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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】逆止弁、充填機能付き圧力ゲージ
(51)【国際特許分類】
   G01L 17/00 20060101AFI20230908BHJP
   B60C 23/00 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
G01L17/00 301Z
B60C23/00 A
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019173584
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021050985
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】311004865
【氏名又は名称】旭産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129539
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 康志
(72)【発明者】
【氏名】新保 和章
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-8092(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2002/0078754(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3156292(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00-23/32
G01L27/00-27/02
B60C23/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気供給源から出力される圧縮空気を、充填対象であるタイヤへ向けて供給する空気流通路と、
前記空気流通路に設けられ、前記タイヤ側と前記圧縮空気供給源側との間での空気の流通を遮断する閉位置に弾性的に付勢されており、前記タイヤ側から前記空気流通路を介して伝達される空気圧が所定圧力値以上であるときに該空気圧により押圧されて前記タイヤ側の空気流通路と前記圧縮空気供給源側の空気流通路との間での空気の移動を許容する開位置へと退避する主弁と、
前記空気流通路を介して前記タイヤ側から伝達される前記タイヤの空気圧を測る圧力測定部と、
前記空気流通路における前記主弁と前記圧縮空気供給源との間に設けられ、前記空気流通路における前記圧縮空気供給源から前記主弁に向かう空気の流れは許容し、前記空気流通路における前記主弁から前記圧縮空気供給源に向かう空気の流れ遮断する逆止弁と、
操作者の操作力を受けることで、前記主弁を前記開位置から前記閉位置へ向けて付勢する弾性力に抗して、前記主弁を前記開位置へ向けて移動させ、前記空気流通路における前記主弁から前記タイヤに向かう空気の流れを許容する主弁開閉機構と、を備える圧力ゲージであって、
前記所定圧力値は、前記圧力測定部に設定されている測定可能圧力範囲の上限値よりも低いことを特徴とする圧力ゲージ。
【請求項2】
前記所定圧力値は、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最大値よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の圧力ゲージ。
【請求項3】
前記所定圧力値は、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最小値よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の圧力ゲージ。
【請求項4】
前記主弁開閉機構は、前記操作者の握り動作による操作力を受けて、前記主弁を前記開位置から前記閉位置へ向けて付勢する弾性力に抗して前記主弁を前記開位置へと移動させるレバー部材を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の圧力ゲージ。
【請求項5】
前記逆止弁は、前記空気流通路の内径よりも狭い貫通孔を有し該貫通孔を介して前記圧縮空気供給源側の空気流通路と前記主弁側の空気流通路とを連通させる環状部と、前記空気流通路内における前記環状部よりも前記主弁側に設けられ前記貫通孔よりも大きい外径を有する弾性体球と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の圧力ゲージ。
【請求項6】
前記空気流通路における前記主弁と前記逆止弁との間に設けられ、前記弾性体球が前記環状部から前記主弁側に所定距離以上離れないように移動を規制する規制部材をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の圧力ゲージ。
【請求項7】
前記逆止弁は、フラッパ式の逆止弁であり、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最大値を受けても弁体が塑性変形せず、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最小値を受けた場合でも逆止弁として機能することを特徴とする請求項1に記載の圧力ゲージ。
【請求項8】
圧縮空気供給源から出力される圧縮空気を、充填対象であるタイヤへ向けて供給する空気流通路と、
前記空気流通路に設けられ、前記タイヤ側と前記圧縮空気供給源側との間での空気の流通を遮断する閉位置に弾性的に付勢されており、前記タイヤ側から前記空気流通路を介して伝達される空気圧が所定圧力値以上であるときに該空気圧により押圧されて前記タイヤ側の空気流通路と前記圧縮空気供給源側の空気流通路との間での空気の移動を許容する開位置へと退避する主弁と、
前記空気流通路を介して前記タイヤ側から伝達される前記タイヤの空気圧を測る圧力測定部と、
前記空気流通路における前記主弁と前記圧縮空気供給源との間に設けられ、前記空気流通路における前記圧縮空気供給源から前記主弁に向かう空気の流れは許容し、前記空気流通路における前記主弁から前記圧縮空気供給源に向かう空気の流れ遮断する逆止弁を装着するための逆止弁装着部と、
操作者の操作力を受けることで、前記主弁を前記開位置から前記閉位置へ向けて付勢する弾性力に抗して、前記主弁を前記開位置へ向けて移動させ、前記空気流通路における前記主弁から前記タイヤに向かう空気の流れを許容する主弁開閉機構と、を備える圧力ゲージであって、
前記所定圧力値は、前記圧力測定部に設定されている測定可能圧力範囲の上限値よりも低いことを特徴とする圧力ゲージ。
