(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】防護柵の支柱施工装置と支柱施工方法
(51)【国際特許分類】
E21B 7/20 20060101AFI20230828BHJP
【FI】
E21B7/20
(21)【出願番号】P 2021011331
(22)【出願日】2021-01-27
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】521040868
【氏名又は名称】株式会社R&Tグループ
(73)【特許権者】
【識別番号】517401576
【氏名又は名称】株式会社サンズラック
(73)【特許権者】
【識別番号】515307227
【氏名又は名称】株式会社トーホー
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木本 知央
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-027641(JP,A)
【文献】特開平02-096085(JP,A)
【文献】特開平03-191114(JP,A)
【文献】特開2007-177488(JP,A)
【文献】特開平10-140964(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0163921(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 7/20
E01F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置場所に間隔を置いて支柱を立設し、これら支柱の間に防護面を設けた防護柵の支柱施工装置において、
ケーシングと、
前記ケーシング内に配置する掘削手段と、
リーダーに沿って昇降自在に設けられ、前記ケーシングと前記掘削手段とを逆回転して前記設置場所に掘削孔を形成する回転駆動装置と、
前記回転駆動装置を前記リーダーに沿って昇降する昇降手段とを備え
、
前記昇降手段が前記リーダーに設けられた昇降用ウインチであり、
この昇降用ウインチの昇降用ワイヤを前記回転駆動装置に連結すると共に、前記昇降用ワイヤを吊下げる昇降用吊下げ部を前記リーダーの上部前方に設け、
前記リーダーに吊上げ用ウインチを設け、
前記リーダーの上部で前記昇降用吊下げ部と異なる平面位置に、前記吊上げ用ウインチの吊上げ用ワイヤを吊下げる吊上げ用吊下げ部を設けたことを特徴とする防護
柵の支柱施工装置。
【請求項2】
起伏アームを有するベースマシンを備え、
前記リーダーが、主リーダーと、この主リーダーより短く、該主リーダーの下部に着脱可能に接続する接続リーダーとを備え、前記主リーダーの下部に前記起伏アームを連結するリーダー側連結部を設けたことを特徴とする請求項1記載の防護
柵の支柱施工装置。
【請求項3】
設置場所に間隔を置いて支柱を立設し、これら支柱の間に防護面を設けた防護柵の支柱施工方法において、
ケーシングと、
前記ケーシング内に配置する掘削手段と、
リーダーに沿って昇降自在に設けられ、前記ケーシングと前記掘削手段とを逆回転して前記設置場所に掘削孔を形成する回転駆動装置と、
前記回転駆動装置を前記リーダーに沿って昇降する昇降手段とを備えた支柱施工装置を用い、
前記ケーシングと前記掘削手段を逆回転しながら地中に埋め込んだ後、前記掘削手段を引き上げ、前記掘削手段を引き上げた前記ケーシング内に前記支柱の下部を挿入し、前記ケーシング内に充填材を充填した後、前記ケーシングを引き上げることを特徴とする防護
柵の支柱施工方法。
【請求項4】
設置場所に間隔を置いて支柱を立設し、これら支柱の間に防護面を設けた防護柵の支柱施工方法において、
ケーシングと、
前記ケーシング内に配置する掘削手段と、
リーダーに沿って昇降自在に設けられ、前記ケーシングと前記掘削手段とを逆回転して前記設置場所に掘削孔を形成する回転駆動装置と、
前記回転駆動装置を前記リーダーに沿って昇降する昇降手段と、
起伏アームを有するベースマシンとを備えた支柱施工装置を用い、
前記リーダーが、主リーダーと、この主リーダーより短く、該主リーダーの下部に着脱可能に接続する接続リーダーとを備え、前記主リーダーの下部に前記起伏アームを連結するリーダー側連結部を設け、
前記リーダー側連結部を上側にすると共に、前記主リーダーの下部を前記ベースマシン側にして該主リーダーを倒し、前記起伏アームを起伏して該起伏アームのアーム側連結部を前記リーダー側連結部に合わせ、それら連結部同士を連結した後、前記ベースマシンにより前記主リーダーを縦向きに持ち上げ、この主リーダーの下方に前記接続リーダーを縦向きに配置し、前記ベースマシンにより前記主リーダーを下して前記接続リーダーの上端に前記主リーダーの下端を接続することを特徴とする防護
柵の支柱施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防護柵の支柱施工装置と支柱施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の落石・崩壊土砂・雪崩などを捕捉する防護柵において、支柱の施工にアースオーガやダウンザホールハンマーを使用して掘削することが知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
また、ダウンザホールハンマーによる掘削装置では、スキッドベースにウィンチによって操作する懸垂式リーダーを設け、該リーダーにオーガーを取り付け、そのリーダーの脚部はピン支持構造とし、伸縮シリンダーを具備した伸縮可能な支持ロッド2本を、スキッドベースとリーダー中間部を連結したものがある(例えば特許文献2)。
【0004】
上記特許文献2の掘削装置では、リーダーを立てるために大型のスキッドベースが必要となり、また、オーガーにダウンザホールハンマーを接続する際、ダウンザホールハンマーを吊上げるために重機が必要となり、施工コストが嵩むという問題がある。
【0005】
一方、スキッドベースを不要とするものとして、バックフォーの起伏アームの先端にリーダーを連結した掘削装置がある(例えば特許文献3)。
【0006】
上記特許文献3の掘削装置では、リーダーの途中に起伏アームの先端を連結するものであるから、現場において他の重機によりリーダーを立てた状態に保持し、起伏アームの先端をリーダーの連結部に合わせ、作業員がリーダーに登り、起伏アームの先端をリーダーの連結部に連結するため、バックフォー以外に他の重機が必要になると共に、連結のために高所作業が必要になるという問題がある。
【0007】
また、従来、ダウンザホールハンマーやオーガーなどの掘削手段を用いる施工では、支柱を建て込む箇所に掘削装置を組み立てて設置し、掘削手段により掘削孔を形成し、掘削手段を引き上げ、掘削孔にケーシングたる鋼管を打ち込み、この鋼管内の土砂を掘削手段により排出し、掘削手段を再度引き上げ、鋼管内に支柱の下部を挿入し、鋼管内に固化性の充填材を充填し、鋼管を引き抜くため、支柱の施工に手間と時間が掛かるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2004-27641号公報
【文献】特開平9-32445号公報
