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特許7344471樹脂組成物、積層体、樹脂組成物層付き半導体ウェハ、樹脂組成物層付き半導体搭載用基板、及び半導体装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】樹脂組成物、積層体、樹脂組成物層付き半導体ウェハ、樹脂組成物層付き半導体搭載用基板、及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/29 20060101AFI20230907BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20230907BHJP
   C08L 35/00 20060101ALI20230907BHJP
   C08L 61/10 20060101ALI20230907BHJP
   C08K 5/3492 20060101ALI20230907BHJP
   C08K 5/3432 20060101ALI20230907BHJP
   C08K 5/07 20060101ALI20230907BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20230907BHJP
   C08F 22/40 20060101ALI20230907BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
H01L23/30 R
C08L35/00
C08L61/10
C08K5/3492
C08K5/3432
C08K5/07
C08K3/013
C08F22/40
B32B27/34
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020515511
(86)(22)【出願日】2019-04-24
(86)【国際出願番号】 JP2019017363
(87)【国際公開番号】W WO2019208614
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2018085651
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】岡庭 正志
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 武紀
(72)【発明者】
【氏名】東口 鉱平
(72)【発明者】
【氏名】木田 剛
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/090737(WO,A1)
【文献】特開平05-331354(JP,A)
【文献】特表2008-543060(JP,A)
【文献】特開2008-305900(JP,A)
【文献】特表2017-503057(JP,A)
【文献】特開平02-222441(JP,A)
【文献】特開2003-086627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 22/40
C08L 61/10
C08L 35/00
B32B 27/34
H01L 23/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール性水酸基を有する化合物(A)と、
金属イオン捕捉剤(B)と、
ラジカル重合性化合物(C)と、
を含有し、
前記フェノール性水酸基を有する化合物(A)が、9,9'-ビス-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、プロペニルフェノール樹脂、プロペニルビフェニレン樹脂、及びアリルフェノール樹脂から選択される少なくとも1つであり、
前記金属イオン捕捉剤(B)が、アミン類、アミン誘導体、エーテル誘導体、及びケトン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、
プリアプライドアンダーフィル材用樹脂組成物。
【請求項2】
前記フェノール性水酸基を有する化合物(A)の分子量が、200以上で、かつ、融点が、300℃以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記フェノール性水酸基を有する化合物(A)における5%質量減少温度が、250℃以上である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記金属イオン捕捉剤(B)が、トリアジン誘導体、ビピリジン誘導体、及びジケトン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記金属イオン捕捉剤(B)が、1,3-ジケトンを含有する、請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記金属イオン捕捉剤(B)が、2,4-ジアミノ-6-メチル-1,3,5-トリアジン、2,2'-ビピリジン、1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオン、1-(2-メシチレン)-1,3-ブタンジオン、1,3-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3-プロパンジオン、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4-メトキシフェニル)-1,3-プロパンジオン、及び(E,E)-1,7-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記金属イオン捕捉剤(B)が、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4-メトキシフェニル)-1,3-プロパンジオン、及び(E,E)-1,7-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記ラジカル重合性化合物(C)が、(メタ)アクリレート化合物、マレイミド化合物、及びプロペニル化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記ラジカル重合性化合物(C)が、2,2'-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパン、1,2-ビス(マレイミド)エタン、1,4-ビス(マレイミド)ブタン、1,6-ビス(マレイミド)ヘキサン、N,N'-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N'-1,4-フェニレンジマレイミド、N-フェニルマレイミド、下記式(1)で表されるマレイミド化合物、下記式(2)で表されるマレイミド化合物、及び下記式(3)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項に記載の樹脂組成物。
【化1】
(式(1)中、R1は、各々独立に、水素原子又はメチル基を示し、n1は1以上の整数を示す。)
【化2】
(式(2)中、n2の平均値は、1以上30以下である。)
【化3】
(式(3)中、R2は各々独立に、水素原子、メチル基又はエチル基を示し、R3は各々独立に、水素原子又はメチル基を示す。)
【請求項10】
前記ラジカル重合性化合物(C)が、2,2'-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパン、前記式(1)で表されるマレイミド化合物、前記式(2)で表されるマレイミド化合物、及び前記式(3)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される少なくとも1種のマレイミド化合物を含有する、請求項に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
前記樹脂組成物中における前記フェノール性水酸基を有する化合物(A)の含有量が、前記樹脂組成物中における前記ラジカル重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下である、請求項1~10のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項12】
前記樹脂組成物中における前記金属イオン捕捉剤(B)の含有量が、前記樹脂組成物中における前記ラジカル重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下である、請求項1~11のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項13】
無機充填材(D)を更に含有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項14】
前記無機充填材(D)が、電気絶縁性を有する、請求項13に記載の樹脂組成物。
【請求項15】
前記無機充填材(D)の平均粒子径が、3μm以下である、請求項13又は14に記載の樹脂組成物。
【請求項16】
前記無機充填材(D)が、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ベーマイト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、及び水酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項1315のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項17】
前記樹脂組成物中における前記無機充填材(D)の含有量が、前記ラジカル重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、300質量部以下である、請求項1316のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項18】
可撓性付与成分(E)を更に含有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項19】
前記可撓性付与成分(E)が、熱可塑性の高分子化合物を含有し、前記高分子化合物の質量平均分子量が、1,000以上1,000,000以下である、請求項18に記載の樹脂組成物。
【請求項20】
前記可撓性付与成分(E)が、(メタ)アクリルオリゴマー及び(メタ)アクリルポリマーからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項18又は19に記載の樹脂組成物。
【請求項21】
支持基材と、
前記支持基材上に積層された請求項1~20のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含有する層と、
を備える、積層体。
【請求項22】
半導体ウェハと、
前記半導体ウェハに積層された請求項21に記載の積層体と、を備え、
前記樹脂組成物を含有する層が、前記半導体ウェハに積層された、
樹脂組成物層付き半導体ウェハ。
【請求項23】
半導体搭載用基板と、
前記半導体搭載用基板に積層された請求項21に記載の積層体と、を備え、
前記樹脂組成物を含有する層が、前記半導体搭載用基板に積層された、
樹脂組成物層付き半導体搭載用基板。
【請求項24】
請求項22に記載の樹脂組成物層付き半導体ウェハ、及び/又は、請求項23に記載の樹脂組成物層付き半導体搭載用基板を備える、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、樹脂組成物を用いた積層体、樹脂組成物層付き半導体ウェハ、樹脂組成物層付き半導体搭載用基板、及び半導体装置に関する。詳しくは、本発明は、アンダーフィル材として有用な樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の小型化及び高性能化に伴い、半導体チップ(以下、「チップ」と略す場合がある。)を半導体搭載用基板(以下、「基板」と略す場合がある。)に搭載する方法として、フリップチップ実装が注目されている。フリップチップ実装においては、チップと基板を接合した後、チップと基板の間隙にアンダーフィル材を充填し、硬化させる工法が一般的である。しかし、半導体装置の小型化及び高性能化に伴い、チップに配列される電極の狭ピッチ化及び電極間の狭ギャップ化が進み、アンダーフィル材の充填の長時間化による作業性の悪化及び未充填などの充填不良の発生が問題となっている。これに対し、チップ又は基板にプリアプライドアンダーフィル材を供給した後、チップと基板との接合と、アンダーフィル材の充填とを同時に行う工法が検討されている。
【0003】
チップと基板とを、酸化されやすい金属、例えば、はんだや銅を介して接合する場合、接合の阻害要因となる金属酸化膜を接合部から除去し、良好な金属接合を得ることを目的として、プリアプライドアンダーフィル材にカルボン酸等に由来するフラックス成分を添加することがある。
【0004】
特許文献1には、エポキシ化合物を使用するプリアプライドアンダーフィル材が記載されている。また、特許文献2にも、エポキシ化合物を使用するプリアプライドアンダーフィル材が記載されている。
【0005】
特許文献3には、エポキシ化合物及びフラックス成分を使用するプリアプライドアンダーフィル材が記載されている。また、特許文献4には、アクリルモノマーを使用するアンダーフィル材が記載されている。そして、特許文献5には、ラジカル重合性モノマーを使用したプリアプライドアンダーフィル材が記載されている。
【0006】
特許文献6には、銅イオンと錯形成し得る骨格を有する樹脂を含有する銅イオン吸着層を備え、銅イオンと錯形成し得る骨格を有する樹脂が、トリアジン骨格を有するフェノール樹脂である、フィルム状接着剤についての記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2008-133423号公報
【文献】特開2016-027174号公報
【文献】特開2013-112730号公報
【文献】特開2015-172145号公報
【文献】特表2015-503220号公報
【文献】特開2011-52109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1及び2に記載のようなエポキシ化合物を使用するプリアプライドアンダーフィル材の場合、エポキシ化合物は様々な材料との接着性が高く、電気絶縁性に優れるという利点がある。しかし、このようなプリアプライドアンダーフィル材は、意図的にフラックス成分を含まない。よって、特許文献1及び2に記載のプリアプライドアンダーフィル材では、接合部の酸化膜を除去することは困難である。
【0009】
また、特許文献3では、フラックス成分として特定のカルボキシル基含有化合物が使用されている。しかし、カルボキシル基含有化合物は、エポキシ化合物と室温でもわずかに反応が進行し、保管中にフラックス活性が経時的に低下するため、接合安定性が低く、量産性に乏しいという欠点がある。
特許文献4でも、意図的にフラックス成分を含まないため、接合部の酸化膜を金属接合前に除去することはできない。
【0010】
特許文献5では、ラジカル重合性モノマーの重合開始剤として、熱ラジカル開始剤が使用されている。しかし、特許文献5では、カルボキシル基を含有するポリマーを用いているが、分子量が大きいため、カルボキシル基の運動性が低く、十分なフラックス活性は期待できない。
【0011】
また、銅は腐食しやすい特性を持つところ、腐食により発生した銅イオンは、半導体チップ内に浸透しトランジスタに作用することで誤動作を起こし、チップの電極間でマイグレーションによる短絡を引き起こしやすい傾向にある。そこで、特許文献6では、銅イオンと錯形成し得る骨格であるトリアジン骨格を有するフェノール樹脂を含有するフィルム状接着剤についての記載がある。しかし、この接着剤では、トリアジン骨格を有するフェノール成分が樹脂骨格中に組み込まれているので運動性が低く、接合部の金属酸化膜除去性が極めて低いとの問題を有する。
【0012】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、優れたフラックス活性、可撓性、及び保存安定性を有し、アンダーフィル材用に好適な樹脂組成物、積層体、樹脂組成物層付き半導体ウェハ、樹脂組成物層付き半導体搭載用基板、及び半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、前記問題点を解決のため鋭意検討した結果、フェノール性水酸基を有する化合物(A)と、金属イオン捕捉剤(B)と、ラジカル重合性化合物(C)と、を含有する樹脂組成物が、前記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0014】
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1]フェノール性水酸基を有する化合物(A)と、金属イオン捕捉剤(B)と、ラジカル重合性化合物(C)と、を含有する、樹脂組成物。
【0015】
[2]前記フェノール性水酸基を有する化合物(A)の分子量が、200以上で、かつ、融点が、300℃以下である、[1]に記載の樹脂組成物。
【0016】
[3]前記フェノール性水酸基を有する化合物(A)における5%質量減少温度が、250℃以上である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
【0017】
[4]前記金属イオン捕捉剤(B)が、配位原子として窒素及び酸素から選択される少なくとも1種の元素を含有する、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0018】
[5]前記金属イオン捕捉剤(B)が、アミン類、アミン誘導体、エーテル誘導体、及びケトン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、[1]~[4]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【0019】
