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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】自走式電子機器
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/00 20060101AFI20230907BHJP
   A47L 9/28 20060101ALI20230907BHJP
   A47L 9/04 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
A47L9/00 102Z
A47L9/28 E
A47L9/04 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019212385
(22)【出願日】2019-11-25
(65)【公開番号】P2021083480
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】廣田 満久
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-130129(JP,A)
【文献】中国実用新案第208198622(CN,U)
【文献】実開昭52-115164(JP,U)
【文献】特開2013-059627(JP,A)
【文献】中国実用新案第202497082(CN,U)
【文献】特開2000-202792(JP,A)
【文献】特開昭63-234925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00~ 9/08
A47L 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部を有する筐体と、前記底部に設けられた左右一対の走行輪と、前記左右一対の走行輪を独立して回転駆動するよう前記筐体内に設けられた一対の走行輪用モータと、前記底部における前記左右一対の走行輪よりも後方位置に設けられた後輪と、前記底部における前記左右一対の走行輪よりも前方位置の前記底部に回転可能に設けられた左右方向に延びる軸部を有する前輪と、前記前輪を前記軸部を中心に自転させるように回転駆動する前記筐体内に設けられた前輪用モータとを備え
前記前輪が前記軸部を中心に自転しながら段差に接して段差を乗り越え可能であることを特徴とする自走式電子機器。
【請求項2】
前記前輪は、前記左右一対の走行輪および前記後輪が平坦な床面上で前記筐体を支持したときに前記床面から浮き上がる高さ位置に配置されている請求項1に記載の自走式電子機器。
【請求項3】
前記底部は、前記左右一対の走行輪よりも前方位置に下方へ隆起する隆起部を有し、
前記隆起部は、前方から後方へ向かうにつれて床面側へ傾斜する傾斜面を有し、
前記前輪は、前記隆起部における前記傾斜面の後方位置に、かつ、前記傾斜面よりも床面に近接して設けられている請求項1または2に記載の自走式電子機器。
【請求項4】
前記一対の走行輪用モータのうちの一方の走行輪用モータと前記前輪との間に、前記一方の走行輪用モータの回転力を前記前輪へ伝達する回転力伝達機構が設けられており、前記一方の走行輪用モータが前記前輪用モータを兼ねている請求項1~3のいずれか1つに記載の自走式電子機器。
【請求項5】
前記筐体は、前記底部の周囲に設けられた周囲部と、前記底部と対向するように前記周囲部の上端に設けられた上部と、前記底部における前記左右一対の走行輪よりも前方位置に設けられた左右方向に延びる吸込口と、前記上部または前記周囲部に設けられた排気口と、前記吸込口と前記排気口とを連通する通風路と、前記通風路に設けられた集塵部と、前記吸込口に左右方向の軸心を中心として回転可能に設けられた回転ブラシと、前記回転ブラシを回転駆動する回転ブラシ用モータとを備え、
前記回転ブラシは、前記軸心上に軸部を有し、
前記前輪は、前記回転ブラシの前記軸部に一体回転可能に設けられており、
前記回転ブラシ用モータが前記前輪用モータを兼ねている請求項1~3のいずれか1つに記載の自走式電子機器。
【請求項6】
前記前輪は、前記回転ブラシの前記軸部の左右両端に左右一対設けられている請求項5に記載の自走式電子機器。
【請求項7】
前記左右一対の走行輪および前記後輪と協働して前記筐体を床面上で支持する左右一対の補助前輪が、前記底部における前記左右一対の前輪の左右位置に設けられている請求項6に記載の自走式電子機器。
【請求項8】
前記筐体は、前記底部の周囲に設けられた周囲部と、前記底部と対向するように前記周囲部の上端に設けられた上部と、前記底部における前記左右一対の走行輪よりも前方位置に設けられた左右方向に延びる吸込口と、前記上部または前記周囲部に設けられた排気口と、前記吸込口と前記排気口とを連通する通風路と、前記通風路に設けられた集塵部と、前記底部における前記吸込口よりも前方位置でかつ前記吸込口の少なくとも左右一方側に上下方向の軸心を中心として回転可能に設けられたサイドブラシと、前記サイドブラシを回転駆動するサイドブラシ用モータとを備え、
