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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】重合体製造システム及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/10 20060101AFI20230824BHJP
【FI】
C08G73/10
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019141423
(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公開番号】P2021024893
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】豊田 倶透
(72)【発明者】
【氏名】竪山 瑛人
(72)【発明者】
【氏名】小野 耕司
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-033846(JP,A)
【文献】特開2004-124038(JP,A)
【文献】特開昭59-187026(JP,A)
【文献】特開昭59-155429(JP,A)
【文献】特開昭62-214912(JP,A)
【文献】特表2018-519186(JP,A)
【文献】特開2006-249380(JP,A)
【文献】特開昭62-015219(JP,A)
【文献】国際公開第01/025313(WO,A1)
【文献】特開平08-186343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 73/00-73/26
C08G 18/00-18/87
C08G 71/00-71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重付加性の第1重合性化合物を含む第1液と、重付加性の第2重合性化合物を含む第2液とを原料とし、重合体としてポリアミック酸連続的に製造する重合体製造システムであって、
前記第1液及び前記第2液の少なくとも一方がスラリー状であり、
前記第1液を供給する第1液供給部と、
前記第2液を供給する第2液供給部と、
前記第1液が通液される通液ラインと前記第2液が通液される通液ラインとの合流部であって、前記第1液と前記第2液とを合流させて第1合流混合液を生成する第1合流部と、
前記第1合流部の下流側に配置され、前記第1合流混合液を気体に接触しない状態で撹拌して重合反応を進行させることで第1管混合液を生成する第1管型混合部と、を備え
前記第1管型混合部がスタティックミキサーを含んで構成される重合体製造システム。
【請求項2】
前記第1管型混合部が、前記第1合流混合液の温度を調整する第1温度調整部を含む請求項1に記載の重合体製造システム。
【請求項3】
重付加性の第1重合性化合物を含む第1液と、重付加性の第2重合性化合物を含む第2液とを原料として重合体を製造する重合体製造システムであって、
前記第1液及び前記第2液の少なくとも一方がスラリー状であり、
前記第1液を供給する第1液供給部と、
前記第2液を供給する第2液供給部と、
前記第1液と前記第2液とを合流させて第1合流混合液を生成する第1合流部と、
前記第1合流部の下流側に配置され、前記第1合流混合液を気体に接触しない状態で撹拌して重合反応を進行させることで第1管混合液を生成する第1管型混合部と、
前記第1管型混合部の下流側に配置され、前記第1管混合液を気体に接触した状態で撹拌して第1撹拌槽混合液を生成し、前記第1管混合液の受け入れと前記第1撹拌槽混合液の取り出しとを連続的に行う第1流通式撹拌槽型混合部と、を備る重合体製造システム。
【請求項4】
重付加性の第1重合性化合物を含む第1液と、重付加性の第2重合性化合物を含む第2液とを原料として重合体を製造する重合体製造システムであって、
前記第1液及び前記第2液の少なくとも一方がスラリー状であり、
前記第1液を供給する第1液供給部と、
前記第2液を供給する第2液供給部と、
前記第1液と前記第2液とを合流させて第1合流混合液を生成する第1合流部と、
前記第1合流部の下流側に配置され、前記第1合流混合液を気体に接触しない状態で撹拌して重合反応を進行させることで第1管混合液を生成する第1管型混合部と、
重付加性の第3重合性化合物を含むスラリー状又は溶液状の第3液を供給する第3液供給部と、
前記第1管混合液と前記第3液とを合流させて第2合流混合液を生成する第2合流部と、
前記第2合流部の下流側に配置され、前記第2合流混合液を気体に接触しない状態で撹拌して重合反応を進行させることで第2管混合液を生成する第2管型混合部と、を備る重合体製造システム。
【請求項5】
前記第1管型混合部と前記第2合流部との間に配置され、前記第1管混合液を気体に接触した状態で撹拌して第1撹拌槽混合液を生成し、前記第1管混合液の受け入れと前記第1撹拌槽混合液の取り出しとを連続的に行う第1流通式撹拌槽型混合部を更に備え、
前記第2合流部は、前記第1撹拌槽混合液と前記第3液とを合流させて前記第2合流混合液を生成する請求項に記載の重合体製造システム。
【請求項6】
前記第2管型混合部の下流側に配置され、前記第2管混合液を気体に接触した状態で撹拌して第2撹拌槽混合液を生成し、前記第2管混合液の受け入れと前記第2撹拌槽混合液の取り出しとを連続的に行う第2流通式撹拌槽型混合部を更に備える請求項又はに記載の重合体製造システム。
【請求項7】
重付加性の第1重合性化合物を含む第1液と、重付加性の第2重合性化合物を含む第2液とを原料として重合体を製造する重合体製造システムであって、
前記第1液及び前記第2液の少なくとも一方がスラリー状であり、
前記第1液を供給する第1液供給部と、
前記第2液を供給する第2液供給部と、
前記第1液と前記第2液とを合流させて第1合流混合液を生成する第1合流部と、
前記第1合流部の下流側に配置され、前記第1合流混合液を気体に接触しない状態で撹拌して重合反応を進行させることで第1管混合液を生成する第1管型混合部と、
スラリー状の前記第1液を供給する前記第1液供給部又はスラリー状の前記第2液を供給する前記第2液供給部の上流側に配置され、前記第1重合性化合物又は前記第2重合性化合物を分散媒とともに撹拌して、スラリー状の前記第1液又はスラリー状の前記第2液を調製するスラリー調製部と、
前記スラリー調製部の下流側に配置され、スラリー状の前記第1液又はスラリー状の前記第2液を脱泡する脱泡部と、を備る重合体製造システム。
【請求項8】
前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物が下記(a)及び(b)のいずれかを満たし、前記重合体としてポリアミック酸を製造する請求項又はに記載の重合体製造システム。
(a)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方がテトラカルボン酸二無水物であり、他方がジアミンである。
(b)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方が酸無水物基末端又はアミノ基末端のポリアミック酸であり、他方がジアミン又はテトラカルボン酸二無水物である。
【請求項9】
前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物が下記(a)及び(b)のいずれかを満たし、前記第3重合性化合物がテトラカルボン酸二無水物又はジアミンであり、前記重合体としてポリアミック酸を製造する請求項のいずれか1項に記載の重合体製造システム。
(a)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方がテトラカルボン酸二無水物であり、他方がジアミンである。
(b)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方が酸無水物基末端又はアミノ基末端のポリアミック酸であり、他方がジアミン又はテトラカルボン酸二無水物である。
【請求項10】
前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物が下記(a)及び(b)のいずれかを満たし、前記第3重合性化合物が酸無水物基末端又はアミノ基末端のポリアミック酸であり、前記重合体としてポリアミック酸を製造する請求項のいずれか1項に記載の重合体製造システム。
(a)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方がテトラカルボン酸二無水物であり、他方がジアミンである。
(b)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方が酸無水物基末端又はアミノ基末端のポリアミック酸であり、他方がジアミン又はテトラカルボン酸二無水物である。
【請求項11】
製造されたポリアミック酸をイミド化するイミド化部を更に備え、前記重合体としてポリイミドを製造する請求項1、2、8~10のいずれか1項に記載の重合体製造システム。
【請求項12】
重付加性の第1重合性化合物を含む第1液と、重付加性の第2重合性化合物を含む第2液とを原料とし、重合体としてポリアミック酸連続的に製造する重合体の製造方法であって、
前記第1液及び前記第2液の少なくとも一方がスラリー状であり、
前記第1液を供給する第1液供給工程と、
前記第2液を供給する第2液供給工程と
前記第1液が通液される通液ラインと前記第2液が通液される通液ラインとの合流部である第1合流部において、前記第1液と前記第2液とを合流させて第1合流混合液を生成する第1合流工程と、
第1管型混合部において、前記第1合流混合液を気体に接触しない状態で撹拌して重合反応を進行させることで第1管混合液を生成する第1管混合工程と、を含み、
前記第1管型混合部がスタティックミキサーを含んで構成される重合体の製造方法。
【請求項13】
前記第1管型混合部が、前記第1合流混合液の温度を調整する第1温度調整部を含む請求項12に記載の重合体の製造方法。
【請求項14】
重付加性の第1重合性化合物を含む第1液と、重付加性の第2重合性化合物を含む第2液とを原料として重合体を製造する重合体の製造方法であって、
前記第1液及び前記第2液の少なくとも一方がスラリー状であり、
前記第1液を供給する第1液供給工程と、
前記第2液を供給する第2液供給工程と
第1合流部において、前記第1液と前記第2液とを合流させて第1合流混合液を生成する第1合流工程と、
第1管型混合部において、前記第1合流混合液を気体に接触しない状態で撹拌して重合反応を進行させることで第1管混合液を生成する第1管混合工程と、
第1流通式撹拌槽型混合部において、前記第1管混合液を気体に接触した状態で撹拌して第1撹拌槽混合液を生成し、前記第1管混合液の受け入れと前記第1撹拌槽混合液の取り出しとを連続的に行う第1撹拌槽混合工程と、を含む重合体の製造方法。
【請求項15】
重付加性の第1重合性化合物を含む第1液と、重付加性の第2重合性化合物を含む第2液とを原料として重合体を製造する重合体の製造方法であって、
前記第1液及び前記第2液の少なくとも一方がスラリー状であり、
前記第1液を供給する第1液供給工程と、
前記第2液を供給する第2液供給工程と
第1合流部において、前記第1液と前記第2液とを合流させて第1合流混合液を生成する第1合流工程と、
第1管型混合部において、前記第1合流混合液を気体に接触しない状態で撹拌して重合反応を進行させることで第1管混合液を生成する第1管混合工程と、
重付加性の第3重合性化合物を含むスラリー状又は溶液状の第3液を供給する第3液供給工程と、
第2合流部において、前記第1管混合液と前記第3液とを合流させて第2合流混合液を生成する第2合流工程と、
第2管型混合部において、前記第2合流混合液を気体に接触しない状態で撹拌して重合反応を進行させることで第2管混合液を生成する第2管混合工程と、を含む重合体の製造方法。
【請求項16】
第1流通式撹拌槽型混合部において、前記第1管混合液を気体に接触した状態で撹拌して第1撹拌槽混合液を生成し、前記第1管混合液の受け入れと前記第1撹拌槽混合液の取り出しとを連続的に行う第1撹拌槽混合工程を更に含み、
前記第2合流工程は、前記第1撹拌槽混合液と前記第3液とを合流させて前記第2合流混合液を生成する請求項15に記載の重合体の製造方法。
【請求項17】
第2流通式撹拌槽型混合部において、前記第2管混合液を気体に接触した状態で撹拌して第2撹拌槽混合液を生成し、前記第2管混合液の受け入れと前記第2撹拌槽混合液の取り出しとを連続的に行う第2撹拌槽混合工程を更に含む請求項15又は16に記載の重合体の製造方法。
【請求項18】
重付加性の第1重合性化合物を含む第1液と、重付加性の第2重合性化合物を含む第2液とを原料として重合体を製造する重合体の製造方法であって、
前記第1液及び前記第2液の少なくとも一方がスラリー状であり、
スラリー調製部において、前記第1重合性化合物又は前記第2重合性化合物を分散媒とともに撹拌して、スラリー状の前記第1液又はスラリー状の前記第2液を調製するスラリー調製工程と、
