(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】光ファイバ照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 8/00 20060101AFI20230913BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20230913BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230913BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20230913BHJP
【FI】
F21V8/00 230
F21V8/00 282
F21V8/00 241
F21Y101:00 100
F21Y115:10
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2019218977
(22)【出願日】2019-12-03
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】391009936
【氏名又は名称】株式会社住田光学ガラス
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【氏名又は名称】柿沼 公二
(74)【代理人】
【識別番号】100180655
【氏名又は名称】鈴木 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 信仁
(72)【発明者】
【氏名】高久 英明
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-076965(JP,A)
【文献】特開2018-063396(JP,A)
【文献】特開平07-211116(JP,A)
【文献】国際公開第2010/038573(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 8/00
F21Y 101/00
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバと、束ねられた前記複数の光ファイバを覆って光を発する樹脂外装と、を有し、第1の端部および第2の端部が研磨された光ファイバ束と、
前記複数の光ファイバの開口角よりも広い角度範囲の光を前記光ファイバ束に出射するように、前記第1の端部に近接して配置される第1の光源と、を備
え、
前記複数の光ファイバの開口数が0.75以上である、光ファイバ照明装置。
【請求項2】
前記第1の光源は複数であり、
複数の前記第1の光源のそれぞれは、複数に分かれた前記第1の端部のそれぞれに近接して配置される、請求項1に記載の光ファイバ照明装置。
【請求項3】
前記複数の光ファイバの開口角よりも広い角度範囲の光を前記光ファイバ束に出射するように、前記第2の端部に近接して配置される第2の光源、を備える、請求項1または2に記載の光ファイバ照明装置。
【請求項4】
前記第2の光源は複数であり、
複数の前記第2の光源のそれぞれは、複数に分かれた前記第2の端部のそれぞれに近接して配置される、請求項3に記載の光ファイバ照明装置。
【請求項5】
前記複数の光ファイバの開口数が0.80以上である、請求項1から
4のいずれか一項に記載の光ファイバ照明装置。
【請求項6】
前記複数の光ファイバの開口数が0.85以上である、請求項1から
5のいずれか一項に記載の光ファイバ照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光ファイバ照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバの側面を光らせて照明として用いる光ファイバ照明装置が知られている。照明装置に用いられる光ファイバは、コアの長手方向の少なくとも一端から入射された光を、クラッドを通して漏光させる。例えば、特許文献1に記載の光ファイバは、コア内部またはコアとクラッドとの境界に複数のナノサイズ構造体を設けて、比較的均一に光を散乱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ナノサイズ構造体のように光を散乱させる粒子を含む光ファイバは、適切に粒子を分散させることが難しく、製造の難易度が高い。つまり、特許文献1に記載の光ファイバは、特別な方法を用いて製造される。
【0005】
かかる点に鑑みてなされた本開示の目的は、製造に特別な方法を用いない光ファイバを使用し、側面からの発光量を改善した光ファイバ照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る光ファイバ照明装置は、複数の光ファイバと、束ねられた前記複数の光ファイバを覆って光を発する樹脂外装と、を有し、第1の端部および第2の端部が研磨された光ファイバ束と、前記複数の光ファイバの開口角よりも広い角度範囲の光を前記光ファイバ束に出射するように、前記第1の端部に近接して配置される第1の光源と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、製造に特別な方法を用いない光ファイバを使用し、側面からの発光量を改善した光ファイバ照明装置が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る光ファイバ照明装置の外観を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1の光ファイバ照明装置の部分断面図である。