前記サイドブラシ用モータと前記前輪との間に、前記サイドブラシ用モータの回転力を前記前輪へ伝達する回転力伝達機構が設けられており、前記サイドブラシ用モータが前記前輪用モータを兼ねている請求項1~3のいずれか1つに記載の自走式電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走式電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自走式電子機器として、特許文献1には、円盤形の筐体の底部に左右一対の駆動輪、前輪および後輪が設けられ、床面上を走行しながら塵埃を吸引除去する自走式掃除機が提案されている。
この自走式掃除機が平坦な床面上を走行する際、左右一対の駆動輪および後輪が筐体を支持し、前輪は筐体を支持せず床面から浮き上がっている。自走式掃除機が床面から床面上に敷かれた絨毯へ移動する際、絨毯の縁部に当接した前輪は絨毯との摩擦により回転して縁部に乗り上がるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-130129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
床面上に敷かれた絨毯が捲れ上がりやすいもの(例えば、厚手で軽いもの)である場合、重量が重い自走式掃除機では床面上から絨毯上へ移動しようとするときに前輪が絨毯の縁に引っ掛かって絨毯が捲り上がり、あるいは前輪が絨毯の縁を押し続けて絨毯上を清掃できないことがある。あるいは、自走式掃除機のサイズによっては(特に薄型では)、捲り上がった絨毯の下に自走式掃除機が潜り込んで外へ出られなくなり、その状態で電池切れとなってしまう場合がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされた自走式電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、底部を有する筐体と、前記底部に設けられた左右一対の走行輪と、前記左右一対の走行輪を独立して回転駆動するよう前記筐体内に設けられた一対の走行輪用モータと、前記底部における前記左右一対の走行輪よりも後方位置に設けられた後輪と、前記底部における前記左右一対の走行輪よりも前方位置に設けられた前輪と、前記前輪を回転駆動するよう前記筐体内に設けられた前輪用モータとを備えた自走式電子機器が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の自走式電子機器によれば、床面上に敷かれた絨毯や敷居等の段差乗り越え性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る自走式電子機器としての自走式掃除機を示す上面斜視図である。
図2図1に示す自走式掃除機の概略底面図である。
図3図1に示す自走式掃除機の側面から見た内部構成説明図である。
図4図1に示す自走式掃除機の制御回路のブロック図である。
図5】第1実施形態の自走式掃除機の前輪が薄手の絨毯に乗り上がる前の左側から視た状態を説明する図である。
図6】第1実施形態の自走式掃除機の前輪が薄手の絨毯に乗り上がったときの左側から視た状態を説明する図である。
図7】第1実施形態の自走式掃除機の前輪が厚手の絨毯に乗り上がる前の左側から視た状態を説明する図である。
図8】第1実施形態の自走式掃除機の前輪が厚手の絨毯に乗り上がったときの左側から視た状態を説明する図である。
図9】第2実施形態の自走式掃除機の前輪が絨毯に乗り上がる直前の左側から視た状態を説明する図である。
図10】第3実施形態の自走式掃除機の概略底面図である。
図11】第4実施形態の自走式掃除機の概略底面図である。
図12】第5実施形態の自走式掃除機の概略正面図である。
図13】第5実施形態の自走式掃除機の概略底面図である。
図14】第5実施形態の自走式掃除機の前輪が絨毯に乗り上がったときの左側から視た状態を説明する図である。
図15】第5実施形態の自走式掃除機の前輪が絨毯に乗り上がったときの正面から視た状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本発明の第1実施形態に係る自走式電子機器としての自走式掃除機を示す上面斜視図であり、図2図1に示す自走式掃除機の概略底面図である。また、図3図1に示す自走式掃除機の側面(左側面)から見た内部構成説明図であり、図4図1に示す自走式掃除機の制御回路のブロック図である。なお、図1図3中に自走式掃除機が進行方向を前方とするときに、後方から自走式掃除機を見た際の前後左右上下方向を矢印にて示しており、自走式掃除機の構造はこの前後左右上下方向に基づいて説明される。
