(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 7/02 20060101AFI20230904BHJP
F24C 1/00 20060101ALI20230904BHJP
F24C 15/34 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
F24C7/02 501J
F24C1/00 360A
F24C1/00 330B
F24C15/34 A
(21)【出願番号】P 2020538383
(86)(22)【出願日】2019-08-19
(86)【国際出願番号】 JP2019032306
(87)【国際公開番号】W WO2020040096
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2018155722
(32)【優先日】2018-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】篠原 佑
(72)【発明者】
【氏名】末永 浩己
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-026318(JP,U)
【文献】特開2011-116342(JP,A)
【文献】特開2016-091753(JP,A)
【文献】特開2003-343993(JP,A)
【文献】特開2013-044477(JP,A)
【文献】特開昭63-233217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/02- 7/10
F24C 1/00- 1/16
F24C 15/16-15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも水蒸気を用いた調理を行う加熱調理器であって、
加熱庫内に供給された水蒸気を対流させるための送風ファンと、
上記送風ファンに駆動力を伝達する駆動用モータと、
上記送風ファンを配置するためのコンベクションパネルと、
上記駆動用モータに対する上記加熱庫からの熱を遮断するための遮熱パネルと、
を備え、
上記駆動用モータの駆動軸は、上記遮熱パネルおよび上記コンベクションパネルを貫通した貫通孔を通して、上記送風ファンに接続され、
上記貫通孔は、上記コンベクションパネルと上記遮熱パネルそれぞれに形成されたバーリング同士を嵌め合わせて形成され
、
上記貫通孔の上記駆動用モータ側に、上記駆動軸が貫通し、当該貫通孔を覆うワッシャが設けられ、
上記ワッシャは、上記遮熱パネルに形成された少なくとも3つの支持部により、当該遮熱パネルに対して所定の範囲内で移動自在に支持されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
上記ワッシャは、ポリイミドを含むことを特徴とする請求項
1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
上記ワッシャは、可撓性を有することを特徴とする請求項
1に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関し、特に水蒸気を用いた調理を行う加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱調理器の一つして、水蒸気を用いた調理を行う加熱調理器がある。このような加熱調理器において、水蒸気および熱を無駄なく利用するために、加熱庫内の水蒸気および熱が庫外に漏れないようにする必要がある。従来、水蒸気および熱の漏れを防止するための技術が種々提案されている。例えば特許文献1には、加熱庫内の水蒸気を撹拌するための送風機の撹拌ファンの回転軸をマグネットカップリングすることで、当該回転軸を通して水蒸気および熱が漏れるのを完全に防止する加熱調理装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国公開特許公報「特開2001-355844号公報」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来技術では、撹拌ファンの回転軸から水蒸気および熱が庫外に漏れるのを完全に防止できるものの、送風機の撹拌ファンの回転軸がマグネットカップリングされているため、撹拌ファンの回転軸とモータとが直接接続されている場合に比べて、モータからの駆動力が回転軸に十分に伝わらない恐れがある。このため、加熱庫内の水蒸気および熱を十分に撹拌できず、水蒸気および熱を用いた調理を適切に行えない恐れがある。
【0005】
