(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/10 20060101AFI20230905BHJP
【FI】
B65D5/10 H
(21)【出願番号】P 2020065539
(22)【出願日】2020-04-01
【審査請求日】2022-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大雅
(72)【発明者】
【氏名】緒方 孝則
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-069563(JP,A)
【文献】特開2019-089571(JP,A)
【文献】特開平11-091761(JP,A)
【文献】実開昭52-149828(JP,U)
【文献】特開2015-067339(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02202205(GB,A)
【文献】英国特許出願公告第01171679(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/10
B65D 5/36
B65D 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部を構成する4つの壁面部と、前記胴部の一方の開口を閉塞する底蓋を構成しかつ前記壁面部に連設される第1~第4のフラップと、を備え、
前記第1~第4のフラップは、前記胴部が扁平の状態の時に前記胴部の内部に折り込まれ、対向する第1フラップ及び第3フラップには、それぞれ一方側に隣り合う第2フラップ及び第4フラップの外側面に貼合される固定片が連設され、前記第1~第4のフラップは、前記胴部が筒状の状態とされると前記壁面部に対して起立して前記底蓋を形成する包装箱であって、
前記第2フラップには、その先端縁の一部に突出部が設けられ、
前記第4フラップと該第4フラップが連設された壁面部との境界には係合部が形成され、
前記第2フラップは、前記第4フラップの内側に重ねられるとともに前記突出部が前記係合部に差し込まれ
、
前記第4フラップの先端縁は、少なくとも中央が凹んでいる、ことを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記第2フラップには、その先端縁に支持片が連設され、
前記支持片は、前記第4フラップが連設された壁面部の内側に重なる、ことを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記第2フラップの該第2フラップが連設された壁面部に対して起立する位置が、前記第4フラップの該第4フラップが連設された壁面部に対して起立する位置よりも内側にある、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記第2フラップには、前記突出部の先端縁から所定の長さ離れた位置に折り目が形成されており、前記突出部は前記第2フラップに対して折り曲げ可能である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の包装箱。
【請求項5】
前記第2フラップの前記先端縁と、前記第4フラップが連設された壁面部の内側面との間に隙間を有する、ことを特徴とする請求項1~
4のいずれかに記載の包装箱。
【請求項6】
胴部を構成する4つの壁面部と、前記胴部の一方の開口を閉塞する底蓋を構成しかつ前記壁面部に連設される第1~第4のフラップと、を備え、
前記第1~第4のフラップは、前記胴部が扁平の状態の時に前記胴部の内部に折り込まれ、対向する第1フラップ及び第3フラップには、それぞれ一方側に隣り合う第2フラップ及び第4フラップの外側面に貼合される固定片が連設され、前記第1~第4のフラップは、前記胴部が筒状の状態とされると前記壁面部に対して起立して前記底蓋を形成する包装箱であって、
前記第2フラップには、その先端縁の一部に突出部が設けられ、
前記第4フラップと該第4フラップが連設された壁面部との境界には係合部が形成され、
前記第2フラップは、前記第4フラップの内側に重ねられるとともに前記突出部が前記係合部に差し込まれ、
