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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】音響ベクトルセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01H 3/12 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
G01H3/12
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022559312
(86)(22)【出願日】2021-02-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-14
(86)【国際出願番号】 US2021017243
(87)【国際公開番号】W WO2021206798
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-09-28
(31)【優先権主張番号】16/844,343
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520435267
【氏名又は名称】レイセオン ビービーエヌ テクノロジーズ コープ
【氏名又は名称原語表記】RAYTHEON BBN TECHNOLOGIES CORP.
【住所又は居所原語表記】10 Moulton Street Cambridge Massachusetts 02138 US
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ,ジェイムソン,ジョン
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第89/011636(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0033062(US,A1)
【文献】米国特許第04585282(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0244492(US,A1)
【文献】中国実用新案第200962056(CN,Y)
【文献】国際公開第2004/030198(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00-17/00
H04R 1/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体媒質内で磁場を夫々生成する複数のソレノイドを有する非接触支持構造体と、
前記非接触支持構造体によって前記流体媒質内で浮かされている対象物であり、前記対象物及び前記非接触支持構造体は、前記対象物が音波による前記流体媒質の如何なる乱れにも応答して動くように構成され、前記複数のソレノイドが3対のソレノイドを有し、ソレノイドの各対が1つのデカルト座標軸に沿って配置され、前記対象物がソレノイドの対の間の原点に配置される、前記対象物と、
前記対象物の動きを測定する測定デバイスと、
前記対象物の前記測定された動きに基づき前記音波の音響強度ベクトルを決定する処理デバイスと、
駆動信号により前記複数のソレノイドを駆動する励起デバイスであり、前記対象物の位置の如何なる変化にも対抗する磁気井戸が前記原点で現れるAC場が前記3対の夫々の対になったソレノイド間に生成されるように、前記対に成ったソレノイドを、互いに位相がずれている電流駆動信号により駆動するよう構成される前記励起デバイスと
を有し、
前記対象物内で、前記AC場により、前記複数のソレノイドによって生成された前記磁場に対抗する磁場を生じさせる電流が発生するように、前記対象物は導電性だが非強磁性の材料から成る、音響ベクトルセンサ(AVS)。
【請求項2】
前記測定デバイスは、ソレノイドの各対の各ソレノイドから離れる前記対象物の如何なる測定された動きにも基づき前記対象物での圧力の増大を決定し、あるいは、ソレノイドの各対の各ソレノイドの方への前記対象物の如何なる測定された動きにも基づき前記対象物での圧力の低減を決定し、それによって前記対象物での圧力変化を電気的に測定する、
請求項1に記載のAVS。
【請求項3】
前記測定デバイスは、前記対象物の如何なる動きによっても起こるソレノイドの各対での前記駆動信号の駆動電圧のエンベロープの如何なる変化も測定することによってインダクタンスの如何なる変化も決定し、それによって、前記対象物の動きを電気的に変換する、
請求項1に記載のAVS。
【請求項4】
各ソレノイド又はソレノイドの各対は、LC回路を設けるようキャパシタと対にされ、
前記測定デバイスは、前記対象物の如何なる動きによっても起こるソレノイドの各対での前記駆動信号の周波数の変化を測定することによってインダクタンスの変化を測定し、それによって前記対象物の動きを電気的に変換する、
請求項1に記載のAVS。
【請求項5】
前記処理デバイスは、前記インダクタンスの如何なる変化にも基づいて前記対象物の3次元の動きを決定し、前記対象物の前記決定された3次元の動きから前記音波の前記音響強度ベクトルを決定する、
請求項4に記載のAVS。
【請求項6】
前記対象物は、導電性の非鉄材料で被覆される、
請求項1に記載のAVS。
【請求項7】
前記対象物は球である、
請求項6に記載のAVS。
