(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20230905BHJP
H04N 1/21 20060101ALI20230905BHJP
G06V 30/14 20220101ALI20230905BHJP
G03B 27/62 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
H04N1/00 567L
H04N1/21
G06V30/14 340A
G03B27/62
(21)【出願番号】P 2019161548
(22)【出願日】2019-09-04
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】大浦 純一
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-234708(JP,A)
【文献】特開2006-113686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/21
G06T 1/00
G06V 30/10-30/32
G03B 27/50-27/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取る原稿読取機構と、
前記原稿読取機構により読み取られた原稿が排出される複数の排出先と、前記原稿の排出先を切り替える切替部とを有する排出部と、
前記原稿読取機構により読み取られた原稿を前記排出部に搬送する原稿搬送部と、
前記原稿読取機構による原稿読取で得られた原稿画像に含まれる文字の認識を行う文字認識部と、
前記文字認識部による認識結果に基づいて、前記原稿画像に含まれる仕分け先情報を検出する検出部と、
前記原稿画像を電子ファイルに変換する変換部と、
前記検出部により検出された前記仕分け先情報が示す仕分け先毎に、前記電子ファイルの保存先を区別して電子ファイル記憶部に保存する保存部と、
前記切替部の動作を制御し、前記仕分け先情報が示す仕分け先毎に区別した排出先に前記原稿を排出させる制御部と、を備え
、
前記制御部は、前記電子ファイル記憶部に前記電子ファイルを空き容量不足で保存できない場合に、前記切替部の動作を制御して、前記電子ファイル記憶部に保存されない前記電子ファイルに対応する前記原稿を、前記排出部が備える複数の排出先のうち、前記電子ファイル記憶部に保存された前記電子ファイルの排出先とは異なる予め定められた排出先に排出させる画像読取装置。
【請求項2】
前記文字認識部に文字認識を行わせる領域の指定を受け付ける領域受付部を更に備え、
前記文字認識部は、前記領域受付部により指定が受け付けられた領域について文字の認識を行う請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
原稿の画像を読み取る原稿読取機構と、
前記原稿読取機構により読み取られた原稿が排出される複数の排出先と、前記原稿の排出先を切り替える切替部とを有する排出部と、
前記原稿読取機構により読み取られた原稿を前記排出部に搬送する原稿搬送部と、
前記原稿読取機構による原稿読取で得られた原稿画像に含まれる文字の認識を行う文字認識部と、
前記文字認識部による認識結果に基づいて、前記原稿画像に含まれる仕分け先情報を検出する検出部と、
前記原稿画像を電子ファイルに変換する変換部と、
前記検出部により検出された前記仕分け先情報が示す仕分け先毎に、前記電子ファイルの保存先を区別して電子ファイル記憶部に保存する保存部と、
前記切替部の動作を制御し、前記仕分け先情報が示す仕分け先毎に区別した排出先に前記原稿を排出させる制御部と、を備え、
前記排出部は、前記原稿をシフト排出可能に構成され、
前記制御部は、前記電子ファイル記憶部に前記電子ファイルを空き容量不足で保存できない場合に、前記電子ファイル記憶部に保存されない前記電子ファイルに対応する前記原稿を、前記電子ファイル記憶部に保存された前記電子ファイルに対応する前記原稿に対して、前記排出部によりシフト排出させ
る画像読取装置。
【請求項4】
原稿の画像を読み取る原稿読取機構と、
前記原稿読取機構により読み取られた原稿が排出される複数の排出先と、前記原稿の排出先を切り替える切替部とを有する排出部と、
前記原稿読取機構により読み取られた原稿を前記排出部に搬送する原稿搬送部と、
前記原稿読取機構による原稿読取で得られた原稿画像に含まれる文字の認識を行う文字認識部と、
前記文字認識部による認識結果に基づいて、前記原稿画像に含まれる仕分け先情報を検出する検出部と、
前記原稿画像を電子ファイルに変換する変換部と、
前記検出部により検出された前記仕分け先情報が示す仕分け先毎に、前記電子ファイルの保存先を区別して電子ファイル記憶部に保存する保存部と、
前記切替部の動作を制御し、前記仕分け先情報が示す仕分け先毎に区別した排出先に前記原稿を排出させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記原稿の仕分け数が予め定められた閾値を超過して、前記原稿の排出先を新たな仕分け先に排出できない場合、前記切替部の動作を制御して、前記新たな仕分け先に排出できない原稿を、前記排出部が備える複数の排出先のうち、前記電子ファイル記憶部に保存された前記電子ファイルに対応する前記原稿の排出先とは異なる、予め定められた特定の排出先に排出させ
る画像読取装置。
【請求項5】
前記制御部が、前記原稿の仕分け数が前記閾値を超過して、前記新たな仕分け先に排出できない特定原稿を前記特定の排出先に排出させたとき、
前記保存部は、前記特定原稿が排出された前記排出先に先に排出されている前記原稿に対応する前記電子ファイルを保存しているフォルダーに、前記特定原稿に対応する前記電子ファイルを保存すると共に、当該フォルダーの名称に、前記特定原稿に対応する前記電子ファイルが保存されていることを示す情報を含ませる請求項