【請求項9】
前記所定圧力値は、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最大値よりも低いことを特徴とする請求項8に記載の圧力ゲージ。
【請求項10】
前記所定圧力値は、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最小値よりも低いことを特徴とする請求項8に記載の圧力ゲージ。
【請求項11】
前記主弁開閉機構は、前記操作者の握り動作による操作力を受けて、前記主弁を前記開位置から前記閉位置へ向けて付勢する弾性力に抗して前記主弁を前記開位置へと移動させるレバー部材を備えることを特徴とする請求項8~10のいずれか1項に記載の圧力ゲージ。
【請求項12】
前記逆止弁は、前記空気流通路の内径よりも狭い貫通孔を有し該貫通孔を介して前記圧縮空気供給源側の空気流通路と前記主弁側の空気流通路とを連通させる環状部と、前記空気流通路内における前記環状部よりも前記主弁側に設けられ前記貫通孔よりも大きい外径を有する弾性体球と、を備えることを特徴とする請求項8に記載の圧力ゲージ。
【請求項13】
前記空気流通路における前記主弁と前記逆止弁との間に設けられ、前記弾性体球が前記環状部から前記主弁側に所定距離以上離れないように移動を規制する規制部材をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の圧力ゲージ。
【請求項14】
前記逆止弁は、フラッパ式の逆止弁であり、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最大値を受けても弁体が塑性変形せず、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最小値を受けた場合でも逆止弁として機能することを特徴とする請求項8に記載の圧力ゲージ。
【請求項15】
圧縮空気供給源から出力される圧縮空気を、充填対象であるタイヤへ向けて供給する空気流通路と、前記空気流通路に設けられ、前記タイヤ側と前記圧縮空気供給源側との間での空気の流通を遮断する閉位置に弾性的に付勢されており、前記タイヤ側から前記空気流通路を介して伝達される空気圧が所定圧力値以上であるときに該空気圧により押圧されて前記タイヤ側の空気流通路と前記圧縮空気供給源側の空気流通路との間での空気の移動を許容する開位置へと退避する主弁と、前記空気流通路を介して前記タイヤ側から伝達される前記タイヤの空気圧を測る圧力測定部と、操作者の操作力を受けることで、前記主弁を前記開位置から前記閉位置へ向けて付勢する弾性力に抗して、前記主弁を前記開位置へ向けて移動させ、前記空気流通路における前記主弁から前記タイヤに向かう空気の流れを許容する主弁開閉機構とを備え、前記所定圧力値が、前記圧力測定部に設定されている測定可能圧力範囲の上限値よりも低い圧力ゲージの前記空気流通路における前記主弁と前記圧縮空気供給源との間に設けられる逆止弁であって、
一端の開口から他端の開口への空気の流通を可能とする管路を形成する管状部と、
前記管路における前記圧縮空気供給源から前記主弁に向かう空気の流れは許容し、前記管路における前記主弁から前記圧縮空気供給源に向かう空気の流れ遮断する弁体と、を備える逆止弁。
【請求項16】
前記所定圧力値は、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最大値よりも低いことを特徴とする請求項15に記載の逆止弁。
【請求項17】
前記所定圧力値は、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最小値よりも低いことを特徴とする請求項15に記載の逆止弁。
【請求項18】
前記主弁開閉機構は、前記操作者の握り動作による操作力を受けて、前記主弁を前記開位置から前記閉位置へ向けて付勢する弾性力に抗して前記主弁を前記開位置へと移動させるレバー部材を備えることを特徴とする請求項15~17のいずれか1項に記載の逆止弁。
【請求項19】
前記逆止弁は、前記管路の内径よりも狭い貫通孔を有し該貫通孔を介して前記空気供給源側の空気流通路と前記主弁側の空気流通路とを連通させる環状部と、前記空気流通路内における前記環状部よりも前記主弁側に設けられ前記貫通孔よりも大きい外径を有する弾性体球と、を備えることを特徴とする請求項15に記載の逆止弁。
【請求項20】
前記圧力ゲージは、前記空気流通路における前記主弁と前記逆止弁との間に設けられ、前記弾性体球が前記環状部から前記主弁側に所定距離以上離れないように移動を規制する規制部材をさらに備えることを特徴とする請求項19に記載の逆止弁。
【請求項21】
前記逆止弁は、平板状の弁体を有するフラッパ式の逆止弁であり、前記弁体は、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最大値を受けても塑性変形せず、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最小値を受けた場合でも弁体として機能することを特徴とする請求項15に記載の逆止弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに空気を充填する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、充填対象であるタイヤへの圧縮空気の供給と、タイヤの空気圧の測定の双方を行うことのできる充填機能付き圧力ゲージ(以下、単に「圧力ゲージ」と呼ぶ)が知られる。
【0003】
一般的に、このような圧力ゲージは、タイヤに供給すべき圧縮空気を圧縮空気供給源から供給され、供給された圧縮空気を上記圧力ゲージ内に設けられる空気流通路等を介してタイヤに導き当該タイヤに充填する。通常、圧縮空気供給源から供給される圧縮空気は、上記圧力ゲージ内でバネ等の弾性体によって閉位置に付勢されている主弁によって、上記タイヤへの伝達が遮断されており、操作者が圧力ゲージに備わるレバーや押しボタン等を握ったり押したりすることによって当該主弁を上記弾性体の弾性力に抗して閉位置から開位置へと押圧しながら移動させることで、上記圧縮空気供給源からタイヤまでの空気の流通を許容し、当該圧縮空気はタイヤ側に伝達(充填)される。
【0004】
