IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星電子株式会社の特許一覧

特許7348049インピーダンス測定装置及びその方法並びに電気装置
<>
  • 特許-インピーダンス測定装置及びその方法並びに電気装置 図1
  • 特許-インピーダンス測定装置及びその方法並びに電気装置 図2
  • 特許-インピーダンス測定装置及びその方法並びに電気装置 図3
  • 特許-インピーダンス測定装置及びその方法並びに電気装置 図4
  • 特許-インピーダンス測定装置及びその方法並びに電気装置 図5
  • 特許-インピーダンス測定装置及びその方法並びに電気装置 図6
  • 特許-インピーダンス測定装置及びその方法並びに電気装置 図7
  • 特許-インピーダンス測定装置及びその方法並びに電気装置 図8
  • 特許-インピーダンス測定装置及びその方法並びに電気装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】インピーダンス測定装置及びその方法並びに電気装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0536 20210101AFI20230912BHJP
   G01R 27/02 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
A61B5/0536
G01R27/02 A
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2019223616
(22)【出願日】2019-12-11
(65)【公開番号】P2020093101
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】10-2018-0162168
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0108798
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 亨 優
(72)【発明者】
【氏名】金 尚 駿
(72)【発明者】
【氏名】金 鍾 パル
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-527675(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0149337(US,A1)
【文献】特表2008-536650(JP,A)
【文献】特開2000-184726(JP,A)
【文献】特表2018-512966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05-5/0538
A61B 5/24-5/398
G01R 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インピーダンス測定装置において、
第1高周波に対応する第1電流を生成する第1高周波電流生成器と、
第2高周波に対応する第2電流を生成する第2高周波電流生成器と、
前記第1電流及び前記第2電流の唸り(beat)現象に基づいて低周波電流を生成する低周波電流生成器と、
前記第1電流及び前記第2電流の内の少なくとも1つに対応する高周波電流及び前記低周波電流によってターゲット部位に誘導された電圧に基づいて、前記ターゲット部位のインピーダンスを算出するコントローラと、を有することを特徴とするインピーダンス測定装置。
【請求項2】
前記高周波電流及び前記低周波電流の内の少なくとも1つに基づいて、前記ターゲット部位にかかる電圧を測定する生体電位測定器をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のインピーダンス測定装置。
【請求項3】
前記ターゲット部位に接触する複数の電極を含む電極アレイと、
前記第1高周波電流生成器、前記第2高周波電流生成器、前記低周波電流生成器、及び前記生体電位測定器の内の少なくとも1つを、前記複数の電極の内の少なくとも1つに選択的に接続する電極スイッチングネットワークと、をさらに有することを特徴とする請求項2に記載のインピーダンス測定装置。
【請求項4】
前記ターゲット部位は、神経束に対応し、前記複数の電極は、前記神経束を取り囲むように配置されることを特徴とする請求項3に記載のインピーダンス測定装置。
【請求項5】
前記低周波電流生成器は、前記第1電流及び前記第2電流の合成電流のエンベロープに基づいて前記低周波電流を生成することを特徴とする請求項1に記載のインピーダンス測定装置。
【請求項6】
前記低周波電流は、前記第1高周波と前記第2高周波との差に対応する低周波を有することを特徴とする請求項1に記載のインピーダンス測定装置。
【請求項7】
前記ターゲット部位に接触する複数の電極を含む電極アレイをさらに有し、
前記ターゲット部位内で刺激領域が選択されれば、前記コントローラは、前記複数の電極の内の電気刺激領域に対応する一部の電極を選択することを特徴とする請求項1に記載のインピーダンス測定装置。
【請求項8】
前記選択された電極に前記第1電流及び前記第2電流が印加されれば、前記第1電流及び前記第2電流が電気刺激領域で重なって生じる唸り現象による低周波電気刺激が前記電気刺激領域に誘導されることを特徴とする請求項7に記載のインピーダンス測定装置。
【請求項9】
前記ターゲット部位は、神経束に対応し、電気刺激領域は、前記神経束内の少なくとも1つの神経に対応することを特徴とする請求項7に記載のインピーダンス測定装置。
【請求項10】
インピーダンス測定方法において、
第1高周波に対応する第1電流を生成するステップと、
第2高周波に対応する第2電流を生成するステップと、
前記第1電流と前記第2電流とによる唸り現象に基づいて低周波電流を生成するステップと、
前記第1電流及び前記第2電流の内の少なくとも1つに対応する高周波電流及び前記低周波電流によってターゲット部位に誘導された電圧に基づいて、前記ターゲット部位のインピーダンスを算出するステップと、を有することを特徴とするインピーダンス測定方法。
【請求項11】
前記高周波電流及び前記低周波電流の内の少なくとも1つに基づいて、前記ターゲット部位にかかる電圧を測定するステップをさらに有することを特徴とする請求項10に記載のインピーダンス測定方法。