前記第2フラップの前記先端縁と、前記第4フラップが連設された壁面部の内側面との間に隙間が形成されている、ことを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胴部を扁平の状態から筒状の状態とした際に胴部の一方の開口を閉塞する底蓋をいわゆるワンタッチで形成することができる包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば段ボール箱等の包装箱は、側面となる筒状の胴部を構成する4つの壁面部の下端縁に底面フラップが連設されており、壁面部に対して底面フラップを折り曲げることで底蓋が形成される。例えば対向する一対の底面フラップを内側へ90度折り曲げた後、その上に対向する他の一対の底面フラップを内側へ90度折り曲げることで先端縁同士が突き合うようにして重ね合わせ、その突き合わせ部に例えばテープを貼り付けることで底蓋を閉じた状態に維持している。
【0003】
これに対して、上述した底面フラップの重ね合わせ作業等を不要としたいわゆるワンタッチ底の包装箱が従来から知られている(例えば特許文献1を参照)。ワンタッチ底の包装箱は、4つの壁面部の下端縁に連設された底面フラップのうち、対向する一対の底面フラップには、それぞれ一方側に隣り合う底面フラップに糊付け等で貼合される固定片が折り目を介して連設されている。ワンタッチ底の包装箱は、不使用時には胴部が扁平の状態とされ、この時には底面フラップは胴部の内部に折り込まれており、使用時に胴部が筒状の状態とされると底面フラップが自動的に立ち上がることで底蓋が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ワンタッチ底の包装箱は、底蓋を下にして使用する場合には、底面フラップに内容物の重さが加わるので、底面フラップが胴部の内部に折り込まれて胴部が扁平の状態となるように包装箱が変形するおそれはない。これに対して、底蓋を横にして使用(例えば運搬、保管)する場合に、底蓋を上から圧縮する方向の荷重(以下、「圧縮荷重」という。)が包装箱に加わると、底面フラップが胴部の内部に折り込まれて胴部が扁平の状態となるように包装箱が変形するおそれがある。このように、従来のワンタッチ底を採用した包装箱は、底蓋を横にして使用した場合の圧縮荷重に対する強度についての検討がなされておらず、この点に課題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に着目してなされたものであり、底蓋をいわゆるワンタッチ底で形成した包装箱において、底蓋を横にして使用した場合に圧縮荷重が加わったとしても、底蓋が胴部の内部に折り畳まれることを抑制可能な包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、胴部を構成する4つの壁面部と、前記胴部の一方の開口を閉塞する底蓋を構成しかつ前記壁面部に連設される第1~第4のフラップと、を備え、前記第1~第4のフラップは、前記胴部が扁平の状態の時に前記胴部の内部に折り込まれ、対向する第1フラップ及び第3フラップには、それぞれ一方側に隣り合う第2フラップ及び第4フラップの外側面に貼合される固定片が連設され、前記第1~第4のフラップは、前記胴部が筒状の状態とされると前記壁面部に対して起立するよう折れ曲がって前記底蓋を形成する包装箱に関する。本発明の包装箱は、前記第2フラップには、その先端縁の一部に突出部が設けられ、前記第4フラップと該第4フラップが連設された壁面部との境界には係合部が形成され、前記第2フラップは、前記第4フラップの内側に重ねられるとともに前記突出部が前記係合部に差し込まれる、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の包装箱において好ましくは、前記第2フラップには、その先端縁に支持片が連設され、前記支持片は、前記第4フラップが連設された壁面部の内側に重なる、ことを特徴とするように構成することができる。
【0009】
また、本発明の包装箱において好ましくは、前記第2フラップの該第2フラップが連設された壁面部に対して起立する位置が、前記第4フラップの該第4フラップが連設された壁面部に対して起立する位置よりも内側にある、ことを特徴とするように構成することができる。
【0010】
また、本発明の包装箱において好ましくは、前記第2フラップには、前記突出部の先端縁から所定の長さ離れた位置に折り目が形成されており、前記突出部は前記第2フラップに対して折り曲げ可能である、ことを特徴とするように構成することができる。
【0011】