【請求項8】
前記対象物は、検出される音波の最高周波数の波長よりも小さいサイズを有する、
請求項6に記載のAVS。
【請求項9】
前記対象物は中空の物体である、
請求項6に記載のAVS。
【請求項10】
前記非接触支持構造体は前記磁場を有する、
請求項1に記載のAVS。
【請求項11】
前記測定デバイスは、電磁場検出デバイスを有する、
請求項1に記載のAVS。
【請求項12】
音波の音響強度ベクトルを決定する方法であって、
対象物の各デカルト座標軸上に置かれた少なくとも1つのソレノイドを有する磁気非接触支持構造体により流体媒質内で前記対象物を浮かせることであり、3対のソレノイドを設けることを有し、ソレノイドの各対は1つのデカルト座標軸に沿って配置され、前記対象物はソレノイドの対の間の原点に配置される、ことと、
前記流体媒質内で前記対象物を浮かせるよう磁場が供給されるように、かつ、前記対象物が音波による前記流体媒質の如何なる乱れにも応答して動くよう構成されるように、前記少なくとも1つのソレノイドを駆動することと、
前記音波による前記対象物の如何なる乱れも測定することと、
前記対象物の如何なる乱れの前記測定にも基づいて、処理デバイスにより前記音波の音響強度ベクトルを決定することと、
前記対象物の位置の如何なる変化にも対抗する磁気井戸が前記原点で現れるAC場が前記3対の夫々の対になったソレノイド間に生成されるように、前記対に成ったソレノイドを、互いに位相がずれている電流駆動信号により駆動して、非強磁性の導電性材料から成る前記対象物内で、前記AC場により、前記少なくとも1つのソレノイドの駆動に供給される前記磁場に対抗する磁場を生じさせる電流を発生させることと
を有する方法。
【請求項13】
前記対象物の如何なる乱れも測定することは、前記対象物の如何なる動きによっても起こるソレノイドの各対での前記駆動信号の駆動電圧のエンベロープの如何なる変化も測定することによってインダクタンスの如何なる変化も決定し、それによって前記対象物の動きを電気的に変換することを有する、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
LC回路を設けるよう各ソレノイド又はソレノイドの各対をキャパシタと対にすることを更に有し、
前記対象物の如何なる乱れも測定することは、前記対象物の如何なる動きによっても起こる各ソレノイドでの前記駆動信号の周波数の変化を測定することによってインダクタンスの変化を測定し、それによって前記対象物の動きを電気的に変換することを有する、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ソレノイドの各対の各ソレノイドから離れる前記対象物の如何なる測定された動きにも基づき前記対象物での圧力の増大を決定し、あるいは、ソレノイドの各対の各ソレノイドの方への前記対象物の如何なる測定された動きにも基づき前記対象物での圧力の低減を決定し、それによって前記対象物での圧力変化を電気的に測定することを更に有する、
請求項12に記載の方法。
【請求項16】
測定される音波の最高周波数の波長よりも小さい形体サイズを有する前記対象物を設けることを更に有する、
請求項12に記載の方法。
【請求項17】
導電性の非鉄材料で被覆された前記対象物を設けることを更に有する、
請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、音響ベクトルセンサに概して関係があり、具体的には、非接触支持構造を備えている音響ベクトルセンサに関係がある。
【背景技術】
【0002】
音響又は音の強さは、音圧及び音響粒子速度の関数である。音場の音響強度ベクトルを測定する際には、瞬時音圧と、関心のある方向における瞬時音響粒子速度の成分とを決定する必要がある。これらの成分が知られると、音響強度ベクトルが計算可能である。
【0003】
音響ベクトルセンサは、音響強度ベクトルを測定又は推定するデバイスである。強度ベクトルを測定する方法は、媒質の粒子の圧力及び瞬時音響粒子速度ベクトルの両方を測定することである。圧力に速度ベクトルを乗じたものが音響強度ベクトルである。このベクトルは、単一の音響ベクトルセンサが、既知の圧力のみに基づいた検知システムで必要とされるセンサのアレイを使用せずに、音波の到来角度を決定できるようにする一義的な方向を有する。このようなセンサは‘PU’センサと呼ばれる。瞬時音響粒子速度を測定する多数の既知の装置がある。そのような装置の1つが図1に示されている。装置は、音響粒子による乱れに応答して自由に動くことができるように流体媒質内でデバイス14を迎合的につるす弾性マウント、すなわち、弾性バネ12を含む。デバイス14は、対象物の動きを測定する動き変換センサ16、18を含むか、あるいは、位置測定デバイスが対象物の外に位置付けられる。理想的には、圧力センサ20も、単一の場所で媒質をサンプリングするために、デバイス内の動き検知素子と一緒に配置される。速度ベクトルの各成分は、音響強度ベクトルの成分を取り出すよう別々に圧力を乗じられる。
【0004】
個々の速度ベクトル測定を数学的に重み付けすることによって、センサの応答は操作され得る。従来のビームフォーマは、重み付けされた成分速度で圧力を合計することによって構成され得る。例えば、単一の速度ベクトル成分を1によって、他を0によって数学的に重み付けすることによって、速度成分測定の方向にセンサの最大応答を向けることができ、180度反対にはヌルが向けられる。数学的なヌルは、大きい干渉信号を排除するために使用され得る。適切な内部センサと、取り付けハードウェアの適切な機械的特性とを仮定すると、速度センサは、波長が測度測定デバイスの直径の約1/4よりも大きい周波数に応答する(下記の非特許文献1)。
