(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】路面判定装置
(51)【国際特許分類】
G01W 1/00 20060101AFI20230823BHJP
G01H 17/00 20060101ALI20230823BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20230823BHJP
B60T 8/172 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
G01W1/00 J
G01H17/00 Z
G08G1/00 J
B60T8/172 B
(21)【出願番号】P 2019062285
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100123696
【氏名又は名称】稲田 弘明
(74)【代理人】
【識別番号】100100413
【氏名又は名称】渡部 温
(72)【発明者】
【氏名】小林 吾一
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 正容
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-253342(JP,A)
【文献】特開2018-040631(JP,A)
【文献】特開2001-088683(JP,A)
【文献】特開2014-193667(JP,A)
【文献】特開2008-273388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01W 1/00
G01H 17/00
G08G 1/00
B60T 8/172
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤから車体に振動を伝達するタイロッドに作用する軸力を検出する軸力センサと、
前記軸力センサが検出する軸力から所定の周波数帯域の成分を抽出して積算して得た判定値を用いて路面の状態を判定する路面判定部と
を備え
、
車両の直進状態を判定する直進状態判定部を備え、
前記路面判定部は、前記直進状態が判定された場合に前記路面の状態を判定すること
を特徴とする路面判定装置。
【請求項2】
前記路面判定部は、前記判定値が所定の閾値より大きい場合に圧雪路であると判定し、前記判定値が前記閾値より小さい場合に氷盤路であると判定すること
を特徴とする請求項
1に記載の路面判定装置。
【請求項3】
前記所定の周波数帯域が20乃至100Hzであること
を特徴とする請求項1
又は請求項2に記載の路面判定装置。
【請求項4】
車両の氷雪路走行状態を判別する氷雪路判別部を備え、
前記路面判定部は、前記氷雪路走行状態が判別された場合にのみ路面の状態を判定すること
を特徴とする請求項1から請求項
3までのいずれか1項に記載の路面判定装置。
【請求項5】
前記氷雪路判別部は、自車両前方の路面を撮像した画像に基づいて氷雪路走行状態を判別すること
を特徴とする請求項
4に記載の路面判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が走行する路面の状態を判定する路面判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両が走行する路面の状態を判別し、各種車両制御に反映させたり、低摩擦係数の路面に進入した際にドライバ等のユーザに注意を喚起させたりすることが要望されている。
路面状態の検出、判定に関する従来技術として、例えば、特許文献1には、車輪速信号の振動成分を抽出し、抽出された振動成分の共振強度に基づいて路面μ勾配を推定する路面μ勾配推定装置が記載されている。
特許文献2には、サスペンションのばね下の上下方向の加速度に基づいて予め設定された複数の周波数領域におけるパワースペクトル密度を算出し、路面状態が予め特定された複数種の道路を走行時に求めた各周波数領域のパワースペクトル密度に対応するニューラルネットの重み係数と、実際の道路の走行時に求められたパワースペクトル密度とに基づいて、路面状態が複数種の道路のいずれに該当するかを判定する路面判定装置が記載されている。
特許文献3には、タイヤ内面歪の時間変化の波形を演算し、タイヤ踏面以外で計測したタイヤ内面歪の平均値であるベースライン歪値と、タイヤ踏面内で計測したタイヤ内面歪との差である歪変位量に基づいて路面摩擦係数の推定値を演算する路面摩擦係数推定装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-261017号公報
【文献】特開平 6-135214号公報
【文献】特許第4703817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の路面状態推定は、例えば旋回中や加減速時といった、タイヤの横滑り、縦スリップ率が生じたときに路面状態推定を行うロジックとなっている。
このため、車速がほぼ一定の状態での直進走行時においては、タイヤの横滑り、縦スリップ率が生じないため、路面状態推定を行うことができない。
