(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】化合物
(51)【国際特許分類】
C07K 7/62 20060101AFI20230915BHJP
A61K 38/08 20190101ALI20230915BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230915BHJP
C12P 21/04 20060101ALI20230915BHJP
C12N 9/56 20060101ALN20230915BHJP
【FI】
C07K7/62
A61K38/08
A61P31/04
C12P21/04
C12N9/56
(21)【出願番号】P 2017528156
(86)(22)【出願日】2015-11-26
(86)【国際出願番号】 EP2015077821
(87)【国際公開番号】W WO2016083531
(87)【国際公開日】2016-06-02
【審査請求日】2018-11-26
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-24
(32)【優先日】2014-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2015-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519429495
【氏名又は名称】スペロ・セラピューティクス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,パメラ
(72)【発明者】
【氏名】ドーソン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】シモノビック,モナ
(72)【発明者】
【氏名】ボークス,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】デュパーチー,エスター
(72)【発明者】
【氏名】スタンウェイ,スティーブン・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,アントワネット
(72)【発明者】
【氏名】モス,スティーヴン・フレデリック
【合議体】
【審判長】上條 肇
【審判官】福井 悟
【審判官】牧野 晃久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/072695(WO,A1)
【文献】ACS Chemical Biology,2014,Vol.9,pp.1172-1177
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I):
【化1】
[式中:
-Tは、R
T-X-であり;
-A
2-は、トレオニン及びセリンから選択されるアミノ酸であり;
-A
3-は、以下の式:
【化2】
によって表されるアミノ酸残基であり;
ここにおいて、星印は、-A
2-への接続の点であり、そして-R
3は、一つのアミノ又は一つのヒドロキシル置換基を有するC
1-6アルキルであり;
-X-は、-C(O)-、-NHC(O)-、-OC(O)-、-CH
2-又は-SO
2-であり;
-R
Tは、以下の式:
【化3】
[式中:
-R
Aは、水素又は、-L
A-R
AAであり;
-Q-は、共有結合又は-CH(R
B)-であり;
-R
Bは、水素又は-L
B-R
BB基であり;
或いは、-Q-が-CH(R
B)-である場合、-R
A及び-R
Bは一緒に、5ないし10員の単環式又は二環式の炭素環を形成するか、或いは-R
A及び-R
Bは一緒に、5ないし10員の単環式又は二環式の複素環を形成し;
そして、-Q-が共有結合である場合、-R
Aは、-L
A-R
AAであり、そして-Q-が-CH(R
B)-である場合、一つ又は両方の-R
A及び-R
Bは水素ではなく;
-R
16は、独立に水素又はC
1-4アルキルであり;
-R
17は、独立に水素又はC
1-4アルキルであり;
或いは、-NR
16R
17は、グアニジン基であり;
或いは、-R
17及び-R
Aは一緒に、5ないし10員の窒素含有の単環式又は二環式の複素環を形成し;
或いは、-Q-が-CH(R
B)-である場合、-R
17及び-R
Bは一緒に、5ないし10員の窒素含有の単環式又は二環式の複素環を形成し;
そして-R
17及び-R
Aが、一緒に単環式の窒素含有複素環を形成する場合、-R
17及び-R
A中のそれぞれの環の炭素原子は、-R
Cで所望により一又は二置換され、そして単環式の複素環は、存在する場合、-R
C、-R
N、-R
NA及び-L
B-R
BBから選択される少なくとも一つの基で置換され、
そして-R
17及び-R
Bが、一緒に単環式の窒素含有複素環を形成する場合、-R
17及び-R
B中のそれぞれの環の炭素原子は、-R
Cで所望により一又は二置換され、そして単環式の複素環は、存在する場合、-R
C、及び-R
Nから選択される少なくとも一つの基で置換され、又は単環式の複素環は、-R
Aが-L
A-R
AAである場合、所望により置換され、
そして単環式の窒素含有複素環が、一つの更なる窒素、酸素又は硫黄の環の原子を所望により含有し、そしてここで、更なる窒素の環の原子が存在する場合、これは、-X-基に対してαである炭素に接続する更なる窒素の環の原子を除き、-R
Nで所望により置換され、この窒素の環の原子は、-R
NAで所望により置換され;
-R
17及び-R
A又は-R
17及び-R
Bが、一緒に、二環式の窒素含有複素環を形成する場合、-R
17及び-R
A又は-R
17及び-R
Bが中のそれぞれの環の炭素原子は、-R
Dで所望により一又は二置換され;
そして二環式の窒素含有複素環は、一つ、二つ又は三つの更なる異種元素を所望により含有し、ここで、それぞれの異種原子は、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立に選択され、そしてここで、更なる窒素の環の原子が存在する場合、それぞれの更なる窒素の環の原子は、-X-基に対してαである炭素に接続する窒素の環の原子を除き、-R
Nで所望により置換され、この窒素の環の原子は-R
NAで所望により置換され;
-R
A及び-R
Bが一緒に、5ないし6員の単環式の炭素環又は複素環を形成する場合、-R
A及び-R
B中のそれぞれの環の炭素原子は、-R
Cで所望により一又は二置換され、そして窒素の環の原子は、単環式の複素環中に存在する場合、-X-基に対してαである炭素に接続する窒素の環の原子を除き、-R
Nで所望により置換され、この窒素の環の原子は-R
NAで所望により置換され;
-R
A及び-R
Bが一緒に、5ないし10員の二環式の炭素環又は複素環を形成する場合、-R
A及び-R
B中のそれぞれの環の炭素原子は、-R
Dで所望により一又は二置換され、そして窒素の環の原子は、二環式の複素環中に存在する場合、-X-基に対してαである炭素に接続する窒素の環の原子を除き、-R
Nで所望により置換され、この窒素の環の原子は-R
NAで所望により置換され;
そして-R
17及び-R
A又は-R
17及び-R
Bが、一緒に、5ないし10員の窒素含有単環式又は二環式の炭素環を形成するか、或いは-R
A及び-R
Bが一緒に、5ないし10員の単環式又は二環式の炭素環を形成するか、或いは一緒に、5ないし10員の単環式又は二環式の複素環を形成する場合、-R
17及び-R
A、-R
17及び-R
B又は-R
A及び-R
B中の炭素の環の原子は、オキソ(=O)で、所望により、別に置換され;
それぞれの-R
Cは、独立に-L
C-R
CCであり;
それぞれの-R
Dは、-R
C、ハロ、-NO
2、-OH、及び-NH
2から独立に選択され;
それぞれの-R
Nは、独立に-L
N-R
NNであり;
それぞれの-R
NAは、独立に-R
L-R
NN又は-R
NNであり;
-R
AA、-R
BB、並びにそれぞれの-R
CC及び-R
NNは、存在する場合、C
1-12アルキル、C
3-10シクロアルキル、C
4-10ヘテロシクリル、及びC
5-12アリールから独立に選択され;
それぞれの-L
A-は、独立に共有結合又は、-R
L-
*、-O-L
AA-
*、-OC(O)-L
AA-
*、-N(R
11)-L
AA-
*、及び-C(O)-L
AA-
*から選択される連結基であり、ここで、星印は、-L
A-基の-R
AAへの接続の点を示し;
それぞれの-L
B-及び-L
C-は、独立に共有結合、又は-R
L-
*、-O-L
AA-
*、-OC(O)-L
AA-
*、-N(R
11)-L
AA-
*、-N(R
11)C(O)-L
AA-
*、-C(O)-L
AA-
*、-C(O)O-L
AA-
*、及び-C(O)N(R
11)-L
AA-
*から選択される連結基であり、そして-N(R
11)S(O)-L
AA-
*、-N(R
11)S(O)
2-L
AA-
*、-S(O)N(R
11)-L
AA-
*、及び-S(O)
2N(R
11)-L
AA-
*から更に所望により選択され、ここで、星印は、-L
B-基のR
BBへの、又は-L
C-基の-R
CCへの接続の点を示し;
それぞれの-L
N-は、独立に共有結合、又は-S(O)-L
AA-
*、-S(O)
2-L
AA-
*、-C(O)-L
AA-
*及び-C(O)N(R
11)-L
AA-
*から選択される基であり、ここで、星印は、-L
N-基の-R
NNへの接続の点を示し;