脱泡部において、スラリー状の前記第1液又はスラリー状の前記第2液を脱泡する脱泡工程と、
前記第1液を供給する第1液供給工程と、
前記第2液を供給する第2液供給工程と
第1合流部において、前記第1液と前記第2液とを合流させて第1合流混合液を生成する第1合流工程と、
第1管型混合部において、前記第1合流混合液を気体に接触しない状態で撹拌して重合反応を進行させることで第1管混合液を生成する第1管混合工程と、を含む重合体の製造方法。
【請求項19】
前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物が下記(a)及び(b)のいずれかを満たし、前記重合体としてポリアミック酸を製造する請求項14又は18に記載の重合体の製造方法。
(a)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方がテトラカルボン酸二無水物であり、他方がジアミンである。
(b)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方が酸無水物基末端又はアミノ基末端のポリアミック酸であり、他方がジアミン又はテトラカルボン酸二無水物である。
【請求項20】
前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物が下記(a)及び(b)のいずれかを満たし、前記第3重合性化合物がテトラカルボン酸二無水物又はジアミンであり、前記重合体としてポリアミック酸を製造する請求項1517のいずれか1項に記載の重合体の製造方法。
(a)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方がテトラカルボン酸二無水物であり、他方がジアミンである。
(b)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方が酸無水物基末端又はアミノ基末端のポリアミック酸であり、他方がジアミン又はテトラカルボン酸二無水物である。
【請求項21】
前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物が下記(a)及び(b)のいずれかを満たし、前記第3重合性化合物が酸無水物基末端又はアミノ基末端のポリアミック酸であり、前記重合体としてポリアミック酸を製造する請求項1517のいずれか1項に記載の重合体の製造方法。
(a)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方がテトラカルボン酸二無水物であり、他方がジアミンである。
(b)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方が酸無水物基末端又はアミノ基末端のポリアミック酸であり、他方がジアミン又はテトラカルボン酸二無水物である。
【請求項22】
製造されたポリアミック酸をイミド化するイミド化工程を更に含み、前記重合体としてポリイミドを製造する請求項12、13、19~21のいずれか1項に記載の重合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合体製造システム及び製造方法に関する。詳細には、本発明は、重合体を連続的に製造可能な重合体製造システム及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ポリアミック酸等の重合体の製造方法として、撹拌槽を利用するバッチ方式の製造方法が知られている。バッチ方式の製造方法においては、撹拌槽に注入された原料液を撹拌して重合反応を進行させているが、この場合、撹拌によって撹拌槽上部の気相が液相中に巻き込まれてしまい、重合液中に気泡が含まれた状態になる。そして、ポリアミック酸を利用したポリイミドフィルム作製のためにキャストした場合、重合液中に気泡が残っているとフィルム欠陥となる。重合液中に気泡が存在することは、品質面における大きな課題となる。
【0003】
これに対し、例えば、重合液の効率的な脱気方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、特許文献1に開示された方法は、減圧設備を必要とするため、実施には高額な設備費用が必要になる場合があった。また、本方法においては、長い脱気時間が必要であり、生産性が低下する場合があった。
【0004】
また、連続的なポリアミック酸の製造方法として、例えば、チューブ状等の管型反応器を用いてポリアミック酸(ポリアミド酸)の微粒子を製造する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第2741208号公報
【文献】特開2006-249380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の通り、撹拌槽を利用したバッチ方式の製造方法においては、気泡の発生という課題がある。これに対し、特許文献2に開示された方法のように、チューブ状等の管型反応器を利用する場合には、気泡の発生に関する課題は少ない。
【0007】
しかし、特許文献2に開示された方法は、ポリアミック酸の微粒子を製造する場合には適しているものの、液に溶解した状態でポリアミック酸を製造する場合には、所望のポリアミック酸を安定的に得ることが難しいという課題があった。
【0008】
本発明は、連続的且つ安定的な重合体の製造が可能であるとともに、製造時における気泡の発生を抑制可能な重合体製造システム及び製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 重付加性の第1重合性化合物を含む第1液と、重付加性の第2重合性化合物を含む第2液とを原料とし、重合体としてポリアミック酸連続的に製造する重合体製造システムであって、
前記第1液及び前記第2液の少なくとも一方がスラリー状であり、
前記第1液を供給する第1液供給部と、
前記第2液を供給する第2液供給部と、
前記第1液が通液される通液ラインと前記第2液が通液される通液ラインとの合流部であって、前記第1液と前記第2液とを合流させて第1合流混合液を生成する第1合流部と、
前記第1合流部の下流側に配置され、前記第1合流混合液を気体に接触しない状態で撹拌して重合反応を進行させることで第1管混合液を生成する第1管型混合部と、を備え
前記第1管型混合部がスタティックミキサーを含んで構成される重合体製造システム。
<2> 前記第1管型混合部が、前記第1合流混合液の温度を調整する第1温度調整部を含む<1>に記載の重合体製造システム。
【0010】
重付加性の第1重合性化合物を含む第1液と、重付加性の第2重合性化合物を含む第2液とを原料として重合体を製造する重合体製造システムであって、
前記第1液及び前記第2液の少なくとも一方がスラリー状であり、
前記第1液を供給する第1液供給部と、
前記第2液を供給する第2液供給部と、
前記第1液と前記第2液とを合流させて第1合流混合液を生成する第1合流部と、
前記第1合流部の下流側に配置され、前記第1合流混合液を気体に接触しない状態で撹拌して重合反応を進行させることで第1管混合液を生成する第1管型混合部と、
前記第1管型混合部の下流側に配置され、前記第1管混合液を気体に接触した状態で撹拌して第1撹拌槽混合液を生成し、前記第1管混合液の受け入れと前記第1撹拌槽混合液の取り出しとを連続的に行う第1流通式撹拌槽型混合部と、を備る重合体製造システム。
【0011】
重付加性の第1重合性化合物を含む第1液と、重付加性の第2重合性化合物を含む第2液とを原料として重合体を製造する重合体製造システムであって、
前記第1液及び前記第2液の少なくとも一方がスラリー状であり、
前記第1液を供給する第1液供給部と、
前記第2液を供給する第2液供給部と、
前記第1液と前記第2液とを合流させて第1合流混合液を生成する第1合流部と、
前記第1合流部の下流側に配置され、前記第1合流混合液を気体に接触しない状態で撹拌して重合反応を進行させることで第1管混合液を生成する第1管型混合部と、
重付加性の第3重合性化合物を含むスラリー状又は溶液状の第3液を供給する第3液供給部と、
前記第1管混合液と前記第3液とを合流させて第2合流混合液を生成する第2合流部と、
前記第2合流部の下流側に配置され、前記第2合流混合液を気体に接触しない状態で撹拌して重合反応を進行させることで第2管混合液を生成する第2管型混合部と、を備る重合体製造システム。
【0012】
> 前記第1管型混合部と前記第2合流部との間に配置され、前記第1管混合液を気体に接触した状態で撹拌して第1撹拌槽混合液を生成し、前記第1管混合液の受け入れと前記第1撹拌槽混合液の取り出しとを連続的に行う第1流通式撹拌槽型混合部を更に備え、
前記第2合流部は、前記第1撹拌槽混合液と前記第3液とを合流させて前記第2合流混合液を生成する<>に記載の重合体製造システム。
【0013】
> 前記第2管型混合部の下流側に配置され、前記第2管混合液を気体に接触した状態で撹拌して第2撹拌槽混合液を生成し、前記第2管混合液の受け入れと前記第2撹拌槽混合液の取り出しとを連続的に行う第2流通式撹拌槽型混合部を更に備える<>又は<>に記載の重合体製造システム。
【0014】
重付加性の第1重合性化合物を含む第1液と、重付加性の第2重合性化合物を含む第2液とを原料として重合体を製造する重合体製造システムであって、
前記第1液及び前記第2液の少なくとも一方がスラリー状であり、
前記第1液を供給する第1液供給部と、
前記第2液を供給する第2液供給部と、
前記第1液と前記第2液とを合流させて第1合流混合液を生成する第1合流部と、
前記第1合流部の下流側に配置され、前記第1合流混合液を気体に接触しない状態で撹拌して重合反応を進行させることで第1管混合液を生成する第1管型混合部と、
スラリー状の前記第1液を供給する前記第1液供給部又はスラリー状の前記第2液を供給する前記第2液供給部の上流側に配置され、前記第1重合性化合物又は前記第2重合性化合物を分散媒とともに撹拌して、スラリー状の前記第1液又はスラリー状の前記第2液を調製するスラリー調製部と、
前記スラリー調製部の下流側に配置され、スラリー状の前記第1液又はスラリー状の前記第2液を脱泡する脱泡部と、を備る重合体製造システム。
【0015】
> 前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物が下記(a)及び(b)のいずれかを満たし、前記重合体としてポリアミック酸を製造する<>又は<>に記載の重合体製造システム。
(a)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方がテトラカルボン酸二無水物であり、他方がジアミンである。
(b)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方が酸無水物基末端又はアミノ基末端のポリアミック酸であり、他方がジアミン又はテトラカルボン酸二無水物である。
【0016】
> 前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物が下記(a)及び(b)のいずれかを満たし、前記第3重合性化合物がテトラカルボン酸二無水物又はジアミンであり、前記重合体としてポリアミック酸を製造する<>~<>のいずれか1項に記載の重合体製造システム。
(a)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方がテトラカルボン酸二無水物であり、他方がジアミンである。
(b)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方が酸無水物基末端又はアミノ基末端のポリアミック酸であり、他方がジアミン又はテトラカルボン酸二無水物である。
【0017】
10> 前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物が下記(a)及び(b)のいずれかを満たし、前記第3重合性化合物が酸無水物基末端又はアミノ基末端のポリアミック酸であり、前記重合体としてポリアミック酸を製造する<>~<>のいずれか1項に記載の重合体製造システム。
(a)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方がテトラカルボン酸二無水物であり、他方がジアミンである。
(b)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方が酸無水物基末端又はアミノ基末端のポリアミック酸であり、他方がジアミン又はテトラカルボン酸二無水物である。
【0018】
11> 製造されたポリアミック酸をイミド化するイミド化部を更に備え、前記重合体としてポリイミドを製造する<1>、<2>、>~<10>のいずれか1項に記載の重合体製造システム。
【0019】
12> 重付加性の第1重合性化合物を含む第1液と、重付加性の第2重合性化合物を含む第2液とを原料とし、重合体としてポリアミック酸連続的に製造する重合体の製造方法であって、