4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
請求項1乃至請求項
5のいずれかに記載の画像読取装置と、を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び画像形成装置に関し、特に、原稿を仕分けるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
排出ビン(排出トレイ)を複数備える複写機や複合機等において、原稿の種類を判別し、原稿を種類毎に区別して排出ビンに排出する技術が知られている。下記の特許文献1乃至3には、例えば、白紙原稿と、白紙でない原稿とを区別して、排出ビンに排出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平07-010362号公報
【文献】特開2008-028782号公報
【文献】特開2009-062136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、複数の診療科を有する医療施設で使用される書類(例えば、カルテ)には、診療科名が記載されているものがある。また、企業等で作成される書類には、書類作成者の所属部署名が記載されることが多い。これら書類を、書類に記載されている仕分け先情報(例えば、診療科名や所属部署名)に基づいて、仕分け先毎に自動で仕分けることができれば、仕分け作業の手間は大幅に削減される。
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1乃至3に記載された技術は、例えば、白紙原稿を再利用するためのもので、原稿に記載された文字列(例えば、診療科名や所属部署名)に応じて、原稿を仕分けることはできない。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、原稿に含まれる仕分け先情報に基づいて、原稿自体及び当該原稿の電子データを正確に仕分けて保存することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る画像読取装置は、原稿の画像を読み取る原稿読取機構と、前記原稿読取機構により読み取られた原稿が排出される複数の排出先と、前記原稿の排出先を切り替える切替部とを有する排出部と、前記原稿読取機構により読み取られた原稿を前記排出部に搬送する原稿搬送部と、前記原稿読取機構による原稿読取で得られた原稿画像に含まれる文字の認識を行う文字認識部と、前記文字認識部による認識結果に基づいて、前記原稿画像に含まれる仕分け先情報を検出する検出部と、前記原稿画像を電子ファイルに変換する変換部と、前記検出部により検出された前記仕分け先情報が示す仕分け先毎に、前記電子ファイルの保存先を区別して電子ファイル記憶部に保存する保存部と、前記切替部の動作を制御し、前記仕分け先情報が示す仕分け先毎に区別した排出先に前記原稿を排出させる制御部と、を備える。
【0008】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、上記画像読取装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、原稿に含まれる仕分け先情報に基づいて、原稿を電子ファイル化した電子ファイルが仕分け先毎に保存先を区別して保存されると共に、原稿自体が仕分け先毎に排出先を区別して排出部に排出されるため、原稿自体及び当該原稿の電子データを、仕分け先情報が示す仕分け先別に正確に仕分けて保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構造を示す図である。
【
図3】電子ファイル記憶部に作成されるフォルダーの一例を示した図である。
【
図4】画像形成装置における原稿仕分け処理の第1実施形態の一例を示したフローチャートである。
【
図5】原稿載置台に載置された原稿に含まれる仕分け先情報の一例を示した図である。
【
図6】仕分け先情報と整理番号との関係の一例を説明するための説明図である。
【
図7】画像形成装置における原稿仕分け処理の第2実施形態の一例を示したフローチャートである。
【
図8】仕分け先情報と整理番号との関係の一例を説明するための説明図である。
【
図9】画像形成装置における原稿仕分け処理の第3実施形態の一例を示したフローチャートである。
【
図10】画像形成装置における原稿仕分け処理の第4実施形態の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る画像読取装置及び画像形成装置について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。
図2は、画像形成装置の構造を示す図である。
【0012】
本発明に係る画像読取装置の一実施形態としての画像形成装置1の一例を説明する。本発明に係る画像読取装置の一実施形態に、画像形成動作に必要な機構を追加したものが画像形成装置1である。
【0013】
画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、およびファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機であって、装置本体50と、後処理装置200とを備えている。後処理装置200は、装置本体50の排出口191から排出された画像形成済みの記録紙Pを、用紙受入口211で受け入れるように装置本体50に接続されている。装置本体50と後処理装置200とは図略の通信ケーブルで接続されており、互いにデータの通信が可能である。
【0014】