[6]前記金属イオン捕捉剤(B)が、トリアジン誘導体、ビピリジン誘導体、及びジケトン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、[1]~[5]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【0020】
[7]前記金属イオン捕捉剤(B)が、1,3-ジケトンを含有する、[1]~[6]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【0021】
[8]前記金属イオン捕捉剤(B)が、2,4-ジアミノ-6-メチル-1,3,5-トリアジン、2,2’-ビピリジン、1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオン、1-(2-メシチレン)-1,3-ブタンジオン、1,3-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3-プロパンジオン、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4-メトキシフェニル)-1,3-プロパンジオン、及び(E,E)-1,7-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0022】
[9]前記金属イオン捕捉剤(B)が、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4-メトキシフェニル)-1,3-プロパンジオン、及び(E,E)-1,7-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、[1]~[8]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【0023】
[10]前記ラジカル重合性化合物(C)が、(メタ)アクリレート化合物、マレイミド化合物、及びプロペニル化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、[1]~[9]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【0024】
[11]前記ラジカル重合性化合物(C)が、2,2’-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパン、1,2-ビス(マレイミド)エタン、1,4-ビス(マレイミド)ブタン、1,6-ビス(マレイミド)ヘキサン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-フェニルマレイミド、下記式(1)で表されるマレイミド化合物、下記式(2)で表されるマレイミド化合物、及び下記式(3)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、[10]に記載の樹脂組成物。
【0025】
【化1】
【0026】
(式(1)中、Rは、各々独立に、水素原子又はメチル基を示し、nは1以上の整数を示す。)。
【0027】
【化2】
【0028】
(式(2)中、nの平均値は、1以上30以下である。)。
【0029】
【化3】
【0030】
(式(3)中、Rは各々独立に、水素原子、メチル基又はエチル基を示し、Rは各々独立に、水素原子又はメチル基を示す。)。
【0031】
[12]前記ラジカル重合性化合物(C)が、2,2’-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパン、前記式(1)で表されるマレイミド化合物、前記式(2)で表されるマレイミド化合物、及び前記式(3)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される少なくとも1種のマレイミド化合物を含有する、[11]に記載の樹脂組成物。
【0032】
[13]前記樹脂組成物中における前記フェノール性水酸基を有する化合物(A)の含有量が、前記樹脂組成物中における前記ラジカル重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下である、[1]~[12]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0033】
[14]前記樹脂組成物中における前記金属イオン捕捉剤(B)の含有量が、前記樹脂組成物中における前記ラジカル重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下である、[1]~[13]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0034】
[15]無機充填材(D)を更に含有する、[1]~[14]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0035】
[16]前記無機充填材(D)が、電気絶縁性を有する、[15]に記載の樹脂組成物。
【0036】
[17]前記無機充填材(D)の平均粒子径が、3μm以下である、[15]又は[16]に記載の樹脂組成物。
【0037】
[18]前記無機充填材(D)が、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ベーマイト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、及び水酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、[15]~[17]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0038】
[19]前記樹脂組成物中における前記無機充填材(D)の含有量が、前記ラジカル重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、300質量部以下である、[15]~[18]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0039】
[20]可撓性付与成分(E)を更に含有する、[1]~[19]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0040】
[21]前記可撓性付与成分(E)が、熱可塑性の高分子化合物を含有し、前記高分子化合物の質量平均分子量が、1,000以上1,000,000以下である、[20]に記載の樹脂組成物。
【0041】
[22]前記可撓性付与成分(E)が、(メタ)アクリルオリゴマー及び(メタ)アクリルポリマーからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、[20]又は[21]に記載の樹脂組成物。
【0042】
[23]プリアプライドアンダーフィル材用である、[1]~[22]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0043】
[24]支持基材と、前記支持基材上に積層された[1]~[23]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む層と、を備える、積層体。
【0044】
[25]半導体ウェハと、前記半導体ウェハに積層された[24]に記載の積層体と、を備え、前記樹脂組成物を含有する層が前記半導体ウェハに積層された、樹脂組成物層付き半導体ウェハ。
【0045】
[26]半導体搭載用基板と、前記半導体搭載用基板に積層された[24]に記載の積層体と、を備え、前記樹脂組成物を含有する層が、前記半導体搭載用基板に積層された、樹脂組成物層付き半導体搭載用基板。
【0046】
[27][25]に記載の樹脂組成物層付き半導体ウェハ、及び/又は、[26]に記載の樹脂組成物層付き半導体搭載用基板を備える、半導体装置。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、優れたフラックス活性、可撓性、及び保存安定性を有し、アンダーフィル材用に好適な樹脂組成物、積層体、樹脂組成物層付き半導体ウェハ、樹脂組成物層付き半導体搭載用基板、及び半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
本明細書における「(メタ)アクリロ」とは「アクリロ」及びそれに対応する「メタクリロ」の両方を意味する。「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」の両方を意味する。「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」の両方を意味する。
【0049】
本実施形態の一態様の樹脂組成物は、フェノール性水酸基を有する化合物(A)と、金属イオン捕捉剤(B)と、ラジカル重合性化合物(C)と、を含有する。本実施形態の樹脂組成物は、アンダーフィル材の用途に好ましく、プリアプライドアンダーフィル材の用途により好ましく用いられる。
【0050】
本実施形態の別の態様の樹脂組成物は、前記各成分に、無機充填材(D)を更に含有する。
【0051】
本実施形態の別の態様の樹脂組成物は、前記各成分に加え、可撓性付与成分(E)を更に含有する。
【0052】
本実施形態の別の態様は、本実施形態による樹脂組成物を用いて得られる積層体(以下、「樹脂積層体」ともいう。)、積層体を用いて作製される樹脂組成物層付き半導体ウェハ、積層体を用いて作製される樹脂組成物層付き半導体搭載用基板、及び本実施形態の樹脂組成物を用いて作製した半導体装置も提供される。
【0053】
〔I.樹脂組成物〕
本実施形態の樹脂組成物は、好適にはチップのフリップチップ実装に使用されるアンダーフィル材として用いられる樹脂組成物である。この樹脂組成物は、フェノール性水酸基を有する化合物(A)と、金属イオン捕捉剤(B)と、ラジカル重合性化合物(C)とを含有する。本実施形態の樹脂組成物は、無機充填材(D)及び/又は可撓性付与成分(E)を更に含んでもよい。
【0054】
〔I-1.フェノール性水酸基を有する化合物(A)〕
フェノール性水酸基を有する化合物(A)は、主に樹脂組成物のフラックス活性に寄与する成分である。
【0055】
フェノール性水酸基を有する化合物(A)としては、分子中に1個以上のフェノール性の水酸基を有する化合物であれば、特に限定されない。化合物(A)としては、フェノール樹脂であってもよい。
【0056】
フェノール性水酸基を有する化合物(A)は、フリップチップ実装中においてフラックス活性が発現する前に揮発してしまうこと、すなわち接合部の酸化膜を除去する前にフェノール性水酸基を有する化合物(A)が揮発してしまうことを防ぐことが好ましい。このような観点から、フェノール性水酸基を有する化合物(A)の分子量は、本実施形態の効果を奏する限り特に限定されないが、200以上であることが好ましく、熱硬化時の揮発分を低減する観点から、250以上であることがより好ましく、フリップチップ接合における揮発分を低減する観点から、300以上であることが更に好ましい。一方、酸としての運動性を有し、より十分なフラックス活性を得る観点から、フェノール性水酸基を有する化合物(A)の分子量は、10,000以下であることが好ましく、溶剤溶解性の観点から、8,000以下であることがより好ましく、フリップチップ接合において接合部の金属酸化膜に効率よく到達するための運動性を確保する観点から、6,000以下であることが更に好ましい。
【0057】
なお、本実施形態において、分子量は、化合物である場合には、その化合物の分子量を表し、樹脂である場合には、質量平均分子量(Mw)を表す。質量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラム)法によりポリスチレンを標準物質として求めることができる。
【0058】
フェノール性水酸基を有する化合物(A)の融点は、本実施形態の効果を奏する限り特に限定されないが、300℃以下であることが好ましく、一般的なはんだの融点以下で溶融し金属酸化膜に作用させる観点から、0~260℃であることがより好ましく、室温での保存安定性を確保しつつ、フリップチップ接合の際に接合に用いるはんだの融点以下で溶融する必要がある観点から、40~240℃であることが更に好ましい。
【0059】
フェノール性水酸基を有する化合物(A)の5%質量減少温度は、本実施形態の効果を奏する限り特に限定されないが、250℃以上であることが好ましく、半導体装置製造プロセスにおける加熱時の揮発分抑制の観点から、260℃以上であることがより好ましく、フリップチップ接合の際の揮発分抑制の理由から、270℃以上であることが更に好ましい。5%質量減少温度は、250℃未満であると、フリップチップ接合の際の揮発分が多量に発生し、硬化物中のボイドや工程汚染の原因となるおそれがある。
【0060】
フェノール性水酸基を有する化合物(A)の5%質量減少温度は、熱質量分析(TGA)を用いて測定することができる。測定方法を具体的に説明する。所定量の化合物をTGAに仕込み、室温から10℃/分で500℃まで昇温する。得られた質量減少曲線の中から質量が5%減少する温度を5%質量減少温度とする。
【0061】
フェノール性水酸基を有する化合物(A)としては、例えば、9,9’-ビス-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、ビスクレゾールフルオレン、ビスフェノールフルオレン、2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)メシチレン、ヘスペリジン、α,α’,α’’-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、α,α’-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、1,1’,3-トリス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルプロパン、4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1’,1’’-トリス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)エタン、1,1’,2,2’-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]が挙げられる。
【0062】
また、フェノール性水酸基を有する化合物(A)であるフェノール樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型フェノール樹脂、ビスフェノールE型フェノール樹脂、ビスフェノールF型フェノール樹脂、ビスフェノールS型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック型フェノール樹脂、グリシジルエステル型フェノール樹脂、アラルキルノボラック型フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、多官能フェノール樹脂、ナフトール樹脂、ナフトールノボラック樹脂、多官能ナフトール樹脂、アントラセン型フェノール樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、脂環式フェノール樹脂、ポリオール型フェノール樹脂、リン含有フェノール樹脂、水酸基含有シリコーン樹脂類、プロペニルフェノール樹脂、アリルフェノール樹脂、プロペニルビフェニレン樹脂も挙げられる。
【0063】
フェノール性水酸基を有する化合物(A)は市販のものを用いてもよく、例えば、DIC(株)製PHENOLITE(登録商標)KA-1163、田岡化学工業(株)製TBIS(登録商標)-MP、新日鐵化学(株)製SN-495V、群栄化学工業(株)製LVA01、群栄化学工業(株)製BPN01、群栄化学工業(株)製TPMP01、群栄化学工業(株)製PPN-80、群栄化学工業(株)製ELPC75、フドー(株)製GP-100、日本化薬(株)製GPH103が挙げられる。
【0064】
これらのフェノール性水酸基を有する化合物(A)の中では、9,9’-ビス-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、プロペニルフェノール樹脂、プロペニルビフェニレン樹脂、アリルフェノール樹脂が、本実施形態の樹脂組成物をアンダーフィル材、好ましくはプリアプライドアンダーフィル材として用いた半導体装置において、揮発分の抑制及び分子の運動性の観点から好ましい。これらのフェノール性水酸基を有する化合物(A)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0065】
樹脂組成物中におけるフェノール性水酸基を有する化合物(A)の含有量は、本実施形態の効果を奏する限り特に限定されないが、樹脂組成物中における下記のラジカル重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下であることが好ましく、十分なフラックス活性及び溶剤溶解性を確保する観点から、10質量部以上45質量部以下であることがより好ましく、十分なフラックス活性、溶剤溶解性、及び樹脂組成物の可撓性を確保する観点から、15質量部以上40質量部以下であることが更に好ましい。
【0066】
〔I-2.金属イオン捕捉剤(B)〕
金属イオン捕捉剤(B)としては、金属イオンを捕捉できる化合物であれば特に限定されない。捕捉される金属イオンとしては、特に限定されないが、銅イオンが好ましい。
【0067】
アンダーフィル材におけるフラックス成分として、カルボキシル基含有化合物などの比較的強い酸を用いると、硬化後も、電極部、チップ又は基板の銅配線を腐食させる作用が残存するために、チップの誤動作又は絶縁不良を引き起こすという問題を有する。この問題について、本発明者らは、酸によって、銅などの金属が腐食し、イオン化した金属が硬化物を介して接続端子間を移動し、析出して端子間を短絡する、いわゆるマイグレーションを引き起こすことにより絶縁性不良が生じると推定している。そこで、フラックス成分として、カルボキシル基含有化合物よりも弱酸性であるフェノール性水酸基を有する化合物を用いて金属酸化膜の除去を行うべく、鋭意検討を行った。フラックス成分としてフェノール類を単独で用いるとすると、酸乖離定数の大きいフェノールでは、金属酸化膜に作用するプロトン濃度が低いため、金属酸化膜から溶解して生成される金属イオンの濃度は小さいままとなり、十分な金属酸化膜除去が行われない。一方、この反応場に金属イオン捕捉剤を添加し、反応場から金属イオンを除去すると、系の平衡を保つ働きから、金属イオンの生成、すなわち酸化膜の分解が加速され、結果として酸化膜の除去量が増え、金属酸化膜の除去が可能となることを見出した。
