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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】衣類
(51)【国際特許分類】
   A41B 13/04 20060101AFI20230911BHJP
【FI】
A41B13/04
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019546094
(86)(22)【出願日】2017-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 GB2017053299
(87)【国際公開番号】W WO2018083474
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-10-07
(31)【優先権主張番号】1618569.6
(32)【優先日】2016-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516127813
【氏名又は名称】スプラッシュ アバウト インターナショナル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SPLASH ABOUT INTERNATIONAL LIMITED
【住所又は居所原語表記】Unit 3 Beels Road Stallingborough DN41 8DN Grimsby United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビーチ,レズリー,アン
(72)【発明者】
【氏名】チーズマン,ブリジット,エリザベス,マリア
(72)【発明者】
【氏名】スポフォース,バーナデット,メアリー
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第02507084(GB,A)
【文献】特開平09-217202(JP,A)
【文献】特開2000-096303(JP,A)
【文献】特開2009-097110(JP,A)
【文献】特開2011-226027(JP,A)
【文献】実開昭53-155423(JP,U)
【文献】特表2004-520861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に不透水性のパネルから形成され、使用中には着用者の腰と大腿部との間で体を覆う衣類であって、
1枚または2枚以上の材料パネルから形成される腰バンドであって、上端エッジ部と下端エッジ部とを有し、前記上端エッジ部が前記下端エッジ部より短く、前記下端エッジ部が前記衣類の残部の上端エッジ部に接合される腰バンドと、
隣接する湾曲エッジ部に沿って互いに接合される2枚の後パネルであって、各後パネルは、それぞれ、凸状の上端エッジ部を有している2枚の後パネルと、
各々が前記後パネルのそれぞれの側方エッジ部に接合された対向する両側の側方エッジ部を有する前パネルであって、凹状の上端エッジ部を有する前パネルと、
を備え、
前記衣類は、使用中には前記衣類の後部における前記腰バンドの上端エッジ部が前記衣類の前部における前記腰バンドの上端エッジ部より上方に延在して、前記着用者の腹側よりも背中側で前記衣類がより上方に延在するよう形成され、前記前パネルおよび前記後パネルの上端エッジ部は、前記衣類の残部の上端エッジ部を形成する、
衣類。
【請求項2】
前記衣類の後ろ側の上端エッジ部が使用時に前記着用者の尾骨より上方に延在するよう配置される、
請求項1に記載の衣類。
【請求項3】
前記衣類の後ろ側の上端エッジ部は、凸状である、
請求項1または2に記載の衣類。
【請求項4】
前記衣類の前側の上端エッジ部は、凹状である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項5】
前記腰バンドは、実質的に台形の形状を有する1枚または2枚以上の生地パネルから形成され、前記パネルのより短い平行な側部または前記パネルの各々のより短い平行な側部が、前記腰バンドの上端エッジ部を形成する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項6】
前記腰バンドは、弾性伸縮性を有する生地から形成される、
請求項1~5のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項7】
前記衣類の残部の前部における上端エッジ部は、凹状である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項8】
