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特許7340930ゼオライト微細構造を含むキャスタブル耐火性組成物およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】ゼオライト微細構造を含むキャスタブル耐火性組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/66 20060101AFI20230901BHJP
   F27D 1/00 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
C04B35/66
F27D1/00 N
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2018531231
(86)(22)【出願日】2016-12-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2016081206
(87)【国際公開番号】W WO2017102954
(87)【国際公開日】2017-06-22
【審査請求日】2019-12-10
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】15307027.1
(32)【優先日】2015-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】102016106637.0
(32)【優先日】2016-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】1600622
(32)【優先日】2016-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】1606554.2
(32)【優先日】2016-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515317282
【氏名又は名称】カルデリス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【弁理士】
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】ムニエ ピエール
(72)【発明者】
【氏名】デュヴォシェル ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】マルタン-カル セルジュ
(72)【発明者】
【氏名】スディエ ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】テシェ ロマン
【合議体】
【審判長】宮澤 尚之
【審判官】立木 林
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-291868(JP,A)
【文献】国際公開第03/033980(WO,A1)
【文献】特表2004-508256(JP,A)
【文献】特許第3920950(JP,B2)
【文献】特開昭56-9272(JP,A)
【文献】特開2002-213880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B35/66
F27D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
5質量%~95質量%の骨材、
1質量%~8質量%のシリカフューム、
0.1質量%~1.5質量%の水和性アルミナ、
0.1質量%~1質量%のカルシウム源および
0.01質量%~1質量%の分散剤
を含み、酸化カルシウム含有量が0.3質量%以下であり、すべての質量パーセントが乾式耐火性微粒子組成物の総乾燥質量に基づいており;および
前記骨材が、アルミナ、アルミノケイ酸塩、ジルコニア、ジルコン、オリビン、酸化クロム、クロム鉱石、スピネル、炭化ケイ素またはこれらの混合物から選択され
前記カルシウム源が、アルミン酸カルシウムセメント、ポルトランドセメント、水和石灰、硫酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、塩素酸カルシウムまたはこれらの混合物から選択され;
前記カルシウム源が、アルミン酸カルシウムセメントまたはポルトランドセメントである場合には80ミクロンまで、水和石灰、硫酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウムまたは、塩素酸カルシウムである場合には200ミクロンまでの粒子径を有する、乾式耐火性微粒子組成物(ただし前記乾式耐火性微粒子組成物は粒径75μm以下のマグネシア粉末を含まない)。
【請求項2】
これから得られた未焼結体が、少なくとも6MPaの未焼結破砕強度を有する、請求項1記載の乾式耐火性微粒子組成物。
【請求項3】
前記分散剤が、ポリホスフェート、ポリカルボキシレート、ポリカルボキシレートエーテル、ポリナフタレン、ポリメラミン、ポリグリコール、リグノスルファネートおよびクエン酸から選択される、請求項1又は2に記載の乾式耐火性微粒子組成物。
【請求項4】
前記水和性アルミナが、200~350m2/gの範囲のBET表面積および/またはMicrotrac SRA 150を使用するレーザー回折によって測定したように3~10μmの範囲の中央粒径d50を有する、請求項1~のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
【請求項5】
前記水和性アルミナには、ローアルミナが含まれる、請求項1~のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
【請求項6】
1.0質量%以下の有機結合剤、好ましくは0.5質量%以下の有機結合剤を含み、または実質的に有機結合剤を含まない、前記請求項1~のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
【請求項7】
前記シリカフュームが、8~25m2/gの範囲のBET表面積および/またはSedigraph IIIを使用する沈降によって測定される0.25~0.8μmの範囲の中央粒径d50を有する、請求項1~のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
【請求項8】
前記シリカフュームが、シリコン製造に由来するシリカフュームを含む、請求項1~のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
【請求項9】
前記シリカフュームが、ジルコニア製造または電融アルミナジルコニアシリカ製造に由来するシリカフュームを含む、請求項1~のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
【請求項10】
炭酸リチウム、水酸化リチウム、アルミン酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、水酸化カルシウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウムまたはこれらの混合物から選択される0.1質量%までの凝結促進剤がさらに含まれる、請求項1~のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
【請求項11】
クエン酸、クエン酸ナトリウム、ホウ酸、シュウ酸またはこれらの混合物から選択される凝結遅延剤がさらに含まれる、請求項1~10のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
【請求項12】
UltraTest IP-8を使用して測定した20℃において、30~240分間の範囲の作業時間および/または1~12時間の範囲の凝結時間を有する、請求項1~11のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
【請求項13】
110℃と800℃の間で放出された水によって測定したように0.7%よりも少ない結合水の総量を有する、請求項1~12のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
【請求項14】
開放面上で500℃に加熱された耐湿円筒型モールドで測定したように5時間後に30%よりも高い一方向乾燥程度を有する良好な乾燥適性を有する、請求項1~13のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
【請求項15】
5質量%~50質量%の炭化ケイ素および
10質量%までの炭素
をさらに含む、請求項1~14のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
【請求項16】
1質量%~10質量%の炭素を含む、請求項15記載の乾式耐火性微粒子組成物。
【請求項17】
前記炭素が、カーボンブラック、ピッチ、石油ピッチ、グラファイト、コークス、コーキング後に少なくとも5質量%の残留炭素を有する固体炭化水素、アスファルトおよびこれらの混合物から選択される、請求項15または16記載の乾式耐火性微粒子組成物。
【請求項18】
5質量%までの酸化防止剤をさらに含む、請求項1517のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
【請求項19】
前記酸化防止剤が、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、炭化ホウ素、炭化ジルコニウム、炭化カルシウム、及び、アルミニウム、ケイ素、マグネシウム、鉄、クロム、ジルコニウム、またはこれらの合金が含まれる金属、並びにこれらの混合物から選択される、請求項18記載の乾式耐火性微粒子組成物。
【請求項20】