さらに、従来の路面状態推定は、車両のばね下側で推定に必要なパラメータを取得することが必要であり、センサの配置やセンサ出力配線の引き回しなど、装置構成が複雑となり、実用車両への実装は困難である。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、簡単な構成によりタイヤの滑りが生じていない状況でも路面状態を判定可能な路面判定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1に係る発明は、タイヤから車体に振動を伝達するタイロッドに作用する軸力を検出する軸力センサと、前記軸力センサが検出する軸力から所定の周波数帯域の成分を抽出して積算して得た判定値を用いて路面の状態を判定する路面判定部とを備え、車両の直進状態を判定する直進状態判定部を備え、前記路面判定部は、前記直進状態が判定された場合に前記路面の状態を判定することを特徴とする路面判定装置である。
これによれば、タイヤから車体に伝達されるタイロッドの軸力の周波数分布の変化を検出することにより、タイヤのスリップが実質的に生じないほぼ一定車速の直進状態であっても、簡単な装置構成により適切に路面の状態を判別することができる。
【0006】
請求項2に係る発明は、前記路面判定部は、前記判定値が所定の閾値より大きい場合に圧雪路であると判定し、前記判定値が前記閾値より小さい場合に氷盤路であると判定することを特徴とする請求項1に記載の路面判定装置である。
これによれば、圧雪路と氷盤路とで路面の平滑さが異なる特徴を利用して、これらを適切に判別することができる。
【0007】
請求項3に係る発明は、前記所定の周波数帯域が20乃至100Hzであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の路面判定装置である。
これによれば、一般的な構造の車両において、圧雪路と氷盤路との判別を適切に行うことができる。
【0008】
請求項4に係る発明は、車両の氷雪路走行状態を判別する氷雪路判別部を備え、前記路面判定部は、前記氷雪路走行状態が判別された場合にのみ路面の状態を判定することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の路面判定装置である。
これによれば、平滑な舗装路を走行した際に氷盤路等であると誤判定することを防止で
きる。
【0009】
請求項5に係る発明は、前記氷雪路判別部は、自車両前方の路面を撮像した画像に基づいて氷雪路走行状態を判別することを特徴とする請求項4に記載の路面判定装置である。
これによれば、例えば運転支援などに用いられる撮像装置の画像を用いることにより、簡単な構成により適切に氷雪路走行状態を判別することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、簡単な構成によりタイヤの滑りが生じていない状況でも路面状態を判定可能な路面判定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明を適用した路面判定装置の
参考例の構成を模式的に示すブロック図である。
【
図2】
参考例の路面判定装置の動作を示すフローチャートである。
【
図3】本発明を適用した路面判定装置の
実施形態が設けられる車両のフロントサスペンションの外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<参考例>
以下、本発明を適用した路面判定装置の参考例について説明する。
参考例の路面判定装置は、例えば、乗用車等の自動車に設けられ、車両が走行中の路面の状態を判別するものである。
【0013】
図1は、
参考例の路面判定装置の構成を模式的に示すブロック図である。
路面判定装置1は、上下加速度センサ10、路面状態判定ユニット20、環境認識ユニット30、車速センサ41、舵角センサ42、前後加速度センサ43等を有して構成されている。
【0014】
上下加速度センサ10は、サスペンション装置を介して車輪が取り付けられる車体の一部に設けられ、装着部位における上下方向の加速度を検出する加速度検出部である。
上下加速度センサ10は、例えば、車体のフロア部に沿って設けられた梁状の構造部材であるクロスメンバ等に取り付けられる。
上下加速度センサ10の出力は、路面状態判定ユニット20に伝達される。
【0015】
路面状態判定ユニット20は、上下加速度センサ10の出力に基づいて、自車両が走行している路面の状態を判別する路面判定部である。
路面状態判別ユニット20は、フィルタ手段21、積算手段22、直進状態判定部23を有する。
【0016】
フィルタ手段21は、上下加速度センサ10の出力から所定の周波数帯域の成分を抽出するバンドパスフィルタである。
フィルタ手段21は、例えば、チェビシェフフィルタを有する構成とすることができる。
積算手段22は、フィルタ手段21が出力するフィルタ処理後の加速度を、所定の時間にわたって積算するものである。
直進状態判定部23は、車両が例えばほぼ一定の車速において直進する状態であるか否かを判別するものである。
路面状態判定ユニット20の機能については、後に詳しく説明する。
【0017】
環境認識ユニット30は、自車両周囲の環境を認識するものである。
環境認識ユニット30は、例えば、運転支援制御や自動運転制御において用いるため、自車両前方の道路の車線形状や、障害物等を検出する機能を有する。
【0018】
環境認識ユニット30には、自車両前方の路面を含む領域を撮像する撮像装置31が設けられる。
撮像装置31として、例えば、車幅方向に離間して配置された一対のカメラを有するステレオカメラ装置を用いることができる。
【0019】
車速センサ41は、例えば、車輪の回転速度に比例する周波数の車速信号を発生し、車両の走行速度(車速)の検出に利用されるものである。
舵角センサ42は、車両の前輪を操向するステアリング装置における舵角(ステアリングホイールの回転角)を検出するものである。
