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特許7349201PD1遺伝子の切断を誘導し、外因性配列の効率的な組み込みを実現するsgRNA
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】PD1遺伝子の切断を誘導し、外因性配列の効率的な組み込みを実現するsgRNA
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20230914BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20230914BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230914BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20230914BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230914BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230914BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230914BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20230914BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20230914BHJP
   C07K 19/00 20060101ALN20230914BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALN20230914BHJP
【FI】
C12N15/09 110
C12N15/11 Z ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/13
C12N15/12
C12N5/10
A61P35/00
A61K35/17
C07K16/28
C07K19/00
C12N5/0783
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2022503452
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 CN2020101073
(87)【国際公開番号】W WO2021012960
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-01-28
(31)【優先権主張番号】201910653711.1
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522021985
【氏名又は名称】上海邦耀生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BRL Medicine Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 楫▲欽▼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 佳▲シュエン▼
(72)【発明者】
【氏名】田 悦
(72)【発明者】
【氏名】杜 冰
(72)【発明者】
【氏名】李 大力
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 明耀
(72)【発明者】
【氏名】席 在喜
【審査官】藤澤 雅樹
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103820454(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109517796(CN,A)
【文献】国際公開第2019/118508(WO,A1)
【文献】Nat. Methods. (2019) Vol.16, No.3, pp.247-254 (Author manuscript pp.1-23).
【文献】Oncotarget (2017) Vol.8, No.10, pp.17002-17011
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00
CAplus/REGISTRY(STN)
MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞内のPD1遺伝子に対してインビトロ遺伝子編集を行う方法であって、
(1)ヌクレアーゼ及びsgRNAを細胞に導入することにより、PD1遺伝子に対して遺伝子編集を行うステップ、ここで、前記sgRNAはヌクレアーゼによる前記PD1遺伝子の切断を誘導して切断部位を形成する及び
(2)ドナー修復テンプレートを非ウイルス様式で提供し、前記ドナー修復テンプレートを細胞に導入するステップ、ここで、前記ドナー修復テンプレートは前記(1)で形成された切断部位に導入される、
を含み、
PD1を標的とする前記sgRNAの標的配列は、SEQ ID No.4及び/又はSEQ ID No.5に示す配列を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ヌクレアーゼは、Cas9、Cas3、Cas8a、Cas8b、Cas10d、Cse1、Csy1、Csn2、Cas4、Cas10、Csm2、Cmr5、及びCpf1から選択される1つ又は任意の複数である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヌクレアーゼは、Cas9である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記Cas9は、肺炎レンサ球菌、化膿レンサ球菌、又はストレプトコッカス・サーモフィルスに由来するCas9から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記sgRNAは塩基の化学修飾をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記化学修飾は、メチル化修飾、メトキシ修飾、フッ素化修飾、又はチオ修飾のうちの1つ又は任意の複数である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ドナー修復テンプレートは、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記CARは、特異的標的抗原に結合される細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメインを含む、ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記細胞外ドメインが標的とする抗原は、α葉酸受容体、5T4、αvβ6インテグリン、BCMA、B7-H3、B7-H6、CAIX、CD16、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD79a、CD79b、CD123、CD138、CD171、CEA、CSPG4、EGFRファミリー、EGP2、EGP40、EPCAM、EphA2、EpCAM、FAP、胎児AchR、