【0068】
金属イオン捕捉剤(B)としては、本実施形態の効果を奏する限り特に限定されないが、金属イオン、特に銅イオンを好適に捕捉できることから、配位原子として窒素及び酸素から選択される少なくとも1種の元素を含有することが好ましい。配位原子として窒素を含有する金属イオン捕捉剤としては、特に限定されず、例えば、アミン類及びアミン誘導体が挙げられる。配位原子として酸素を含有する金属捕捉剤としては、特に限定されず、例えば、エーテル誘導体及びケトン誘導体が挙げられる。
【0069】
アミン誘導体としては、例えば、イミダゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラゾール誘導体、トリアジン誘導体、ピリジン誘導体、ターピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリダジン誘導体、キナゾリン誘導体、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、及びサイクレン誘導体が挙げられる。エーテル誘導体としては、例えば、クラウンエーテル誘導体が挙げられる。ケトン誘導体としては、例えば、ジケトン誘導体が挙げられる。
【0070】
アミン類としては、例えば、1,3-フェニレンジアミン、2,6-ジアミノトルエン、1,3-ジアミノピレン、2,4-ジアミノトルエン、2,4,6-トリメチル-1,3-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノジフェニルアミン、3-アセトアミドアニリン、1,2-ジアミノ-4-ニトロベンゼン、4-ニトロ-1,3-フェニレンジアミン、2-メチル-5-ニトロアニリン、3,5-ジアミノ安息香酸、2-アミノ-1-メチルアミノ-4-ニトロベンゼン、3-アセトアミド-4-メチルアニリン、N-(tert-ブトキシカルボニル)-1,3-フェニレンジアミン、3’-アミノ-4’-メトキシアセトアニリド、3-(4-メチル-1-ピペラジニル)アニリンが挙げられる。
【0071】
イミダゾール誘導体としては、例えば、イミダゾール、N-アセチルイミダゾール、1-(α,4-ジフェニルベンジル)イミダゾール、2,2’-(2,6-ピリジンジイル)ビス(ベンゾイミダゾール)、4-(4,5-ジフェニル-1H-イミダゾール-2-イル)安息香酸、2-(4-ヒドロキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール、5-クロロ-1-[1-[3-(2-オキソ-1-ベンゾイミダゾリル)プロピル]-4-ピペリジル]ベンゾイミダゾール-2-オン、[5-(4-フルオロベンゾイル)ベンゾイミダゾール-2-イル]カルバミン酸メチル、2-(4-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-[[[3-メチル-4-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-2-ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンゾイミダゾール、5-メトキシ-2-[[(4-メトキシ-3,5-ジメチル-2-ピリジル)メチル]チオ]ベンゾイミダゾール、[5-(フェニルスルフィニル)ベンゾイミダゾール-2-イル]カルバミン酸メチル、5-(ジフルオロメトキシ)-2-[[(3,4-ジメトキシ-2-ピリジル)メチル]チオ]ベンゾイミダゾール、4-(4-フルオロフェニル)-2-(4-ニトロフェニル)-5-(4-ピリジル)-1H-イミダゾール、9-フェニル-3,6-ビス[4-(1-フェニルベンゾイミダゾール-2-イル)フェニル]カルバゾール、1-フェニル-2-[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]-1H-ベンゾイミダゾール、4’-[[4-メチル-6-(1-メチル-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-プロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル]メチル]ビフェニル-2-カルボン酸、4-ホルミル-1-トリチルイミダゾール、[5-(プロピルチオ)ベンゾイミダゾール-2-イル]カルバミン酸メチル、1-アリルイミダゾール、5-アミノ-2-(4-アミノフェニル)ベンゾイミダゾール、2-アミノベンゾイミダゾール、5-アミノベンゾイミダゾール、2-アミノ-4,5-ジシアノ-1H-イミダゾール、4(5)-アミノ-5(4)-シアノイミダゾール、5-アミノ-2-メルカプトベンゾイミダゾール、1-(3-アミノプロピル)イミダゾール、6-(1-メチル-4-ニトロイミダゾール-5-イル)チオプリン、ベンゾイミダゾール、5-カルボキシベンゾイミダゾール、2-(4-アミノフェニル)ベンゾイミダゾール、1-ベンジルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、2,2’-ビイミダゾール、4,5-ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール、4,5-ビス(ヒドロキシメチル)-2-フェニルイミダゾール、1,4-ビス[(1H-イミダゾール-1-イル)メチル]ベンゼン、N-tert-ブトキシカルボニルイミダゾール、1-(ジメチルスルファモイル)-2-(tert-ブチルジメチルシリル)-1H-イミダゾール、1-(tert-ブチルジメチルシリル)イミダゾール、1-tert-ブチルイミダゾール、1-ブチルイミダゾール、2-ブチルイミダゾール、2-ブチル-4-ホルミルイミダゾール、1,1’-カルボニルジイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-メチルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-ウンデシルイミダゾール、4(5)-シアノメチルイミダゾール、1-(4-シアノフェニル)イミダゾール、5-(3,3-ジメチルトリアゼノ)イミダゾール-4-カルボキシアミド、5,6-ジアミノ-2-ヒドロキシベンゾイミダゾール、2-プロピル-1H-イミダゾール-4,5-ジカルボン酸ジエチル、1-(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール、1,2-ジメチルベンゾイミダゾール、5,6-ジメチルベンゾイミダゾール、1-(ジメチルエチルシリル)イミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1H-イミダゾール-4,5-ジカルボン酸ジメチル、1-(ジメチルイソプロピルシリル)イミダゾール、1,2-ジメチル-5-ニトロイミダゾール、4,5-ジフェニルイミダゾール、4-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)-2-プロピル-1H-イミダゾール-5-カルボン酸エチル、1-エチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、4(5)-エチルイミダゾール、2-イミダゾールカルボン酸エチル、4-イミダゾールカルボン酸エチル、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-メチルイミダゾール-2-カルボン酸エチル、テトラヒドロイミダゾ[4,5-d]イミダゾール-2,5(1H,3H)-ジオン、2-ヒドロキシベンゾイミダゾール、1-(10-ヒドロキシデシル)イミダゾール、2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾイミダゾール、2-(ヒドロキシメチル)ベンゾイミダゾール、2-ヒドロキシメチル-1-メチルイミダゾール、4-ヒドロキシメチル-5-メチルイミダゾール、2-ヒドロキシメチル-1-メチル-5-ニトロイミダゾール、2-(3-ヒドロキシプロピル)ベンゾイミダゾール、1-イミダゾール酢酸、2-ホルミルイミダゾール、4-ホルミルイミダゾール、2-イミダゾールカルボン酸、4-イミダゾールカルボン酸、イミダゾール-4,5-ジカルボキサミド、1H-イミダゾール-4,5-ジカルボン酸、1-(シアノメチル)イミダゾール、1-(4-ホルミルフェニル)イミダゾール、1-イソプロピルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、[5-(ベンゾイル)ベンゾイミダゾール-2-イル]カルバミン酸メチル、1-メチルベンゾイミダゾール、2-メチルベンゾイミダゾール、5-メチルベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール-5-カルボン酸メチル、5-(ヒドロキシメチル)-1H-イミダゾール-4-カルボン酸メチル、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、4-メチルイミダゾール、2-ホルミル-1-メチルイミダゾール、1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル、1-メチル-4-イミダゾールカルボン酸、4,5-ジカルボキシ-1-メチル-1H-イミダゾール、2-メチル-5-ニトロイミダゾール-1-エタノール、4-メチル-2-フェニルイミダゾール、6-カルボキシ-4-メチル-2-プロピルベンズイミダゾール、2-メチル-1-ビニルイミダゾール、5-ニトロベンゾイミダゾール、2-ニトロイミダゾール、4-ニトロイミダゾール、2-ノニルベンゾイミダゾール、1,1’-オキサリルジイミダゾール、1-(フェニルエチル)イミダゾール、2-フェニルベンゾイミダゾール、1-フェニルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、2-(4-ピペリジニル)ベンゾイミダゾール、1-プロピルイミダゾール、2-プロピルイミダゾール、2-(2-ピリジル)ベンゾイミダゾール、2-(4-ピリジル)ベンゾイミダゾール、2,4,5-トリフェニルイミダゾールが挙げられる。
【0072】
トリアゾール誘導体としては、例えば、1-アミノベンゾトリアゾール、2-アミノベンゾトリアゾール、4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-5-メチルチオ-1H-1,2,4-トリアゾール、N-(2-アミノフェニル)-4-[1-[2-(3-チエニル)エチル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル]ベンズアミド、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、4-アミノ-1,2,4-トリアゾール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-ホルミル-1H-ベンゾトリアゾール、5-カルボキシベンゾトリアゾール、1-(ヒドロキシメチル)-1H-ベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、9-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イルメチル)-9H-カルバゾール、1-tert-ブトキシカルボニル-1,2,4-トリアゾール、2-(5-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、1,1’-カルボニルジ(1,2,4-トリアゾール)、5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、1-(クロロメチル)-1H-ベンゾトリアゾール、3-(クロロメチル)-1,2,4-トリアゾリン-5-オン、3-クロロ-1,2,4-トリアゾール、3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾール、2-(3,5-ジ-tert-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、4,7-ジブロモ-2-(6-ブロモヘキシル)ベンゾトリアゾール、3,5-ジブロモ-1,2,4-トリアゾール、2-(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、3,5-ジメチル-1,2,4-トリアゾール、2,6-ジ(2H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)ピリジン、1-ヒドロキシ-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボン酸エチル、1-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニルオキシ]ベンゾトリアゾール、1-(ホルムアミドメチル)-1H-ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-6-(トリフルオロメチル)ベンゾトリアゾール、1-(イソシアノメチル)-1H-ベンゾトリアゾール、1-ビス(4-シアノフェニル)メチル-1,2,4-トリアゾール、3-メルカプト-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、1-(メトキシメチル)-1H-ベンゾトリアゾール、1-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[6-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール]、1,2,4-トリアゾール-3-カルボン酸メチル、5-メチル-2-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸、1-(4-ニトロベンジル)-1,2,4-トリアゾール、1,4-ジフェニル-エンドアニリノ-ジヒドロトリアゾール、3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール、2-n-オクチルベンゾトリアゾール、1-(4-クロロフェニル)-4,4-ジメチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)-3-ペンタノール、1,2,4-トリアゾール、1H-1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド、4-アザベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール、1-(4-アミノフェニル)-1,2,4-トリアゾール、1-(4-ホルミルフェニル)-1,2,4-トリアゾール、1-(2,4-ジフルオロベンゾイルメチル)-1H-1,2,4-トリアゾール、1-(4-アミノベンジル)-1,2,4-トリアゾール、3-(2-ピリジル)-1,2,4-トリアゾール、1-(トリフルオロメタンスルホニル)-1H-ベンゾトリアゾール、3-(トリフルオロメチル)-5-(2-ピリジル)-1,2,4-トリアゾール、1-(2,4,6-トリイソプロピルフェニルスルホニル)-1,2,4-トリアゾール、1-(トリメチルシリル)-1H-ベンゾトリアゾール、1-[2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニルオキシ]ベンゾトリアゾール、3-ニトロ-1-[2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニル]-1H-1,2,4-トリアゾール、トリス(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メタン、トリス(3-ヒドロキシプロピルトリアゾリルメチル)アミンが挙げられる。
【0073】
