IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-送風装置、空気調和機の室内機 図1
  • 特許-送風装置、空気調和機の室内機 図2
  • 特許-送風装置、空気調和機の室内機 図3
  • 特許-送風装置、空気調和機の室内機 図4
  • 特許-送風装置、空気調和機の室内機 図5
  • 特許-送風装置、空気調和機の室内機 図6
  • 特許-送風装置、空気調和機の室内機 図7
  • 特許-送風装置、空気調和機の室内機 図8
  • 特許-送風装置、空気調和機の室内機 図9
  • 特許-送風装置、空気調和機の室内機 図10
  • 特許-送風装置、空気調和機の室内機 図11
  • 特許-送風装置、空気調和機の室内機 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】送風装置、空気調和機の室内機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0007 20190101AFI20230912BHJP
   F24F 1/0022 20190101ALI20230912BHJP
【FI】
F24F1/0007 321
F24F1/0022
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019133881
(22)【出願日】2019-07-19
(65)【公開番号】P2021018026
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】山崎 良信
(72)【発明者】
【氏名】尾関 宏隆
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-068339(JP,A)
【文献】実開昭51-082349(JP,U)
【文献】特開平10-009603(JP,A)
【文献】国際公開第2009/028766(WO,A2)
【文献】国際公開第2019/087421(WO,A1)
【文献】特開平08-145395(JP,A)
【文献】特開昭47-008939(JP,A)
【文献】特開2014-081192(JP,A)
【文献】特開2018-119715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込開口を含む第1面と、前記第1面とは異なる第2面と、吹出開口を構成する開口部と、を含むキャビネットと、
モータと、
該モータの駆動力を伝える回転軸と、
該回転軸に軸止された複数の送風ファンと、
前記吸込開口と連通する吸込口および前記吹出開口と連通する吹出口を有し、内部の収容空間に前記複数の送風ファンをそれぞれ収容する複数のケーシングと、
前記モータを固定するモータ固定部材と、を備え、
各前記ケーシングは、前記第2面から前記開口部に向けて突出して前記吹出口の端部を形成する一対の突出部を含み、前記一対の突出部および前記一対の突出部の間の前記第2面は、前記収容空間を形成し、
前記ケーシングの一部である前記一対の突出部と前記モータ固定部材の一部との両方が前記キャビネットと一体成形されていることを特徴とする送風装置。
【請求項2】
前記ケーシングは2分割されており、分割された一方であって前記一対の突出部を含む一方が前記キャビネットと一体成形されていることを特徴とする請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記ケーシングは、前記回転軸の軸芯を通る該軸芯に平行な面にて2分割されていることを特徴とする請求項2に記載の送風装置。
【請求項4】
前記ケーシングは、上下方向に2分割されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の送風装置。
【請求項5】
前記第1面は上面であり、前記第2面は後面であり、前記開口部は前面に位置し、
前記キャビネットは、さらに、後面および前面に左右方向に連続する平面部、左右面に前後方向に連続する平面部を有することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の送風装置。
【請求項6】