前後加速度センサ43は、車体に作用する前後方向の加速度を検出するものである。
前後加速度センサ43は、例えば、上述した上下加速度センサ10と一体化したユニットとして設けることができる。
【0020】
以下、
参考例の路面判定装置の動作について説明する。
図2は、
参考例の路面判定装置の動作を示すフローチャートである。
以下、ステップ毎に順を追って説明する。
【0021】
<ステップS01:定速直進走行判断>
路面状態判定ユニット20の直進状態判定部23は、車速センサ41、舵角センサ42、前後加速度センサ43の出力に基づいて、車両がほぼ一定車速での直線走行状態であるか否かを判別する。
具体的には、車速センサ41が検出する車速Vが所定値(例えば、20km/h)以上であり、かつ、舵角センサ42が検出する舵角(ステアリングホイール角)δが所定範囲内(例えば、-5deg≦δ≦5deg)であり、かつ、前後加速度センサ43が検出する前後加速度GXが所定範囲以内(例えば、-5m/s2≦GX≦5m/s2)である場合に、直進走行状態であると判定する。
直進走行状態が判定された場合はステップS02に進み、その他の場合はステップS01を繰り返す。
【0022】
<ステップS02:氷雪路判定>
路面状態判定ユニット20は、環境認識ユニット30からの情報に基づいて、現在自車両が走行している路面が氷盤路、圧雪路を含む氷雪路であるか否かを判別する。
例えば、撮像装置31が撮像した画像において、自車両走行車線に相当する箇所の画素の平均輝度値が所定の閾値以上であった場合に、氷雪路であると判定することができる。
環境認識ユニット30、撮像装置31は、車両の氷雪路走行状態を判定する氷雪路判定部である。
氷雪路であると判定された場合はステップS03に進み、その他の場合はステップS07に進む。
【0023】
<ステップS03:加速度フィルタ処理・積算値算出>
路面状態判定ユニット20のフィルタ手段21は、上下加速度センサ10の出力値から所定の周波数帯域の成分を抽出する。
例えば、フィルタ手段21は、20乃至100Hzの成分を抽出する構成とすることができる。
積算手段22は、フィルタ手段21によるバンドパスフィルタ処理後の加速度の絶対値を、所定時間(例えば、1秒)にわたって積算する。
路面状態判定ユニット20は、この積算値を判定値とする。
その後、ステップS04に進む。
【0024】
<ステップS04:判定値を閾値と比較>
路面状態判定ユニット20は、ステップS03において算出した判定値を、予め設定された閾値と比較する。
判定値が閾値以上である場合はステップS05に進み、その他の場合はステップS06に進む。
【0025】
<ステップS05:圧雪路判定>
路面状態判定ユニット20は、現在走行中の路面が圧雪路であると判定する。
その後、一連の処理を終了(リターン)する。
【0026】
<ステップS06:氷盤路判定>
路面状態判定ユニット20は、現在走行中の路面が、圧雪路に対して比較的平滑である氷盤路であると判定する。
この場合、圧雪路に対して通常は摩擦係数が低下することから、路面状態判定ユニット20は、図示しないインジケータ等を利用してドライバ等のユーザに注意喚起する。
また、路面状態判定ユニット20からの信号に応じて、例えば車体挙動安定化制御、トラクションコントロール制御、AWDトランスファクラッチの締結力制御などの制御を変更してもよい。
さらに、自動運転制御を行う車両の場合には、目標走行ライン、目標車速などからなる自動運転シナリオを変更する構成としてもよい。
その後、一連の処理を終了する。
【0027】
<ステップS07:舗装路判定>
路面状態判定ユニット20は、現在走行中の路面が舗装路であると判定する。
その後、一連の処理を終了する。
【0028】
以上説明した参考例によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)上下加速度センサ110を用いて、タイヤから車体に伝達される振動の周波数分布の変化を検出することにより、タイヤのスリップが実質的に生じないほぼ一定車速の直進状態であっても、簡単な装置構成により適切に路面の状態を判別することができる。
(2)上下加速度センサ10の出力から所定の周波数成分を抽出し、積算して得た判定値が閾値以上であるときに圧雪路であると判定し、それ以外の場合に氷盤路であると判定することにより、圧雪路と氷盤路とで路面の平滑さが異なる特徴を利用して、これらを適切に判別することができる。
(3)フィルタ手段により20乃至100Hzの周波数成分を抽出して判定値を求めることにより、一般的な構造の車両において、圧雪路と氷盤路との判別を適切に行うことができる。
(4)撮像装置を用いて氷雪路走行状態が判別された場合にのみ車体の上下加速度を用いた路面状態の判定を行うことにより、平滑な舗装路を走行した際に氷盤路等であると誤判定することを防止できる。
【0029】
<実施形態>
次に、本発明を適用した路面判定装置の実施形態について説明する。
上述した参考例と同様の箇所には同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
実施形態の路面判定装置は、参考例における上下加速度センサ10に代えて、前輪を操向するステアリング装置160のタイロッド162の軸力を検出する軸力セン
サ164を設け、軸力の所定の周波数帯域の成分を抽出して所定時間にわたって積算し、判定値とするものである。
【0030】
図3は、
実施形態が設けられる車両のフロントサスペンションの外観斜視図である。
