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  • 特許-成形品の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B27N 3/02 20060101AFI20230824BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20230824BHJP
   C08L 97/00 20060101ALI20230824BHJP
   B29C 43/34 20060101ALI20230824BHJP
   B29K 101/10 20060101ALN20230824BHJP
【FI】
B27N3/02 D
C08L101/00
C08L97/00
B29C43/34
B29K101:10
【請求項の数】 35
(21)【出願番号】P 2021515467
(86)(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 FI2019050679
(87)【国際公開番号】W WO2020058579
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-05-30
(31)【優先権主張番号】20185787
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】519163599
【氏名又は名称】ウーディオ オサケユキチュア
【氏名又は名称原語表記】WOODIO OY
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179903
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】ペトロ ラーティネン
(72)【発明者】
【氏名】トゥオモ ニッキネン
(72)【発明者】
【氏名】ティモ フーマライネン
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/087428(WO,A2)
【文献】特開2006-130825(JP,A)
【文献】特開平11-307663(JP,A)
【文献】特開平08-142016(JP,A)
【文献】特開2003-305707(JP,A)
【文献】特開昭59-158242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27N 1/00 - 9/00
C08L 101/00
C08L 97/00
B29C 43/34
B29K 101/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂と該熱硬化性樹脂よりも小さな密度を有する多孔性天然材料の粒子とによって形成された複合材料を備え、前記複合材料は硬化された前記熱硬化性樹脂の連続マトリックスと、該マトリックス内に分散され、前記熱硬化性樹脂によって少なくとも部分的に包まれている前記天然材料の前記粒子とを有する、成形品を製造する方法であって、前記方法は、
2つの対向するプレス面であって、それらの間に空間を規定する2つの対向するプレス面を有する型を提供するステップと、
前記多孔性天然材料の前記粒子を前記プレス面間の前記空間に供給するステップと、
前記プレス面を互いに向かって前進させて前記空間中の前記粒子を圧縮するステップと、
前記天然多孔性粒子を前記プレス面間で圧縮し続けながら、液体形態の未硬化の熱硬化性樹脂を前記型内に供給して、少なくとも前記プレス面間の前記空間を満たすステップと、
前記型中で前記熱硬化性樹脂を硬化させて成形複合品を提供するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記粒子を前記プレス面間の前記空間に供給するステップと、前記プレス面間で前記粒子を圧縮するステップと、前記未硬化の熱硬化性樹脂の供給の間、前記粒子を前記プレス面間で圧縮し続けるステップとを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プレス面を互いに向かって前進させて、第1の圧力(F1)を用いて前記空間中の前記粒子を圧縮するステップと、
第2の圧力(F2)で液体形態の未硬化の熱硬化性樹脂を前記型に供給して、少なくとも前記プレス面間の前記空間を満たすステップと、
前記型中の前記熱硬化性樹脂を硬化させて、成形複合品を供給するステップと、
を含み、前記第1の圧力(F1)は前記第2の圧力(F2)以上である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記粒子は、前記第1の圧力に対応する圧力を用いて圧縮され続ける、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記プレス面は、本質的に平行構成で配置された平面プレートを示す、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記粒子を圧縮するために前記プレス面を互いに向かって前進させるステップは、1つの固定プレス面と、該固定プレス面の方向に向かって前進させることができる、対向する可動プレス面とを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
液体形態の前記未硬化の熱硬化性樹脂は、前記プレス面間に横方向に供給される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
未硬化の熱硬化性樹脂の供給の間、前記型から空気のようなガスを除去するステップを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記型の内部に減圧を適用して未硬化の樹脂を前記型内に供給するのを補助するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記粒子は、多孔性セルロース系材料;リグノセルロース系材料;および機械的、化学的または熱処理によってセルロースまたはリグノセルロース材料から誘導された材料の群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
