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特許7338221成形シート、成形シートの製造方法、造形物及び造形物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】成形シート、成形シートの製造方法、造形物及び造形物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/02 20060101AFI20230829BHJP
   B29D 7/01 20060101ALI20230829BHJP
   B32B 7/027 20190101ALI20230829BHJP
【FI】
B32B5/02 D
B29D7/01
B32B7/027
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019080339
(22)【出願日】2019-04-19
(65)【公開番号】P2020175614
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀樹
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-144377(JP,A)
【文献】実開平04-094434(JP,U)
【文献】実開昭60-114721(JP,U)
【文献】特開平08-118483(JP,A)
【文献】特開昭59-127739(JP,A)
【文献】特開2005-105422(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0231188(US,A1)
【文献】特開2018-158549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 5/02
B32B 5/32
B32B 7/027
B41J 2/01
B41M 5/28
B41M 5/52
D06N 7/00
B29D 7/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
熱膨張材料を含み、前記基材の第1主面の上に積層された熱膨張層と、
前記熱膨張層の前記基材と反対方向の面を覆う接着層と、
前記接着層の所定の第1領域の上に積層され、電磁波を熱に変換する熱変換層と、
前記接着層の前記第1領域以外の第2領域に植毛された繊維と、を備える、
成形シート。
【請求項2】
前記熱変換層が硬化した樹脂を含む、
請求項1に記載の成形シート。
【請求項3】
前記熱変換層が硬化型インクを含む、
請求項2に記載の成形シート。
【請求項4】
前記熱変換層が接着剤を含む、
請求項2に記載の成形シート。
【請求項5】
前記接着層の伸び率は、30%以上である、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の成形シート。
【請求項6】
基材と、
熱膨張材料を含み、前記基材の第1主面の上に積層され、前記基材と反対側の面に凹凸を有する熱膨張層と、
前記熱膨張層の前記凹凸を覆う接着層と、
前記接着層の前記凹凸の前記基材と反対方向に突出した凸部を覆う第1部分の上に積層され、電磁波を熱に変換する熱変換層と、
前記接着層の前記凹凸の凹部を覆う第2部分に植毛された繊維と、を備える、
造形物。
【請求項7】
前記熱変換層が硬化した樹脂を含む、
請求項6に記載の造形物。
【請求項8】
熱膨張材料を含む熱膨張層を、基材の第1主面の上に積層する熱膨張層積層工程と、
接着層を、前記熱膨張層の前記基材と反対方向の面の上に積層する接着層積層工程と、
電磁波を熱に変換する熱変換層を、前記接着層の所定の第1領域の上に積層する熱変換層積層工程と、
繊維を、前記熱変換層を積層された前記接着層の前記第1領域以外の第2領域に、植毛する植毛工程と、を含む、
成形シートの製造方法。
【請求項9】
前記熱変換層積層工程では、電磁波を熱に変換する熱変換材料と未硬化の樹脂とを含むインクを、前記接着層の前記第1領域に印刷した後、前記未硬化の樹脂を硬化させる、
請求項8に記載の成形シートの製造方法。
【請求項10】
基材と、熱膨張材料を含み、前記基材の第1主面の上に積層された熱膨張層と、前記熱膨張層の前記基材と反対方向の面を覆う接着層と、前記接着層の所定の第1領域の上に積層され、電磁波を熱に変換する熱変換層と、前記接着層の前記第1領域以外の第2領域に植毛された繊維と、を備える成形シートを準備する準備工程と、
前記電磁波を前記熱変換層に照射することにより、前記熱膨張層を膨張させる膨張工程と、を含む、
造形物の製造方法。
【請求項11】
前記熱変換層が硬化した樹脂を含む、
