(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】記録媒体後処理装置および記録媒体束
(51)【国際特許分類】
B65H 37/04 20060101AFI20230822BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
B65H37/04 D
B65H37/04 Z
G03G15/00 432
(21)【出願番号】P 2018179520
(22)【出願日】2018-09-25
【審査請求日】2021-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 英憲
(72)【発明者】
【氏名】丘 宏興
(72)【発明者】
【氏名】池谷 鮎未
(72)【発明者】
【氏名】浅島 啓一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】山梨 隆亮
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-193855(JP,A)
【文献】特開2018-100149(JP,A)
【文献】特開2011-201670(JP,A)
【文献】特開2017-001757(JP,A)
【文献】特開2005-187123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/00-37/06
G03G 15/00
B42B 2/00-9/06
B42C 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体束に対して当該記録媒体束の厚さ方向から圧力を加えることにより当該記録媒体束に綴じ処理を施す綴じ処理手段と、
前記記録媒体束を構成する各記録媒体において前記綴じ処理が施される綴じ領域の一部を含む領域であって、当該各記録媒体において当該記録媒体束の前記厚さ方向に重なる領域に穴あけ処理を行う穴あけ処理手段と、
を備える、記録媒体後処理装置。
【請求項2】
前記綴じ処理手段が前記綴じ領域に前記綴じ処理を行うように綴じ処理制御を行う第1制御手段と、
前記穴あけ処理手段が前記綴じ領域の一部を含む領域に前記穴あけ処理を行うように穴あけ制御を行う第2制御手段と、
をさらに備え、
前記記録媒体束に対する後処理において、前記第1制御手段による前記綴じ処理制御を行い前記第2制御手段による前記穴あけ制御を行わない第1モードと、当該綴じ処理制御および当該穴あけ制御を何れも行うことが可能な第2モードとを有することを特徴とする請求項1記載の記録媒体後処理装置。
【請求項3】
前記第2モードにおいては、前記第1モードよりも、前記綴じ処理が可能な記録媒体の上限枚数が多いことを特徴とする請求項2記載の記録媒体後処理装置。
【請求項4】
記録媒体束に対して綴じ処理を施す綴じ処理手段と、
前記記録媒体束を構成する各記録媒体において前記綴じ処理が施される綴じ領域の一部を含む領域に穴あけ処理を行う穴あけ処理手段と、
前記綴じ処理手段が前記綴じ領域に前記綴じ処理を行うように綴じ処理制御を行う第1制御手段と、
前記穴あけ処理手段が前記綴じ領域の一部を含む領域に前記穴あけ処理を行うように穴あけ制御を行う第2制御手段と、
を備え、
前記記録媒体束に対する後処理において、前記第1制御手段による前記綴じ処理制御を行い前記第2制御手段による前記穴あけ制御を行わない第1モードと、当該綴じ処理制御および当該穴あけ制御を何れも行うことが可能な第2モードとを有し、
前記第2モードにおいて、前記綴じ処理手段が予め定められた第1枚数以上の記録媒体により構成される記録媒体束に対して前記綴じ処理を施す場合、前記綴じ処理制御を行い前記穴あけ制御を行わないことを特徴とする記録媒体後処理装置。
【請求項5】
記録媒体束に対して綴じ処理を施す綴じ処理手段と、
前記記録媒体束を構成する各記録媒体において前記綴じ処理が施される綴じ領域の一部を含む領域に穴あけ処理を行う穴あけ処理手段と、
を備え、
前記各記録媒体の前記綴じ領域に対する前記綴じ処理および当該綴じ領域の一部を含む領域に対する前記穴あけ処理が行われる場合において、当該綴じ処理が可能な記録媒体の上限枚数が予め定められた第2枚数である第3モードと、当該上限枚数が当該第2枚数よりも多い第4モードとを有し、
前記綴じ処理手段は、前記第3モードにおいて、前記綴じ処理を行う対象の前記記録媒体束を構成する記録媒体が予め定められた第3枚数以上である場合、当該第3枚数よりも少ない場合よりも、当該綴じ処理を施す箇所を増やすことを特徴とする記録媒体後処理装置。
【請求項6】
前記綴じ処理手段は、前記第3モードにおいて、前記記録媒体束のうちの一方向における複数箇所に前記綴じ処理を行い、
前記穴あけ処理手段は、前記第3モードにおいて、前記穴あけ処理を行う対象の前記記録媒体束を構成する記録媒体が前記第3枚数よりも少ない場合、前記複数箇所のうち前記一方向における両外側の箇所の前記綴じ領域の一部を含む領域に当該穴あけ処理を行うことを特徴とする請求項5記載の記録媒体後処理装置。
【請求項7】
前記穴あけ処理手段は、前記第3モードにおいて、一方向における複数領域に前記穴あけ処理を行い、
前記第3モードにおいては、前記記録媒体束において前記複数領域を含む前記一方向における領域とは異なる領域への前記綴じ処理が制限されることを特徴とする請求項5記載の記録媒体後処理装置。
【請求項8】
記録媒体束に対して綴じ処理を施す綴じ処理手段と、
前記記録媒体束を構成する各記録媒体において前記綴じ処理が施される綴じ領域の一部を含む領域に穴あけ処理を行う穴あけ処理手段と、
記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記記録媒体を積載する積載手段と、
前記記録媒体が前記積載手段に積載する毎に、当該記録媒体の一方の端部と他方の端部とを挟むことで当該記録媒体を揃える揃え手段と、
を備え、
前記綴じ処理手段は、前記揃え手段により各記録媒体が揃えられた前記記録媒体束の前記綴じ領域に対して前記綴じ処理を施し、
前記穴あけ処理手段は、前記綴じ処理が施された前記記録媒体束における前記綴じ領域の一部を含む領域に対して前記穴あけ処理を行うことを特徴とする記録媒体後処理装置。
【請求項9】
複数の記録媒体と、
前記複数の記録媒体の厚さ方向から圧力を加えられることにより当該複数の記録媒体の一部に形成され当該複数の記録媒体を綴じる綴じ部と、
を有し、
前記複数の記録媒体の各々に穴あけ領域が設けられ、
前記綴じ部は、前記複数の記録媒体の各々における前記穴あけ領域にかかることを特徴とする、記録媒体束。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体後処理装置および記録媒体束に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、先頭ページおよび最終ページを除く各ページを構成する用紙の1枚または複数枚に対し、パンチ機構部が綴じ位置に対応する1または複数の位置に穴あけ処理を行い、そして、パンチ機構部によって穴あけ処理された領域において、綴じ機構部が綴じ処理を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記録媒体後処理装置では、記録媒体束に対して綴じ処理を施すことがある。
ここで、綴じ処理が施された記録媒体束から記録媒体を取り外すことがあるが、この取り外しの際に、場合によっては、記録媒体束のうち綴じ処理が施された部分が破れることがある。