0.1~0.8質量%の乾燥添加剤および/または0.01%~0.12%の有機繊維をさらに含む、請求項1519のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
【請求項21】
前記乾燥添加剤が、アルミニウム、マグネシウム、シリコンまたはこれらの合金のような反応性金属粉末から選択され、かつ/または前記有機繊維が、ポリエチレン繊維またはポリプロピレン繊維から選択される、請求項20記載の乾式耐火性微粒子組成物。
【請求項22】
セメントキルン、石灰キルン、アルミニウム溶鉱炉または鋼加工用のような大型容器内にまたは鉄溶鉱炉用のトラフ、ランナーまたはトーピードレードルのような対象物上に設置することにより耐火ライニングを形成するための請求項1~21のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物の使用。
【請求項23】
少なくとも6MPaの破砕強度および0.3質量%以下の酸化カルシウム含有量を有する、請求項1~21のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物から得られる未焼結体。
【請求項24】
請求項1~21のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物または請求項23記載の未焼結体から得られる耐火ライニング。
【請求項25】
請求項22記載の使用に従って得られた耐火ライニング。
【請求項26】
耐火物を1450℃で5時間前処理した後、1450℃で測定したように少なくとも3.5MPaの熱間破壊係数を有する、請求項24または25記載の耐火ライニング。
【請求項27】
前記乾式耐火性微粒子組成物または前記未焼結体が、5質量%~50質量%の炭化ケイ素および10質量%までの炭素を含む、請求項26記載の耐火ライニング。
【請求項28】
鋼加工、セメントキルン、石灰キルン、アルミニウム溶鉱炉、鉄溶鉱炉用のトラフ、ランナーまたはトーピードレードルに使用するための、請求項2427のいずれか1項記載の耐火ライニング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ゼオライト微細構造を含む乾式耐火性微粒子組成物、未焼結体およびこれから形成される耐火ライニングならびにその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
耐火物は、高温用途における耐熱障壁としての使用に適した特性を有する材料である。不定形耐火材料は、継ぎ目なしのライニングを形成する能力を有し、しばしばモノリシックと呼ばれる。これらの材料は、例えば、キュポラハースおよびサイホン、高炉、主ランナー、二次ランナーおよび傾斜ランナー用の、より一般的には、液体金属およびスラグ、または他の高温の液体、固体または気体の流れを含むか、方向づけるか、または工業的処理を容易にするのに適しているそれらを含む容器または容器スパウト、レードル、タンデッシュ、反応チャンバおよびトラフ用のライニングとして有用である。キャスタブル耐火物は、典型的には、粉末形態で製造され、適用前に水と混合する。焼成の前に、注型、噴霧、吹き付け、続いて凝結および乾燥のような技術を使用してライニングとして適用し得る。
耐火性物品は、通常、耐火性骨材と結合剤の組合せから形成され、それによって上記結合剤が骨材を適所に保持する。上記骨材と結合剤の両方は、その物品の特性に深刻な影響を与える可能性がある。
【0003】
結合剤の1つの種類は、セメントまたは他の水和性アルミナを含む水硬性結合剤である。他のタイプの結合剤、例えば化学結合剤とは異なり、セメント質結合剤は、通常、結合剤を活性化するために加熱する必要はないが、水の添加が必要である。水は、セメント質結合剤と反応してその混合物を硬化させ、微粉末の分散媒体および均質な物体を形成する流体としても働く。乾燥粉末は流動性が悪く、高圧の不在下で耐火性物品を成形するには適していない。水は混合物の粘度を低下させ、それによって上記骨材/結合剤混合物を流動させる。しかしながら、水の存在は、耐火物の加熱段階の間に加圧水による物品のひび割れおよび爆発的蒸発さえのような問題を引き起こす可能性がある。セメント質結合剤を有する物品は、残留水を除去するための乾燥工程をしばしば必要とする。これらの問題を克服する試みとして、セメントを含まないキャスタブルが耐火物産業の当該技術において開発された。
例えば、WO 2013/032065号には、低セメント含有量を有する耐火物が記載されている。開示された不定形耐火物には、アルミナセメント、ジルコンおよびアルミナ結合剤の1種以上が添加されているアルミナ(Al2O3)および炭化ケイ素(SiC)の耐火性混合物が含まれている。開示された耐火物中の少量のセメントとアルミナ結合剤は、耐火性混合物に作業流動性を与え、セメント中に約20%の量で含まれる酸化カルシウム(CaO)による腐食を少量のジルコンが有意に防止する。さらに、US 2009/0071377号は、シリカフュームを含む低または超低セメント含有量を有する耐火コンクリートを開示している。このシリカフュームは、低セメント含有量の密集したコンクリートの実現に貢献すると考えられる。
【0004】
加えて、セメントを含まない耐火物も当技術分野で記載されている。例えば、WO 2011/115352号は、Al2O3とSiCを含む耐火性混合物に添加されたアルミナゾル結合剤を有する不定形耐火物を開示している。CaO含有セメントの使用を避けることは、高温でさえもCaOによる腐食を排除する。さらなる例では、WO 2011/115353号は、Al2O3、SiCおよびアルミナ前駆体粉末が含まれるアルミナ結合不定形耐火物ならびにCaOを含まない水耐火物を開示している。また、セメントを使用せずに耐火性組成物として骨材とpH緩衝剤を生じる物質とを含む混合物がUS 2012/0142518号に開示されている。さらに、US 5,972,102号には、水和性アルミナ源と酸化マグネシウムとから構成される酸化カルシウムを含まない結合剤を含有する油圧で結合されたモノリシック耐火物が開示されている。
セメントを含まないキャスタブルの開発にもかかわらず、長い凝結時間/複雑な凝結挙動、取扱い問題に、時には乾燥問題につながる不充分な未焼結強度だけでなく不充分な耐火性または熱間機械的挙動のような問題が残っている。
改善された特性を有するセメントを含まないかまたは低セメント含有量を有する耐火物を開発することが依然として求められている。
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
本発明は、添付の特許請求の範囲に規定されている。
第1の態様によれば、
5質量%~95質量%の骨材、
1質量%~8質量%のシリカフューム、
0.1質量%~1.5質量%の水和性アルミナ、
0.1質量%~1質量%のカルシウム源および
0.01~1質量%の分散剤
を含み、酸化カルシウム含有量が0.3質量%以下であり、すべての質量パーセントが乾式耐火性組成物の総乾燥質量に基づいている、乾式耐火性微粒子組成物が提供される。
第2の態様によれば、大型容器内で設置による耐火ライニングを形成するため第1の態様の乾式耐火性微粒子組成物の使用が提供される。大型容器は、セメントキルン、石灰キルン、アルミニウム溶鉱炉または鋼加工用のもの、または鉄溶鉱炉用のトラフ、ランナー、またはトーピードレードルのような対象物上のものであってもよい。
第3の態様によれば、少なくとも6MPaの破砕強度および0.3質量%以下の酸化カルシウム含有量を有する第1の態様の乾式耐火性微粒子組成物から得られる未焼結体が提供される。
第4の態様によれば、第1の態様の乾式耐火性微粒子組成物または第3の態様の未焼結体から、または第2の態様の使用に従って得られる耐火ライニングが提供される。
【0006】
本発明は、例えば、セメントキルン、石灰キルン、アルミニウム溶鉱炉または鋼加工用のような大型容器用のライニングとしての、または鉄溶鉱炉用のトラフ、ランナーまたはトーピードレードルのような対象物をライニングするための耐火物としての使用に適した混合物に関する。本発明に従う組成物は、部分的には、改良された流動性に特徴を有し、水の要求が少なく、組成物によって形成された未焼結体の高い破砕強度を示す一方、容易に設置および配置することができる。本発明は、型枠の除去中に耐火物を損傷するリスクが低減されるという利点を有する。また、本発明に従う組成物は、部分的に、長い作業時間に特徴を有し、迅速な凝結および迅速な未焼結強度開発速度論を示す一方、安全かつ容易な設置を可能にし、かつ型枠の迅速で安全な除去を可能にする。また、本発明に従う組成物は、部分的には、急速乾燥に特徴を有し、高い未焼結強度に関連して、急速または制御されない乾燥および加熱中の蒸気剥離または蒸気爆発リスクを低減させる。
結果として得られる耐火ライニングの設置および試運転をより容易でより安全にする本発明の組成物によって示されるより良好な流動性、より良好な加工性、短縮された硬化時間、改良された未焼結強度、迅速な乾燥は、高温(1450~1700℃)での改善された熱間強度(HMOR)およびより高い熱間特性(RULおよび機械的荷重下での変形に抵抗する能力)のような耐火ライニングの改善された最終使用特性と組合せて存在する。前記特性の組合せに起因して、本発明に従う組成物は、当該分野において既知の組成物よりも全体的な改善を示す。改善された特性に加えて、高コストの加工のような欠点も本発明によって対処される。さらに、炭化ケイ素および炭素を含む本発明に従う組成物は、従来技術と比較して改善された耐食性を示すことができる。
本発明を下記の図面によってさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】超音波速度で測定したように作業時間および凝結時間を示すグラフである(実施例1および比較例1~4)。
図2】14kgシリンダに対する一方向乾燥速度論を示すグラフである(実施例1および比較例1~4)。
図3】14kgシリンダに対する一方向乾燥速度論を示すグラフである(実施例2および比較例5および6)。
図4】1500℃で5時間予備焼成後に測定した荷重(0.1MPa)下での耐火性を示すグラフである。