また、本発明の包装箱において好ましくは、前記第4フラップの先端縁は、少なくとも中央が凹んでいる、ことを特徴とするように構成することができる。
【0012】
また、本発明の包装箱において好ましくは、前記第2フラップの長さは、前記第1フラップが連設された壁面部及び前記第3フラップが連設された壁面部の横幅よりも短い、ことを特徴とするように構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の包装箱によれば、底蓋をいわゆるワンタッチで形成することが可能であり、かつ、底蓋を横にして使用した場合に圧縮荷重が加わったとしても、底蓋を構成する第1~第4のフラップが胴部の内部に折り込まれて胴部が扁平の状態となるように変形することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る包装箱について上蓋側から見た全体の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る包装箱について底蓋側の一部の斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る包装箱について底蓋側を内側から見た図である。
【
図4】
図1に示す包装箱を組み立てるためのブランクシートの平面図である。
【
図6】第2フラップと、接合片が設けられた壁面部との一部を拡大して示す斜視図である。
【
図7】第2フラップと、第2フラップの先端縁が向かい合う壁面部との一部を拡大して示す正面図である。
【
図8】(A)は
図3のA-A断面図であり、(B)は
図3のB-B断面図である。
【
図9】第2フラップと、第4フラップと、接合片が設けられた壁面部との一部を拡大して示す断面斜視図である。
【
図10】第2フラップと、第4フラップとの一部を拡大して示す断面斜視図である。
【
図11】包装箱を折り畳む手順を示す一部拡大斜視図である。
【
図12】折り畳まれた包装箱の一部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態である包装箱1の全体の外観を示し、
図2は、包装箱1の底蓋3側の外観を示し、
図3は包装箱1の底蓋3側の内部構造を示す。
図1~
図3では、包装箱1は、底蓋3及び上蓋4を横にした状態とされている。
【0016】
包装箱1は、側面となる筒状の胴部2と、胴部2の一方の開口を塞ぐ端面となる底蓋3と、胴部2の他方の開口を塞ぐ端面となる上蓋4と、を備える。上蓋4は、開閉可能であり、上蓋4を開くことで胴部2の内部に内容物を収容できる。底蓋3は、上蓋4と反対側にあり、開閉不能である。底蓋3は、いわゆるワンタッチ底であり、包装箱1の不使用時に胴部2の内部に折り畳まれて胴部2を扁平の状態とでき、包装箱1の使用時に胴部2を筒状の状態とした際にほぼ自動的に形成される。
【0017】
胴部2は、4つの壁面部20~23で構成される。底蓋3は、壁面部20~23の一方の端縁に連設された4つのフラップ(第1~第4のフラップ)30~33で構成される。上蓋4は、壁面部20~23の他方の端縁に連設された4つのフラップ(第5~第8のフラップ)40~43で構成される。
【0018】
包装箱1は、例えば
図4に示すブランクシート10により組み立てることができる。なお、ブランクシート10の形状は、
図4に示す形状に限定されない。ブランクシート10は、例えば厚紙、段ボール紙などの各種公知の紙材料を用いて形成することができる。ブランクシート10は、壁面部20~23、第1~第4のフラップ30~33、第5~第8のフラップ40~43の他に、接合片24、可動片25、係止片26、2つの固定片34,35、折曲片36、支持片38、差込片44を含む。
【0019】
まず、胴部2について説明する。胴部2を構成する壁面部20~23は、ブランクシート10において、
図4に示すように直線的に並ぶように連設されている。壁面部20~23は、平面視で矩形状、本実施形態では長方形状である。一対の壁面部21,23の横幅は、他の一対の及び壁面部20,22の横幅よりも長いが、等しくてもよい。なお、本開示において、横幅とは
図4における左右方向の長さを指す。
【0020】
隣り合う壁面部20~23の境目には、折り目L1~L3が設けられている。折り目L1~L3及び後述する折り目L4~L20は、例えばブランクシート10の一方面からブランクシート10の肉厚を圧縮して形成される罫線(折れ線)で構成することができる。一方の端(
