(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】被災度表示システム及び被災度表示装置
(51)【国際特許分類】
G01V 1/30 20060101AFI20230914BHJP
G01V 1/34 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
G01V1/30
G01V1/34
(21)【出願番号】P 2020047148
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】片桐 徹
(72)【発明者】
【氏名】三津橋 歩
(72)【発明者】
【氏名】岡田 由佳
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-189617(JP,A)
【文献】特開2013-160709(JP,A)
【文献】特開2018-022991(JP,A)
【文献】登録実用新案第3134806(JP,U)
【文献】特開2004-069598(JP,A)
【文献】特開2009-293934(JP,A)
【文献】特開平02-116781(JP,A)
【文献】国際公開第2017/182977(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00 -99/00 、
G08B19/00 -31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震の発生時に、建物の建設地に伝播してきた地震波を測定して地震波データを生成する測定手段と、
前記建物の構造に関する構造情報を記憶する記憶手段と、
前記測定手段が生成した前記地震波データ及び前記記憶手段が記憶する前記構造情報に基づいて、前記地震によって前記建物が受けたと想定される被災の程度である被災度を決定する決定手段と、
前記決定手段が決定した前記被災度を表示
し、人が操作可能な操作部を有する複数の表示手段と、
前記建物とは異なる場所に設置され、前記表示手段を管理する管理手段と、を備え、
前記記憶手段は、模擬地震波データを更に記憶しており、
前記決定手段は、所定指示がなされた場合に、前記記憶手段が記憶する前記模擬地震波データ及び前記構造情報に基づいて、デモ用の被災度を決定
し、
前記所定指示は、前記操作部になされた所定操作であるか、もしくは前記管理手段から受けた表示指示であり、
前記管理手段は、複数の前記表示手段のうちの任意の前記表示手段に前記表示指示を送ることが可能であり、
前記表示手段は、
前記操作部に対して前記所定操作が行われた場合に、前記デモ用の被災度を、前記地震の発生時における前記被災度を表示するときと同様の態様で表示するとともに、当該被災度の表示がデモ用の表示である旨の第一識別表示を表示し、
前記管理手段から前記表示指示を受けた場合に、前記デモ用の被災度を、前記地震の発生時における前記被災度を表示するときと同様の態様で表示するとともに、当該被災度の表示が、前記第一識別表示で識別されるデモとは異なる他のデモ用の表示である旨の第二識別表示を表示することを特徴とする被災度表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の被災度表示システムにおいて、
前記第二識別表示は、前記デモ用の被災度の表示が防災訓練用であることを識別するためのものであることを特徴とする被災度表示システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の被災度表示システムにおいて、
前記表示手段が表示する前記被災度に対応する音声を出力する出力手段を備え、
前記出力手段は、前記デモ用の被災度を表示する際の音声を、前記地震の発生時における前記被災度を表示するときと同様の態様で出力することを特徴とする被災度表示システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の被災度表示システムにおいて、
前記模擬地震波データは、過去に発生した地震の観測データ又は任意の波のデータに基づいて生成されたものであることを特徴とする被災度表示システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の被災度表示システムにおいて、
前記表示手段は、前記建物に設置された被災度表示装置であることを特徴とする被災度表示システム。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の被災度表示システムにおいて、
前記表示手段は、前記建物とは異なる場所に設置された、又は持ち運び可能な携帯端末であることを特徴とする被災度表示システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の被災度表示システムにおいて、
前記表示手段
が表示する表示画面のうち大部分を、前記決定手段が決定した前記被災度の表示が占めており、
前記被災度には、前記地震波データに基づいて決定した前記建物における震度階級と、地震によって前記建物が受けたと想定される被災の程度を示す建物被災度と、地震によって前記建物が建つ地盤が受けたと想定される被災の程度を示す地盤被災度と、が含まれており、
前記震度階級、前記建物被災度、前記地盤被災度は、前記表示手段が表示する表示画面では、その被災の程度が数字で示されていることを特徴とする被災度表示システム。
【請求項8】
請求項
7に記載の被災度表示システムにおいて、
前記記憶手段は、前記決定手段が前記建物被災度及び前記地盤被災度を決定する場合に参照する被災度参照用テーブルを更に記憶しており、
前記決定手段は、前記被災度参照用テーブルを参照して前記建物被災度及び前記地盤被災度を決定することを特徴とする被災度表示システム。
【請求項9】
請求項8に記載の被災度表示システムにおいて、
前記被災度参照用テーブルには、前記建物被災度及び前記地盤被災度における被災の程度を示す前記数字の情報と、前記数字に対応付けられた表示色の情報と、が含まれ、
前記表示手段が表示する表示画面では、前記建物被災度及び前記地盤被災度を示す前記数字の背景色を、前記表示色の情報に基づいて表示していることを特徴とする被災度表示システム。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の被災度表示システムにおいて、
前記表示手段は、前記デモ用の被災度の表示を開始した後、第二所定指示がなされた場合に、前記デモ用の被災度の表示を終了することを特徴とする被災度表示システム。
【請求項11】
地震の発生時に、建物の建設地に伝播してきた地震波を測定して地震波データを生成する測定手段から、前記地震波データを取得する取得手段と、
前記建物の構造に関する構造情報を記憶する記憶手段と、
前記取得手段が取得した前記地震波データ及び前記記憶手段が記憶する前記構造情報に基づいて、前記地震によって前記建物が受けたと想定される被災の程度である被災度を決定する決定手段と、
前記決定手段が決定した前記被災度を表示
し、人が操作可能な操作部を有する複数のする表示手段と、を備え、
前記記憶手段は、模擬地震波データを更に記憶しており、
前記決定手段は、所定指示がなされた場合に、前記記憶手段が記憶する前記模擬地震波データ及び前記構造情報に基づいて、デモ用の被災度を決定
し、
前記決定手段は、前記建物とは異なる場所に設置された管理手段からの表示指示を受けることが可能となっており、
前記所定指示は、前記操作部になされた所定操作であるか、もしくは前記管理手段から受けた前記表示指示であり、
前記表示手段は、
前記操作部に対して前記所定操作が行われた場合に、前記デモ用の被災度を、前記地震の発生時における前記被災度を表示するときと同様の態様で表示するとともに、当該被災度の表示がデモ用の表示である旨の第一識別表示を表示し、
