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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/05 20060101AFI20230912BHJP
   H01R 13/24 20060101ALI20230912BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
H01R13/05 Z
H01R13/24
H01R13/11 301D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021206097
(22)【出願日】2021-12-20
(65)【公開番号】P2023091383
(43)【公開日】2023-06-30
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】須田 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】河村 主税
(72)【発明者】
【氏名】関村 勇太
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0366856(US,A1)
【文献】特開2020-064857(JP,A)
【文献】特開2014-078373(JP,A)
【文献】特開2017-162698(JP,A)
【文献】特開2018-067496(JP,A)
【文献】特開2019-129128(JP,A)
【文献】特開2015-002072(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0281028(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/05
H01R 13/11
H01R 13/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向において相手側端子と接続するための端子であって、
前記端子は、円筒状の基部と、複数の支持部と、複数の接点とを有しており、
前記支持部の夫々は、弾性変形可能となっており、前記基部から前記前後方向において前方に延びており、
前記支持部は、前記前後方向に平行な軸を中心とする周方向に配置されており、
前記接点は、前記端子が前記相手側端子と接続した際に、前記相手側端子と接触し、
前記接点は、前記支持部に夫々支持されており、
前記接点の夫々は、前記前後方向と直交する径方向に移動可能となっており、
一部の前記接点は、残りの前記接点よりも前記前後方向において後方に位置しており、
前記周方向及び前記径方向の少なくとも一方において、一部の前記支持部のサイズは、残りの前記支持部のサイズよりも少なくとも部分的に小さい
端子。
【請求項2】
請求項1記載の端子であって、
前記端子は、複数の前端部と、スリットと、連結部とを有しており、
前記前端部は、前記前後方向において前記接点から夫々前方に延びており、
前記連結部は、C字形状を有しており、前記スリットを除いて前記前端部を連結しており、
前記複数の支持部の1又は2の前記支持部は、前記スリットから最も遠い位置にあり、
前記周方向及び前記径方向の少なくとも一方において、前記1又は2の支持部のサイズは、残りの前記支持部のサイズよりも少なくとも部分的に小さい
端子。
【請求項3】
請求項1記載の端子であって、
前記支持部は、互いに独立しており、
前記支持部の夫々と前記基部との境界は、前記前後方向において互いに同じ位置に位置しており、
前記端子は、前記支持部に夫々対応する自由端を有しており、
前記自由端は、前記前後方向において前記接点の前方に位置しており、
前記複数の支持部は、第1支持部と、第2支持部とを含んでおり、
前記前後方向において、前記第1支持部のサイズは、前記第2支持部のサイズよりも小さく、
前記周方向及び前記径方向の少なくとも一方において、前記第1支持部のサイズは、前記第2支持部のサイズよりも少なくとも部分的に小さい
端子。
【請求項4】
請求項3記載の端子であって、
前記接点は、前記径方向において外側に突出しており、
前記複数の支持部の全ての前記径方向外側の面は、前記前後方向と直交する平面内において、共通の円上にある
端子。
【請求項5】
請求項3又は請求項4記載の端子であって、
前記端子は、複数の前端部を有しており、
前記前端部は、前記前後方向において前記接点から夫々前方に延びており、
前記前端部は、前記自由端を構成しており、
前記前端部は、前記基部よりも厚みが小さい
端子。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の端子であって、
