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特許7338045発光ダイオードおよび発光ダイオードの形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】発光ダイオードおよび発光ダイオードの形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/32 20100101AFI20230828BHJP
   H01L 33/22 20100101ALI20230828BHJP
   H01L 33/24 20100101ALI20230828BHJP
【FI】
H01L33/32
H01L33/22
H01L33/24
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022514745
(86)(22)【出願日】2020-09-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-15
(86)【国際出願番号】 EP2020074297
(87)【国際公開番号】W WO2021043745
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】1912853.7
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520445406
【氏名又は名称】プレッシー・セミコンダクターズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PLESSEY SEMICONDUCTORS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピノス,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】アシュトン,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】メゾウアリ,サミル
【審査官】淺見 一喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-185084(JP,A)
【文献】特開2010-245378(JP,A)
【文献】特開2017-204568(JP,A)
【文献】特開2004-111689(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0263054(US,A1)
【文献】特表2018-505567(JP,A)
【文献】特開2009-071172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
H01S 5/00-5/50
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオード(LED)前駆体を形成する方法であって、
(a)基板上にIII族窒化物を備える第1の半導体層を形成するステップであって、前記第1の半導体層は、前記基板に対して前記第1の半導体層の反対側に成長表面を有する、第1の半導体層を形成するステップと、
(b)前記第1の半導体層の前記成長表面がメサ表面およびバルク半導体表面を備えるように、前記第1の半導体層の一部分を選択的に除去してメサ構造を形成するステップと、
(c)前記メサ表面および前記バルク半導体表面を覆うように、前記第1の半導体層の前記成長表面上にモノリシックLED構造を形成するステップであって、前記モノリシックLED構造は複数の層を備え、各層はIII族窒化物を備え、前記複数の層は、
第2の半導体層、
前記第2の半導体層上に設けられた活性層であって、光を生成するように構成されている、活性層、および
前記活性層上に設けられたp型半導体層
を含む、モノリシックLED構造を形成するステップと
を備え、前記メサ表面を覆う前記p型半導体層の第1の部分と、前記バルク半導体表面を覆う前記p型半導体層の第2の部分との間にポテンシャル障壁が設けられており、前記ポテンシャル障壁は、前記メサ表面を覆う前記p型半導体層の前記第1の部分を囲
前記第2の半導体層は、非ドープIII族窒化物を備える、方法。
【請求項2】
前記第2の半導体層は、前記成長表面上に形成されて、前記第1の半導体層の前記メサ表面上の前記第2の半導体層の第1の部分と、前記第1の半導体層の前記バルク半導体表面上の前記第2の半導体層の第2の部分との間に延在する傾斜した側壁部分を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記p型半導体層はAlを備え、前記p型半導体層の傾斜した側壁部分内で、前記p型半導体層の前記第1の部分と前記p型半導体層の前記第2の部分との間に前記ポテンシャル障壁が形成されるように、前記メサ表面を覆う前記p型半導体層の前記第1の部分よりも高濃度のAlが前記p型半導体層の前記傾斜した側壁部分に組み込まれるように形成される、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記p型半導体層の前記傾斜した側壁部分は、p型AlGa1-xNを備え、2≦x≦50%であり、前記p型半導体層の前記第1の部分は、p型AlGa1-yNを備え、1≦y≦15%である、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記メサ表面を覆う前記p型半導体層の前記第1の部分を取り囲む前記p型半導体層の一部分が選択的に除去されて下の前記活性層が露出される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記メサ表面を覆う前記p型半導体層の前記第1の部分を取り囲む前記p型半導体層の一部分が、異方性エッチャントを使用して選択的に除去される、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の半導体層の部分を選択的に除去して前記メサ構造を形成するステップは、
前記第1の表面上にメサ画定マスク層を選択的に形成するステップと、
第1の半導体層のマスクされていない部分を選択的に除去して、前記第1の半導体層の前記バルク半導体表面を露出させるステップと、
前記メサ画定マスク層を除去するステップと
を備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の半導体層はGaNを備え、前記第1の半導体層はn型半導体である、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記メサ表面と前記バルク半導体表面との間の前記メサ構造の高さが、少なくとも200nmである、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
LEDアレイ前駆体を形成する方法であって、
(a)基板上にIII族窒化物を備える第1の半導体層を形成するステップであって、前記第1の半導体層は、前記基板に対して前記第1の半導体層の反対側に成長表面を有する、第1の半導体層を形成するステップと、
(b)前記第1の半導体層の前記成長表面が複数のメサ表面およびバルク半導体表面を備えるように、前記第1の半導体層の一部分を選択的に除去して複数のメサ構造を形成するステップと、
(c)前記メサ表面および前記バルク半導体表面を覆うように、前記第1の半導体層の前記成長表面上にモノリシックLEDアレイ構造を形成するステップであって、前記モノリシックLEDアレイ構造は複数の層を備え、各層はIII族窒化物を備え、前記複数の層は、
第2の半導体層、
前記第2の半導体層上に設けられた活性層であって、光を生成するように構成されている、活性層、および
前記活性層上に設けられたp型半導体層
を含む、モノリシックLEDアレイ構造を形成するステップと
を備え、各メサ表面を覆う前記p型半導体層の各メサ部分と、前記バルク半導体表面を覆う前記p型半導体層のバルク部分との間にポテンシャル障壁が設けられており、前記ポテンシャル障壁は、前記メサ表面を覆う前記p型半導体層の各メサ部分を囲み、
前記第2の半導体層は、非ドープIII族窒化物を備える、方法。
【請求項11】
発光ダイオード(LED)前駆体であって、
III族窒化物を備える第1の半導体層であって、前記第1の半導体層は、バルク半導体表面およびメサ表面を含む成長表面を画定するように、前記第1の半導体層の主面から延在するメサ構造を含む、第1の半導体層と、
前記メサ表面および前記バルク半導体表面を覆うように、前記第1の半導体層の前記成長表面上に設けられたモノリシックLED構造であって、前記モノリシックLED構造は複数の層を備え、形成される各層はIII族窒化物を備え、前記複数の層は、
第2の半導体層、
前記第2の半導体層上に設けられた活性層であって、光を生成するように構成されている、活性層、および
前記活性層上に設けられたp型半導体層
を含む、モノリシックLED構造と
を備え、前記メサ表面を覆う前記p型半導体層の第1の部分と、前記バルク半導体表面を覆う前記p型半導体層の第2の部分との間にポテンシャル障壁が設けられており、前記ポテンシャル障壁は、前記メサ表面を覆う前記p型半導体層の前記第1の部分を囲
前記第2の半導体層は、非ドープIII族窒化物を備える、発光ダイオード(LED)前駆体。
【請求項12】