FRα、GD2、GD3、グリピカン-3(GPC3)、MAGE1/HLA-A1、MAGE1/HLA-A2、MAGE1/HLA-A3、NY-ESO-1/HLA-A1、NY-ESO-1/HLA-A2、NY-ESO-1/HLA-A3、IL-11Rα、IL-13Rα2、Lambda軽鎖、Lewis-Y、Kappa軽鎖、メソテリン、Muc1、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、PRAME、PSCA、PSMA、ROR1、SSX、サバイビン、TAG72、TEM、VEGFR2及びWT-1から選択される1つ又は任意の複数である、ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記細胞外ドメインが標的とする抗原は、EGFR、ErbB2(HER2)、及びEGFRvIIIから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記膜貫通ドメインは、T細胞受容体のα又はβ鎖、CD3δ、CD3ε、CD3γ、CD3ζ、CD4、CD5、CD8α、CD9、CD16、CD22、CD27、CD28、CD33、CD37、CD45、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD152、及びCD154から選択される任意の1つ又は任意の複数の膜貫通ドメインである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激シグナル伝達ドメイン、及び/又は一次シグナル伝達ドメインを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記一次シグナル伝達ドメインは、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD22、CD79a、CD79b、又はCD66dのうちの1つ又は任意の複数を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記共刺激シグナル伝達ドメインは、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、CARD11、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CD54(ICAM)、CD83、CD134(OX40)、CD137(4-1BB)、CD278(ICOS)、DAP10、LAT、NKD2C、SLP76、TRIM、又はZAP70から選択される1つ又は任意の複数である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記細胞は、T細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ヌクレアーゼ、sgRNA又はドナー修復テンプレートを細胞に導入する方式は熱ショック、エレクトロポレーション遺伝子銃、又はマイクロ注射を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ヌクレアーゼ、sgRNA、又はドナー修復テンプレートを細胞に導入するためにエレクトロポレーションを用いる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ヌクレアーゼ及びsgRNAが複合体を形成し、又はヌクレアーゼ、sgRNA、及びドナー修復テンプレートが複合体を形成し、さらにエレクトロポレーションによって前記複合体が細胞に導入される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の方法で製造された遺伝子編集細胞。
【請求項20】
請求項19に記載の細胞の、腫瘍免疫治療又はがん免疫治療製品の製造における使用。
【請求項21】
細胞内のPD1遺伝子に対してインビトロ遺伝子編集及び外因性配列の部位特異的な組込みを行うための組成物であって、
前記組成物はsgRNAを含み、
PD1を標的とする前記sgRNAの標的配列は、SEQ ID No.4及び/又はSEQ ID No.5に示す配列を含む、ことを特徴とする組成物
【請求項22】
前記sgRNAは、塩基の化学修飾をさらに含む、ことを特徴とする請求項21に記載の組成物
【請求項23】
前記化学修飾は、メチル化修飾、メトキシ修飾、フッ素化修飾、又はチオ修飾のうちの1つ又は任意の複数である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
請求項21~23のいずれか一項に記載の組成物の細胞内のPD1遺伝子に対するインビトロ遺伝子編集及び外因性配列の部位特異的な組込みにおける使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヌクレオチドに関し、特に、PD1遺伝子座の切断を誘導することにより、その部位での外因性配列の効率的な組み込みを実現することができるsgRNAに関する。
【背景技術】
【0002】
キメラ抗原受容体T細胞技術(Chimeric Antigen Receptor T-Cell、CAR-T)は、近年出現した新規養子免疫療法である。これは、患者のT細胞をインビトロで遺伝子変改、所定の増幅をした後に患者の体内に投与することで、腫瘍の標的殺傷を実現する。CAR-T構造は、腫瘍の特定の抗原を細胞外で特異的に認識する一本鎖抗体、膜貫通ドメイン、細胞内のT細胞活性化のタンデムシグナルドメインを主に含む(現在、多く使用されるのは、CD28-CD3z及び4-1BB-CD3zである)。2013年に、《科学》雑誌が腫瘍免疫治療技術を2013年トップテンの科学技術の飛躍的進歩として評価して以来、この分野の研究は盛んに発展してきた。現在、2つのCAR-T製品は、米国食品薬品監督管理局により、血液腫瘍の臨床治療に用いることが承認され、CAR-T技術の巨大な成功を意味する。しかし、新興の技術として、CAR-T技術は、各面で依然として多くのチャレンジに直面し、改善する余裕がある。
【0003】
CRISPR/Cas9系は、古細菌及び細菌に由来しプラスミド、ファー等の外因性DNA断片の侵入を抵抗する獲得免疫機構である。この系は、主に、CRISPR配列及びCasタンパク質をコードする遺伝子座により機能し、現在最も一般的に使用されるのは、II型ファミリーのCas9ヌクレアーゼであり、この系は、単一のエフェクタータンパク質だけで機能することができる。外因性DNAが細菌に侵入する場合、II型CRISPR系は、先ず、侵入DNAをCRISPR反復配列の間に組み込む。その後、侵入DNA配列を含むCRISPR RNA(crRNA)は、転写され加工される。その後、トランス活性化crRNA (transactivating CRISPR RNA、 tracrRNA)は、crRNAと結合し、最終的にCas9タンパク質と複合体を形成する。最後に、Cas9タンパク質は、そのHNH及びRuvC様ドメインによってエンドヌクレアーゼ作用を発揮してDNA二重鎖切断を引き起こす。DNAの二重鎖切断は、損傷修復メカニズムを引き起こし、それにより、相同組換え等によって特定の遺伝子の編集を実現する。今まで、CRISPR/Cas9技術は既に多くの分野で応用されており、将来性が期待できる。
【0004】