多孔性天然材料の前記粒子は、木材、一年生または多年生植物の粒子、繊維、チップおよび顆粒、および機械的、化学的または熱処理によって得られた木材、一年生または多年生植物から得られた材料の群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
多孔性天然材料の粒子は、針葉樹または落葉樹の木材、特にヤマナラシ、ポプラ、シラカバ、ブナまたはハンノキなどの針葉樹、あるいはマツなどの落葉樹の木材由来の木材チップ、木材顆粒または木材繊維を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
木材チップから選択された多孔性天然材料の粒子を用いるステップであって、前記チップの大部分が、それぞれ1~10mm、特に1~7.5mm;または0.5~3mmの篩寸法を有する、ステップを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記熱硬化性樹脂は、木材粒子などの前記天然材料に対して、100:1~50:100、特に100:10~80:100、例えば100:50~100:100の質量比で前記型に供給される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記型は樹脂トランスファーモールドである、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記混合物は、水の沸点よりも低い温度で前記型において成形される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
木材チップなどの前記多孔性天然材料の粒子を未硬化の熱硬化性樹脂で含浸させるステップを備える、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
木材粒子のような板状粒子を用いるステップであって、前記板状粒子は、成形の間、相互連結して3次元構造に自己組織化することが可能である、ステップを備える、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記混合物は、室温で触媒活性化により前記型中で硬化される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記型中で未硬化の熱硬化性樹脂によって形成された液体と前記多孔性天然材料の前記粒子とを、10:100~40:100の比率で接触させるステップを備える、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記熱硬化性樹脂マトリックスは、本質的に透明または半透明の熱硬化性樹脂を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記熱硬化性樹脂マトリックスは、ポリエステル樹脂、特に芳香族ポリエステル樹脂、またはエポキシ樹脂または尿素ホルムアルデヒド樹脂またはメラミンホルムアルデヒド樹脂またはメラミン尿素ホルムアルデヒド樹脂を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
木材チップのような前記多孔性天然材料の前記粒子が、前記複合材料の前記樹脂マトリックス全体に分散している、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記複合材料内の前記多孔性天然材料の個々の粒子の大部分は、前記熱硬化性樹脂によって被覆されている、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも50体積%、特に70~100体積%の前記多孔性天然材料の前記粒子は、前記熱硬化性樹脂マトリックス内の前記熱硬化性樹脂によって包まれている、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
特に多孔性天然材料の粒子として、0.5~3mmの篩寸法を有する木材チップを用いたときに、室温で少なくとも168時間の期間にわたって水に浸漬したときに、0.5%未満、特に0.3%未満の吸水率を有する成形品を提供するステップを備える、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記プレス面を互いに向かって前進させて前記多孔性天然材料の前記粒子を前記空間中で第1の圧力(F1)で圧縮するステップと、液体形態の未硬化の熱硬化性樹脂を第2の圧力(F2)で前記型中に供給して、前記プレス面間の少なくとも前記空間を満たすステップと、前記型中の前記熱硬化性樹脂を硬化させて成形複合品を提供するステップとを備え、前記第2の圧力は少なくとも101kPa、特に約150~10MPa、例えば200kPa~2MPaである、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記成形品の表面上にゲルコート被覆、例えば、イソフタル酸/ネオペンチルグリコールポリエステル樹脂によって形成されたゲルコート被覆を適用するステップを備える、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記多孔性天然材料は、前記熱硬化性樹脂と混合される前に、前処理、例えば熱処理されている、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記多孔性天然材料は、前記熱硬化性樹脂と混合される前に、15質量%未満、特に10質量%未満、好ましくは7.5質量%未満の湿度を有している、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記多孔性天然材料の前記粒子は、前記硬化された熱硬化性樹脂によって形成された前記樹脂マトリックス全体に均一に分散されている、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記多孔性天然材料は、前記熱硬化性樹脂の密度よりも、少なくとも10%、または少なくとも20%、特に少なくとも30%、例えば少なくとも50%小さい、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