前記第2の半導体層は、前記第1の半導体層の前記メサ表面上の前記第2の半導体層の第1の部分と、前記第1の半導体層の前記バルク半導体表面上の前記第2の半導体層の第2の部分との間に延在する傾斜した側壁部分を備える、請求項1に記載のLED前駆体。
【請求項13】
前記p型半導体層はAlを備え、
前記p型半導体層の傾斜した側壁部分は、前記p型半導体層の前記第1の部分と前記p型半導体層の前記第2の部分との間における前記p型半導体層の前記傾斜した側壁部分内にポテンシャル障壁が形成されるように、前記メサ表面を覆う前記p型半導体層の前記第1の部分よりも高濃度のAlを備える、請求項1に記載のLED前駆体。
【請求項14】
前記メサ構造を覆う前記p型半導体層の前記第1の部分を取り囲む前記p型半導体層の一部分が選択的に除去されて下の前記活性層が露出される、請求項1~1のいずれか1項に記載のLED前駆体。
【請求項15】
前記メサ表面と前記バルク半導体表面との間の前記メサ構造の高さが、少なくとも200nmである、請求項1~1のいずれか1項に記載のLED前駆体。
【請求項16】
メサ表面の表面積が、100μm×100μm以下である、請求項1~1のいずれか1項に記載のLED前駆体。
【請求項17】
前記メサ表面と前記バルク半導体層表面との間の前記メサ構造の高さは、少なくとも、前記メサ構造の前記メサ表面の断面幅に等しい、請求項1~1のいずれか1項に記載のLED前駆体。
【請求項18】
発光ダイオードアレイ前駆体であって、
III族窒化物を備える第1の半導体層であって、前記第1の半導体層は、複数のメサ構造を備え、各メサ構造は、バルク半導体表面および複数のメサ表面を含む成長表面を画定するように、前記第1の半導体層の主面から延在する、第1の半導体層と、
前記メサ表面の各々および前記バルク半導体表面を覆うように、前記第1の半導体層の前記成長表面上に設けられたモノリシックLEDアレイ構造であって、前記モノリシックLEDアレイ構造は複数の層を備え、各層はIII族窒化物を備え、前記複数の層は、
第2の半導体層、
前記第2の半導体層上に設けられた活性層であって、光を生成するように構成されている、活性層、および
前記活性層上に設けられたp型半導体層
を含む、モノリシックLEDアレイ構造と
を備え、前記メサ表面の各々を覆う前記p型半導体層の各メサ部分と、前記バルク半導体表面を覆う前記p型半導体層のバルク部分との間にポテンシャル障壁が設けられており、前記ポテンシャル障壁は、前記メサ表面を覆う前記p型半導体層の前記メサ部分の各々を囲み、
前記第2の半導体層は、非ドープIII族窒化物を備える、発光ダイオードアレイ前駆体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本開示は、III族窒化物半導体に関する。特に、本開示は、III族窒化物半導体を備える発光ダイオード(LED)に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
マイクロLEDアレイは、一般に、100×100μm以下のサイズを有するLEDのアレイとして定義される。マイクロLEDアレイは、スマートウォッチ、ヘッドウェアディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、カムコーダ、ビューファインダ、マルチサイト励起源、およびピコプロジェクタなどの様々なデバイスにおける使用に適したマイクロディスプレイ/プロジェクタ内の自己発光部品である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
1つのタイプのマイクロLEDアレイは、III族窒化物から形成された複数のLEDを備える。III族窒化物LEDは、例えば、活性発光領域内にGaNならびにInNおよびAlNとのその合金を備える無機半導体LEDである。III族窒化物LEDは、従来の大面積LED、例えば発光層が有機化合物である有機発光ダイオード(OLED)よりも著しく高い電流密度で駆動することができ、より高い光パワー密度を放出することができる。結果として、所与の方向における光源の単位面積当たりに放出される光の量として定義されるより高いルミナンス(輝度)が、マイクロLEDを、高い輝度を必要とする、またはそれから恩恵を受ける用途に適したものにする。例えば、高輝度から恩恵を受ける用途は、高輝度環境のディスプレイまたはプロジェクタを含み得る。さらに、III族窒化物マイクロLEDアレイは、他の従来の大面積LEDと比較して、ルーメン毎ワット(lm/W)で表される比較的高い発光効率を有することが知られている。III族窒化物マイクロLEDアレイの比較的高い発光効率は、他の光源と比較して電力使用を低減し、マイクロLEDを携帯用デバイスに特に適したものにする。
【0004】
III族窒化物からマイクロLED、特にマイクロLEDアレイを形成するための1つの方法は、米国特許第7,087,932号に記載されているような選択領域成長(SAG)である。選択領域成長技術では、バッファ層上にマスクがパターニングされる。マスク内の材料は、成長条件において、追加の材料がマスク上に直接成長せず、下にあるバッファ層の表面の一部分を露出させる開口の内側のみに成長するようなものである。
【0005】
方向に沿って成長させたIII族窒化物の選択領域成長の別の注目すべき特徴は、成長温度、圧力、およびV/III比などの成長パラメータに応じて、c面としても知られる(0001)面に対する傾斜ファセットが、パターニングされたマスクの開口領域によって画定されるc面半導体の成長部分の周縁周りに得られることである。傾斜ファセットは、一般に、ウルツ鉱型結晶の
【0006】
【化1】
【0007】
に沿って配向され、c面(半極性面)と比較して低減した分極場を呈する。
本発明の目的は、LED前駆体を形成するための改善された方法、ならびに従来技術の方法およびアレイに関連する問題の少なくとも1つに対処する改善されたLED前駆体、または少なくともそれに対する商業的に有用な代替物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の概要
本発明者らは、SAG方法が、製造される層/デバイスの幾何学的形状に大きく依存することを認識した。したがって、異なるマスク形状を有する基板に対して同じSAG製造プロセスを実行すると、開口サイズの局所的な変動に起因してドーピングプロファイルおよび層組成の望ましくない局所的な変動が生じる可能性がある。さらに、レイアウトの違いに起因して、異なる基板にわたるドーピングプロファイルおよび層組成の変動もあり得る。すなわち、SAGによって形成されたLEDデバイスの各層のドーピングプロファイル/合金組成は、デバイスの幾何学的形状に依存し得る。その結果、デバイスまたはデバイスのアレイの幾何学的形状のわずかな変化が、デバイスの各層のSAGプロセスが再度較正されることを必要とし得る。
【0009】
さらに、本発明者らは、SAGプロセス中に、マスク層からの材料が堆積構造に組み込まれ得ることを認識した。例えば、マスキング層内の要素が、製造中にSAGによって成長した材料に拡散し、成長したLED構造の望ましくないドーピングをもたらす可能性がある。特に、SiまたはO(例えば、SiN、SiO )を含むマスキング層は、SAGによって成長させたIII族窒化物層のSiまたはOドーパントの供給源をもたらし得る。
【0010】
本開示の第1の態様によれば、発光ダイオード前駆体を形成する方法が提供される。本方法は、
(a)基板上にIII族窒化物を備える第1の半導体層を形成するステップであって、第1の半導体層は、基板に対して第1の半導体層の反対側に成長表面を有する、第1の半導体層を形成するステップと、
(b)第1の半導体層の成長表面がメサ表面およびバルク半導体層表面を備えるように、第1の半導体層の一部分を選択的に除去してメサ構造を形成するステップと、
(c)メサ表面およびバルク半導体表面を覆うように、第1の半導体層の成長表面上にモノリシックLED構造を形成するステップであって、モノリシックLED構造は複数の層を備え、各層はIII族窒化物を備え、複数の層は、
第2の半導体層、
第2の半導体層上に設けられた活性層であって、光を生成するように構成されている、活性層、および
活性層上に設けられたp型半導体層
を含む、モノリシックLED構造を形成するステップと
を備え、メサ表面を覆うp型半導体層の第1の部分と、バルク半導体表面を覆うp型半導体層の第2の部分との間にポテンシャル障壁が設けられており、ポテンシャル障壁は、メサ表面を覆うp型半導体層の第1の部分を囲む。
【0011】
SAG方法では、モノリシックLED構造をバッファ層の露出部分上に成長させることができる。モノリシックLED構造は、マスク層によって覆われたバッファ層の部分上には成長しない。第1の態様の方法では、モノリシックLED構造は、マスク層の存在なしに基板上に過成長される。したがって、モノリシックLED構造を製造する方法は、マスクレス過成長方法である。これにより、第1の半導体層の成長表面上にモノリシックLED構造が形成される。したがって、モノリシックLED構造の層は、第1の半導体層のメサ表面およびバルク半導体表面を覆うように成長表面上に形成される。
【0012】