【文献】特開平9-158645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は上記した問題点に鑑み、施工性に優れた支柱施工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、設置場所に間隔を置いて支柱を立設し、これら支柱の間に防護面を設けた防護柵の支柱施工装置において、ケーシングと、前記ケーシング内に配置する掘削手段と、リーダーに沿って昇降自在に設けられ、前記ケーシングと前記掘削手段とを逆回転して前記設置場所に掘削孔を形成する回転駆動装置と、前記回転駆動装置を前記リーダーに沿って昇降する昇降手段とを備え、前記昇降手段が前記リーダーに設けられた昇降用ウインチであり、この昇降用ウインチの昇降用ワイヤを前記回転駆動装置に連結すると共に、前記昇降用ワイヤを吊下げる昇降用吊下げ部を前記リーダーの上部前方に設け、前記リーダーに吊上げ用ウインチを設け、前記リーダーの上部で前記昇降用吊下げ部と異なる平面位置に、前記吊上げ用ウインチの吊上げ用ワイヤを吊下げる吊上げ用吊下げ部を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、起伏アームを有するベースマシンを備え、前記リーダーが、主リーダーと、この主リーダーより短く、該主リーダーの下部に着脱可能に接続する接続リーダーとを備え、前記主リーダーの下部に前記起伏アームを連結するリーダー側連結部を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、設置場所に間隔を置いて支柱を立設し、これら支柱の間に防護面を設けた防護柵の支柱施工方法において、ケーシングと、前記ケーシング内に配置する掘削手段と、リーダーに沿って昇降自在に設けられ、前記ケーシングと前記掘削手段とを逆回転して前記設置場所に掘削孔を形成する回転駆動装置と、前記回転駆動装置を前記リーダーに沿って昇降する昇降手段とを備えた支柱施工装置を用い、前記ケーシングと前記掘削手段を逆回転しながら地中に埋め込んだ後、前記掘削手段を引き上げ、前記掘削手段を引き上げた前記ケーシング内に前記支柱の下部を挿入し、前記ケーシング内に充填材を充填した後、前記ケーシングを引き上げることを特徴とす設置場所に間隔を置いて支柱を立設し、これら支柱の間に防護面を設けた防護柵の支柱施工方法において、ケーシングと、前記ケーシング内に配置する掘削手段と、リーダーに沿って昇降自在に設けられ、前記ケーシングと前記掘削手段とを逆回転して前記設置場所に掘削孔を形成する回転駆動装置と、前記回転駆動装置を前記リーダーに沿って昇降する昇降手段とを備えた支柱施工装置を用い、前記ケーシングと前記掘削手段を逆回転しながら地中に埋め込んだ後、前記掘削手段を引き上げ、前記掘削手段を引き上げた前記ケーシング内に前記支柱の下部を挿入し、前記ケーシング内に充填材を充填した後、前記ケーシングを引き上げることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、設置場所に間隔を置いて支柱を立設し、これら支柱の間に防護面を設けた防護柵の支柱施工方法において、ケーシングと、前記ケーシング内に配置する掘削手段と、リーダーに沿って昇降自在に設けられ、前記ケーシングと前記掘削手段とを逆回転して前記設置場所に掘削孔を形成する回転駆動装置と、前記回転駆動装置を前記リーダーに沿って昇降する昇降手段と、起伏アームを有するベースマシンとを備えた支柱施工装置を用い、前記リーダーが、主リーダーと、この主リーダーより短く、該主リーダーの下部に着脱可能に接続する接続リーダーとを備え、前記主リーダーの下部に前記起伏アームを連結するリーダー側連結部を設け、前記リーダー側連結部を上側にすると共に、前記主リーダーの下部を前記ベースマシン側にして該主リーダーを倒し、前記起伏アームを起伏して該起伏アームのアーム側連結部を前記リーダー側連結部に合わせ、それら連結部同士を連結した後、前記ベースマシンにより前記主リーダーを縦向きに持ち上げ、この主リーダーの下方に前記接続リーダーを縦向きに配置し、前記ベースマシンにより前記主リーダーを下して前記接続リーダーの上端に前記主リーダーの下端を接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1,3,4の構成によれば、掘削手段を回転すると共に、ケーシングを掘削手段と逆に回転しながら掘削孔を形成することにより、掘削手段による掘削後のケーシングの挿入と再掘削が不要となり、施工性に優れたものとなる。
【0015】
請求項2,4の構成によれば、主リーダーの下部にリーダー側連結部を設けることにより、主リーダーを倒した状態でリーダー側連結部に起伏アームを連結することができ、この連結作業を高所ではなく地上で行うことができる。また、連結した状態で主リーダーを持ち上げ、その主リーダーの下部に接続リーダーを連結することにより所望高さのリーダーが得られる。
【0016】
請求項1の構成によれば、リーダーの上部前方の昇降用吊下げ部の昇降用ワイヤを、回動駆動装置に連結し、昇降用ウインチにより回転駆動装置をリーダーに沿って昇降して掘削を行うことができる。一方、回転駆動装置以外を吊り卸しする際は、平面位置が異なる吊上げ用吊下げ部の吊上げ用ワイヤにより重量物を吊り上げることができる。
【0017】
請求項3の構成によれば、掘削手段による掘削後のケーシングの挿入と再掘削が不要となり、施工性が向上する。
【0018】
請求項4の構成によれば、地上で主リーダーに起伏アームを連結することができ、この連結後、接続リーダーを接続することにより所望高さのリーダーが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】同上、リーダーの連結作業を説明する側面図である。
【
図3】同上、一部を断面にしたリーダーの分解図である。
【
図4】同上、主リーダーとベースマシンの連結作業を説明する側面図である。
【
図6】同上、一部を切り欠いたケーシングと掘削手段の正面図である。
【
図7】同上、一部を切り欠いたケーシングと他の掘削手段の正面図である。
【
図8】同上、リーダー上端の平面図であり、
図8(A)は中央吊り部を前側に向けた状態、
図8(B)は吊上げ用吊り部を前側に向けた状態を示す。
【
図10】同上、接続リーダーの吊り下しを説明する説明図である。
【
図11】同上、ケーシングを倒した状態の説明図である。
【
図12】同上、倒したケーシング内に掘削手段を挿入した状態の説明図である。
【
図13】同上、ケーシングを立てた状態の説明図である。
【
図14】同上、掘削手段に中央側回転軸を連結した状態の説明図である。
【
図15】同上、施工方法を説明する断面図であり、
図15(A)はケーシングと掘削手段により掘削孔を形成した状態、
図15(B)はケーシングを残して掘削手段を引き抜いた状態、
図15(C)はケーシング内に支柱下部を挿入した状態を示す。
【
図16】同上、施工方法を説明する断面図であり、
図16(A)はケーシングと支柱下部との間に充填材を充填した状態、
図16(B)はケーシングを引き抜いた状態、
図16(C)は支柱下部に支柱上部を連結した状態を示す。
【
図18】本発明の実施例2を示す施工方法の断面説明図であり、
図18(A)は回転駆動装置に接続した接続ケーシングと接続オーガーを吊り降ろす状態、
図18(B)は操作口を蓋体で塞ぐ状態を示す。
【
図19】本発明の実施例3を示す施工方法の断面説明図であり、
図19(A)はは吊上げ用ウインチにより接続オーガーを吊り降ろす状態、
図19(B)はオーガーに接続オーガーを接続した後、回転駆動装置により接続ケーシングを降下する状態を示す。
【0020】
本発明における好適な実施例について、添付図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0021】
図1~
図18は本発明の実施例1を示す。同図に示すように、防護柵の支柱施工装置1は、リーダー2と、このリーダー2に沿って昇降自在に設けられる回転駆動装置たる減速機3と、この減速機3を昇降する昇降手段たる昇降用ウインチ4と、前記リーダー2を着脱可能に連結してリーダー2を設置場所6に立設するベースマシンたるバックホウ7と、前記減速機3に着脱可能に連結するケーシング8と、前記減速機3に着脱可能に連結する掘削手段たるオーガー9又はダウンザホールハンマー10とを備え、オーガー9とダウンザホールハンマー10は選択的に使用される。
【0022】
前記リーダー2は、断面四角形をなし、その前面左右に前記減速機3を上下方向に案内するレール11,11が設けられている。また、前記リーダー2は、リーダーたる主リーダー2Aと、この主リーダー2Aより短く、主リーダー2Aの下部に着脱可能に接続する接続リーダー2Bとを備える。
