(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】駆動伝達ユニット
(51)【国際特許分類】
F16H 57/01 20120101AFI20230908BHJP
【FI】
F16H57/01
(21)【出願番号】P 2020113484
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】木曾田 雄星
(72)【発明者】
【氏名】法田 誠二
(72)【発明者】
【氏名】松浦 浩二
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-298139(JP,A)
【文献】特開2007-190968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両に搭載されて、駆動源からの動力を走行装置に伝達する駆動伝達ユニットであって、
ケースと、
前記ケース内に収容されて、相対的に高速で回転する第1ギヤおよび相対的に低速で回転する第2ギヤと、を含み、
前記ケースには、前記第1ギヤが収容される空間と前記第2ギヤが収容される空間とを仕切る仕切壁が形成されている、駆動伝達ユニット。
【請求項2】
前記第1ギヤは、前記駆動源からの動力の入力時に常に回転し、
前記第2ギヤは、前記駆動源からの動力の入力時に回転/停止される、請求項1に記載の駆動伝達ユニット。
【請求項3】
作業車両に搭載されて、駆動源からの動力を走行装置に伝達する駆動伝達ユニットであって、
ケースと、
前記ケース内に収容されて、前記駆動源からの動力の入力時に常に回転する第1ギヤおよび前記駆動源からの動力の入力時に回転/停止される第2ギヤと、を含み、
前記ケースには、前記第1ギヤが収容される空間と前記第2ギヤが収容される空間とを仕切る仕切壁が形成されている、駆動伝達ユニット。
【請求項4】
前記ケース内に収容されて、動力を変速する静油圧式無段変速機、をさらに含み、
前記第1ギヤは、前記駆動源からの動力を前記静油圧式無段変速機に伝達する前段ギヤであり、
前記第2ギヤは、前記静油圧式無段変速機から出力される動力を前記走行装置に伝達する後段ギヤである、請求項2または3に記載の駆動伝達ユニット。
【請求項5】
前記第1ギヤが収容される空間は、前記第2ギヤが収容される空間の上側に設定されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の駆動伝達ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインなどの作業車両の駆動伝達ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインなどの作業車両には、エンジンの動力を変速するために、HST(Hydro Static Transmission:静油圧式無段変速機)を搭載したものがある。
【0003】
HSTは、油圧ポンプおよび油圧モータを備え、油圧ポンプと油圧モータとの間で作動油が循環する閉回路を有している。HSTでは、エンジンの動力で油圧ポンプが駆動され、油圧ポンプが吐出する油により油圧モータが駆動される。そして、HSTの油圧モータの動力がギヤを含む動力伝達機構を介してそれぞれ左右のクローラに伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
HSTならびに動力伝達機構は、ケース内に収容されており、ケース内には、潤滑のためのオイルが入っている。そのため、ケース内で高速回転するギヤがオイルに浸かるオイルバスの状態になると、ギヤの撹拌抵抗による発熱で油温が上昇する。発熱量がオイルクーラによるオイルの冷却容量を超えた場合、油温が上昇し続け、シールの破損やギヤ軸の寿命低下に繋がるおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、ケース内の油温の上昇を抑制できる、駆動伝達ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明の一の局面に係る駆動伝達ユニットは、作業車両に搭載されて、駆動源からの動力を走行装置に伝達する駆動伝達ユニットであって、ケースと、ケース内に収容されて、相対的に高速で回転する第1ギヤおよび相対的に低速で回転する第2ギヤとを含み、ケースには、第1ギヤが収容される空間と第2ギヤが収容される空間とを仕切る仕切壁が形成されている。