そしてそれぞれの-L
AA-は、独立に共有結合又は-R
L-であり;
そしてそれぞれの-R
L-は、C
1-12アルキレン、C
2-12ヘテロアルキレン、C
3-10シクロアルキレン及びC
5-10ヘテロシクリレンから独立に選択され、そしてここで、-L
AA-がC
1-12アルキル基に接続している場合、-R
L-は、C
1-12アルキレンではなく;
そして、-R
Tにおいて、-それぞれのC
1-12アルキル、C
3-10シクロアルキル、C
4-10ヘテロシクリル、C
5-10アリール、C
1-12アルキレン、C
2-12ヘテロアルキレン、C
3-10シクロアルキレン及びC
5-10ヘテロシクリレン基は、所望により置換され、ここで、炭素原子は所望により-R
Sによって置換され、そして、窒素原子は所望により-R
12によって置換され;
それぞれの-R
Sは、-R
12がC
1-12アルキル基に対する置換基ではないことを除き、-OH、-OR
12、-OC(O)R
12、ハロ、-R
12、-NHR
12、-NR
12R
13、-NHC(O)R
12、-N(R
12)C(O)R
12、-SH、-SR
12、-C(O)R
12、-C(O)OH、-C(O)OR
12、-C(O)NH
2、-C(O)NHR
12及びC(O)NR
12R
13から独立に選択され;或いは炭素原子が-R
Sで二置換されている場合、これらの基は、これらが接続している炭素と一緒にC
3-6炭素環又はC
5-6複素環を形成することができ、ここで、炭素環及び複素環は、一つ又はそれより多い-R
12基で所望により置換され;
それぞれの-R
12は、独立にC
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、フェニル又はベンジルであり;
それぞれの-R
13は、独立にC
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、フェニル又はベンジルであり;
或いは、-R
12及び-R
13は、Nに接続している場合、一緒に5又は6員の複素環を形成し、これは、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、フェニル又はベンジルで所望により置換され;
それぞれの-R
11は、独立に水素又はC
1-4アルキルである;]
のアミノ含有基であり、
-R
6は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にアミノ酸残基であり;
-R
7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にアミノ酸残基であり;
そして-R
6は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、フェニルアラニン、ロイシン又はバリン残基ではなく、及び/又は-R
7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、ロイシン、イソ-ロイシン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン又はノル-バリン残基ではなく;
R
10は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にトレオニン又はロイシン残基である;]
の化合物及びこれらの塩、溶媒和物、保護された形態。
【請求項2】
-R
6が、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、フェニルアラニン、ロイシン又はバリン残基ではない、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
-R
7が、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、ロイシン、イソ-ロイシン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン又はノル-バリン残基ではない、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
-R
6が、C
1-12アルキル、C
0-12アルキル(C
3-10シクロアルキル)、C
0-12アルキル(C
3-10ヘテロシクリル)又はC
0-12アルキル(C
5-10アリール)であり、ここで、C
1-12アルキル、C
3-10シクロアルキル基 C
3-10ヘテロシクリル基、及びC
5-10カルボアリール基は、所望により置換されている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
(i)-R
6が、所望により置換されたC
1-12アルキルである;、又は、
(ii)-R
6が、C
5-10カルボアリール基が所望により置換されているC
0-12アルキル(C
5-10アリール)である、例えば、ここで、C
5-10アリール基がフェニルであり、そしてフェニル基が非置換である;又は、
(iii)-R
6が、C
3-10シクロアルキル基が所望により置換されているC
0-12アルキル(C
3-10シクロアルキル)である、
請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
-R
6が、非置換のC
1-12アルキルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
-R
7が、非置換のC
1-12アルキルである、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
-R
6が、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にロイシン残基である、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
-R
7が、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に2-アミノ酪酸(Abu)残基である、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
(i)-A
2-が、L-トレオニン又はL-セリン、例えば、L-トレオニンである;及び/又は
(ii)-R
10が、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、トレオニン残基、例えばL-トレオニンである;及び/又は
(iii)-X-が、-C(O)-である、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
-R
3が、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、α,γ-ジアミノ酪酸(Dab)又はα,β-ジアミノプロピオン酸(Dap)、例えばL-Dab又はL-Dapである、例えば、L-Dapである、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
(i)-Q-が-CH(R
B)-であり、-R
Bが-L
B-R
BB基であり、-L
B-が共有結合であり、そして、-R
BB基がC
3-12アルキルである;並びに/あるいは
(ii)-R
Aが水素である、
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
-R
6が、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にロイシン残基であり、そして、
-R
7が、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、ロイシン、イソ-ロイシン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン又はノル-バリン残基ではない、
請求項1に記載に化合物。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれか1項に記載の化合物を含んでなる医薬組成物。
【請求項15】
治療又は予防のための方法において使用するための、
請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
微生物感染を治療するための方法において使用するための、
請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
微生物感染が、細菌感染である、例えば、グラム陰性細菌感染である、
請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
グラム陰性細菌感染が、大腸菌菌種、肺炎桿菌菌種、エンテロバクター菌種、サルモネラ菌種、赤痢菌菌種、シトロバクター菌種、Morganella morganii、Yersinia pseudotuberculosis及び他の腸内細菌科、シュードモナス菌種、アシネトバクター菌種、Moraxella、Helicobacter、Stenotrophomonas、Bdellovibrio、酢酸バクテリア、Legionella及びアルファ-プロテオバクテリアからなる群から選択される、
請求項17に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願