一方、上記のような従来の充填機能付き圧力ゲージにて、当該圧力ゲージを圧縮空気供給源に接続することなくタイヤの空気圧の測定操作のみを行いたい場合、操作者は上記レバーの操作を行うことなく、上記圧力ゲージをタイヤのバルブに接続することで、タイヤ内から伝達される空気圧を、上記圧力ゲージに備わる圧力測定部により測定する。このとき、タイヤ内の空気圧を正確に測定するためには、タイヤから伝達される空気圧が上記圧力ゲージ内の空気流通路を介して圧縮空気供給源側に漏れることなく(つまり、タイヤから伝達される圧縮空気が、前記主弁によって遮断されて前記圧縮空気供給源側に漏れ出さない状態で)上記圧力測定部に伝達される必要がある。このため、上記主弁を閉位置に付勢する弾性体の押圧力は、タイヤから伝達される空気圧が前記主弁を閉位置から開位置へ向かう方向に押圧する力を発生させるような一般的弁構成の圧力ゲージである場合、当該圧力ゲージが測定対象としているタイヤの空気圧による押圧に耐えて閉位置を維持できる強さに設定されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、大型トラックのタイヤの場合、タイヤ内の空気圧は1200kPaを超える場合もあり、このようなタイヤ圧力を受けても開位置に移動しないように主弁を閉位置へ向けて付勢するのに要する弾性力は、実に80Nに達する場合もある。このように強力な弾性力で閉位置に向けて付勢されている主弁を、レバーを握る力でその弾性力に抗して開位置まで移動させるのは、特に握力の弱い女性や高齢者には困難な場合がある。また、例え操作者が一時的に主弁を開位置に移動させることができたとしても、大型タイヤの充填作業には、通常数分を要し、操作者はその数分間の充填作業の間レバーを握り続けることで、上記主弁を開位置に保持し続けなければならず、操作者の手に掛かる負担が大きかった。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、弁を閉位置に付勢する弾性力に抗して手動操作することで当該弁を開位置に移動させて圧縮空気のタイヤへの供給を行う充填機能付き圧力ゲージにおいて、力の弱い操作者であっても容易にタイヤへの圧縮空気の供給操作が可能な充填機能付き圧力ゲージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、圧縮空気供給源から出力される圧縮空気を、充填対象であるタイヤへ向けて供給する空気流通路と、前記空気流通路に設けられ、前記タイヤ側と前記圧縮空気供給源側との間での空気の流通を遮断する閉位置に弾性的に付勢されており、前記タイヤ側から前記空気流通路を介して伝達される空気圧が所定圧力値以上であるときに該空気圧により押圧されて前記タイヤ側の空気流通路と前記圧縮空気供給源側の空気流通路との間での空気の移動を許容する開位置へと退避する主弁と、前記空気流通路を介して前記タイヤ側から伝達される前記タイヤの空気圧を測る圧力測定部と、前記空気流通路における前記主弁と前記圧縮空気供給源との間に設けられ、前記空気流通路における前記圧縮空気供給源から前記主弁に向かう空気の流れは許容し、前記空気流通路における前記主弁から前記圧縮空気供給源に向かう空気の流れは遮断する逆止弁と、操作者の操作力を受けることで、前記主弁を前記開位置から前記閉位置へ向けて付勢する弾性力に抗して、前記主弁を前記開位置へ向けて移動させ、前記空気流通路における前記主弁から前記タイヤに向かう空気の流れを許容する主弁開閉機構と、を備える圧力ゲージであって、前記所定圧力値は、前記圧力測定部に設定されている測定可能圧力範囲の上限値よりも低いことを特徴とする圧力ゲージに関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、弁を閉位置に付勢する弾性力に抗して手動操作することで当該弁を開位置に移動させて圧縮空気のタイヤへの供給を行う充填機能付き圧力ゲージにおいて、力の弱い操作者であっても容易にタイヤへの圧縮空気の供給操作が可能な充填機能付き圧力ゲージを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る圧力ゲージの一例を示す外観図である。
図2】本発明の実施の形態に係る圧力ゲージの一例の全体断面図である。
図3】ゲージ本体101の主弁101vおよび主弁開閉機構104付近の詳細構成およびその動作を示す部分断面図である。
図4】ゲージ本体101の主弁101vおよび主弁開閉機構104付近の詳細構成およびその動作を示す部分断面図である。
図5】ゲージ本体101の主弁101vおよび主弁開閉機構104付近の詳細構成およびその動作を示す部分断面図である。
図6】ゲージ本体101の主弁101vおよび主弁開閉機構104付近の詳細構成およびその動作を示す部分断面図である。
図7】逆止弁の一態様の具体的構造およびその動作について説明するための図である。
図8】逆止弁の一態様の具体的構造およびその動作について説明するための図である。
図9】逆止弁の一態様の具体的構造およびその動作について説明するための図である。
図10】逆止弁の一態様の具体的構造およびその動作について説明するための図である。
図11】規制部材として空気の流通を許容する網状部材を採用した逆止弁の例を示す断面図である。
図12】規制部材として空気の流通を許容する網状部材を採用した逆止弁の例を示す断面図である。
図13】規制部材として空気の流通を許容する網状部材を採用した逆止弁の例を示す断面図である。
図14】フラッパ式の逆止弁を備えるプラグの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0011】
<全体構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る圧力ゲージの一例を示す外観図である。図2は、本発明の実施の形態に係る圧力ゲージの一例の全体断面図である。
【0012】
本実施の形態に係る圧力ゲージ1は、充填対象であるトラックや乗用車等の車両のタイヤへの圧縮空気の供給と、当該タイヤの空気圧の測定の双方を行うことができる。
【0013】
同図に示すように、本実施の形態に係る圧力ゲージ1は、例えば、ゲージ本体101、圧力測定部102、プラグ103、主弁開閉機構104、ホース105、およびチャック106を備える。
【0014】
本実施の形態による圧力ゲージ1は、プラグ103を介して接続されている外部の圧縮空気供給源(不図示)から取り込む圧縮空気を、ゲージ本体101、ホース105およびチャック106等を介して空気充填対象であるタイヤへと導き、当該タイヤへの圧縮空気の充填を行う。
【0015】
また、本実施の形態による圧力ゲージ1は、チャック106およびホース105を介してタイヤから伝達されるタイヤの空気圧を、ゲージ本体101に接続された圧力測定部102により測定する。
【0016】
以下、本実施の形態に係る圧力ゲージを構成する各要素について詳細に説明する。
【0017】
ゲージ本体101は、その内部に、例えば、空気流通路AP(図2)、主弁101v(図2)、主弁開閉機構104(図2)の一部等を備える。またゲージ本体101は、主弁開閉機構104付近に、操作者が圧力ゲージ1を保持して操作する際に握るためのグリップ部101gを有している。空気流通路AP、主弁101vおよび主弁開閉機構104の詳細については後述する。
【0018】
