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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】カセット
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/70 20060101AFI20230829BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20230829BHJP
   B65H 35/07 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
B65H29/70
B41J3/36 T
B65H35/07 P
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019121264
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021006484
(43)【公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】飯島 章太
(72)【発明者】
【氏名】野田 亜里紗
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-096030(JP,A)
【文献】特開平08-090879(JP,A)
【文献】特開2010-215296(JP,A)
【文献】特開平06-003898(JP,A)
【文献】特開2011-251435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/01-3/54
B41J 3/62
B41J 15/00-15/24
B65H 23/00-23/16
B65H 23/24-23/34
B65H 27/00
B65H 29/54-29/70
B65H 35/00-35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープが巻回され、第1方向に延びる軸心周りに回転可能なテープロールと、
前記テープが前記第1方向と直交する第2方向に搬送されるテープ搬送経路と、
前記テープ搬送経路に設けられ、前記第1方向における前記テープの一端をガイドする第1ガイド部材と、
前記テープ搬送経路に設けられ、前記第1方向における前記テープの他端をガイドする第2ガイド部材と
を備え、
前記第1ガイド部材の前記第2ガイド部材側の第1端面と、前記第2ガイド部材の前記第1ガイド部材側の第2端面との前記第1方向における距離は、前記テープの、前記テープロールにおけるテープ幅よりも短い
ことを特徴とするカセット。
【請求項2】
前記テープ搬送経路に設けられ、前記テープの湾曲方向を規定する湾曲部材
を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のカセット。
【請求項3】
前記テープ搬送経路に設けられ、前記テープの裏面をガイドする第3ガイド部材と
を備え、
前記第3ガイド部材の前記第1方向における中央領域は、前記第3ガイド部材の前記第1方向における端部領域よりも、前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向において、前記テープの裏面から前記テープの表面に向かう側の高さが高い
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のカセット。
【請求項4】
前記テープ搬送経路に設けられ、前記テープの表面をガイドする第4ガイド部材
を備え、
前記第4ガイド部材と前記第3ガイド部材とは、前記第3方向にずれた位置にある
ことを特徴とする請求項3に記載のカセット。
【請求項5】
前記テープ搬送経路に設けられ、前記テープの表面をガイドする第4ガイド部材と、
前記テープ搬送経路に設けられ、前記テープの表面をガイドする第5ガイド部材と
を備え、
前記第4ガイド部材と前記第5ガイド部材とは、前記第1方向に離間して設けられる
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のカセット。
【請求項6】
前記テープは、粘着面を有する粘着テープと、前記粘着面に貼り付けられ、前記粘着テープよりも幅が広い幅広テープとを有する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のカセット。
【請求項7】
前記テープは、前記第1ガイド部材、及び前記第2ガイド部材において、前記粘着テープと前記幅広テープとが重なった状態で、前記幅広テープ側に向けて凸形状となっている
ことを特徴とする請求項6に記載のカセット。
【請求項8】
前記第1ガイド部材、及び前記第2ガイド部材は、ヘッド開口よりも前記第2方向の下流に位置する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のカセット。
【請求項9】
前記第1ガイド部材、及び前記第2ガイド部材は、前記テープの排出口に配置される
ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のカセット。
【請求項10】
前記第3ガイド部材の少なくとも一部は、前記テープの前記第2方向において、前記第4ガイド部材と前記第5ガイド部材のそれぞれに対して異なる位置にある
ことを特徴とする請求項5に記載のカセット。
【請求項11】
前記異なる位置は、前記第4ガイド部材と前記第5ガイド部材のそれぞれに対して、前記第2方向の上流となる位置である
ことを特徴とする請求項10に記載のカセット。
【請求項12】
前記第2方向において、前記第3ガイド部材の上流端と接続して設けられ、且つ前記第2方向の下流に向かうに従い、前記第3方向における前記テープの裏面から前記テープの表面へ向かうテーパを備える
ことを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載のカセット。
【請求項13】
前記テープの表面は、前記テープのカールの内側面となる
ことを特徴とする請求項5に記載のカセット。
【請求項14】
前記テープの裏面は、印刷がなされる対象となる面である
ことを特徴とする請求項5に記載のカセット。
【請求項15】
前記粘着テープは、テープスプールから繰り出され、
前記幅広テープは、特定テープスプールから繰り出され、及び前記テープスプールから繰り出された前記粘着テープと重なり、
前記テープの表面は、前記粘着テープと前記幅広テープのうちで、剛性が小さい方の前記テープの外面である
ことを特徴とする請求項6又は7に記載のカセット。
【請求項16】