【0005】
下記の特許文献1には、センサフレーム構造、接触支持手段、及び浮遊対象物を含む音響速度マイクロホンの実施形態が開示されている。浮遊対象物は、接触支持手段によってセンサフレーム構造内でつるされる。浮遊対象物は、音波によって励起された空気の3次元的な動きを受ける。浮遊対象物が受ける3次元的な動きは、検出手段を用いて検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第8638956号
【非特許文献】
【0007】
【文献】C. B. Leslie, J. M. Kendall, and J. L. Jones,Hydrophone for Measuring Particle Velocity,The Journal of the Acoustical Society of America 28, 711 (1956)
【発明の概要】
【0008】
本開示の目的は、音響強度ベクトルをより正確に決定する方法及び装置の提供である。他の目的は、瞬時音響粒子速度ベクトル及び音圧が対象物で測定されるところの、音響強度ベクトルを決定するための方法及び装置の提供である。他の目的は、音響粒子速度ベクトル及び音圧を決定するために対象物の非接触支持構造を設ける方法及び装置の提供である。他の目的は、空間内の同じ点で音圧及び瞬時音響粒子速度ベクトルを決定する方法及び装置の提供である。これら及び他の目的は、発明の以下の説明から明らかになる。
【0009】
態様及び実施形態は、センサの対象物のための接触に基づいた機械的マウントの必要性を取り除く非接触支持構造を備えている音響ベクトルセンサを対象とする。態様及び実施形態は、動的及び電子的に調整されるようにセンサの対象物の支持力を与える非接触支持構造を対象とする。態様及び実施形態は、動きを変換するためにセンサを含まない音響ベクトルセンサを対象とする。態様及び実施形態は、対象物と一緒に配置された別個の圧力センサを必要とせずに粒子速度が測定される対象物の同じ位置で変換される圧力を供給する。
【0010】
音響ベクトルセンサ(Acoustic Vector Sensor,AVS)の実施形態は、非接触支持構造体によって流体媒質内で浮かされている対象物を含む。対象物及び非接触支持構造体は、音波による流体の如何なる乱れにも応答して対象物が動くように、構成される。非接触支持構造体は、流体媒質内で磁場を夫々生成する複数のソレノイドを有する。測定デバイスは対象物の動きを測定する。処理デバイスは、対象物の測定された動きに基づき音波の音響強度ベクトルを決定する。
【0011】
実施形態に従って、AVSは3組のソレノイドを有し、ソレノイドの各組は、その間の原点に対象物を配置されながら、1つのデカルト座標軸に沿って配置される。
【0012】
実施形態に従って、測定デバイスは、ソレノイドの各対の各ソレノイドから離れる対象物の如何なる測定された動きにも基づき対象物での圧力の低下を決定し、あるいは、ソレノイドの各対の各ソレノイドの方への対象物の如何なる測定された動きにも基づき対象物での圧力の低減を決定し、それによって対象物での圧力変化を電気的に測定する。
【0013】
実施形態に従って、AVSは、駆動信号により複数のソレノイドを駆動する励起デバイスを有し、励起デバイスは、原点での対象物の位置の如何なる変化にも対抗する磁気井戸が生成されるように、逆相電流駆動信号によりソレノイドの各対を駆動するよう構成される。
【0014】
実施形態に従って、測定デバイスは、対象物の如何なる動きによっても起こるソレノイドの各対での駆動信号の駆動電圧のエンベロープの如何なる変化も測定することによってインダクタンスの如何なる変化も決定し、それによって対象物の動きを電気的に変換する。
【0015】
実施形態に従って、各ソレノイド又はソレノイドの各対は、LC回路を設けるようキャパシタと対にされ、測定デバイスは、対象物の如何なる動きによっても起こるソレノイドの各対での駆動信号の周波数の変化を測定することによってインダクタンスの変化を測定し、それによって対象物の動きを電気的に変換する。実施形態に従って、処理デバイスは、インダクタンスの如何なる変化にも基づいて対象物の3次元の動きを決定し、対象物の決定された3次元の動きから音波の音響強度ベクトルを決定する。
【0016】
実施形態に従って、複数のソレノイドは、対象物の各デカルト座標軸に沿って配置された単一のソレノイドを有し、各ソレノイドが静的な場を供給する。実施形態に従って、測定デバイスは、各デカルト座標軸に沿って配置された単一のソレノイドから分離している少なくとも1つの非接触位置測定デバイスを有し、処理デバイスは、位置を測定し、各ソレノイドによって供給される静的な場の駆動レベルを調整して対象物を中心に保つ。
【0017】
実施形態に従って、対象物は、導電性の非鉄材料で被覆される。実施形態に従って、対象物は球である。実施形態に従って、対象物は、検出される音波の最高周波数の波長よりも小さいサイズを有する。実施形態に従って、対象物は中空の物体である。
【0018】
実施形態に従って、非接触支持構造体は磁場を有する。実施形態に従って、測定デバイスは電磁場検出デバイスを有する。