本発明は、記録媒体束において綴じ処理が施される領域と穴あけ処理が行われる領域とが重ならない場合に比べて、綴じ処理が施された記録媒体束から記録媒体を取り外すことに起因して記録媒体束のうち綴じ処理が施された部分が破れることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、記録媒体束に対して当該記録媒体束の厚さ方向から圧力を加えることにより当該記録媒体束に綴じ処理を施す綴じ処理手段と、前記記録媒体束を構成する各記録媒体において前記綴じ処理が施される綴じ領域の一部を含む領域であって、当該各記録媒体において当該記録媒体束の前記厚さ方向に重なる領域に穴あけ処理を行う穴あけ処理手段と、を備える、記録媒体後処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記綴じ処理手段が前記綴じ領域に前記綴じ処理を行うように綴じ処理制御を行う第1制御手段と、前記穴あけ処理手段が前記綴じ領域の一部を含む領域に前記穴あけ処理を行うように穴あけ制御を行う第2制御手段と、をさらに備え、前記記録媒体束に対する後処理において、前記第1制御手段による前記綴じ処理制御を行い前記第2制御手段による前記穴あけ制御を行わない第1モードと、当該綴じ処理制御および当該穴あけ制御を何れも行うことが可能な第2モードとを有することを特徴とする請求項1記載の記録媒体後処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記第2モードにおいては、前記第1モードよりも、前記綴じ処理が可能な記録媒体の上限枚数が多いことを特徴とする請求項2記載の記録媒体後処理装置である。
請求項4に記載の発明は、記録媒体束に対して綴じ処理を施す綴じ処理手段と、前記記録媒体束を構成する各記録媒体において前記綴じ処理が施される綴じ領域の一部を含む領域に穴あけ処理を行う穴あけ処理手段と、前記綴じ処理手段が前記綴じ領域に前記綴じ処理を行うように綴じ処理制御を行う第1制御手段と、前記穴あけ処理手段が前記綴じ領域の一部を含む領域に前記穴あけ処理を行うように穴あけ制御を行う第2制御手段と、を備え、前記記録媒体束に対する後処理において、前記第1制御手段による前記綴じ処理制御を行い前記第2制御手段による前記穴あけ制御を行わない第1モードと、当該綴じ処理制御および当該穴あけ制御を何れも行うことが可能な第2モードとを有し、前記第2モードにおいて、前記綴じ処理手段が予め定められた第1枚数以上の記録媒体により構成される記録媒体束に対して前記綴じ処理を施す場合、前記綴じ処理制御を行い前記穴あけ制御を行わないことを特徴とする記録媒体後処理装置である。
請求項5に記載の発明は、記録媒体束に対して綴じ処理を施す綴じ処理手段と、前記記録媒体束を構成する各記録媒体において前記綴じ処理が施される綴じ領域の一部を含む領域に穴あけ処理を行う穴あけ処理手段と、を備え、前記各記録媒体の前記綴じ領域に対する前記綴じ処理および当該綴じ領域の一部を含む領域に対する前記穴あけ処理が行われる場合において、当該綴じ処理が可能な記録媒体の上限枚数が予め定められた第2枚数である第3モードと、当該上限枚数が当該第2枚数よりも多い第4モードとを有し、前記綴じ処理手段は、前記第3モードにおいて、前記綴じ処理を行う対象の前記記録媒体束を構成する記録媒体が予め定められた第3枚数以上である場合、当該第3枚数よりも少ない場合よりも、当該綴じ処理を施す箇所を増やすことを特徴とする記録媒体後処理装置である。
請求項6に記載の発明は、前記綴じ処理手段は、前記第3モードにおいて、前記記録媒体束のうちの一方向における複数箇所に前記綴じ処理を行い、前記穴あけ処理手段は、前記第3モードにおいて、前記穴あけ処理を行う対象の前記記録媒体束を構成する記録媒体が前記第3枚数よりも少ない場合、前記複数箇所のうち前記一方向における両外側の箇所の前記綴じ領域の一部を含む領域に当該穴あけ処理を行うことを特徴とする請求項5記載の記録媒体後処理装置である。
請求項7に記載の発明は、前記穴あけ処理手段は、前記第3モードにおいて、一方向における複数領域に前記穴あけ処理を行い、前記第3モードにおいては、前記記録媒体束において前記複数領域を含む前記一方向における領域とは異なる領域への前記綴じ処理が制限されることを特徴とする請求項5記載の記録媒体後処理装置である。
請求項8に記載の発明は、記録媒体束に対して綴じ処理を施す綴じ処理手段と、前記記録媒体束を構成する各記録媒体において前記綴じ処理が施される綴じ領域の一部を含む領域に穴あけ処理を行う穴あけ処理手段と、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記記録媒体を積載する積載手段と、前記記録媒体が前記積載手段に積載する毎に、当該記録媒体の一方の端部と他方の端部とを挟むことで当該記録媒体を揃える揃え手段と、を備え、前記綴じ処理手段は、前記揃え手段により各記録媒体が揃えられた前記記録媒体束の前記綴じ領域に対して前記綴じ処理を施し、前記穴あけ処理手段は、前記綴じ処理が施された前記記録媒体束における前記綴じ領域の一部を含む領域に対して前記穴あけ処理を行うことを特徴とする記録媒体後処理装置である。
請求項9に記載の発明は、複数の記録媒体と、前記複数の記録媒体の厚さ方向から圧力を加えられることにより当該複数の記録媒体の一部に形成され当該複数の記録媒体を綴じる綴じ部と、を有し、前記複数の記録媒体の各々に穴あけ領域が設けられ、前記綴じ部は、前記複数の記録媒体の各々における前記穴あけ領域にかかることを特徴とする、記録媒体束である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、綴じ領域の一部を含む領域であって記録媒体束を構成する各記録媒体において記録媒体束の厚さ方向に重なる領域には穴あけ処理が行われない場合に比べて、記録媒体束の厚さ方向から圧力を加えられることにより綴じ処理が施された記録媒体束から記録媒体の各々を取り外すことに起因して記録媒体束のうち綴じ処理が施された部分が破れることを抑制することができる。
請求項2の発明によれば、綴じ処理手段による綴じ領域への綴じ処理および穴あけ手段による穴あけ領域への穴あけ処理を何れも行うか否かを、第1制御手段および第2制御手段の制御によって切り替えることができる。
請求項3の発明によれば、第1モードと第2モードとで綴じ処理が可能な記録媒体の上限枚数が変わらない場合に比べて、少なくとも一時的に綴じられる記録媒体束を構成する記録媒体の枚数を増やすことができる。
請求項4の発明によれば、記録媒体束を構成する記録媒体の枚数に関わらず綴じ処理制御および穴あけ制御を何れも行う場合に比べて、ユーザが記録媒体束から記録媒体を取り外していないにも関わらず記録媒体束から記録媒体が外れることを抑制できる。
請求項5の発明によれば、綴じ処理を行う対象の記録媒体束を構成する記録媒体の枚数に応じて綴じ処理を施す箇所の数が変わらない場合に比べて、第3モードにおいて、記録媒体束のうちの綴じ処理が施された領域における記録媒体束の結合力の記録媒体の枚数ごとのばらつきを低減できる。
請求項6の発明によれば、記録媒体束において綴じ処理が施された複数箇所のうち一方向における外側の箇所の綴じ領域と穴あけ領域とが重ならない場合に比べて、記録媒体束に外力が加わることに起因して記録媒体束のうち綴じ処理が施された部分が破れることを抑制することができる。
請求項7の発明によれば、記録媒体束における特定の領域への綴じ処理が制限されない場合に比べて、記録媒体束のうちの綴じ処理が施された箇所および穴あけ処理が施された箇所が目立ちにくくなる。
請求項8の発明によれば、穴あけ処理が行われた記録媒体束に対して綴じ処理を施す場合に比べて、記録媒体束を構成する各記録媒体のうちの穴あけ処理が行われた領域の記録媒体ごとのばらつきを低減できる。
請求項9の発明によれば、綴じ部が複数の記録媒体の各々における穴あけ領域にはかからない場合に比べて、綴じ処理が施された記録媒体束から記録媒体の各々を取り外すことに起因して記録媒体束のうち綴じ処理が施された部分が破れることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】
図2の矢印III方向から針無し綴じユニット等を眺めた場合の図である。
【
図4】(a)、(b)は、
図3のIV-IV線における断面図である。
【
図5】用紙処理制御部のハードウェア構成を示した図である。
【
図6】(a)は、綴じ処理が行われた用紙束を示した図であり、(b)、(c)は、綴じ処理および穴あけ処理が行われた用紙束を示した図である。
【
図7】(a)は、モード選択画面を示した図であり、(b)~(d)は、通常モード時設定画面を示した図である。
【
図8】(a)は、仮留めモード時設定画面を示した図であり、(b)、(c)は、会議用モード時設定画面を示した図であり、(c)は、ファイリング用モード時設定画面を示した図である。
【
図9】(a)、(b)は、ファイリング用モードにおいて用紙束のうちの綴じ処理が施される箇所を示した図である。