前記端子は、曲げられた板材からなる
端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の支持部と、複数の接点とを有する端子に関する。
【背景技術】
【0002】
図24を参照すると、特許文献1には、この種の端子900が開示されている。図23及び図24を参照して、端子900は、X方向(嵌合方向)において相手側端子970と接続するものである。端子900は、円筒状の基部910と、複数の支持部920,922,924と、複数の接点930,932,934と、複数の前端部940,942,944と、スリット950と、連結部960とを有している。支持部920,922,924の夫々は、弾性変形可能となっており、基部910から+X方向に延びている。支持部920,922,924は、X方向に平行な軸を中心とする周方向に配置されている。接点930,932,934は、端子900が相手側端子970と接続した際に、相手側端子970と接触する。接点930,932,934は、支持部920,922,924に夫々支持されている。接点930,932,934の夫々は、X方向と直交する径方向に移動可能となっている。接点930は、接点932,934よりも-X側に位置している。前端部940,942,944は、接点930,932,934から夫々+X方向に延びている。連結部960は、スリット950を除いて前端部940,942,944を連結している。
【0003】
特許文献1の端子900においては、接点930,932,934の嵌合方向における位置が異なっている。これにより、端子900と相手側端子970との嵌合の際に端子900の挿入力が低減されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第10224659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の端子900においては、相手側端子970との嵌合の繰り返しにより、接点930,932,934の接触機能が低下する可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、相手側端子との嵌合を繰り返したとしても、接点の接触機能が低下しない端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
特許文献1の端子900の場合、スリット950近傍の支持部922,924は弾性変形しやすく、スリット950から最も遠い位置にある支持部922,924は弾性変形しにくくなっている。即ち、スリット950近傍の接点932,934の接圧は低く、スリット950から最も遠い接点932,934の接圧は高くなっている。これにより、スリット950から最も遠い支持部922,924は劣化しやすく、スリット950から最も遠い接点932,934は摩耗しやすい。
【0008】
また、特許文献1の端子900においては、前端部940,942,944がスリット950を除いて連結部960により連結されているが、前端部940,942,944が連結されておらず、各支持部920,922,924が独立して弾性変形可能となるような構成も考えられる。このような構成の場合、ばね長が短い支持部920の接点930は、ばね長が長い支持部922の接点932と比較して接圧が高くなる。従って、この場合、支持部920が劣化しやすく、接点930が摩耗しやすい。
【0009】
即ち、各支持部の厚みや幅を互いに同一としつつ接点の位置を嵌合方向においてズラした端子においては、接圧の高い接点を支持する支持部と、接圧の低い接点を支持する支持部との併存が避けられない。
【0010】
そこで発明者は、上述の問題を回避するため、接圧が高くなると想定される接点の支持部の周方向及び径方向の少なくとも一方のサイズを、残りの支持部のサイズよりも小さくして接点の接圧を下げることを発案し、本発明に至った。
【0011】
即ち、本発明は、第1の端子として、
前後方向において相手側端子と接続するための端子であって、
前記端子は、円筒状の基部と、複数の支持部と、複数の接点とを有しており、
前記支持部の夫々は、弾性変形可能となっており、前記基部から前記前後方向において前方に延びており、
前記支持部は、前記前後方向に平行な軸を中心とする周方向に配置されており、
前記接点は、前記端子が前記相手側端子と接続した際に、前記相手側端子と接触し、
前記接点は、前記支持部に夫々支持されており、
前記接点の夫々は、前記前後方向と直交する径方向に移動可能となっており、
一部の前記接点は、残りの前記接点よりも前記前後方向において後方に位置しており、
前記周方向及び前記径方向の少なくとも一方において、一部の前記支持部のサイズは、残りの前記支持部のサイズよりも少なくとも部分的に小さい