請求項10に記載の造形物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形シート、成形シートの製造方法、造形物及び造形物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材シートと熱膨張性微小球を含む被覆層とを有し、所定の画像を光吸収特性に優れた画像形成材料で形成された熱膨張性シートに、光を照射して、選択的に画像部分を加熱することによって、被覆層の熱膨張性微小球を膨張させて、立体画像(造形物)を形成する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平1-28660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の造形物では、被覆層が熱膨張性微小球と熱可塑性樹脂とから構成されており、特許文献1の造形物は、どこを触れられてもユーザに対して一様な触感を与える。一方、ユーザが触る部分によって、ユーザに対して異なる触感を与える造形物が望まれており、特許文献1の造形物の一部にフロック加工を施すことにより、一部の触感を変えることができる。しかし、特許文献1の造形物にフロック加工を施す場合、隆起させた部分(すなわち凸部)と他の隆起させた部分(他の凸部)との間に挟まれた、隆起させていない部分(すなわち凹部)に均一に繊維を付着させることは、困難である。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、繊維を凹部に均一に植毛された造形物を容易に製造できる成形シート、成形シートの製造方法、造形物及び造形物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る成形シートは、
基材と、
熱膨張材料を含み、前記基材の第1主面の上に積層された熱膨張層と、
前記熱膨張層の前記基材と反対方向の面を覆う接着層と、
前記接着層の所定の第1領域の上に積層され、電磁波を熱に変換する熱変換層と、
前記接着層の前記第1領域以外の第2領域に植毛された繊維と、を備える。
【0007】
本発明の第2の観点に係る造形物は、
基材と、
熱膨張材料を含み、前記基材の第1主面の上に積層され、前記基材と反対側の面に凹凸を有する熱膨張層と、
前記熱膨張層の前記凹凸を覆う接着層と、
前記接着層の前記凹凸の前記基材と反対方向に突出した凸部を覆う第1部分の上に積層され、電磁波を熱に変換する熱変換層と、
前記接着層の前記凹凸の凹部を覆う第2部分に植毛された繊維と、を備える。
【0008】
本発明の第3の観点に係る成形シートの製造方法は、
熱膨張材料を含む熱膨張層を、基材の第1主面の上に積層する熱膨張層積層工程と、
接着層を、前記熱膨張層の前記基材と反対方向の面の上に積層する接着層積層工程と、
電磁波を熱に変換する熱変換層を、前記接着層の所定の第1領域の上に積層する熱変換層積層工程と、
繊維を、前記熱変換層を積層された前記接着層の前記第1領域以外の第2領域に、植毛する植毛工程と、を含む。
【0009】
本発明の第4の観点に係る造形物の製造方法は、
基材と、熱膨張材料を含み、前記基材の第1主面の上に積層された熱膨張層と、前記熱膨張層の前記基材と反対方向の面を覆う接着層と、前記接着層の所定の第1領域の上に積層され、電磁波を熱に変換する熱変換層と、前記接着層の前記第1領域以外の第2領域に植毛された繊維と、を備える成形シートを準備する準備工程と、
前記電磁波を前記熱変換層に照射することにより、前記熱膨張層を膨張させる膨張工程と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、繊維を凹部に均一に植毛された造形物を容易に製造できる成形シート、成形シートの製造方法、造形物及び造形物の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態1に係る成形シートの断面を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態1に係る成形シートの製造方法を示すフローチャートである。
図3】本発明の実施形態1に係る基材に積層された熱膨張層を示す模式図である。
図4】本発明の実施形態1に係る熱膨張層を覆う接着層を示す模式図である。
図5】本発明の実施形態1に係る接着層の所定の第1領域に積層された熱変換層を示す模式図である。
図6】本発明の実施形態1に係る造形物を示す斜視図である。
図7図6に示す造形物をA-A線で矢視した断面図である。
図8】本発明の実施形態1に係る造形物の製造方法を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態2に係る成形シートの製造方法を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施形態2に係る接着層の第1領域に印刷されたインクを示す模式図である。
図11】本発明の変形例に係る造形物の断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る成形シートについて、図面を参照して説明する。
【0014】
<実施形態1>