【
図10】ファイリング用モードにおいて用紙束のうちの綴じ処理が施される箇所を示した図である。
【
図11】ファイリング用モードにおいて用紙束のうちの綴じ処理が施される箇所を示した図である。
【
図12】ファイリング用モードにおいて、綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙の枚数と、用紙束に穴があけられる箇所の数と、用紙束のうちの綴じ処理が施される箇所との関係を示した図である。
【
図13】用紙処理制御部が行う動作制御の一例を示したフローチャートである。
【
図14】変形例としての重なり後処理が行われた用紙束を示した図である。
【
図15】第2の実施形態における後処理装置の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1の実施形態>
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態が適用される画像形成システム500の構成を示した図である。
図1に示す画像形成システム500は、記録媒体の一例としての用紙Pにカラー画像を形成する画像形成装置1と、画像形成装置1により画像形成が行われた用紙Pに対して綴じ処理や穴あけ処理等の後処理を行う後処理装置2とを備える。
【0009】
画像形成装置1としては、例えば、プリンタや複写機等が挙げられる。
画像形成装置1には、各色画像データに基づいて画像形成を行う4つの画像形成ユニット100Y、100M、100C、100K(「画像形成ユニット100」とも総称する)が設けられている。
また、画像形成装置1には、各画像形成ユニット100に設けられた感光体ドラム107を露光するレーザ露光装置101が設けられている。さらに、画像形成装置1には、各画像形成ユニット100にて形成された各色のトナー像が多重転写される中間転写ベルト102が設けられている。
【0010】
また、画像形成装置1には、各画像形成ユニット100にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト102に一次転写する一次転写ロール103、中間転写ベルト102上に転写された各色トナー像を用紙Pに二次転写する二次転写ロール104、二次転写された各色トナー像を用紙P上に定着する定着装置105が設けられている。また、画像形成装置1には、プログラム制御されたCPUにより構成され、画像形成装置1の動作を制御する本体制御部106が設けられている。
また、画像形成装置1には、ユーザに対して情報を表示するUI(User Interface)30が設けられている。UI30は、表示パネルなどによって構成される。また、UI30は、ユーザからの操作を受け付ける。
【0011】
画像形成装置1の各画像形成ユニット100では、感光体ドラム107への帯電工程、レーザ露光装置101からの走査露光による感光体ドラム107での静電潜像形成工程、形成された静電潜像への各色トナーの現像工程等を経て、各色のトナー像が形成される。
各画像形成ユニット100に形成された各色トナー像は、一次転写ロール103により中間転写ベルト102上に一次転写される。そして、各色トナー像は、中間転写ベルト102の移動に伴って二次転写ロール104の設置位置へ搬送される。
【0012】
一方、画像形成装置1には、異なるサイズや異なる紙種の複数の用紙Pが、それぞれ用紙収容部110A~110Dに収容されている。
そして、用紙Pへの画像形成時には、例えば、ピックアップロール111により用紙収容部110Aから用紙Pが取り出され、搬送ロール112によって1枚ずつレジストロール113の位置まで搬送される。
【0013】
そして、中間転写ベルト102上の各色トナー像が、二次転写ロール104の配置位置に搬送されるタイミングに合わせて、レジストロール113から用紙Pが供給される。
これにより、各色トナー像は、二次転写ロール104により形成された転写電界の作用によって用紙P上に一括して二次転写される。
【0014】
その後、各色トナー像が二次転写された用紙Pは、中間転写ベルト102から剥離されて定着装置105に搬送される。定着装置105では、熱および圧力による定着処理により各色トナー像が用紙P上に定着され、画像が形成される。
そして、画像が形成された用紙Pは、搬送ロール114によって画像形成装置1の用紙排出部Tから排出され後処理装置2へ供給される。
記録媒体後処理装置の一例としての後処理装置2は、画像形成装置1の用紙排出部Tの下流側に配置され、画像が形成された用紙Pに対して綴じ処理や穴あけ処理を行う。
【0015】
〔後処理装置の構成〕
次に、後処理装置2の構成について説明する。
図2は、後処理装置2の構成を示した図である。
後処理装置2には、画像形成装置1の用紙排出部Tに接続されたトランスポートユニット21、トランスポートユニット21により搬送されてきた用紙Pに対して予め定められた処理を施すフィニッシャユニット22が設けられている。
また、後処理装置2には、プログラム制御されたCPUにより構成され、後処理装置2の各機構部を制御する用紙処理制御部23が設けられている。用紙処理制御部23は、不図示の信号ラインで本体制御部106(
図1参照)と接続され、相互に制御信号等の送受信を行う。
【0016】
後処理装置2のトランスポートユニット21には、画像形成装置1にて画像形成された後の用紙Pをフィニッシャユニット22に向けて搬送する複数の搬送ロール211が設けられている。搬送ロール211は、用紙Pを搬送する搬送手段として捉えられる。
【0017】
フィニッシャユニット22には、フィニッシャユニット本体221、用紙Pを必要枚数だけ集積させて用紙束を生成する用紙集積部60、用紙集積部60にて生成された用紙束の端部に対してステープルを用いずに綴じ処理を施す針無し綴じユニット50が設けられている。また、フィニッシャユニット22には、用紙集積部60にて生成された用紙束の端部に対してステープルを用いて綴じ処理を施す針有り綴じユニット70と、用紙集積部60にて生成された用紙束の端部に対して穴あけ処理を行う穴あけユニット80とが設けられている。
なお、用紙集積部60は、搬送ロール211により搬送される用紙Pを積載する積載手段として捉えられる。また、針無し綴じユニット50および針有り綴じユニット70は、それぞれ、用紙束に対して綴じ処理を施す綴じ処理手段として捉えられる。また、穴あけユニット80は、用紙束に対して穴あけ処理を行う穴あけ処理手段として捉えられる。
【0018】
また、フィニッシャユニット22には、回転可能に設けられ用紙集積部60にて生成された用紙束の搬送に用いられる搬送ロール61が設けられている。さらに、回転軸62aを移動中心として揺動可能に設けられ、搬送ロール61から退避した位置、および、搬送ロール61に圧接する位置へ移動可能な可動ロール62が設けられている。また、搬送ロール61および可動ロール62により搬送されてきた用紙束が積載されるスタッカー80が設けられている。スタッカー80は、保持する用紙束の量に応じて上下移動する。
【0019】
後処理装置2による処理が行われる際には、まず、後処理装置2のトランスポートユニット21に、画像形成装置1から用紙Pが搬入される。トランスポートユニット21に搬入された用紙Pは、搬送ロール211によってフィニッシャユニット22に送られる。
フィニッシャユニット22に送られた用紙Pは、用紙集積部60まで搬送される。詳細には、用紙Pは、用紙集積部60の上方まで搬送された後に用紙集積部60に落下する。そして、この用紙Pは、用紙集積部60に設けられた支持板67によって下方から支持される。さらに、この用紙Pは、支持板67に付与された傾斜および回転するパドル69によって、支持板67の上をスライド移動する。
【0020】
その後、この用紙Pは、支持板67の端部に取り付けられたエンドガイド64に突き当たる。これにより、本実施形態では、用紙Pの移動が停止される。
以後、用紙Pが上流側から搬送されてくる度にこの動作が行われ、用紙集積部60上には、用紙Pの後端部が揃えられた状態の用紙束が生成される。この用紙束は、記録媒体束として捉えられる。
【0021】
そして、予め定められた枚数の用紙Pが支持板67上に積載され、支持板67上に用紙束が生成されると、針無し綴じユニット50、針有り綴じユニット70、穴あけユニット80等を用いて、用紙束に対する後処理が実行される。