前記第1ガイド部材の前記第1端面、及び前記第2ガイド部材の前記第2端面は、前記テープの前記第1方向の両端とそれぞれ接触し、
前記第1ガイド部材、前記第2ガイド部材は、前記第4ガイド部材と前記第5ガイド部材のそれぞれに接続する
ことを特徴とする請求項5に記載のカセット。
【請求項17】
前記第4ガイド部材と前記第5ガイド部材は、前記第1端面と前記第2端面との間に搬送された前記テープの裏面から表面を向く方向へ開放された空間を間にして並ぶ
ことを特徴とする請求項5に記載のカセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に装着可能なカセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置に装着可能なカセットが知られている。例えば、特許文献1で開示されるテープ印字装置には、テープカセットが装着される。テープは、テープロールに巻回された状態で、テープカセット内で回転可能に支持される。テープカセットで支持されたテープは、サーマルヘッドによって印字された後に、一対の規制部材を経由して、テープ排出口から排出される。テープ排出口から排出されたテープは、テープ印字装置の排出スリットから排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-149434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記テープ印字装置では、テープロールに巻回されたテープに巻癖がついていた場合、テープは巻癖がついたまま排出口から排出され、排出スリットから排出できない可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、巻癖を矯正した状態でテープを排出することができるカセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカセットは、テープが巻回され、第1方向に延びる軸心周りに回転可能なテープロールと、テープが第1方向と直交する第2方向に搬送されるテープ搬送経路と、テープ搬送経路に設けられ、第1方向におけるテープの一端をガイドする第1ガイド部材と、テープ搬送経路に設けられ、第1方向におけるテープの他端をガイドする第2ガイド部材とを備え、第1ガイド部材の第2ガイド部材側の第1端面と、第2ガイド部材の第1ガイド部材側の第2端面との第1方向における距離は、テープのテープロールにおけるテープ幅よりも短いことを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、第1ガイド部材の第1端面と、第2ガイド部材の第2端面との第1方向における距離は、テープのテープロールにおけるテープ幅よりも短い。従って、テープは、第1端面と第2端面との間で、巻癖に抗って湾曲した状態で、ガイドされる。故に、カセットは、テープの巻癖を矯正した状態で排出することができる。
【0008】
本発明において、テープ搬送経路に設けられ、テープの湾曲方向を規定する湾曲部材を備えてもよい。湾曲部材によりテープの湾曲方向を規定するので、カセットは、テープの巻癖に抗ってテープをガイドできる。従って、カセットは、テープを真っ直ぐに排出することができる。
【0009】
本発明において、テープ搬送経路に設けられ、テープの裏面をガイドする第3ガイド部材とを備え、第3ガイド部材の第1方向における中央領域は、第3ガイド部材の第1方向における端部領域よりも、第1方向及び第2方向と直交する第3方向において、テープの裏面からテープの表面に向かう側の高さが高くてもよい。第3ガイド部材の中央領域は、端部領域よりも、第3方向において、テープの裏面から表面に向かう側の高さが高い。従って、第3ガイド部材の中央領域は、テープの裏面をガイドしやすい。
【0010】
本発明において、テープ搬送経路に設けられ、テープの表面をガイドする第4ガイド部材を備え、第4ガイド部材と第3ガイド部材とは、第3方向にずれた位置にあってもよい。第4ガイド部材と第3ガイド部材とは、第3方向にずれた位置にあるので、カセットは、テープの湾曲の程度をコントロールしやすい。
【0011】
本発明において、テープ搬送経路に設けられ、テープの表面をガイドする第4ガイド部材と、テープ搬送経路に設けられ、テープの表面をガイドする第5ガイド部材とを備え、第4ガイド部材と第5ガイド部材とは、第1方向に離間して設けられてもよい。第4ガイド部材と第5ガイド部材は、離間して設けられるので、湾曲したテープが接触しにくい。従って、カセットは、湾曲したテープの形状を維持しやすい。
【0012】
本発明において、テープは、粘着面を有する粘着テープと、粘着面に貼り付けられ、粘着テープよりも幅が広い幅広テープとを有してもよい。カセットは、粘着面を有した第1テープにゴミ、埃などの異物が付着するのを防止しつつ、テープを適切に排出できる。
【0013】
本発明において、テープは、第1ガイド部材、及び第2ガイド部材において、粘着テープと幅広テープとが重なった状態で、幅広テープ側に向けて凸形状となっていてもよい。カセットは、幅広テープ側に向けて凸形状となったテープを適切に排出できる。
【0014】
本発明において、第1ガイド部材、及び第2ガイド部材は、ヘッド開口よりも第2方向の下流に位置してもよい。カセットは、ヘッド開口よりも第2方向の下流側で、テープを適切に排出できる
【0015】
本発明において、第1ガイド部材、及び第2ガイド部材は、テープの排出口に配置されてもよい。カセットは、排出口においてテープを適切に排出できる。
【0016】
本発明において、第3ガイド部材の少なくとも一部は、テープの第2方向において、第4ガイド部材と第5ガイド部材のそれぞれに対して異なる位置にあってもよい。第3ガイド部材、第4ガイド部材、第5ガイド部材と接触するテープの部位が第2方向に長くなるので、第3ガイド部材、第4ガイド部材、第5ガイド部材とテープとの接触面積は増える。従って、テープは、第3ガイド部材、第4ガイド部材、第5ガイド部材から外れにくい。故に、カセットは、テープを適切に排出できる。
【0017】
本発明において、異なる位置は、第4ガイド部材と第5ガイド部材のそれぞれに対して、第2方向の上流となる位置であってもよい。テープは、はじめに、第3ガイド部材に接触し易い。これにより、テープは、第4ガイド部材と第5ガイド部材にガイドされ易い。よって、テープは、適切に排出され易い。
【0018】
本発明において、第2方向において、第3ガイド部材の上流端と接続して設けられ、且つ第2方向の下流に向かうに従い、第3方向におけるテープの裏面からテープの表面へ向かうテーパを備えてもよい。カセットがテーパを備えるので、テープはガイドされ易い。
【0019】