成長表面上に形成されたメサ構造は、モノリシックLED構造の幾何学的形状を規定するのに役立つ。したがって、既知のSAG方法とは対照的に、LED構造の選択的成長のための開口を画定するためにマスク層は必要とされない。むしろ、モノリシックLED構造は、メサ構造を覆うように成長表面の上に成長される。メサ構造を覆うことによって、形成されたモノリシックLED構造は、当該技術分野において知られているSAG法によって成長されたモノリシックLED構造と同様の傾斜ファセットを有することができる。
【0013】
有利には、第1の態様の方法は、マスク層の存在なしにモノリシックLED構造を成長表面上に形成することを可能にする。したがって、第1の態様の方法は、材料のリサイクルおよびマスク層の汚染に関連する問題を低減または排除する。
【0014】
第1の態様の方法は、傾斜した側壁によって囲まれた実質的に平坦な上面を有するモノリシックLED構造をもたらすことが理解されよう。したがって、モノリシックLED構造は、実質的に台形の断面を有することができる。そのような台形断面は、台形断面の傾斜した側壁がLED前駆体の発光面に向けてより大きい割合の光を導くことができるため、光抽出効率を高めることができる。
【0015】
さらに、第1の態様の方法は、メサ表面およびバルク半導体表面を含む成長表面全体にわたるモノリシックLED構造の層の形成を含む。モノリシックLED構造の層は、SAGと同様の製造プロセスを使用して形成することができる。しかしながら、第1の態様の方法では、モノリシックLED構造の層は、成長表面全体にわたって形成される(すなわち、マスク層が存在しない)。したがって、モノリシックLED構造の層の形成は、形成されるLED前駆体の幾何学的形状の変動に対する感受性が低い。その結果、LED前駆体を形成する方法は、デバイスの幾何学的形状が変更されるたびにモノリシックLED前駆体の層を形成するために実行される較正プロセスを低減または排除することができる。
【0016】
特に、第1の態様の方法では、LED前駆体の幾何学的形状は、形成されるメサ構造の幾何学的形状によって影響され得る。例えば、台形断面を有するLED前駆体を形成する場合、メサ構造の高さおよび表面積は、形成されるLED前駆体の所望の高さおよび表面積を制御するために変化させることができる。したがって、形成されるLED前駆体のアスペクト比は、選択的除去ステップを使用して調整することができる。モノリシックLED構造がメサ構造の上に堆積される後続のステップは、LED前駆体のアスペクト比に関係なく、一定に保つことができる。対照的に、SAGプロセスでは、LED構造の台形断面のアスペクト比を変更すると、堆積ステップのうちの1つ以上を再較正する必要があり得る。
【0017】
SAG技術とは異なり、モノリシックLED構造は、バルク半導体層表面全体を含む成長表面全体にわたって成長することが理解されよう。メサ構造によって画定されるモノリシックLED構造の部分内に電荷担体を閉じ込めるために、モノリシックLED構造のp型層にポテンシャル障壁が設けられる。p型層は、p型層の第1の部分を通って流れる電荷担体を閉じ込める(すなわち、電荷担体をメサ構造内に閉じ込める)ために、メサ表面を覆うp型半導体層の第1の部分とバルク半導体表面を覆うp型半導体層の第2の部分との間に設けられる。
【0018】
LED前駆体における「前駆体」という用語では、記載されているLED前駆体が必ずしも、光の放出を可能にするようなLEDの電気接点も、関連する回路も含まないことに留意されたい。無論、第1の態様のLED前駆体を形成する方法は、さらなる電気接点および関連する回路の追加を排除するものではない。したがって、本開示における前駆体という用語の使用は、最終製品(すなわち、LED、LEDアレイなど)を含むことを意図している。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の半導体層は、n型ドープ半導体層であってもよい。すなわち、第1の半導体層は、電子供与体ドーパントを含んでもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、第2の半導体層は、n型ドープ半導体層であってもよい。第1の半導体層がn型ドープ半導体層を備えるいくつかの実施形態では、第2の半導体層は、より低い密度の電子供与体を含んでもよい。
【0021】
代替的に、いくつかの実施形態では、第2の半導体層は、非ドープIII族窒化物を備える。第2の半導体層を非ドープ層(すなわち、意図的なドーピングを含まない)(または電荷担体密度がより低い)として提供することによって、結果として得られるモノリシックLED構造の抵抗率を、LED構造の側壁領域において増加させることができる。したがって、電荷担体をメサ構造内に、およびメサ表面上に設けられた複数の層を通してより効率的に閉じ込めることができ、それによってLEDの効率を高めることができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、第2の半導体層は、成長表面上に形成されて、第1の半導体層のメサ表面上の第2の半導体層の一部分と、第1の半導体層のバルク半導体表面上の第2の半導体層の一部分との間に延在する傾斜した側壁を提供する。したがって、第2の半導体層を第1の半導体層のメサ構造上に過成長させて、メサ表面を備え、LEDの活性層を上に形成することができる傾斜した側壁によって囲まれたIII族窒化物半導体層を提供することができる。重要なことに、この構造は、マスク層の存在なしで形成され得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、活性層は、第1の波長の光を生成するように構成される。例えば、活性層は、少なくとも400nmの波長を有する光を生成するように構成されてもよい。したがって、活性層は、LEDディスプレイでの使用に適した可視光を生成することができる。いくつかの実施形態では、活性層は、700nm以下の波長を有する光を生成することができる。いくつかの実施形態では、活性層は、複数の量子井戸(多重量子井戸層)を備え得る。
【0024】
本開示の実施形態によれば、電荷担体をメサ構造内に閉じ込めるためのp型層内のポテンシャル障壁は、いくつかの方法で提供することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、p型半導体層はAlを備え、p型半導体層の第1の部分とp型半導体層の第2の部分との間にポテンシャル障壁が提供されるように、メサ表面を覆うp型半導体層の第1の部分よりも高濃度のAlがp型半導体層の側壁部分に組み込まれるように形成される。
【0026】
いくつかの実施形態では、メサ構造を覆うp型半導体層の第1の部分を取り囲むp型半導体層の一部分が選択的に除去される。例えば、p型半導体層の一部分がエッチングにより選択的に除去されてもよい。いくつかの実施形態では、選択的に除去されるメサ構造を取り囲むp型半導体層の部分は、p型半導体層の厚さを部分的にのみ貫通してもよい。したがって、p型半導体層の残りの部分は、より高い抵抗を有する比較的薄い区画を含むことができ、それによってポテンシャル障壁を提供する。いくつかの実施形態では、選択的に除去されるメサ構造を取り囲むp型半導体層の部分は、少なくともp型半導体層の厚さを通じて延在してもよい。したがって、形成されるポテンシャル障壁は、結果として生じる空隙によって画定され得、または空隙は、続いて絶縁材料によって充填され得る。
【0027】
本開示の第2の態様によれば、LEDアレイ前駆体を形成する方法が提供される。本方法は、
(a)基板上にIII族窒化物を備える第1の半導体層を形成するステップであって、第1の半導体層は、基板に対して第1の半導体層の反対側に成長表面を有する、第1の半導体層を形成するステップと、
(b)第1の半導体層の成長表面が複数のメサ表面およびバルク半導体層表面を備えるように、第1の半導体層の一部分を選択的に除去して複数のメサ構造を形成するステップと、
(c)メサ表面およびバルク半導体表面を覆うように、第1の半導体層の成長表面上にモノリシックLEDアレイ構造を形成するステップであって、モノリシックLEDアレイ構造は複数の層を備え、各層はIII族窒化物から形成され、複数の層は、
n型半導体層、
n型半導体層上に設けられた活性層であって、光を生成するように構成されている、活性層、および
活性層上に設けられたp型半導体層
を含む、モノリシックLEDアレイ構造を形成するステップと
を備え、各メサ表面を覆うp型半導体層の第1の部分と、バルク半導体表面を覆うp型半導体層のバルク部分との間にポテンシャル障壁が設けられており、ポテンシャル障壁は、メサ表面を覆うp型半導体層の各メサ部分を囲む。
【0028】
本開示の第2の態様による方法は、基板上に複数のモノリシックLED構造を形成する方法を提供し、形成されるモノリシック構造の各々は、本開示の第1の態様の方法によって形成されるものと同様である。したがって、第2の態様による方法は、第1の態様に関して上述したすべての重要な特徴を含むことができる。
【0029】
アレイとは、複数のLEDが形成されることを意味し、LEDは、モノリシック構造全体にわたって意図的に離間され、典型的には、LEDの六方最密充填アレイまたは正方形充填アレイなどの規則的なアレイを形成する。
【0030】