図3においては、フロントサスペンションを車体下方の斜め前方側から見た状態を示している。
サスペンション装置100は、ハウジング110、クロスメンバ120、ロワアーム130、ストラット140、スタビライザ150、ステアリング装置160等を有して構成されている。
【0031】
ハウジング(ナックル)110は、車輪を回転可能に支持するハブベアリングが収容される部材である。
ハウジング110の上端部は、ストラット140の下端部に設けられたブラケットに締結されている。
ハウジング110の下端部は、ロワアーム130の端部と、ボールジョイント131を介して回動可能に連結されている。
ハウジング110は、車両前方に突出したナックルアーム111を有する。
ナックルアーム111は、タイロッド162と接続され、ハウジング110に転舵方向の力を入力する部分である。
【0032】
クロスメンバ120は、車体のフロントサイドフレーム下部に取り付けられ、車幅方向に沿って延在する構造部材である。
クロスメンバ120は、ロワアーム130、スタビライザ150、ステアリング装置160の車体側の取付箇所となる。
【0033】
ロワアーム130は、クロスメンバ120を含む車体及びハウジング110に対してそれぞれ揺動(回動)可能に連結されたサスペンションアーム(トランスバースリンク)である。
ロワアーム130の車体側の端部は、前後一対の弾性体ブッシュを介して、車両前後方向にほぼ沿った軸回りに回動可能となっている。
ロワアーム130の車幅方向外側の端部は、ボールジョイント131を介してハウジング110に連結されている。
【0034】
ストラット140は、油圧式緩衝器であるショックアブソーバ(ダンパ)と、これと並列に配置されたコイルスプリングとをユニット化したものである。
ストラット140の上端部は、図示しないトップマウントを介して、車体に形成されたストラットタワーの上部に締結されている。
トップマウントには、ストラット140の本体が転舵時にハウジング110とともに回動することを許容するベアリングが設けられている。
【0035】
スタビライザ150は、リンク151を介してロワアーム130に連結され、左右のサスペンションリンクを連結するスタビライザバーを有し、左右のサスペンションのストローク差が発生した場合に、これを抑制する方向の力を発生するアンチロール装置である。
【0036】
ステアリング装置160は、左右のハウジング110及びストラット140を所定のキングピン軸(ストラット140のトップマウントベアリングとロワアーム130のボールジョイント131とを結んだ軸)回りに回動させ、車両の操向を行うものである。
ステアリング装置160は、ステアリングギアボックス161、タイロッド162等を有する。
【0037】
ステアリングギアボックス161は、ドライバによるステアリング操作や、自動運転制御による転舵指令に応じて、車幅方向に並進する図示しないステアリングラックを有する。
タイロッド162は、ステアリングラックの端部と、ハウジング110のナックルアーム111とを連結し、ステアリングラック推力をハウジング110に伝達するとともに、ハウジング110側からタイヤ反力をステアリングラックに伝達する部材である。
タイロッド162の車幅方向外側の端部は、ボールジョイント163を介してハウジング110のナックルアーム111に連結されている。
【0038】
タイロッド162の中間部には、例えばロードセルやひずみゲージを利用して、タイロッドに作用する軸力を検出する軸力センサ164が設けられている。
軸力センサ164は、タイヤから車体に振動を伝達する振動伝達部材であるタイロッド162に作用する力を検出する作用力検出部である。
実施形態においては、参考例の上下加速度センサ10に代えて、軸力センサ164の出力にバンドパスフィルタ処理を行い、積算して判定値を求めている。
なお、フィルタ処理により抽出する周波数帯域は、上述した参考例と同等とすることができる。
以上説明した実施形態においても、上述した参考例の効果と同様の効果を得ることができる。
【0039】
(変形例)
本発明は、以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)実施形態ではセンサが検出したタイロッド軸力から例えば20乃至100Hzの成分を抽出して判定に利用しているが、抽出する周波数帯域は、車両の振動伝達特性等に応じて適宜変更することが可能である。また、その出力を積算する時間も特に限定されない。
(2)実施形態では、撮像装置を用いた画像処理により氷雪路判定を行っているが、氷雪路判定を行う手法はこれに限らず、適宜変更することができる。
例えば、通信手段により道路情報や気象情報を取得したり、外気温が所定以下の状態でドライバ等のユーザがAWD制御モードのうち悪路モード、氷雪路モード等を選択した場合に氷雪路判定を成立させてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 路面判定装置 10 上下加速度センサ
20 路面状態判定ユニット 21 フィルタ手段
22 積算手段 23 直進状態判定部
30 環境認識ユニット 31 撮像装置
41 車速センサ 42 舵角センサ
43 前後加速度センサ
100 サスペンション装置 110 ハウジング
111 ナックルアーム 120 クロスメンバ
130 ロワアーム 131 ボールジョイント
140 ストラット 150 スタビライザ
151 リンク 160 ステアリング装置
161 ステアリングギアボックス 162 タイロッド
163 ボールジョイント 164 軸力センサ