本発明において、テープの表面は、テープのカールの内側面となってもよい。第4ガイド部材、及び第5ガイド部材がテープのカールの内側面に接触するので、カセットは、排出されるテープのカールを矯正し易い。
【0020】
本発明において、テープの裏面は、印刷がなされる対象となる面であってもよい。テープの裏面は、第4ガイド部材と第5ガイド部材との双方に接触しにくい。よって、カセットは、テープの裏面に印刷されるキャラクタのカスレを抑制できる。
【0021】
本発明において、粘着テープは、テープスプールから繰り出され、幅広テープは、特定テープスプールから繰り出され、及びテープスプールから繰り出された粘着テープと重なり、テープの表面は、粘着テープと幅広テープのうちで、剛性が小さい方のテープの外面であってもよい。テープの表面がカールの内側面となるようにテープがカールしたときであっても、すくなくとも第1端部と第2端部によりガイドされるので、カセットはテープのカールを抑制できる。
【0022】
本発明において、第1ガイド部材の第1端面、及び第2ガイド部材の第2端面は、テープの第1方向の両端とそれぞれ接触し、第1ガイド部材、第2ガイド部材は、第4ガイド部材と第5ガイド部材のそれぞれに接続してもよい。第1ガイド部材と第2ガイド部材がテープの第1方向の両端と接触した状態で、第4ガイド部材と第5ガイド部材と共にテープをガイドするので、カセットは、テープを適切に排出することができる。
【0023】
本発明において、第4ガイド部材と第5ガイド部材は、第1端面と第2端面との間に搬送されたテープの裏面から表面を向く方向へ開放された空間を間にして並んでもよい。テープは、空間を介して第4ガイド部材、及び第5ガイド部材にガイドされ易い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】印刷装置1の斜視図である。
図2図1のA-A線矢視方向の断面図である。
図3図2の領域Wの拡大図である。
図4】カセット7の斜視図である。
図5】ガイド150の正面図である。
図6】ガイド150の第1変形例であるガイド250の底面図である。
図7】ガイド150の第2変形例であるガイド250Aの底面図である。
図8】ガイド150の第3変形例であるガイド350の正面図である。
図9】ガイド150の第4変形例であるガイド450の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載されている装置の構成は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0026】
印刷装置1の概略構成を説明する。以下では、図1の左下側、右上側、右下側、左上側、上側、および下側を、それぞれ、印刷装置1の左側、右側、前側、後側、上側、および下側と定義する。
【0027】
図1に示すように、印刷装置1は筐体2とカバー3とを備える。筐体2は、略直方体状である。カバー3は、筐体2の上面の後端部によって回動可能に支持され、筐体2の上面に対して開閉できる。筐体2の前面の左上角部には、入力部4が設けられる。入力部4は、各種情報を印刷装置1に入力するためのボタンである。筐体2の前面において入力部4の右側には、排出口11が設けられる。排出口11は、上下方向に延びる開口であり、筐体2の内部と外部とに連通する。
【0028】
筐体2の上面には、装着部6が設けられる。装着部6は、筐体2の上面から下方に凹む凹部である。装着部6には、カセット7が装着可能である。カセット7は、後述のテープ10(図2参照)及びインクリボン8(図2参照)を回転可能に保持する。テープ10とインクリボン8はいずれも上下方向を幅方向とする。
【0029】
図2に示すように、装着部6には、サーマルヘッド60、テープ駆動軸61、リボン巻取軸62、及び駆動モータ(図示略)が設けられる。サーマルヘッド60は、ヘッドホルダ69の左面に設けられ、上下方向に並んだ複数の発熱体を含む。ヘッドホルダ69は、装着部6の左部に設けられ、左右方向に直交して延びる板状である。テープ駆動軸61はヘッドホルダ69の前側に設けられ、リボン巻取軸62はヘッドホルダ69の右側に設けられる。テープ駆動軸61とリボン巻取軸62はいずれも、上下方向を軸方向として回転可能である。駆動モータは、テープ駆動軸61とリボン巻取軸62に駆動連結する。従って、駆動モータが駆動することに応じて、テープ駆動軸61とリボン巻取軸62は互いに連動して回転する。
【0030】
装着部6の左側には、プラテンホルダ63が設けられる。プラテンホルダ63の後端部は、上下方向に延びる軸64によって回転可能に支持される。プラテンホルダ63は、プラテンローラ65と搬送ローラ66を支持する。プラテンローラ65と搬送ローラ66はいずれも、上下方向を軸方向として回転可能である。プラテンローラ65はサーマルヘッド60に左側から対向する。搬送ローラ66はテープ駆動軸61に左側から対向する。プラテンホルダ63は、軸64を中心に、近接位置(図2参照)と離隔位置(図示略)との間を揺動する。プラテンホルダ63が近接位置にある場合、プラテンローラ65および搬送ローラ66は、それぞれ、サーマルヘッド60およびテープ駆動軸61に対して近接する。プラテンホルダ63が離隔位置にある場合、プラテンローラ65および搬送ローラ66は、それぞれ、サーマルヘッド60およびテープ駆動軸61に対して左方に離隔する。なお、プラテンホルダ63が離隔位置から近接位置に揺動することに応じて、プラテンローラ65は、駆動モータと駆動連結した状態に切り替わる。以下、プラテンホルダ63が近接位置にあるときの、プラテンローラ65とサーマルヘッド60との間となる位置を「印刷位置P1」をいう。
【0031】
図3に示すように、筐体2の内部において、排出口11の後側近傍には、切断ユニット100が設けられる。切断ユニット100は、固定刃179、可動刃141、及び切断モータ105を備える。固定刃179と可動刃141はいずれも前後方向に厚さを有する板状である。固定刃179は、カセット7から排出されるテープ10に対して右方となる位置にて固定される。固定刃179の左端と可動刃141の右端とのそれぞれには、上下方向に延びる刃先が形成される。可動刃141の下端部は、前後方向に延びる軸部材(図示略)を中心に回動可能である。切断モータ105は可動刃141と駆動連結する。切断モータ105が駆動することに応じて、可動刃141の刃先は、固定刃179の刃先と協働してテープ10を挟み込む。これにより、切断ユニット100はテープ10を切断できる。
【0032】