端子を提供する。
【0012】
また、本発明は、第2の端子として、第1の端子であって、
前記端子は、複数の前端部と、スリットと、連結部とを有しており、
前記前端部は、前記前後方向において前記接点から夫々前方に延びており、
前記連結部は、C字形状を有しており、前記スリットを除いて前記前端部を連結しており、
前記複数の支持部の1又は2の前記支持部は、前記スリットから最も遠い位置にあり、
前記周方向及び前記径方向の少なくとも一方において、前記1又は2の支持部のサイズは、残りの前記支持部のサイズよりも少なくとも部分的に小さい
端子を提供する。
【0013】
また、本発明は、第3の端子として、第1の端子であって、
前記支持部は、互いに独立しており、
前記支持部の夫々と前記基部との境界は、前記前後方向において互いに同じ位置に位置しており、
前記端子は、前記支持部に夫々対応する自由端を有しており、
前記自由端は、前記前後方向において前記接点の前方に位置しており、
前記複数の支持部は、第1支持部と、第2支持部とを含んでおり、
前記前後方向において、前記第1支持部のサイズは、前記第2支持部のサイズよりも小さく、
前記周方向及び前記径方向の少なくとも一方において、前記第1支持部のサイズは、前記第2支持部のサイズよりも少なくとも部分的に小さい
端子を提供する。
【0014】
また、本発明は、第4の端子として、第3の端子であって、
前記接点は、前記径方向において外側に突出しており、
前記複数の支持部の全ての前記径方向外側の面は、前記前後方向と直交する平面内において、共通の円上にある
端子を提供する。
【0015】
また、本発明は、第5の端子として、第3又は第4の端子であって、
前記端子は、複数の前端部を有しており、
前記前端部は、前記前後方向において前記接点から夫々前方に延びており、
前記前端部は、前記自由端を構成しており、
前記前端部は、前記基部よりも厚みが小さい
端子を提供する。
【0016】
また、本発明は、第6の端子として、第1から第5までのいずれかの端子であって、
前記端子は、曲げられた板材からなる
端子を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の端子は、周方向及び径方向の少なくとも一方において、一部の支持部のサイズが、残りの支持部のサイズよりも少なくとも部分的に小さくなっている。これにより、本発明の端子は、支持部のサイズを互いに同一とした場合に接圧が高くなると想定される接点の接圧が低減されている。即ち、本発明の端子は、相手側端子との嵌合を繰り返したとしても、接点の接触機能が低下しないようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態による組立体を示す側面図である。図において、コネクタは、相手側コネクタと嵌合していない。
図2図1の組立体を示す正面図である。
図3図2の組立体をA-A線に沿って示す断面図である。
図4図1の組立体を示す別の側面図である。図において、コネクタは、相手側コネクタと嵌合している。
図5図4の組立体を示す正面図である。
図6図5の組立体をB-B線に沿って示す断面図である。
図7図3の組立体のコネクタに含まれる端子を示す斜視図である。
図8図7の端子を示す上面図である。
図9図7の端子を示す側面図である。
図10図9の端子をC-C線に沿って示す断面図である。
図11図9の端子をD-D線に沿って示す断面図である。
図12図9の端子をE-E線に沿って示す断面図である。
図13図7の端子を示す正面図である。
図14図13の端子をF-F線に沿って示す断面図である。
図15図13の端子をG-G線に沿って示す断面図である。
図16図7の端子の変形例を示す斜視図である。
図17図16の端子を示す上面図である。
図18図16の端子を示す側面図である。
図19図18の端子をH-H線に沿って示す断面図である。
図20図16の端子を示す正面図である。
図21図20の端子をI-I線に沿って示す断面図である。
図22図20の端子をJ-J線に沿って示す断面図である。
図23】特許文献1の端子及び相手側端子を示す一部断面図である。
図24図23の端子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示されるように、本発明の実施の形態による組立体10は、相手側コネクタ40と、コネクタ20とを備えている。
【0020】
図3に示されるように、本実施の形態の相手側コネクタ40は、相手側保持部材42と、相手側端子850とを備えている。
【0021】
図3を参照して、本実施の形態の相手側保持部材42は、絶縁体からなる。
【0022】
図3を参照して、本実施の形態の相手側端子850は、金属製である。相手側端子850は、相手側保持部材42に保持されている。