前記第1液及び前記第2液の少なくとも一方がスラリー状であり、
前記第1液を供給する第1液供給工程と、
前記第2液を供給する第2液供給工程と
前記第1液が通液される通液ラインと前記第2液が通液される通液ラインとの合流部である第1合流部において、前記第1液と前記第2液とを合流させて第1合流混合液を生成する第1合流工程と、
第1管型混合部において、前記第1合流混合液を気体に接触しない状態で撹拌して重合反応を進行させることで第1管混合液を生成する第1管混合工程と、を含み、
前記第1管型混合部がスタティックミキサーを含んで構成される重合体の製造方法。
<13> 前記第1管型混合部が、前記第1合流混合液の温度を調整する第1温度調整部を含む<12>に記載の重合体の製造方法。
【0020】
14重付加性の第1重合性化合物を含む第1液と、重付加性の第2重合性化合物を含む第2液とを原料として重合体を製造する重合体の製造方法であって、
前記第1液及び前記第2液の少なくとも一方がスラリー状であり、
前記第1液を供給する第1液供給工程と、
前記第2液を供給する第2液供給工程と
第1合流部において、前記第1液と前記第2液とを合流させて第1合流混合液を生成する第1合流工程と、
第1管型混合部において、前記第1合流混合液を気体に接触しない状態で撹拌して重合反応を進行させることで第1管混合液を生成する第1管混合工程と、
第1流通式撹拌槽型混合部において、前記第1管混合液を気体に接触した状態で撹拌して第1撹拌槽混合液を生成し、前記第1管混合液の受け入れと前記第1撹拌槽混合液の取り出しとを連続的に行う第1撹拌槽混合工程と、を含む重合体の製造方法。
【0021】
15重付加性の第1重合性化合物を含む第1液と、重付加性の第2重合性化合物を含む第2液とを原料として重合体を製造する重合体の製造方法であって、
前記第1液及び前記第2液の少なくとも一方がスラリー状であり、
前記第1液を供給する第1液供給工程と、
前記第2液を供給する第2液供給工程と
第1合流部において、前記第1液と前記第2液とを合流させて第1合流混合液を生成する第1合流工程と、
第1管型混合部において、前記第1合流混合液を気体に接触しない状態で撹拌して重合反応を進行させることで第1管混合液を生成する第1管混合工程と、
重付加性の第3重合性化合物を含むスラリー状又は溶液状の第3液を供給する第3液供給工程と、
第2合流部において、前記第1管混合液と前記第3液とを合流させて第2合流混合液を生成する第2合流工程と、
第2管型混合部において、前記第2合流混合液を気体に接触しない状態で撹拌して重合反応を進行させることで第2管混合液を生成する第2管混合工程と、を含む重合体の製造方法。
【0022】
16> 第1流通式撹拌槽型混合部において、前記第1管混合液を気体に接触した状態で撹拌して第1撹拌槽混合液を生成し、前記第1管混合液の受け入れと前記第1撹拌槽混合液の取り出しとを連続的に行う第1撹拌槽混合工程を更に含み、
前記第2合流工程は、前記第1撹拌槽混合液と前記第3液とを合流させて前記第2合流混合液を生成する<15>に記載の重合体の製造方法。
【0023】
17> 第2流通式撹拌槽型混合部において、前記第2管混合液を気体に接触した状態で撹拌して第2撹拌槽混合液を生成し、前記第2管混合液の受け入れと前記第2撹拌槽混合液の取り出しとを連続的に行う第2撹拌槽混合工程を更に含む<15>又は<16>に記載の重合体の製造方法。
【0024】
18重付加性の第1重合性化合物を含む第1液と、重付加性の第2重合性化合物を含む第2液とを原料として重合体を製造する重合体の製造方法であって、
前記第1液及び前記第2液の少なくとも一方がスラリー状であり、
スラリー調製部において、前記第1重合性化合物又は前記第2重合性化合物を分散媒とともに撹拌して、スラリー状の前記第1液又はスラリー状の前記第2液を調製するスラリー調製工程と、
脱泡部において、スラリー状の前記第1液又はスラリー状の前記第2液を脱泡する脱泡工程と、
前記第1液を供給する第1液供給工程と、
前記第2液を供給する第2液供給工程と
第1合流部において、前記第1液と前記第2液とを合流させて第1合流混合液を生成する第1合流工程と、
第1管型混合部において、前記第1合流混合液を気体に接触しない状態で撹拌して重合反応を進行させることで第1管混合液を生成する第1管混合工程と、を含む重合体の製造方法。
【0025】
19> 前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物が下記(a)及び(b)のいずれかを満たし、前記重合体としてポリアミック酸を製造する<14>又は<18>に記載の重合体の製造方法。
(a)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方がテトラカルボン酸二無水物であり、他方がジアミンである。
(b)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方が酸無水物基末端又はアミノ基末端のポリアミック酸であり、他方がジアミン又はテトラカルボン酸二無水物である。
【0026】
20> 前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物が下記(a)及び(b)のいずれかを満たし、前記第3重合性化合物がテトラカルボン酸二無水物又はジアミンであり、前記重合体としてポリアミック酸を製造する<15>~<17>のいずれか1項に記載の重合体の製造方法。
(a)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方がテトラカルボン酸二無水物であり、他方がジアミンである。
(b)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方が酸無水物基末端又はアミノ基末端のポリアミック酸であり、他方がジアミン又はテトラカルボン酸二無水物である。
【0027】
21> 前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物が下記(a)及び(b)のいずれかを満たし、前記第3重合性化合物が酸無水物基末端又はアミノ基末端のポリアミック酸であり、前記重合体としてポリアミック酸を製造する<15>~<17>のいずれか1項に記載の重合体の製造方法。
(a)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方がテトラカルボン酸二無水物であり、他方がジアミンである。
(b)前記第1重合性化合物及び前記第2重合性化合物のうち、一方が酸無水物基末端又はアミノ基末端のポリアミック酸であり、他方がジアミン又はテトラカルボン酸二無水物である。
【0028】
22> 製造されたポリアミック酸をイミド化するイミド化工程を更に含み、前記重合体としてポリイミドを製造する<12>、<13>、19>~<21>のいずれか1項に記載の重合体の製造方法。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、所望の重合体を連続的に且つ安定的に得ることが可能な重合体製造システム及び製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】第1実施形態における重合体製造システムを示す図である。
図2】第2実施形態における重合体製造システムを示す図である。
図3】第3実施形態における重合体製造システムを示す図である。
図4】第4実施形態における重合体製造システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
第1実施形態は、第1管型混合部を備える場合の重合体製造システムの例である。第2実施形態は、第1管型混合部と第1流通式撹拌槽型混合部とを備える場合の重合体製造システムの例である。第3実施形態は第1管型混合部と第2管型混合部とを備え、第1管型混合部と第2管型混合部との間において液を追加する場合の重合体製造システムの例である。第4実施形態は、第1管型混合部及び第1流通式撹拌槽型混合部の下流側に、第2管型混合部及び第2流通式撹拌槽型混合部を更に備え、第1流通式撹拌槽型混合部と第2管型混合部との間において液を追加する場合の重合体製造システムの例である。
【0032】
ここで、以下の実施形態において、「第1管型混合部」又は「第2管型混合部」とは、液を流通させながら混合する管状の反応器を有する混合部を意味する。また、「第1流通式撹拌槽型混合部」又は「第2流通式撹拌槽型混合部」とは、液の受け入れと液の取り出しとを連続的に行いながら混合を行う撹拌槽型の反応器を有する混合部を意味する。
【0033】
<第1実施形態>
図1により、第1実施形態における重合体製造システムについて説明する。図1は、第1実施形態における重合体製造システムを示す図である。
【0034】
まず、第1実施形態における重合体製造システム1の概要について説明する。第1実施形態は、第1管型混合部が設けられる場合の重合体製造システムの例である。
重合体製造システム1は、重付加性の第1重合性化合物を含む第1液A1と、重付加性の第2重合性化合物を含む第2液A2とを原料として重合体を製造する製造システムである。本実施形態では、一例として、第1重合性化合物を含む第1液A1をスラリー状とし、第2重合性化合物を含む第2液A2を溶液状とした場合について説明する。
【0035】
本実施形態において、スラリー状の第1液A1は、分散媒に第1重合性化合物を分散させた懸濁液である。溶液状の第2液A2は、溶媒に第2重合性化合物を溶解した溶液である。
【0036】
以下では一例として、第1重合性化合物及び第2重合性化合物のうち、一方がテトラカルボン酸二無水物であり、他方がジアミンであり、重合体としてポリアミック酸を製造する場合について説明する。より具体的には、スラリー状の第1液A1に含まれる第1重合性化合物がテトラカルボン酸二無水物であり、溶液状の第2液A2に含まれる第2重合性化合物がジアミンであり、重合体としてポリアミック酸を製造する場合について説明する。
【0037】
テトラカルボン酸二無水物としては、特に制限されず、従来のポリイミド合成で用いられているものと同様のものを用いることができる。テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、1,3-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、2,3,3',4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',6,6'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物、アントラセン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1,8,9,10-テトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物;ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物;シクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物等の脂環族テトラカルボン酸二無水物;チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、ピリジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物等の複素環族テトラカルボン酸二無水物;などが挙げられる。テトラカルボン酸二無水物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
第1液A1の分散媒としては、テトラカルボン酸二無水物の溶解性が低くポリアミック酸の溶解性が高いものが用いられる。分散媒の具体例としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、アセトアニリド等のアミド系分散媒;γ-ブチロラクトン等の環状エステル系分散媒;酢酸エチル等の鎖状エステル系分散媒;2-プロパノン、3-ペンタノン、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系分散媒;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等のエーテル系分散媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系分散媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系分散媒;などが挙げられる。これらの中でも、ポリアミック酸の溶解性が高いアミド系分散媒、環状エステル系分散媒、及びエーテル系分散媒が好ましい。分散媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。例えば、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン等のポリアミック酸の溶解性が比較的低い分散媒に対して極性の高いアルコ―ル系分散媒を混合することで、ポリアミック酸の溶解性を向上させることも可能である。