本出願は、2014年11月26日(26.11.2014)に出願されたGB1421020.7及び2015年9月10日(10.09.2015)に出願されたGB1516059.1に関連し、これらの両方の内容は、本明細書中に参考文献としてその全てが援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、新規なポリミキシン化合物、化合物の組合せ、化合物を含んでなる医薬組成物、及び治療、例えば微生物、特にグラム陰性細菌による感染の治療のための化合物、医薬組成物及び組合せの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
感受性の個体において、ある種のグラム陰性細菌、例えばEscherichia coli、Klebsiella pneumoniae、Pseudomonas aeruginosa及びAcinetobacter baumaniiは、重度の感染、例えば肺炎、尿道感染、皮膚及び皮膚構造感染、例えば創傷感染、耳感染、眼感染、腹腔内感染、消化管中の細菌の異常増殖及び菌血症/敗血症を起こすことができる。臨床治療における重度の細菌感染の治療は、抗生物質耐性によって複雑化されることができる。近年、広い治療範囲の抗生物質、例えばアミノグリコシド、セファロスポリン、そして更にカルバペネムを含む多くの種類の抗細菌剤に対して耐性であるグラム陰性細菌による感染の増加が観察されている。従って、グラム陰性細菌、特に多剤耐性グラム陰性細菌に対して有効である新しい抗細菌剤を特定する必要性が存在する。
【0004】
ポリミキシンは、グラム陽性細菌のBacillus polymyxaによって産生される抗生物質の一群である。1940年代後期に最初に特定されたポリミキシン、特にポリミキシンB及びポリミキシンE(コリスチン、通常そのプロドラッグのコリスチンメタンスルホン酸塩として)は、グラム陰性感染の治療に使用された。然しながら、これらの抗生物質は、副作用、例えば神経毒性及び腎毒性を示した。それにもかかわらず、ポリミキシンは、実現性のある代替物の欠如のために、今やMDRグラム陰性感染の治療において重要な役割を演じている。然しながら、治療におけるその使用は、治療の最後の手段に限られている。
【0005】
WO2008/017734は、少なくとも二つの、しかし三つより多くない正電荷を保持するポリミキシン誘導体を提供することによってこの毒性の問題に取り組むことを試みている。これらの化合物は、減少した腎毒性を持つ有効な抗細菌剤であると言われている。減少した正電荷の数は、単離されたラットの腎組織に対する化合物の親和性を減少し、これが次に腎毒性の減少に導くことができることが開示中で仮説とされている。
【0006】
シュードモナス菌に対して良好な活性を保持する一方、マウスにおいて減少した急性の毒性を持つある種の脱脂肪酸アシル(des-fatty acyl)ポリミキシン誘導体が更に開示されている(Katsuma et al.Chem.Pharm.Bull.2009;57,332-336;Sato et al.Chem.Pharm.Bull.2011;59,597-602)。化合物は、E.coli及びK.pneumoniaeに対して、ポリミキシンBより有意に少ない活性であった。
【0007】
WO2010/075416は、CB182,804を含む尿素結合アリールポリミキシンデカペプチドを提供し、これは、ポリミキシンBと比較して、類似の活性を有するが、しかし減少した腎毒性を有することが報告されている。フェニルシクロプロパンポリミキシン誘導体が更に米国特許第8,415,307号中に記載されている。これらの化合物は、ポリミキシンBと比較して類似の又は減少した活性を有することが示されている。
【0008】
WO2012/168820は、ポリミキシンBと比較して減少した毒性を有し、そして時には向上した活性を有することが報告されている更なる一連のポリミキシン誘導体を提供し、ここにおいて、トリペプチド側鎖中の3位におけるジアミノ酪酸基は、ジアミノプロピオン酸部分によって置換されている。
【0009】
WO2015/149131及びVelkov等は、修飾されたポリミキシン化合物を記載している。典型的には、これらの化合物は、ポリミキシンデカペプチドのN末端に、例えばオクタノイル又はノナノイル基を含む脂肪酸アシル基を保持する。
【0010】
標的病原体を通る一貫して強力な活性及び受容可能な毒性を伴う治療用製剤を提供する少ない毒性のポリミキシン誘導体に対する必要性が残る。
本発明人等は、そのそれぞれの内容が本明細書中にその全てが援用されるWO2013/072695、TW101142961及びGCC2012/22819中に、微生物感染の治療において使用するためのポリミキシン化合物を、以前に記載している。
【0011】
本発明人等は、更に、その両方の内容が本明細書中にその全てが援用されるWO2014/188178及びWO2015/135976中で、微生物感染の治療において使用するための別のポリミキシン化合物を記載している。特に、WO2014/188178は、ポリミキシンデカペプチド及びノナペプチドのN末端に対する修飾を記載している。WO2015/135976は、ポリミキシンノナペプチドのN末端に対する修飾を記載している。
【0012】
驚くべきことに、本発明人等は、ポリミキシン又はコリスチンと比較して減少した毒性を有し、そしてポリミキシンB及び/又はポリミキシンEに対して減少した感受性を伴う細菌系を含むグラム陰性細菌に対して特に活性でるある種のポリミキシン誘導体を見出した。従って、これらの薬剤は、一貫した強力な活性の治療的選択肢を、しかし現時点で入手可能な治療剤より低い毒性で提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】国際特許出願公開WO2008/017734;
【文献】WO2010/075416;
【文献】米国特許第8,415,307号;
【文献】WO2012/168820;
【文献】WO2015/149131;
【文献】WO2013/072695;
【文献】TW101142961;
【文献】GCC2012/22819;
【文献】WO2014/188178;
【文献】WO2015/135976。
【非特許文献】
【0014】
【文献】Katsuma et al.Chem.Pharm.Bull.2009;57,332-336;
【文献】Sato et al.Chem.Pharm.Bull.2011;59,597-602。
【発明の概要】
【0015】
一般的な側面において、本発明は、本明細書中に記載されるような式(I)又は式(II)のポリミキシン化合物、及び治療又は予防の方法における、そして所望により第2の薬剤(これは、活性剤と呼ぶことができる)との組合せにおけるその使用を提供する。式(I)又は式(II)の化合物は、微生物感染、例えばグラム陰性細菌感染を治療するために使用することができる。
【0016】
本発明の第1の側面において、式(I)の化合物、及び医薬的に受容可能な塩並びにこれらの溶媒和物が提供される。式(I)の化合物は、以下の式:
【0017】
【0018】
のように表され、式中:
-Tは、RT-X-であり;
-A1-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A2-は、トレオニン及びセリン、例えばL-トレオニン及びL-セリンから選択されるアミノ酸残基であり;
-A3-は、以下の式:
【0019】
【0020】
によって表されるアミノ酸残基であり;
ここで、星印は、-A2-への接続の点であり、そして-R3は、一つのアミノ又は一つのヒドロキシル置換基を有するC1-6アルキル、例えばC1-4アルキルであり;
-X-は、-C(O)-、-NHC(O)-、-OC(O)-、-CH2-又は-SO2-であり;
-RTは、ヒドロキシル及び/又はアミノ官能基を含有する末端基であり、そして-A1-が非存在である場合、RT-X-は、遊離α-アミノ基(-NH2)を有するα-アミノ酸残基ではなく、例えばここで、アミノ酸は、Ala、Ser、Thr、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Tyr、Trp、His、Lys、Arg、α,γ-ジアミノ酪酸(Dab)及びα,β-ジアミノプロピオン酸(Dap)からなる群から選択され;
-R6は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、アミノ酸残基であり;
-R7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、アミノ酸残基であり;
そして-R6は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、フェニルアラニン、ロイシン又はバリン残基ではなく、及び/又は-R7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にロイシン、イソ-ロイシン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン又はノル-バリン残基ではなく;
R10は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、トレオニン又はロイシン残基である;
前記化合物及びこれらの塩、溶媒和物、保護された形態及び/又はプロドラッグである。