圧力測定部102は、機械式の空気圧測定ユニットであり、測定対象である空気圧を受けるピストン(不図示)と、当該ピストンで受けた圧力を弾性的に受けて変位(例えば圧縮量)に変換する圧縮バネ(不図示)と、圧縮バネの変形量を測定値として表示する表示部102dと、を備える。もちろん、圧力測定部102の測定原理としては、バネ等を用いる機械式のものに限らず、ブルドン管式やデジタル式の圧力測定ユニットを採用することも可能である。
【0019】
圧力測定部102は、チャック106、ホース105および後述の空気流通路APを介してタイヤ側から伝達されるタイヤの空気圧を測る。図1および図2に示すように、本実施の形態による圧力ゲージ1の測定可能な圧力の範囲は、例えば、下限値0kPaから上限値1200kPaまでの範囲となっている。これは、本実施の形態による圧力ゲージ1は、1200kPaまでの圧力を測定可能な仕様となっていることを示す。圧力測定部102による圧力測定可能範囲は、測定条件に応じて任意に設定可能である。
【0020】
プラグ103は、不図示のエアレギュレータを介して圧縮空気供給源と連通している。エアレギュレータは、設定値に基づいて、圧縮空気供給源から供給される圧縮空気を減圧してプラグ103へ向けて出力する。
【0021】
図3図6は、ゲージ本体101の主弁101vおよび主弁開閉機構104付近の詳細構成およびその動作を示す部分断面図である。図3に示すように、主弁開閉機構104は、例えば、ハンドル部104h、圧縮バネE1、押圧ロッド104n、パッキン104np1およびパッキン104np2を備えている。
【0022】
ハンドル部104hは、ゲージ本体101の外側面に、その一端104heで所定の支点P1を中心に回転可能に支持されている。主弁開閉機構104のその他の部位(圧縮バネE1、押圧ロッド104n、パッキン104np1およびパッキン104np2)は、ゲージ本体101内に配置されており、ハンドル部104hと主弁開閉機構104のその他の部位とが連動して、全体として、主弁開閉機構104としての機能を実現する。
【0023】
図3に示すように、ハンドル部104hは、後述の主弁101vを付勢する圧縮バネE1の矢印Q方向へ向かう弾性力の作用により開状態(図2および図3に示す状態)が通常位置となっており、操作者がグリップ部101gおよびハンドル部104を握ることで操作力Fを加えた際に閉位置へ向けて矢印U方向に回転する(図4)。
【0024】
ホース105は、ゲージ本体101に形成されている空気流通路APのタイヤ側端部APtとチャック106とを連通させる空気流通管である。
【0025】
チャック106は、例えば、いわゆるクリップ式の構造を採用することができ、充填対象であるタイヤのバルブを挟むことで、当該バルブと接続され、当該タイヤ内部と空気流通路APとが連通した状態で固定される。
【0026】
<内部構成>
圧力ゲージ1は、空気流通路AP、主弁101v、逆止弁101z、主弁開閉機構104の一部、をその内部に備える。
【0027】
空気流通路APは、圧縮空気供給源から伝達される圧縮空気を、充填対象であるタイヤへ向けて導く通気路である。本実施の形態では、ゲージ本体101におけるプラグ側端部APpからタイヤ側端部APtへ向かう通気路として形成されている(図2)。空気流通路APは、主弁101vを境に、圧縮空気供給側であるグリップ部101g内に形成された第1の空気流通路AP1と、主弁101vよりも測定対象であるタイヤ側(すなわち、主弁101vに対して第1の空気流通路AP1とは反対側)に位置する第2の空気流通路AP2と、を有している。なお、空気流通路APにおける主弁101vよりもプラグ側端部APp側の第1の空気流通路AP1は、その大部分がグリップ部101gの内側に形成されている。第1の空気流通路AP2は、ガイド孔Hの内部空間を経由して圧力測定部102へと連通している。
【0028】
主弁101vは、空気流通路APに設けられ、圧縮バネE2によって「閉位置」に弾性的に付勢されており、タイヤ側から空気流通路APを介して伝達される空気圧が所定圧力値以上であるときに該空気圧により押圧されて矢印K方向へ移動し、「開位置」へと退避する。
【0029】
ここで、「閉位置」とは、空気流通路APにおける、「主弁101vよりもタイヤ側」と「主弁101vよりも圧縮空気供給源側」との間での空気の流通を遮断する位置であり(後述の図6に示す位置)、「開位置」とは、空気流通路APにおける、「主弁101vよりもタイヤ側」の空気流通路APと「主弁101vよりも圧縮空気供給源側」との間での空気の移動を許容する位置である(後述の図4および5に示す位置)。
【0030】
なお、ここでの閉位置には、物理的に完全に空気流通路APを遮断する場合に限らず、圧力測定部102による測定精度に許容できない誤差が生じない限り、わずかに圧縮空気が通過できる程度の漏れのある遮断状況も含み得る。また、ここでの開位置とは、結果として空気流通路APにおける、「主弁101vよりもタイヤ側」の空気流通路APと「主弁101vよりも圧縮空気供給源側」との間での空気の流通が許容されていればよく、主弁101vが完全に空気流通路APから退避していなくともよい。
【0031】
なお、本実施の形態では、「所定圧力値」は、圧力測定部102に設定されている測定可能圧力範囲(例えば、図1および図2に示す例では、0kPa~1200kPa)の上限値(つまり、1200kPa)よりも低くなるように設定されている。具体的には、「所定圧力値」は、例えば200kPaに設定することができる。これは、圧縮バネE2の弾性力が8.5Nであることを意味する。つまり、本実施の形態では、操作者がハンドル部104hを握っていない状態で、且つプラグ103に圧縮空気供給源が接続されていない状態で、タイヤ空気圧を測るために圧力ゲージ1のチャック106をタイヤのバルブに接続した際に、そのタイヤ空気圧が測定可能範囲である1200kPa以下であって200kPaを超えるならば、主弁101vは開位置へ向けて退避する(図3に示す矢印K方向へ移動する)。
【0032】
上記の圧力測定部102に設定されている測定可能圧力範囲の上限値1200kPaは、例えば大型車両向けの充填機能付圧力ゲージに採用することができるが、例えば普通車両向けの充填機能付圧力ゲージに採用されることが多い圧力測定部の測定可能圧力範囲の上限値は600kPaであり、この場合の「所定圧力値」は600kPaよりも低く設定されることになる。
【0033】
また、本実施形態での「所定圧力値」は、本実施の形態による圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最大値よりも低く設定してもよい。この場合、本実施の形態による圧力ゲージで測定できなければならない測定対象であるタイヤ群の中で最も設定圧力値の高いタイヤをチャック106に接続し且つ圧力供給源からの圧力供給を受けてない状況のとき、主弁101vは当該タイヤの圧力によって開状態となり得る。
【0034】
例えば、本実施の形態による圧力ゲージの測定対象となる複数種類のタイヤが、大型車両用のタイヤを含む場合には、測定対象である大型車両用のタイヤ群の内の最も設定圧力値が高いものの圧力値よりも「所定圧力値」が低くなるように設定することができる。