【請求項12】
前記第1電流を生成する第1高周波電流生成器、前記第2電流を生成する第2高周波電流生成器、前記低周波電流を生成する低周波電流生成器、及び前記ターゲット部位にかかる電圧を測定する生体電位測定器の内の少なくとも1つを、前記ターゲット部位に接触する複数の電極の内の少なくとも1つに選択的に接続するステップをさらに有することを特徴とする請求項11に記載のインピーダンス測定方法。
【請求項13】
前記ターゲット部位は、神経束に対応し、前記複数の電極は、前記神経束を取り囲むように配置されることを特徴とする請求項12に記載のインピーダンス測定方法。
【請求項14】
前記唸り現象に基づいて低周波電流を生成するステップは、前記第1電流と前記第2電流との合成電流のエンベロープに基づいて前記低周波電流を生成するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載のインピーダンス測定方法。
【請求項15】
前記低周波電流は、前記第1高周波と前記第2高周波との差に対応する低周波を有することを特徴とする請求項10に記載のインピーダンス測定方法。
【請求項16】
前記ターゲット部位内で刺激領域が選択されれば、前記ターゲット部位に接触する前記複数の電極の内の前記刺激領域に対応する一部の電極を選択するステップをさらに有することを特徴とする請求項12に記載のインピーダンス測定方法。
【請求項17】
前記選択された電極に前記第1電流及び前記第2電流が印加されれば、前記第1電流及び前記第2電流が電気刺激領域で重なって生じる唸り現象による低周波電気刺激が前記電気刺激領域に誘導されることを特徴とする請求項16に記載のインピーダンス測定方法。
【請求項18】
前記ターゲット部位は、神経束に対応し、電気刺激領域は、前記神経束内の少なくとも1つの神経に対応することを特徴とする請求項16に記載のインピーダンス測定方法。
【請求項19】
生体部位と接触するように構成される複数の電極と、
第1高周波電流を生成する第1高周波電流生成器と、
第2高周波電流を生成する第2高周波電流生成器と、
前記第1高周波電流及び前記第2高周波電流の入力を受け、前記第1高周波電流の第1高周波と前記第2高周波電流の第2高周波との間の差に該当する低周波の電流を生成する低周波電流生成器と、
前記複数の電極の内、前記第1高周波電流及び前記第2高周波電流を印加する電極を選択するコントローラと、を有することを特徴とする電気装置。
【請求項20】
前記第1高周波及び前記第2高周波は、20~200KHzであることを特徴とする請求項19に記載の電気装置。
【請求項21】
前記低周波は、5~30Hzであることを特徴とする請求項19に記載の電気装置。
【請求項22】
前記第1高周波電流生成器、前記第2高周波電流生成器、及び前記低周波電流生成器の総体積は1cmよりも小さいことを特徴とする請求項19に記載の電気装置。
【請求項23】
前記第1高周波電流生成器及び前記第2高周波電流生成器は、チップから構成され、前記チップの面積は25mmよりも小さいことを特徴とする請求項19に記載の電気装置。
【請求項24】
前記コントローラが前記第1高周波電流及び前記第2高周波電流を前記選択された電極に印加するモードは、刺激モードであり、
前記コントローラは、前記低周波の電流を適用する測定モードを有することを特徴とする請求項19に記載の電気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インピーダンス測定装置に関し、特に、生体インピーダンス測定及び電気刺激のための装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脳、心臓、胃、筋肉、神経などの身体部位に現れる生体インピーダンスを介して各身体部位の状態、身体部位で生じる現象やメカニズムを検出し、電気刺激を介して各身体部位に治療、リハビリ、及び美容などのような必要な措置が取られる技術が開発されてきている。
【0003】
例えば、EIT(electrical impedance tomography)は、時間あるいは周波数によるインピーダンスの変化を多チャンネルに測定し、測定されたデータをイメージ化してインピーダンスの変化を視覚的に分析可能にする技術である。
EIT技術は、時間あるいは周波数によるインピーダンスの変化を観測するものであり、時間による変化を観測する方式はTD(time difference)方式といい、周波数による変化を観測する方式はFD(frequency difference)方式という。
このようなEIT技術が適用される装置は、身体部位に付着させるものが多く、そのため、そのような装置の小型化が課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-201345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来のEITにおける課題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、装置を小型化することができる生体のインピーダンス測定装置及びその方法並びに電気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明による生体インピーダンスを測定するためのインピーダンス測定装置は、インピーダンス測定装置において、第1高周波に対応する第1電流を生成する第1高周波電流生成器と、第2高周波に対応する第2電流を生成する第2高周波電流生成器と、前記第1電流及び前記第2電流の唸り(beat)現象に基づいて低周波電流を生成する低周波電流生成器と、前記第1電流及び前記第2電流の内の少なくとも1つに対応する高周波電流及び前記低周波電流によってターゲット部位に誘導された電圧に基づいて、前記ターゲット部位のインピーダンスを算出するコントローラと、を有することを特徴とする。
【0007】
前記高周波電流及び前記低周波電流の内の少なくとも1つに基づいて、前記ターゲット部位にかかる電圧を測定する生体電位測定器をさらに有することが好ましい。