【0019】
音波の音響強度ベクトルを決定する方法の一実施形態は、対象物の各デカルト座標軸上に置かれた少なくとも1つのソレノイドを有する磁気非接触支持構造体により流体内で対象物を浮かせることと、流体媒質内で対象物を浮かせるよう磁場が供給されるように、かつ、対象物が音波による流体の如何なる乱れにも応答して動くよう構成されるように、少なくとも1つのソレノイドを駆動することとを有する。方法は、音波による対象物の如何なる乱れも測定することと、対象物の如何なる乱れの測定にも基づいて、処理デバイスにより音波の音響強度ベクトルを決定することとを更に有する。
【0020】
実施形態に従って、対象物を浮かせることは、3対のソレノイドを設けることであり、ソレノイドの各対が1つのデカルト座標軸に沿って配置され、対象物がソレノイドの対の間の原点に配置される、ことを有し、更には、ソレノイドの対の間で原点での対象物の位置の如何なる変化にも対抗する磁気井戸が生成されるように、ソレノイドの各対の各ソレノイドを逆相電流駆動信号により駆動することを有する。実施形態に従って、対象物の如何なる乱れも測定することは、対象物の如何なる動きによっても起こるソレノイドの各対での駆動信号の駆動電圧のエンベロープの如何なる変化も測定することによってインダクタンスの如何なる変化も決定し、それによって対象物の動きを電気的に変換することを有する。
【0021】
実施形態に従って、方法は、LC回路を設けるよう各ソレノイド又はソレノイドの各対をキャパシタと対にすることと、対象物の如何なる動きによっても起こる各ソレノイドでの駆動信号の周波数の変化を測定することによってインダクタンスの変化を測定し、それによって対象物の動きを電気的に変換することとを有する。
【0022】
実施形態に従って、対象物を浮かせることは、対象物の各デカルト座標軸に沿って配置された単一のソレノイドを設けることであり、各ソレノイドが静的な場を供給するよう構成される、ことと、各デカルト座標軸に沿って配置された単一のソレノイドから分離している少なくとも1つの非接触位置測定デバイスを設けることとを有する。実施形態に従って、各ソレノイドによって供給される静的な場の駆動レベルは、対象物を中心に保つ用調整される。
【0023】
実施形態に従って、方法は、ソレノイドの各対の各ソレノイドから離れる対象物の如何なる測定された動きにも基づき対象物での圧力の増大を決定し、あるいは、ソレノイドの各対の各ソレノイドの方への対象物の如何なる測定された動きにも基づき対象物での圧力の低減を決定し、それによって対象物での圧力変化を電気的に測定することを更に有する。
【0024】
実施形態に従って、対象物は、測定される音波の最高周波数の波長よりも小さい形体サイズを有して設けられる。実施形態に従って、対象物は、測定される最高周波数の波長の1/4である。実施形態に従って、対象物は、導電性の非鉄材料で被覆される。
【0025】
少なくとも1つの実施形態の様々な側面が、添付の図を参照して以下で説明される。図は、実寸通りに描かれることを意図されていない。図は、様々な態様及び実施形態の説明及び更なる理解をもたらすことを意図され、また、本明細書に組み込まれてその一部を構成するが、発明の限定の定義としては意図されていない。図中、様々な図で表されている夫々の同じ又はほぼ同じコンポーネントは、同じ数字で表されている。明りょうさのために、あらゆるコンポーネントがあらゆる図でラベル付けされているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】関連技術に従う音響ベクトルセンサを表す。
図2】態様及び実施形態に従って、磁場又は電磁場によって対象物を浮かせるフィールド図を表す。
図3】対象物を浮かせるための3次元の非接触支持構造の態様及び実施形態を表す。
図4】音響ベクトルセンサ測定システムの態様及び実施形態を表す。
図5】音響ベクトルセンサの態様及び実施形態を表す。
図6】音響強度ベクトルを決定する方法の態様及び実施形態を表す。
図7】音響強度ベクトルを決定する方法の他の実施形態を表す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
理解されるべきは、本明細書で説明されている方法及び装置の実施形態は、以下の説明で示されているか又は添付の図面に表されている構成の詳細及びコンポーネントの配置に適用を制限されない点である。方法及び装置は、他の実施形態で実施可能であり、様々な方法で実施又は実行されることが可能である。具体的な実施の例は、説明のためにのみ本明細書で与えられており、限定する意図はない。また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明のためであって、限定として見なされるべきではない。「含む」(including)、「有する」(comprising)、「持っている」(having)、「含む」(containing)、「伴う」(involving)、及びそれらの変形の本明細書での使用は、その前に挙げられているアイテム及びその同等物並びに追加のアイテムを包含することを意図されている。「又は」(or)への言及は、「又は」(or)を使用して記載されている如何なる項目も、記載されている項目のうちの1つの項目、1よりも多い項目、又は全部の項目のいずれかを示す可能性があるように、包括的(inclusive)として解釈され得る。前及び後ろ、左及び右、上及び下、上方及び下方、並びに垂直及び水平への言及は、説明の便宜を図るためのものであり、存在するシステム及び方法又はそれらのコンポーネントをいずれか1つの位置的又は空間的向きに限定するものではない。