【0008】
この構成によれば、ケース内において、仕切壁により、相対的に高速で回転する第1ギヤが収容される空間と相対的に低速で回転する第2ギヤが収容される空間とが仕切られている。そのため、第1ギヤの高速回転により熱が発生しても、その熱が第2ギヤが収容されている空間に伝わることを抑制できる。その結果、ケース内の油温の上昇を抑制することができる。
【0009】
第1ギヤは、駆動源からの動力の入力時に常に回転するギヤであり、第2ギヤは、駆動源からの動力の入力時に回転/停止されるギヤであってもよい。
【0010】
また、本発明の他の局面に係る駆動伝達ユニットは、作業車両に搭載されて、駆動源からの動力を走行装置に伝達する駆動伝達ユニットであって、ケースと、ケース内に収容されて、駆動源からの動力の入力時に常に回転する第1ギヤおよび駆動源からの動力の入力時に回転/停止される第2ギヤとを含み、ケースには、第1ギヤが収容される空間と第2ギヤが収容される空間とを仕切る仕切壁が形成されている。
【0011】
この構成によれば、ケース内において、仕切壁により、駆動源からの動力の入力時に常に回転する第1ギヤが収容される空間と回転/停止する第2ギヤが収容される空間とが仕切られている。そのため、第1ギヤが長時間連続して回転することにより熱が発生しても、その熱が第2ギヤが収容されている空間に伝わることを抑制できる。その結果、ケース内の油温の上昇を抑制することができる。
【0012】
第1ギヤは、駆動源からの動力を静油圧式無段変速機に伝達する前段ギヤであり、第2ギヤは、静油圧式無段変速機から出力される動力を走行装置に伝達する後段ギヤであってもよい。
【0013】
第1ギヤが収容される空間は、第2ギヤが収容される空間の上側に設定されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、第1ギヤの収容空間は、第2ギヤの収容空間よりも高温になりやすいので、第1ギヤの収容空間が第2ギヤの収容空間の上側に設定されることにより、第1ギヤの収容空間から第2ギヤの収容空間への熱の伝播を一層抑制することができる。
【0015】
また、第1ギヤの収容空間から第2ギヤの収容空間にオイルが抜けやすいので、第1ギヤの収容空間にオイルが溜まらず、第1ギヤの収容空間におけるオイルの量が潤滑に必要な程度の量となる。そのため、第1ギヤの収容空間内の熱量を低く抑えることができ、ケース内の油温の上昇を効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ケース内の油温の上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る駆動伝達ユニットが備えられるコンバインの右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0019】
<コンバインの全体構成>
図1は、コンバイン1の右側面図である。
【0020】
コンバイン1は、圃場を走行しながら穀稈の刈り取りおよび穀稈からの脱穀を行う収穫機の一例である。コンバイン1は、圃場などの不整地を走破する能力を有する走行装置として、左右一対のクローラ2を採用しており、その左右一対のクローラ2に支持される機体3には、キャビン4およびグレンタンク5が設けられている。
【0021】
キャビン4は、クローラ2の前端部上に配置されている。キャビン4は、その内部に運転者が搭乗する空間を提供し、その空間内には、たとえば、運転者が着座する運転席や操作レバーおよび操作ペダルなどの操作部材が配置されている。キャビン4の右側面には、開閉可能なドア6が設けられており、運転者は、ドア6を開いて、キャビン4内に乗り込むことができる。
【0022】
グレンタンク5は、クローラ2上でキャビン4の後方に配置されている。
【0023】