用紙束に対する後処理が終了すると、可動ロール62が搬送ロール61に向かって進出し、可動ロール62および搬送ロール61により用紙束が挟まれる。その後、搬送ロール61、可動ロール62が回転駆動を行い、綴じ処理が施された用紙束がスタッカー80へ搬送される。
【0022】
図3は、
図2の矢印III方向から針無し綴じユニット50等を眺めた場合の図である。
用紙集積部60には、揃え部材65が設けられている。一部の図示を省略するが、揃え部材65は、用紙集積部60の幅方向における両端部に設けられている。揃え部材65は、用紙Pが用紙集積部60に積載する毎に、用紙Pの側辺に押し当てられ、用紙Pの端部の位置を揃える。また、揃え部材65は、用紙束Bの幅方向に移動し、用紙束Bの幅方向へ用紙束Bを移動させる。なお、揃え部材65は、用紙Pの幅方向における一方の端部と他方の端部とを挟むことで用紙Pを揃える揃え手段として捉えられる。
【0023】
図3の矢印3Aで示すように、針無し綴じユニット50は、用紙束Bの搬送方向に移動可能に設けられている。そして、針無し綴じユニット50は、移動した位置にて、例えば、用紙束Bのうちの(3a)領域や(3b)領域等、用紙束Bの搬送方向における複数箇所で綴じ処理を行う。また、針無し綴じユニット50は、用紙束Bの角部の付近に移動し、用紙束Bのうちの(3c)領域が示す用紙束Bの角部に対して綴じ処理を行う。
なお、(3c)領域は、用紙束Bにおいて(3a)領域および(3b)領域を含む用紙束Bの搬送方向における領域とは異なる領域である。
【0024】
用紙束Bのうちの(3a)領域を綴じるための位置と(3b)領域を綴じるための位置との間では、針無し綴じユニット50は直線的に移動する。一方、用紙束Bのうちの(3b)領域を綴じるための位置と(3c)領域を綴じるための位置との間では、針無し綴じユニット50は、例えば、45°の回転を伴いながら移動する。
なお、用紙集積部60には、複数の切り欠き60Aが設けられている。これにより、針無し綴じユニット50と用紙集積部60との干渉が避けられる。
【0025】
また、
図3の矢印3Bで示すように、針有り綴じユニット70は、用紙束Bの搬送方向に移動可能に設けられている。そして、針有り綴じユニット70は、例えば、用紙束Bのうちの(3a)領域の一部や(3b)領域の一部等、用紙束Bの搬送方向における複数箇所で綴じ処理を行う。また、針無し綴じユニット50は、用紙束Bの角部の付近に移動し、用紙束Bのうちの(3c)領域が示す用紙束Bの角部に対して綴じ処理を行う。
【0026】
また、
図3の矢印3Dで示すように、穴あけユニット80は、用紙束Bの幅方向に移動可能に設けられている。そして、穴あけユニット80は、用紙束Bの搬送方向における複数箇所で穴あけ処理を行う。図示の例では、穴あけユニット80は、用紙束Bの搬送方向における2箇所で穴あけ処理を行う構成に限定されず、用紙束Bの搬送方向における3箇所以上で穴あけ処理を行う構成であってもよい。また、穴あけユニット80は、用紙束Bのうちの(3c)領域を含む一部の領域に対する穴あけ処理が可能に設けられてもよい。
【0027】
用紙束Bに対して綴じ処理および穴あけ処理が行われる場合における綴じ処理と穴あけ処理との処理順について説明する。
用紙束Bが用紙集積部60に集積されると、この用紙束Bに対して、まず、針無し綴じユニット50または針有り綴じユニット70による綴じ処理が行われる。用紙束Bに対して針無し綴じユニット50による綴じ処理が行われる場合、この用紙束Bに対しては、針有り綴じユニット70による綴じ処理が行われない。用紙束Bに対して針無し綴じユニット50による綴じ処理が行われる際、針有り綴じユニット70および穴あけユニット80は、用紙束Bに対して退避した位置に移動している。また、用紙束Bに対して針有り綴じユニット70による綴じ処理が行われる場合、この用紙束Bに対しては、針無し綴じユニット50による綴じ処理が行われない。用紙束Bに対して針有り綴じユニット70による綴じ処理が行われる際、針無し綴じユニット50および穴あけユニット80は、用紙束Bに対して退避した位置に移動している。
【0028】
用紙束Bに対して綴じ処理が行われると、次に、この用紙束に対して、穴あけユニット80による穴あけ処理が行われる。用紙束Bに対して穴あけ処理が行われる際、針無し綴じユニット50および針有り綴じユニット70は、用紙束Bに対して退避した位置に移動している。
このようにして、針無し綴じユニット50と、針有り綴じユニット70と、穴あけユニット80とが干渉しないようにして、用紙束Bに対する綴じ処理および穴あけ処理が行われる。
なお、本実施形態では、針無し綴じユニット50、針有り綴じユニット70、および穴あけユニット80の何れかが移動する際、揃え部材65は、
図3の符号3Cで示す位置へ移動する。これにより、針無し綴じユニット50、針有り綴じユニット70、および穴あけユニット80と揃え部材65との干渉が避けられる。
【0029】
〔針無し綴じユニットの構成〕
次に、針無し綴じユニット50の構成について説明する。
図4(a)、(b)は、
図3のIV-IV線における断面図である。
図4(a)に示すように、針無し綴じユニット50は、図中左右方向に伸びる第1駆動部51、同じく図中左右方向に伸びる第2駆動部52、第1駆動部51と第2駆動部52との間に配置された楕円状のカム53、カム53を駆動するカムモータM1を備える。
【0030】
第1駆動部51には、駆動片511が設けられている。駆動片511は、板状に形成され、用紙束B側に一端部を有し、一端部とは反対側に他端部を有する。
本実施形態では、駆動片511のこの一端部に、上歯540が取り付けられている。上歯540は、用紙束Bの一方の面側から用紙束Bに向かって進出してこの用紙束Bを押圧する。また、駆動片511には、第2駆動部52側に向かって突出する突出部511Bが設けられ、さらに、この突出部511Bには、貫通孔511Aが形成されている。
【0031】
図4(a)に示すように、第2駆動部52は、駆動片521を備える。
駆動片521は、板状に形成され、用紙束B側に一端部を有し、一端部とは反対側に他端部を有する。本実施形態では、この駆動片521の一端部に、下歯550が取り付けられている。下歯550は、用紙束Bの他方の面に向かって進出して用紙束Bを押圧する。
また、駆動片521には、第1駆動部51側に向かって突出する突出部521Bが設けられ、この突出部521Bには、不図示の貫通孔が形成されている。
【0032】
また、本実施形態では、第1駆動部51に設けられた貫通孔511Aおよび第2駆動部52に設けられた貫通孔に対して、ピンPNが通されている。本実施形態では、このピンPNを中心に、駆動片511および駆動片521が揺動する。
さらに、本実施形態では、ピンPNよりも用紙束B側に上歯540および下歯550が設けられ、ピンPNを挟み用紙束Bが設けられている側とは反対側に、カム53が設けられている。
【0033】
本実施形態では、カムモータM1によりカム53が回転すると、
図4(b)に示すように、上歯540および下歯550が互いに接近するように移動し、上歯540および下歯550によって、用紙束Bが挟まれ、用紙束Bに圧力が加わる。これにより、用紙束Bを構成する用紙Pの繊維が絡むようになり、隣接する用紙P同士が接合され、複数の用紙Pを綴じる綴じ部Vが形成される。なお、針無し綴じユニット50の具体的構成、特に上歯540と下歯550とを接近させて用紙束Bを挟むための機構については、
図4を参照して説明した構成に限定されず、上歯540および下歯550により用紙束Bを挟んで加圧することが可能な種々の構成を採り得る。
【0034】
〔用紙処理制御部のハードウェア構成〕
図5は、用紙処理制御部23のハードウェア構成を示した図である。
図5に示すように、用紙処理制御部23は、処理プログラムを実行する処理部231と、各種プログラム、各種テーブル、およびパラメータ等を記憶する記憶部232とを有する。処理部231としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)が挙げられる。記憶部232としては、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、およびHDD(Hard Disk Drive)等が挙げられる。