排出口11と切断ユニット100との間には、排出ユニット200が設けられる。排出ユニット200は、第1ローラ210、第2ローラ220、及び排出モータ299を備える。第1ローラ210と第2ローラ220は、右方から順に配置されており、いずれも上下方向を軸方向として回転可能である。第1ローラ210と第2ローラ220は、テープ10を左右方向から挟み込むことが可能である。排出モータ299は、第2ローラ220と駆動連結する。排出モータ299が駆動することに応じて、第2ローラ220は回転駆動し、第1ローラ210は第2ローラ220に追従して回転する。これにより、第2ローラ220は、第1ローラ210と協働して挟み込んだテープ10を排出口11に向けて排出する。
【0033】
図2図4を参照し、ラミネートタイプのカセット7を説明する。なお、図4では、図面を見易くする都合、テープ10を二点鎖線によって図示する。
【0034】
カセット7は、ケース70、排出部73、及びガイド150を備える。ケース70は箱状であり、テープ駆動ローラ72、支持孔75~78を有する。テープ駆動ローラ72は、ケース70の左前角部において上下方向に延びる円筒体であり、ケース70によって回転可能に支持される。テープ駆動ローラ72の内側には、テープ駆動軸61が挿入可能である。
【0035】
支持孔75はケース70を上下方向に貫通し、第1テープスプール41を回転可能に支持する。第1テープスプール41は、透明フィルムテープ51が巻かれた第1テープロール31が設けられる。第1テープロール31が上下方向を軸方向として第1テープスプール41と共に回転することで、透明フィルムテープ51は第1テープロール31から繰り出される。
【0036】
支持孔76はケース70を上下方向に貫通し、第2テープスプール42を回転可能に支持する。第2テープスプール42には、両面粘着テープ52が巻かれた第2テープロール32が設けられる。両面粘着テープ52は、片面に剥離紙が貼着された両面テープである。第2テープロール32が上下方向を軸方向として第1テープスプール41と共に回転することで、両面粘着テープ52は第2テープロール32から繰り出される。両面粘着テープ52はテープ駆動ローラ72に接続されている。
【0037】
図2図4に示すように、支持孔77は、ケース70を上下方向に貫通し、リボンスプール43を回転可能に支持する。リボンスプール43には、未使用のインクリボン8が巻かれたリボンロール33が設けられる。リボンロール33が上下方向を軸方向としてリボンスプール43と共に回転することで、インクリボン8はリボンロール33から繰り出される。
【0038】
支持孔78は、ケース70を上下方向に貫通し、リボン巻取スプール45を回転可能に支持する。リボン巻取スプール45は、使用済みのインクリボン8が巻かれたリボン巻取ロール35が設けられる。リボン巻取ロール35が上下方向を軸方向としてリボン巻取スプール45と共に回転することで、インクリボン8は、リボン巻取ロール35に巻き取られる。
【0039】
排出部73は、ケース70の左端部且つ前端部である。排出部73は、前後方向に開口し、テープ10を切断ユニット100に向けて排出可能である。ガイド150は、排出部73に設けられる。ガイド150の構成の詳細は後述する。
【0040】
ケース70には、ヘッド開口71が設けられる。ヘッド開口71は、サーマルヘッド60が挿入可能な開口部であり、ケース70の左部を上下方向に貫通する。ケース70のうちヘッド開口71の左側で前後方向に延びる部位は、アーム部67である。アーム部67の前端には、第1テープガイド81(図3参照)が設けられる。第1テープガイド81は、左側から順に配置される透明フィルムテープ51とインクリボン8が排出される開口部である。第1テープガイド81から排出される透明フィルムテープ51とインクリボン8はヘッド開口71を通過し、カセット7に設けられた第2テープガイド82に至る。第2テープガイド82は、ヘッド開口71とテープ駆動ローラ72との間に設けられた開口部である。第2テープガイド82とテープ駆動ローラ72との間となるケース70の内部において、インクリボン8は、透明フィルムテープ51から右方に向けて分離して、リボン巻取ロール35に接続される。以下、インクリボン8が透明フィルムテープ51から分離する位置を、「剥離位置P2」という。剥離位置P2は、第2テープガイド82とテープ駆動ローラ72との間にある。
【0041】
剥離位置P2よりも前側にある透明フィルムテープ51は、テープ駆動ローラ72と接続して、両面粘着テープ52の左端面に重ね合わせられる。カセット7が装着部6に装着されたとき、両面粘着テープ52と透明フィルムテープ51は、テープ駆動ローラ72と搬送ローラ66との間で挟まれて、互いに貼り合わせられる。以下、両面粘着テープ52と透明フィルムテープ51が互いに貼り合わせられる位置を「貼付位置P3」といい、両面粘着テープ52と透明フィルムテープ51を総称するとき、「テープ10」ともいう。本例のカセット7では、両面粘着テープ52の剛性は、透明フィルムテープ51の剛性よりも大きい。テープ10の剛性は、テープ10を構成する素材によって変動するだけでなく、幅寸法、厚さ寸法、及び外表面における凹凸の有無などテープ10の形状によっても変動する。
【0042】
上述した駆動モータと排出モータ299の駆動に伴って、プラテンローラ65、テープ駆動ローラ72、搬送ローラ66、第1ローラ210、及び第2ローラ220は、テープ10とインクリボン8を搬送することが可能である。以下、第1テープガイド81から排出口11までの間においてテープ10が搬送される方向を「搬送方向」という。搬送方向は略前後方向であり、搬送方向の上流は後方向であり、搬送方向の下流は前方向である。
【0043】
図3を参照し、第1直線L11、第2直線L12、及び第3直線L13を定義する。第1直線L11は、第1テープガイド81と第2テープガイド82を結ぶ。第2直線L12は、貼付位置P3と、排出口11の右端である一端11Aとを結ぶ。なお、一端11Aは、貼付位置P3よりも僅かに右側となる左右方向位置にある。従って、第2直線L12は、前後方向に対して僅かに傾斜する。第3直線L13は、印刷位置P1と剥離位置P2とを結ぶ直線であり、一例として略前後方向に延びる。
【0044】
図4図5を参照し、カセット7のガイド150の構成を説明する。ガイド150は、テープ10を搬送するテープ搬送経路の排出部73に設けられ、テープ10を搬送方向の下流にガイドする。ここで、「テープ搬送経路」とは、テープ10が搬送される第1テープガイド81、第2テープガイド82、排出部73を含む概念である。また、「ガイドする」とは、搬送される対象物(本例ではテープ10)が、所定領域から外れないように規制する概念と、対象物に積極的に接触させて変形させる概念とを含む。なお、図5において、搬送されるテープ10は、両面粘着テープ52と、両面粘着テープ52の粘着面に貼り付けられた透明フィルムテープ51とからなる。また、透明フィルムテープ51の幅方向の長さ(以下、「テープ幅」ともいう。)は、巻回された状態において、両面粘着テープ52の幅方向のテープ幅の長さよりも僅かに幅が広い(図5参照)。