本開示の第3の態様によれば、LED前駆体が提供される。LED前駆体は、第1の半導体層と、モノリシックLED構造とを備える。第1の半導体層はIII族窒化物を備え、第1の半導体層は、バルク半導体表面およびメサ表面を含む成長表面を画定するように第1の半導体層の主面から延在するメサ構造を含む。モノリシックLED構造は、モノリシックLED構造がメサ表面およびバルク半導体表面を覆うように、第1の半導体層の成長表面上に設けられる。モノリシックLED構造は複数の層を備え、各層はIII族窒化物を備え、複数の層は、n型半導体層、n型半導体層上に設けられ、光を生成するように構成された活性層、および、活性層上に設けられたp型半導体層を含む。メサ表面を覆うp型半導体層の第1の部分と、バルク半導体表面を覆うp型半導体層の第2の部分との間にポテンシャル障壁が設けられており、ポテンシャル障壁は、メサ表面を覆うp型半導体層の第1の部分を囲む。
【0031】
第3の態様によるLED前駆体は、第1の態様の方法によって形成され得るLED前駆体を提供する。したがって、第3の態様によるLED前駆体は、上述した第1の態様の重要な特徴のすべてに対応する特徴を組み込むことができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、(バルク半導体表面26に垂直な)メサ構造の高さは、メサ表面の断面幅以上である。すなわち、バルク半導体表面26に垂直な少なくとも1つの面において、メサ構造の高さは、メサ表面の断面幅以上である。したがって、メサ構造の断面幅に対するメサ構造の高さは、LEDからの光抽出効率を高めるように最適化されたアスペクト比を有するLED前駆体を提供することができる。
【0033】
本開示の第4の態様によれば、LEDアレイ前駆体が提供される。発光ダイオードアレイ前駆体は、第1の半導体層と、モノリシックLEDアレイ構造とを備える。第1の半導体層はIII族窒化物を備え、第1の半導体層は、複数のメサ構造を含み、各メサ構造は、バルク半導体表面および複数のメサ表面を含む成長表面を画定するように第1の半導体層の主面から延在する。モノリシックLEDアレイ構造は、モノリシックLEDアレイ構造がメサ表面の各々およびバルク半導体表面を覆うように、第1の半導体層の成長表面上に設けられる。モノリシックLEDアレイ構造は複数の層を備え、各層はIII族窒化物からを備え、複数の層は、n型半導体層、n型半導体層上に設けられ、光を生成するように構成された活性層、および、活性層上に設けられたp型半導体層を含む。メサ表面の各々を覆うp型半導体層のメサ部分と、バルク半導体表面を覆うp型半導体層のバルク部分との間にポテンシャル障壁が設けられており、ポテンシャル障壁は、メサ表面を覆うp型半導体層のメサ部分の各々を囲む。
【0034】
第4の態様によるLED前駆体アレイは、第2の態様の方法によって形成され得るLED前駆体アレイを提供する。したがって、第4の態様によるLED前駆体アレイは、第3の態様による複数のLEDを含んでもよい。したがって、LED前駆体アレイは、上述した第1の態様の重要な特徴のすべてに対応する特徴を組み込むことができる。
【0035】
図面の簡単な説明
ここで、本開示を、以下の非限定的な図面に関連して説明する。本開示のさらなる利点は、図面と併せて考慮すると、詳細な説明を参照することによって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】メサ構造を含む第1の半導体層が設けられる、本開示の一実施形態による方法の中間ステップの図である。
図2】過成長した第2の半導体層を有する第1の半導体層が設けられる、本開示の一実施形態による方法の中間ステップの図である。
図3】モノリシックLED構造が第1の半導体層上に設けられる、本開示の一実施形態による方法の中間ステップの図である。
図4】マスク層が図3の中間構造上に設けられる、本開示の一実施形態による方法の中間ステップの図である。
図5】本開示の一実施形態によるLED前駆体の図である。
図6】モノリシックLED構造が第1の半導体層上に設けられる、本開示の一実施形態による方法の中間ステップの図である。
図7】本開示の別の実施形態によるLED前駆体の図である。
図8図8aは第1の半導体層のメサ構造のSEM画像を示す図である。図8bは第1の半導体層のメサ構造のSEM画像を示す図である。図8cは過成長モノリシックLEDアレイ構造のSEM画像を示す図である。図8dは過成長モノリシックLEDアレイ構造のSEM画像を示す図である。
図9】六角形の充填パターンを有する過成長モノリシックLEDアレイ構造のSEM画像を示す図である。
図10】複数のメサ構造と過成長した第2の半導体層とを含む第1の半導体層の断面SEM像を示す図である。
図11】複数のメサ構造と過成長した第2の半導体層とを含む第1の半導体層のさらなる断面SEM像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
詳細な説明
本開示の一実施形態によれば、LED1を形成する方法が提供される。ここで、LEDの形成方法について図1図4を参照して説明する。
【0038】
図1に示すように、その上にLEDを形成するための基板10を設けることができる。基板は、III族窒化物電子デバイスの形成に適した任意の基板10であってもよい。例えば、基板10は、サファイア基板であってもよく、または、シリコン基板であってもよい。基板は、III族窒化物層の形成に適した基板表面を提供するように構成された1つ以上のバッファ層を備えることができる。
【0039】
基板表面上に第1の半導体層20を形成することができる。第1の半導体層20はIII族窒化物を備える。いくつかの実施形態では、第1の半導体層は、n型ドープされてもよい。他の実施形態では、半導体層は意図的にドープされなくてもよい。
【0040】
例えば、図1の実施形態では、第1の半導体層20はGaNを備える。GaNは、適切なドーパント、例えばSiまたはGeを使用してn型ドープされてもよい。第1の半導体層20は、III族窒化物薄膜を製造するための任意の適切なプロセス、例えば、有機金属化学気相成長(MOCVD)または分子線エピタキシ(MBE)を使用して堆積されてもよい。第1の半導体層20は、基板10に対して第1の半導体層20の反対側の、第1の半導体層20の表面である第1の表面を有する。第1の表面は、LED構造の層が上に堆積される成長表面22の少なくとも一部分を形成するために使用される。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1の半導体層20は、基板の表面に平行に設けられた(0001)結晶面を有する基板上に形成されてもよい。
【0042】
第1の半導体層20の成長表面22は、その後、選択的除去プロセスを用いて成形されてもよい。したがって、第1の半導体層20の成長表面22がメサ表面25およびバルク半導体層表面26を備えるように、第1の半導体層20の部分が選択的に除去されて、メサ構造24が形成される。
【0043】
例えば、図1において、成長表面22は、エッチングプロセスを使用して成形することができる。エッチングプロセスにおいて、メサ画定マスク層(図示せず)を、第1の半導体層20の第1の表面上に堆積することができる。メサ画定マスク層は、成長表面のメサ表面25を形成するように意図された第1の半導体層20の部分をマスクするように構成される。次いで、第1の半導体層20のマスクされていない部分をエッチャントを用いて選択的に除去することができる。エッチャントは、第1の半導体層20の一部分をエッチング除去して、第1の半導体層20のバルク半導体層表面26を露出させることができる。すなわち、エッチャントは、第1の半導体層20の厚さを完全にエッチングして基板10を下方に露出させなくてもよい。次いで、メサ画定マスク層を第1の半導体層から除去することができる。上記のプロセスに従うことによって、第1の半導体層20は、例えば図1に示すように、バルク半導体層表面26上にモノリシックに設けられたメサ構造24を提供するように成形することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、第1の半導体層20のメサ表面部分は選択的に除去されなくてもよい。したがって、基板10に対するメサ表面25の配向は、選択的除去ステップ後に不変であり得る。したがって、メサ表面25は、基板の表面に平行であり得る。いくつかの実施形態では、バルク半導体表面26も基板10と実質的に平行になるように、第1の半導体層がエッチングされる。したがって、第1の半導体層20のメサ表面25およびバルク半導体表面26は両方とも、互いに実質的に平行な表面であり得る。いくつかの実施形態では、メサ表面25およびバルク半導体表面26は、第1の半導体層20を形成するIII族窒化物の(0001)面に配向することができる。
【0045】
図1において、メサ構造24は、バルク半導体表面26およびメサ表面25に対して実質的に垂直な側壁を有して示されている。他の実施形態では、メサ構造24は、傾斜した側壁を有して形成されてもよい。例えば、異なるエッチャントを使用して、選択的除去プロセス中に形成される側壁の形状を制御することができる。
【0046】
次に、第1の半導体層20の成長表面22上にモノリシックLED構造を形成することができる。モノリシックLED構造は、メサ表面25およびバルク半導体層表面26を覆う。モノリシックLED構造は複数の層を備え、各層はIII族窒化物を備える。いくつかの実施形態では、III族窒化物は、AlInGaN、AlGaN、InGaNおよびGaNのうちの1つ以上を備える。
【0047】
モノリシックLED構造は、単一部品として形成されたLED構造の提供を参照する。すなわち、モノリシックLED構造は、第1の半導体層上に単一部品として形成される。