本実施形態では、成形シート10から造形物100を製造する。造形物100は、加飾シート、壁紙等として使用される。本明細書の「造形物」は、所定の面に凹凸を造型(形成)されているシートであり、凹凸は、幾何学形状、文字、模様、装飾等を構成する。ここで、「装飾」とは、視覚及び/又は触覚を通じて美感を想起させるものである。「造形(又は造型)」は、形のあるものを作り出すことを意味し、装飾を加える加飾、装飾を形成する造飾のような概念をも含む。また、本明細書の「造形物」は、所定の面に凹凸を有する立体物であるが、いわゆる3Dプリンタにより製造された立体物と区別するため、本実施形態の造形物を2.5次元(2.5D)オブジェクト又は疑似三次元(Pseudo-3D)オブジェクトとも呼ぶ。本実施形態の造形物を製造する技術は、2.5D印刷技術又はPseudo-3D印刷技術とも呼べる。
【0015】
(成形シート)
図1を参照して、成形シート10を説明する。成形シート10は、図1に示すように、基材20と、基材20の第1主面22の上に積層された熱膨張層30と、熱膨張層30の基材20と反対方向の面34を覆う接着層40と、接着層40の所定の第1領域42の上に積層された熱変換層50と、接着層40の第1領域42以外の第2領域44に植毛された繊維60と、を備える。
【0016】
成形シート10の基材20は、熱膨張層30を積層される第1主面22を有し、熱膨張層30を支持する。基材20は、例えば、シート状に形成される。基材20を構成する材料は、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等)等の熱可塑性樹脂である。基材20を構成する材料の種類と基材20の厚さは、造形物100の用途に応じて選択される。
【0017】
成形シート10の熱膨張層30は、基材20の第1主面22の上に積層される。熱膨張層30は、バインダ31と、バインダ31中に分散された熱膨張材料(膨張前の熱膨張材料)32aとを含む。バインダ31は、酢酸ビニル系ポリマー、アクリル系ポリマー等の任意の熱可塑性樹脂である。熱膨張材料32aは、例えば、熱膨張性マイクロカプセルであり、所定の温度以上に加熱されることにより、加熱される熱量(具体的には、加熱温度、加熱時間等)に応じた大きさに膨張する。熱膨張材料32aは、例えば、80℃~120℃以上に加熱されることによって膨張する。
【0018】
熱膨張性マイクロカプセルは、プロパン、ブタン、その他の低沸点物質から構成された発泡剤を、熱可塑性樹脂製の殻内に包み込んだマイクロカプセルである。熱膨張性マイクロカプセルの殻は、例えば、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、これらの共重合体等の熱可塑性樹脂から形成される。熱膨張性マイクロカプセルは、所定の温度以上に加熱されると、殻が軟化すると共に発泡剤が気化し、発泡剤が気化した圧力により、殻がバルーン状に膨張する。熱膨張性マイクロカプセルは、膨張前の粒径の5倍程度まで膨張する。膨張前の熱膨張性マイクロカプセルの平均粒径は、例えば、5~50μmである。
【0019】
造形物100の製造において、熱膨張層30は、熱変換層50からの放熱により膨張して、基材20と反対側の面34に後述する凹凸36を形成される。熱膨張層30の凹凸36の形成については、後述する。
【0020】
成形シート10の接着層40は、熱膨張層30の基材20と反対側の面34の上に積層され、熱膨張層30の面34を覆う。接着層40は、例えば、UV硬化型接着剤(アクリル系、ウレタン系等)から構成される。接着層40は、熱膨張層30が膨張できるように、30%以上の伸び率を有することが好ましい。
【0021】
成形シート10の熱変換層50は、接着層40の所定の第1領域42の上に積層される。接着層40の第1領域42は、熱膨張層30の膨張する領域(すなわち、後述する熱膨張層30の凸部37と造形物100の凸部112)に対応している。
【0022】
熱変換層50は、照射された電磁波を熱に変換し、変換された熱を放出することにより、熱膨張層30の熱膨張材料32aを加熱する。加熱された熱膨張材料32aは、熱変換層50から放出される熱量(具体的には、加熱温度、加熱時間等)に応じた大きさに膨張し、熱膨張層30が膨張する。
熱変換層50は、成形シート10の他の部分に比べて速やかに、電磁波を熱に変換するので、熱変換層50の近傍の熱膨張層30を選択的に加熱できる。したがって、接着層40の第1領域42の上に積層された熱変換層50は、接着層40の第1領域42の下に位置する熱膨張層30の領域を、選択的に膨張させる。
【0023】
熱変換層50は、吸収した電磁波を熱に変換する熱変換材料から構成される。熱変換材料は、カーボンブラック、六ホウ化金属化合物、酸化タングステン系化合物等である。例えば、カーボンブラックは、可視光、赤外光等を吸収して熱に変換する。また、六ホウ化金属化合物と酸化タングステン系化合物は、近赤外光を吸収して熱に変換する。六ホウ化金属化合物と酸化タングステン系化合物の中では、近赤外光領域で吸収率が高く、かつ可視光領域の透過率が高いことから、六ホウ化ランタン(LaB)とセシウム酸化タングステンが好ましい。