図4では左端)に位置する壁面部20には、接合片24が折り目L4を介して連設されている。
【0021】
壁面部20~23は、包装箱1の組み立て時には、
図1~
図3に示すように角筒状をなし、その内側の空間が内容物の収容空間となる。壁面部20~23を角筒状とした際には、壁面部20に連設された接合片24を壁面部23の内側面に例えば糊等の接着剤により貼合することで、壁面部20と壁面部23とを繋ぎ合わせる。
【0022】
接合片24は、
図4に示すように台形状に形成されており、少なくとも第1フラップ30側の辺が、接合片24の先端縁の長さが折り目L4の長さよりも短くなる方向に大きく傾斜している。これにより、接合片24は、包装箱1の組み立て時に、
図6に示すように、後述する第2フラップ31の屈曲部36上に重ならないように形成されている。
【0023】
壁面部20~23は、ブランクシート10において、
図4に示すように、壁面部20~23を間に挟むようにして第1~第8のフラップ30~33,40~43が連設されている。壁面部20には第1フラップ30及び第5フラップ40が折り目L5,L9を介して連設され、壁面部21には第2フラップ31及び第6フラップ41が折り目L6,L10を介して連設され、壁面部22には第3フラップ32及び第7フラップ42が折り目L7,L11を介して連設され、壁面部23には第4フラップ33及び第8フラップ43が折り目L8,L12を介して連設されている。
【0024】
壁面部23には、第8フラップ43との境目から該境目と直交する方向に等しく延びる一対の切れ込み50が形成されている。これにより、壁面部23には、一対の切れ込み50の間に可動片25が一体に設けられている。可動片25は、壁面部23の横幅方向中央に位置している。一対の切れ込み50の終端の間には折り目L13が設けられており、可動片25は壁面部23に対して折り曲げ可能である。可動片25の先端縁には係止片26が連設されている。
【0025】
第8フラップ43には、対応する壁面部23との境目から一対の切れ込み50と連続するように凹状の切れ込み51が形成されており、これにより、係止片26が可動片25に連設されている。なお、本開示において、フラップについて対応する壁面部とは、該フラップが連設された壁面部を指す。可動片25と係止片26との境目には折り目L13と平行な折り目L14が設けられており、係止片26は可動片25に対して折り曲げ可能である。係止片26には、可動片25との境目にユーザの少なくとも1本の指を差し込むことが可能な大きさの指差穴27が形成されている。指差穴27にユーザが指を差し込むことで、可動片25を壁面部23に対して折り曲げやすくできる。
【0026】
次に底蓋3について説明する。底蓋3を構成する第1~第4のフラップ30~33は、包装箱1の組み立て時に、
図2に示すように、第2フラップ31の外側に第4フラップ33が重ねられ、これらの外側に第1フラップ30及び第3フラップ32が重ねられている。
【0027】
第1フラップ30及び第3フラップ32は、
図4及び
図5に示すように、略三角形状に形成されている。第1フラップ30の第2フラップ31側の斜辺には固定片34が連設されており、第3フラップ32の第4フラップ33側の斜辺には固定片35が連設されている。第1フラップ30と固定片34との境目には折り目L15が設けられ、第3フラップ32と固定片35との境目には折り目L16が設けられており、固定片34は第1フラップ30に対して折り曲げ可能であり、固定片35は第3フラップ32に対して折り曲げ可能である。固定片34,35は、包装箱1の組み立て時に、
図2に示すように、固定片34は第2フラップ31の外側面に例えば接着剤等で貼合され、固定片35は第4フラップ33の外側面に例えば接着剤等で貼合される。
【0028】
第1フラップ30及び第3フラップ32には、
図4及び
図5に示すように、それぞれ折り目L5,L7に平行な水平部30a,32aが設けられている。固定片34,35の第2フラップ31、第4フラップ32への貼合は、手貼りや製函機による機械貼りで行うことができるが、第1フラップ30及び第3フラップ32の頂部に水平部30a,32aがあることで機械貼りすることができる。水平部30a,32aの長さは例えば15mm以上が好ましい。
【0029】
第2フラップ31は、
図4及び