請求項1~32のいずれか一項に記載の方法によって得られた成形品。
【請求項34】
水との連続的または断続的な接触に晒される構造における請求項33による成形品の使用。
【請求項35】
前記使用は、室内または室外使用のための家具、台所および浴室、またはボートおよび類似の浮遊具の備品の製造においてである、請求項34に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子樹脂と天然材料の粒子とを備える成形品に関する。特に、本発明は、高分子樹脂と天然材料の粒子との成形品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーと木材との複合材料は、当業に公知である。このような複合材料の代表は、材料の構造部分がベニヤなどの薄いシートまたは粒子の形の木材によって形成されている木製パネルである。例としては、合板やパーティクルボード、様々な繊維ボードなどが挙げられる。
【0003】
従来のパーティクルボードは、木材チップ、製材所の削りくず、おがくず、合成樹脂、または任意の適切なバインダーから作られた集成材製品である。パーティクルボードは、従来の木材や合板の材料よりも安価で、密度が高く、均一な代替品にかなう。パーティクルボードは、製造される製品の強度や外観などの物理的属性ではなく、コスト削減が主な考慮事項であるときに、代替材料にかなう。
【0004】
ポリマーと木材との既知の複合材料の主な欠点の1つは、木材への水分の吸収の結果として、体積膨張および変色の傾向があることである。湿気や水の影響下での寸法安定性の欠如により、パーティクルボードなどの木製パネルは、湿気の多い場所での使用には適していない。したがって、例えば、従来の木製パネルは、水や湿気から積層または塗料やシーラーによって保護しなければならない。
【0005】
パーティクルボードの従来の製造方法は、支持面上に複数の木材粒子の層を形成し、接着樹脂を上記層上に広げ、層を圧縮し、圧縮され硬化されたパネルを形成するために熱を利用してプレスにおいて処理される。パーティクルボードの分野における様々な改良については、特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4において説明されている。さらなる複合材料は、特許文献5および特許文献6に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3055974号公報
【文献】特開2014-8617号公報
【文献】特開2002-36213号公報
【文献】欧州特許第2777238号公報
【文献】米国特許出願公開第2013/000248号公報
【文献】米国特許出願公開第2003/046772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の層状構造は剥離強度が低く、応力下で材料が割れることを意味している。割れが発生すると、接触表面積が増加し、水をさらに吸収しやすくなり、物品の膨潤が激化する。さらに、木材粒子と熱硬化性樹脂との間の密度の違いは、熱硬化性マトリックス内の木材材料の不均一な分布を引き起こし、問題を悪化させる。
【0008】
本発明の目的は、当業に関連する問題の少なくとも一部を除去することである。
【0009】
本発明の第1の目的は、樹脂および天然材料の粒子によって形成された成形品を製造する方法を提供することである。
【0010】
本発明の第2の目的は、成形品を提供することである。
【0011】
本発明の第3の目的は、物品の使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、熱硬化性樹脂と、該樹脂の密度よりも小さい密度を有する多孔質天然材料の粒子とによって形成された複合材料を含む成形品であって、前記複合材料は、硬化した熱硬化性樹脂の連続マトリックスを有し、マトリックス内に分布する、熱硬化性によって少なくとも部分的に包まれている天然材料の粒子とを有する、成形品を製造する方法が提供され、前記方法は、2つの対向するプレス面を有する型を用意するステップであって、前記プレス面はそれらの間に空間を規定するステップと、多孔質天然材料の粒子をプレス面間の空間に供給するステップと、プレス面を互いに向かって前進させて、空間内の粒子を圧縮するステップと、液体形態の未硬化の熱硬化性樹脂を型に供給して、プレス面間で天然多孔質粒子を圧縮しつつ、少なくともプレス面間の空間を満たすステップと、型内の熱硬化性樹脂を硬化させて、成形複合品を提供するステップとを備える。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様による方法によって得られた成形品が提供される。
【0014】
本発明の第3の態様によれば、水との連続的または断続的な接触に晒される構造における第2の態様による物品の使用が提供される。
【0015】
本発明は、硬化した熱硬化性樹脂の連続マトリックスと、該マトリックス内に分散した天然材料の粒子とを有する複合材料によって形成される成形品を提供するという概念に基づいている。粒子は、熱硬化性樹脂によって少なくとも部分的に包まれている。
【0016】
本発明による成形品は、室温で少なくとも168時間(1週間)の期間にわたって水に浸漬したときに、1質量%未満の吸水性を有することが見出された。
【0017】
本発明による成形品は、それらの間に空間を規定する2つのプレス面を有する型を用意するステップと、天然素材の粒子を空間に供給するステップと、粒子を圧縮するために表面を互いに向かって前進させるステップと、液体形態の未硬化の熱硬化性樹脂を型に供給して、プレス面間で粒子を圧縮したまま空間を満たすステップと、型内の熱硬化性樹脂を硬化させて、成形された複合物品を提供するステップとによって得られる。