【0035】
さらに、本実施形態での「所定圧力値」は、本実施の形態による圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最小値よりも低く設定してもよい。この場合、本実施の形態による圧力ゲージで測定できなければならない測定対象であるタイヤ群の中で最も設定圧力値の低いタイヤをチャック106に接続し且つ圧力供給源からの圧力供給を受けてない状況のとき、主弁101vは当該タイヤの圧力によって開状態となり得る。
【0036】
例えば、本実施の形態による圧力ゲージの測定対象となる複数種類のタイヤが、普通車両用のタイヤ群である場合には、測定対象である普通車両用のタイヤ群の内の最も設定圧力値が低いものの圧力値よりも「所定圧力値」が低くなるように設定することもできる。
【0037】
逆止弁101zは、空気流通路APにおける主弁101vと圧縮空気供給源との間に設けられ、空気流通路APにおける圧縮空気供給源から主弁101vに向かう空気の流れは許容し、空気流通路APにおける主弁101vから圧縮空気供給源に向かう空気の流れは遮断する。
【0038】
主弁開閉機構104は、操作者の操作力を受けることで、主弁101vを「開位置」から「閉位置」へ向けて付勢する弾性力に抗して、主弁101vを「開位置」へ向けて移動させ、空気流通路APにおける主弁101vからタイヤに向かう空気の流れを許容する。
【0039】
主弁開閉機構104におけるレバー部材104hは、操作者の握り動作による操作力Fを受けて、「押圧ロッド101nを付勢する圧縮バネE1」および「主弁101vを「開位置」から「閉位置」へ向けて付勢する圧縮バネE2」の弾性力の合力に抗して主弁101vを「開位置」へと移動させる。例えば、本実施の形態による圧力ゲージによれば、主弁101vを「開位置」から「閉位置」へ向けて付勢する弾性力に抗して、主弁101vを「開位置」へと移動させるための握り力は、例えば25N程度となる。
【0040】
なお、本実施の形態では、操作者による主弁開閉機構104への操作が「握り動作」であり、当該握り動作の操作力により主弁101vを開くレバー部材104hが例示されているが、これに限られるものではなく、操作者の手動操作による操作力によって主弁101vの開閉操作を行う構成であれば、操作者の操作によって主弁開閉機構104に加わる力の方向や、操作力を加える部材の形状および機構は適宜変更可能である。
【0041】
<主弁付近の動作説明>
図3は、本発明に係る圧力ゲージにおけるレバー部材が開状態であるときの各部の位置関係を示す部分拡大断面図である。
【0042】
押圧ロッド104nは長手状の部材であり、ゲージ本体101内に形成されたガイド孔H1内でその軸方向(図3における左右方向)にスライド可能に支持されている。また、押圧ロッド104nは、その一端(図3における左側端部)がゲージ本体101内に規制されている圧縮バネE1の他端(図3における右側端部)によって図3に示す矢印Q方向へと弾性的に付勢されている。ガイド孔H1内の空間は後述する主弁101vを収容する収容部101vwと連通している。押圧ロッド104nが圧縮バネE1によって図3に示す位置に付勢されているとき、押圧ロッド104nの中央付近の外周を包囲するように設けられるパッキン101np2はガイド孔H1のすり鉢状に傾斜した内周面に押圧されており、これにより主弁101v側の空気が、押圧ロッド104nの外周面とガイド孔H1の内周面との隙間を抜けてゲージ本体101の外側に漏れ出すことを防ぐ。
【0043】
ハンドル部104hに操作力が加えられておらず、パッキン101np2によってガイド孔Hの内部空間の気密性が保たれているとき、チャック106、ホース105および第1の空気流通路AP2を介してタイヤから伝達される圧力は、その気圧を維持したまま圧力測定部102へと伝達される(図3に示す点線矢印の伝達経路)。本実施の形態による圧力ゲージ1は、上述のようにして、ハンドル部104hに操作力が加えられていないときに、測定対象であるタイヤの空気圧の測定を可能としている。なお、図3に示す状態のとき、主弁101vにおける、押圧ロッド104n側の端部は、圧縮バネE2によって収容部101vwの内面に矢印Q方向へ向けて押し付けられ密着した「閉位置」に位置しており、収容部101vw内とガイド孔H1内との間での空気の流れを遮断している。すなわち、図3に示すようにハンド部104hに操作者の操作力が加わっておらず、測定対象であるタイヤの空気圧を圧力測定部102による測定を開始する際、主弁101vは圧縮バネE2の押圧力によって「閉位置」にある。
【0044】
図5は、本発明に係る圧力ゲージにおけるレバー部材が開状態から閉状態に移行する途中の状態であるときの各部の位置関係を示す部分拡大断面図である。操作者によって、ハンドル部104hに、押圧ロッド104nを付勢する圧縮バネE1および主弁101vを「開位置」から「閉位置」へ向けて付勢する圧縮バネE2の弾性力を超える操作力Fが加わると、主弁101vは矢印K方向に移動する。図5に示すように、操作者の操作力Fによって主弁101vは矢印K方向に移動すると、第2の空気流通路AP2と第1の空気流通路AP1は、ガイド孔H1および収容部101vwを介して連通し、空気の流通が可能となる。すなわち、図5に示す状態となることにより、圧縮空気供給源から、第1の空気流通路AP1、収容部101vw、ガイド孔H1、第2の空気流通路AP2およびホース105を介した、タイヤへの圧縮空気の供給が可能となる(図3に示す一点鎖線矢印の伝達経路)。また、図6は、操作者がハンドル部104hを手動で操作しない場合に、タイヤから伝達される空気圧によって主弁101vが矢印K方向に退避している状態を示す。図6に示す例では、主弁101vが退避して開位置へ向けて移動することにより、タイヤから伝達される空気圧は第2の空気流通路AP2、収容部101vwおよび第1の空気流通路AP1を経由して逆止弁101zへと伝達される。
【0045】
<逆止弁の説明>
図7図10は、逆止弁の一態様の具体的構造およびその動作について説明するための図である。具体的に、逆止弁101zは、空気流通路AP内を間仕切るとともに所定の径の貫通孔101zhを有する環状部101zwと、空気流通路AP内における環状部101zwよりも主弁101v側の空間内に収容され貫通孔101zhよりも大きい外径を有するゴム製の弾性体球101zbとを備える。具体的には、貫通孔101zhの内径は、弾性体球101zbの外径である6mmよりも小さい4.5mmに設定されている。
【0046】
本実施の形態では、弾性体球101zbとしてゴム球を採用しているが、これに限られるものではなく、他の材料を含め、逆止弁としての機能を実現することのできる様々な素材を採用可能である。例えば、弾性体球101zbの代わりに金属球を用い、環状部101zwにおける金属球と接する部位の表面に弾性を持たせてもよいし、当該表面に弾性を持たせずとも逆止弁としての機能が実現できるようであれば、金属球が接する表面も金属面とすることもできる。