図5に示すように、略矩形状、本実施形態では略長方形状に形成されている。第2フラップ31は、その横幅と直交する方向の長さ(第2フラップ31の先端縁から対応する壁面部21との境目までの長さ)d2が、幅狭の壁面部20,22の横幅d3と等しくてもよいが、多少短いことが好ましい。これにより、底蓋3は、包装箱1の組み立て時に、
図3に示すように第2フラップ31により胴部2の一方の開口を十分に閉塞する。また、第2フラップ31は、包装箱1の組み立て時に、
図3及び
図7に示すように、その先端縁と向かい合う壁面部23の内側面との間に隙間Sが形成される。
【0030】
第2フラップ31は、
図4及び
図5に示すように、第1フラップ30側の端部に三角形状の屈曲部36を含んでいる。第2フラップ31には、対応する壁面部21との境目側でありかつ第1フラップ30側の隅(
図4及び
図5では左上の隅)より第2フラップ31の先端縁に向かって斜めに延びる折り目L17が設けられており、屈曲部36は折り目L17により第2フラップ31の他の部分に対して折り曲げ可能である。
【0031】
第2フラップ31は、ブランクシート10において、
図4及び
図5に示すように、対応する壁面部21との境目(折り目L6)の位置が、他の第1,3,4のフラップ30,32,33の対応する壁面部20,22,23との境目(折り目L5,L7,L8)の位置よりも、壁面部20~23側に僅かに位置ずれしている。この位置ずれする長さd1は特に限定されない。これにより、第2フラップ31は、包装箱1の組立時において、
図8に示すように、対応する壁面部21に対して起立する位置(該壁面部21に対する折れ曲がり位置)が、第4フラップ33の対応する壁面部23に対して起立する位置(該壁面部23に対する折れ曲がり位置)よりも内側(筒体2の内部側)に位置する。よって、第2フラップ31の外側に第4フラップ33等が重ねられても、第2フラップ31は内側に傾くことが抑制され、対応する壁面部21に対して90度に近い角度で起立した状態とできる。
【0032】
第2フラップ31には、
図4~
図6に示すように、その先端縁の一部に他部よりも突き出た突出部37が設けられている。突出部37は、第2フラップ31の横幅方向中央に位置している。また、第2フラップ31には、その先端縁に支持片38が連設されている。支持片38と第2フラップ31との境目には折り目L18が設けられており、支持片38は第2フラップ31に対して折り曲げ可能である。支持片38は、包装箱1の組み立て時に、
図8及び
図9に示すように、第2フラップ31に対して内側へ折り曲げた際に、第4フラップ33が連設された壁面部23の内側に重なる。なお、本実施形態では、支持片38は、第2フラップ31の先端縁の突出部37を除いた部分に連設されており、さらに該部分の中でも屈曲部36を除いた部分に連設されている。
【0033】
突出部37は、ブランクシート10において、
図4及び
図5に示すように、第2フラップ31と支持片38との境目に、支持片38側に向かって突き出るコ字状の切れ込みを形成することで、第2フラップ31に一体に設けられる。該コ字状の切れ込みは、第2フラップ31と支持片38との境目に該境目と直交する方向に延びるように設けられ、かつ長さの等しい一対の切れ込み53と、一対の切れ込み53の支持片38側の両端と連続するように設けられた切れ込み52とで構成されており、切れ込み52の位置が突出部37の先端縁となる。支持片38を第2フラップ31に対して内側へ90度折り曲げると、
図6に示すように、突出部37は第2フラップ31の先端縁から支持片38を越えて突き出る。
【0034】
第2フラップ31には、
図4及び
図5に示すように、一対の切れ込み53の第2フラップ31側の両端と連続するように折り目L19が設けられており、突出部37は第2フラップ31に対して折り曲げ可能である。なお、突出部37の先端縁から折り目L19の間の長さをd4とする。長さd4は特に限定されない。
【0035】
第4フラップ33は、
図4及び
図5に示すように、略矩形状、本実施形態では略台形状に形成されている。第4フラップ33の横幅と直交する方向の長さ(第4フラップ33の先端縁から対応する壁面部23との境目までの長さ)は、包装箱1の組み立て時に、
図2に示すように、第4フラップ33が第2フラップ31の外側に重ねられることから、第4フラップ33の先端縁が第2フラップ31の先端縁を越える程度の長さであればよく、第2フラップ31の長さd2よりも短くてよい。
【0036】
第4フラップ33の先端縁は、例えば直線状に延びていてもよいが、
図4及び