前記ケーシングおよび前記モータ固定部材における前記キャビネットと一体成形されていない残余の部分に、当該送風装置の外郭をなす外郭部品の一部が一体化されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の送風装置。
【請求項7】
前記モータ、前記回転軸および前記送風ファンは連結された状態で、前記キャビネットに対して下面側から脱着されることを特徴とする請求項4に記載の送風装置。
【請求項8】
前記送風ファンはシロッコファンであり、
複数のシロッコファンを備えることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の送風装置。
【請求項9】
請求項1から8の何れか1項に記載の送風装置を備えることを特徴とする空気調和機の室内機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置、および送風装置を備えた空気調和機の室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、送風装置を備えた空気調和機の室内機において、送風ファンとしてのシロッコファンを複数備えた構成が開示されている。複数のシロッコファンはそれぞれケーシング内部に収容されている。ケーシングは、シロッコファンの円筒形の軸方向両側に円形状の吸込口を備え、突出形成されたベルマウスの先端部に矩形状の吹出口を開口している。ケーシングは、送風ファンの回転にて吸込まれた空気を吹出し口から圧力を高めて吹き出すために必要な部材である。
【0003】
通常、ケーシングは、内部にシロッコファンを収容できるように2分割されており、引用文献1の構成では、上下に分割され、ケーシング上およびケーシング下の2部品からなる。これらケーシング上およびケーシング下はキャビネットに固定される。
【0004】
また、キャビネットには、送風ファンを駆動するファンモータ、およびファンモータの駆動力を送風ファンに伝える回転軸を回転自在に軸支する軸受等も固定される。特許文献1の構成では、軸受を有する軸受具が回転軸に取り付けられ、該軸受具を支持する支持具がキャビネットに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-97930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成のように、2分割したケーシング上およびケーシング下をそれぞれキャビネットに固定する構成では、部品点数が多くなり組立工程数が多くなる。また、キャビネットにケーシングをはじめとして、ファンモータおよび軸受又は支持具等を固定する構成では、キャビネットの剛性が十分でない場合、組立時に軸合わせを行っていたとしても、ファンモータと軸受とを繋ぐ回転軸に軸ズレが生じる。回転軸に軸ズレが生じると、振動および騒音が発生しやすくなる。振動および騒音の発生を抑制して送風ファンを安定して回転させるには、キャビネットに十分な剛性が必要である。
【0007】
また、軸合わせは、ファンモータと軸受又は支持具との位置を合わせる作業であるが、組立時に各部品の取り付け位置に高い位置精度が要求される。また、ケーシングについても、内部に収容される送風ファンとの間に適切な位置関係が必要であるため、位置合わせが必要となる。特許文献1の構成のように送風ファンを複数備える構成ではケーシングの数が増えるため、位置合わせの必要は部品点数が非常に多くなる。
【0008】
本発明の一態様は、部品点数の削減を図ると共に、部品間の位置合わせが容易で、送風ファンの安定回転が可能な送風装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る送風装置は、吸込開口を含む第1面と、前記第1面とは異なる第2面と、吹出開口を構成する開口部と、を含むキャビネットと、モータと、該モータの駆動力を伝える回転軸と、該回転軸に軸止された複数の送風ファンと、前記吸込開口と連通する吸込口および前記吹出開口と連通する吹出口を有し、内部の収容空間に前記複数の送風ファンをそれぞれ収容する複数のケーシングと、前記モータを固定するモータ固定部材と、を備え、各前記ケーシングは、前記第2面から前記開口部に向けて突出して前記吹出口の端部を形成する一対の突出部を含み、前記一対の突出部および前記一対の突出部の間の前記第2面は、前記収容空間を形成し、各前記ケーシングの一部である前記一対の突出部と前記モータ固定部材の一部との両方が前記キャビネットと一体成形されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、部品点数の削減を図ると共に、部品間の位置合わせが容易で、送風ファンの安定回転が可能な送風装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態1に係る送風装置の斜視図であり、吹出開口を有する前面側を前に向けている。