まず、画像形成装置1の装置本体50側の構成について説明する。画像形成装置1は、装置本体50に、操作部47、画像形成部12、定着部13、給紙部14、原稿給送部6、および原稿読取部5等を備えて構成されている。
【0015】
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作および処理ついて、ユーザーからの指示を受け付ける。
【0016】
画像形成装置1が原稿読取動作を行う場合、原稿給送部6により給送されてくる原稿または原稿載置ガラス161に載置された原稿の画像を原稿読取部5が光学的に読み取る。
【0017】
画像形成装置1が画像形成動作を行う場合、上記の原稿読取動作で得られた原稿画像、ネットワーク接続されたコンピューターから受信した画像データが示す画像に基づいて、画像形成部12が、給紙部14から給紙される記録紙Pに画像を形成する。画像形成部12の画像形成ユニット12M、12C、12Y、および12Bkは、感光体ドラム121と、感光体ドラム121へトナーを供給する現像装置122と、トナーを収容するトナーカートリッジ(不図示)と、帯電装置123と、露光装置124と、1次転写ローラー126とをそれぞれ備えている。
【0018】
カラー印刷を行う場合、画像形成部12のマゼンタ用の画像形成ユニット12M、シアン用の画像形成ユニット12C、イエロー用の画像形成ユニット12Y、およびブラック用の画像形成ユニット12Bkは、それぞれの色成分からなる画像に基づいて、帯電、露光および現像の工程により感光体ドラム121上にトナー像を形成し、トナー像を1次転写ローラー126により、駆動ローラー125Aおよび従動ローラー125Bに張架されている中間転写ベルト125上に転写させる。
【0019】
中間転写ベルト125は、その外周面にトナー像が転写される像担持面が設定され、感光体ドラム121の周面に当接した状態で駆動ローラー125Aによって駆動される。中間転写ベルト125は、各感光体ドラム121と同期しながら、駆動ローラー125Aと従動ローラー125Bとの間を無端走行する。
【0020】
中間転写ベルト125上に転写される各色のトナー画像は、中間転写ベルト125上で重ね合わされ、カラーのトナー像となる。2次転写ローラーは、中間転写ベルト125の表面に形成されたカラーのトナー像を、中間転写ベルト125を挟んで駆動ローラー125Aとのニップ部において、搬送路190の適所に設けられた搬送ローラー対192により給紙部14から搬送されてきた記録紙Pに転写させる。この後、定着部13が、記録紙P上のトナー像を熱圧着により記録紙Pに定着させる。定着処理の完了した画像形成済みの記録紙Pは、排出ローラー対159により排出口191から排出され、後処理装置200の用紙受入口211に供給される。
【0021】
続いて、画像形成装置1の後処理装置200側の構成について説明する。後処理装置200は、パンチ部226、ステイプル部227、ブック綴じ部228、メイントレイ(積載トレイ)230、サブトレイ(積載トレイ)240、およびメールボックス(仕分け装置)300等を備えて構成されている。
【0022】
排出口191から後処理装置200の用紙受入口211に供給された記録紙Pは、搬送路290の適所に設けられた搬送ローラー対292により搬送される。当該搬送された記録紙Pは、後処理装置200内の所定の位置で、パンチ部226、ステイプル部227、ブック綴じ部228等により後処理が施される。
【0023】
また、搬送路290には搬送分岐ガイド251、252が設けられている。搬送分岐ガイド251は、後述する制御ユニット10の制御部100(
図3参照)による制御のもと、記録紙Pの搬送方向を排紙ローラー対231側と搬送分岐ガイド251側とに切り替える。搬送分岐ガイド251により搬送方向が排紙ローラー対231側に切り替えられた場合、搬送ローラー対292により搬送された記録紙Pは、排紙ローラー対231により排紙口232から排紙される。排紙口232の下方にはメイントレイ230が設けられており、排紙口232から排紙された記録紙Pは、メイントレイ230に積載される。
【0024】
メイントレイ230は、昇降部233を備えている。昇降部233は、不図示の駆動源から付与される駆動力により回動する2つのプーリー234と、当該2つのプーリー234に張架されてプーリー234の回動に伴って回動するベルト235とを備えている。メイントレイ230は、その側部がベルト235に取り付けられており、排紙された用紙束の上面が適当な高さになるように昇降部233により昇降される。
【0025】
搬送分岐ガイド251により搬送方向が搬送分岐ガイド252側に切り替えられた場合、記録紙Pは、搬送ローラー対292により搬送路290の搬送分岐ガイド252が設けられた位置まで搬送される。搬送分岐ガイド252は、制御ユニット10の制御部100による制御のもと、記録紙Pの搬送方向を排紙ローラー対241側と排出部7側とに切り替える。搬送分岐ガイド252により搬送方向が排紙ローラー対241側に切り替えられた場合、搬送ローラー対292により搬送された記録紙Pは、排紙ローラー対241により排紙口242から排紙される。排紙口242の下方にはサブトレイ240が設けられており、排紙口242から排紙された記録紙Pは、サブトレイ240に積載される。
【0026】
一方、搬送分岐ガイド252により搬送方向が排出部7側に切り替えられた場合、搬送ローラー対292により搬送された記録紙Pは、排出部7に搬送される。
【0027】
排出部7は、複数の仕分けトレイからなるトレイ群70と切替部8とを備えている。
図2に示す例では、トレイ群70は、排出ビン71、排出ビン72、排出ビン73、排出ビン74、排出ビン75、排出ビン76、排出ビン77、排出ビン78、および排出ビン79の9つのトレイからなる。
【0028】