前記衣類の残部の後部における上端エッジ部は、凸状である、
請求項1~7のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項9】
前記2枚の後パネルは、互いに鏡面対称の後パネルであり、隣接および対向する湾曲エッジ部に沿って互いに接合される、
請求項1~8のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項10】
前記対向する湾曲エッジ部は、凹部および凸部の両方を有する、
請求項9に記載の衣類。
【請求項11】
前記後パネルの側方エッジ部にそれぞれ接合される対向する側方エッジ部を有する前パネルをさらに備える、
請求項1~10のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項12】
使用中には前記着用者の脚と脚の間に延在する股パネルをさらに備える、
請求項1~11のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項13】
前記股パネルは、前記後パネルのそれぞれの下側エッジ部と、前記前パネルの下側エッジ部と、に接合される、
請求項12に記載の衣類。
【請求項14】
前記腰バンドは、前記股パネルが接合される前記前パネルまたは前記後パネルの下側エッジ部上の任意の点と、前記腰バンドが接合される前記前パネルまたは前記後パネルの上端エッジ部上の任意の点と、の間の最短距離の少なくとも20%の距離だけ、前記衣類の残部の上端エッジ部から上方に延在する、
請求項13に記載の衣類。
【請求項15】
脚バンドをさらに備える、
請求項1~14のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項16】
前記脚バンドは、弾性伸縮性を有する、
請求項15に記載の衣類。
【請求項17】
脚開口部および/または腰開口部のそれぞれの内周に設けられ、使用中に前記着用者の体との間を封止するよう配置された封止体をさらに備える、
請求項1~16のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項18】
ブリーフまたは半ズボンまたはトランクスの形態を有する、
請求項1~17のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項19】
水泳用おむつである、
請求項1~18のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項20】
個人によるスイミングプールへの汚染を低減させる方法であって、
請求項1~19のいずれか1項に記載の衣類を提供するステップと、
前記スイミングプール内にいる間に前記個人が前記衣類を着用するステップと、
を備える、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣類に関し、より詳細には水着または水泳用おむつ(nappy、diaper)に関するが、これに限定さるものではない。
【背景技術】
【0002】
水泳用おむつは、泳ぐことを学ぶとき等に、水中の乳児またはとても幼い子どもが着用するものである。これは、糞便が漏れ出すことを最小限に抑え、これにより、水への汚染、特にスイミングプールへの汚染を最小限に抑えることができる。
【0003】
実際、安全且つ快適に着用することができる衣類を製造しながら、おむつと着用者との間の良好な封止を得ることは困難であり、現在の水泳用おむつは、糞便を封じ込めるのに100%有効ではない。その結果、糞便がスイミングプールの水中に流れ込むことがある。これは、望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明による実施形態は、この問題に対処するものであり、これらの実施形態の目的は、着用者が排泄した糞便がスイミングプールの水中に漏れ出すことを低減(または防止)することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、実質的に不透水性のパネルから形成され、使用中には着用者の腰と大腿部との間で体を覆う衣類が提供される。衣類は、1枚または2枚以上の生地パネルから形成される腰バンドを備える。腰バンドは、上端エッジ部と下端エッジ部とを有する。上端エッジ部は、下端エッジ部より短い。下端エッジ部は、衣類の残部の上端エッジ部に接合される。衣類は、隣接する湾曲エッジ部に沿って互いに接合される2枚の後パネルをさらに備える。衣類は、使用中には衣類の後部における腰バンドの上端エッジ部が衣類の前部における腰バンドの上端エッジ部より上方に延在して、着用者の腹側よりも背中側で衣類がより上方に延在するよう形成される。