【0018】
新規の成形品は、湿気または水と接触する可能性のある構造物および物体に使用することができる。
【0019】
より具体的には、本発明は、独立請求項の特徴的な部分に記載されていることを特徴としている。
【0020】
本発明により、かなりの利点が得られる。開示された方法により、粒子に樹脂を完全に含浸させることができる。その結果、驚くべきことに、物品の表面が破壊されて物品の内部が露出している場合でも、物品の吸水率が小さいことが分かった。結果として、本成形品は、材料の著しい膨潤を引き起こすことなく、開口部または穴を設けることができる。本発明の成形圧縮品を構成する材料の吸水性は、室温で1週間の水接触後でも、典型的には1質量%未満である。
【0021】
典型的には、粒子は板状であり、例えば、木材チップによって形成される。このような粒子は、本発明の実施形態では、成形中に少なくとも型の外面上で相互連結する3次元構造に自己組織化することができるそれらの形状および形態によっている。
【0022】
本発明による成形品は、屋内または屋外で使用するための家具および構造部品の製造、台所および浴室用の備品、ならびに例えば製造のためのボートおよび同様の浮遊具の備品、例えば船舶の製造に使用される成形品の製造に使用することができる。圧縮品は寸法安定性が良好であるため、壁や床などの表面を覆うためにタイルに成形することができる。
【0023】
この方法は、ポリマーと天然多孔質要素との間の密度の違いに関係なく、熱硬化性マトリックス内の粒子の優れた分散を有する製品を生み出すであろう。
【0024】
本発明の特定の実施形態に関連するさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態による型の主要部分を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[定義]
本明細書において、「多孔性天然材料」という用語は、天然起源の材料(すなわち、自然から得ることができるもの)を表す。このような材料は、主にまたは単独で天然高分子で構成されている。その材料は、そのままで、または機械的、化学的、または熱処理後に使用できる。その材料は、液体または空気が通過できる微細な隙間があるという点で多孔質である。
【0027】
本明細書において、「木材粒子」という用語は、おがくずまたは木材チップまたはそれらの組み合わせなどの細かく分割された木材部品を表す。
【0028】
本明細書において、「木材チップ」という用語は、より大きな木材片を切断または削ることによって得られる木材の粒子を表す。「木材チップ」は、サイズおよび品質が異なり得、様々なソースから入手可能である。典型的には、原材料として丸太が使用されるが、未使用の材料およびリサイクル材料の双方を使用することもできます。典型的には、本粒子、例えばチップは、0.2~20mm、特に0.3~10mmの範囲の篩寸法を有する。したがって、例えば、使用される粒子、特にチップは、製造物品の例えば寸法、特に厚みに応じて、1~10、特に1~7.5mmの篩寸法を有することができる。
【0029】
本明細書において、「成形」という用語は、剛性フレーム(「型」とも呼ばれる)を使用して液体または柔軟な原材料を成形することによって製造するプロセスである。
【0030】
本明細書において、「成形品」は、成形によって得られた物品を表す。典型的には、このような物品は、圧力を使用して平坦化することによって、または材料を圧搾またはプレスすることによって得られてきた。
【0031】
「熱硬化性樹脂」は、典型的には「硬化」と呼ばれるプロセス中に架橋することによって「熱硬化性ポリマー」を形成することにより、不可逆的に不溶性ポリマーネットワークに変化することができるポリマー物質である。本明細書において、それ自体が室温で液体であるか、または溶剤の作用により室温で液相を形成することができる、例えば、熱硬化性樹脂を用意することが好ましい。従来、熱硬化性樹脂は、その硬化によって得られる材料よりも低い分子量を有するプレポリマーとして特徴付けることができる。
【0032】
以下に見られるように、未硬化の熱硬化性樹脂は、通常、流動可能な樹脂を表す「液体形態」で提供される。
【0033】
「室温」は、10~30℃の範囲における温度、特に15~25℃の範囲における温度を表す。
【0034】
「硬化」は、熱または適切な放射の影響下で、しばしば高圧下で、または硬化剤の使用によって、樹脂の高分子物質の個々の鎖を架橋することによって、熱硬化性樹脂を硬化した熱硬化性材料(「熱硬化性ポリマー」)に変換するプロセスである。
【0035】
「硬化剤」は、典型的には、高分子物質の鎖の架橋を達成する物質である。硬化剤の例には、エポキシ基、アミン基、ビニル基およびアリル基およびそれらの組み合わせの群から選択される反応性基を含む化合物が含まれる。また、分子の主鎖に1つまたは複数の不飽和結合を持つ不飽和化合物を硬化剤として使用することができる。このような化合物は、任意に、前述の種類の反応性基を有することができる。架橋プロセスとは関係なく、架橋は、化学的に活性なサイトにて触媒によって促進することができる。
【0036】
「相対湿度」は、特定の温度での純水の平坦表面上の水の平衡蒸気圧に対する空気と水との混合物中の水蒸気の分圧の比率として定義される。相対湿度は、通常、飽和蒸気圧に対する実際の水蒸気圧の比率のパーセンテージとして表され、パーセンテージが高いほど、空気と水との混合物の湿度がより高い。
【0037】
上記から明らかなように、本技術による成形品は、特に、少なくとも2つの構成要素、すなわち、熱硬化性樹脂と、天然材料であって、多孔質粒子の形態で提供される天然材料を含む複合材料を含むか、それらからなる。この成形品において、熱硬化性樹脂は、熱硬化性ポリマーに硬化した後、連続的なマトリックスを形成する。マトリックス内に分布しているのは、例えば、熱硬化性ポリマーによって少なくとも部分的に包まれている、木材チップまたは他の板状粒子などの木材粒子の形態の天然材料の多孔質粒子である。特に、個々の粒子は、熱硬化性ポリマーによって少なくとも部分的に包まれている。