【0021】
一つの態様において、6位のアミノ酸は、もう一つのアミノ酸で置換されている。
一つの態様において、7位のアミノ酸は、もう一つのアミノ酸で置換されている。
一つの態様において、-A1-が非存在である場合、RT-X-は、α-アミノ酸残基ではなく、そして特に遊離α-アミノ基(-NH2)を有するα-アミノ酸残基ではない。
【0022】
一つの態様において、-A1-が非存在である場合、RT-X-は、Ala、Ser、Thr、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Tyr、Trp、His、Lys、Arg、α,γ-ジアミノ酪酸(Dab)及びα,β-ジアミノプロピオン酸(Dap)からなる群から選択されるα-アミノ酸残基ではなく、ここで、α-アミノ酸は遊離α-アミノ基(-NH2)を有する。
【0023】
本発明の第2の側面において、式(II)の化合物、及びこれらの医薬的に受容可能な塩及び溶媒和物が提供される。式(II)の化合物は、以下の式:
【0024】
【0025】
[式中:
-TAは、水素、C1-4アルキル、又はRN-X-であり;
-A1-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A2-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A3-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-X-は、-C(O)-、-NHC(O)-、-OC(O)-、-CH2-又は-SO2-であり;
-RNは、末端基、例えば本明細書中に記載されるとおりの-RT基であり;
-R6Aは、C1-12アルキル、C0-12アルキル(C3-10シクロアルキル)、C0-12アルキル(C3-10ヘテロシクリル)又はC0-12アルキル(C5-10アリール)であり、ここで、C1-12アルキル、C3-10シクロアルキル基 C3-10ヘテロシクリル基、及びC5-10アリール基は、所望により置換され、そして所望による置換基は、本明細書中に記載されるとおりであり、そして、但し、-R6Aは、ベンジル、イソ-ブチル、イソ-プロピルではなく、そして所望により、-R6Aは、メチル、フェニル、4-ヒドロキシフェニル、(1H-インドール-3-イル)メチル、4-フェニルフェン-1-イルメチル、-(CH2)7CH3、4-(OBn)-フェン-1-イルメチル又は-CH2S(CH2)5CH3ではないことを条件とし;
-R7Aは、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にアミノ酸残基であり;
R10は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にトレオニン又はロイシン残基である;]
のように表される、前記化合物、及びこれらの塩、溶媒和物、保護された形態及び/又はプロドラッグの形態である。
【0026】
本発明の第3の側面において、本発明は、式(I)又は式(II)の化合物及び生物学的に受容可能な賦形剤を、所望により第2の活性剤と一緒に含んでなる医薬組成物を提供する。
【0027】
第4の側面において、治療の方法において使用するための、式(I)又は式(II)の化合物、或いは式(I)又は式(II)の化合物を含んでなる医薬組成物が提供される。
本発明は、更に、微生物感染、例えばグラム陰性細菌感染を治療する方法において使用するための、式(I)又は式(II)の化合物、或いは式(I)又は式(II)の化合物を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0028】
本発明は、更に、治療のために有用な組合せを特定する方法を提供し、この方法は、式(I)又は(II)の化合物の、生物学的に活性な化合物との組合せを試験し、そして組合せの生物学的効力を、例えば単独の生物学的に活性な化合物及び/又は式(I)又は(II)の化合物との比較により決定することを含んでなる。
【0029】
別の側面において、式(I)及び(II)の化合物は、真菌感染の治療における使用のために、例えば抗真菌剤と一緒の組合せにおいて適している。
本発明の更なる側面において、治療又は予防の方法において活性剤との組合せで使用するための、式(I)又は式(II)のポリミキシン化合物が提供される。
【0030】
更に提供されるものは、式(I)及び式(II)の化合物を調製するための方法である。
本発明の一つの側面において、以下の式(IV):
【0031】
【0032】
[式中:
-TAは、水素、C1-4アルキル又はRN-X-であり;
-A1-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A2-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A3-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-X-は、-C(O)-、-NHC(O)-、-OC(O)-、-CH2-又は-SO2-であり;
-RNは、末端基、例えば本明細書中で記載されるとおりの-RT基であり;
-R6は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にアミノ酸残基であり;
-R7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にアミノ酸残基であり;
そして-R6又は-R7の一つは、ハロアリール基、例えばハロフェニル基、例えばブロモフェニル基を含んでなり;
R10は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にアミノ酸残基である;]
の化合物、及びこれらの塩、溶媒和物、及び/又は保護された形態が提供される。
【0033】
一つの態様において、-R6及び-R7の一つは、ベンジル基を含んでなり、ここで、フェニルは、ハロで置換、例えば一置換されている。
一つの態様において、-R6及び-R7の一つは、ハロアリール基を含んでなる。
【0034】
一つの態様において、-R6及び-R7の一つは、ブロモアリール基を含んでなる。
本発明の他の側面は、本明細書中で詳細に考察される。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、医学的治療における使用のための、特に第2の薬剤との組合せにおける式(I)及び式(II)の化合物を提供する。
大まかに言えば、式(I)及び式(II)の化合物は、ポリペプチド核内にアミノ酸置換を保持するポリミキシン化合物である。ポリミキシン化合物のN末端は、所望により修飾されている。
【0036】
式(I)の化合物において、6位のアミノ酸及び/又は7位のアミノ酸は、もう一つのアミノ酸で置換されている。従って、6位及び/又は7位のアミノ酸残基は、ポリミキシンB又はコリスチン中に存在するアミノ酸残基ではない。式(II)の化合物において、6位のアミノ酸は、もう一つのアミノ酸で置換され、そして所望により、7位のアミノ酸も更に置換されている。従って、6位の、そして所望により7位のアミノ酸残基は、ポリミキシンB又はコリスチン中に存在するアミノ酸残基ではない。
【0037】
化合物(I)及び(II)の両方において、1、2、3、及び10位の一つ又はそれより多くにおけるアミノ酸は、所望によりもう一つのアミノ酸で置換されている。従って、1、2、3、及び10位のアミノ酸残基は、ポリミキシンB又はコリスチン中に存在するアミノ酸残基ではないことができる。1、2、及び3位のアミノ酸は、所望により削除することができる。
【0038】
式(I)の化合物は、修飾されたN末端を有するポリミキシン化合物である。例えば、化合物は、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基及び/又は一つ、二つ又は三つのアミノ基を含有するN末端基を有する。更に、又は別に、N末端基は、窒素含有ヘテロシクリル(又はヘテロシクリレン)基及び/又は窒素含有ヘテロアルキレン基を有する。N末端基は、置換されたアルキル基であるか、或いは所望により置換されたアリール、シクロアルキル又はヘテロシクリル基であるか、或いはこれらを含むことができる。末端基内のヒドロキシル基又は塩基性アミノ基の存在は、以下で考察されるように特別な利益を伴う。
【0039】
式(II)の化合物は、N末端が所望により修飾された化合物である。N末端が修飾された場合、末端基は、既知のポリミキシン系列の化合物、例えばポリミキシンB及びコリスチン、並びに当技術において報告されている他のポリミキシン化合物、例えばWO2012/168820、WO2013/072695及びWO2015/135976中に記載されたポリミキシン誘導体内に見出される脂肪酸基を含むことができる。
【0040】
式(II)の化合物内のN末端基は、存在する場合、式(I)の化合物内のN末端基と同じであることができる。
式(I)及び(II)の化合物は、一つ又はそれより多いE.coli、P.aeruginosa、K.pneumonia、又はA.baumannii細菌株に対して、ポリミキシンB又はコリスチンと比較して匹敵する又は改善された生物学的活性を有することができる。このような化合物は、当技術において以前に記載されているポリミキシン型化合物に対する有用な代替物である。
【0041】