【0006】
衣類の前側に対して後ろ側の高さを増加させると、衣類の前部が着用者にとって自然な屈曲点より下方に位置して、後部が着用者の尾骨の上、すなわち自然にできた腰の凹部の上に位置する。これは、衣類の前側が下がってしまう危険性と、衣類の後ろ側が着用者から離れてしまう危険性とを共に低減させて、衣類内から糞便が漏れ出す危険性を低減させる。
【0007】
下端エッジ部よりも上端エッジ部が短い腰バンドを提供すること、および隣接する湾曲エッジ部に沿って互いに接合された2枚のパネルから衣類の後部を構成することで、特に着用者の腰を覆う部分において、より良好なフィット感を提供することができる。これはまた、衣類内から糞便が漏れ出す危険性を低減させる。
【0008】
衣類の後ろ側の上端エッジ部は、凸状であってよい。衣類の前側の上端エッジ部は、凹状であってよい。衣類の上端エッジ部によって、その周囲になめらかな曲線が形成されてもよい。
【0009】
腰バンドは、実質的に一定の深さを有してもよい。腰バンドは、例えば生地等の材料からなる2枚または3枚以上のパネルから形成されてもよい。腰バンドを形成する1枚または2枚以上の生地パネルは、実質的に台形の形状を有してもよく、パネルのより短い平行な側部の一方または両方が、腰バンドの上端エッジ部を形成してもよい。
【0010】
腰バンドは、弾性伸縮性を有する生地から形成されてもよい。生地は、高伸縮性生地として知られるタイプのものであってもよい。トリコットニット生地や織布のように編み込まれた生地であってもよい。また、天然ゴムまたは例えばエラステイン(スパンデックス)を含む合成ゴムのような弾性繊維を所定の割合で含んでもよく、少なくとも20%または少なくとも25%の割合で弾性繊維を含んでもよい。残部は、天然繊維またはナイロンのような合成繊維であってもよい。
【0011】
衣類の残部の前部における上端エッジ部は、凹状であってよく、および/または衣類の残部の後部における上端エッジ部は、凸状であってよい。すなわち、衣類の上端エッジ部の最終的な形状は、腰バンドではなく、衣類の残部の上端エッジ部の形状から構成される。
【0012】
代替的に、衣類の上端エッジ部において所望の形状を構成するようにおよび/またはその構成に役立つように、腰バンドを形成することができる。すなわち、腰バンドは、凸状の上端エッジ部を有する後部および/または凹状の上端エッジ部を有する前部を備えてもよい。
【0013】
2枚の後パネルは、互いに対して鏡面対称であってよく、隣接および対向する湾曲エッジ部に沿って互いに接合されてもよい。対向する湾曲エッジ部は、凹部および凸部の両方をそれぞれ有してもよい。このように後パネルを形成することで、着用者の臀部の輪郭に対する衣類のフィット感をより向上させることができる。
【0014】
衣類は、後パネルの側方エッジ部にそれぞれ接合される対向する側方エッジ部を有する前パネルを備えてもよい。
【0015】
衣類は、使用中には着用者の脚と脚の間に延在する股パネルを備えてもよい。
【0016】
所望の全体形状を有するパネルを作製するために、前パネル、後パネルおよび股パネルは、単一のパネルからそれぞれ形成されてもよく、互いに接合された2枚または3枚以上のパネルから形成されてもよい。パネルは、弾性伸縮性を有する材料から形成されてもよい。パネルは、片面または両面に生地が積層されたシート材料から形成されてもよい。また、パネルは、腰バンドおよび/または脚バンドを形成する材料よりも高い弾性率を有する材料から形成されてもよい。
【0017】
股パネルは、各後パネルの下側エッジ部と、任意の前パネルの下側エッジ部とに接合されてもよい。
【0018】
衣類のこれらのパネルは、任意選択される適切な手段によって互いに接合されてもよい。適切な手段の1つに縫い付けがある。パネルは、隣接するエッジ部が互いに当接した状態で、偏平縫い(flat lock stitching)等を用いて互いに接合されてもよい。あるいは、衣類の内側に適切に配置された縫い目において接合されてもよい。接着または溶接等を利用した他の接合技術を用いることができることは言うまでもない。
【0019】
腰バンドは、股パネルが接合される前パネルまたは後パネルの下側エッジ部上の任意の点と、腰バンドが接合される前パネルまたは後パネルの上端エッジ部上の任意の点との間の最短距離の少なくとも10%、15%、20%、25%または30%の距離だけ、衣類の上端エッジ部から上方に延在してよい。腰バンドの深さが深い(幅が広い)ほど、使用中に糞便をより効果的に衣類内に封じ込めることができる。例えば、乳児または3歳未満の幼児が着用する衣類の腰バンドは、少なくとも5cm、6cm、7cmまたは8cmの深さを有することが好ましい。