前記管理手段から前記表示指示を受けた場合に、前記デモ用の被災度を、前記地震の発生時における前記被災度を表示するときと同様の態様で表示するとともに、当該被災度の表示が、前記第一識別表示で識別されるデモとは異なる他のデモ用の表示である旨の第二識別表示を表示することを特徴とする被災度表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被災度表示システム及び被災度表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物の基礎に設けられ、地震の加速度を計測する地震計と、地震計が計測した加速度に基づいて建物の変形量を算出し、この算出された建物の変形量に対応する指示コメントや被災度を表示部に表示するモニタと、を備える地震情報表示システムが知られている(特許文献1参照)。
このシステムが設置された建物の住人等は、地震が発生した際に、モニタの表示部に表示された被災度や指示コメントを確認し、建物の被災状況等をすぐに確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の地震情報表示システムは、実際に地震が起こらないうちは、過去の結果を閲覧する場合を除いて被災度等の情報を表示することがない。つまり、建物の住人等は、モニタが地震発生時にどのような動作をするのかあまりよく分かっていないことが多い。
このため、実際に地震が発生し、モニタが普段見慣れない表示を行ったり、聞きなれない音声を発したりすると、それによって住人が却って不安を増大させてしまう可能性がある。
【0005】
本発明の課題は、上記課題に鑑みてなされたもので、地震発生時に建物の被災度を表示する表示手段が地震発生時にどのような動作をするのかを、建物の住人等に普段から慣れさせ、住人等の防災意識の向上を図ることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば
図1~5,8
~13に示すように、
地震の発生時に、建物Bの建設地に伝播してきた地震波を測定して地震波データを生成する測定手段11と、
前記建物Bの構造に関する構造情報I
Cを記憶する記憶手段123と、
前記測定手段11が生成した前記地震波データ及び前記記憶手段123が記憶する前記構造情報I
Cに基づいて、前記地震によって前記建物Bが受けたと想定される被災の程度である被災度を決定する決定手段121と、
前記決定手段121が決定した前記被災度を表示
し、人が操作可能な操作部126を有する複数の表示手段12,3と、
前記建物Bとは異なる場所に設置され、前記表示手段12,3を管理する管理手段2と、を備え、
前記記憶手段123は、模擬地震波データDを更に記憶しており、
前記決定手段121は、所定指示がなされた場合に、前記記憶手段123が記憶する前記模擬地震波データD及び前記構造情報I
Cに基づいて、デモ用の被災度を決定
し、
前記所定指示は、前記操作部126になされた所定操作であるか、もしくは前記管理手段2から受けた表示指示であり、
前記管理手段2は、複数の前記表示手段12,3のうちの任意の前記表示手段12,3に前記表示指示を送ることが可能であり、
前記表示手段12,3は、
前記操作部126に対して前記所定操作が行われた場合に、前記デモ用の被災度を、前記地震の発生時における前記被災度を表示するときと同様の態様で表示するとともに、当該被災度の表示がデモ用の表示である旨の第一識別表示D
71
を表示し、
前記管理手段2から前記表示指示を受けた場合に、前記デモ用の被災度を、前記地震の発生時における前記被災度を表示するときと同様の態様で表示するとともに、当該被災度の表示が、前記第一識別表示D
71
で識別されるデモとは異なる他のデモ用の表示である旨の第二識別表示D
12
を表示することを特徴とする被災度表示システム100,100Aである。
【0007】
請求項1に記載の発明は、実際に地震が発生していないときであっても、所定指示がなされた場合にデモ用の被災度を表示することができる。
このため、請求項1に記載の発明によれば、地震発生時に建物Bの被災度を表示する表示手段12,3が地震発生時にどのような動作をするのかを、建物Bの住人等に普段から慣れさせ、住人等の防災意識の向上を図ることができる。
また、建物Bの住人等は、地震が発生していないときであっても、表示手段12,3が表示する地震発生時と同じ画面を確認することができるので、より実際に即した動作に慣れておくことができる。
また、建物Bの住人等が操作部126を操作することで、デモ用の被災度を表示することになるため、住人等が所望する任意のタイミングで地震発生時の動作を確認することができる。
また、管理手段2から表示指示を受けることで、デモ用の被災度を表示することになるため、住人等が意図しないタイミングで(例えば避難訓練を行うとき等に)被災度表示装置12や携帯端末3にデモ用の被災度を表示させることができる。
また、デモ用の被災度の表示を、希望者に限って行ったり、表示装置12が存在する地域を限定して行ったりすることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図11~13に示すように、
請求項1に記載の被災度表示システム100,100Aにおいて、
前記第二識別表示D
12
は、前記デモ用の被災度の表示が防災訓練用であることを識別するためのものであることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、
請求項1又は請求項2に記載の被災度表示システム100,100Aにおいて、
前記表示手段12,3が表示する前記被災度に対応する音声を出力する出力手段12、3を備え、
前記出力手段12、3は、前記デモ用の被災度を表示する際の音声を、前記地震の発生時における前記被災度を表示するときと同様の態様で出力することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、建物Bの住人等は、地震が発生していないときであっても、出力手段12,3が出力する地震発生時と同じ音声を確認することができるので、より実際に即した動作に慣れておくことができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば
図4に示すように、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の被災度表示システム100,100Aにおいて、
前記模擬地震波データDは、過去に発生した地震の観測データ又は任意の波のデータに基づいて生成されたものであることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、建物Bの住人等は、伝え聞いたことのある地震あるいは経験したことのある地震と同規模の地震が発生した場合に、表示手段12,3がどのような動作をするのかを確認することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば
図1,2,12に示すように、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の被災度表示システム100,100Aにおいて、
前記表示手段は、前記建物Bに設置された被災度表示装置12であることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、被災度表示装置12が実際の地震発生時と同様に被災度を表示することで、地震発生時にどのような動作をするのかを、実際に被災度の判定が行われる建物Bに居ながら確認することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、例えば
図1,12,15に示すように、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の被災度表示システム100,100Aにおいて、
前記表示手段は、前記建物Bとは異なる場所に設置された、又は持ち運び可能な携帯端末3であることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、携帯端末3が実際の地震発生時と同様に被災度を表示することで、建物Bから離れた場所であっても、地震発生時にどのような動作をするのかを確認することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、例えば
図2,