【0024】
熱変換層50から放出される熱量は、熱変換材料の密度(濃度)と熱変換層50に照射される電磁波の単位面積と単位時間当たりのエネルギー量に依存する。したがって、熱変換層50における熱変換材料の密度(濃度)と電磁波の単位面積と単位時間当たりのエネルギー量の少なくとも一方により、熱膨張層30に形成される凹凸36の凸部37の高さ(造形物100の凸部112の高さ)、凹凸形状等を制御できる。
【0025】
成形シート10の繊維60は、接着層40の第1領域42以外の第2領域44に植毛されている。繊維60は、例えば、長さ100μm~5mmの繊維であり、ナイロン66、レーヨン等から構成される。繊維60は、例えば1m当たり5万本~6千万本、接着層40の第2領域44に植毛されている。
【0026】
繊維60を植毛される接着層40の第2領域44は、第1領域42以外の領域、すなわち熱変換層50を積層されない領域であるので、熱膨張層30の膨張しない領域(すなわち、後述する熱膨張層30の凹部38と造形物100の凹部114)に対応している。
【0027】
次に、成形シート10の製造方法を説明する。図2は、成形シート10の製造方法を示すフローチャートである。成形シート10の製造方法は、熱膨張層30を基材20の第1主面22の上に積層する熱膨張層積層工程(ステップS10)と、接着層40を熱膨張層30の基材20と反対方向の面34の上に積層する接着層積層工程(ステップS20)と、電磁波を熱に変換する熱変換層50を、接着層40の所定の第1領域42の上に積層する熱変換層積層工程(ステップS30)と、繊維60を、熱変換層50を積層された接着層40の第1領域42以外の第2領域44に、植毛する植毛工程(ステップS40)と、を含む。
【0028】
熱膨張層積層工程(ステップS10)では、まず、基材20と、熱膨張層30を形成するための塗布液とを準備する。基材20は、ロール状であっても、予めシート状に裁断されていてもよい。熱膨張層30を形成するための塗布液は、バインダ31と熱膨張材料32a(例えば、熱膨張性マイクロカプセル)とを混合することにより、調製される。
【0029】
次に、塗布装置を用いて、基材20の第1主面22に熱膨張層30を形成するための塗布液を塗布し、塗布された塗布液を乾燥させる。これにより、図3に示すように、熱膨張層30が基材20の第1主面22に積層される。塗布装置は、バーコータ、ローラーコータ、スプレーコータ等である。熱膨張層30の所定の厚みを得るために、塗布液の塗布と塗布液の乾燥とを、繰り返してもよい。
【0030】
接着層積層工程(ステップS20)では、塗布装置を用いて、熱膨張層30の基材20と反対側の面34の上に、接着層40を構成する接着剤を塗布する。接着層40を構成する接着剤は、例えば、UV硬化型接着剤である。これにより、図4に示すように、接着層40が熱膨張層30の面34の上に積層される。
【0031】
熱変換層積層工程(ステップS30)では、印刷装置によって、接着層40の所定の第1領域42の上に、熱変換材料を含むインクを、熱膨張層30に形成される凹凸36の凸部37の高さに応じた濃淡で印刷する。これにより、図5に示すように、熱変換層50が接着層40の第1領域42の上に積層される。印刷装置は、例えば、インクジェットプリンタである。
【0032】
植毛工程(ステップS40)では、繊維60は、例えば、静電植毛により植毛される。具体的には、高電圧を印加され、繊維60が飛び交う電極間に、熱変換層50を接着層40の第1領域42の上に積層された基材20を挿入する。これにより、繊維60は、接着層40の第2領域44に刺さり、植毛される。一方、接着層40の第1領域42の上には、接着能を有していない熱変換層50が積層されているので、繊維60は接着層40の第1領域42に植毛されない。最後に、繊維60が植毛された接着層40にUV(紫外)光を照射して、接着層40を硬化させる。
【0033】
以上により、成形シート10が製造される。本実施形態の成形シート10の製造方法では、熱変換層50が接着層40の第1領域42に予め積層されているので、熱膨張層30の膨張しない領域に対応する接着層40の第2領域44に、繊維60を均一に容易に植毛できる。
【0034】
(造形物)
次に、図6図7を参照して、造形物100を説明する。造形物100は、図6図7に示すように、基材20と、基材20の第1主面22の上に積層され、基材20と反対側の面に凹凸36を有する熱膨張層30と、熱膨張層30の凹凸36を覆う接着層40と、接着層40の第1部分46の上に積層された熱変換層50と、接着層40の第2部分48に植毛された繊維60と、を備える。造形物100は、シート状の造形物であり、熱膨張層30の凹凸36により形成される凹凸110を有している。造形物100の基材20の構成は成形シート10の基材20と同様であるので、ここでは、造形物100の熱膨張層30と接着層40と熱変換層50と繊維60について、説明する。なお、図6では、理解を容易にするために繊維60を省略している。