【0020】
衣類は、脚バンドを備えてもよい。脚バンドは、弾性伸縮性を有してもよく、上述した腰バンドと同じ材料から形成されてもよい。
【0021】
脚開口部および/または腰開口部のそれぞれの内周に、使用中に着用者の体との間を封止するよう配置された封止体が設けられてもよい。封止体は、天然ゴム片、または合成ゴム片、またはシリコーンゴム片のような封止材料の片から形成されてもよい。
【0022】
衣類は、ブリーフ、または半ズボン、またはトランクス、または水着の形態を有してもよい。また、衣類は、水泳用おむつであってもよい。
【0023】
本発明の別の態様によれば、個人によるスイミングプールへの汚染を低減させる方法が提供される。この方法は、
- 上述したいずれかの任意選択の特徴を有するまたは有さない本発明の一態様による衣類を提供するステップと、
- スイミングプール内にいる間に個人が衣類を着用するステップと、
を備える。
【図面の簡単な説明】
【0024】
以下、本発明をより明確に理解するために、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を例として説明する。
図1】従来の水泳用おむつの正面図である。
図2図1のおむつの側面図である。
図3】本発明の一実施形態による水泳用おむつの正面図である。
図4図3の水泳用おむつの背面図である。
図5図3の水泳用おむつの側面図である。
図6図3の水泳用おむつを前方から見た斜視図である。
図7図3の水泳用おむつを後方から見た斜視図である。
図8図3の水泳用おむつの一方の後パネルを示す図である。
図9図3の水泳用おむつの他方の後パネルを示す図である。
図10図3の水泳用おむつの前パネルを示す図である。
図11図3の水泳用おむつの股パネルを示す図である。
図12図3の水泳用おむつの腰バンドの前パネルを示す図である。
図13図3の水泳用おむつの腰バンドの後パネルを示す図である。
図14図3の水泳用おむつの脚バンドを示す図である。
図15】本発明の別の実施形態による水泳用おむつの、図3に対応する図である。
図16図15の水泳用おむつの、図4に対応する図である。
図17図15の水泳用おむつの、図5に対応する図である。
図18図15の水泳用おむつの、図6に対応する図である。
図19図15の水泳用おむつの、図7に対応する図である。
図20図15の水泳用おむつの、図8に対応する図である。
図21図15の水泳用おむつの、図9に対応する図である。
図22図15の水泳用おむつの、図10に対応する図である。
図23図15の水泳用おむつの、図11に対応する図である。
図24図15の水泳用おむつの、図12に対応する図である。
図25図15の水泳用おむつの、図13に対応する図である。
図26図15の水泳用おむつの、図14に対応する図である。
図27】本発明のさらに別の実施形態による水泳用おむつの、図3に対応する図である。
図28図27の水泳用おむつの、図4に対応する図である。
図29図27の水泳用おむつの、図5に対応する図である。
図30図27の水泳用おむつの、図6に対応する図である。
図31図27の水泳用おむつの、図7に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の衣類の説明で用いられる「上」、「下」、「側方(側部)」、「内側」、「外側」、「前」および「後」の用語は、図示されている衣類の向き、すなわち直立した人が着用したときの衣類の向きに対応しているが、それに限定されるものではない。
【0026】
図1および図2を参照すると、従来の水泳用おむつの1タイプが示されている。これは、不透水性材料からなる実質的に同一の前パネルおよび後パネル1を有するブリーフの形態をとる。これらのパネルは、側方エッジ部および下端エッジ部2において内側の縫い目に沿って互いに縫い付けられて、腰開口部および脚開口部を形成する。伸縮性を有する腰バンドおよび脚バンド3が、腰開口部および脚開口部の周りに縫い付けられる。これらのバンド3は、着用者の腰および脚の周りとの間を封止して、着用者が排泄した糞便を衣類内に封じ込めることができる。しかしながら、実際には、腰開口部および脚開口部を介して衣類内から糞便が漏れ出す可能性がある。その理由の1つとして、着用者の動きに伴って腰バンドおよび脚バンドが着用者から離れ易いことが挙げられる。着用者の活動中に衣類が使用されるため、これは問題になる。
【0027】
