(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】配線構造及びメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
E04F 15/18 20060101AFI20230914BHJP
E04F 13/074 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
E04F15/18 Y
E04F13/074
(21)【出願番号】P 2020051524
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2022-06-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和元年8月26日、ミサワホーム株式会社がウェブサイトにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和元年8月26日、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立極地研究所、ミサワホーム株式会社、株式会社ミサワホーム総合研究所が、ウェブサイトにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和元年10月29日、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立極地研究所、ミサワホーム株式会社、株式会社ミサワホーム総合研究所が、「南極移動基地ユニット」お披露目会にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和元年11月7日、第63回宇宙科学技術連合講演会にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和元年11月12日、ミサワホーム株式会社がウェブサイトにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和元年12月3日、EMIRA編集委員会がウェブサイトにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年2月7日、宇宙探査オープンイノベーションフォーラムにて公開
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29~31年度、国立研究開発法人科学技術振興機構 イノベーションハブ構築支援事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】吉田 隆之
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-314118(JP,A)
【文献】特開平07-087655(JP,A)
【文献】国際公開第2017/122425(WO,A1)
【文献】特開2005-061163(JP,A)
【文献】特開2006-057964(JP,A)
【文献】実開昭58-041014(JP,U)
【文献】特開平9-121429(JP,A)
【文献】特開2001-73493(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/52122(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/301774(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/00-13/30
E04F 15/00-15/22
H02G 3/22- 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋の外郭が、前記部屋の内部空間に面する複数の仕上げ材が並設されて構成された仕上げ材層と、前記仕上げ材層の裏側に形成された中空層と、を備えており、
前記部屋には、前記複数の仕上げ材のうち、一の仕上げ材が設けられた位置に配置された第一設備と、前記複数の仕上げ材のうち、他の仕上げ材が設けられた位置に配置された第二設備と、前記中空層に配置されて前記第一設備と前記第二設備とを接続する線材と、が設けられており、
前記線材は、複数のコネクタを備え、当該複数のコネクタのそれぞれの位置で、一方側と他方側に分離可能に構成され、
それぞれの前記コネクタは、少なくとも、前記一の仕上げ材の裏側における前記中空層と、前記他の仕上げ材の裏側における前記中空層に配置され
ており、
前記部屋の外郭は、前記中空層を形成するための枠を構成し、かつ、前記複数の仕上げ材を設けるための下地となる下地枠を備えており、
前記複数の仕上げ材は、前記下地枠に対して着脱自在に設けられており、
前記複数の仕上げ材には、
前記部屋の床を構成しており、かつ、前記下地枠である床下地枠の上面に並べて載せられる複数の床仕上げ材と、
前記部屋の壁を構成しており、かつ、前記床下地枠の周囲に設けられた土台の上に設けられるとともに、前記部屋の居住スペースに面して複数並設される複数の壁仕上げ材と、
が含まれており、
前記複数の床仕上げ材と前記複数の壁仕上げ材は直近に配置された状態となっており、
前記複数の壁仕上げ材のうち、少なくとも前記部屋の一辺側に位置する壁仕上げ材は、前記土台に対して着脱自在となっていることを特徴とする配線構造。
【請求項2】
請求項1に記載の配線構造において、
前記第一設備と前記第二設備は、前記中空層内に設けられるか、もしくは、前記仕上げ材の表面に露出して設けられることを特徴とする配線構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の配線構造において、
前記線材は、前記第一設備に接続された第一線材と、前記第二設備に接続された第二線材と、これら第一線材と第二線材を接続する接続用線材と、を有しており、
前記コネクタは、前記第一線材と前記接続用線材との間と、前記第二線材と前記接続用線材との間に設けられており、
前記第一線材と前記第二線材は、前記コネクタによって前記接続用線材を介さずに接続可能となっていることを特徴とする配線構造。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の配線構造において、
前記一の仕上げ材は、前記床仕上げ材であり、
前記他の仕上げ材は、前記壁仕上げ材であり、
前記床仕上げ材が設けられた位置に配置された前記第一設備と、前記壁仕上げ材が設けられた位置に配置された前記第二設備と、を接続する前記線材は、前記床仕上げ材の裏側における前記中空層から前記壁仕上げ材の裏側における前記中空層にかけて設けられた中空状のガイド配管に通され、
前記コネクタは、前記ガイド配管の一端部及び他端部の付近に配置されていることを特徴とする配線構造。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の配線構造
が設けられた部屋における配線のメンテナンス方法であって、
前記第一設備と前記第二設備のうち少なくとも一方の設備が、前記床仕上げ材の裏側に形成された前記中空層に配置されており、
前記複数の壁仕上げ材のうち、前記部屋の一辺側に位置し、かつ、前記少なくとも一方の設備が配置されている前記中空層の上に位置する前記床仕上げ材の直近に配置された壁仕上げ材を前記土台から取り外す工程と、
前記少なくとも一方の設備が配置されている前記中空層の上に位置する前記床仕上げ材を前記床下地枠から取り外す工程と、を有することを特徴とするメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線構造及びメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床の上にネットワーク配線などのための一定の高さの空間をとり、その上に別の床を設け二重化したフリーアクセスフロアが広く知られている。
また、特許文献1のように、床下以外の箇所として、電源線や通信線等のケーブルを、EPS(Electric Pipe Shaft)内に設置されている分電盤やルーターに接続してネットワーク化する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ネットワーク関連設備や電力供給設備には、定期的なメンテナンスや臨時的なメンテナンスが必要な場合があり、そのようなときには、床材や壁材を取り払い、電源線や通信線等のケーブルが配線された空間を開放してメンテナンスを行う。ところが、ケーブルの配線状況によっては、メンテナンス必要箇所以外の床材や壁材を取り払う作業が発生する場合があり、作業に手間取ることがある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、従来に比してメンテナンス作業を行いやすくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば
図25~
図29に示すように、部屋の外郭が、前記部屋の内部空間S(居住スペースS)に面する複数の仕上げ材6c,16(床面材6c、内装仕上げ材16)が並設されて構成された仕上げ材層と、前記仕上げ材層の裏側に形成された中空層と、を備えており、
前記部屋には、前記複数の仕上げ材6c,16のうち、一の仕上げ材6c,16が設けられた位置に配置された第一設備(例えば分電盤40)と、前記複数の仕上げ材6c,16のうち、他の仕上げ材6c,16が設けられた位置に配置された第二設備(例えばフロアコンセント41、壁コンセント44)と、前記中空層に配置されて前記第一設備と前記第二設備とを接続する線材40a,41a,44a,42と、が設けられており、
前記線材40a,41a,44a,42は、複数のコネクタ43を備え、当該複数のコネクタ43のそれぞれの位置で、一方側と他方側に分離可能に構成され、
それぞれの前記コネクタ43は、少なくとも、前記一の仕上げ材6c,16の裏側における前記中空層と、前記他の仕上げ材6c,16の裏側における前記中空層に配置され
ており、
前記部屋の外郭は、前記中空層を形成するための枠を構成し、かつ、前記複数の仕上げ材6c,16を設けるための下地となる下地枠を備えており、
前記複数の仕上げ材6c,16は、前記下地枠に対して着脱自在に設けられており、
前記複数の仕上げ材6c,16には、
前記部屋の床(床構造6)を構成しており、かつ、前記下地枠である床下地枠6bの上面に並べて載せられる複数の床仕上げ材6cと、
前記部屋の壁を構成しており、かつ、前記床下地枠6bの周囲に設けられた土台6Baの上に設けられるとともに、前記部屋の居住スペースSに面して複数並設される複数の壁仕上げ材16(内装仕上げ材16)と、
が含まれており、
前記複数の床仕上げ材6cと前記複数の壁仕上げ材16は直近に配置された状態となっており、
前記複数の壁仕上げ材16のうち、少なくとも前記部屋の一辺側に位置する壁仕上げ材16は、前記土台6Baに対して着脱自在となっていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、部屋には、複数の仕上げ材6c,16のうち、一の仕上げ材6c,16が設けられた位置に配置された第一設備と、複数の仕上げ材6c,16のうち、他の仕上げ材6c,16が設けられた位置に配置された第二設備と、中空層に配置されて第一設備と第二設備とを接続する線材40a,41a,44a,42と、が設けられており、線材40a,41a,44a,42は、複数のコネクタ43を備え、当該複数のコネクタ43のそれぞれの位置で、一方側と他方側に分離可能に構成され、それぞれのコネクタ43は、少なくとも、一の仕上げ材6c,16の裏側における中空層と、他の仕上げ材6c,16の裏側における中空層に配置されているので、第一設備又は第二設備にメンテナンス等が必要となった場合は、一の仕上げ材6c,16又は他の仕上げ材6c,16だけを取り払って作業を行うことができる。さらに、第一設備又は第二設備の交換や撤去等の作業も、一の仕上げ材6c,16又は他の仕上げ材6c,16だけを取り払ってコネクタ43の位置で線材40a,41a,44a,42を分離するだけで済むことになる。これにより、メンテナンス必要箇所の仕上げ材6c,16だけを取り払い、メンテナンス必要箇所以外の仕上げ材6c,16を取り払う作業が発生しないので、従来に比してメンテナンス作業を行いやすくすることができる。
また、複数の仕上げ材6c,16は、下地枠に対して着脱自在に設けられているので、メンテナンス必要箇所における仕上げ材6c,16を容易に取り外し、作業が完了すれば容易に取り付けることができる。これにより、従来に比してメンテナンス作業を行いやすくなる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図
28,図29に示すように、請求項1に記載の配線構造において、
前記第一設備と前記第二設備は、前記中空層内に設けられるか、もしくは、前記仕上げ材6c,16の表面に露出して設けられることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、第一設備と第二設備は、中空層内に設けられるか、もしくは、仕上げ材6c,16の表面に露出して設けられるので、第一設備と第二設備が、中空層内に設けられていても、もしくは、仕上げ材6c,16の表面に露出して設けられていても、従来に比してメンテナンス作業を行いやすくすることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば
図28,
図29に示すように、請求項1又は2に記載の配線構造において、
前記線材40a,41a,44a,42は、前記第一設備に接続された第一線材40aと、前記第二設備に接続された第二線材41a,44aと、これら第一線材40aと第二線材41a,44aを接続する接続用線材42と、を有しており、
前記コネクタ43は、前記第一線材40aと前記接続用線材42との間と、前記第二線材41a,44aと前記接続用線材42との間に設けられており、
前記第一線材40aと前記第二線材41a,44aは、前記コネクタ43によって前記接続用線材42を介さずに接続可能となっていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、第一設備に接続された第一線材40aと、第二設備に接続された第二線材41a,44aは、コネクタ43によって接続用線材42を介さずに接続可能となっているので、第一設備の位置と第二設備の位置を近づけることができる。すなわち、単に仕上げ材6c,16を取り払ってメンテナンス等を行うだけでなく、第一設備又は第二設備の移動作業にも対応が可能となっている。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば図29に示すように、請求項1~3のいずれか一項に記載の配線構造において、
前記一の仕上げ材は、前記床仕上げ材6c(床面材6c)であり、
前記他の仕上げ材は、前記壁仕上げ材16(内装仕上げ材16)であり、
前記床仕上げ材6cが設けられた位置に配置された前記第一設備(分電盤40)と、前記壁仕上げ材16が設けられた位置に配置された前記第二設備(壁コンセント44)と、を接続する前記線材40a,44a,42は、前記床仕上げ材6cの裏側における前記中空層から前記壁仕上げ材16の裏側における前記中空層にかけて設けられた中空状のガイド配管45に通され、
前記コネクタ43は、前記ガイド配管45の一端部及び他端部の付近に配置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、床仕上げ材6cが設けられた位置に配置された第一設備と、壁仕上げ材16が設けられた位置に配置された第二設備と、を接続する線材40a,44a,42は、床仕上げ材6cの裏側における中空層から壁仕上げ材16の裏側における中空層にかけて設けられた中空状のガイド配管45に通され、コネクタ43は、ガイド配管45の一端部及び他端部の付近に配置されているので、床仕上げ材6cと壁仕上げ材16のうち、どちらを取り外してもコネクタ43がある状態となり、第一設備又は第二設備のメンテナンス作業を行うことができる。また、メンテナンス作業に応じて線材42をガイド配管45か引き抜いても、線材42をガイド配管45に再度通せば容易に再配線することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば
図25~図29に示すように、請求項1~4のいずれか一項に記載の配線構造
が設けられた部屋における配線のメンテナンス方法であって、
前記第一設備と前記第二設備のうち少なくとも一方の設備が、前記床仕上げ材6cの裏側に形成された前記中空層に配置されており、
前記複数の壁仕上げ材16のうち、前記部屋の一辺側に位置し、かつ、前記少なくとも一方の設備が配置されている前記中空層の上に位置する前記床仕上げ材6cの直近に配置された壁仕上げ材16を前記土台6Baから取り外す工程と、
前記少なくとも一方の設備が配置されている前記中空層の上に位置する前記床仕上げ材6cを前記床下地枠6bから取り外す工程と、を有することを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、メンテナンス必要箇所の仕上げ材だけを取り払い、メンテナンス必要箇所以外の仕上げ材を取り払う作業が発生しないので、従来に比してメンテナンス作業を行いやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】連結手段によって連結された二つの居住用ユニットを示す立面図である。
【
図3】居住用ユニットの概略構成を示す斜視図である。
【
図4】居住用ユニットの概略構成を示す分解斜視図である。
【
図7】(a)は壁用木質パネルの取り付け状態を示す断面図であり、(b)は壁用木質パネルが取り付けられる各アングル部を示す正面図である。
【
図8】壁用木質パネルを取り付けるための壁側固定部の構成を示す図である。
【
図9】壁用木質パネルと屋根用木質パネルとの間に形成された目地の構成を示す断面図である。
【
図10】コーナー柱と壁用木質パネルとの間に形成された目地の構成を示す断面図である。
【
図11】居住用ユニットの外壁におけるドア付近の立面図である。
【
図12】居住用ユニットの外壁におけるドア付近の断面図である。
【
図13】太陽電池モジュールが設けられた外壁の縦断面図である。
【
図14】太陽電池モジュールが設けられる壁用木質パネルを示す斜視図である。
【
図18】日射がある場合の太陽光発電集熱システムの動作を説明する図である。
【
図19】日射がない場合の太陽光発電集熱システムの動作を説明する図である。
【
図20】居住用ユニットを二つ連結した場合の太陽光発電集熱システムの構成を説明する図である。
【
図21】太陽光発電集熱システムの構成を示すブロック図である。
【
図22】太陽の向きに伴う換気態様の例を説明する図である。
【
図23】排気ファン動作時における換気態様の例を説明する図である。
【
図24】CO2デマンド換気扇の動作を説明するフローチャートである。
【
図25】居住用ユニットにおける床の平面図である。
【
図26】床面材を取り外す態様を説明する断面図である。
【
図27】床面材を取り外す態様を説明する断面図である。
【
図28】床下の配線について説明する断面図である。
【
図29】床下と壁裏との間の配線について説明する断面図である。
【
図30】二つの居住用ユニットにおけるZ方向の位置合わせの例について説明する図である。
【
図31】レベル調整システムの概要を説明する図である。
【
図32】レベル調整システムの全体構成を説明する概略図である。
【
図33】レベル調整システムの構成を示すブロック図である。
【
図34】表示装置に表示される操作画面を説明する図である。
【
図35】表示装置に表示される設定画面を説明する図である。
【
図36】表示装置に表示される設定画面を説明する図である。
【
図37】連結前の一方の居住用ユニットにおける連結部側面の構成を説明する図である。
【
図38】連結前の他方の居住用ユニットにおける連結部側面の構成を説明する図である。
【
図39】連結部における連結パネルの配置の概略について説明する断面図である。
【
図40】連結部における連結パネルの配置態様について説明する斜視図である。
【
図41】連結部における連結パネルの配置態様について説明する斜視図である。
【
図42】連結部における連結パネルの配置態様について説明する斜視図である。
【
図43】居住用ユニットの外壁と壁用連結パネルとの取り合い部分の構成を示す断面図である。
【
図44】居住用ユニットの屋根と屋根用連結パネルとの取り合い部分の構成と、居住用ユニットの床と床用連結パネルとの取り合い部分の構成と、を示す断面図である。
【
図45】連結部の端部における連結パネル同士の取り合い部分の構成を説明する断面図である。
【
図46】連結部の中間部における連結パネル同士の取り合い部分の構成を説明する断面図である。
【
図47】隙間閉塞部材の取付例を説明する斜視図である。
【
図48】第一連結膜材及び第二連結膜材の配置例を説明する斜視図である。
【
図49】連結部における内装用の各仕上げ材の裏側の構成を説明する図である。
【
図50】連結部における壁の構成を説明する断面図である。
【
図51】パネル吊り上げ装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図52】パネル吊り上げ装置における柱の取付態様を説明する断面図である。
【
図53】パネル吊り上げ装置の要部における概略構成を示す図である。
【
図54】パネル吊り上げ装置による連結パネルの吊り上げ作業の態様を示す斜視図である。
【
図55】連結パネルによる連結部の施工手順を説明する概略図である。
【
図56】連結パネルによる連結部の施工手順を説明する概略図である。
【
図57】連結パネルによる連結部の施工手順を説明する概略図である。
【
図58】連結パネルによる連結部の施工手順を説明する概略図である。
【
図59】連結パネルによる連結部の施工手順を説明する概略図である。
【
図60】連結パネルによる連結部の施工手順を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
なお、本実施形態については、以下の項目に分けてその構成を説明する。
〔居住用ユニットの概略構成について〕
〔ユニット本体の構成について〕
〔木質パネルについて〕