8,10,13,15に示すように、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の被災度表示システム100,100Aにおいて、
前記表示手段12,3
が表示する表示画面S
3
,S
7
のうち大部分を、前記決定手段121が決定した前記被災度の表示が占めており、
前記被災度には、前記地震波データに基づいて決定した前記建物Bにおける震度階級と、地震によって前記建物Bが受けたと想定される被災の程度を示す建物被災度と、地震によって前記建物Bが建つ地盤が受けたと想定される被災の程度を示す地盤被災度と、が含まれており、
前記震度階級、前記建物被災度、前記地盤被災度は、前記表示手段が表示する表示画面S
3
,S
7
では、その被災の程度が数字で示されていることを特徴とする。
【0020】
請求項8に記載の発明は、例えば図3,5に示すように、
請求項7に記載の被災度表示システム100,100Aにおいて、
前記記憶手段123は、前記決定手段121が前記建物被災度及び前記地盤被災度を決定する場合に参照する被災度参照用テーブルT
1
,T
2
を更に記憶しており、
前記決定手段121は、前記被災度参照用テーブルT
1
,T
2
を参照して前記建物被災度及び前記地盤被災度を決定することを特徴とする。
【0022】
請求項9に記載の発明は、例えば図3,5,8,10,13に示すように、
請求項8に記載の被災度表示システム100,100Aにおいて、
前記被災度参照用テーブルT
1
,T
2
には、前記建物被災度及び前記地盤被災度における被災の程度を示す前記数字の情報と、前記数字に対応付けられた表示色の情報と、が含まれ、
前記表示手段が表示する表示画面S
3
,S
7
では、前記建物被災度及び前記地盤被災度を示す前記数字の背景色を、前記表示色の情報に基づいて表示していることを特徴とする。
【0024】
請求項10に記載の発明は、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の被災度表示システム100,100Aにおいて、
前記表示手段12,3は、前記デモ用の被災度の表示を開始した後、第二所定指示がなされた場合に、前記デモ用の被災度の表示を終了することを特徴とする。
【0025】
請求項10に記載の発明によれば、建物Bの住人等が操作部を操作することで、デモ用の被災度の表示を終了することになるため、住人等が所望する任意のタイミングで(例えば動作内容に不快感があったとき等に)地震発生時の動作を終了させることができる。
【0026】
請求項11に記載の発明は、例えば
図1~5,8
~13に示すように、
地震の発生時に、建物Bの建設地に伝播してきた地震波を測定して地震波データを生成する測定手段11から、前記地震波データを取得する取得手段121と、
前記建物Bの構造に関する構造情報I
Cを記憶する記憶手段123と、
前記取得手段121が取得した前記地震波データ及び前記記憶手段123が記憶する前記構造情報I
Cに基づいて、前記地震によって前記建物Bが受けたと想定される被災の程度である被災度を決定する決定手段121と、
前記決定手段121が決定した前記被災度を表示
し、人が操作可能な操作部126を有する複数の表示手段124と、を備え、
前記記憶手段123は、模擬地震波データDを更に記憶しており、
前記決定手段121は、所定指示がなされた場合に、前記記憶手段123が記憶する前記模擬地震波データD及び前記構造情報I
Cに基づいて、デモ用の被災度を決定
し、
前記決定手段121は、前記建物Bとは異なる場所に設置された管理手段2からの表示指示を受けることが可能となっており、
前記所定指示は、前記操作部126になされた所定操作であるか、もしくは前記管理手段2から受けた表示指示であり、
前記表示手段12,3は、
前記操作部126に対して前記所定操作が行われた場合に、前記デモ用の被災度を、前記地震の発生時における前記被災度を表示するときと同様の態様で表示するとともに、当該被災度の表示がデモ用の表示である旨の第一識別表示D
71
を表示し、
前記管理手段2から前記表示指示を受けた場合に、前記デモ用の被災度を、前記地震の発生時における前記被災度を表示するときと同様の態様で表示するとともに、当該被災度の表示が、前記第一識別表示D
71
で識別されるデモとは異なる他のデモ用の表示である旨の第二識別表示D
12
を表示することを特徴とする被災度表示装置12である。
【0027】
請求項11に記載の発明は、実際に地震が発生していないときであっても、所定指示がなされた場合にデモ用の被災度を表示することができる。
このため、請求項11に記載の発明によれば、地震発生時に建物Bの被災度を表示する表示手段が地震発生時にどのような動作をするのかを、建物Bの住人等に普段から慣れさせ、住人等の防災意識の向上を図ることができる。
また、建物Bの住人等は、地震が発生していないときであっても、表示手段12,3が表示する地震発生時と同じ画面を確認することができるので、より実際に即した動作に慣れておくことができる。
また、建物Bの住人等が操作部126を操作することで、デモ用の被災度を表示することになるため、住人等が所望する任意のタイミングで地震発生時の動作を確認することができる。
また、管理手段2から表示指示を受けることで、デモ用の被災度を表示することになるため、住人等が意図しないタイミングで(例えば避難訓練を行うとき等に)被災度表示装置12や携帯端末3にデモ用の被災度を表示させることができる。
また、デモ用の被災度の表示を、希望者に限って行ったり、表示装置12が存在する地域を限定して行ったりすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、地震発生時に建物の被災度を表示する表示手段が地震発生時にどのような動作をするのかを、建物の住人等に普段から慣れさせ、住人等の防災意識の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施形態に係る被災度表示システムを示すネットワーク図である。
【
図2】
図1の被災度表示システムが備える表示手段の一例を示す外観図である。
【
図3】
図2の表示手段の電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1の被災度表示システムの記憶手段が記憶する模擬地震波データを示す図である。
【
図5】
図1の被災度表示システムの記憶手段が記憶する各種テーブルを示す図である。
【
図6】
図2の表示手段が表示する表示画面の一例を示す図である。
【
図7】
図2の表示手段が表示する表示画面の一例を示す図である。
【
図8】
図2の表示手段が表示する表示画面の一例を示す図である。
【
図9】
図2の表示手段が表示する表示画面の一例を示す図である。
【
図10】
図2の表示手段が表示する表示画面の一例を示す図である。
【
図11】
図1の被災度表示システムが備える管理手段の電気的構成を示すブロック図である。
【
図12】
図1の被災度表示システムの使用方法の一例を示す図である。
【
図13】
図2の表示手段が表示する表示画面の一例を示す図である。
【
図15】
図1の被災度表示システムが備える表示手段の他の例を示す外観図である。
【
図16】
図15の表示手段の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0031】
<第一実施形態>
まず、本発明の第一実施形態について説明する。
【0032】
〔1.地震情報表示システムの概略構成〕
始めに、本実施形態に係る地震情報表示システム(以下、システム100)の概略構成について説明する。
図1は、システム100を示すブロック図である。
なお、
図1における括弧書きの符号は、後述する第二実施形態のものである。
【0033】
システム100は、例えば
図1に示すように、地震計1を備えている。
本実施形態に係るシステム100は、地震計1を複数備えている。
また、本実施形態に係るシステム100は、管理装置2と、携帯端末3と、を更に備えている。
これらは、通信ネットワークN(LAN、WAN、インターネット等)を介して互いに通信可能に接続されている。
【0034】
なお、システム100は、官公庁(気象庁等)や、民間の気象情報サービス企業から、地震に関する情報を受けられるようになっていてもよい。