切替部8は、不図示の駆動源から付与される駆動力により回動する2つのプーリー304と、当該2つのプーリー304に張架されてプーリー304の回動に伴って回動するベルト305とを備え、排出部7において排紙先を切り替える切替機構として機能する。具体的には、切替部8は、制御ユニット10の制御部100による制御のもと、排出ビン71~79を昇降させることで、排紙ローラー対301により排紙口302から排紙された記録紙Pを、排出ビン71~79の何れかに選択的に積載させる。
【0029】
画像形成装置1は、更に手差し排出トレイ710を備えている。手差し排出トレイ710から排出部7まで搬送路195、196、290により接続されている。手差し排出トレイ710に載置された記録紙は、制御部100による動作制御の下、搬送路195、196、290に設けられた各搬送ローラーにより、中間転写ベルト125を挟んだ2次転写ローラー及び駆動ローラー125Aのニップ部を経て、排出部7まで搬送される。これにより、手差し排出トレイ710に載置された記録紙Pに対する画像形成が可能に構成されている。
【0030】
また、原稿給送部6は、搬送路603,607,602、複数の搬送ローラー対605、搬送路切換機構604,601、原稿センサー712、原稿台610、スキャナー608、及びピックアップローラー606を備えている。複数の搬送ローラー対605、搬送路切換機構604,601、原稿センサー712、スキャナー608、及びピックアップローラー606は、制御部100により駆動制御される。搬送路切換機構604は、一端が原稿台610に繋がる搬送路603を搬送路607又は搬送路602のいずれに繋げるかを切り換える。
【0031】
スキャナー608は、制御部100による制御の下で、原稿台610に載置されて搬送される原稿の画像を読み取る例えばCISからなる画像読取装置である。
【0032】
画像形成装置1のコピー動作時等に原稿読取部5が原稿台610上の原稿の画像を読み取る場合、制御部100は、搬送路603が搬送路607に繋がるように搬送路切換機構604の姿勢を回転させておき、更に、ピックアップローラー606を駆動して回転させる。ピックアップローラー606により1枚ずつピックアップされる原稿台610上の原稿は、搬送路603に案内されて搬送ローラー対605により搬送され、搬送路切換機構604の位置において、原稿排出トレイ611に繋がる搬送路607の方向に搬送方向を切り換える。搬送路607に案内された原稿は、移動原稿読取位置612において原稿読取部5により画像が読み取られる。画像が読み取られた当該原稿は、搬送ローラー対605により原稿排出トレイ611に排出される。
【0033】
一方、画像形成装置1により原稿仕分け処理が行われる際に原稿給送部6が原稿台610上の原稿を後処理装置200まで搬送する場合、制御部100は、搬送路603が搬送路602に繋がるように搬送路切換機構604の姿勢を回転させておき、ピックアップローラー606を駆動して回転させる。ピックアップローラー606により1枚ずつピックアップされる原稿台610上の原稿は、搬送路603に案内されて搬送ローラー対605により搬送され、スキャナー608により原稿上の画像が読み取られ、搬送路切換機構604の位置において、後処理装置200の用紙受入口211に繋がる搬送路602の方向に搬送方向を切り換える。搬送路602に案内された原稿は、更なる搬送路切換機構601により搬送方向が用紙受入口211の方向に切り換えられる。用紙受入口211に案内された原稿は、制御部100による制御の下、後処理装置200内の機構により、排出部7まで搬送される。排出部7まで搬送された原稿は、記録紙Pと同様にして、制御部100による制御の下で切替部8により排出ビン71~79の何れかに選択的に積載される。
【0034】
なお、搬送路切換機構601は、制御部100による制御で、装置本体50内において排出ローラー対159よりも記録紙搬送方向下流側に設けられている搬送路を搬送路801又は用紙受入口211のいずれに向けて案内するかを切り換え可能に姿勢が変化する構成とされている。
【0035】
原稿センサー62は、例えば光学センサーからなり、原稿台610に載置されている原稿に対して発光した光の当該原稿での反射光が得られた場合に原稿ありを示す信号を制御部100に向けて出力し、当該反射光が得られない場合に原稿なしを示す信号を制御部100に向けて出力することで、原稿台610に原稿が載置されていること(原稿の有無)を検知し、その検知結果を制御部に出力する。
【0036】
なお、このように原稿給送部6が原稿を後処理装置200まで搬送する場合、原稿給送部6と、原稿給送部6により搬送される原稿を用紙受入口211まで案内する装置本体50内の搬送路及び搬送ローラー対は、特許請求の範囲における原稿読取機構の一例となる。
【0037】
本実施形態では、更なる原稿読取機構700として、手差し排出トレイ710、スキャナー711、及び原稿センサー712を備えている。そして、本実施形態では、手差し排出トレイ710にはユーザーにより原稿が載置され、当該原稿が上記搬送ローラーにより排出部7まで搬送される。手差し排出トレイ710及び搬送ローラーにより、ADF(Auto Document Feeder)としての機能が発揮される。なお、手差し排出トレイ710から搬送される原稿を用紙受入口211まで案内する装置本体50内の搬送路及び搬送ローラー対も、原稿読取機構700の一部となる。
【0038】