【0045】
ガイド150は、基台155、基台突出部165、一対の延接部157、及び一対の突出部159を備える。基台155は上下方向に延び、カセット7の排出部73の左側に設けられる。基台突出部165は、基台155の上下方向略中央部から左方に向けて突出する。基台突出部165は第1領域161とテーパ166を含む。
【0046】
第1領域161は、基台突出部165の左端面であり、平面状に形成される。第1領域161はテープ10の片面に接触可能である。以下、第1領域161と接触するテープ10の一方の片面を「第1面10A」といい、第1面10Aの反対の面となるテープ10の他方の片面を「第2面10B」という。本例では、第1面10Aはテープ10の右面(即ち、両面粘着テープ52の右面)であり、第2面10Bはテープ10の左面(即ち、透明フィルムテープ51の左面)である。
【0047】
テーパ166は、第1領域161の搬送方向の上流端161Aと接続して設けられ、搬送方向の下流に向かうに従い左方向に向かう。テーパ166は、第1面10Aと接触可能であり、テープ10を第1領域161にガイド可能である。
【0048】
一対の延接部157はそれぞれ、基台155の上下方向両端から左方に向けて延びる。一対の延接部157は、ヘッド開口71よりも前後方向の下流、且つテープ10の排出部73に配置される。一対の延接部157のうち、互いに近接する方向のそれぞれの端面は、平面状に形成された一対のガイド領域154である。一対のガイド領域154は、テープ10の幅方向(即ち上下方向)の両端をガイドする。
【0049】
一対のガイド領域154の上下方向における最短距離(図5の距離M)は、第1テープロール31にある場合の透明フィルムテープ51の幅方向(即ち上下方向)のテープ幅よりも僅かに短い。これにより、テープ10は、ガイド150内で、左右方向の何れかの方向に湾曲する。また、基台突出部165は、左方向に突出している。これにより、テープ10は、ガイド150内で、平面視で左方に向けて凸になるように湾曲する。故に、テープ10がガイド150内で、左方に凸となる方向が湾曲方向と規定される。
【0050】
一対の突出部159はそれぞれ、一対の延接部157の左端から、互いに近づく方向へ突出する。一対の突出部159は、基台突出部165に対して上下方向の外側となる位置に設けられ、空間169を間にして並ぶ。即ち、一対の突出部159は、上下方向に離間した位置に配置されている。空間169は、第1領域161が向く方向である左方向に向けて開放されている。
【0051】
以下、上方にある突出部159の右端面を「第2領域162」といい、下方にある突出部159の右端面を「第3領域163」という。第2領域162と第3領域163は、テープ10の第2面10Bに接触可能な平面であり、互いに略同じ左右方向位置にある。第2領域162は上方にあるガイド領域154と接続し、第3領域163は下方にあるガイド領域154と接続する。換言すると、第2領域162は第1領域161よりも上方となる上下位置にあり、第3領域163は第1領域161よりも下方となる上下位置にある。また、第2領域162と第3領域163は、第1領域161よりも左方向に位置する。換言すると、第1領域161が第2領域162と第3領域163のそれぞれよりも右方向のずれた位置に位置するように、ガイド150は構成されている。
【0052】
ガイド150にあるテープ10の厚さ方向は左右方向である。左右方向における第1領域161と第2領域162との距離である第1距離(寸法L1に該当)と、左右方向における第1領域161と第3領域163の距離である第2距離(寸法L2に該当)は、互いに実質的に同じである。本実施形態では、第1距離と第2距離は、例えば、1mmである。第1距離と第2距離は、適宜変更してよい。
【0053】
第1領域161は、搬送方向において、第2領域162と第3領域163に含まれる。本例では、第1領域161の上流端161Aは、第2領域162と第3領域163のそれぞれの上流端162A,163Aよりも前側(即ち搬送方向の下流)に位置する。また、排出部73が配置される前後方向位置において、第1領域161は第1直線L11と第2直線L12よりも左方に位置し(図3参照)、第3直線L13よりも右方に位置する(図3参照)。
【0054】
図1図3図5を参照し、印刷装置1によって印刷が行われる手順を説明する。カバー3が開かれた状態では、プラテンホルダ63は離隔位置にある。この状態で、ユーザが装着部6にカセット7を装着すると、リボン巻取スプール45にリボン巻取軸62が挿入される。同時に、テープ駆動ローラ72にテープ駆動軸61が挿入され、ヘッド開口71にヘッドホルダ69が挿入される。テープ10とインクリボン8は、上下方向を幅方向とする姿勢で配置される。
【0055】
カバー3が閉じられると、プラテンホルダ63が離隔位置から近接位置まで揺動する。これにより、プラテンローラ65は、インクリボン8と透明フィルムテープ51を重ね合わせてサーマルヘッド60に押圧する。搬送ローラ66は、両面粘着テープ52と透明フィルムテープ51をテープ駆動ローラ72に押圧する。
【0056】
印刷装置1は駆動モータを駆動する。駆動モータの駆動に伴って、テープ駆動軸61、プラテンローラ65、及びリボン巻取軸62は回転駆動する。テープ駆動ローラ72はテープ駆動軸61と共に回転駆動し、搬送ローラ66はテープ駆動ローラ72に追従して回転する。これにより、印刷装置1は、両面粘着テープ52、透明フィルムテープ51、及びインクリボン8を搬送する。両面粘着テープ52は、第2テープロール32から繰り出される。また、透明フィルムテープ51は第1テープロール31から繰り出される。同時に、インクリボン8は、リボンロール33から繰り出される。繰り出された透明フィルムテープ51とインクリボン8は、駆動モータの駆動に伴って、第1テープガイド81から排出されて印刷位置P1に向かう。
【0057】
印刷装置1はサーマルヘッド60を発熱させることで、インクリボン8に含まれるインクを透明フィルムテープ51に転写する。これにより、印刷位置P1にある透明フィルムテープ51にキャラクタが印刷される。キャラクタは、文字、図形、数字、及び記号等である。透明フィルムテープ51と使用済みのインクリボン8は、プラテンローラ65とリボン巻取軸62の回転によって、第2テープガイド82に向けて搬送される。第2テープガイド82に進入したインクリボン8が剥離位置P2において透明フィルムテープ51から分離することで、インクリボン8に含まれていたインクはインクリボン8から剥離する。剥離位置P2を通過した使用済みのインクリボン8は、リボン巻取軸62と共に回転するリボン巻取ロール35によって巻き取られる。剥離位置P2を通過した印刷済みの透明フィルムテープ51は、搬送ローラ66とテープ駆動ローラ72との回転によって第2テープガイド82に向かう。