【0047】
また、弾性体球101zbの外径は、具体的には、主弁101v側から弾性体球101zbに対して加わる圧力が、充填対象であるタイヤについて設定されている推奨圧力値の上限値を超える場合でも、貫通孔101zhを通過したり、圧縮空気供給源側からの圧縮空気の供給を阻害するほどに貫通孔101zhに嵌まり込んだりすることのないサイズに設定されている。
【0048】
また、本実施の形態による圧力ゲージは、規制部材E3を更に備える。規制部材E3は、例えば螺旋中心軸方向における両端付近の外径が小さい「両端円錐バネ」であり、空気流通路APにおける主弁101vと逆止弁101zとの間に設けられ、弾性体球101zbが環状部101zwから主弁101v側に所定距離以上離れないように移動を規制する。本実施の形態では、規制部材E3の螺旋中心軸を中心とする外周の一部が、主弁101v側に近づくにつれて内周径が小さくなるテーパ状の第1の空気流通路AP1の内周面に嵌まり込むことにより、規制部材E3の第1の空気流通路AP1に対する上記螺旋中心軸方向における主弁101v側に向かう位置ずれを防いでいる。
【0049】
上述の例では、規制部材E3として、螺旋中心軸方向における両端付近の外径が小さい「両端円錐バネ」を採用しているが、結果として弾性体球101zbが環状部101zwから主弁101v側に所定距離以上離れないように移動を規制することができる部材であれば、例えば螺旋中心軸方向における外径が略一定である通常の圧縮バネを採用することもできる。
【0050】
図8は、圧力ゲージに対してタイヤからも圧縮空気供給源からも圧力が伝達されていない状態における逆止弁の状態を示す部分拡大断面図である。同図に示すような圧力状態において、弾性体球101zbは、貫通孔101zhと規制部材E3との間の空間に移動自在に位置している。
【0051】
図9は、操作者がレバー部材104hを操作して主弁101vが開位置となり、空気流路AP1に圧縮空気供給源から圧縮空気が供給されているときの逆止弁101zの状態を示す部分拡大断面図である。同図に示すように、圧縮空気供給源から空気流路AP1に圧縮空気が供給されているとき、伝達される圧縮空気の圧力によって弾性体球101zbは主弁101v側へ向けて移動し、規制部材E3の端部によって当該端部の位置以上に主弁101v側へ移動することを規制されている。これにより、圧縮空気供給源から供給される圧縮空気によって弾性体球101zbが空気流路AP1内において主弁101v側に向かって移動し、結果として空気流路AP1の主弁101v付近を塞いでしまうといった不具合の発生を未然に防ぐことができる。また、弾性体球101zbが規制部材E3の端部に嵌まり込むことがないよう、規制部材E3の端部の内径は弾性体球101zbの外径よりも十分に小さく設定されている。
【0052】
図10は、操作者がレバー部材104hを操作していない状態で、本実施の形態による圧力ゲージのチャック106をタイヤのバルブに接続し、タイヤの空気圧のみによって主弁101vが開いている状態(図6に示す状態)であるときの逆止弁101zの状態を示す部分拡大断面図である。同図に示すように、第1の空気流通路AP1内にタイヤ内の圧力が伝達されたことにより、弾性体球101zbは環状部101zw側へと移動し、貫通孔101zhに押し付けられ、貫通孔101zhを塞ぐ。これにより、タイヤから圧力ゲージに伝達された圧力は、タイヤ圧力によって主弁101vが開位置となった状態でも第1の空気流通路AP1を介して外部に漏れ出すことがなく、圧力測定部102によるタイヤ空気圧の測定を安定的に行うことができる。
【0053】
圧力測定部によってタイヤ空気圧を測定するためには、空気流通路内における主弁よりもタイヤ側の圧力をタイヤ空気圧と同等に保つ必要があるが、もし、圧縮空気供給源がプラグ103に接続されておらず且つ上記逆止弁101zが設けられていない場合、タイヤ空気圧によって主弁が開状態となってしまうと、空気流通路内の圧力が主弁を通じて漏れてしまい、タイヤ空気圧の正確な測定ができない。そこで、上記逆止弁101zを設けていない従来の圧力ゲージでは、主弁を開位置から閉位置へ向けて付勢する弾性力は、充填対象であるタイヤについて設定されている推奨圧力値の上限値よりも高くすることで、タイヤ空気圧の測定時に、空気流通路内における主弁よりもタイヤ側の圧力をタイヤ空気圧と同等に保っている。
【0054】
一方、本実施の形態による圧力ゲージによれば、主弁101vを閉位置に付勢する弾性手段の弾性力を、圧力測定部102に設定されている測定可能圧力範囲の上限値による押圧力よりも弱く設定しているため、操作者が主弁開閉機構104を操作していない状態で空気流通路がタイヤに接続された場合、主弁101vはタイヤの空気圧によって自動的に開位置まで後退し、タイヤの空気圧は主弁101vよりも圧縮空気供給源側まで伝達される。しかしながら、主弁101vと圧縮空気供給源の間には逆止弁101zが設けられているため、空気流通路における主弁101vと逆止弁101zの間の空間はタイヤ空気圧と同等に保たれ、タイヤ空気圧の圧力測定部102による測定が可能となる。
【0055】
一方、圧縮空気供給源から出力される圧縮空気をタイヤに充填する場合、操作者は主弁開閉機構104を手動操作することによって、上述のように弱い弾性力によって付勢されている主弁101vを開位置へと退避させることで主弁101vを開位置とし、圧縮空気供給源からの圧力をタイヤ側に伝達することができ、主弁開閉機構104による主弁101vの開位置への移動に大きい力を必要としない。これより、例えば握力の弱い女性や高齢者でも使用しやすい圧力ゲージを提供することができる。
【0056】
なお、上述の例では、弾性体球101zbの移動を規制する規制部材E3として両端円錐バネを採用しているケースを例示したが、これに限られるものではなく、例えば図11図13に示すように、規制部材E3として空気の流通を許容する網状部材101znを採用した逆止弁101z’を構成することもできる。
【0057】
図11は、圧力ゲージに対してタイヤからも圧縮空気供給源からも圧力が伝達されていない状態における逆止弁の状態を示す部分拡大断面図である。同図に示すような圧力状態において、弾性体球101zbは、貫通孔101zhと網状部材101znとの間の空間に移動自在に位置している。
【0058】
図12は、操作者がレバー部材104hを操作して主弁101vが開位置となり、空気流路AP1に圧縮空気供給源から圧縮空気が供給されているときの逆止弁101z’の状態を示す部分拡大断面図である。同図に示すように、圧縮空気供給源から空気流路AP1に圧縮空気が供給されているとき、伝達される圧縮空気の圧力によって弾性体球101zbは主弁101v側へ向けて移動し、網状部材101znによって当該部材の位置以上に主弁101v側へ移動することを規制されている。これにより、圧縮空気供給源から供給される圧縮空気によって弾性体球101zbが空気流路AP1内において主弁101v側に向かって移動し、結果として空気流路AP1の主弁101v付近を塞いでしまうといった不具合の発生を未然に防ぐことができる。