スキャナー711は、制御部100による制御の下で、手差し排出トレイ710に載置されて搬送される原稿の画像を読み取る例えばCISからなる画像読取装置である。原稿センサー712は、例えば光学センサーからなり、手差し排出トレイ710に載置されている原稿に対して発光した光の当該原稿での反射光が得られた場合に原稿ありを示す信号を制御部100に向けて出力し、当該反射光が得られない場合に原稿なしを示す信号を制御部100に向けて出力することで、手差し排出トレイ710に原稿が載置されていること(原稿の有無)を検知し、その検知結果を制御部に出力する。搬送路195、196、290に設けられた各搬送ローラーは、特許請求の範囲における原稿搬送部の一例である。排出部7まで搬送された原稿は、記録紙Pと同様にして、制御部100による制御の下で切替部8により排出ビン71~79の何れかに選択的に積載される。
【0039】
図1に示すように、画像形成装置1は、制御ユニット10、原稿給送部6、原稿読取部5、原稿読取機構700、原稿搬送部としての上記搬送ローラー、画像形成部12、HDD(Hard Disk Drive)111と、定着部13、給紙部14、排出部7、切替部8、操作部47、及びネットワークインターフェイス部91を備える。
【0040】
HDD111は、大容量の記憶装置であり、電子ファイル記憶部112を含む。電子ファイル記憶部112は、原稿画像を電子ファイル化した電子ファイルを記憶し、電子ファイル記憶部112には、複数のフォルダーが作成されている。画像形成装置1が医療施設で使用される場合、電子ファイル記憶部112には、例えば、
図3に示すように、診療科名をその名称とするフォルダーF1乃至F11が作成される。フォルダーF1には「内科」の名称が付けられ、フォルダーF2には「消化器内科」の名称が付けられている。
【0041】
表示部473はタッチパネル機能を有しており、操作者は画面表示されるボタンやキーに触れて画像形成装置1を操作することができる。
【0042】
ネットワークインターフェイス部91は、ローカルエリア内、又はインターネット上の外部装置20と種々のデータの送受信を行うものである。
【0043】
制御ユニット10は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。制御ユニット10は、制御部100と、文字認識部101と、検出部102と、操作受付部103と、変換部105と、保存部106と、を備えている。
【0044】
制御ユニット10は、HDD111等に記憶されている制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、制御部100、文字認識部101、検出部102、操作受付部103、変換部105、及び保存部106として機能するものである。但し、制御部100等は、制御ユニット10による制御プログラムに従った動作によらず、それぞれハードウェア回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
【0045】
制御部100は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御部100は、原稿給送部6、原稿読取部5、原稿読取機構700、上記搬送ローラー、画像形成部12、HDD111、定着部13、給紙部14、排出部7、切替部8、操作部47、及びネットワークインターフェイス部91と接続され、これら各部の駆動制御等を行う。
【0046】
文字認識部101は、原稿読取機構700による読み取りで得られた原稿画像に基づいて、既存のOCR(Optical Character Recognition)技術により、当該原稿画像に含まれる文字画像の認識を行い、当該原稿画像に含まれる文字画像をキャラクター化する。
【0047】
検出部102は、文字認識部101による認識結果としてのキャラクター群から、原稿の仕分け先情報を検出する。仕分け先情報は、原稿を複数の仕分け先に仕分ける際に仕分け先を示すキーワードである。検出部102は、各仕分け先を示すそれぞれのキーワードを記憶している。検出部102は、例えば、キーワードとして、診療科名を示す各科の名称(例えば
図3に示す内科~脳神経内科)を記憶している場合に、原稿画像において、仕分け先を示す語が記載されているとして予め定められた位置に、記憶している仕分け先情報としてのキャラクターに一致するキャラクターを検出したときは、当該一致するキャラクターを仕分け先情報として検出する。検出部102は、上記予め定められた位置に、仕分け先情報としてのキャラクターに一致するキャラクターとして「消化器内科」を検出したときは、当該「消化器内科」を仕分け先情報として検出する。
【0048】
上記予め定められた位置は、原稿のフォーマットに応じて設定される。例えば、病院のカルテのフォーマットの場合、診療科名を記載する項目の領域を上記予め定められた位置として設定することにより、診療科別に原稿の区分が可能となる。検出部102は、上記予め定められた位置についてのみ、文字認識を行えば足りるので、文字認識の処理時間の短縮化を図ることができると共に、仕分け先情報の検出精度を高めることもできる。
【0049】
操作受付部103は、操作部47を介したユーザーからの操作入力を受け付ける。操作受付部103は、特許請求の範囲における領域受付部の一例である。操作受付部103は、操作部47が備えるハードキーに対するユーザー操作を受け付け、更には、表示部473に表示されている操作画面に対するユーザー操作(タッチ操作)を、表示部473が有するタッチパネル機能により受け付ける。
【0050】
操作受付部103は、更に、文字認識部101に文字認識を行わせる領域のユーザーによる指定を受け付ける。当該領域を指定する方法としては、(1)原稿の画像における領域を示す座標をユーザーが操作部47を操作して入力し、当該座標が示す領域を操作受付部103が受け付ける、又は、(2)ユーザーが表示部473の操作画面上で2点を指定すると、タッチパネル機能により、当該2点を結ぶ直線を対角線とする矩形領域を操作受付部103が受け付ける、といった方法が採用される。
【0051】
変換部105は、原稿読取機構700による読み取りで得られた原稿画像を例えばJPEG又はPDF等の型式からなる電子ファイルに変換する。