また、コンバイン1の機体3には、刈取装置7および脱穀装置(図示せず)が設けられている。刈取装置7は、クローラ2の前側に配置されており、コンバイン1の前進に伴って、圃場に植立されている穀稈を刈り取る。脱穀装置は、グレンタンク5の左側に配置されており、刈取装置7に刈り取られた穀稈の株元側を脱穀フィードチェーンによって後側に搬送し、穀稈の穂先側を扱室に供給して脱穀する。そして、穀稈から外れた穀粒が脱穀装置からグレンタンク5に搬送されて、グレンタンク5に穀粒が貯留される。グレンタンク5には、アンローダ8が接続されており、グレンタンク5に貯留された穀粒は、アンローダ8により搬出して機外に排出することができる。
【0024】
<駆動伝達ユニット>
図2は、本発明の一実施形態に係る駆動伝達ユニット13の油圧回路図である。
図3は、駆動伝達ユニット13の断面図である。
【0025】
コンバイン1は、エンジン11の動力を左右のクローラ2に伝達する駆動伝達ユニット13を備えている。
【0026】
駆動伝達ユニット13には、
図2に示されるように、ユニットプーリ14が設けられている。ユニットプーリ14には、無端状のベルト15が巻き掛けられている。ベルト15は、エンジン11の出力軸16に固定されたエンジンプーリ17にも巻き掛けられている。これにより、エンジン11の動力は、エンジンプーリ17およびベルト15を介してユニットプーリ14に伝達され、ユニットプーリ14およびユニットプーリ14を相対回転不能に支持する入力軸18を回転させる。
【0027】
入力軸18の回転は、チャージポンプ21のポンプ軸22に伝達される。チャージポンプ21は、固定容量型の油圧ポンプであり、ポンプ軸22の回転により、チャージ油路23にオイルを送出する。
【0028】
チャージ油路23には、フィルタ24が介装されている。チャージポンプ21からチャージ油路23に送出されるオイルは、フィルタ24を通過して濾過された後、駆動伝達ユニット13の各部に供給される。また、チャージ油路23には、チャージリリーフバルブ25が接続されている。チャージリリーフバルブ25の機能により、チャージ油路23の油圧が所定のチャージ圧に維持される。
【0029】
駆動伝達ユニット13には、左側HST(Hydro Static Transmission:静油圧式変速機)31Lおよび右側HST31Rを備えている。
【0030】
左側HST31Lは、油圧ポンプ41Lと油圧モータ42Lとの間で作動油が循環するように、油圧ポンプ41Lと油圧モータ42Lとを第1油路43Lおよび第2油路44Lで接続した閉回路の構成を有している。第1油路43Lは、油圧ポンプ41Lの第1ポート45Lと油圧モータ42Lの第1ポート46Lとに接続されている。第2油路44Lは、油圧ポンプ41Lの第2ポート47Lと油圧モータ42Lの第2ポート48Lとに接続されている。
【0031】
また、第1油路43Lは、第1チェックバルブ51Lを介してチャージ油路23に接続されている。第2油路44Lは、第2チェックバルブ52Lを介してチャージ油路23に接続されている。第1油路43Lの油圧がチャージ油路23の油圧、つまりチャージ圧よりも低くなると、第1チェックバルブ51Lが開成して、チャージ油路23から第1チェックバルブ51Lを介して第1油路43Lに作動油が供給される。また、第2油路44Lの油圧がチャージ圧よりも低くなると、第2チェックバルブ52Lが開成して、チャージ油路23から第2チェックバルブ52Lを介して第2油路44Lに作動油が供給される。これにより、第1油路43Lおよび第2油路44Lの油圧がチャージ圧以上に維持される。
【0032】
油圧ポンプ41Lは、可変容量型の斜板式ピストンポンプであり、シリンダブロック、シリンダブロック内に放射状に配置された複数のピストンおよびピストンが摺動するポンプ斜板などを備えている。駆動伝達ユニット13には、
図3に示されるように、その外殻をなすケース71の上部に、チャージポンプ21のポンプ軸22に固定されたポンプ軸ギヤ72、ポンプ軸ギヤ72と噛合するアイドルギヤ73およびアイドルギヤ73と噛合するポンプギヤ74が設けられている。油圧ポンプ41Lには、入力軸18からの動力がポンプ軸ギヤ72、アイドルギヤ73およびポンプギヤ74からなるギヤ列75を介して伝達され、シリンダブロックは、その動力により回転する。
【0033】