【0059】
図13は、操作者がレバー部材104hを操作していない状態で、本実施の形態による圧力ゲージのチャック106をタイヤのバルブに接続し、タイヤの空気圧のみによって主弁101vが開いている状態(図6に示す状態)であるときの逆止弁101z’の状態を示す部分拡大断面図である。同図に示すように、第1の空気流通路AP1内にタイヤ内の圧力が伝達されたことにより、弾性体球101zbは環状部101zw側へと移動し、貫通孔101zhに押し付けられ、貫通孔101zhを塞ぐ。これにより、タイヤから圧力ゲージに伝達された圧力は、タイヤ圧力によって主弁101vが開位置となった状態でも第1の空気流通路AP1を介して外部に漏れ出すことがなく、圧力測定部102によるタイヤ空気圧の測定を安定的に行うことができる。
【0060】
なお、逆止弁は、図14に示すように、フラッパ式の逆止弁とすることもできる。図14は、フラッパ式の逆止弁101z”を備えるプラグ103”の断面図である。プラグ103は、ネジによってプラグ側端部APp(逆止弁装着部)に接続されている。具体的に、図14に示す逆止弁101z”は、空気流通路AP1の一部を形成する管路と、貫通孔101zhを有し該貫通孔101zhを介して空気供給源側の空気流通路と主弁101v側の空気流通路とを連通させる環状部101zwと、管路内における環状部101zwよりも主弁側101v側に設けられ、その一端101zpにおいて貫通孔101zhを塞ぐ閉位置(図14で実線で示されている位置)と貫通孔101zhを介した空気の流通を許容する開位置(図14において破線で示す位置)との間で転回可能に支持された板状部材101zvと、を備える。
【0061】
図14に示す構成においても、操作者がレバー部材104hを操作して主弁101vが開位置となり、空気流路AP1に圧縮空気供給源から圧縮空気が供給されているときには、伝達される圧縮空気の圧力によって板状部材101zvは開位置へ向けて開く。弁体としての板状部材101zvは、本実施の形態による圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最大値を受けても塑性変形もしくは破損することはなく、本実施の形態による圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最小値を受けた場合には逆止弁として機能する。
【0062】
一方、操作者がレバー部材104hを操作していない状態で、本実施の形態による圧力ゲージのチャック106をタイヤのバルブに接続し、タイヤの空気圧のみによって主弁101vが開いている状態(図6に示す状態)であるとき、板状部材101zvは閉位置となり、貫通孔101zhを塞ぐ。これにより、タイヤから圧力ゲージに伝達された圧力は、タイヤ圧力によって主弁101vが開位置となった状態でも第1の空気流通路AP1を介して外部に漏れ出すことがなく、圧力測定部102によるタイヤ空気圧の測定を安定的に行うことができる。もちろん、環状部101zwに設けられる貫通孔は必ずしも一つに限られるものではなく、複数設けられていてもよい。
【0063】
また、上述の実施の形態では、逆止弁がプラグに設けられている構成を例示したが、これに限られるものではなく、主弁101vから圧縮空気供給源まで間の空気流通路におけるどこかに設けられていればよく、例えばゲージ本体101に形成されている空気流通路APに設けてもよい。
【0064】
上述のように、本発明の実施の形態によれば、以下のような圧力ゲージを提供することができる。
(1)圧縮空気供給源から出力される圧縮空気を、充填対象であるタイヤへ向けて供給する空気流通路と、
前記空気流通路に設けられ、前記タイヤ側と前記圧縮空気供給源側との間での空気の流通を遮断する閉位置に弾性的に付勢されており、前記タイヤ側から前記空気流通路を介して伝達される空気圧が所定圧力値以上であるときに該空気圧により押圧されて前記タイヤ側の空気流通路と前記圧縮空気供給源側の空気流通路との間での空気の移動を許容する開位置へと退避する主弁と、
前記空気流通路を介して前記タイヤ側から伝達される前記タイヤの空気圧を測る圧力測定部と、
前記空気流通路における前記主弁と前記圧縮空気供給源との間に設けられ、前記空気流通路における前記圧縮空気供給源から前記主弁に向かう空気の流れは許容し、前記空気流通路における前記主弁から前記圧縮空気供給源に向かう空気の流れは遮断する逆止弁と、
操作者の操作力を受けることで、前記主弁を前記開位置から前記閉位置へ向けて付勢する弾性力に抗して、前記主弁を前記開位置へ向けて移動させ、前記空気流通路における前記主弁から前記タイヤに向かう空気の流れを許容する主弁開閉機構と、を備える圧力ゲージであって、
前記所定圧力値は、前記圧力測定部に設定されている測定可能圧力範囲の上限値よりも低いことを特徴とする圧力ゲージ。
(2)前記所定圧力値は、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最大値よりも低いことを特徴とする(1)に記載の圧力ゲージ。
(3)前記所定圧力値は、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最小値よりも低いことを特徴とする(1)に記載の圧力ゲージ。
(4)前記主弁開閉機構は、前記操作者の握り動作による操作力を受けて、前記主弁を前記開位置から前記閉位置へ向けて付勢する弾性力に抗して前記主弁を前記開位置へと移動させるレバー部材を備えることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の圧力ゲージ。
(5)前記逆止弁は、前記管路の内径よりも狭い貫通孔を有し該貫通孔を介して前記空気供給源側の空気流通路と前記主弁側の空気流通路とを連通させる環状部と、前記空気流通路内における前記環状部よりも前記主弁側に設けられ前記貫通孔よりも大きい外径を有する弾性体球と、を備えることを特徴とする(1)に記載の圧力ゲージ。
(6)前記空気流通路における前記主弁と前記逆止弁との間に設けられ、前記弾性体球が前記環状部から前記主弁側に所定距離以上離れないように移動を規制する規制部材をさらに備えることを特徴とする(5)に記載の圧力ゲージ。
(7)前記逆止弁は、フラッパ式の逆止弁であり、前記弁体は、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最大値を受けても塑性変形せず、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最小値を受けた場合でも弁体として機能することを特徴とする(1)に記載の圧力ゲージ。
