記電極パッドアセンブリ(252)は、前記拡張可能部材(242)に取り付けられて、前記拡張可能部材の周囲に配置された複数の電極パッド(244)を画定して、長さ20mmまでの周方向アブレーションパターンを形成し、任意選択的に、前記周方向アブレーションパターンは12~18mm以内に含まれる長さを有する、付記83乃至85のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記87〕
各電極パッド(244)は、角度的に隣接する電極パッド(244)から5mm未満、任意選択的に2.5mm未満の距離(250)だけ周方向に離隔している、付記84乃至86のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記88〕
各電極パッド(244)は3~3.5mmの範囲でアーク長(251)に沿って前記拡張可能部材の周囲に延在する、付記84乃至87のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記89〕
各電極パッド(244)は約3~5mmの範囲の、カテーテル長軸に平行に測定された長さを有する、付記84乃至88のうち何れか一項に記載のカテーテル
〔付記90〕
各電極パッドアセンブリ(...)は前記カテーテルに沿って実質的に直線的に展開し、各電気トレース(249)によって隔てられた電気パッド(244)の列を含む、付記84乃至89のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記91〕
各々に複数の電極パッド(244)が配置された複数の電極パッドアセンブリ(...)を備え、前記複数の電極パッドアセンブリが、電極パッドの列を形成し、任意選択的に少なくとも4列の電極パッド(244)が電気トレース(249)によって互いに接続されている、付記90に記載のカテーテル。
〔付記92〕
前記電極パッドの列は前記拡張可能部材(242)の外周の周囲に均分に離隔配置されている、付記91に記載のカテーテル。
〔付記93〕
1つの列上の電極パッドは、隣接する列の電極パッドから長手方向に偏位している、付記91又は92に記載のカテーテル。
〔付記94〕
前記拡張可能部材がその非拡張状態にあるときの、隣接する電極パッド間の空間は、前記拡張可能部材がその拡張状態にあるときの隣接する電極パッド間の空間よりも小さい、付記91又は92又は93に記載のカテーテル。
〔付記95〕
前記拡張可能部材がその非拡張状態にあるときに、各電極パッド(244)は、隣接する電極パッドから、0~1mm以内に含まれる距離(250)だけ周方向に離隔している、付記94に記載のカテーテル。
〔付記96〕
前記電極パッドの隣接する列は、前記拡張可能部材がその非拡張状態にあるときに互いに連結する、付記94又は95に記載のカテーテル。
〔付記97〕
前記拡張可能部材がその拡張状態にあるときに、各電極パッド(244)は、隣接する電極パッドから、約2~5mm以内に含まれる距離(250)だけ周方向に離隔している、付記94乃至96のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記98〕
2つの連続した電極パッドを接続する各電気トレース(249)は、前記電極パッドのアーク長よりも有意に小さい、前記拡張可能部材周囲で周方向に測定された幅を提示する狭窄導電性ストリップを備え、任意選択的に、各電気トレースの幅は0.5mm未満である、付記88乃至97のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記99〕
前記電極パッドアセンブリは、前記拡張可能部材の一側部のみに電極パッドを配置するように構成されて、任意選択的に前記拡張可能部材外周の25~50%をカバーして、標的アブレーションゾーン(58)と同じ側に全て向いており標的アブレーションゾーン(58)の長さの指向性アブレーションパターンを生成する、付記83乃至85及び付記87乃至98のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記100〕
前記アブレーションアセンブリ(211)は、前記長形シャフト(205)上に取り付けられた、軸方向に離隔した管状電極(201)の形態の複数の電極を備えている、付記67乃至69及び付記79乃至82のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記101〕
前記管状電極(201)は2~3mmの範囲の外径(202)を有する、付記100に記載のカテーテル。
〔付記102〕
前記管状電極(201)は前記長形シャフト上に連続的に取り付けられ、2つの連続する管状電極間に2~4mmの範囲の間隔(203)を有する、付記100又は101に記載のカテーテル。
〔付記103〕