【0023】
図3などに示すように、前記接続リーダー2Bの上端に挿し口12を設けると共に、この挿し口12に連結ピン13を挿入するピン孔12Hを穿設し、前記主リーダー2A及び接続リーダー2Bの下端に前記挿し口12を挿入する受け口14を設け、この受け口14に前記連結ピン13を挿入するピン孔14Hを穿設している。
【0024】
尚、前記ピン孔12H,14Hはリーダー2の対向する側面にそれぞれ穿設されている。また、主リーダー2Aのみを単体で使用することも可能である。尚、前記連結ピン13がリーダー2A,2B,2Bを連結及び連結解除する連結部材である。
【0025】
従って、受け口14に挿し口12を挿入し、ピン孔12H,14H,14H,12Hに連結ピン13を挿入することにより、主リーダー2Aと接続リーダー2Bを接続することができると共に、接続リーダー2B,2B同士を接続することができ、逆に、連結ピン13を外して連結を解除することができる。
【0026】
前記バックホウ7は、走行手段たるクローラ21の上部に本体22を旋回可能に設け、その本体22の前部に起伏アーム23を起伏可能に設けている。また、前記起伏アーム23の先端にアーム側連結部24を設けると共に、このアーム側連結部24に連結ピン25により回動可能に連結するリーダー側下連結部15を、前記主リーダー2Aの下部後側に設けている。
【0027】
また、前記起伏アーム23は伸縮シリンダ26を有し、その起伏アーム23の上側に伸縮杆たる前記伸縮シリンダ26の基端を回動可能に連結し、その伸縮シリンダ26の伸縮ロッド26Rの先端にロッド側連結部27を設けると共に、このロッド側連結部27に連結ピン28により回動可能に連結するリーダー側上連結部16を、前記主リーダー2Aの下部後側に設けている。尚、前記リーダー側下連結部15の位置は、前記リーダー側上連結部16より下側に位置する。そして、前記リーダー側下連結部15と前記リーダー側上連結部16がリーダー側連結部である。
【0028】
また、
図4に示すように、主リーダー2Aをその下部を後側にしてバックホウ7の前方に倒した状態で、起伏アーム23を下方に回動すると共に、伸縮シリンダ26の長さを調節することにより、リーダー側下連結部15の連結孔(図示せず)にアーム側連結部24の連結孔(図示せず)を合わせ、両者の連結孔に前記連結ピン25を挿入して両連結部15,24を回動可能に連結することができ、また、リーダー側上連結部16の連結孔(図示せず)にロッド側連結部27の連結孔(図示せず)を合わせ、両者の連結孔に前記連結ピン28を挿入して両連結部16,27を回動可能に連結することができる。また、逆に連結を解除できる。
【0029】
図4に示すように、前記減速機3の本体31は、油圧モーターなどの回転駆動手段32と、オーガー9又はダウンザホールハンマー10の上端の雄継手部9T,10Tを着脱可能に連結する筒状の中央側回転軸33と、この中央側回転軸33の下端に設けられた雌継手部37と、前記中央側回転軸33と同軸で外側に配置された筒状の外周側回転軸34と、この外周側回転軸34の下端に設けられた接続手段たるフランジ部35と、前記回転駆動手段32の回転力を、前記中央側回転軸33と前記外周側回転軸34に逆方向に伝達する流星ギヤなどの伝達手段36とを備える。尚、雄継手部9T,10Tが掘削手段の一方の継手部であり、この一方の継手部に着脱可能に連結する雌継手部37が、掘削手段の他方の継手部である。
【0030】
前記中央側回転軸33にはスイベル機構38が設けられており、このスイベル機構38により回転する中空な中央側回転軸33に加圧エアを供給することができる。
【0031】
前記中央側回転軸33の前記雌継手部37は断面多角形をなし、前記オーガー9,ダウンザホールハンマー10の上端の断面多角形の前記雄継手部9T,10Tを前記雌継手部37に嵌入し、雌継手部37と雄継手部9T,10Tを、連結部材たる連結ピン39により抜け止め状態で連結することができる。尚、雌継手部37及び雄継手部9T,10Tには連結ピン39を挿入する連結孔39Hが穿設されている。
【0032】
前記外周側回転軸34のフランジ部35には、アタッチメント41の上端のフランジ部42がボルト・ナットにより連結され、筒状の前記アタッチメント41は、前記中央側回転軸33を囲むように配置されと共に、作業者が外側から前記雌継手部37と雄継手部9T又は雄継手部10Tとの連結操作が可能な排泥口43を有する。
【0033】
前記ケーシング8の上端と前記アタッチメント41の下端とは、連結機構たるバヨネット機構45により着脱可能に連結される。前記バヨネット機構45は、ケーシング8の上端に接続筒部たる径大部46を設け、この径大部46の内周面と前記アタッチメント41の外周面の一方に、バヨネット溝47を設けると共に、他方にバヨネット突起48を設けてなる。尚、この例ではアタッチメント41の外周面に複数のバヨネット突起48を設けている。尚、バヨネット溝47が一側連結係合部であり、バヨネット突起48が他側連結係合部である。
【0034】
図5に示すように、前記バヨネット溝47は、ケーシング8の開口端に設けられた長さ方向の縦溝部47Aと、この縦溝部47Aの底部に設けられた周方向の横溝部47Bを有する。
【0035】
従って、径大部46の縦溝部47Aに、前記バヨネット突起48を合わせて、径大部46内にアタッチメント41の下端を挿入し、バヨネット突起48が縦溝部47Aの底部に達したら、横溝部47Bの方向(反時計回り方向:掘削時の回転方向)にアタッチメント41を回すことにより、ケーシング8にアタッチメント41を抜け止め状態であるロック状態で連結することができ、逆にアタッチメント41を時計方向に回すことにより、ロックを解除して径大部46からアタッチメント41を引き抜くことができる。尚、時計回り方向とは、
図6ではオーガー9を上から見た場合の方向である。
【0036】
また、前記ケーシング8の下端には肉厚部49を設け、この肉厚部49の先端に複数の掘削用ビット50を設けている。
【0037】
前記昇降用ウインチ4は、前記主リーダー2Aの後面に設けられている。
図1などに示すように、前記主リーダー2Aの上端には、主リーダー2Aの後方に位置するバックホウ7に対して、中央吊り部51を前方に突出し、
図8に示すように、前記主リーダー2Aの上端に定滑車52を設け、前記中央吊り部51には、前記減速機3の上方に昇降用掛装部たる定滑車52Aを設け、これら定滑車52,52Aに掛装した昇降用ワイヤ4Wを、前記減速機3と前記昇降用ウインチ4に連結している。この場合、減速機3の前記本体31の上部に定滑車31Aを設け、この定滑車31Aに前記昇降用ワイヤ4Wを掛装することにより、減速機3に昇降用ワイヤ4Wを連結している。
【0038】
前記主リーダー2Aの下部側後面には、吊上げ手段たる吊上げ用ウインチ54が設けられている。尚、この吊上げ用ウインチ54は前記昇降用ウインチ4より上部に位置し、
図8に示すように、それらウインチ54,4は左右にずらして配置されている。また、主リーダー2Aの上端には、左右方向一側斜め前向きに吊上げ用吊り部55を突設し、この吊上げ用吊り部55は主リーダー2Aの前方斜め45度の左向きに突設されている。
【0039】
また、前記主リーダー2Aの上端に定滑車56を設けると共に、前記吊上げ用吊り部55の先端側に吊上げ用掛装部たる定滑車56Aを設け、それら定滑車56,56Aの間に、縦軸を回転中心とする水平案内定滑車57を設け、前記吊上げ用ウインチ54の吊上げ用ワイヤ54Wを、前記定滑車56,57,56Aに掛装し、該吊上げ用ワイヤ54Wの先端を前記定滑車56Aから下方に吊設している。尚、定滑車56Aから吊下げた吊上げ用ワイヤ54Wが、減速機3に当たらないように、前記定滑車56Aの位置が設定されている。
【0040】
また、吊上げ用ワイヤ54Wの先端には、ワイヤ側吊り具たるフック54F(