PD-1は、T細胞表面で発現された重要な免疫抑制膜貫通タンパク質であり、2つのリガンドPD-L1及びPD-L2を有する。研究によると、腫瘍細胞がPD-L1を高発現してPDL1/PD1経路を活性化することができ、それによりPD-1の細胞内ドメインをリン酸化し、チロシンフォスファターゼSHP-2を募集し、それにより、TCRシグナル経路の活性化を減少させ、T細胞の活性化を抑制する。臨床研究によると、PDL1/PD1経路を遮断すると、T細胞の抑制作用を解消し、腫瘍を殺傷する効果を果たすことができる。現在、PDL1/PD1経路を遮断する複数の抗体薬物は、米国食品医薬品監督局により、非小細胞肺がん、黒色腫等の様々な悪性腫瘍の治療に用いられることが承認され、良好な治療効果を示し、PD1免疫チェックポイン療法の巨大な成功を示す。
【0005】
CAR-T細胞の抗腫瘍効果を向上させるために、本発明は、遺伝子編集技術を利用してPD1遺伝子座の特定部位DNAを切断し、また、外因性の目的配列を導入し、CAR-T技術の応用を広げる。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、PD1遺伝子に対して遺伝子編集を行う方法を提供する。
【0007】
本発明では、「遺伝子編集」とは、細胞の遺伝子の標的部位での置換、欠失及び/又は挿入を指す。一実施形態では、遺伝子編集は、1つ以上の天然または人工的に修飾されたヌクレアーゼを細胞に導入して、細胞の標的部位でDNA突然変異を引き起こすことによって達成することができ、他の実施形態では、外因性ドナー修復テンプレートを提供することができる。
【0008】
本発明では、本技術分野における従来の技術を使用してヌクレアーゼを細胞に導入することができ、たとえば、ベクター転換、マイクロ注射、トランスフェクション、脂質トランスフェクション、熱ショック、エレクトロポレーション、形質転換、遺伝子銃、マイクロ注射、DEAE-グルカン仲介転移などを用いて、ヌクレアーゼを細胞に導入することができ、好ましい実施形態では、前記細胞は、T細胞であってもよく、前記導入の方式は、エレクトロポレーションであってもよい。
【0009】
「T細胞」又は「Tリンパ球細胞」は、当技術分野で認められたものであり、胸腺細胞、ナイーブTリンパ球、未成熟Tリンパ球、成熟Tリンパ球、休止Tリンパ球、または活性化Tリンパ球を含む。T細胞は、Tヘルパー1(Th1)細胞またはTヘルパー2(Th2)細胞などのTヘルパー(Th)細胞であってもよい。T細胞は、ヘルパーT細胞(HTL、CD4+T細胞)、CD4+T細胞、細胞毒性T細胞(CTL、CD8+T細胞)腫瘍浸潤性細胞毒性T細胞(TIL、CD8+T細胞)、CD4CD8T細胞、CD4CD8T細胞又は任意のその他のT細胞亜集団であってもよい。一実施形態では、T細胞は、NKT細胞であってもよい。好ましい実施形態では、T細胞は、CARを発現するように修飾される。
【0010】
本発明では、ヌクレアーゼを使用して細胞内のPD1遺伝子を編集することができ、前記ヌクレアーゼは、PD1遺伝子上の標的配列に対して結合したり切断したりことができる。前記ヌクレアーゼは、標的ポリヌクレオチド配列に二本鎖切断を導入することができ、前記二重鎖切断は、ドナー修復テンプレートなどのポリヌクレオチドテンプレートの非存在下で、非相同末端結合(NHEJ)によって修復してもよいし、ドナー修復テンプレートの存在下で、相同指向性修復(HDR)すなわち相同組換えによって修復してもよい。
【0011】
本発明では、ヌクレアーゼとは、1つ以上のDNA結合ドメイン及び1つ以上のDNA切断ドメインを含むヌクレアーゼを指す。本発明のヌクレアーゼは、天然に存在するヌクレアーゼ又は人工的に修飾されたヌクレアーゼから設計および/または修飾されるものであってもよい。本発明のヌクレアーゼは、ホーミングエンドヌクレアーゼ、megaTALs、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)及びクラスター化され、規則的に間隔があいた短い回文構造の繰り返し配列のCRISPR/Casヌクレアーゼ系を含む。好ましい実施形態では、本発明のヌクレアーゼは、CRISPR/Casヌクレアーゼ系を含む。
【0012】
本発明では、CRISPR/Casヌクレアーゼ系は、Casヌクレアーゼ及びCasヌクレアーゼを標的部位に募集する1つ以上のRNAを含み、例えば、トランス活性化cRNA(tracrRNA)及びCRISPR RNA(crRNA)又はシングルガイドRNA(sgRNA)である。crRNA及びtracrRNAは、「シングルガイドRNA」又は「sgRNA」の1つのポリヌクレオチド配列を設計することができる。
【0013】
一実施形態では、Casヌクレアーゼは、二重鎖DNAエンドヌクレアーゼ活性またはニッカーゼ活性を含み、crRNA及びtracrRNA又はsgRNAと標的錯体を形成して、PD1遺伝子座内にあるプロトスペーサー標的配列に対して、部位特異的DNA認識及び部位特異的切断を行う。プロトスペーサーモチーフに隣接する短いプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)は、Cas/RNA錯体の募集に作用を果たす。Casポリペプチドは、Casポリペプチドに特異的なPAMモチーフを認識する。
【0014】
本発明では、Cas酵素は、I型またはIII型Cas酵素、好ましくはII型Cas酵素である。本発明のII型Cas酵素は、任意のCas酵素であってもよく、Cas9、Cas3、Cas8a、Cas8b、Cas10d、Cse1、Csy1、Csn2、Cas4、Cas10、Csm2、Cmr5、Fok1、及び本分野で知られている他のヌクレアーゼ、並びにそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限られない。
【0015】
好ましい実施形態では、本発明のCas酵素は、Cas9であり、さらに好ましくは、Cas9酵素は、肺炎レンサ球菌、化膿レンサ球菌又はストレプトコッカス・サーモフィルスに由来するCas9である。ここでは、肺炎レンサ球菌、化膿レンサ球菌又はストレプトコッカス・サーモフィルスに由来することは、肺炎レンサ球菌、化膿レンサ球菌又はストレプトコッカス・サーモフィルスに由来又は派生すると理解すべきである。派生する酵素の場合、野生型酵素との配列相同性が高いことを意味し、たとえば、特定の部位が突然変異または修飾されている。
【0016】
いくつかの実施形態では、Cas酵素は、D10A、E762A、H840A、N854A、N863A又はD986A及び/又はその他の1つ以上の、Cas酵素のRuvC1又はHNHドメインでの突然変異から選択される1つ以上の突然変異を含む。好ましい実施形態では、前記Cas酵素突然変異は、化膿レンサ球菌(D10A)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(D9A)、トレポネーマデンティコラ(D13A)、髄膜炎菌(D16A)、化膿レンサ球菌(D839A、H840A又はN863A)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(D598A、H599A又はN622A)、トレポネーマデンティコラ(D878A、H879A又はN902A)、及び髄膜炎菌(D587A、H588A又はN611A)を含む。
【0017】
一実施形態では、Cas酵素は、触媒ドメインにおける1つ以上の突然変異を有し、転写する際に、このtracrペアリング配列がこのtracr配列にハイブリダイズされ、且つこのガイド配列は、CRISPR複合体とこの標的配列との配列特異的結合をガイドし、この酵素は、機能ドメインをさらに含む。
【0018】