図5に示すように、少なくとも横幅方向の中央が凹んでいることが好ましい。第4フラップ33の先端縁の凹み33aは、コ字状、V字状、円弧状等に形成することができるが、滑らかに湾曲する円弧状に形成されることが好ましい。
【0037】
第4フラップ33と対応する壁面部23との境目には、横幅方向中央に係合部39が形成されている。係合部39は、包装箱1の組み立て時に、
図10に示すように、第4フラップ33と壁面部23との境界に位置し、
図2、
図8(A)及び
図9に示すように、第4フラップ33の内側に重ねられる第2フラップ31に設けられた突出部37を差し込み可能である。
【0038】
次に上蓋4について説明する。上蓋4を構成する第5~第8のフラップ40~43は、
図4に示すように、平面視で実質的に矩形状、本実施形態では実質的に長方形状である。第5フラップ40及び第7フラップ42は、壁面部20,22と横幅がほぼ等しく、第6フラップ41及び第8フラップ43は、壁面部21,23と横幅がほぼ等しい。
【0039】
第5~第8のフラップ40~43は、包装箱1の組み立て時に、
図1に示すように壁面部20~23に対して内側へ90度折り曲げられることで上蓋4を形成する。第5~第8のフラップ40~43は、本実施形態では、第5フラップ40及び第7フラップ42の外側に第8フラップ43が重ねられ、さらにその外側に第6フラップ41が重ねられている。
【0040】
第6フラップ41及び第8フラップ43は、
図4に示すように、その横幅と直交する方向の長さ(第6フラップ41及び第8フラップ43の先端縁から対応する壁面部21,23との境目までの長さ)d5が、幅狭の壁面部20,22の横幅d3とほぼ等しい。これにより、上蓋4は、包装箱1の組み立て時に、
図1に示すように第6フラップ41及び第8フラップ43により胴部2の他方の開口を閉塞する。
【0041】
第6フラップ41は、
図4に示すように、その先端縁の横幅方向中央に差込片44が連設されている。差込片44と第6フラップ41との境目には折り目L20が設けられており、差込片44は第6フラップ41に対して折り曲げ可能である。差込片44と第6フラップ41との境目には、横幅方向中央にロック孔45が形成されている。ロック孔45は、包装箱1の組み立て時に、
図1に示すように差込片44と第6フラップ41との境界に位置し、壁面部23に設けられた係止片26を差し込み可能である。ロック孔45には、横幅方向中央に凹み46が連続して形成されている。凹み46は、第6フラップ41を差込片44との境目から凹状に切り欠くことで形成される。凹み46は、ユーザの少なくとも1本の指を差し込むことが可能な大きさであり、凹み46にユーザが指を差し込むことで、第6フラップ41を対応する壁面部21に対して折り曲げやすくできる。
【0042】
図4に示すように、第8フラップ43と対応する壁面部23との境目には、係止片26を間に挟んで一対のL字状の切れ込み54が形成されている。これにより、包装箱1の組み立て時に、
図1に示すように第8フラップ43を壁面部23に対して折り曲げた際に、壁面部23との境界に差込孔47が形成される。差込孔47は、第6フラップ41に連設された差込片44を差し込み可能である。
【0043】
次に、
図4に示すブランクシート10を用いて
図1及び
図2に示す収納箱1を組み立てる手順について説明する。
【0044】
まず、第1フラップ30に折り目L15を介して連設する固定片34、第2フラップ31に折り目L17を介して連設する折り曲げ片36、第3フラップ32に折り目L16を介して連設する固定片35を、各々包装箱にしたときに外側になる方向に折り曲げる。さらに、第1~第4のフラップ30~33を壁面部20~23に対して内側へ折り曲げると同時に、第1フラップ30に連設された固定片34及び第3フラップ32に連設された固定片35を、それぞれ第1フラップ30及び第3フラップ32の一方側に隣り合う第2フラップ31及び第4フラップ33の外側面に貼合し、糊代部24を壁面部20の内側に貼合することで、
図12に示すように、胴部2が扁平な状態の組み立て前の包装箱1が形成される。包装箱1は、一般的には
図12に示す状態でユーザに供給される。
【0045】
包装箱1の使用時には、胴部2を筒状の状態にすることで、第1~第4のフラップ30~33が壁面部20~23に対して起立して再び底蓋3を形成する。この際に、第2フラップ31に連設される支持片38を折り目L18で折り曲げ、これにより形成される突出部37を、第4フラップ33と対応する壁面部23との境界に位置する係合部39に差し込む。これにより、第2フラップ31は、内側に倒れこむことなく対応する壁面部21に対して起立した状態に維持される。