【0035】
(地震計)
複数の地震計1は、複数の建物Bにそれぞれ備えられている。
なお、
図1には、建物Bとして住宅を例示したが、建物Bは、住宅の他、学校や役所、公民館等の公共施設であってもよいし、ショッピングモールやオフィスビル、駅等の商業施設であってもよい。
また、複数の建物Bは、住宅、公共施設、商業施設のみであってもよいし、これらが混在していてもよい。
【0036】
各地震計1は、加速度センサ11と、被災度表示装置(以下、表示装置12)と、をそれぞれ備えている。
これらは、電気的に接続されている。
【0037】
加速度センサ11は、建物Bの基礎に備えられている。
そして、各加速度センサ11は、地震の発生時に、震源から建物Bの建設地に伝播してきた地震波を測定して地震波データを生成するようになっている。
具体的には、加速度センサ11は、地震の発生により後述する建物Bの基礎が横揺れしたときに、水平方向の加速度が加わると、その加速度に比例した電圧レベルで地震検出信号を出力するようになっている。例えば、建物Bの平面視において直角に配置された一の外壁と他の外壁のうちの一の外壁と平行な方向をX方向とし、他の外壁と平行な方向がY方向とすると、建物Bに作用した加速度をX方向とY方向に分離し、この分離したX方向とY方向における加速度にそれぞれ比例した電圧レベルで地震検出信号を出力する。この地震検出信号の所定時間に亘る経時変化のデータが地震波データとなる。
出力するようになっている。
【0038】
また、加速度センサ11は、地震の発生により建物Bの基礎が縦揺れしたときに鉛直方向の加速度が加わると、その加速度に比例した電圧レベルで地震検出信号を出力するようになっている。例えば、鉛直方向をZ方向すると、建物Bに作用したZ方向における加速度に比例した電圧レベルで地震検出信号を出力するようになっている。本実施形態においては、この地震検出信号の所定時間に亘る経時変化のデータも地震波データとなる。
なお、本実施形態に係る当該加速度センサ11は、地震が発生した際の初期微動(P波)の検知だけでなく、主要動(S波)も検知するようになっている。
加速度センサ11は、以上のような動作をすることにより、本発明における測定手段をなす。
【0039】
複数の表示装置12は、被災度(詳細後述)を表示するものである。
本実施形態に係る表示装置12は、専用の装置となっているが、テレビやインターフォン用の表示装置等、表示部を備え建物Bに備え付けられるものであればよい。
本実施形態に係る表示装置12は、建物Bの中の部屋や廊下の壁の内側壁面に備えられている。
なお、表示装置12は、建物Bの中に居る者が視認可能な場所であれば部屋以外の場所であってもよい。
この表示装置12の詳細については後述する。
【0040】
(管理装置)
管理装置2は、管理手段をなすもので、建物Bとは異なる場所(例えば、公共施設や建物Bの施工会社等)に設置され、表示装置12を管理したり、各種情報を携帯端末3へ配信したりするようになっている。
この管理装置2の詳細については後述する。
【0041】
(携帯端末)
携帯端末3は、前記建物Bとは異なる場所に設置された、又は持ち運び可能なものとなっている。
本実施形態に係る携帯端末3は、例えば、住宅等の建物Bに居住する住人が使用する携帯電話機(スマートフォン、フィーチャーフォン、タブレット型PC等)、住人が乗車する自動車のカーナビゲーション機器、住人が表示装置12の設置場所以外の場所(例えば職場)で使用するラップトップ型PC又はデスクトップ型PC等である。
この携帯端末3の詳細についても後述する。
【0042】
〔2.表示装置〕
次に、上記地震計が備える表示装置12の詳細について説明する。
図2は表示装置12を示す外観図、
図3は表示装置12の電気的構成を示すブロック図、
図4は表示装置12が記憶する模擬地震波データを示す図、
図5は表示装置12が記憶する各種テーブルを示す図、
図6~10は表示装置12が表示する表示画面の一例を示す図である。
【0043】
(表示装置の構成)
表示装置12は、例えば
図2,3に示すように、制御部121と、通信部122と、記憶部123を備えている。
また、本実施形態に係る表示装置12は、表示部124と、音声出力部125と、操作部126と、を更に備えている。
【0044】
制御部121は、CPU、RAM等により構成されている。
そして、制御部121のCPUは、記憶部123に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、表示装置12各部の動作を集中制御するようになっている。
【0045】
通信部122は、有線通信モジュールや無線通信モジュール等で構成され、通信ネットワークNを介して接続された他の装置(管理装置2、携帯端末3等)との間で各種信号や各種データを有線又は無線で送受信することが可能となっている。
【0046】
表示部124は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニタにより構成され、制御部121から入力される表示信号の指示に従って、各種画像や各種情報等を表示するようになっている。
【0047】
音声出力部125は、スピーカ等により構成され、制御部121から入力される音声信号の指示に従って、各種音声を出力するようになっている。
【0048】
本実施形態に係る操作部126は、複数のボタン126a~126fで、ユーザが操作可能に構成されている。
なお、操作部126は、表示部124の表面に積層されたタッチパネルであってもよい。
そして、操作部126は、操作者によってなされた操作に基づく制御信号を制御部121に出力するようになっている。
【0049】
記憶部123は、不揮発性の半導体メモリやハードディスク等により構成されている。
また、記憶部123は、制御部121が各種処理を実行するためのプログラムを記憶している。
また、記憶部123は、基本情報IBを記憶している。
基本情報IBには、例えば、建物Bの所有者、建物Bの位置(住所、エリア等)が含まれている。
なお、記憶部123は、記憶媒体に記憶された情報を読み込んだり記憶媒体へ情報を書き込んだりする読み書き部と、読み書き部に接続された記憶媒体と、で構成されていてもよい。
【0050】
また、記憶部123は、建物Bの構造に関する構造情報ICを記憶している。
この構造情報ICには、部材情報と、工法情報と、が含まれている。
部材情報には、例えば、部材の種類(柱、梁、壁、屋根、筋かい、外装材等)、部材の大きさ(柱や梁の太さ、長さ等)、部材の強度、建物B内における位置、壁量等が含まれている。
工法情報は、建物Bの施工方法を示す情報(例えば、軸組工法、パネル工法、ツーバイフォー工法、ユニット工法等)である。
【0051】
記憶部123は、模擬地震波データDを更に記憶している。
本実施形態に係る記憶部123は、複数の模擬地震波データDを記憶している。
この模擬地震波データDは、例えば
図4に示すように、過去に発生した地震の観測データに基づいて生成されたものである。
また、本実施形態に係る複数の模擬地震波データDは、それぞれ発生時期及び発生場所のうちの少なくとも一方が異なっている。
なお、模擬地震波データDは、例えばシステム100の管理者によって設定された任意の波(シミュレーション用に作成されたダミーの地震波やSin波等)のデータに基づいて生成されたものであってもよい。
【0052】
また、記憶部123は、制御部121が参照するのに用いる、建物被災度参照用テーブル(以下、テーブルT
1)を記憶している。
テーブルT
1は、例えば
図5(a)に示すように、建物Bの最大層間変形角(以下、変形角)と建物Bの被災度(以下、建物被災度)とを対応付けるものとなっている。
この「変形角」は、地震によって建物Bに水平力が作用した際の、階高に対する変位量の比(tanθ)の最大値である。
また、「建物被災度」は、地震によって建物Bが受けたと想定される被災の程度であり、変形角の大きさによって複数段階に分けられる。
また、本実施形態に係るテーブルT
1は、更に、変形角と、表示部124の表示色・表示態様、コメント、及び建物Bの予想損傷内容と、を対応付けるものとなっている。
【0053】
本実施形態に係る「コメント」には、総括コメントと、指示コメントと、が含まれる。