【0039】
第1液A1は、ジアミンとの反応性を高めるため、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の第3級アミンを少量含有していてもよい。
【0040】
ジアミンとしては、特に制限されず、従来のポリイミド合成で用いられているものと同様のものを用いることができる。ジアミンの具体例としては、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3'-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、4,4'-ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’-ジアミノジフェニルスルフォン、3,3'-ジアミノジフェニルスルフォン、4,4'-メチレン-ビス(2-クロロアニリン)、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、4,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、2,6-ジアミノトルエン、2,4-ジアミノクロロベンゼン、1,2-ジアミノアントラキノン、1,4-ジアミノアントラキノン、3,3'-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、4,4'-ジアミノベンゾフェノン、4,4'-ジアミノビベンジル等の芳香族ジアミン;1,2-ジアミノエタン、1,4-ジアミノブタン、テトラメチレンジアミン、1,10-ジアミノドデカン等の脂肪族ジアミン;1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン等の脂環族ジアミン;3,4-ジアミノピリジン等の複素環族ジアミン;などが挙げられる。ジアミンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
第2液A2の溶媒としては、ジアミン及びポリアミック酸が溶解するものが用いられる。溶媒の具体例としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、アセトアニリド等のアミド系溶媒;γ-ブチロラクトン等の環状エステル系溶媒;酢酸エチル等の鎖状エステル系溶媒;2-プロパノン、3-ペンタノン、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;などが挙げられる。これらの中でも、ポリアミック酸の溶解性が高いアミド系溶媒、環状エステル系溶媒、及びエーテル系溶媒が好ましい。溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。例えば、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン等のポリアミック酸の溶解性が比較的低い溶媒に対して極性の高いアルコ―ル系溶媒を混合することで、ポリアミック酸の溶解性を向上させることも可能である。
【0042】
図1に示すように、重合体製造システム1は、原料である第1液A1及び第2液A2を第1合流部J1において合流させて混合して第1合流混合液Bを生成し、第1合流混合液Bを第1管型混合部20において撹拌して重合反応を進行させることで第1管混合液Cを生成して、ポリアミック酸(重合体)を製造するよう構成されている。
【0043】
また、重合体製造システム1は、後述の第1タンク11及び第2タンク12からクッションタンクCTまでをつなぐ送液ラインLを有する。
【0044】
続けて、重合体製造システム1の具体的な構成について説明する。
図1に示すように、重合体製造システム1は、スラリー液調製タンク10(スラリー調製部)と、調製タンク用開閉弁101と、脱泡ポンプ102(脱泡部)と、第1タンク11と、第1タンク用開閉弁111と、第2タンク12と、第2タンク用開閉弁121と、第1供給ポンプ112(第1液供給部)と、第2供給ポンプ122(第2液供給部)と、第1合流部J1と、第1管型混合部20と、クッションタンクCTと、送液ラインLと、制御部200と、を備える。上述の送液ラインLは、スラリー液送液部Lsと、第1送液部L1と、第2送液部L2と、第3送液部L3と、第4送液部L4と、を有する。また、重合体製造システム1は、第1流量測定部113と、第2流量測定部123と、第1粘度測定部222と、を有する。
【0045】
スラリー液調製タンク10は、後述する第1タンク11の上流側に配置される。スラリー液調製タンク10は、第1重合性化合物の粉体状の固体を分散媒とともに撹拌して、例えば槽内において粉末状の固体を高剪断条件で粉砕しながら分散媒に分散させることで、スラリー状の第1液A1を調製する。スラリー液調製タンク10において調製された第1液A1は、スラリー液送液部Lsを介して、第1タンク11に供給される。
【0046】
脱泡ポンプ102は、スラリー液調製タンク10の下流側に配置され、スラリー液送液部Lsを送液される気泡混じりの第1液A1を脱泡するとともに、スラリー状の第1液A1を第1タンク11に向けて送り出す。脱泡ポンプ102により送り出されたスラリー状の第1液A1は、第1タンク11に供給される。脱泡ポンプ102は、気泡混じりの第1液A1を脱泡する脱泡機能と、第1液A1を送液する送液機能との両方の機能を兼ね備えている。
【0047】
第1タンク11は、第1重合性化合物を含むスラリー状の第1液A1を収容する。本実施形態においては、第1タンク11は、テトラカルボン酸二無水物を含むスラリー状の第1液A1を収容する。第1タンク11に収容された第1液A1は、第1送液部L1を介して、第1合流部J1に供給される。
【0048】
なお、図には明示していないが、第1タンク11は、気泡を巻き込まないような工夫をしておくことが好ましい。例えば、第1タンク11の下部から第1液A1を流入させる構成としたり、第1タンク11の上部から内挿管を差し込んで第1液A1を壁面に伝わらせる構成としたり、出口を液中に配置することで、気泡を巻き込みにくくしておくことが好ましい。
【0049】
第1送液部L1は、第1タンク11と第1合流部J1とをつなぐラインである。第1送液部L1における第1タンク11と第1合流部J1との間には、第1タンク用開閉弁111、第1供給ポンプ112、及び第1流量測定部113が、上流側から下流側に向かってこの順で配置される。
【0050】
第1タンク用開閉弁111は、第1送液部L1における第1タンク11の下方近傍に配置され、第1供給ポンプ112の上流側において、第1送液部L1を開閉する。
【0051】
第1供給ポンプ112(第1液供給部)は、第1タンク11に収容されている第1液A1を第1合流部J1に供給する。第1供給ポンプ112は、第1液A1を所定の流量で吐出する。例えば、第1供給ポンプ112は、所望の性状のポリアミック酸が得られる条件で第1液A1を供給するよう調整される。
【0052】
本実施形態においては、第1供給ポンプ112は、定量ポンプで構成される。
本実施形態においては、第1供給ポンプ112により供給される第1液A1と、後述する第2供給ポンプ122により供給される第2液A2と、の供給を制御することで、所望の性状のポリアミック酸を得る。そのため、第1液A1及び第2液A2の供給精度が高いことが好ましく、本実施形態では、第1供給ポンプ112が定量ポンプで構成されるとともに、後述する第2供給ポンプ122も定量ポンプで構成される。
【0053】
定量ポンプは、容積式のポンプであり、一定量の液を高い精度で繰り返し送り出すポンプである。第1供給ポンプ112においては、スラリー状の第1液A1を送り出す。そのため、第1供給ポンプ112に用いられる定量ポンプとしては、ポンプが詰まることなくスラリー状の第1液A1を送液可能なものが用いられ、例えば、ダイヤフラムポンプ;モーノポンプ;ピストン式のポンプ;などが挙げられる。
【0054】
第1流量測定部113は、第1送液部L1における第1供給ポンプ112の下流側の第1液A1の流量を測定する。本実施形態においては、第1流量測定部113は、第1供給ポンプ112と第1合流部J1との間に配置される。第1流量測定部113は、測定した第1液A1の流量を後述する制御部200に出力する。
【0055】
第2タンク12は、第2重合性化合物が溶解した溶液状の第2液A2を収容する。本実施形態においては、第2タンク12は、ジアミンが溶解した溶液状の第2液A2を収容する。第2タンク12に収容された第2液A2は、第2送液部L2を介して、第1合流部J1に供給される。
【0056】
第2送液部L2は、第2タンク12と第1合流部J1とをつなぐラインである。第2送液部L2における第2タンク12と第1合流部J1との間には、第2タンク用開閉弁121、第2供給ポンプ122、及び第2流量測定部123が、上流側から下流側に向かってこの順で配置される。
【0057】
第2タンク用開閉弁121は、第2送液部L2における第2タンク12の下方近傍に配置され、第2供給ポンプ122の上流側において、第2送液部L2を開閉する。
【0058】
第2供給ポンプ122(第2液供給部)は、第2タンク12に収容されている第2液A2を第1合流部J1に供給する。第2供給ポンプ122は、第2液A2を所定の流量で吐出する。例えば、第2供給ポンプ122は、所望の性状のポリアミック酸が得られる条件で第2液A2を供給するよう調整される。
【0059】
本実施形態では、第2供給ポンプ122は、上述の第1供給ポンプ112と同様の理由により、定量ポンプで構成される。なお、第2供給ポンプ122は、第2液A2が溶液であるため、スラリー状の液を送液可能なものでなくてよい。
【0060】
定量ポンプは、容積式のポンプであり、一定量の溶液を高い精度で繰り返し送り出すポンプである。第2供給ポンプ122においては、溶液状の第2液A2を送り出す。そのため、第2供給ポンプ122に用いられる定量ポンプとしては、例えば、プランジャポンプ等の押し出し式の往復ポンプ;歯車を備えたギアポンプ等の回転ポンプ;などが挙げられる。
【0061】
第2流量測定部123は、第2送液部L2における第2供給ポンプ122の下流側の第2液A2の流量を測定する。本実施形態においては、第2流量測定部123は、第2供給ポンプ122と第1合流部J1との間に配置される。第2流量測定部123は、測定した第2液A2の流量を後述する制御部200に出力する。
【0062】
第1合流部J1は、第1供給ポンプ112及び第2供給ポンプ122の下流側に配置される。第1合流部J1は、第1液A1と第2液A2とを合流させて混合して第1合流混合液Bを生成する。第1合流部J1においては、第1液A1と第2液A2とを気体に接触しない状態で合流させる。第1合流部J1は、第1供給ポンプ15により供給される第1液A1と、第2供給ポンプ16により供給される第2液A2とを合流させる合流弁により構成される。
【0063】
第1管型混合部20は、第1合流部J1の下流側に配置される。第1管型混合部20は、第1合流混合液Bを気体に接触しない状態で撹拌して重合反応を進行させることで第1管混合液Cを生成する。
【0064】
第1管型混合部20は、所定方向に延びる二重管で構成された管型の反応器を含んで構成される。第1管型混合部20は、径方向の内側に配置される第1管型混合撹拌部21と、径方向の外側に配置される第1温度調整部22と、を有する。第1管型混合部20は、第1合流混合液Bが所望の滞留時間で流通するように形成されている。
【0065】
第1管型混合撹拌部21は、第1合流混合液Bを撹拌する。本実施形態においては、第1管型混合撹拌部21は、第1温度調整部22により重合反応に適した温度に調整された第1合流混合液Bを撹拌する。
【0066】
第1管型混合撹拌部21は、例えば、スタティックミキサー、ノズル、オリフィス等の静止型混合器や、遠心ポンプ、渦巻きポンプ、撹拌羽を有するインラインミキサー等の駆動型混合器を含んで構成され、好ましくは静止型混合器を含んで構成され、より好ましくはスタティックミキサーを含んで構成される。なお、ツイストテープの内挿された管(特開2003-314982号公報の[図19]等を参照)でもスタティックミキサーと同様に撹拌促進効果が得られるが、スタティックミキサーの方がより撹拌促進効果が得られるため好ましい。
【0067】
スタティックミキサーとしては、特に限定されず、例えば、Kenics mixer型、Sulzer SMV型、Sulzer SMX型、Tray Hi-mixer型、Komax mixer型、Lightnin mixer型、Ross ISG型、Bran&Lube mixer型等のスタティックミキサーが挙げられる。これらの中でも、Kenics mixer型のスタティックミキサーは、構造が単純であるためデッドスペースがなく、より好ましい。