【0010】
<自走式電子機器の全体構成>
本発明の第1実施形態に係る自走式電子機器は、床面を自走しながら、床面上の塵埃を空気と共に吸い込み、塵埃を除去した空気を排気することにより床面を掃除する自走式掃除機である。
【0011】
図1図4に示すように、この自走式掃除機1は、円盤形の筐体2を備える。
筐体2は、底部2aと、底部2aの周囲に設けられた周囲部2bと、底部2aと対向するように周囲部2bの上端に設けられた上部2cとを備える。
底部2aには、前後方向の中間位置よりも前方位置に左右方向に延びる吸込口2aaが設けられ、前後方向の中間位置に左右一対の走行輪ユニット用挿通孔2abが設けられ、吸込口2aaよりも前方位置に前輪用挿通孔2acが設けられている。
【0012】
また、筐体2は、上部2cに設けられた排気口2caと、吸込口2aaと排気口2caとを連通する通風路3と、通風路3における気流が流れる方向の上流側に設けられた集塵部4および集塵部4より下流側に設けられた電動送風機5と、吸気口2aaに回転可能に設けられた左右方向に延びる軸部6aを有する回転ブラシ6と、底部2aにおける左右一対の走行輪ユニット用挿通孔2abの対応位置に設けられた左右一対の走行輪ユニット7と、前輪用挿通孔2acに回転可能に設けられた左右方向に延びる軸部8aを有する前輪8と、底部2aの後端に上下方向の軸心P1を中心に回転可能に設けられた回転台9aを有する後輪9と、底部2aにおける左右一対の走行輪ユニット用挿通孔2abの前方位置に上下方向の軸心P2を中心に回転可能に設けられた左右一対のサイドブラシ10と、底部2aにおける前輪用挿通孔2acの前方位置と左右一対の走行輪ユニット用挿通孔2abの前方位置に設けられた3つの床面検知センサ11と、底部2aの後方位置に設けられたバッテリ12とを備える。
【0013】
図1に示すように、筐体2の上部2cには、排気口2caの後方に蓋2cbが開閉可能に設けられている。また、蓋2cbよりも後方位置の上部2cに自走式掃除機1の作動条件や作動指令を入力する操作パネル2cc(図4参照)が設けられている。また、周囲部2bの前方には、自走式掃除機1の進行方向の障害物を検出する複数の超音波センサ13が設けられている。
【0014】
図2に示すように、一対の走行輪ユニット7は、複数のギアを内蔵するギアボックス7aと、ギアボックス7a内の1つのギアと左右方向の軸部7bで連結された走行輪7cと、ギアボックス7a内の他の1つのギアと連結する出力軸を有する走行輪用モータ7dとを、それぞれ備える。一対の走行輪7cが同一方向に回転することで筐体2が進退可能であり、各走行輪7c5が互いに逆方向に回転することで筐体2が回転可能となっている。一対の走行輪ユニット7の各走行輪用モータ7dは、筐体2の底部2aの内面に直接またはサスペンション機構を介して固定されている。
【0015】
前輪8は左右方向の幅が後輪9の幅よりも広いローラからなり、進路上に現れた段差に接触したとき、筐体2が上りの段差を容易に乗り越えられるよう、走行輪7cが接触する床面Fから少し浮き上がる位置に筐体2の底部2aに回転可能に設けられている(図2図3参照)。また、前輪8は、左右方向の幅が狭い場合よりも広い場合の方が、絨毯に接触した際に乗り越えやすくなる。なお、前輪8は、後述する前輪用モータ14と回転力伝達機構15を介して連結されている(図5参照)。
このように、自走式掃除機1が床面Fに載置された状態においては、筐体2に対して前後方向の中間に一対の走行輪7cを配置し、前輪8を床面Fから浮かせ、自走式掃除機1の全重量を一対の駆動輪5と後輪9によって支持できるように、筐体2に対して前後方向に重量が配分されている。これにより、走行しながら清掃を行う際に、進路前方の塵埃を前輪8によって遮ることなく吸込口2aaに導くことができる。
【0016】
前述の回転ブラシ6は、筐体2の底部2aと平行な軸部6aを中心に回転可能に吸込口2aaの入口に設けられている。回転ブラシ6は、軸部6aであるローラの外周面に螺旋状にブラシを植設することにより形成されている。
サイドブラシ10は、軸心P上に設けられた回転軸と、回転軸の下端に放射状に設けられた複数本のブラシ束を有している。
回転ブラシ6の軸部6aおよび一対のサイドブラシ10の回転軸は、筐体2の底部2aの内面に支持されている。回転ブラシ6は、その付近に設けられた後述する回転ブラシ用モータ16と、プーリおよびベルトを含む回転力伝達機構17を介して連結されている。また、一対のサイドブラシ10の回転軸は、回転ブラシ6の軸部6aの両端と図示しない回転力伝達機構を介して個別に連結されている。
【0017】
図2図4に示すように、筐体2の底部2aにおける前輪8の前方には、前述のように床面を検知する床面検知センサ11が配置されている。床面検知センサ11によって下りの段差が検知されると、その検知信号が後述の制御部20に送信され、制御部20が両走行輪7cを停止するよう制御する。それによって、自走式掃除機1の下り段差への落下が防止される。また、制御部20は、床面検知センサ11が下りの段差を検知して停止したのち、下りの段差を回避して走行するように制御してもよい。