【0035】
造形物100の熱膨張層30は、成形シート10の熱膨張層30と同様に、基材20の第1主面22の上に積層されている。造形物100の熱膨張層30は、図7に示すように、基材20と反対側の面34に凹凸36を有している。熱膨張層30の凹凸36は、基材20と反対方向に突出した凸部37と凹部38とから構成されている。凹凸36の凸部37は、成形シート10の熱膨張層30の膨張した部分であり、バインダ31と熱膨張材料32aを膨張させた膨張済みの熱膨張材料32bとを含む。凹凸36の凹部38は、成形シート10の熱膨張層30の膨張しない部分であり、バインダ31と熱膨張材料32aとを含む。凹凸36の凸部37が造形物100の凹凸110の凸部112を形成し、凹凸36の凹部38が造形物100の凹凸110の凹部114を形成している。
【0036】
造形物100の接着層40は、熱膨張層30の基材20と反対側の面34の上に積層され、熱膨張層30の凹凸36を凹凸形状に沿って覆う。造形物100の接着層40は、成形シート10の接着層40と同様に、UV硬化型接着剤から構成される。
【0037】
造形物100の接着層40は、熱膨張層30の凹凸36の凸部37を覆う第1部分46と、熱膨張層30の凹凸36の凹部38を覆う第2部分48とを有する。造形物100の接着層40の第1部分46は、成形シート10の接着層40の第1領域42に相当し、熱変換層50を積層されている。造形物100の接着層40の第2部分48は、成形シート10の接着層40の第2領域44に相当し、繊維60を植毛されている。
【0038】
造形物100の熱変換層50は、接着層40の第1部分46に積層されている。造形物100の熱変換層50の構成は、成形シート10の熱変換層50の構成と同様である。
【0039】
造形物100の繊維60は、接着層40の第2部分48に植毛されている。接着層40の第2部分48は、造形物100の凹部114を形成する熱膨張層30の凹部38を覆っているので、繊維60は造形物100の凹部114に植毛されていることになる。
【0040】
次に、図8を参照して、造形物100の製造方法を説明する。本実施形態では、シート状(例えば、A4用紙サイズ)の成形シート10から、造形物100を製造する。
【0041】
図8は、造形物100の製造方法を示すフローチャートである。造形物100の製造方法は、基材20と、熱膨張材料32aを含み、基材20の第1主面22の上に積層された熱膨張層30と、熱膨張層30の基材20と反対方向の面34を覆う接着層40と、接着層40の所定の第1領域42の上に積層され、電磁波を熱に変換する熱変換層50と、接着層40の第1領域42以外の第2領域44に植毛された繊維60とを備える成形シート10を準備する準備工程(ステップS50)と、電磁波を熱変換層50に照射することにより、熱膨張層30を膨張させる膨張工程(ステップS60)と、を含む。
【0042】
準備工程(ステップS50)では、成形シート10を準備する。成形シート10は、例えば、上述した成形シート10の製造方法(ステップS10~ステップS40)により製造される。
【0043】
膨張工程(ステップS60)では、電磁波を成形シート10の熱変換層50に照射して熱膨張材料32aを膨張させることにより、熱膨張層30を膨張させる。具体的には、熱変換層50が六ホウ化ランタンから構成されている場合、図示しない照射装置から、六ホウ化ランタンが吸収して熱に変換する赤外光を熱変換層50に照射する。六ホウ化ランタンは変換した熱を放出する。熱変換層50の近傍の熱膨張層30の熱膨張材料32aが、六ホウ化ランタンが放出した熱により加熱されて、膨張する。熱膨張材料32aが膨張することにより、膨張済みの熱膨張材料32bが形成され、熱変換層50の近傍の熱膨張層30が膨張する。そして、熱膨張層30の膨張により、基材20と反対方向に突出した凸部37と凹部38とから構成される凹凸36が、熱膨張層30に形成される。
【0044】
本実施形態では、熱変換層50が、成形シート10の接着層40の所定の第1領域42に積層されているので、接着層40の第1領域42の下に位置する熱膨張層30の領域が膨張して、造形物100の熱膨張層30の凸部37、すなわち造形物100の凸部112が形成される。なお、造形物100では、接着層40の熱膨張層30の凸部37を覆う部分が、接着層40の第1部分46であり、熱変換層50を積層されている。
【0045】
一方、繊維60が、成形シート10の接着層40の第1領域42以外の第2領域44に植毛されているので、接着層40の第2領域44の下に位置する熱膨張層30の領域は膨張せず、造形物100の熱膨張層30の凹部38、すなわち造形物100の凹部114が形成される。造形物100の凹部114が、繊維60を予め植毛されている成形シート10の接着層40の第2領域44に形成されるので、凹部114に均一に繊維60を植毛された造形物100を容易に製造できる。なお、造形物100では、接着層40の熱膨張層30の凹部38を覆う部分が、接着層40の第2部分48であり、繊維60を植毛されている。