他の実施形態では、適切なCas9ポリペプチドは、以下の種からも得ることができる。エンテロコッカス・フェシウム(enterococcus faecium)、エンテロコッカス(enterococcus)、リステリア・イノキュア(listeria innocua)、リステリア・モノサイトゲネス(listeria monocytogenes)、リステリア・ゼーリゲリ(listeria seeligeri)、リステリア・イバノビ(listeria ivanovii)、b群溶血性連鎖球菌(streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・アンギノサス(streptococcus anginosus)、ストレプトコッカス・ボヴィス(streptococcus bovis)、b群溶血性連鎖球菌(streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・エクイナス(streptococcus equinus)、ストレプトコッカス・ガロリティカス(streptococcus gallolyticus)、サルミュータンス菌(streptococcus macacae)、ストレプトコッカス・ミュータンス(eptococcus muta)、ストレプトコッカス・マカカエ(streptococcus pseudoporcinus)、化膿レンサ球菌(streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(streptococcus thermophilus)、ストレプトコッカス・ゴルドニイ(streptococcus gordonii)、ストレプトコッカス・インファンタリウス(streptococcus infantarius)、ストレプトコッカス・エクイ(streptococcus equi)、ストレプトコッカス・ミティス(streptococcus mitis)、ストレプトコッカス・ガロリティカス(streptococcus pasteurianus)、豚レンサ球菌(streptococcus suis)、ストレプトコッカス・ベスティブラリス(streptococcus vestibularis)、ストレプトコッカス・サンギス(streptococcus sanguinis)、ストレプトコッカス・ダウネイ(streptococcus downei)、ナイセリア・バシリフォルミス(neisseria bacilliformis)、ナイセリア・シネレア(neisseria cinerea)、ナイセリア‐フラヴェセンス(neisseria flavescens)、ナイセリア‐ラクタミカ(neisseria lactamica)、髄膜炎菌(neisseria meningitidis)、ナイセリア・フラベセンス(n. flavescens)、ラブレ菌(lactobacillus brevis)、ブーフナー菌(lactobacillus buchneri)、カセイ菌(l.casei)、乳酸菌、ラクトバチルス・ファーメンタム(lactobacillus fermentium)、ラクトバチルス・ガセリ(lactobacillus gasseri)、イエンセン乳酸杆菌(lactobacillus jensenii)、ラクトバチルス・ジョンソニ(lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ラムノサスgg(lactobacillus rhamnosus gg)、ラクトバチルス・ルミニス(lactobacillus ruminis)、ラクトバシラス・サリバリウス(lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・サンフランシスエンシス(lactobacillus sanfranciscensis)、コリネバクテリウム・アクコレンス(corynebacterium accolens)、ジフテリア菌(corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム・マツルショッティ(corynebacterium matruchotii)、カンピロバクター・ジェジュニ(campylobacter jejuni)、ウエルシュ菌(clostridium perfringens)、トレポネーマ・ヴァンサン(treponema vincentii)、トレポネーマ・ファージデニス(treponema phagedenis)及びトレポネーマ・デンティコラ(treponema denticola)。
【0019】
他の実施形態では、前記ヌクレアーゼは、Cpf1から選択されてもよく、Cpf1は、フランシセラ属(Francisella)、アシドアミノコッカス属(Acidaminococcus)、プレボテーラ属(Prevotella spp)、ラクノスピラ属(Lachnospiraceae bacterium)などを含むが、これらに限定されない細菌種から得ることができる。
【0020】
本発明では、ガイド核酸配列sgRNAは遺伝子に特異的であり、かつこの遺伝子を標的としてCas核酸エンドヌクレアーゼ誘導二重鎖切断を行う。ガイド核酸配列の配列は、遺伝子の遺伝子座内であってもよい。一実施形態では、ガイド核酸配列の長さは、少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40個以上のヌクレオチドである。
【0021】
ガイド核酸配列は任意の遺伝子に特異的であってもよく、本発明では、sgRNAはPD1遺伝子に特異的である。
【0022】
本発明では、ドナー修復テンプレートは、1つ以上の相同アームを含む。「相同アーム」とは、ドナーテンプレートにおいてヌクレアーゼにより標的部位に導入された、DNAの切断両側のDNA配列が完全に同じであるか又はほぼ完全に同じである核酸配列を指す。
【0023】
一実施形態では、ドナーテンプレートは、5’相同アームを含み、前記5’相同アームは、DNA切断部位の5’でのDNA配列と完全に同じであるか又はほぼ完全に同じである核酸を含む。他の実施形態では、ドナーテンプレートは、3’相同アームを含み、前記3’相同アームは、DNA切断部位の3’でのDNA配列と完全に同じであるか又はほぼ完全に同じである核酸を含む。好ましい実施形態では、ドナーテンプレートは、5’相同アーム及び3’相同アームを含む。
【0024】
本発明の相同アームは、適切な長さを有し、100bp~3000bpを含むがこれらに限定されない。具体的な実施形態では、相同アームの長さは、100bp、200bp、300bp、400bp、500bp、600bp、700bp、800bp、900bp、1000bp、1100bp、1200bp、1300bp、1400bp、1500bp、1600bp、1700bp、1800bp、1900bp、2000bp、2100bp、2200bp、2300bp、2400bp、2500bp、2600bp、2700bp、2800bp、2900bp又は3000bp又はそれ以上の相同アーム、及び、すべての中間長さを含む相同アームから選択することができる。
【0025】
好ましい実施形態では、ドナーテンプレートは、5’相同アーム、CAR及び3’相同アームを含む。
【0026】
好ましい実施形態では、キメラ抗原受容体(CAR)を含む外因性ドナーテンプレートによって、CARをPD1の遺伝子座に挿入する。
【0027】
CARは、標的抗原(たとえば、腫瘍抗原)に対する抗体ベースの特異性と、T細胞受容体活性化細胞内ドメインとを組み合わせて、キメラタンパク質を生成する分子であり、前記キメラタンパク質は、特異的な抗腫瘍細胞免疫活性を呈する。