【0058】
第2テープガイド82を通過した透明フィルムテープ51は、貼付位置P3において、両面粘着テープ52の片面と貼り付けられる。これにより、貼付位置P3においてテープ10が形成される。テープ10は排出部73に搬送される。
【0059】
排出部73に到達するテープ10は、ガイド150のテーパ166(図4参照)によって、搬送方向の下流且つ左方にガイドされ、空間169に到達する。このとき、テープ10の第1面10Aは、第1領域161と接触する。第2面10Bは、第2領域162と第3領域163のそれぞれにより左方向への移動を規制される。
【0060】
ここで、第1テープスプール41において巻回された透明フィルムテープ51の上下方向における長さ(即ち、テープ10のテープ幅)は、一対のガイド領域154の距離Mよりも短い。故に、テープ10の両端は、一対のガイド領域154とそれぞれ接触して、上下方向の位置を規制される。即ち、テープ10は、ガイド150における上下方向の中央位置を通過する。
【0061】
また、テープ10は、一対のガイド領域154により左右方向における位置を規制された状態で、テーパ166及び第1領域161に接触する。これにより、テープ10は、左方向(即ち湾曲方向)に向けて湾曲した形状となる。即ち、テープ10は、一対の延接部157において、両面粘着テープ52と透明フィルムテープ51とが重なった状態で、透明フィルムテープ51側に向けて凸形状となっている(図5参照)。
【0062】
透明フィルムテープ51と両面粘着テープ52は、当初、支持孔75,76にそれぞれ巻回された状態で保持されている。従って、透明フィルムテープ51と両面粘着テープ52が互いに貼り合わされた状態のとき、巻回されていたときの姿勢に戻ろうとする力がテープ10に作用する。換言すると、搬送方向の下流に向かうに従いテープ10の厚さ方向の一方側に向かう湾曲した状態(以下、カールという)をテープ10において生じさせようとする力が発生する。具体的には、透明フィルムテープ51が巻回されていたときの姿勢に戻ろうとすることで、搬送方向の下流に向かうに従い右方向に向かう第1の力がテープ10に作用する(図4の矢印C1)。一方、両面粘着テープ52が巻回されていたときの姿勢に戻ろうとすることで、搬送方向の下流に向かうに従い左方向に向かう第2の力がテープ10に作用する(図4の矢印C2)。両面粘着テープ52の剛性が透明フィルムテープ51の剛性よりも大きいので、第2の力は第1の力よりも大きい。故に、本例では、テープ10は、矢印C2方向にカールしようとする。即ち、第2面10Bを内側面とするカールがテープ10に生じうる。本実施形態では、ガイド150においてテープ10が湾曲方向に向けて凸形状となるので、カセット7は、ガイド150にあるテープ10のカールを矯正して、前後方向と略平行な姿勢にできる。
【0063】
排出部73を通過したテープ10は、切断ユニット100を経由して、排出ユニット200の第1ローラ210と第2ローラ220の間に進入する。排出ユニット200は、排出モータ299の駆動により、テープ10を排出口11に向けて排出する。駆動モータと排出モータ299が駆動を停止した後、印刷装置1は切断モータ105を駆動する。これにより、切断ユニット100はテープ10を切断する。ユーザは、印刷済みのテープ10を取り出すことができる。
【0064】
以上説明したように、カセット7は、第1テープロール31、テープ搬送経路、及び一対の延接部157を備える。第1テープロール31は、テープ10が巻回され、上下方向に延びる軸心周りに回転可能である。テープ搬送経路は、第1テープガイド81、第2テープガイド82、排出部73を含み、テープ10を上下方向と直交する搬送方向(前後方向)に搬送する。一対の延接部157は、テープ搬送経路の排出部73に設けられ、一対のガイド領域154を備える。下方にある延接部157のガイド領域154は、下方にあるテープ10の一端をガイドする。上方にある延接部157のガイド領域154は、テープ搬送経路に設けられ、上方におけるテープ10の他端をガイドする。一対のガイド領域154の上下方向における距離Mは、透明フィルムテープ51の第1テープロール31におけるテープ幅よりも短い。
【0065】
上記構成によれば、下方にある延接部157のガイド領域154と、上方にある延接部157のガイド領域154との上下方向における距離Mは、テープ10の第1テープロール31におけるテープ幅よりも短い。従って、テープ10は、下方にあるガイド領域154と上方にあるガイド領域154との間で、巻癖に抗って湾曲した状態で、ガイドされる。故に、カセット7は、テープ10の巻癖を矯正した状態で排出することができる。更に、排出部73においてテープ10が湾曲方向に向けて凸となるように突出するので、テープ10の巻癖が矯正される。従って、排出部73から排出されるテープ10は、前後方向に対して略平行となる姿勢になり易い。よって、ガイド150は、テープ10を安定的に滞りなくガイドできる。
【0066】
下方にある突出部159は、テープ搬送経路の排出部73に設けられ、テープ10の表面をガイドする。下方にある突出部159と基台突出部165とは、左右方向にずれた位置にある。故に、下方にある突出部159と基台突出部165とは、左右方向にずれた位置にあるので、湾曲したテープ10が突出部159に接触しにくい。故に、カセット7は、テープ10の湾曲の程度をコントロールしやすい。
【0067】
一対の突出部159は、テープ搬送経路の排出部73に設けられ、テープ10の表面をガイドする。下方にある突出部159と上方にある突出部159とは、上下方向に離間して設けられる。一対の突出部159は、離間して設けられるので、湾曲したテープ10が接触しにくい。従って、カセット7は、湾曲したテープ10の形状を維持しやすい。
【0068】
テープ10は、両面粘着テープ52と透明フィルムテープ51からなる。両面粘着テープ52は、粘着面を有する。透明フィルムテープ51は、粘着面に貼り付けられ、両面粘着テープ52よりもテープ幅が広い。カセット7では、排出部73において異物が飛散する場合があるが、テープ10の片側の粘着面は、透明フィルムテープ51で覆われている。これにより、カセット7は、粘着面を有した両面粘着テープ52に異物が付着するのを防止しつつ、テープ10を適切に排出できる。
【0069】
テープ10は、一対の延接部157において、両面粘着テープ52と透明フィルムテープ51とが重なった状態で、透明フィルムテープ51側に向けて凸形状となる。カセット7では、排出部73において異物が飛散する場合があるが、テープ10の片側の粘着面は、透明フィルムテープ51で覆われている。これにより、カセット7は、透明フィルムテープ側に向けて凸形状となったテープ10を適切に排出できる。