図2】上記送風装置より下面側の部品を取り外した状態を示す斜視図であり、吹出開口を有する前面側を上に向けている。
図3】上記送風装置から取り外したファン連結物の前面図である。
図4】上記送風装置の縦断面図である。
図5】上記送風装置のキャビネットの斜視図であり、吹出開口を有する前面側を上に向けている。
図6】上記キャビネットの縦断面図である。
図7】上記キャビネットにケーシング下およびモータカバー下を装着した状態を示す斜視図であり、吹出開口を有する前面側を上に向けている。
図8】上記キャビネットにケーシング下およびモータカバー下を装着した状態を示す斜視図である。
図9】上記ケーシング下の斜視図である。
図10】上記モータカバー下の斜視図である。
図11】実施の形態2に係る空気調和機の室内機の斜視図である。
図12】上記室内機の内部構造を示す断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の一形態について、詳細に説明する。本実施の形態では、空気調和機の室内機に搭載される送風装置を例示する。
【0013】
(送風装置1の構造)
図1は、実施の形態1に係る送風装置1の斜視図であり、吹出開口53を有する前面側を前に向けている。図2は、上記送風装置1より下面側の部品を取り外した状態を示す斜視図であり、吹出開口53を有する前面側を上に向けている。なお、図3は、上記送風装置1から取り外したファン連結物2の前面図である。図4は、上記送風装置1の縦断面図である。
【0014】
図1図2に示すように、送風装置1は、キャビネット10と、該キャビネット10内に長手方向に沿って配された、4つの送風ファン4および1つのファンモータ(モータ)3を有する。ファンモータ3は両軸モータであり、4つ並んで配置された送風ファン4の中央に位置し、片方のモータ軸3aに送風ファン4が2つずつ接続されている。
【0015】
図2に示すように、送風ファン4は、2台の羽根車4aを1枚の共通のディスク壁4bで接続した構成の所謂シロッコファンである。ディスク壁4bの中心には、送風ファン4を回転軸に固定するためのジョイント部材5が両側に突出するように設けられている。4つの送風ファンとファンモータ3とは、ジョイント部材5と回転軸を構成する軸部材6,7を介して連結(一体化)されている。以下、送風ファン4、ファンモータ3および回転軸が連結されたものをファン連結物2と称する。
【0016】
図3に示すように、ファンモータ3の両側のモータ軸3aが、ファンモータ3の隣に位置する2つの送風ファン4のファンモータ3側のジョイント部材5に接続されている。該2つの送風ファン4のファンモータ3側とは反対の反ファンモータ3側のジョイント部材5に軸部材6の一端側が接続されている。軸部材6の他端側には各々の隣に位置する送風ファン4のファンモータ3側のジョイント部材5が接続されている。そして、該隣に位置する2つの送風ファン4の反ファンモータ3側のジョイント部材5には軸部材7の一端側が接続されている。
【0017】
モータ軸3aおよび軸部材6,7と送風ファン4のジョイント部材5との接続は、モータ軸3aおよび軸部材6,7の端部をジョイント部材5の内部に挿入した状態で螺子締結されている。螺子締結にて堅固に連結することで、ファンモータ3の回転力を芯ズレさせることなく複数の送風ファン4に伝えることができる。以下、モータ軸3a、軸部材6,7および複数のジョイント部材5で構成される一本の軸を回転軸8と称する。回転軸8はファンモータ3の駆動力を伝えるものである。
【0018】
回転軸8の両端部に相当する各軸部材7の他端側には軸受部20が取り付けられている。軸受部20は、回転軸8の端部を回転可能に受ける軸受(図示せず)と該軸受を支持する支持部材とを有する。回転軸8の両端部に取り付けられた軸受部20は、図2に示すキャビネット10の長手方向の両端部10aに設けられた固定部30に対して脱着可能に設けられている。軸受部20を固定部30に形成された下面が開口する挿入穴31(図7参照)に下面側(下方側)から嵌め込むことで、ファン連結物2をキャビネット10に取り付けることができる。軸受部20と固定部30とは、図示してはいないが、仮止め固定構造を有しており、軸受部20を固定部30の挿入穴31に嵌め込むことで、仮止め固定することができる。