更に、本発明人等は、式(I)及び式(II)のそれぞれの化合物が、広い範囲の細菌に対して活性であることを見出している。対照的に、当技術において従来記載されている化合物は、変化する特性の生物学的活性を有する。
【0042】
当技術におけるポリミキシン化合物又はポリミキシン誘導体の幾つかは、不良な毒性の特性を有することが知られるか、又は疑われている。例えば、N末端に脂肪酸アシル鎖を有する化合物、例えばポリミキシンB及びコリスチンの使用は、腎毒性を伴う。従って、別のN末端基の使用は、従って毒性を減少することができる。従って、式(I)の化合物は、ヒドロキシル及び/又はアミノ官能基を含み、本発明人等が示したこれらは、毒性の減少、特に腎毒性の減少を伴う。
【0043】
Vaara等(Antimicrob.Agents Chemother.2008,52,3229)は、ポリミキシン化合物の薬理学的及び毒性の特性は、ポリミキシンのポリペプチド配列に対する変化により変更することができることを示唆している。特に、Vaara等は、三つの正電荷のみを有するポリミキシン化合物を調製しているが、一方、ポリミキシンBノナペプチドは、五つの正電荷を保持している。
【0044】
対照的に、本発明人等は、N末端へのポリミキシン化合物の適応が、腎毒性を減少することができることを示している。本明細書中に記載するように、N末端は、ヒドロキシル基又はアミノ基(これは、窒素含有複素環の形態であることができる)を含有する置換基を有する。
【0045】
更に、式(I)及び式(II)の化合物は、第2の抗細菌剤、例えばリファンピシンの抗細菌活性を増加することが可能であると信じられる。このような組合せは、例えば一つ又はそれより多いE.coli、P.aeruginosa、K.pneumonia、又はA.baumannii株に対して、第2の薬剤の、ポリミキシンB又はコリスチンとの組合せと比較して、匹敵する又は改善された生物学的活性を有することができる。例えば、式(I)及び式(II)の化合物は、一つ又はそれより多いE.coli、P.aeruginosa、K.pneumonia、又はA.baumannii株に対するポリミキシンB又はコリスチンと比較して匹敵する生物学的活性を有することができる。
【0046】
式(I)のポリミキシン化合物
式(I)の化合物は、ポリミキシンBの変種であり、そして更にポリミキシン系列の化合物のN末端誘導体である。式(I)の化合物の核は、ポリミキシン化合物の変種、例えばポリミキシンBデカペプチド、ノナペプチド(PMBN、ポリミキシン2-10)、オクタペプチド又はヘプタペプチドの変種であり、ここで、6位及び/又は7位のアミノ酸は、本明細書中に記載されるようにもう一つのアミノ酸で置換され、そして所望により1、2、3及び10位のアミノ酸残基は、もう一つのアミノ酸残基で置換される。所望により、1位のアミノ酸残基(-A1-)は、削除することができる。
【0047】
更に、本発明人等は、ポリミキシンナノペプチドのN末端に接続した基が、生物学的活性及び化合物の毒性の重要な決定因子であることを更に確証した。本発明人等は、ある種のN末端置換基を確認し、これは、ポリミキシンB又はコリスチンと比較して向上した活性を示し及び/又は少ない毒性を、例えばHK-2細胞に対して測定したように示す。活性は、N末端基内の特異的位置におけるアミノ官能基の存在に伴う。活性の更なる改良は、更にある種の置換基がN末端基中に存在し、そして末端基中のキラル中心が特異的立体化学を有する場合に見出される。
【0048】
N末端基に関する本出願人等の以前の作業は、本発明に対する有用な支援として本出願中に含まれる。本発明は、主としてポリミキシン核の6及び7位の新しい置換基に焦点を当てているが、変種のポリペプチド核を、本発明人等の以前の作業中に記載されている、例えばWO2013/072695、PCT/GB2014/051547(WO2014/188178として公開)及びGB1404301.2中に記載されている、そして最も特にPCT/GB2014/051547及びGB1404301.2中に記載されているN末端基の修飾と一緒に使用することができる。
【0049】
変種のポリペプチド核は、本発明人等の以前の作業、例えばGB1404301.2に対する優先権を主張するWO2015/135976中に記載されているN末端基の修飾と一緒に使用することができる。従って、WO2015/135976中に記載されている-R15基は、本発明の-RT基として使用することができる。
【0050】
ポリミキシン化合物のポリペプチド配列内の置換及び削除は、既知である。
例えば、ポリミキシンBの1位のDabアミノ酸残基の存在は、活性のために重要であるとは信じられず、そしてこのアミノ酸は、従来の技術中に記載されるポリミキシン誘導体からしばしば非存在である。例えば、1位のアミノ酸残基が非存在であるWO2008/017734及びWO2009/098357を参照されたい。同様に、Okimura等は、1位のアミノ酸残基を省略し、代わりに、2位のアミノ酸残基のN末端にアミノシクロヘキシルカルボニル置換基を提供している。
【0051】
本発明人等は、更に、1位のアミノ酸残基が非存在であり、そして2位のアミノ酸残基のN末端が修飾されているポリミキシンナノペプチドの形態を記載している。例えばWO2013/072695を参照されたい。
【0052】
WO2012/168820は、ポリミキシンBの3位の(S)-Dabアミノ酸残基の(S)-Dapによる置換を記載している。著者等は、この置換がヒト腎細胞における減少した細胞毒性及び例えばP.aeruginosa、K.pneumonia、及び/又はA.Baumanniiに対する改良された抗細菌活性を有する化合物を提供することを説明している。
【0053】
WO2012/168820は、ポリミキシンポリペプチド配列中の他の位置、例えば6位及び7位を修飾することができることを示唆している。
1、2及び3位におけるアミノ酸の置換及び削除も更に記載されている。WO2008/017734及びWO2009/098357中の作業は、1、2及び3位におけるアミノ酸残基の変化に伴う生物学的活性の変化を記載している。
【0054】
本発明は、式(I)の化合物及び治療の方法におけるこの化合物の使用を提供する。式(I)の化合物は、以下の式:
【0055】
【0056】
[式中:
-Tは、RT-X-であり;
-A1-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A2-は、トレオニン及びセリン、例えばL-トレオニン及びL-リシンから選択されるアミノ酸残基であり;
-A3-は、以下の式:
【0057】
【0058】
によって表されるアミノ酸残基であり;
ここにおいて、星印は、-A2-への接続の点であり、そして-R3は、C1-6、例えば一つのアミノ又は一つのヒドロキシル置換基を有するC1-4アルキルであり;
-X-は、-C(O)-、-NHC(O)-、-OC(O)-、-CH2-又は-SO2-であり;
-RT-は、ヒドロキシル及び/又はアミノ官能基を含有する末端基であり、そしてここで、-A1-は、非存在であり、RT-X-は、遊離α-アミノ基(-NH2)を有するα-アミノ酸残基ではなく、例えばここで、α-アミノ酸残基は、Ala、Ser、Thr、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Tyr、Trp、His、Lys、Arg、α,γ-ジアミノ酪酸(Dab)及びα,β-ジアミノプロピオン酸(Dap)からなる群から選択され;
-R6は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にアミノ酸残基であり;
-R7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にアミノ酸残基であり;
そして-R6は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、フェニルアラニン、ロイシン又はバリン残基ではなく、及び/又は-R7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、ロイシン、イソ-ロイシン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン又はノル-バリン残基ではなく;
R10は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にトレオニン又はロイシン残基である;]
のように表される、前記化合物、及びこれらの塩、溶媒和物、保護された形態及び/又はプロドラッグである。
【0059】
-R6及び-R7
一つの態様において、-R6は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、フェニルアラニン、ロイシン又はバリン残基である。この態様において、-R7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、ロイシン、イソ-ロイシン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン又はノル-バリン残基ではない。
【0060】
一つの態様において、-R6は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、フェニルアラニン、ロイシン又はバリン残基ではない。更に又は別に、-R6は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、アラニン、チロシン、トリプトファン又はフェニルグリシン残基ではない。