前記ターゲット部位に接触する複数の電極を含む電極アレイと、前記第1高周波電流生成器、前記第2高周波電流生成器、前記低周波電流生成器、及び前記生体電位測定器の内の少なくとも1つを、前記複数の電極の内の少なくとも1つに選択的に接続する電極スイッチングネットワークと、をさらに有することが好ましい。
前記ターゲット部位は、神経束に対応し、前記複数の電極は、前記神経束を取り囲むように配置されることが好ましい。
前記低周波電流生成器は、前記第1電流及び前記第2電流の合成電流のエンベロープに基づいて前記低周波電流を生成することが好ましい。
前記低周波電流は、前記第1高周波と前記第2高周波との差に対応する低周波を有することが好ましい。
【0008】
前記ターゲット部位に接触する複数の電極を含む電極アレイをさらに有し、前記ターゲット部位内で刺激領域が選択されれば、前記コントローラは、前記複数の電極の内の電気刺激領域に対応する一部の電極を選択することが好ましい。
前記選択された電極に前記第1電流及び前記第2電流が印加されれば、前記第1電流及び前記第2電流が電気刺激領域で重なって生じる唸り現象による低周波電気刺激が前記電気刺激領域に誘導されることが好ましい。
前記ターゲット部位は、神経束に対応し、電気刺激領域は、前記神経束内の少なくとも1つの神経に対応することが好ましい。
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明による生体インピーダンスを測定するためのインピーダンス測定方法は、第1高周波に対応する第1電流を生成するステップと、第2高周波に対応する第2電流を生成するステップと、前記第1電流と前記第2電流とによる唸り現象に基づいて低周波電流を生成するステップと、前記第1電流及び前記第2電流の内の少なくとも1つに対応する高周波電流及び前記低周波電流によってターゲット部位に誘導された電圧に基づいて、前記ターゲット部位のインピーダンスを算出するステップと、を有することを特徴とする。
【0010】
前記高周波電流及び前記低周波電流の内の少なくとも1つに基づいて、前記ターゲット部位にかかる電圧を測定するステップをさらに有することが好ましい。
前記第1電流を生成する第1高周波電流生成器、前記第2電流を生成する第2高周波電流生成器、前記低周波電流を生成する低周波電流生成器、及び前記ターゲット部位にかかる電圧を測定する生体電位測定器の内の少なくとも1つを、前記ターゲット部位に接触する複数の電極の内の少なくとも1つに選択的に接続するステップをさらに有することが好ましい。
前記ターゲット部位は、神経束に対応し、前記複数の電極は、前記神経束を取り囲むように配置されることが好ましい。
前記唸り現象に基づいて低周波電流を生成するステップは、前記第1電流と前記第2電流との合成電流のエンベロープに基づいて前記低周波電流を生成するステップを含むことが好ましい。
前記低周波電流は、前記第1高周波と前記第2高周波との差に対応する低周波を有することが好ましい。
前記ターゲット部位内で刺激領域が選択されれば、前記ターゲット部位に接触する前記複数の電極の内の前記刺激領域に対応する一部の電極を選択するステップをさらに有することが好ましい。
前記選択された電極に前記第1電流及び前記第2電流が印加されれば、前記第1電流及び前記第2電流が電気刺激領域で重なって生じる唸り現象による低周波電気刺激が前記電気刺激領域に誘導されることが好ましい。
前記ターゲット部位は、神経束に対応し、電気刺激領域は、前記神経束内の少なくとも1つの神経に対応することが好ましい。
【0011】
上記目的を達成するためになされた本発明による電気装置は、生体部位と接触するように構成される複数の電極と、第1高周波電流を生成する第1高周波電流生成器と、第2高周波電流を生成する第2高周波電流生成器と、前記第1高周波電流及び前記第2高周波電流の入力を受け、前記第1高周波電流の第1高周波と前記第2高周波電流の第2高周波との間の差に該当する低周波の電流を生成する低周波電流生成器と、前記複数の電極の内、前記第1高周波電流及び前記第2高周波電流を印加する電極を選択するコントローラと、を有することを特徴とする。
【0012】
前記第1高周波及び前記第2高周波は、20~200KHzであることが好ましい。
前記低周波は、5~30Hzであることが好ましい。
前記第1高周波電流生成器、前記第2高周波電流生成器、及び前記低周波電流生成器の総体積は1cmよりも小さいことが好ましい。
前記第1高周波電流生成器及び前記第2高周波電流生成器は、チップから構成され、前記チップの面積は25mmよりも小さいことが好ましい。
前記コントローラが前記第1高周波電流及び前記第2高周波電流を前記選択された電極に印加するモードは、刺激モードであり、前記コントローラは、前記低周波の電流を適用する測定モードを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るインピーダンス測定装置及びその方法並びに電気装置によれば、2つの高周波の合成電流による唸り現象を用いてそのエンベロープを検出して低周波電流を生成することで、サイン波生成のための受動素子のサイズが大きく減少させることができる。
本発明のインピーダンス測定装置は、高周波電流を合成し、必要な低周波周波数だけの周波数の差を有する高周波電流を用いて低周波電流を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るインピーダンス測定装置及びターゲット部位を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係るインピーダンス測定のためのローテーションプロセスを説明するための図である。
図3】本発明の一実施形態に係る唸り現象を用いた低周波信号の生成プロセスを説明するための図である。
図4】本発明の一実施形態に係る低周波信号が生成される過程の各信号の波形を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る刺激領域に低周波電気刺激を加えるプロセスを説明するための図である。
図6】本発明の一実施形態に係る刺激領域に低周波電気刺激を加えるプロセスを説明するための図である。
図7】本発明の一実施形態に係るインピーダンス測定装置の概略構成を示すブロック図である。
図8】本発明の一実施形態に係るインピーダンス測定モードによるインピーダンス測定プロセスを説明するためのフローチャートである。