【0068】
第1温度調整部22は、第1管型混合撹拌部21の径方向の外側に配置される配管部である。第1温度調整部22は、第1管型混合撹拌部21を流通する第1合流混合液Bを、所望の温度条件に温調(例えば、冷却)する。第1温度調整部22において、第1合流混合液Bは、重合反応に適した温度に調整され、第1管型混合撹拌部21を流通される。
【0069】
生成された第1管混合液Cは、第4送液部L4を介して、クッションタンクCTに供給される。
【0070】
第1粘度測定部222は、第4送液部L4における第1管型混合部20とクッションタンクCTとの間において、第1管混合液Cの粘度情報を取得する。重合反応が進行することで粘度が上昇するため、粘度情報は、反応情報として有効な情報である。第1粘度測定部222は、取得した第1管混合液Cの粘度情報を後述する制御部200に出力する。
【0071】
なお、本実施形態の第1粘度測定部222は、第1管混合液Cにおける物理量及び/又は組成に関する反応情報を取得する測定部の一例である。
【0072】
測定部は、本実施形態の第1粘度測定部222(物理量及び/又は組成の種類、測定方式)に限定されない。測定部は、例えば、粘度計、圧力計、ポンプ圧計、吸光度計、赤外分光計、近赤外分光計、密度計、色差計、屈折率計、分光光度計、導電率計、濁度計、及び蛍光X線分析装置からなる群より選択される1又は2以上を有して構成されてもよい。測定部は、測定対象における物理量及び/又は組成に関する1又は2以上の反応情報を取得するとともに、取得した反応情報を後述する制御部200に出力する。
【0073】
クッションタンクCTは、第1管型混合部20からの第1管混合液Cを収容する。クッションタンクCTは、例えば、重合体であるポリアミック酸をイミド化してポリイミドを製造する際においては原料液を収容するタンクになる。
【0074】
なお、図には明示していないが、クッションタンクCTは、気泡を巻き込まないような工夫をしておくことが好ましい。例えば、クッションタンクCTの下部から第1撹拌槽混合液Dを流入させる構成としたり、クッションタンクCTの上部から内挿管を差し込んで第1管混合液Cを壁面に伝わらせる構成としたり、出口を液中に配置することで、気泡を巻き込みにくくしておくことが好ましい。
【0075】
本実施形態における重合体製造システム1がポリイミドを製造する場合、重合体製造システム1は、ポリアミック酸をイミド化するイミド化部を更に備える。イミド化部(不図示)は、例えば、熱的に脱水閉環する熱的イミド化方法、脱水剤及びイミド化促進剤を用いる化学的イミド化方法等により、ポリアミック酸をイミド化する。
【0076】
なお、重合体製造システム1がポリイミドを製造する場合、クッションタンクCTを省略し、第1管型混合部20からイミド化部に送液されるように構成してもよい。
【0077】
制御部200について説明する。制御部200には、第1供給ポンプ112、第2供給ポンプ122、第1流量測定部113、第2流量測定部123、及び第1粘度測定部222が電気的に接続されている。なお、本明細書において、制御部200から各ポンプ、各測定部及び各弁への制御線の図示は省略している。
【0078】
制御部200は、各流量測定部113,123により測定された流量値に基づいて、各供給ポンプ112,122を制御する。
制御部200は、例えば、第1供給ポンプ112及び/又は第2供給ポンプ122を制御することにより、第1液A1に含まれる第1重合性化合物と第2液A2に含まれる第2重合性化合物とのモル比が所定範囲内になるように制御する。上記のモル比は、例えば、所望の性状のポリアミック酸が得られるように設定される。
【0079】
制御部200は、第1粘度測定部222(測定部)により取得された第1粘度情報(第1反応情報)に基づいて、第1供給ポンプ112及び/又は第2供給ポンプ122における供給を制御する。
【0080】
次に、第1実施形態における重合体製造システム1(ポリアミック酸製造システム)の動作を説明する。
まず、重合体製造システム1において、動作を開始することで、スラリー液調製タンク10においては、投入された第1重合性化合物の粉末状の固体を分散媒とともに撹拌することで、粉末状の固体が粉砕されながら撹拌されて、スラリー状の第液A1が調製される(スラリー調製工程)。そして、脱泡ポンプ102は、スラリー液調製タンク10により調製された第1液A1を脱泡しながら第1タンク11に供給する(脱泡工程)。
【0081】
次に、第1供給ポンプ112がスラリー状の第1液A1を供給し(第1供給工程)、第2供給ポンプ122が溶液状の第2液A2を供給する(第2供給工程)。ここで、第1供給ポンプ112及び第2供給ポンプ122は、第1液A1及び第2液A2を所望の割合で供給するように、互いの吐出流量が制御部200により制御されている。これにより、第1合流部J1には、第1液A1及び第2液A2が供給される。第1合流部J1においては、第1供給ポンプ112により供給されたスラリー状の第1液A1と、第2供給ポンプ122により供給された溶液状の第2液A2とが合流して混合され、第1合流混合液Bが生成される(第1合流工程)。
【0082】
第1合流部J1において生成された第1合流混合液Bは、第1供給ポンプ112及び第2供給ポンプ122の供給動作により第3送液部L3を送液されて、第1管型混合部20に供給される。
【0083】
第1管型混合部20においては、第1合流混合液Bを気体に接触しない状態で撹拌して第1合流混合液Bの重合反応を進行させることで第1管混合液Cが生成される(第1管混合工程)。第1管型混合部20においては、第1合流混合液Bを撹拌して、重合反応を進行させる。第1管型混合部20がスタティックミキサー等の静止型混合器である場合、第1合流混合液Bは通液されるだけで撹拌される。
【0084】
第1管型混合部20において生成された第1管混合液Cは、第4送液部L4を送液されて、クッションタンクCTに供給される。
【0085】
ここで、上述の重合体製造システム1の動作の途中において、第1粘度測定部222は、粘度情報を取得している(測定工程)。
制御部200は、第1粘度測定部222(測定部)により取得された第1粘度情報(第1反応情報)に基づいて、第1供給ポンプ112及び/又は第2供給ポンプ122における供給を制御する(制御工程)。これにより、所望の性状(粘度)のポリアミック酸を得ることができる。
【0086】
ここで、例えば、本実施形態におけるポリアミック酸の製造方法がポリイミドの製造方法の一部である場合がある。この場合、ポリイミドの製造方法は、ポリアミック酸をイミド化するイミド化工程を更に含む。
なお、重合体製造システム1がポリイミドを製造する場合、クッションタンクCTを省略し、第1管型混合部20からイミド化部に送液されるように構成してもよい。
【0087】
本実施形態の重合体製造システム1によれば、以下の効果を奏する。
重合体製造システム1は、重付加性の第1重合性化合物を含むスラリー状の第1液A1を供給する第1供給ポンプ112と、重付加性の第2重合性化合物を含む溶液状の第2液A2を供給する第2供給ポンプ122と、第1液A1と第2液A2とを合流させて第1合流混合液Bを生成する第1合流部J1と、第1合流部J1の下流側に配置され、第1合流混合液Bを気体に接触しない状態で撹拌して重合反応を進行させることで第1管混合液Cを生成する第1管型混合部20と、を備える。重合体製造システム1によれば、連続的且つ安定的な重合体の製造が可能であるとともに、製造時における気泡の発生を抑制可能である。具体的には、重合体製造システム1によれば、所望の重合液を連続的且つ安定的に製造可能であるとともに、重合液に気泡が発生することを抑制できる。
【0088】
また、重合体製造システム1において、第1粘度測定部222(測定部)により取得された第1粘度情報(第1反応情報)に基づいて、第1供給ポンプ15及び/又は第2供給ポンプ16における供給を制御する。これにより、所望の性状(粘度)の重合体を得ることができる。
【0089】
なお、本実施形態では、第1重合性化合物及び第2重合性化合物のうち、一方がテトラカルボン酸二無水物、他方がジアミンであり、重合体としてポリアミック酸を製造する場合について説明したが、これに制限されるものではない。
例えば、第1重合性化合物及び第2重合性化合物のうち、一方を酸無水物基末端又はアミノ基末端のポリアミック酸(プレポリマー)、他方をジアミン又はテトラカルボン酸二無水物とし、重合体としてポリアミック酸を製造するようにしてもよい。この場合、第1重合性化合物及び第2重合性化合物のうち、一方が酸無水物基末端のポリアミック酸であると、他方はジアミンである。また、第1重合性化合物及び第2重合性化合物のうち、一方がアミノ基末端のポリアミック酸であると、他方はテトラカルボン酸二無水物である。
【0090】
また、本実施形態では、第1管型混合部20が第1管型混合撹拌部21と第1温度調整部22との二重管で構成される場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第1管型混合部20を第1管型混合撹拌部21のみの一重管で構成し、この第1管型混合撹拌部21を温調用の液に浸漬するようにしてもよい。
【0091】
<第2実施形態>
次に、図2により、第2実施形態における重合体製造システムについて説明する。図2は、第2実施形態における重合体製造システムを示す図である。第2実施形態は、第1実施形態の構成(図1参照)に加えて、第1実施形態の第1管型混合部20の下流側に、第1流通式撹拌槽型混合部30を備える点において、第1実施形態と主に相違する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0092】
図2により、第2実施形態における重合体製造システム1Aについて説明する。
第2実施形態の重合体製造システム1Aは、第1実施形態の第4送液部L4の下流側の端部に、クッションタンクCTを設けずに、第1流通式撹拌槽型混合部30を配置する。
【0093】
第2実施形態の重合体製造システム1Aは、第1実施形態の重合体製造システム1に加えて、第1流通式撹拌槽型混合部30と、第1撹拌槽用開閉弁31と、第3供給ポンプ32と、クッションタンクCTと、制御部200Aと、を更に備える。送液ラインLは、第5送液部L5を更に有する。また、重合体製造システム1は、第3流量測定部321と、第2粘度測定部322と、を更に有する。
【0094】
第2実施形態の第1管型混合部20においては、第1合流混合液Bを気体に接触しない状態で撹拌して第1合流混合液Bの重合反応を進行させることで第1管混合液Cを生成する。本実施形態では、第1管型混合部20の下流側に第1流通式撹拌槽型混合部30が設けられているため、第1管型混合部20においては、第1合流混合液Bの重合反応を所定以上に進行させた状態で、第1管混合液Cを生成することが好ましい。例えば、第1管型混合部20における第1合流混合液Bから第1管混合液Cを生成する場合の反応率は、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
【0095】
第1流通式撹拌槽型混合部30は、第1管型混合部20の下流側に配置される。第1流通式撹拌槽型混合部30は、第1管混合液Cを気体に接触した状態で撹拌して第1撹拌槽混合液Dを生成する。第1流通式撹拌槽型混合部30は、第1管混合液Cの受け入れと、第1撹拌槽混合液Dの取り出しとを連続的に行う。
【0096】
第1流通式撹拌槽型混合部30は、撹拌槽型の反応器301と、複数の第1撹拌翼302(第1撹拌部材)と、を有する。反応器301は、温度調節用のジャケットが設けられた撹拌槽により構成される。第1撹拌翼302は、反応器301に導入された第1管混合液Cを撹拌して、第1撹拌槽混合液Dを生成する。本実施形態においては、第1流通式撹拌槽型混合部30は、第1管型混合部20と第1流通式撹拌槽型混合部30とが連続して設けられているうちの後段に配置されており、粘度が高い状態の液であるため、第1撹拌翼302として、高粘度用の撹拌部材を用いる。ここで、高粘度用の撹拌部材としては、例えば、アンカー翼;ヘリカルリボン翼;スクリュー翼;広幅パドル翼;ログボーン翼などが挙げられる。しかし、これらの撹拌部材は例示であり、これらに制限されない。
【0097】
なお、図には明示していないが、第1流通式撹拌槽型混合部30は、気泡を巻き込まないような工夫をしておくことが好ましい。例えば、反応器301の下部から第1管混合液Cを流入させる構成としたり、反応器301の上部から内挿管を差し込んで第1管混合液Cを壁面に伝わらせる構成としたり、出口を液中に配置することで、気泡を巻き込みにくくしておくことが好ましい。
【0098】
第1撹拌翼302は、気泡の巻き込みの無い条件で撹拌されることが好ましい。例えば、第1撹拌翼302は、気泡の巻き込みが無いように、低速で回転されることが好ましい。また、第1撹拌翼302の撹拌のフルード数を、例えば、0.02~200とすることが好ましい。ここで、フルード数(Fr=n・d/g、n:回転数、d:翼径、g:重力加速度)は、慣性力と重力の比である。例えば、n=20rpm、d=0.5mの場合には、Fr=20×0.5/9.8=32となる。