【0048】
本開示の一実施形態では、図2に示すように、第2の半導体層30を第1の半導体層20上に堆積させることができる。第2の半導体層30は、基板10に対して第1の半導体層20の反対側で、第1の半導体層20上に形成される。したがって、第2の半導体層30は、モノリシックLED構造の複数の層のうちの第1の層を形成する。参考までに、図2は、図1の成長表面22の輪郭を破線として概略的に示している。
【0049】
第2の半導体層30は、III族窒化物を成長させるための任意の適切な成長方法によって成長表面22上に形成されてもよい。図2の実施形態では、第2の半導体層30は、成長表面22の上にモノリシックに形成される(すなわち、過成長方法)。第2の半導体層30は、成長表面22の実質的に全体を覆う連続層として形成されてもよい。第2の半導体層30は、III族窒化物薄膜を製造するための任意の適切なプロセス、例えば、有機金属化学気相成長(MOCVD)または分子線エピタキシ(MBE)を使用して堆積されてもよい。
【0050】
第2の半導体層30はIII族窒化物を備える。図2の実施形態では、第2の半導体層30はGaNを備える。第2の半導体層は、n型ドープされていてもよい。GaNは、適切なドーパント、例えばSiまたはGeを使用してn型ドープされてもよい。図2の実施形態では、第2の半導体層30は意図的にドープされていない。したがって、第2の半導体層30は、(実質的に)ドープされていない層であってもよい。実質的にドープされないことにより、III族窒化物層は、有意な量のドーパント元素を含まないが、製造プロセスの結果としていくらかの不純物が存在し得ることが理解される。したがって、実質的にドープされていないIII族窒化物は、意図的にドープされなくてもよい。ドープされていない半導体から第2の半導体層30を形成することにより、LEDを通る電荷担体の流れをメサ構造24内により効率的に閉じ込めることができる。
【0051】
第1の半導体層20上に第2の半導体層30を成長させることにより、第2の半導体層は、第1の半導体層20の結晶構造に対応する結晶構造を有することができる。例えば、第1の半導体層20のメサ表面25がIII族窒化物の(0001)面に配向している場合、第2の半導体層30も同様の結晶方位で成長することができる。
【0052】
図2の実施形態では、第2の半導体層30は、成長表面22上に形成されて、第1の半導体層のメサ表面25上の第2の半導体層の第1の部分34と、第1の半導体層のバルク半導体表面26上の第2の半導体層の第2の部分36との間に延在する傾斜した側壁部分33を提供する。したがって、第2の半導体層30を第1の半導体層20のメサ構造24上に過成長させて、第2の半導体層のメサ表面35を備え、傾斜した側壁部分33によって囲まれたIII族窒化物半導体層を提供することができる。したがって、第2の半導体層30は、基板に垂直な規則的な台形断面を有する柱を形成するためにメサ構造24上に過成長することができ、第2の半導体層のメサ表面35は台形断面の実質的に平坦な上面を形成する。第2の半導体層のメサ表面35は、層が上に形成される基板表面に平行な面に配向することができる。
【0053】
「規則的な台形断面」とは、柱が底部よりも頂部で狭く、傾斜した直線状の側面を有して、実質的に平坦な上面を有することを意味する。これは、円錐台形状、またはより大きい可能性として、3つ以上の側面、典型的には6つの側面を有する切頭角錐形状をもたらし得る。「規則的な台形断面」という記載は、メサ構造24の上に成長した第2の半導体層の第1の部分34を参照する。台形断面は、第2の半導体層の連続した平面部分の上に延在する第2の半導体層の不連続部分である。
【0054】
柱の台形断面の先細の側面が、本明細書においては側壁部分33として参照される。
いくつかの実施形態では、柱の側壁部分33は、第1の半導体層に平行な面に対して実質的に一定の角度(α)を有する。すなわち、柱の側面と第1の半導体に平行な面との間の角度は大きく変化しない。例えば、角度αは50°~70°であり、より好ましくは58°~64°であり、最も好ましくは約62°である。
【0055】
したがって、いくつかの実施形態では、柱の側壁部分33は、第1の半導体層20の結晶構造の(0001)面に対して傾斜することができる。傾斜した側壁は、SAGによって生成される構造と同様に、一般に、ウルツ鉱型結晶の
【0056】
【化2】
【0057】
に沿って配向され、c面(半極性面)と比較して低減した分極場を呈する。
いくつかの実施形態では、第2の半導体層30の柱は、切頭六角錐である。
【0058】
このとき、図2に示すように、第2の半導体層30上に活性層40を形成することができる。活性層40は、モノリシックLED構造の一部分として第1の波長の光を生成するように構成されている。
【0059】
図2の実施形態では、活性層40は、1つ以上の量子井戸層(図示せず)を備えることができる。したがって、活性層40は多重量子井戸層であってもよい。活性層40内の量子井戸層は、III族窒化物半導体、好ましくはInを備えるIII族窒化物合金を備えることができる。例えば、図2の実施形態では、活性層40は、GaNとInGa1-zNとが交互になった層を備えることができ、0<Z≦1である。量子井戸層の厚さおよびIn含有量は、活性層によって生成される光の波長を制御するために制御され得る。活性層40は、第2の半導体層30の露出表面の相当部分(例えば、すべて)を覆う連続層として形成されてもよい。活性層40は、III族窒化物薄膜を製造するための任意の適切なプロセス、例えば、有機金属化学気相成長(MOCVD)または分子線エピタキシ(MBE)を使用して堆積されてもよい。
【0060】
第2の半導体層30上への活性層40の堆積は、メサ表面25上の第2の半導体層の第1の部分35上では比較的高い堆積速度で、かつ傾斜した側壁上では著しく低い堆積速度で行われ得る。この効果は、様々な表面の異なる結晶面配向から生じ、傾斜した側壁35上よりもメサ表面25の上がより厚い活性層40をもたらす。この効果は、英国特許第1811109.6号明細書にさらに詳細に記載されている。
【0061】
次いで、モノリシックLED構造のさらなる層を、第2の半導体層30に対して活性層40の反対側で、活性層40上に堆積させることができる。図3は、第1の半導体層20の成長表面22上に形成されているモノリシックLED構造を形成する複数の層の例を示す。モノリシックLED構造の複数の層は、各々、連続層として形成されてもよい。
【0062】
図3の実施形態では、非ドープGaNを備える第2の半導体層30が第1の半導体層20上に形成される。図3の第1の半導体層は、n型ドープGaNを備える。第2の半導体層30の上には、上述したように、活性層40が設けられている。
【0063】
図3の実施形態では、活性層40上に電子ブロック層50が設けられている。電子ブロック層50は、第2の半導体層30が設けられた活性層40の側面とは反対側で、活性層40の側面上に設けられている。電子ブロック層50はIII族窒化物を備える。電子ブロック層50は、活性層40の露出表面の相当部分(例えば、すべて)を覆う連続層として形成されてもよい。電子ブロック層50は、活性層30からモノリシックLED構造のp型半導体層60への電子の流れを低減するように構成される。例えば、図3の実施形態では、電子ブロック層50はAlGa1-xNを備えることができる。適切な電子ブロック層50のさらなる詳細は、少なくともSchubert,E.(2006).Light-Emitting Diodes.Cambridge:Cambridge University Pressに見出すことができる。
【0064】
図3に示すように、活性層40の上には、p型半導体層60が設けられている。p型半導体層60は、活性層40が設けられた電子ブロック層50の側面とは反対側で、電子ブロック層50の側面上に設けられている。p型半導体層60はIII族窒化物を備える。p型半導体層は、適切な電子受容体、例えばMgでドープされる。p型半導体層60は、活性層40(または存在する場合は電子ブロック層50)の露出表面の相当部分(例えば、すべて)を覆う連続層として形成されてもよい。
【0065】
したがって、p型半導体層60は、メサ構造24と実質的に位置合わせされた第1の部分64を備えてもよい。すなわち、p型半導体層の第1の部分65の表面は、メサ表面25の上に位置合わせされて設けられている(すなわち、それぞれの表面の中心が位置合わせされている)。p型半導体層60はまた、メサ表面24から離れたバルク半導体表面26の少なくとも一部分を覆う第2の部分を備える。したがって、モノリシックLED構造は、一般に、メサ表面25の上に設けられた第1の部分と、メサ表面24から離れたバルク半導体表面26の少なくとも一部分を覆う第2の部分とを有すると考えられ得る。
【0066】
LEDのメサ表面25の上の活性層内の電荷担体閉じ込めを改善するために、本開示による方法は、メサ表面25を覆うモノリシックLED構造の第1の部分とバルク半導体表面26を覆うモノリシックLED構造の第2の部分との間にポテンシャル障壁を形成し、ポテンシャル障壁は、メサ表面25を覆うp型半導体層の第1の部分を取り囲む。すなわち、本開示による方法は、規則的な台形形状の実質的に平坦な表面の上部接触表面とバルク半導体表面26の上に形成された層との間にポテンシャル障壁を提供する。
【0067】