本発明の一態様は、撹拌ファンの回転軸に駆動力を十分に伝える構成であり、且つ回転軸を通して水蒸気および熱が漏れることを防止する加熱調理器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る加熱調理器は、少なくとも水蒸気を用いた調理を行う加熱調理器であって、加熱庫内に供給された水蒸気を撹拌するための風を送り出す撹拌用送風ファンと、上記撹拌用送風ファンに駆動力を伝達する駆動用モータと、上記撹拌用送風ファンを配置するためのコンベクションパネルと、上記駆動用モータに対する上記加熱庫からの熱を遮断するための遮熱パネルと、を備え、上記駆動用モータの駆動軸は、上記遮熱パネルおよび上記コンベクションパネルを貫通した貫通孔を介して上記駆動用モータに接続され、上記貫通孔は、上記コンベクションパネルと上記遮熱パネルそれぞれに形成されたバーリング同士を嵌め合わせて形成され、上記貫通孔の上記駆動用モータ側に、上記駆動軸が貫通し、当該貫通孔を覆うワッシャが設けられ、上記ワッシャは、上記遮熱パネルに形成された少なくとも3つの支持部により、当該遮熱パネルに対して所定の範囲内で移動自在に支持されていることを特徴としている。
【0007】
本発明の他の態様に係る加熱調理器は、少なくとも水蒸気を用いた調理を行う加熱調理器であって、加熱庫内に供給された水蒸気を撹拌するための風を送り出す撹拌用送風ファンと、上記撹拌用送風ファンに駆動力を伝達する駆動用モータと、上記撹拌用送風ファンを配置するためのコンベクションパネルと、上記駆動用モータに対する上記加熱庫からの熱を遮断するための遮熱パネルと、を備え、上記駆動用モータの駆動軸は、上記遮熱パネルおよび上記コンベクションパネルを貫通した貫通孔を介して上記駆動用モータに接続され、上記貫通孔の上記駆動用モータ側に、上記駆動軸が貫通し、当該貫通孔を覆う耐熱樹脂からなるワッシャが設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、撹拌ファンの回転軸に駆動力を十分に伝える構成であり、且つ回転軸を通して水蒸気および熱が漏れることを防止する加熱調理器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態1に係る加熱調理器の正面図である。
【
図2】
図1に示す加熱調理器の機能ブロック図である。
【
図3】
図1に示す加熱調理器の背面パネルを取り外した状態を示す図である。
【
図4】
図1に示す加熱調理器の正面から見て左側面パネルを取り外した状態を示す図である。
【
図5】
図3に示す加熱調理器の背面に設けられた遮熱パネルを示し、(a)は平面図、(b)は駆動用モータ側から見て右側の側面図を示す。
【
図7】
図5の(a)に示すAA線矢視断面図である。
【
図8】
図7に示す断面図の要部を拡大した要部拡大図である。
【
図9】遮熱パネルにカプトンワッシャを固定した状態を示す遮熱パネルの正面図である。
【
図11】本発明の実施形態2に係る加熱調理器におけるコンベクションパネルと遮熱パネルとの接続状態を説明するための概略断面図である。
【
図12】本発明の実施形態3に係る加熱調理器におけるコンベクションパネルと遮熱パネルとの接続状態を説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0011】
(加熱調理器の概略説明)
図1は、本実施形態の加熱調理器1の正面図であり、(a)はドア(開閉扉)3を閉めた状態を、(b)はドア3を開けた状態を示す。加熱調理器1は、後述するレンジ加熱部12(
図2)およびオーブン加熱部13(
図2)および水蒸気発生部11(
図2)を備え、加熱調理として電子レンジ調理と、オーブン調理と、水蒸気、特に100℃を超える温度に加熱された過熱水蒸気を用いたウォータオーブン調理とを行う加熱調理器である。
【0012】
図1に示すように、加熱調理器1は、直方体形状のケーシング2と、ドア3とを備え、ケーシング2で囲まれる空間が、被加熱物を収容するための加熱庫2aとなっている。なお、マグネトロンはケーシング2内部(例えば、加熱庫2aを挟んでドア3と反対側)に備えられている。
【0013】
ドア3は、加熱庫2aの開口部2bを開閉するための開閉扉であり、加熱庫2aと対向する位置に配置される窓(窓部)3aと、窓3aを囲むフレーム(枠部)3bとを備える。窓3aには加熱庫2aを覗けるように、耐熱ガラスあるいは耐熱性の透明樹脂が嵌め込まれている。フレーム3bは、非金属材料、例えば、樹脂から形成されている。
【0014】
ドア3は、加熱庫2aを開閉可能に設けられており、下端の辺を略中心に回動し、上側にはドア3を開閉するためのユーザ補助としてハンドル4が取り付けられている。本実施形態では、ドア3の開閉は、ドア3の下端側の辺を略中心に回動して行われる構成であるが、これに限定されず、例えば、ドア3の左端または右端の辺を中心に回動してドア3が開閉する構成であってもよい。ドア3の詳細については、後述する。