ピラゾール誘導体としては、例えば、ピラゾール、1-アリル-3,5-ジメチルピラゾール、3-アミノ-5-tert-ブチルピラゾール、5-アミノ-1,3-ジフェニルピラゾール、5-アミノ-1-(2-ヒドロキシエチル)ピラゾール、3-アミノ-5-ヒドロキシピラゾール、5-アミノ-3-(4-メトキシフェニル)-1-フェニルピラゾール、3-アミノ-5-(4-メトキシフェニル)ピラゾール、5-アミノ-3-メチル-1-フェニルピラゾール、4-アミノ-1-メチル-3-プロピルピラゾール-5-カルボキサミド、3-アミノ-1-メチルピラゾール、3-アミノ-5-メチルピラゾール、5-アミノ-3-メチル-1-p-トリルピラゾール、3-アミノ-5-フェニルピラゾール、5-アミノ-1-フェニルピラゾール、3-アミノピラゾール、アントラ[1,9-cd]ピラゾール-6(2H)-オン、1-ベンジル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒド、N-(tert-ブトキシカルボニル)-1H-ピラゾール-1-カルボキサミジン、N-(カルボベンゾキシ)-1H-ピラゾール-1-カルボキサミジン、ピラゾール-3,5-ジカルボン酸ジエチル、3,5-ジイソプロピルピラゾール、3,5-ジメチル-1-ヒドロキシメチルピラゾール、3,5-ジメチル-1-フェニルピラゾール、1,3-ジメチルピラゾール、1,5-ジメチルピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール、1-カルバモイル-3,5-ジメチルピラゾール、1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸、2,4-ジヒドロ-2,5-ジメチル-3H-ピラゾール-3-オン、3,5-ジフェニルピラゾール、3,5-ジ(2-ピリジル)ピラゾール、5-アミノ-1-メチルピラゾール-4-カルボン酸エチル、5-アミノ-1-フェニルピラゾール-4-カルボン酸エチル、3-アミノピラゾール-4-カルボン酸エチル、1,3-ジメチルピラゾール-5-カルボン酸エチル、1,5-ジメチルピラゾール-3-カルボン酸エチル、3-メチルピラゾール-5-カルボン酸エチル、1-エチル-3-メチルピラゾール-5-カルボン酸、1-エチルピラゾール、ピラゾール-3-カルボン酸エチル、4-ピラゾールカルボン酸エチル、5-ホルムアミド-1-[2-(ホルミルオキシ)エチル]ピラゾール、1,2-ベンゾピラゾール、1-イソプロピルピラゾール、1,5-ジメチルピラゾール-3-カルボン酸メチル、5-メチルピラゾール-3-カルボン酸メチル、5-カルバモイル-1-メチル-4-ニトロ-3-プロピルピラゾール、3-メチル-4-ニトロピラゾール、3-メチル-1-フェニルピラゾール、5-メチル-1-フェニルピラゾール-4-カルボン酸、1-メチルピラゾール、3-メチルピラゾール、4-メチルピラゾール、4-ホルミル-1-メチルピラゾール、5-ホルミル-1-メチルピラゾール、4-ホルミル-3-メチルピラゾール、ピラゾール-3-カルボン酸メチル、1-メチルピラゾール-3-カルボン酸、1-メチルピラゾール-4-カルボン酸、1-メチルピラゾール-5-カルボン酸、5-(ヒドロキシメチル)-1-メチルピラゾール、1-ニトロピラゾール、3-ニトロピラゾール、4-ニトロピラゾール、1-フェニルピラゾール、3-フェニルピラゾール、4-アミノピラゾール、3-ホルミルピラゾール、ピラゾール-3-カルボン酸、ピラゾール-4-カルボン酸、2,4-ジヒドロ-3H-ピラゾール-3-オン、5-(2-アミノフェニル)ピラゾール、4-(1H-ピラゾール-1-イル)安息香酸、3-(2-ヒドロキシフェニル)ピラゾール、3-(2-ピリジル)ピラゾール、1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール、1,3,5-トリメチルピラゾールが挙げられる。
【0074】
トリアジン誘導体としては、例えば、3-アミノ-5,6-ジメチル-1,2,4-トリアジン、2-アミノ-4-メトキシ-6-メチル-1,3,5-トリアジン、6-アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオール、2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシ-1,3,5-トリアジン、2-アミノ-4-ヒドロキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-フェニル-1,3,5-トリアジン、2-(tert-ブチルアミノ)-4-(シクロプロピルアミノ)-6-(メチルチオ)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(シクロプロピルアミノ)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-ブチルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-ジアリルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-ジエチルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-ジメチルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-イソプロポキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-メトキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2-(2-メチル-1-イミダゾリル)エチル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-メチル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-1,3,5-トリアジン、3-(ジエトキシホスホリルオキシ)-1,2,3-ベンゾトリアジン-4(3H)-オン、3,4-ジヒドロ-3-ヒドロキシ-4-オキソ-1,2,3-ベンゾトリアジン、3,4-ジヒドロ-4-オキソ-1,2,3-ベンゾトリアジン、2,4-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリアミノ-1,3,5-トリアジン、4-アミノ-3-メチル-6-フェニル-1,2,4-トリアジン-5-オン、2-メトキシ-4-メチル-6-(メチルアミノ)-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリ(メタ)アクリロイルヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリメチルヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-1,3,5-トリアジンが挙げられる。
【0075】
ピリジン誘導体としては、例えば、5-ブロモピリジン-3-カルボキサミド、4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチル-2-ピリジンカルボキサミド、2,6-ビス[(2R,4S,5S)-1-ベンジル-4,5-ジフェニルイミダゾリジン-2-イル]ピリジン、2,6-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリジン、2,6-ビス[(2S,5S)-4,4-ジフェニル-1-アザ-3-オキサビシクロ[3.3.0]オクタン-2-イル]ピリジン、2,6-ビス[(2S,4S)-4-メチル-5,5-ジフェニルオキサゾリジン-2-イル]ピリジン、2,6-ビス(9H-カルバゾール-9-イル)ピリジン、3,5-ジ(1-ピレニル)ピリジン、2,6-ビス(2-ベンゾイミダゾリル)ピリジン、(R,R)-2,6-ビス(4-イソプロピル-2-オキサゾリン-2-イル)ピリジン、(S,S)-2,6-ビス(4-イソプロピル-2-オキサゾリン-2-イル)ピリジン、(R,R)-2,6-ビス(4-フェニル-2-オキサゾリン-2-イル)ピリジン、(S,S)-2,6-ビス(4-フェニル-2-オキサゾリン-2-イル)ピリジン、2,2’-ジチオビス(5-ニトロピリジン)、6,6’-ジチオビス(3-ピリジンカルボン酸)、2-[N,N-ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミノ]ピリジン、2-(トリブロモメタンスルホニル)ピリジン、N-(イソプロピルカルバモイル)-4-(m-トリルアミノ)ピリジン-3-スルホンアミド、4-メトキシ-2-(トリブチルスタンニル)ピリジン、2-(トリブチルスタンニル)ピリジン、2,4,6-トリフェニルピリジン、2-アセトアミド-5-ヨードピリジン、2-アミノ-5-ブロモ-3-ヨードピリジン、2-アミノ-5-クロロ-3-ヨードピリジン、2-アミノ-3,5-ジブロモ-6-メチルピリジン、2-アミノ-3,5-ジブロモピリジン、3-アミノ-2,5-ジブロモピリジン、3-アミノ-2,6-ジブロモピリジン、4-アミノ-3,5-ジブロモピリジン、4-(4-アミノ-3-フルオロフェノキシ)-N-メチル-2-ピリジンカルボキサミド、3-アミノ-2-メトキシ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン、2-アミノ-7-イソプロピル-5-オキソクロメノ[2,3-b]ピリジン-3-カルボン酸、3-ベンジルオキシ-5-ブロモピリジン、2,6-ビス(ブロモメチル)ピリジン、2-ブロモ-6-ベンジルオキシピリジン、2-ブロモ-3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン、2-ブロモ-5-ヨード-3-メチルピリジン、2-ブロモ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン、2-ブロモ-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン、4-[(tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル]ピリジン-2-カルボン酸、2-クロロ-N-(2-クロロ-4-メチルピリジン-3-イル)ピリジン-3-カルボキサミド、3,5-ジブロモ-4-ホルミルピリジン、4,7-ジブロモ[1,2,5]チアジアゾロ[3,4-c]ピリジン、4-(4-ジエチルアミノフェニルアゾ)ピリジン、2-(2,4-ジニトロベンジル)ピリジン、4-(2,4-ジニトロベンジル)ピリジン、3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-カルボン酸エチル、5-エチル-2-[2-(4-ニトロフェノキシ)エチル]ピリジン、5-ブロモ-2-クロロ-3-ピリジンカルボン酸メチル、2,2’-[メチレンビス(ジメチルシリレン)]ビスピリジン、2-(N-L-フェニルアラニノール)-5-ニトロピリジン、2-フェニル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン、3-[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]ピリジン、4-[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]ピリジン、4-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]ピリジン、4-(m-トリルアミノ)-3-スルファモイルピリジン、5-(m-トリル)-5H-ピロロ[3,2-c:4,5-c’]ジピリジン、3-(3,4-ジメトキシフェニル)-2-(ピリジン-3-イル)(メタ)アクリロニトリル、3-(3,5-ジクロロフェニル)-2-(ピリジン-3-イル)(メタ)アクリロニトリル、2-アセトアミド-5-ブロモ-4-メチルピリジン、2-アセトアミド-5-ブロモピリジン、2-アセチル-6-ブロモピリジン、3-アセチル-5-ブロモピリジン、5-アセチル-2-ブロモピリジン、2-アミノ-3-ベンジルオキシピリジン、2-アミノ-3-ブロモ-5-クロロピリジン、3-アミノ-2-ブロモ-5-クロロピリジン、3-アミノ-5-ブロモ-2-クロロピリジン、3-アミノ-6-ブロモ-2-クロロピリジン、5-アミノ-3-ブロモ-2-クロロピリジン、2-アミノ-3-ブロモ-5,6-ジメチルピリジン、2-アミノ-5-ブロモ-4-メチル-3-ニトロピリジン、2-アミノ-5-ブロモ-3-ニトロピリジン、2-アミノ-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ピリジン、2-アミノ-5-ヨード-3-メチルピリジン、2-アミノ-5-ヨード-4-メチルピリジン、2-アミノ-3-ヨードピリジンが挙げられる。
【0076】
ターピリジン誘導体としては、例えば、4’-(4-ブロモフェニル)-2,2’:6’,2''-ターピリジン、4’-ブロモ-2,2’:6’,2''-ターピリジン、2,2’:6’,2''-ターピリジン-4’-ホスホン酸ジエチル、1,4-ジ[[2,2’:6’,2''-ターピリジン]-4’-イル]ベンゼン、4’-(メトキシカルボニル)-2,2’:6’,2''-ターピリジン、2,2’:6’,2''-ターピリジン、2,2’:6’,2''-ターピリジン-4,4’,4''-トリカルボン酸トリメチルが挙げられる。
【0077】
ビピリジン誘導体としては、例えば、2,2’-ビピリジン-6-カルボニトリル、2,2’-ビピリジン-3,3’-ジカルボン酸、2,2’-ビピリジン-4,4’-ジカルボン酸、2,2’-ビピリジン-5,5’-ジカルボン酸、2,2’-ビピリジン-6,6’-ジカルボン酸、2,2’-ビピリジン-3,3’-ジオール、2,2’-ビピリジン-6,6’-ジオール、2,2’-ビピリジン、2,4’-ビピリジン、3,3’-ビピリジン、4,4’-ビピリジン、6,6’-ビス(クロロメチル)-2,2’-ビピリジン、4,4’-ビス(5-ヘキシル-2-チエニル)-2,2’-ビピリジン、4,4’-ビス(ヒドロキシメチル)-2,2’-ビピリジン、1,2-ビス(4’-メチル-2,2-ビピリジン-4-イル)エタン、5,5’-ビス(トリフルオロメチル)-2,2’-ビピリジン、6-ブロモ-2,2’-ビピリジン、6-ブロモ-4,4’-ジメチル-2,2’-ビピリジン、4-(ブロモメチル)-4’-メチル-2,2’-ビピリジン、4-(クロロメチル)-4’-メチル-2,2’-ビピリジン、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビピリジン、2,2’-ビピリジン-6,6’-ジアミン、4,4’-ジブロモ-2,2’-ビピリジン、5,5’-ジブロモ-2,2’-ビピリジン、6,6’-ジブロモ-2,2’-ビピリジン、4,4’-ジ-tert-ブチル-2,2’-ビピリジン、2,2’-ビピリジン-6,6’-ジカルボニトリル、4,4’-ジメトキシカルボニル-2,2’-ビピリジン、6,6’-ジメトキシカルボニル-2,2’-ビピリジン、4,4’-ジメチル-(2,2’-ビピリジン)-3-オール、4-ヒドロキシメチル-4’-メチル-2,2’-ビピリジン、6’-メトキシ-2,3’-ビピリジンが挙げられる。
【0078】
フェナントロリン誘導体としては、例えば、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン、2-ブロモ-1,10-フェナントロリン、3-ブロモ-1,10-フェナントロリン、5-ブロモ-1,10-フェナントロリン、2-クロロ-1,10-フェナントロリン、5-クロロ-1,10-フェナントロリン、3,8-ジブロモ-1,10-フェナントロリン、2,9-ジブチル-1,10-フェナントロリン、2,9-ジブチル-5-ピクリルアミノ-1,10-フェナントロリン、2,9-ジクロロ-1,10-フェナントロリン、4,7-ジヒドロキシ-1,10-フェナントロリン、4,7-ジメチル-1,10-フェナントロリン、5,6-ジメチル-1,10-フェナントロリン、2,9-ジメチル-5-ピクリルアミノ-1,10-フェナントロリン、2,9-ジフェニル-1,10-フェナントロリン、2-メチル-1,10-フェナントロリン、5-ニトロ-1,10-フェナントロリン、1,10-フェナントロリン-5,6-ジオン、(1S)-3-(1,10-フェナントロリン-2-イル)-2’-フェニル-[1,1’-ビナフタレン]-2-オール、3,5,6,8-テトラブロモ-1,10-フェナントロリン、3,4,7,8-テトラメチル-1,10-フェナントロリンが挙げられる。
【0079】
ピリミジン誘導体としては、例えば、ピリミジン、4-メチルピリミジン、5-アミノピリミジン、2-アミノピリミジン、4-アミノピリミジン、4(3H)-ピリミジノン、2-クロロピリミジン、2-メルカプトピリミジン、2-シアノピリミジン、4,6-ジクロロピリミジン、4,6-ジメチルピリミジン、2,5-ジクロロピリミジン、2,4-ジクロロピリミジン、2-クロロ-4-メチルピリミジン、4-メトキシピリミジン、2-クロロ-5-フルオロピリミジン、2-クロロ-5-メチルピリミジン、4-クロロ-2-メチルピリミジン、4,6-ジヒドロキシピリミジン、2-クロロ-4,6-ジメチルピリミジン、4,6-ジメトキシピリミジン、ピリミジン-5-カルボン酸、5-アミノ-4-クロロピリミジン、2-クロロ-5-エチルピリミジン、2-クロロ-5-メトキシピリミジン、4,6-ジアミノピリミジン、5-ピリミジルボロン酸、ピリミジン-2-カルボン酸、2-アミノ-4-メチルピリミジン、2-アミノ-5-クロロピリミジン、4,6-ジメチル-2-メルカプトピリミジン、ピリミジン-2-カルボン酸メチル、2,4-ジメトキシピリミジン、2-アミノ-4,6-ジメチルピリミジン、2,4-ジアミノピリミジン、4,6-ジメチル-2-ヒドロキシピリミジン、4-アミノ-2-クロロピリミジン、4-クロロ-6-ヒドロキシピリミジン、2-メチルチオ-4-ピリミジノール、4-クロロ-6-メトキシピリミジン、4,5-ジアミノピリミジン、4,6-ジヒドロキシ-2-メチルピリミジン、ピリミジン-4-カルボン酸、2,4,6-トリアミノピリミジン、2-アミノ-5-ニトロピリミジン、4-アミノ-6-クロロピリミジン、4-アミノピリミジン-5-カルボニトリル、4,6-ジヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン、2-アミノ-4-クロロ-6-メチルピリミジン、2-アミノ-4,6-ジヒドロキシピリミジン、4,6-ジアミノ-2-メルカプトピリミジン、2,4-ジメチル-6-ヒドロキシピリミジン、2,4-ジヒドロキシ-5-メトキシピリミジン、4-アミノ-2,6-ジメチルピリミジン、4-アミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2-アミノピリミジン-5-ボロン酸、6-クロロ-2,4-ジアミノピリミジン、2-アミノ-4-ヒドロキシ-6-メチルピリミジン、4-アミノ-2-クロロ-5-フルオロピリミジン、6-クロロピリミジン-4,5-ジアミン、2-アミノ-4-クロロ-6-ヒドロキシピリミジン、2-アミノ-4-メトキシ-6-メチルピリミジン、6-ヒドロキシ-4-ピリミジンカルボン酸、4-アミノ-5-フルオロ-2-メトキシピリミジン、2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2,4-ジアミノ-6-メトキシピリミジン、4-アミノ-2-メチル-5-ピリミジンメタノール、7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン、8-アザアデニン、6-アミノプリン、4-ヒドロキシピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、4-アミノピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、2-アミノプリン、8-アザヒポキサンチン、4-アミノ-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン、5-ヒドロキシウラシル、2-アミノ-4(1H)-ピリミジノン、4-アミノ-5-フルオロ-2-ヒドロキシピリミジン、3,7-ジヒドロ-4H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オン、2-クロロ-5-フルオロ-4-ピリミジノン、5-フルオロ-2-メトキシ-4-ピリミジノン、ヒポキサンチン、5-ブロモピリミジン、2-ブロモピリミジン、5-ブロモ-2-フルオロピリミジン、5-ブロモ-2-クロロピリミジン、5-ブロモ-2-メチルピリミジン、2,4,6-トリクロロピリミジン、ピリミジン-2-スルホニルフルオリド、4,5,6-トリクロロピリミジン、2,2’-ビピリミジン、4-クロロ-2-(メチルチオ)ピリミジン、4,6-ジクロロ-2-メチルピリミジン、5-ブロモ-2-ヒドロキシピリミジン、4,6-ジクロロ-5-メチルピリミジン、5-アミノ-4,6-ジクロロピリミジン、2-アミノ-5-ブロモピリミジン、5-ブロモ-2-メトキシピリミジン、5-クロロ-2,4,6-トリフルオロピリミジン、4,6-ジクロロ-2-(メチルチオ)ピリミジン、2-アミノ-4,6-ジクロロピリミジン、2-アミノ-4,6-ジクロロピリミジン、2,4,5-トリクロロピリミジン、2,4-ジクロロ-5-フルオロピリミジン、2-クロロ-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン、4,6-ジクロロ-5-メトキシピリミジン、2-クロロ-5-ニトロピリミジン、2,4-ジクロロ-5-メチルピリミジン、2,4-ジクロロ-6-メチルピリミジン、2,4,6-トリメトキシピリミジン、2,4-ジクロロ-5-メトキシピリミジン、2-クロロ-4,6-ジメトキシピリミジン、4,6-ジメチル-2-(メチルスルホニル)ピリミジン、5-アミノ-4,6-ジクロロ-2-メチルピリミジン、4,6-ジヒドロキシ-2-メチルチオピリミジン、2,5-ジアミノ-4,6-ジクロロピリミジン、2-アミノ-4,6-ジメトキシピリミジン、2-アミノ-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン、4-クロロ-6-メチル-2-(メチルチオ)ピリミジン、2-ヒドロキシ-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン、2-メトキシ-5-ピリミジルボロン酸、4-ヒドロキシ-6-トリフルオロメチルピリミジン、ピリミジン-4-カルボン酸エチル、2-フェニルピリミジン、4,6-ジヒドロキシ-5-ニトロピリミジン、2,4-ジクロロ-5-ニトロピリミジン、4-アミノ-2,6-ジクロロピリミジン、6-クロロ-2,4-ジメトキシピリミジン、4‐アミノ-5,6-ジクロロピリミジン、2,4,6-トリアミノ-5-ニトロソピリミジン、2-アミノ-4-クロロ-6-メトキシピリミジン、4-ヒドロキシ-2-メチル-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン、4-アミノ-6-クロロ-2-(メチルチオ)ピリミジン、2-ヒドラジノ-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン、6-アミノ-2,4-ジメトキシピリミジン、4-ヒドロキシ-2-メルカプト-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン、4-アミノ-5-クロロ-2,6-ジメチルピリミジン、2-(1-ピペラジニル)ピリミジン、4-アミノ-2,6-ジヒドロキシ-5-ニトロソピリミジン、4-アミノ-2-ジメチルアミノ-6-ヒドロキシ-5-ニトロソピリミジン、1-(2-ピリミジニル)-1H-インドール、4-クロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン、2,4-ジクロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン、4,6-ジブロモピリミジン、2,5-ジブロモピリミジン、2-クロロ-5-ヨードピリミジン、5-ブロモ-2-tert-ブチルピリミジン、5-ブロモ-2,4-ジクロロピリミジン、2,4,5,6-テトラクロロピリミジン、5-ブロモ-4-クロロ-2-(メチルチオ)ピリミジン、4,6-ジクロロ-2-(メチルスルホニル)ピリミジン、5-ブロモピリミジン-2-カルボン酸メチル、5-ブロモ-2,4-ジメトキシピリミジン、2,4,6-トリクロロ-5-ホルミルピリミジン、2-(tert-ブトキシカルボニルチオ)-4,6-ジメチルピリミジン、4,6-ジメトキシ-2-(メチルスルホニル)ピリミジン、2-アミノ-4,6-ジクロロ-5-ホルムアミドピリミジン、5-アミノ-4,6-ジクロロ-2-(プロピルチオ)ピリミジン、4,6-ジクロロ-2-フェニルピリミジン、2,4-ジクロロピリミジン-5-カルボン酸エチル、5-ブロモ-2-(メチルチオ)ピリミジン-4-カルボン酸、4-クロロ-2-(メチルチオ)ピリミジン-5-カルボン酸エチル、5-クロロ-2-(メチルチオ)ピリミジン-4-カルボン酸、2-クロロ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリミジン、2-アミノ-4,6-ジフェニルピリミジン、2-アミノ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリミジン、2-(4-モルホリノ)-4,6-ジクロロピリミジン、5-(4-クロロフェニル)-6-エチル-2,4-ピリミジンジアミン、2,4-ジクロロ-6-(4-モルホリノ)ピリミジン、4-クロロ-N-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-6-メトキシ-2-メチル-5-ピリミジンアミン、2,4-ジクロロチエノ[3,2-d]ピリミジン、4-クロロベンゾフロ[3,2-d]ピリミジンが挙げられる。
【0080】
ピラジン誘導体としては、例えば、ピラジン、2-アセチル-3-エチルピラジン、2-アセチル-3-メチルピラジン、2-アセチルピラジン、2-アミノ-5-ブロモ-3-メトキシピラジン、2-アミノ-5-ブロモピラジン、2-アミノ-3-クロロピラジン、2-アミノ-5-クロロピラジン、2-アミノ-6-クロロピラジン、2-アミノ-3,5-ジブロモピラジン、2-(アミノメチル)-5-メチルピラジン、2-アミノ-6-メチルピラジン、2-アミノ-5-フェニルピラジン、2-アミノピラジン、3-アミノピラジン-2-カルボン酸、2,2’-ビピラジン、2-ブロモ-5-ヒドロキシピラジン、2-ブロモピラジン、2-sec-ブチル-3-メトキシピラジン、2-ブチル-3-メチルピラジン、2-tert-ブチルピラジン、2-クロロ-3,5-ジメチルピラジン、3-クロロ-2,5-ジメチルピラジン、5-クロロ-2,3-ジフェニルピラジン、2-クロロ-6-メチルピラジン、クロロピラジン、3-クロロピラジン-2-カルボキサミド、5-クロロピラジン-2-カルボン酸、6-クロロピラジン-2-カルボン酸、6,8-ジブロモイミダゾ「1,2-a」ピラジン、2,5-ジブロモピラジン、2,6-ジブロモピラジン、2,3-ジクロロピラジン、2,6-ジクロロピラジン、シアノピラジン、5,6-ジアミノ-2,3-ジシアノピラジン、5,6-ジクロロ-2,3-ジシアノピラジン、2,3-ジシアノ-5-メチルピラジン、2,3-ジシアノピラジン、2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、2,3-ジエチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン、2,5-ジメチルピラジン、2,6-ジメチルピラジン、2-エトキシ-3-エチルピラジン、2-エトキシ-3-イソプロピルピラジン、2-エトキシ-3-メチルピラジン、2-エトキシピラジン、5-エチル-2,3-ジメチルピラジン、2-エチル-3-メチルピラジン、2-エチル-3-(メチルチオ)ピラジン、3-オキソ-3-(ピラジン-2-イル)プロピオン酸エチル、2-エチルピラジン、2-フルフリルチオ-3-メチルピラジン、N-「4-(3-シクロヘキシルウレイドスルホニル)フェネチル」-5-メチル-2-ピラジンカルボキサミド、2-ヒドロキシ-3-メチルピラジン、3-ヒドロキシピラジン-2-カルボキサミド、2-ヨードピラジン、2-イソブチル-3-メトキシピラジン、2-イソブチル-3-メチルピラジン、2-イソプロピル-3-メトキシピラジン、(2-メルカプトエチル)ピラジン、2-メトキシ-3-メチルピラジン、2-メトキシピラジン、3-アミノ-6-ブロモピラジン-2-カルボン酸メチル、3-アミノピラジン-2-カルボン酸メチル、3-クロロピラジン-2-カルボン酸メチル、3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボン酸メチル、5H-5-メチル-6,7-ジヒドロシクロペンタピラジン、2-メチル-3-イソプロポキシピラジン、2-メチル-3-(メチルチオ)ピラジン、2-メチル-3-プロピルピラジン、2-メチルピラジン、2-ピラジンカルボン酸メチル、5-メチルピラジン-2-カルボン酸、2-カルボキシ-5-メチルピラジン4-オキシド、2-(メチルチオ)ピラジン、ベンゾ「d」ピラジン-1(2H)オン、2-プロピルピラジン、ピラジンアミド、ピラジンカルボン酸、2,3-ピラジンジカルボン酸、ピラジン-2,3-ジカルボン酸モノアミド、2-ピラジンメタノール、4-アミノ-N-(3-メトキシピラジン-2-イル)ベンゼンスルホンアミド、1,4,5,6-テトラヒドロ-5,6-ジオキソ-2,3-ピラジンジカルボニトリル、2,3,5,6-テトラメチルピラジン、2,3,5-トリメチルピラジン、2-ビニルピラジンが挙げられる。
【0081】
ピリダジン誘導体としては、例えば、ピリダジン、3-アミノ-6-クロロピリダジン、3-アミノピリダジン、3-ブロモイミダゾ「1,2-b」ピリダジン、6-クロロイミダゾ「1,2-b」ピリダジン、3-クロロ-6-メトキシピリダジン、3-クロロ-6-メチルピリダジン、3-クロロ-6-フェニルピリダジン、6-クロロ-3(2H)-ピリダジノン、3,6-ジブロモピリダジン、3,6-ジクロロ-4-メチルピリダジン、3,5-ジクロロピリダジン、3,6-ジクロロピリダジン、4,5-ジクロロ-3(2H)-ピリダジノン、6-ヒドロキシピリダジン-3-カルボン酸、イミダゾ「1,2-b」ピリダジン、マレイン酸ヒドラジド、3-メトキシピリダジン、メチルマレイン酸ヒドラジド、3-メチルピリダジン、4-メチルピリダジン、3-ヒドロキシ-6-メチルピリダジン、3-ヒドロキシ-6-フェニルピリダジン、ピリダジン-4-カルボン酸、4-アミノ-N-(6-メトキシ-3-ピラジニル)ベンゼンスルホンアミド、1,4,5,6-テトラヒドロ-6-オキソピリダジン-3-カルボン酸、3,4,6-トリクロロピリダジンが挙げられる。
【0082】
キナゾリン誘導体としては、例えば、キナゾリン、6-アセトキシ-7-メトキシ-3H-キナゾリン-4-オン、4-アミノ-2-クロロ-6,7-ジメトキシキナゾリン、7-ベンジルオキシ-6-メトキシ-3H-キナゾリン-4-オン、6,7-ビス(2-メトキシエトキシ)-3H-キナゾリン-4-オン、6-ブロモ-4-ヒドロキシキナゾリン、N-4-(3-ブロモフェニル)キナゾリン-4,6-ジアミン、4-クロロ-6,7-ジメトキシキナゾリン、4-「3-クロロ-4-(3-フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ」-6-ヨードキナゾリン、4-クロロ-6-ヨードキナゾリン、2-(クロロメチル)-4-メチルキナゾリン、7-クロロ-6-ニトロ-4-ヒドロキシキナゾリン、2-クロロ-4-フェニルキナゾリン、(E)-N-「4-「(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ」-7-メトキシキナゾリン-6-イル」-4-(ピペリジン-1-イル)ブタ-2-エンアミド、N,N’-ジベンジルキナゾリン-2,4-ジアミン、2,4-ジクロロ-6,7-ジメトキシキナゾリン、6,7-ジメトキシキナゾリン-2,4-ジオン、6,7-ジメトキシ-3H-キナゾリン-4-オン、7-フルオロ-4-ヒドロキシキナゾリン、7-フルオロ-6-ニトロキナゾリン-4(1H)-オン、4-ヒドロキシキナゾリン、6-ヨード-4-ヒドロキシキナゾリン、3-「2-「4-(4-フルオロベンゾイル)-1-ピペリジニル」エチル」-2,4(1H,3H)-キナゾリンジオン、8,13-ジヒドロインドロ「2’,3’:3,4」ピリド「2,1-b」キナゾリン-5(7H)-オン、N-(3-クロロフェニル)-6,7-ジメトキシ-4-キナゾリンアミンが挙げられる。
【0083】
ポルフィリン誘導体としては、例えば、ポルフィリン、5,15-ジフェニルポルフィリン、2,3,7,8,12,13,17,18-オクタエチルポルフィリン 、2,3,7,8,12,13,17,18-オクタフルオロ-5,10,15,20-テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン、meso-テトラフェニルクロリン、テトラフェニルポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4-メトキシフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(2,6-ジクロロフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4-カルボキシメチルオキシフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(2,4,6-トリメチルフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(3,5-ジヒドロキシフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(3,5-ジメトキシフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラ(4-ピリジル)ポルフィリン、5,10,15,20-テトラキス(p-トリル)ポルフィリンが挙げられる。
【0084】
フタロシアニン誘導体としては、例えば、フタロシアニン、ナフタロシアニン、アズレノシアニンが挙げられる。
【0085】
サイクレン誘導体としては、例えば、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸トリ-tert-ブチル、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸トリ-tert-ブチル、1,4,7,10-テトラベンジル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカンが挙げられる。
【0086】
クラウンエーテル誘導体としては、例えば、12-クラウン4-エーテル、2-(ヒドロキシメチル)-12-クラウン4-エーテル、ベンゾ-12-クラウン4-エーテル、15-クラウン5-エーテル、2-(ヒドロキシメチル)-15-クラウン5-エーテル、ベンゾ-15-クラウン5-エーテル、ジベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4’-ブロモベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4’-アミノベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4’-ホルミルベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4’-アセチルベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4’-カルボキシベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4’-ニトロベンゾ-15-クラウン5-エーテル、18-クラウン6-エーテル、2-(ヒドロキシメチル)-18-クラウン6-エーテル、ジシクロヘキサノ-18-クラウン6-エーテル、ベンゾ-18-クラウン6-エーテル、ジベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4’-ブロモベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4’-アミノベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4’-ホルミルベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4’-アセチルベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4’-カルボキシベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4’-ニトロベンゾ-18-クラウン6-エーテル、21-クラウン-7-エーテル、ジベンゾ-21-クラウン-7-エーテル、24-クラウン-8-エーテル、ジベンゾ-24-クラウン-8-エーテルが挙げられる。
【0087】
ジケトン誘導体としては、例えば、金属イオンと複合体を形成する観点から、1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオン、1-(2-メシチレン)-1,3-ブタンジオン、1,3-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3-プロパンジオン、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4-メトキシフェニル)-1,3-プロパンジオン、及び(E,E)-1,7-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオンの1,3-ジケトンが挙げられる
【0088】