〔太陽電池モジュールの納まりについて〕
〔太陽光発電集熱システムについて〕
〔居住スペースにおける配線構造について〕
〔レベル調整システムについて〕
〔連結手段について〕
〔居住用ユニットの連結方法について〕
〔本実施形態の効果について〕
【0019】
〔居住用ユニットの概略構成について〕
図1等において符号1は、簡易的に移設や設置が可能な居住用ユニットを示す。この居住用ユニット1は、架台140に載せられた状態で所望の場所に輸送され、輸送された現場にて架台140から降ろさずに住居などとして使用される。また、居住用ユニット1は、それ単体で内部に居住スペースSを有するか、複数が連結されて内部に拡張された居住スペースSを有する状態に使用されるものである。居住スペースSは、一つの部屋(部屋空間)として、または、仕切りを設けることで複数の部屋(部屋空間)として利用される。
本実施形態における居住用ユニット1は、二つの居住用ユニット1(1A,1B)における隣り合う長辺側同士が連結手段50を介して連結された状態で使用される。
連結手段50による二つの居住用ユニット1(1A,1B)の連結態様は、本実施形態のように二つの居住用ユニット1A,1Bの隣り合う長辺側同士を連結するパターンの他にも、三つ以上の居住用ユニット1の隣り合う長辺側同士を連結するパターンがある。
なお、以下では、このように連結手段50によって連結される長辺側の箇所を、連結部50Jとして説明する。また、連結部50Jは、このように二つの居住用ユニット1A,1Bが連結手段50によって連結されている箇所を指してもよく、二つの居住用ユニット1A,1Bが連結手段50によって連結されるスペースを指してもよいものとする。
【0020】
架台140は、居住用ユニット1が載せられた状態で牽引車両(図示省略)による移動を可能とする輸送用架台とされており、居住用ユニット1が載置固定されるユニット設置部141と、ユニット設置部141を支持する支持脚部142と、を備える。
ユニット設置部141は、その外周端部が、居住用ユニット1の下端部よりも外側にはみ出すように寸法設定されたフレーム体又は板状体である。
支持脚部142は、架台140を居住用ユニット輸送用とするための仕様が適用される。居住用ユニット1が寒冷地や極地で使用される場合、支持脚部142は、
図1,
図2に示すように、橇部142aを有する。また、居住用ユニット1が寒冷地や極地以外で使用される場合は車輪を有してもよいし、工事現場や農地、砂漠等の不整地でも輸送ができるように無限軌道(キャタピラーなどともいう)を有してもよい。
本実施形態においては、支持脚部142が橇部142aを有し、居住用ユニット1が寒冷地や極地で使用されることが想定されているため、牽引車両としては例えば雪上車が用いられる。このような牽引車両と、架台140は、牽引用の連結棒143や牽引チェーン、牽引ベルト等によって接続される。
【0021】
本実施形態の居住用ユニット1は、ラーメン構造を構成する略直方体フレーム状のユニット本体2と、ユニット本体2の外側面を被覆する断熱性能を有する複数の木質パネル4,5と、を備えるものである。これら複数の木質パネル4,5は、部屋である居住スペースSの外郭として、壁と天井(もしくは屋根)を構成している。また、部屋である居住スペースSの外郭として、後述する床構造6と、端部用床部17aと、玄関用床部17bと、を含む床が設けられている。
居住用ユニット1は、少なくともユニット本体2が工場生産され、ユニット本体2に取付可能な各種の部材(木質パネル4,5のような部屋の外郭を構成する各種建材、その他の建材、水道やガスの配管、電気線、通信線等々)は、工場で取り付けられてもよいし、現場で取り付けられてもよい。
【0022】
ユニット本体2は、四隅の柱20と、四隅の柱20の上端部同士を連結する複数の天井梁21,22と、四隅の柱20の下端部同士を連結する複数の床梁23,24と、を有しており、これらの鉄骨フレーム材によって略直方体フレーム状のラーメン構造を構成している。
なお、本実施形態におけるユニット本体2は、鉄骨造によるラーメン構造とされるが、これに限られるものではなく、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造によるラーメン構造でもよい。
【0023】
複数の木質パネルは、熱伝導率の低い木材を用いて形成された断熱性能を有する外郭部材であり、ユニット本体2の外側面を被覆し、居住用ユニット1の外郭を構成する。
本実施形態における複数の木質パネルには、ユニット本体2における外側面を被覆する複数の壁用木質パネル4と、ユニット本体2における上面を被覆する複数の屋根用木質パネル5と、が含まれている。
【0024】
壁用木質パネル4は、壁用木質パネル4は、カーテンウォールとして機能するものであり、ユニット本体2のうち、連結手段50によって二つの居住用ユニット1A,1Bが連結される側の面を除く三つの面を被覆する。
ユニット本体2における連結部50Jとは反対の長辺側を被覆する壁用木質パネル4と、短辺側を被覆する壁用木質パネル4(4´)との交点には、コーナー柱3が設けられる。なお、壁用木質パネル4が被覆する面は、上記のように、連結手段50によって二つの居住用ユニット1A,1Bが連結される側の面を除く三つの面であるため、コーナー柱3は、連結手段50によって二つの居住用ユニット1A,1Bが連結される側とは反対側のコーナーに設けられる。
複数の壁用木質パネル4の表面は、耐候性、耐久性、耐食性、耐熱性等に優れたガルバリウム鋼板(登録商標)によって構成された外装材4aと、居住用ユニット1における自家発電を可能とするための複数の太陽電池モジュール4bと、のうち少なくとも一方によって被覆されている。なお、ガルバリウム鋼板である外装材4aは、壁用木質パネル4の表面に対して接着剤により接合されている。
また、コーナー柱3も、ガルバリウム鋼板によって構成された外装材3aが接着剤によって接合されて被覆されているものとする。
複数の壁用木質パネル4及びコーナー柱3は、外装材4a,3aによって被覆された状態で、居住用ユニット1の外郭として外壁Owを構成している。
【0025】
屋根用木質パネル5は、ユニット本体2の上面における縁部から側方に突出するように寸法設定されている。すなわち、屋根用木質パネル5は、ユニット本体2よりも外側にはみ出している。屋根用木質パネル5のうち、ユニット本体2よりもはみ出した部分の下方に、壁用木質パネル4及びコーナー柱3が配置されている。
このような屋根用木質パネル5も、端部が、ガルバリウム鋼板によって構成された外装材5aによって被覆され、全体が、塩ビ防水シート5bによって被覆されている。外装材5a及び塩ビ防水シート5bは共に、接着剤によって屋根用木質パネル5に接合されている。
複数の屋根用木質パネル5は、外装材5aによって被覆された状態で、居住用ユニット1の外郭として屋根Rfを構成している。
【0026】
壁用木質パネル4やコーナー柱3、屋根用木質パネル5を被覆する外装材4a,5aは、居住用ユニット1が用いられる環境に応じて適宜変更可能である。基本的には耐候性に優れたものであり、居住用ユニット1が、例えば寒冷地や熱帯、極地、砂漠、月面等の比較的過酷な環境下で使用される場合は、特に断熱性に優れた外装材が選択される。なお、本実施形態においては、居住用ユニット1が寒冷地や極地、月面等で使用されることが想定されている。月面で使用される場合は、断熱性と共に気密性の高さも求められる。
【0027】
〔ユニット本体の構成について〕
ユニット本体2は、上記のように、四隅の柱20と、四隅の柱20の上端部同士を連結する複数の天井梁21,22と、四隅の柱20の下端部同士を連結する複数の床梁23,24と、を有する。
【0028】
柱20は、角柱(角筒柱)である。また、柱20の上端部及び下端部には、柱梁連結金物としてダイヤフラム25が一体的に設けられている。すなわち、柱20の上端部と各天井梁21,22並びに柱20の下端部と各床梁23,24は、ダイヤフラム25を介して連結されている。
【0029】
柱20を構成する側面のうち、外側に位置して壁用木質パネル4に隣接する二つの側面には、コーナー柱3を連結するためのアングル材20aが上下方向に並んで、かつ交互に溶接されて設けられている。
また、柱20の下端部に設けられたダイヤフラム25の下端部には、コーナー柱3の下端面を受ける柱受けブラケット25aが溶接されて設けられている。
なお、柱受けブラケット25aは、ダイヤフラム25の下端部における外角部に設けられるアングル状の固定部と、この固定部の下端部から外方に突出するL字状の受け部と、からなる。
【0030】
複数の天井梁21,22は、ユニット本体2の長辺方向に沿って長尺な長辺天井梁21と、ユニット本体2の短辺方向に沿って長尺な短辺天井梁22と、を含む。これら長辺天井梁21及び短辺天井梁22は、本実施形態においては二本ずつ使用されており、柱20の上端部(ダイヤフラム25)を含んで矩形枠体を構成している。
また、本実施形態における複数の天井梁21,22としては、ウェブと、ウェブの上端部に設けられる上フランジと、ウェブの下端部に設けられる下フランジと、からなる溝形鋼(又はリップ溝形鋼)が用いられている。ウェブは外側に位置し、上下フランジは、ウェブの上下端部から内側に突出している。
ウェブ、上フランジ、下フランジには、必要に応じて部材がボルト留めされるため、ボルト用の通し孔が複数形成されている。また、補強のためのスチフナー等も適宜設けられているものとする。
なお、複数の天井梁21,22として、本実施形態においては溝形鋼が用いられているが、これに限られるものではなく、他の形鋼が用いられてもよい。
【0031】
複数の長辺天井梁21は、互いに平行して配置されており、これら複数の長辺天井梁21間には、
図5に示すように、複数の天井野縁材21bが架け渡されて設けられている。
また、複数の天井野縁材21bは、ユニット本体2の長さ方向に間隔を空けて配置されており、これら複数の天井野縁材21bの下面には、居住スペースS内における天井面を構成する天井材21cが取り付けられている。すなわち、この天井材21cは、居住スペースSに面して複数並設されており、部屋の外郭における仕上げ材層を形成している。
【0032】
複数の床梁23,24は、ユニット本体2の長辺方向に沿って長尺な長辺床梁23と、ユニット本体2の短辺方向に沿って長尺な短辺床梁24と、を含む。これら長辺床梁23及び短辺床梁24は、本実施形態においては二本ずつ使用されており、柱20の下端部(ダイヤフラム25)を含んで矩形枠体を構成している。
また、本実施形態における複数の床梁23,24としては、ウェブと、ウェブの上端部に設けられる上フランジと、ウェブの下端部に設けられる下フランジと、からなる溝形鋼(又はリップ溝形鋼)が用いられている。ウェブは外側に位置し、上下フランジは、ウェブの上下端部から内側に突出している。
ウェブ、上フランジ、下フランジには、必要に応じて部材がボルト留めされるため、ボルト用の通し孔が複数形成されている。また、補強のためのスチフナー等も適宜設けられているものとする。
なお、複数の床梁23,24として、本実施形態においては溝形鋼が用いられているが、これに限られるものではなく、他の形鋼が用いられてもよい。
【0033】
また、このような複数の床梁23,24におけるウェブの外側面における下端部には、
図7に示すように、複数の壁用木質パネル4の下端面を受けるアングル状の壁受ブラケット23a,24aが設けられている。
アングル状の壁受ブラケット23a,24aのうち、壁用木質パネル4側に突出して壁用木質パネル4の下端面に接する突出板部は、壁用木質パネル4の下端面には固定されておらず、壁用木質パネル4が載せられただけの状態となっている。そのため、壁用木質パネル4は、揺動している最中も当該突出板部によって支えられることになるので、壁用木質パネル4の脱落や破損を防ぎやすくなる。
【0034】
複数の長辺床梁23は、互いに平行して配置されており、これら複数の長辺床梁23間には、
図5に示すように、複数の床根太材23bが架け渡されて設けられている。
また、複数の床根太材23bは、ユニット本体2の長さ方向に間隔を空けて配置されており、これら複数の床根太材23bの上面には、床構造6と、端部用床部17aと、玄関用床部17bと、を含む床が設けられている。さらに、これら複数の床根太材23bの下面には、底面板材23cが取り付けられ、当該底面板材23cの上面には、複数の床根太材23b間の隙間を埋める底断熱フォーム23dが設けられている。
【0035】
なお、端部用床部17aは、床のうち、居住用ユニット1A,1Bにおける一方の短辺側に最も近い位置に設けられる床であり、床構造6を構成する床面材6c(後述する)とは異なり、着脱できないように設けられている。
また、玄関用床部17bは、床のうち、居住用ユニット1A,1Bにおける一方の短辺側に最も近く、ドアDrが設けられる部分の床である。この玄関用床部17bも、端部用床部17aと同様に、着脱できないように設けられている。
【0036】
床構造6は、複数の床束6aと、床下地枠6bと、床面材6cと、床断熱フォーム6dと、を備える。
複数の床束6aは、床根太材23bの長さ方向に間隔を空けて配置され、床根太材23bに固定されている。
床下地枠6bは、枠材が縦横に組まれて格子枠状に形成され、調整材を介して複数の床束6aによって縦横の枠材が支持される格子枠体であり、上方からの荷重を分散しやすくしている。なお、床下地枠6bの周囲には、土台6Baが設けられており、土台6Baの上には、内装仕上げ材16が設けられている。
床面材6cは、床下地枠6bの上面に載せられて居住スペースS内の床面を構成する床材である。このような床面材6cは、居住用ユニット1を例えば住居として使用している際にも着脱が可能となっており、床下空間を開放できるようになっている。なお、床面材6cには、当該床面材6cの着脱時に利用する半回転把手6eが設けられている。また、この床面材6cは、居住スペースSに面して複数並設されており、端部用床部17a及び玄関用床部17bと共に、部屋の外郭における仕上げ材層を形成している。
床断熱フォーム6dは、床下地枠6bに取り付けられた略S字状に形成された支持金物によって支持され、格子枠状に形成された床下地枠6bにおける各格子枠の内部に入り込んで、床下地枠6bの下面よりも下方に突出する。
【0037】
床構造6における床断熱フォーム6dの下面と、複数の床根太材23b間の隙間に設けられた底断熱フォーム23dの上面との間には、分電盤40を配置したり、各種ケーブルを配線したりするための床下収納空間となっている。
【0038】
なお、内装仕上げ材16は、複数の縦桟材と、これら複数の縦桟材における上端部間と下端部間を連結する上下の横桟材と、からなる枠体の表面に合板が貼り付けられ、その合板の表面に化粧ケイカル板が貼り付けられて形成されている。
また、この内装仕上げ材16は、下端部は上記のように土台6Baに固定され、上端部は、天井材21cを挟んで天井野縁材21bに固定されている。すなわち、上記の枠体における上下の横桟材が、それぞれ土台6Baと天井野縁材21bに対し、ビス等によって固定されている。さらに、隣接する内装仕上げ材16同士もビス留めされている。平面視において直交する内装仕上げ材16同士は、ユニット本体2の柱20に固定された調整材に接して当該調整材にビス留めされている。
さらに、この内装仕上げ材16は、居住スペースSに面して複数並設されており、部屋の外郭における仕上げ材層を形成している。
【0039】
〔木質パネルについて〕
ユニット本体2は、上記のように、断熱性能を有する複数の木質パネルによって外側面が被覆されている。本実施形態における複数の木質パネルには、壁用木質パネル4(壁用木質パネル4´)、屋根用木質パネル5(サブ屋根用木質パネル5S)が含まれており、コーナー部にはコーナー柱3が立設されている。
【0040】
木質パネルの基本構造としては、縦框材A及び横框材Bが矩形状に組み立てられるとともに、これら縦横の框材A,Bからなる矩形枠体の内部に補助桟材Cが縦横に組み付けられてパネル枠体が構成され、このパネル枠体の両面もしくは片面に、面材D,Eが貼設され、内部中空な構造となっている。さらに、その内部中空な部分には、通常、グラスウールやロックウール等の断熱材Fが装填される。
また、木質パネルを構成する縦横の框材A,B、補助桟材C、面材D,E同士は、接着剤により強固に接合されている。
【0041】
縦方向の框材Aとは、矩形状に組み立てられた矩形枠体において長辺方向に延在する框材を指しており、横方向の框材Bとは、短辺方向に延在する框材を指している。
これらの框材A,Bは、例えば木質パネルの剛性を向上させるため、被固定面の拡張等の目的で、必要に応じて複数枚重ねにして使用されてもよい。
【0042】
補助桟材Cは、木質パネルの剛性を向上させるために必要に応じて、縦横の框材A,Bによって組み立てられる矩形枠体に対して組み付けられるものであり、縦方向(長辺方向)のみに組み付けられてもよいし、横方向(短辺方向)のみに組み付けられてもよい。また、矩形枠に組み付けられなくてもよい。
補助桟材Cも、上記の框材A,Bと同様に、必要に応じて複数枚重ねにして使用されてもよい。
【0043】
面材D,Eは、いずれか一方が外部(屋外)側、他方が内部(居住スペース)側に設けられるものであり、本実施形態においては説明の便宜上、面材Dが内部側(以下、内側面材D)、面材Eが外部側(以下、外側面材E)に設けられるものとする。また、面材D,Eは、必ずしも枠体の両面に設けられるものではなく、片面のみに設けられるものとしてもよい。
【0044】
断熱材Fとしては、上記のようにグラスウールやロックウール等の繊維系断熱材が主に使用されているが、これに限られるものではなく、例えばフェノールフォームやポリエチレンフォーム等のような発砲樹脂系断熱材が使用されてもよい。
木質パネル内部に部材等が設けられる場合、断熱材Fは、当該部材等を避けて設けられるが、断熱性能の低下を防ぐために、当該部材等を包囲するように設けられることが望ましい。なお、各図面中において網目状に表現された断熱材は繊維系断熱材であり、網目状に表現されていない断熱材は発泡樹脂系断熱材である。
【0045】
框材A,B、補助桟材C、面材D,Eには、貫通孔が適宜形成され、ダクト31、水道やガスの配管、電気線、通信線が通されたり、木質パネルの取り付け作業時に使用されたりする。
なお、
図18,
図19には、壁用木質パネル4に、集熱ファン32が内部に配置されるダクト31が設けられる例が示されている。この例では、複数の壁用木質パネル4のうち、いずれかの壁用木質パネル4における両側面材D,Eに、ダクト31が通される貫通孔4cが形成されている。
なお、木質パネルに形成される貫通孔には、木質パネルを他の部材に対して固定する際のボルトが通される通し孔が含まれるものとし、このような通し孔は、必要な箇所に適宜形成されているものとする。また、ボルト留め(ボルト連結)を行う際は、ボルトの雄ネジと噛み合う雌ネジが形成されたナット等の部材又は構造が適宜利用されるものとする。
【0046】
木質パネルに対しては、防蟻シートや透湿防水シートが適宜貼り付けられているものとする。特に、木質パネルにおける外側面材Eには、これらのシートが貼り付けられることが望ましい。防蟻シートに替えて、防蟻剤を框材A,Bや補助桟材Cに含侵させて木質パネルを形成するようにしてもよい。
【0047】
(コーナー柱)
本実施形態におけるコーナー柱3は、上記のように、連結手段50によって二つの居住用ユニット1A,1Bが連結される連結部50J側とは反対側のコーナーに設けられるものである。そのため、一つの居住用ユニット1A,1Bにつき、二本のコーナー柱3が、連結手段50とは反対側のコーナーに用いられることとなる。
また、このコーナー柱3は、ユニット本体2の柱20に設けられたアングル材20aに固定され、柱20の下端部のダイヤフラム25に設けられた柱受けブラケット25aによって下方から支持される。
【0048】
(壁用木質パネル)
本実施形態における壁用木質パネル4は、
図5~
図8に示すように、縦横の框材A,B、縦横の補助桟材C、両側面材D,E、断熱材Fを備える。
壁用木質パネル4は、本実施形態における居住用ユニット1の場合、長辺方向においては六つの壁用木質パネル4が並べられ、短辺方向においては二つの壁用木質パネル4が並べられている。
長辺方向に並ぶ壁用木質パネル4のうち最も端(両端)に位置する2枚の壁用木質パネル4と、短辺方向に並ぶ片側2枚(計4枚)の壁用木質パネル4は、その幅寸法が、他の箇所に設けられた壁用木質パネル4の幅寸法よりも長く幅広に形成されている。本実施形態においては、当該幅広な壁用木質パネル4を、壁用木質パネル4´として説明する。
なお、幅広な壁用木質パネル4´は、壁用木質パネル4よりも横框材Bが長く、補助桟材Cも多く使われている。
【0049】
壁用木質パネル4は、第一取付金物26によって、複数の天井梁21,22に取り付けられている。
第一取付金物26は、天井梁21,22における下フランジの下面に取り付けられるとともに、壁用木質パネル4における矩形枠体を構成する上側の補助桟材Cに固定されている。このような第一取付金物26は、壁用木質パネル4の幅方向に間隔を空けて二か所に配置されている。
より詳細に説明すると、第一取付金物26は、第一アングル状ブラケット260と、第一壁側固定部261と、第一連結ボルト262と、を有する。
【0050】
第一アングル状ブラケット260は、天井梁21,22における下フランジの下面に取り付けられる上面板部260aと、壁用木質パネル4に固定された第一壁側固定部261に連結される垂直板部260bと、からなる。上面板部260aと垂直板部260bは一体形成されたアングル状の部材であり、上面板部260aは水平に、垂直板部260bは垂直に配置される。
上面板部260aは、天井梁21,22における下フランジの下面に溶接されている。
垂直板部260bは、第一連結ボルト262によって、第一壁側固定部261に連結されている。この垂直板部260bには、当該垂直板部260bを貫通する円孔260cが形成されており、当該円孔260cに、第一連結ボルト262が通される。
【0051】
第一壁側固定部261は、板状体であり、壁用木質パネル4における矩形枠体を構成する補助桟材Cに固定され、第一連結ボルト262によって第一アングル状ブラケット260と連結される。ここで、第一壁側固定部261は、
図7,
図8に示すように、上下方向に間隔を空けて配置された固定用桟材である二本の補助桟材C(説明の便宜上、以下の説明では、上から補助桟材C1,C2とする。)に跨ってビス固定されている。