【0046】
ここで、熱変換層50の熱変換材料から放出される熱の熱量は、熱変換層50に含まれる熱変換材料の密度(濃度)と、熱変換層50に照射される電磁波の単位面積と単位時間当たりのエネルギー量とに依存する。したがって、熱変換層50に含まれる熱変換材料の密度(濃度)と照射される電磁波の単位面積と単位時間当たりのエネルギー量の少なくとも一方を制御することによって、膨張済みの熱膨張材料32bの粒径(熱膨張層30の膨張の大きさ)、熱膨張層30の凸部37の高さ、凹凸36の凹凸形状等を制御できる。
以上により、造形物100を製造できる。
【0047】
以上のように、成形シート10では、繊維60が熱膨張層30の膨張しない領域に対応する接着層40の第2領域44に植毛されているので、成形シート10から、凹部114に均一に植毛された繊維60を有する造形物100を容易に製造できる。成形シート10の製造方法では、接着層40の第1領域42に接着能を有しない熱変換層50が積層されているので、繊維60を熱膨張層30の膨張しない領域に対応する接着層40の第2領域44に均一に容易に植毛でき、繊維60を均一に植毛された成形シート10を容易に製造できる。さらに、本実施形態の造形物100の製造方法では、造形物100の凹部114が、繊維60を予め植毛されている成形シート10の接着層40の第2領域44に形成されるので、繊維60を凹部114に均一に植毛された造形物100を容易に製造できる。造形物100は、凹部114に均一に植毛された繊維60を有し、ユーザが触る部分によってユーザに対して異なる触感を与えることができる。
【0048】
<実施形態2>
実施形態1では、熱変換層50は熱変換材料から構成されているが、熱変換層50は熱変換材料と硬化した樹脂とを含んでもよい。また、熱変換層50を形成するためのインクは、熱変換材料と未硬化の樹脂とを含んでもよい。
【0049】
(成形シート)
本実施形態の成形シート10は、実施形態1の成形シート10と同様に、基材20と、基材20の第1主面22の上に積層された熱膨張層30と、熱膨張層30の基材20と反対方向の面34を覆う接着層40と、接着層40の所定の第1領域42の上に積層された熱変換層50と、接着層40の第1領域42以外の第2領域44に植毛された繊維60と、を備える。本実施形態の基材20と熱膨張層30と接着層40と繊維60は、実施形態1と同様であるので、ここでは、熱変換層50について説明する。
【0050】
本実施形態の熱変換層50は、実施形態1の熱変換層50と同様に、接着層40の所定の第1領域42の上に積層される。接着層40の第1領域42は、熱膨張層30の膨張する領域に対応している。本実施形態の熱変換層50は、実施形態1の熱変換層50と同様に、照射された電磁波を熱に変換し、変換された熱を放出することにより、熱膨張層30の熱膨張材料32aを加熱する。
【0051】
本実施形態の熱変換層50は、吸収した電磁波を熱に変換する熱変換材料と硬化した樹脂とを含む。熱変換材料は、カーボンブラック、六ホウ化金属化合物、酸化タングステン系化合物等である。硬化した樹脂は、例えば、硬化したUV硬化樹脂である。
【0052】
次に、図9図10を参照して、本実施形態の成形シート10の製造方法を説明する。図9は、本実施形態の成形シート10の製造方法を示すフローチャートである。本実施形態の成形シート10の製造方法は、熱膨張層30を積層する熱膨張層積層工程(ステップS10)と、接着層40を積層する接着層積層工程(ステップS20)と、熱変換材料と硬化した樹脂とを含む熱変換層50を積層する熱変換層積層工程(ステップS30)と、繊維60を植毛する植毛工程(ステップS40)とを含む。熱変換層積層工程(ステップS30)は、熱変換材料と未硬化の樹脂とを含むインク80を、接着層40の所定の第1領域42の上に印刷する印刷工程(ステップS32)と、インク80に含まれる未硬化の樹脂を硬化させる硬化工程(ステップS34)とを含む。本実施形態の熱膨張層積層工程(ステップS10)と接着層積層工程(ステップS20)は、実施形態1と同様であるので、熱変換層積層工程(ステップS30)と植毛工程(ステップS40)について説明する。
【0053】
本実施形態の熱変換層積層工程(ステップS30)では、熱変換材料と硬化した樹脂とを含む熱変換層50を、接着層40の所定の第1領域42の上に積層する。本実施形態の熱変換層積層工程(ステップS30)は、印刷工程(ステップS32)と硬化工程(ステップS34)とを含む。
【0054】
印刷工程(ステップS32)では、印刷装置によって、図10に示すように、接着層40の所定の第1領域42の上に、熱変換材料と未硬化の樹脂とを含むインク80を、熱膨張層30に形成される凸部37の高さ(造形物100の凸部112の高さ)に応じた濃淡で印刷する。インク80は、例えば、紫外線硬化型インク(UVインク)に熱変換材料を混合して、調製される。UVインクは未硬化のUV硬化樹脂を含む。したがって、インク80は未硬化のUV硬化樹脂を含み、インク80にUV光を照射することによって、硬化したUV硬化樹脂(硬化したUVインク)が生成される。