金属イオン捕捉剤(B)としては、樹脂組成物のワニスの良好な保存安定性を確保する観点から、例えば、トリアジン誘導体、ビピリジン誘導体、及びジケトン誘導体が好ましく、2,4-ジアミノ-6-メチル-1,3,5-トリアジン、2,2’-ビピリジン、1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオン、1-(2-メシチレン)-1,3-ブタンジオン、1,3-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3-プロパンジオン、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4-メトキシフェニル)-1,3-プロパンジオン、及び(E,E)-1,7-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオンがより好ましく、溶剤溶解性及び分子の運動性を確保する観点から、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4-メトキシフェニル)-1,3-プロパンジオン及び(E,E)-1,7-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオンであることが更に好ましい。
【0089】
これらの金属イオン捕捉剤(B)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0090】
樹脂組成物中における金属イオン捕捉剤(B)の含有量は、本実施形態の効果を奏する限り特に限定されないが、樹脂組成物中における下記のラジカル重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下であることが好ましく、溶剤溶解性及び十分なフラックス活性を確保する観点から、10質量部以上45質量部以下であることがより好ましく、十分なフラックス活性及び樹脂組成物の可撓性を確保する観点から、15質量部以上40質量部以下であることが更に好ましい。
【0091】
〔I-3.ラジカル重合性化合物(C)〕
ラジカル重合性化合物(C)としては、ラジカルにより重合する官能基を有する物質であれば特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリレート化合物、マレイミド化合物及びプロペニル化合物が挙げられる。
【0092】
(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、及びウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。必要により、例えば、ハイドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン類の重合禁止剤を適宜用いてもよい。
【0093】
マレイミド化合物としては、分子中に1個以上のマレイミド基を有する化合物であれば、特に限定されない。例えば、N-フェニルマレイミド、N-ヒドロキシフェニルマレイミド、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、4,4-ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(3,5-ジメチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5-ジエチル-4-マレイミドフェニル)メタン、フェニルメタンマレイミド、o-フェニレンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、p-フェニレンビスマレイミド、o-フェニレンビスシトラコンイミド、m-フェニレンビスシトラコンイミド、p-フェニレンビスシトラコンイミド、2,2-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、1,6-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、4,4-ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4-ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3-ビス(3-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、4,4-ジフェニルメタンビスシトラコンイミド、2,2-ビス[4-(4-シトラコンイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(3,5-ジメチル-4-シトラコンイミドフェニル)メタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-シトラコンイミドフェニル)メタン、ビス(3,5-ジエチル-4-シトラコンイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド、ノボラック型マレイミド化合物、ビフェニルアラルキル型マレイミド化合物、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパン、1,2-ビス(マレイミド)エタン、1,4-ビス(マレイミド)ブタン、1,6-ビス(マレイミド)ヘキサン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-フェニルマレイミド、下記式(1)で表されるマレイミド化合物、下記式(2)で表されるマレイミド化合物、及び下記式(3)で表されるマレイミド化合物が挙げられる。
【0094】
その中でも、有機溶剤への溶解性の観点から、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパン、1,2-ビス(マレイミド)エタン、1,4-ビス(マレイミド)ブタン、1,6-ビス(マレイミド)ヘキサン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-フェニルマレイミド、下記式(1)で表されるマレイミド化合物、下記式(2)で表されるマレイミド化合物、及び下記式(3)で表されるマレイミド化合物が好ましく、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパン、下記式(1)で表されるマレイミド化合物、下記式(2)で表されるマレイミド化合物、及び下記式(3)で表されるマレイミド化合物がより好ましい。下記式(3)で表されるマレイミド化合物としては、ビス-(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタンが好ましい。
【0095】
【化4】
【0096】
式(1)中、Rは各々独立に、水素原子又はメチル基を示し、本実施形態による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、水素原子であることが好ましい。また、式(1)中、nは1以上の整数を示し、nの上限値は、通常は10であり、有機溶剤への溶解性の観点から、1~3であることが好ましい。
【0097】
【化5】
【0098】
式(2)中、nの平均的な値は1以上30以下の範囲である。本実施形態による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、nは、平均的な値として、7以上30以下であると好ましく、7以上18以下であるとより好ましい。
【0099】
【化6】
【0100】
式(3)中、Rは各々独立に、水素原子、メチル基又はエチル基を示す。
式(3)中、Rは各々独立に、水素原子又はメチル基を示す。
【0101】
また、マレイミド化合物としては、有機溶剤への溶解性及び可撓性の観点から、前記式(1)で表されるマレイミド化合物を含み、それと共に、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパン、前記式(2)で表されるマレイミド化合物、及び前記式(3)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される少なくとも1種のマレイミド化合物を含有することがより好ましい。
【0102】
マレイミド化合物は、優れたフラックス活性、優れた可撓性、及び低い熱膨張率をバランスよく有する観点から、マレイミド化合物の全体量100質量部に対して、前記式(1)で表されるマレイミド化合物を5質量部以上50質量部以下含有することが好ましく、前記式(2)で表されるマレイミド化合物を5質量部以上70質量部以下含有することが好ましく、前記式(3)で表されるマレイミド化合物を5質量部以上50質量部以下含有することが好ましく、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパンを5質量部以上50質量部以下含有することが好ましい。
【0103】
マレイミド化合物は、マレイミド化合物を重合して得られるプレポリマー、又は、マレイミド化合物をアミン化合物などの他の化合物と重合して得られるプレポリマーなどの形で、樹脂組成物に含ませることもできる。
【0104】
マレイミド化合物は市販のものを用いてもよく、例えば、大和化成工業(株)製BMI-2300、ケイ・アイ化成(株)製BMI-70、BMI-80、BMI-1000P、BMI-650P、日本化薬(株)製MIR3000が挙げられる。
【0105】
プロペニル化合物としては、例えば、プロペニルベンゼン、プロペニルナフタレン、プロペニルアントラセン、プロペニルフェノール、o-プロペニルフェノキシベンゼンの一官能プロペニル化合物;ビスプロペニルフェニルエーテル、2,2-ビス[4-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’-ビス(o-プロペニルフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2-ビス[4-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]ノナン、2,2-ビス[3-ターシャリーブチル-4-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[3-セカンダリーブチル-4-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1-ビス[4-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]デカン、1,1-ビス[2-メチル-4-(o-プロペニルフェノキシ)-5-ターシャリーブチルフェニル]-2-メチルプロパン、4,4’-シクロヘキシリデン-ビス[1-(o-プロペニルフェノキシ)-2-(1,1-ジメチルエチル)ベンゼン]、4,4’-メチレン-ビス[1-(o-プロペニルフェノキシ)-2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)ベンゼン]、4,4’-メチレン-ビス[1-(o-プロペニルフェノキシ)-2,6-ジ-セカンダリーブチルベンゼン]、4,4’-シクロヘキシリデン-ビス[1-(o-プロペニルフェノキシ)-2-シクロヘキシルベンゼン]、4,4’-メチレン-ビス[1-(o-プノペニルフェノキシ)-2-ノニルベンゼン]、4,4’-(1-メチルエチリデン)-ビス[1-(o-プロペニルフェノキシ)-2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)ベンゼン、4,4’-(2-エチルヘキシリデン)-ビス[1-(o-プロペニルフェノキシ)-ベンゼン]、4,4’-(1-メチルヘプチリデン)-ビス[1-(o-プロペニルフェノキシ)-ベンゼン]、4,4’-シクロヘキシリデン-ビス[1-(o-プロペニルフェノキシ)-3-メチルベンゼン]、2,2-ビス[4-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]-プロパン、2,2-ビス[4-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[3-メチル-4-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]-プロパン、2,2-ビス[3-メチル-4-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[3,5-ジメチル-4-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]-プロパン、2,2-ビス[3,5-ジメチル-4-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[3-エチル-4-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]-プロパン、2,2-ビス[3-エチル-4-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]-ヘキサフルオロプロパン、ビス[3-メチル-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]-メタン、ビス[3,5-ジメチル-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]-メタン、ビス[3-エチル-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]-メタン、3,8-ビス[4-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]-トリシクロ-[5,2,1,02・6]デカン、4,8-ビス[4-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]-トリシクロ-[5,2,1,02・6]デカン、3,9-ビス[4-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]-トリシクロ-[5,2,1,02・6]デカン、4,9-ビス[4-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]-トリシクロ-[5,2,1,02・6]デカン、1,8-ビス[4-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]-メタン、1,8-ビス[3-メチル-4-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]-メタン、1,8-ビス[3,5-ジメチル-4-(o-プロペニルフェノキシ)フェニル]-メタンが挙げられる。
【0106】
これらのラジカル重合性化合物(C)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0107】
〔I-4.無機充填材(D)〕
本実施形態の樹脂組成物は、耐燃性の向上、熱伝導率の向上、及び熱膨張率の低減のため、無機充填材(D)を含有することができる。無機充填材を使用することにより、樹脂組成物などの耐燃性及び熱伝導率を向上させ、熱膨張率を低減することができる。また、無機充填材(D)が電気絶縁性を有すると、本実施形態の樹脂組成物をアンダーフィル材、好ましくはプリアプライドアンダーフィル材の材料として用いた場合、チップの電極間の電気絶縁性をより十分に確保する観点から好ましい。ここで、「電気絶縁性」とは、常温での体積固有抵抗が1012Ω・cm以上であることを意味する。無機充填材(D)の種類としては、特に限定されないが、例えば、溶融シリカ等のシリカ;ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、及び窒化アルミニウム等のアルミニウム化合物;酸化マグネシウム、及び水酸化マグネシウム等のマグネシウム化合物;炭酸カルシウム、及び硫酸カルシウム等のカルシウム化合物;酸化モリブデン、及びモリブデン酸亜鉛等のモリブデン化合物;窒化ホウ素;硫酸バリウム;天然タルク、及び焼成タルク等のタルク;マイカ;短繊維状ガラス、球状ガラス、及び微粉末ガラス(例えば、Eガラス、Tガラス、Dガラス)等のガラスが挙げられる。これらの無機充填材(D)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0108】
これらの中でも、樹脂組成物の耐燃性の向上及び熱膨張率の低減の観点から、無機充填材(D)としては、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ベーマイト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、及び水酸化マグネシウムが好ましく、シリカがより好ましく、その中でも溶融シリカが充填性を高め、アンダーフィル材の微細空間への流動性、及び低熱膨張性の観点から更に好ましい。溶融シリカとしては、例えば、デンカ(株)製のSFP-120MC、SFP-130MC、(株)アドマテックス製のSC1050-MLQ、SC2050-MNU、SC2050-MTX、SE2053-SQ、YA050C-MJF、及びYA050C-MJAが挙げられる。
【0109】
無機充填材(D)の平均粒子径は、限定されないが、本発明の樹脂組成物をアンダーフィル材として、好ましくはプリアプライドアンダーフィル材として使用する場合、チップに配列される電極の狭ピッチ化や電極間の狭ギャップ化に対応する観点からは、3μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。その平均粒子径の下限値は、特に限定されないが、例えば、10nmであってもよい。なお、本明細書において無機充填材(D)の「平均粒子径」とは、無機充填材(D)のメジアン径を意味するものとする。ここでメジアン径とは、ある粒子径を基準として粉体の粒度分布を2つに分けた場合に、より粒子径が大きい側の粒子の体積と、より粒子径が小さい側の粒子の体積とが、全粉体の夫々50%を占めるような粒子径を意味する。無機充填材(D)の平均粒子径(メジアン径)は、湿式レーザー回折・散乱法により測定される。
【0110】