図9】本発明の一実施形態に係る選択的刺激モードによる刺激プロセスを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係るインピーダンス測定装置及びその方法並びに電気装置を実施するための形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0016】
実施形態に対する特定な構造的又は機能的な説明は単なる例示のための目的として開示されたものとして、様々な形態に変更される。
したがって、実施形態は特定な開示形態に限定されるものではなく、本明細書の範囲は技術的な思想に含まれる変更、均等物ないし代替物を含む。
第1又は第2などの用語を複数の構成要素を説明するために用いることがあるが、このような用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ解釈されなければならない。例えば、第1構成要素は第2構成要素と命名することができ、同様に第2構成要素は第1構成要素にも命名することができる。
単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味をもたない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
相違するとの定義がなされない限り、技術的であるか又は科学的な用語を含むここで用いる全ての用語は、本実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであって、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
以下、実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。
各図面に提示される同一の参照符号は同一の部材を示す。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るインピーダンス測定装置及びターゲット部位を示す図である。
図1を参照すると、インピーダンス測定装置110は、ターゲット部位120に高周波電流及び低周波電流を印加し、ターゲット部位120の電圧を測定する。
【0018】
インピーダンス測定装置110は、ターゲット部位120に印加された電流、及びターゲット部位120に電流が印加された状態でターゲット部位120にかかる電圧に基づいて、ターゲット部位120のインピーダンスを測定する。
例えば、ターゲット部位120は、生体の細胞、組織、神経、神経束、及び器官のような生体部位に該当する。
ターゲット部位120のインピーダンスは、ターゲット部位120の生体インピーダンス(bioimpedance)を含む。
【0019】
インピーダンス測定装置110は、複数の電極121を含む電極配列を用いてターゲット部位120に電流を印加し、ターゲット部位120にかかる電圧を測定する。
電極配列内の電極は、ターゲット部位120を取り囲むように配置される。
インピーダンス測定装置110は、複数の電極の内の一部を選択し、選択された電極を介してターゲット部位120に電流を印加し、残りの電極の内の一部を選択し、選択された電極を介してターゲット部位120から電圧を測定する。
以下、説明の便宜のために電流印加のための電極は、電流電極と称し、電圧測定のための電極は、電圧電極と称することとする。
インピーダンス測定装置110は、電流電極及び電圧電極をローテーションしてターゲット部位120のインピーダンスを測定する。
【0020】
例えば、インピーダンス測定装置110は、EIT(electrical impedance tomography)を介してターゲット部位120のインピーダンスを測定する。
EITは、時間あるいは周波数によるインピーダンスの変化を多チャンネルで測定し、測定されたデータをイメージ化してインピーダンスの変化を視覚的に分析可能にする技術である。
例えば、インピーダンス測定装置110は、測定しようとする組織を電極配列により取り囲んだ後、特定の区間にサイン波電流(Current Stimulator)を流し、多チャンネルを介して電圧を測定し、区域ごとのインピーダンスを測定する。
電極ローテーションに基づいて測定されたインピーダンス値はイメージに変換され、このような過程を介して変換されたイメージを時間軸上に連続的に示す場合、インピーダンスの変化に対応する組織の変化を視覚的に確認することができる。
【0021】
EIT技術は、時間あるいは周波数によるインピーダンスの変化を観測するものとして、時間による変化を観測する方式はTD(time difference)方式といい、周波数による変化を観測する方式はFD(frequency difference)方式という。
例えば、TD方式は時間によるインピーダンスの変化を観測するために用いられ、FD方式はモニタリングターゲット部位に2つ以上の互いに異なる組織があるとき、周波数によるインピーダンスの変化率の差を用いてこれらの組織を視覚的に区分し観測するという目的で実行される。
【0022】
一例として、息の吸い込み及び吐き出しによる肺の変化を観測するためにTD方式が使用され、通常、細胞中に癌細胞が位置するとき、それぞれの周波数により相違に現れるインピーダンスの変化率を介して癌細胞を視覚的に区分して表現しようとする場合はFD方式が使用される。
TD方式及びFD方式は、混合して使用してもよい。
TD方式及びFD方式を混合して使用する場合、イメージの解像度が高くなるため、この2つは複合的に使用される傾向がある。
【0023】
FD方式は、低周波で示されるインピーダンス及び高周波で示されるインピーダンスを電極配列を介して順次測定した後、インピーダンスの変化を組織内の各位置ごとに記録してイメージ化したものであるため、低周波測定及び高周波測定はそれぞれ別途に実行される必要がある。
例えば、低周波は5~30(Hz)であり、高周波は20~200k(Hz)であり得る。
ただし、低周波及び高周波は、相違する様々な値に定義され得る。
【0024】
EITで、インピーダンスを測定するためにサイン波電流を用いてもよい。
例えば、サイン波電流は、ウィーンブリッジ発振器(Wein-Bridge Oscillator)を含む回路を介して所望する周波数成分を有するように生成される。