【
図5】
図5は、光源と光ファイバ束の端部との距離および入射角を説明する図である。
【
図6】
図6は、光源と光ファイバ束の端部との距離と、光量割合との関係を示す図である。
【
図7】
図7は、光の入射角の違いによる側面発光量の変化を示す図である。
【
図8】
図8は、光ファイバの開口数の違いによる側面発光量の変化を示す図である。
【
図9】
図9は、光ファイバの開口数と光量割合との関係を示す図である。
【
図10】
図10は、変形例に係る光ファイバ照明装置の外観を示す図である。
【
図11】
図11は、別の変形例に係る光ファイバ照明装置の外観を示す図である。
【
図12】
図12は、距離d、距離Lおよび距離hを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、一実施形態に係る光ファイバ照明装置1の外観を示す図である。光ファイバ照明装置1は、外観上、樹脂外装101で覆われた光ファイバ束10と、第1の光入射部20-1と、第2の光入射部20-2と、を有する。樹脂外装101は、光ファイバ束10の側面に対応し、光を発する部分である。光ファイバ束10は、長手方向において、第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部と、を有する。第1の端部および第2の端部は研磨されている。第1の端部および第2の端部は、例えば光学研磨面に形成された平坦面である。第1の光入射部20-1および第2の光入射部20-2は、それぞれ、光ファイバ束10の第1の端部および第2の端部に光を入射する。入射された光が光ファイバ束10の内部で漏れ出して樹脂外装101によって拡散されるため、光ファイバ照明装置1の側面が発光する。本実施形態に係る光ファイバ照明装置1は、第1の光入射部20-1および第2の光入射部20-2を備える。しかし、光ファイバ照明装置1は、第1の光入射部20-1および第2の光入射部20-2のうち1つだけを備える構成であってよい。また、本実施形態において、第1の光入射部20-1は第2の光入射部20-2と同じ構造である。しかし、第1の光入射部20-1は第2の光入射部20-2と異なる構造であってよい。
【0010】
図2は、本実施形態に係る光ファイバ照明装置1の部分断面図である。光ファイバ束10は、樹脂外装101で覆われた発光部分と、樹脂外装101で覆われてなくライトガイド201として機能する導光部分と、を有する。光ファイバ束10は、発光部分を挟んで、長手方向の両端付近のそれぞれに導光部分を有する。第1の光入射部20-1は、光源200と、筐体202と、スイッチ203と、を備える。光源200は、光ファイバ束10に入射される光のソースであって、例えばランプ、LEDまたはレーザ等であり得る。光源200は、配光分布が広いもの、すなわち光が広く拡散するものが好ましい。本実施形態において、光源200は可視光のLEDである。また、筐体202は、光源200、ライトガイド201およびスイッチ203の一部等を収納し、光源200とライトガイド201との位置関係を定める部品である。筐体202は、例えば樹脂または金属等で形成され得る。本実施形態において、筐体202の材質は樹脂である。スイッチ203は、光源200を光らせるための電子部品である。本実施形態において、スイッチ203が光ファイバ照明装置1のユーザによってオン状態にされると、光源200のLEDが発光して光ファイバ束10に光が入射される。
【0011】
上記のように、第2の光入射部20-2は、第1の光入射部20-1と同じ構造である。すなわち、第2の光入射部20-2は、第1の光入射部20-1と同じく、光源200と、筐体202と、スイッチ203と、を備える。ここで、第1の光入射部20-1と第2の光入射部20-2の光源200を区別する場合に、第1の光入射部20-1の光源200は、第1の光源200-1と表記される。また、第2の光入射部20-2の光源200は、第2の光源200-2と表記される。
【0012】
図3は、
図2における第1の光入射部20-1の断面領域Aの拡大図である。第1の光入射部20-1において、第1の光源200-1は、光ファイバ束10の第1の端部102に発光面を向けて、近接して配置される。第1の光源200-1と光ファイバ束10の導光部分とは筐体202内に収納されており、第1の光源200-1と第1の端部102との位置関係は保たれる。第2の光入射部20-2においても、第2の光源200-2は、光ファイバ束10の第2の端部に発光面を向けて、近接して配置される。第2の光源200-2と光ファイバ束10の第2の端部との位置関係は、第2の光入射部20-2の筐体202によって保たれる。
【0013】