【0038】
典型的には、成形品のうち、チップまたは他の板状の木材粒子などの天然材料は、成形品の体積で30%超え、特に40~95%を形成する。特に、成形品の天然材料部分は、成形品の少なくとも50体積%~最大90体積%を形成する。
【0039】
本明細書において、「板状粒子」には、板の縁の縁の幅または長さの小さい方に対する板の厚みの比が、典型的には1:1~1:500、例えば1:2~1:50までのオーダーの板状粒子が含まれる。したがって、例えば、木材粒子は、少なくとも10質量%のチップ状粒子を含み、一般的な寸法の比は、厚み:幅:長さ=1:1~20:1~100のオーダーである。寸法の少なくとも1つは、別の寸法とは著しく異なる(大きいまたは小さい)。
【0040】
一実施形態では、本発明の「板状」粒子は、1mmを超える少なくとも2つの寸法を有する木材粒子を含み、1つの寸法は0.1mmを超える。一実施形態では、木材粒子の平均体積は、少なくとも0.1mm、より具体的には少なくとも1mmである。
【0041】
粒子の形態で使用される多孔質天然材料は、通常、特定の基準を満たしている。したがって、材料は熱硬化性ポリマーよりも軽い、すなわち、材料は熱硬化性ポリマーの密度よりも小さい密度を有する。典型的には、多孔質天然材料は、熱硬化性ポリマーの密度よりも少なくとも10%、または少なくとも20%、特に少なくとも30%、例えば少なくとも50%小さい密度を有する。したがって、多孔質天然材料の密度は、通常、100~500kg/mの範囲、特に150~450kg/mである。熱硬化性材料に対する天然材料の質量部分は、約10:90~60:40、特に30:70~55:45、例えば約40:60~50:50である。
【0042】
天然材料の粒子は、それらが熱硬化性樹脂(したがって熱硬化性ポリマー)で少なくとも部分的に含浸され得る程度までさらに多孔性である。
【0043】
好ましい実施形態では、天然材料の粒子は、別個の粒子から構成される静的ベッドを形成することを可能にする寸法安定性を有する。このようなベッドでは、粒子は圧縮下で固定化することができる。寸法安定性は、以下に説明するように、粒子が圧縮下でそれらの多孔質構造の崩壊に対して抵抗するのに十分であることがさらに好ましい。
【0044】
好ましい実施形態では、多孔質天然材料の粒子は、圧縮によってプレス面間の成形空間で安定化される。換言すれば、粒子は、その後の熱硬化性ポリマーの成形空間への供給および流入中にも、成形空間に固定化されたままであるように相互連結される。好ましくは、粒子は、熱硬化性ポリマーを前記表面間の成形空間に供給する前および供給中に、プレス表面間でそれらを機械固定された構成に圧縮することによって組織化され、三次元構造に安定化される。
【0045】
好ましくは、多孔質天然材料の粒子はチップ形成されており、熱硬化性ポリマーの密度よりも小さい密度を有する。いくつかの実施形態では、粒子の形状は実質的に平坦または板状であり、粒子の全ての寸法が成形空間の寸法よりも実質的に小さい。他の実施形態では、粒子の形状は細長い。
【0046】
結果として、複合材料は、硬化した熱硬化性ポリマーの連続マトリックスと、マトリックス内およびマトリックス全体に均一に分布する多孔質天然材料の粒子とを備える。粒子は、熱硬化性ポリマーによって少なくとも部分的に包まれている。
【0047】
本発明の利点は、樹脂リッチな領域または粒子の析出のない、均質な物体を製造できることである。さらなる利点は、3次元物体、特に物体の厚みが変化する3次元物体を容易に製造できることである。成形品の形状は、例えば球体であり得る。
【0048】
典型的には、多孔質粒子は、セルロース系材料;リグノセルロース系材料;および機械的、化学的または熱処理によってセルロースまたはリグノセルロース材料から誘導された材料から選択される。機械的処理には、例えば、切断、削り、粉砕、精製、繊維除去、および破砕の作用が含まれる。化学処理には、成分(リグニンまたはリグノセルロース材料の抽出物など)からの浸出または溶解およびリネゲーション(繊維の形成など)のための化学物質との材料の接触が含まれる。熱処理には、多孔性を維持しながら、または新しい多孔質構造を生成しながらの材料の加熱および焼成が含まれる。
【0049】
天然素材の例はセルロース、例えば、木材または一年生または多年生植物に由来する材料の形態の綿、リネン、亜麻、ラミー、ジュートである。材料は、未使用材料、リサイクル材料、またはそれらの組み合わせであり得る。さらなる例には、カーボンナノファイバーなどの炭素材料が含まれる。
【0050】
本発明の一態様では、複合材料に含まれる、木材チップなどの多孔質天然材料の粒子の量は、硬化した熱硬化性ポリマー100質量部当り、1~60質量部、特に10~40質量部、例えば、約25~35質量部である。
【0051】
熱硬化性ポリマーマトリックス内の熱硬化性ポリマーによって包まれている、木材チップなどの多孔性天然材料の粒子の体積は、少なくとも20体積%、特に30~100体積%である。一実施形態では、多孔質天然材料の粒子の少なくとも50体積%、特に70~100体積%が、熱硬化性ポリマーマトリックス内の熱硬化性ポリマーによって囲まれている。
【0052】
成形品は、低吸水性である。特に、吸水性は、室温で少なくとも72時間、特に1週間(168時間)の期間にわたって、例えば水への浸漬などの水接触状態で、2質量%未満、または1質量%未満でさえある。
【0053】
一実施形態では、複合材料は、本質的に、マトリックスを形成する少なくとも1つの熱硬化性ポリマーと、好ましくは、ポリマーマトリックス内に完全にまたは部分的に埋め込まれる木材粒子、特に木材チップとからなる。したがって、材料の95質量%以上が、上記の2つの成分によって形成される。
【0054】
別の実施形態では、複合材料はさらに他の構成要素を含む。したがって、強度特性を追加するフィラーが存在し得る。成形前に混合物に添加剤を添加して、材料の構造特性を改善することができ、硬化剤などの添加剤を使用すると、架橋によって熱硬化性樹脂の弾性を強化できる。