fMRI(functional magnetic resonance imaging)を代替するための脳神経EIT、あるいは行動や刺激による神経活性区域を検出する神経束EITのような挿入型の電子薬システムの場合、製品の小型化が要求される。
【0025】
所望する周波数は、
f=1/(RC Time Constant)
で決定される。
ここで、(RC Time Constant)=(2×円周率×R×C)と示すことができる。
インピーダンスを測定するために用いられる周波数が高周波であれば、R値及びC値は周波数に反比例することからその値が小さいが、インピーダンスを測定するために用いられる周波数が低周波であれば、R値及びC値は周波数に比例することからその値が大きくなる。
例えば、ウィーンブリッジ発振器で所望する周波数にするために、「6R」と「2.5C」の受動素子が要求される。
一例として、所望する周波数が100k(Hz)である場合、R=80k(ohm)、C=18p(F)であるが、所望する周波数が10(Hz)であれば、R=8G(ohm)、C=1.8n(F)となり、受動素子の体積が極めて大きく、小型化されたシステムを実現することが困難である。
【0026】
本発明による実施形態によれば、唸り現象を用いて低周波信号を生成することで、サイン波生成のための受動素子のサイズが大きく減少させることができる。
例えば、インピーダンス測定装置110は、高周波電流を合成し、合成電流でエンベロープ(envelop)を検出して低周波電流を生成する。
f1の周波数を有する信号及びf2の周波数を有する信号が合成される場合、唸り現象(beat phenomenon)によって合成信号のエンベロープは|f1-f2|の周波数を有するためである。
したがって、インピーダンス測定装置110は、必要な低周波周波数だけの周波数の差を有する高周波電流を用いて低周波電流を生成することがき、このような高周波電流を生成する高周波生成器の総体積は、通常、1cmよりも小さく、人体に挿入可能である。
より具体的には、このような高周波生成器は、システムオンチップ(System on Chip)の形態に実現され、チップの面積は25mmよりも小さく実現され得る。
【0027】
インピーダンス測定装置110は、高周波電流を用いてターゲット部位120内の刺激領域に電気刺激を印加する。
インピーダンス測定装置110は、インピーダンス測定モードでは、ターゲット部位のインピーダンスを測定するための動作を行い、選択的刺激モードでは、刺激領域を刺激するための動作を行う。
身体部位に刺激を与えるためには、低周波電流が適する。
身体部位には、高周波電流よりも低周波電流が大きい影響を与えるためである。
ターゲット部位120に高周波電流が印加されれば、高周波電流が重なる一定の領域に唸り現象による低周波エンベロープが発生する。
ターゲット部位120内で高周波電流が重なる領域は、刺激領域のように称することができる。
【0028】
本発明の実施形態によれば、高周波電流が印加される電極による低周波電気刺激が発生する領域、あるいは高周波電流に適用される周波数及び高周波電流が印加される電極による低周波電気刺激が発生する領域を含むデータベースを予め構築することができる。
データベースは、電極及び刺激領域を互いにマッチングして格納したり、あるいは電極、高周波周波数、及び刺激領域を互いにマッチングして格納してもよい。
【0029】
例えば、データベースは、高周波電流を第1電極対に印加するとき、第1刺激領域に電気刺激が加えられ、第2電極対に印加するとき、第2刺激領域に電気刺激が加えられた、という情報を格納する。
又は、データベースは、第1周波数の高周波電流及び第2周波数の高周波電流を第1電極対に印加するとき、第1刺激領域に電気刺激が加えられ、第2周波数の高周波電流及び第3周波数の高周波電流を第2電極対に印加するとき、第2刺激領域に電気刺激が加えられた、という情報を格納する。
インピーダンス測定装置110は、電気刺激を加える刺激領域を決定し、データベースに基づいて決定された刺激領域に対応する電極、あるいは決定された刺激領域に対応する電極及び周波数を決定することができる。
【0030】
インピーダンス測定装置110は、インピーダンス測定結果に基づいて刺激領域を決定する。
例えば、インピーダンス測定装置110は、インピーダンス測定結果に基づいて刺激が必要な領域を刺激領域として決定する。
一例として、インピーダンス測定の結果、神経束内の第1領域に刺激が必要であることが明らかになった場合、インピーダンス測定装置110は、第1領域を刺激領域として決定し、第1領域に刺激が加えられるように適切な電極を選択したり、あるいは適切な電極及び適切な高周波周波数を選択することができる。
結局、複数の電極による電極アレイ及び高周波電流生成器は、インピーダンス測定のために必要な構成である。
このような電極アレイ及び高周波電流生成器を用いて電気刺激を行うことができるため、インピーダンス測定装置110のための構成の活用を最大化することができる。
【0031】
図2は、本発明の一実施形態に係るインピーダンス測定のためのローテーションプロセスを説明するための図である。
図2を参照すると、時間tによる電流生成器I及び生体電位測定器Vの配置を示す。
電極アレイの電極は、ターゲット部位を取り囲むように配置されている。
ターゲット部位のインピーダンス測定のために電極を変えながら、電流生成器I及び生体電位測定器Vが接続される。
可能な全ての組み合わせの電極対に電流生成器I及び生体電位測定器Vがローテーションして接続される。
【0032】
例えば、電流電極が選択されれば、電流電極が固定された状態で電圧電極に関するローテーションが行われ得る。
電圧電極に関するローテーションが完了すると、電流電極が変更され、再び電流電極が固定された状態で電圧電極に関するローテーションが行われる。
このようなプロセスにより、電流電極に関するローテーションが完了すると、その間に収集された電圧値に基づいてターゲット部位のインピーダンスが算出される。
算出されたインピーダンスは、イメージ化されてユーザに提供される。
【0033】
例えば、図2を参照すると、t=tijにおいて、iは電流電極に対応し、jは電圧電極に対応する。
t=t1jにおいて、i=1に対応する電流電極が選択された状態で電圧電極が変更され、t=t2jにおいてi=2に対応する電流電極が選択された状態で電圧電極が変更される。
ターゲット部位の電圧は、マルチチャネルに基づいて測定される。