【0019】
また、図1図3に示すように、各送風ファン4は、ファン毎に設けられたケーシング11内に収容されている。ケーシング11は、円筒形をなす送風ファン4の軸方向両側に円形状の吸込口11aを備え、突出形成されたベルマウス11bの先端部に矩形状の吹出口11cを開口している。
【0020】
本実施の形態では、図1に示すように、ケーシング11は、送風ファン4の上半分を覆うケーシング上11-1と送風ファン4の下半分を覆うケーシング下11-2とに2分割されている。また、ファンモータ3を固定するモータカバー(モータ固定部材)12も、ファンモータ3の上半分を覆うモータカバー上12-1とファンモータ3の下半分モータを覆うモータカバー下12-2とに2分割されている。そして、これらのうち、4つのケーシング上11-1とモータカバー上12-1とがキャビネット10と一体成形されている。
【0021】
(キャビネット10、ケーシング下11-2、およびモータカバー下12-2)
図5は、上記送風装置1のキャビネット10の斜視図であり、吹出開口53を有する前面側を上に向けている。図6は、上記キャビネット10の縦断面図である。図7は、上記キャビネット10にケーシング下11-2およびモータカバー下12-2を装着した状態を示す斜視図であり、吹出開口53を有する前面側を上に向けている。図8は、上記キャビネット10にケーシング下11-2およびモータカバー下12-2を装着した状態を示す斜視図であり、吹出開口53を有する前面側を前に向けている。図9は、ケーシング下11-2の斜視図であり、図10は、モータカバー下12-2の斜視図である。
【0022】
図5図6に示すように、キャビネット10には、4つのケーシング上11-1と1つのモータカバー上12-1とが一体成形されている。換言すると、4つのケーシング上11-1とモータカバー上12-1とキャビネット10とは、同じ樹脂材料よりなり、1つの成形型に樹脂材料を流して成型加工されている。ケーシング上11-1は、吸込口11aの上半分とベルマウス11bを有し、吹出口11cの上端部11ctを含む。
【0023】
そして、図7図8に示すように、4つのケーシング下11-2と1つのモータカバー下12-2とが、キャビネット10に取り付けられる。詳細には、キャビネット10に一体成形されたケーシング上11-1に、別部品であるケーシング下11-2が嵌め合わされるように固定される。同じく、キャビネット10に一体成形されたモータカバー上12-1に、別部品であるモータカバー下12-2が嵌め合わされるように固定される。
【0024】
図9に示すように、ケーシング下11-2は、吸込口11aの下半分を有し、吹出口11cの下端部11cuを含む。参照符号900は、ケーシング下11-2の内側を示す斜視図であり、参照符号901は、ケーシング下11-2の外側を示す斜視図である。参照符号900および901に示すように、ケーシング下11-2における吹出口11cの下端部11cu側には、送風装置1の外郭をなす外郭部品13(図1図8参照)の一部13aが一体に設けられている(一体化)。なお、外郭部品13の一部13aは、ケーシング下11-2と同じ材料である必要はなく、ケーシング下11-2における吹出口11cの下端部11cu側に螺子等で取り付けられている構成でもよい。外郭部品13の一部13aは、ケーシング下11-2をキャビネットから取り外す際に作業者が把持する取っ手にもなる。
【0025】
また、ケーシング下11-2における吹出口11cの下端部11cu側とは反対側の端部には、キャビネット10の後面下部に形成されている取付穴10b(図5参照)と係合する係合爪11-2aが設けられている。係合爪11-2aは、取付穴10b(図5参照)に係合されることでキャビネット10に固定される。また、ケーシング下11-2における吸込口11aには、キャビネット10側の受部(図示せず)に挿入される挿入爪11-2bが形成されている。
【0026】