図5】非酸化条件における1450℃で5時間の予備焼成後に測定した荷重(0.1MPa)下での耐火性を表すグラフである(実施例2および比較例5および6)。
図6】作業時間と凝結時間を決定するために使用される装置。
図7】乾燥試験を実施するための装置。
図8】乾燥試験における加熱面の1mm下で測定した温度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
下記の説明および図面の参照は、本発明の例示的な実施態様に関するものであり、特許請求の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
詳細な説明
上述した第1の態様によれば、乾式耐火性微粒子組成物が提供される。上記組成物はキャスタブルであり、これは上記耐火性組成物が、水の添加、凝固および過剰の水を除去するための乾燥の際に継ぎ目なしのまたは不定形製品に成形可能であることを意味する。
本明細書で使用されるように、「乾燥」は、0.5%以下の水分レベルを有すると理解されるべきであり、上記乾式耐火性微粒子組成物では、110℃で乾燥した後の質量損失によって決定される。
上記乾式耐火性微粒子組成物は、乾式耐火性組成物の総乾燥質量に基づき、約5~95質量%の骨材を含む。一実施態様において、上記乾式耐火性微粒子組成物は、約40質量%~90質量%、例えば60質量%~90質量%、40質量%~80質量%、40質量%~70質量%または70質量%~90質量%の骨材を含む。例えば、上記乾式耐火性微粒子組成物は、約40質量%、約50質量%、約60質量%または約70質量%の骨材を含む。
上記骨材は、アルミナ、アルミノケイ酸塩、ジルコニア、ジルコン、マグネシア、オリビン、酸化クロム、クロム鉱石、スピネル、炭化ケイ素またはこれらの混合物から選択される材料を含んでもよい。アルミナ、アルミノケイ酸塩またはこれらの混合物は、アルミナ含有量が約30~75質量%である褐色溶融アルミナ、焼結アルミナ、白色溶融アルミナ、焼成アルミナ、反応性または半反応性アルミナ、ボーキサイト、溶融または焼結ムライト、アンダルサイトおよび焼成シャモットから選択される材料を含んでもよい。
【0009】
上記骨材は、適切なサイズのふるい上に保持された材料の量によって決定されるように、0.08mmと30mmの間の粒径分布を有する粒子を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれらからなってもよく、材料の総初期乾燥質量パーセントとして表される。実施態様において、上記骨材は、サイズが約10mmまで、約6mmまで、約4mmまで、約2mmまで、または約1mmまでの粒子を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれらからなる。
上記乾式耐火性微粒子組成物は、乾式耐火性組成物の総乾燥質量に基づき、約1質量%~8質量%のシリカフュームを含む。一実施態様において、上記乾式耐火性微粒子組成物は、シリカフュームの約1質量%~4質量%、2質量%~4質量%、1質量%~3質量%、または6質量%~8質量%を含む。例えば、上記乾燥耐火性微粒子組成物は、約2質量%、約3質量%、約4質量%、約5質量%のシリカフュームを含む。
本明細書に使用されるように、「シリカヒューム」(CAS番号69012-64-2)なる用語は、二酸化ケイ素(SiO2)の非晶質多形体を示し、これは、当該技術において周知のように適切な分散剤と共にSedigraph IIIを使用した沈降法および超音波デアグロメレーションにより測定したように約0.25~0.8μm、約0.25~0.65μm、約0.25~0.45μm、約0.4~0.8μmまたは0.4~0.6μmの範囲のメジアン粒径d5Oを有する粉末である。上記シリカフュームは、約1μmの最大粒径を有してもよい。
【0010】
本発明に使用されるように、シリカフュームは、BET比表面積測定法を使用して窒素吸着により測定したように、約8~25m2/g、約12~25m2/g、約15~23m2/g、約17~20m2/g、約10~16m2/g、または約13~18m2/gの範囲のBET表面積を有してもよい。シリカフュームは、例えば、ケイ素、フェロシリコンまたは溶融シリカの製造からの副生成物として得られてもよい。特に、シリカフュームは、シリコン製造、ジルコニア製造または電融アルミナジルコニアシリカ製造に由来してもよい。前記製造は、電気アーク炉の上にダストを収集することによって達成され得る。
上記乾性耐火性微粒子組成物は、乾式耐火性組成物の総乾燥質量に基づき、約0.1質量%~1.5質量%の水和性アルミナを含む。一実施態様において、上記乾式耐火性微粒子組成物は、約0.5質量%~1.5質量%、約0.5質量%~1質量%、約1質量%~1.5質量%または約0.1質量%~0.5質量%の水和性アルミナを含んでもよい。
本明細書に使用されるように、「水和性アルミナ」なる用語は、特定の結晶化度を有する遷移アルミナを意味する。この製品は、LOIが15%までの85%を超えるアルミナを有し、ナトリウムレベルは低い。水の存在下では、水和性アルミナはAH3ゲルおよびAH1-2ゲルを形成し、ここで、AはAl2O3を表し、HはH2Oを表す。加熱すると、ゲルは脱水し、最終的にセラミック結合を形成する。
【0011】
本明細書に使用されるように、水和性アルミナは、約200~350m2/g、約225~325m2/g、約250~約300m2/gまたは約275~350m2/gの範囲のBET表面積を有してもよい。水和性アルミナは、Microtrac SRA 150を使用してレーザー回折によって測定したように約3~10μm、約2~9μm、約3~8μm、約4~7μmまたは約5~6μmの範囲のメジアン粒径d50を有してもよい。
一実施態様において、上記水和性アルミナは、ローアルミナを含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなってもよい。
上記乾式耐火性微粒子組成物は、乾式耐火性組成物の総乾燥質量に基づき、約0.1質量%~1質量%のカルシウム源を含む。一実施態様において、上記乾式耐火性微粒子組成物中の上記カルシウム源は、約0.1質量%~0.8質量%、約0.2質量%~0.8質量%、約0.2質量%~0.5質量%、約0.05質量%~0.2質量%、約0.1質量%~0.2質量%または約0.2質量%~0.3質量%であってもよい。例えば、約0.2質量%、0.4質量%、0.6質量%または0.8質量%のカルシウム源。
上記カルシウム源は、アルミン酸カルシウムセメント、ポルトランドセメント、消石灰、硫酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、塩素酸カルシウムまたはこれらの混合物から選択されてもよい。
【0012】
上記組成物の酸化カルシウム含有量は、EN 1402-3に定義されるように、上記乾式耐火性組成物の総乾燥質量に基づき0.3質量%以下である。
上記カルシウム源は、セメント(アルミナまたはポルトランドセメント)の場合には80ミクロンまで、他の供給源については200ミクロンまでの粒子サイズを有してもよく、最大粒子サイズは以下に記載されるように測定される。
上記乾式耐火性微粒子組成物は、乾式耐火性組成物の全乾燥質量に基づき、約0.01~1質量%の分散剤を含む。一実施態様において、上記乾式耐火性微粒子組成物は、約0.05質量%~0.5質量%、約0.05質量%~0.2質量%または約0.1質量%~0.2質量%の分散剤を含んでもよい。分散剤は、ポリホスフェート、ポリカルボキシレート、ポリカルボキシレートエーテル、ポリナフタレン、ポリメラミン、ポリグリコール、リグノスルホネートおよびクエン酸から選択されてもよい。
上記乾式耐火性微粒子組成物は、炭酸リチウム、水酸化リチウム、アルミン酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、水酸化カルシウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウムまたはこれらの混合物から選択される0.1質量%までの凝結促進剤を含めてもよい。
【0013】
上記乾式耐火性微粒子組成物は、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ホウ酸、シュウ酸またはこれらの混合物から選択される凝結遅延剤を含めてもよい。
上記乾式耐火性微粒子組成物は、ゼオライト結合、すなわち、ゼオライト、ゼオライト類またはゼオライト微細構造の形成を含んでもよい。ゼオライト類は、アルカリ元素の水和アルミノケイ酸塩である。構造的には、ゼオライト類は、(Si,Al)O4四面体の無限に広がる一次元(メソタイプ-3SiO2Al2O3Na2O2H2Oのような)、二次元(輝沸石(7SiO2.Al2O3.CaO.6H2O)のような)またはより一般に三次元(例えばチャバサイト:4SiO2.Al2O3.CaO6H2のような)網目構造でできており、これらは金属カチオンによって接続される一次基礎単位を構成している。この無限に広がる構造は、無機ポリマーとしてのゼオライトの分類につながる。
上記の網目構造は(Si,Al)04四面体の組織を歪曲しかつ網目構造内の大きな相互接続された空隙空間の分布に関与するNa+、K+、Ca2+またはMg2+のような大きな一価または二価イオンの存在に特徴を有する。
ゼオライトおよびそのゼオライト微細構造は、それらのアルミナシリカ網目構造、大きな相互接続された空隙空間の存在およびCa2+のような金属カチオンを含有することに特徴を有し得る。
【0014】
ゼオライトおよびゼオライト微細構造は、下記の特性を示し得る:i)カチオンの存在および濃度によって支配された微細構造の形成、すなわち(Si,Al)O4四面体の接続;ii)同一の構成パターンの繰り返しに起因する無限に広がる三次元微細構造;iii)脱水後の微細気孔、すなわち低い固有密度および大きな空隙容積、これらの空隙は脱水前に水で満たされている。その気孔は、これらの空隙のサイズが本質的に均一で強く相互接続されているという事実に特徴を有する;およびiv)脱水は、その微細構造の変形、網目構造の破壊またはアルミノケイ酸塩骨格の変形なしに起こる。