【0099】
以上の第1流通式撹拌槽型混合部30においては、開放状態で、第1管混合液Cの受け入れと、第1撹拌槽混合液Dの取り出しとを連続的に行いながら、反応器301に供給された第1管混合液Cを、第1撹拌翼302により撹拌する。
【0100】
以上の第1管型混合部20及び第1流通式撹拌槽型混合部30においては、第1管型混合部20を前段に配置し、第1流通式撹拌槽型混合部30を後段に配置することで、前段の第1管型混合部20において管の軸方向に粘度ムラがあった場合に、後段の第1流通式撹拌槽型混合部30において管の軸方向の粘度ムラを解消できる。
【0101】
例えば、第1液A1と第2液A2との比率の変動によって混合液に粘度ムラが生じた場合に、第1管型混合部20においては、混合液が管の軸方向に移動されるため、管の軸方向の混合液の粘度ムラを解消することができない。これに対して、第1管型混合部20を前段に配置し、第1流通式撹拌槽型混合部30を後段に配置することで、前段の第1管型混合部20で混合液の重合反応を進行させた後に、後段の第1流通式撹拌槽型混合部30で混合液を撹拌することにより、前段の第1管型混合部20では解消することができなかった第1管混合液Cの管の軸方向における粘度ムラを、後段の第1流通式撹拌槽型混合部30において解消することができる。
【0102】
第1管混合液Cを撹拌して生成された第1撹拌槽混合液Dは、第5送液部L5を介して、クッションタンクCTに供給される。
第5送液部L5は、第1流通式撹拌槽型混合部30とクッションタンクCTとをつなぐラインである。第5送液部L5における第1流通式撹拌槽型混合部30とクッションタンクCTとの間には、第1撹拌槽用開閉弁31、第3供給ポンプ32、及び第3流量測定部321が、上流側から下流側に向かってこの順で配置される。
【0103】
第1撹拌槽用開閉弁31は、第5送液部L5における第1流通式撹拌槽型混合部30の下方近傍に配置され、第3供給ポンプ32の上流側において、第5送液部L5を開閉する。後述する制御部200Aは、第1撹拌槽用開閉弁31の開閉動作や第3供給ポンプ32の吐出流量を制御することで、液が第1流通式撹拌槽型混合部30に滞留する滞留時間を制御する。
【0104】
第3供給ポンプ32は、第1流通式撹拌槽型混合部30に収容されている第1撹拌槽混合液DをクッションタンクCTに供給する。第3供給ポンプ32は、第1撹拌槽混合液Dを所定の流量で吐出する。必要に応じて、第3供給ポンプ32の上流にインラインの脱泡装置を設置してもよい。
【0105】
本実施形態では、第3供給ポンプ32は、定量ポンプでなくてもよい。なお、第3供給ポンプ32が定量ポンプであることが排除されるものではなく、第3供給ポンプ32は定量ポンプであってもよい。また、詳細は後述するが、第4実施形態では、第3供給ポンプ32(第1撹拌槽混合液供給部)は、定量ポンプで構成される。
【0106】
第3流量測定部321は、第5送液部L5における第3供給ポンプ32の下流側の第1撹拌槽混合液Dの流量を測定する。本実施形態においては、第3流量測定部321は、第3供給ポンプ32とクッションタンクCTとの間に配置される。第3流量測定部321は、測定した第1撹拌槽混合液Dの流量を後述する制御部200Aに出力する。
【0107】
第2粘度測定部322は、第5送液部L5における第3流量測定部321とクッションタンクCTとの間において、第1撹拌槽混合液Dの粘度情報を取得する。重合反応が進行することで粘度が上昇するため、粘度情報は、反応情報として有効な情報である。第2粘度測定部322は、取得した第1撹拌槽混合液Dの粘度情報を後述する制御部200Aに出力する。
【0108】
なお、本実施形態の第2粘度測定部322は、第1管混合液C及び第1撹拌槽混合液Dのいずれか1以上における物理量及び/又は組成に関する反応情報を取得する測定部の一例である。
【0109】
測定部は、上述の第1実施形態の第1粘度測定部222と同様に、本実施形態の第2粘度測定部322(物理量及び/又は組成の種類、測定方式)に限定されない。測定部は、測定対象における物理量及び/又は組成に関する1又は2以上の反応情報を取得するとともに、取得した反応情報を後述する制御部200Aに出力する。
【0110】
クッションタンクCTは、第1流通式撹拌槽型混合部30からの第1撹拌槽混合液Dを収容する。クッションタンクCTは、例えば、重合体であるポリアミック酸をイミド化してポリイミドを製造する際においては原料液を収容するタンクになる。
【0111】
制御部200Aについて説明する。制御部200Aには、第1実施形態の制御部200に接続される構成に加えて、第1撹拌槽用開閉弁31、第3供給ポンプ32、第3流量測定部321及び第2粘度測定部322が電気的に接続されている。なお、本明細書において、制御部200Aから各ポンプ、各測定部及び各弁への制御線の図示は省略している。
【0112】
制御部200Aは、各流量測定部113,123,321により測定された流量値に基づいて、各供給ポンプ112,122,32を制御する。
制御部200Aは、例えば、第1供給ポンプ112及び/又は第2供給ポンプ122を制御することにより、第1液A1に含まれる第1重合性化合物と第2液A2に含まれる第2重合性化合物とのモル比が所定範囲内になるように制御する。上記のモル比は、例えば、所望の性状のポリアミック酸が得られるように設定される。
【0113】
制御部200Aは、第1粘度測定部222(測定部)により取得された第1粘度情報(第1反応情報)及び/又は第2粘度測定部322(測定部)により取得された第2粘度情報(第2反応情報)に基づいて、第1供給ポンプ112及び/又は第2供給ポンプ122における供給を制御する。これにより、所望の性状(粘度)のポリアミック酸を得ることができる。
なお、制御部200Aは、第1実施形態における制御部200の機能も有するが、制御部200と共通する部分については詳細な説明を省略する。
【0114】
次に、第2実施形態における重合体製造システム1Aの動作を説明する。なお、第1実施形態における重合体製造システム1と同様の動作については説明を省略する。
上述の第1実施形態における重合体製造システム1の動作において、第1管型混合部20においては、管の軸方向において第1合流混合液Bの粘度ムラがあった場合に、第1合流混合液Bが管の軸方向に移動されるため、第1合流混合液Bの管の軸方向の粘度ムラを解消することができない。そのため、第2実施形態の重合体製造システム1Aにおいては、第1管型混合部20の下流側に、第1流通式撹拌槽型混合部30を配置する。
【0115】
第1管型混合部20において生成された第1管混合液Cは、第4送液部L4を送液されて、第1流通式撹拌槽型混合部30に供給される。
【0116】
第1流通式撹拌槽型混合部30においては、第1管混合液Cを気体に接触した状態で第1撹拌翼302により撹拌して第1撹拌槽混合液Dが生成される(第1撹拌槽混合工程)。第1撹拌翼302は、高粘度用の撹拌部材である。第1流通式撹拌槽型混合部30においては、第1管混合液Cの受け入れと、第1撹拌槽混合液Dの取り出しとが連続的に行われている。これにより、第1管型混合部20の管の軸方向において第1合流混合液Bの粘度ムラがあった場合に、前段の第1管型混合部20では解消することができない第1管混合液Cの管の軸方向における粘度ムラを、後段の第1流通式撹拌槽型混合部30において解消することができる。よって、所望の重合体を連続的に且つ安定的に得ることができる。
【0117】
第1流通式撹拌槽型混合部30において生成された第1撹拌槽混合液Dは、第5送液部L5を送液されて、クッションタンクCTに供給される。
【0118】
ここで、上述の重合体製造システム1Aの動作の途中において、第1粘度測定部222及び第2粘度測定部322は、粘度情報を取得している(測定工程)。
制御部200Aは、第1粘度測定部222(測定部)により取得された第1粘度情報(第1反応情報)及び/又は第2粘度測定部322(測定部)により取得された第2粘度情報(第2反応情報)に基づいて、第1供給ポンプ112及び/又は第2供給ポンプ122における供給を制御する(制御工程)。これにより、所望の性状(粘度)のポリアミック酸を得ることができる。
【0119】
第2実施形態の重合体製造システム1Aによれば、上述の第1実施形態における効果のほか、以下の効果を奏する。
重合体製造システム1Aは、第1管混合液Cを生成する第1管型混合部20と、第1管型混合部20の下流側に配置され、第1管混合液Cを気体に接触した状態で撹拌して第1撹拌槽混合液Dを生成し、第1管混合液Cの受け入れと第1撹拌槽混合液Dの取り出しとを連続的に行う第1流通式撹拌槽型混合部30と、を備える。このように、前段に配置される第1管型混合部20において混合された第1管混合液Cを、後段に配置される第1流通式撹拌槽型混合部30において撹拌して混合するため、第1管型混合部20の管の軸方向において第1合流混合液Bの粘度ムラがあった場合に、前段の第1管型混合部20では解消することができない第1管混合液Cの管の軸方向における粘度ムラを、後段の第1流通式撹拌槽型混合部30において解消することができる。よって、所望の重合体を連続的に且つ安定的に得ることができる。
【0120】
また、重合体製造システム1において、第1粘度測定部222(測定部)により取得された第1粘度情報(第1反応情報)及び/又は第2粘度測定部322(測定部)により取得された第2粘度情報(第2反応情報)に基づいて、第1供給ポンプ15及び/又は第2供給ポンプ16における供給を制御する。これにより、所望の性状(粘度)の重合体を得ることができる。
【0121】
<第3実施形態>
次に、図3により、第3実施形態における重合体製造システムについて説明する。図3は、第3実施形態における重合体製造システムを示す図である。第3実施形態の重合体製造システム1Bは、第1実施形態の構成(図1参照)に加えて、第1実施形態の第1管型混合部20の下流側に第2管型混合部40を備え、第1管型混合部20と第2管型混合部40の間に第3液A3を追加供給する点において、第1実施形態と主に相違する。なお、第3実施形態において、第1実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0122】
図3により、第3実施形態における重合体製造システム1Bについて説明する。
第3実施形態の重合体製造システム1Bは、第1実施形態の重合体製造システム1において生成された第1管混合液C及び原料である第3液A3を、第2合流部J2において合流させて混合して第2合流混合液Eを生成し、第2管型混合部40において撹拌して重合反応進行させることで第2管混合液Fを生成して、ポリアミック酸(重合体)を製造するよう構成されている。
【0123】
第3実施形態の重合体製造システム1Bは、第1実施形態の重合体製造システム1の第4送液部L4の下流側の端部に、クッションタンクCTを設けずに、第2合流部J2を配置して、第2合流部J2において第3液A3を追加供給する。第3実施形態においては、追加液用供給ポンプ132より追加供給される第3液A3の供給を制御することで、所望の性状のポリアミック酸を得る。そのため、第3液A3の供給精度が高いことが好ましく、第3実施形態では、後述する追加液用供給ポンプ132は定量ポンプで構成される。
【0124】
第3実施形態の重合体製造システム1Bは、第1実施形態の重合体製造システム1に加えて、第3タンク13と、第3タンク用開閉弁131と、追加液用供給ポンプ132(第3液供給部)と、第2管型混合部40と、クッションタンクCTと、制御部200Bと、を更に備える。また、送液ラインLは、第6送液部L6と、第7送液部L7と、第8送液部L8と、を更に有する。また、第3実施形態の重合体製造システム1Bは、追加液用流量測定部133と、第3粘度測定部422と、を更に有する。
【0125】
第3タンク13は、第3重合性化合物を含む第3液A3を収容する。本実施形態では、第1管混合液Cに含まれるのが酸無水物基末端のポリアミック酸であり、ジアミン又はアミノ基末端のポリアミック酸の第3重合性化合物を含む溶液状の第3液A3を供給する場合について説明する。
【0126】
第6送液部L6における第3タンク13と第2合流部J2との間には、第3タンク用開閉弁131、追加液用供給ポンプ132、及び追加液用流量測定部133が、上流側から下流側に向かってこの順で配置される。
【0127】
第3タンク用開閉弁131は、第6送液部L6における第3タンク13の下方近傍に配置され、追加液用供給ポンプ132の上流側において、第6送液部L6を開閉する。
【0128】
追加液用供給ポンプ132(第3液供給部)は、第3タンク13に収容されている第3液A3を第2合流部J2に供給する。追加液用供給ポンプ132は、第3液A3を所定の流量で吐出する。例えば、追加液用供給ポンプ132は、所望の性状のポリアミック酸が得られる条件で第3液A3を供給するよう調整される。追加液用供給ポンプ132における供給量は、第2管混合液Fにおける性状や組成に応じて設定できる。