図11)が設けられている。尚、定滑車52,52A,56,56Aは横軸を中心として回動する。
【0041】
図6に示すように、前記オーガー9は、上端に前記雄継手部9Tを有する軸部9Jと、この軸部9Jの周囲に設けた掘削用のスクリュー部9Sとを有する。そして、地中に挿入する掘削時には、オーガー9を反時計方向に回転すると共に、ケーシング8を時計回り方向に回転する。
【0042】
図7に示すように、前記ダウンザホールハンマー10は、中空パイプ状のボディ61と、このボディ61に内蔵したハンマーピストン62と、前記ボディ61の下端から突出した掘削ビット63とを有する周知の構成のものであり、そのダウンザホールハンマー10の上端に前記雄継手部10Tが設けられている。
【0043】
前記スイベル機構38には、加圧エア供給源40(
図5)に接続された加圧エア供給管(図示せず)が接続され、前記スイベル機構38に供給された加圧エアは、中空な前記雄継手部10Tからダウンザホールハンマー10の前記ハンマーピストン62へ供給され、このハンマーピストン62が前記掘削ビット63の上端を打撃し、該掘削ビット63に打撃力を付与するように構成されている。
【0044】
そして、前記ケーシング8内に前記ダウンザホールハンマー10を挿入し、その雄継手部10Tを前記雌継手部37に連結し、また、ケーシング8をバヨネット機構45により外周側回転軸34に連結し、ダウンザホールハンマー10の掘削ビット63の先端をケーシング8の下端から下方に突出した状態で、掘削が行われる。
【0045】
具体的には、減速機3により、ケーシング8を他側方向たる反時計回り方向に回転すると共に、ダウンザホールハンマー10の掘削ビット63を一側方向たる時計回り方向に回転しながら、掘削ビット63により掘削孔65の底部に打撃力に加えて掘削を行う。掘削された泥土(図示せず)などは、ケーシング8の内周面とボディ61の外周面との間の隙間を通って上昇し、前記アタッチメント41の前記排泥口43から外部に排出される。
【0046】
次に、防護柵71について説明する。
図9に示すように、防護柵71は、例えば津波の発生が予想される箇所に設置されるものであって、設置場所6には、津波の予想される波の方向と略直交する方向に間隔を置いて複数の支柱73が立設される。また、防護柵71は、複数の支柱73,73,73,73と、各支柱73,73,73,73間に設けた網体などからなる防護面74とを備えて構成され、それら4本の支柱73,73,73,73は、左右方向に均等な間隔を置いて立設されている。また、支柱73,73,73,73は、その全長の約1/2程度の支柱地中部が地中に位置し、1/2程度の支柱地上部が地表から略垂直に立設されている。
【0047】
前記支柱73は、支柱上部75と、下側部分が地中に埋設された支柱下部76と、これら支柱上部75と支柱下部76とを連結する受け筒部77とを備え、前記支柱上部75は、前記支柱下部76の上側に該支柱下部76と同軸に配置され、現場で支柱上部75と支柱下部76を組み立ててなる。また、それら支柱上部75は例えば5m程度、支柱下部76は例えば定尺の5.5m程度であり、支柱上部75が支柱下部76より短い。
【0048】
前記受け筒部77は、前記支柱下部76の上端にその長さの略半分を外嵌し、その受け筒部77の下端を支柱下部76の外面に溶着部(図示せず)により溶着することにより、受け筒部77が支柱下部76と同軸に固定されている。尚、前記受け筒部77は、支柱下部76の上端より大きく、円形の場合、大径であって、支柱下部76に一体に設けられている。
【0049】
また、前記支柱上部75は、前記支柱下部76の上側に該支柱下部76と同軸に配置され、現場で支柱上部75と支柱下部76を組み立ててなる。また、支柱上部75は支柱下部76より短い。また、
図9のように、受け筒部77の下端が設置場所6の地面又はその近傍に位置し、受け筒部77の上端は少なくとも地面位置か地面より上方に位置する。
【0050】
次に、前記支柱の施工方法について説明する。
図4に示すように、連結部15,16が上になるようにして主リーダー2Aを倒しておく。これに対して、主リーダー2Aの下部側が正面になるようにバックホウ7を移動して起伏アーム23が届く位置まで主リーダー2Aに近付き、起伏アーム23を倒し、起伏アーム23のアーム側連結部24と伸縮シリンダ26のロッド側連結部27を対応する連結部15,16に位置合わせする。この位置合わせ作業には、バックホウ7を移動したり、起伏アーム23の起伏角を調整したり、伸縮シリンダ26の伸縮ロッド26Rを伸長したりして行われる。
【0051】
位置合わせが完了したら、作業者が地上でリーダー側下連結部15とアーム側連結部24とを連結ピン25により連結し、また、リーダー側上連結部16とロッド側連結部27とを連結ピン28により連結する。
【0052】
このように地上に倒した状態の主リーダー2Aに、起伏アーム23と伸縮シリンダ26を連結することができるため、従来のように重機によりリーダーを立てて保持する必要が無いと共に、高所での連結作業が不要となる。
【0053】
続いて、バックホウ7により主リーダー2Aを支柱73の設置位置付近に垂直に持ち上げる。一方、ベルトスリングなどの吊り具81を接続リーダー2Bに巻き付け、前記吊上げ用ワイヤ54Wのフック54Fに吊り具81を連結し、吊上げ用ウインチ54により吊上げ用ワイヤ54Wを巻き取って接続リーダー2Bを吊上げ(
図10の破線)、立てた状態で接続リーダー2Bを接地し、保持する(
図10の実線)。
【0054】
この後、バックホウ7を移動し、
図2に示すように、接続リーダー2Bの上方に主リーダー2Aを位置させ、バックホウ7を操作して接続リーダー2Bの挿し口12に主リーダー2Aの受け口14が外嵌するように主リーダー2Aを降下させる。この場合、バックホウ7により主リーダー2Aを移動する際、接続リーダー2Bが傾かないで直立を保持するように吊上げ用ウインチ54の吊上げ用ワイヤ54Wの張力を調整操作する。
【0055】
受け口14に挿し口12が嵌入したら、ピン孔12H,14Hに連結ピン13を挿入して主リーダー2Aと接続リーダー2Bとを連結する。同様に、接続リーダー2Bを連結した主リーダー2Aを持ち上げ、吊り具81により地面に立てた2本目の接続リーダー2Bを1本目の接続リーダー2Bの下端に連結し、1本の主リーダー2Aと2本の接続リーダー2Bからなるリーダー2を組み立てる。この後、リーダー2の下部において、吊上げ用ウインチ54,吊上げ用ワイヤ54W及び吊り具81を用いて、減速機3をレール11,11に接続する。尚、2本の接続リーダー2B,2Bを連結した後、この連結した2本の接続リーダー2B,2Bを吊上げ用ウインチ54により立て、それら接続リーダー2B,2Bの上に主リーダー2Aを連結するようにしても良い。
【0056】
次に、掘削手段であるオーガー9とケーシング8による掘削孔65の掘削について説明する。吊上げ用ウインチ54を用いて、
図11に示すように、ケーシング8を地面に倒して配置し、この後、倒したケーシング8の内部にオーガー9を挿入する。この場合、オーガー9とケーシング8に前記吊り具81を巻き付け、吊上げ用ウインチ54により吊り卸しすることができる。
【0057】
また、
図12に示すように、倒した状態で、仮固定用の治具82を用いてケーシング8の上端から所定寸法だけオーガー9の軸部9Jが上方に突出するように仮固定する。前記治具82としては、前記ケーシング8の上縁とスクリュー部9Sに着脱可能に係止するものなどが例示される。尚、立ててから、吊上げ用ウインチ54を所定寸法だけ吊り上げ、この位置で治具82によりオーガー9をケーシング8に仮固定してもよく、少なくとも、オーガー9に雌継手部37を連結する前に、オーガー9を治具82により仮固定すれば良い。
【0058】
前記仮固定後、
図13に示すように、吊上げ用ウインチ54によりオーガー9と共にケーシング8を設置場所6の近傍に垂直に立てる。減速機3の中央側回転軸33がオーガー9の軸部9Jの上方に位置するように、バックホウ7によりリーダー2の位置を合わせ、減速機3を降下して雄継手部9Tを中央側回転軸33の雌継手部37に嵌入する。この際、作業者が排泥口43から手を入れて中央側回転軸33の雌継手部37と雄継手部9Tを位置合わせることができる。