また、この第一壁側固定部261の中央には円孔261aが形成されており、当該円孔261aに、第一連結ボルト262が通される。
【0052】
第一連結ボルト262は、ナット262aと共に用いられる。
ナット262aは、第一壁側固定部261における屋外側面に溶接固定され、壁用木質パネル4に埋め込まれた状態となっている。そのため、壁用木質パネル4の内側面材Dには、図示はしないが、ナット262a及び第一連結ボルト262が通される貫通孔(すなわち、差込孔)が形成されている。そして、このナット262aは、壁用木質パネル4における上下の補助桟材C1,C2間に嵌め込まれた状態となっており、第一連結ボルト262のねじ込み動作に追従せず、共回りしない。
第一連結ボルト262は、第一アングル状ブラケット260の垂直板部260bに形成された円孔260cと、第一壁側固定部261に形成された円孔261aに通され、その奥に設けられたナット262aに対してねじ込まれる。なお、第一連結ボルト262は、第一アングル状ブラケット260の垂直板部260bに形成された円孔260cに通される場合に、ワッシャーを介して通される。
【0053】
壁用木質パネル4は、第二取付金物27によって、複数の床梁23,24に取り付けられている。
第二取付金物27は、床梁23,24における上フランジの上面に取り付けられるとともに、壁用木質パネル4における矩形枠体を構成する下側の補助桟材Cに固定されている。このような第二取付金物27は、壁用木質パネル4の幅方向に間隔を空けて二か所に配置されている。
より詳細に説明すると、第二取付金物27は、第二アングル状ブラケット270と、第二壁側固定部271と、第二連結ボルト272と、を有する。
【0054】
第二アングル状ブラケット270は、床梁23,24における上フランジの上面に取り付けられる下面板部270aと、壁用木質パネル4に固定された第二壁側固定部271に連結される垂直板部270bと、からなる。下面板部270aと垂直板部270bは一体形成されたアングル状の部材であり、下面板部270aは水平に、垂直板部270bは垂直に配置される。
下面板部270aは、床梁23,24における上フランジの上面に溶接されている。
垂直板部270bは、第二連結ボルト272によって、第二壁側固定部271に連結されている。この垂直板部270bには、当該垂直板部270bを貫通する長孔270cが形成されており、当該長孔270cに、第二連結ボルト272が通される。
【0055】
第二壁側固定部271は、板状体であり、壁用木質パネル4における矩形枠体を構成する補助桟材Cに固定され、第二連結ボルト272によって第二アングル状ブラケット270と連結される。ここで、第二壁側固定部271は、
図7に示すように、上下方向に間隔を空けて配置された固定用桟材である二本の補助桟材C(説明の便宜上、以下、上から補助桟材C3,C4とする。)に跨ってビス固定されている。
また、この第二壁側固定部271の中央には円孔が形成されており、当該円孔に、第二連結ボルト272が通される。
【0056】
第二連結ボルト272は、ナット272aと共に用いられる。
ナット272aは、第二壁側固定部271における屋外側面に溶接固定され、壁用木質パネル4に埋め込まれた状態となっている。そのため、壁用木質パネル4の内側面材Dには、図示はしないが、ナット272a及び第二連結ボルト272が通される貫通孔(すなわち、差込孔)が形成されている。そして、このナット272aは、壁用木質パネル4における上下の補助桟材C3,C4間に嵌め込まれた状態となっており、第二連結ボルト272のねじ込み動作に追従せず、共回りしない。
第二連結ボルト272は、第二アングル状ブラケット270の垂直板部270bに形成された長孔270cと、第二壁側固定部271に形成された円孔に通され、その奥に設けられたナット272aに対してねじ込まれる。なお、第二連結ボルト272は、第二アングル状ブラケット270の垂直板部270bに形成された長孔270cに通される場合に、ワッシャーを介して通される。
【0057】
壁用木質パネル4は、第一取付金物26及び第二取付金物27を介して複数の天井梁21,22及び複数の床梁23,24に取り付けられている。しかも、下側に位置する第二取付金物27の第二アングル状ブラケット270における垂直板部270bの長孔270cによって、壁用木質パネル4は、自身の左右方向に僅かに回転可能となっている。そのため、ユニット本体2に取り付けられた複数の壁用木質パネル4は、カーテンウォールとして機能することになる。すなわち、例えば居住用ユニット1が風や地震等により揺動(振動)した際は、居住用ユニット1におけるユニット本体2の骨組みである四隅の柱20及び複数の天井梁21,22と同一の動作を行わないため、壁用木質パネル4の脱落や破損を防ぐことができるようになっている。
【0058】
壁用木質パネル4は、複数の天井梁21,22及び複数の床梁23,24よりも外側に位置している。そのため、当該壁用木質パネル4と、居住スペースS側の内装仕上げ材16との間には空間が形成される。この空間には、断熱材が適宜設けられるとともに、各種ケーブル等が適宜配線される。
【0059】
壁用木質パネル4には、
図1,
図2,
図5等に示すように、ドアDrや窓W等の開口部を有するものが含まれている。壁用木質パネル4にドアDrや窓Wが形成される場合は、框材A,Bや補助桟材Cの組み方(開口部用枠)が適宜変更されて開口部が形成される。開口部には、ドアDr用のサッシや窓W用のサッシが組み付けられる。また、居住用ユニット1が寒冷地や極地で使用される場合には、これらサッシはいずれも寒冷地や極地に対応できる仕様とされている。
また、ドアDr用のサッシや窓W用のサッシと、太陽電池モジュール4bとの納まりについては後述する。
【0060】
互いに隣接する複数の壁用木質パネル4同士は、ボルトやビス等により連結されてもよいし、上記のように第一取付金物26及び第二取付金物27によって天井梁21,22及び床梁23,24に取り付けられているため連結されなくてもよい。
また、互いに隣接する複数の壁用木質パネル4同士の間には、互いの間隔を保持するための調整材4dが設けられている(
図15等参照)。調整材4dは、互いに隣接する壁用木質パネル4のうち一方の壁用木質パネル4における側端面に固定されている。
また、調整材4dは、壁用木質パネル4の厚みに沿う方向の寸法が、壁用木質パネル4の厚み寸法よりも短く設定されている。さらに、このような調整材4dは、壁用木質パネル4の居住スペースS側に寄せて配置されている。これにより、互いに隣接する複数の壁用木質パネル4同士の間には目地9(第三目地9)が形成されている。
目地9には、当該目地9における防水性を向上させるために、湿式のシーリング材9aが充填されている。また、目地9には、シーリング材9aを充填する場合の下地として、バックアップ材9bも埋め込まれている。すなわち、目地9には、まずバックアップ材9bが埋め込まれ、当該バックアップ材9bを下地としてシーリング材9aが充填されている。
【0061】
なお、壁用木質パネル4の端面には、弾力性を有する緩衝材(図示省略)が適宜設けられてもよい。当該緩衝材は、隣接する木質パネル(壁用木質パネル4、幅広な壁用木質パネル4´)との間で潰れた状態となる。また、緩衝材は、隣接する木質パネルとの間だけでなく、壁用木質パネル4の外周端面に強く接する部材(緩衝材が潰れる程度の圧力で接する部材)との間では潰れた状態となる。
緩衝材は、エプトシーラー、フィラー材、パッキン材、気密シール等とも呼ばれるものであり、所定の壁用木質パネル4と、当該所定の壁用木質パネル4の外周端面に強く接する部材との間における緩衝機能を発揮するとともに、気密性・水密性の向上を図ることができる。緩衝材の材料としては、特に限定されるものではないが、例えば天然ゴムやクロロプレンゴム、エチレンプロピンゴム等のゴム系素材が好適に使用されるが、これに限られるものではなく、ポリエチレンなどの樹脂性の素材を使用してもよい。すなわち、弾力性(クッション性)があり、潰れた状態での気密性・水密性がある素材であればよい。
【0062】
(屋根用木質パネル)
本実施形態における屋根用木質パネル5及びサブ屋根用木質パネル5Sは、
図5等に示すように、縦横の框材A,B、外側面材E、断熱材Fを少なくとも備える。外側面材Eは上側に設けられている。また、外側面材Eの上面には、外側面材Eよりも厚みのある捨て合板が設けられている。
なお、この項では、屋根用木質パネル5を通常の屋根用木質パネル5とし、サブ屋根用木質パネル5Sと区別して説明する。
【0063】
通常の屋根用木質パネル5は、
図3等に示すように、自身の長辺方向とユニット本体2の短辺方向とが揃うように配置され、計六つの屋根用木質パネル5が、ユニット本体2の長辺方向に並べられて設けられている。
そして、これらの通常の屋根用木質パネル5は、
図9に示すように、屋根側固定部281と、連結ボルト282と、を有する屋根用取付金物28によって複数の天井梁21,22に取り付けられている。
屋根側固定部281は、上記の第一及び第二壁側固定部261,271と同様の構成である。すなわち、板状体とされて中央に円孔が形成されており、屋根用木質パネル5における補助桟材Cにビス固定されている。
連結ボルト282は、ナット282aと共に用いられる。
ナット282aは、屋根側固定部281における屋外側面に溶接固定され、壁用木質パネル4に埋め込まれた状態となっている。そのため、屋根用木質パネル5の内側面材Dには、ナット282a及び連結ボルト282が通される貫通孔が形成されている。そして、このナット282aは、屋根用木質パネル5における隣り合う補助桟材C,C間に嵌め込まれた状態となっており、連結ボルト282のねじ込み動作に追従せず、共回りしない。
連結ボルト282であるボルトは、複数の天井梁21,22における上フランジに形成された円孔(図示省略)に通され、その奥に設けられたナット282aに対してねじ込まれる。なお、第二連結ボルト282は、上フランジに形成された円孔に通される場合に、ワッシャーを介して通される。
【0064】
屋根用木質パネル5及びサブ屋根用木質パネル5Sは、上記のように、ユニット本体2の上面における縁部から側方に突出するように寸法設定されている。そして、その突出部分の下面には、凸部5cが設けられている。
凸部5cは、下方に突出して複数の天井梁21,22におけるウェブの外側面に隣接する。そのため、この凸部5cは、屋根用木質パネル5をユニット本体2の上端部に載せるときに位置決め手段として機能する。
なお、凸部5cは、屋根用木質パネル5及びサブ屋根用木質パネル5Sのうち、連結部50J側には設けられていない。
【0065】
隣接する通常の屋根用木質パネル5及びサブ屋根用木質パネル5Sは、長辺方向の框材A同士が接しているため、これら框材A同士がビス留め又はボルト連結されることで、すべての屋根用木質パネル5,5Sが一繋ぎの状態になる。
このように一繋ぎの状態になった屋根用木質パネル5及びサブ屋根用木質パネル5Sの周縁部には、上記の外装材5aが取り付けられている。外装材5aは、断面視コ字状に形成されており、屋根用木質パネル5及びサブ屋根用木質パネル5Sの周縁部における側端面と上面と下面(凸部5cも含む)とを被覆できるようになっている。
また、一繋ぎの状態になった屋根用木質パネル5,5Sの上面全面に、上記の塩ビ防水シート5bが貼り付けられている。なお、当該塩ビ防水シート5bの縁部は、外装材5aの上面も被覆するように設けられている。
屋根用木質パネル5,5Sが連結された居住用ユニット1の屋根Rfは、ユニット本体2の上面よりも外側に広く形成されるとともに外装材5a及び塩ビ防水シート5bによって被覆されているため、あたかも一枚の大判な屋根用木質パネルとして、ユニット本体2の上面を被覆できるようになっている。
【0066】
なお、通常の屋根用木質パネル5及びサブ屋根用木質パネル5Sの下面から天井材21cまでの間に形成される空間には、断熱材が適宜設けられるとともに、各種ケーブル等が適宜配線される。
また、本実施形態における屋根用木質パネル5,5Sは、外装材5a及び塩ビ防水シート5bによって被覆されるものとするが、これに限られるものではなく、屋根用木質パネル5,5Sの上に他の屋根材が設けられてもよいし、外壁Owと同様に、太陽光モジュールが設けられてもよい。
【0067】
(目地構造)
複数の壁用木質パネル4は、上記のようにカーテンウォールとして機能し、ユニット本体2における四隅の柱20及び複数の天井梁21,22と同一の動作を行わない。すなわち、ユニット本体2の動作と壁用木質パネル4の動作は同期しない。そのため、複数の壁用木質パネル4と、複数の屋根用木質パネル5との間には、複数の壁用木質パネル4がカーテンウォールとして機能するのに必要な隙間が形成されている。換言すれば、複数の壁用木質パネル4と、複数の屋根用木質パネル5は、
図9に示すように、隙間である目地7(第一目地7)が形成された状態で配置されている。
【0068】
壁用木質パネル4の表面を被覆する外装材4aは、その上端部が、目地7に入り込んだ状態となるように折り曲げられている。一方、屋根用木質パネル5の端部を被覆する外装材5aは、その下端部が、目地7に入り込んだ状態となるように折り曲げられている。すなわち、目地7の内部側も、上下の外装材4a,5aによって被覆された状態となっている。
【0069】
そして、目地7には、当該目地7における防水性を向上させるために、湿式のシーリング材7aが充填されている。また、目地7には、シーリング材7aを充填する場合の下地として、バックアップ材7bも埋め込まれている。すなわち、目地7には、まずバックアップ材7bが埋め込まれ、当該バックアップ材7bを下地としてシーリング材7aが充填されている。
なお、シーリング材7aは、その表面が、壁用木質パネル4の表面を被覆する外装材4aと、屋根用木質パネル5の端部を被覆する外装材5aと、略面一の状態となるように充填される。
【0070】
さらに、コーナー柱3はユニット本体2の柱20に固定された状態となっており、複数の壁用木質パネル4は、このようなコーナー柱3にも隣接する。そのため、複数の壁用木質パネル4と、コーナー柱3も、
図10に示すように、隙間である目地8(第二目地8)が形成された状態で配置されている。
なお、コーナー柱3は、平面視において直交する二方向で壁用木質パネル4と隣接している。そのため、目地8は、コーナー柱3と、両側の壁用木質パネル4との間の二か所に形成されている。
【0071】
両側の壁用木質パネル4の表面を被覆する外装材4aは、そのコーナー柱3側端部が、目地8に入り込んだ状態となるように折り曲げられている。一方、コーナー柱3の表面を被覆する外装材3aは、その両側端部が、両側の目地8に入り込んだ状態となるように折り曲げられている。すなわち、目地8の内部側も、壁用木質パネル4の外装材4aとコーナー柱3の外装材3aによって被覆された状態となっている。
【0072】
そして、目地8には、まずバックアップ材8bが埋め込まれ、当該バックアップ材8bを下地として湿式のシーリング材8aが充填されている。
なお、シーリング材8aは、その表面が、壁用木質パネル4の表面を被覆する外装材4aと、コーナー柱3の表面を被覆する外装材3aと、略面一の状態となるように充填される。
また、第一目地7と第二目地8は、いずれも壁用木質パネル4の周囲に形成されているため、これらの目地7,8は、互いに交差するとともに一体となるように連続して形成された状態となっている。そして、いずれも湿式のシーリング材7a,8aが用いられているため、第一目地7と第二目地8との交差部分でも十分な防水性能を発揮することができる。
【0073】
〔太陽電池モジュールの納まりについて〕
複数の壁用木質パネル4は、上記のように、外装材4aと太陽電池モジュール4bのうち少なくとも一方によって被覆されている。
太陽電池モジュール4bは、四角形に形成され、
図1,
図2,
図11に示すように、居住用ユニット1における長辺側の外壁面と、一方の短辺側の外壁面に設けられている。なお、他方の短辺側の外壁面には設けられていない。
また、太陽電池モジュール4bは、複数設けられて結線されることで太陽光発電アレイを構成している。
【0074】
居住用ユニット1における長辺側の外壁面に設けられた太陽電池モジュール4bは、計13枚であり、居住用ユニット1における一方の短辺側の外壁面に設けられた太陽電池モジュール4bは、計6枚である。
長辺側の太陽電池モジュール4bは、ドアDrが形成された壁用木質パネル4には設けられず、それ以外の箇所で窓Wを避けて配置されている。
一方の短辺側の太陽電池モジュール4bは、居住用ユニット1における一方の短辺側の外壁面における略全面を被覆するように配置されている。
【0075】
また、太陽電池モジュール4bは、後述する太陽光発電集熱システムを構成する。この太陽光発電集熱システムは、太陽Snから受ける太陽光での発電と、太陽Snから受ける太陽熱の利用と、太陽電池モジュール4bと壁用木質パネル4との間に形成された空気流通層ACLを流通する空気の熱を利用した発電と、を行うシステムである。そのため、太陽電池モジュール4bは、複数の壁用木質パネル4の表面(屋外側面)から離間した位置に保持されて空気流通層ACLを形成している。
暖かい空気は上昇する性質を備えていることから、空気流通層ACLの上方が開放されていることは好ましくない。そこで、太陽電池モジュール4bとの間に空気流通層ACLを形成する壁用木質パネル4の上縁部には、
図14(a),(b)に示すように、外側に突出して空気流通層ACLの上方を閉塞する上縁突出部12が設けられている。
【0076】
より詳細に説明すると、上縁突出部12は板状体(幕板)であり、壁用木質パネル4における外側面材Eの上縁部に沿って固定されている。また、この上縁突出部12は、上下方向よりも横方向に長尺に形成されており、空気流通層ACLの上方を効率良く閉塞できるようになっている。さらに、上縁突出部12の厚みは、空気流通層ACLの上方の開放部を閉塞し得る寸法に設定されている。具体的には、後述する支持レール11の厚み寸法と略等しい。
また、空気流通層ACL内は、結露が生じたり、舞い上がる雪などが入り込んだりする場合もあるため、表面に耐水シート12aが貼り付けられて被覆されている。耐水シート12aは、上縁突出部12の表面にも貼り付けられており、上縁突出部12によって形成される壁用木質パネル4表面との段差にも貼り付けられている。
図14(a)に示す壁用木質パネル4と、
図14(b)に示す壁用木質パネル4は、異なる箇所に設けられる、サイズの異なる壁用木質パネル4であるが、同様に、上縁部には上縁突出部12が設けられ、表面には耐水シート12aが貼り付けられている。
なお、
図4(b)に示す壁用木質パネル4は、居住用ユニット1における一方の短辺側に設けられる幅広な壁用木質パネル4´であり、空気流通層ACLの側縁の位置に対応して設けられる壁用木質パネルである。
【0077】
また、太陽電池モジュール4bは、
図12,
図13に示すように、当該太陽電池モジュール4bの四辺を保持する保持フレーム10によって保持され、保持フレーム10は、壁用木質パネル4の表面に固定され、かつ上下方向に沿って長尺に形成された支持レール11によって支持されている。
【0078】
支持レール11は、金属製の押出成形品であり、押出方向に長尺に形成されている。そして、その長尺方向が上下方向と揃うように配置されている。
このような支持レール11は、本体部分から側方の壁用木質パネル4側に伸びる固定脚部11aを有しており、その固定脚部11aが、壁用木質パネル4の表面のうち、空気流通層ACLにおける両側端部に相当する位置と、隣り合う太陽電池モジュール4bの境界部分に相当する位置に配置されてビス固定されている。
なお、支持レール11は、後述する縦目板13を支持するように接する支持部11bを更に有する。支持部11bは、支持レール11の本体部分から前方に向かって突出して形成されている。
また、
図15に示す支持レール11と
図17に示す支持レール11は、同一のものであるが、複数の支持レール11を繋いで一本にしてもよい。
【0079】
保持フレーム10は、支持レール11に沿って長尺に形成されて支持レール11の本体部分の外側面に固定される縦保持フレーム10aと、支持レール11と直交する方向に長尺に形成されて支持レール11の本体部分の外側面に固定される第一及び第二横保持フレーム10b,10cと、を備える。また、これら各保持フレーム10a,10b,10cは金属製の押出成形品である。
縦保持フレーム10a及び第一及び第二横保持フレーム10b,10cは、それぞれが、太陽電池モジュール4bの縁部を把持する把持部を有している。縦保持フレーム10aにおける把持部は、太陽電池モジュール4bの側縁部を把持し、第一横保持フレーム10bにおける把持部は、太陽電池モジュール4bの上縁部を把持し、第二横保持フレーム10bにおける把持部は、太陽電池モジュール4bの下縁部を把持する。
なお、第一横保持フレーム10bと、第二横保持フレーム10cは、上下方向に結合可能に構成されており、空気流通層ACLの中央に配置される第一横保持フレーム10bと第二横保持フレーム10cは結合されている。
【0080】
縦保持フレーム10a及び第一及び第二横保持フレーム10b,10cは、支持レール11の本体部分の外側面に固定されているため、支持レール11の厚み分、壁用木質パネル4の表面からは離間して配置されている。また、縦保持フレーム10a及び第一及び第二横保持フレーム10b,10cによって保持される太陽電池モジュール4bも、壁用木質パネル4の表面から確実に離間して配置されることとなる。そのため、太陽光発電集熱システムのための空気流通層ACLを確保できる。
【0081】
ところで、太陽電池モジュール4bは、壁用木質パネル4の外装材4aやコーナー柱3の外装材3a、窓Wのサッシ枠W1、ドアDrのドア枠Dr1と並んで配置され、これら外装材4a等と共に外壁仕上げ材の一つとして設置されるものである。そのため、見栄えや防水性の面を考慮し、太陽電池モジュール4bと外装材4a等との一体性が求められる。そこで、本実施形態においては、保持フレーム10(縦保持フレーム10a)と外装材4a等との間に、縦目板13、サッシ用縦目板14が設けられている。
さらに、保持フレーム10と縦目板13との間、保持フレーム10とサッシ用縦目板14との間には、ハット型ジョイナー15が跨って設けられている。
なお、これら縦目板13、サッシ用縦目板14、ハット型ジョイナー15は、アルミ等の金属製の押出成形品であり、押出方向に長尺に形成されている。