図2は「Ch0~Ch2」の3チャネル測定プロセスを示している。
実施形態により、電圧測定のためにチャネルの数は多様に選択され得る。
【0034】
図3は、本発明の一実施形態に係る唸り現象を用いた低周波信号の生成プロセスを説明するための図である。
図3を参照すると、第1高周波電流生成器310は第1高周波電流315を生成し、第2高周波電流生成器320は第2高周波電流325を生成する。
【0035】
第1高周波電流315及び第2高周波電流325が合成されて唸り電流305が生成される。
エンベロープ検出器335は、唸り電流305でエンベロープを検出して低周波電流307を生成する。
低周波電流307は、電極351に印加され、このときターゲット部位330の電圧は、電極352を介して生体電位測定器340に伝えられる。
したがって、インピーダンス測定装置は、別途の低周波電流生成器なしに高周波電流生成器(310、320)を用いて低周波成分を含む唸り電流305を生成することができ、唸り電流305の低周波成分に対応する低周波電流307を用いてターゲット部位330の電圧を測定することができる。
【0036】
図4は、本発明の一実施形態に係る低周波信号が生成される過程の各信号の波形を示す図である。
図4を参照すると、高周波信号410は、図3に示す第1高周波電流315に対応し、高周波信号420は、図3に示す第2高周波電流325に対応する。
【0037】
高周波信号410の周波数は、f1であり、高周波信号420の周波数は、f2である。
高周波信号410及び高周波信号420が合成されることにより、唸り信号430が生成され、唸り信号430のエンベロープを検出して低周波信号440が生成される。
低周波信号440の周波数は、|f1-f2|である。
低周波信号440は、図3に示す低周波電流307に対応する。
インピーダンス測定装置は、必要な低周波電流を生成するために適切な高周波電流を生成する。
例えば、インピーダンス測定装置は、f0である低周波を有する低周波電流を生成するために周波数の差がf0である高周波電流を生成する。
インピーダンス測定装置は、周波数の差がf0である高周波電流を合成して唸り電流を生成し、唸り電流のエンベロープを低周波電流として利用する。
【0038】
図5及び図6は、本発明の一実施形態に係る刺激領域に低周波電気刺激を加えるプロセスを説明するための図である。
図5を参照すると、インピーダンス測定装置は、第1電流515及び第2電流525を用いてターゲット部位530内の刺激領域540に電気刺激を加える。
高周波電流生成器510は、第1高周波に対応する第1電流515を生成し、高周波電流生成器520は、第2高周波に対応する第2電流525を生成する。
インピーダンス測定装置は、ターゲット部位530内の刺激領域540に電気刺激を加えるために電極アレイの電極551、電極552を選択し、選択された電極551、電極552に第1電流及び第2電流525を印加する。
【0039】
電極551、電極552に第1電流515及び第2電流525が印加されれば、第1電流515及び第2電流525は、刺激領域540で重なって、唸り現象による高周波電気刺激及び低周波電気刺激が刺激領域540に誘導される。
刺激領域540は、唸り現象による低周波電気刺激の成分には反応するが、高周波電気刺激の成分には反応しないため、結果的に、低周波電気刺激のみが刺激領域540に加えられたような効果を見せる。
低周波電気刺激は、第1高周波と第2高周波との間の差に対応する。
インピーダンス測定装置は、予め構築されたデータベースを参照して電極551、電極552を選択する。
また、インピーダンス測定装置は、第1電流515及び第2電流525が刺激領域540に電気刺激を加えるための適切な周波数で生成されるよう、高周波電流生成器510及び高周波電流生成器520を制御する。
【0040】
図6を参照すると、インピーダンス測定装置は、第1電流615及び第2電流625を用いてターゲット部位630内の刺激領域640に電気刺激を加える。
図5に示す刺激領域540の位置及び図6に示す刺激領域640の位置は、互いに異なる。
インピーダンス測定装置は、刺激領域540と異なる位置の刺激領域640を刺激するために、電極アレイで図5に示す電極551、電極552と異なる位置の電極651、電極652を選択する。
電極651、電極652に第1電流615及び第2電流625が印加されれば、第1電流615及び第2電流625は、刺激領域640で重なって唸り現象による高周波電気刺激及び低周波電気刺激が刺激領域640に誘導される。
【0041】
刺激領域540は、唸り現象による低周波電気刺激の成分には反応するが、高周波電気刺激の成分には反応しないため、結果的に、低周波電気刺激のみが刺激領域540に加えられたような効果を見せる。
インピーダンス測定装置は、予め構築されたデータベースを参照して電極651、電極652を選択し、第1電流615及び第2電流625が刺激領域640に電気刺激を加えるための適切な周波数で生成されるように高周波電流生成器610及び高周波電流生成器620を制御する。
【0042】
例えば、ターゲット部位(530、630)は、神経束に対応し、刺激領域(540、640)は、神経束内の少なくとも1つの神経に対応する。
一例として、ターゲット部位(530、630)は、座骨神経(sciatic nerve)に対応し、刺激領域(540、640)は、座骨神経に含まれた脛骨神経(tibial nerve)及び総腓骨神経(common peroneal nerve)にそれぞれ対応する。
【0043】
図7は、本発明の一実施形態に係るインピーダンス測定装置の概略構成を示すブロック図である。
図7を参照すると、インピーダンス測定装置700は、コントローラ710、電流生成回路720、電極スイッチングネットワーク730、生体電位測定器740、及び電極アレイ760を含む。
【0044】
インピーダンス測定装置700は、ターゲット部位750の生体インピーダンスを測定したり、ターゲット部位750内の刺激部位に電気刺激を印加する。
電流生成回路720は、高周波電流生成器(721、722)及び低周波電流生成器723を含む。
高周波電流生成器(721、722)は、コントローラ710の命令による周波数に基づいて電流を生成する。
例えば、高周波電流生成器721は、コントローラ710の制御により第1高周波f1に対応する第1電流を生成する。