【0061】
従って、6位に存在するアミノ酸残基は、ポリミキシン核のその位置におけるアミノ酸残基に対する置換と考えることができる。
一つの態様において、-R7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、ロイシン、イソ-ロイシン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン又はノル-バリン残基である。一つの態様において、-R6は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、フェニルアラニン、ロイシン又はバリン残基ではない。
【0062】
一つの態様において、-R7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、アミノ酸残基が、ロイシン、イソ-ロイシン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン又はノルバリンではない限り、α-アミノ酸残基、例えばタンパク質構成性(proteinogenic)アミノ酸残基である。
【0063】
一つの態様において、-R6は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、アミノ酸残基が、フェニルアラニン、ロイシン又はバリン残基ではない限り、α-アミノ酸残基、例えばタンパク質構成性アミノ酸残基である。
【0064】
一つの態様において、-R6は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、Leu、OctGly、BipAla、Tyr、ノルバリン、及びノルロイシンからなる群から、そして例えばこれらのD-型から選択されるアミノ酸残基である。
【0065】
一つの態様において、-R7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、ロイシン、OctGly、BipAla、Cys(S-Hex及びCys(S-Bzl)からなる群から、そして例えばこれらのL-型から選択される、アミノ酸残基である(in)。更に、又は別に、-R7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、アラニン、トレオニン、セリン、バリン、2-アミノ酪酸(Abu)及び2-アミノイソ酪酸(Aib)からなる群から、そして例えばこれらのL型から選択される、アミノ酸残基である(in)。
【0066】
別の態様において、-R7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、アラニン、フェニルアラニン、トレオニン、セリン、バリン、2-アミノ酪酸(Abu)及び2-アミノイソ酪酸(Aib)からなる群から、そして例えばこれらのL型から選択される、アミノ酸残基である(in)。
【0067】
一つの態様において、-R7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、ロイシン残基、例えばL-ロイシンである。この態様において、7位のアミノ酸残基は、ポリミキシンBの7位のアミノ酸残基に対して言及したものでは置換されない。
【0068】
一つの態様において、6位又は7位のα-アミノ酸残基は、タンパク質構成性アミノ酸残基ではない。
一つの態様において、α-アミノ酸残基は、ヒドロキシル(-OH)又はアミノ(-NH)官能基を、その側鎖中に含有しない(即ち、-R6基は、ヒドロキシル基又はアミノ基を含有しない)。所望により、α-アミノ酸残基は、チオール(-SH)官能基をその側鎖に含有しない(即ち、-R6基は、チオール基を含有しない)。
【0069】
一つの態様において、6位のアミノ酸残基は、L-又はD-アミノ酸残基、例えばD-アミノ酸残基である。一つの態様において、7位のアミノ酸残基は、L-又はD-アミノ酸残基、例えばL-アミノ酸残基である。
【0070】
6位がD-アミノ酸残基を有し、そして7位がL-アミノ酸残基を有する場合、式(I)の化合物の構造は、以下の式:
【0071】
【0072】
である。
一つの態様において、式(I)の化合物は、上記に示したとおりの化合物である。
一つの態様において、 -R6基又は-R7基は、以下に定義するとおりの-R6A基である。
【0073】
例えば、一つの態様において、-R6及び/又は-R7は、C1-12アルキル、C0-12アルキル(C3-10シクロアルキル)、C0-12アルキル(C3-10ヘテロシクリル)又はC0-12アルキル(C5-10アリール)であり、ここで、C1-12アルキル、C3-10シクロアルキル基 C3-10ヘテロシクリル基、及びC5-10カルボアリール基は、所望により置換されている。
【0074】
一つの態様において、-R6基は、ベンジル、イソ-ブチル又はイソ-プロピルではない(6位の残基は、フェニルアラニン、ロイシン又はバリンであることはできない)。
一つの態様において、-R6基は、4-フェニルフェン-1-イルメチル又は-CH2S(CH2)5CH3ではない。
【0075】
C1-12アルキル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10ヘテロシクリル基、及びC5-10アリール基は、一つ又はそれより多い-RZ基で置換されていることができ、ここで、それぞれの-RZ基は、ハロ、所望により置換されたC1-12アルキル、所望により置換されたC2-12アルケニル、所望により置換されたC2-12アルキニル、所望により置換されたC3-10シクロアルキル、所望により置換されたC3-10ヘテロシクリル、所望により置換されたC5-12アリール、-CN、-NO2、-ORQ、-SRQ、-N(RW)C(O)RQ、-N(RQ)2、及び-C(O)N(RQ)2から選択され、
ここで、-RWは、H又はC1-4アルキルであり;そして
-RQは、H又は-RQ1であり、そして-RQ1は、所望により置換されたC1-12アルキル、C2-12アルケニル、C2-12アルキニル、及びC5-12アリールから選択され、
そして-N(RQ)2基において、-RQ基は、これが接続する窒素原子と一緒に、C5-6複素環を形成することができ、ここで、複素環は、所望により置換されるが、
但し、C1-12アルキルは、アルキル、アルケニル又はアルキニルで置換されないことを条件とする。
【0076】
一つの態様において、-R6及び/又は-R7は、所望により置換されたC1-12アルキルである。
一つの態様において、-R6及び/又は-R7は、所望により置換されたC1-12アルキルであり、ここで、C1-12アルキルは、ハロ、例えばフルオロ、所望により置換されたC3-10シクロアルキル、所望により置換されたC3-10ヘテロシクリル、所望により置換されたC5-12アリール、-CN、-NO2、-ORQ、-SRQ、-N(RW)C(O)RQ、-N(RQ)2、及び-C(O)N(RQ)2から選択される一つ又はそれより多い基で所望により置換されている。
【0077】
アルキル基は、典型的には、C1-12アルキル基、例えばC2-12アルキル、例えばC4-12アルキル、例えばC5-12アルキル、例えばC6-12アルキル、例えばC8-12アルキル、例えばC2-10アルキル、C4-10アルキル、C5-10アルキル及びC6-10アルキルである。
【0078】
更に又は別に、アルキル基は、C3-12アルキル、例えばC3-10アルキルであることができる。
アルキル基は、直鎖又は分枝鎖であることができる。
【0079】
アルキル基が置換されている場合、これは、一置換であることができる。置換基は、アルキル基の末端で提供することができる。
一つの態様において、-R6及び/又は-R7は、アルキルチオ又はアリールアルキルチオで置換されたC1-12アルキルである。
【0080】
この官能基を持つ7位のアミノ酸残基を含有する化合物は、Velkov等によって記載されている。
一つの態様において、-R6及び/又は-R7は、アルキルチオ、例えばC1-12アルキルチオで置換されたC1-12アルキルである。
【0081】
一つの態様において、アルキルチオは、C6アルキルチオである。
一つの態様において、-R6及び/又は-R7は、アリールアルキルチオ、例えばC5-12アリール-C1-12アルキルチオ、例えばフェニル-C1-12アルキルチオ、例えばフェニル-C1-12アルキルチオである。
【0082】
一つの態様において、アルキルチオは、ベンジルチオ(PhCH2S-)である。
一つの態様において、-R7は、C3又はC4アルキルである。
一つの態様において、-R7は、n-プロピルである。
【0083】
C0-12アルキル(C3-10シクロアルキル)、C0-12アルキル(C3-10ヘテロシクリル)及びC0-12アルキル(C5-10アリール)基中に存在するような、C0-12アルキル基は、C1-12アルキル基であることができる。ここで、アルキル基に対する言及は、アルキレンリンカーを指すと理解される。
【0084】
C0-12アルキル基は、C1-12アルキル、例えばC1-6アルキル.例えばC1-4アルキル、例えばC1-2アルキル、例えば-CH2-及び-CH2CH2-、例えば-CH2-であることができる。
【0085】
C0-12アルキル基は、C1-12アルキル、例えばC6-12アルキル、例えばC6-10アルキルであることができる。