【0052】
保存部106は、検出部102により検出された仕分け先情報が示す仕分け先毎に、変換部105により電子ファイル化された電子ファイルの保存先を区別して電子ファイル記憶部112に保存する。例えば、保存部106は、仕分け先情報が「消化器内科」であれば、当該原稿に対応する電子ファイルを電子ファイル記憶部112における「消化器内科」に対応するフォルダー(
図3の例ではフォルダーF2)に保存する。
【0053】
次に、画像形成装置1における原稿仕分け処理の第1実施形態を、
図4に示したフローチャートに基づいて説明する。なお、この処理は、操作受付部103が、ユーザーによる操作部47の操作で「原稿仕分け」の指示を受け付け、制御部100が画像形成装置1のモードを原稿仕分けモードに設定しているときに行われる。例えば、ユーザーが複数枚の原稿(ここでは、カルテを例にして説明する)を原稿台610(原稿読取機構700による場合は手差し排出トレイ710)に載置し、操作部47に設けられている図略のスタートボタンを押下して原稿読取指示を入力したときに、以下に説明する原稿仕分け処理が開始される。以下では、原稿給送部6と、原稿給送部6により搬送される原稿を用紙受入口211まで案内する装置本体50内の搬送路及び搬送ローラー対が原稿読取機構となって原稿読取を行う場合を例にして説明する。なお、原稿読取機構700による原稿読取で原稿仕分け処理を行う場合における原稿読取機構700各部の動作は括弧内に示す。
【0054】
当該原稿仕分け処理が開始されるとき、まず、制御部100は、初期設定としてパラメーターiを0にし(S1)、その後、原稿センサー62(原稿読取機構700による場合は原稿センサー712)から得られる情報に基づいて、原稿台610(原稿読取機構700による場合は手差し排出トレイ710)に原稿が存在するか否かを判断する(S2)。
【0055】
制御部100は、原稿台610(原稿読取機構700による場合は手差し排出トレイ710)に原稿が存在すると判断した場合(S2でYES)、原稿台610(原稿読取機構700による場合は手差し排出トレイ710)に載置されている各原稿(仕分け対象の原稿)をそれぞれ、スキャナー608(原稿読取機構700による場合はスキャナー711)によりそれぞれに読み取らせ(S4)、スキャナー608(原稿読取機構700による場合はスキャナー711)による各原稿の読み取りで得られたそれぞれの原稿画像を図略の画像メモリーに記憶させる。
【0056】
続いて、変換部105は、スキャナー608(原稿読取機構700による場合はスキャナー711)による読み取りで得られた各原稿画像をそれぞれ電子ファイルに変換する(S5)。続いて、文字認識部101は、上記各原稿のそれぞれの原稿画像について、操作受付部103が指定を受け付けた領域に対して文字認識処理を行う(S6)。そして、検出部102は、文字認識部101による認識結果に基づいて、各原稿画像に含まれる仕分け先情報をそれぞれ検出する(S7)。
【0057】
図5は、原稿台610に載置された原稿に含まれる仕分け先情報の一例を示した図である。
図5に示す例では、原稿が原稿台610に載置されている場合、検出部102は、1、2及び4枚目の原稿については仕分け先情報として「消化器内科」を検出し、3、5及び8枚目の原稿については仕分け先情報として「外科」を検出し、7枚目の原稿については仕分け先情報として「眼科」を検出し、9、10及び12枚目の原稿については仕分け先情報として「内科」を検出し、11枚目の原稿については仕分け先情報として「麻酔科」を検出している。
【0058】
S7において、検出部102が、原稿に含まれる仕分け先情報を検出した後、制御部100は、検出部102により検出された仕分け先情報が、今回の原稿読取において、最初に検出された仕分け先情報であるか否かを判断する(S8)。
図5に示す例では、1、3、6,7、9及び11枚目の原稿について検出部102が検出した仕分け先情報が、今回の読取で最初に検出された仕分け先情報となる。例えば、2枚目の原稿について検出部102が検出した仕分け先情報(消化器内科)は、既に1枚目の原稿について検出部102が同じ仕分け先情報(消化器内科)を検出しているため、最初に検出された仕分け先情報ではない。
【0059】
制御部100は、検出部102により検出された仕分け先情報が、最初に検出された仕分け先情報であると判断した場合(S8でYES)、パラメーターiに1をインクリメントし(S9)、最初に検出された仕分け先情報(ここでは、診療科名)についてその整理番号をパラメーターiに設定する(S10)。これにより、例えば、
図5に示したような順で複数枚の原稿が原稿台610(原稿読取機構700による場合は手差し排出トレイ710)に載置されている場合、
図6に示すように、最初に検出された各仕分け先情報について、検出された順に「1」乃至「6」の整理番号が設定される。
【0060】
続いて、保存部106は、検出部102により検出された仕分け先情報に基づいて、変換部105の変換により電子ファイル化された原稿の電子ファイルを保存するためのフォルダー(保存先となるフォルダー)が、既に電子ファイル記憶部112に存在するか否かを判断する(S11)。
【0061】
保存部106は、保存先となるフォルダーが存在すると判断した場合(S11でYES)、保存先となるフォルダーに当該電子ファイルを保存する(S12)。
【0062】
例えば、電子ファイルの仕分け先情報が「消化器内科」である場合、当該電子ファイルを保存するためのフォルダーF2が存在するので、保存部106は、当該電子ファイルをフォルダーF2に保存する。
【0063】
一方、保存部106は、保存先となるフォルダーが存在しないと判断した場合(S11でNO)、当該電子ファイルを保存するためのフォルダーを電子ファイル記憶部112に作成し(S13)、当該作成したフォルダー(保存先となるフォルダー)に当該電子ファイルを保存する(S12)。