以下、本発明の実施形態による衣類について説明する。この衣類は、泳いでいる乳児およびとても幼い子どもによって着用される。衣類は単体で着用されてもよく、適切なおむつライナーの上から着用されてもよい。また、衣類は、年長の子どもおよび便失禁を患っている大人によって使用され得る。
【0028】
図3図11は第1の実施形態を示す。図3図7は衣類を示し、図8図14は衣類を形成するパネルの外形形状を示す。
【0029】
これらの図を参照すると、衣類は、水泳用おむつであり、ブリーフの一般的な形態をとる。
【0030】
ブリーフの本体は、1枚の前パネル6と、2枚の後パネル7および8と、股パネル9とから形成される。これらのパネルは、すべて実質的に不透水性を有し、ポリエステルまたはナイロン地のような合成織布からなる2つの層の間に積層された約1mm厚のネオプレン層を含む。ネオプレン層を含むことで、生地は弾性伸縮性を有することができる。詳細については後述するが、パネルは、互いに接合されて腰開口部および脚開口部を有するブリーフを形成する。脚開口部は、腰開口部に対してそれぞれ約45度の角度を有して開口している。
【0031】
弾性伸縮性を有する腰バンド10,11および脚バンド12が、各開口部の周りに延在する。腰バンドおよび脚バンドは、所定の割合で弾性繊維を含む弾性伸縮性編布から形成される。本明細書に記載の一例において、生地は、約70%のナイロンと約30%のエラステイン(スパンデックス)を含む繊維から形成されたトリコットニット生地である。この生地は、ブリーフの本体のパネルを形成する生地より高いレベルの弾性を有する。
【0032】
前パネル6は、上端エッジ部と、下端エッジ部と、パネルの対向する側部において2つの側方エッジ部とを有する。パネルは、上端エッジ部と下端エッジ部との間に伸びる縦方向の中心線に関して対称である。上端エッジ部は、凹状であり、図1に示す従来の衣類より急勾配で湾曲している。対向する側方エッジ部は、概ね凸状であり、上端エッジ部に向けて互いに対してテーパされている。側方エッジ部は、略直角で上端エッジ部と交わる。下端エッジ部は、各側方エッジ部の底部から略直角にそれぞれ延在し、且つ略直角で中央に位置する実質的に直線状の部分とそれぞれ交わる2つの凹状曲線から形成される。
【0033】
2枚の後パネル7,8は、上端エッジ部と、下端エッジ部と、対向する外側および内側の側方エッジ部とをそれぞれ有し、互いに対して鏡面対称である。上端エッジ部および外側エッジ部は、凸状である。外側エッジ部は、前パネル6の外側エッジ部と実質的に同じ長さを有する。上端エッジ部は、鈍角で外側エッジ部と交わる。上端エッジ部の反対側の端部は、略直角で内側エッジ部と交わる。内側エッジ部において、上端エッジ部に隣接する部分は、わずかに凹状であり、長さ方向にわたって概ね完全な波の形状を有するように、凸状に変化する。内側エッジ部は、外側エッジ部より長い。下端エッジ部は、内側エッジ部と鈍角で交わる実質的に直線状の部分と、直線状の部分の反対側の端部から外側エッジ部の下端部まで延在する凹部とを有する。凹部は、鈍角で直線状の部分および外側エッジ部の両方と交わる。下端エッジ部から上端エッジ部までのパネルの高さは、パネルの外側エッジ部から内側エッジ部にかけて増加する。
【0034】
股パネル9は、凹状の側部と交わる凸状の前エッジ部および後エッジ部を有し、前エッジ部と後エッジ部との間に伸びる中心線に関して対称である。前エッジ部は、前パネル6の下側エッジ部の中央に位置する実質的に直線状の部分と同じ長さを有し、後エッジ部は、後パネル7または8の下側エッジ部の実質的に直線状の部分の長さに対して2倍の長さを有する。
【0035】
腰バンドは、実質的に同一の前パネル10および後パネル11から形成される。各パネルは、実質的に台形の形状を有し、実質的に平行な上側エッジ部および下側エッジ部を有する。上側エッジ部は、下側エッジ部より短い。各パネルは、平行な側部間において同じ高さを有し、本実施例では、約6cmの高さを有する。
【0036】
脚バンド10は、単一の細長い、概ね長方形の生地パネルからそれぞれ形成され、本実施例では、約4cmの幅を有する。
【0037】
衣類を形成するために、後パネル7,8の内側エッジ部のそれぞれの端部が互いに整列されて内側エッジ部が互いに縫い付けられ、各後パネルの外側エッジ部における端部と前パネル6の側部における端部とがそれぞれ互いに整列されて外側エッジ部が側部に縫い付けられる。股パネル9の前エッジ部が前パネル6の下側エッジ部の中央に位置する実質的に直線状の部分に縫い付けられ、後エッジ部が後パネル7,8の下側エッジ部の隣接する直線状の部分に縫い付けられる。隣接する且つ接合されたパネルのエッジ部が互いに当接するように、すべてのパネルが偏平縫いで互いに縫い付けられる。これにより、衣類の本体が形成される。
【0038】