前記管状電極(201)は各々1~4mmの範囲の長さ(204)を有する、付記100又は101又は102に記載のカテーテル。
〔付記104〕
前記長形シャフトの直線部分(204)に沿って配置された複数の前記管状電極(201)を備えている、付記100乃至103のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記105〕
前記長形シャフトの前記直線部分(204)に沿って配置された前記複数の管状電極(201)は、12~20mm以内に含まれる距離に亘る、付記104に記載のカテーテル。
〔付記106〕
前記長形シャフトは、前記直線部分(209)に近接したループ形部分(210)を有する、付記104又は105に記載のカテーテル。
〔付記107〕
前記ループ形部分は前記管状電極(201)を幾つか含む、付記106に記載のカテーテル。
〔付記108〕
前記管状電極(201)又は前記管状電極間のシャフトの部分は、液体を送達するように構成され流体源に接続可能な灌注ポート(207)を含む、付記100乃至107のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記109〕
前記アブレーションアセンブリは、12~20mmの範囲の長さ(189)を有する、前記拡張可能部材の軸線(182)に対して平行な少なくとも1つのストレート電極(184)を備えている、付記70乃至82のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記110〕
前記ストレート電極は、拡張可能部材の外周の少なくとも25%のセグメントをカバーする、付記109に記載のカテーテル。
〔付記111〕
周方向アブレーションの為に、前記拡張可能部材の周囲に配置された複数のストレート電極を備えている、付記109又は110の何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記112〕
指向性アブレーションの為に、前記拡張可能部材の外周の25~50%の範囲のセグメントをカバーする1つのみの単一ストレート電極を備えている、付記109又は110の何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記113〕
各ストレート電極は電極ストリップの形態である付記109乃至112のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記114〕
各ストレート電極は、流体の源に接続されるように構成された灌注ポート(185)を含む、付記109乃至113のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記115〕
前記拡張可能部材内部に配置された複数の超音波トランスデューサ(224)を備えている付記67乃至82のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記116〕
前記超音波トランスデューサ(224)は、前記拡張可能部材内に中心決めされた支持シャフト(233)によって担持されている、付記115に記載のカテーテル。
〔付記117〕
前記トランスデューサ(224)は12~20mmの範囲である長さ(226)に連続して亘るように配置されて、同じ長さのアブレーションを生成する、付記115又は116の何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記118〕
前記トランスデューサ(224)と前記拡張可能部材(221)の間に支柱又は突部(227)が配置されている、付記115乃至117のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記119〕
前記支柱(227)は、前記トランスデューサ(224)から離れる方向に半径方向に拡張するように弾性的に予備成形されたポリマーストランドを備えている、付記118に記載のカテーテル。
〔付記120〕
任意選択的に少なくとも4mmの長さである前記トランスデューサが、間に可撓性間隙(228)を伴って離隔配置されている、付記115乃至119のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記121〕
前記超音波トランスデューサ(224)は、標的血管の周囲に周方向アブレーションを形成する為に円筒形である、付記115乃至120のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記122〕
前記超音波トランスデューサは平坦又は半円筒形であって、標的血管の外周の部分セグメントであるアブレーションを生成する、付記115乃至120のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記123〕