また、本実施形態においては窓Wの上下に太陽電池モジュール4bが設けられている。窓Wによって、当該上下の太陽電池モジュール4b裏側に形成された空気流通層ACLが、上下に分断されないようにするために、窓Wのサッシ枠W1における空洞を利用し、上下の太陽電池モジュール4b裏側に形成された空気流通層ACLを空気流通可能に接続してもよい。
【0082】
縦目板13は、保持フレーム10(縦保持フレーム10a)と外装材4aとの間に設けられており、
図15,
図17に示すように、第一固定板部13aと、正面板部13bと、被支持板部13cと、第二固定板部13dと、これらの各板部13a~13dを接続する複数の接続板部と、を有し、断面視においてジグザグに形成されている。
第一固定板部13aと、正面板部13bと、被支持板部13cと、第二固定板部13dは、平断面視において互いに平行し、複数の接続板部は、各板部13a~13dと直交している。
【0083】
第一固定板部13aは、支持レール11の本体部分の外側面に固定される板状の部分であり、例えば溶接により接合固定されているが、ビス等による固定でもよい。
正面板部13bは、縦目板13のうち最も前方に位置する板状の部分であり、ハット型ジョイナー15を受ける受部として機能する。
被支持板部13cは、支持レール11の本体部分から突出して設けられた支持部11bに接する板状の部分であり、支持部11bに支持されることで、縦目板13全体の撓みを抑えることができるようになっている。
第二固定板部13dは、外装材4aの表面に固定される板状の部分であり、例えば溶接により接合固定されているが、ビス等による固定でもよい。
【0084】
サッシ用縦目板14は、保持フレーム10(縦保持フレーム10a)とサッシ枠W1との間に設けられており、
図16,
図17に示すように、第一固定板部14aと、正面板部14bと、被支持板部14cと、第二固定板部14dと、これらの各板部14a~14dを接続する複数の接続板部と、を有しており、断面視においてジグザグに形成されている。
第一固定板部14aと、正面板部14bと、被支持板部14cは、平断面視において互いに平行し、第二固定板部14d及び複数の接続板部は、各板部14a~14cと直交している。また、被支持板部14cと第二固定板部14dは直接接続されており、接続板部によって接続されていない。
【0085】
第一固定板部14aは、支持レール11の本体部分の外側面に固定される板状の部分であり、例えば溶接により接合固定されているが、ビス等による固定でもよい。
正面板部14bは、サッシ用縦目板14のうち最も前方に位置する板状の部分であり、ハット型ジョイナー15を受ける受部として機能する。
被支持板部14cは、支持レール11の本体部分から突出して設けられた支持部11b又は/及び壁用木質パネル4に形成された窓W用開口部のうち前方に突出して設けられた框材4eに接する板状の部分であり、支持部11b又は/及び框材4eに支持されることで、サッシ用縦目板14全体の撓みを抑えることができるようになっている。
第二固定板部14dは、框材4eの開口部側面に固定される板状の部分であり、例えば框材4e表面に予め固定された金属板に対して溶接により接合固定されているが、ビス等による固定でもよい。
【0086】
ハット型ジョイナー15は、中央の凹溝部15aと、カバー板部15bと、を有する。
凹溝部15aは、保持フレーム10における縦保持フレーム10aと縦目板13との間、縦目板13とサッシ用縦目板14との間に配置される断面凹型の部分である。
カバー板部15bは、凹溝部15aの両側縁部から側方に突出する板状の部分であり、保持フレーム10における縦保持フレーム10aの把持部、縦目板13及びサッシ用縦目板14の正面板部13b,14bに接して当該正面板部13b,14bを被覆している。
このようなハット型ジョイナー15は、凹溝部15aの奥壁部から支持レール11の本体部分に向かってビスがねじ込まれることで、支持レール11に固定されている。
なお、ハット型ジョイナー15は、
図12に示すように、太陽電池モジュール4b同士が隣接する箇所にも設けられ、双方の太陽電池モジュール4bを保持する縦保持フレーム10aを被覆することができる。
【0087】
縦目板13が、保持フレーム10における縦保持フレーム10aと外装材4a等との間に設けられ、かつ、ハット型ジョイナー15のカバー板部15bによって縦保持フレーム10aと縦目板13の正面板部13bとを被覆しているので、保持フレーム10及び縦目板13の裏側にある支持レール11や、縦保持フレーム10aを遮蔽することができる。
また、サッシ用縦目板14が、縦保持フレーム10a又は縦目板13とサッシ枠W1との間に設けられ、かつ、ハット型ジョイナー15のカバー板部15bによってサッシ用縦目板14の正面板部14bと、縦目板13の正面板部13b又は縦保持フレーム10aとを被覆しているので、裏側にある支持レール11や、縦保持フレーム10aを遮蔽することができる。
これにより、外壁仕上げ材として設けられた太陽電池モジュール4bの周囲における見栄えを良好にできるとともに、防水性を向上させることができる。
【0088】
空気流通層ACLの上方は、上記のように、上縁突出部12によって閉塞することができるが、空気流通層ACLの両側縁(両側方)は、支持レール11及び保持フレーム10(縦保持フレーム10a)によって閉塞されることとなる。
さらに、支持レール11及び保持フレーム10は、縦目板13又はサッシ用縦目板14と共に設けられ、最終的にハット型ジョイナー15によって被覆されるので、空気流通層ACLの両側縁における閉塞性をより向上させることができる。
なお、最も下側に設けられた太陽電池モジュール4bの下縁部は、上記の第二横保持フレーム10cによって保持されているが、この第二横保持フレーム10cは支持レール11によって壁用木質パネル4の表面から離間している。そのため、空気流通層ACLの下方は開放された状態となっており、空気を取り込むことができるようになっている。
【0089】
〔太陽光発電集熱システムについて〕
太陽光発電集熱システムは、
図18~
図22に示すように、太陽Snから受ける太陽光での発電と、太陽Snから受ける太陽熱の利用と、太陽電池モジュール4bと壁用木質パネル4との間に形成された空気流通層ACLを流通する空気の熱を利用した発電と、を行うシステムである。
このような太陽光発電集熱システムは、上記の太陽電池モジュール4bと、上記の空気流通層ACLと、熱電発電モジュール30と、第一ダクト31aと、第二ダクト31bと、集熱ファン32と、電動ダンパ33と、CO2デマンド換気扇34と、パネルヒーター35と、潜熱蓄熱材36と、補助電源37と、制御装置38と、を備える。
【0090】
空気流通層ACLを形成する太陽電池モジュール4bのうち、貫通孔4cが形成された壁用木質パネル4を被覆する太陽電池モジュール4bの裏面(空気流通層ACL側の面)には、板状に形成された熱電発電モジュール30が設けられている。また、この熱電発電モジュール30は、上下三枚の太陽電池モジュール4bのうち最も下方の太陽電池モジュール4bの裏面に設けられている。
熱電発電モジュール30は、太陽Snから受ける太陽熱と、空気流通層ACL内の温度差(より詳細には、太陽熱を受けた太陽電池モジュール4bの表面温度と、裏面の空気温度との差)を利用して発電するものである。このような熱電発電モジュール30は、高温側(太陽熱を受ける側)に位置する第一電極と、P型半導体を介して低温側(空気流通層ACL内)に位置する第二電極と、N型半導体を介して低温側に位置する第三電極と、第二電極から第三電極に配線された電源線30aと、を備える。
そして、第一電極と、第二電極及び第三電極との間に温度差があると起電力が生じるようになっており、第二電極から第三電極に向かって電流が送られる。
空気流通層ACL内は、上方に向かうほど空気の温度が高くなるので、熱電発電モジュール30は、空気流通層ACL内の最も下方に位置している方が、太陽熱との温度差が生じやすい。
さらに、熱電発電モジュール30は、縦保持フレーム10aと、第一横保持フレーム10b及び第二横保持フレーム10cによって形成された四角枠(枠状部)の内部に納まるように設けられている(
図20参照)。
【0091】
第一ダクト31aは、居住スペースSと空気流通層ACLとを連通する筒状体であり、空気流通層ACLを形成する壁用木質パネル4のうち、いずれか一つ又は複数の壁用木質パネル4に設けられている。
すなわち、空気流通層ACLを形成する壁用木質パネル4のうち、いずれか一つ又は複数の壁用木質パネル4には、上記のように貫通孔4cが形成されている。より具体的には、太陽電池モジュール4bが離間して配置され、かつ、窓W及びドアDrが設けられていない壁用木質パネル4に貫通孔4cが形成され、このような貫通孔4cに第一ダクト31aが設けられている。
本実施形態においては、居住用ユニット1(1A,1B)における長辺側に設けられた3列の壁用木質パネル4と、一方の短辺側に設けられた2列の壁用木質パネル4に貫通孔4cが形成されているため、これらの貫通孔4cには第一ダクト31aが設けられている。また、熱電発電モジュール30も、これらの貫通孔4cが形成された壁用木質パネル4に対応する太陽電池モジュール4bの裏面に設けられている。
【0092】
第二ダクト31bは、居住スペースSと屋外とを連通する筒状体であり、居住用ユニット1における他方の短辺側を構成する二つの壁用木質パネル4のうち、いずれか一方に設けられている。このような第二ダクト31bも、壁用木質パネル4に形成された貫通孔4cに設けられている。
なお、この第二ダクト31bは、二つの居住用ユニット1A,1Bうち一方の居住用ユニット1A(1B)のみに設けられている。すなわち、居住スペースS内に一つ設けられていることとなる。
【0093】
集熱ファン32は、第一ダクト31a内部に設けられており、空気流通層ACL側から空気を集めて居住スペースS側に送気するファンである。
このような集熱ファン32は、熱電発電モジュール30における電源線30a上に配置され、熱電発電モジュール30によって発電された電力は、集熱ファン32に給電されるように設定されている。したがって、集熱ファン32は、太陽Snが出ていて空気流通層ACL内の温度との間に差があると稼働する。なお、熱電発電モジュール30から十分な電力供給を受けられない場合は、太陽電池モジュール4bによって発電された電力又は補助電源37からの電力供給を受けてもよい。
さらに、集熱ファン32は、太陽電池モジュール4bによって発電された電力か、補助電源37による電力でも稼働するように分電盤40からの電源線が配線されている。
【0094】
また、集熱ファン32は、壁用木質パネル4の上縁部に近い位置に設けられているため、集熱ファン32が稼働すると、空気流通層ACL内の空気は上昇し、集熱ファン32に向かって集まる。また、太陽熱によって空気流通層ACL内は暖められているため、空気は、上昇しながら暖められることになる。
このような暖気は、集熱ファン32から居住スペースS内へと送られ、居住スペースS内の暖めることができる。つまり、太陽Snから受ける太陽熱を利用することができる。
なお、空気流通層ACL内の上部の温度が30℃に達した場合、集熱ファン32の稼働が停止されるように設定されている。
【0095】
電動ダンパ33は、居住スペースS内の内装仕上げ材16のうち、第一ダクト31aに隣接する部位に設けられており、第一ダクト31aにおける居住スペースS側の開口部を開閉する。
このような電動ダンパ33は、第一ダクト31aと連通する開口部を有する本体と、この本体に対して離間する方向と離間した状態から近づいて接する方向に移動可能な可動蓋33aと、を備える。
可動蓋33aが本体から離間している状態では、空気流通層ACLと居住スペースSとの間での空気流通が可能となっている。そのため、この状態で集熱ファン32を稼働させれば、空気流通層ACL内の空気を居住スペースS内に取り込むことができる。また、集熱ファン32を稼働させない場合は、自然換気が可能となる。
この可動蓋33aは、集熱ファン32が稼働する場合には必ず連動して本体から離間する。すなわち、可動蓋33aが本体から離間している最中は、第一ダクト31aにおける居住スペースS側の開口部が開放されるので、集熱ファン32によって居住スペースS側に暖気を送ることができる。
一方、可動蓋33aが本体に接しているときには、第一ダクト31aにおける居住スペースS側の開口部が閉塞されるので、第一ダクト31aと居住スペースSとの間で空気の流通が行われない状態となる。換言すれば、居住スペースS内の暖められた空気が、第一ダクト31a側に逃げることを防ぐこともできる。
【0096】
また、
図22に示すように、いずれかの集熱ファン32を稼働させて、別のいずれかの集熱ファン32を稼働させない換気を行う制御が可能となっており、その場合には、稼働させない集熱ファン32の箇所の電動ダンパ33における可動蓋33aを本体から離間させて自然排気が可能な状態とする。すなわち、給気のみ機械換気を行う2種換気に該当する。
なお、本実施形態においては、二つの居住用ユニット1A,1B間では、このような制御は連動して行われず、一つの居住用ユニット1A,1Bごとに制御される。
また、稼働させる集熱ファン32と、稼働させない集熱ファン32の区別は、一つの居住用ユニット1A(1B)における長辺側の面と短辺側の面とで分けられている。つまり、一つの居住用ユニット1A(1B)における長辺側にある集熱ファン32が稼働しているときは、短辺側にある集熱ファン32は稼働しない。換言すれば、一つの居住用ユニット1A(1B)において、どこかの面で集熱ファン32により集熱が行われていれば、同一居住用ユニット1A(1B)内の他の面では集熱ファン32は稼働せず、電動ダンパ33における可動蓋33aが本体から離間して自然排気に対応する。
二つの居住用ユニット1A,1Bの長辺側同士を連結させた場合も同様に制御される。一つの居住用ユニット1Aにおける長辺側に太陽Snがある場合は、当該居住用ユニット1Aの長辺側にある集熱ファン32は稼働し、短辺側にある集熱ファン32は稼働せずに可動蓋33aのみ開いた状態となる。このとき、もう一つの居住用ユニット1Bにおける集熱ファン32はいずれも稼働しないし、可動蓋33aも開かない。
また、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける一方の短辺側に太陽Snがある場合は、これら居住用ユニット1A,1Bの一方の短辺側にある集熱ファン32は稼働し、長辺側にある集熱ファン32は稼働せずに可動蓋33aのみ開いた状態となる。
なお、居住用ユニット1A,1Bを南極で使用する場合は、一方の短辺側を太陽Snに向けるように配置することが望ましい。
【0097】
なお、電動ダンパ33は、熱電発電モジュール30から電力供給を受けるが、太陽電池モジュール4bによって発電された電力又は補助電源37から電力供給を受けてもよい。また、集熱ファン32が稼働する場合には集熱ファン32と共に熱電発電モジュール30から電力供給を受け、それ以外の場合は太陽電池モジュール4bによって発電された電力又は補助電源37からの電力供給を受けるようにしてもよい。
【0098】
CO2デマンド換気扇34は、居住スペースS内の内装仕上げ材16のうち、第二ダクト31bに隣接する部位に設けられており、第二ダクト31bを通じて居住スペースS内の空気を屋外に排出する。
このようなCO2デマンド換気扇34は、居住スペースS側から空気を集めて屋外に排気する排気ファン34aと、第二ダクト31bを開閉して居住スペースS側から屋外への空気の排出を可能とするとともに屋外から居住スペースS側への空気の侵入を防ぐチャッキ(図示省略)と、居住スペースS内の二酸化炭素濃度(CO2)を検出するCO2センサー34bと、を有する。
排気ファン34aは、CO2センサー34bによって検出された居住スペースS内の二酸化炭素濃度の数値に応じて稼働し、排気ファンが稼働すれば、チャッキも第二ダクト31bにおける居住スペースS側の開口部を開放する。排気ファン34aが停止している場合、チャッキは、第二ダクト31bにおける居住スペースS側の開口部を閉塞する。
また、排気ファン34aは、スイッチを設けるなどして強制的な換気を行うこともできるため、例えば居住スペースS内にキッチンを設ける場合には、キッチンの近傍にCO2デマンド換気扇34が設けられる。
排気ファン34aの稼働時には、
図23に示すように、CO2デマンド換気扇34が設けられた側の居住用ユニット1Aにおける複数の電動ダンパ33は、可動蓋33aを本体から離間させる動作を行う。つまり、排気ファン34aが動作しつつ、可動蓋33aが開いて空気流通層ACLと居住スペースSとが連通された状態となるので、確実に排気を行うことができる。すなわち、排気のみ機械換気を行う3種換気に該当する。
なお、CO2デマンド換気扇34は、太陽電池モジュール4bによって発電された電力又は補助電源37から電力供給を受けるが、熱電発電モジュール30から電力供給を受けてもよい。
【0099】
パネルヒーター35は、居住スペースS内の内装仕上げ材16における下部に取り付けられる壁付けのヒーターである。各居住用ユニット1A,1Bに、定格250Wが1台、500Wが1台、750Wが2台設置されている。発電状況に応じて稼働するパネルヒーター35を自動選択又は手動選択できるようになっている。
また、太陽電池モジュール4bによって発電された電力を直流のまま利用できるように構成されている。
【0100】
潜熱蓄熱材36は、PCM(Phase Change Material)とも呼ばれ、物質が固相から液相、あるいは液相から固相に相変化するときの潜熱を利用するものであり、固相の潜熱蓄熱材36の温度が上昇して、その融点に達すると、潜熱蓄熱材36の溶融が始まり、融解熱を外部から吸収する。逆に、液相にある潜熱蓄熱材36の温度が降下し、凝固点に達すると、凝固が始まり、凝固熱を外部に放出する。このような熱の授受を利用している。
潜熱蓄熱材36としては、例えば蓄熱材料であるノルマルパラフィンや無機水和塩を塩化カルシウム水和塩、多孔質シリカ等の多孔質材料である担持体に含浸させたもの、あるいは同蓄熱材料をカプセルや袋状体に封入したものが用いられる。
本実施形態における潜熱蓄熱材36は、ゲル状の蓄熱材料が、袋状体であるアルミパックに封入されたものが用いられている。
また、このような潜熱蓄熱材36は、床構造6に組み込まれた状態となっている。本実施形態においては、床面材6cの裏面に例えば収納ボックスが設けられ、この収納ボックス内に収納されている。ただしこれに限られるものでなく、例えば床下収納空間に収納されてもよいし、その他の形態で床構造6に組み込まれてもよい。
そして、潜熱蓄熱材36は、集熱ファン32によって居住スペースS内に取り込まれた熱を吸熱して蓄熱することができ、居住スペースS内の温度が下がってくると放熱することができる。つまり、潜熱蓄熱材36は、床構造6を床暖房として機能させることができる。
【0101】
補助電源37としては発電機が用いられているが、太陽電池モジュール4b及び熱電発電モジュール30によって発電された電力を蓄電可能な蓄電池が用いられてもよい。このような補助電源37は、居住用ユニット1A,1Bの図示しない箇所に設置され、電源線を介して分電盤40に接続されている。したがって、上記のパネルヒーター35等が補助電源37から電力供給を受ける場合は、電源線を介して分電盤40に接続されている必要がある。
なお、補助電源37は、居住用ユニット1A,1Bの図示しない箇所に設置されるものとしたが、他の輸送用架台に載せられて居住用ユニット1A,1Bと共に牽引車両によって牽引して輸送し、そのまま他の輸送用架台に設置されてもよい。
また、本実施形態における補助電源37としては、上記のように蓄電池又は蓄電池が用いられるとしたが、これらを併用してもよいし、系統電源に接続できる環境であれば系統電源を用いてもよい。
【0102】
制御装置38は、太陽光発電集熱システムを構成する上記の集熱ファン32、電動ダンパ33、パネルヒーター35等の機器が有する制御コントローラーに接続されて当該機器の動作を監視・制御したり、分電盤40に接続されて太陽電池モジュール4bと補助電源37の切り替えを行ったりすることができる。
また、制御装置38は、CO2センサー34bや、居住用ユニット1A,1Bに設けられた複数の温度センサー(図示省略)に接続され、居住用ユニット1A,1Bの屋内外における温度や居住スペースS内の二酸化炭素濃度に応じて、排気ファン34aやパネルヒーター35の制御を行うことができる。
なお、温度センサーは、少なくとも、空気流通層ACLにおける下端開口部付近と、太陽電池モジュール4bの裏側(空気流通層ACL内)と、第一ダクト31aの内部と、CO2デマンド換気扇34の内部と、に配置されている。
【0103】
図24は、CO2デマンド換気扇34及び電動ダンパ33による換気システムの運転フローを示している。居住スペースS内の換気を行う場合は、強制運転と自動運転の選択ができる。すなわち、まず運転モードの選択を行う(ステップS1)。
【0104】
強制運転モードを選択した場合(ステップS2)は、強制換気「強」と、強制換気「弱」と、OFFと、を選んで操作することができる。
強制換気「強」を選択する(ステップS3)と、1時間で150立方メートルの換気を行う強運転で居住スペースS内を換気できる。
強制換気「弱」を選択する(ステップS4)と、1時間で50立方メートルの換気を行う弱運転で居住スペースS内を換気できる。
OFFを選択する(ステップS5)と、強制運転モードを停止することができる。
【0105】
自動運転モードを選択した場合(ステップS6)は、CO2センサー34bによる居住スペースS内の二酸化炭素濃度の検出結果に応じて換気システムの運転が30分サイクルで切り替わる。
すなわち、自動運転モードを選択した時点で、まず、二酸化炭素濃度の検出が行われる(ステップS7)。二酸化炭素濃度は、5000PPMが基準値として設定されている。
そして、二酸化炭素濃度が5000PPMよりも低い場合は、換気システムの運転が停止される(ステップS8)。
二酸化炭素濃度が5000PPMよりも高い場合は、1時間で50立方メートルの換気を行う弱運転で居住スペースS内を換気する(ステップS9)。
自動運転モードは、30分サイクルであるため、30分間は同一の運転(停止)を行うが、30分経過すると運転が切り替わる場合もある。
自動運転モードを止めたい場合は、強制運転モードに切り替えればよい。
【0106】
なお、上記のようにCO2デマンド換気扇34及び電動ダンパ33による換気システムが運転している最中も、集熱ファン32による集熱は適宜行われる。この場合、制御装置38によって集熱ファン32の稼働台数を適宜調整して風量調整を行ってもよい。