【0018】
筐体2の周囲部2bの後端には、内蔵するバッテリ12の充電を行う充電端子(図示しない)が設けられている。室内を自走しながら掃除する自走式掃除機1は、掃除が終了すると室内に設置されている充電台に帰還する。
これにより、充電台に設けられた端子部に充電端子が接触し、バッテリ12の充電が行われる。商用電源(コンセント)に接続される充電台は、通常、室内の側壁に沿って設置される。なお、バッテリ12は、各種モータ等の各駆動制御要素に電力を供給する。
【0019】
図3に示す集塵部4は、通風路3における吸込口2aa側の部分に接続される集塵ボックス4aと、集塵ボックス4aに着脱可能に設けられたフィルタ4bと、集塵ボックス4aと協働してフィルタ4bを挟み込むカバー4cとを有している。集塵部4は、通常、筐体2内に収納されているが、集塵ボックス4a内に捕集された塵埃を廃棄する際は、筐体2の蓋2cb(図1)を開いて出し入れされるようになっている。
【0020】
図4に示すように、自走式掃除機1全体の動作制御を行う制御回路は、制御部20、自走式掃除機1の動作に係る設定条件や作動指令を入力する操作パネル2cc、走行マップ21aを記憶する記憶部21、電動送風機5を駆動するためのモータドライバ5md、走行輪7cの走行輪用モータ7dを駆動するためのモータドライバ7md、回転ブラシ6と一対のサイドブラシ10を回転させる回転ブラシ用モータ16を駆動するためのモータドライバ16md、前輪8を回転させる前輪用モータ14を駆動するためのモータドライバ14mdと、床面検知センサ11を制御する制御ユニット11a、超音波センサ13を制御する制御ユニット13a等を備える。
【0021】
制御部20はCPU、ROM、RAMからなるマイクロコンピュータを備え、記憶部21に予め記憶されたプログラムデータに基いて、モータドライバ5md、7md、16md、14mdに個別に制御信号を送信し、電動送風機5、走行輪用モータ7d、回転ブラシ用モータ16および前輪用モータ14を駆動制御して、一連の掃除運転を行う。なお、プログラムデータには、床面(清掃対象面)の広い領域を清掃する通常モード用と、壁際に沿って清掃する壁際モード用と、床面の一部を集中的に清掃するスポットモード用のプログラムデータなどが含まれる。
【0022】
また、制御部20は、ユーザーによる設定条件や作動指令を操作パネル2ccから受け入れて記憶部21に記憶させる。この記憶部21に記憶される走行マップ21aは、自走式掃除機1の設置場所周辺の走行経路や走行速度などといった走行に係る情報であり、予めユーザーによって記憶部21に記憶させるか、あるいは自走式掃除機1自体が掃除運転中に自動的に記録することができる。
【0023】
このように構成された自走式掃除機1において、操作パネル2ccからの掃除運転開始の指令により、電動送風機5、走行輪7c、回転ブラシ6およびサイドブラシ10が駆動する。これにより、回転ブラシ6、サイドブラシ10、走行輪7cおよび後輪9が床面に接触した状態で、自走式掃除機1は所定の範囲を自走しながら吸込口2aaから床面の塵埃を含む空気を吸い込む。
このとき、回転ブラシ6の回転によって床面上の塵埃は掻き上げられて吸込口2aaに導かれる。また、サイドブラシ10の回転によって吸込口2aaの側方の塵埃が吸込口2aaに導かれる。
【0024】
図3に示すように、吸込口2aaから筐体2内に吸い込まれた塵埃を含む空気は、筐体2内の通風路3における上流側部分を通り、集塵ボックス4a内に流入する。集塵ボックス4a内に流入した気流は、フィルタ4bを通過して塵埃が除去されてカバー4c内に流入した後、通風路3におけるカバー4cの下流部分から電動送風機5に流入し、通風路3における電動送風機5の下流部分を通って排気口2caから外部へ排出される。この際、集塵ボックス4a内の気流に含まれる塵埃は、フィルタ4bによって除去され、集塵ボックス4a内に堆積する。なお、筐体2内において、電動送風機5を集塵部4の後方に配置し、排気口2caを筐体2の周囲部2bの後端に設け、通風路3にて集塵部4と電動送風機5と排気口2caとを接続することにより、塵埃除去された空気が自走式掃除機1の後端から後方へ向かって排気されるようにしてもよい。
【0025】
また、自走式掃除機1は、前述のように進路上の障害物を検出した場合や下り段差を検出した場合、および掃除領域の周縁に到達した場合、走行輪7cが一旦停止し、次に左右の走行輪7cを互いに逆方向に回転して向きを変える。これにより、自走式掃除機1は、設置場所全体あるいは所望範囲全体に障害物や下り段差を避けながら自走して掃除をすることができる。