そのようなポテンシャル障壁を形成するための1つの方法が図3および図4に概略的に示されている。図4および図5の実施形態は、図3に示すデバイスの製造後のさらなる処理ステップを示す。
【0068】
図4において、電子ブロック層50に対してp型半導体層60の反対側で、p型半導体層60の表面上にマスク層70が形成される。
【0069】
マスク層70は、p型半導体層60上に選択的に設けられてもよい。マスク層70は、1つ以上の開口を画定するように設けることができる。開口は、選択的に除去されるべきp型半導体層60の領域を露出させるように構成することができる。例えば、開口は、メサ構造を覆うp型半導体層の第1の部分64を囲むp型半導体層の第3の部分61を画定することができる。次いで、ポテンシャル障壁を提供するために、p型半導体層の第3の部分61を、例えばエッチングによって選択的に除去することができる。例えば、図4の実施形態では、p型半導体層の第3の部分61は、p型半導体層60の傾斜した側壁部分である。
【0070】
図4および図5の実施形態では、異方性エッチャントを使用して、p型半導体層の第3の部分61を選択的に除去することができる。異方性エッチャント、例えばKOHは、基板と平行に配向した平面(例えば、(0001)結晶面と配向した表面)よりも速い速度でIII族窒化物の傾斜した側壁領域を優先的にエッチングすることができる。したがって、マスク層70は、p型半導体層60の傾斜した側壁領域に対応するp型半導体層の第1の部分65およびp型半導体層の第3の部分61の表面と位置を合わせてこれらを露出させる開口を画定するように設けることができる。次いで、異方性エッチャントは、所望の量の材料を除去するために、傾斜した側壁領域内のp型半導体層60を著しく高い速度で優先的にエッチングすることができる。
【0071】
図5は、p型半導体層の第3の部分61の選択的除去によるポテンシャル障壁の形成後に得られたLED前駆体の概略図を示す。図5に示すように、p型半導体層60が、層の厚さを通じて選択的に除去されて、下の層(図5の実施形態における電子ブロック層50)が露出される。したがって、選択的除去ステップは、p型半導体層の第1の部分64を取り囲むモノリシックLED構造内にチャネルを形成する。これにより、p型半導体層60において、メサ表面25を覆うp型半導体層の第1の部分65と、バルク半導体表面26を覆うp型半導体層の第2の部分66との間にポテンシャル障壁が形成される。ポテンシャル障壁は、動作中にデバイスの活性層のメサ構造領域内の電荷担体の閉じ込めを増加させるために設けられる。
【0072】
本開示による方法の他の実施形態では、選択的に除去されるチャネルの深さを変えることができる。例えば、いくつかの実施形態では、チャネルは、p型半導体層の第3の部分61の厚さを部分的にのみ通って延在してもよい。上記の側壁表面上のモノリシックLED構造の堆積速度の変化と組み合わせて、p型半導体層の第3の部分61の厚さを減少させることによって、p型半導体層の第3の部分61の残りの部分は、p型半導体層の第1の部分65と第2の部分66との間に大きい抵抗を呈することができ、それによってポテンシャル障壁が効果的に提供される。他の実施形態では、チャネルは、モノリシックLED構造の他の層のうちの1つ以上の厚さを通じて少なくとも部分的に延在してもよい。
【0073】
そのようなポテンシャル障壁を形成するためのさらなる方法が図6および図7に概略的に示されている。
【0074】
図6は、第1の半導体層20、第2の半導体層30および活性層40を備える構造を示す。図6の構造は、図1図3に関連して上述した方法ステップによって形成することができる。
【0075】
図6の構造の形成に続いて、図7に示すように、活性層40上にp型半導体層60が形成される。p型半導体層60は、第2の半導体層30に対して活性層40の反対側に形成される。いくつかの実施形態では、図3に示すように、p型半導体層60と活性層40との間に電子ブロック層50を設けることができる。
【0076】
図7の実施形態において、p型半導体層60はAlを含むIII族窒化物を備える。p型半導体層60は、p型半導体層の側壁部分63とp型半導体層の第1の部分64との間にポテンシャル障壁が提供されるように、メサ表面25を覆うp型半導体層の第1の部分64よりも高濃度のAlがp型半導体層の側壁部分63に組み込まれるように形成することができる。p型半導体層の側壁部分63と第1の部分64とのAl組成の差は、第1の部分と側壁部分との間のバンドギャップの変化が室温においてkT eVより大きく(すなわち、約0.26eVより大きく)なるようなものとすることができる。
【0077】
例えば、p型半導体層の側壁部分63は、p型AlGa1-xNを備えてもよく、2≦x≦50%であり、p型半導体層の第1の部分64は、p型AlGa1-yNを備えてもよく、1≦y≦15%である。
【0078】
上述したように、第2の半導体層30の傾斜した側壁は、成長表面が傾斜した側壁であるか、または基板に実質的に平行であるかに応じて、III族窒化物の堆積速度の変動をもたらす。p型半導体層60の成長について、成長速度の差は、p型半導体層60へのAlの取り込みにも影響する。したがって、傾斜した側壁部分63は、同じ堆積プロセスを使用して第1の部分64よりも高いAl含有量を有して形成することができる。したがって、モノリシックLED構造のp型半導体層の第1の部分64に電流を閉じ込めるための所望のポテンシャル障壁は、さらなるパターニング工程なしで形成することができる。
【0079】
上述したように、複数の層を有するLED前駆体を提供することができる。
第1の半導体層20は、100nm~8μm、好ましくは3μm~5μmの厚さを有してもよい。第1の半導体層20の部分を選択的に除去して、バルク半導体表面26に垂直な高さが少なくとも100nm、200nm、300nm、または500nmのメサ構造を画定することができる。メサ構造の高さは、5μm以下であってもよい。いくつかの実施形態では、メサ構造は、1μm~3μmの高さを有してもよい。
【0080】
第2の半導体層30は、第1の半導体層20のメサ表面24上に少なくとも5nmの厚さを有してもよい。第2の半導体層30の厚さは4μm以下であってもよい。
【0081】
活性層30の実質的に平坦な第1の部分34は、30nm~150nm、いくつかの実施形態では40nm~60nmの厚さを有してもよい。
【0082】
電子ブロック層50の実質的に平坦な第1の部分44は、5nm~50nm、いくつかの実施形態では20nm~40nmの厚さを有してもよい。例えば、図3の実施形態では、電子ブロック層は33nmの厚さを有してもよい。堆積速度の変動に起因して、上述したように、電子ブロック層50の側壁領域内の電子ブロック層50の厚さは、少なくとも0.5nmから約25nmまでの厚さを有することができる。例えば、図3の実施形態では、電子ブロック層50は側壁領域において約7nmの厚さを有してもよい。
【0083】
p型半導体層60の実質的に平坦な第1の部分64は、少なくとも50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、または100nmの厚さを有してもよい。p型半導体層60の実質的に平坦な第1の部分64は、300nm、250nm、または200nm以下の厚さを有してもよい。例えば、図3の実施形態では、p型半導体層60の実質的に平坦な第1の部分64は、約100nmの厚さを有してもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、(バルク半導体表面26に垂直な)メサ構造の高さは、メサ表面の断面幅以上である。すなわち、バルク半導体表面26に垂直な少なくとも1つの面において、メサ構造の高さは、メサ表面の断面幅以上である。したがって、メサ構造の断面幅に対するメサ構造の高さは、LEDからの光抽出効率を高めるように最適化されたアスペクト比を有するLED前駆体を提供することができる。
【0085】
例えば、いくつかの実施形態では、100μm×100μm以下の表面積を有するメサ表面25を設けることができる。特に、メサ表面は、4μm×4μm以下の表面積を有することができる。したがって、メサ構造の高さは、少なくとも4μmであってもよい。
【0086】
上記のようなLED前駆体の形成後、LED前駆体は、LEDを提供するためにさらなる処理ステップを受けることができる。例えば、いくつかの実施形態では、基板10は、第1の半導体層20の発光面21を露出させるために除去することができる。
【0087】
好ましくは、レンズ(すなわち、ドーム形状の表面)などの光抽出機構も発光面に設けることができる。例えば、LEDからの光抽出効率を高めるために、発光面21にレンズ(または他のドーム形状構造)を形成することができる。いくつかの実施形態では、レンズは、発光面21上の各LEDと位置合わせされる。各レンズは、モノリシックLED構造の基部(すなわち、台形形状の基部)の表面積に対応する発光面21の表面積を覆うことができる。いくつかの実施形態では、レンズ(ドーム形状表面)は、発光面21から第1の半導体層20を選択的に除去することによって発光面21によって形成することができる。LEDの発光面21に光抽出機構を与えることにより、LEDの光抽出効率を高めることができる。
【0088】
本開示の一実施形態によれば、発光ダイオード前駆体1が提供される。LED前駆体は、第1の半導体層20と、第2の半導体層30と、活性層40と、p型半導体層60とを備える。
【0089】