無機充填材(D)を使用する場合の樹脂組成物における含有量は、樹脂組成物の耐燃性の向上及び熱膨張率の低減をしつつ、アンダーフィル材、好ましくはプリアプライドアンダーフィル材の接合時の流動性を確保する観点から、樹脂組成物中におけるラジカル重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、300質量部以下であることが好ましく、200質量部以下であることがより好ましい。また、無機充填材(D)の含有量は、樹脂組成物中におけるラジカル重合性化合物(C)の合計量100質量部に対し、10質量部以上とすることが好ましく、20質量部以上とすることがより好ましく、50質量部以上とすることが更に好ましい。なお、2種以上の無機充填材(D)を併用する場合には、これらの合計量が前記含有量の範囲を満たすことが好ましい。
【0111】
〔I-5.可撓性付与成分(E)〕
本実施形態の樹脂組成物における可撓性付与成分(E)は、樹脂組成物を含有する層に対して可撓性を付与できるような成分であれば、特に限定されないが、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ポリウレタン、ポリプロピレン、(メタ)アクリルオリゴマー、(メタ)アクリルポリマー、及びシリコーン樹脂のような熱可塑性の高分子化合物が挙げられる。これらの可撓性付与成分(E)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0112】
これらの中でも、樹脂組成物を製造する際に用いる有機溶剤への溶解性、マレイミド化合物との相溶性、樹脂組成物の溶融粘度の制御性、及び可撓性付与の観点から、可撓性付与成分(E)としては、(メタ)アクリルオリゴマー及び(メタ)アクリルポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。(メタ)アクリルオリゴマー及び(メタ)アクリルポリマーとしては、例えば、東亞合成(株)の「ARUFON(登録商標)」シリーズ、綜研化学(株)の「アクトフロー(登録商標)」シリーズ、根上工業(株)の「PARACRON(登録商標)」シリーズ、(株)クラレの「KURARITY(登録商標)」シリーズが挙げられる。
【0113】
可撓性付与成分(E)の分子量は、限定されないが、樹脂組成物に可撓性付与するという観点からは、質量平均分子量が1,000以上であることが好ましく、硬化物における柔軟性及び良好な靭性を付与する観点から、2,000以上であることがより好ましい。また、樹脂組成物をアンダーフィル材として、好適にはプリアプライドアンダーフィル材として使用する場合、金属接合部内に樹脂組成物の噛み込みがなく、より良好かつ安定した形状の接合を得るためには、樹脂組成物の溶融粘度を低く制御し、接合時の樹脂組成物の流動性を確保することが好ましい。そのような観点から、可撓性付与成分(E)の質量平均分子量が1,000,000以下であることが好ましく、800,000以下がより好ましく、100,000以下が更に好ましく、溶剤溶解性の観点から、10,000以下が更により好ましい。この好ましい範囲の質量平均分子量を有する可撓性付与成分(E)を使用することにより、樹脂組成物の可撓性と、アンダーフィル材、好適にはプリアプライドアンダーフィル材として使用する場合の接合性をより良好なバランスで両立することができる。
【0114】
可撓性付与成分(E)を使用する場合、その樹脂組成物における含有量は、溶融粘度の制御性の観点から、樹脂組成物中における前記ラジカル重合性化合物(C)の合計量100質量部に対し、100質量部以下とすることが好ましく、50質量部以下とすることがより好ましく、30質量部以下とすることが更に好ましい。また、可撓性付与成分(E)の樹脂組成物における含有量は、可撓性付与成分(E)を用いることによる作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、樹脂組成物中における前記ラジカル重合性化合物(C)の合計量100質量部に対し、1質量部以上とすることが好ましく、5質量部以上とすることがより好ましい。なお、2種以上の可撓性付与成分(E)を併用する場合には、これらの合計量が前記含有量の範囲内であることが好ましい。
【0115】
〔I-6.その他の成分〕
本実施形態の樹脂組成物は、フェノール性水酸基を有する化合物(A)と、金属イオン捕捉剤(B)と、ラジカル重合性化合物(C)と含み、必要に応じて、無機充填材(D)と、可撓性付与成分(E)と、その他の成分を1種又は2種以上とを更に含んでいてもよい。
【0116】
例えば、本実施形態の樹脂組成物は、吸湿耐熱性の向上及びチップと樹脂組成物との接着性の向上の目的で、シランカップリング剤を含んでいてもよい。シランカップリング剤としては、一般に無機物の表面処理に使用されているもので、かつフェノール性水酸基を有する化合物(A)との反応性が低いシランカップリング剤であれば、限定されない。その具体例としては、ビニルシラン系シランカップリング剤(例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)、フェニルアミノシラン系シランカップリング剤(例えば、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、フェニルシラン系シランカップリング剤、及びイミダゾールシラン系シランカップリング剤が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0117】
シランカップリング剤を使用する場合、その樹脂組成物における含有量は限定されない。ただし、吸湿耐熱性の向上及びフリップチップ実装時の揮発量の低減の観点から、その含有量は、樹脂組成物中における前記ラジカル重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、0.05質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。なお、2種以上のシランカップリング剤を併用する場合には、これらの合計量が前記含有量の範囲内であることが好ましい。
【0118】
本実施形態の樹脂組成物は、積層体の製造性向上及び無機充填材(D)の分散性向上などの目的で、湿潤分散剤を含有してもよい。湿潤分散剤としては、一般に塗料などに使用されている湿潤分散剤であれば、限定されない。例えば、ビッグケミー・ジャパン(株)製のDisperbyk-110、同-111、同-180、同-161、BYK-W996、同-W9010、同-W903(以上製品名)が挙げられる。これらの湿潤分散剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0119】
湿潤分散剤を使用する場合、樹脂組成物におけるその含有量は限定されないが、積層体の製造性向上の観点からは、無機充填材(D)100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。
【0120】
湿潤分散剤を使用する場合、樹脂組成物におけるその含有量は限定されないが、積層体の製造性向上の観点からは、樹脂組成物中における前記ラジカル重合性化合物(C)の合計量100質量部に対し、0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上3質量部であることがより好ましい。
なお、2種以上の湿潤分散剤を併用する場合には、これらの合計量が前記含有量の範囲内であることが好ましい。
【0121】
本実施形態の樹脂組成物は、硬化速度の調整などの目的で、硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤としては、マレイミド化合物の硬化促進剤として公知であり、一般に使用されるものであれば、特に限定されない。硬化促進剤の具体例として、イミダゾール類及びその誘導体(例えば、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、2,4,5-トリフェニルイミダゾール)、第3級アミン(例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン)、また熱ラジカル重合開始剤として種々の有機過酸化物(例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ(2-tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、p-メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド)が挙げられる。これらの硬化促進剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0122】
硬化促進剤を使用する場合、樹脂組成物におけるその含有量は、特に限定されるものではないが、硬化速度の調整の観点から、樹脂組成物中における前記ラジカル重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、0.001質量部以上3質量部以下であることが好ましく、0.005質量部以上2質量部以下であることがより好ましく、0.01質量部以上1質量部以下であることが更に好ましい。なお、2種以上の硬化促進剤を併用する場合には、これらの合計量が前記含有量の範囲内であることが好ましい。
【0123】
本実施形態の樹脂組成物には、所期の特性が損なわれない範囲において、種々の目的により、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、光増感剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、レベリング剤、光沢剤、及び難燃剤が挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本実施形態の樹脂組成物において、その他の添加剤の含有量は、特に限定されないが、通常、樹脂組成物中における前記ラジカル重合性化合物(C)の合計量100質量部に対し、それぞれ0.1質量部以上10質量部以下である。
【0124】
本実施形態の樹脂組成物は、フェノール性水酸基を有する化合物(A)と、金属イオン捕捉剤(B)と、ラジカル重合性化合物(C)とにより調製され、必要に応じて、無機充填材(D)と、可撓性付与成分(E)と、その他の成分とを更に混合することにより調製される。必要に応じて、これらの成分を有機溶剤に溶解又は分散させたワニスの形態としてもよい。本実施形態の樹脂組成物のワニスは、下記本実施形態の積層体を作製する際のワニスとして、好適に使用することができる。有機溶剤は、前記の成分を各々好適に溶解又は分散させることができ、かつ、本実施形態の樹脂組成物の所期の効果を損なわないものであれば限定されない。有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、及びプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン(以下、「MEK」と略す場合がある)、及びメチルイソブチルケトン等のケトン類;ジメチルアセトアミド、及びジメチルホルムアミド等のアミド類;トルエン、及びキシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0125】
本実施形態の樹脂組成物は、フラックス活性、可撓性、及び保存安定性に優れる。また、樹脂組成物を支持基材上に塗布することにより、フラックス活性に優れた樹脂層を有する積層体を提供することができる。本実施形態の樹脂組成物を積層体の形態で使用するプリアプライドアンダーフィル材として用いた場合、フラックス活性、可撓性、及び保存安定性に優れ、加えて、接合性、吸湿耐熱性、及びチップとの接着性にも優れるなど、その他の好適な効果も発揮し得る。このように、本実施形態の樹脂組成物は、各種の優れた特徴を有し、特にフラックス活性、可撓性、及び保存安定性を高い水準で両立させることができることから、アンダーフィル材、特にプリアプライドアンダーフィル材として極めて有用である。
【0126】
本実施形態の樹脂組成物は、下記の実施例に記載の方法によりフラックス活性を評価する際の指標であるはんだボールの濡れ広がり試験において、フェノール性水酸基を持つ化合物及び金属イオン捕捉剤を併用した際、銅箔上に溶融して濡れ広がったはんだボールの接触角が1.60ラジアン未満のものを組み合わせることが、実装時の配線間の金属酸化膜を充分に除去させる観点から好ましい。例えば、フェノール性水酸基を有する化合物及び金属イオン捕捉剤を、電解銅箔の光沢面に散布し、その上にはんだボールを設置し、ホットプレート上で加熱し、銅箔上ではんだを溶融させた後、室温で冷却した。はんだボールの銅箔への濡れ広がりをはんだボールの接触角を測定することにより、フラックス活性を評価した。はんだボールの接触角は、銅箔上に溶融して濡れ広がったはんだボールの半径(a)及びはんだボールの高さ(b)を求め、下記式より接触角を算出した。
【0127】
はんだボールの接触角=2arctan{(b)/(a)}
【0128】
〔II.積層体、積層体を用いて作製される樹脂組成物層付き半導体ウェハ、積層体を用いて作製される樹脂組成物層付き半導体搭載用基板及び半導体装置〕
本実施形態の積層体、樹脂組成物層付き半導体ウェハ、樹脂組成物層付き半導体搭載用基板、及び半導体装置は、いずれも前記した本実施形態の樹脂組成物を用いて形成される。
【0129】
〔II-1.積層体〕
本実施形態の積層体は、支持基材と、前記支持基材上に積層された本実施形態の樹脂組成物を含有する層とを備える。このような積層体は、前記した本実施形態の樹脂組成物が、支持基材に添着される。支持基材としては、特に限定されないが、高分子フィルムを使用することができる。高分子フィルムの材質としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリウレタン、エチレン-酸化ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びポリブチレンテレフタレートのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリイミド、及びポリアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の樹脂を含有するフィルム、並びにこれらのフィルムの表面に離型剤を塗布した離型フィルムが挙げられる。これらの中でも、特にポリエステル、ポリイミド、及びポリアミドが好ましく、その中でもポリエステルの1種である、ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
【0130】
本実施形態の支持基材の厚さは限定されないが、積層体の製造性、例えば、支持基材に樹脂組成物を塗布する場合の塗布厚の安定性の観点から、10μm以上100μm以下であることが好ましい。また、樹脂積層体の搬送性の観点からも、その厚さは10μm以上100μm以下であることが好ましい。厚さの下限としては、積層体を製造する際の歩留り確保の点から、より好ましくは12μm以上、更に好ましくは25μm以上であり、30μm以上であることが更により好ましい。また、その厚さの上限としては、支持基材が最終的には半導体装置の構成部材として存在することなく、工程の途中で剥離されることから、積層体の製造コストの観点から、80μm以下であることがより好ましい。
【0131】
前記の支持基材上に、本実施形態の樹脂組成物を含有する層(以下、単に「樹脂組成物層」ともいう。)を形成して本実施形態の積層体を製造する方法としては、限定されない。そのような製造方法として、例えば、本実施形態の樹脂組成物を有機溶剤に溶解又は分散させたワニスを、前記の支持基材の表面に塗布し、加熱及び/又は減圧下で乾燥し、溶媒を除去して本実施形態の樹脂組成物を固化させ、樹脂組成物層を形成する手法が挙げられる。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層に対する有機溶剤の含有比率が、樹脂組成物層の総量(100質量%)に対して、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。斯かる乾燥を達成する条件は、ワニス中の有機溶媒の種類と配合量によっても異なる。例えば、フェノール性水酸基を有する化合物(A)と、金属イオン捕捉剤(B)と、ラジカル重合性化合物(C)とを含有する樹脂組成物におけるそれらの合計量100質量部に対し、30質量部以上60質量部以下のMEKを含有するワニスの場合、1気圧下で90℃以上160℃以下の加熱条件下で1分以上10分以下程度の乾燥が目安となる。本実施形態の積層体における樹脂組成物層の厚さは限定されないが、樹脂組成物層の乾燥時に軽揮発分をより良好に除去する観点、及び積層体としての機能をより有効かつ確実に奏する観点から、5μm以上500μm以下の範囲が好ましく、10μm以上100μm以下の範囲がより好ましい。
【0132】
〔II-2.積層体を用いて作製される樹脂組成物層付き半導体ウェハ、樹脂積層体を用いて作製される樹脂組成物層付き半導体搭載用基板〕
本実施形態の樹脂組成物層付き半導体ウェハは、半導体ウェハと、その半導体ウェハに積層された前記の積層体における樹脂組成物層とを備え、前記した本実施形態の積層体と半導体ウェハから形成される。本実施形態の樹脂組成物層付き半導体搭載用基板は、半導体搭載用基板と、その基板に積層された前記の積層体における樹脂組成物層とを備え、前記した本実施形態の積層体と基板から形成される。
【0133】
本実施形態の樹脂組成物層付き半導体ウェハを作製する方法は限定されないが、例えば、半導体ウェハの電極が形成された面、すなわち基板との接合が行われる面に、本実施形態の積層体の樹脂組成物層が対向するよう貼り合わせることで得られる。また、本実施形態の樹脂組成物層付き基板を作製する方法は限定されないが、例えば、基板のチップ搭載側の面に、本実施形態の積層体の樹脂組成物層が対向するよう貼り合わせることで得られる。
【0134】