【0055】
図9に戻り、硬化工程(ステップS34)では、印刷されたインク80にUV光を照射して、インク80に含まれる未硬化のUV硬化樹脂を硬化させる。以上により、熱変換材料と硬化した樹脂(硬化したUV硬化樹脂)とを含む熱変換層50が、接着層40の第1領域42の上に積層される。
【0056】
本実施形態の植毛工程(ステップS40)では、実施形態1と同様に、繊維60は、静電植毛により、接着層40の熱変換層50を積層された第1領域42以外の第2領域44に植毛される。接着層40の第1領域42の上には、硬化した樹脂(硬化したUV硬化樹脂)を含む熱変換層50が積層されているので、繊維60は接着層40の第1領域42に植毛されない。最後に、繊維60が植毛された接着層40にUV光を照射して、接着層40を硬化させる。
【0057】
以上により、本実施形態の成形シート10が製造される。ここで、熱変換層50を形成するインク(インク80又は実施形態1のインク)は、熱膨張層30に形成される凸部37の高さに応じた濃淡で印刷される。凸部37の高さが低い場合、熱変換層50を形成するインクは淡く印刷され、熱変換材料の密度は低くなる。熱変換材料を含み未硬化の樹脂を含まないインク(通常のインクと熱変換材料から構成されるインク)を用いて、熱変換材料の密度が低い熱変換層50を形成すると、植毛工程(ステップS40)において、熱変換層50全体の密度が低いために、繊維60が接着層40の所定の第1領域42に植毛される虞がある。
本実施形態では、熱変換層50を形成するインク80が熱変換材料と未硬化の樹脂(未硬化のUV硬化樹脂)とを含み、熱変換層50が熱変換材料と硬化した樹脂(硬化したUV硬化樹脂)とを含むので、熱変換層50全体の密度が高くなる。これにより、植毛工程(ステップS40)において、繊維60が接着層40の所定の第1領域42に植毛されることを、より防げる。
【0058】
(造形物)
実施形態1における造形物100の製造方法と同様の製造方法によって、本実施形態の成形シート10から造形物100を製造できる。本実施形態の成形シート10から製造される造形物100は、熱変換層50が熱変換材料と硬化した樹脂とを含む点が実施形態1の造形物100と異なる。本実施形態の成形シート10から製造される造形物100のその他の構成は、実施形態1の造形物100と同様である。
【0059】
以上のように、本実施形態の成形シート10の製造方法では、接着層40の所定の第1領域42の上に、熱変換材料と硬化した樹脂とを含む熱変換層50を積層した後に、繊維60を植毛するので、繊維60が第1領域42に植毛されることを防げる。また、繊維60を、熱膨張層30の膨張しない領域に対応する接着層40の第2領域44に均一に容易に植毛でき、繊維60を均一に植毛された成形シート10を容易に製造できる。
【0060】
また、本実施形態の成形シート10では、実施形態1と同様に、繊維60が接着層40の第2領域44に植毛されているので、凹部114に均一に植毛された繊維60を有する造形物100を容易に製造できる。さらに、本実施形態の造形物100は、凹部114に均一に植毛された繊維60を有し、ユーザが触る部分によってユーザに対して異なる触感を与えることができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0062】
例えば、成形シート10はロール状に製造され、造形物100はロール状の成形シート10からロール状に製造されてもよい。
【0063】
基材20を構成する材料は、熱可塑性樹脂に限らず、紙、布等であってもよい。基材20を構成する熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂とポリエステル系樹脂に限らず、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)系樹脂、ポリイミド系樹脂等であってもよい。
【0064】
造形物100の熱膨張層30の凸部37は、基材20と反対方向に突出し、成形シート10の熱膨張層30の膨張した部分であればよい。例えば、凸部37は、図11に示すように、凹み39を有してもよい。
【0065】
接着層40は、UV硬化型接着剤に限らず、熱硬化型接着剤から構成されてもよい。
【0066】
実施形態2のインク80は、UVインクと熱変換材料とから構成されているが、インク80は未硬化の樹脂と熱変換材料とを含めばよい。例えば、インク80は、熱硬化型インクと熱変換材料とを混合することにより、調製されてもよい。また、インク80は、未硬化のUV硬化型接着剤と熱変換材料とを含んでもよい。未硬化のUV硬化型接着剤は未硬化のUV硬化樹脂を含むので、未硬化のUV硬化型接着剤と熱変換材料とを含むインク80にUV光を照射することにより、硬化したUV硬化樹脂(硬化したUV硬化型接着剤)を含む熱変換層50が形成される。インク80は、通常のインクに未硬化の熱硬化型接着剤と熱変換材料とを含んでもよい。この場合、硬化した熱硬化樹脂(硬化した熱硬化型接着剤)を含む熱変換層50が形成される。さらに、実施形態2の熱変換層50は硬化した樹脂と熱変換材料とを含めばよい。