ゼオライトおよびゼオライト微細構造は、本発明に記載された耐火性モノリシックの結合を示し、これは理論に縛られることなく、既知の組成物よりも本発明の改善された特性の原因であると考えられる。
本発明の乾式耐火性微粒子組成物は、含水ゲルの形成に基づくもののような既知の耐火性組成物とは異なる。これは、(i)シリカコロイドゾルの不安定化と凝固;(ii)溶解または部分的に溶解したアルカリ土類金属酸化物または水酸化物によるマイクロシリカ粒子の凝固;および(iii)ケイ酸マグネシウム含水ゲル形成に基づく先行技術の結合系に起因し得る。項目(i)の場合、シリカゾルがその初期安定化を妨げる不純物と接触すると(Si-O-H-O-Si)粒子間のヒドロキシル結合の形成によるシリカコロイド間の反応がすぐに開始し、すなわちシリカゾルが耐火性微粒子組成物と混合されるとすぐに流動性の低下が開始する。項目(ii)および(iii)の場合、流動性の低下は、乾式耐火性組成物が水と混合されるとすぐに微細表面ヒドロキシル化シリカ粒子間の反応とSi-O-金属カチオン-O-Si結合の形成(金属カチオンは(iii)の場合には一般にMg2+、(ii)の場合には一般にCa2+、Mg2+及び/又はBa2+である)によるものである。
【0015】
第1の態様に従う乾式耐火性微粒子組成物は、少なくとも約6MPaの未焼結破砕強度を有し得る。一実施態様において、破砕強度は、少なくとも約6~15MPa、約6~12MPa、約8~15MPa、約8.0~10MPaまたは約13~15MPaである。
理論に縛られることなく、我々は、本発明でできている未焼結体の高い機械的強度が微細構造の変形、網目構造の破壊またはアルミノケイ酸塩骨格の変形なしに脱水を受けるゼオライト結晶の三次元網目構造に起因し得ることに留意する。特に、ゼオライト微細構造の形成によって到達する強度レベルは、結合の形成後および乾燥中(すなわち、水の蒸発中)に系内に残存する液体水の量によって影響されない。ここでもまた、含水ゲルの形成に基づくもののような既知の耐火性組成物(上記の(i)、(ii)および(iii)を参照のこと)とは、含水ゲルが、定義上、水の除去によって影響を受けるので異なる。このような系において、形成された含水ゲル中に存在する水の除去は、結合の間に形成されるゲル構造の強い収縮をもたらし、その結果、最初に結合する相の高いマイクロクラッキングを生じる。
【0016】
さらに、理論に縛られることなく、ゼオライトおよびゼオライト微細構造が高強度の結合を与え、耐火性未焼結体の高レベルの強度を確実にすることは、同一の構成パターン(すなわち、結晶構造)の繰り返しから生じる無限に広がる三次元微細構造によるものと考えられる。これは結果として低強度の耐火性未焼結体を示す非晶質構造(ゲル)を形成する含水ゲルの形成(上記の(i)、(ii)および(iii)を参照のこと)に基づくもののような他の既知の耐火性組成物とは特に異なる。
さらに、理論に縛られることなく、ゼオライトおよびゼオライト微細構造は、高強度の結合を与え、耐火性未焼結体の高レベルの強度を確実にすることは、同一の構成パターン(すなわち、結晶構造)の繰り返しから生じる無限に広がる三次元微細構造によるものと考えられる。これは結果として低機械的強度および低未焼結強度の耐火性未焼結体を示す非晶質構造(ゲル)を形成する含水ゲルの形成(上記(i)、(ii)および(iii)を参照のこと)に基づくもののような他の既知の耐火性組成物とは特に異なる。
【0017】
上記乾式耐火性微粒子組成物は、UltraTest IP-8を使用して測定した20℃で約30~240分の範囲の作業時間を有し得る。一実施態様において、乾式耐火性微粒子組成物は、UltraTest IP-8を使用して測定した20℃で約40~220分、約60~200分、約80~180分、約100~160分、約120~140分の作業時間を有する。
理論に縛られることなく、流動性を低下させない長い作業時間は、ゼオライトおよびゼオライト構造に起因する可能性があると考えられる。上記のように、ゼオライトおよびゼオライト微細構造、すなわち(Si,Al)O4四面体の形成は、カチオンの存在および濃度、例えばカルシウム源の可溶化速度論および可溶化後に到達するカルシウムカチオンの濃度によって支配される。ゼオライトの微細構造を形成する金属カチオン、特にCa2+イオンによる(Si,Al)O4四面体の接続は、カルシウム源の可溶化が系中のCa2+イオンの所定の最小濃度に達したときに起こる。Ca2+のこの所定の最小限の濃度に到達するのに必要な時間は、長い休止期間を可能にする(すなわち、新しい化学種の形成がなく、微粒子間の結合の生成がない)。また、これは流動性を低下させることなく液体と混合してからの経過時間である「作業時間」とも呼ばれる。
【0018】
上記乾式耐火性微粒子組成物は、UltraTest IP-8を使用して測定した20℃で約1~12時間の範囲の凝結時間を有し得る。一実施態様において、上記乾式耐火性微粒子組成物は、UltraTest IP-8を使用して測定した20℃で約2~10時間、約3~8時間、約4~6時間の範囲の凝結時間を有する。
上記乾式耐火性微粒子組成物は、110℃と800℃の間に放出される水の質量%で測定したように、約0.7%、約0.65%、約0.6%または約0.55%よりも少ない全量の結合水を有し得る。
上記乾式耐火性微粒子組成物は、開放した耐湿円筒型モールドにおいて測定し一方の側を500℃に加熱したように、5時間後に約30%、約32%、約35%、約38%または約40%よりも高い一方向乾燥程度を有する良好な乾燥適性を有し得る。
上述したように、ゼオライトおよびゼオライト微細構造を形成すると、脱水の影響を受けず、強い相互接続性を示す均一な大きさの空隙(気孔率)の存在に特徴を有する無限に広がる三次元微細構造が生じる。理論に縛られることなく、これらの特性は、本発明の組成物の高い乾燥能力をもたらすと考えられる。高い乾燥能力は、迅速かつ/または安全に乾燥させる能力(すなわち、耐火物の加熱段階の間に加圧水に起因する爆発のリスクの低減)として表すことができる。
【0019】
高い乾燥能力は、(I)高強度の未焼結体(加圧水素による応力に耐える能力)、(II)乾燥中に残水量が存在するとしても高強度を示す未焼結体の能力、および(III)過度の蒸気圧を発生させることなく(すなわちガスに対する高い透過性)微細構造から水が脱離する能力の組合せによって得ることができる。
基準(I)および(II)は、上記ですでに詳述されているだけでなく、既知の耐火組成物(i)および(ii)と比較されており、結果として、既知の耐火性組成物よりも加圧された水から生じる応力に耐える能力が高い本発明の組成物をもたらす。
さらに、低固有密度、すなわち、大きな空隙容量、均一なサイズ及び結合のゼオライト及びゼオライト微細構造の通気孔により、既知組成物に対して気体に対する透過性の高い本発明を与える。この高い透過性は、特に既知のセメント結合耐火物と比較した場合、本発明の乾式耐火性微粒子組成物の気孔率の低い曲がり(均一なサイズ、強い相互接続性)から生じる。
セメント結合モノリシック耐火物は、中間セメント(MCC:CaO>2.5%)、低セメント(LCC:1%<CaO<2.5%)または超低セメント(ULCC:0.2%<CaO<1%)キャスタブルにせよ、セメント水和中のアルミン酸カルシウム針晶の形成に起因する、低気孔率、気孔の低相互接続性および結果的に気体に対する低透過性を有するマトリックス微細構造を示す。
【0020】
一実施態様において、第1の態様の乾式耐火性微粒子組成物は、さらに、約5質量%~50質量%の炭化ケイ素および10質量%までの炭素を含む。一実施態様において、乾式耐火性微粒子組成物は、約10質量%~50質量%、約20質量%~50質量%、約20質量%~40質量%、約40質量%~50質量%または約25質量%~35質量%の炭化ケイ素を含む。さらなる実施態様においては、乾式耐火性微粒子組成物は、約0.1質量%~1質量%、約2質量%~20質量%、約5質量%~10質量%、約2質量%~8質量% 約2質量%~6質量%、約4質量%~6質量%、約2質量%~4質量%または約1質量%~5質量%の炭素を含む。
上記炭素は、カーボンブラック、ピッチ、石油ピッチ、グラファイト、コークス、コーキング後に少なくとも約5質量%の残留炭素を有する固体炭化水素、アスファルトまたはこれらの組合せから選択される材料を含んでもよい。上記グラファイトは、単結晶または多結晶(「アモルファスグラファイト」としても知られている)であってもよく、ふるい分析によって決定されるように、サイズが約1mmまでの粒子を含み得る。上記カーボンブラックは、約100μmまで、例えば約75μmまで、例えば約50μmまでのd50を有する粒子を含んでもよい。上記カーボンブラック粒子は、BET比表面積測定法を使用した窒素吸着によって測定したように、約50m2/gの最大比表面積を有し得る。上記コークスは、ふるい分析によって決定したように、約2mmまでのサイズの粒子を含み得る。上記固体炭化水素は、コーキング後に少なくとも約10質量%の残留炭素を有してもよい。これは、ふるい分析によって決定したように、約2mmまでのサイズの粒子を含む粉末形態であってもよい。固体炭化水素の例は、ピッチ、石油ピッチ、ビチューメン、アスファルト、フェノール系樹脂、合成ポリマーまたはオリゴマーである。
【0021】
上記乾式耐火性微粒子組成物は、さらに、炭素の酸化を抑制または防止する1種以上の添加剤を含んでもよい。炭素の酸化を抑制または防止する1種以上の添加剤は、以後、酸化防止剤と呼ぶ。一実施態様において、上記乾式耐火性微粒子組成物は、乾式耐火性微粒子組成物の総乾燥質量に基づき約5質量%の酸化防止剤を含んでもよい。さらなる実施態様において、上記乾式耐火性微粒子組成物は、4質量%以下の酸化防止剤、3質量%以下の酸化防止剤、2質量%以下の酸化防止剤、または1質量%以下の酸化防止剤を含む。もう1つの実施態様において、上記乾式耐火性微粒子組成物は、約0.1質量%~1質量%または0.2質量%~0.6質量%の酸化防止剤を含む。上記酸化防止剤は、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、炭化ホウ素、炭化ジルコニウム、炭化カルシウム、アルミニウム、ケイ素、マグネシウム、鉄、クロム、ジルコニウム、これらの合金および混合物を含める金属から選択され得る。一実施態様において、上記抗酸化剤は金属ではない。
上記乾式耐火性微粒子組成物は、さらに、0.1質量%~0.8質量%の乾燥添加剤および/または0.01質量%~0.12質量%の有機繊維を含んでもよい。上記乾燥添加剤は、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素およびこれらの合金または混合物のような反応性金属から選択されてもよい。上記有機繊維は、ポリエチレン繊維またはポリプロピレン繊維から選択されてもよい。
【0022】
第2の態様によれば、セメントキルン、石灰キルン、アルミニウム溶鉱炉または鋼加工用のもののような大型容器内、またはトラフ、ランナー、または鉄溶鉱炉用のトーピードレードルのような対象物上に設置することによって耐火ライニングを形成するための第1の態様の乾式耐火性微粒子組成物の使用が提供される。一実施態様において、鋼加工、セメントキルン、石灰キルンおよびアルミニウム溶鉱炉に使用される乾式耐火性微粒子組成物は、炭化ケイ素および炭素を本質的に含まない組成物である。一実施態様において、鉄溶鉱炉用のトラフ、ランナーまたはトーピードレードルに使用される乾式耐火性微粒子組成物は、約5質量%~50質量%の炭化ケイ素および10質量%までの炭素を含む。
設置は、焼成する前に、注型、噴霧、吹き付けに続いて凝結および乾燥によって行われ得る。一実施態様において、設置は吹き付けによって行われ、吹き付けは湿式または乾式のいずれでもよい。
第3の態様によれば、少なくとも約6MPaの破砕強度および約0.3質量%以下の酸化カルシウム含有量を有する第1の態様の乾式耐火性微粒子組成物から得られる未焼結体が提供される。一実施態様において、上記破砕強度は、少なくとも約6~15MPa、約6~12MPa、約8~15MPa、約8.0~10MPaまたは約13~15MPaである。
【0023】
第4の態様によれば、第1の態様の乾式耐火性微粒子組成物または第3の態様の未焼結体から得られる、または第2の態様の使用に従って耐火ライニングが提供される。
第4の態様の耐火ライニングは、気孔率を測定するためのISO 5017に従って測定した、1000℃での焼成後の気孔率が21%以下、20%以下または19%以下であってもよい。
第4の態様の耐火ライニングは、少なくとも約3.5MPaの熱間破壊係数(HMOR)を有し得る。
ゼオライトおよびゼオライト微細構造の形成は、(Si,Al)O4四面体を架橋するカチオンの低い比で達成することができる。本発明の乾式耐火性微粒子組成物は、MgOまたはBaOのようなアルカリ土類金属酸化物を本質的に含まず、K2OまたはNa2Oのようなアルカリ金属酸化物を本質的に含まず、非常に低いレベルの石灰(CaO<0.3%)を含有する。本質的に二元系(Al2O3、SiO2)のこのような組成は、荷重下の耐火性または熱間破壊係数によって表されるように非常に高い耐火性を達成することを可能にする。既知の耐火性組成物は、より低い耐火性を示し、これはMgO、BaO、CaO、K20およびNa2Oのような、アルミナおよびシリカに結合したときに低温液相の形成になりやすい化合物の相対的に高い比率に起因する。
【0024】
これは、特に、低セメントキャスタブル(CaO>1%)または中間セメントキャスタブル(CaO>2.5%)のようなセメント結合耐火性組成物の場合である。
これは、特に、同様に5%までのCaOおよび/またはBaOおよび/またはMgOを含有するアルカリ土類金属酸化物または水酸化物(上記の耐火性結合系(ii)を参照のこと)による微小シリカ粒子の凝固によって結合された耐火物の場合である。
第4の態様に従う耐火ライニングは、鋼加工、セメントキルン、石灰キルン、アルミニウム溶鉱炉、鉄溶鉱炉用のトラフ、ランナーまたはトーピードレードルに使用し得る。一実施態様において、鋼加工、セメントキルン、石灰キルンおよびアルミニウム溶鉱炉に使用される上記乾式耐火微粒子組成物は、本質的に炭化ケイ素および炭素を含まない組成物である。一実施態様において、鉄溶鉱炉用のトラフ、ランナーまたはトーピードレードルに使用される上記乾式耐火性微粒子組成物は、約5質量%~50質量%の炭化ケイ素および10質量%までの炭素を含む。
【0025】
本明細書に使用されるように、「実質的に含まない」なる用語は、特定の化合物または組成物が完全にないかまたはほぼ完全に存在しないことを意味する。例えば、組成物がコロイド状シリカを実質的に含まないと言われる場合、組成物中にコロイド状シリカが存在しないか、微量のコロイド状シリカのみが存在する。当業者は、微量が検出可能であるが定量化し得ない量であり、存在する場合には、上記乾式耐火性微粒子組成物の特性に悪影響を及ぼさない量であることを理解するであろう。
さらなる実施態様において、上記乾式耐火性微粒子組成物は、コロイド状シリカ、シリカゾル、コロイド状アルミナ、発熱性シリカ(例えば、Si含有塩エアロゾルの酸化から生じ、50m2/gよりも大きいBET比表面積を示すシリカ、ヒュームドシリカとしても知られている)、および/または本質的に約100μm未満のd50を有する粒子からなるマグネシウムまたはバリウムの酸化物および/または水酸化物を実質的に含まない。
さらなる実施態様において、上記乾式耐火性微粒子組成物は、1.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以下の量のポリアクリル酸のような有機結合剤を含む。さらなる実施態様において、上記乾式耐火性微粒子組成物は、有機結合剤を実質的に含まない。
【0026】
疑問を避けるために、本出願は、下記の番号の項に記載される主題に関する。
1.5質量%~95質量%の骨材、
1質量%~8質量%のシリカフューム、
0.1質量%~1.5質量%の水和性アルミナ、
0.1質量%~1質量%のカルシウム源および
0.01質量%~1質量%の分散剤
を含み、酸化カルシウム含有量が0.3質量%以下であり、すべての質量パーセントが乾式耐火性組成物の総乾燥質量に基づいている、乾式耐火性微粒子組成物。
2.これから得られた未焼結体が、少なくとも6MPaの未焼結破砕強度を有する、第1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
3.5質量%~95質量%の骨材、
1質量%~4質量%のシリカフューム、
0.1質量%~1.5質量%の水和性アルミナ、
0.1質量%~1質量%のカルシウム源、
0.01質量%~1質量%の分散剤
5質量%~50質量%の炭化ケイ素および
10質量%までの炭素
を含み、すべての質量パーセントが乾式耐火性組成物の総乾燥質量に基づいている、乾式耐火性微粒子組成物。
4.これから得られる未焼結体が、少なくとも6MPaの未焼結破砕強度および0.3質量%以下の酸化カルシウム含有量を有する、第3項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
5.1質量%~10質量%の炭素を含む、第3または4項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
6.上記炭素が、カーボンブラック、ピッチ、石油ピッチ、グラファイト、コークス、コーキング後に少なくとも約5質量%の残留炭素を有する固体炭化水素、アスファルトまたはこれらの混合物から選択される、第3~5のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
7.5質量%までの酸化防止剤をさらに含む、第3~6のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
8.上記酸化防止剤が、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、炭化ホウ素、炭化ジルコニウム、炭化カルシウム、アルミニウム、ケイ素、マグネシウム、鉄、クロム、ジルコニウム、これらの合金およびこれらの混合物が含まれる金属から選択される、第7項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
9.上記酸化防止剤が金属性でない、第7または8項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
10.0.1質量%~0.8質量%の乾燥添加剤をさらに含む、第3~9のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
11.上記乾燥添加剤が、アルミニウム、マグネシウム、シリコンまたはこれらの合金のような反応性金属粉末から選択される、第10項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
12.0.01質量%~0.12質量%の有機繊維をさらに含む、第3~11項のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
13.上記有機繊維がポリエチレン繊維またはポリプロピレン繊維から選択される、第12項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
14.上記骨材が、アルミナ、アルミノケイ酸塩、ジルコニア、ジルコン、マグネシア、オリビン、酸化クロム、クロム鉱石、スピネル、炭化ケイ素またはこれらの混合物から選択される、第1~13のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
15.上記カルシウム源がアルミン酸カルシウムセメントを含む、上記第1~14のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