本実施形態の積層体を半導体ウェハ又は基板に貼り合わせる方法としては特に限定されないが、真空加圧式ラミネータを好適に使用することができる。この場合、本実施形態の積層体に対してゴムなどの弾性体を介して加圧し、貼り合わせる方法が好ましい。ラミネート条件としては、当業界で一般に使用されている条件であれば特に限定されないが、例えば50℃以上140℃以下の温度、1kgf/cm以上11kgf/cm以下の範囲の接触圧力、並びに20hPa以下の雰囲気減圧下で行われる。ラミネート工程の後に、金属板による熱プレスにより、貼り合わされた積層体の平滑化を行ってもよい。前記ラミネート工程及び平滑化工程は、市販されている真空加圧式ラミネータによって連続的に行うことができる。半導体ウェハ又は基板に貼り付けられた積層体は、いずれの場合もチップのフリップチップ実装前までに支持基材の除去が行われる。
【0135】
〔II-3.半導体装置〕
本実施形態の半導体装置は、例えば、本実施形態の樹脂組成物層付き半導体ウェハ、及び/又は本実施形態の樹脂組成物層付き基板を備え、本実施形態の樹脂組成物層、チップ、及び基板から構成される。本実施形態の半導体装置を製造する方法は、限定されないが、例えば、本実施形態の樹脂組成物層付き半導体ウェハを研削の手段で薄化及びダイシングソーによる個片化を行い、樹脂組成物層付きチップとし、これを基板に搭載する手法が挙げられる。また、本実施形態の樹脂組成物層付き基板に、チップを搭載してもよい。樹脂組成物層付きチップを基板に搭載する方法及び半導体チップを樹脂組成物層付き基板に搭載する方法では、熱圧着工法に対応したフリップチップボンダを好適に使用することができる。また、本実施形態ではチップを基板にフリップチップ実装する場合を便宜的に説明しているが、チップをフリップチップ実装しつつ、本実施形態の樹脂組成物を適用する対象は基板以外とすることも可能である。例えば、本実施形態の樹脂組成物は、半導体ウェハ上へチップを搭載する際の半導体ウェハとチップとの接合部や、TSV(Through Silicon Via)を経由してチップ間接続を行うチップ積層体の、各チップ間の接合部に使用することも可能であり、いずれの場合も本発明による優位性を得ることができる。
【実施例
【0136】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されない。
【0137】
[1.測定方法及びフラックス活性評価]
(1)質量平均分子量(Mw)
LC-20AD(商品名、(株)島津製作所製)を用いて、ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により、標準ポリスチレン換算分子量として、質量平均分子量(Mw)を測定した。
【0138】
(2)5%質量減少温度
フェノール性水酸基を有する化合物を約10mg計量し、TG/DTA6200(商品名、セイコーインスツル(株)製)を用いて、室温から昇温速度10℃/minの条件で500℃まで昇温し、得られた質量減少曲線において、質量が5%減少する温度を5%質量減少温度とした。
【0139】
(3)フェノール性水酸基を有する化合物及び金属イオン捕捉剤のフラックス活性評価
フェノール性水酸基を有する化合物単体、金属イオン捕捉剤単体、及びフェノール性水酸基を有する化合物と金属イオン捕捉剤を併用した際のフラックス活性を評価した。
【0140】
<フェノール性水酸基を有する化合物>
(I)PHENOLITE(登録商標)KA-1163(商品名、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、DIC(株)製)
(II)TBIS(登録商標)-MP(商品名、ビスクレゾールフルオレン、田岡化学工業(株)製)
(III)SN-495V(商品名、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、新日鐵化学(株)製)
(IV)BPN01(商品名、プロペニルビフェニレン樹脂、群栄化学工業(株)製)
(V)ELPC75(商品名、フェノール樹脂、群栄化学工業(株)製)
(VI)4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)(東京化成工業(株)製)
【0141】
<金属イオン捕捉剤>
(i)1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4-メトキシフェニル)-1,3-プロパンジオン(東京化成工業(株)製)
(ii)(E,E)-1,7-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオン(東京化成工業(株)製)
(iii)2,4-ジアミノ-6-メチル-1,3,5-トリアジン(東京化成工業(株)製)
(iv)2,2’-ビピリジン(東京化成工業(株)製)
【0142】
(3-1)(I)~(VI)単体のフラックス活性評価
(I)~(VI)のフェノール性水酸基を有する化合物を、厚さ12μmの電解銅箔(3EC-III、商品名、三井金属鉱業(株)製)の光沢面に散布し、直径0.5mmのはんだボール(エコソルダー(登録商標)ボールM705(商品名)Sn-3.0Ag-0.5Cu合金、千住金属工業(株)製)を置いた。これを、235℃に保たれたホットプレートの上で1分間加熱し、銅箔上ではんだを溶融させた後、室温で冷却した。はんだボールの銅箔への濡れ広がりをはんだボールの接触角を測定することにより、フラックス活性を評価した。はんだボールの接触角は、デジタルマイクロスコープ(KH-7700(商品名)、(株)ハイロックス製)を用いて、銅箔上に溶融して濡れ広がったはんだボールの半径(a)及びはんだボールの高さ(b)を求め、下記式より接触角を算出した。
【0143】
はんだボールの接触角=2arctan{(b)/(a)}
はんだボールの接触角が1.60ラジアン未満のものをA、1.60ラジアン以上2.00ラジアン未満のものをB、2.00ラジアン以上のものをCとして記載した。
【0144】
【表1】
【0145】
(3-2)(i)~(iv)単体のフラックス活性評価
(i)~(iv)の金属イオン捕捉剤を、厚さ12μmの電解銅箔(3EC-III、商品名、三井金属鉱業(株)製)の光沢面に散布し、直径0.5mmのはんだボール(エコソルダー(登録商標)ボールM705(商品名)、Sn-3.0Ag-0.5Cu合金、千住金属工業(株)製)を置いた。これを、235℃に保たれたホットプレートの上で1分間加熱し、銅箔上ではんだを溶融させた後、室温で冷却した。はんだボールの銅箔への濡れ広がりをはんだボールの接触角を測定することにより、フラックス活性を評価した。はんだボールの接触角は、デジタルマイクロスコープ(KH-7700(商品名)、(株)ハイロックス製)を用いて、銅箔上に溶融して濡れ広がったはんだボールの半径(a)及びはんだボールの高さ(b)を求め、下記式より接触角を算出した。
【0146】
はんだボールの接触角=2arctan{(b)/(a)}
はんだボールの接触角が1.60ラジアン未満のものをA、1.60ラジアン以上2.00ラジアン未満のものをB、2.00ラジアン以上のものをCとして記載した。
【0147】
【表2】
【0148】
(3-3)フェノール性水酸基を有する化合物と金属イオン捕捉剤を併用した際のフラックス活性評価
(I)~(VI)のフェノール性水酸基を有する化合物及び(i)~(iv)の金属イオン捕捉剤を、厚さ12μmの電解銅箔(3EC-III、商品名、三井金属鉱業(株)製)の光沢面に散布し、直径0.5mmのはんだボール(エコソルダー(登録商標)ボールM705(商品名)、Sn-3.0Ag-0.5Cu合金、千住金属工業(株)製)を置いた。これを、235℃に保たれたホットプレートの上で1分間加熱し、銅箔上ではんだを溶融させた後、室温で冷却した。はんだボールの銅箔への濡れ広がりをはんだボールの接触角を測定することにより、フラックス活性を評価した。はんだボールの接触角は、デジタルマイクロスコープ(KH-7700(商品名)、(株)ハイロックス製)を用いて、銅箔上に溶融して濡れ広がったはんだボールの半径(a)及びはんだボールの高さ(b)を求め、下記式より接触角を算出した。
【0149】
はんだボールの接触角=2arctan{(b)/(a)}
はんだボールの接触角が1.60ラジアン未満のものをAA、1.60ラジアン以上2.00ラジアン未満のものをA、2.00ラジアン以上のものをCとして記載した。
【0150】
【表3】
【0151】
表1~3より、(I)~(VI)のフェノール性水酸基を有する化合物及び(i)~(iv)の金属イオン捕捉剤それぞれ単独では、はんだボールが濡れ広がらない、即ち、良好なフラックス活性を確認できなかった。しかし、(I)~(V)のフェノール性水酸基を有する化合物及び(i)~(iv)の金属イオン捕捉剤を併用した時、良好なフラックス活性を示すことが明らかとなった。
【0152】
[2.樹脂組成物及び樹脂積層体の作製]
(実施例1)
フェノール性水酸基を有する化合物(A)として、PHENOLITE(登録商標)KA-1163(商品名、質量平均分子量(Mw):4600、軟化点:105~115℃、5%質量減少温度:298℃、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、DIC(株)製)のMEK溶液(不揮発分50質量%)60質量部(不揮発分換算で30質量部)、金属イオン捕捉剤(B)として、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4-メトキシフェニル)-1,3-プロパンジオン(東京化成工業(株)製)30質量部、ラジカル重合性化合物(C)として、前記式(1)におけるRがすべて水素原子であり、nが1~3であるマレイミド化合物(BMI-2300、大和化成工業(株)製)のMEK溶液(不揮発分50質量%)40質量部(不揮発分換算で20質量部)、第2のラジカル重合性化合物(C)として、前記式(2)で表され、nが14(平均値)であるマレイミド化合物(BMI-1000P、ケイ・アイ化成(株)製)のMEK溶液(不揮発分50質量%)40質量部(不揮発分換算で20質量部)、第3のラジカル重合性化合物(C)として、ビス-(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70、ケイ・アイ化成(株)製)のMEK溶液(不揮発分50質量%)60質量部(不揮発分換算で30質量部)、更に第4のラジカル重合性化合物(C)として、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパン(BMI-80、ケイ・アイ化成(株)製)のMEK溶液(不揮発分50質量%)60質量部(不揮発分換算で30質量部)、無機充填材(D)として、スラリーシリカ(SC-1050MLQ、平均粒子径:0.3μm、不揮発分60質量%、(株)アドマテックス製)166.7質量部(不揮発分換算で100質量部)、可撓性付与成分(E)として、アクリルポリマー(質量平均分子量(Mw):2900、ARUFON(登録商標)US-6170、東亞合成(株)製)15質量部、イミダゾール系硬化触媒として、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール(東京化成工業(株)製)のMEK溶液(不揮発分20質量%)0.5質量部(不揮発分換算で0.1質量部)を混合し、高速攪拌装置を用いて30分間撹拌して、ワニスを得た。このワニスを、表面に離型剤をコートした厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(TR1-38、ユニチカ(株)製)に塗布し、120℃で5分間加熱乾燥して、本発明の樹脂組成物層の厚さが30μmである樹脂積層体を得た。
【0153】
(実施例2)
フェノール性水酸基を有する化合物(A)として、TBIS(登録商標)-MP(商品名、9,9’-ビス-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、分子量:378、融点:225℃、5%質量減少温度:313℃、田岡化学工業(株)製)のMEK溶液(不揮発分50質量%)60質量部(不揮発分換算で30質量部)に変更した以外は、実施例1と同様にしてワニスを調製し、樹脂積層体を得た。
【0154】
(実施例3)
金属イオン捕捉剤(B)として、(E,E’)-1,7-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオン(東京化成工業(株)製)30質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてワニスを調製し、樹脂積層体を得た。
【0155】
(実施例4)
フェノール性水酸基を有する化合物(A)として、TBIS(登録商標)-MP(商品名、9,9’-ビス-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、分子量:378、田岡化学工業(株)製)のMEK溶液(不揮発分50質量%)60質量部(不揮発分換算で30質量部)、金属イオン捕捉剤(B)として、(E,E)-1,7-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオン(東京化成工業(株)製)30質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてワニスを調製し、樹脂積層体を得た。
【0156】
(実施例5)
フェノール性水酸基を有する化合物(A)として、PHENOLITE(登録商標)KA-1163のMEK溶液(不揮発分50質量%)100質量部(不揮発分換算で50質量部)に変更した以外は、実施例1と同様にしてワニスを調製し、樹脂積層体を得た。
【0157】
(実施例6)
金属イオン捕捉剤(B)として、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4-メトキシフェニル)-1,3-プロパンジオン50質量部に変更した以外は実施例1と同様にしてワニスを調製し、樹脂積層体を得た。
【0158】
(実施例7)
金属イオン捕捉剤(B)として、2,4-ジアミノ-6-メチル-1,3,5-トリアジン(東京化成工業(株)製)30質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてワニスを調製し、樹脂積層体を得た。
【0159】
(実施例8)
金属イオン捕捉剤(B)として、2,2’-ビピリジン(東京化成工業(株)製)30質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてワニスを調製し、樹脂積層体を得た。
【0160】
(比較例1)
フェノール性水酸基を有する化合物(A)を使用しなかった以外は実施例1と同様にしてワニスを調製し、樹脂積層体を得た。
【0161】
(比較例2)
金属イオン捕捉剤(B)を使用しなかった以外は実施例1と同様にしてワニスを調製し、樹脂積層体を得た。
【0162】
(比較例3)
フェノール性水酸基を有する化合物(A)及び金属イオン捕捉剤(B)を使用しなかった以外は実施例1と同様にしてワニスを調製し、樹脂積層体を得た。
【0163】
[2.樹脂積層体及びワニスの評価]
(1)実装試験
実施例1~8及び比較例1~3で得られた樹脂積層体を8mm×8mmの正方形に切断し評価用基板上にラミネートした後、フリップチップボンダ(LFB-2301(商品名)、(株)新川製)を用いて、ステージ温度70℃、ボンドヘッド温度300℃、荷重50N、時間8秒の条件で、銅とはんだで構成されるCuピラーを電極に持つ半導体チップを圧着し実装試験を行った。実装試験サンプルの断面観察により、半導体チップ側のCuピラー上のはんだと、基板側の銅配線との接触部に、フラックス活性が発現し合金生成が確認されればAA、フラックス活性が発現せず合金生成が確認されなければCとして記載した。
【0164】
(2)可撓性
実施例1~8及び比較例1~3で得られた樹脂積層体を5cm×10cmの短冊状に断裁した後、室温において支持基材のポリエチレンテレフタレートフィルムが内側になるように外径が3cmの金属管に巻き付け、5秒間保持した後巻き戻した。この作業を10回繰り返した後、樹脂組成物層のクラックの有無を目視で確認し、可撓性の評価を行った。クラックの発生が全く認められないものをAA、クラックの発生がわずかに認められるが、実使用上は品質に影響を与えないと思われるレベルをA、クラックが発生し、実使用上許容されないものをCとして記載した。
【0165】
(3)保存安定性
実施例1~8及び比較例1~3で得られたワニスの粘度(c)を、B型粘度計(東京計器(株)製)を用いて測定し、密閉容器内で2週間室温放置後の粘度(d)を、B型粘度計を用いて再び測定した。下記式にて2週間経過後の粘度の変化率を算出して、変化率が20%未満の場合はAA、2週間経過後の粘度の変化率が20%以上40%未満の場合はA、2週間経過後の粘度の変化率が40%以上の場合はCとして記載した。
粘度の変化率={|(d)-(c)|/(c)}×100
【0166】
【表4】
【0167】
表4より、本実施形態の樹脂組成物を用いた実施例1~8は、比較例1~3と比べ、実装試験において良好な結果を示した。また、実施例5及び6に記載の樹脂組成物は実用上問題ないが、実施例5及び6の結果から、本実施形態において、より優れたフラックス活性及び可撓性を両立する樹脂組成物を得るためには、フェノール性水酸基を有する化合物及び金属イオン捕捉剤の配合量の最適化が必要となることが示された。
【0168】
また、実施例7及び8に記載の樹脂組成物は実用上問題ないが、実施例7及び8で用いた金属イオン捕捉剤(B)は、ラジカル重合性化合物(C)として配合したマレイミド化合物と反応性を示すため、保存安定性に懸念があることも示された。一方、金属イオン捕捉剤(B)としてジケトン誘導体を配合すると、ラジカル重合性化合物(C)として配合したマレイミド化合物と反応性を示さず、良好な保存安定性が得られることも示された。
【0169】
本出願は、2018年4月26日出願の日本特許出願(特願2018-85651)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0170】
本発明の樹脂組成物は、前記したように、フラックス活性、可撓性、及び保存安定性に優れ、各種の効果を発揮することから、樹脂組成物、特にプリアプライドアンダーフィル材料として有用である。本発明の樹脂組成物は、フラックス活性に優れることから、半導体チップと基板との接合や、半導体チップと半導体ウェハとの接合、更には半導体チップと半導体チップとの接合を行う際、良好な接合状態が得られるため、極めて有用である。