【0046】
最後に、上蓋4を形成するために、壁面部20~23に対して、まず、対向する第5フラップ40及び第7フラップ42を内側へ折り曲げた後、その上に第8フラップ43、第6フラップ41の順番で内側へ折り曲げて重ね合わせる。そして、
図1に示すように、第8フラップ43と対応する壁面部23との境界に位置する差込孔47に第6フラップ41の差込片44を差し込むことで、上蓋4は閉じた状態に維持される。さらに、差込片44と第6フラップ41との境界に位置するロック孔45に壁面部23の係止片26を差し込むことで、第6フラップ41が開いて上蓋4が開封することが規制される。係止片26をロック孔45に差し込む際には、可動片25を外側に倒すことで、係止片26をロック孔45に差し込みやすくできる。
【0047】
以上の通り、上述した本実施形態の包装箱1は、不使用時には
図11に示すように、底蓋3を構成する第1~第4のフラップ30~33を胴部2の内部に折り込むことで、
図12に示すように、胴部2が扁平の状態となるように包装箱1を変形することができる。これにより、不使用の包装箱1を運搬、保管するのに省スペースを図ることができる。一方で、包装箱1の使用時には
図2に示すように、第2フラップ31の突出部37を第4フラップ33と壁面部23との境界に位置する係合部39に差し込むことで、第1~第4のフラップ30~33のうち最も内側にある第2フラップ31が胴部2の内部に倒れることが規制されている。そのため、底蓋3を横にして包装箱1を使用(例えば運搬、保管)した際に、包装箱1に底蓋3を上から圧縮する方向の荷重(圧縮荷重)が加わった場合でも、第1~第4のフラップ30~33が胴部2の内部に折り込まれて胴部2が扁平の状態となるように包装箱1が変形するのを抑制することができる。このように、本実施形態の包装箱1は、ワンタッチ底を採用しながらも、底蓋3を横にして使用した際に受ける圧縮荷重に対して強度を確保した構造とされている。
【0048】
また本実施形態の包装箱1では、
図8及び
図9に示すように、第2フラップ31には支持片38が内側に折り曲げられた状態で連設され、支持片38は第4フラップ33が連設された壁面部23の内側に重なっているので、支持片38は、外側に戻ろうとする復元力で壁面部23を支持する。そのため、底蓋3を横にして包装箱1を使用した際に包装箱1が圧縮荷重を受けても、壁面部23で圧縮荷重が受け止められるので、第2フラップ31に作用する圧縮荷重が軽減される。このように、本実施形態の包装箱1は、第2フラップ31が圧縮荷重により座屈し難い構造とされているので、第2フラップ31の突出部37が係合部39から抜け出て第2フラップ31が胴部2の内部に折れ込むことを効果的に抑制することができる。
【0049】
また本実施形態の包装箱1では、
図8(A)に示すように、第2フラップ31の対応する壁面部21に対して起立する位置が、第4フラップ33の対応する壁面部23に対して起立する位置よりも内側にある。両位置がずれていない場合には、内側の第2フラップ31は外側の第4フラップ33に内側に押されて内側に傾いた状態で壁面部21に対して起立する。この状態において、底蓋3を横にして包装箱1を使用した際に包装箱1が圧縮荷重を受けると、第2フラップ31に作用する圧縮荷重により、第2フラップ31が胴部2の内部に倒れ易くなる。これに対して本実施形態の包装箱1では、両位置がずれていて第2フラップ31の方が内側にあるので、第2フラップ31は、壁面部21に対してほぼ垂直に起立する。よって、本実施形態の包装箱1は、第2フラップ31に圧縮荷重が作用しても、第2フラップ31が内側に倒れ難い構造とされているので、第2フラップ31の突出部37が係合部39から抜け出て第2フラップ31が胴部2の内部に折れ込むことを効果的に抑制することができる。
【0050】
また本実施形態の包装箱1では、
図4及び