【0129】
第3実施形態では、追加液用供給ポンプ132は、上述の理由により、定量ポンプで構成される。
追加液用供給ポンプ132は、スラリー状の第3液A3を供給する場合には、上述の第1供給ポンプ112と同様に、ポンプが詰まることなくスラリー状の第3液A3を送液可能なものが用いられる。
また、追加液用供給ポンプ132は、溶液状の第3液A3を供給する場合には、上述の第2供給ポンプ122と同様に、スラリー状の液を送液するものではなく、溶液を送液できる定量ポンプで構成される。
【0130】
追加液用流量測定部133は、第6送液部L6における追加液用供給ポンプ132の下流側の第3液A3の流量を測定する。本実施形態においては、追加液用流量測定部133は、第3タンク13と第2合流部J2との間に配置される。追加液用流量測定部133は、測定した第3液A3の流量を後述する制御部200Bに出力する。
追加液用流量測定部133の下流側には、第2合流部J2が配置される。
【0131】
第2合流部J2は、第1管型混合部20及び第3供給ポンプ32の下流側に配置される。第2合流部J2は、第1管型混合部20からの第1管混合液Cと、追加液用供給ポンプ132からの第3液A3とを合流させて混合して第2合流混合液Eを生成する。第2合流部J2においては、第1管混合液Cと第3液A3とを気体に接触しない状態で合流させる。第2合流部J2は、第1管型混合部20からの第1管混合液Cと、追加液用供給ポンプ132からの第3液A3とを合流させる合流弁により構成される。
【0132】
第2管型混合部40は、第2合流部J2の下流側に配置される。第2管型混合部40は、第2合流混合液Eを気体に接触しない状態で撹拌して重合反応を進行させることで第2管混合液Fを生成する。
【0133】
第2管型混合部40は、所定方向に延びる二重管で構成された管型の反応器を含んで構成される。第2管型混合部40は、径方向の内側に配置される第2管型混合撹拌部41と、径方向の外側に配置される第2温度調整部42と、を有する。第2管型混合部40は、第2合流混合液Eが所望の滞留時間で流通するように形成されている。
【0134】
第2管型混合撹拌部41は、第2合流混合液Eを撹拌する。本実施形態においては、第2管型混合撹拌部41は、第2温度調整部42により重合反応に適した温度に調整された第2合流混合液Eを撹拌する。
第2管型混合撹拌部41の構成及び構成の具体例は、上述の第1管型混合撹拌部21と同様の構成及び構成の具体例を適用できる。
【0135】
第2温度調整部42は、第2管型混合撹拌部41の径方向の外側に配置される配管部である。第2温度調整部42は、第2管型混合撹拌部41を流通する第2合流混合液Eを、所望の温度条件に温調(例えば、冷却)する。第2温度調整部42において、第2合流混合液Eは、重合反応に適した温度に調整され、第2管型混合撹拌部41を流通される。
【0136】
生成された第2管混合液Fは、第8送液部L8を介して、クッションタンクCTに供給される。
【0137】
第3粘度測定部422は、第8送液部L8において、第2管混合液Fの粘度情報を取得する。重合反応が進行することで粘度が上昇するため、粘度情報は、反応情報として有効な情報である。第3粘度測定部422は、取得した第2管混合液Fの粘度情報を後述する制御部200Bに出力する。
【0138】
なお、本実施形態の第3粘度測定部422は、上述の第1粘度測定部222及び第2粘度測定部322と同様に、第2管混合液Fのいずれか1以上における物理量及び/又は組成に関する反応情報を取得する測定部の一例である。
【0139】
制御部200Bについて説明する。制御部200Bには、第1実施形態の制御部200に接続される構成に加えて、追加液用供給ポンプ132(第3液供給部)、追加液用流量測定部133、及び第3粘度測定部422が電気的に接続されている。なお、本明細書において、制御部200Bから各ポンプ、各測定部及び各弁への制御線の図示は省略している。
【0140】
制御部200Bは、第1粘度測定部222(測定部)により取得された第1粘度情報(第1反応情報)、及び/又は第3粘度測定部422(測定部)により取得された第3粘度情報(第3反応情報)に基づいて、第1供給ポンプ112、第2供給ポンプ122及び/又は追加液用供給ポンプ132における供給を制御する。これにより、所望の性状(粘度)のポリアミック酸を得ることができる。
なお、制御部200Bは、第1実施形態における制御部200の機能も有するが、制御部200と共通する部分については詳細な説明を省略する。
【0141】
次に、第3実施形態における重合体製造システム1Bの動作を説明する。なお、第1実施形態における重合体製造システム1と同様の動作については説明を省略する。
重合体製造システム1Bにおいて、第1実施形態で説明した第1管型混合部20において生成された第1管混合液Cは、第2合流部J2に供給される(第1管混合工程)。
また、追加液用供給ポンプ132は、第3液A3を第2合流部J2に供給する(第3液供給工程)。
【0142】
ここで、追加液用供給ポンプ132は、第1粘度測定部222(測定部)により取得された第1粘度情報(第1反応情報)、及び/又は第3粘度測定部422(測定部)により取得された第3粘度情報(第3反応情報)に基づいて、第1管混合液C及び第3液A3を所望の割合で供給するように、吐出流量が制御部200Bにより制御されている。追加液用供給ポンプ132は、第3液A3を所望の割合で供給するように、吐出流量が制御部200Bにより制御されている。
【0143】
これにより、第2合流部J2には、第1管混合液C及び第3液A3が供給される。第2合流部J2においては、第1管混合液Cと、追加液用供給ポンプ132により供給された第3液A3とが合流して混合され、第2合流混合液Eが生成される(第2合流工程)。
【0144】
第2合流部J2において生成された第2合流混合液Eは、第7送液部L7を送液されて、第2管型混合部40に供給される。
【0145】
第2管型混合部40においては、第2合流混合液Eの重合反応を進行させることで第2管混合液Fが生成される(第2管混合工程)。第2管型混合部40においては、第2合流混合液Eを撹拌して、重合反応を進行させる。第2管型混合部40がスタティックミキサー等の静止型混合器である場合、第2合流混合液Eは通液されるだけで撹拌される。
【0146】
第2管型混合部40において生成された第2管混合液Fは、第8送液部L8を送液されて、クッションタンクCTに供給される。
【0147】
第3実施形態の重合体製造システム1Bによれば、上述の第1実施形態における効果のほか、以下の効果を奏する。
重合体製造システム1Bは、1段階目の処理を行う第1管型混合部20と、その下流側に、2段階目の処理を行う第2管型混合部40を備える。そのため、重合体製造システム1Bは、重合反応を2段階で行うように構成されている。これにより、重合体製造システム1Bによれば、目標とする反応率等を達成することがより容易になり、製造されるポリアミック酸の品質や歩留まり等をより向上させることができる。
【0148】
また、重合体製造システム1Bにおいて第1粘度測定部222(測定部)により取得された第1粘度情報(第1反応情報)、及び/又は第3粘度測定部422(測定部)により取得された第3粘度情報(第3反応情報)に基づいて、第1供給ポンプ112、第2供給ポンプ122及び/又は追加液用供給ポンプ132における供給を制御する。これにより、所望の性状(粘度)の重合体を得ることができる。
【0149】
<第4実施形態>
次に、図4により、第4実施形態における重合体製造システムについて説明する。図4は、第4実施形態における重合体製造システムを示す図である。第4実施形態の重合体製造システム1Cは、第3実施形態(図3参照)の構成に加えて、第1管型混合部20の下流側に第1流通式撹拌槽型混合部30を備えるとともに、第2管型混合部40の下流側に第2流通式撹拌槽型混合部50を備える点において、第3実施形態と主に相違する。第1管型混合部20の下流側に第1流通式撹拌槽型混合部30を配置する構成は、第2実施形態の重合体製造システム1Aと同様である。第4実施形態において、第2実施形態及び第3実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0150】
図4により、第4実施形態における重合体製造システム1Cについて説明する。
第4実施形態の重合体製造システム1Cは、第1管型混合部20において撹拌して重合反応進行させることで第1管混合液Cを生成し、第1流通式撹拌槽型混合部30において気体に接触した状態で撹拌して第1撹拌槽混合液Dを生成し、第1撹拌槽混合液D及び原料である第3液A3を、第2合流部J2において合流させて混合して第2合流混合液Eを生成する。そして、第2管型混合部40において撹拌して重合反応進行させることで第2管混合液Fを生成して、その後、第2流通式撹拌槽型混合部50において気体に接触した状態で撹拌して第2撹拌槽混合液Gを生成して、ポリアミック酸(重合体)を製造するよう構成されている。
【0151】
第4実施形態の重合体製造システム1Cは、第3実施形態の重合体製造システム1Bに加えて、第1管型混合部20と第2合流部J2との間に第1流通式撹拌槽型混合部30及び第3供給ポンプ32が配置され、第2管型混合部40の下流側に、第2流通式撹拌槽型混合部50と、第2撹拌槽用開閉弁51と、第4供給ポンプ52と、が配置される。第1流通式撹拌槽型混合部30及び第3供給ポンプ32は、第2実施形態の重合体製造システム1Aと同様の構成である。また、送液ラインLは、第9送液部L9を更に有する。また、第4実施形態の重合体製造システム1Cは、第4流量測定部521と、第4粘度測定部522と、を更に有する。
【0152】
第1流通式撹拌槽型混合部30及び第3供給ポンプ32は、第1管型混合部20と第2合流部J2との間に配置される。第1流通式撹拌槽型混合部30に関連する構成は、第2実施形態の第1流通式撹拌槽型混合部30の説明を援用できる。第1流通式撹拌槽型混合部30において生成された第1撹拌槽混合液Dは、第3供給ポンプ32の供給動作により第5送液部L5を送液されて、第2合流部J2に供給される。
【0153】
第4実施形態の重合体製造システム1Cにおいては、第3供給ポンプ32(第1撹拌槽混合液供給部)は、定量ポンプで構成される。第4実施形態においては、第3供給ポンプ32により供給される第1撹拌槽混合液Dと、追加液用供給ポンプ132より追加供給される第3液A3と、の供給を制御することで、所望の性状のポリアミック酸を得る。そのため、第1撹拌槽混合液D及び第3液A3の供給精度が高いことが好ましく、第4実施形態では、第3供給ポンプ32が定量ポンプで構成されるとともに、追加液用供給ポンプ132も定量ポンプで構成される。
【0154】
第4実施形態の第2管型混合部40においては、第2合流混合液Eを気体に接触しない状態で撹拌して第2合流混合液Eの重合反応を進行させることで第2管混合液Fを生成する。本実施形態では、第2管型混合部40の下流側に第2流通式撹拌槽型混合部50が設けられているため、第2管型混合部40においては、第2合流混合液Eの重合反応を所定以上に進行させた状態で、第2管混合液Fを生成することが好ましい。例えば、第2管型混合部40における第2合流混合液Eから第2管混合液Fを生成する場合の反応率は、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
【0155】
第2流通式撹拌槽型混合部50は、第2管型混合部40の下流側に配置される。第2流通式撹拌槽型混合部50は、第2管混合液Fを気体に接触した状態で撹拌して第2撹拌槽混合液Gを生成する。第2流通式撹拌槽型混合部50は、第2管混合液Fの受け入れと、第2撹拌槽混合液Gの取り出しとを連続的に行う。
【0156】
第2流通式撹拌槽型混合部50は、撹拌槽型の反応器501と、複数の第2撹拌翼502(第2撹拌部材)と、を有する。反応器501は、温度調節用のジャケットが設けられた撹拌槽により構成される。第2撹拌翼502は、反応器501に導入された第2管混合液Fを撹拌して第2撹拌槽混合液Gを生成する。本実施形態においては、第2流通式撹拌槽型混合部50が第2管型混合部40の下流側に配置されており、粘度が高い状態の液であるため、第2撹拌翼502として、高粘度用の撹拌部材を用いる。高粘度用の撹拌部材の一例としては第2実施形態に示したものと同様のものを挙げることができる。また、第2撹拌翼502は、第2実施形態の第1撹拌翼302と同様に、気泡の巻き込みが無い条件で撹拌されることが好ましい。
【0157】
なお、図には明示していないが、第2流通式撹拌槽型混合部50は、上述の第1流通式撹拌槽型混合部30と同様に、気泡を巻き込まないような工夫をしておくことが好ましい。例えば、反応器501の下部から第2管混合液Fを流入させる構成としたり、反応器501の上部から内挿管を差し込んで第2管混合液Fを壁面に伝わらせる構成としたり、出口を液中に配置することで、気泡を巻き込みにくくしておくことが好ましい。
【0158】