【0023】
図1及び図4から理解されるように、本実施の形態のコネクタ20は、前後方向において前方に位置する相手側コネクタ40と前後方向に沿って嵌合可能である。本実施の形態において、前後方向はX方向である。また、前方は+X方向であり、後方は-X方向である。
【0024】
図3に示されるように、本実施の形態のコネクタ20は、保持部材22と、端子100とを備えている。
【0025】
図3を参照して、本実施の形態の保持部材22は、絶縁部材からなる。保持部材22は、開口部23と、相手側端子収容部24とを有している。
【0026】
図3に示されるように、本実施の形態の開口部23は、保持部材22の前後方向における前端に位置している。開口部23は、相手側端子収容部24とコネクタ20の外部とを連通している。
【0027】
図3に示されるように、本実施の形態の相手側端子収容部24は、開口部23の前後方向における後方に位置している。図6に示されるように、相手側端子収容部24は、コネクタ20と相手側コネクタ40とが嵌合した際に相手側端子850の一部を収容する。
【0028】
図3及び図6を参照して、本実施の形態の端子100は、前後方向において相手側端子850と接続するためのものである。即ち、コネクタ20が相手側コネクタ40と嵌合した際、端子100は相手側端子850と嵌合する。端子100は、保持部材22に保持されている。端子100の一部は、相手側端子収容部24内に位置している。
【0029】
図7を参照して、端子100は、金属製である。端子100は、曲げられた板材からなる。即ち、端子100は、金属のブロック材から切削加工で形成されたものではない。
【0030】
図7に示されるように、端子100は、円筒状の基部200と、複数の支持部300と、複数の接点500とを有している。
【0031】
図8に示されるように、本実施の形態の基部200は、前後方向に延びている。基部200は、端子100の前後方向における後端を規定している。図8及び図12から理解されるように、基部200は板材のエッジ同士を対向させるように円筒状に曲げて構成されたものであり、対向部202を有している。なお、この対向部202は、カシメや溶接などにより互いに接続されていてもよい。
【0032】
図8及び図9を参照して、本実施の形態の支持部300の夫々は、弾性変形可能となっている。支持部300の夫々は、基部200から前後方向において前方に延びている。支持部300は、互いに独立している。支持部300の夫々と基部200との境界400は、前後方向において互いに同じ位置に位置している。なお、本発明はこれに限定されず、支持部300の夫々と基部200との境界400が、前後方向において異なっていてもよい。図11に示されるように、支持部300は、前後方向に平行な軸を中心とする周方向に配置されている。特に、本実施の形態においては、支持部300は、周方向に等間隔に配置されている。
【0033】
図8及び図9に示されるように、複数の支持部300は、支持部320と、支持部340とを含んでいる。ここで、支持部320を、第1支持部320ともいう。また、支持部340を、第2支持部340ともいう。即ち、複数の支持部300は、第1支持部320と、第2支持部340とを含んでいる。
【0034】
図11に示されるように、本実施の形態の第1支持部320の数は、3つである。なお、本発明はこれに限定されず、第1支持部320の数は、3以外であってもよい。図8に示されるように、前後方向において、第1支持部320のサイズSX1は、第2支持部340のサイズSX2よりも小さい。即ち、本実施の形態において、第1支持部320は第2支持部340よりも短い。第1支持部320及び第2支持部340は、周方向において互いに隣接している。第1支持部320は、径方向外側に向いた面322を有している。
【0035】
図11に示されるように、径方向において、第1支持部320のサイズSR1は、第2支持部340のサイズSR2よりも小さい。即ち、本実施の形態において、第1支持部320は第2支持部340より薄い。図14に示されるように、第1支持部320の径方向におけるサイズSR1は、基部200の厚みS2よりも小さい。即ち、本実施の形態において、第1支持部320は、基部200よりも薄い。
【0036】
図8及び図9に示されるように、本実施の形態の第2支持部340の数は、3つである。なお、本発明はこれに限定されず、第2支持部340の数は、3以外であってもよい。第2支持部340は、径方向外側に向いた面342を有している。
【0037】
図11に示されるように、第1支持部320と第2支持部340とは、周方向において交互に配置されている。即ち、第1支持部320の夫々は、周方向において2つの第2支持部340の間に配置されており、第2支持部340の夫々は、周方向において2つの第1支持部320の間に配置されている。