図4は、光ファイバ束10の断面図である。光ファイバ束10は、断面視で、中間部100と、中間部100を覆う樹脂外装101と、を有する。中間部100において、複数の光ファイバ11が束ねられる。本実施形態において、複数の光ファイバ11は、少なくとも光ファイバ束10の発光部分において、固化剤等によって固定されることなく単に束ねられた状態で可撓性のある樹脂外装101によって覆われる。そのため、ユーザは、光ファイバ照明装置1の発光部分を容易に曲げることができる。それぞれの光ファイバ11は、コア11aと、その外周面を覆うクラッド11bと、で構成される単芯光ファイバである。本実施形態において、束ねられる複数の光ファイバ11は、開口数NAが同じ1つの種類である。しかし、複数の光ファイバ11は、開口数NAの異なる2種類以上の光ファイバを含んでよい。
【0014】
一般的に、光ファイバ11の開口数NAは、コア11aの屈折率をn1とし、クラッド11bの屈折率をn2とし、光ファイバ11の外部が空気(屈折率が1)とすると、下記の式(1)により求められる。
【0015】
【0016】
コア11aの屈折率n1およびクラッド11bの屈折率n2は、コア11aおよびクラッド11bが例えばガラスから構成される場合、日本光学硝子工業会規格における「光学の屈折率測定方法」を用いて測定して得られる。
【0017】
式(1)において、θは光ファイバ11の受光角度である。2θを開口角という。式(1)からわかるように、光ファイバは、コア11aの屈折率n1とクラッド11bの屈折率n2との差が大きいと、開口数NAは大きくなり、広い角度範囲の光を受光して、広い角度範囲に光を出射するようになる。逆に、光ファイバは、コア11aの屈折率n1とクラッド11bの屈折率n2との差が小さいと、開口数NAは小さくなり、狭い角度範囲の光を受光して、狭い角度範囲に光を出射するようになる。
【0018】
ここで、本実施形態において、光ファイバ11は、光を散乱させる粒子を含むようなものではなく、製造に特別な方法を用いるものでない。例えば光ファイバ11のコア11aおよびクラッド11bがガラスから構成される場合、以下のように、光ファイバ束10が製造され得る。まず、コアガラスおよびクラッドガラスがそれぞれ製造される。コアガラスおよびクラッドガラスの材料は多成分ガラスである。その後、二重坩堝法により紡糸し、コアガラスとそれを覆うクラッドガラスとが同心円状にされた単芯ファイバすなわち光ファイバ11を得る。二重坩堝法は、コア用坩堝とクラッド用坩堝とが同心円状に配設された二重坩堝を用いて、各坩堝内のコアガラスとクラッドガラスを加熱して、二重坩堝のノズルから単芯ファイバを連続的に線引き(紡糸)するものである。その後、単芯ファイバはクリーンルーム内で所定の長さに裁断される。そして、
図4に示すように、裁断された50~100000本程度の単芯ファイバを束ねて、樹脂外装101で覆うことによって、光ファイバ束10が得られる。
【0019】
上記のような製造方法で作られる光ファイバ束10は量産性に優れる。しかし、このような光ファイバ束10の側面から発する光量は低く、照明の用途には不十分であるとの課題があった。この課題を解決するための方途について鋭意究明したところ、光源200と光ファイバ束10の端部との位置関係を、光ファイバ11の開口数NAに関連する所定の関係を満足させることによって、側面発光量が向上することを見出すに至った。つまり、本実施形態に係る光ファイバ照明装置1は、光源200と光ファイバ束10の端部とが、以下に説明する位置関係にあることによって、十分に側面発光量を向上させることが可能である。
【0020】
図5は、光源200と光ファイバ束10の第1の端部102との距離dおよび光の入射角θiを説明する図である。光源200と第1の端部102との距離dが近付くにつれて、光の入射角θiは大きくなる。ここで、
図5では、光ファイバ束10の第1の端部102を例に説明するが、第2の端部についても入射角θiと距離dとの関係は同じである。
【0021】
上記のように、光ファイバ束10を構成する光ファイバ11は所定の開口数NAを有しており、開口角2θが決まっている。開口角2θよりも広い角度範囲の光が入射されても、光ファイバ11によって伝送されない光が生じる。従来、伝送効率を高めるために、集光レンズを用いて入射角θiをθ以下にすることが通常であった。集光レンズを用いることは、光量を減らさずに、距離dをある程度大きくとることに対応する。
【0022】
本実施形態に係る光ファイバ照明装置1では、第1の光源200-1は、複数の光ファイバ11の開口角2θよりも広い角度範囲の光を光ファイバ束10に出射するように、集光レンズを用いることなく、第1の端部102に近接して配置される。
図6は、後述する実施例1の光ファイバ11を用いて、第1の光源200-1と第1の端部102との距離dを変化させた場合における側面発光量を示す図である。
図6の横軸は、第1の光源200-1と第1の端部102との距離dを示す。また、
図6の縦軸は、側面発光量の変化を相対的に示す光量割合である。縦軸は、第1の光源200-1と第1の端部102とが接している場合、すなわち、距離dがゼロの場合の側面発光量を1とする比率で示される。
図6に示されるように距離dが大きくなると側面発光量が減少するため、光源200は、第1の端部102に近接して配置されることが好ましい。距離dがゼロの場合と比べて側面発光量は1/4よりも大きいことが好ましい。そのため、近接とは、距離dが2mm未満であることをいう。近接とは、より好ましくは、距離dが1mm未満であることをいう。近接とは、さらに好ましくは、距離dが0.5mm未満であることをいう。側面発光量を減少させないとの観点において、光源200と光ファイバ束10の端部とは接していることが最も好ましい。