16.上記カルシウム源がポルトランドセメントを含む、第1~15のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
17.上記カルシウム源が、水和石灰、硫酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、塩素酸カルシウムまたはこれらの混合物から選択される材料を含む、第1~16のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
18.上記カルシウム源が200ミクロンまでの粒子径を有する、第1~17のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
19.上記カルシウム源が、80ミクロンまでの粒子径を有するアルミン酸カルシウムセメントまたはポルトランドセメントである、第18項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
20.0.1質量%までの凝結促進剤をさらに含む、第1~19のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
21.上記凝結促進剤が、炭酸リチウム、水酸化リチウム、アルミン酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、水酸化カルシウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウムまたはこれらの混合物から選択される、第20項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
22.クエン酸、クエン酸ナトリウム、ホウ酸、シュウ酸またはこれらの混合物から選択される凝結遅延剤がさらに含まれる、第1~21のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
23.上記骨材が0.08mm~25mmの間の粒径分布を有する、第1~22のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
24.40質量%~90質量%の骨材を含む、第1~23のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
25.0.5質量%~1.5質量%の水和性アルミナを含む、第1~24のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
26.1.0質量%以下の有機結合剤を含む、第1~25のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
27.0.5質量%以下の有機結合剤を含む、第1~26のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
28.有機結合剤を実質的に含まない、第1~27のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
29.上記酸化カルシウム含有量が0.05~0.3質量%である、第1~28のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
30.0.05質量%~0.5質量%の分散剤を含む、第1~29のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
31.上記分散剤が、ポリホスフェート、ポリカルボキシレート、ポリカルボキシレートエーテル、ポリナフタレン、ポリメラミン、ポリグリコール、リグノスルホネートおよびクエン酸から選択される、第30項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
32.上記水和性アルミナが、200~350m2/gの範囲のBET表面積を有する、第1~31のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
33.上記水和性アルミナが、Microtrac SRA 150を使用するレーザー回折によって測定したように3~10μmの範囲の中央粒径d50を有する、第1~32のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
34.上記水和性アルミナには、ローアルミナが含まれる、第1~33のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
35.上記シリカフュームが8~25m2/gの範囲のBET表面積を有する、第1~34のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
36.上記シリカフュームが、Sedigraph IIIを使用する沈降によって測定したように0.25~0.8μmの範囲の中央粒径d50を有する、第1~35のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
37.上記シリカフュームが、シリコン製造に由来するシリカフュームを含む、第1~36のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
38.上記シリカフュームが、ジルコニア製造または電融アルミナジルコニアシリカ製造に由来するシリカフュームを含む、第1~37のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
39.UltraTest IP-8を使用して測定した20℃で30~240分間の作業時間を有する、第1~38のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
40.UltraTest IP-8を使用して測定した20℃で1~12時間の範囲の凝結時間を有する、第1~39のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
41.110℃と800℃の間で放出された相対水によって測定したように0.7%より少ない結合水の総量を有する、第1~40のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
42.開放面上で500℃に加熱された耐湿円筒型モールドで測定したように5時間後に30%よりも高い一方向乾燥程度を有する良好な乾燥適性を有する、第1~41のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
43.上記組成物が、ゼオライト微細構造を含む、第1~42のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
44.上記ゼオライト微細構造が、一次元、二次元または三次元である、第43項記載の乾式耐火性微粒子組成物。
45.5質量%~95質量%の骨材、
1質量%~8質量%のシリカフューム、
0.1質量%~1.5質量%の水和性アルミナ、
0.1質量%~1質量%のカルシウム源および
0.01質量%~1質量%の分散剤
を含み、酸化カルシウム含有量が0.3質量%以下である乾式耐火性微粒子組成物であって、上記組成物がゼオライト微細構造を含み、すべての質量パーセントが乾式耐火性組成物の総乾燥質量に基づいている、上記組成物。
46.5質量%~95質量%の骨材、
1質量%~4質量%のシリカフューム、
0.1質量%~1.5質量%の水和性アルミナ、
0.1質量%~1質量%のカルシウム源、
0.01質量%~1質量%の分散剤、
5質量%~50質量%の炭化ケイ素および
10質量%までの炭素
を含む乾式耐火性微粒子組成物であって、上記組成物がゼオライト微細構造を含み、すべての質量パーセントが乾式耐火性組成物の総乾燥質量に基づいている、上記組成物。
47.ゼオライト微細構造を含む乾式耐火性微粒子組成物であって、ゼオライト微細構造が、第1~46のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物を凝結させることによって得られる、上記組成物。
48.少なくとも6MPaの破砕強度を有する、第1~47のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物から得られる未焼結体。
49.第1~48項記載の上記乾式耐火性微粒子組成物または上記未焼結体から得ることができる耐火ライニング。
50.耐火物を1450℃で5時間前処理した後、1450℃で測定したように、少なくとも3.5MPaの熱間破壊係数を有する、第49項記載の耐火ライニング。
51.上記乾式耐火性微粒子組成物または上記未焼結体が、5質量%~50質量%の炭化ケイ素および10質量%までの炭素を含む、第50項記載の耐火ライニング。
52.気孔率を測定するためのISO 5017に従って測定した21%以下の1000℃での焼成後の気孔率を有する第49または51項記載の耐火ライニング。
53.鋼加工、セメントキルン、石灰キルン、アルミニウム溶鉱炉において使用するための第49~52のいずれか1項記載の耐火ライニング。
54.吹き付けの使用を含む、第1~47のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物を設置する方法。
55.上記吹き付けが乾式あるいは湿式のいずれかである、第54項記載の方法。
56.第1~55のいずれか1項記載の乾式耐火性微粒子組成物を含む、鉄溶鉱炉用のトラフまたはランナーまたはトーピードレードル。
【実施例
【0027】
実施例
本発明に従う乾式耐火性微粒子組成物を調製し、最新の組成物と比較した。実施例1および2両方において直接に意味のある比較を有するように、各比較におけるすべての組成物は、それぞれ焼結アルミナとブラウン電融アルミナ製の同じ粒子骨格を有する。本発明に従う組成物(実施例1および2)および当該技術において公知の組成物(比較例1~6)を得るために、表1および表2に示す成分を一緒に混合することによってこれらの組成物を調製した。
【0028】
表1:

【0029】
CALDETM CAST LT 95(比較例1;comp 1)、CALDETM UT 94(比較例2;Comp 2)およびCALDETM CAST NT 92 QD(比較例3;Comp 3)は、CALDERYSによって製造された商品である。QDは速乾を表す;QDはCALDERYSによって登録された商標である。QD組成物において使用される結合剤は、シリカフューム、アルカリ土類金属および/または水酸化物のような複数種の成分およびセメント性結合剤の混合物をベースとする。CAは、アルミン酸カルシウムを表す。実施例における材料は指定された液体(水またはコロイド状シリカ)添加によって調製され、液体/粉末比として表される。
【0030】
表2:

【0031】
CALDETM CAST G 6 P(比較例5;Comp 5)およびCALDETM GCNV 2010(比較例6;Comp 6)は、CALDERYSによって製造された市販品である。
実施例1は、炭化ケイ素またはカーボンブラックを含まない本発明に従う組成物であるが、実施例2は、炭化ケイ素およびカーボンブラックの両方を含む。比較例1~4は炭化ケイ素およびカーボンブラックを含まず、比較例5及び6は炭化ケイ素とカーボンブラックの両方を含む。比較例1は、低セメントキャスタブル(LCC)に関し、比較例2および5は、超低セメントキャスタブル(ULCC)に関し、比較例3は、速乾性組成物(QD)に関し、組成物4および6は、コロイド状シリカ(Col.Sil.)を含む組成物に関する。
表3~表8に示すように、配置特性、乾燥適性および高温特性を含める乾式耐火性微粒子組成物の多くの特性の調査を行った。配置特性は作業時間、設定および未焼結強度を指す。調査のために、下記の試験を実施した:
【0032】
試験試料の調製:
12.5kgの乾燥混合物を、パドルを備えた10dm3の半球形のステンレス鋼ボウルに入れた。この乾燥混合物を室温で105rpmのパドル回転速度で3分間撹拌した。水を表1および表2に示す量で加え、さらに3分間撹拌した。さらに指定しない場合、追加される水量は130%+/-5%の流量値に達するのに必要な量によって定義される。これは、特に、未焼結強度特性評価専用の試料を生成する場合である。この混合物が均質に湿潤したら、この混合物をモールドに入れ、振動台に置いて、この混合物を濃縮し試料を形成した。この試料の寸法は次の通りである:(i)形状A - 長さ:230mm、幅:114mm、厚さ:64mm;(ii)形状B:長さ:230mm;幅:64mm;厚さ:54mm;(iii)形状C - 長さ:125mm、幅:25mm、厚さ:25mmまたは(iv)形状D - 長さ:160mm;幅:40mm;厚さ:40mm。このモールドを、50Hzの振動周波数および0.5mmの振動振幅で振動台にしっかりと固定する(金属性の騒音なし)。配置試験(フロー、作業時間および凝結時間)を行う場合と乾燥試験の場合を除き、この材料を20℃、湿度飽和雰囲気中で48時間硬化させるためにこのモールドの中に残し、その後モールドから取り出す。この工程の終わりに、未焼結体が生成される。これらの試料を110℃±5℃で一定質量まで乾燥させ、水分の吸着を避けるように注意して室温に冷却し、次いで酸化条件下で焼成する。冷却後、これらの試料を炉内に水平に置き、準備期間中の底部にある表面はそのままである。これらの試料を分離して高温ガスを循環させる。還元条件下で焼成するために、これらの試料を冶金用コークス/ブラックカーボンを含有する炭化ケイ素ボックスに入れ、接合材料で密封した蓋で遮断する。
【0033】
フロー試験:
流動試験による(EN1402-4により示されるように)特性評価される試料は、上記のように調製する。先が切り取られ潤滑されたコーン(モールド)(φ70~100mm、高さ80mm)を最上部まで試料で充填し、モールドを取り外す前に30秒間振動させる。次いで、モールドの除去後試料をさらに30秒間振動させる。適切なフロー値の測定を保証するために、平らなヒープは円形でなければならず、2つの垂直直径の測定値は10mmを超えてはならない。フロー値は、2つの測定された直径の平均によって決定され、%で表される(初期の100mmからの)ヒープベース直径の変化の計算によって決定される。明記されない限り、130±5%の初期流量を得るように液体の添加が選択される。
【0034】
作業時間と凝結時間の決定のための試験:
作業時間と凝結時間は、試験設定とUltraTest GmbHからのソフトウェアUltraTest IP-8を使用して新たに調製されたキャスタブルの試料によって超音波(US)速度の記録から推定される。材料を上記のように調製し、(混入空気除去用)振動台を使用して測定セルに配置する。作業時間は、通常、米国速度が500m/sに達するキャスタブルの湿式混合の終了からの時間として定義される。凝結時間は、通常、速度が4000m/sに達する時間として定義される。4000m/sのこの閾値の米国速度は、高アルミナキャスタブルの場合、ビカット針で「最終セット」に達するレベルに類似する強度レベルに対応する。図6も参照のこと。
【0035】
冷間破砕強度:
冷間破砕強度(CCS)は、室温での圧縮荷重下での破損に抵抗する製品の能力を表す。材料は上記のように調製する。冷間破砕強度は、(i)20℃で24時間硬化後→未焼結強度、(ii)乾燥後、または(iii)所望の温度で焼成後に行うことができる。試料調製時に振動方向に垂直な応力を加える。64mmの端(形状A)と54mmの端(形状B)が垂直になるように試料を付属品に配置する。114mmの端(形状A)、または64mmの端(形状B)を下のプレートの中央に配置し、下のプレートの120mmの端に合わせる。いずれの場合も、試料が破損するまで、応力は1.0MPa/s±0.1MPa/sの速度で滑らかにかつ連続して加える。その時の最大荷重を記録する。次の等式を使用して冷間破砕強度σを計算する:
σ=Fmax/A0
式中、Fmaxは、記録された最大荷重、単位ニュートンであり;A0は、プラテンの65mmの端と、該当する試料の幅(114mmまたは64mm)によって示される。冷間破砕強度、単位MPaを最も近い0.1MPaまで表す。
【0036】
乾燥実験:
上記のように材料を調製し、振動台を使用して耐湿円筒型モールドに入れる(混入空気除去のため)。試料の乾燥能力は、耐湿円筒型モールド内の試料の質量損失を記録することによって評価する。試料は、最初に湿度飽和雰囲気中で24時間硬化させる。次いで、次の図に示すように、一方の面に加熱する。この場合の乾燥は一方向性であると考える(水蒸気は加熱表面からのみ除去することができる:試料と加熱プレートとの間の開口部は厚さ3mmのスペーサが備えられている)。図7も参照のこと。
試験の開始時に、加熱プレートを500℃まで急速に加熱する。そのプレートの温度は、試験の間、500℃のままである。試料の加熱された表面の1mm下で測定された温度は、図8に示す速度に従う。
乾燥程度は、試料中に存在する水の初期量で質量損失を除することによって計算される。乾燥能力は、5時間の加熱後の試料の乾燥程度によって決定される。
【0037】
試験嵩密度、見掛気孔率および真気孔率:
ISO 5017に従って、嵩密度および見掛け気孔率を測定し、全気孔率を算出した。
【0038】
試験HMOR(熱間破壊係数):
HMORは、酸化雰囲気中一定速度で増加する試料に対する力の作用下でのモノリシック耐火材料の熱間破壊係数の決定を包含する試験法である(ASTM C 583-80を参照のこと)。試料は、モノリシック耐火物(炭素含有耐火材料の形状D/標準耐火材料の形状C)から製造された5個の試料からなる。この材料は、上記のように調製され、適切な金属ギャングモールドに形成される。硬化および離型後、試験棒を110℃±5℃で乾燥し、次いでi)還元条件下の炭素含有耐火材料には1450℃またはii)空気中の標準耐火材料には1500℃で5時間(100℃.Hr-1)焼結させる。試料は、下記の予定を使用して、荷重を加えずに試験温度まで加熱せずに保持炉内に置く:
- 室温→600℃:10℃/分
- 600℃→1000℃:8℃/分
- 1000℃→1400または1450℃:6℃/分
- 保持時間:30分
保持時間後、これらの試料を、端を有する支持部に移動させる。次に、端を有する最上部を試料に当てて、破損が生じるまで荷重を介して圧力をかける。試料への荷重の適用速度は、形状Dによる試料では0.13MPa.s-1であり、形状Cによる試料では0.15MPa.s-1である。各試験片の破壊係数は以下のように計算される:
HMOR = 3PL/2bd2
ここで、
P = 最大荷重.
L = 支持体間の距離.
b = 試料の幅.
h = 試料の高さ.
4回の測定から計算された平均熱間破壊係数はMPaで表される。
【0039】
試験RUL(荷重下の耐火性):
RUL(すなわち、荷重下の耐火性)は、一定の圧縮荷重及び温度の漸進的上昇の作用下でのモノリシック耐火物の変形を測定することができる試験法を指す(ISO 1893を参照のこと)。試料は、耐火材料では空気中で1000℃/1500℃で5時間または炭素含有耐火材料では還元条件下1500℃で予備焼結した試験棒54×65×230mm(形状B)から穿孔した円筒形試料(高さ=50mm、φexternal=50mm、φinternal=12mm)からなる。RUL試験中の焼成雰囲気は、耐火材料では空気または炭素含有耐火材料では不活性(5%H2、95%Ar)である。荷重は0.1N.mm-2に固定され、加熱速度は300℃.Hr-1に固定される。試料の変形は温度上昇に対して記録され、膨張の最大値および特定の変形に対応する温度が決定される(T0.5%、T1%、T2%など)。
【0040】
骨材の粒度分布の測定
粒度分布は、ふるいの範囲に保持された材料の量を求めることによって測定され、材料の全初期乾燥質量のパーセントとして表される。
装置
・天びん、最も近い0.1gまで読み取ることができる。
・ふるい、ISO 565の要求に適合し、200mm以上の直径を有する。ふるいリスト:30mm、10mm、6.3mm、3.15mm、2mm、1mm、0.5mm、0.25mm、0.125mm、0.080mmおよびふるい底パン。