また、本実施形態に係る「予想損傷内容」には、構造体の損傷内容と、外装の損傷内容と、内層の損傷内容と、が含まれる。
また、外装の損傷内容については、外装がサイディングで形成されている場合と、モルタルで形成されている場合と、が用意されている。
これらは、変形角の大きさの範囲に応じて複数種類用意されている。
【0054】
また、記憶部123は、制御部121が参照するのに用いる、地盤被災度参照用テーブル(以下、テーブルT
2)を記憶している。
テーブルT
2は、例えば
図5(b)に示すように、震度と、気象庁震度階級(以下、震度階級)、変形角と地盤の被災度(以下、地盤被災度)、表示部124の表示色・表示態様、及びコメントとを対応付けるものとなっている。
以下、建物被災度と地盤被災度を区別しない場合には、単に「被災度」と称する場合がある。
記憶部123は、構造情報I
Cや模擬地震波データDをはじめとする各種情報を記憶することにより、本発明における記憶手段をなす。
なお、表示装置12に記憶媒体(例えばSDカード等)の記憶内容を読み取る読取部を備え、記憶媒体から構造情報I
Cや模擬地震波データDをよみとるようにしてもよい。その場合、記憶媒体が記憶手段をなすことになる。
【0055】
(表示装置の動作)
このように構成された表示装置12の制御部121は、以下のような機能を有している。
【0056】
・画面切替機能
例えば、制御部121は、電源が投入された後の通常時(加速度センサ11から地震波データを受信していないとき、所定指示がなされていないとき)や、ホームボタン126cが操作された場合に、ホーム画面S
1を表示部124に表示させる機能を有している。
本実施形態に係るホーム画面S
1には、例えば
図6に示すように、日付、時刻を表示するカレンダー表示領域R
11、室内温度を表示する温度表示領域R
12、室内湿度を表示する湿度表示領域R
13等が含まれる。
【0057】
また、制御部121は、メニューボタン126aが操作された場合に、メニュー画面S
2を表示する機能を有している。
本実施形態に係るメニュー画面S
2には、例えば
図7に示すように、複数のアイコンI
21~I
26が表示される。そのうちの一つはデモアイコンI
26となっている。
また、本実施形態に係るメニュー画面S
2には、対象のアイコンを囲むカーソルC
21及び選択されている(カーソルC
21に囲まれている)アイコンの機能を説明する説明領域R
21が表示される。
また、制御部121は、戻るボタン126bが操作された場合に、一つ前に表示していた画面を再び表示する機能を有している。
【0058】
・取得機能
また、制御部121は、地震の発生時に、加速度センサ11から、地震波データを取得する機能を有している。
すなわち、制御部121は、本発明における取得手段をなす。
【0059】
・計算機能
例えば、制御部121は、加速度センサ11が生成した地震波データに基づいて、震度階級を決定し、決定した震度階級を記憶部123に記憶させる機能を有している。
本実施形態に係る制御部121は、震度階級の決定に際し、まず、地震波データに基づいてX方向、Y方向、Z方向におけるそれぞれの最大加速度を算出し、更に最大加速度に基づいて工学的震度を算出する。そして、制御部121は、記憶部123に記憶されているテーブルT2を参照し、算出した工学的震度に対応する震度階級を、地震が設置された建物Bにおける震度階級として決定する。
【0060】
また、制御部121は、地震計1が生成した地震波データ及び記憶部123が記憶する構造情報ICに基づいて建物被災度を決定し、決定した建物被災度を記憶部123に記憶させる機能を有している。
本実施形態に係る制御部121は、建物被災度の決定に際し、まず、地震波データ及び構造情報ICに基づいて変形角を算出する。そして、制御部121は、記憶部123に記憶されているテーブルT1を参照し、算出した変形角に対応する建物被災度を、地震が設置された建物Bにおける建物被災度として決定する。
【0061】
また、制御部121は、地震計1が生成した地震波データに基づいて地盤被災度を決定し、決定した地盤被災度を記憶部123に記憶させる機能を有している。
本実施形態に係る制御部121は、地盤被災度の決定に際し、まず、地震波データに基づいて工学的震度を算出する。そして、制御部121は、記憶部123に記憶されているテーブルT2を参照し、算出した工学的震度に対応する地盤被災度を、地震が設置された建物Bが建つ地盤における地盤被災度として決定する。
【0062】
また、制御部121は、加速度センサ11からの地震波データを受信したときの日付及び時刻を図示しない計時手段から取得し、取得した日付及び時刻を、地震発生日時として、決定した震度階級及び被災度と紐づけて記憶部123に記憶させる機能を有している。
【0063】
・通信機能
また、制御部121は、地震が発生すると、各種情報(加速度センサ11から取得した地震波データ、算出した工学的震度、決定した震度階級、算出した変形角、決定した建物被災度、地盤被災度の少なくともいずれか)を、通信部122を介して管理装置2へ送信する機能を有している。
【0064】
また、制御部121は、管理装置2から、表示指示(詳細後述)等を、通信部122を介して受信する機能を有している。
また、制御部121は、管理装置2のDBから各種情報(模擬地震波データDを含む)を、通信部122を介して受信する機能を有している。
なお、受信した表示指示や各種情報は、記憶部123へ記憶される。
【0065】
・報知機能
また、制御部121は、地震が発生した場合に、テーブルT
1に基づいて決定した(記憶部123に記憶させた)被災度を表示部124に表示させる機能を有している。
本実施形態に係る制御部121は、例えば
図8に示すような報知画面S
3を表示部124に表示させるようになっている。
本実施形態に係る報知画面S
3には、建物被災度を表示する建物被災度表示領域R
31及び地盤被災度を表示する地盤被災度表示領域R
32の他、地震の発生日時を表示する日時表示領域R
33、テーブルT
1に基づいて決定した(記憶部123に記憶させた)震度階級を表示する震度表示領域R
34、予想損傷内容やコメントを表示する文字情報表示領域R
35等が含まれる。
また、本実施形態に係る報知画面S
3では、建物被災度(被災度を示す数字の背景)が、テーブルT
1に基づいて決定した(記憶部123に記憶させた)表示色及び表示態様で表示されるとともに、地盤被災度(被災度を示す数字の背景)が、テーブルT
2に基づいて決定した表示色で表示される。
【0066】
また、制御部121は、表示装置12が表示する内容に対応する音声を音声出力部125に出力させる機能を有している。
音声には、内容に対応した態様及び音量の警報音や、表示部124に表示された震度、被災度、予想損傷内容等を読み上げる声等が含まれる。
なお、制御部121は、官公庁から緊急地震速報を受信したときに、その旨を示す警報音を、被災度等を表示させるよりも前に音声出力部125に出力させるようになっていてもよい。
【0067】
・デモ機能
また、制御部121は、所定指示がなされた場合に、記憶手段が記憶する模擬地震波データD及び構造情報ICに基づいて、デモ用の被災度を決定し、記憶部123に記憶させる機能を有している。
所定指示は、操作部126になされた簡単な所定操作の場合と、管理装置2から受けた表示指示の場合とがある。
【0068】
制御部121は、メニュー画面S
2に表示されたデモアイコンI
26が操作される(デモアイコンI
26がカーソルC21で囲まれた状態で決定ボタン126fが押される)と、記憶部123に模擬地震波データDが記憶されているか否かを判断し、模擬地震波データDが登録されていると判断した場合は、例えば
図9(a)に示すような地震波選択画面S
4を表示部124に表示させる。
地震波選択画面S
4には、模擬地震波データDの選択肢アイコンI
41及び選択対象のアイコンを指し示すカーソルC
41が表示される。
なお、
図9には選択肢アイコンI
41が一つだけ表示された場合を例示したが、表示装置12が模擬地震波データDを複数種類記憶している場合には、選択肢アイコンが複数表示される。
また、カーソルC
41は、選択肢アイコンを囲むようになっていてもよい。