前記アブレーションアセンブリが複数の電極(262)を備え、前記拡張可能部材は、任意選択的に3本以上の支柱の列を含む弾性支柱(261)のバスケットを備え、各支柱が、取り付けられた少なくとも1つの電極(262)を有する、付記67乃至82のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記124〕
前記バスケットは、2.00mm未満の、任意選択的に約1.7mmの直径の収縮した送達状態を有する、付記123に記載のカテーテル。
〔付記125〕
前記バスケットは、約2.5~4mmの範囲の直径を有する拡張したアブレーション状態を有する、付記123乃至124のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記126〕
前記支柱に関連する非閉塞の、半径方向に拡張可能な管状膜(263)を備え、前記管状膜(263)の外面に前記電極(262)がある、付記123乃至125のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記127〕
前記管状膜(263)は電気絶縁材料である、付記126に記載のカテーテル。
〔付記128〕
前記管状膜(263)は前記支柱(261)に連結され、任意選択的に前記支柱(261)の上に配置されている、付記126乃至127の何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記129〕
前記管状膜によって外境界を区切られる容積内に冷却液(264)を注入して、対流で前記電極の冷却を可能にするように構成された冷却液送達ポート(265)を備えている
付記126乃至128のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記130〕
前記冷却液送達ポート(265)は前記バスケットの遠位端にある、付記129に記載のカテーテル。
〔付記131〕
前記支柱(261)は、屈曲を助長する為に、前記支柱の残りの部分よりも大きい可撓性を有する、狭窄部分(266)を前記取り付けられた電極間に備えている、付記123乃至130のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記132〕
前記バスケット及び電極の位置は、12~20mm長さの範囲、任意選択的に15mm長さであるアブレーションパターンを形成するように構成されている、付記123乃至131のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記133〕
前記バスケット及び電極の位置は、前記バスケットの実質的に全長に沿った周方向アブレーションパターンを形成するように生成するように構成されている、付記123乃至132のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記134〕
指向性アブレーションの為に血管の周方向セグメントのみを焼灼する為に、前記バスケットの1つ又は2つの支柱のみに前記電極が取り付けられている、付記123乃至132のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記135〕
カテーテルの遠位領域に、任意選択的に前記支柱上に配置された、前記バスケットの半径方向を識別するX線不透過性マーカー(...)を含む、付記123乃至134のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記136〕
前記支柱(261)各々は夫々の最大幅(269)と最大厚さ(270)を備えた断面を有し、各前記電極(262)は、夫々の最大幅(271)と最大厚さ(272)を備えた断面を有し、前記電極の最大厚さ(272)は、前記支柱の最大厚さよりも大きく、前記電極の最大幅は前記支柱の最大幅よりも大きい、付記123乃至135のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記137〕
前記支柱(261)夫々は約0.5mmの幅(269)及び約0.13mmの厚さ(270)の断面を有する、付記123乃至136のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記138〕
前記電極(262)夫々は約1mmの幅(271)と、約0.33mmの最大厚さ(272)の断面を有し、前記厚さは、テーパ状に縁で約0.25mmの狭まった厚さ(273)となる、付記123乃至137のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記139〕
前記アブレーションアセンブリに接続された電源と、前記電源を制御し、アブレーションエネルギー、特にRFアブレーションエネルギーを前記アブレーションアセンブリに送達するように前記電源に命令するように構成された制御ユニットを更に備えた付記1乃至138のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記140〕