油圧ポンプ41Lのポンプ斜板の傾斜角度を変更するため、電子制御式のサーボピストン53Lが設けられている。サーボピストン53Lは、前進側の圧力制御弁54Lから油圧が供給される第1圧力室55Lと、後進側の圧力制御弁56Lから油圧が供給される第2圧力室57Lとを有している。また、サーボピストン53Lは、第1圧力室55Lと第2圧力室57Lとの差圧により直動するロッド58Lを有しており、このロッド58Lの直動により、ポンプ斜板の傾斜角度が変更される。
【0034】
油圧ポンプ41Lの回転軸線(シリンダブロックの回転軸線)に対するポンプ斜板の傾斜角度が大きいほど、油圧ポンプ41Lからの作動油の吐出量が少なくなり、ポンプ斜板の傾斜角度が90°であるとき、油圧ポンプ41Lからの作動油の吐出が停止する。また、ポンプ斜板の傾斜角度が90°を超えると(傾きが逆転すると)、傾斜角度が90°未満のときと油圧ポンプ41Lからの作動油の吐出方向が逆転する。
【0035】
油圧モータ42Lは、可変容量型の斜板式ピストンモータであり、モータ回転軸61L、モータ回転軸61Lと一体に回転するシリンダブロック、シリンダブロック内に放射状に配置された複数のピストンおよびピストンが押しつけられるモータ斜板などを備えている。油圧モータ42Lのモータ回転軸61Lの軸線に対するモータ斜板の傾斜角度が一定である場合、油圧モータ42Lに供給される作動油の量、つまり油圧ポンプ41Lから吐出される作動油の量が多いほど、モータ回転軸61Lの回転数が増加する。
【0036】
また、油圧モータ42Lに供給される作動油の量が一定である場合、モータ斜板の傾斜角度が大きいほど、モータ回転軸61Lの回転数が低下する。油圧モータ42Lのモータ斜板の傾斜角度を変更するため、副変速ピストン62Lが設けられている。副変速ピストン62Lには、低速切替弁63および高速切替弁64が接続されている。低速切替弁63がオンにされ、高速切替弁64がオフにされて、低速切替弁63から副変速ピストン62Lに油圧が供給されることにより、副変速ピストン62Lのロッド65Lが低速位置に位置し、モータ斜板の傾斜角度が相対的に大きくなる。一方、低速切替弁63がオフにされ、高速切替弁64がオンにされて、高速切替弁64から副変速ピストン62Lに油圧が供給されることにより、副変速ピストン62Lのロッド65Lが高速位置に位置し、モータ斜板の傾斜角度が相対的に小さくなる。したがって、低速切替弁63および高速切替弁64のオン/オフの切り替えにより、モータ回転軸61Lの回転数が相対的に大きくなる高速段と、モータ回転軸61Lの回転数が相対的に小さくなる低速段との2段に切り替えることができる。
【0037】
右側HST31Rは、左側HST31Lと同様の構成であるから、右側HST31Rについて、左側HST31Lの各部に相当する部分に、それらの各部に付されている参照符号の末尾「L」を「R」に変更した参照符号を付して、その説明を省略する。なお、低速切替弁63および高速切替弁64については、左側HST31Lの副変速ピストン62Lと右側HST31Rの副変速ピストン62Rとに共用されている。
【0038】
駆動伝達ユニット13には、
図3に示されるように、ケース71の下部に、左側HST31Lのモータ回転軸61Lに固定されたモータ出力ギヤ81、モータ出力ギヤ81と噛合する第1アイドルギヤ82、第1アイドルギヤ82と噛合する第2アイドルギヤ83、第2アイドルギヤ83と噛合する第3アイドルギヤ84、第3アイドルギヤ84と噛合する車軸ギヤ85およびモータ出力ギヤ81と噛合する車速検出用ギヤ86からなるギヤ列87が設けられている。
【0039】
左側HST31Lのモータ回転軸61Lの動力(回転)は、モータ出力ギヤ81、第1アイドルギヤ82、第2アイドルギヤ83、第3アイドルギヤ84および車軸ギヤ85を介して、左のクローラ2の車軸88に減速して伝達される。これにより、左のクローラ2が駆動される。また、右側HST31Rのモータ回転軸61Rの動力(回転)は、左側と同様に、右のクローラ2の車軸に伝達される。これにより、右のクローラ2が駆動される。
【0040】
そして、ケース71内には、上部の第1ギヤ収容空間91とその下側の第2ギヤ収容空間92とを仕切る仕切壁93が形成されている。