【0038】
図11に示されるように、複数の支持部300の全ての径方向外側の面322,342は、前後方向と直交する平面内において、共通の円上にある。
【0039】
図11及び図14を参照して、端子100は、一枚の金属板をプレスして型抜きした後、第1支持部320の径方向内面をコイニングし、更に曲げ加工して作製されている。
【0040】
図8及び図9に示されるように、端子100は、支持部300に夫々対応する自由端302を有している。即ち、本実施の形態の支持部300は、支持部300の前方において他の支持部300と連結されてはいない。このため、上述したように、支持部300は互いに独立して弾性変形可能である。
【0041】
図8に示されるように、本実施の形態の自由端302は、前後方向において接点500の前方に位置している。自由端302は、端子100の前後方向における前端を規定している。図3に示されるように、自由端302は、開口部23の前後方向における後方に位置している。自由端302は、相手側端子収容部24内に位置している。
【0042】
図6を参照して、本実施の形態の接点500は、端子100が相手側端子850と接続した際に、相手側端子850と接触する。図8及び図9に示されるように、接点500は、支持部300に夫々支持されている。図10を参照して、接点500の夫々は、前後方向と直交する径方向に移動可能となっている。
【0043】
図13に示されるように、本実施の形態の接点500は、径方向において外側に突出している。図6及び図13を参照して、端子100と相手側端子850とが嵌合した際に、接点500の径方向外面が相手側端子850と接触する。なお、本発明はこれに限定されず、接点500は、径方向において内側に突出していてもよい。即ち、端子100と相手側端子850とが嵌合した際に、接点500の径方向内面が相手側端子850と接触するように構成されていてもよい。
【0044】
上述のように、複数の支持部300の全ての径方向外側の面322,342は、前後方向と直交する平面内において、共通の円上にある。これにより、図6及び図13を参照して、本実施の形態の端子100においては、相手側端子850と接触する接点500の径方向における位置のバラつきが抑制されているため、端子100が相手側端子850と接続した際に、相手側端子850に対する接点500の接触信頼性が確保されている。
【0045】
図10に示されるように、複数の接点500は、接点520と、接点540とを含んでいる。接点520は、第1接点520ともいう。また、接点540は、第2接点540ともいう。即ち、複数の接点500は、第1接点520と、第2接点540とを含んでいる。
【0046】
図14に示されるように、本実施の形態の第1接点520は、第1支持部320に弾性支持されている。第1支持部320における前後方向において境界400よりも接点520に近い位置での径方向のサイズSR1は、基部200の厚みS2よりも小さい。第1接点520は、第2接点540よりも前後方向において後方に位置している。即ち、一部の接点520は、残りの接点540よりも前後方向において後方に位置している。これにより、端子100を相手側端子850に挿入する際に、挿入力が低減されている。
【0047】
図8に示されるように、本実施の形態の第2接点540は、第2支持部340に弾性支持されている。第2接点540は、第1接点520よりも前後方向において前方に位置している。
【0048】
上述のように、前後方向において、第1支持部320のサイズSX1は、第2支持部340のサイズSX2よりも小さくなっている。これにより、支持部300の径方向におけるサイズSRを互いに同一とした場合、第1支持部320に支持された第1接点520は、第2支持部340に支持された第2接点540よりも、接圧高くなると想定される。しかしながら、上述のように、径方向において、第1支持部320のサイズSR1は、第2支持部340のサイズSR2よりも小さくなっている。これにより、本実施の形態の端子100は、支持部300の径方向におけるサイズSRを互いに同一とした場合に接圧が高くなると想定される第1接点520の接圧が低減されており、接点500の接圧のバラつきが一定範囲内となっている。即ち、本実施の形態の端子100は、相手側端子850との嵌合を繰り返したとしても、接点520の接触機能が低下しないようになっている。なお、本発明はこれに限定されず、周方向及び径方向の少なくとも一方において、第1支持部320のサイズが、第2支持部340のサイズよりも少なくとも部分的に小さくなっていればよい。換言すれば、周方向及び径方向の少なくとも一方において、一部の支持部320のサイズが、残りの支持部340のサイズよりも少なくとも部分的に小さくなっていればよい。これにより、本実施の端子100と同様の効果が得られる。