【0028】
本発明では、CARは、特異的標的抗原に結合される細胞外ドメイン(結合ドメイン又は抗原特異的結合ドメインとも呼ばれる)、膜貫通ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0029】
一実施形態では、CARは、腫瘍細胞で発現された標的ポリペプチドたとえば標的抗原に特異的に結合する細胞外結合ドメインを含む。結合ドメインは、生体分子(たとえば、細胞表面受容体又は腫瘍タンパク質、脂質、多糖又は他の細胞表面標的分子又はその成分)を特異的に認識し結合する能力を有する任意のタンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド又はペプチドを含むことができる。結合ドメインは、関心生体分子の任意の天然に存在するか、合成されるか、半合成されるか、又は組換えて生成された結合パートナーを含む。
【0030】
さらに、細胞外結合ドメインは、抗体又はその抗原結合断片を含む。
【0031】
抗体とは、少なくとも軽鎖又は重鎖免疫グロブリン可変領域を含むポリペプチドとする結合剤であり、前記軽鎖又は重鎖免疫グロブリン可変領域は、標的抗原を特異的に認識して結合するエピトープであり、例えば、ペプチド、脂質、多糖、又は抗原決定クラスターを含有する核酸例えば、免疫細胞により認識される核酸である。抗体は、ラクダIg(ラクダ科抗体又はそのVHH断片)、Ig NAR、Fab断片、Fab′断片、F(ab)′2断片、F(ab)′3断片、Fv、一本鎖Fv抗体(「scFv」)、bis-scFv、(scFv)2、ミニボディー、ダイアボディー、トリボディー、テトラボディー、ジスルフィド安定化Fvタンパク質(「dsFv」)及び単一ドメインン抗体(sdAb、ナノ抗体)又は他の抗体断片などの抗原結合断片を含む。好ましい実施形態では、結合ドメインはscFvである。
【0032】
一実施形態では、前記CARは、α葉酸受容体、5T4、αvβ6インテグリン、BCMA、B7-H3、B7-H6、CAIX、CD16、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD79a、CD79b、CD123、CD138、CD171、CEA、CSPG4、EGFR、ErbB2(HER2)を含むEGFRファミリー、EGFRvIII、EGP2、EGP40、EPCAM、EphA2、EpCAM、FAP、胎児AchR、FRα、GD2、GD3、グリピカン-3(GPC3)、HLA-A1+MAGE1、HLA-A2+MAGE1、HLA-A3+MAGE1、HLA-A1+NY-ESO-1、HLA-A2+NY-ESO-1、HLA-A3+NY-ESO-1、IL-11Rα、IL-13Rα2、Lambda、Lewis-Y、Kappa、メソテリン、Muc1、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、PRAME、PSCA、PSMA、ROR1、SSX、サバイビン、TAG72、TEM、VEGFR2及びWT-1から選択されるいずれか又は任意の幾つかの抗原の細胞外ドメインと結合することを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、CARは、各ドメインの間にリンカー残基を含む。「可変領域連結配列」は、重鎖可変領域を軽鎖可変領域に連結し、前記2つのサブ結合ドメインの相互作用に適合するスペーサー機能を提供するアミノ酸配列であり、同じ軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む抗体と同じ標的分子への特異的結合親和性を得られたポリペプチドに保持させる。具体的な実施例では、リンカーは、1つ以上の重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメイン、ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン及び/又は一次シグナル伝達ドメインを分離する。具体的な実施例では、CARは、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つ以上のリンカーを含む。具体的な実施例では、リンカーの長さは約1個のアミノ酸~約25個のアミノ酸、約5個のアミノ酸~約20個のアミノ酸、又は約10個のアミノ酸~約20個のアミノ酸又は任意の中間長さのアミノ酸である。いくつかの実施例では、リンカーの長さは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個以上のアミノ酸である。
【0034】
一実施形態では、CARの結合ドメインの後は、1つ以上の「スペーサードメイン」であり、前記スペーサードメインは、抗原結合ドメインをエフェクター細胞表面から離れるように移動させて、適切な細胞/細胞接触、抗原結合及び活性化を実現する領域である。スペーサードメインは、天然、合成、半合成又は組換えに由来することができる。いくつかの実施例では、スペーサードメインは、免疫グロブリンの一部であり、CH2及びCH3などの1つ以上の重鎖不変領域を含む。スペーサードメインは、天然に存在する免疫グロブリンのヒンジ領域又は変更された免疫グロブリンのヒンジ領域のアミノ酸配列を含むことができる。一実施形態では、スペーサードメインは、IgG1、IgG4又はIgDのCH2及びCH3を含む。
【0035】
CARは、膜貫通ドメインをさらに含み、膜貫通ドメインは、天然、合成、半合成又は組換えに由来してもよい。一実施形態では、膜貫通ドメインは、T細胞受容体のα又はβ鎖、CD3δ、CD3ε、CD3γ、CD3ζ、CD4、CD5、CD8α、CD9、CD16、CD22、CD27、CD28、CD33、CD37、CD45、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD152、CD154及びPD-1の群の1つ以上の膜貫通ドメインを含むか又はそれらから誘導する1つ以上の膜貫通ドメインを含むことができる。
【0036】
CARは、細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含み、細胞内シグナル伝達ドメインは、標的抗原への有効なCAR結合のメッセージを免疫エフェクター細胞の内部に伝達してエフェクター細胞機能、例えば、CARと結合した標的細胞への細胞傷害性因子の放出、または細胞外CARドメインへの抗原結合に伴って引き出される他の細胞応答を含め、活性化、サイトカイン産生、増殖および細胞傷害活性を引き出す。
【0037】
細胞内シグナル伝達ドメインは、1つ以上の「共刺激シグナル伝達ドメイン」及び1つの「一次シグナル伝達ドメイン」を含み、適切な一次シグナル伝達ドメインは、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD22、CD79a、CD79b及びCD66dを含む。
【0038】
「共刺激シグナル伝達ドメイン」又は「共刺激ドメイン」は、共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインを意味する。適切な共刺激分子は、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、CARD11、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CD54(ICAM)、CD83、CD134(OX40)、CD137(4-1BB)、CD278(ICOS)、DAP10、LAT、NKD2C、SLP76、TRIM及びZAP70を含む。