また、自走式掃除機1は、前述のように、左右の走行輪7cと後輪9の3点で接触しており、前進時に急停止しても後輪9が床面から浮き上がらないようなバランスで重量配分されている。
そのため、自走式掃除機1が前進中に下りの段差の手前で急停止しても、それによって自走式掃除機1が前のめりに傾いて下りの段差へ落下するということが防止されている。なお、走行輪7cは、急停止してもスリップしないよう、溝を有するゴムタイヤをホイールに嵌め込んで形成されている。
【0026】
<前輪およびその周辺構造について>
図5は第1実施形態の自走式掃除機の前輪が絨毯に乗り上がる前の左側から視た状態を説明する図である。また図6は第1実施形態の自走式掃除機の前輪が絨毯に乗り上がったときの左側から視た状態を説明する図である。
図2図5に示すように、前輪8はその近傍に設けられた前輪用モータ14と回転力伝達機構15と連結されている。
【0027】
本実施形態の場合、底部2aの内面に設けられたリブ構造によって前輪用モータ14が前輪8の上方位置に支持されている。また、回転力伝達機構15は、前輪8の軸部8aに固定された大径プーリ15aと、前輪用モータ14の出力軸14aに固定された小径プーリ15bと、一対のプーリ15a、15bに掛け渡されたベルト15cとを有してなる。なお、回転力伝達機構15は、この構成に限定されず、前輪用モータ14の出力軸14aの回転力を複数のギアを介して前輪8の軸部8aに伝達するようにしてもよい。
【0028】
このように構成された自走式掃除機1が、床面Fから床面F上に敷かれた絨毯Cへ前進移動する際、前輪8は前輪用モータ14および回転力伝達機構15によって軸部8aを中心に矢印A方向(走行輪7cと同じ方向)に回転駆動されながら絨毯Cの縁Caに向かって矢印B方向(前進方向)に直進する。図5で示した絨毯Cの場合、床面Fから自走式掃除機1の底面2aまでの高さよりも薄く、かつ、床面Fから前輪8の下端までの高さよりも厚い厚さを有する比較的薄手のものを例示している。そのため、自走式掃除機1が絨毯Cの縁Caに向かって前進すると、筐体2の丸みを帯びた前端下部2xは絨毯Cの縁Caに接触せずに上方を通過し、その後、回転する前輪8が絨毯Cの縁Caに当接し、図6に示すように、前輪8は矢印A方向の回転および矢印B方向の直進によって絨毯Cの縁Caに乗り上がる。このとき、仮に前輪が回転駆動されないものであり、かつ、絨毯Cが捲れ上がりやすいもの(例えば、比較的薄手で軽いもの)であるとき、矢印B方向に直進する前輪が障害物となって絨毯Cの縁Caに引っ掛かる場合がある。その結果、絨毯Cの縁Caが捲れる、前輪によって縁Caが押されて上方に撓む、捲れた絨毯Cの縁Caの下に自走式掃除機が潜り込んで外に出られなくなる等の状況が生じ、自走式掃除機が絨毯上に乗り上がれない場合がある。
【0029】
この自走式掃除機1によれば、前輪8を回転駆動することにより、このような不具合の発生を抑制することができ、床面Fから絨毯Cへスムーズに移動することができるため、本来乗り上げ可能な程度の上り段差に前輪が乗り上がらないために清掃範囲が限定されてしまうということが抑制される。
なお、前輪8の単位時間当たりの回転数は、走行輪7cの単位時間当たりの回転数と同じ、または、走行輪7cの回転数よりも多いことが好ましいが、走行輪7cの回転数より少なくてもよい。
【0030】
また、前輪8は、筐体2の丸みを有する前端下部2xの近い位置に設けることが好ましい。図7に示すように、床面Fから自走式掃除機1の底面2aまでの高さよりも高い厚みを有する比較的厚手の絨毯C1の縁C1aに向かって自走式掃除機1が前進する場合、筐体2の前端下部2xが絨毯C1の縁C1aに摺接しながら乗り上がる。このとき、筐体2の前部は、筐体2の前端下部2xが絨毯C1の縁C1aに接触する前の状態よりも少し浮き上がる。この状態で筐体2の前端下部2xは絨毯C1の縁C1aを摺動した後すぐに前輪8が回転しながら絨毯C1の縁C1aに当接し、図8に示すように、前輪8は矢印A方向の回転および矢印B方向の直進によって絨毯C1の縁C1aに乗り上がる。つまり、前輪8が丸みを有する前端下部2xの近傍に設けられることにより、厚手の絨毯C1の縁C1aが捲れ上がる、絨毯C1の縁C1aが押されて縁C1aが上方に撓む、捲れた絨毯C1の下に自走式掃除機1が潜り込んで外に出られなくなる等の不具合をより低減することができる。
なお、仮に前輪が回転駆動されないものであり、かつ、絨毯C1が捲れ上がりやすいもの(例えば、比較的厚手で軽いもの)であるとき、矢印B方向に直進する前輪が障害物となって絨毯C1の縁C1aに引っ掛かる場合がある。その結果、絨毯C1の縁C1aが捲れる、前輪によって縁C1aが押されて上方に撓む、捲れた絨毯Cの縁Caの下に自走式掃除機が潜り込んで外に出られなくなる等の状況が生じ、自走式掃除機が絨毯上に乗り上がれない場合がある。
【0031】
(第2実施形態)