【0015】
また、ドア3の加熱庫2aと対向する面に、加熱庫2aの入り口の開口部2bを覆うサイズのシールド材料(図示せず)が形成されている。
【0016】
加熱調理器1は、さらに、当該加熱調理器1に関する各種情報等を表示し、当該加熱調理器1へのユーザの操作を受け付けるための表示操作部(指示入力部)5がドア3の前面に設けられている。表示操作部5には、ダイヤル6やボタン7および操作情報等の各種情報を表示する表示パネル8が設けられている。なお、表示操作部5は、ダイヤル6やボタン7等の物理的な部材を使用しない、例えば、タッチパネルとして構成されていてもよい。表示操作部5は、後述する制御部10に接続されており、制御部10との間で情報の入出力を行う。制御部10を含んだ加熱調理器1について、以下に説明する。
【0017】
(加熱調理器1の機能ブロック)
図2は、加熱調理器1の機能ブロック図である。加熱調理器1は、
図2に示すように、制御部10を備えている。制御部10は、表示操作部5、水蒸気発生部11、レンジ加熱部12、オーブン加熱部13、冷却部14、アンテナ回転駆動部15、ポンプ駆動部16、温度センサ17が接続されている。そして、制御部10は、主に加熱調理に関わる制御を行う加熱制御部10aと、表示操作部5の表示パネル8の表示制御を行う表示制御部10bとを含んでいる。従って、加熱制御部10aは、表示操作部5のダイヤル6やボタン7、水蒸気発生部11、レンジ加熱部12、オーブン加熱部13、冷却部14、アンテナ回転駆動部15、ポンプ駆動部16、温度センサ17に接続されている。一方、表示制御部10bは表示操作部5の表示パネル8に接続されている。
【0018】
水蒸気発生部11は、加熱調理器1による過熱水蒸気を用いた調理を実行する際に駆動し、図示しない給水タンクから水を供給され、その水を加熱して水蒸気を発生する。発生した水蒸気は、加熱調理器1の加熱庫2a内に供給される。水蒸気発生部11が発生する水蒸気は、過熱水蒸気(100℃よりも温度が高い水蒸気)やそれよりも温度が低い水蒸気である。水蒸気の温度は、適宜調整可能である。また、加熱庫2aの内部に供給された水蒸気は、加熱庫2a内部に配置された食品(被加熱物)を加熱する。
【0019】
レンジ加熱部12は、加熱調理器1によるレンジ調理を実行する際のマグネトロン(マイクロ波発生装置)であり、オーブン加熱部13は、加熱調理器1によるオーブン調理を実行する際のヒータである。冷却部14は、加熱調理器1による全ての加熱調理を行う際に、当該加熱調理器1内の電子部品を冷却するための冷却ファン(図示せず)を駆動させる駆動用モータである。
【0020】
アンテナ回転駆動部15は、レンジ調理の際に、マイクロ波を放射するアンテナ18を回転させる。
【0021】
ポンプ駆動部16は、水蒸気発生部11を作動させる際に、当該水蒸気発生部11にタンク20内の水を供給するためのポンプ19を駆動させる。
【0022】
温度センサ17は、例えばサーミスタからなり、加熱庫2aの内部の温度を検出する。制御部10は、表示操作部5での設定や温度センサ17の検出温度等に基づいて、水蒸気発生部11等の調理に係る装置の動作を制御する。
【0023】
上記構成の加熱調理器1では、水蒸気調理を効果的に行うためには、加熱庫2a内に供給された水蒸気を対流(循環)させる必要がある。以下に、水蒸気対流(循環)機構について説明する。
【0024】
(水蒸気対流(循環)機構)
図3は、加熱調理器1の背面側のパネルを外した状態を示す。
図4は、
図3に示す状態で、正面から見て左側面のパネルを取り外した状態を示す。
図5の(a)(b)は、水蒸気対流(循環)機構30の外観を示す。
図6は、水蒸気対流(循環)機構30のコンベクションファン(撹拌用送風ファン)34側からみた状態を示す。
図7は、
図5の(a)のAA線矢視断面を示す。
【0025】
水蒸気対流(循環)機構30は、
図3に示すように、加熱庫2a内に水蒸気対流(循環)用の風を送り込むためのコンベクションファン34(
図6)と、コンベクションパネル35と、コンベクションファン34を駆動させるための駆動用モータ40とを備えている。
【0026】
コンベクションパネル35は、コンベクションファン34と駆動用モータ40との間に配され、加熱調理器1の背面をほぼ覆うように取り付けられている。コンベクションファン34は、回転することで、加熱調理器1の背面側から加熱庫2a内に風を送り込むようになっている。
【0027】
駆動用モータ40は、取り付け板32を介して遮熱パネル31に取り付けられている。この遮熱パネル31により、加熱調理器1の加熱庫2aからの熱が駆動用モータ40へ伝達するのを遮断するようになっている。
【0028】