一方、図10に示すように、モータカバー下12-2は、モータ軸3aが突き出る軸開口12aの下半分を有する。モータカバー下12-2における周面の周方向端部には、キャビネット10に一体成形されているモータカバー上12-1と固定するための固定片12-2aが形成されている。参照符号1000は、モータカバー下12-2の内側を示す斜視図であり、参照符号1001は、モータカバー下12-2の外側を示す斜視図である。モータカバー下12-2は、キャビネット10に一体成形されているモータカバー上12-1に固定片12-2aを突き合せた状態で螺子等を用いて固定される。
【0027】
ファンモータ3は、モータカバー12内部にモータ軸3aを突き出した状態で収容される。ファンモータ3は、モータ軸3aが突き出る根元部分(非回転)がモータカバー12に、軸開口12aに嵌め合わされた図示しないゴム部材を介して固定される(図3参照)。
【0028】
ケーシング11およびモータカバー12は、図4に示すように、回転軸8の軸芯Pが通る分割ラインLにて分割されている。ケーシング11およびモータカバー12は、回転軸8の軸芯Pを通る軸芯Pに平行な面にて2分割されている。
【0029】
そして、より好ましい構成として、本実施の形態では、図5図8に示すように、吹出開口53を有する前面に、長手方向でもある左右方向に連続する平面部Hを有し、長手方向の両端部10aに相当する左右面に、前後方向に連続する平面部Hを有する。つまり、キャビネット10は、上面に吸込開口52を有し、前面に吹出開口53を有する。また、キャビネット10は、左右方向に連続する平面部Hに相当する後壁をなす後面10cを有する。さらに、キャビネット10は、後面10c以外に、前面に長手方向でもある左右方向に連続する平面部Hを有し、左右面にも前後方向に連続する平面部Hを有する。そして、左右面の平坦部Hに、ファン連結物2の軸受部20を固定するための固定部30が一体成形にて作られている。
【0030】
(ファン連結物2の脱着)
次に、図1図2図3を用いて、キャビネット10に対するファン連結物2の脱着について説明する。まずは、ファン連結物2の取り外しについて説明する。
【0031】
ファン連結物2を取り外す際、最初に、送風装置1の下面側に位置する、4つのケーシング下11-2、1つのモータカバー下12-2、および外郭部品13等の下面側の部品(図1参照)を外す。これにて、図2に示すような、ファン連結物2を脱着可能な状態とする。なお、外郭部品13の一部13aはケーシング下11-2と一体に設けられているので、ケーシング下11-2を外すことで一緒に外すことができる。
【0032】
次に、ファン連結物2の両端部において、軸受部20とキャビネット10側の固定部30とを螺合している螺子(図示せず)を外す。軸受部20と固定部30とは、図示してはいないが、仮止め固定構造を有しているので、ファン連結物2の両側の螺子締結を解除しても、ファン連結物2がその自重で落下するようなことは起こらず、作業者が手を添える必要はない。螺子を外したのち、仮止めを解除して軸受部20を固定部30から抜き出す。
【0033】
一方、取り付け時は、ファン連結物2の両端部を把持して、軸受部20を固定部30に挿入して、前述の仮止め固定構造を利用して仮止めを行う。その後、軸受部20を固定部30に螺子締結する。その後は、送風装置1の下面側に、4つのケーシング下11-2、1つのモータカバー下12-2、外郭部品13等の下面側の部品(図1参照)を取り付ける。外郭部品13の一部13aはケーシング下11-2と一体に設けられているので、ケーシング下11-2を取り付けることで一緒に取り付けることができる。
【0034】
(効果)
上述のように、送風装置1においては、本複数のケーシング上11-1とモータカバー上12-1をキャビネット10に一体成形している。これにより、部品点数が削減され、キャビネット10にケーシング上11-1、およびモータカバー上12-1を取り付ける工程が不要とり、組立工程の簡素化が図れる。
【0035】
また、部品点数の削減による効果だけでなく、ケーシング上11-1、およびモータカバー上12-1をキャビネット10に一体成形することで、キャビネット10の剛性(強度)を上げることができる。これにより、キャビネット10にねじれや反り等の変形が発生し難くなり、組立時に軸合わせが長期に渡って維持され、回転軸に軸ズレを起因とする振動および騒音の発生を抑制して送風ファンを安定して回転させるこができる。
【0036】