【0065】
上述のように、本発明の実施の形態によれば、以下のような圧力ゲージを提供することができる。
(8)圧縮空気供給源から出力される圧縮空気を、充填対象であるタイヤへ向けて供給する空気流通路と、
前記空気流通路に設けられ、前記タイヤ側と前記圧縮空気供給源側との間での空気の流通を遮断する閉位置に弾性的に付勢されており、前記タイヤ側から前記空気流通路を介して伝達される空気圧が所定圧力値以上であるときに該空気圧により押圧されて前記タイヤ側の空気流通路と前記圧縮空気供給源側の空気流通路との間での空気の移動を許容する開位置へと退避する主弁と、
前記空気流通路を介して前記タイヤ側から伝達される前記タイヤの空気圧を測る圧力測定部と、
前記空気流通路における前記主弁と前記圧縮空気供給源との間に設けられ、前記空気流通路における前記圧縮空気供給源から前記主弁に向かう空気の流れは許容し、前記空気流通路における前記主弁から前記圧縮空気供給源に向かう空気の流れは遮断する逆止弁を装着するための逆止弁装着部と、
操作者の操作力を受けることで、前記主弁を前記開位置から前記閉位置へ向けて付勢する弾性力に抗して、前記主弁を前記開位置へ向けて移動させ、前記空気流通路における前記主弁から前記タイヤに向かう空気の流れを許容する主弁開閉機構と、を備える圧力ゲージであって、
前記所定圧力値は、前記圧力測定部に設定されている測定可能圧力範囲の上限値よりも低いことを特徴とする圧力ゲージ。
(9)前記所定圧力値は、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最大値よりも低いことを特徴とする(8)に記載の圧力ゲージ。
(10)前記所定圧力値は、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最小値よりも低いことを特徴とする(8)に記載の圧力ゲージ。
(11)前記主弁開閉機構は、前記操作者の握り動作による操作力を受けて、前記主弁を前記開位置から前記閉位置へ向けて付勢する弾性力に抗して前記主弁を前記開位置へと移動させるレバー部材を備えることを特徴とする(8)~(10)のいずれかに記載の圧力ゲージ。
(12)前記逆止弁は、前記管路の内径よりも狭い貫通孔を有し該貫通孔を介して前記空気供給源側の空気流通路と前記主弁側の空気流通路とを連通させる環状部と、前記空気流通路内における前記環状部よりも前記主弁側に設けられ前記貫通孔よりも大きい外径を有する弾性体球と、を備えることを特徴とする(8)に記載の圧力ゲージ。
(13)前記空気流通路における前記主弁と前記逆止弁との間に設けられ、前記弾性体球が前記環状部から前記主弁側に所定距離以上離れないように移動を規制する規制部材をさらに備えることを特徴とする(12)に記載の圧力ゲージ。
(14)前記逆止弁は、フラッパ式の逆止弁であり、前記弁体は、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最大値を受けても塑性変形せず、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最小値を受けた場合でも弁体として機能することを特徴とする(8)に記載の圧力ゲージ。
【0066】
上述のように、本発明の実施の形態によれば、以下のような逆止弁を提供することができる。
(15)圧縮空気供給源から出力される圧縮空気を、充填対象であるタイヤへ向けて供給する空気流通路と、前記空気流通路に設けられ、前記タイヤ側と前記圧縮空気供給源側との間での空気の流通を遮断する閉位置に弾性的に付勢されており、前記タイヤ側から前記空気流通路を介して伝達される空気圧が所定圧力値以上であるときに該空気圧により押圧されて前記タイヤ側の空気流通路と前記圧縮空気供給源側の空気流通路との間での空気の移動を許容する開位置へと退避する主弁と、前記空気流通路を介して前記タイヤ側から伝達される前記タイヤの空気圧を測る圧力測定部と、操作者の操作力を受けることで、前記主弁を前記開位置から前記閉位置へ向けて付勢する弾性力に抗して、前記主弁を前記開位置へ向けて移動させ、前記空気流通路における前記主弁から前記タイヤに向かう空気の流れを許容する主弁開閉機構とを備え、前記所定圧力値が、前記圧力測定部に設定されている測定可能圧力範囲の上限値よりも低い圧力ゲージの前記空気流通路における前記主弁と前記圧縮空気供給源との間に設けられる逆止弁であって、
一端の開口から他端の開口への空気の流通を可能とする管路を形成する管状部と、
前記管路における前記圧縮空気供給源から前記主弁に向かう空気の流れは許容し、前記管路における前記主弁から前記圧縮空気供給源に向かう空気の流れは遮断する弁体と、を備える逆止弁。
(16)前記所定圧力値は、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最大値よりも低いことを特徴とする(15)に記載の逆止弁。
(17)前記所定圧力値は、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最小値よりも低いことを特徴とする(15)に記載の逆止弁。
(18)前記主弁開閉機構は、前記操作者の握り動作による操作力を受けて、前記主弁を前記開位置から前記閉位置へ向けて付勢する弾性力に抗して前記主弁を前記開位置へと移動させるレバー部材を備えることを特徴とする(15)~(17)のいずれかに記載の逆止弁。
(19)前記逆止弁は、前記管路の内径よりも狭い貫通孔を有し該貫通孔を介して前記空気供給源側の空気流通路と前記主弁側の空気流通路とを連通させる環状部と、前記空気流通路内における前記環状部よりも前記主弁側に設けられ前記貫通孔よりも大きい外径を有する弾性体球と、を備えることを特徴とする(15)に記載の逆止弁。
(20)前記圧力ゲージは、前記空気流通路における前記主弁と前記逆止弁との間に設けられ、前記弾性体球が前記環状部から前記主弁側に所定距離以上離れないように移動を規制する規制部材をさらに備えることを特徴とする(19)に記載の逆止弁。
(21)前記逆止弁は、平板状の弁体を有するフラッパ式の逆止弁であり、前記弁体は、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最大値を受けても塑性変形せず、前記圧力ゲージが測定対象とする複数種類のタイヤそれぞれに設定されている適正圧力値の内の最小値を受けた場合でも弁体として機能することを特徴とする(15)に記載の逆止弁。
【0067】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0068】
1 圧力ゲージ、101 ゲージ本体、102 圧力測定部、103 プラグ、104 主弁開閉機構、105 ホース、106 チャック。
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