前記制御ユニットは、血流冷却を補償する為に、より多量のアブレーションパワーが、任意選択的にRFエネルギーが、前記電極(複数可)の残りの部分よりも、近位電極(複数可)に送達されるように前記電源を制御するように構成されている、付記139に記載のカテーテル。
〔付記141〕
前記制御ユニットは、前記血流冷却を補償する為に、より長い期間でのアブレーションパワーが、任意選択的にRFエネルギーが、前記電極(複数可)の残りの部分よりも、近位電極(複数可)に送達されるように前記電源を制御するように構成されている、付記137又は140のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記142〕
前記制御ユニットは、前記RFアブレーションエネルギーを、
ユニポーラモードで順次、又は
ユニポーラモードで同時に、又は
バイポーラモードで、
送達するように前記電源を制御するように構成されている、付記139乃至141のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記143〕
前記制御ユニットは、RFアブレーションエネルギーをパルス波形で送達するように前記電源を制御するように構成されている、付記139乃至142のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記144〕
前記制御ユニットは、前記電源を制御して、バイポーラエネルギー、特にバイポーラRFアブレーションエネルギーを、一対の電極間、特に、異なる電極パッドアセンブリの電極パッドの対間で駆動するように構成される、付記139乃至143のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記145〕
前記拡張可能部材の内部と流体連通する冷却液注入ポート(246)に接続される、又は接続可能な冷却液源を備えている、付記70乃至144のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記146〕
前記制御ユニットは更に、前記冷却液源を制御して、前記冷却液注入ポートを通って前記拡張可能部材へと冷却流体を注入するように前記冷却液源に命令するように構成されている、付記139乃至144の何れか一項と組み合わせた付記145に記載のカテーテル。
〔付記147〕
冷却液が血流に沈着するように、前記カテーテル長形シャフト内に延在する出口ルーメンに接続されているか、又は、前記カテーテルの外部と直接連通しているかの何れかである冷却液出口ポート(247)を備えている、付記145又は146の何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記148〕
前記冷却液出口ポートは、前記拡張可能部材を膨張させる為に前記拡張可能部材内の圧力が増加されることを可能にする為に前記冷却液注入ポートよりも小さい、付記147に記載のカテーテル。
〔付記149〕
前記カテーテルの遠位領域上に配置されて半径方向を示すX線不透過性マーカーを備え、任意選択的に、前記X線不透過性マーカーは非対称であって、前記電極と同じ側又は反対側に配置されている、付記1乃至148のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記150〕
前記電極の対の間に配置された温度センサを備えた付記83乃至114及び付記123乃至149のうち何れか一項に記載のカテーテル。
〔付記151〕
前記温度センサは、前記カテーテルが血管内に挿入され、前記拡張可能部材がその拡張状態にある場合に血管壁に直接接触するように構成されている、付記150に記載のカテーテル。
〔付記152〕
前記制御ユニットは、前記温度センサからの温度信号を受信するように構成され、前記温度信号に基づいて冷却液流体を注入するように前記冷却液源を制御する、及び/又は前記温度信号に基づいて、前記電源のアブレーションエネルギーの放出を制御するように構成される、付記139乃至144の何れか一項と組み合わせた付記150又は151に記載のカテーテル。
〔付記153〕
節前大内臓神経又は神経根の経血管アブレーション向けに適合され構成された経血管アブレーションデバイスであって、
患者の外部に留まるように適合された近位部分と、前記患者の血管系を通って挿入されるサイズの遠位部分を備え、
前記遠位部分が、
長形シャフトと、
前記長形シャフトによって担持される第1のアブレーション部材と、
前記長形シャフトによって担持され、前記第1のアブレーション部材から3~6mmの距離だけ軸方向に離隔した第2のアブレーション部材と、