第1の半導体層20はIII族窒化物を備える。図3に示すように、第1の半導体層20は、基板10上に設けることができる。基板10は、サファイア、シリコンまたはSiCを備えることができる。基板10は、III族窒化物層の形成に適した基板表面を提供するように構成された1つ以上のバッファ層を備えることができる。無論、いくつかの実施形態では、LED前駆体1は、上述の方法に従って製造することができ、その後、基板10を除去することができる。いくつかの実施形態では、LED前駆体1は、バックプレーン電子基板(図示せず)に接合されてもよい。バックプレーン電子基板は、LED前駆体1を制御し接触させるように構成された電気回路および接点を備えることができる。いくつかの実施形態では、バックプレーン電子基板は、p型半導体層60に接合されてもよい。
【0090】
図5および図7によれば、第1の半導体層20は、バルク半導体表面26およびメサ表面25を含む成長表面22を画定するように第1の半導体層20の主面から延在するメサ構造24を含む。主面とは、第1の半導体層20の全表面積の相当部分を形成する第1の半導体層20の表面を意味すると理解される。例えば、図5および図7において、成長表面22を形成する主面は、基板10に対して第1の半導体層20の反対側に設けられた、第1の半導体層20の表面である。
【0091】
メサ構造24は、第1の半導体層20のバルク半導体表面26から延在する柱であると考えることができる。メサ構造24は、例えば、上記の方法で説明したように、第1の半導体層20のバルク半導体表面26とモノリシックに形成される。メサ構造24は、任意の断面形状(すなわち、第1の半導体層20を平面視したときの柱の形状)を有する柱であってもよい。例えば、メサ構造24は、断面が正多角形の柱であってもよい。特に、メサ構造24は、楕円(または円)柱、角柱、または六角柱であってもよい。図8 aは、第1の半導体層20の複数のメサ構造24の一例を示し、各メサ構造24は円柱である。
【0092】
図5および図7に示す実施形態において、メサ構造24は、バルク半導体表面26およびメサ表面25に対して実質的に垂直な側壁を有して示されている。他の実施形態では、メサ構造24は、傾斜した側壁を有して形成されてもよい。
【0093】
図5および図7に示すように、モノリシックLED構造は、モノリシックLED構造がメサ表面25およびバルク半導体表面26を覆うように、第1の半導体層20の成長表面22上に設けられる。
【0094】
上述のように、モノリシックLED構造は複数の層を備える。各層は、III族窒化物から形成される。モノリシックLED構造は、第2の半導体層30と、活性層40と、p型半導体層60とを備える。いくつかの実施形態では、モノリシックLED構造はまた、電子ブロック層50も備えることができる。
【0095】
上述したように、第2の半導体層30は、成長表面22上に設けられて、第1の半導体層のメサ表面25上の第2の半導体層の第1の部分34と、第1の半導体層20のバルク半導体表面26上の第2の半導体層の第2の部分36との間に延在する傾斜した側壁33を提供する。したがって、第2の半導体層30が第1の半導体層20のメサ構造24上に過成長されて、第1の部分34を備え、傾斜した側壁33によって囲まれたIII族窒化物半導体層が提供される。したがって、第2の半導体層30は、基板に垂直な規則的な台形断面を有する柱を形成するためにメサ構造24上に過成長することができ、第2の半導体層の第1の部分35の表面は実質的に平坦である。第1の部分35の実質的に平坦な表面は、各層が形成される基板表面と平行な面内にあってもよい。
【0096】
活性層40、電子ブロック層50(存在する場合)、およびp型半導体層60は、モノリシックLED構造を形成するために、上述の方法に従って第2の半導体層30上に設けられてもよい。そのようなモノリシックLED構造の例は、少なくとも図5および図7に見ることもできる。
【0097】
LEDのメサ表面25の上の活性層内の電荷担体閉じ込めを改善するために、本開示によるLED前駆体は、メサ表面25を覆うモノリシックLED構造の第1の部分とバルク半導体表面26を覆うモノリシックLED構造の第2の部分との間にポテンシャル障壁を備え、ポテンシャル障壁は、メサ表面25を覆うp型半導体層の第1の部分を取り囲む。すなわち、本開示による方法は、規則的な台形形状の実質的に平坦な表面とバルク半導体表面26の上に形成された層との間にポテンシャル障壁を提供する。
【0098】
図5および図7に示すように、モノリシックLED構造は、メサ表面を覆うp型半導体層の第1の部分64と、バルク半導体表面を覆うp型半導体層の第2の部分66との間にポテンシャル障壁が設けられるように形成され、ポテンシャル障壁は、メサ表面を覆うp型半導体層の第1の部分64を囲む。
【0099】
図5の実施形態では、ポテンシャル障壁は、メサ表面を覆うp型半導体層の第1の部分64を取り囲むp型半導体層の第3の部分61を選択的に除去することによって形成することができる。図5に示すように、p型半導体層60が、層の厚さを通じて選択的に除去されて、下の層(図5の実施形態における電子ブロック層50)が露出される。
【0100】
図7の実施形態において、ポテンシャル障壁は、Alを含むIII族窒化物を備えるp型半導体層60を提供することによって形成されてもよい。p型半導体層60は、p型半導体層の側壁部分63とp型半導体層の第1の部分64との間にポテンシャル障壁が提供されるように、メサ表面25を覆うp型半導体層の第1の部分64よりも高濃度のAlがp型半導体層の側壁部分63に組み込まれるように提供される。p型半導体層の側壁部分63との第1の部分64とのAl組成の差は、バンドギャップの変化が室温においてkT eVより大きく(すなわち、約0.26eVより大きく)なるようなものとすることができる。
【0101】
例えば、p型半導体層の側壁部分は、p型AlGa1-xNを備えてもよく、2≦x≦50%であり、p型半導体層のメサ表面部分65は、p型AlGa1-yNを備えてもよく、1≦y≦15%である。
【0102】
上述したように、第2の半導体層30の傾斜した側壁33は、成長表面が傾斜した側壁であるか、または基板に実質的に平行であるかに応じて、III族窒化物の堆積速度の変動をもたらす。p型半導体層60の成長について、成長速度の差は、p型半導体層60へのAlの取り込みにも影響する。したがって、p型半導体層の傾斜した側壁部分63は、同じ堆積プロセスを使用してp型半導体層の第1の部分65よりも高いAl含有量を有して形成することができる。したがって、モノリシックLED構造の第1の部分に電流を閉じ込めるための所望のポテンシャル障壁は、さらなるパターニング工程なしで形成することができる。
したがって、本開示の一実施形態によるLED前駆体を提供することができる。
【0103】
本開示の別の実施形態によれば、LEDアレイ前駆体を形成する方法を提供することができる。
【0104】
この方法によれば、III族窒化物を備える第1の半導体層20が基板10上に形成される。第1の半導体層は、基板10に対して第1の半導体層20の反対側に、成長表面22を有する。したがって、第1の半導体層20は、図1図5および図6図7の実施形態について上述したのと実質的に同じ方法で形成することができる。
【0105】
次に、第1の半導体層20の成長表面22が複数のメサ表面25およびバルク半導体層表面26を備えるように、第1の半導体層20の部分が選択的に除去されて複数のメサ構造24が形成される。したがって、本方法のこのステップは、複数のメサ構造24が形成されることを除いて、LED前駆体を形成する方法の対応するステップと実質的に同じである。
【0106】
複数のメサ構造24は、第1の半導体層20の基板成長表面22の全体にわたって規則的に離間していてもよい。例えば、メサ構造は、メサ構造24の六方最密充填アレイまたは正方形充填アレイで提供されてもよい。図8aは、複数のメサ構造24を含む第1の半導体層の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。図8aに示すように、第1の半導体層20の一部分として、複数のメサ構造24が設けられている。メサ構造24の各々は、円柱形状(円形断面)の柱である。図8bは、図8aに示すメサ構造24のうちの1つの拡大図を示す。
【0107】
次いで、モノリシックLEDアレイ構造が第1の半導体層20の成長表面上に形成され、結果、モノリシックLEDアレイ構造の第1の部分がそれぞれのメサ表面25を覆い、モノリシックLEDアレイ構造の第2の部分がバルク半導体表面26を覆う。モノリシックLEDアレイ構造は複数の層を備える。各層は、III族窒化物から形成される。モノリシックアレイ構造は、第2の半導体層30と、第2の半導体層30上に設けられた活性層40と、活性層40上に設けられたp型半導体層60とを含む。いくつかの実施形態では、モノリシックLED構造はまた、活性層40と第2の半導体層60との間に設けられた電子ブロック層50も備えてもよい。
【0108】
モノリシックLEDアレイ構造は、単一部品として形成されたLEDアレイ構造の提供を参照する。すなわち、モノリシックLEDアレイ構造は、第1の半導体層上に単一部品として形成される。
【0109】