高周波電流生成器722は、コントローラ710の制御により第2高周波f2に対応する第2電流を生成する。
低周波電流生成器723は、第1電流及び第2電流に基づいて第1高周波f1と第2高周波f2との間の差|f1-f2|に対応する低周波電流を生成する。
例えば、低周波電流生成器723は、第1高周波f1の電流及び第2高周波f2の電流を合成して唸り電流を生成し、唸り電流のエンベロープに基づいて低周波電流を生成する。
【0045】
電極アレイ760は、ターゲット部位750に接触する複数の電極を含む。
複数の電極は、ターゲット部位750を取り囲むように配置される。
例えば、ターゲット部位750は神経束に対応し、電極アレイ760の複数の電極は、ターゲット部位750に対応する神経束を取り囲むように配置される。
生体電位測定器740は、高周波電流及び低周波電流に基づいてターゲット部位にかかる電圧を測定する。
例えば、生体電位測定器740は、ターゲット部位750に高周波電流が印加される間、ターゲット部位750にかかる電圧を測定し、ターゲット部位750に低周波電流が印加される間、ターゲット部位750にかかる電圧を測定する。
【0046】
コントローラ710は、高周波電流及び低周波電流によってターゲット部位750に誘導された電圧に基づいてターゲット部位750のインピーダンスを算出する。
例えば、高周波電流は、第1高周波f1に対応する第1電流及び第2高周波f2に対応する第2電流の内の少なくとも1つに対応し、低周波電流は、周波数の差|f1-f2|に対応する唸り電流のエンベロープに対応する。
電極スイッチングネットワーク730は、コントローラ710の制御に基づいて高周波電流生成器(721、722)、低周波電流生成器723、及び生体電位測定器740の内の少なくとも1つを電極アレイ760の複数の電極の内の少なくとも1つに選択的に接続する。
【0047】
例えば、インピーダンス測定モードで、|f1-f2|の周波数に対応する低周波電流、及びf1の高周波に対応する第1電流がターゲット部位750に印加されるように電極スイッチングネットワーク730は、高周波電流生成器721及び低周波電流生成器723を電極アレイ760の電極に接続する。
また、低周波電流及び第1電流がターゲット部位750に印加されるとき、生体電位測定器740を電極アレイ760の電極に接続する。
電極スイッチングネットワーク730は、電流電極及び電圧電極のローテーションがなされるようにスイッチング動作を行う。
図1には、インピーダンス測定モードでf1の高周波に対応する第1電流が提供されるものとして示しているが、f1の高周波に対応する第1電流の代わりに、f2の高周波に対応する第2電流を提供してもよい。
【0048】
選択的刺激モードにおいて、ターゲット部位750内で刺激領域が選択されれば、コントローラ710は、電極アレイ760に含まれた複数の電極の内の刺激領域に対応する一部の電極を選択する。
選択された電極にf1の高周波に対応する第1電流、及びf2の高周波に対応する第2電流が印加されれば、第1電流及び第2電流は、刺激領域で重なって唸り現象による高周波電気刺激及び低周波電気刺激が刺激領域に誘導され、刺激領域は、低周波電気刺激にのみ反応する。
電極スイッチングネットワーク730は、第1電流及び第2電流がコントローラ710によって選択された電極に印加されるようにコントローラ710により選択された電極に高周波電流生成器(721、722)を接続する。
コントローラ710は、データベースを参照して周波数(f1、f2)を決めたり、刺激領域に対応する電極を選択する。
【0049】
図8は、本発明の一実施形態に係るインピーダンス測定モードによるインピーダンス測定プロセスを説明するためのフローチャートである。
図8を参照すると、ステップS800において、インピーダンス測定装置は、動作モードがインピーダンス測定モードであるか否かを判断する。
動作モードがインピーダンス測定モードである場合、ステップS801が実行され、動作モードがインピーダンス測定モードでなければ、ステップS900が実行される。
ステップS900については、図9を参照して後で説明する。
【0050】
インピーダンス測定装置は、ステップS801において、第1高周波に対応する第1電流を生成し、ステップS802において、電流を印加する電極を決定して第1電流を印加し、ステップS803において、電極をローテーションして電圧を測定する。
例えば、第1電極に第1電流が印加された場合、インピーダンス測定装置は、電極アレイで第1電極を除いた残りの電極に関して電極をローテーションしながら電圧を測定する。
【0051】
ステップS804において、インピーダンス測定装置は、電流電極のローテーションが完了したか否かを判断する。
電流電極のローテーションが完了していない場合、インピーダンス測定装置は、ステップS805において、電流を印加する電極を変更して第1電流を印加し、ステップS803、S804を再び行う。
このような工程を介して、電極アレイ内全ての電極に関して第1電流に基づいた電流印加及び電圧測定が行われる。
【0052】
電流電極のローテーションが完了した場合、インピーダンス測定装置は、ステップS806において、第2高周波に対応する第2電流を生成し、ステップS807において、第1電流及び第2電流の唸り現象に基づいて低周波電流を生成する。
インピーダンス測定装置は、必要な低周波周波数に対応する低周波電流が生成されるように、第1高周波及び第2高周波を選択する。
【0053】
ステップS808~S811の動作は、ステップS802~S805の動作に対応する。
インピーダンス測定装置は、ステップS808において、電流を印加する電極を決定して低周波電流を印加し、ステップS809において、電極をローテーションして電圧を測定し、ステップS810において、電流電極のローテーションが完了したか否かを判断する。
電流電極のローテーションが完了していない場合、インピーダンス測定装置は、ステップS811において、電流を印加する電極を変更して低周波電流を印加し、ステップS809、S810を再び行う。
このような工程を介して電極アレイ内の全ての電極に関して低周波電流に基づいた電流印加及び電圧測定が行われる。
【0054】
電流電極のローテーションが完了した場合、インピーダンス測定装置は、ステップS812において、インピーダンスを算出する。