【0064】
例えば、
図3の例では、電子ファイルの仕分け先情報が「麻酔科」である場合、当該電子ファイルを保存するためのフォルダーが存在しないので、保存部106は、名称が「麻酔科」となるフォルダーを電子ファイル記憶部112に作成し、当該作成したフォルダーに当該電子ファイルを保存する。
【0065】
また、S8において、制御部100が、検出部102により検出された仕分け先情報が、最初に検出された仕分け先情報でないと判断した場合(S8でNO)、保存先となるフォルダーに電子ファイルを保存する(S12)。
【0066】
続いて、制御部100は、切替部8の動作を制御して、S7において検出された仕分け先情報に設定された整理番号(例は
図6)に基づいて、同一の整理番号が設定されている排出ビン(排出ビン71乃至79のいずれか)に仕分け対象の原稿を排出させる(S14)。その後、処理はS2に移る。ここでは、排出ビン71には整理番号1が設定され、以下順に、排出ビン72には整理番号2、排出ビン73には整理番号3、…排出ビン79には整理番号9が設定されている。
【0067】
制御部100は、各排出ビンについて上記整理番号を記憶している。制御部100は、仕分け先情報が「消化器内科」である場合、整理番号は「1」なので、第1段目の排出ビン71に原稿を排出させ、仕分け先情報が「外科」である場合、整理番号は「2」なので、第2段目の排出ビン72に原稿を排出させる。
【0068】
S2において、制御部100は、原稿台610(原稿読取機構700による場合は手差し排出トレイ710)に原稿が存在しないと判断した場合(S2でNO)、読み取った原稿の枚数と同じ数だけの電子ファイルについてS12におけるフォルダーへの保存を完了し、S14における原稿排出を完了しているかを判断し(S15)、これらが完了していると判断した場合に(S15でYES)、処理を終了する。
【0069】
上記第1実施形態によれば、原稿(例えば、カルテ)に含まれる仕分け先情報(例えば、診療科名)に基づいて、各原稿を電子ファイル化したそれぞれの電子ファイルが仕分け先毎に保存先を区別して保存されると共に、原稿が仕分け先毎に排出先を区別して排出部7に排出される。このため、仕分け先情報(例えば、診療科名)に基づいて、原稿自体及び当該原稿の電子データを正確に仕分けて保存することができる。
【0070】
ところで、電子ファイルが多くなり、空き容量が足りなくなると、電子ファイル記憶部112に電子ファイルを保存できなくなる。そこで、第2実施形態では、
図7に示すように、S12の後に、制御部100が、保存部106による電子ファイルの保存が成功したか否かを判断するようにする(S21)。
【0071】
制御部100は、電子ファイルの保存が空き容量不足により成功していないと判断した場合(S21でNO)、切替部8の動作を制御して、電子ファイル記憶部112に保存されない電子ファイルに対応する原稿を、排出部7の予め定められた位置の排出先(保存が成功した電子ファイルとは異なる排出先。全ての排出ビンを保存が成功した電子ファイルの排出先として既に使用している場合は、最下段の排出ビン79。この場合、電子ファイル記憶部112に保存されない電子ファイルに対応する原稿を、電子ファイル記憶部112に保存された電子ファイルに対応する原稿と同じ排出ビンに排出することになる)に排出させる(S22)。この後、処理はS2に移る。
【0072】
一方、制御部100は、電子ファイルの保存が成功したと判断した場合(S21でYES)、上記第1実施形態と同様に、切替部8の動作を制御して、S7において検出部102が検出した仕分け先情報の整理番号(
図6)と同一の整理番号が設定された排出ビンに仕分け対象の原稿を排出させる(S14)。この後、処理はS2に移る。
【0073】
これにより、電子ファイル記憶部112に保存されない電子ファイルに対応する原稿が、特定の排出先(排出ビン)に排出されるため、ユーザーは、電子ファイル記憶部112に保存されない電子ファイルに対応する原稿を、電子ファイル記憶部112に保存された電子ファイルに対応する原稿とは区別して把握することが容易になる。
【0074】
なお、上記第2実施形態では、電子ファイル記憶部112に保存されない電子ファイルに対応する原稿を、排出部7の上記予め定められた位置の排出先に排出する場合について説明しているが、別の実施形態として、排出部7が原稿をシフト排出可能な構成を備え、制御部100が、保存が成功した電子ファイルに対応する原稿の排出先と同じいずれかの排出先に、排出部7により原稿をシフト排出させてもよい。シフト排出とは、原稿の排出時に、原稿排出時における原稿の搬送方向(又は当該搬送方向に直交する方向)において、電子ファイル記憶部112に保存されない電子ファイルに対応する原稿の排出位置を、保存が成功した電子ファイルに対応する原稿とはずらして排出ビンに配置する排出である。このシフト排出により、電子ファイル記憶部112に保存されない電子ファイルに対応する原稿を、保存が成功した電子ファイルに対応する原稿とは区別して排出部7に排出する。
【0075】
また、仕分け先数が多くなると、原稿の排出先を仕分け先毎に区別することが困難になる。例えば、仕分け先数が、本実施形態における排出部7の排出ビンの総段数(9段)を超えると、原稿の排出先を仕分け先毎に区別することはできない。例えば、
図8に示すように、整理番号が「10」に設定された仕分け先情報が「脳神経外科」の原稿や、整理番号が「11」に設定された仕分け先情報が「泌尿器科」の原稿の排出先を区別することはできない。
【0076】
そこで、第3実施形態として、
図9に示すように、S12の後に、制御部100は、仕分け対象の原稿の整理番号が予め定められた閾値TH1(例えば、排出ビンの総段数)を超過しているか否かを判断する(S31)。