C0-12アルキル基は、非存在であることができ、即ちC0-12アルキル基は、C0であることができる。
【0086】
一つの態様において、-R6及び/又は-R7は、C0-12アルキル(C3-10シクロアルキル)であり、ここで、C3-10シクロアルキルは、所望により置換されている。
【0087】
C3-10シクロアルキルは、C5-7シクロアルキル基、例えばC5-6シクロアルキル基であることができる。
一つの態様において、C3-10シクロアルキルは、シクロペンチル又はシクロヘキシル、例えばシクロヘキシルであることができる。
【0088】
シクロアルキル基は、所望により置換、例えば所望により一置換されていることができる。
シクロアルキル基がシクロヘキシルである場合、シクロヘキシルは、2位又は4位で、例えば4位で所望により置換されている。
【0089】
一つの態様において、-R6及び/又は-R7は、C1アルキル(C6シクロアルキル)である。ここで、-R6及び/又は-R7から、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に形成されるアミノ酸残基は、シクロヘキシルアラニンと呼ぶことができる。
【0090】
一つの態様において、-R7は、シクロヘキシル(C6シクロアルキル)である。ここで、-R7から、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、形成されるアミノ酸残基は、シクロヘキシルグリシンと呼ぶことができる。
【0091】
一つの態様において、-R6は、C1アルキル(C6シクロアルキル)である。
一つの態様において、-R7は、C1アルキル(C6シクロアルキル)である。
一つの態様において、-R6及び/又は-R7は、-(CH2)4-シクロヘキシルではない。
【0092】
一つの態様において、-R6及び/又は-R7は、-(C6H10)-Prではなく、例えばここで、-Pr基は直鎖プロピル基である。
一つの態様において、-R6及び/又は-R7は、C0-12アルキル(C5-10アリール)であり、ここで、C5-10アリールは、所望により置換されている。
【0093】
アリール基は、存在する場合、カルボアリール基であることが好ましい。本発明人等は、カルボアリールが、ヘテロアリール官能基と比較して増加した抗微生物効果を伴うことを見出している。
【0094】
一つの態様において、-R6及び/又は-R7は、置換されたC0-12アルキル(C5-10アリール)である。
一つの態様において、-R6及び/又は-R7は、置換されたベンジル(-CH2Ph)である。ベンジル基は、フェニル環上で、例えばフェニル環上のみで置換されていることができる。
【0095】
一つの態様において、-R6及び/又は-R7は、一置換されたベンジルである。
一つの態様において、-R6及び/又は-R7は、一置換されたベンジルであり、ここで、フェニル基は、2、3又は4位、例えば2又は4位、例えば4位で置換されている。
【0096】
上記で注目したように、C1-12アルキル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10ヘテロシクリル基、及びC5-10アリール基は、一つ又はそれより多い-RZ基で置換することができる。-RZの例は、所望により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール及びヘテロシクリル基を含む。
【0097】
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール及びヘテロシクリルのような基が、所望により置換されている場合、これらの基は、アルキル アルケニル、及びアルキニル基は、アルキル アルケニル、及びアルキニル基に対する置換基ではないことを除き、ハロ、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、及びアリールから選択される一つ又はそれより多い置換基を有することができる。
【0098】
所望による置換基は、-ORQ、-SRQ、-N(RW)C(O)RQ、-N(RQ)2、及び-C(O)N(RQ)2のような基を含むことができる。
一つの態様において、それぞれの-RQは、-RQ1である。従って、ヒドロキシル(-OH)及び第一アミノ官能基(-NH2)は存在しない。
【0099】
アリール基は、カルボアリール基、例えばC6-10カルボアリール、又はヘテロアリール基、例えばC5-10ヘテロアリールであることができる。
一つの態様において、アリールに対する言及は、フェニルに対する言及でもある。
【0100】
ハロアルキル基は、先に記載したような、一つ又はそれより多いハロ置換基を有するアルキル基である。ハロアルキル基は、ペルハロアルキル基であることができる。一つの態様において、ハロアルキル基は、-CF3である。
【0101】
アルケニル基は、典型的には、C2-12アルケニル、例えばC4-12アルケニル、例えばC5-12アルケニル、例えばC6-12アルケニル、例えばC2-10アルケニル、C4-10アルケニル、C5-10アルケニル及びC6-10アルケニルである。
【0102】
アルキニル基は、典型的には、C2-12アルキニル、例えばC4-12アルキニル、例えばC5-12アルキニル、例えばC6-12アルキニル、例えばC2-10アルキニル、C4-10アルキニル、C5-10アルキニル及びC6-10アルキニルである。
【0103】
アルキル、アルケニル又はアルキニル基は、直鎖又は分枝鎖基であることができる。
一つの態様において、アルキル、アルケニル又はアルキニル基は、非置換である。
シクロアルキル基は、典型的にはC3-10シクロアルキルであり、C5-7シクロアルキル基、例えばC5-6シクロアルキル基であることができる。
【0104】
一つの態様において、C3-10シクロアルキルは、シクロペンチル又はシクロヘキシル、例えばシクロヘキシルである。
-RZ基は、ハロ、例えばブロモであることができる。
【0105】
-RZ基は、アルキル、例えばC1-12アルキル、例えばC2-12アルキル、例えばC4-12アルキル、例えばC5-12アルキル、例えばC6-12アルキル、例えばC2-10アルキル、C4-10アルキル、C5-10アルキル及びC6-10アルキルであることができる。
【0106】
アルキル基は、直鎖又は分枝鎖アルキル基であることができる。
-RZ基は、アリール、例えばカルボアリール、例えばC6-10カルボアリール、又はヘテロアリール、例えばC5-10ヘテロアリールであることができる。-RZ基は、フェニルであることができる。アリール基は、一つ又はそれより多い、例えば一つの置換基で置換されていることができる。一つの態様において、アリール基は、ハロ、ハロアルキル、アルキル及びアリールで置換されている。
【0107】
一つの態様において、-R6及び/又は-R7は、ベンジルであり、ここで、フェニル基は、2位又は4位、例えば4位において、フェニルで置換されている(即ち、ビフェニル基を形成)。
【0108】
一つの態様において、-R6及び/又は-R7は、ベンジルであり、ここで、フェニル基は、2位又は4位、例えば4位において、アルキル、例えばC1-12アルキルで置換されている。
【0109】
一つの態様において、-R6及び/又は-R7は、ベンジルであり、ここで、フェニル基は、2、3位又は4位、例えば2又は4位、例えば4位において、ハロ、例えばブロモで置換されている。
【0110】
一つの態様において、-R6及び/又は-R7は、ベンジルであり、ここで、フェニル基は、2位又は4位、例えば4位においてシクロアルキル、例えばC6シクロアルキルで置換されている。
【0111】
一つの態様において、-R6及び/又は-R7は、4-ヒドロキシフェニルメチルではない(即ち、-R6は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、チロシン残基ではない)。
【0112】
上記の解説は、6位又は7位のαアミノ酸残基が、-R6及び-H、又は-R7及び-Hで置換されたα炭素原子を有する化合物を指す。-Hは、更に、6位及び/又は7位の二置換されたαアミノ酸残基を提供する置換のための部位であることもできる。
【0113】
別の態様において、6位及び/又は7位のαアミノ酸残基内のα炭素原子は、二置換され、ここで、それぞれの置換基は、本明細書中に記載されるとおりの-R6又は-R7基である。
【0114】
別の態様において、6位及び/又は7位のαアミノ酸残基内のα炭素原子は、二置換され、ここで、それぞれの置換基は、適宜に-R6又は-R7基であり、ここで、-R6基は、これらが接続するα炭素原子と一緒に、C4-6炭素環又はC5-6複素環を形成することができ、及び/又は-R7基は、これが接続するα炭素原子と一緒に、C4-6炭素環又はC5-6複素環を形成することができ、ここにおいて、炭素環及び複素環は、先に記載したように、一つ又はそれより多い-RZ基で所望により置換されている。炭素環は、本明細書中に記載されるようなシクロアルキル基である。複素環は、本明細書中に記載されるようなヘテロシクリル基である。
【0115】
複素環が存在する場合、ヘテロシクリル基の異種原子は、β位には提供されない(即ち、異種原子はα炭素に結合されない)。
複素環は、N、O及びSから選択される異種原子を含有し、そして更なる異種原子を所望により含有する。Nに対する言及は、複素環内の-NH-基に対する言及でもあり、そしてSに対する言及は、-S-、-S(O)-又は-S(O)2でもある。