【0049】
図10に示されるように、第1接点520と第2接点540とは、周方向において交互に配置されている。即ち、第1接点520の夫々は、周方向において2つの第2接点540の間に配置されており、第2接点540の夫々は、周方向において2つの第1接点520の間に配置されている。
【0050】
上述のように、第1接点520は、第2接点540よりも前後方向において後方に位置しており、第1接点520と第2接点540とは、周方向において交互に配置されている。即ち、周方向において隣接する接点500の前後方向における位置が、ズレている。これにより、本実施の形態の端子100においては、接圧のバランスがとれた接点500の配置となっている。
【0051】
図8及び図9に示されるように、端子100は、複数の前端部600を有している。
【0052】
図8及び図9に示されるように、本実施の形態の前端部600は、前後方向において接点500から夫々前方に延びている。前端部600は、支持部300よりも前後方向において前方に位置している。前端部600は、自由端302を構成している。図10に示されるように、前端部600は、接点500の径方向における内側に位置している。図14に示されるように、前端部600の径方向におけるサイズS1は、基部200の厚みS2よりも小さい。即ち、前端部600は、基部200よりも厚みが小さい。なお、径方向において、前端部600のサイズS1は、第1支持部320のサイズSR1よりも小さい。これにより、コネクタ20と相手側コネクタ40との嵌合の際に前端部600が弾性変形しても、相手側コネクタ40の構成部材であって相手側端子850以外の構成部材との距離を確保できるため、端子100が上記構成部材に突き当って座屈することを防止することができる。
【0053】
コネクタ20の端子100の構成は、上述したものには限定されず、例えば、以下のような変形が可能である。
【0054】
図16を参照して、本発明の変形例による端子100Aは、金属製である。端子100Aは、上述の実施の形態の端子100と同様に、曲げられた板材からなる。即ち、端子100Aは、金属のブロック材から切削加工で形成されたものではない。
【0055】
図16に示されるように、端子100Aは、円筒状の基部200Aと、複数の接点500Aと、複数の前端部600Aと、スリット700と、連結部800と、複数の支持部300Aとを有している。
【0056】
図17に示されるように、本変形例の基部200Aは、前後方向に延びている。基部200Aは、端子100の前後方向における後端を規定している。図19を参照して、基部200Aは板材のエッジ同士を対向させるように円筒状に曲げて構成されたものであり、対向部202Aを有している。なお、この対向部202Aは、カシメや溶接などにより互いに接続されていてもよい。
【0057】
図6及び図18を参照して、本変形例の接点500Aは、端子100Aが相手側端子850と接続した際に、相手側端子850と接触する。図17及び図18に示されるように、接点500Aは、支持部300Aに夫々支持されている。図20を参照して、接点500Aの夫々は、前後方向と直交する径方向に移動可能となっている。
【0058】
図20に示されるように、本変形例の接点500Aは、径方向において外側に突出している。図6及び図20を参照して、端子100Aと相手側端子850とが嵌合した際に、接点500Aの径方向外面が相手側端子850と接触する。なお、本発明はこれに限定されず、接点500Aは、径方向において内側に突出していてもよい。即ち、端子100Aと相手側端子850とが嵌合した際に、接点500Aの径方向内面が相手側端子850と接触するように構成されていてもよい。
【0059】
図20に示されるように、複数の接点500Aは、接点560,562と、接点570,572と、接点580,582とを含んでいる。接点560,562は、第1接点560,562ともいう。また、接点570,572は、第2接点570,572ともいう。更に、接点580,582は、第3接点580,582ともいう。即ち、複数の接点500Aは、第1接点560,562と、第2接点570,572と、第3接点580,582とを含んでいる。
【0060】
図17図18図21及び図22から理解されるように、第1接点560,562は、第2接点570,572及び第3接点580,582のいずれよりも前後方向において後方に位置している。第2接点570,572は、第1接点560,562よりも前後方向において前方に位置している。第2接点570,572は、第3接点580,582よりも前後方向において後方に位置している。第3接点580,582は、第1接点560,562及び第2接点570,572のいずれよりも前後方向において前方に位置している。