【0023】
ここで、実施例1における距離dは、
図12に示すように、光源200の発光面(LED発光面)と光ファイバ束10の第1の端部102との距離である。仮に集光レンズを介して光ファイバ束10に光源200の光が入射する場合、距離dは、集光レンズの焦点と光ファイバ束10の第1の端部102との距離である。また、距離Lは、第1の端部102から光ファイバ束10の長手方向(光ファイバ束10が延びる方向)に沿った距離である。また、距離hは、光ファイバ束10の表面のある位置から、光ファイバ束10の長手方向に垂直な方向へ離れた距離である。上記の
図6の側面発光量の測定において、側面発光量を測定する測定器(ディテクタ)は、光ファイバ束10から長手方向に垂直な方向に離れて配置される。
図6では、測定位置までの距離hは1.0mmとした。第2の端部についても距離Lおよび距離hの定義は同じである。
【0024】
図7は、光の入射角の違いによる側面発光量の変化を示す図である。実施例1は、本実施形態に係る光ファイバ照明装置1の一例であって、
図1から
図4で説明した構成を有する。また、実施例1は、光源200であるLEDと光ファイバ束10の第1の端部102との距離dが0.5mm未満である。光ファイバ11の開口角2θは120°であって、開口数NAが0.87である。実施例1の第2の光入射部20-2は、第1の光入射部20-1と同じである。本実験において、第1の光入射部20-1のスイッチ203をオン状態にして、1つの光源200によって光ファイバ束10の側面が発光するようにした。そして、光ファイバ束10の第1の端部102から距離Lが1700mmの位置まで、50mmごとに発光の強度が測定された。このとき、測定位置までの距離hは1.0mmとした。ここで、光ファイバ束10の発光部分が第1の端部102から200mmの位置から始まるため、最初の測定は当該位置から開始されている。
【0025】
比較例1は、実施例1と光源200が異なる。比較例1は、筐体202で固定されるLEDに代えて、LED光源装置(LS-L150、住田光学ガラス社製)を光源200として用いた。比較例1で使用したLED光源装置は発光したLEDの光をレンズで集光して光ファイバ束10へ入射する。したがって光ファイバ束10への入射角θiがθ以下となる。すなわち、入射角の2倍の角度2θiが開口角2θ以下となる。比較例1における距離d(この場合は上記のようにレンズの焦点と第1の端部102の距離)は0.5mm以下である。ここで、実施例1と比較例1において光ファイバ束10への入射光量が同等となるよう各光源の光量を調整した。その他については実施例1と同じである。
【0026】
図7の横軸は、測定位置を第1の端部102からの距離Lで示したものである。また、
図7の縦軸は、測定された発光の強度を示す。
図7に示されるように、全ての距離Lにおいて、実施例1の発光の強度が比較例1を上回る。つまり、開口角2θよりも広い角度範囲の光を光ファイバ束10に出射する構成である実施例1の方が、比較例1よりも側面発光量が向上し、照明用途として適していることが示されている。これは、開口角2θよりも広い角度範囲の光が、光ファイバ束10の内部で漏れ出すことによって、発光の強度の上昇に寄与していると考えられる。
【0027】
図8は、光ファイバ11の開口数NAの違いによる側面発光量の変化を示す図である。照明としての実用性の観点から、
図7とは別に、光ファイバ束10が有する複数の光ファイバ11の種類を変更する実験が行われた。
図8の横軸および縦軸は
図7と同じである。
【0028】
実施例1は、
図7の実験で説明したものと同じである。比較例2は、光ファイバ11の開口角2θが70°であって、開口数NAが0.57である。比較例3は、光ファイバ11の開口角2θが15°であって、開口数NAが0.13である。比較例2および比較例3は、光ファイバ11の種類以外については、実施例1と同じである。
【0029】
図8に示されるように、全ての測定位置において、発光の強度は実施例1、比較例2、比較例3の順に大きい。つまり、開口数NAが大きいほど側面発光量が向上し、照明用途として適していることが示されている。これは、開口数NAが小さいと、開口角2θが小さいために多くの光が第1の端部102の近くで漏れ出してしまい、発光部分に光が届かずに側面発光量が低下したと考えられる。
図9は、光ファイバの開口数NAと光量割合との関係を示す図である。
図9の横軸は開口数NAを示す。また、
図9の縦軸は、側面発光量の変化を相対的に示す光量割合である。縦軸は、実施例1の光ファイバ11の開口数NAを1とする比率で示される。
図9に示されるように、開口数NAが0.75の場合に、光量割合は約0.5になる。また、開口数NAが0.60の場合に、光量割合は約0.25になる。
【0030】