しかも、ケーシング11およびモータカバー12の一部をキャビネット10に作り込んで、ケーシング11およびモータカバー12の残余部分を嵌め合わせるようにしてケーシング11およびモータカバー12を完成させている。したがって、キャビネットに別部品からなるケーシング11およびモータカバー12を取り付ける構成のような位置ずれがなく、位置合わせが容易である。
【0037】
さらに、本実施の形態では、ファン連結物2の回転軸8に取り付けられた軸受部20が取り付けられる固定部30もキャビネット10に一体成形にて作り込まれており、固定部30とキャビネット10との間にも位置ずれがない。これにより、キャビネット10に対して、ケーシング11、モータカバー12および固定部30の位置ずれを無くすることができ、ファン連結物2の回転軸8の軸、および各部品間の位置がずれない、位置合わせが容易な構造とできる。
【0038】
また、上記構成では、回転軸8の軸芯が通る分割ラインLにてケーシング11およびモータカバー12を分割している。したがって、ケーシング上11-1およびモータカバー上12-1を作り込んだ構成としても、キャビネット10製造時に成形型からの抜き出しが困難になるといった問題も生じない。
【0039】
そして、より好ましい構成として、本実施の形態では、吹出開口53を有する前面に、長手方向でもある左右方向に連続する平面部Hを有し、長手方向の両端部10aに相当する左右面に、前後方向に連続する平面部Hを有する構成としている。これにより、後壁をなす後面10cを主とした平板状のキャビネットに比べて、キャビネット10の剛性を効果的に高めることができ、ねじれや反りが殆ど発生しない強靭な構成とできる。
【0040】
また、ケーシング11およびモータカバー12を上下方向に分割しているので、送風装置1の下方からファン連結物2の脱着が可能となる。壁設置型、天井設置型に限らず、送風装置の下方は開放された空間となっているため、下方から脱着させる構成とすることで、天井裏での作業が必要なく、また、天井との間や側方に十分な空間が存在しなくても脱着が可能になる。
【0041】
(変形例)
上記実施の形態1の送風装置1において、複数のケーシング上11-1とモータカバー上12-1をキャビネット10に一体成形している。しかしながら、例えば、複数のケーシング上11-1のみ、あるいは、モータカバー上12-1のみがキャビネット10に一体成形されている構成も発明の範疇とする。同様に、複数のケーシング上11-1のうちの全てがキャビネット10に一体成形されている構成には限定されない。
【0042】
また、上記実施の形態の送風装置1においては、ケーシング下11-2を外郭部品13の一部13aと一体に設けていたが、モータカバー下12-2についても外郭部品13の一部13aと一体に設けてもよい。
【0043】
また、上記実施の形態の送風装置1においては、ケーシング11およびモータカバー12の分割方向を上下方向としているが、上下方向に限るものではない。
【0044】
また、上記実施の形態の送風装置1においては、送風ファンとして、複数のシロッコファンの例について説明したが、これに限定されるものではなく、クロスフローファン等であっても、本発明を適用することができる。
【0045】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0046】
本実施の形態では、実施の形態1に記載の送風装置1を備える空気調和機の室内機について説明する。図11は、実施の形態2に係る空気調和機の室内機50の斜視図である。図12は、上記室内機50の内部構造を示す断面斜視図である。
【0047】
図11図12に示すように、室内機50は、前述した送風装置1を構成するキャビネット10およびファン連結物2を有し、ファン連結物2の前側に熱交換器51を有している。キャビネット10の上面には吸込開口52が設けられており、吸込開口52にはフィルタ54が設置されている。
【0048】
キャビネット10の前面の開口部は、吹出開口53となっている。複数の送風ファン4に対応する複数のケーシング11の吹出口11cが、吹出開口53に向かって配置されている。熱交換器51は、吹出口11cと吹出開口53との間に配置されている。
【0049】
熱交換器51は、上部が下部よりも前方位置となる傾斜状態に配置され、下部は送風ファン4と近接した状態に配置されている。熱交換器51は、傾斜状態に配置されることにより、鉛直状態に配置される場合と比較して、室内機50の高さを抑制しながら表面積を広くできるようにしている。熱交換器51の下には、熱交換器51での熱交換によって生じた水(ドレン水)を受けるドレンパン55が設けられている。