以上の第2流通式撹拌槽型混合部50においては、開放状態で、第2管混合液Fの受け入れと、第2撹拌槽混合液Gの取り出しとを連続的に行いながら、反応器501に供給された第2管混合液Fを、第2撹拌翼502により撹拌する。
【0159】
以上の第2管型混合部40及び第2流通式撹拌槽型混合部50においては、第2管型混合部40を前段に配置し、第2流通式撹拌槽型混合部50を後段に配置することで、前段の第2管型混合部40において管の軸方向に粘度ムラがあった場合に、後段の第2流通式撹拌槽型混合部50において管の軸方向の粘度ムラを解消できる。
【0160】
例えば、第1撹拌槽混合液Dと第3液A3との比率の変動によって混合液に粘度ムラが生じた場合に、第2管型混合部40においては、混合液が管の軸方向に移動されるため、管の軸方向の混合液の粘度ムラを解消することができない。これに対して、第2管型混合部40を前段に配置し、第2流通式撹拌槽型混合部50を後段に配置することで、前段の第2管型混合部40で混合液の重合反応を進行させた後に、後段の第2流通式撹拌槽型混合部50で混合液を撹拌することにより、前段の第2管型混合部40では解消することができなかった第2管混合液Fの管の軸方向における粘度ムラを、後段の第2流通式撹拌槽型混合部50において解消することができる。
【0161】
第2管混合液Fを撹拌して重合反応を進行させて生成された第2撹拌槽混合液Gは、第9送液部L9を介して、クッションタンクCTに供給される。
第9送液部L9は、第2流通式撹拌槽型混合部50とクッションタンクCTとをつなぐラインである。第9送液部L9における第2流通式撹拌槽型混合部50とクッションタンクCTとの間には、第2撹拌槽用開閉弁51、第4供給ポンプ52、及び第4流量測定部521が、上流側から下流側に向かってこの順で配置される。
【0162】
第2撹拌槽用開閉弁51は、第9送液部L9における第2流通式撹拌槽型混合部50の下方近傍に配置され、第4供給ポンプ52の上流側において、第9送液部L9を開閉する。後述する制御部200Cは、第2撹拌槽用開閉弁51の開閉動作や第4供給ポンプ52の吐出流量を制御することで、液が第2流通式撹拌槽型混合部50に滞留する滞留時間を制御する。
【0163】
第4供給ポンプ52は、第2流通式撹拌槽型混合部50に収容されている第2撹拌槽混合液GをクッションタンクCTに供給する。第4供給ポンプ52は、第2撹拌槽混合液Gを所定の流量で吐出する。必要に応じて、第4供給ポンプ52の上流にインラインの脱泡装置を設置してもよい。
【0164】
本実施形態では、第4供給ポンプ52は、定量ポンプでなくてもよい。なお、第4供給ポンプ52が定量ポンプであることが排除されるものではなく、第4供給ポンプ52は定量ポンプであってもよい。
【0165】
第4流量測定部521は、第9送液部L9における第4供給ポンプ52の下流側の第2撹拌槽混合液Gの流量を測定する。本実施形態においては、第4流量測定部521は、第4供給ポンプ52とクッションタンクCTとの間に配置される。第4流量測定部521は、測定した第2撹拌槽混合液Gの流量を後述する制御部200Cに出力する。
【0166】
第4粘度測定部522は、第9送液部L9における第4流量測定部521とクッションタンクCTとの間において、第2撹拌槽混合液Gの粘度情報を取得する。重合反応が進行することで粘度が上昇するため、粘度情報は、反応情報として有効な情報である。第4粘度測定部522は、取得した第2撹拌槽混合液Gの粘度情報を後述する制御部200Cに出力する。
【0167】
なお、本実施形態の及び第4粘度測定部522は、上述の第1粘度測定部222、第2粘度測定部322及び第3粘度測定部422と同様に、第2撹拌槽混合液Gのいずれか1以上における物理量及び/又は組成に関する反応情報を取得する測定部の一例である。
【0168】
制御部200Cについて説明する。制御部200Cには、第2実施形態の制御部200A及び第3実施形態の制御部200Bに接続される構成に加えて、第4供給ポンプ52、第4流量測定部521、及び第4粘度測定部522が電気的に接続されている。なお、本明細書において、制御部200Cから各ポンプ、各測定部及び各弁への制御線の図示は省略している。
【0169】
制御部200Cは、第1粘度測定部222(測定部)により取得された第1粘度情報(第1反応情報)、第2粘度測定部322(測定部)により取得された第2粘度情報(第2反応情報)、第3粘度測定部422(測定部)により取得された第3粘度情報(第3反応情報)、及び/又は第4粘度測定部522(測定部)により取得された第4粘度情報(第3反応情報)に基づいて、第3供給ポンプ32及び/又は追加液用供給ポンプ132における供給を制御する。これにより、所望の性状(粘度)のポリアミック酸を得ることができる。
なお、制御部200Cは、第3実施形態における制御部200Bの機能も有するが、制御部200Bと共通する部分については詳細な説明を省略する。
【0170】
次に、第4実施形態における重合体製造システム1Cの動作を説明する。なお、第1実施形態~第3実施形態における重合体製造システム1~1Bと同様の動作については説明を省略する。
重合体製造システム1Cにおいて、第2実施形態で説明した第1流通式撹拌槽型混合部30において生成された第1撹拌槽混合液Dは、第3供給ポンプ32の供給動作により第5送液部L5を送液されて、第2合流部J2に供給される(第1撹拌槽混合工程)。
また、追加液用供給ポンプ132は、第3液A3を第2合流部J2に供給する(第3液供給工程)。
【0171】
ここで、第3供給ポンプ32及び追加液用供給ポンプ132は、第1粘度測定部222(測定部)により取得された第1粘度情報(第1反応情報)、第2粘度測定部322(測定部)により取得された第2粘度情報(第2反応情報)、第3粘度測定部422(測定部)により取得された第3粘度情報(第3反応情報)及び/又は第4粘度測定部522(測定部)により取得された第4粘度情報(第4反応情報)に基づいて、第1撹拌槽混合液D及び第3液A3を所望の割合で供給するように、互いの吐出流量が制御部200Cにより制御されている。追加液用供給ポンプ132は、第3液A3を所望の割合で供給するように、吐出流量が制御部200Cにより制御されている。
【0172】
これにより、第2合流部J2には、第1撹拌槽混合液D及び第3液A3が供給される。第2合流部J2においては、第3供給ポンプ32により供給された第1撹拌槽混合液Dと、追加液用供給ポンプ132により供給された第3液A3とが合流して混合され、第2合流混合液Eが生成される(第2合流工程)。
【0173】
第2合流部J2において生成された第2合流混合液Eは、第3供給ポンプ32及び追加液用供給ポンプ132の供給動作により第7送液部L7を送液されて、第2管型混合部40に供給される。
【0174】
第2管型混合部40においては、第2合流混合液Eの重合反応を進行させることで第2管混合液Fが生成される(第2管混合工程)。第2管型混合部40においては、第2合流混合液Eを撹拌して、重合反応を進行させる。第2管型混合部40がスタティックミキサー等の静止型混合器である場合、第2合流混合液Eは通液されるだけで撹拌される。ここで、第2管型混合部40においては、管の軸方向において第2合流混合液Eの粘度ムラがあった場合に、第2合流混合液Eが管の軸方向に移動されるため、第2合流混合液Eの管の軸方向の粘度ムラを解消することができない。
【0175】
第2管型混合部40において生成された第2管混合液Fは、第8送液部L8を送液されて、第2流通式撹拌槽型混合部50に供給される。
【0176】
第2流通式撹拌槽型混合部50においては、第2管混合液Fを気体に接触した状態で第2撹拌翼502により撹拌して第2撹拌槽混合液Gが生成される(第2撹拌槽混合工程)。第2撹拌翼502は、高粘度用の撹拌部材である。第2流通式撹拌槽型混合部50においては、第2管混合液Fの受け入れと、第2撹拌槽混合液Gの取り出しとが連続的に行われている。これにより、前段の第2管型混合部40では解消することができない第2管混合液Fの管の軸方向における粘度ムラを、後段の第2流通式撹拌槽型混合部50において解消することができる。よって、所望の重合体を連続的に且つ安定的に得ることができる。
【0177】
第2流通式撹拌槽型混合部50において生成された第2撹拌槽混合液Gは、第9送液部L9を送液されて、クッションタンクCTに供給される。
【0178】
第4実施形態の重合体製造システム1Cによれば、上述の第3実施形態における効果のほか、以下の効果を奏する。
重合体製造システム1Cは、1段階目の処理を行う第1管型混合部20と第1流通式撹拌槽型混合部30とを備え、その下流側に、2段階目の処理を行う第2管型混合部40と第2流通式撹拌槽型混合部50とを備える。そのため、1段階目の処理において、前段の第1管型混合部20では解消することができない第1管混合液Cの管の軸方向における粘度ムラを、後段の第1流通式撹拌槽型混合部30において解消することができるとともに、2段階目の処理において、前段の第2管型混合部40では解消することができない第2管混合液Fの管の軸方向における粘度ムラを、後段の第2流通式撹拌槽型混合部50において解消することができる。よって、所望の重合体を連続的に且つ安定的に得ることができる。
【0179】
また、重合体製造システム1Cにおいて第1粘度測定部222(測定部)により取得された第1粘度情報(第1反応情報)、第2粘度測定部322(測定部)により取得された第2粘度情報(第2反応情報)、第3粘度測定部422(測定部)により取得された第3粘度情報(第3反応情報)及び/又は第4粘度測定部522(測定部)により取得された第4粘度情報(第3反応情報)に基づいて、第3供給ポンプ32及び/又は追加液用供給ポンプ132における供給を制御する。これにより、所望の性状(粘度)の重合体を得ることができる。
【0180】
<変形例>
以上、4つの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形、改良等は本発明に含まれる。
【0181】
例えば、上述の実施形態の重合体製造システムにおいて、第1実施形態では第1管型混合部において液を撹拌して混合を行うように構成し、第2実施形態では第1管型混合部及び第1流通式撹拌槽型混合部において液を撹拌して混合を行うように構成し、第3実施形態では第1管型混合部及び第2管型混合部において液を撹拌して混合を行うように構成し、第4実施形態では第1管型混合部及び第1流通式撹拌槽型混合部における液を撹拌して混合した後に、第2管型混合部及び第2流通式撹拌槽型混合部において液を撹拌して混合を行うように構成した。しかし、これに限定されない。第1実施形態~第4実施形態のいずれかの実施形態の構成の下流側に、1段又は複数段の管型混合部又は流通式撹拌槽型混合部を設けてもよい。また、第3実施形態の第1管型混合部と第2管型混合部との間に、1段又は複数段の管型混合部又は流通式撹拌槽型混合部を設けてもよいし、第4実施形態の第1管型混合部及び第1流通式撹拌槽型混合部と、第4実施形態の第2管型混合部及び第2流通式撹拌槽型混合部との間に、1段又は複数段の管型混合部又は流通式撹拌槽型混合部を設けてもよい。
【0182】
また、上述の実施形態では、ポリアミック酸又はポリイミドを製造する重合体製造システムについて説明したが、製造する重合体はこれらに限定されない。例えば、重合体製造システムは、ウレタンモノマー、エポキシモノマー等の重付加性モノマーを用いて重合体を製造するものであってもよい。
【0183】
また、上述の実施形態では、粘度測定部により第1管混合液C、第1撹拌槽混合液D、第2管混合液F、及び/又は第2撹拌槽混合液Gの粘度に関する粘度情報を取得して、取得した粘度情報に基づいて、滞留時間の制御や、液A1,A2,A3の供給量を制御したが、これに限定されない。例えば、第1管混合液C、第1撹拌槽混合液D、第2管混合液F、及び/又は第2撹拌槽混合液Gの吸光度に関する吸光度情報を取得して、取得した吸光度情報に基づいて、滞留時間の制御や、液A1,A2,A3の供給量を制御してもよい。
【0184】
また、上述の実施形態では、第1液A1がスラリー状であり、第2液A2が溶液状である場合について説明したが、これに限定されない。例えば、第1液A1が溶液状であって、第2液がスラリー状であってもよいし、第1液A1及び第2液A2の両方がスラリー状であってもよい。
【符号の説明】
【0185】
1、1A、1B、1C 重合体製造システム
10 スラリー液調製タンク(スラリー調製部)
20 第1管型混合部
30 第1流通式撹拌槽型混合部
32 第3供給ポンプ(第1撹拌槽混合液供給部)
40 第2管型混合部
50 第2流通式撹拌槽型混合部
102 脱泡ポンプ(脱泡部)
112 第1供給ポンプ(第1液供給部)
122 第2供給ポンプ(第2液供給部)
132 追加液用供給ポンプ(第3液供給部)
200、200A、200B、200C 制御部
222 第1粘度測定部
322 第2粘度測定部
A1 第1液
A2 第2液
A3 第3液
B 第1合流混合液
C 第1管混合液
D 第1撹拌槽混合液
E 第2合流混合液
F 第2管混合液
G 第2撹拌槽混合液
J1 第1合流部
J2 第2合流部
L 送液ライン
図1
図2
図3
図4