【0028】
理解されるべきは、「流体」(fluid)との用語は、固体又は真空ではない任意の媒体である点である。特に、流体は、気体又は液体などの、固定形状を有さず、外部からの圧力に容易に屈する任意の物質である。
【0029】
本開示の態様及び実施形態は、音響粒子速度ベクトル及び圧力を決定するための対象物の如何なる接触支持構造も排除する方法及び装置を提供する。態様及び実施形態は、センサの対象物のための接触に基づいた機械的なマウントの必要性を取り除き、それによって、共鳴、減衰、周波数依存応答、などに関してセンサ性能に対する支持構造の影響を排除する非接触支持構造を備えている音響ベクトルセンサを対象とする。態様及び実施形態は、センサの対象物の支持力(磁気浮力)が動的及び電子的に調整されるように非接触支持構造を提供する。態様及び実施形態は、望まない音波方向に対応する追加の減衰力を供給することによって、干渉音響信号の存在下でセンサが使用される場合に、音響ベクトルセンサのアナログ-デジタルコンバータのダイナミックレンジのより良い使用を可能にする。
【0030】
態様及び実施形態は、動きを変換するためにセンサを含まず、それによって複雑なエレクトロニクスの必要性を排除する音響ベクトルセンサを対象とする。態様及び実施形態は、対象物の並置された重心(center of gravity)及び質量中心(center of mass)を達成するためにバラストを必要とせずに対称な対象物の使用を提供する。態様及び実施形態は、方向感度に影響を与えかつフローノイズを生成する、対象物から突出するワイヤの如何なる必要性も排除する。態様及び実施形態は、より高い周波数を変換することが可能であるように、寸法が小さい対象物を提供する。態様及び実施形態は、感度に直接関係がある対象物の密度をより容易に制御することを可能にする。
【0031】
態様及び実施形態は、音響ベクトルセンサの対象物と一緒に配置された別個の圧力センサを必要とせずに、粒子速度が測定されるのと同じ位置で圧力が変換されるようにする新規の圧力変換方法を提供する。態様及び実施形態は、遠隔の圧力センサの必要性を排除する。態様及び実施形態は、音響速度センサの基礎である対象物と圧力センサとの間の分離距離を最小限にする。
【0032】
PU音響ベクトルセンサについては、図1に関して先に説明された。接触タイプの、迎合的につるされた対象物を利用するPU種類の音響ベクトルセンサについては、サスペンション機構、つまり、弾性バネが、動きの周波数に基づいた減衰又は非一様な方向応答などの非理想性を測定に導入する。更に、センサ16、18、20を組み込まれている測定デバイス又は対象物については、電気ケーブルの突出及び重心及び浮力の不正確な位置から、更なる非理想性が導入される。
【0033】
本開示の態様及び実施形態は、接触に基づいたサスペンションが不要である、中立的に浮揚性のある磁気浮上物体を提供する。態様及び実施形態は、音波によって乱されない場合に静止位置に戻る磁気浮上物体を提供する。態様及び実施形態は、物体が磁気的に浮揚させられる磁場である非接触支持構造を提供する。
【0034】
図2を参照すると、y-z平面において、磁気浮上物体の非接触支持を説明する磁場図が表されている。磁気浮上物体22は、磁場(磁力線24によって表されている。)によって静止位置で支持されている。本明細書で開示されている態様及び実施形態に従って、磁場は少なくとも1つのソレノイドによって生成される。図2の実施形態では、2つのソレノイド26、28が表されており、各ソレノイドは、1つのデカルト座標軸(z軸)に沿って物体22の片側にある。各ソレノイドは、磁力線によって表されているように磁場を生成するようソースによって駆動される。態様及び実施形態に従って、ソレノイドは、駆動信号によりソレノイドの対を駆動する励起デバイスによって駆動され、励起デバイスは、磁気浮上物体の位置の如何なる変化にも対抗する磁気井戸がソレノイドの対の間にある中心で生成されるように、逆相電流駆動信号によりソレノイドの対を駆動するよう構成される。この配置によれば、磁気浮上物体は、周囲の粒子が音波によって乱される場合には、周囲の粒子とともに動き、また、磁気浮上物体は、周囲の粒子が音波によってもはや乱されない場合には、その固定(静止)位置に戻る。この非接触支持配置は、周囲の粒子の測定可能な動きによってその位置が乱されるようことを可能にするように磁気浮上物体を提供する。本明細書で説明されるように、この非接触支持を磁気浮上によって達成する多数の方法がある。更には、本明細書で説明されるように、多数の方法は、磁気浮上物体の動きを測定するために提供される。
【0035】
ソレノイドが磁気浮上物体22の両側に置かれている図2の実施形態については、物体は導電性であるが鉄ではなく、ソレノイドの対は、交流によりソースによって駆動され、各ソレノイドは、その相補ソレノイドと位相がずれて駆動される。この構成は、ソレノイドの間の中心点から全ての方向で増大している、磁力線によって表されているような磁場を生成する。AC場は、磁気浮上物体内で電流を生成し、そして、それは、ソレノイドによって供給される印加場に対抗する磁場を生成する。磁気浮上物体によって生成されるこの斥力は、磁気浮上物体の静止位置を構造の(ソレノイドによって供給される磁場の)中心にする。更には、磁場の大きさは、生成される復元力の量と、音波が磁気浮上物体をその静止位置から移すことができる量とを制御する。この配置によれば、物体を浮かせる力は動的にかつ電子的に制御され得る。更には、コイルのインダクタンスは物体の位置及び動きとともに変化する。この配置によれば、磁気浮上物体の位置の変化に起因したインダクタンスの変化は、物体の動きを決定するために測定され得る。特に、各コイルでのインダクタンスの変化は、コイル対の軸に対応する単一の軸に沿った位置の変化に対応する。