さらに、駆動用モータ40を冷却するために、当該駆動用モータ40の回転軸41上に冷却ファン33が設けられている。冷却ファン33は、駆動用モータ40と遮熱パネル31との間に設けられ、コンベクションファン34の回転に連動し、回転することで、駆動用モータ40に向かって風を吹き付けるようになっている。
【0029】
遮熱パネル31とコンベクションパネル35とは、
図7に示すように、所定の間隔を隔てて配置されおり、断熱層として機能する。なお、加熱庫2aの背面とコンベクションパネル35で形成される空間をコンベクションダクトとする。
【0030】
ところで、駆動用モータ40の回転軸41は、遮熱パネル31およびコンベクションパネル35に貫通しているので、加熱庫2a側からの水蒸気や熱が回転軸41を伝って外部に漏れる恐れがある。そこで、以下では、水蒸気漏れを防止するための、水蒸気漏れ防止機構について説明する。
【0031】
(水蒸気漏れ防止機構)
図8は、水蒸気対流(循環)機構30における駆動用モータ40および回転軸41付近の断面を示す。
図9は、遮熱パネル31の正面図、
図10は、遮熱パネル31の背面図を示す。
【0032】
水蒸気対流(循環)機構30は、
図8の(a)に示すように、駆動用モータ40側から順に、冷却ファン33、遮熱パネル31、コンベクションパネル35、コンベクションヒータ39、コンベクションファン34が配設されている。
【0033】
駆動用モータ40の回転軸41は、遮熱パネル31およびコンベクションパネル35を貫通した貫通孔30aを通して、コンベクションファン34に接続される一方、貫通孔30aの手前で冷却ファン33に接続されている。貫通孔30aは、
図8の(b)に示すように、コンベクションパネル35と遮熱パネル31それぞれに形成されたバーリング35a,31a同士を嵌め合わせて形成されている。また、本実施形態では、貫通孔30aを構成している遮熱パネル31のバーリング31aの内径は、コンベクションパネル35のバーリング35aの外径よりも大きい例を示している。
【0034】
具体的には、冷却ファン33は、ワッシャ43およびeリング44によって、回転軸41に固定され、コンベクションファン34は、ワッシャ37およびナット38により、回転軸41に固定される。なお、冷却ファン33とコンベクションファン34との間には、回転軸41に貫通したカラー42が設けられている。このカラー42は、貫通孔30aに貫通している。
【0035】
上記構成によれば、水蒸気対流(循環)機構30の貫通孔30aは、
図8の(b)に示すように、遮熱パネル31とコンベクションパネル35とは、それぞれのバーリング31a,35a同士が嵌めあわされて形成されているため、当該遮熱パネル31とコンベクションパネル35との間に形成される隙間はバーリング31a,35aによって密封された状態となる。それゆえ、コンベクションパネル35側(加熱庫2a側)からの水蒸気や熱は、回転軸41を通して貫通孔30aに到達しても、遮熱パネル31とコンベクションパネル35との間に形成される空間から加熱調理器1の外部に逃げることができない。
【0036】
しかも、駆動用モータ40の回転軸41は、直接コンベクションファン34に接続されているため、当該駆動用モータ40の駆動力をコンベクションファン34に対して十分に伝えることができる。
【0037】
従って、上記構成の加熱調理器1は、コンベクションファン34の回転軸41に駆動力を十分に伝える構成であり、カラー42(回転軸41を含む)の外径とバーリング35aの内径を略同等にすれば、回転軸41を通して水蒸気および熱が漏れることを防止できる構成である。
【0038】
さらに、貫通孔30aの駆動用モータ40側に、
図8の(b)に示すように、回転軸41が貫通し、当該貫通孔30aを覆う耐熱樹脂からなる耐熱ワッシャ(ワッシャ)36が設けられている。具体的には、貫通孔30aの回転軸41側に、カラー42(回転軸41を含む)が貫通し、当該貫通孔30aを覆う耐熱樹脂からなる耐熱ワッシャ36が設けられていることで、カラー42(回転軸41を含む)の外径とバーリング35aの内径を略同等にしなくても、回転軸41と貫通孔30aとの隙間から水蒸気や熱が漏れるのを防ぐことができる。
【0039】
耐熱ワッシャ36としては、ポリイミドなどの耐熱温度(300℃)の高耐熱性の樹脂が材料として用いられる。具体的には、耐熱ワッシャ36として、カプトン(登録商標)ワッシャを用いる。
【0040】
なお、本実施形態では、貫通孔30aを構成している遮熱パネル31のバーリング31aの内径が、コンベクションパネル35のバーリング35aの外径よりも大きい例について説明したが、これに限定されるものではなく、遮熱パネル31のバーリング31aの外径が、コンベクションパネル35のバーリング35aの内径よりも小さくてもよい。要は、遮熱パネル31のバーリング31aと、コンベクションパネル35のバーリング35aとが嵌め合わされ、遮熱パネル31とコンベクションパネル35との間に形成される隙間から水蒸気および熱が逃げないようにすればよい。