・乾燥炉、好ましくは排気装置を有する。
【0041】
手順
逐次四分法によってサンプリングして、最大サイズ粒に従って選択する、単一試験に適合した量(m1)の試料を得る:(i)10mmまでの最大粒径:500gまたは(ii)10mmより大きい最大粒径:1000g。試料の質量を記録する:m1は乾燥物質によって表される。
乾燥ふるい:調製し秤量した試験試料を、選択したふるい、受容器および適切な効率的なふるい振盪器を使用してふるいにかける。ふるいの合計時間は10分である。各ふるい上に残っている材料の重さを測り、質量をmn(ここで、nはふるいのミリメートルサイズである)として記録する。
等式を使用してメッシュサイズnのふるい上に保持された試料のパーセントrnを計算する:
ここで、mnはメッシュサイズnのふるい上に保持された質量、単位はグラムであり;
m1は試料の質量である。
0.08mmと30mmの間の粒径分布を有する粒子からなる骨材→r30 = 0およびrsieve bottom pan = 0
0.08mmと10mmの間の粒径分布を有する粒子からなる骨材→r10=0およびrsieve bottom pan = 0
【0042】
セディグラフ説明
粒子径(粒子径分布)による試料の相対質量分布を決定するためのX線重力沈降技術は、2つの物理的原理に基づく:粘性流体中の孤立球の沈降速度を記述する沈降理論(すなわち、沈降速度は粒径に比例する)とX線放射の吸収(すなわち、X線減衰は質量濃度に比例する)。これらの2つの理論は、米国ジョージア州ノークロスのMicromeritics Instruments Corporation(電話番号:+1 770 862 3620;ウェブサイト:www.micromeritics.com)によって供給されるSediGraph IIIと呼ばれる分析機器で具体化されている。そのような機械は、当業者によって既知の特性を有する液体(水と反応する鉱物には純粋なエタノール、水と反応しない鉱物には0.1%のヘキサ-メタホス酸ナトリウムを有する脱イオン水)中の異なるサイズの粒子の重力誘発沈降速度を測定し、試料の相対的質量分布を粒子径および最大粒子径で測定することができる。SediGraph IIIは、当該技術分野で「等価球直径」(esd)と呼ばれる、所定のesd値よりも小さいサイズを有する粒子の累積質量パーセントのプロットを与える。粒子径d50の意味は、粒子の50質量%がこのd50値よりも小さい等価球直径を有する粒子esdのこのようにして決定された値である。
【0043】
水和性アルミナの粒子径の測定方法
水和性アルミナの粒子径は、マイクロトラック(Microtrac)SRA150、粒子によるレーザビームの回折に基づく粒度計を使用して決定した。
【0044】
カルシウム源の粒子径を測定する方法
カルシウム源の最大粒子径は、80μm、125μm、150μm、200μm、250μmのような適切な開口のふるいを使用した乾式ふるい分けによって制御される。最大粒子径は、最初の試料の5質量%未満が残っており、以下の手順後に測定可能な最小の開口ふるいによって決定される。試料サイズは、ふるいのサイズに適していなければならない(直径20cmのふるいの場合は最大100g)。
ふるいを受け皿に適切な順番で取り付け、試験試料をふるいカラムの表面に加え、カバーをふるいの最上部に取り付ける。アセンブリ全体をシェーカーに固定し、10分間振盪する。更なるブラッシング工程が行われ、その間に80ミクロンのふるい上に残っている材料を、特大の材料の質量が一定になるまで柔らかいブラシを使用してふるい上で軽く動かし、次いで、各ふるい上で残りの試料の質量を測定する。
表3は、実施例1及び比較例1~4の配置特性を示す。
【0045】
表3:
【0046】
同じ量の水の添加(3.8%)の後に到達した流れが、実施例1で示される流れほど最新技術のLCCおよびULCC組成物では良好ではないことが分かる。より多い水の添加にはQD組成物を配置する必要がある(すなわち、流動試験では130%の最小目標値に到達し、これは実施例1(167%)によって示された流れよりさらに著しく低い)。
組成物「Comp.4」(すなわち、流動試験では130%の最小目標値に到達し、実施例1で示される流れ(167%)よりも著しく低い)を配置するのに必要なコロイド状シリカの量は、(7.65%)であり、乾燥組成物(コロイド状シリカ懸濁液中の40%のシリカ)に4.5%の水をもたらす。多い水の添加は、乾燥(遊離および結合した水除去)した後により開放気孔率をもたらす。低開放気孔率は、開放気孔率がライニング内部の金属とスラグ浸透の経路であるため、熱い表面の耐火性ライニングの重要な要求である。また、開放気孔率が大きいほど強度が低下する。
また、実施例1の作業時間が長く、凝結時間が短く、これは現場設置が非常に容易であることが分かる。これは、混合後に材料を配置/形成するのに充分な時間があり、型枠前の短い時間を取り除くことができることを意味する。この有利な挙動を図1に示す:時間とともに米国速度が増加すると、新たにキャストされた材料が硬化することが示される。
実施例1の未焼結強度(大きなキャスト片の内部の条件をシミュレートした湿度飽和雰囲気中20℃で24時間硬化後の強度)は、ULCCとほぼ同じくらい良好であり、QDまたはコロイド状シリカ結合キャスタブルよりも非常に良好である。キャステイング中のキャスタブルを収容するために使用される型枠がライニングを損傷することなく取り外すことができる前に、キャスタブルの圧縮強度は少なくとも5MPaに達しなければならない。24時間よりも長い硬化時間、または低未焼結強度に対処するための対策(型枠によるライニングを加熱するなど)は、重要な欠点である。
表4は、実施例1及び比較例1~4の乾燥能力を示すものである。
【0047】
表4:
【0048】
上記の特定の試験は、実施例1が速乾性キャスタブルと同じ速さで乾燥することを示している。乾燥速度論(時間の関数としての乾燥程度)を記録している図2を参照のこと。キャスタブルの乾燥が速いほど、拘束環境下での水分蒸発によるライニング内の圧力上昇が小さくなり、従ってスチームスポーリングリスクが低くなる。
実施例1及び比較例1~4の高温での特性を表5に示す。
【0049】
表5:
【0050】
R.U.L.とH.M.O.R.試験双方では、試料を焼成した後に1500℃で5時間試験した。
図4は、試料を1700℃まで加熱したときの荷重下での変形を示す。
実施例1は、1542℃で最大膨張に達し、1690℃で大幅に悪化し始める(0.1%スランプ)。これは、熱可塑性の前に到達する最高温度である。
同様に、実施例1は、最良の熱強度(熱間破壊係数)を示す。
両方の特性は、実施例1が非常に良好な耐火性を示すこと、すなわち実施例1が高温での機械的酷使と荷重に耐えることができることを実証している。
このような高耐火性が要求される用途の一例は、1600℃の溶鋼を注入して処理するスチールレードルのホットフェイスライニングである。
要約すると、実施例1は、同じ粒子骨格を有する他のキャスタブルと比較して、最良の組み合わせの特性を示す:長い作業時間および迅速なセメント硬化、良好な乾燥能力および非常に良好な耐火性を有する非常に良好な配置特性を示す。比較例1は、難しい(および危険な)乾燥だけでなく低い耐火性の欠点を有する。比較例2は、凝結時間が長く、耐火性が低い。比較例3は、より高い水需要(より高い開放気孔率)、非常に長い凝結時間、低い未焼結強度および低い耐火性を有する。比較例4は、非常に低い未焼結強度の欠点を有する。
表6は、実施例2および比較例5および6の未焼結強度を示す。
【0051】
表6:
【0052】
比較例6の目標とする初期流量に到達するのに必要なコロイド状シリカの添加は、4.4%の水(コロイド状シリカ濃度:40%)の添加と同等である。
特に、本発明に従う組成物は、コロイド状シリカ結合比較例6に比べて当該技術組成物よりも未焼結体の破砕強度が高いことを特徴とする。硬化期間後に安全に離型して耐火性ライニングのキズおよび欠陥の出現を避けるために未焼結強度が5MPaより低い場合には注意が必要である。安全上の理由から、コロイド状シリカ結合材料は高炉トラフランナーに設置されているが、本発明に従う実施例2では必要ではない場合、消耗形態メッシュの使用がしばしば必要とされる。
表7は、実施例2および比較例5および6の乾燥能力を示す。
【0053】
表7:
【0054】
実施例2は、ULCC材料と比較して、当該技術組成物よりも5時間後に高い乾燥程度を示す。本発明に従う実施例2によって示される特性の組合せは、表7および図3に示す従来技術の組成物よりも著しい改善を示す。第1の加熱の間に生成された内部蒸気圧力に耐えることを必要とするその高い未焼結破砕強度と組合せると、実施例2の乾燥適性が向上する。高炉ランナーの特定の設計および制約、すなわち高耐火ライニングの厚さ、迅速な試運転、暖かい残留ライニング上への設置は、非常に速く乾燥することができる耐火キャスタブルを必要とする。本発明に従う実施例2により示されるより良好な乾燥適性は、標準のULCC技術と比較して有利である。
表8は、実施例2および比較例5および6の高温における特性を示す。
【0055】
表8:
【0056】
実施例2は、アルミナとシリカに関連した場合に低融解相を形成する傾向がある石灰含有量を0.5%(Comp.5)から0.2%(実施例2)に減少させることに起因して、ULCC材料(図5)に比べて当該技術組成物よりも荷重下での悪化の前により高い熱間破壊係数とより高い温度を示す。本発明に従う実施例2により開発された高い熱間強度は、主および傾斜高炉ランナーにおける鉄流の衝突時の耐火ライニングの耐久性を改善することを可能にし、標準ULCC技術と比較して有利である。
全体として、実施例2は、同じ粒子骨格を有する任意の他のキャスタブルと比較した特性の最良の組合せを示す:良好な乾燥適性、未焼結体の高い破砕強度および非常に良好な耐火性。比較例5は、耐火性が低く、乾燥適性が劣る。比較例6は、非常に低い未焼結強度の欠点を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8