【0107】
〔居住スペースにおける配線構造について〕
以上のように構成された居住用ユニット1A,1Bは、床下収納空間や壁裏空間、天井裏空間に、通信ネットワーク関連設備や電力供給設備等に係る機器やケーブルが配置されており、通信ネットワーク関連設備や電力供給設備等には、定期的なメンテナンスや臨時的なメンテナンスが必要な場合がある。
【0108】
床構造6は、上記のように、床構造6は、複数の床束6aと、床下地枠6bと、床面材6cと、床断熱フォーム6dと、を備える。また、床面材6cは、居住用ユニット1を例えば住居として使用している際にも着脱が可能となっており、床下空間を開放できるようになっている。床面材6cには、半回転把手6eが設けられている。そのため、床面材6cは、半回転把手6eを掴んで引き上げることができ、これにより、床下収納空間を開放することができる。
【0109】
また、
図25に示すように、居住スペースS内の床は、上記のように、床構造6と、端部用床部17aと、玄関用床部17bと、を含んで構成されている。床構造6は、端部用床部17aと玄関用床部17bとの間に、居住用ユニット1A,1Bの長さ方向に並べられて設けられている。このような床構造6のうち、半回転把手6eを掴んで引き上げることが可能な床面材6cは、両端部を除く計7枚となっている。
【0110】
居住用ユニット1A,1Bにおける内壁は、上記の内装仕上げ材16によって構成されている。複数の内装仕上げ材16のうち、連結手段50が設けられる連結部50J側の複数の内装仕上げ材16は、二つの居住用ユニット1A,1B同士を連結する際に取り外すことになるため、連結部50J側の内装仕上げ材16は、他の三面の内装仕上げ材16よりも簡易に取り外すことができるようになっている。
そして、これら連結部50J側の内装仕上げ材16は、床面材6cの直近に配置された状態となっているため、床面材6cを、半回転把手6eを掴んで引き上げる際には、
図26,
図27に示すように、連結部50J側の内装仕上げ材16を取り外してから行われるものとする。
【0111】
床面材6c下方の床下収納空間には、上記の制御装置38や、
図28に示す分電盤40が収納配置されている。その他にも通信ネットワーク関連設備や電力供給設備等に係る機器が収納されているものとする。
分電盤40は、複数の床面材6cのうち、いずれかの床面材6c(以下、床面材6c1とする)の下方に配置されている。
また、複数の床面材6cのうち、いずれかの床面材6c(以下、床面材6c2とする)には、フロアコンセント41が設けられている。
分電盤40の位置に対応する床面材6c1と、フロアコンセント41が設けられた床面材6c2は、本実施形態においては隣接している。
【0112】
図28に示す例においては、床下収納空間に配置された分電盤40と、床面材6cに取り付けられたフロアコンセント41が、接続ケーブル42によって接続されている。
より詳細に説明すると、分電盤40には、当該分電盤40から伸びる電源線40aが設けられており、フロアコンセント41にも、当該フロアコンセント41から伸びる電源線41aが設けられている。そして、分電盤40の電源線40aと、フロアコンセント41の電源線41aとが、同じく電源線である接続ケーブル42によって接続されている。
各電源線40a,41aと、接続ケーブル42との接続は、
図28において一点鎖線の丸で囲ったX部(X1,X2)に示すように、コネクタ43によって行われる。
コネクタ43は、オス側の第一コネクタ43aと、メス側の第二コネクタ43bと、を有しており、第一コネクタ43aが第二コネクタ43bに差し込まれることで、分電盤40からフロアコンセント41に電気が通る。
【0113】
例えば分電盤40の交換が必要になった場合は、半回転把手6eを掴んで床面材6c1を引き上げて床下収納空間を開放し、X1で示すX部の第一コネクタ43aを第二コネクタ43bから取り外すことで、分電盤40の交換が可能となる。
【0114】
また、フロアコンセント41のメンテナンスが必要になった場合は、半回転把手6eを掴んで床面材6c2を途中まで引き上げ、X2で示すX部の第一コネクタ43aを第二コネクタ43bから取り外してから、床面材6c2を更に引き上げる。これにより、フロアコンセント41のメンテナンスが可能となる。
【0115】
さらに、一方の床面材6c1と他方の床面材6c2の交換によって、フロアコンセント41の位置を分電盤40に近づけることもできる。
その場合は、まず、半回転把手6eを掴んで他方の床面材6c2を途中まで引き上げ、X2で示すX部の第一コネクタ43aを第二コネクタ43bから取り外す。この時、引き上げた他方の床面材6c2は、他の床面材6c上に仮置きしたり、壁に立てかけたりしておく。
続いて、半回転把手6eを掴んで一方の床面材6c1を引き上げて床下収納空間を開放する。この時、引き上げた一方の床面材6c1は、他の床面材6c上に仮置きしたり、壁に立てかけたりしておく。もしくは、この時点で、一方の床面材6cを、他方の床面材6c2が元々あった位置に設置してしまってもよい。
続いて、接続ケーブル42を束ねて短くし、他方の床面材6c2に設けられたフロアコンセント41の電源線41aと束ねた接続ケーブル42とを接続する。そして、他方の床面材6c2を、一方の床面材6c1が元々あった位置(分電盤40の上方)に設置する。この時点で、一方の床面材6cを、他方の床面材6c2が元々あった位置に設置する手順でもよい。
なお、接続ケーブル42は束ねるものとしたが取り外してしまい、分電盤40の電源線40aとフロアコンセント41の電源線41aとを直接接続してもよい。
【0116】
また、延長用の接続ケーブル42を用いれば、フロアコンセント41が設けられた他方の床面材6c2を、分電盤40上方の一方の床面材6c1から遠ざけることも可能となる。
この場合、一方の床面材6c1の位置は変更なしで、他方の床面材6c2を、他の床面材6cと入れ替える。そして、入れ替えるタイミングで、分電盤40と繋がっている接続ケーブル42と延長用の接続ケーブル42とを繋ぎ、延長用の接続ケーブル42とフロアコンセント41とを接続する。
【0117】
図29に示す例においては、床下収納空間に配置された分電盤40と、内装仕上げ材16に取り付けられた壁コンセント44が、接続ケーブル42及び延長用の接続ケーブル42によって接続されている。
より詳細に説明すると、分電盤40には、上記の電源線40aが設けられており、壁コンセント44にも、当該壁コンセント44から伸びる電源線44aが設けられている。そして、分電盤40の電源線40aと、壁コンセント44の電源線44aとが、同じく電源線である接続ケーブル42及び延長用の接続ケーブル42によって接続されている。
また、延長用の接続ケーブル42は、内装仕上げ材16の裏側に設けられた可撓電線管45の内部を通されて床側から壁側に配線されている。可撓電線管45は、図示しない断熱材によって動かないように配置(位置決め)されているが、例えば取付金物や取付部材等のような他の手段によってユニット本体2や壁用木質パネル4に取り付けられてもよい。
各電源線40a,44aと、接続ケーブル42との接続は、
図29において一点鎖線の丸で囲ったX部(X3,X4、X5)に示すように、コネクタ43によって行われる。この場合、コネクタ43は、可撓電線管45の延在方向における一端部及び他端部の付近と、分電盤40の付近に配置されている。
【0118】
例えば壁コンセント44のメンテナンスが必要になった場合は、内装仕上げ材16を途中まで取り外し、X5で示すX部の第一コネクタ43aを第二コネクタ43bから取り外してから、内装仕上げ材16を更に移動させる。これにより、壁コンセント44のメンテナンスが可能となる。
また、分電盤40や接続ケーブル42の交換又はメンテナンスが必要になった場合は、半回転把手6eを掴んで床面材6cを引き上げて床下収納空間を開放し、X3又はX4で示すX部の第一コネクタ43aを第二コネクタ43bから取り外すことで、分電盤40や接続ケーブル42の交換又はメンテナンスが可能となる。
以上のようなメンテナンスや交換のための作業を行う場合、延長用の接続ケーブル42が可撓電線管45から引き抜かれても、可撓電線管45は上記のように位置決めされているので、作業の際に延長用の接続ケーブル42を可撓電線管45に再度通せばよい。すなわち、可撓電線管45は、延長用の接続ケーブル42の配線をガイドするガイド配管として機能する。
【0119】
以上のような構成を採用することで、居住用ユニット1A,1Bにおける床下収納空間や壁裏空間に配置された分電盤40や制御装置38を始めとする各種機器の定期的なメンテナンスや臨時的なメンテナンスを容易に行うことができる。
なお、機器やケーブルが天井裏空間に配置される場合、メンテナンス等を行うときに上向きでの作業が余儀なくされる場合があるが、それを踏まえた上で、機器やケーブル等を天井裏空間に配置してもよい。その場合、複数の天井材21cは、天井野縁材21bに対して着脱自在に設けられており、天井材21cの裏側に形成された中空層に、機器やケーブル等の各種設備が設けられる。メンテナンス等の作業を行う場合は、上記の説明のように、複数の天井材21cを取り外したり、コネクタ43によって線材を分離したりして適宜作業を行うようにする。
【0120】
〔レベル調整システムについて〕
以上のように構成された二つの居住用ユニット1A,1Bは、連結手段50によって連結されるため、位置がずれていると連結手段50によって連結しにくい、又は連結できない場合がある。そこで、本実施形態における二つの居住用ユニット1A,1Bを、位置ずれを極力なくした状態(許容値以内に収めた状態)で連結できるようにする手法について説明する。
なお、以下、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける短辺方向をX方向(X軸方向)とし、長辺方向をY方向(Y軸方向)とし、高さ方向をZ方向(Z軸方向)とする。
【0121】
輸送された現場で住居などとして使用される二つの居住用ユニット1A,1Bは、連結手段50によって連結される前に、連結部50J側の長辺同士が向かい合うように配置され、X,Y,Z方向のそれぞれが、許容値以内となるように位置合わせが行われる。
【0122】
X方向の正位置は、連結部50J側の端部における外装材4aの間隔が、1424mmとなる位置である。そして、X方向の許容寸法は、正位置に対して+10mmとなっている。
X方向の位置決めには、図示しない位置合わせ治具が用いられるが、この位置合わせ治具は、1424mmの長さに設定されている。すなわち、二つの居住用ユニット1A,1BにおけるX方向の寸法(離間寸法)は、マイナス側にずれることがない。
なお、このようなX方向の位置合わせ治具による位置合わせは、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける一方の短辺側の連結部50J側上端部及び下端部と、他方の短辺側の連結部50J側上端部及び下端部の、計4箇所で行われる。
【0123】
Y方向の正位置は、二つの居住用ユニット1A,1Bが載せられた架台140の位置で見るようになっており、ユニット設置部141における連結部50J側の角部の対角2点を測定し、それぞれの対角距離が5676mmとなる位置である。そして、Y方向の許容寸法は、対角距離の差が10mm以内となっている。
Y方向の位置決めは、X方向の位置合わせをした後に、対角線上に、上記の角部にチェーンブロック(Y方向の位置合わせ治具)をかけて対角寸法を合わせることで行う。
【0124】
Z方向の位置合わせは、レベル調整システムにより行い、ユニット本体2と架台140との間にスペーサーを挟み、アンカーボルトを固定することにより行う。また、Z方向の正位置確認はレーザーレベルを用いて行う。そして、二つの居住用ユニット1A,1BのZ方向における位置ずれの許容寸法は、10mmとなっている。
ただし、Z方向のずれが許容値(10mm)内でも、居住用ユニット1A,1B自体が傾いていると、二つの居住用ユニット1A,1BのX方向の寸法が許容値(10mm)を超えてしまう場合がある。
図30は、二つの居住用ユニット1A,1Bの位置ずれが、許容される場合と、許容されない場合を模式的に表した図である。
図30(a)の例においては、Z方向のずれが許容値(10mm)内でも、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける上端部間、すなわち、X方向の寸法が許容値(10mm)を超えてしまう。このような状態では、二つの居住用ユニット1A,1Bを連結手段50によって連結することができない。
図30(b)の例においては、他方の居住用ユニット1Bが、一方の居住用ユニット1Aに対して10mm高くなっているが、これら二つの居住用ユニット1A,1Bは、平行に配置されている。このような状態であれば、二つの居住用ユニット1A,1Bを連結手段50によって連結することができる。
図30(c)の例においては、二つの居住用ユニット1A,1Bは共に傾斜し、他方の居住用ユニット1Bが、一方の居住用ユニット1Aに対して10mm高くなっているが、これら二つの居住用ユニット1A,1Bは、平行に配置されている。このような状態であれば、二つの居住用ユニット1A,1Bを連結手段50によって連結することができる。
図30に示す各例は、二つの居住用ユニット1A,1Bが輸送される現場の地形によっては十分にあり得るものである。そのため、二つの居住用ユニット1A,1Bを連結手段50によって連結するには、X,Y,Z方向のそれぞれが、許容値以内となるように正確に位置合わせを行う必要がある。
【0125】
Z方向の位置合わせを行うレベル調整システムは、
図31,
図32に示すように、居住用ユニット1A,1B(ユニット本体2)の下端部における四隅に設置された電動ジャッキ152を傾斜センサー153で測定された変位を基に半自動で水平(地面に対して平行)にするためのシステムである。なお、完全自動化は、ボルト抜けや外装材と架台140との干渉を起こす可能性があるため避けている。
このようなレベル調整システムは、
図31~
図33に示すように、表示装置150と、電源・コントローラボックス151と、複数の電動ジャッキ152と、傾斜センサー153と、を備える。そして、表示装置150、電源・コントローラボックス151、電動ジャッキ152、傾斜センサー153は、二つの居住用ユニット1A,1Bのそれぞれに設けられる。
【0126】
表示装置150は、電源・コントローラボックス151と通信可能に接続されており、演算部150aと、表示部150bと、入力部150cと、記憶部150dと、を有している。本実施形態においては、タッチパネルを備えたタブレット端末が採用されている。
演算部150aは、各種プログラムを実行して電源・コントローラボックス151を動作させることにより居住用ユニット1A,1Bのレベル調整を行う。
表示部150bは、居住用ユニット1A,1Bのレベル調整に必要な情報を表示する。
入力部150cは、表示部150bに表示された入力のための画像表示をユーザの入力操作に従って操作し、入力操作に応じた操作信号を生成する。
記憶部150dには、表示装置150を動作させるのに必要な各種プログラムの他に、レベル調整のための各種プログラムや各種データが記憶されている。本実施形態においては、少なくとも半自動操作プログラムと、手動操作プログラムと、が記憶されている。
タブレット端末である表示装置150は、表示部150b及び入力部150cとしての機能を有するタッチパネルを備えているものとする。
なお、本実施形態の表示装置150は、二つの居住用ユニット1A,1Bのそれぞれに設けられているが、一つだけ用いられるようにし、二つの電源・コントローラボックス151と通信可能に接続されてもよい。その場合は、二つの電源・コントローラボックス151を操作する画面を、同時に表示するか、切り替えて表示できるように構成される。
【0127】
電源・コントローラボックス151は、傾斜センサー153による居住用ユニット1A,1Bの角度の測定結果を受けて表示装置150に送信し、表示装置150からの操作信号に応じて電動ジャッキ152の動作を制御する。
また、この電源・コントローラボックス151は、表示装置150や電動ジャッキ152等に対して電力供給を行うための電源151aと接続されており、必要に応じて電源151aから電力供給を受けることができる。
なお、この電源151aは、上記の補助電源37と同一のものであってもよい。また、この電源151aは一つであり、二つの電源・コントローラボックス151に接続されている。
【0128】
電動ジャッキ152は、ユニット本体2の下端部における四隅に設置されており、電源・コントローラボックス151から、表示装置150での操作信号に基づく電力供給を受けて、架台140に対してユニット本体2を傾斜させたり、平行にしたりすることができる。
なお、電動ジャッキ152は、ユニット本体2の下端部における四隅に設置されるものとしたが、柱20の下端部から離間した位置に配置されていてもよく、ユニット本体2のバランスをうまく取れる位置に配置されているものとする。なお、床梁23,24に固定されているものとする。
また、居住用ユニット1A,1Bにおける連結部50J側とは反対側の長辺側外壁には、上記のように太陽電池モジュール4bが設けられているので重くなっている。そのため、太陽電池モジュール4bが設けられる長辺側の隅に配置される電動ジャッキ152は、二個1セットで設置されている。
【0129】
なお、複数の電動ジャッキ152には、居住用ユニット1A,1Bに対する設置位置ごとに、その位置を示す命名が行われる。
命名規則は、表示装置150及び電源・コントローラボックス151が、離間して配置された二つの居住用ユニット1A,1B間に配置されることを前提とし、二つの居住用ユニット1A,1B間の位置に表示装置150の操作を行う操作者が立ち、そこからそれぞれの居住用ユニット1A,1Bを見て、前方側(操作者から遠い側)をF(Front)、後方側(操作者に近い側)をR(Rear)とする。さらに、操作者から見て右側をR(Right)とし、左側をL(Left)とする。
これにより、一方の居住用ユニット1Aにおける連結部50J側とは反対側の長辺のうち、他方の短辺側(ドアDr側)が「FL」と命名され、一方の短辺側が「FR」と命名される。また、連結部50J側の長辺のうち他方の短辺側が「RL」と命名され、一方の短辺側が「RR」と命名される。
他方の居住用ユニット1Bの場合は、連結部50J側とは反対側の長辺のうち、一方の短辺側が「FL」と命名され、他方の短辺側(ドアDr側)が「FR」と命名される。また、連結部50J側の長辺のうち一方の短辺側が「RL」と命名され、他方の短辺側が「RR」と命名される。
したがって、二つの居住用ユニット1A,1B間の位置に操作者が立ち、表示装置150の操作を行う際に、一方の居住用ユニット1A側を向いて操作を行う場合の感覚と、他方の居住用ユニット1B側を向いて操作を行う場合の感覚が同じになるので操作しやすい。
【0130】
傾斜センサー153は、居住用ユニット1A,1BのX方向の傾きと、Y方向の傾きとを測定し、その測定結果を、電源・コントローラボックス151を介して表示装置150に送信するためのものであり、床下収納空間に配置された分電盤40の横に固定設置されている。傾斜センサー153は、分電盤40の横に固定された時点でオフセット調整されているため、居住用ユニット1A,1Bの輸送先での取り外しが禁止されている。
傾斜センサー153と電源・コントローラボックス151とを接続するケーブルは、床下収納空間に収納されており、レベル調整を行うときに床面材6cを取り外して引き出され、居住用ユニット1A,1BのドアDrを経由して外部の電源・コントローラボックス151に接続される。
【0131】
図34は、表示装置150における表示部150bに表示される操作画面であり、表示部150bの広い範囲を占有するメイン画面154と、表示部150bの右端に設けられた上下に長いサイド画面155と、を備える。
【0132】
メイン画面154には、電動ジャッキ152の位置「FL」「FR」「RL」「RR」を表すジャッキ位置表示154aが表示されている。
【0133】
ジャッキ位置表示154aの隣には、居住用ユニット1A(1B)を上方又は下方に移動させる手動操作ボタン154bが表示されている。上下のボタンの間には、Z軸方向の変位を表す数値が表示されている(ここでは「9mm」)。
手動操作ボタン154bは、「FL」「FR」「RL」「RR」の位置に設置された電動ジャッキ152を個別に動作させる場合に押す。
【0134】
手動操作ボタン154bの横には、手動操作ボタン154bの操作によって居住用ユニット1A(1B)が移動した量を示す移動量ゲージ154cが表示されている。
【0135】
メイン画面154の中央には、X方向の傾斜角をゲージで表すX方向傾斜角ゲージ154dと、Y方向の傾斜角をゲージで表すY方向傾斜角ゲージ154eと、が表示されている。また、X方向傾斜角ゲージ154dの両端部には、X方向の傾斜角を数値で表す数値表示部154fが表示され、Y方向傾斜角ゲージ154eの両端部には、Y方向の傾斜角を数値で表す数値表示部154gが表示されている。
【0136】
手動操作ボタン154bを押して居住用ユニット1A(1B)を上方又は下方に移動させると、その移動量に応じて、移動量ゲージ154c、X方向傾斜角ゲージ154d、Y方向傾斜角ゲージ154e、数値表示部154f,154gが変化する。
【0137】
サイド画面155には、複数のボタンが上下に並んで表示されている。
複数のボタンには、上から順に、メニューボタン155aと、上自動操作ボタン155bと、上一括移動操作ボタン155cと、下一括移動操作ボタン155dと、下自動操作ボタン155eと、オフセットボタン155fと、が表示されている。
メニューボタン155aを押すと、
図35に示す設定画面に移行する。
【0138】
上自動操作ボタン155b及び下自動操作ボタン155eを押している間は、Z方向の変位が小さくなるように電動ジャッキ152の操作が自動で行われる(押している間のみ操作されるので「半自動」とする)。なお、上自動操作ボタン155bを押している間は、電動ジャッキ152でジャッキアップしながら居住用ユニット1A(1B)のレベル調整が自動で行われる。下自動操作ボタン155eを押している間は、電動ジャッキ152でジャッキダウンしながら居住用ユニット1A(1B)のレベル調整が自動で行われる。