【0055】
成形品の製造では、粒子と熱硬化性樹脂とを組み合わせて混合物を生成し、次に混合物の圧縮中に樹脂を硬化させながら所定の形状を付与する。典型的には、混合物には成形面によって決定される形状が付与される。混合物を成形するための1つの適切なプロセスは、樹脂トランスファー成形として公知である。
【0056】
一実施形態では、木材は、本発明の多孔質粒子を提供するための多孔質天然材料として使用される。
【0057】
一実施形態では、チップなどの木材粒子は、以下でより詳細に開示されるように、成形空間で熱硬化性樹脂と混合され、圧力および任意に高温(室温よりも高い温度)下で成形されて成形品を形成する、ポリマー-木材粒子混合物を形成する。型内で混合物を形成する場合、液体樹脂と木材粒子が完全に接触して、液相での木材チップの均一な分布を達成する。
【0058】
一実施形態では、木材チップなどの天然材料の粒子は、典型的には、複合材料マトリックス内の個々の粒子の大部分(質量による)が熱硬化性ポリマーで覆われ、好ましくは少なくとも部分的にそれを含浸させるように、複合材料のポリマーマトリックス全体に分布する。
【0059】
一実施形態では、成形材料の形成に木材チップが使用される。それらは、木材がポリマー樹脂混合物内に均一に分布できるように特に選択される。典型的には、木材チップは、1~10mm、例えば1~7.5mm、または0.3~5mm、例えば0.5~3mmの篩寸法をそれぞれ有する。木材チップの篩寸法は、吸収される水の量とそれに対応する木材チップの膨潤の程度に影響を与え得る。
【0060】
一実施形態では、多孔質天然材料、特に木材チップの粒子は、20質量%未満、特に18質量%未満、典型的には15質量%未満、例えば、10質量%未満の含水率を有する。一実施形態では、木材チップは、8質量%未満、例えば、約6質量%未満、例えば、約0.1~5質量%の水分含有量を有する。以下に説明するように、木材チップは使用前に熱処理することができる。達成可能な他の効果に加えて、そのような処理はチップの湿度も低下させる。
【0061】
本発明において使用することができる木材チップは、任意のタイプであり得るが、それらは、針葉樹および落葉樹の木材チップおよびそれらの組み合わせの群から選択されることが好ましい。特に、チップは多孔質である。一実施形態では、チップはヤマナラシ、ハンノキ、またはマツ、またはそれらの組み合わせのチップである。
【0062】
典型的には、チップは少なくとも部分的に樹脂で覆われいる。樹脂は液相で使用され、木材は、典型的にはヤマナラシ、ポプラ、またはトウヒの削りによって得られるチップの場合のように多孔質であるため、樹脂の最終硬化前にチップに液体樹脂を少なくとも部分的に含浸させることができる。
【0063】
チップの形態の木材粒子に加えて、またはその代わりに、木材粒子は、木材ダスト、おがくず、または木材顆粒も含み得る。一般に、このような粒子は、約0.5~10mm、特に1~5mmの中程度の篩寸法を有する。
【0064】
チップの形で木材粒子を使用することの1つの利点は、粒子が、3次元構造を提供するなど、ポリマー樹脂マトリックス内で自己組織化することができることである。その場合、特に構造は、部分的に重複し、任意に相互連結するチップを含む。このような構造は、成形品の硬化にも寄与する。
【0065】
木材粒子を包む熱硬化性ポリマーマトリックスは、本質的に硬化した熱硬化性樹脂を含む。樹脂は、ポリエステル樹脂、特に芳香族ポリエステル樹脂、またはエポキシ樹脂または尿素ホルムアルデヒド樹脂またはメラミンホルムアルデヒド樹脂またはメラミン尿素ホルムアルデヒド樹脂などの任意のタイプのものであり得る。熱硬化性樹脂の組み合わせも同様に使用できる。
【0066】
適切なポリエステル樹脂の例には、Basonat(登録商標)、Novolac、Polylite(登録商標)およびWaterpoxy(登録商標)の商標で販売されている製品が含まれる。
【0067】
熱硬化性樹脂は、その特性を変更する要素を有することができる。耐火性を向上させるために、難燃性添加剤として、リン酸トリフェニルや三酸化アンチモンなどの無機物を添加することができる。ハロゲン化二塩基酸および酸無水物、例えばテトラクロロフタル酸無水物、テトラブロモフタル酸無水物、ジブロモネオペンチルグリコールおよびテトラブロモビスフェノール-Aから選択されるポリマーモノマーに組み込むことも可能である。このようなモノマーは、任意に、無水フタル酸またはプロピレングリコールの代わりにモノマーとして使用することができる。
【0068】
上述のように、硬化剤を樹脂と混合して硬化を達成することができる。したがって、エポキシ基、アミン基、ビニル基、アリル基の群、およびそれらの組み合わせから選択される硬化剤を、樹脂100質量部に対して0.1~10質量部、例えば添加することができる。
【0069】
さらに、硬化を開始または加速するために、触媒を添加することもできる。一実施形態は、有機または無機過酸化物などのペルオキソ基を含む促進剤の使用を提供する。特に好ましい過酸化物化合物は、例えば、有機溶媒中で樹脂または樹脂と任意の硬化剤との混合物に、任意に混合木材粒子の存在下で添加することができる溶液の形態で提供されるメチル(エチル)ケトンペルオキシド(MEKP)である。市販のMEKP製品の例には、Butanox、Chaloxyd、Di-Point、Kaymek、Ketonox、Lucidol、Luperox(登録商標)、Norox、Peroximon、Superoxの商品名で販売されている製品が含まれます。
【0070】
触媒を添加することにより、硬化を開始することができ、または室温で達成することさえできる。典型的には、触媒は、硬化剤とともに樹脂100質量部当り0.1~75質量部、例えば10~70質量部で添加される。不飽和ポリエステル樹脂の場合、典型的には、別個の硬化剤は必要なく、過酸化物触媒を添加することで硬化が達成される。
【0071】