図9は第2実施形態の自走式掃除機の前輪が絨毯に乗り上がる直前の左側から視た状態を説明する図である。なお、図9において、図5中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
第2実施形態の自走式掃除機101において、筐体2の底部2aは、左右一対の走行輪7cよりも前方位置に下方へ隆起する隆起部2axを有しており、この隆起部2axの下面に前輪用挿通孔2ac(図2参照)が設けられている。
この隆起部2axは、側面視逆台形であり、前方から後方へ向かうにつれて床面F側へ傾斜する傾斜面2ayを有している。
第2実施形態の場合、前輪8は、隆起部2axにおける傾斜面2ayの後方位置に、かつ、傾斜面2ayよりも床面Fに近接して設けられている。
第2実施形態において、その他の構成は第1実施形態と概ね同様である。
【0032】
このように底部2aにおける床面Fと最も近い部分(隆起部2ax)に前輪8を設けることにより、自走式掃除機101が床面Fから床面F上に敷かれた絨毯C1へ移動する際、矢印A方向に回転しながら矢印B方向に直進する前輪8よりも先に隆起部2axの傾斜面2ayが絨毯C1の縁C1aに当接する。そして、隆起部2ax(傾斜面2ay)は絨毯C1の縁C1aを摺動して乗り上がった後、前輪8が縁C1a上を転動して乗り上がる。このとき、隆起部2axが上昇することにより前輪8も上昇してから縁C1aの上部に当接するため、前輪8への衝撃が軽減されると共に、前輪8と縁C1aとが接触するときの進行方向における接触角が小さくなることにより乗り上がりやすくなる。
【0033】
(第3実施形態)
図10は第3実施形態の自走式掃除機の概略底面図である。なお、図10において、図2中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
第3実施形態の自走式掃除機201では、一対の走行輪用モータ7dのうちの一方の走行輪用モータ7dと前輪8との間に、一方の走行輪用モータ7dの回転力を前輪8へ伝達する回転力伝達機構31が設けられており、一方の走行輪用モータ7dが前輪用モータを兼ねている。
第3実施形態において、その他の構成は第1実施形態と概ね同様である。
【0034】
第3実施形態の場合、回転力伝達機構31は、一方の走行輪用モータ7dの出力軸と連結しかつ回転可能に底部2aの内面に支持された第1連結軸31aと、前輪8の軸部8aと連結しかつ回転可能に底部2aの内面に支持された第2連結軸31bと、第1連結軸31aに固定された第1プーリ31cと、第2連結軸31bに固定された第2プーリ31dと、第1プーリ31cと第2プーリ31dに掛け渡されたベルト31eとを備える。
【0035】
この構成では、前輪専用のモータを省略することができる。また、第1プーリ31cと第2プーリ31dとを同一径とすることにより、走行輪用モータ7dのトルクと同じトルクで前輪8を回転駆動することができる。また、第1プーリ31cの外径と第2プーリ31dの外径との比を調整することにより、走行輪7cのトルクと同じトルクで前輪8を回転駆動することができる。また、このようなプーリ・ベルト機構は、走行輪用モータ7dと前輪8とが互いに離れた位置に設けられていても少ない部品点数で動力を伝達することができる。
【0036】
(第4実施形態)
図11は第4実施形態の自走式掃除機の概略底面図である。なお、図11において、図2中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
第4実施形態の自走式掃除機301では、一対のサイドブラシ10を回転駆動する一対のサイドブラシ用モータ41を備えている。また、第4実施形態においては、一方のサイドブラシ用モータ41と前輪8との間に、サイドブラシ用モータ41の回転力を前輪8へ伝達する回転力伝達機構42が設けられており、サイドブラシ用モータ41が前輪用モータを兼ねている。
また、第4実施形態においては、第1実施形態で備えられていた回転ブラシ6の軸部と一対のサイドブラシ10とを連結する回転力伝達機構が省略されており、その他の構成は第1実施形態と概ね同様である。
【0037】
第4実施形態の場合、サイドブラシ10は、サイドブラシ用モータ41の出力軸と直接連結されている。また、回転力伝達機構42は、サイドブラシ用モータ41の出力軸に固定された第1プーリ42aと、回転可能な上下方向の軸42bに固定された第2プーリ42cおよび第1傘歯車42dと、第1プーリ42aと第2プーリ42cに掛け渡されたベルト42eと、前輪8の軸部8aと連結された連結軸42fと、第1傘歯車42dと噛合するように連結軸42fに固定された第2傘歯車42gとを備える。
【0038】
この構成でも、前輪専用のモータを省略することができる。また、このようなプーリ・ベルト機構とギアの組み合わせは、サイドブラシ10の回転軸と前輪8の軸部8aとが互いに直交する方向であり、かつ、サイドブラシ用モータ41と前輪8とが互いに離れた位置に設けられていても少ない部品点数で動力を伝達することができる。