ここで、例えば側面発光長さが5m以下の光ファイバ照明装置1では、実用性の観点から、第1の端部102から1mの距離Lにおいて最低でも5μW程度の発光強度を有することが好ましい。測定位置までの距離hは1.0mmである。実施例1は、第1の端部102から1mの距離Lにおいて5μWの2倍以上の発光強度を有する。一方で、比較例2および比較例3は、第1の端部102から1mの距離における発光強度が5μWに満たない。また、開口数NAが0.75の場合、
図9のように実施例1に対する光量割合は約0.5であるため、第1の端部102から1mの距離Lにおいて5μW程度の発光強度を有する。すると、複数の光ファイバ11の開口数NAは0.75以上であることが好ましい。複数の光ファイバ11の開口数NAは0.80以上であることがより好ましい。複数の光ファイバ11の開口数NAは0.85以上であることがさらに好ましい。ここで、複数の光ファイバ11が異なる種類の光ファイバ11で構成される場合には、複数の光ファイバ11の平均の開口数NAが0.75以上であることが好ましい。また、複数の光ファイバ11の全ての開口数NAが0.75以上であることがより好ましい。
【0031】
以上、実施形態を諸図面および実施例に基づき説明したが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形および修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形および修正は本開示の範囲に含まれることに留意すべきである。例えば、各部材、機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の部材などを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0032】
例えば、上記の実施形態では、第1の光入射部20-1は1つであるものとして説明した。また、第2の光入射部20-2は1つであるものとして説明した。ただし、本開示の光ファイバ照明装置1は、第1の光入射部20-1および第2の光入射部20-2の少なくとも1つが複数であってよい。
【0033】
図10は、変形例に係る光ファイバ照明装置1の外観を示す図である。本変形例に係る光ファイバ照明装置1は、赤色用の第1の光入射部20-1rと、緑色用の第1の光入射部20-1gと、青色用の第1の光入射部20-1bと、を備える。それぞれの第1の光入射部20-1は、それぞれ赤色用、黄色用、青色用の第1の光源200-1を有する。つまり、本変形例に係る光ファイバ照明装置1において、第1の光源200-1は複数である。光ファイバ束10は分岐点において、複数の光ファイバ11が赤色用、黄色用、青色用に分かれ、それぞれ第1の端部102を有する。そして、複数の第1の光源200-1のそれぞれは、複数に分かれた第1の端部102のそれぞれに近接して配置される。ユーザが本変形例に係る光ファイバ照明装置1で、例えば赤色用の第1の光入射部20-1rのスイッチ203をオン状態にすると、光ファイバ束10の分岐していない部分、すなわち樹脂外装101で覆われた発光部分が赤色に光る。
【0034】
図11は、別の変形例に係る光ファイバ照明装置1の外観を示す図である。本変形例に係る光ファイバ照明装置1の第1の光入射部20は、
図10の変形例に係る光ファイバ照明装置1と同じである。また、本変形例に係る光ファイバ照明装置1は、昼白色用の第2の光入射部20-2wと、電球色用の第2の光入射部20-2lと、を備える。それぞれの第2の光入射部20-2は、色温度が異なる昼白色用、電球色用の第2の光源200-2を有する。つまり、本変形例に係る光ファイバ照明装置1において、第2の光源200-2は複数である。光ファイバ束10は分岐点において、複数の光ファイバ11が昼白色用、電球色用に分かれ、それぞれ第2の端部を有する。そして、複数の第2の光源200-2のそれぞれは、複数に分かれた第2の端部のそれぞれに近接して配置される。ユーザが本変形例に係る光ファイバ照明装置1で、例えば電球色用の第2の光入射部20-2lのスイッチ203をオン状態にすると、光ファイバ束10の分岐していない部分、すなわち樹脂外装101で覆われた発光部分が電球色に光る。
図10および
図11の変形例に係る光ファイバ照明装置1は、ユーザが発光色を変更可能であるため、装飾用途に適している。
【0035】
本開示において「第1」および「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」および「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」および「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本開示に係る光ファイバ照明装置1は、例えば夜間照明、装飾照明または装着対象物の位置確認または状態確認のための照明等として、工業分野および装飾分野等の様々な分野で利用できる。本開示に係る光ファイバ照明装置1は、特に案内表示、車両の室内灯または室外灯として好適に利用できる。
【符号の説明】
【0037】
1 光ファイバ照明装置
10 光ファイバ束
11 光ファイバ
11a コア
11b クラッド
20-1 第1の光入射部
20-2 第2の光入射部
100 中間部
101 樹脂外装
102 第1の端部
200 光源
200-1 第1の光源
200-2 第2の光源
201 ライトガイド
202 筐体
203 スイッチ