【0039】
発明の詳細な説明:
一態様では、本発明は、細胞内のPD1遺伝子に対して遺伝子編集を行う方法を提供し、前記方法は、ヌクレアーゼ及びsgRNAを用いてPD1遺伝子に対して遺伝子編集を行うステップを含み、前記sgRNAはヌクレアーゼを誘導してPPD1遺伝子を切断して切断部位を形成する。
【0040】
さらに、PD1を標的とする前記sgRNAの標的配列は、SEQ ID No.1~6のうちの1本又は任意の複数本に示す配列を含む。
【0041】
さらに、前記ヌクレアーゼは、Cas9、Cas3、Cas8a、Cas8b、Cas10d、Cse1、Csy1、Csn2、Cas4、Cas10、Csm2、Cmr5、Fok1、Cpf1から選択される1つ又は任意の複数である。
【0042】
好ましい実施形態では、前記ヌクレアーゼは、Cas9であり、好ましくは、前記Cas9は、肺炎レンサ球菌、化膿レンサ球菌又はストレプトコッカス・サーモフィルスに由来するCas9から選択される。
【0043】
一実施形態では、前記sgRNAは、塩基の化学修飾をさらに含む。好ましい実施形態では、前記sgRNAは、5’末端の1~n番目の塩基の任意の1つ、任意のいくつか又は任意の連続的ないくつかの塩基の化学修飾、及び/又は3’末端の1~n番目の塩基の任意の1つ、任意のいくつか又は任意の連続的ないくつかの塩基の化学修飾を含み、前記nは、2、3、4、5、6、7、8、9又は10から選択される。好ましくは、sgRNAは、5’末端の1つ、2つ、3つ、4つ又は5つの塩基の化学修飾、及び/又は3’末端の1つ、2つ、3つ、4つ又は5つの塩基の化学修飾を含む。たとえば、sgRNAの5’末端の1番目の塩基、2番目の塩基、3番目の塩基、4番目の塩基、5番目の塩基又は1~2番目の塩基、1~3番目の塩基、1~4番目の塩基、1~5番目の塩基に対して化学修飾を行い、及び/又は、sgRNAの3’末端の1番目の塩基、2番目の塩基、3番目の塩基、4番目の塩基、5番目の塩基又は1~2番目の塩基、1~3番目の塩基、1~4番目の塩基、1~5番目の塩基に対して化学修飾を行う。好ましい実施形態では、前記化学修飾は、メチル化修飾、メトキシ修飾、フッ素化修飾又はチオ修飾のうちの1つ又は任意の複数である。
【0044】
前記sgRNAの標的配列は、SEQ ID No.4~5の1つ又は任意の複数本を含む。
【0045】
さらに好ましくは、標的配列の5’末端の前の3つの塩基に対して2-メトキシ修飾及び/又はチオ修飾を行い、さらに好ましくは、標的配列の5’末端の前の3つの塩基に対して全て2-メトキシ修飾及びチオ修飾を行う。
【0046】
さらに、前記方法は、ドナー修復テンプレートを提供するステップをさらに含む。
【0047】
さらに、前記ドナー修復テンプレートは、相同アームを含み、前記相同アームは、5’相同アーム及び/又は3’相同アームを含み、好ましくは、前記5’相同アームの長さは100bp~3000bp、前記3’相同アームの長さは100bp~3000bpである。
【0048】
さらに、前記ドナー修復テンプレートは、外因性配列をさらに含む。
【0049】
さらに、前記ドナー修復テンプレートは、キメラ抗原受容体(CAR)をさらに含む。
【0050】
さらに、前記CARは、特異的標的抗原に結合される細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0051】
さらに、前記細胞外ドメイン標的の抗原は、α葉酸受容体、5T4、αvβ6インテグリン、BCMA、B7-H3、B7-H6、CAIX、CD16、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD79a、CD79b、CD123、CD138、CD171、CEA、CSPG4、EGFR、ErbB2(HER2)を含むEGFRファミリー、EGFRvIII、EGP2、EGP40、EPCAM、EphA2、EpCAM、FAP、胎児AchR、FRα、GD2、GD3、グリピカン-3(GPC3)、HLA-A1+MAGE1、HLA-A2+MAGE1、HLA-A3+MAGE1、HLA-A1+NY-ESO-1、HLA-A2+NY-ESO-1、HLA-A3+NY-ESO-1、IL-11Rα、IL-13Rα2、Lambda、Lewis-Y、Kappa、メソテリン、Muc1、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、PRAME、PSCA、PSMA、ROR1、SSX、サバイビン、TAG72、TEM、VEGFR2及びWT-1から選択される1つ又は任意の複数である。
【0052】
さらに、前記膜貫通ドメインは、T細胞受容体のα又はβ鎖、CD3δ、CD3ε、CD3γ、CD3ζ、CD4、CD5、CD8α、CD9、CD16、CD22、CD27、CD28、CD33、CD37、CD45、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD152、CD154から選択される任意の1つ又は任意の複数の膜貫通ドメインである。
【0053】
さらに、前記細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激シグナル伝達ドメイン及び/又は一次シグナル伝達ドメインを含む。
【0054】
好ましい実施形態では、前記細胞は、T細胞である。
【0055】
さらに、ヌクレアーゼ、sgRNA及びドナー修復テンプレートを細胞に導入する方式は、ベクター転換、マイクロ注射、トランスフェクション、脂質トランスフェクション、熱ショック、エレクトロポレーション、形質転換、遺伝子銃を含む。ここでのベクターは、ヌクレアーゼ、sgRNA又はドナー修復テンプレートをベクターに組換え、その後、ベクターを細胞に形質転換するものとして理解すべきである。好ましくは、エレクトロポレーションの方式を用いることができる。さらに好ましくは、ヌクレアーゼ及びsgRNAを複合体とし、又はヌクレアーゼ、sgRNA及びドナー修復テンプレートを複合体とし、さらにエレクトロポレーションする方式によって複合体を細胞に導入する。
【0056】
他の態様では、本発明は、細胞内のPD1遺伝子に対して遺伝子編集を行うためのsgRNAをさらに提供する。
【0057】
他の態様では、本発明は、上記sgRNAの、細胞内のPD1遺伝子に対する遺伝子編集における使用をさらに提供する。
【0058】
他の態様では、本発明は、上記遺伝子編集方法で製造された遺伝子編集細胞をさらに提供する。
【0059】
他の態様では、本発明は、上記方法で製造された遺伝子編集細胞の、腫瘍免疫治療又はがん免疫治療製品の製造における使用をさらに提供する。
【0060】
一実施形態では、上記製造された遺伝子編集細胞を用いて腫瘍免疫治療又はがん免疫治療製品を製造する場合、細胞は、好ましくはT細胞であり、好ましい実施形態では、上記遺伝子編集されたT細胞を製造する際に、ドナー修復テンプレートは、キメラ抗原受容体(CAR)を含む。
【0061】
さらに、前記腫瘍又はがんは、メラノーマ、バーキットリンパ腫、白血病、肉腫、リンパ腫、多発性骨髄腫、脳がん、神経芽細胞腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、神経膠芽細胞腫、卵巣癌、子宮頸癌、子宮癌、結腸直腸癌、乳がん、膵臓がん、肺がん、胃がん、甲状腺がん、肝臓がん、前立腺がん、食道がん、腎臓がん、膀胱がん及び胆嚢がんから選択される1つ又は任意の複数である。