【0059】
図14に示すように、前記雄継手部9Tを雌継手部37に嵌入した状態で、軸部9Jは治具82によりケーシング8の上端の上方に保持されているため、アタッチメント41の上端とケーシング8の上端との間には隙間がある。この後、作業者が排泥口43から連結抜け止め手段たる連結ピン39を挿入し、その連結ピン39を雄継手部9Tと雌継手部37の嵌合箇所に装着し、雌継手部37と雄継手部9Tを連結ピン39により抜け止め状態で連結する。
【0060】
雌継手部37と雄継手部9Tを連結した後、治具82を取り外し、必要な場合はバックホウ7を微動してケーシング8にアタッチメント41の位置を合わせ、また、減速機3を僅かに回転駆動して一側連結係合部たるバヨネット溝47に、他側連結係合部たるバヨネット突起48を位置合わせし、減速機3を降下して縦溝部47Aにバヨネット突起48を挿入すると共に、径大部46にアタッチメント41の下端を挿入し、減速機3を駆動してアタッチメント41を反時計回り方向に回転してバヨネット機構45によりケーシング8にアタッチメント41を抜け止め状態で連結する(
図5)。この連結の後は吊上げ用ワイヤ54Wによるケーシング8の支持を解除してもよい。
【0061】
ケーシング8にアタッチメント41を連結した後、昇降用ウインチ4により、減速機3を上昇してケーシング8とオーガー9を吊上げ、バックホウ7によりケーシング8とオーガー9を掘削孔65の位置に合わせ、リーダー2を設置場所6に立設する。
【0062】
掘削作業においては、
図6に示すように、ケーシング8を反時計回り方向に回転すると共に、オーガー9を逆の時計回り方向に回転しながら、減速機3を降下してケーシング8とオーガー9を地中に挿入する。このように外側のケーシング8が回転するため、壁面が圧密されながら掘削孔65が形成され、掘削方向に回転するオーガー9により掘られた泥土は、含まれる地下水と共にケーシング8内を上方し、地上の排泥口43から排出される。
【0063】
図15(A)に示すように、所定深さまで掘削孔65を形成する。例えば受け筒部77を除いた支柱下部76の長さが5m程度であれば、ケーシング8の地面からの高さは1m以下程度となるまで掘削孔65を形成する。掘削孔65の形成後、アタッチメント41を時計方向に回転してバヨネット突起48を縦溝部47Aに位置させ、減速機3を上昇してケーシング8の上端からアタッチメント41を抜き取り、減速機3とケーシング8の連結を解除する。この後、さらに減速機3を上昇し、
図15(B)に示すように、ケーシング8を掘削孔65内に残した状態で、オーガー9を掘削孔65から抜き取ることができる。
【0064】
あるいは、ケーシング8の連結を解除する前後に、排泥口43から連結ピン39を抜き取って減速機3とオーガー9の連結を解除し、オーガー9をケーシング8内に残し、減速機3を上方に退避する。減速機3を上方に退避した後、バックホウ7によりリーダー2をその縦軸を略中心に旋回するようにして、
図8(A)の定滑車52Aの元の位置に、
図8(B)のように定滑車56Aを位置させる。
【0065】
このように、掘削孔65の上部に定滑車56Aを位置させ、吊り具81をオーガー9の上端側に巻き付け、吊上げ用ワイヤ54Wによりオーガー9をケーシング8から抜き取り、オーガー9を吊上げた状態で、バックホウ7をオーガー9の置き場に移動し、置き場にオーガー9を倒して収納することができる。
【0066】
何れかの方法でオーガー9を抜き取り、掘削孔65にケーシング8を残した状態で、
図15(C)に示すように、掘削孔65内に支柱下部76を挿入し、受け筒部77の地上部分などを用いて掘削孔65に対して位置決めする。
【0067】
支柱下部76を位置決めした状態で、
図16(A)に示すように、ケーシング8内に硬化型の充填材83を充填する。この充填材83としては、無収縮モルタルなどのセメント系充填が好適であり、エポキシ系接着剤などでも良く、水に比べて比重が大きいものを用いる。
【0068】
充填材83を充填した後、
図16(B)に示すように、充填材83が硬化する前に、ケーシング8を地上に引き抜く。この場合、ケーシング8にアタッチメント41を連結し、昇降用ウインチ4により減速機3を上昇してケーシング8を引き抜く。尚、ケーシング8にアタッチメント41を連結した状態で、受け筒部77の上部はアタッチメント41内に遊挿される。
【0069】
昇降用ウインチ4の力だけでは、ケーシング8が抜けない、即ち動かない、または、抜き難い時は、減速機3を駆動してケーシング8を反時計回り方向に回転することにより、抜き易くなる。即ちケーシング8が抜けないときは、ケーシング8を掘削方向に回転しながら引き抜く。ケーシング8を抜いた掘削孔65内には充填材83が充填されているため、掘削孔65内壁からの地下水の侵入が防止され、併せて掘削孔65の内壁の崩壊が防止され、経時的に充填材83が硬化することより支柱下部76が設置場所6に固定される。
【0070】
このようにケーシング8と掘削手段たるオーガー9を逆回転しながら地中に挿入するため、ケーシング8とオーガー9を同時に埋め込むことができ、従来のようにオーガー9の掘削、オーガー9の回収、ケーシング8の挿入、ケーシング8内の再掘削の手間が省略され、工事の省力化が図られる。
【0071】
このように支柱施工装置1により設置場所6に支柱下部76を建て込んだら、
図16(C)に示すように、支柱下部76の上端に設けた受け筒部77内に、支柱上部75の下端を挿入し、受け筒部77の内周面と支柱上部75の外周面との間に充填材83を充填し、充填材83が硬化することにより、受け筒部77を設けた支柱下部76と支柱上部75が一体的に接合され、支柱73が形成される。
【0072】
前記支柱上部75と支柱下部76内には、設置場所6に建て込む前、好ましくは工場で充填材83が充填されている。尚、受け筒部77の支柱上部75を挿入する上部には、充填材は充填されていない。また、掘削孔65の充填材83と支柱73の充填材とは異なるものを用いることができる。
【0073】
次に、掘削途中で、硬い地盤などに達し、オーガー9をダウンザホールハンマー10に交換する場合について説明する。まず、連結ピン39を外してオーガー9と中央側回転軸33の連結を解除した後、減速機3によりアタッチメント41を反時計回り方向に回転し、減速機3を上昇せしめてアタッチメント41とケーシング8との連結を解除する。
【0074】
続いて、バックホウ7を操作して、定滑車56Aから下方に垂設した吊上げ用ワイヤ54Wの先端側であるフック54Fを、掘削孔65の上方位置に合わせる。この場合、起伏アーム23によりリーダー2を持ち上げ、クローラ21の駆動によりリーダー2をほぼその位置で略45度左側に旋回するようにして先端のフック54Fを掘削孔65のオーガー9の上端に合わせる(
図8(B))。そして、オーガー9の上端に吊り具81を連結し、この吊り具81をフック54Fに連結し、吊上げ用ウインチ54を駆動し、ケーシング8内からオーガー9を引き抜く。
【0075】
引き抜いたオーガー9を吊上げた状態で、バックホウ7を置き場まで移動し、置き場にオーガー9に倒して置いた後、吊上げ用ワイヤ54Wによりダウンザホールハンマー10を吊り上げる。この場合も、オーガー9と同様に、ダウンザホールハンマー10の上端側に吊り具81を巻き付け、吊り具81をフック54Fに係止してダウンザホールハンマー10を吊り上げる。
【0076】
吊上げた状態で、掘削孔65までバックホウ7を移動し、ケーシング8内にダウンザホールハンマー10を挿入し、ダウンザホールハンマー10が接地したら、吊り具81を取り外し、ダウンザホールハンマー10の雄継手部10Tに中央側回転軸33を連結した後、オーガー9の場合と同様に、アタッチメント41をケーシング8の上端に連結する。
【0077】