前記長形シャフトによって、前記第1のアブレーション部材と前記第2のアブレーション部材の間に軸方向に担持される閉塞部材とを備え、前記閉塞部材は、送達構成と拡張構成を有するように適合されている、経血管アブレーションデバイス。
〔付記154〕
前記第1のアブレーション部材は3~5mmの長さを有する、付記153に記載のアブレーションデバイス。
〔付記155〕
前記第2のアブレーション部材は3~5mmの長さを有する付記154に記載のアブレーションデバイス。
〔付記156〕
前記第1のアブレーション部材の外径は1.5~3mmであり、前記第2のアブレーション部材の外径は1.5~3mmである、付記153に記載のアブレーションデバイス。
〔付記157〕
前記閉塞部材は1~6mmの軸長を有する、付記153に記載のアブレーションデバイス。
〔付記158〕
拡張構成における前記閉塞部材の直径は3~5mmであり、任意選択的に、前記送達構成において1.5~2mmの直径を有する、付記153に記載のアブレーションデバイス。
〔付記159〕
前記近位部分から、前記遠位部分のガイドワイヤ出口ポートへと延在するガイドワイヤルーメンを更に備えた付記153に記載のアブレーションデバイス。
〔付記160〕
前記第1のアブレーション部材は第1の導電体と電気的に連通し、前記第2のアブレーション部材は、前記第1の導電体とは異なる第2の導電体と電気的に連通している、付記153に記載のアブレーションデバイス。
〔付記161〕
前記第1と第2のアブレーション部材は夫々、前記長形シャフトを通って、灌注流体供給に接続可能な場所である前記近位部分に至る少なくとも1つの灌注ルーメンと流体連通する灌注出口ポートを備えている、付記153に記載のアブレーションデバイス。
〔付記162〕
前記第1と第2のアブレーション部材は夫々、前記長形シャフトを通って、灌注流体供給に接続可能な場所である前記近位部分に至る独立した灌注ルーメンと流体連通する灌注出口ポートを備えている、付記153に記載のアブレーションデバイス。
〔付記163〕
前記灌注出口ポートの何れもが0.020インチ+/-0.005インチの直径を有し得る付記161又は162に記載のアブレーションデバイス。
〔付記164〕
前記灌注出口ポートの何れもが夫々、前記第1のアブレーション部材の側又は前記第2のアブレーション部材の側に配置されている、付記161又は162に記載のアブレーションデバイス。
〔付記165〕
前記第1のアブレーション部材が電極を備え、前記電極が、前記電極の長さに亘る少なくとも1つのチャネル内に配置された少なくとも1つの灌注出口ポートを備えている、付記153に記載のアブレーションデバイス。
〔付記166〕
前記第1のアブレーション部材は電極を備え、前記電極は、前記電極の少なくとも遠位端又は近位端までの前記電極の長さの一部に亘る少なくとも1つのスカラップ内に配置された少なくとも1つの灌注出口ポートを備えている、付記153に記載のアブレーションデバイス。
〔付記167〕
前記第1と第2のアブレーション部材は夫々、前記長形シャフトから、前記少なくとも2つの灌注ルーメンのうち第1のルーメンが灌注流体供給に接続可能であり前記少なくとも2つの灌注ルーメンのうち第2のルーメンが流体戻り受容部に接続可能である前記近位部分に至る少なくとも2つの灌注ルーメンと流体連通するキャビティを備えている、付記153に記載のアブレーションデバイス。
〔付記168〕
前記第1と第2のアブレーション部材のうち少なくとも1つは温度センサを備えている付記153に記載のアブレーションデバイス。
〔付記169〕
前記閉塞部材は膨張可能な閉塞バルーンである、付記153に記載のアブレーションデバイス。
〔付記170〕
前記閉塞バルーンがチャンバを備え、前記チャンバは長形シャフトを通って、膨張流体供給に接続可能となる場所である近位部分に至る膨張可能なルーメンと流体連通し、任意選択的に、前記チャンバ内に温度センサが配置され、前記温度センサは前記チャンバ内の流体の温度を監視するように適合されている、付記169に記載のアブレーションデバイス。
〔付記171〕
節前大内臓神経又は神経根の経血管アブレーション向けに適合され構成された経血管アブレーションデバイスであって、
患者の外部に留まるように適合された近位部分と、前記患者の血管系を通って挿入されるサイズの遠位部分を備え、
前記遠位部分が、
長形シャフトと、
前記長形シャフトによって担持される第1のアブレーション部材であって、外径が1.5~3mmである第1のアブレーション部材と、
前記長形シャフトによって担持され、前記第1のアブレーション部材から軸方向に離隔しており、外径が1.5~3mmである第2のアブレーション部材と、を備えており、更に、
前記長形シャフトによって、前記第1のアブレーション部材と前記第2のアブレーション部材の間に軸方向に担持される閉塞部材とを備え、前記閉塞部材は、送達構成と拡張構成を有するように適合され、前記拡張構成における直径が3~5mmである、経血管アブレーションデバイス。