【0036】
図3を参照すると、複数のソレノイド対26/28、30/32、及び34/36を含む実施形態が表されており、ソレノイドの各対又は組は1つのデカルト座標軸に沿って配置されており、磁気浮上物体はソレノイドの対の間の原点に配置される。この配置は、音響粒子速度ベクトルの複数の成分を変換するために使用され得る。コイル対26/28、30/32、及び34/36の夫々は、少なくとも1つのACソースからの駆動信号により駆動され、各ソレノイドは、その相補ソレノイドと位相がずれて駆動され、それにより、コイル対26/28、30/32、及び34/36の間の原点では、磁気浮上物体の位置の如何なる変化にも対抗する磁気井戸が生成される。測定デバイスは、同じ電流を生成するのに必要なソレノイドの各対での駆動信号の駆動電圧のエンベロープの如何なる変化も決定するために使用され得る。磁気浮上物体の如何なる動きによっても起こる駆動電圧の変化は、音波の影響下にある物体の動きを電気的に変換又は決定するために、各ソレノイド対で測定され得る。
【0037】
態様及び実施形態に従って、物体は、導電性だが非鉄の材料で被覆されている柔軟な材料から作られる。アルミニウムは、物体が柔軟である必要がない場合に物体が作られ得る材料の一例である。被覆は、柔軟な物体に堆積又はメッキされ得る任意の非鉄材料であることができる。1つの例示的な材料は亜鉛である。
【0038】
態様及び実施形態に従って、物体は球である。態様及び実施形態に従って、物体は、検出される音波の最高周波数の波長よりも小さいサイズを有する。検出される波長の1/4の直径又は最大形体サイズが適切である。音響周波数の典型的な範囲である10Hz~10kHzについては、許容される直径は、海水中の典型的な音響測定に基づき、約37.5メートルから3.75センチメートルの範囲になる。態様及び実施形態に従って、物体は中空の物体である。
【0039】
態様及び実施形態に従って、磁気浮上物体が音波の圧力場に置かれる場合に、物体は変形する。態様及び実施形態に従って、この変形は、磁気浮上物体での圧力を測定するために測定され得る。例えば、磁気浮上物体の変形は、測定デバイスによって、両方のソレノイドの方へ向かうか又はそれらから離れるかのどちらかである物体の動きとして見られる。これらの測定は、物体での圧力を決定するために使用され得る。
【0040】
態様及び実施形態に従って、ソレノイド対26/28、30/32、及び34/36の夫々は、LC共振器回路のインダクタ(コイル)として構成され得る。ソレノイド対の夫々は、LC回路を設けるようキャパシタと結合される。各ソレノイド対は、交流(AC)ソースからの位相を異とした信号によって駆動される。言い換えると、各ソレノイド対は、ソレノイド対の各ソレノイドによって生成された磁場がその反対のソレノイドとは位相が異なるように、LC共振器として構成される。この配置によれば、ソレノイドの共振周波数の如何なる変化も、ソレノイドインダクタンスの変化を表す。ソレノイドインダクタンスの変化は測定され、磁気浮上物体22の動きを決定するために使用され得る。このようにして、測定デバイスは、物体の如何なる動きによっても起こる各ソレノイド対での駆動信号の周波数の変化を測定することによって各ソレノイド対のインダクタンスの変化を測定し、それによって物体の動きを電気的に変換するために使用され得る。
【0041】
図4は、音響ベクトルセンサ測定システムの態様及び実施形態を表す。システムは、複数のソレノイド対26/28、30/32(図示せず。)、及び34/36を含み、ソレノイドの各対又は組は1つのデカルト座標軸に沿って配置されており、磁気浮上物体22はソレノイドの対の間の原点に配置される。システムの動作についてこれより説明する。入来する圧力波62は、検知対象物22を含め、周囲の粒子を振動させる。ソレノイド対は、対象物22を磁気的に浮揚させるよう信号64によって駆動され、信号64の如何なる変化も、対象物22の動きを変換するために測定される。ブロック66は、駆動信号68を増幅させて、ソレノイド対を駆動するよう信号64を供給する少なくとも1つ又はそれ以上の増幅器を有し、また、アナログ-デジタル及びデジタル-アナログコンバータ72へ供給されるソレノイド対からの検知信号70を供給する。アナログ-デジタル及びデジタル-アナログコンバータ72は、粒子運動を測定しかつ音響強度ベクトルを決定するために、デジタル化された信号70を、データを物体位置データに変換するよう処理するプロセッサ74へ供給する。プロセッサ74はまた、例えば、測定システムをビーム走査するために、情報を数学的に操作することもできる。処理デバイス74はまた、駆動信号68を供給するためにデジタル-アナログコンバータ72へ供給される低レベルのコイル駆動波形68も生成する。この配置によれば、音響粒子速度ベクトル及び圧力を決定するための対象物22の如何なる接触支持構造も排除する装置が提供される。