この場合、必要に応じて、ダウンザホールハンマー10用の治具82により雄継手部10Tをケーシング8の上端から所定高さだけ上方に位置するように保持した状態で、中央側回転軸33を連結する。尚、ダウンザホールハンマー10用の治具82を用いた場合は、雄継手部10Tに中央側回転軸33を連結した後であって、アタッチメント41をケーシング8の上端に連結する前に、その治具82を取り外す。
【0078】
アタッチメント41をケーシング8の上端に連結した後、掘削を開始する際には、減速機3によりケーシング8を時計回り方向に回転し、ダウンザホールハンマー10を逆方向に回転すると共に、掘削ビット63により打撃力を加えながら掘削を行うことにより硬い地盤を掘削することができる。ケーシング8を所定深さまで押し込み、掘削が完了したら、オーガー9と同様に、ダウンザホールハンマー10を引き抜き、支柱下部76をケーシング8内に挿入すると共に掘削孔65に対して位置決めし、充填材83を充填した後、ケーシング8を引き抜く。
【0079】
また、前記バックホウ7は油圧発生装置91を搭載して備え、この油圧発生装置91の油圧を動力源として、前記クローラ21を駆動する油圧モーター(図示せず)、前記本体22を旋回する油圧モーター(図示せず)、前記伸縮シリンダ26、起伏アーム23の起伏装置(図示せず)などが駆動する。これにより従来使用していた発電機が不要となる。尚、油圧発生装置91は、バックホウ7に搭載の油圧発生装置91以外でもよい。
【0080】
また、
図17などに示すように、前記ウインチ4,54の油圧モータ
ー(図示せず)、減速機3及び前記加圧エア供給源40は、図示しない油圧供給管により動力源たる油圧発生装置91に接続され、前記バックホウ7の本体22の操縦室22Aには、バックホウ7の操作手段と共に、前記ウインチ4,54を操作する操作部4S,54S、減速機3を操作する操作部32S及び加圧エア供給源40を操作する操作部40Sが設けられている。
【0081】
尚、操作部4S,54S,32S,40Sは、上述した支柱施工装置1の駆動を操作することができ、例えば、操作部32Sにより、有線又は無線で回転軸33,34の回転速度を調節したり、回転軸33,34を掘削時と逆方向に回転するように制御操作したりすることができる。
【0082】
これにより、操縦室22Aの一人の操縦者により支柱施工装置1を操作することができる。また、吊上げ用吊り部55を左右斜め向き突設し、昇降用掛装部たる定滑車52Aと異なる平面位置に、吊上げ用ウインチ54の吊上げ用ワイヤ54Wを吊上げ用吊下げ部たる定滑車56Aを設けたから、操縦者が吊上げ用ワイヤ54Wの先端側を視認して吊上げ状態を確認し易くなる。
【0083】
このように本実施例では、請求項1,3,4に対応して、設置場所6に間隔を置いて支柱73,73を立設し、これら支柱73,73の間に防護面74を設けた防護柵71の支柱施工装置1において、ケーシング8と、ケーシング8内に配置する掘削手段たるオーガー9又はダウンザホールハンマー10と、リーダー2に沿って昇降自在に設けられ、ケーシング8とオーガー9又はダウンザホールハンマー10とを逆回転して設置場所6に掘削孔65を形成する回転駆動装置たる減速機3と、減速機3をリーダー2に沿って昇降する昇降手段たる昇降用ウインチ4とを備えるから、オーガー9又はダウンザホールハンマー10を回転すると共に、ケーシング8をオーガー9又はダウンザホールハンマー10と逆に回転しながら掘削孔65を形成することにより、オーガー9又はダウンザホールハンマー10による掘削後のケーシング8の挿入と再掘削が不要となり、施工性に優れたものとなる。
【0084】
このように本実施例では、請求項2,4に対応して、起伏アーム23を有するベースマシンたるバックホウ7を備え、リーダー2が、主リーダー2Aと、この主リーダー2Aより短く、該主リーダー2Aの下部に着脱可能に接続する接続リーダー2Bとを備え、主リーダー2Aの下部に起伏アーム23を連結するリーダー側連結部たるリーダー側下連結部15及び前記リーダー側上連結部16を設けたから、主リーダー2Aの下部にリーダー側下連結部15及び前記リーダー側上連結部16を設けることにより、主リーダー2Aを倒した状態でリーダー側下連結部15及び前記リーダー側上連結部16に起伏アーム23を連結することができ、この連結作業を高所ではなく地上で行うことができる。
【0085】
また、連結した状態で主リーダー2Aを持ち上げ、その主リーダー2Aの下部に接続リーダー2Bを連結することにより所望高さのリーダー2が得られる。
【0086】
このように本実施例では、請求項1に対応して、昇降手段がリーダー2に設けられた昇降用ウインチ4であり、昇降用ウインチ4の昇降用ワイヤ4Wを減速機3に連結すると共に、昇降用ワイヤ4Wを吊下げる昇降用吊下げ部たる定滑車31Aをリーダー2の上部前方に設け、リーダー2に吊上げ用ウインチ54を設け、リーダー2の上部で定滑車31Aと異なる平面位置に、吊上げ用ウインチ54の吊上げ用ワイヤ54Wを吊下げる吊上げ用吊下げ部たる定滑車56Aを設けたから、リーダー2の上部前方の定滑車52Aに吊下げた昇降用ワイヤ4Wを、減速機3に連結し、昇降用ワイヤ4Wにより減速機3をリーダー2に沿って昇降して掘削を行うことができる。一方、減速機3以外を吊り卸しする際は、平面位置の異なる定滑車56Aに吊上げ用ワイヤ54Wを掛装し、この吊上げ用ワイヤ54Wにより重量物を吊り上げることができる。
【0087】
このように本実施例では、請求項3に対応して、設置場所6に間隔を置いて支柱73,73を立設し、これら支柱73,73の間に防護面74を設けた防護柵71の支柱施工方法において、ケーシング8と、ケーシング8内に配置する掘削手段たるオーガー9又はダウンザホールハンマー10と、リーダー2に沿って昇降自在に設けられ、ケーシング8とオーガー9又はダウンザホールハンマー10とを逆回転して設置場所6に掘削孔65を形成する回転駆動装置たる減速機3と、減速機3をリーダー2に沿って昇降する昇降手段たる昇降用ウインチ4とを備えた支柱施工装置1を用い、ケーシング8と掘削手段たるオーガー9又はダウンザホールハンマー10を逆回転しながら地中に埋め込んだ後、オーガー9又はダウンザホールハンマー10を引き上げ、オーガー9又はダウンザホールハンマー10を引き上げたケーシング8内に支柱73の下部である支柱下部76を挿入し、ケーシング8内に充填材83を充填した後、ケーシング8を引き上げるから、オーガー9又はダウンザホールハンマー10による掘削後のケーシング8の挿入と再掘削が不要となり、施工性が向上する。
【0088】
このように本実施例では、請求項4に対応して、設置場所6に間隔を置いて支柱73,73を立設し、これら支柱73,73の間に防護面74を設けた防護柵71の支柱施工方法において、ケーシング8と、ケーシング8内に配置する掘削手段たるオーガー9又はダウンザホールハンマー10と、リーダー2に沿って昇降自在に設けられ、ケーシング8とオーガー9又はダウンザホールハンマー10とを逆回転して設置場所6に掘削孔65を形成する回転駆動装置たる減速機3と、減速機3をリーダー2に沿って昇降する昇降手段たる昇降用ウインチ4と、起伏アーム23を有するベースマシンたるバックホウ7とを備えた支柱施工装置1を用い、リーダー2が、主リーダー2Aと、この主リーダー2Aより短く、該主リーダー2Aの下部に着脱可能に接続する接続リーダー2Bとを備え、主リーダー2Aの下部に起伏アーム23を連結するリーダー側連結部たるリーダー側下連結部15及び前記リーダー側上連結部16を設け、リーダー側連結部たるリーダー側下連結部15及び前記リーダー側上連結部16を上側にすると共に、主リーダー2Aの下部をベースマシンたるバックホウ7側にして主リーダー2Aを倒し、起伏アーム23を起伏して該起伏アーム23のアーム側連結部24をリーダー側下連結部15に合わせ、それら連結部24,15同士を連結した後、バックホウ7により主リーダー2Aを縦向きに持ち上げ、この主リーダー2Aの下方に接続リーダー2Bを縦向きに配置し、バックホウ7により主リーダー2Aを下して接続リーダー2Bの上端に主リーダー2Aの下端を接続するから、地上で主リーダー2Aに起伏アーム23を連結することができ、この連結後、接続リーダー2Bを接続することにより所望高さのリーダー2が得られる。