腰バンドの前パネル10の下側エッジ部における端部と前パネル6の上端エッジ部における端部とがそれぞれ互いに整列されて前パネル10の下側エッジ部が前パネル6の上端エッジ部に縫い付けられる。同様に、腰バンドの後パネルの下側エッジ部が2枚の後パネル7,8の組み合わされた上端エッジ部に縫い付けられる。内側の縫い目において、腰バンドのパネル10,11が衣類の前パネル6および後パネル7,8にそれぞれ縫い付けられる。腰バンドの各パネル10,11のそれぞれの側部が偏平縫いで互いに縫い付けられて、連続したループが形成される。腰バンドを構成するパネル10,11は、台形の形状を有するため、腰バンドの上端の自由エッジ部は、衣類の本体に固定される下端エッジ部より長くなる。腰バンドを形成するパネル10,11の下端エッジ部から上端エッジ部までの高さは、腰バンドの上端エッジ部から股パネルの下面までの衣類の全体の高さの少なくとも約25%である。
【0039】
各脚バンド10のパネルの長手エッジ部が、前パネル6の下側エッジ部の外側凹部と、隣接する後パネル7,8の下側エッジ部の凹部と、股パネルの隣接する側部とから形成された各脚開口部の周りに縫い付けられる。脚バンド10のパネルの長手エッジ部は、それが縫い付けられる他のパネルのエッジ部の合計長さと同じ長さを有するため、脚バンドが脚開口部を完全に取り囲む。次に、脚バンドのパネルの対向する短手端部が互いに縫い付けられて、連続したループが形成される。
【0040】
図15図26は第2の実施形態を示す。図15図19は衣類を示し、図20図26は衣類を形成するパネルの外形形状を示す。これらの図において、図3図14に示す構成に対応する特徴を有するものには、同じ参照符号を用いている。
【0041】
これらの図を参照すると、衣類は、水泳用おむつであり、半ズボンまたはトランクスの一般的な形態をとる。
【0042】
半ズボンは、1枚の前パネル6と、2枚の後パネル7,8と、股パネル9とから形成される。これらのパネルは、第1の実施形態の対応するパネルと同じ材料から形成され、互いに接合されて腰開口部および脚開口部を有するブリーフを形成する。脚開口部は、腰開口部に対して略平行にそれぞれ開口している。
【0043】
第1の実施形態のそれと同じ材料から形成される弾性伸縮性を有する腰バンド10,11および脚バンド12が、各開口部の周りに延在する。
【0044】
前パネル6は、上端エッジ部と、下端エッジ部と、パネルの対向する側部において2つの側方エッジ部とを有する。パネルは、上端エッジ部と下端エッジ部との間に伸びる縦方向の中心線に関して対称である。上端エッジ部は、凹状である。対向する側方エッジ部は、凸状であり、上端エッジ部に向けて互いに対してテーパされている。側方エッジ部は、略直角で上端エッジ部と交わる。下端エッジ部は、実質的に直線状の整列した2つの部分から形成され、各部分は、側方エッジ部のそれぞれの底部から互いに向けて、また、衣類の2つの脚部を画定する、中央に位置するU字部分のそれぞれの対向する側部まで、略直角に延在する。
【0045】
2枚の後パネル7,8は、上端エッジ部と、下端エッジ部と、対向する外側エッジ部および内側エッジ部とをそれぞれ有し、互いに対して鏡面対称である。上端エッジ部および外側エッジ部は、わずかに凸状である。外側エッジ部は、前パネル6の外側エッジ部と実質的に同じ長さを有する。上端エッジ部は、鈍角で外側エッジ部と交わる。上端エッジ部の反対側の端部は、略直角で内側エッジ部と交わる。内側エッジ部において、上端エッジ部に隣接する部分は、わずかに凸状であり、長さ方向にわたって概ね完全な波の形状を有するように、凹状に変化する。内側エッジ部は、外側エッジ部より短い。下端エッジ部は、外側エッジ部と略直角で交わる実質的に直線状の部分と、直線状の部分の反対側の端部から内側エッジ部の下端部まで延在し且つそれらと交わる凹部とを有する。下端エッジ部から上端エッジ部までのパネルの高さは、パネルの外側エッジ部から内側エッジ部にかけて、下端エッジ部の直線状の部分の長さ方向に沿って増加する。
【0046】
股パネル9は、凸状の側部と交わる実質的に直線状の前エッジ部および後エッジ部を有し、前エッジ部と後エッジ部との間に伸びる中心線に関して対称である。前エッジ部は、前パネル6の下側エッジ部の中央に位置するU字部分と同じ長さを有し、後エッジ部は、後パネル7または8の下側エッジ部の凹部の長さに対して2倍の長さを有する。
【0047】
腰バンドは、第1の実施形態のそれと略同じ形状を有する前パネル10および後パネル11から形成される。
【0048】
第1の実施形態と同様に、脚バンド10は、単一の細長い、概ね長方形の生地パネルからそれぞれ形成される。
【0049】