処理部231は、記憶部232に格納されているプログラムを実行することにより、各種の制御および演算処理を行う。これにより、針無し綴じユニット50による綴じ処理、針有り綴じユニット70による綴じ処理、および穴あけユニット80による穴あけ処理が実現される。
【0035】
〔綴じ領域と穴あけ領域との関係〕
次に、綴じ領域と穴あけ領域との関係について説明する。なお、綴じ領域とは、用紙束Bのうち綴じ処理が施される領域である。また、穴あけ領域とは、用紙束Bのうち穴あけユニット80により穴があけられる領域である。
図6(a)は、綴じ処理が行われた用紙束Bを示した図であり、
図6(b)、(c)は、綴じ処理および穴あけ処理が行われた用紙束Bを示した図である。
【0036】
針無し綴じユニット50が用紙束Bに対して綴じ処理を行うと、
図6(a)に示すように、綴じ領域Rにおいて用紙束Bを構成する用紙P同士が圧着されることで、用紙束Bが綴じられる。
ここで、綴じ処理が施された用紙束Bから用紙Pを取り外すことがあるが、この取り外しの際に、場合によっては、用紙束Bのうち綴じ処理が施された部分が破れることがある。
【0037】
上述したように、本実施形態の針無し綴じユニット50は、上歯540(
図4参照)と下歯550とを、用紙束Bの厚さ方向から噛み合うように圧着させ、用紙束Bを構成する用紙P同士を圧着させることにより、用紙束Bを綴じている。ここで、例えば、用紙束Bを構成する用紙Pの枚数が少ない場合には、上歯540と下歯550とによる圧着力が用紙束Bを構成する各用紙Pに及びやすくなり、用紙束Bのうちの綴じ処理が施された部分における用紙束Bの結合力が高くなりやすい。この場合に、用紙束Bから用紙Pを取り外そうとすると、用紙束Bのうちの綴じ処理が施された部分に用紙束Bの結合力が作用し、綴じ処理が施された部分が破れることがある。
【0038】
そこで、本実施形態では、
図6(b)に示すように、穴あけユニット80は、綴じ領域Rの一部を含む領域に対して、穴あけ処理を行う。すなわち、本実施形態では、用紙束を構成する各用紙Pにおいて綴じ処理が施される綴じ領域Rの一部を含む穴あけ領域Sに穴あけ処理を行う。
この場合、綴じ領域Rと穴あけ領域Sとが重ならない場合に比べて、用紙束Bのうち綴じ処理により用紙P同士が圧着する領域が小さくなる分だけ、用紙束Bのうち綴じ処理が施された部分における用紙束Bの結合力が低くなる。
ここで、用紙束Bのうちの綴じ処理が施された領域(綴じ領域Rに対応する領域)は、複数の用紙Pの一部に形成されこの複数の用紙Pを綴じる綴じ部として捉えられる。また、
図6(b)に示すように、綴じ部は、複数の用紙Pの各々において穴あけされて形成される領域(穴あけ領域Sに対応する領域)にかかっている。
【0039】
以下では、綴じ領域Rの一部と穴あけ領域Sとが重なるように行われる綴じ処理および穴あけ処理を、重なり後処理と称する。また、用紙処理制御部23は、重なり後処理を行わせる場合において、綴じ処理手段が綴じ領域Rに綴じ処理を行うように綴じ処理制御を行う第1制御手段として捉えられる。さらに、用紙処理制御部23は、重なり後処理を行わせる場合において、穴あけユニット80が穴あけ領域Sに穴あけ処理を行うように穴あけ制御を行う第2制御手段として捉えられる。
【0040】
なお、
図6(b)では、綴じ領域Rが穴あけ領域Sを包含する例を示したが、綴じ領域Rの一部を含む穴あけ領域Sに穴あけ処理を行う構成は、
図6(b)に示した例に限定されない。
例えば、
図6(c)に示すように、穴あけ領域Sの一部が綴じ領域Rに含まれ、穴あけ領域Sの他の一部が綴じ領域Rに含まれない態様で重なり後処理が行われてもよい。
【0041】
〔用紙処理制御部の制御モード〕
次に、用紙処理制御部23の制御モードについて説明する。本実施形態では、用紙処理制御部23は、針無し綴じユニット50を用いて用紙束Bを綴じる目的に応じた制御モードにより、後処理の制御を行う。用紙処理制御部23の制御モードとしては、通常モードと、仮留めモードとが設けられている。
【0042】
第1モードの一例としての通常モードは、用紙束Bを綴じる場合において重なり後処理を行わせないモードである。通常モードは、例えば、用紙束Bを綴じた後にこの用紙束Bから用紙Pを取り外すことが想定されない場合に用いられる。
第2モードの一例としての仮留めモードは、用紙束Bを綴じる場合において重なり後処理を行わせるモードである。仮留めモードは、例えば、用紙束Bを綴じた後にこの用紙束Bから用紙Pを取り外すことが想定され得る場合に用いられる。
【0043】
図7(a)は、モード選択画面300を示した図である。モード選択画面300は、用紙処理制御部23の制御モードとして通常モードおよび仮留めモードの何れかを選択するための画面である。モード選択画面300は、UI30(
図1参照)に表示される。
モード選択画面300には、通常モードを選択するための通常モード選択部301と、仮留めモードを選択するための仮留めモード選択部302とが表示されている。また、モード選択画面300には、通常綴じ数説明部303が表示されている。
【0044】
通常綴じ数説明部303には、通常モードにおいて綴じ処理が可能な用紙Pの上限枚数が表示されている。ここで、通常モードにおいて綴じ処理が可能な用紙Pの上限枚数は、ユーザが用紙束Bから用紙Pを取り外すことを意図していない場合に用紙束Bから用紙Pが外れることが防止されることを想定して設定されている用紙Pの上限の枚数である。図示の例では、通常綴じ数説明部303には、通常モードにおける綴じ処理が可能な用紙Pの上限枚数が「10枚」と表示されている。
【0045】
ユーザが、例えば、通常モード選択部301を選択すると、UI30には、
図7(b)に示すように、通常モード時設定画面310が表示される。通常モード時設定画面310は、通常モードにおける綴じ処理の内容を設定するための画面である。
通常モード時設定画面310には、用紙束Bのうち綴じ処理が施される箇所を設定するための綴じ箇所設定部311と、用紙束Bのうち穴あけ処理により穴があけられる箇所を設定するための穴あけ箇所設定部312とが表示されている。
【0046】
綴じ箇所設定部311では、用紙束Bのうち綴じ処理が施される箇所の数として、「1箇所」および「2箇所」を選択可能になっている。綴じ箇所設定部311に示された「1箇所」は、
図3の(3c)領域に対応する。また、綴じ箇所設定部311に示された「2箇所」は、
図3の(3a)領域および(3b)領域に対応する。
【0047】
穴あけ箇所設定部312では、用紙束Bのうち穴あけ処理により穴があけられる箇所の数として、「なし」および「2箇所」を選択可能になっている。穴あけ箇所設定部312に示された「なし」は、用紙束Bに対する穴あけ処理が行われないことを意味する。穴あけ箇所設定部312に示された「2箇所」は、
図3の(3a)領域の一部を含む領域と、
図3の(3b)領域の一部を含む領域とに対応する。
【0048】
ユーザが、例えば、綴じ箇所設定部311における「2箇所」を選択すると、
図7(c)に示すように、綴じ箇所設定部311における「2箇所」の表示色が変わる。また、このとき、穴あけ箇所設定部312における「なし」の表示色が変わり、「なし」が選択される。さらに、このとき、穴あけ箇所設定部312における「2箇所」をユーザが選択不可能になっている。
【0049】
また、UI30に
図7(b)の通常モード時設定画面310が表示されている場合において、ユーザが、例えば、穴あけ箇所設定部312における「2箇所」を選択すると、
図7(d)に示すように、穴あけ箇所設定部312における「2箇所」の表示色が変わる。また、このとき、綴じ箇所設定部311における「1箇所」の表示が変わり、「1箇所」が選択される。さらに、このとき、綴じ箇所設定部311における「2箇所」をユーザが選択不可能になっている。
【0050】
このように、通常モード時設定画面310では、綴じ箇所設定部311において「2箇所」を選択し且つ穴あけ箇所設定部312において「2箇所」を選択することができないようになっている。