【0069】
また、制御部121は、地震波選択画面S
4に表示された模擬地震波データDの選択肢アイコンI
41が操作される(所望の選択肢アイコンI
41がカーソルC
41で指し示された状態で決定ボタン126fが押される)と、例えば
図9(b)に示すような確認画面S
5を表示部124に表示させる。
そして、制御部121は、確認画面S
5に表示された「はい」アイコンI
51が操作される(「はい」アイコンI
51がカーソルC
51で囲まれた状態で決定ボタン126fが押される)と、デモ用の被災度を決定する。
以上の一連の操作が、本実施形態における「操作部126になされた所定操作」である。
この場合、建物Bの住人等が操作部126を操作することで、デモ用の被災度を表示することになるため、住人等が所望する任意のタイミングで地震発生時の動作を確認することができる。
【0070】
一方、確認画面S
5に表示された「いいえ」アイコンが操作されると、制御部121は、地震波選択画面S
4を再び表示部124に表示させる。
また、メニュー画面S
2に表示されたデモアイコンI
26が操作された後、模擬地震波データDが記憶されていないと判断した場合、制御部121は、例えば
図9(c)に示すような模擬地震波データDが登録されていないことを知らせる未登録画面S
6を一定時間表示した後、ホーム画面S
1を表示部124に表示させる。
【0071】
一方、本実施形態における「管理装置2から受けた表示指示」は、例えば、管理装置2から表示を指示するデモ表示信号(詳細後述)を、通信部122を介して受信することとしている。
この場合、管理装置2から表示指示を受けることで、デモ用の被災度を表示することになるため、住人等が意図しないタイミングで(例えば避難訓練を行うとき等に)表示装置12や携帯端末3にデモ用の被災度を表示させることができる。
制御部121は、被災度の決定をはじめとする各種演算を実行することにより、本発明における決定手段をなす。
【0072】
また、制御部121は、所定指示がなされた場合に、決定したデモ用の被災度を、表示部124に表示させるようになっている。
上述したように、表示装置12は建物Bに備えられる。このため、表示装置12が実際の地震発生時と同様に被災度を表示することで、地震発生時にどのような動作をするのかを、実際に被災度の判定が行われる建物Bに居ながら確認することができる。
また、上述したように、デモ用の被災度は、過去に発生した地震の観測データに基づいて生成された模擬地震波データDに基づいて決定されたものである。このため、建物Bの住人等は、伝え聞いたことのある地震あるいは経験したことのある地震と同規模の地震が発生した場合に、表示手段がどのような動作をするのかを確認することができる。
また、建物Bの住人等は、過去に発生した大地震と同様の地震が発生した場合の、建物Bの損傷の程度を確認することができる。
【0073】
また、制御部121は、デモ用の被災度を、地震発生時における被災度を表示するときと同様の態様で表示させるようになっている。
すなわち、
図10に示すような、報知画面S
7を表示することにより、デモ用の被災度を表示するようになっている。
こうすることで、建物Bの住人等は、地震が発生していないときであっても、表示装置12が表示する地震発生時と同じ画面を確認することができるので、より実際に即した動作に慣れておくことができる。
また、本実施形態に係る制御部121は、デモ用の被災度を表示する際、
図10に示したように、デモ用の表示である(実際の地震ではない)旨の識別表示D
71,D
72を表示部124の一部(例えば上端部)に表示させるようになっている。
本実施形態に係る制御部121は、デモを行っている最中は、
図10(a)に示すように、デモ中である旨の識別表示D
71を表示させ、デモが終了した後は、
図10(b)に示すように、デモ終了である旨の識別表示D
72を表示させる。
制御部121が以上のような表示制御を実行することにより、表示装置12は、本発明における表示手段をなす。
【0074】
また、制御部121は、デモ用の被災度を表示する際の音声を、地震発生時における被災度を表示するときと同様の態様で音声出力部125に出力させるようになっている。
こうすることで、建物Bの住人等は、地震が発生していないときであっても、表示装置12が出力する地震発生時と同じ音声を確認することができるので、より実際に即した動作に慣れておくことができる。
制御部121が以上のような音声出力制御を実行することにより、表示装置12は、本発明における出力手段をなす。
【0075】
また、制御部121は、デモ用の被災度の表示を開始した後、第二所定指示がなされた場合に、デモ用の被災度の表示を終了する機能を有している。
本実施形態に係る第二所定指示は、終了ボタン126dが操作されることとしている。
なお、制御部121は、終了ボタン126dの操作に限らず、操作部126を構成する複数のボタンのいずれかが操作されたことを第二所定指示がなされたこととみなすようになっていてもよい。
また、本実施形態に係る制御部121は、操作部126に第二所定指示がなされた場合に、音声の出力も終了するようになっている。
こうすることで、建物Bの住人等が操作部126を操作することで、デモ用の被災度の表示を終了することになるため、住人等が所望する任意のタイミングで(例えば動作内容に不快感があったとき等に)地震発生時の動作を終了させることができる。
【0076】
(その他)
なお、表示装置12は、決定手段としての機能や各種数値を算出する機能の少なくとも一部を、自身に代わって管理装置2に持たせ、管理装置2から受信した被災度、コメント、予想損傷内容等を表示・音声出力するようになっていてもよい。
【0077】
〔3.管理装置〕
次に、上記システム100が備える管理装置2の詳細について説明する。
図11は管理装置2の電気的構成を示すブロック図、
図12は被災度表示システム100の使用方法の一例を示す図である。
【0078】
(管理装置の構成)
本実施形態に係る管理装置2は、例えば
図11に示すように、端末装置21と、サーバ22と、を備えている。
なお、端末装置21とサーバ22とは一体に構成されていてもよい。
【0079】
端末装置21は、制御部211と、通信部212と、記憶部213を備えている。
また、本実施形態に係る端末装置21は、表示部214と、操作部215と、を更に備えている。
【0080】
制御部211は、CPU、RAM等により構成されている。
そして、制御部211のCPUは、記憶部213に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、管理装置2各部の動作を集中制御するようになっている。
【0081】
通信部212は、有線通信モジュールや無線通信モジュール等で構成され、通信ネットワークNを介して接続された他の装置(サーバ22、地震計1、携帯端末3等)との間で各種信号や各種データを有線又は無線で送受信することが可能となっている。
【0082】
表示部214は、LCDやCRT等のモニタにより構成され、制御部211から入力される表示信号の指示に従って、各種画像や各種情報等を表示するようになっている。
【0083】
操作部215は、カーソルキーや、数字入力キー、各種機能キー等を備えたキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、表示部124の表面に積層されたタッチパネル等で、ユーザが操作可能に構成されている。
そして、操作部215は、操作者によってなされた操作に基づく制御信号を制御部211に出力するようになっている。
【0084】
記憶部213は、不揮発性の半導体メモリやハードディスク等により構成されている。
また、記憶部213は、制御部211が各種処理を実行するためのプログラム等を記憶している。
【0085】
サーバ22は、データベースDBを備えている。
なお、データベースDBは、端末装置21の記憶部213に設けられていてもよい。
【0086】
(管理装置の動作)
このように構成された管理装置2が備える端末装置21の制御部211は、地震が発生すると、地震計1から受信した各種情報(加速度センサ11から取得した地震波データ、算出した工学的震度、決定した震度階級、算出した変形角、決定した建物被災度、地盤被災度の少なくともいずれか)を、通信部212を介して受信する機能を有している。