第1の実施形態と同様に、衣類の本体は、前パネル、後パネルおよび股パネルを接合して形成される。ただし、股パネル9の前エッジ部が前パネル6の下側エッジ部の中央に位置するU字部分に縫い付けられる点、および後エッジ部が後パネル7,8の下側エッジ部の隣接する凹部に縫い付けられる点で、第1の実施形態と異なる。
【0050】
第1の実施形態と同様に、腰バンドを形成するパネルが、前パネルと後パネルとに接合される。パネル10,11の高さは、着用者が着用して使用するときの、腰バンドの上端エッジ部から股パネルの上端の下面までの衣類の全体の高さの少なくとも約25%である。
【0051】
第1の実施形態と同様に、各脚バンド10のパネルの長手エッジ部が、前パネル6および後部パネル7,8の下側エッジ部における直線状の部分から形成された各脚開口部の周りに縫い付けられる。脚バンド10のパネルの長手エッジ部は、それが縫い付けられる他のパネルのエッジ部の合計長さと同じ長さを有するため、脚バンドが脚開口部を完全に取り囲む。次に、脚バンドのパネルの対向する短手端部が互いに縫い付けられて、連続したバンドが形成される。
【0052】
図27図31は第3の実施形態を示す。これらの図において、図15図19に示す構成に対応する特徴を有するものには、同じ参照符号を用いている。
【0053】
この衣類は、脚バンド12が省略されていることを除いて、図15図27に示すものと同じである。脚バンド12の代わりに、シリコーンゴムからなるバンド5が各脚開口部の内周に延在して、使用中には着用者の脚との間を封止するのに役立つ。衣類の脚部を形成する前パネル6および後パネル7,8の生地固有の弾力性は、封止体と着用者の脚との接触を維持するのに十分である。ゴムによって、伸縮性を有する脚バンドがなくても良好な封止を得ることができるようになる。これにより、機能性を損なうことなく、伸縮性を有する脚バンドを除いて衣類のデザインを変更することができる。
【0054】
上述したすべての衣類を構成するパネルの様々な形状は、従来の水泳用おむつと比較して、フィット感が向上した衣類の作製に役立つ。特に、これらの形状は、使用中に腰バンドおよび脚バンドまたは封止体が着用者の体から離れて衣類内の糞便が漏れ出す危険性を低減させる、且つフィット感が向上した衣類の作製に役立つ。
【0055】
前パネル6および後パネル7,8は、使用中には前パネルの上端エッジ部が後パネルの上端エッジ部よりも着用者の体の下方に位置するような形状を有する。腰バンド10,11のパネルは、腰バンドの前部における上端エッジ部が腰バンドの後部における上端エッジ部よりも着用者の体の下方に位置するという特徴に基づいた形状を有する。
【0056】
衣類の前側で低い位置にある上端エッジ部によって、着用者の腹部の底部または下、すなわち着用者にとって自然な屈曲点より下に、エッジ部が位置決めされる。これは、腰バンドのパネルの弾性伸縮性を有する生地の使用と相まって、使用中に腰バンドの前部が下がって衣類内から糞便が漏れ出す危険性を低減させる。
【0057】
衣類の後ろ側でより高い位置にある上端エッジ部によって、着用者の背中の途中、すなわち着用者の尾骨および/または最大の脊髄腔の上に、エッジ部が位置決めされる。これは、脊椎の付け根に向けて凹部を有するため、腰バンドの後部が着用者から離れてしまう危険性を低減させる。
【0058】
腰バンドの上端エッジ部が下端エッジ部より短いため、腰バンドは衣類本体の上端から上方に延在して着用者の体の形状に密着することができる。
【0059】
衣類の後パネル7,8の対向する且つ鏡面対称である湾曲した内側エッジ部によって、パネルが互いに縫い付けられたときに、パネルは着用者の臀部の上にフィットする湾曲形状を得ることができる。図1および図2に示す概ね平らな従来の衣類とは対称的に、個別に形成された股パネルを提供することは、フィット感の向上にさらに役立つ。また、着用者を収容する形状の体積を画定する衣類の形成にも役立つ。これらの特徴は、いずれも着用者の体に対する衣類のフィット感を向上させる。衣類が着用者の体の形状によりよくフィットするため、着用者の体型に適応するための固有の弾力性に依存する必要性が少なくなる。これは、特に着用者の動きに伴ってかかる衣類への負担を減少させる。また、脚バンド、腰バンド、または封止体が着用者の体から離れてしまう危険性を低減させて、衣類内からの糞便の漏れを最小限に抑えることができる。
【0060】
上述した実施形態は単に例示の目的で示しているに過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
図1
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