【0070】
一対の延接部157は、ヘッド開口71よりも前後方向の下流に位置する。カセット7は、ヘッド開口71よりも前後方向の下流側で、テープ10を適切に排出できる。
【0071】
また、一対の延接部157は、テープ10の排出部73に配置される。カセット7は、排出部73においてテープ10を適切に排出できる。
【0072】
テーパ166は、搬送方向において、基台突出部165の第1領域161の上流端161Aと接続して設けられる。また、テーパ166は、搬送方向の下流に向かうに従い、左右方向におけるテープ10の第1面10Aからテープ10の第2面10Bへ向かう。カセット7がテーパ166を備えるので、テープ10はガイドされ易い。
【0073】
テープ10の第2面10Bは、テープ10のカールの内側面となる。一対の突出部159がテープ10のカールの内側面に接触するので、カセット7は、排出されるテープ10のカールを矯正し易い。
【0074】
両透明フィルムテープ51は、第1テープスプール41から繰り出される。また、両面粘着テープ52は、第2テープスプール42から繰り出される。両面粘着テープ52は、第1テープスプール41から繰り出された両透明フィルムテープ51と重なる。テープ10の第2面10Bは、透明フィルムテープ51と両面粘着テープ52のうちで、剛性が小さい方のテープ10の外面である。テープ10の第2面10Bがカールの内側面となるようにテープ10がカールしたときであっても、少なくとも一対の延接部157によりガイドされるので、カセット7はテープ10のカールを抑制できる。
【0075】
一対の延接部157のガイド領域154は、テープ10の上下方向の両端とそれぞれ接触する。また、一対の延接部157は、一対の突出部159にそれぞれに接続する。一対の延接部157がテープ10の上下方向の両端と接触した状態で、一対の突出部159と共にテープ10をガイドするので、カセット7は、テープ10を適切に排出することができる。
【0076】
一対の延接部157の第2領域162と第3領域163は、下方のガイド領域154と上方のガイド領域154との間に搬送されたテープ10の第1面10Aから第2面10Bへの第1領域161が向く方向へ開放された空間169を間にして並ぶ。テープ10は、空間169を介して一対の突出部159にガイドされ易い。
【0077】
上記実施例において、排出部73、第1テープガイド81、第2テープガイド82は、本発明の「テープ搬送経路」の一例である。下方にある延接部157は、本発明の「第1ガイド部材」の一例である。上方にある延接部157は、本発明の「第2ガイド部材」の一例である。下方にあるガイド領域154は、本発明の「第1端面」の一例である。上方にあるガイド領域154は、本発明の「第2端面」の一例である。基台突出部165は、本発明の「第3ガイド部材」の一例である。第1面10Aは、本発明の「テープの裏面」の一例である。第2面10Bは、本発明の「テープの表面」の一例である。上下方向は、本発明の「第1方向」の一例である。前後方向は、本発明の「第2方向」の一例である。
【0078】
下方にある突出部159は、本発明の「第4ガイド部材」の一例である。左右方向は、本発明の「第3方向」の一例である。上方にある突出部159は、本発明の「第5ガイド部材」の一例である。両面粘着テープ52は、本発明の「粘着テープ」の一例である。透明フィルムテープ51は、本発明の「幅広テープ」の一例である。第2面10Bは、本発明の「内側面」の一例である。第2テープスプール42は、本発明の「テープスプール」の一例である。第1テープスプール41は、本発明の「特定テープスプール」の一例である。
【0079】
本発明は上記実施例に限定されない。カセット7は、ラミネートタイプに代えて、レセプタタイプ又はサーマルヘッドタイプ等であってもよい。例えば、レセプタタイプのカセット(以下、第1カセットという)では、支持孔75が支持する第1テープスプール41においてレセプタテープ(以下、テープ12という)が巻かれ、支持孔76は第2テープスプール42を支持せず、支持孔77はリボンスプール43を支持する。サーマルタイプのカセットでは、支持孔75が支持する第1テープスプール41において感熱テープ又はステンシルテープが巻かれ、支持孔76は第2テープスプール42を支持せず、支持孔77はリボンスプール43を支持しない。
【0080】
透明フィルムテープ51の剛性は両面粘着テープ52の剛性よりも強くてもよい。この場合、テープ10は、排出部73よりも前側において、搬送方向の下流に向かうに従い右側に向けてカールする。排出部73は、テープ駆動ローラ72よりも搬送方向の下流に設けられる代わりに、搬送方向の上流に設けられてもよく、例えば、第2テープガイド82に設けられてもよい。この場合、ガイド150は第2テープガイド82に設けられる。
【0081】
また、ガイド150は、搬送経路の排出部73に設けられたが、第2テープガイド82から排出部73までの搬送経路に設けられてもよい。基台突出部165は、ガイド150の上下方向の中央部分から突出したがこれに限らない。例えば、基台突出部165は、左方向に凸な山なり形状でもよい。この場合、基台突出部165の上下方向における中央領域は、基台突出部165の上下方向における端部領域よりも、湾曲方向において、テープ10の第1面10Aからテープ10の表面に向かう側の高さが高ければよい。基台突出部165の中央領域は、端部領域よりも、左右方向において、テープ10の第1面10Aから表面に向かう側の高さが高い。従って、基台突出部165の中央領域は、テープ10の第1面10Aをガイドしやすい。
【0082】
基台突出部165の代わりに、テープ10の湾曲方向を規定する湾曲部材を備えてもよい。例えば、湾曲部材は、基台155の一部が左方向へ突出する形状であればよい。湾曲部材によりテープ10の湾曲方向を規定するので、カセット7は、テープ10の巻癖に抗ってテープ10をガイドできる。従って、カセット7は、テープ10を真っ直ぐに排出することができる。基台突出部165は、なくてもよい。この場合においても、ガイド領域154の距離Mが、テープ10のテープ幅よりも短ければ、テープ10は左右方向に湾曲可能である。これにより、テープ10は、巻癖に抗って湾曲した状態で、ガイドされる。故に、カセット7は、テープ10の巻癖を矯正した状態で排出することができる。
【0083】
図6を参照し、ガイド150の第1変形例であるガイド250を説明する。なお、説明済みの構成要素については、図面中で同じ符号を付与し、詳細な説明を省略する(後述の第2変形例、第3変形例、第4変形例においても同様である。)。
【0084】