【0041】
第1ギヤ収容空間91には、ポンプ軸ギヤ72、アイドルギヤ73およびポンプギヤ74からなるギヤ列75が収容されている。この第1ギヤ収容空間91に収容されるポンプ軸ギヤ72、アイドルギヤ73およびポンプギヤ74は、エンジン11の動力を左側HST31Lに伝達する前段ギヤであり、エンジン11の動力が駆動伝達ユニット13に入力されている状態で常に回転する。
【0042】
第2ギヤ収容空間92には、モータ出力ギヤ81、第1アイドルギヤ82、第2アイドルギヤ83、第3アイドルギヤ84、車軸ギヤ85および車速検出用ギヤ86からなるギヤ列87が収容されている。この第2ギヤ収容空間92に収容されるモータ出力ギヤ81、第1アイドルギヤ82、第2アイドルギヤ83、第3アイドルギヤ84および車軸ギヤ85は、左側HST31Lから出力される動力を左のクローラ2の車軸88に伝達する後段ギヤであり、車速検出用ギヤ86も含めて、エンジン11動力が駆動伝達ユニット13に入力されている状態で、コンバイン1の走行および旋回に応じて回転/停止する。モータ出力ギヤ81、第1アイドルギヤ82、第2アイドルギヤ83、第3アイドルギヤ84、車軸ギヤ85および車速検出用ギヤ86はいずれも、ポンプ軸ギヤ72、アイドルギヤ73およびポンプギヤ74より高速で回転する。
【0043】
また、図示されていないが、第2ギヤ収容空間92には、右側HST31Rのモータ回転軸61Rの動力を右のクローラ2の車軸に伝達するためのギヤ列が収容されている。このギヤ列は、モータ出力ギヤ81、第1アイドルギヤ82、第2アイドルギヤ83、第3アイドルギヤ84、車軸ギヤ85および車速検出用ギヤ86とそれぞれ同一軸線上に配置されたギヤを含む。
【0044】
<作用効果>
以上のように、ケース71内において、仕切壁93により、相対的に高速で回転するギヤ列75が収容される第1ギヤ収容空間91と相対的に低速で回転するギヤ列87が収容される第2ギヤ収容空間92とが仕切られている。そのため、ギヤ列75の長時間にわたる高速回転により熱が発生しても、その熱が第2ギヤ収容空間92に伝わることを抑制できる。その結果、ケース71内の油温の上昇を抑制することができる。
【0045】
また、ギヤ列75が収容される第1ギヤ収容空間91は、第2ギヤ収容空間92の上側に設定されていることにより、第1ギヤ収容空間91で発生する熱が第2ギヤ収容空間92に伝播するのを一層抑制することができる。
【0046】
また、第1ギヤ収容空間91から第2ギヤ収容空間92にオイルが抜けやすいので、第1ギヤ収容空間91にオイルが溜まらず、第1ギヤ収容空間91におけるオイルの量を潤滑に必要な程度の量とすることができる。そのため、第1ギヤ収容空間91内の熱量を低く抑えることができ、ケース71内の油温の上昇を効果的に抑制することができる。
【0047】
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することも可能である。
【0048】
たとえば、作業車両の一例として、作業装置としての刈取装置7および脱穀装置を備えるコンバイン1を取り上げたが、本発明は、人参や大根、枝豆、キャベツなどの野菜を収穫して搬送する収穫搬送装置を作業装置として備える収穫機、苗植付装置を作業装置として備える田植機、播種装置を作業装置として備える直播機、プラウを作業装置として備えるトラクタ、バケットを作業装置として備える建設作業車など、種々の作業車両に適用することができる。
【0049】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1:コンバイン(作業車両)
2:クローラ(走行装置)
13:駆動伝達ユニット
31L:左側HST(静油圧式無段変速機)
31R:右側HST(静油圧式無段変速機)
71:ケース
72:ポンプ軸ギヤ(第1ギヤ)
73:アイドルギヤ(第1ギヤ)
74:ポンプギヤ(第1ギヤ)
81:モータ出力ギヤ(第2ギヤ)
82:第1アイドルギヤ(第2ギヤ)
83:第2アイドルギヤ(第2ギヤ)
84:第3アイドルギヤ(第2ギヤ)
85:車軸ギヤ(第2ギヤ)
86:車速検出用ギヤ(第2ギヤ)
91:第1ギヤ収容空間
92:第2ギヤ収容空間
93:仕切壁