【0039】
(第5実施形態)
図12は第5実施形態の自走式掃除機の概略正面図であり、図13は第5実施形態の自走式掃除機の概略底面図である。また、図14は第5実施形態の自走式掃除機の前輪が絨毯に乗り上がったときの左側から視た状態を説明する図であり、図15は第5実施形態の自走式掃除機の前輪が絨毯に乗り上がったときの正面から視た状態を説明する図である。なお、図12図15において、図1図3中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
【0040】
第5実施形態の自走式掃除機401では、第4実施形態の前輪8および回転力伝達機構42(図11参照)の代わりに、回転ブラシ6の軸部6aの左右両端に一体回転可能に左右一対の前輪408が設けられており、回転ブラシ用モータ16が前輪用モータを兼ねている。さらに、左右一対の走行輪7cおよび後輪9と協働して筐体402を床面F上で支持する左右一対の補助前輪50が、底部402aにおける左右一対の前輪408の左右位置に設けられている。
第5実施形態において、その他の構成は第4実施形態と概ね同様である。
【0041】
左右一対の前輪408は、吸込口402aa内の左右両側に、かつ、筐体402を平坦な床面F上に載置したときに床面Fから少し浮き上がった高さ位置に配置されている。このとき、一対の補助前輪50と一対の走行輪7cと後輪9が床面Fに接している。
左右一対の補助前輪50は、筐体402の底部402aにおける吸込口402aaの左右両側に設けられた挿通孔402abを挿通するように、底部402aの内面に回転可能に支持されている。一対の補助前輪50の左右方向の軸部は、回転ブラシ6の軸部6aと同一軸心上に配置されているが、軸部6aとは分離している。なお、以上からわかるように前輪8の直径は、補助前輪50の直径よりも小さい。
【0042】
この構成によれば、図14図15に示すように、自走式掃除機401が床面Fから絨毯C1へ移動する際、一対の補助前輪50が絨毯C1の縁C1aに接触した直後に、一対の前輪408が矢印A方向に回転しながら矢印B方向に直進して絨毯C1の縁C1aに接触する。そのため、一対の前輪408は大きな負荷がかかることなく絨毯C1の縁C1aに乗り上がることができる。また、この構成によれば、前輪専用のモータおよびそのモータと前輪とを連結する回転力伝達機構を省略することができる。
【0043】
(他の実施形態)
1.第2実施形態における前輪8の位置に設けられた筐体2の底部2aの隆起部2ax(図9参照)は、第3~第5実施形態でも同様に設けられてもよい。
2.第5実施形態において、左右一対の前輪は、いずれか一方を省略してもよいが、自走式掃除機が段差を乗り越えるときの直進性の観点から前輪は左右一対設けられることが好ましい。
3.前述の各実施形態において、回転ブラシの位置は、一対の走行輪の前端の位置程度まで近づけてもよい。特に、第5実施形態(図12図15参照)ではこのようにすることにより、段差乗り上げ性が向上する。なお、回転ブラシ(吸込口)の位置は、第1~第4実施形態の場合であれば、走行輪の後端よりも後方にあってもよい。
4.前述の各実施形態では、自走式電子機器として自走式掃除機の場合を例示したが、本発明は自走式電子機器として、自走式イオン発生装置、自走式室内監視装置等にも適用可能である。
【0044】
(まとめ)
本発明の自走式電子機器は、底部を有する筐体と、前記底部に設けられた左右一対の走行輪と、前記左右一対の走行輪を独立して回転駆動するよう前記筐体内に設けられた一対の走行輪用モータと、前記底部における前記左右一対の走行輪よりも後方位置に設けられた後輪と、前記底部における前記左右一対の走行輪よりも前方位置に設けられた前輪と、前記前輪を回転駆動するよう前記筐体内に設けられた前輪用モータとを備えたものである。
この構成によれば、床面(例えば、フローリング)を前進方向に走行中に、床面から床面上に引かれた絨毯へ自走式電子機器が移動する際、絨毯が捲れ上がりやすいもの(例えば、厚手で軽い絨毯)であっても、前輪は走行輪と同じ方向に回転しているため障害物とならずに絨毯の縁を下方後方へ押し込む。これにより、前輪が絨毯の縁を捲り上げることなく乗り上がるため、自走式電子機器の床面上から絨毯上への移動が容易となる。特に、重量の重い自走式電子機器の段差乗り越え性を向上させる構成として有効である。また、絨毯以外の段差(例えば、敷居)に対しても前輪が回転して乗り上がりやすくなるため、段差に前輪が衝突することによって前輪の軸部へ加わる衝撃を軽減することができ、前輪およびその取付構造部の破損が抑制される。
【0045】
本発明の自走式電子機器は、次のように構成されてもよく、それらが適宜組み合わされてもよい。
【0046】
・前記前輪は、前記左右一対の走行輪および前記後輪が平坦な床面上で前記筐体を支持したときに前記床面から浮き上がる高さ位置に配置されてもよい。