ガイド250は、基台突出部165(図5参照)に代えて、基台突出部265を備える。基台突出部265は上下方向に延び、基台突出部265の左端面は平面状に形成された第1領域261である。第1領域261は、第2領域162、及び第3領域163よりも湾曲方向の反対方向(即ち右方向)にある。第1領域261は、全て、第2領域162と第3領域163よりも搬送方向の下流にある。換言すると、基台突出部265の少なくとも一部は、テープ10の搬送方向において、第2領域162と第3領域163のそれぞれに対して異なる位置にある。ガイド250はテーパ266を備える。テーパ266は、第1領域261の搬送方向の上流端に接続して設けられ、搬送方向の下流に向かうに従い、湾曲方向(即ち左方向)に向かう。
【0085】
第1変形例によれば、ガイド250と接触するテープ10の部位が搬送方向に長くなるので、ガイド250とテープ10との接触面積は増える。従って、カセット7は、テープ10をガイド250から更に外れにくくできる。故に、カセット7は、テープ10を適切に排出できる。
【0086】
図7を参照し、ガイド150の第2変形例であるガイド250Aを説明する。ガイド250Aの説明では、ガイド250との構成の違いを説明する。ガイド250Aは、基台突出部265(図6参照)に代えて、基台突出部265Aを備える。基台突出部265Aの左端面は、第1領域261Aである。第1領域261Aの後部は、第2領域162と第3領域163のそれぞれよりも、搬送方向の上流にあり、第1領域261Aの前部は、前後方向において第2領域162と第3領域163に含まれる。ガイド250Aは、テーパ266Aを備える。テーパ266Aは、第1領域261Aの搬送方向の上流端と接続して設けられ、搬送方向の下流に向かうに従い、湾曲方向(即ち左方)に向かう。
【0087】
第2変形例においては、第1領域261Aの後部は、第2領域162と第3領域163のそれぞれよりも搬送方向の上流にある。換言すると、基台突出部265Aの少なくとも一部は、テープ10の搬送方向において、第2領域162と第3領域163のそれぞれに対して異なる位置にある。この異なる位置は、第2領域162と第3領域163のそれぞれに対して搬送方向の上流となる位置である。テープ10が排出部73(図4参照)から外れた場合、ユーザは、テープ10を排出部73に再配置する必要がある。この場合であっても、テープ10の搬送方向の下流端は、はじめに、テーパ266Aと接触し、次いで第1領域261Aに順に接触し易い。これにより、テープ10は、第2領域162と第3領域163にガイドされ易い。よって、排出部73から外れたテープ10は、排出部73に再び配置され易い。よって、テープ10は、適切に排出され易い。
【0088】
図8を参照し、ガイド150の第3変形例であるガイド350を説明する。ガイド350は、排出部73(図4参照)に設けられる。ガイド350では、例えば上述の第1カセットが保持するテープ12をガイドする。
【0089】
ガイド350は、基台355、基台突出部365、一対の延接部357、及び一対の突出部359を備える。基台355は、上下方向に延びる。基台突出部365は、基台355の上下方向略中央部から右方に向けて突出する。基台突出部365の右端面は、平面状に形成された第1領域361である。一対の延接部357は、基台355の上下方向の両端部から右方に延びる。一対の延接部357のうち、互いに近接する方向のそれぞれの端面は、平面状に形成されたガイド領域364である。
【0090】
一対の突出部359は、それぞれ、一対の延接部357から互いに近接する方向へ突出する。上方にある突出部359の左端面は、第2領域362であり、下方にある突出部359の左端面は、第3領域363である。第2領域362と第3領域363は、いずれも平面状に形成される。第1領域361は、第2領域362と第3領域363のそれぞれよりも、上下方向において左方にある。
【0091】
第3変形例において、テープ12の幅方向(即ち上下方向)の両端は、ガイド領域364によりガイドされる。第1領域361と接触するテープ12の片面である第1面12Aはテープ12の左端面である。なお、第3変形例では、ガイド350において第1面12Aから第2面12Bに向かう湾曲方向は、右方向である。また、第2領域362と第3領域363のそれぞれに接触するテープ12の他方の片面である第2面12Bはテープ12の右端面である。第2面12Bは、第2領域362と第3領域363のそれぞれに接触することで、右方への移動を規制される。
【0092】
第3変形例において、テープ12の第2面12Bは、印刷装置1のサーマルヘッド60による印刷がなされる対象となる面である。テープ12の第2面12Bは、上方にある突出部359の第2領域362と、下方にある突出部359の第3領域363との双方に接触しにくい。よって、第1カセットは、テープ12の第2面12Bに印刷されるキャラクタのカスレを抑制できる。
【0093】
図9を参照し、ガイド150の第4変形例であるガイド450を説明する。ガイド450は、図5における基台突出部165の代わりに、一対の基台突出部465を備える点で異なる。一対の基台突出部465は、基台155の中央から等間隔の距離だけ離間した位置から左方に突出している。一対の基台突出部465は、それぞれ、左側の面に第1領域461を備える。第1領域461は、それぞれ左右方向において略同じ高さ位置にある。また、上方にある第1領域461は、左右方向において、第2領域162の右方に位置し、下方にある第1領域461は、第3領域163の右方に位置する。
【0094】
テープ10の第2面10Bは、一対の基台突出部465の第1領域461に接触してガイドされる。従って、第4変形例では、ガイド450において第1面10Aから第2面10Bに向かう湾曲方向は、左方向である。また、テープ10の両端は、一対の延接部157のガイド領域154に接触してガイドされる。これにより、ガイド450は、テープ10を湾曲方向に湾曲させることで、テープ10の巻癖に抗ってテープ10を排出口11に向けて、真っ直ぐに排出できる。なお、一対の基台突出部465は、一対ではなく、3以上の突出部で構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 印刷装置
10、12 テープ
10A、12A 第1面
10B、12B 第2面
31 第1テープロール
41 第1テープスプール
42 第2テープスプール
51 透明フィルムテープ
52 両面粘着テープ
71 ヘッド開口
73 排出部
157、357 一対の延接部
154、364 ガイド領域
161、261、261A、361、461A 第1領域
159、359 一対の突出部
162、362 第2領域
163、363 第3領域
165、265、265A、365、465 基台突出部
166、266、266A テーパ
169 空間
M 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9