綴じ箇所設定部311において「2箇所」が選択され且つ穴あけ箇所設定部312において「2箇所」が選択される場合、重なり後処理を行うための綴じ処理条件および穴あけ処理条件が設定されることになる。そのため、通常モード時設定画面310では、綴じ箇所設定部311において「2箇所」が選択され且つ穴あけ箇所設定部312において「2箇所」が選択されることがないようにして、通常モードにおいて重なり後処理が実行されないようにしている。
【0051】
また、UI30に
図7(a)のモード選択画面300が表示されている場合において、ユーザが、例えば、仮留めモード選択部302を選択すると、
図8(a)に示すように、仮留めモード時設定画面320が表示される。仮留めモード時設定画面320は、仮留めモードにおけるさらに詳細なモードを設定するための画面である。
仮留めモードにおけるさらに詳細なモードとしては、会議用モードと、ファイリング用モードとが設けられている。
【0052】
第4モードの一例としての会議用モードは、用紙束Bを一時的に綴じておき、その後、綴じられた用紙束Bから用紙Pを取り外すことを目的とする場合に用いられる。例えば、用紙束Bを綴じた状態で持ち運び、その後、会議等でこの用紙束Bから用紙Pを取り外して配布することを目的とする場合には、会議用モードにより用紙束Bの重なり後処理が行われる。
第3モードの一例としてのファイリング用モードは、会議用モードに比べて、用紙束Bから用紙Pが外れ難いように重なり後処理が行われるモードである。ファイリングモードは、例えば、綴じた用紙束Bをファイリングする場合において、ファイリングするまでは少なくとも用紙束Bを綴じておくことを目的とする場合等に用いられる。
【0053】
仮留めモード時設定画面320には、会議用モードを選択するための会議用モード選択部321と、ファイリング用モードを選択するためのファイリング用モード選択部322とが表示されている。また、仮留めモード時設定画面320には、会議用綴じ数説明部323と、ファイリング用綴じ数説明部324とが表示されている。
【0054】
会議用綴じ数説明部323には、会議用モードにおいて綴じ処理が可能な用紙Pの上限枚数として、通常モードにおいて綴じ処理が可能な用紙Pの上限枚数よりも多い枚数が表示されている。図示の例では、会議用綴じ数説明部323には、会議用モードにおける綴じ処理が可能な用紙Pの上限枚数が「35枚」と表示されている。
ファイリング用綴じ数説明部324には、ファイリング用モードにおいて綴じ処理が可能な用紙Pの上限枚数として、通常モードにおいて綴じ処理が可能な用紙Pの上限枚数よりも多い枚数が表示されている。図示の例では、ファイリング用綴じ数説明部324には、ファイリング用モードにおける綴じ処理が可能な用紙Pの上限枚数が「25枚」と表示されている。すなわち、ファイリング用モードにおいて綴じ処理が可能な用紙Pの上限枚数は、会議用モードにおいて綴じ処理が可能な用紙Pの上限枚数よりも少ない。
このように、本実施形態では、仮留めモードにおいては、通常モードよりも、綴じ処理が可能な用紙Pの上限枚数が多い。
【0055】
上述したように、通常モードにおいては、ユーザが用紙束Bから用紙Pを取り外すことを意図していない場合に用紙束Bから用紙Pが外れることが防止される用紙Pの上限枚数として、綴じ処理が可能な用紙Pの上限枚数が設定されている。
これに対し、仮留めモードにより用紙束Bの綴じ処理を行う場合、綴じられた用紙束Bから用紙Pを取り外すことが想定され得るため、仮留めモードでは、通常モードに比べて、用紙束Bから用紙Pが外れないことに対して求められる条件が緩くなっている。そこで、仮留めモードにおいては、綴じ処理が可能な用紙Pの上限枚数を通常モードよりも多くして、少なくとも一時的に綴じられる用紙束Bを構成する用紙Pの枚数を増やしている。
【0056】
ユーザが、例えば、会議用モード選択部321を選択すると、UI30には、
図8(b)に示すように、会議用モード時設定画面330が表示される。会議用モード時設定画面330は、会議用モードにおける綴じ処理の内容を設定するための画面である。
会議用モード時設定画面330には、用紙束Bのうち綴じ処理が施される箇所を設定するための綴じ箇所設定部331が表示されている。綴じ箇所設定部331には、用紙束Bのうち綴じ処理が施される箇所として、「1箇所」および「2箇所」を選択可能になっている。綴じ箇所設定部331に示された「1箇所」は、
図3の(3c)領域に対応する。また、綴じ箇所設定部331に示された「2箇所」は、
図3の(3a)領域および(3b)領域に対応する。
【0057】
なお、会議用モードにおいては、ユーザが、穴あけ処理の内容を設定可能に設けられていない。会議用モードによる後処理においては、綴じ箇所設定部331にて設定された綴じ領域の一部を含む領域に穴あけ処理を行うようになっている。ただし、会議用モードにおいても、ユーザが、穴あけ処理の内容を設定可能に設けられてもよい。
【0058】
また、
図8(a)に示す仮留めモード時設定画面320が表示されている場合において、ユーザが、例えば、ファイリング用モード選択部322を選択すると、
図8(c)に示すように、ファイリング用モード時設定画面340が表示される。ファイリング用モード時設定画面340は、ファイリング用モードにおける重なり後処理の内容を設定するための画面である。
ファイリング用モード時設定画面340には、用紙束Bのうち穴あけ処理により穴があけられる箇所を設定するための穴あけ箇所設定部341が表示されている。穴あけ箇所設定部341では、用紙束Bのうち穴あけ処理により穴があけられる箇所として、「2箇所」、「3箇所」、「4箇所」および「26箇所」の何れかを選択可能になっている。なお、用紙束Bに穴があけられる具体的な箇所については、後述する。
【0059】
ファイリング用モードにおいては、ユーザが綴じ処理の内容を設定可能に設けられていない。ファイリング用モードにおいては、綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙Pの枚数、および、穴あけ箇所設定部341にて設定される内容に応じて、綴じ処理の内容が定められる。
【0060】
〔ファイリング用モードにおける綴じ処理の内容〕
次に、ファイリング用モードにおける綴じ処理の内容について説明する。
図9乃至
図11は、ファイリング用モードにおいて用紙束Bのうちの綴じ処理が施される箇所を示した図である。
【0061】
まず、
図8(c)に示した穴あけ箇所設定部341にて「2箇所」が設定された場合において、用紙束Bのうちの綴じ処理が施される箇所について説明する。
綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙Pが10枚以下である場合、
図9(a)に示すように、用紙束Bの縦方向における(9A)領域および(9B)領域に綴じ処理が施される。
また、綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙Pが10枚よりも多く且つ20枚以下である場合、(9A)領域および(9B)領域に加えて、(9A)領域と(9B)領域との間の(9C)領域に綴じ処理が施される。
また、綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙Pが20枚よりも多い場合、(9A)領域、(9B)領域、および(9C)領域に加えて、用紙束Bの縦方向において(9A)領域と(9B)領域との外側の(9D)領域および(9E)領域に綴じ処理が施される。
また、綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙Pの枚数に関わらず、(9A)領域の一部を含む領域、および(9B)領域の一部を含む領域の2箇所に、穴あけ処理による穴があけられる。
【0062】
次に、
図8(c)に示した穴あけ箇所設定部341にて「3箇所」が設定された場合において、用紙束Bのうちの綴じ処理が施される箇所について説明する。
綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙Pが10枚以下である場合、
図9(b)に示すように、用紙束Bの縦方向における(9A)領域および(9B)領域に綴じ処理が施される。
また、綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙Pが10枚よりも多く且つ20枚以下である場合、(9A)領域および(9B)領域に加えて、(9A)領域と(9B)領域との間の(9C)領域に綴じ処理が施される。