【0061】
図17及び図18に示されるように、本変形例の前端部600Aは、前後方向において接点500Aから夫々前方に延びている。
【0062】
図20に示されるように、本変形例のスリット700は、連結部800を周方向において分断している。本変形例のスリット700の数は、一つである。
【0063】
図20に示されるように、本変形例の連結部800は、C字形状を有している。図17及び図18から理解されるように、連結部800は、スリット700を除いて前端部600Aを連結している。
【0064】
図17及び図18を参照して、本変形例の支持部300Aの夫々は、弾性変形可能となっている。支持部300Aの夫々は、基部200Aから前後方向において前方に延びている。上述のように、接点500Aは、支持部300Aに夫々支持されており、前端部600Aは、接点500Aから夫々前方に延びており、連結部800は、スリット700を除いて前端部600Aを連結していることから、本変形例の支持部300Aは、上述の実施の形態の支持部300と異なり、互いに独立してはいない。図19に示されるように、支持部300Aは、前後方向に平行な軸を中心とする周方向に配置されている。
【0065】
図17及び図18に示されるように、複数の支持部300Aは、支持部360,362と、支持部370,372と、支持部380,382とを含んでいる。ここで、支持部360,362を、第1支持部360,362とも呼ぶ。また、支持部370,372を、第2支持部370,372とも呼ぶ。更に、支持部380,382を、第3支持部380,382とも呼ぶ。
【0066】
図17及び図21を参照して、前後方向において、第1支持部360,362の夫々のサイズSAX1は、第2支持部370,372のサイズSAX2及び第3支持部380,382のサイズSAX3のいずれよりも小さい。図19に示されるように、第1支持部360,362は、径方向において対向配置されている。第1支持部360は、周方向において第2支持部370と第3支持部380との間に位置している。第1支持部362は、周方向において第2支持部372と第3支持部382との間に位置している。第1支持部360,362は、径方向外側に向いた面3602,3622を有している。
【0067】
図17及び図21を参照して、前後方向において、第2支持部370,372の夫々のサイズSAX2は、第1支持部360,362のサイズSAX1よりも大きく、第3支持部380,382のサイズSAX3よりも小さい。図19に示されるように、第2支持部370,372は、径方向において対向配置されている。第2支持部370は、周方向において第1支持部360と第3支持部382との間に位置している。第2支持部372は、周方向において第1支持部362と第3支持部380との間に位置している。第2支持部370,372は、径方向外側に向いた面3702,3722を有している。
【0068】
図17及び図21を参照して、前後方向において、第3支持部380,382の夫々のサイズSAX3は、第1支持部360,362サイズSAX1及び第2支持部370,372のサイズSAX2のいずれよりも大きい。図19に示されるように、第3支持部380,382は、径方向において対向配置されている。第3支持部380は、周方向において第1支持部360と第2支持部372との間に位置している。第3支持部382は、周方向において第1支持部362と第2支持部370との間に位置している。第3支持部380,382は、径方向外側に向いた面3802,3822を有している。
【0069】
図17及び図18に示されるように、第1接点560,562は、第1支持部360,362に弾性支持されている。図22に示されるように、第2接点570,572は、第2支持部370,372に弾性支持されている。図17及び図21に示されるように、第3接点580,582は、第3支持部380,382に弾性支持されている。
【0070】
上述のように、第1接点560,562は、第2接点570,572及び第3接点580,582のいずれよりも前後方向において後方に位置している。即ち、一部の接点560,562は、残りの接点570572,580,582よりも前後方向において後方に位置している。これにより、端子100Aを相手側端子850に挿入する際に、挿入力が低減されている
【0071】
図19に示されるように、径方向において、支持部362,370,372,382は、互いに同じサイズSAR3を有している。
【0072】
図19及び図20を参照して、複数の支持部300Aの支持部360,380は、スリット700から最も遠い位置にある。従って、支持部300Aの径方向におけるサイズSARを互いに同一とした場合、支持部360,380に支持された接点560,580は、接点500Aの中で接圧が最も高くなると想定される。