なお、予め設定された自動調整ヒステリシスが小さいと、電動ジャッキ152の稼働中は傾斜センサー153が安定せず、電動ジャッキ152が止まらない場合があるため、上自動操作ボタン155b及び下自動操作ボタン155eは、長押しせずに、ボタン押下操作を細かく刻んだ方が好ましい。
【0139】
上一括移動操作ボタン155cを押すと、「FL」「FR」「RL」「RR」の位置に設置された電動ジャッキ152を同時に動作させて居住用ユニット1A(1B)を上方にジャッキアップできる。
下一括移動操作ボタン155dを押すと、「FL」「FR」「RL」「RR」の位置に設置された電動ジャッキ152を同時に動作させて居住用ユニット1A(1B)を下方にジャッキダウンできる。
【0140】
傾斜センサー153の傾斜角は設置場所によって変わり、居住用ユニット1A(1B)自体の傾斜角とは必ずしも一致しない。そのため、居住用ユニット1A(1B)の水平を出したうえで、オフセットボタン155fを押すと、傾斜センサー153によって測定された傾斜角との差分を吸収することができる。
【0141】
図35は、
図34におけるサイド画面155のメニューボタン155aを押すと表示される設定画面である。この設定画面には、ホームボタン156と、現在の設定値を表す各項目と、が表示されている。
ホームボタン156を押すと、
図35に示す設定画面に替えて、
図34に示すメイン画面154及びサイド画面155を表示させることができる。
【0142】
X方向スパン項目157は、居住用ユニット1A(1B)における長辺方向の支点間距離を設定する項目であり、設定値表示欄157aには、現在の設定値「6000mm」が表示されている。
【0143】
Y方向スパン項目158は、居住用ユニット1A(1B)における短辺方向の支点間距離を設定する項目であり、設定値表示欄158aには、現在の設定値「6000mm」が表示されている。
【0144】
自動調整ヒステリシス項目159は、上自動操作ボタン155b及び下自動操作ボタン155eを押したときの自動(半自動)のレベル調整において、Z軸方向の変位がこの項目で設定された範囲に収まれば電動ジャッキ152の動作が止まる、ということを示す項目であり、設定値表示欄159aには、現在の設定値「5.0mm」が表示されている。
【0145】
X軸角度オフセット項目160及びY軸角度オフセット項目161は、
図34に示すオフセットボタン155fを押したときにオフセットされる傾斜角を設定する項目であり、設定値表示欄160a,161aには、現在の設定値「0.39°」「-0.80°」がそれぞれ表示されている。
【0146】
上記の各項目157~161における設定値表示欄157a~161aに表示された現在の設定値を変更する場合は、変更したい設定値表示欄をタッチ操作する。
例えば、Y軸角度オフセット項目161の設定値表示欄161aに表示された設定値を変更したいときは、設定値表示欄161aをタッチする。すると、
図36に示すように、テンキー162を表示することができ、所望の数値を入力することができる。
【0147】
以上のように構成されたレベル調整システムによって、二つの居住用ユニット1A,1BにおけるZ方向の位置合わせを行う場合は、表示装置150に表示された各操作ボタンを押して電動ジャッキ152を適宜操作する。
レベル調整システムを利用して二つの居住用ユニット1A,1BにおけるZ方向の位置合わせを行っている最中も、レーザーレベルを用いてZ方向の正位置確認を行う。
【0148】
また、上記のように、X方向の正位置確認をX方向の位置合わせ治具によって行う。
すなわち、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける一方の短辺側の連結部50J側上端部及び下端部と、他方の短辺側の連結部50J側上端部及び下端部の計4箇所で、連結部50J側の端部における外装材4aの間隔が、正位置(1424mm)に対して+10mm以内となるようにする。
【0149】
また、上記のように、Y方向の正位置確認をY方向の位置合わせ治具によって行う。
すなわち、二つの居住用ユニット1A,1Bが載せられた架台140の、ユニット設置部141における連結部50J側の角部の対角2点を測定し、それぞれの対角距離が正位置(5676mm)に対して10mm以内となるようにする。
【0150】
なお、二つの居住用ユニット1A,1Bは、現場に輸送された時点で、X方向の正位置とY軸方向の正位置に近づくように、ある程度正確に配置する。このように、ある程度正確に配置されたことを確認してから、上記のX方向、Y方向、Z方向の位置合わせを行っていくものとする。
また、このように二つの居住用ユニット1A,1Bが、ある程度正確に配置された段階でレベル調整システムによってZ方向の位置合わせを行い、その後、X方向の位置合わせを行い、Y方向の位置合わせを行う手順で作業を進めるようにする。
【0151】
〔連結手段について〕
二つの居住用ユニット1A,1Bを、位置ずれを極力なくした状態(許容値以内に収めた状態)で配置した後は、二つの居住用ユニット1A,1Bの連結部50Jを、
図2等に示すように、連結手段50によって連結する。
また、二つの居住用ユニット1A,1Bを連結する際は、
図51に示すように、連結手段50を構成する各連結パネル51,52,53を吊り上げるためのパネル吊り上げ装置80が用いられる。なお、このパネル吊り上げ装置80は、二つの居住用ユニット1A,1Bに跨って設置される。
【0152】
連結手段50は、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける連結部50J側の端部同士間に架け渡されて配置される複数の連結パネル51,52,53と、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける連結部50J側の長辺に設けられて複数の連結パネル51,52,53を支持する複数の支持部54,55,56と、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける連結部50J側の長辺同士間に張り渡される複数の連結膜材65,66と、複数の連結パネル51,52,53の居住スペースS側に設けられる連結用の各仕上げ材70,74,75と、を備える。
【0153】
(連結パネル)
複数の連結パネル51,52,53には、連結時に居住用ユニット1A,1Bにおける壁用木質パネル4と並んで設けられる複数の壁用連結パネル51と、連結時に居住用ユニット1A,1Bにおける屋根用木質パネル5と並んで設けられる複数の屋根用連結パネル52と、連結時に居住用ユニット1A,1Bにおける床構造6と並んで設けられる複数の床用連結パネル53と、が含まれている。
そして、複数の連結パネル51,52,53は、居住用ユニット1A,1Bの輸送時には、当該居住用ユニット1A,1Bにおける連結部50J側の側面を構成しており、輸送先の現場では、二つの居住用ユニット1A,1Bを連結し、それぞれが連結部50Jの壁、屋根、床として機能する。
なお、これら複数の連結パネル51,52,53は、輸送時においては各居住用ユニット1A,1Bの連結部50J側の長辺天井梁21と長辺床梁23との間に設けられた仮柱(図示省略)に固定されて輸送される。
仮に、三つ以上の居住用ユニット1の長辺側同士を連結する場合は、真ん中に配置される居住用ユニット1における両側の面に連結パネル51,52,53が設けられる。
【0154】
複数の壁用連結パネル51には、第一壁用連結パネル5101と、第二壁用連結パネル5102と、第三壁用連結パネル5103と、第四壁用連結パネル5104と、第五壁用連結パネル5105と、第六壁用連結パネル5106と、が含まれている。
これら複数の壁用連結パネル5101~5106は、輸送時には一方の居住用ユニット1Aにおける長辺側の上段に設けられて、居住用ユニット1Aにおける長辺側の開放部分を閉塞する。
【0155】
複数の屋根用連結パネル52には、第一屋根用連結パネル5201と、第二屋根用連結パネル5202と、第三屋根用連結パネル5203と、第四屋根用連結パネル5204と、第五屋根用連結パネル5205と、第六屋根用連結パネル5206と、が含まれている。
これら複数の屋根用連結パネル5201~5206は、輸送時には他方の居住用ユニット1Bにおける長辺側の上段に設けられて、居住用ユニット1Bにおける長辺側の開放部分を閉塞する。
【0156】
複数の床用連結パネル53には、第一床用連結パネル5301と、第二床用連結パネル5302と、第三床用連結パネル5303と、第四床用連結パネル5304と、第五床用連結パネル5305と、第六床用連結パネル5306と、第七床用連結パネル5307と、第八床用連結パネル5308と、第九床用連結パネル5309と、第十床用連結パネル5310と、第十一床用連結パネル5311と、第十二床用連結パネル5312と、が含まれている。
複数の床用連結パネル5301~5306は、輸送時には一方の居住用ユニット1Aにおける長辺側の下段に設けられて、複数の壁用連結パネル5101~5106と共に、居住用ユニット1Aにおける長辺側の開放部分を閉塞する。
複数の床用連結パネル5307~5312は、輸送時には一方の居住用ユニット1Bにおける長辺側の下段に設けられて、複数の屋根用連結パネル5201~5206と共に、居住用ユニット1Bにおける長辺側の開放部分を閉塞する。
【0157】
各連結パネル51,52,53の基本構造としては、上記の木質パネルにおける基本構造と同様に、縦框材A及び横框材Bが矩形状に組み立てられるとともに、これら縦横の框材A,Bからなる矩形枠体の内部に補助桟材Cが縦横に組み付けられてパネル枠体が構成され、このパネル枠体の両面もしくは片面に、面材D,Eが貼設され、内部中空な構造となっている。さらに、その内部中空な部分には、通常、グラスウールやロックウール等の断熱材Fが装填される。
また、木質パネルを構成する縦横の框材A,B、補助桟材C、面材D,E同士は、接着剤により強固に接合されている。
なお、連結パネル51,52,53は、パネル枠体の両面に面材D,Eが貼設されているが、
図37,
図38に示す連結パネル51,52,53は、外側の面材Eを省略して内部の状態を表している。
【0158】
また、各連結パネル51,52,53における外側面は、ガルバリウム鋼板によって構成された外装材51a,52a,53aによって被覆されている。
これらの外装材51a,52a,53aは、各連結パネル51,52,53における外側の面材Eよりも面積が広く設定されている。
壁用連結パネル51及び屋根用連結パネル52における外装材51a,52aのうち、輸送時に下方に位置する側縁部と、輸送時に左右に位置する側縁部は、各連結パネル51,52におけるパネル枠体よりも外方に張り出してフランジ状に形成されている。また、これらの側縁部は一体に形成されてコ字状に張り出している。以下では、当該コ字状に張り出した部位を、張出部51b,52b(サネともいう)として説明する。
床用連結パネル53における外装材53aのうち、輸送時に左右に位置する側縁部の少なくとも一方は、床用連結パネル53におけるパネル枠体よりも外方に張り出して羽根状に形成されている。以下では、当該羽根状に張り出した部位を、張出部53b(サネともいう)として説明する。
【0159】
張出部51b,52b,53bの裏面(居住スペースS側面)には、上記の、潰れた状態での気密性・水密性を有する素材からなる緩衝材が設けられている。そのため、輸送時又は現場での設置時において、張出部51b,52b,53bを、隣り合う連結パネル51,52,53の外装材51a,52a,53aや、居住用ユニット1A,1Bにおける隣り合う各木質パネル4,5に対して上から重ね合わせることで、緩衝材が潰れた状態となる。これにより、各連結パネル51,52,53の縁部における気密性・水密性を向上させることができる。
【0160】
また、壁用連結パネル51及び屋根用連結パネル52における幅寸法(連結時に居住用ユニット1A,1Bの短辺方向に沿う方向)は、二つの居住用ユニット1A,1B間の間隔寸法よりも短く設定されている。そのため、壁用連結パネル51及び屋根用連結パネル52は、二つの居住用ユニット1A,1Bとの間に隙間Gp1(第一隙間Gp1)を形成した状態で配置される。
一方で、外装材51a,52aは、二つの居住用ユニット1A,1B間の間隔寸法よりも長く設定されている。そのため、外装材51a,52aにおける張出部51b,52bは、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける外装材4a,5aに接することとなる。
【0161】
また、床用連結パネル53における幅寸法(連結時に居住用ユニット1A,1Bの短辺方向に沿う方向)は、二つの居住用ユニット1A,1B間の間隔寸法よりも短く設定されている。そのため、床用連結パネル53は、二つの居住用ユニット1A,1Bとの間に隙間Gp1を形成した状態で配置される。
なお、二つの居住用ユニット1A,1Bにおいては床パネルを使用しておらず、壁用木質パネル4や屋根用木質パネル5のように連結手段50側に突出しないので、床用連結パネル53と二つの居住用ユニット1A,1Bとの間に形成された隙間Gp1は、壁用連結パネル51及び屋根用連結パネル52の場合の上記隙間Gp1よりも広く形成される。
【0162】
以上のような複数の連結パネル51,52,53を展開し、これら複数の連結パネル51,52,53によって二つの居住用ユニット1A,1Bを連結した場合、これら複数の連結パネル51,52,53は、
図39に示すように配置される。
すなわち、6枚の壁用連結パネル51(5101~5106)は、3枚ずつに分けられて牽引側(連結棒143)のある側と、その反対の非牽引側に設けられて壁を形成する。6枚の壁用連結パネル51による壁は、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける一方及び他方の短辺側の外壁Ow間に配置されることとなる。
また、6枚の屋根用連結パネル52(5201~5206)は、6枚が並べられて屋根を形成する。6枚の屋根用連結パネル52による屋根は、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける屋根Rf間に配置されることとなる。
さらに、12枚の床用連結パネル53(5301~5312)は、6枚ずつに分けられて2枚重ねで設けられて床を構成する。12枚の床用連結パネル53は、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける床構造6間に配置されることとなる。
【0163】
なお、複数の連結パネル51,52,53の枚数は、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける連結側の面における寸法設定と、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける離間距離と、に基づいて設定される。
ここで、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける連結側の面における寸法設定とは、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける連結部50J側の面の縦横比を指しており、その縦横比は1対n(ただし、n≧1)とされている。本実施形態における二つの居住用ユニット1A,1Bにおける連結部50J側の面の縦横比は、縦(上下方向)を「1」とすると、横(長辺方向)がおよそ「2」となっている。
また、離間距離は、上記の、連結部50J側の面における縦の寸法の約半分に設定されている。すなわち、上記のように連結部50J側の面における縦(上下方向)の寸法を「1」とすると、離間距離はおよそ「0.5」となる。この離間距離は、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける連結部50J側の面に取り付けられた状態の、各連結パネル51,52,53の上下寸法と略等しく設定される。
複数の連結パネル51,52,53の枚数は、上記のような、連結側の面における寸法設定と、一対の居住用ユニット1A,1Bにおける離間距離と、に基づいて設定されており、複数の連結パネル51,52,53によって二つの居住用ユニット1A,1Bにおける連結部50J側の面を被覆可能であるとともに、一対の居住用ユニット1A,1Bにおける連結部50Jの外壁と屋根と床を形成可能な枚数が採用されている。
そして、複数の連結パネル51,52,53によって二つの居住用ユニット1A,1Bにおける連結部50Jの外壁と屋根と床を形成しても余剰な連結パネル51,52,53がある場合には、連結部50Jで床又は屋根として重ね置きして使用される。
これを踏まえ、本実施形態においては、上記のように6枚の壁用連結パネル51と、6枚の屋根用連結パネル52と、12枚の床用連結パネル53と、が採用され、12枚の床用連結パネル53は、二枚重ねで使用される。また、これらの各連結パネル51,52,53の上下寸法は、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける離間距離と略等しい。換言すれば、各連結パネル51,52,53の上下寸法は、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける離間距離と、ある程度近似していないと、各連結パネル51,52,53を二つの居住用ユニット1A,1B間に架け渡すことが困難となるため、各連結パネル51,52,53の上下寸法と、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける離間距離は略等しいことが望ましい。
【0164】
(支持部)
複数の支持部54,55,56は、
図40~
図42等に示すように、アングル状に形成されており、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける連結部50J側の端部に固定されて連結手段50側に突出し、当該突出した部分で、複数の連結パネル51,52,53を受ける。そして、複数の連結パネル51,52,53がボルト留めされることで、当該複数の連結パネル51,52,53を支持している。
このような複数の支持部54,55,56には、複数の壁用連結パネル51を受けて支持する壁用支持部54と、複数の屋根用連結パネル52を受けて支持する屋根用支持部55と、複数の床用連結パネル53を受けて支持する床用支持部56と、が含まれている。
【0165】
(壁用支持部)
アングル状に形成された壁用支持部54は、居住用ユニット1A,1Bに固定される固定側の固定板部54aと、連結手段50側に突出して壁用連結パネル51を受けるパネル受け板部54bと、パネル受け板部54bの外側面に固定された板状の厚み調整材54cと、厚み調整材54cの外側面に設けられたシリコンスポンジ製の緩衝材54dと、を有する。
なお、緩衝材54dは、シリコンスポンジ製であるため弾力性に優れ、密着することで気密性・水密性を高めることができる。緩衝材54dの材料としては、シリコンスポンジに限定されるものではなく、例えば天然ゴムやクロロプレンゴム、エチレンプロピンゴム等のゴム系素材でもよい。その他にも、ポリエチレンなどの樹脂性の素材を使用してもよく、弾力性(クッション性)があり、対象に密着した状態で気密性・水密性を発揮する素材であればよい。
【0166】
このような壁用支持部54は、
図43に示すように、居住用ユニット1A,1Bにおける短辺側の外壁を構成する壁用木質パネル4のうち連結部50J側に位置する壁用木質パネル4の側端部に固定されている。より詳細に説明すると、壁用木質パネル4の側端部における框材Aには、調整材4dを介して端部調整材4fが設けられており、壁用支持部54における固定板部54aは、この端部調整材4fにビス固定されている。
【0167】
パネル受け板部54b、厚み調整材54c、緩衝材54dには、壁用連結パネル51を取り付けるためのボルトBtが通される長孔Bh(横方向に長い)が形成されている。この長孔Bhは、パネル受け板部54bの長さ方向に間隔を空けて複数形成されており、片側(牽引側、非牽引側)3枚の壁用連結パネル51それぞれの上下端部をボルトBtによってパネル受け板部54bに取り付けることができる。このとき、片側3枚の壁用連結パネル51は、
図45に示すように、上方の壁用連結パネル51が、下方の壁用連結パネル51の上に載せられずに、互いに隙間Gp2(第二隙間Gp2)を空けて配置される。これにより、上下に隣り合う壁用連結パネル51同士は、地震や強風等によって揺動(振動)を受けても、また、地形によって地面の水平を確保できない場合に生じる段差があっても、互いに接触し合うことがない。
長孔Bhは、横方向に長く形成されているので、例えば二つの居住用ユニット1A,1Bが地震や強風等によって揺動(振動)し、これらの間で壁用連結パネル51が揺動(振動)しても、ボルトBtが当該長孔Bhに沿って移動でき、二つの居住用ユニット1A,1B及び壁用連結パネル51の揺動(振動)を吸収することができる。
さらに、上記のように、第一及び第二隙間Gp1、Gp2があるので、二つの居住用ユニット1A,1B及び壁用連結パネル51が揺動(振動)しても確実に吸収することができ、壁用連結パネル51の脱落や破損を防ぐことができるようになっている。また、地形によって地面の水平を確保できない場合に生じる段差があっても、段差を吸収することができる。
【0168】
なお、ボルトBtは、壁用連結パネル51に内蔵されて框材Aに固定されたナットNtにねじ込まれて設けられる。
ボルトBtを締め付けていくことで、壁用連結パネル51は、緩衝材54dに押し付けられ、気密性・水密性が高まる。また同時に、外装材51aにおける張出部51b(緩衝材)も居住用ユニット1A,1B側の壁用木質パネル4に押し付けられるので、この部分においても気密性・水密性が高まる。
【0169】
(屋根用支持部)
アングル状に形成された屋根用支持部55は、居住用ユニット1A,1Bに固定される固定側の固定板部55aと、連結手段50側に突出して屋根用連結パネル52を受けるパネル受け板部55bと、パネル受け板部55bの上面に固定された板状の厚み調整材55cと、厚み調整材55cの上面に設けられた例えばシリコンスポンジ製の緩衝材55dと、を有する。
【0170】
このような屋根用支持部55は、
図44に示すように、固定板部55aが、居住用ユニット1A,1Bにおける連結部50J側の長辺天井梁21のウェブに固定されている。
【0171】