【0089】
以下、実施例上の効果として、リーダー2A,2Bは受け口14を有し、リーダー2Bは挿し口12を有し、受け口14に差し口12を挿入して連結手段たる連結ピン13により簡便に連結することができ、また、バックホウ7による連結作業もやり易いものとなる。
【0090】
また、筒状の外周側回転軸34内に中央側回転軸33の雌継手部37を設け、その外周側回転軸34に、雌継手部37と雄継手部9T,10Tを連結する連結部材たる連結ピン39を外部から操作可能な排泥口43を設けたから、この排泥口43を用いて外周側回転軸34に内部に位置する雌継手部37と雄継手部9T,10Tの連結作業を簡便に行うことができる。
【0091】
また、仮固定用の治具82を用いて、ケーシング8の上端から所定寸法だけオーガー9の軸部9Jが上方に突出するように仮固定する方法であるから、掘削手段たるオーガー9を減速機3に連結した後、治具82を取り外し、ケーシング8と汎用的な減速機3とを連結することができる。
【0092】
また、主リーダー2Aに昇降用ウインチ4と吊上げ用ウインチ54を設けたから、減速機3に連結する前、他の重機を用いることなく、設置場所6に立てた姿勢でケーシング8を吊上げ用ウインチ54により支持することができる。
【0093】
また、前記支柱73は、支柱上部75と、下側部分が地中に埋設された支柱下部76と、これら支柱上部75と支柱下部76とを連結する受け筒部77とを備えるから、受け筒部77の上部を地上に露出した状態で、掘削孔65に支柱下部76を挿入して掘削孔65に充填材83を充填した後、支柱上部75の施工前に、ケーシング8をスムーズに引き抜くことができる。
【0094】
また、支柱施工装置1は油圧発生装置91を備え、この油圧発生装置91の油圧を動力源として、クローラ21を駆動する油圧モーター(図示せず)、本体22を旋回する油圧モーター(図示せず)、伸縮シリンダ26、起伏アーム23の起伏装置(図示せず)などが駆動するから、従来使用していた発電機などが不要となる。
【0095】
また、バックホウ7の本体22の操縦室22Aには、バックホウ7の操作手段と共に、ウインチ4,54を操作する操作部4S,54S、減速機3を操作する操作部32S及び加圧エア供給源40を操作する操作部40Sが設けられているから、操縦室22Aの一人の操縦者により支柱施工装置1を操作することが可能になる。
【0096】
また、吊上げ用吊り部55を前方の左右何れか斜め向き突設し、昇降用掛装部たる定滑車52Aと異なる平面位置で、吊り下げた吊上げ用ワイヤ54Wが減速機3に干渉しない位置、具体的には吊り下げた吊上げ用ワイヤ54Wが減速機3に当たらない位置に、吊上げ用ウインチ54の吊上げ用ワイヤ54Wを吊上げ用吊下げ部たる定滑車56Aを設けたから、操縦者が吊上げ用ワイヤ54Wの先端側を視認して吊上げ状態を確認し易くなる。また、
図1に示すように、バックホウ7において、リーダー2を支持する起伏アーム23の右側に操縦室22Aが配置されている場合、中央の中央吊り部51に対して吊上げ用吊り部55を左側に配置することにより、吊上げ用吊り部55が見易い位置となり、操作者の視認性を確保することができる。
【0097】
さらに、本体22の左右方向一側である左側に操縦室22Aを有するバックホウ7に対して、吊上げ用吊り部55を一側である左側前方斜めの位置で、吊り下げた吊上げ用ワイヤ54Wが減速機3に干渉せず、リーダー2の左側真横位置から前方位置に配置したから、吊上げ用ワイヤ54Wの視認性に優れ、バックホウ7により吊上げ用ワイヤ54Wの位置合わせも容易に行うことができる。尚、右側に操縦室22Aを有するバックホウ7の場合は、左右方向一側を右側とすれば良い。
【0098】
また、掘削孔65の施工時に、オーガー9をダウンザホールハンマー10に交換するから、地盤の条件などによりオーガー9のみでは掘削できない硬い地盤でも掘削孔65の施工が可能となる。
【実施例2】
【0099】
図18は本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。同図は、ケーシング8とオーガー9又はダウンザホールハンマー10を継ぎ足して使用する例を示し、オーガー9を例にして説明する。
【0100】
尚、継ぎ足し用のダウンザホールハンマーを用いる場合も同様であり、継ぎ足し用のダウンザホールハンマー(図示せず)には、その上端に雄継手部10Tが設けられていると共に、その下端に雌継手部37が設けられている。
【0101】
継ぎ足し用の接続ケーシング8Aは、その下端にケーシング8の上端に接続する前記アタッチメント41の下端と同様な構成を有し、その上端には前記径大部46が設けられている。また、延長部分である継ぎ足し用の接続オーガー9Aは、その下端に前記雌継手部37が設けられると共に、その上端に前記雄継手部9Tが設けられている。尚、オーガー9又はダウンザホールハンマー10に比べて、継ぎ足し用の掘削手段は短い。
【0102】
そして、前記接続ケーシング8Aの下端には、肉厚部を設けずに、その下端外周に前記バヨネット突起48が設けられている。また、接続ケーシング8Aの下端には、前記排泥口43に対応して、操作口85を開口して設け、この操作口85により作業者が外側から前記雌継手部37を操作可能としている。さらに、前記操作口85を開閉可能に塞ぐ蓋体86を備える。尚、蓋体86の操作口85への着脱にはボルトなどを用いてもよい。
【0103】
そして、施工においては、前記ケーシング8の上端が地面から約1mの高さ程度になるように、実施例1と同様に、ケーシング8とオーガー9を地中に挿入して掘削孔65を形成する。このようにして、掘削孔65を形成した後、オーガー9と中央側回転軸33の雌継手部37との連結を解除した後、ケーシング8とアタッチメント41との連結を解除し、ケーシング8とオーガー9を掘削孔65内に残す。
【0104】
また、前記オーガー9に前記吊り具81を巻き付け、吊上げ用ウインチ54により、オーガー9を所定寸法だけ吊上げ、この状態で仮固定用の治具82を用いてケーシング8の上端から所定寸法だけオーガー9の軸部9Jが上方に突出した状態で仮固定し、減速機3に連結した接続オーガー9Aをオーガー9に連結可能な状態にしておく。
【0105】
また、上記
図11~
図13に示したケーシング8とオーガー9と同様にして、地面に立てた接続ケーシング8Aと接続オーガー9Aに減速機3を接続する。
【0106】
接続後、バックホウ7を移動して、減速機3を掘削孔65の上部に位置させ、減速機3を降下し、まず、オーガー9の下端の雌継手部37に接続オーガー9Aの上端の雄継手部9Tを連結し、この際、操作口85から連結ピン39を用いた連結作業を行うことができる。
【0107】
このようにして減速機3の雌継手部37と接続オーガー9Aの上端の雄継手部9Tを連結すると、
図14に示したと同様に、ケーシング8の径大部46の上端と接続ケーシング8Aの下端との間に隙間が形成される。ケーシング8,8Aを連結した後、治具82を取り外す。また、
図18(B)に示すように、蓋体86により操作口85を塞ぐ。尚、蓋体86は、雌継手部37と接続オーガー9Aの上端の雄継手部9Tを連結した後であって、掘削を開始する前に操作口85に設けられる。
【0108】
治具82を取り外し、蓋体86を取り付けた後、減速機3を降下して接続ケーシング8Aの下端をケーシング8の上端に挿入し、減速機3により接続ケーシング8Aを横溝部47B分だけ回動し、バヨネット機構45により連結する。この後、減速機3により、オーガー9,9Aとケーシング8,8Aを回転しながら地中に埋め込む。
【0109】
接続オーガー9Aとケーシング8Aを継ぎ足して掘削孔65を形成した後、オーガー9,9Aを引き上げ、掘削孔65のケーシング8,8A内に支柱下部76を挿入して位置決めし、掘削孔65内に充填材83を充填した後、ケーシング8,8Aを引き上げる。