【0087】
・通信機能
また、制御部211は、受信した各種情報を、通信部212を介してサーバ22のデータベースDBに送信する機能を有している。
また、制御部211は、受信した各種情報を、通信部212を介して携帯端末3へ送信する機能を有している。
【0088】
また、制御部211は、複数の表示装置12のうちの任意の表示装置12に表示指示を送る機能を有している。
すなわち、任意の表示装置12にデモ用の被災度を表示させることが可能となっている。
【0089】
・制御機能
また、本実施形態に係る制御部211は、防災訓練制御を実行する機能を有している。
具体的には、訓練実施者により、端末装置21の操作部215に防災訓練を実施する旨の操作がなされるとともに、訓練を開始する時刻、訓練を行う地域等が入力されると、制御部211は、例えば
図12に示すように、訓練を行う地域に設置されている表示装置12及び当該地域で使用されている携帯端末3に、訓練開始信号を送信する。
【0090】
この訓練開始信号を受信した、表示装置12や携帯端末3は、例えば
図13(a)に示すように、訓練開始時刻になるまで、ホーム画面S
1に識別表示D
11を表示させる。
そして、訓練開始時刻になると、表示装置12や携帯端末3は、例えば
図13(b)に示すように、上述した要領でデモ用の被災度を表示する。
このとき、表示装置12や携帯端末3は、住人等が自らデモ用の被災度を表示させた場合とは別の識別表示D
72を表示させるようにしてもよい。
【0091】
なお、
図12には、関東地方以外の複数地方に設置されている表示装置12及び関東地方以外の複数地方で使用されている携帯端末3に訓練開始信号送信する場合を例示したが、訓練開始信号の送信先は、一つの地方であってもよい。
また、訓練開始信号の送信先は、都道府県単位、市町村単位、更に地区単位、建物単位で設定することが可能であってもよい。
こうすることで、デモ用の被災度の表示を、希望者に限って行ったり、表示装置が存在する地域を限定して行ったりすることができる。
【0092】
サーバ22は、端末装置21から受信した各種情報をDBに蓄積させる機能を有している。
また、サーバ22は、操作部215になされた操作に基づいて、各種情報(模擬地震波データDを含む)をDBに蓄積させる機能を有している。つまり、システム100の管理者は操作部215を操作し、所望の模擬地震波データDをDBに蓄積させることができる。
なお、記憶媒体から情報を読み取る読み書き部を備えている場合には、各種情報を記憶媒体から読み取るようになっていてもよい。
また、サーバ22は、端末装置21からの要求に応じて、蓄積された各種情報の中から必要な情報を呼び出して、端末装置に送信する機能を有している。
【0093】
〔4.表示装置12と管理装置2とのデータ同期〕
次に、上記表示装置12と管理装置2との間で行われるデータ同期について説明する。
図14は、表示装置及び管理装置2の動作を示すシーケンス図である。
【0094】
表示装置12の制御部121は、模擬地震波データ要求API(Application Programming Interface)を、通信部122を介して管理装置2へ定期的に送信する(ステップS1)。
この模擬地震波データ要求APIには、送信の時点で表示装置12に設定されている模擬地震波データDの種類を示す運用情報が含まれている。
【0095】
管理装置2の制御部211は、表示装置12から通信部212を介して模擬地震波データ要求APIを受信すると、サーバ22のDBから、蓄積されている模擬地震波データDのリストを取得し(ステップS2)、その内容が、運用情報が示す内容(表示装置12に設定されている模擬地震波データD)と一致しているか否かを判断する(ステップS3)。
リストの内容が運用情報の内容と一致していると判断した場合(ステップS3:Yes)、制御部211は、取得した運用情報をDBに保存する(ステップS4)。
一方、リストの内容が運用情報の内容と一致していないと判断した場合(ステップS3:No)、制御部211は、模擬地震波データ要求APIに対する応答を、通信部212を介して表示装置12へ送信する(ステップS5)。
この応答には、DBが保持する模擬地震波データDの一覧を示すリストが含まれている。
【0096】
表示装置12の制御部121は、管理装置2から通信部122を介してリストを受信すると、リストに挙げられた地震波データDのうち、表示装置12で持っていない模擬地震波データDのダウンロード先URLにアクセスする(ステップS6)。これにより、制御部121は、持っていない模擬地震波データDを、通信部122を介して管理装置2へ要求することになる。
管理装置2の制御部211は、表示装置12から模擬地震波データDの要求を受けると、DBから対応する模擬地震波データDを取得し(ステップS7)、通信部212を介して表示装置12へ送信する(ステップS8)。
【0097】
表示装置12の制御部121は、管理装置2から通信部122を介して模擬地震波データDを受信すると、それが要求したものと一致するか否かを確認する(ステップS9)。
模擬地震波データDが要求したものと一致いないと判断した場合(ステップS9:No)、制御部121は、再度模擬地震波データDを管理装置2へ要求する。
一方、模擬地震波データDが要求したものと一致すると判断した場合(ステップS9:Yes)、制御部121は、受信した模擬地震波データDを記憶部123へ記憶する(ステップS10)。
【0098】
表示装置12から管理装置2へ要求する模擬地震波データDが複数ある場合には、上記ステップS5~S10の処理を繰り返すことになる。
こうして、表示装置12と管理装置2との間で、模擬地震波データDに関する同期がとられる。
なお、ここでは、模擬地震波データDの同期について説明したが、表示装置12と管理装置2は、他の情報(表示装置12に表示する画像等)の同期を同様にして取るようになっていてもよい。
【0099】
〔5.携帯端末〕
次に、上記システム100が備える携帯端末3の詳細について説明する。
図15は携帯端末3を示す外観図、
図16は携帯端末3の電気的構成を示すブロック図である。
【0100】
(携帯端末の構成)
携帯端末3は、
図15,16に示すように、制御部31と、通信部32と、記憶部33と、表示部34と、音声出力部35と、操作部36と、を備えている。
【0101】
制御部31は、CPU、RAM等により構成されている。
そして、制御部31のCPUは、記憶部33に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、携帯端末3各部の動作を集中制御するようになっている。
【0102】
通信部32は、有線通信モジュールや無線通信モジュール等で構成され、通信ネットワークNを介して接続された他の装置(地震計1、表示装置12、管理装置2等)との間で各種信号や各種データを有線又は無線で送受信することが可能となっている。
【0103】
記憶部33は、不揮発性の半導体メモリやハードディスク等により構成されている。
また、記憶部33は、制御部31が各種処理を実行するためのプログラム(後述する被災度表示アプリケーションを含む)等を記憶している。
【0104】
表示部34は、LCDやCRT等のモニタにより構成され、制御部31から入力される表示信号の指示に従って、各種画像や各種情報等を表示するようになっている。
【0105】
音声出力部35は、スピーカ等により構成され、制御部31から入力される音声信号の指示に従って、各種音声を出力するようになっている。
【0106】
操作部36は、ボタンや、表示部34の表面に積層されたタッチパネル等で、ユーザが操作可能に構成されている。
そして、操作部36は、操作者によってなされた操作に基づく制御信号を制御部121に出力するようになっている。
【0107】
(携帯端末の動作)
このように構成された携帯端末3の制御部31は、以下のような機能を有している。
【0108】
・画面切替機能
例えば、制御部31は、操作部36に所定操作がなされたことに基づいて被災度表示アプリケーションを起動させるようになっている。
制御部31は、アプリケーションの起動後、ホーム画面を表示部34に表示させるようになっている。