この構成によれば、段差以外の平坦な床面上を自走式電子機器が走行している間、前輪は床面に接触しないため、走行中に前輪(軸部を含む)およびその取付構造部に加わる振動や衝撃が軽減される。
【0047】
・前記底部は、前記左右一対の走行輪よりも前方位置に下方へ隆起する隆起部を有し、
前記隆起部は、前方から後方へ向かうにつれて床面側へ傾斜する傾斜面を有し、
前記前輪は、前記隆起部における前記傾斜面の後方位置に、かつ、前記傾斜面よりも床面に近接して設けられてもよい。
この構成によれば、小径の前輪を床面に近接して配置しやすくなる。また、段差は前輪と衝突する前に隆起部の傾斜面と摺接するため、前輪が段差と衝突するときの前輪に加わる衝撃をより軽減することができる。
【0048】
・前記一対の走行輪用モータのうちの一方の走行輪用モータと前記前輪との間に、前記一方の走行輪用モータの回転力を前記前輪へ伝達する回転力伝達機構が設けられており、前記一方の走行輪用モータが前記前輪用モータを兼ねてもよい。
この構成によれば、前輪専用のモータを省略することができるため、部品点数およびコストの削減、自走式電子機器の軽量化を図ることができる。また、同じ走行輪用モータにて走行輪と前輪とを回転駆動するため、段差乗り上げ時に走行輪と前輪とが同じトルクで回転しやすくなる。
【0049】
・前記筐体は、前記底部の周囲に設けられた周囲部と、前記底部と対向するように前記周囲部の上端に設けられた上部と、前記底部における前記左右一対の走行輪よりも前方位置に設けられた左右方向に延びる吸込口と、前記上部または前記周囲部に設けられた排気口と、前記吸込口と前記排気口とを連通する通風路と、前記通風路に設けられた集塵部と、前記吸込口に左右方向の軸心を中心として回転可能に設けられた回転ブラシと、前記回転ブラシを回転駆動する回転ブラシ用モータとを備え、
前記回転ブラシは、前記軸心上に軸部を有し、
前記前輪は、前記回転ブラシの前記軸部に一体回転可能に設けられており、
前記回転ブラシ用モータが前記前輪用モータを兼ねてもよい。
この構成によれば、自走式電子機器が回転ブラシを備えた自走式掃除機である場合に、回転ブラシの軸部に前輪を設け、前輪専用のモータを省略し、回転ブラシ用モータを利用して前輪を回転駆動する構成であるため、コストを抑えることができる。
【0050】
・前記前輪は、前記回転ブラシの前記軸部の左右両端に左右一対設けられてもよい。
この構成によれば、自走式電子機器が段差に向かって直進して乗り上がるときの直進性を維持することができる。また、自走式電子機器が段差に対して左斜め方向または右斜め方向から乗り上がるときの直進性も維持し易くなる。
【0051】
・前記左右一対の走行輪および前記後輪と協働して前記筐体を床面上で支持する左右一対の補助前輪が、前記底部における前記左右一対の前輪の左右位置に設けられてもよい。
この構成によれば、前輪が絨毯に乗り上がる際、前輪の左右に配置された補助前輪にて筐体の重量を支持することができるため、左右の前輪および回転ブラシ用モータへの負荷を小さく抑えることができる。
【0052】
・前記筐体は、前記底部の周囲に設けられた周囲部と、前記底部と対向するように前記周囲部の上端に設けられた上部と、前記底部における前記左右一対の走行輪よりも前方位置に設けられた左右方向に延びる吸込口と、前記上部または前記周囲部に設けられた排気口と、前記吸込口と前記排気口とを連通する通風路と、前記通風路に設けられた集塵部と、前記底部における前記吸込口よりも前方位置でかつ前記吸込口の少なくとも左右一方側に上下方向の軸心を中心として回転可能に設けられたサイドブラシと、前記サイドブラシを回転駆動するサイドブラシ用モータとを備え、
前記サイドブラシ用モータと前記前輪との間に、前記サイドブラシ用モータの回転力を前記前輪へ伝達する回転力伝達機構が設けられており、前記サイドブラシ用モータが前記前輪用モータを兼ねてもよい。
この構成によれば、自走式電子機器がサイドブラシを備えた自走式掃除機である場合に、前輪専用のモータを省略し、サイドブラシ用モータを利用して前輪を回転駆動する構成であるため、コストを抑えることができる。
【0053】
なお、開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
1、101、201、301、401 自走式掃除機(自走式電子機器)
2、402 筐体
2a、402a 底部
2aa 吸込口
2ax 隆起部
2ay 傾斜面
2b 周囲部
2c 上部
2ca 排気口
3 通風路
4 集塵部
6 回転ブラシ
6a 軸部
7c 走行輪
7d 走行輪用モータ
8、408 前輪
9 後輪
10 サイドブラシ
14 前輪用モータ
15、17、31、42 回転力伝達機構
16 回転ブラシ用モータ
41 サイドブラシ用モータ
50 補助前輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15