次に本発明の実施形態を示す図面に目を向けると、熱硬化性ポリマーおよび木材材料を含む上記のような成形品が、特に樹脂トランスファーモールドにおける成形によって製造される方法が提供されることに注意されたい。
【0072】
例は非限定的であり、木材以外の天然材料の粒子も使用できることを指摘する必要がある。木材チップを使用することにより、特に優れた機械的特性および視覚的に魅力的な外観の材料を得ることができる。しかしながら、例えば、材料の染色を含む様々な処理ステップに関して以下に与えられる開示は、本発明の他の材料にも適用可能である。
【0073】
使用される型1、2は、典型的には、少なくとも2つの対向するプレス面8A、8Bによって規定される圧縮ゾーンを含む。プレス面は、圧縮ゾーン3に供給される任意の木材に圧縮を負荷ことができる。ゾーンを規定する他の壁1、2は、典型的には剛性があり、硬く、静的である。図面に示される実施形態では、それらは2つの対向する端壁を規定する。粒子は空間3に充填される。
【0074】
粒子は、例えば、コンベヤーで注入または搬送されて空間3に供給された後、典型的には空間において非圧縮層を形成する。プレス面は互いに前進するか、またはプレス面8Aの少なくとも1つが他の8Bに対して前進して、前記空間内の粒子を圧縮する。圧縮力は、圧縮空間で材料を圧縮するのに十分でなければならない。特に、圧縮力は、緩んだ粒子を圧縮された材料の内部にしっかりと機械的に固定するのに十分である。
【0075】
以下の説明から理解されるように、多孔質粒子の圧縮は、粒子がそれらの多孔質構造内で熱硬化性ポリマーを吸収する(吸い上げる)能力を依然として維持するようなものでなければならない。
【0076】
木材チップなどの粒子を圧縮した後、プレス面を所定の位置に固定できる。
【0077】
次のステップにおいて、液体形態の未硬化熱硬化性樹脂が、供給チャネル4に沿って型に供給され、プレス面間で木材粒子を圧縮したまま、プレス面間の少なくとも前記空間を充填する。熱硬化性樹脂は型内で硬化され、成形された複合材料を提供する。
【0078】
樹脂の供給中に、空気などのガスを、出口5を介して型から除去できる。出口5は、未硬化の熱硬化性樹脂の型への供給を補助するために、型1の内部に減圧を加えるためにも使用できる。空間3に面する出口の開口部は開くことができる。また、緩い木材粒子が空間3から流出するのを防ぐために、ネットまたはスクリーン7を設けることができる。同様に、入口4は、以下で説明するように、入口開口部にネットまたはスクリーン6を設けることができる。
【0079】
一実施形態では、プレス面(またはそれらのうちの1つ8A)は、第1の圧力(F1)を使用して前記空間内の木材粒子を圧縮するために互いに向かって前進する。液体中の未硬化の熱硬化性樹脂の入口4を介した型1、2への供給は、少なくともプレス面間の前記空間を満たすように、第2の圧力(F2)で行われる。好ましくは、第1の圧力(F1)は、第2の圧力(F2)以上である。この点で、「第1の圧力」という用語は、緩い材料を圧縮するために木材に加えられる圧力だけでなく、圧縮された材料に加えられる圧力も含むと解釈されるべきである。一実施形態では、木材粒子は、不飽和樹脂の供給中の第1の圧力に対応する圧力を使用して圧縮された状態に保たれる。
【0080】
一実施形態では、プレス面8A、8Bは、本質的に平行構成で配置された平面プレートを示す。このような配置により、所定の表面パターンを有する可能性のある平坦物品を製造することができる。
【0081】
前述のいずれかと組み合わせることができる一実施形態では、プレスプレートは、滑らかなプレス面を有することができる。同様に、前述のいずれかと組み合わせることができる別の実施形態では、プレスプレートは、窪みおよび隆起の所定のパターンを有するプレス面を有することができる。
【0082】
上で開示した方法では、液体形態の未硬化の熱硬化性樹脂が、プレス面の間の空間に横方向に供給される。以下で明らかになるように、液体熱硬化性樹脂は、液体が木材粒子層に強制的に流入する前に、木材粒子の層と型の端壁1、2との間に形成された横方向のチャネルを流れる。
【0083】
熱硬化性樹脂は、典型的には流動粘度を有し、液体形態で自由に流動する。これは、樹脂の供給のための狭い入口チャネル4の使用を可能にする。
【0084】
一実施形態では、入口流路4は非常に狭いため、木質粒子が入口を詰まらせない。したがって、入口流路4は、典型的には、20mm未満、特に15mm未満、好ましくは10mn未満、例えば約1~9mmの最大断面直径を有する。狭い入口チャネル4を使用して、空間3に面する入口チャネル4の開口部を開くことができる。
【0085】
別の実施形態では、空間3に面する入口チャネル4の開口部は、空間8内の緩い木粒子による入口の詰まりを回避するために、ネットまたはスクリーン6を備えることができる。
【0086】
一実施形態では、熱硬化性樹脂は、木材粒子などの天然材料に対して、100:1~50:100、特に100:10~80:100、例えば100:50~100:100の質量比で型1に供給される。
【0087】
一実施形態において、熱硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂100質量部に対して木材などの天然材料1~60質量部、例えば熱硬化性樹脂100質量部に対して木材などの天然材料1~60質量部の、木材粒子などの天然素材に対するjの質量比で型1、2に供給される。
【0088】
一実施形態は、第1の圧力(F1)を使用して前記空間内の木材粒子を圧縮するために表面を互いに向かって前進させるステップと、未硬化の熱硬化性樹脂を液体の形で第2の圧力(F2)で型に供給して、少なくともプレス面間の前記空間を満たすようにするステップと、型内で熱硬化性樹脂を硬化させて、成形複合物品を提供するステップとを含み、第2の圧力は、少なくとも101kPa、特に約150kPa~10MPA、例えば200kPa~2MPaである。
【0089】
別の実施形態では、硬化ステップは、20~50℃の温度で実行される。
【0090】
一実施形態では、混合物は、水の沸点よりも低い温度で、前記型内で成形される。