【発明の効果】
【0062】
本発明に係るsgRNAは、PD1遺伝子座の効率的な切断、外因性配列のPD1の特定の部位での効率的な組み込みを実現し、外因性配列のPD1の特定の部位での組換え効率を効果的に高め、sgRNAの細胞内での安定性を高め、sgRNAによる細胞自然免疫反応を低下させ、細胞の生存率を高める。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】T7E1法でPD1をスクリーニングしてsgRNA配列を効率的に切断する。PD1を標的とする6本の異なるsgRNA(sgRNA1、sgRNA3、sgRNA4、sgRNA7、sgRNA9及びsgRNA10)をそれぞれCas9タンパク質と混合し、ヒトT細胞に導入し、72h後に細胞を収集してT7E1検出を行う。
図2】フロー法でPD1をスクリーニングしてsgRNA配列を効率的に切断する。PD1を標的とする2本のsgRNA(sgRNA7及びsgRNA9)をそれぞれCas9タンパク質と混合し、ヒトT細胞に導入し、72h後に細胞を収集し、PD1発現をフロー検出してノックアウト率を計算する。
図3】蛍光タンパク質レポーター遺伝子を外因性配列として使用し、部位特異的挿入効率を検出する。PD1を標的とする2本のsgRNA(sgRNA7及びsgRNA9)をそれぞれCas9タンパク質及び蛍光タンパク質レポーター遺伝子の外因性DNA配列と混合し、ヒトT細胞に導入し、7日後に細胞を収集してレポーター遺伝子の組み込み率をフロー検出する。
図4】PD1-sgRNA9部位でPD1遺伝子の効率的なノックアウト及び外因性配列の効率的な組み込みを同時に実現することができる。PD1を標的とする1本の効率的なsgRNA(sgRNA9)をCas9タンパク質及び蛍光タンパク質レポーター遺伝子の外因性DNA配列と混合し、ヒトT細胞に導入し、3日後に細胞を収集してレポーター遺伝子の組み込み率及びPD1ノックアウト率をフロー検出する。
図5】PD1に部位特異的に組み込まれたCD19-CARTの陽性率をフロー検出する。PD1を標的とする1本の効率的なsgRNA(sgRNA9)をCas9タンパク質及びCD19-CARTの外因性DNA配列と混合し、異なる個体由来の2つのヒトT細胞に導入し、7日後に細胞を収集してCD19-CART組み込み率をフロー検出する。
図6】PD1に部位特異的に組み込まれたCD19-CARTの増幅及び生存。PD1に部位特異的に組み込まれたCD19-CART細胞と、従来のレンチウイルスで製造されたCD19-CART細胞とのインビトロ増幅レート及び生存率を比較する。
図7】PD1に部位特異的に組み込まれたCD19-CARTのT細胞の活性化検出。PD1に部位特異的に組み込まれたCD19-CART細胞及びレンチウイルスで製造されたCD19-CART細胞をそれぞれPDL1を過剰発現したRaji腫瘍標的細胞と共培養し、24h後に細胞を収集し、T細胞活性化markerの発現をフロー検出し、本発明のsgRNAを用いて、PD1がノックアウトされ部位特異的に組み込まれたCD19-CARTを構築することができ、従来のレンチウイルス方法で製造されたCD19-CARTと比較すると、CAR-T細胞の活性化度が高い。
図8】PD1に部位特異的に組み込まれたCD19-CARTのインビトロ殺傷検出。PD1に部位特異的に組み込まれたCD19-CART細胞及びレンチウイルスで製造されたCD19-CART細胞をそれぞれPDL1を過剰発現したRaji腫瘍標的細胞と共培養し、インビトロ殺傷をLDH法で検出し、本発明のsgRNAを用いて、PD1がノックアウトされ部位特異的に組み込まれたCD19-CARTを構築することができ、従来のレンチウイルス方法で製造されたCD19-CARTと比較すると、CAR-T細胞はより高いインビトロ抗腫瘍能力を有する。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下の特定の実施例および図を参照して、本発明をさらに詳細に説明し、本発明の請求内容は、以下の実施例に限定されない。本発明の概念の要旨および範囲から逸脱することなく、当業者が考えることができる変更および利点はすべて本発明に含まれ、添付の特許請求の範囲は保護範囲である。本発明を実施するための過程、条件、試薬、実験方法等は、以下に具体的に述べる内容を除いて、すべて当分野の知識および周知常識であり、本発明に特別な制限はない。Sambrookら、分子クローン、実験室手帳(New York:ColdSpring Harbor Laboratory Press,1989)の記載、またはメーカーの推奨条件に従う。
【0065】
1、sgRNAの設計:
(1)NCBIによってヒトPD1ゲノム配列を照会し、エクソンNo.1、エクソンNo.2又は重要なタンパク質コード領域を選択してsgRNA設計を行い、設計したsgRNAの標的配列は次のとおりである。
sgRNA1: tgtagcaccgcccagacgac(SEQ ID No.1)
sgRNA3: gtctgggcggtgctacaact(SEQ ID No.2)
sgRNA4: aggcgccctggccagtcgtc(SEQ ID No.3)
sgRNA7: gggcggtgctacaactgggc(SEQ ID No.4)
sgRNA9: cgactggccagggcgcctgt(SEQ ID No.5)
sgRNA10: ctacaactgggctggcggcc(SEQ ID No.6)
【0066】
(2)各sgRNAのoligoを合成し、アニーリングし、PX458ベクターに連結する。
【0067】
2、標的部位のスクリーニング:
2-1 T7E1酵素切断:
(1)Cas9、sgRNAを細胞に形質導入し、ゲノムDNAを抽出する。
【0068】
(2)sgRNA標的部位位置に対してPCRプライマーを設計し、PCR後に標的部位を含むDNA断片を取得し、DNAゲル抽出キットを使用して精製する。
【0069】
(3)T7E1酵素切断・分析:精製後のPCR生成物をアニーリング処理し、アニーリングプロセスは、以下のとおりである。
【表1】
【0070】
アニーリング後の生成物にT7E1酵素を加えて処理し、37℃で30分間インキュベートし、DNA Loading bufferを加えして反応を停止する。
【0071】
(4)ポリアクリルアミドゲル電気泳動:サンプルをポリアクリルアミドゲルに加え、電気泳動タンクに1xTBE溶液を加え、ブロモフェノールブルーがポリアクリルアミドゲルの底部に移動するまで、定電圧100Vで電気泳動する。ゲルを取り出し、EBを含むTBE溶液に10分間浸し、ポリアクリルアミドゲルを取り出し、紫外線下で結像する。
【0072】
(5)切断率をグレースケール分析し、その中から効率的な標的部位を選択する。
【0073】
2-2 ノックアウト率のフロー検出:
(1)Cas9、sgRNAを細胞に形質導入し、2~3日後に細胞を収集する。
【0074】
(2)フロー緩衝液にて細胞を1回洗浄した後、PD1抗体をインキュベートして染色し、氷上で30分間インキュベートする。
【0075】
(3)フロー緩衝液にて細胞を2回洗浄する。
【0076】
(4)適切な体積のフロー緩衝液にて細胞を再懸濁し、フローサイトメトリーで分析する。
【0077】
(5)PD1発現量の変化を検出し、ノックアウト率を計算し、その中から効率的な標的部位を選択する。
【0078】
2-3外因性配列の組換え率検出:
(1)Cas9、sgRNA及び外因性DNAを細胞に形質導入し、7日後に細胞を収集する。
【0079】