この配置によれば、非接触支持構造は、センサの対象物のための接触に基づいた機械的なマウントの必要性を排除して、共振、減衰、周波数依存応答、などに関してセンサ性能に対する支持構造の影響を排除する。この配置によれば、非接触支持構造は、動的及び電子的に調整されるようセンサの対象物の支持力(磁気浮力)を供給する。この配置はまた、望まない音波方向に対応する追加の減衰力を供給することによって、干渉音響信号の存在下でセンサが使用される場合に、音響ベクトルセンサのアナログ-デジタルコンバータのダイナミックレンジのより良い使用ももたらす。この配置はまた、動きを変換するためにセンサを含まず、それによって複雑なエレクトロニクスの必要性を排除する音響ベクトルセンサシステムを提供する。この配置は、対象物の並置された重心及び質量中心を達成するためにバラストを必要とせずに、磁気的に浮揚させられた対称な対象物の使用を提供する。この配置はまた、方向感度に影響を与えかつフローノイズを生成する、対象物から突出するワイヤの如何なる必要性も排除する。この配置は、音波のより高い周波数を変換することが可能であるように、寸法が小さい対象物を提供する。この配置は、感度に直接関係がある対象物の密度をより容易に制御することを可能にする。
【0042】
代替的に、図5を参照すると、他の実施形態の断面図が表されている。対象物22の1つの側には各デカルト座標軸(図5には2つの座標軸しか表されていない。)上で1つのソレノイド40、42が設けられている。単一のソレノイドが対象物の各デカルト座標軸に沿って配置されている。各ソレノイドは直流(DC)電磁石として表されている。各ソレノイドは、静的な場を供給するようDCソースによって駆動される。また、DC電磁石ごとに別個の測定デバイスも表されている。この配置によれば、永久磁石の安定した浮揚構成がないので、別個の位置モニタデバイス44、46が対象物の位置を測定するために使用される。別個の測定デバイスは、各デカルト座標軸に沿って配置された単一のソレノイドから分離している少なくとも1つの非接触位置測定デバイスを有し、これは対象物の動きの如何なる変化も測定する。この配置によれば、各位置モニタデバイス44、46からの測定は音響速度を推定するために使用され得る。この配置によれば、各DC電磁石の強さは、対象物の位置を構造の中心に制約するために調整され得る。この配置によれば、プロセッサは、測定デバイスの夫々から測定された位置を受け取り、各ソレノイドによって供給される静的な場の駆動レベルを調整して物体を中心に保つ。
【0043】
例として、3つの直交配置されたレーザファイバ振動計が、対象物の動きの如何なる変化も測定するために使用され得る。測定はベクトル量であるから、音波の粒子速度のX、Y、Z成分が夫々測定され得るように、3組のレーザファイバ振動計が必要とされ得る。それでもなお、本明細書で開示される実施形態のいずれかについては、音波の粒子速度の測定の任意の次元を提供するために、1つ又は2つの測定デバイスしか使用されない可能性があることが理解される。この実施形態については、1つ又は2つの振動計が、粒子速度ベクトルの部分量を測定するために使用されてもよい。1つしかレーザファイバ振動計が使用されない場合には、単軸音響速度ベクトルセンサデバイスが形成される。2つのレーザファイバ振動計が使用される場合には、2軸音響速度ベクトルセンサデバイスが形成される。この配置については、対象物は鉄材料から作られる。
【0044】
本明細書で記載される磁気浮上物体は、2次元(2D)又は3次元(3D)指向性浮揚物体を提供するよう2Dアレイ又3Dアレイで配置され得ることも理解される。理解されるべきは、本明細書で開示される非接触支持構造及び測定デバイスの実施形態のいずれも、2D平面又は3Dアレイ空間内の音響伝播場が測定され得るように、2Dアレイ又は3Dアレイ乃至多次元(2D又は3D)アレイ形成で使用され得る点である。
【0045】
図6は、様々な実施形態に従って、音波の音響強度ベクトルを決定する方法50を示すフローチャートである。方法50のステップ52で、対象物が、本明細書で詳述されるように少なくとも1つのソレノイドを有する非接触支持構造体の実施形態のいずれかにより設けられる。方法50のステップ54で、支持構造の少なくとも1つのソレノイドが、磁場により対象物を浮かせるように駆動信号(AC,DC)のいずれかによって駆動される。方法50のステップ56で、音波の乱れに起因した対象物の動きによって起こる少なくとも1つのソレノイドでの如何なる信号変化も、本明細書で開示されるメソッドロジのいずれかに従って測定される。方法50のステップ58で、対象物での圧力が、本明細書で開示されるメソッドロジのいずれかを用いて、又は他のメソッドロジによって当業者に知られている他のデバイスにより、測定される。方法50のステップ58で、音響強度ベクトルが、本明細書で開示されるように、対象物の動きの測定及び圧力測定から導出又は決定される。
【0046】