【0073】
図19に示されるように、径方向において、支持部360のサイズSAR1は、支持部362,370,372,382のサイズSAR3よりも小さい。また、径方向において、支持部380のサイズSAR2は、支持部362,370,372,382のサイズSAR3よりも小さい。これにより、本変形例の端子100Aにおいては、支持部300Aの径方向におけるサイズSARを互いに同一とした場合に接圧が高くなると想定される接点560,580の接圧が低減されており、接点500Aの接圧のバラつきが一定範囲内となっている。即ち、本変形例の端子100Aは、相手側端子850との嵌合を繰り返したとしても、接点500Aの接触機能が低下しないようになっている。なお、本発明はこれに限定されず、周方向及び径方向の少なくとも一方において、一部の支持部360,380のサイズが、残りの支持部362,370,372,382のサイズよりも少なくとも部分的に小さくなっていればよい。これにより、本変形例の端子100Aと同様の効果が得られる。
【0074】
上述の変形例においては、2つの支持部360,380がスリット700から最も遠い位置にあったが、本発明はこれに限定されず、スリット700から最も遠い位置に位置する支持部300Aが1つであってもよい。即ち、端子100Aが以下のように構成されていてもよい:複数の支持部300Aの1又は2の支持部300Aは、スリット700から最も遠い位置にある;周方向及び径方向の少なくとも一方において、1又は2の支持部300Aのサイズは、残りの支持部300Aのサイズよりも少なくとも部分的に小さい。これにより、本変形例の端子100Aと同様の効果が得られる。
【0075】
図19に示されるように、複数の支持部300Aの全ての径方向外側の面3602,3622,3702,3722,3802,3822は、前後方向と直交する平面内において、共通の円上にある。これにより、図6及び図20を参照して、本変形例の端子100Aにおいては、相手側端子850と接触する接点500Aの径方向における位置のバラつきが抑制されているため、端子100Aが相手側端子850と接続した際に、相手側端子850に対する接点500Aの接触信頼性が確保されている。
【0076】
図19を参照して、端子100Aは、一枚の金属板をプレスして型抜きした後、支持部360,380の径方向内面をコイニングし、更に曲げ加工して作製されている。
【0077】
以上、本発明について、実施の形態を掲げて具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるわけではなく、種々の変形が可能である。また、以上の実施の形態及び変形例を複数組み合わせてもよい。
【0078】
本変形例の端子100Aにおいて、スリット700の数は一つであったが、本発明はこれに限定されない。即ち、スリット700の数は、2つ以上であってもよい。なお、この場合においても、周方向及び径方向の少なくとも一方において、スリット700から最も遠い位置にある支持部300Aのサイズは、残りの支持部300Aのサイズよりも少なくとも部分的に小さくなっている必要がある。これにより、本変形例の端子100Aと同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0079】
10 組立体
20 コネクタ
22 保持部材
23 開口部
24 相手側端子収容部
40 相手側コネクタ
42 相手側保持部材
100,100A 端子
200,200A 基部
202,202A 対向部
300,300A 支持部
302 自由端
320 第1支持部(支持部)
322 面
340 第2支持部(支持部)
342 面
360 第1支持部(支持部)
3602 面
362 第1支持部(支持部)
3622 面
370 第2支持部(支持部)
3702 面
372 第2支持部(支持部)
3722 面
380 第3支持部(支持部)
3802 面
382 第3支持部(支持部)
3822 面
400 境界
500,500A 接点
520 第1接点(接点)
540 第2接点(接点)
560 第1接点(接点)
562 第1接点(接点)
570 第2接点(接点)
572 第2接点(接点)
580 第3接点(接点)
582 第3接点(接点)
600,600A 前端部
700 スリット
800 連結部
850 相手側端子
S1 サイズ
S2 厚み
SR サイズ
SR1 サイズ
SR2 サイズ
SX1 サイズ
SX2 サイズ
SAR サイズ
SAR1 サイズ
SAR2 サイズ
SAR3 サイズ
SAX1 サイズ
SAX2 サイズ
SAX3 サイズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24