【0050】
また、キャビネット10の前面には、吹出開口53を開閉するメインパネル56が設けられている。メインパネル56は、上縁部と下縁部との間が緩やかに湾曲した板形状に形成されている。メインパネル56の湾曲の方向は、前面から見て凹状となる方向である。メインパネル56は、例えばメインパネル56を支持する左右2個所のアームおよびモータを有する駆動機構(図示せず)により駆動される。メインパネル56は、室内機50の停止時には吹出開口53を閉じ、運転時に開く。
【0051】
また、図中、参照符号57で示す部材はサブパネルであり、サブパネル57も運転中に開いた状態となる。なお、メインパネル56は、冷房時には通常、下端側を回動軸として上側が開いた状態(図1図2の状態)となり、暖房時には通常、上端側を回動軸として下側が開いた状態となる。
【0052】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る送風装置1は、キャビネット10と、モータ(ファンモータ3)と、該モータの駆動力を伝える回転軸8と、該回転軸8に軸止された送風ファン4と、前記送風ファン4を収容するケーシング11および前記モータを固定するモータ固定部材と、を備え、前記ケーシング11の一部又は前記モータ固定部材の一部、又はその両方が前記キャビネット10と一体成形されていることを特徴とする。
【0053】
本発明の態様2に係る送風装置1は、態様1において、さらに、前記ケーシング11又は前記モータ固定部材又はその両方は2分割されており、分割された一方が前記キャビネット10と一体成形されている構成とすることもできる。
【0054】
本発明の態様3に係る送風装置1は、態様2において、さらに、前記ケーシング11又は前記モータ固定部材又はその両方は、前記回転軸8の軸芯を通る該軸芯に平行な面にて2分割されている構成とすることもできる。
【0055】
本発明の態様4に係る送風装置1は、態様2又は3において、さらに、前記ケーシング11又は前記モータ固定部材又はその両方は、上下方向に2分割されている構成とすることもできる。
【0056】
本発明の態様5に係る送風装置1は、態様1から4の何れかにおいて、さらに、前記キャビネット10は、上面に吸込開口52、前面に吹出開口53、後面10c、および前面に左右方向に連続する平面部H、左右面に前後方向に連続する平面部Hを有する構成とすることもできる。
【0057】
本発明の態様6に係る送風装置1は、態様1から4の何れかにおいて、さらに、前記ケーシング11又は前記モータ固定部材又はその両方における前記キャビネット10と一体成形されていない残余の部分に、当該送風装置1の外郭をなす外郭部品13の一部13aが一体化されている構成とすることもできる。
【0058】
本発明の態様7に係る送風装置1は、態様4において、前記モータ、前記回転軸8および前記送風ファン4は連結された状態で、前記キャビネット10に対して下面側から脱着される構成とすることもできる。
【0059】
本発明の態様8に係る送風装置1は、態様1から7の何れかにおいて、前記送風ファン4はシロッコファンであり、複数のシロッコファンを備える構成とすることもできる。
【0060】
本発明の態様9に係る空気調和機の室内機50は、態様1から8の何れかに記載の送風装置1を備えることを特徴とする。
【0061】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 送風装置
2 ファン連結物
3 ファンモータ
3a モータ軸
4 送風ファン
8 回転軸
10 キャビネット
11 ケーシング
11-1 ケーシング上
11-2 ケーシング下
11-2a 係合爪
11a 吸込口
11b ベルマウス
11c 吹出口
11ct 上端部
11cu 下端部
12 モータカバー
12-1 モータカバー上
12-2 モータカバー下
12-2a 固定片
12a 軸開口
13 外郭部品
13a 一部
20 軸受部
30 固定部
31 挿入穴
50 室内機
51 熱交換器
52 吸込開口
53 吹出開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12