パネル受け板部55bは、長辺天井梁21の上フランジと同一の高さ位置から連結部50J側に突出している。そのため、屋根用木質パネル5の側端部が、パネル受け板部55bの上面にわずかに載せられた状態となっている。
また、パネル受け板部55bの上面のうち、屋根用木質パネル5の側端部が載せられていない箇所に、厚み調整材55cが固定され、更にその上面に緩衝材55dが設けられている。
パネル受け板部55b、厚み調整材55c、緩衝材55dには、屋根用連結パネル52を取り付けるためのボルトBtが通される長孔Bh(横方向に長い)が形成されている。この長孔Bhは、パネル受け板部55bの長さ方向に間隔を空けて複数形成されており、6枚の屋根用連結パネル52それぞれの側端部をボルトBtによってパネル受け板部55bに取り付けることができる。このとき、6枚の屋根用連結パネル52は、
図46に示すように、互いに隙間Gp2(第二隙間Gp2)を空けて配置される。これにより、隣り合う屋根用連結パネル52同士は、地震や強風等によって揺動(振動)を受けても、また、地形によって地面の水平を確保できない場合に生じる段差があっても、互いに接触し合うことがない。
長孔Bhは、横方向(居住用ユニット1A,1Bの短辺方向に沿う方向)に長く形成されているので、例えば二つの居住用ユニット1A,1Bが地震や強風等によって揺動(振動)し、これらの間で屋根用連結パネル52が揺動(振動)しても、ボルトBtが当該長孔Bhに沿って移動でき、二つの居住用ユニット1A,1B及び屋根用連結パネル52の揺動(振動)を吸収することができる。
さらに、上記のように、第一及び第二隙間Gp1、Gp2があるので、二つの居住用ユニット1A,1B及び屋根用連結パネル52が揺動(振動)しても確実に吸収することができ、屋根用連結パネル52の脱落や破損を防ぐことができるようになっている。また、地形によって地面の水平を確保できない場合に生じる段差も吸収できる。
【0172】
なお、ボルトBtは、屋根用連結パネル52に内蔵されて框材Bに固定されたナットNtにねじ込まれて設けられる。
ボルトBtを締め付けていくことで、屋根用連結パネル52は、緩衝材55dに押し付けられ、気密性・水密性が高まる。また同時に、外装材52aにおける張出部52b(緩衝材)も居住用ユニット1A,1B側の壁用木質パネル4に押し付けられるので、この部分においても気密性・水密性が高まる。
【0173】
なお、パネル受け板部55bの下面には、
図44に示すように、固定アングル55eがボルト固定されている。この固定アングル55eは、例えば断熱材の保持などに用いられる。
【0174】
(床用支持部)
床用支持部56は、
図44に示すように、床用連結パネル53を受けて下方から支持するパネル受けアングル57と、パネル受けアングル57上に2枚重ねで設けられた床用連結パネル53に対して上方から接してボルトBtによってボルト留めされるパネル留めアングル58と、居住用ユニット1A,1Bにおける長辺床梁23の上面に固定されるとともにパネル留めアングル58が取り付けられるアングル取付金物59と、を有する。
【0175】
パネル受けアングル57は、居住用ユニット1A,1Bに固定される固定側の固定板部57aと、連結手段50側に突出して床用連結パネル53を受けるパネル受け板部57bと、を有する。
このような床用支持部56は、パネル受けアングル57における固定板部57aが、居住用ユニット1A,1Bにおける連結部50J側の長辺床梁23のウェブに固定されている。
また、パネル受け板部57bは、長辺床梁23の下フランジと同一の高さ位置から連結部50J側に突出している。
【0176】
パネル留めアングル58は、長辺床梁23に固定されたアングル取付金物59に固定される固定側の固定板部58aと、連結手段50側に突出して床用連結パネル53に対して上方から接するパネル当接板部58bと、を有する。
パネル当接板部58bには、パネル留めアングル58を床用連結パネル53に留め付けるためのボルトBtが通される長孔Bh(横方向に長い)が形成されている。この長孔Bhは、パネル当接板部58bの長さ方向に間隔を空けて複数形成されており、2枚重ねのうち上段の6枚の床用連結パネル53それぞれの側端部にボルトBtを留め付けることができる。このとき、6枚の床用連結パネル53は、
図46に示すように、互いに隙間Gp2(第二隙間Gp2)を空けて配置される。これにより、隣り合う床用連結パネル53同士は、地震や強風等によって揺動(振動)を受けても、また、地形によって地面の水平を確保できない場合に生じる段差があっても、互いに接触し合うことがない。
長孔Bhは、横方向(居住用ユニット1A,1Bの短辺方向に沿う方向)に長く形成されているので、例えば二つの居住用ユニット1A,1Bが地震や強風等によって揺動(振動)し、これらの間で床用連結パネル53が揺動(振動)しても、ボルトBtが当該長孔Bhに沿って移動でき、二つの居住用ユニット1A,1B及び床用連結パネル53の揺動(振動)を吸収することができる。
さらに、上記のように、第一及び第二隙間Gp1、Gp2があるので、二つの居住用ユニット1A,1B及び床用連結パネル53が揺動(振動)しても確実に吸収することができ、床用連結パネル53の脱落や破損を防ぐことができるようになっている。また、地形によって地面の水平を確保できない場合に生じる段差も吸収できる。
【0177】
アングル取付金物59は、居住用ユニット1A,1Bにおける連結部50J側の長辺床梁23の上フランジに固定される固定板部59aと、垂直に配置されてパネル留めアングル58の固定板部58aを受けてボルト固定されるアングル受け板部59bと、を有する。
【0178】
(隙間閉塞部材等)
上記のように、上下に隣り合う壁用連結パネル51は、互いに隙間Gp2(第二隙間Gp2)を空けて配置される。また、横方向に隣り合う屋根用連結パネル52も、互いに隙間Gp2(第二隙間Gp2)を空けて配置される。同様に、2枚重ねで配置された床用連結パネル53も、横方向に隣り合うもの同士は、互いに隙間Gp2(第二隙間Gp2)を空けて配置される。
また、壁用連結パネル51と屋根用連結パネル52も、これら壁用連結パネル51と屋根用連結パネル52との接触を避ける隙間Gp3(第三隙間Gp3)を空けて配置されている。さらに、壁用連結パネル51と床用連結パネル53も、これら壁用連結パネル51と床用連結パネル53との接触を避ける隙間Gp3(第三隙間Gp3)を空けて配置されている。
このように、二つの居住用ユニット1A,1Bを連結する連結手段50の周囲には隙間Gp2,Gp3が形成されている。
各連結パネル51,52,53間に形成された第二隙間Gp2の屋外側においては、上記のように外装材51a,52a,53aの張出部51b,52b,53b(緩衝材付き)を、隣り合う連結パネル51,52,53の外装材51a,52a,53aに重ね合わせて気密性・水密性を確保している。
そして、隣り合う壁用連結パネル51間及び隣り合う屋根用連結パネル52間における第二隙間Gp2の屋内側と、壁用連結パネル51と屋根用連結パネル52との間に形成された第三隙間Gp3の屋内側においては、
図45,
図46,
図47に示すように、隙間閉塞部材60及び隅部用隙間閉塞部材61が設けられ、屋内側から第二及び第三隙間Gp2,Gp3を閉塞している。
また、壁用連結パネル51と床用連結パネル53との間に形成された第三隙間Gp3の屋内側においては、
図45に示すように、押さえアングル62が設けられ、屋内側から第三隙間Gp3を閉塞している。
【0179】
隙間閉塞部材60は、例えばシリコンスポンジ製の緩衝材60aと、緩衝材60aが取り付けられる下地材60bと、緩衝材60a及び下地材60bを隣り合う連結パネル51(52)に固定する固定部60cと、を有する。
緩衝材60aは、第二隙間Gp2の長さ方向に沿って長尺に形成されるとともに、隣り合う連結パネル51(52)に跨って設けられる帯状の部材である。
下地材60bは、第二隙間Gp2の長さ方向に沿って長尺に形成されるとともに、隣り合う連結パネル51(52)に跨って設けられる角材である。
固定部60cは、左右対称的に形成された断面略S型の金物を組み合わせてなる断面ハット型に形成された金物であり、凹型の保持部に、下地材60b及び緩衝材60aが嵌まり込むようになっている。また、固定部60cは、下地材60bの長さ方向に間隔を空けて複数設けられる。
さらに、固定部60cにおける保持部の両端から外側に突出する両側の突出板部には、ボルトBtが通される長孔が形成されている。長孔は、各支持部54,55,56に形成された長孔Bhと同様に、隣り合う連結パネル51(52)の揺動(振動)を吸収する。
このような隙間閉塞部材60は、複数の固定部60cにおける保持部に、緩衝材60aが貼り付けられた下地材60bを嵌め込んだ状態で、隣り合う連結パネル51(52)に跨って設けられ、ボルトBtによって固定されている。
【0180】
隅部用隙間閉塞部材61は、例えばシリコンスポンジ製の緩衝材61aと、緩衝材61aが取り付けられる下地材61bと、緩衝材61a及び下地材61bを、直交方向に隣り合う壁用連結パネル51及び屋根用連結パネル52に固定する固定部61cと、を有する。
緩衝材61aは、第三隙間Gp3の長さ方向に沿って長尺に形成されるとともに、直交方向に隣り合う壁用連結パネル51及び屋根用連結パネル52に跨って直交方向に設けられる帯状の部材である。
下地材61bは、第三隙間Gp3の長さ方向に沿って長尺に形成されるとともに、上面及び屋外側面に緩衝材60aが取り付けられ、直交方向に隣り合う壁用連結パネル51及び屋根用連結パネル52からなる隅部に設けられる角材である。
固定部61cは、下地材61b及び緩衝材61aを保持する断面L型の保持部と、当該保持部の両端から外側に突出する両側の突出板部と、を有する。両側の突出板部のうち一方は壁用連結パネル51に接し、他方は屋根用連結パネル52に接しており、これら両側の突出板部には、ボルトBtが通される長孔が形成されている。長孔は、各支持部54,55,56に形成された長孔Bhと同様に、直交方向に隣り合う連結パネル51,52の揺動(振動)を吸収する。
このような隅部用隙間閉塞部材61は、複数の固定部61cにおける保持部に、緩衝材61aが貼り付けられた下地材61bを嵌め込んだ状態で、直交方向に隣り合う連結パネル51,52に跨って設けられ、ボルトBtによって固定されている。
【0181】
壁用連結パネル51と床用連結パネル53との間に形成された第三隙間Gp3には、後述する第一連結膜材65及び第二連結膜材66が通される。
そのため、壁用連結パネル51と床用連結パネル53との間に形成された第三隙間Gp3の屋内側には、上記の押さえアングル62が設けられ、この押さえアングル62と壁用連結パネル51との間に、第一連結膜材65及び第二連結膜材66が挟み込まれた状態となっている。
押さえアングル62における固定板部は、上段の床用連結パネル53における上面に、ボルトBtによって固定されている。また、固定板部における屋外側端部から上方に突出する垂直板部によって、第一連結膜材65及び第二連結膜材66を、壁用連結パネル51側に押さえ込んでいる。
【0182】
さらに、壁用連結パネル51の上端部と屋根用連結パネル52の側端部からなるコーナー部分には上側L型役物63が被せられ、壁用連結パネル51の下端部と床用連結パネル53の側端部からなるコーナー部分には下側L型役物64が被せられ、屋外側から第三隙間Gp2,Gp3を閉塞している。
これらのL型役物63,64は、ガルバリウム鋼板によって構成されている。
なお、上側L型役物63は、ボルトBtによって壁用連結パネル51及び屋根用連結パネル52に固定され、下側L型役物は、ボルトBtによって壁用連結パネル51に固定されている。
【0183】
なお、
図46に示すように、隣り合う床用連結パネル53同士の間にも第二隙間Gp2が形成される。当該隣り合う床用連結パネル53間の第二隙間Gp2は、屋外側からは、自身の外装材53aにおける張出部53bによって閉塞し、屋内側からは、後述する連結用床仕上げ材75によって覆い隠すようにする。
【0184】
(連結膜材)
二つの居住用ユニット1A,1Bにおける連結部50J側の端部同士間に張り渡される複数の連結膜材65,66には、
図48に示すように、床用連結パネル53よりも下方の屋外に面して配置される第一連結膜材65と、壁用連結パネル51及び屋根用連結パネル52よりも屋内側に配置される第二連結膜材66と、が含まれている。
このような複数の連結膜材65,66は、二つの居住用ユニット1A,1Bの連結部50Jにおける防水性を向上させるために設けられている。
【0185】
第一連結膜材65は、中央に設けられる面積の広い膜材本体65aと、膜材本体65aの両側縁と連結される一対の側膜材65bと、膜材本体65aと一対の側膜材65bとを連結する一対の防水ファスナー65cと、を有する。
【0186】
膜材本体65aは、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける長辺方向に沿って長尺に形成されており、この膜材本体65aによって複数の床用連結パネル53の下面を被覆することができる。
さらに、膜材本体65aの長さ方向両端部は、壁用連結パネル51に沿って上方に伸び、壁用連結パネル51の下端部における居住スペースS側面を被覆できるようになっている。
【0187】
一対の側膜材65bは、膜材本体65aに対し、防水ファスナー65cによって長さ方向一端部から他端部にかけて連結される。また、これら一対の側膜材65bは、膜材本体65aと等しい長さに設定されているので、一対の側膜材65bの長さ方向両端部も、膜材本体65aと共に上方に伸びて配置される。
このような側膜材65bのうち、複数の床用連結パネル53の下面よりも下方に位置する部位は、
図44に示すように、上記のパネル受けアングル57におけるパネル受け板部57bの上面に固定されている。また、上方に伸びる部位は、上記の壁用支持部54におけるパネル受け板部54bの居住スペースS側面に固定されている。
【0188】
一対の防水ファスナー65cは、それぞれが、膜材本体65aにおける一対の側膜材65b側の縁部に沿って設けられる第一エレメント列と、一対の側膜材65bにおける膜材本体65a側の縁部に沿って設けられる第二エレメント列と、第一エレメント列と第二エレメント列とを噛み合わせるスライダー(図示省略)と、を有する。
スライダーを、スライドさせることによって、第一エレメント列と第二エレメント列を噛み合わせたり、噛み合いを解除したりすることができる。
【0189】
このような第一連結膜材65は、二つの居住用ユニット1A,1Bの下端部を連結する複数の床用連結パネル53の下面と、二つの居住用ユニット1A,1Bを連結する壁用連結パネル51の下端部における居住スペースS側面(換言すれば、後述する連結用内装仕上げ材70の下端部における屋外側面)と、を被覆することができる。これにより、万が一水が上がってきても、第一連結膜材65の長さ方向両端部(上端部)までの高さまでは、第一連結膜材65の居住スペースS側に水が浸入することを防ぐことができる。
【0190】
第二連結膜材66は、中央に設けられる面積の広い膜材本体66aと、膜材本体66aの両側縁と連結される一対の側膜材66bと、膜材本体66aと一対の側膜材66bとを連結する一対の防水ファスナー66cと、を有する。
【0191】
膜材本体66aは、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける長辺方向に沿って長尺に形成されており、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける屋根Rf間と短辺側の外壁Ow間に張られて設けられる。
さらに、膜材本体66aの長さ方向両端部(下端部)は、第一連結膜材65における膜材本体65aの上端部と重なり合う。なお、重なり合った状態では、第二連結膜材66における膜材本体66aが屋外側で、第一連結膜材65における膜材本体65aが居住スペースS側に配置される。
【0192】
一対の側膜材66bは、膜材本体66aに対し、防水ファスナー66cによって長さ方向一端部から他端部にかけて連結される。また、これら一対の側膜材66bは、膜材本体66aと等しい長さに設定されているので、一対の側膜材66bの長さ方向両端部も、第一連結膜材65における一対の側膜材65bの上端部と重なり合う。
このような側膜材66bは、
図43に示すように、上記の壁用支持部54におけるパネル受け板部54bの居住スペースS側面に固定されるとともに、
図44に示すように、上記の屋根用支持部55におけるパネル受け板部55bの居住スペースS側面に固定されている。
【0193】
一対の防水ファスナー66cは、それぞれが、膜材本体66aにおける一対の側膜材66b側の縁部に沿って設けられる第一エレメント列と、一対の側膜材66bにおける膜材本体66a側の縁部に沿って設けられる第二エレメント列と、第一エレメント列と第二エレメント列とを噛み合わせるスライダー66dと、を有する。
スライダー66dを、スライドさせることによって、第一エレメント列と第二エレメント列を噛み合わせたり、噛み合いを解除したりすることができる。
なお、スライダー66dには紐を括りつけることができる。これにより、複数の壁用連結パネル51のうち上方の壁用連結パネル51の屋内側や、複数の屋根用連結パネル52の屋内側に沿って膜材本体66aを張るにあたって、スライダー66dまで手が届きにくい場合に、紐を引っ張ってスライダー66dを操作することができる。
【0194】
第二連結膜材66は、複数の壁用連結パネル51及び複数の屋根用連結パネル52よりも居住スペースS側に位置し、これら壁用連結パネル51及び屋根用連結パネル52の居住スペースS側の略全面を被覆しているので、万が一、複数の壁用連結パネル51や複数の屋根用連結パネル52よりも居住スペースS側に水が浸入してきても、この第二連結膜材66によって防水できる。
また、第二連結膜材66の長さ方向両端部は、第一連結膜材65の上方に伸びる長さ方向両端部よりも屋外側に位置するので、万が一、複数の壁用連結パネル51や複数の屋根用連結パネル52よりも居住スペースS側に水が浸入してきても、水が第一連結膜材65側に浸入することを防ぐことができる。
【0195】
(連結部における仕上げ材)
複数の連結膜材65,66によって、複数の床用連結パネル53における下面と、複数の壁用連結パネル51及び複数の屋根用連結パネル52における居住スペースS側面が覆われた後は、
図49,
図50に示すように、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける連結部50Jの各種内装材が設けられる。このような各種内装材には、内壁面を構成する連結用内装仕上げ材70と、天井を構成する連結用天井仕上げ材74と、床面を構成する連結用床仕上げ材75と、が含まれている。
【0196】
なお、居住用ユニット1A,1Bにおける連結部50J側には、居住用ユニット1A,1Bの内部空間(居住スペースS)と、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける連結部50Jの内部空間(居住スペースS)との境界を示すように機能する壁用化粧板材67及び天井用化粧板材68が設けられている。
壁用化粧板材67及び天井用化粧板材68は、天井用化粧板材68の長さ方向両端部に、壁用化粧板材67の上端部が連結されて門型に形成されている。
【0197】
内壁面を構成する連結用内装仕上げ材70は、第二連結膜材66から居住スペースS側に間隔を空けて配置される。また、この連結用内装仕上げ材70は、一方の居住用ユニット1Aにおける壁用化粧板材67と、他方の居住用ユニット1Bにおける壁用化粧板材67との間に配置されている。
そして、このような連結用内装仕上げ材70と第二連結膜材66との間には空隙が形成されており、当該空隙には、連結用断熱パネル71と、隙間用断熱材72と、が設けられている。また、居住用ユニット1A,1Bにおけるユニット本体2の柱20には、連結用断熱パネル71が取り付けられる被取付金物73が設けられている。
【0198】
連結用断熱パネル71は、矩形状の芯板材71aと、この芯板材71aの表裏面にそれぞれ設けられる断熱フォーム71bと、芯板材71aに固定されるとともに被取付金物73に取り付けられる取付アングル71cと、を有する。
芯板材71aの幅寸法は、表裏面の断熱フォーム71bにおける幅寸法よりも広く設定され、幅方向両端部が、断熱フォーム71bよりも側方に突出した状態となっている。そして、芯板材71aの幅方向両端部における屋外側面に取付アングル71cが固定されている。
取付アングル71cは、一方の固定板部が芯板材71aに固定され、この固定板部から居住スペースS側に突出する突出板部が、被取付金物73にボルト留めされる構成となっている。突出板部には、ボルトBtが通される縦長孔が形成されている。
【0199】
被取付金物73は、
図43に示すように、断面L型の保持部73aと、当該保持部73aの両端から外側に突出する両側の突出板部73bと、を有する。両側の突出板部73bのうち一方は柱20に接してボルト固定され、他方は、居住スペースS側に突出して上記の取付アングル71cに接してボルト留めされる。
保持部73aは、柱20に沿って長尺に形成された調整材73cを保持し、当該調整材73cの側面には、取付アングル71cに接するシリコンスポンジ製の緩衝材73dが取り付けられている。
【0200】
上記の連結用断熱パネル71は、表裏面に断熱フォーム71bが設けられて断熱性能に優れるが、取付アングル71c及び被取付金物73によってユニット本体2側に取り付けられるので、芯板材71aの幅方向両端部(断熱フォーム71bの幅方向両端面)からユニット本体2の柱20にかけては空隙が形成される。そのため、当該空隙に、上記の隙間用断熱材72が充填されている。
隙間用断熱材72は、芯板材71aの幅方向両端部に対して屋外側と居住スペースS側の双方の位置における空隙に充填されている。
隙間用断熱材72としては、上記の断熱材Fと同様にグラスウールやロックウール等の繊維系断熱材が主に使用されている。特に、芯板材71aよりも居住スペースS側の空隙には、取付アングル71cや被取付金物73における突出板部73c等の突部が複数存在していることから、充填される隙間用断熱材72としては、可撓性・変形性に優れるグラスウール等の繊維系断熱材が好適に使用される。
【0201】
以上のような連結用断熱パネル71及び隙間用断熱材72による壁断熱構造は、上記の連結用内装仕上げ材70によって被覆されている。
また、連結用断熱パネル71及び隙間用断熱材72による壁断熱構造と、外装材51aによって被覆された壁用連結パネル51との間には、第二連結膜材66が設けられているので、二つの居住用ユニット1A,1Bの連結部50Jにおける壁部分の防水性や気密性等に優れる。