また、綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙Pが20枚よりも多い場合、(9A)領域、(9B)領域、および(9C)領域に加えて、用紙束Bの縦方向において(9A)領域と(9B)領域との外側の(9D)領域および(9E)領域に綴じ処理が施される。
また、綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙Pの枚数に関わらず、(9A)領域の一部を含む領域、(9B)領域の一部を含む領域、および(9C)領域の一部を含む領域の3箇所に、穴あけ処理による穴があけられる。
【0063】
次に、
図8(c)に示した穴あけ箇所設定部341にて「4箇所」が設定された場合において、用紙束Bのうちの綴じ処理が施される箇所について説明する。
綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙Pが10枚以下である場合、
図10に示すように、用紙束Bの縦方向における(10A)領域および(10B)領域に綴じ処理が施される。
また、綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙Pが10枚よりも多く且つ20枚以下である場合、(10A)領域および(10B)領域に加えて、用紙束Bの縦方向において(10A)領域と(10B)領域との間の(10C)領域および(10D)領域に綴じ処理が施される。
また、綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙Pが20枚よりも多い場合、(10A)領域、(10B)領域、(10C)領域および(10D)領域に加えて、用紙束Bの縦方向において(10A)領域と(10B)領域との外側の(10E)領域および(10F)領域に綴じ処理が施される。
また、綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙Pの枚数に関わらず、(10A)領域の一部を含む領域、(10B)領域の一部を含む領域、(10C)領域の一部を含む領域、および(10D)領域の一部を含む領域の4箇所に、穴あけ処理による穴があけられる。
【0064】
次に、
図8(c)に示した穴あけ箇所設定部341にて「26箇所」が設定された場合において、用紙束Bのうちの綴じ処理が施される箇所について説明する。
綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙Pが10枚以下である場合、
図11に示すように、用紙束Bの縦方向における(11A)領域(11B)領域に綴じ処理が施される。
また、綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙Pが10枚よりも多く且つ20枚以下である場合、(11A)領域および(11B)領域に加えて、用紙束Bの縦方向において(11A)領域と(11B)領域との間の(11C)領域および(11D)領域に綴じ処理が施される。
また、綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙Pが20枚よりも多い場合、(11A)領域、(11B)領域、(11C)領域および(11D)領域に加えて、用紙束Bの縦方向において(11A)領域と(11B)領域との外側の(11E)領域および(11F)領域に綴じ処理が施される。
また、綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙Pの枚数に関わらず、用紙束Bの縦方向における26箇所に穴があけられる。この26箇所にあけられる穴には、(11A)領域の一部を含む領域、(11B)領域の一部を含む領域、(11C)領域の一部を含む領域、(11D)領域の一部を含む領域、(11E)領域の一部を含む領域、および(11F)領域の一部を含む領域にそれぞれあけられる穴が含まれる。
【0065】
図12は、ファイリング用モードにおいて、綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙Pの枚数と、用紙束Bのうちの穴があけられる箇所の数と、用紙束Bのうちの綴じ処理が施される箇所との関係を示した図である。「綴じ枚数」には、綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙Pの枚数「N」が示されている。また、「穴の数」には、用紙束Bのうちの穴があけられる箇所の数が示されている。さらに、「綴じ枚数」および「穴の数」に関連付けられて、用紙束Bのうちの綴じ処理が施される箇所が示されている。この「用紙束Bのうちの綴じ処理が施される箇所」に示された領域は、
図9乃至
図11に示した用紙束Bの領域に対応する。
【0066】
本実施形態では、ファイリング用モードにおいて、綴じ処理を行う対象の用紙束Bを構成する用紙Pの枚数が多くなると、綴じ処理を施す箇所を増やしている。具体的には、ファイリング用モードにおいて、綴じ処理を行う対象の用紙束Bを構成する用紙Pの枚数が11枚以上である場合、綴じ処理を施す箇所を増やしている。また、ファイリング用モードにおいて、綴じ処理を行う対象の用紙束Bを構成する用紙Pの枚数が21枚以上である場合、綴じ処理を施す箇所をさらに増やしている。「11枚」および「21枚」は、予め定められた第3枚数として捉えられる。
【0067】
会議用モードにおいては、綴じ処理を行う対象の用紙束Bを構成する用紙Pの枚数によっては、綴じ処理を施す箇所の数は変わらない。これに対し、ファイリング用モードは、上述したように、会議用モードに比べて、用紙束Bから用紙Pが外れ難いように重なり後処理が行われるモードである。そのため、ファイリング用モードにおいては、綴じ処理を行う対象の用紙束Bを構成する用紙Pの枚数が多くなるにしたがって、綴じ処理を施す箇所を増やしている。
【0068】
また、本実施形態では、針無し綴じユニット50は、ファイリング用モードにおいて、用紙束Bのうちの縦方向における複数箇所に綴じ処理を行う。そして、綴じ処理を行う対象の用紙束Bを構成する用紙Pの枚数が11枚よりも少ない場合、穴あけユニット80は、綴じ処理が行われた複数箇所のうち用紙束Bの縦方向における両外側の箇所の綴じ領域の一部を含む領域に穴あけ処理を行う。すなわち、綴じ処理が行われた複数箇所のうちの、用紙束Bの縦方向における内側の箇所よりも外力が加わりやすい箇所の綴じ領域の一部を含む領域に穴あけ処理を行う。
【0069】
なお、ファイリング用モードにおいては、
図3の(3c)領域が示す用紙束Bの角部への綴じ処理は行われない。すなわち、ファイリング用モードにおいては、用紙束Bにおいて穴あけ処理が行われる複数領域を含む用紙束Bの搬送方向(
図3参照)における領域とは異なる領域への綴じ処理が制限される。そのため、ファイリング用モード時設定画面340(
図8(c)参照)には、用紙束Bの角部に綴じ処理を行う設定が可能な画面は表示されない。
【0070】
〔針無し綴じユニットおよび穴あけユニットの動作制御〕
次に、用紙処理制御部23が行う針無し綴じユニット50および穴あけユニット80の動作制御について説明する。
図13は、用紙処理制御部23が行う動作制御の一例を示したフローチャートである。
まず、用紙処理制御部23は、針無し綴じユニット50による綴じ処理を指示されたか否かを判定する(S101)。この判定は、画像形成装置1の本体制御部106から用紙処理制御部23へ綴じ処理の指示が送信されたか否かにより行われる。否定結果が継続している間、用紙処理制御部23は、ステップ101の判定動作を繰り返す。
【0071】
一方、本体制御部106が用紙処理制御部23へ綴じ処理の指示を送信している場合、肯定結果を得てステップ102へ進む。
用紙処理制御部23は、本体制御部106から、用紙処理制御部23の制御モードを識別可能な識別情報を取得する。また、用紙処理制御部23は、綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙Pの枚数に関する枚数情報、用紙束Bのうちの綴じ処理が施される箇所に関する綴じ処理情報、および、用紙束Bに穴があけられる箇所に関する穴あけ処理情報を取得する(S102)。