図7は、様々な実施形態に従って、音波の音響強度ベクトルを決定する他の方法80を示すフローチャートである。方法80のステップ82で、少なくとも1つの波形が、非接触支持構造体の少なくとも1つのソレノイド又は少なくとも一対のソレノイドを駆動するよう生成される。波形は、磁場により対象物を浮かせる任意の駆動信号(AC、DC)であることができる。少なくとも1つのソレノイド又は少なくとも一対のソレノイドを駆動した結果として、方法80のステップ84で、対象物は磁場によって浮揚する。方法80のステップ86で、測定されるべき音響圧力波が対象物を乱す。方法80のステップ88で、対象物を浮かせる磁場の少なくとも1つの特性が、磁場による対象物の摂動及ぶ動きの結果として変化する。方法80のステップ90で、音波の乱れに起因した対象物の動きによって起こる如何なる信号変化も、本明細書で開示されるメソッドロジのいずれかに従って測定される。方法80のステップ92で、対象物での圧力が、本明細書で開示されるメソッドロジのいずれかを用いて、又は他のメソッドロジによって当業者に知られている他のデバイスにより、測定される。方法80のステップ94で、対象物の動きが、少なくとも1つの信号特性の変化から導出される。更には、音響強度ベクトルが、本明細書で開示されるように、対象物の決定された動き及び圧力測定から導出又は決定される。
【0047】
方法の態様及び実施形態は、3対のソレノイドを設けることを含み、ソレノイドの各対は、その間の原点に対象物が配置されながら、1つのデカルト座標軸に沿って配置される。方法の態様及び実施形態は、ソレノイドの対の間の原点で対象物の位置の如何なる変化にも対抗する磁気井戸が生成されるように、ソレノイドの各対の各ソレノイドを逆相電流駆動信号により駆動することを更に含む。
【0048】
方法の態様及び実施形態は、対象物の如何なる動きによっても起こるソレノイドの各対での駆動信号の駆動電圧のエンベロープの如何なる変化も測定することによってインダクタンスの如何なる変化も決定することで対象物の如何なる乱れも測定し、それによって対象物の動きを電気的に変換することを含む。
【0049】
方法の態様及び実施形態は、LC回路を設けるよう各ソレノイドをキャパシタと対にし、各ソレノイドをAC信号により励起することを含む。方法の態様及び実施形態はまた、対象物の如何なる動きによっても起こる各ソレノイドでの駆動信号の周波数の変化を測定することによって各ソレノイドでのインダクタンスの変化を測定し、それによって対象物の動きを電気的に変換することも含む。
【0050】
方法の態様及び実施形態は、対象物の各デカルト座標軸に沿って配置された単一のソレノイドを設けることであり、各ソレノイドが静的な場を供給するよう構成される、ことと、各デカルト座標軸に沿って配置された単一のソレノイドから分離している少なくとも1つの非接触位置測定デバイスを設けることとによって、対象物を浮かせることを含む。更には、方法の態様及び実施形態は、各ソレノイドによって供給される静的な場の駆動レベルを調整して対象物を中心に保つことを含む。
【0051】
方法の態様及び実施形態は、ソレノイドの各対の各ソレノイドから離れる対象物の如何なる測定された動きにも基づき対象物での圧力の増大を決定するか、あるいは、ソレノイドの各対の各ソレノイドの方への対象物の如何なる測定された動きにも基づき対象物の圧力の低減を決定し、それによって対象物での圧力変化を電気的に測定することを更に含む。対象及び実施形態は、音響ベクトルセンサの対象物と一緒に配置された別個の圧力センサを必要とせずに、粒子速度が測定されるのと同じ位置で圧力が変換されるようにする新規の圧力変換方法を提供する。態様及び実施形態は、遠隔の圧力センサの必要性を排除する。態様及び実施形態は、音響速度センサの基礎である対象物と圧力センサとの間の分離距離を最小限にする。
【0052】
方法の対象及び実施形態は、測定される音波の最高周波数の波長よりも小さい形体サイズ(feature size)を有して対象物を設けることを含む。方法の対象及び実施形態は、導電性の非鉄材料で被覆されている対象物を設けることを含む。
【0053】
方法の態様及び実施形態は、多次元アレイで2つ以上の音響ベクトルセンサを設けることを含む。2つ以上の指向性音響センサのうちの各指向性音響センサは、非接触支持手段及び対象物を含む。各対象物は、非接触支持構造体によって浮かされる。各対象物は、流体での音波最高周波数の波長よりも小さい形体サイズを有している。各対象物は、音波によって励起された粒子の3次元的な動きを受ける。各対象物の乱れは、多次元音響強度ベクトルとして測定される。
【0054】
音響ベクトルセンサについてその具体的な態様及び実施形態に関連して記載してきたが、本開示の精神又は範囲から逸脱せずに、上述されているもの以外の様々な変更に頼ることができることが理解されるだろう。例えば、浮揚性のある物体は、多くの形体で作ることができ、固体などであることができる。インダクタンスの変化の測定は、当業者によって知られている如何なる技術によっても行われ得る。音響強度ベクトルの決定は、当業者に知られている計算又はメソッドロジによって達成され得る。圧力の測定は、当業者に知られている技術によって行われ得る。分離した位置測定は、光学検出によって、又は当業者に知られている如何なる他の技術によっても、行われ得る。これらは全て、続く特許請求の範囲で定義されている本発明の精神又は範囲から逸脱するものではない。
【0055】
少なくとも1つの例のいくつかの態様について上述されているが、理解されるべきは、様々な代替、変更、及び改善が当業者に容易に想到される点である。そのような代替、変更、及び改善は、本開示の部分であるよう意図され、かつ、発明の範囲内であるよう意図される。従って、上記の説明及び図面は単なる例であり、発明の範囲は、添付の特許請求の範囲の適切な構成及びそれらの均等物から決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7