図5に示すように、第2フラップ31には突出部37の先端縁から所定の長さd1離れた位置に折り目L19が形成されており、突出部37は第2フラップ31に対して折れ曲がり易い。底蓋3を横にして包装箱1を使用した際に包装箱1が圧縮荷重を受けると、第2フラップ31に作用する圧縮荷重は突出部37に集中するが、折り目L19がなく突出部37が第2フラップ31に対して折れ曲がり難いと、突出部37が容易に押し潰されて係合部39から抜け出るおそれがある。これに対して本実施形態の包装箱1では、第2フラップ31の突出部37に圧縮荷重が集中した場合に、突出部37が折り目L19で折れ曲がることで突出部37が押し潰され難いので、突出部37が係合部39から抜け出ることが抑制される。このように、本実施形態の包装箱1は、第2フラップ31の突出部37が圧縮荷重により押し潰され難い構造とされているので、第2フラップ31の突出部37が係合部39から抜け出て第2フラップ31が胴部2の内部に折れ込むことを効果的に抑制することができる。
【0051】
また本実施形態の包装箱1では、
図2に示すように、第4フラップ33の先端縁は、横幅方向中央が凹んだ形状に形成されている。これにより、底蓋3を横にして包装箱1を使用した際に包装箱1が圧縮荷重を受け、それに伴い第4フラップ33の先端縁がその内側に重ねられた第2フラップ31に当たった場合に、第4フラップ33は、その先端縁の幅方向中央が凹んだ形状であることで直線状や凸状である場合と比べて、第2フラップ31(特に突出部37がある幅方向中央)を内側に押す力が弱められている。このように、本実施形態の包装箱1は、第4フラップ33に押されても第2フラップ31が内側に倒れ難い構造とされているので、第2フラップ31の突出部37が係合部39から抜け出て第2フラップ31が胴部2の内部に折れ込むことを効果的に抑制することができる。
【0052】
また本実施形態の包装箱1では、
図5に示すように、第2フラップ31の長さd2が、第1フラップ30が連設された壁面部20及び第3フラップ32が連設された壁面部22の横幅d3よりも短く、
図3及び
図7に示すように、第2フラップ31の先端縁と向かい合う壁面部23の内側面との間に隙間Sが形成されている。底蓋3を横にして包装箱1を使用した際に包装箱1が圧縮荷重を受けた場合に、第2フラップ31の先端縁が壁面部23の内側面に当接又は近接していると、第2フラップ31は圧縮荷重が直に伝わり、早くに座屈するおそれがある。これに対して、本実施形態の包装箱1では、第2フラップ31の先端縁と壁面部23の内側面との間に隙間Sが形成されているので、第2フラップ31は、圧縮荷重が緩和された状態で伝わる。このように、本実施形態の包装箱1は、第2フラップ31が圧縮荷重により座屈し難い構造とされているので、第2フラップ31の突出部37が係合部39から抜け出て第2フラップ31が胴部2の内部に折れ込むことを効果的に抑制することができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の具体的な態様は上述した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0054】
例えば一変形例として、上述した実施形態において、第2フラップ31は、その先端縁に支持片38が連設されていなくてもよい。
【0055】
他の変形例として、上述した実施形態及び変形例において、第2フラップ31の壁面部21に対して起立する位置と、第4フラップ33の壁面部23に対して起立する位置とは、位置ずれしていなくてもよい。
【0056】
他の変形例として、上述した実施形態及び変形例において、第2フラップ31には、突出部37を第2フラップ31に対して折り曲げ可能とする折り目L19や一対の切れ込み53が設けられていなくてもよい。
【0057】
他の変形例として、上述した実施形態及び変形例において、
図5に示す第2フラップ31の長さd1は、壁面部20,22の横幅d3と等しくてもよい。
【0058】
他の変形例として、上述した実施形態及び変形例において、第4フラップ33の先端縁は、横幅方向中央が凹んでいなくてもよく、直線状や傾斜線状、横幅方向中央が突き出る形状等であってもよい。
【0059】
他の変形例として、上蓋4を構成する第5~第8のフラップ40~43の形状は、上述した実施形態の例に限定されるものではなく、開閉可能であれば従来から公知の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 包装箱
2 胴部
3 底蓋
20 第1フラップが連設された壁面部
21 第2フラップが連設された壁面部
22 第3フラップが連設された壁面部
23 第4フラップが連設された壁面部
30 第1フラップ
31 第2フラップ
32 第3フラップ
33 第4フラップ
34 固定片
35 固定片
37 突出部
38 支持片
39 係合部
L19 折り目