【0041】
(耐熱ワッシャ)
耐熱ワッシャ36について
図9および
図10を参照しながら以下に説明する。
【0042】
耐熱ワッシャ36は、
図9に示すように、中心にカラー42の外形とほぼ同じ径の貫通孔36aが形成されており、遮熱パネル31のバーリング31a形成面とは反対側の面において、当該遮熱パネル31に形成された、4つの支持部材51によって支持されている。すなわち、耐熱ワッシャ36は、遮熱パネル31に形成された4つの支持部材51により、当該遮熱パネル31に対して所定の範囲内で移動自在に支持されている。
【0043】
上記構成によれば、耐熱ワッシャ36は、4つの支持部材51によって所定の範囲内で移動自在に支持されているので、駆動用モータ40の回転軸41の貫通孔30a内での変動(回転軸41の偏心による振動等)に追従することができる。これにより、回転軸41が貫通孔30a内で変動したとしても、耐熱ワッシャ36との干渉による異音の発生を抑制することができ、貫通孔30aと回転軸41との間に隙間が形成されることもないので、水蒸気や熱の漏れを確実に抑制することができる。また、回転軸41が貫通孔30aに直接接触することがないため、回転軸41が貫通孔30aに接触することに起因する異音も発生しない。
【0044】
なお、耐熱ワッシャ36は、ポリイミドのような高耐熱性を有する樹脂で形成されていれば、どのような樹脂であってもよい。つまり、耐熱ワッシャ36は、耐熱性を有し、且つ可撓性を有するのが好ましい。この可撓性を利用して、耐熱ワッシャ36を、支持部材51に対して着脱することができる。つまり、支持部材51によって、耐熱ワッシャ36を支持させる場合には、耐熱ワッシャ36を指で少し折曲げながら支持部材51同士の隙間に入れて、指を離す。一方、支持部材51によって支持された耐熱ワッシャ36を取り外すときには、当該耐熱ワッシャ36を指で少し折曲げながら支持部材51同士の隙間から取り出す。
【0045】
このように、耐熱ワッシャ36に可撓性を持たせ、且つ、支持部材51によって支持されたときに所定の範囲自在に移動可能であることで、上述した通り、耐熱ワッシャ36の着脱が容易になる。なお、耐熱ワッシャ36を支持する支持部材51の数は、4個に限定されるものではなく、少なくとも3個以上であればよい。
【0046】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0047】
前記実施形態1では、水蒸気および熱の漏れを防止するために、遮熱パネル31に形成されたバーリング31aと、コンベクションパネル35に形成されたバーリング35aとを嵌め合わせ、且つ、耐熱ワッシャ36を貫通孔30aに設けた例について説明したが、
図11に示すように、
図8の(b)から、耐熱ワッシャ36がない構成、すなわちバーリング31a・35aのみの構成であっても、少なくとも遮熱パネル31とコンベクションパネル35との間に形成される隙間から水蒸気および熱が漏れるのを防ぐ効果はある。
【0048】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0049】
前記実施形態2では、前記実施形態1に対して、耐熱ワッシャ36がない構成、すなわちバーリングのみの構成について説明したが、
図12に示すように、耐熱ワッシャ36のみの構成、すなわち、遮熱パネル31にバーリング31aが形成されず、且つ、コンベクションパネル35にバーリング35aが形成されない構成であっても、遮熱パネル31とコンベクションパネル35との間に形成される隙間へ水蒸気や熱が漏れるものの、貫通孔30aから水蒸気および熱が漏れるのを防ぐ効果はある。
【0050】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 加熱調理器
2 ケーシング
2a 加熱庫
2b 開口部
3 ドア
3b フレーム
4 ハンドル
5 表示操作部
6 ダイヤル
7 ボタン
8 表示パネル
10 制御部
10a 加熱制御部
10b 表示制御部
11 水蒸気発生部
12 レンジ加熱部
13 オーブン加熱部
14 冷却部
15 アンテナ回転駆動部
16 ポンプ駆動部
17 温度センサ
18 アンテナ
19 ポンプ
20 タンク
30 水蒸気対流(循環)機構
30a 貫通孔
31 遮熱パネル
31a バーリング
33 冷却ファン
34 コンベクションファン(送風ファン)
35 コンベクションパネル
35a バーリング
36 耐熱ワッシャ
36a 貫通孔
37 ワッシャ
38 ナット
39 コンベクションヒータ
40 駆動用モータ
41 回転軸(駆動軸)
42 カラー
43 ワッシャ
44 eリング
51 支持部材