【0202】
二つの居住用ユニット1A,1Bにおける連結部50Jの天井面を構成する連結用天井仕上げ材74は、一方の居住用ユニット1Aにおける天井用化粧板材68と、他方の居住用ユニット1Bにおける天井用化粧板材68との間に配置されている。
【0203】
二つの居住用ユニット1A,1Bにおける連結部50Jの床面を構成する連結用床仕上げ材75は、一方の居住用ユニット1Aにおける床構造6と、他方の居住用ユニット1Bにおける床構造6との間に配置されている。
なお、連結用床仕上げ材75は、当該連結用床仕上げ材75の上面と、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける床構造6の床面材6cとが略面一の状態になるように形成されているものとする。また、連結用床仕上げ材75と床面材6cとの間には、床見切り材などが適宜設けられる。
【0204】
(パネル吊り上げ装置)
パネル吊り上げ装置80は、二つの居住用ユニット1A,1Bを連結する際に二つの居住用ユニット1A,1Bに跨って設置され、連結手段50を構成する各連結パネル51,52,53を吊り上げて移動させるための装置である。
このようなパネル吊り上げ装置80は、
図51~
図54に示すように、複数本の柱81と、複数の頭つなぎ部材82と、一対のハンガーレール83と、滑車84と、単管パイプ85と、パイプトロリー86と、チェーンブロック87と、吊りワイヤー88と、を備える。
【0205】
柱81は、断面C型の鋼材によって構成されており、スリット状に開放された面が、連結部50Jとは反対側を向くように配置されている。
このような柱81は、本実施形態においては、片方の居住用ユニット1A(1B)に4本ずつ用いられている。これら複数本の柱81は、居住用ユニット1A,1Bの屋根Rfを構成する屋根用木質パネル5の連結部50Jにおける側縁部に立設され、当該側縁部に沿って互いに間隔を空けて配置されている。
また、二つの居住用ユニット1A,1Bのそれぞれに設けられた4本の柱81は、連結部50Jを跨いでX方向に並んでいる。
【0206】
柱81の下端部には、板状のベース部81aが一体的に設けられている。
ベース部81aには、ボルトBtが通される円孔(図示省略)が形成されており、ボルトBtを、屋根用木質パネル5の中空部に設けられたナットにねじ込むことで、柱81を屋根用木質パネル5の上面に立設できるようになっている。
なお、屋根用木質パネル5の側縁部には、外装材5aが設けられており、屋根用木質パネル5の上面には、外装材5aの上面板部の上に被さるようにして塩ビ防水シート5bが貼り付けられている。そのため、柱81が立設される屋根用木質パネル5の側縁部には、外装材5aの上面板部によって段差が生じることとなる。そこで、ベース部81aの下面には、エプトシーラーからなる緩衝材81bが設けられており、上面板部による段差を吸収できるようになっている。
【0207】
頭つなぎ部材82は、一方の居住用ユニット1Aに設けられた柱81の上端部と、他方の居住用ユニット1Bに設けられた柱81の上端部との間に架け渡されて設けられ、これら柱81同士を繋いでいる。
この頭つなぎ部材82は、断面C型の鋼材によって構成されており、スリット状に開放された面が上向きに配置される。ここで、柱81の上端面には、図示しない天板が溶接されており、頭つなぎ部材82は、当該天板にボルト固定できるようになっている。
【0208】
一対のハンガーレール83は、居住用ユニット1A,1Bの長さ方向に沿って長尺な断面C型の鋼材によって構成されており、スリット状に開放された面が下向きになるように配置されている。そして、内部空間を利用して滑車84が走行可能となっている。
また、ハンガーレール83の長さ方向両端部は、居住用ユニット1A,1Bにおける長さ方向両端部よりも外側に突出しており、壁用連結パネル51を、居住用ユニット1A,1Bの外側まで移動できるようになっている。
このようなハンガーレール83は、居住用ユニット1A,1Bに設けられた各4本の柱81の上端部における連結部50J側面に架け渡されて固定されている。
なお、ハンガーレール83の長さ方向両端部には、滑車84が外れることを防止する外れ止め83aが設けられている。外れ止め83aは、ハンガーレール83に対してボルト固定されている。もしくは、図示はしないが、外れ止め83aに替えて、ハンガーレール83の長さ方向両端部に設けられるボルトBtそのものを、滑車84の外れ止めとして利用してもよい。
また、ハンガーレール83は、居住用ユニット1A,1Bの長さ方向に沿って長尺であるため、半分の長さのものを繋げて一本のハンガーレール83としてもよい。その場合、滑車84の走行性能が落ちないように、ジョイント部分には外側からホルダー部材(図示省略)が用いられる。
【0209】
滑車84は、
図53に示すように、ハンガーレール83の内部空間を走行する複数の本体滑車84aと、これら本体滑車84aを回転自在に保持する滑車保持部84bと、滑車保持部84bに設けられて吊り下げられる吊り下げロッド84cと、吊り下げロッド84cの下端部にナットNtを介して接続されたロープ吊り下げ部84dと、を備える。
さらに、吊り下げロッド84cには、アングル状に形成されたパイプ連結部84eが設けられ、このパイプ連結部84eには、単管パイプ85の端部を保持するパイプ保持部84fが設けられている。
滑車84は、ハンガーレール83の長さ方向の端部から挿入されて、その後、外れ止め83aがハンガーレール83に設けられる。
【0210】
吊り下げロッド84cの少なくとも下端部と、ロープ吊り下げ部84dの上端部には雄ネジが形成されており、それぞれがナットNtにねじ込まれている。
また、ロープ吊り下げ部84dの下端部には、ロープRpが引っ掛けられるリング部が設けられている。
なお、ロープRpは、下方から滑車84の操作を行うために設けられており、両方のロープRpを引っ張ることで、両方の滑車84を、一対のハンガーレール83に沿って移動させることができる。
【0211】
アングル状に形成されたパイプ連結部84eは、ハンガーレール83の下方に位置し、吊り下げロッド84cが貫通して設けられる下側板部と、この下側板部の連結部50J側端部から上方に伸びる垂直板部と、からなる。
このパイプ連結部84eの垂直板部における連結部50J側面に、円筒状に形成されたパイプ保持部84fが一体的に設けられている。
なお、パイプ連結部84eの下側板部は、吊り下げロッド84cに設けられた二つのナットNtによって上下から挟まれて固定されている。すなわち、吊り下げロッド84cは、下端部だけでなく、パイプ連結部84eの取付位置にも雄ネジが形成されている。
【0212】
単管パイプ85は、長さ方向一端部が、一方の居住用ユニット1Aにおける滑車84の円筒状のパイプ保持部84fに差し込まれ、長さ方向他端部が、他方の居住用ユニット1Bにおける滑車84の円筒状のパイプ保持部84fに差しまれている。すなわち、単管パイプ85は、一対のハンガーレール83間に架け渡された状態となっている。
【0213】
パイプトロリー86は、単管パイプ85の上側に接する複数の車輪86aと、これら複数の車輪86aを保持する本体部86bと、本体部86bの下端部に設けられてチェーンブロック87が引っ掛けられる吊り下げ部86cと、を有する。
吊り下げ部86cは、本実施形態においては、リング状に形成されておい、チェーンブロック87の上端部設けられたフックが引っ掛けられている。
【0214】
吊りワイヤー88は、本実施形態においては2点吊りワイヤーが用いられており、チェーンブロック87のフックに引っ掛けられる。
吊りワイヤーの先端(下端)に設けられたフックは、各連結パネル51,52,53に取り付け可能なアイボルト89に引っ掛けられる。
アイボルト89は、雄ネジ部が、各連結パネル51,52,53の表面に形成された円孔から差し込まれ、当該円孔の奥(パネル内部)に設けられたナットNtにねじ込まれるようになっている(ナットNtの端部が露出していてもよい。)。
なお、ナットNtは、各連結パネル51,52,53における框材A,Bや補助桟材Cにビス固定可能な板材に溶接されることで各連結パネル51,52,53の内部に設けられている。
【0215】
以上のようなパネル吊り上げ装置80の組み立ては、現場においては溶接を行う必要がなく、すべてボルトBtによる連結・固定で可能となっている。
【0216】
〔居住用ユニットの連結方法について〕
二つの居住用ユニット1A,1Bを連結する場合は、まず、二つの居住用ユニット1A,1Bの位置合わせを行う。位置合わせ作業は、上記の位置合わせ治具やレベル調整システムによって行われる。
このような位置合わせ作業が行われることで、二つの居住用ユニット1A,1Bは、連結部50J側の面(複数の連結パネル51,52,53が設けられた面)が、平行かつ離間するように隣り合って並べられることになる。
【0217】
二つの居住用ユニット1A,1Bを、位置ずれを極力なくした状態で配置した後は、各隙間閉塞部材60及び隅部用隙間閉塞部材61や各連結膜材65,66、内装用の各仕上げ材70,74,75等の使用部材及び必要工具を準備し、パネル吊り上げ装置80の組み立て・設置作業を行う。
なお、居住用ユニット1A,1Bの屋根Rf上に上がる際は、二つの居住用ユニット1A,1Bうちいずれか一方の外壁Owに設けられた梯子Ld(
図1参照)を利用する。
【0218】
パネル吊り上げ装置80を組み立て設置した後は、
図54に示すようにして各連結パネル51,52,53を吊り上げて移動させ、これら各連結パネル51,52,53によって二つの居住用ユニット1A,1Bを連結する。
【0219】
図55~
図59は、各連結パネル51,52,53による連結の施工手順を模式的に示している。
なお、各連結パネル51,52,53のうち、連結前に、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける下段に設けられている各床用連結パネル5301~5312は、パネル吊り上げ装置80によって上方に吊り上げるわけではないが、急な脱落を防止するために、パネル吊り上げ装置80によって支えておくことが望ましい。
【0220】
まずは、
図55に示すように、複数の床用連結パネル53のうち、第七床用連結パネル5307から第十二床用連結パネル5312を、図示しない仮柱から取り外し、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける床用支持部56のパネル受けアングル57間に架け渡す。この時、各床用連結パネル5307~5312は、下端部を軸にして上端部を下方に回転させ、横になった状態で一対の居住用ユニット1A,1B間に架け渡される。
取り外す順番は、第七床用連結パネル5307から第十二床用連結パネル5312の順番とし、外装材53aが下向きとなるように倒して架け渡していく。
なお、第一連結膜材65は、各床用連結パネル5307~5312よりも下方に位置するため、これら各床用連結パネル5307~5312を一つ一つ順に架け渡すのに合わせて、第一連結膜材65の膜材本体65aを、両側の側膜材65bに徐々に連結していくようにする。すなわち、膜材本体65aを両側の側膜材65bに連結した後に、床用連結パネル53を一つ設置する、という手順を繰り返す。
【0221】
続いて、
図56に示すように、複数の床用連結パネル53のうち、第一床用連結パネル5301から第六床用連結パネル5306を、図示しない仮柱から取り外し、第七床用連結パネル5307から第十二床用連結パネル5312の上に置いていく。この時、各床用連結パネル5301~5306は、下端部を軸にして上端部を下方に回転させ、横になった状態で第七床用連結パネル5307から第十二床用連結パネル5312の上に置かれる。
取り外す順番は、第一床用連結パネル5301から第六床用連結パネル5306の順番とし、外装材53aが下向きとなるように倒して架け渡していく。
そして、アングル取付金物59に取り付けたパネル留めアングル58を、第一床用連結パネル5301から第六床用連結パネル5306にボルト留めして、これら第一床用連結パネル5301から第六床用連結パネル5306の位置を固定する。
【0222】
続いて、
図57に示すように、複数の壁用連結パネル51のうち、第四壁用連結パネル5104から第六壁用連結パネル5106を、パネル吊り上げ装置80によって吊り上げつつ、図示しない仮柱から取り外し、床の上に仮置きする。取り外す順番は、第六壁用連結パネル5106から第四壁用連結パネル5104の順番とする。
【0223】
そして、
図58に示すように、第四壁用連結パネル5104から第六壁用連結パネル5106を、パネル吊り上げ装置80によって吊り上げ、非牽引側の壁用支持部54に取り付けていく。なお、取り付ける順番は、下から順に、第四壁用連結パネル5104、第五壁用連結パネル5105、第六壁用連結パネル5106とする。
この時、壁用連結パネル5104~5106は、居住用ユニット1Aから取り外された後、面方向に90度回転させた状態で一対の居住用ユニット1A,1B間に架け渡された状態となっている。回転させるタイミングは、床の上に仮置きする時でもよいし、パネル吊り上げ装置80によって吊り上げた後でもよい。
【0224】
続いて、
図59に示すように、第一壁用連結パネル5101から第三壁用連結パネル5103を、パネル吊り上げ装置80によって吊り上げ、牽引側の壁用支持部54に取り付けていく。なお、取り付ける順番は、下から順に、第一壁用連結パネル5101、第二壁用連結パネル5102、第三壁用連結パネル5103とする。
なお、第一壁用連結パネル5101から第三壁用連結パネル5103も、第四壁用連結パネル5104から第六壁用連結パネル5106と同様に、取り外してから床の上に仮置きする。その時の取り外す順番は、第三壁用連結パネル5103から第一壁用連結パネル5101の順番とする。
また、これらの壁用連結パネル5101~5103も、壁用連結パネル5104~5106と同様に、居住用ユニット1Aから取り外された後、面方向に90度回転させた状態で一対の居住用ユニット1A,1B間に架け渡される。
【0225】
その後、複数の屋根用連結パネル5201~5206を、図示しない仮柱から取り外してパネル吊り上げ装置80によって吊り上げ、二つの居住用ユニット1A,1Bにおける屋根用支持部55のパネル受け板部55b間に架け渡す。この時、複数の屋根用連結パネル5201~5206は、居住用ユニット1Bから取り外した後、上端部を軸にして下端部を上方に回転させ、横になった状態で一対の居住用ユニット1A,1B間に架け渡される。
取り外す順番は、第六屋根用連結パネル5206から第一屋根用連結パネル5201の順番とし、外装材52aが上向きとなるようにする。
なお、これら複数の屋根用連結パネル5201~5206の取り付けは、第一屋根用連結パネル5201から第六屋根用連結パネル5206の順番で行う。そのため、取り外した各屋根用連結パネル52は、パネル吊り上げ装置80によって吊り上げられ、屋根Rf上に、重ね置きしない状態で仮置きされる。
【0226】
図60は、各連結パネル51,52,53によって二つの居住用ユニット1A,1Bが連結された状態を示している。
このような状態となった後は、屋外側では、上下のL型役物63,64の取り付け作業や、パネル吊り上げ装置80の撤去作業を行う。
居住スペースS側では、隙間閉塞部材60及び隅部用隙間閉塞部材61によって隙間Gp2,Gp3を閉塞する作業や、第二連結膜材66を張る作業、必要箇所に断熱材を充填する作業、内装用の各仕上げ材70,74,75を取り付ける作業等を行っていく。
【0227】
なお、パネル吊り上げ装置80による各連結パネル51,52,53の吊り上げ作業を行う場合は、居住用ユニット1A,1Bにおける屋根Rfの上に登るが、本実施形態において説明した連結部50Jの施工に係る作業の多くは、居住スペースS側から行うことができるようになっている。
【0228】
〔本実施形態の効果について〕
本実施形態によれば、部屋には、複数の仕上げ材6c,16(床面材6c、内装仕上げ材16)のうち、一の仕上げ材6c,16が設けられた位置に配置された第一設備(分電盤40)と、複数の仕上げ材6c,16のうち、他の仕上げ材6c,16が設けられた位置に配置された第二設備(フロアコンセント41、壁コンセント44)と、中空層に配置されて第一設備と第二設備とを接続する線材(電源線40a、電源線41a、電源線44a、接続ケーブル42)と、が設けられており、線材40a,41a,44a,42は、複数のコネクタ43(第一コネクタ43a、第二コネクタ43b)を備え、当該複数のコネクタ43のそれぞれの位置で、一方側と他方側に分離可能に構成され、それぞれのコネクタ43は、少なくとも、一の仕上げ材6c,16の裏側における中空層と、他の仕上げ材6c,16の裏側における中空層に配置されているので、第一設備又は第二設備にメンテナンス等が必要となった場合は、一の仕上げ材6c,16又は他の仕上げ材6c,16だけを取り払って作業を行うことができる。さらに、第一設備又は第二設備の交換や撤去等の作業も、一の仕上げ材6c,16又は他の仕上げ材6c,16だけを取り払ってコネクタ43の位置で線材40a,41a,44a,42を分離するだけで済むことになる。これにより、メンテナンス必要箇所の仕上げ材6c,16だけを取り払い、メンテナンス必要箇所以外の仕上げ材6c,16を取り払う作業が発生しないので、従来に比してメンテナンス作業を行いやすくすることができる。
【0229】
また、複数の仕上げ材6c,16(床面材6c、内装仕上げ材16)は、下地枠に対して着脱自在に設けられているので、メンテナンス必要箇所における仕上げ材6c,16を容易に取り外し、作業が完了すれば容易に取り付けることができる。これにより、従来に比してメンテナンス作業を行いやすくなる。
【0230】
また、第一設備(分電盤40)と第二設備(フロアコンセント41、壁コンセント44)は、中空層内に設けられるか、もしくは、仕上げ材6c,16(床面材6c、内装仕上げ材16)の表面に露出して設けられるので、第一設備と第二設備が、中空層内に設けられていても、もしくは、仕上げ材6c,16の表面に露出して設けられていても、従来に比してメンテナンス作業を行いやすくすることができる。
【0231】
また、第一設備(分電盤40)に接続された第一線材40aと、第二設備(フロアコンセント41、壁コンセント44)に接続された第二線材41a,44aは、コネクタ43によって接続用線材42を介さずに接続可能となっているので、第一設備の位置と第二設備の位置を近づけることができる。すなわち、単に仕上げ材6c,16(床面材6c、内装仕上げ材16)を取り払ってメンテナンス等を行うだけでなく、第一設備又は第二設備の移動作業にも対応が可能となっている。
【0232】
また、床仕上げ材6c(床面材6c)が設けられた位置に配置された第一設備(分電盤40)と、壁仕上げ材16(内装仕上げ材16)が設けられた位置に配置された第二設備(壁コンセント44)と、を接続する線材(電源線40a、電源線44a、接続ケーブル42)は、床仕上げ材6cの裏側における中空層から壁仕上げ材16の裏側における中空層にかけて設けられた中空状のガイド配管45に通され、コネクタ43は、ガイド配管45の一端部及び他端部の付近に配置されているので、床仕上げ材6cと壁仕上げ材16のうち、どちらを取り外してもコネクタ43がある状態となり、第一設備又は第二設備のメンテナンス作業を行うことができる。また、メンテナンス作業に応じて線材42をガイド配管45か引き抜いても、線材42をガイド配管45に再度通せば容易に再配線することができる。
【符号の説明】
【0233】
1,1A,1B 居住用ユニット
2 ユニット本体
3 コーナー柱
3a 外装材
4 壁用木質パネル
4´ 幅広な壁用木質パネル
4a 外装材
4b 太陽電池モジュール
5 屋根用木質パネル
5S サブ屋根用木質パネル
5a 外装材
6 床構造
6c 床面材
7 目地
8 目地
9 目地
10 保持フレーム
10a 縦保持フレーム
11 支持レール
12 上縁突出部
12a 耐水シート
13 縦目板
14 サッシ用縦目板
15 ハット型ジョイナー
16 内装仕上げ材
17a 端部用床部
17b 玄関用床部
20 柱
21 長辺天井梁
22 短辺天井梁
23 長辺床梁
24 短辺床梁
25 ダイヤフラム
26 第一取付金物
27 第二取付金物
28 屋根用取付金物
30 熱電発電モジュール
31a 第一ダクト
31b 第二ダクト
32 集熱ファン
33 電動ダンパ
33a 可動蓋
34 CO2デマンド換気扇
34a 排気ファン
34b CO2センサー
35 パネルヒーター
36 潜熱蓄熱材
37 補助電源
38 制御装置
40 分電盤
41 フロアコンセント
42 接続ケーブル
43 コネクタ
44 壁コンセント
50 連結手段
50J 連結部
51 壁用連結パネル
51a 外装材
51b 張出部
52 屋根用連結パネル
52a 外装材
52b 張出部
53 床用連結パネル
53a 外装材
53b 張出部
54 壁用支持部
55 屋根用支持部
56 床用支持部
57 パネル受けアングル
58 パネル留めアングル
59 アングル取付金物
60 隙間閉塞部材
61 隙間閉塞部材
62 押さえアングル
63 上側L型役物
64 下側L型役物
65 第一連結膜材
65a 膜材本体
65b 側膜材
65c 防水ファスナー
66 第二連結膜材
66a 膜材本体
66b 側膜材
66c 防水ファスナー
70 連結用内装仕上げ材
71 連結用断熱パネル
72 隙間用断熱材
73 被取付金物
74 連結用天井仕上げ材
75 連結用床仕上げ材
80 パネル吊り上げ装置
81 柱
82 頭つなぎ部材
83 ハンガーレール
84 滑車
85 単管パイプ
86 パイプトロリー
87 チェーンブロック
88 吊りワイヤー
140 架台
150 表示装置
151 電源・コントローラボックス
151a 電源
152 電動ジャッキ
153 傾斜センサー
154 メイン画面
154b 手動操作ボタン
155 サイド画面
155b 上自動操作ボタン
155e 下自動操作ボタン
155f オフセットボタン
S 居住スペース
Ow 外壁
Rf 屋根
ACL 空気流通層
W 窓
Dr ドア
A 縦框材
B 横框材
C,C1~C4 補助桟材
D 面材(内側面材)
E 面材(外側面材)
F 断熱材
Sn 太陽
Bt ボルト
Nt ナット
Bh 長孔
Gp1 第一隙間
Gp2 第二隙間
Gp3 第三隙間