モノリシックLEDアレイ構造の層は、LED前駆体を形成する方法について上述したのと実質的に同じプロセスを使用して提供することができる。モノリシックLEDアレイ構造/モノリシックLED構造を形成するための実質的に同じプロセスを、製造されているLEDの数または形状にかかわらず使用することができることが理解されよう。したがって、本開示の過成長方法は、製造プロセスの相当部分がLEDアレイの幾何学的形状とは無関係であるLEDアレイ前駆体の形成方法を提供する。
【0110】
図8cおよび図8dは、過成長モノリシックLEDアレイ構造を有する複数のメサ構造のSEM画像を示す。モノリシックLEDアレイ構造は、図8aに示すものと同様の複数のメサ構造24上に形成されている。図8a~図8dでは、メサ構造24は正方形充填アレイパターンで形成されている。図9は、過成長モノリシックLEDアレイ構造を有するメサ構造のさらなるアレイのSEM画像を示す。図9において、メサ構造24は、図示されているアレイ構造を提供するために、六方最密充填アレイパターンで構成されている。
【0111】
いくつかの実施形態では、第2の半導体層30は、第1の半導体層20と同じ材料を備えてもよい。例えば、第1の半導体層20および第2の半導体層30は、Siでn型ドープされたGaNを備えてもよい。したがって、第2の半導体層30は、第1の半導体層の成長表面22上に、実質的に同じ格子定数でモノリシックに形成されてもよい。結果として形成される構造は、第1の半導体層20と第2の半導体層30との界面に実質的に連続した結晶構造を有してもよい。図10および図11は、本開示の方法に従って形成された第1の半導体層20および第2の半導体層30のSEM画像を示す。図10および図11のSEM画像では、第1の半導体層20のメサ構造24と第2の半導体層30との界面は検出されない。
【0112】
メサ表面25を覆うp型半導体層の各第1の部分64と、バルク半導体表面26を覆うp型半導体層のバルク部分66との間にポテンシャル障壁が設けられる。ポテンシャル障壁は、それぞれのメサ表面25を覆うp型半導体層の各第1の部分64を取り囲む。
【0113】
各LEDの各メサ表面25の上の活性層40内の電荷担体閉じ込めを改善するために、各LED内で、メサ表面25を覆うモノリシックLED構造の第1の部分とバルク半導体表面26を覆うモノリシックLED構造の第2の部分との間にポテンシャル障壁が形成され、ポテンシャル障壁は、メサ表面25を覆うp型半導体層の第1の部分を取り囲む。すなわち、本開示による方法は、規則的な台形形状の実質的に平坦な表面の上部接触表面とバルク半導体表面26の上に形成された層との間にポテンシャル障壁を提供する。
【0114】
LEDアレイの各モノリシックLED構造のポテンシャル障壁は、いくつかの方法で形成することができる。例えば、各モノリシックLED構造のポテンシャル障壁は、実質的に図5を参照して上述したように、または実質的に図7を参照して上述したように形成することができる。
【0115】
図5の実施形態について、ポテンシャル障壁は、メサ表面を覆うp型半導体層の各第1の部分64を取り囲むp型半導体層の第3の部分61を選択的に除去することによって形成することができる。図5に示すように、p型半導体層60が、層の厚さを通じて選択的に除去されて、下の層(図5の実施形態における電子ブロック層50)が露出される。
【0116】
図7の実施形態について、ポテンシャル障壁は、Alを含むIII族窒化物を備えるp型半導体層60を提供することによって形成されてもよい。p型半導体層60は、p型半導体層の側壁部分63とp型半導体層の第1の部分64との間にポテンシャル障壁が提供されるように、メサ表面25を覆うp型半導体層の第1の部分64よりも高濃度のAlがp型半導体層の側壁部分63に組み込まれるように提供される。p型半導体層の側壁部分63との第1の部分64とのAl組成の差は、バンドギャップの変化が室温においてkT eVより大きく(すなわち、約0.26eVより大きく)なるようなものとすることができる。
【0117】
したがって、LEDアレイ前駆体が提供される。
LEDアレイ前駆体は、第1の半導体層20と、第2の半導体層30と、活性層40と、p型半導体層60とを備える。
【0118】
第1の半導体層20はIII族窒化物を備える。図3に示すように、第1の半導体層20は、基板10上に設けることができる。基板10は、サファイア、シリコンまたはSiCを備えることができる。基板10は、III族窒化物層の形成に適した基板表面を提供するように構成された1つ以上のバッファ層を備えることができる。無論、いくつかの実施形態では、LEDアレイ前駆体は、上述の方法に従って製造することができ、その後、基板10を除去することができる。いくつかの実施形態では、LEDアレイ前駆体は、バックプレーン電子基板に接合されてもよい。バックプレーン電子基板は、LEDアレイ前駆体のLEDを制御し接触させるように構成された電気回路および接点を備えることができる。いくつかの実施形態では、バックプレーン電子基板は、p型半導体層60に接合されてもよい。したがって、第1の半導体層は、実質的に上で概説した方法に従って提供することができる。
【0119】
図5および図7に示す実施形態と同様に、第1の半導体層20は、バルク半導体表面26およびメサ表面25を含む成長表面22を画定するように第1の半導体層の主面から延在する複数のメサ構造24を含む。上述のように、複数のメサ構造24を備える第1の半導体層の一例を図8aに示す。
【0120】
図5および図7に示す実施形態と同様に、モノリシックLEDアレイ構造は、モノリシックLEDアレイ構造がメサ表面25およびバルク半導体表面26を覆うように、第1の半導体層20の成長表面22上に設けられる。上述したように、モノリシックLEDアレイ構造の一例が図8cおよび図8dに示されている。
【0121】
上述のように、モノリシックLEDアレイ構造は複数の層を備える。各層は、III族窒化物から形成される。モノリシックLEDアレイ構造は、第2の半導体層30と、活性層40と、p型半導体層60とを備える。いくつかの実施形態では、モノリシックLEDアレイ構造はまた、電子ブロック層50も備えることができる。モノリシックLEDアレイ構造の層の各々は、連続層として形成されてもよい。したがって、モノリシックLEDアレイ構造の層の各々は、上述したモノリシックLED構造と同様の方法で提供することができる。そのようなモノリシックLED構造の例は、少なくとも図5および図7に見ることもできる。
【0122】
LEDアレイ前駆体の各メサ表面25の上の活性層内の電荷担体閉じ込めを改善するために、アレイの各LED前駆体は、それぞれのメサ表面25を覆う各モノリシックLED構造の第1の部分とバルク半導体表面26を覆う各モノリシックLED構造の第2の部分との間にポテンシャル障壁を備え、ポテンシャル障壁は、それぞれのメサ表面25を覆う各p型半導体層の第1の部分を取り囲む。すなわち、本開示による方法は、規則的な台形形状の各実質的に平坦な表面とバルク半導体表面26の上に形成された層との間にポテンシャル障壁を提供する。
【0123】
図5および図7を参照すると、各モノリシックLEDアレイ構造は、メサ表面を覆うp型半導体層の第1の部分64と、バルク半導体表面を覆うp型半導体層の第2の部分66との間にポテンシャル障壁が設けられるように形成され、ポテンシャル障壁は、メサ表面を覆うp型半導体層の第1の部分65を囲む。
【0124】
図5および上記の説明を参照すると、ポテンシャル障壁は、メサ表面を覆うp型半導体層の第1の部分64を取り囲むp型半導体層の第3の部分61を選択的に除去することによって形成することができる。図5に示すように、p型半導体層60を、層の厚さを通じて選択的に除去して、下の層(図5の実施形態における電子ブロック層50)が露出させることができる。
【0125】
図7を参照すると、ポテンシャル障壁は、Alを含むIII族窒化物を備えるp型半導体層60を提供することによって形成されてもよい。p型半導体層60は、LEDアレイ前駆体内の各LED前駆体について、p型半導体層の側壁部分63とp型半導体層の第1の部分65との間にポテンシャル障壁が提供されるように、メサ表面25を覆うp型半導体層の第1の部分64よりも高濃度のAlがp型半導体層60の側壁部分63に組み込まれるように提供される。p型半導体層の側壁部分63との第1の部分64とのAl組成の差は、バンドギャップの変化が室温においてkT eVより大きく(すなわち、約0.26 eVより大きく)なるようなものとすることができる。
【0126】
例えば、p型半導体層の側壁部分63は、p型AlGa1-xNを備えてもよく、2≦x≦50%であり、p型半導体層のメサ表面部分65は、p型AlGa1-yNを備えてもよく、1≦y≦15%である。
【0127】
上述したように、第2の半導体層30の傾斜した側壁は、成長表面が傾斜した側壁であるか、または基板に実質的に平行であるかに応じて、III族窒化物の堆積速度の変動をもたらす。p型半導体層60の成長について、成長速度の差は、p型半導体層60へのAlの取り込みにも影響する。したがって、傾斜した側壁部分63は、同じ堆積プロセスを使用してp型半導体層の第1の部分65よりも高いAl含有量を有して形成することができる。したがって、モノリシックLED構造のメサ表面部分に電流を閉じ込めるための所望のポテンシャル障壁は、さらなるパターニング工程なしで形成することができる。
【0128】
したがって、本開示の一実施形態によるLED前駆体を提供することができる。
図1
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