【0109】
また、制御部31は、操作部36に所定操作がなされると、メニュー画面を表示部34に表示させる機能を有している。
本実施形態に係るホーム画面には、複数のアイコンが表示される。そのうちの一つはデモアイコンとなっている。
【0110】
・通信機能
また、制御部31は、地震が発生すると、通信部32を介して、管理装置2から各種情報(加速度センサ11から取得した地震波データ、算出した工学的震度、決定した震度階級、算出した変形角、決定した建物被災度、地盤被災度の少なくともいずれか)を、通信部32を受信する機能を有している。
また、制御部31は、所定指示がなされた場合に、通信部32を介して、管理装置2から各種情報(デモ用の震度階級、決定したデモ用の建物被災度、デモ用の地盤被災度の少なくともいずれか)を、通信部32を受信する機能を有している。
本実施形態に係る所定指示は、図示しないデモアイコンが操作されることとしている。
【0111】
また、本実施形態に係る制御部31は、管理装置2から、表示指示等を受信する機能を有している。
【0112】
・報知機能
また、制御部31は、地震が発生した場合に、管理装置2から受信した被災度を表示部34に表示させる機能を有している。
本実施形態に係る制御部31は、例えば
図15に示したような報知画面S
8を表示部34に表示させるようになっている。
本実施形態に係る報知画面S
8には、建物被災度を表示する建物被災度表示領域R
81及び地盤被災度を表示する地盤被災度表示領域R
82の他、地震の発生日時を表示する日時表示領域R
83、震度階級を表示する震度表示領域R
84、予想損傷内容やコメントを表示する文字情報表示領域R
85等が含まれる。
【0113】
また、制御部31は、表示装置12が表示する内容に対応する音声を音声出力部35に出力させる機能を有している。
音声には、内容に対応した態様及び音量の警報音や、表示部34に表示された震度、被災度、予想損傷内容等を読み上げる声等が含まれる。
なお、制御部31は、官公庁から緊急地震速報を受信したときに、その旨を示す警報音を、被災度等を表示させるよりも前に音声出力部35に出力させるようになっていてもよい。
【0114】
・デモ機能
また、制御部31は、所定指示がなされた場合に、受信したデモ用の被災度を、表示部34に表示させるようになっている。
上述したように、携帯端末3は、建物Bとは異なる場所に設置された、又は持ち運び可能なものとなっている。このため、携帯端末3が実際の地震発生時と同様に被災度を表示することで、建物Bから離れた場所であっても、地震発生時にどのような動作をするのかを確認することができる。
【0115】
また、制御部31は、デモ用の被災度を、地震発生時における被災度を表示するときと同様の態様で表示させるようになっている。
こうすることで、建物Bの住人等は、地震が発生していないときであっても、携帯端末3が表示する地震発生時と同じ画面を確認することができるので、より実際に即した動作に慣れておくことができる。
制御部31が以上のような表示制御を実行することにより、携帯端末3は、本発明における表示手段をなす。
【0116】
なお、本実施形態に係る制御部31は、デモ用の被災度を表示する際、デモ用の表示である(実際の地震ではない)旨の識別表示を表示部34の一部(例えば上端部)に表示させるようになっているのが好ましい。
また、制御部31は、表示装置12と同様に、管理装置2から受けた表示指示に基づいてデモ用の被災度を表示させるようになっていてもよい
【0117】
また、制御部31は、デモ用の被災度を表示する際の音声を、地震発生時における被災度を表示するときと同様の態様で音声出力部35に出力させるようになっている。
制御部31が以上のような音声出力制御を実行することにより、携帯端末3は、本発明における出力手段をなす。
【0118】
また、制御部31は、デモ用の被災度の表示を開始した後、第二所定指示がなされた場合に、デモ用の被災度の表示を終了する機能を有している。
本実施形態に係る第二所定指示は、図示しない終了アイコンが操作されることとしている。
また、本実施形態に係る制御部31は、操作部36に第二所定指示がなされた場合に、音声の出力も終了するようになっている。
【0119】
〔6.効果〕
以上説明してきたように構成されたシステム100は、実際に地震が発生していないときであっても、所定指示(操作部36の操作、管理装置2からの表示指示)がなされた場合にデモ用の被災度を表示することができる。
このため、システム100によれば、地震発生時に建物Bの被災度を表示する表示手段が地震発生時にどのような動作をするのかを、建物Bの住人等に普段から慣れさせ、住人等の防災意識の向上を図ることができる。
【0120】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
なお、ここでは、第一実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0121】
〔1.構成〕
まず、本実施形態に係る被災度表示システム100(以下システム100A)の構成の相違点について説明する。
【0122】
本実施形態に係る地震計1Aの表示装置12Aは、決定手段としての機能や、各種数値を算出する機能を有していない。
そして、表示装置12Aは、加速度センサ11から得た地震波データを管理装置2Aの端末装置21Aへそのまま送信するようになっている。
また、表示装置12Aは、管理装置2Aから受信した決定結果を表示するようになっている。
【0123】
また、本実施形態に係る管理装置2Aのサーバ22Aは、各地震計1Aが設置された建物Bの構造情報IC及びテーブルT1,T2を記憶している。
なお、構造情報ICは、各表示装置12Aが記憶していてもよい。
また、テーブルT1,T2は、端末装置21Aが記憶していてもよい。
本実施形態に係る管理装置2Aは、決定手段としての機能を有している。
すなわち、端末装置21Aは、表示装置12Aから受信した地震波データ、サーバ22Aが記憶している構造情報ICに基づいてデモ用の被災度等を決定するようになっている。
また、端末装置21Aは、決定したデモ用の被災度を各表示装置12Aへ送信するようになっている。
【0124】
〔2.効果〕
以上説明してきたように構成されたシステム100Aによれば、上記第一実施形態と同様に、地震発生時に建物Bの被災度を表示する表示手段が地震発生時にどのような動作をするのかを、建物Bの住人等に普段から慣れさせ、住人等の防災意識の向上を図ることができる。
また、本実施形態に係るシステム100Aによれば、各種演算を行う機能を管理装置2Aに集約することにより、表示装置12Aを低コストで製造できるようになる。
【符号の説明】
【0125】
100,100A 被災度表示システム
1、1A 地震計
11 加速度センサ(測定手段)
12,12A 被災度表示装置(表示手段、出力手段)
121 制御部(取得手段、決定手段)
122 通信部
123 記憶部(記憶手段)
124 表示部(表示手段)
125 音声出力部
126 操作部
126a メニューボタン
126b ボタン
126c ホームボタン
126d 終了ボタン
126f 決定ボタン
2,2A 管理装置(管理手段)
21 端末装置
211 制御部
212 通信部
213 記憶部
214 表示部
215 操作部
22 サーバ
3 携帯端末(表示手段、出力手段)
31 制御部
32 通信部
33 記憶部
34 表示部
35 音声出力部
36 操作部
B 建物
C21,C41,C51 カーソル
D 模擬地震波データ
D11,D71,D72 識別表示
DB データベース
I21~I26 アイコン
I41 選択肢アイコン
I51 アイコン
IB 基本情報
IC 構造情報
N 通信ネットワーク
R11 カレンダー表示領域
R12 温度表示領域
R13 湿度表示領域
R21 説明領域
R31,R81 建物被災度表示領域
R32,R82 地盤被災度表示領域
R33,R83 日時表示領域
R34,R84 震度表示領域
R35,R85 文字情報表示領域
S1 ホーム画面
S2 メニュー画面
S3 報知画面
S4 地震波選択画面
S5 確認画面
S6 未登録画面
S7,S8 報知画面