〔付記172〕
前記第1のアブレーション部材は3~5mmの長さを有する付記171に記載のアブレーションデバイス。
〔付記173〕
前記第2のアブレーション部材は3~5mmの長さを有する付記171又は172に記載のアブレーションデバイス。
〔付記174〕
節前大内臓神経又は神経根の経血管アブレーション向けに適合され構成された経血管アブレーションデバイスであって、
患者の外部に留まるように適合された近位部分と、前記患者の血管系を通って挿入されるサイズの遠位部分を備え、
前記遠位部分が、
長形シャフトと、
前記長形シャフトによって担持される第1のアブレーション部材と、
前記長形シャフトによって担持され、前記第1のアブレーション部材から軸方向に離隔した第2のアブレーション部材とを備え、
前記第1と第2のアブレーション部材は両方とも任意選択的に、前記長形シャフトの直径より小さい外径寸法を有する、デバイス。
〔付記175〕
前記外方寸法は1.5~2.5mmである付記174に記載のデバイス。
〔付記176〕
前記長形シャフトの直径は2~3mmである、付記175に記載のデバイス。
〔付記177〕
前記外方寸法は0.2~1mmだけ前記直径より小さい、付記175に記載のデバイス。
〔付記178〕
付記153乃至173の何れかの制約を更に含む付記174に記載のデバイス。
〔付記179〕
前記第1のアブレーション部材及び前記第2のアブレーション部材各々の一部分は電気的に絶縁され、各々の残りの部分は導電性であり、前記導電性部分は、外周の50%以下、40%未満、30%未満又は25%未満であるセグメントを備えている、付記174に記載のデバイス。
〔付記180〕
アブレーションコンソールに接続されるように適合され、前記アブレーションコンソールは、前記アブレーションデバイスをバイポーラモード、モノポーラモード、及びバイポーラモードとモノポーラモードの組み合わせのうち少なくとも1つで動作させるように適合されている、付記153乃至179の何れか一項に記載のデバイス。
〔付記181〕
内臓静脈血容量を増加させる為に、大内臓神経又は大内臓神経根を焼灼する方法であって、
長形医療デバイスを奇静脈へと前進させ、前記長形医療デバイスは遠位領域を含み、前記遠位領域は、可撓性シャフトと、前記シャフトによって担持される第1のアブレーション部材と、前記第1のアブレーション部材から軸方向に離隔した前記シャフトによって担持される第2のアブレーション部材を含み、
前記第1のアブレーション部材を前記奇静脈から、T9、T10又はT11肋間静脈へと前進させ、
前記アブレーションエネルギーを前記第1のアブレーション部材から送達し、
アブレーション損傷部を形成し、それによって大内臓神経又は大内臓神経根の一部分を焼灼する、
ことを含む方法。
〔付記182〕
更に、前記第2のアブレーション部材を前記奇静脈からT9、T10又はT11肋間静脈へと前進させ、前記第2のアブレーション部材からアブレーションエネルギーを送達することを含む付記181に記載の方法。
〔付記183〕
前記送達ステップが、前記第1と第2のアブレーション部材からエネルギーをモノポーラモードで送達することを含む、付記182に記載の方法。
〔付記184〕
前記送達ステップが、前記第1と第2のアブレーション部材からエネルギーをバイポーラモードで送達することを含む、付記182に記載の方法。
〔付記185〕
前記送達ステップが、前記第1と第2のアブレーション部材からエネルギーをモノポーラ・バイポーラモードの組み合わせで送達することを含む、付記182に記載の方法。
〔付記186〕
更に、前記第1のアブレーション部材と前記第2のアブレーション部材の間でT9、T10又はT11肋間静脈に閉塞部材を前進させることを含む、付記182に記載の方法。
〔付記187〕
前記閉塞部材は、前記第1のアブレーション部材と前記第2のアブレーション部材の間で長形シャフトによって担持される、付記186に記載の方法。
〔付記188〕
更に、T9、T10又はT11肋間静脈内で前記閉塞部材を拡張することを含む、付記186に記載の方法。
〔付記189〕
更に、T9、T10又はT11肋間静脈を前記閉塞部材で完全に閉塞することを含む付記186に記載の方法。
〔付記190〕
前記第2のアブレーション部材を前進させることは、前記第2のアブレーション部材の近位端を前記奇静脈と前記肋間静脈の口に位置決めすることを含む、付記182に記載の方法。
〔付記191〕
前記第1のアブレーション部材を前記奇静脈からT9、T10又はT11肋間静脈へと前進させることは、前記第1のアブレーション部材を、前記T9、T10又はT11肋間静脈へと、前記奇静脈の口から前記肋間静脈へと20mmまで前進させることを含み、前記第1のアブレーション部材からアブレーションエネルギーを送達することは、前記第1のアブレーション部材が前記口から20mm以内に位置決めされた場合に発生する、付記181に記載の方法。
〔付記192〕