インピーダンス測定装置は、第1電流、低周波電流(唸り電流のエンベロープ)及び測定された電圧値に基づいてターゲット部位の生体インピーダンスを算出する。
その他、図1図7を参照して説明した事項がインピーダンス測定プロセスに適用される。
【0055】
図9は、本発明の一実施形態に係る選択的刺激モードによる刺激プロセスを説明するためのフローチャートである。
図9を参照すると、ステップS900において、インピーダンス測定装置は、動作モードが選択的刺激モードであるか否かを判断する。
動作モードが選択的刺激モードである場合、ステップS901が行われ、動作モードがインピーダンス測定モードでなければ、ステップS800が行われる。
【0056】
インピーダンス測定装置は、ステップS901において、第1高周波に対応する第1電流を生成し、ステップS902において、第2高周波に対応する第2電流を生成し、ステップS903において、電流を印加する電極を決定し、ステップS904において、決定された電極を介して第1電流及び第2電流を印加する。
決定された電極に第1電流及び第2電流が印加されれば、第1電流及び第2電流は、刺激領域で重なって唸り現象による高周波電気刺激及び低周波電気刺激が刺激領域に誘導され、刺激領域は低周波電気刺激に反応する。
その他、図1図7を参照して説明した事項がインピーダンス測定プロセスに適用される。
【0057】
上述した実施形態は、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、又はハードウェア構成要素、及びソフトウェア構成要素の組み合せで具現される。
例えば、本実施形態で説明した装置及び構成要素は、例えば、プロセッサ、コントローラ、ALU(arithmetic logic unit)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor)、マイクロコンピュータ、FPA(field programmable array)、PLU(programmable logic unit)、マイクロプロセッサー、又は命令(instruction)を実行して応答する異なる装置のように、1つ以上の汎用コンピュータ又は特殊目的コンピュータを用いて具現される。
【0058】
処理装置は、オペレーティングシステム(OS)及びオペレーティングシステム上で実行される1つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行する。
また、処理装置は、ソフトウェアの実行に応答してデータをアクセス、格納、操作、処理、及び生成する。
理解の便宜のために、処理装置は、単一ものが使用されるものとして説明する場合もあるが、当技術分野で通常の知識を有する者は、処理装置が、複数の処理要素(processing element)及び/又は複数の類型の処理要素を含むことが理解できよう。
例えば、処理装置は、複数のプロセッサ又は1つのプロセッサ及び1つのコントローラを含む。
また、並列プロセッサ(parallel processor)のような、他の処理構成も可能である。
【0059】
ソフトウェアは、コンピュータプログラム、コード、命令、又はそのうちの一つ以上の組み合わせを含み、所望通りに動作するよう処理装置を構成したり、独立的又は結合的に処理装置を命令することができる。
ソフトウェア及び/又はデータは、処理装置によって解釈されたり処理装置に命令又はデータを提供するために、いずれかの類型の機械、構成要素、物理的装置、仮想装置、コンピュータ格納媒体又は装置、又は送信される信号波に永久的又は一時的に具体化することができる。
ソフトウェアは、ネットワークに接続されたコンピュータシステム上に分散され、分散した方法で格納されたり実行され得る。
ソフトウェア及びデータは、一つ以上のコンピュータで読出し可能な記録媒体に格納され得る。
【0060】
本実施形態による方法は、様々なコンピュータ手段を介して実施されるプログラム命令の形態で具現され、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。
記録媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独又は組み合せて含む。
記録媒体及びプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計して構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知のものであり使用可能なものであってもよい。
【0061】
コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例として、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、及び磁気テープのような磁気媒体、CD-ROM、DVDのような光記録媒体、フロプティカルディスクのような磁気-光媒体、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置を含む。
プログラム命令の例としては、コンパイラによって生成されるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを用いてコンピュータによって実行される高級言語コードを含む。
ハードウェア装置は、本発明に示す動作を実行するために1つ以上のソフトウェアモジュールとして作動するように構成してもよく、その逆も同様である。
【0062】
尚、本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
110、700 インピーダンス測定装置
120、530、630、750 ターゲット部位
121、351、352、551、552、651、652 電極
310 第1高周波電流生成器
320 第2高周波電流生成器
335 エンベロープ検出器
340 生体電位測定器
510、520、610、620、721、722 高周波電流生成器
710 コントローラ
720 電流生成回路
723 低周波電流生成器
730 電極スイッチングネットワーク
740 生体電位測定器
760 電極アレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9