(2)フロー緩衝液にて細胞を1回洗浄した後、外因性タンパク質の発現を検出できる抗体等をインキュベートして染色し、氷上で30分間インキュベートする。
【0080】
(3)フロー緩衝液にて細胞を2回洗浄する。
【0081】
(4)適切な体積のフロー緩衝液にて細胞を再懸濁し、フローサイトメトリーで分析する。
【0082】
(5)外因性タンパク質が発現した細胞の割合を検出し、その中から高い組換え率の標的部位を選択する。
【0083】
PD1遺伝子に対する6本のsgRNAとして、sgRNA1、sgRNA3、sgRNA4、sgRNA7、sgRNA9及びsgRNA10を利用してノックアウト効率の検証を行い、図1に示すように、T7E1法を利用してノックアウト率を検出した結果、sgRNA3、sgRNA7及びsgRNA9は高いノックアウト率を有する(図1)。
【0084】
さらにフロー法を用いて、sgRNA7及びsgRNA9のノックアウト率を検証する。その結果、両者がいずれも高いノックアウト率を有し、図2に示すように、結果は、T7E1と一致している。
【0085】
その後、mTurquoise2蛍光タンパク質レポーター遺伝子を外因性ドナー配列とし、sgRNA7及びsgRNA9を部位特異的に挿入する効率を検出する。その結果、sgRNA7及びsgRNA9は、いずれも高い部位特異的組み込み効率を示し、図3に示すように、そのうち、sgRNA7の部位特異的挿入効率は15.2%に達し、sgRNA9の部位特異的挿入効率は23.9%に達する。
【0086】
引き続き、sgRNA9の部位特異的挿入をフロー検出し、その結果、sgRNA9に部位特異的に組み込む蛍光タンパク質陽性細胞はいずれもPD1陰性の細胞であり(図4に示す)、さらに、この方法が外因性配列の部位特異的組み込みを実現できることが実証される。
【0087】
3、PD1がノックアウトされた強化CD19-CART細胞の構築:
以下、sgRNA9を例としてCRISPR/Cas9技術を組み合わせ、PD1がノックアウトされた強化CD19-CART細胞をワンステップで構築する。
【0088】
3-1、sgRNA9の用意:
sgRNA9を合成し、最終濃度10ug/uLになるまで、TE緩衝液に溶解する。
【0089】
3-2、エレクトロポレーション法を採用してPD1に部位特異的に組み込まれたCD19-CARTを製造する。
【0090】
機器と材料:
1 Lonza 4D-NucleofectorTM System ニュークリアフェクター
2 キットは、P3 Primary Cell 4D-NucleofectorTM X Kit、Lonza、 V4XP-3024
3 CD3/CD28磁気ビーズで2~3日刺激された後のT細胞
4 商品化されたspCas9タンパク質(10ug/ul)(Alt-R(R) S.p. Cas9 Nuclease 3NLS、IDT)
5 合成されたsgRNA9
【0091】
具体的な操作ステップ:
100μl仕様のエレクトロポレーションカップに適用:
(1)82μl Solution+18μl supplement/各エレクトロポレーションカップで、エレクトロポレーショントータルに応じて、エレクトロポレーション液mixを調製し、均一に混合し、室温で放置。
【0092】
(2)Cas9タンパク質及びsgRNA9を共インキュベートし、室温で10min放置し、RNPを形成する。
【0093】
(3)RNPに「donor」外因性ドナーDNA(相同アームを含む外因性CD19-CART DNA)を加え、室温で2minインキュベートする。
【0094】
前記CD19-CARTは、CD19を標的とする細胞外ドメイン、CD8αから選択される膜貫通ドメイン、及び、CD3ζ及びCD137から選択される細胞内シグナル伝達ドメインを含み、また、CD19-CARTの5’及び3’末端に相同アームが設けられ、上下流の相同アーム配列は、それぞれSEQ ID No.7及びSEQ ID No.8に示すとおりである。
【0095】
(4)活性化状態のT細胞を収集し、5×10カウントするごとにエレクトロポレーション反応を1回行う。
【0096】
(5)細胞と「RNP+donor」を十分に混合し再懸濁し、エレクトロポレーションカップに加える。
【0097】
(6)エレクトロポレーション装置を開き、エレクトロポレーションカップをスロットホールに入れ、対応するプログラム(Stimulated human T cell)を選択してエレクトロポレーションを行う。
【0098】
(7)細胞を予熱された細胞培地に添加し、セルインキュベータで培養する。
【0099】
3-3、PD1に部位特異的に組み込まれたCD19-CART細胞の評価
上記「donor」外因性ドナーDNAを外因性DNA配列とし、2つの異なるドナー(Donor-1及びDonor-2)のT細胞において、PD1-sgRNA9部位のいずれでも高い部位特異的組み込み率を有することを証明し、図5に示すように、部位特異的組み込み効率は20%~30%に達する。
【0100】
また、PD1に部位特異的に組み込まれたCD19-CARTの細胞(PD1-CD19-CART)を従来のレンチウイルスで製造されたCD19-CART細胞(CD19-CART(Lenti))と比較すると、細胞増幅レートが等しいが、図6に示すように、PD1に部位特異的に組み込まれたCD19-CARTの細胞は、従来のレンチウイルスで製造されたCD19-CART細胞と比較して、より高い細胞生存率を示している。
【0101】
PDL1を過剰発現したRaji腫瘍細胞(バーキットリンパ腫細胞)と共培養し、T細胞活性化マーカーであるCD69及びCD137の発現をフロー検出した結果、図7に示すように、PD1に部位特異的に組み込まれたCD19-CART細胞(PD1-CD19-CART)は、従来のレンチウイルスで製造されたCD19-CART細胞(CD19-CART(Lenti))と比較して、類似するCD69発現及びより高いCD137発現を有する。
【0102】
LDH法を利用してインビトロ殺傷を検出したところ、図8に示すように、PD1に部位特異的に組み込まれたCD19-CART細胞(PD1-CD19-CART)は、従来のレンチウイルスで製造されたCD19-CART細胞(CD19-CART(Lenti))と比較して、PDL1を過剰発現したRaji腫瘍細胞をより強く殺傷する能力を有する。
【0103】
以上のように、本発明のsgRNAを使用し、CRISPR/Cas9技術を組み合わせると、PD1がノックアウトされ部位特異的に組み込まれたCD19-CART細胞をワンステップで構築することができる。この方法は、従来のレンチウイルス法と比較すると、CAR-T製造過程においてウイルスを使用することによるコストを低減し、CAR-T療法の治療費用を大幅に低減することができる。一方、この方法は、CAR-TエレメントをPD1遺伝子座の特定部位に指向的に挿入することで、ウイルスのランダム挿入による潜在的な安全リスクを減少させることができる。また、この方法は、PD1がノックアウトされた強化CD19-CART細胞をワンステップで構築し、CAR-T細胞の抗腫瘍能力を高めることができる。この実施例は、本発明が保護するsgRNAの重要性及び価値を証明するが、PD1の特定部位にCD19-CART外因性配列を指向的に挿入することに限定されず、他のCART配列や免疫治療他の療法の開発まで広げることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
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