前記第1のアブレーション部材からエネルギーが送達される場合に、前記第2のアブレーション部材は前記奇静脈内に位置決めされている、付記181に記載の方法。
〔付記193〕
前記奇静脈と肋間静脈の口のところで閉塞部材を拡張することを更に含み、前記閉塞部材を拡張することは、血流を前記口から逸れた方向に向かせる、付記192に記載の方法。
〔付記194〕
前記エネルギーは前記第1のアブレーション部材からモノポーラモードで送達される、付記192に記載の方法。
〔付記195〕
前記損傷部を形成することは、前記第2のアブレーション部材からアブレーションエネルギーを送達することを含まない、付記194に記載の方法。
〔付記196〕
前記第1と第2のアブレーション部材は、前記第2のアブレーション部材が前記奇静脈内に位置決めされた場合にバイポーラモードで動作する、付記192に記載の方法。
〔付記197〕
前記アブレーション損傷部を形成することは、肋間静脈から少なくとも5mmの深さを有するアブレーション領域を形成することを含む、付記181に記載の方法。
〔付記198〕
前記アブレーション損傷部を形成することは、周方向アブレーション領域を形成することを含む、付記181に記載の方法。
〔付記199〕
更に、前記第1のアブレーション部材を前記奇静脈から前記T9、T10及びT11肋間静脈のうち他方の1つへと前進させ、前記T9、T10及びT11肋間静脈のうち他方にある場合に、前記第1のアブレーション部材からアブレーションエネルギーを送達することを含む、付記181に記載の方法。
〔付記200〕
前記損傷部を形成することは、前記第2のアブレーション部材からアブレーションエネルギーを送達することを含まない、付記181に記載の方法。
〔付記201〕
更に、前記第1と第2のアブレーション部材のうち少なくとも1つから刺激信号を送達することを含む、付記181に記載の方法。
〔付記202〕
前記刺激信号を送達することは、前記第1のアブレーション部材と前記第2のアブレーション部材の間でバイポーラモードで刺激信号を送達することを含む、付記181に記載の方法。
〔付記203〕
更に、前記刺激信号に対する反応を測定することを含む付記202に記載の方法。
〔付記204〕
前記刺激信号を送達し反応を測定することは、前記第1のアブレーション部材からアブレーションエネルギーを送達する前に発生する、付記203に記載の方法。
〔付記205〕
前記刺激信号を送達し反応を測定することは、前記第1のアブレーション部材からアブレーションエネルギーを送達した後に発生する、付記203に記載の方法。
〔付記206〕
更に、前記第1のアブレーション部材に近接した前記T9、T10又はT11肋間静脈に閉塞部材を前進させることを含む、付記181に記載の方法。
〔付記207〕
前記閉塞部材は長形シャフトによって担持される、付記206に記載の方法。
〔付記208〕
更に、前記T9、T10又はT11肋間静脈内で前記閉塞部材を拡張することを含む付記206に記載の方法。
〔付記209〕
更に、前記T9、T10又はT11肋間静脈を前記閉塞部材で完全に閉塞することを含む、付記208に記載の方法。
〔付記210〕
前記閉塞部材を拡張することは、流体を前記閉塞部材内に送達することを含む、付記208に記載の方法。
〔付記211〕
更に、灌注流体を前記第1と第2のアブレーション部材のうち少なくとも1つに送達することを含む付記181に記載の方法。
〔付記212〕
更に、閾値温度より上である灌注流体を監視することを含む付記211に記載の方法。
〔付記213〕
更に、前記灌注流体が前記閾値温度より上であることを前記監視ステップが示唆した場合にエネルギー送達パラメータを変更することを含む、付記212に記載の方法。
〔付記214〕
前記灌注流体流速を制御することを更に含む、付記211に記載の方法。
【符号の説明】
【0324】
58 標的アブレーションゾーン
100 デバイス
101 針ガイド
102 カテーテル
103 針ガイド遠位端
104 長軸
105 針
106 カテーテル近位端
107 穿刺端
108 カテーテル遠位端
109 サイドポート
110 外径
121,159,183,205,225,253,275 長形シャフト
134,165,190,211,232,252,276 アブレーションアセンブリ
182,221,242,261 拡張可能部材
184 ストレート電極
185,207 灌注ポート
189,204 長さ
201 管状電極
203 間隔
207 灌注ポート
209 直線部分
210 ループ部分
224 超音波トランスデューサ
227 支柱
233 支持シャフト
244 電極パッド
245,187,231,274 可撓性ネック
248 周方向処理ゾーン
249 電極トレース
250 距離
251 アーク長
252 電極アセンブリ
262 電極
263 管状膜
269、271 最大幅
270、272 最大厚さ