【0110】
このように本実施例では、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
【0111】
以下、実施例上の効果として、請求項1記載の支柱施工装置1を用い、地中に挿入したケーシング8と掘削手段たるオーガー9に、継ぎ足し用のケーシング8とオーガー9の延長部分たる接続オーガー9Aを継ぎ足す際、減速機3から地中に挿入したケーシング8とオーガー9を外し、減速機3を上昇し、吊上げ用ウインチ54により地面に立てた接続ケーシング8Aと接続オーガー9Aに減速機3を連結し、それら継ぎ足し用のケーシング8Aと接続オーガー9Aを地中に埋め込んだケーシング8とオーガー9に連結するから、昇降用ウインチ4と吊上げ用ウインチ54を設けたリーダー2により、掘削孔65の掘削と、ケーシング8,8A及びオーガー9,9Aの吊り卸しを行うことができ、支柱73の施工を簡便に行うことができる。
【0112】
また、接続ケーシング8Aには、内部に配置した掘削手段たる接続オーガー9Aの雌継手部37に対応して、該雌継手部37と雄継手部8T,9Tの連結作業を操作可能な操作口85を設けたから、減速機3に接続ケーシング8Aと掘削手段たる接続オーガー9Aを接続した状態で、接続オーガー9Aの他方の継手部たる雌継手部37を、掘削手段たるオーガー9の雄継手部9Tに連結することができる。さらに、操作口85を開閉可能な蓋体86を備えるから、接続ケーシング8A内に掘削土砂が侵入することがない。また、蓋体86は接続ケーシング8Aに外径形状に対応して湾曲状に形成されている。
【実施例3】
【0113】
図19は本発明の実施例3を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。同図は、ケーシング8とオーガー9又はダウンザホールハンマー10を継ぎ足して使用する例を示し、オーガー9を例にして説明する。
【0114】
尚、継ぎ足し用のダウンザホールハンマーを用いる場合も同様であり、継ぎ足し用のダウンザホールハンマー(図示せず)には、その上端に雄継手部10Tが設けられていると共に、その下端に雌継手部37が設けられている。
【0115】
継ぎ足し用の接続ケーシング8Aは、その下端にケーシング8の上端に接続する前記アタッチメント41の下端と同様な構成を有し、その上端には前記径大部46が設けられている。また、延長部分である継ぎ足し用の接続オーガー9Aは、その下端に前記雌継手部37が設けられると共に、その上端に減速機3に連結する前記雄継手部9Tが設けられている。
【0116】
前記ケーシング8の上端が地面から約1mの高さ程度になるように、実施例1と同様に、ケーシング8とオーガー9を地中に挿入する。また、オーガー9と中央側回転軸33の雌継手部37との連結を解除し、ケーシング8とアタッチメント41との連結を解除する。
【0117】
次に、接続オーガー9Aに吊り具81を巻き付け、前記吊上げ用ワイヤ54Wのフック54Fに吊り具81を着脱可能に連結し、吊上げ用ウインチ54により接続オーガー9Aを吊り上げ、バックホウ7を移動して接続オーガー9Aを掘削孔65の上部に位置させ、
図19(A)に示すように、吊上げ用ウインチ54により接続オーガー9Aを降下してオーガー9に継ぎ足し用の接続オーガー9Aを連結する。この状態で、オーガー9に上端に連結した接続オーガー9Aは自立する。
【0118】
また、地上に立てた状態の接続ケーシング8Aに対して、昇降用ウインチ4により減速機3を降下し、減速機3に接続ケーシング8Aを接続し、バックホウ7を移動して、減速機3を掘削孔65の上部に合わせ、
図19(B)に示すように、接続オーガー9Aに接続ケーシング8Aを外装するようにして減速機3を降下する。そして、継ぎ足しケーシング8Aの下端をケーシング8の上端に挿入してバヨネット機構45により連結する。
【0119】
この後、減速機3により、オーガー9,9Aとケーシング8,8Aを回転しながら地中に埋め込む。
【0120】
このようにして掘削孔65を形成した後、オーガー9,9Aを引き上げ、掘削孔65内に支柱下部76を挿入して位置決めし、掘削孔65内に充填材83を充填した後、ケーシング8,8Aを引き上げる。
【0121】
このように本実施例では、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0122】
また、実施例上の効果として、請求項1記載の支柱施工装置1を用い、地中に挿入したケーシング8と掘削手段たるオーガー9に、継ぎ足し用のケーシング8とオーガー9の延長部分たる接続オーガー9Aを継ぎ足す際、減速機3から地中に挿入したケーシング8とオーガー9を外し、減速機3を上昇し、ベースマシンたるバックホウ7の移動により吊上げ用掛装部たる定滑車56を地中に埋め込んだケーシング8とオーガー9の上方に位置させ、吊上げ用ウインチ54により継ぎ足し用の接続オーガー9Aを地中に埋め込んだオーガー9の上方に吊上げて、継ぎ足し用の接続オーガー9Aを地中に埋め込んだオーガー9に連結するから、昇降用ウインチ4と吊上げ用ウインチ54を設けたリーダー2により、掘削孔65の掘削と、ケーシング8,8A及びオーガー9,9Aの吊り卸しを行うことができ、支柱73の施工を簡便に行うことができる。
【0123】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、支柱の断面は角形でも良く、この場合は、支柱上部と支柱下部に比べて断面が大きな角形の受け筒部を用いる。また、アタッチメント又は接続ケーシングとケーシングの連結機構は、ロック及びロック解除可能なロック手段たるバヨネット機構以外でも、一方向の回転でロックされてその一方の回転が伝達可能になると共に、抜け止め状態で連結され、他方向の回転で連結解除可能なものであれば適宜選定可能であり、また、そのロック手段は他の機械的な機構でもよい。さらに、中央側回転軸と掘削手段の上端との連結構造は、実施例で示した連結ピンを用いる以外でも、各種の連結構造を用いることができ、これら連結構造も排泥口,操作口を用いて連結及び連結解除可能なものが用いられる。また、実施例では、掘削時に掘削手段を時計回り方向に回転し、ケーシングを反時計回り方向に回転するように構成したが、これと逆に回転してもよく、逆に回転した場合は、バヨネット機構なども対応して横溝部などの向きを変えればよい。さらに、昇降用吊下げ部と吊上げ用吊下げ部の高さ位置は多少ずれていても良い。また、主リーダーと起伏アームの連結構造及び主リーダーと伸縮ロッドの連結構造は、適宜選定可能である。さらに、実施例では、昇降用ウインチを下側、吊上げ用ウインチを上側に配置したが、上下逆でもよい。また、防護柵は、津波の発生が予想される箇所に設ける津波用以外でも、落石用、雪崩用や崩壊土砂用でもよい。さらに、上下のリーダーの連結構造は適宜選定可能であり、例えば、2本の接続リーダー2Bを用いる場合、下段の接続リーダーの上端に受け口を設け、この受け口に挿入する差し口を中段の接続リーダーの下端に設け、この中段の接続リーダーの上端に差し口を設けてもよい。
【符号の説明】
【0124】
1 支柱施工装置
2 リーダー
2A 主リーダー
2B 接続リーダー
3 減速機(回転駆動装置)
4 昇降用ウインチ(昇降手段)
4W 昇降用ワイヤ
6 設置場所
7 バックホウ(ベースマシン)
8 ケーシング
9 オーガー(掘削手段)
10 ダウンザホールハンマー(掘削手段)
15 リーダー側下連結部(リーダー側連結部)
16 リーダー側上連結部(リーダー側連結部)
24 アーム側連結部
26 伸縮シリンダ(伸縮杆)
27 ロッド側連結部
51 中央吊り部
52A 定滑車(昇降用吊下げ部)
54 吊上げ用ウインチ
54W 吊上げ用ワイヤ
54F フック
55 吊上げ用吊り部
56A 定滑車(吊上げ用吊下げ部)
65 掘削孔
73 支柱
74 防護面
83 充填材