【0091】
一実施形態によれば、木材チップは、液体の硬化性樹脂と接触する前に、少なくとも2つのプレス面の間で圧縮が維持され、板状チップは、成形品内で組織化され、少なくとも部分的に重なり合って、チップを重複させて相互連結させて材料内に3次元構造を与える本質的に平坦な層を形成する。
【0092】
木材は、樹脂と混合する前に前処理することができる。したがって、例えば、材料は熱変性を受ける可能性がある。このような熱変性処理は、一般に、無垢材が低酸素含有量の雰囲気中で数時間、200℃に近いかそれを超える温度、例えば150~250℃、特に170~240℃に晒されることを有する。この熱変性により、幾つかの機械的特性は低下するものの、木材に外部の化学物質や殺生物剤を添加することなく、木材の寸法安定性および生物学的耐久性が向上する。
【0093】
また、一般に、昆虫または真菌によって破壊されることへの耐久性および耐性を高める他の木材防腐剤を使用することができる。
【0094】
一実施形態では、樹脂は透明または半透明である。マトリックスに埋め込まれた、またはマトリックスとともに埋め込まれた木材チップは、少なくとも0.25mm、特に少なくとも0.5mm、例えば少なくとも1mmの深さまで外面上で視覚的に識別可能である。これにより、圧縮品の表面が3次元的に見えるようになります。
【0095】
本発明の一実施形態では、圧縮品は、1つまたは複数の事前に選択された色で提供される。この色の選択は、木材チップと樹脂の混合溶液を製造するプロセス中に行うことができる。木材チップは、熱硬化性樹脂との混合物に添加される前に、他の適切な方法で染色または着色されている。この実施形態では、木材チップの色が事前に選択された色の外観を圧縮品に与えるように、硬化されると透明または半透明である熱硬化性樹脂を有することが好ましい。
【0096】
本発明の実施形態は、水に曝されたときのポリマー-木材複合材料の膨潤に従来関連していた問題を解決する。本発明の圧縮品の材料は、水の吸収を著しく減少させ、したがって、材料の膨潤も減少させる。上で指摘したように、吸水性は、典型的には2%未満、特に1%未満、例えば、本技術による物体を室温で少なくとも168時間の期間にわたって水に浸漬したとき、0.8質量%未満である。この吸水性の低下と木材チップの膨潤により、従来水と接触して配置されていた建材として魅力的な素材となり、幅広い産業用途に利用できる。
【0097】
幾つかの実施形態では、成形品は、特に、多孔質天然材料の粒子として、0.5~3mmの篩寸法以下を有する木材チップを使用する場合、室温で少なくとも168時間の期間にわたって水に浸漬したときに、0.5質量%未満、特に0.3質量%未満の吸水性を有する。
【0098】
一実施形態では、圧縮品は、0.5~100%の範囲で変化する湿度にて寸法的に安定している。圧縮品の寸法安定性は、湿気に晒されたときの圧縮品の構造的完全性に関係する。構造的完全性とは、木材チップの膨張、材料の分割、または材料に対するその他の構造的変化を指す。
【0099】
一実施形態では、木材チップが混合される熱硬化性樹脂は、少なくとも部分的に、混合中に、遅くとも成形プロセスで木材チップがポリマーと接触しているときに、木材チップに浸透することができる。
【0100】
上記のように、使用される多孔質天然材料は、典型的には熱硬化性ポリマーの密度よりも小さい密度を有する。したがって、例えば、木材チップの密度は、ポリマー樹脂の密度よりも著しく小さい。これは、熱硬化性ポリマーと木材チップから形成された成形品の全体的な密度を、ポリマーマトリックスに添加される木材チップの量に応じて調整できることを意味する。
【0101】
一実施形態では、成形品は、硬化した熱硬化性ポリマーのみでできている物品の密度よりも少なくとも1%、特に2~10%小さい密度を有する。物品は体積を有し、各部分体積は、硬化した熱硬化性ポリマーの密度よりも少なくとも5%、特に10~40%小さい密度を有する物品の体積の少なくとも1%に達するであろう。
【0102】
本発明の実施形態では、熱硬化性ポリマーおよび天然材料の多孔質粒子によって形成される成形品の密度は、典型的には、約800~1500kg/mの範囲、例えば、約1000~1250kg/mである。
【0103】
特に板状粒子を使用して、修正トランスファー樹脂成形プロセスとして特徴付けることができる上記の開示されたプロセスを使用することによって、3D(3次元)表面を作製することができる。表面の質感は、使用する木材チップの寸法とプレス面の潜在的なパターンに依存します。
【0104】
上記の開示された実施形態の全てに対して、複合材料のための異なる被覆を使用することができる。被覆材料は、用途に応じて選択される。したがって、例えば、衛生用品など、様々な温度で水や攻撃性の低い化学物質に晒される製品は、ゲルコートで被覆することができる。このようなゲルコートは、イソフタル酸/ネオペンチルグリコールポリエステル樹脂系とすることができる。このようなゲルコートは、優れた耐薬品性を備えた透明な表面を提供する。通常、被覆、例えばゲルコートは、約0.1~10mm、特に約0.2~5mm、例えば0.25~3mmの厚みを有するであろう。
【産業上の利用可能性】
【0105】
開示された方法は、ポリマーおよび天然材料の粒子の様々な複合材料を製造するために使用することができる。特に、本方法は、天然材料がポリマーマトリックス全体に均一に分布し、樹脂を完全に含浸させた複合材料を製造するために使用することができる。複合材料は、材料の著しい膨潤を引き起こすことなく、開口部または穴を設けることができる現在の物品に形成することができる。製造された物品は、屋内または屋外で使用する家具や構造部品の製造、キッチンやバスルームの備品、ボートや同様の浮き船、たとえば船体の製造に使用されます。圧縮された物品は寸法安定性が良好であるため、壁や床などの表面を覆うためにタイルに成形することができる。それらはまた、構造および装飾的なパネルとして使用することができる。
【符号の説明】
【0106】
1、2 型壁
3 空間
4 入口
5 出口
6、7 スクリーン
8A,8B プレス面
図1