【0077】
制御部100は、整理番号が閾値TH1を超過していると判断した場合(S31でYES)、切替部8の動作を制御して、整理番号が閾値TH1を超過している原稿を、排出部7の予め定められた位置の排出先(例えば、最下段の排出ビン79)に排出させる(S32)。この後、処理はS2に移る。
【0078】
これにより、整理番号が「9」である「放射線科」の原稿だけでなく、整理番号が「10」である「脳神経外科」の原稿、更には、整理番号が「11」である「泌尿器科」の原稿についても、排出部7の最下段(9段目)の排出ビン79に排出される。
【0079】
一方、制御部100は、整理番号が閾値TH1を超過していないと判断した場合(S31でNO)、上記第1実施形態と同様に、切替部8の動作を制御して、S7において検出部102が検出した仕分け先情報の整理番号(
図8)と同一の整理番号が設定された排出ビンに仕分け対象の原稿を排出させる(S14)。この後、処理はS2に移る。
【0080】
これにより、仕分け数が排出ビンの総段数より多くなり、原稿を仕分け先毎に仕分けできなくなる場合であっても、仕分けできない原稿については、最下段の排出ビン79にまとめられるので、その他の原稿と混在するのを極力回避することが可能となる。
【0081】
なお、上記第3実施形態として、後処理装置200又は画像形成装置1内に原稿をストックする場所を新たに設け、原稿を読み取る度に当該原稿を当該場所にストックしておき、原稿台610(原稿読取機構700による場合は手差し排出トレイ710)に載置されている全ての原稿を読み終わった後に、原稿の排出を行うことが好ましい。これにより、仕分け数が排出ビンの総段数よりも多くなるか否かを、原稿の排出前に判別して、確実に、仕分けできない原稿を、最下段の排出ビン79にまとめることができる。
【0082】
また、第4実施形態として、原稿の仕分け先数が排出部7の排出ビンの総段数(9段)を超過すると、例えば、制御部100は、整理番号が「10」である「脳神経外科」の原稿を、整理番号が「1(=10-9)」である「消化器内科」の原稿が排出される排出ビン71に排出すると共に、保存部106は、当該「脳神経外科」の原稿に対応する電子ファイルを、「消化器内科」の原稿に対応する電子ファイルを保存するフォルダーF2に保存し、更に、「脳神経外科」の原稿に対応する電子ファイルが、「消化器内科」が保存されるフォルダーF2に一緒に保存されていることが分かるように、フォルダーF2の名称を変更する。例えば、保存部106は、フォルダーF2の名称を「消化器内科/脳神経外科」に変更する。
【0083】
画像形成装置における原稿仕分け処理の上記第4実施形態を
図10に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、ここでは
図4に示したフローチャートと異なる部分についてのみ説明する。
【0084】
S10の後に、制御部100は、検出部102により最初に検出された仕分け先情報の整理番号が予め定められた閾値TH2(例えば、排出ビンの総段数)を超過しているか否かを判断し(S41)、整理番号が閾値TH2を超過していると判断した場合(S41でYES)、整理番号から閾値TH2を差し引いた値をパラメーターNに設定する(S42)。保存部106は、整理番号Nと同一の整理番号iが設定された仕分け先情報の原稿の原稿画像の電子ファイルを保存するとして設定されているフォルダーの名称を、整理番号Nが設定された仕分け先情報の原稿の原稿画像の電子ファイルも保存されていることを示す名称に変更する(S43)。この後、処理はS12に移る。
【0085】
例えば、新規に検出された仕分け先情報の整理番号が「10」の場合、整理番号が「1(=10-9)」である「消化器内科」の原稿に対応する電子ファイルを保存するフォルダーF2の名称が保存部106により「消化器内科/脳神経外科」に変更され、新規に検出された仕分け先情報の整理番号が「11」の場合、整理番号が「2(=11-9)」である「外科」の原稿に対応する電子ファイルを保存するフォルダーF4の名称が保存部106により「外科/泌尿器科」に変更される。そして、保存部106は、保存先となるフォルダーに当該電子ファイルを保存する(S12)。
【0086】
続いて、制御部100は、切替部8の動作を制御して、S7において検出部102が検出した仕分け先情報に設定された整理番号(
図8)と同一の整理番号が設定されている排出ビン(排出ビン71乃至79のいずれか)に仕分け対象の原稿を排出させる(S14)。この後、処理はS2に移る。但し、整理番号が閾値TH2を超過している場合、制御部100は、閾値THを差し引いて設定する上記整理番号Nと同一の整理番号が設定されている排出ビンに仕分け対象の原稿を排出させる。
【0087】
本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明に係る画像読取装置の一実施形態として画像形成装置を用いて説明しているが、これは一例に過ぎず、画像形成機能を有していない他の装置も、本発明に係る画像読取装置の一実施形態になり得る。
【0088】
また、上記実施形態では、
図1乃至
図10を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0089】
1 画像形成装置
6 原稿給送部
602,603,607 搬送路
601,604 搬送路切換機構
605 搬送ローラー対
606 ピックアップローラー
608 スキャナー
610 原稿台
7 排出部
700 原稿読取機構
710 手差し排出トレイ710
711 スキャナー
712 原稿センサー
8 切替部
12 画像形成部
100 制御部
101 文字認識部
102 検出部
105 変換部
106 保存部
112 電子ファイル記憶部