【0067】
繊維60は、ナイロン66、レーヨンに限らず、綿、アクリル系繊維、繊維状に加工された革等であってもよい。繊維60の材質、長さ、植毛条件等を変えることにより、ユーザに対して異なる触感を与えることができる。
【0068】
成形シート10と造形物100は、各層の間に他の任意の材料による層を形成されてもよい。例えば、基材20と熱膨張層30との間に、基材20と熱膨張層30とをより密着させる密着層が形成されてもよい。密着層は、例えば、表面改質剤から構成される。
【0069】
また、成形シート10と造形物100は、カラー画像を印刷されてもよい。例えば、成形シート10と造形物100は、熱膨張層30の面34に、シアンCとマゼンタMとイエローYとブラックKの4色のインクから構成され、カラー画像を表すカラーインク層を積層されてもよい。また、カラー画像は、繊維60と熱変換層50の上に印刷されてもよい。
【0070】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0071】
(付記1)
基材と、
熱膨張材料を含み、前記基材の第1主面の上に積層された熱膨張層と、
前記熱膨張層の前記基材と反対方向の面を覆う接着層と、
前記接着層の所定の第1領域の上に積層され、電磁波を熱に変換する熱変換層と、
前記接着層の前記第1領域以外の第2領域に植毛された繊維と、を備える、
成形シート。
【0072】
(付記2)
前記熱変換層が硬化した樹脂を含む、
付記1に記載の成形シート。
【0073】
(付記3)
前記熱変換層が硬化型インクを含む、
付記2に記載の成形シート。
【0074】
(付記4)
前記熱変換層が接着剤を含む、
付記2に記載の成形シート。
【0075】
(付記5)
前記接着層の伸び率は、30%以上である、
付記1乃至4のいずれか1つに記載の成形シート。
【0076】
(付記6)
基材と、
熱膨張材料を含み、前記基材の第1主面の上に積層され、前記基材と反対側の面に凹凸を有する熱膨張層と、
前記熱膨張層の前記凹凸を覆う接着層と、
前記接着層の前記凹凸の前記基材と反対方向に突出した凸部を覆う第1部分の上に積層され、電磁波を熱に変換する熱変換層と、
前記接着層の前記凹凸の凹部を覆う第2部分に植毛された繊維と、を備える、
造形物。
【0077】
(付記7)
前記熱変換層が硬化した樹脂を含む、
付記6に記載の造形物。
【0078】
(付記8)
熱膨張材料を含む熱膨張層を、基材の第1主面の上に積層する熱膨張層積層工程と、
接着層を、前記熱膨張層の前記基材と反対方向の面の上に積層する接着層積層工程と、
電磁波を熱に変換する熱変換層を、前記接着層の所定の第1領域の上に積層する熱変換層積層工程と、
繊維を、前記熱変換層を積層された前記接着層の前記第1領域以外の第2領域に、植毛する植毛工程と、を含む、
成形シートの製造方法。
【0079】
(付記9)
前記熱変換層積層工程では、電磁波を熱に変換する熱変換材料と未硬化の樹脂とを含むインクを、前記接着層の前記第1領域に印刷した後、前記未硬化の樹脂を硬化させる、
付記8に記載の成形シートの製造方法。
【0080】
(付記10)
基材と、熱膨張材料を含み、前記基材の第1主面の上に積層された熱膨張層と、前記熱膨張層の前記基材と反対方向の面を覆う接着層と、前記接着層の所定の第1領域の上に積層され、電磁波を熱に変換する熱変換層と、前記接着層の前記第1領域以外の第2領域に植毛された繊維と、を備える成形シートを準備する準備工程と、
前記電磁波を前記熱変換層に照射することにより、前記熱膨張層を膨張させる膨張工程と、を含む、
造形物の製造方法。
【0081】
(付記11)
前記熱変換層が硬化した樹脂を含む、
付記10に記載の造形物の製造方法。
【0082】
(付記12)
基材の上に積層された、熱膨張材料を含む熱膨張層を膨張させる熱変換層を形成するインクであって、
電磁波を熱に変換する熱変換材料と未硬化の樹脂とを含む、
インク。
【符号の説明】
【0083】
10・・・成形シート、20・・・基材、22・・・第1主面、30・・・熱膨張層、31・・・バインダ、32a・・・熱膨張材料(膨張前の熱膨張材料)、32b・・・膨張済みの熱膨張材料、34・・・反対側の面、36・・・凹凸、37・・・凸部、38・・・凹部、39・・・凹み、40・・・接着層、42・・・第1領域、44・・・第2領域、46・・・第1部分、48・・・第2部分、50・・・熱変換層、60・・・繊維、80・・・インク、100・・・造形物、110・・・凹凸、112・・・凸部、114・・・凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11