【0072】
用紙処理制御部23は、識別情報から特定される制御モードが仮留めモードであるか否かを判定する(S103)。否定結果が得られた場合、用紙処理制御部23の制御モードが通常モードに設定される(S104)。用紙処理制御部23は、綴じ処理情報に基づいて用紙束Bに対する綴じ処理を行わせる(S105)。また、穴あけ処理情報を取得している場合には、穴あけ処理情報に基づいて用紙束Bに対する穴あけ処理を行わせる。この場合に、用紙束Bのうち綴じ処理が施された領域を含まない領域に対して、穴あけ処理を行わせる。
【0073】
ステップ103で肯定結果が得られた場合、用紙処理制御部23は、制御モードがファイリング用モードであるか否かを判定する(S106)。否定結果が得られた場合、用紙処理制御部23の制御モードが会議用モードに設定される(S107)。
【0074】
用紙処理制御部23は、綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙Pの枚数が30枚以下であるか否かを判定する(S108)。否定結果が得られた場合、用紙処理制御部23は、綴じ処理情報に基づいて用紙束Bに対する綴じ処理を行わせる(S109)。また、用紙処理制御部23は、綴じ処理が施された用紙束Bに対する穴あけ処理を行わせない。
このように、本実施形態では、会議用モードにおいて、針無し綴じユニット50が31枚以上の用紙Pにより構成される用紙束Bに対して綴じ処理を施す場合、綴じ処理が施された用紙束Bに対して穴あけ処理を行わない。この「31枚」は、予め定められた第1枚数として捉えられる。
【0075】
一方、ステップ108で肯定結果が得られた場合、用紙処理制御部23は、綴じ処理情報に基づいて用紙束Bに対する綴じ処理を行わせる(S110)。また、穴あけ処理情報に基づいて、用紙束Bのうちの綴じ処理が行われた領域の一部を含む領域に穴あけ処理を行わせる(S111)。
【0076】
また、ステップ106で肯定結果が得られた場合、用紙処理制御部23の制御モードがファイリング用モードに設定される(S112)。この場合、用紙処理制御部23は、枚数情報および穴あけ処理情報に基づいて、用紙束Bに対する綴じ処理を行わせる(S113)。また、用紙束Bのうちの綴じ処理が行われた領域の一部を含む領域に対して、穴あけ処理を行わせる(S114)。
【0077】
なお、本実施形態では、会議用モードにおいて、綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙Pが31枚以上である場合には穴あけ処理を行わないことを説明したが、これに限定されない。
例えば、会議用モードにおいて、綴じ処理の対象となる用紙束Bを構成する用紙Pが31枚以上である場合に、用紙束Bのうち綴じ処理が施される領域を含まない領域に穴あけ処理を行うようにしてもよい。すなわち、用紙束Bのうちの穴あけ処理が行われる領域を変更することで、重なり後処理が行われないようにしてもよい。また、例えば、用紙束Bのうちの穴あけ処理が行われる領域を変えずに、用紙束Bのうちの綴じ処理が施される領域を変更することで、重なり後処理が行われないようにしてもよい。
【0078】
また、本実施形態では、用紙束Bに対して、針無し綴じユニット50による綴じ処理、および、穴あけユニット80による穴あけ処理を行う場合に、まず、用紙束Bに対して綴じ処理を行い、綴じられた用紙束Bに対して穴あけ処理を行うことを説明したが、これに限定されない。
例えば、用紙束Bに対して穴あけ処理を行い、穴があけられた用紙束Bに対して綴じ処理を行うようにしてもよい。
【0079】
〔変形例〕
続いて、重なり後処理の変形例について説明する。
後処理装置2による重なり後処理は、上記のものに限定されない。
図14は、変形例としての重なり後処理が行われた用紙束Bを示した図である。
変形例では、用紙束Bに対して、まず、穴あけユニット80により穴あけ処理が行われる。そして、用紙束Bのうち穴があけられた領域の一部を含む領域に対して、針有り綴じユニット70による綴じ処理が行われる。具体的には、ステープルXの一端が用紙束Bに刺さり、ステープルの他端が、穴あけ処理によって生じた穴を通過することで用紙束Bに刺さらないように、綴じ処理を行う。
【0080】
この場合、ステープルの一端と他端がともに用紙束Bに刺さることで用紙束Bが綴じられる構成に比べて、用紙束Bから用紙Pを外しやすくなる。
【0081】
<第2の実施形態>
図15は、第2の実施形態における後処理装置2の構成を示した図である。なお、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を用いる。
図15に示すように、この構成例でも、フィニッシャユニット22には、針無し綴じユニット50と、針有り綴じユニット70とが設けられている。
また、トランスポートユニット21には、穴あけユニット80が設けられている。
【0082】
上記では(
図2にて示した構成では)、フィニッシャユニット22に穴あけユニット80を設けた場合を説明したが、穴あけユニット80の配置は、これに限られず、
図15に示すように配置してもよい。
【0083】
図15に示す構成の場合、後処理装置2のトランスポートユニット21に、画像形成装置1から用紙Pが搬入されると、搬入された用紙Pに対して、穴あけユニット80による穴あけ処理が行われる。穴あけ処理が行われた用紙Pは、搬送ロール211によってフィニッシャユニット22に送られ、用紙集積部60まで搬送される。以後、用紙Pがトランスポートユニット21に搬入される度に、穴あけ処理、および、用紙集積部60への搬送処理が行われ、用紙集積部60上には、穴があけられた複数の用紙Pによって構成される用紙束Bが生成される。
【0084】
続いて、針無し綴じユニット50は、生成された用紙束Bに対して、綴じ処理を施す。この場合において、仮留めモードが設定されている場合には、用紙束Bのうち穴があいている領域を含む領域に対して、綴じ処理を施す。
【0085】
この場合であっても、用紙束Bのうちの綴じ処理が施された領域と穴があけられた領域とが重ならない場合に比べて、用紙束Bのうち綴じ処理により用紙P同士が圧着する領域が小さくなる分だけ、用紙束Bのうち綴じ処理が施された部分における用紙束Bの結合力が低くなる。すなわち、「用紙束Bに対して綴じ処理を施し、用紙束Bを構成する各用紙Pにおいて綴じ処理が施される綴じ領域の一部を含む穴あけ領域に穴あけ処理を行う」構成には、「先ず、用紙束Bに対して綴じ処理を施し、次に、用紙束Bを構成する各用紙Pにおいて綴じ処理が施された領域の一部を含む領域に穴あけ処理を行う」構成(第1の実施形態の構成)、および「先ず、用紙束Bに対して穴あけ処理を行い、次に、用紙束Bを構成する各用紙Pにおいて穴あけ処理が行われた領域を含む領域に綴じ処理を施す」構成(第2の実施形態の構成)が含まれる。
【0086】
なお、本実施形態では、用紙束Bを構成する各用紙Pにおける綴じ領域の一部を含む領域に穴あけ処理を行うことを説明したが、綴じ領域の一部を含む領域に穴あけ処理が行われる用紙Pは、用紙束Bを構成する全ての用紙Pに限られない。
例えば、用紙束Bを構成する先頭ページの用紙Pにおける綴じ処理の一部を含む領域に対して、穴あけユニット80による穴あけ処理を行い、用紙束Bを構成する2ページ以降の用紙Pに対しては穴あけ処理を行わなくてもよい。そして、先頭ページの用紙Pのうちの穴あけ処理が行われた領域を含む領域が綴じられるように、用紙集積部60上に生成された用紙束Bに対して綴じ処理を行ってもよい。すなわち、少なくとも、用紙束Bを構成する先頭ページにおける綴じ領域の一部を含む領域に穴あけ処理が行われればよい。この場合であっても、綴じ領域と穴あけ領域とが重ならない場合に比べて、用紙束Bを構成する先頭ページのうちの綴じ処理により用紙P同士が圧着する領域が小さくなる分だけ、この先頭ページのうち綴じ処理が施された部分における用紙束Bの結合力が低くなる。
【符号の説明】
【0087】
1…画像形成装置、2…後処理装置、500…画像形成システム、23…用紙処理制御部、50…針無し綴じユニット、60…用紙集積部、65…揃え部材、70…針有り綴じユニット、80…穴あけユニット、211…搬送ロール、B…用紙束、P…用紙