【0116】
一つの態様において、-R6及び/又は-R7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、α-炭素に対するgem二置換であるピペリジン側鎖を有するアミノである。従って、α-炭素は、ピペリジン環の環の原子である。これは、Dabの環状類似体である。
【0117】
-R10
-R10の位置は、ポリミキシン化合物のアミノ酸位置10に対応する。
一つの態様において、-R10は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、トレオニン残基、例えばL-トレオニンである。
【0118】
-A1-、-A2-及び-A3-
一つの態様において、-A1-は、非存在であり、そして-A2-及び-A3-は存在する。このような化合物は、ノナペプチドと呼ぶことができる。ポリミキシンB及びEのノナペプチドの形態は、当技術において公知である。
【0119】
一つの態様において、-A1-、-A2-及び-A3-は存在する。このような化合物は、デカペプチドと呼ぶことができ、そして例えば、ポリミキシンB、E及びMの脱アシル化デカペプチドの形態に基づく。ポリミキシンB、E及びMの脱アシル化形態は、当技術において公知である。別のデカペプチドは、ノナペプチド又はヘプタペプチドから、アミノ酸/類のノナペプチド又はヘプタペプチドのN末端への適当なカップリングによって調製することができる。脱アシル化形態のポリミキシンMが、Cubist(WO2010/075416及びUS8,415,307を参照されたい)によるポリミキシンAに対して報告されたものと同一であるように見受けられるものであることは注目される。
【0120】
本発明の化合物が、ポリミキシンB、E及びM、並びにこれらの脱アシル化形態と、少なくとも、6位及び/又は7位のアミノ酸残基が、ポリミキシンB、E及びM中に存在するアミノ酸残基と異なっているという理由のために異なっていることは注目される。
【0121】
本発明の化合物、例えば式(I)の化合物は、更に、N末端基の性質においてポリミキシンB、E及びMと異なっていることができる。ポリミキシンB、E及びMは、N末端に脂肪酸(脂肪酸アシル)基を有する。対照的に、式(I)の化合物は、ヒドロキシル及び/又はアミノ官能基を伴う末端基を有する。
【0122】
-A1-基は、α-アミノ酸であることができる。
α-アミノ酸に対する言及は、タンパク質構成性(“天然の”)α-アミノ酸を、所望により他のα-アミノ酸と一緒に含む。
【0123】
タンパク質構成性ではないα-アミノ酸の例は、翻訳後修飾又は他の手段によって産生されたアミノ酸である。例は、Dab、Dap、Dgp(α,β-ジグアニジノプロパノイル)、オルニチン及びノル-バリンを含む
更に含まれるものは、α-炭素に対するgem二置換であるピペリジン側鎖を有するアミノである。従って、α-炭素は、ピペリジン環の環の原子である。これは、Dabの環状類似体である。
【0124】
一つの態様において、-A1-は、アミノ酸残基である。
一つの態様において、-A1-は、α-アミノ酸残基である。
一つの態様において、-A1-は、これらのL-及びD-型を含む、Lys、Arg、Dap、Ser、Thr、Ile、Tyr、His、Phe、Pro、Trp、Leu、Ala、Dab、Dap、Dgp(α,β-ジグアニジノプロパノイル)、オルニチン及びノルバリンからなる群から選択されるアミノ酸である。
【0125】
一つの態様において、-A1-は、これらのL-及びD-型を含む、Dab、Pro、Dap、Gly、Ser、His、Phe、Arg、Tyr、及びLeuからなる群から選択されるアミノ酸である。
【0126】
一つの態様において、-A1-は、Dα-アミノ酸である。
一つの態様において、-A1-は、Lα-アミノ酸である。
一つの態様において、-A1-は、β-アミノ酸である。
【0127】
-A1-がアミノ酸である本発明の化合物は、脱アシル化形態から、N末端の適当な誘導体化により調製することができる。
一つの態様において、-A1-は、これらのL-及びD-型を含む、Lys、Arg、Dap、Ser、Phe、Trp、Leu、Ala、Dab、Dap、オルニチン又はノル-バリンから選択される。
【0128】
一つの態様において、-A1-は、Thr、Ser、Lys、Dab又はDap、例えばL-Thr、L-Ser、L-Lys、L-Dab又はL-Dapから選択される。
一つの態様において、-A1-は、Dab、例えばL-Dabである。
【0129】
別の態様において、-A1-がアミノ酸である場合、これは、Dabではなく、例えばこれはL-Dabではない。
一つの態様において、-A2-は、トレオニン及びセリン、例えばL-トレオニン及びL-セリンから選択されるアミノ酸残基である。
【0130】
一つの態様において、-A3-は、以下の式:
【0131】
【0132】
によって表されるアミノ酸残基であり、
ここで、星印は、-A2-への接続の点であり、そして-R3は、C1-6アルキル、例えば一つのアミノ又は一つのヒドロキシル置換基を有するC1-4アルキルである。アミノ酸残基は、L-型であることができる。
【0133】
一つの態様において、-R3は、一つのアミノ置換基を有する。
一つの態様において、-R3は、一つのヒドロキシル置換基を有する。
アミノ基は、-NH2、-NHMe又は-NHEtであることができる。一つの態様において、アミノ基は-NH2である。
【0134】
一つの態様において、-R3は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、α,γ-ジアミノ酪酸(Dab)、セリン残基、トレオニン残基、リシン残基、オルニチン残基、又はα,β-ジアミノプロピオン酸(Dap)である。
【0135】
一つの態様において、-R3は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、α,γ-ジアミノ酪酸(Dab)、セリン残基、リシン残基、又はα,β-ジアミノプロピオン酸(Dap)である。
【0136】
一つの態様において、-R3は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、α,γ-ジアミノ酪酸(Dab)又はα,β-ジアミノプロピオン酸(Dap)、例えばL-Dab又はL-Dapである。
【0137】
一つの態様において、-R3は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、α,γ-ジアミノ酪酸(Dab)又はα,β-ジアミノプロピオン酸(Dap)、例えばL-Dab又はL-Dapである。
【0138】
一つの態様において、-R3は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、リシン残基、例えばL-Lysである。
一つの態様において、-R3は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、Dab、例えばL-Dabである。
【0139】
-R3がDab側鎖である本発明の化合物は、ポリミキシンBのような化合物から得ることができる。-R3がDap側鎖である化合物は、WO2012/168820中に記載される方法を使用して調製することができる。-R3がセリン側鎖である化合物は、Vaara等(例えば、Antimicrob.Agents Chemother.2008,52,3229を参照されたい)によって記載される方法を使用して調製することができる。
【0140】
-X-
-X-基は、-NHC(O)-、-C(O)-、-OC(O)-、-CH2-及び-SO2-から選択することができる。
【0141】
一つの態様において、-X-基は、-C(O)-、-SO2-及び-CH2-から選択される。
一つの態様において、-X-基は、-C(O)-である。
【0142】
一つの態様において、-X-基は、-SO2-である。
一つの態様において、-X-基は、-CH2-である。
-X-基の右手側は、アミノ酸残基、例えば-A1-、-A2-又は-A3-のアミノ末端のNHへの接続の点である。-X-基の左手側は、-RT(又は式(II)の化合物に対して-RN)のような基への接続の点である。
【0143】
-RT
RT基は、-X-と一緒に、-ポリミキシンのN末端修飾である。-RT基は、ヒドロキシル及び/又はアミノ官能基を含有する。
【0144】
一つの態様において、RT-X-は、α-アミノ酸残基ではなく、そして具体的には、RT-X-は、遊離アミンのN末端、即ち、アミノ酸残基のα炭素に接続する-NH2基を有するα-アミノ酸残基ではない。例えば、RT-X-は、-A1-が非存在である場合、α-アミノ酸残基ではない。一つの態様において、RT-X-は、-A1-が存在する場合、α-アミノ酸残基ではない。アミノ酸は、Ala、Ser、Thr、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Tyr、Trp、His、Lys、Arg、α,γ-ジアミノ酪酸(Dab)及びα,β-ジアミノプロピオン酸(Dap)からなる群から選択することができる。
【0145】
-RT基は、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル、-OH基を含有することができる。
-RT基は、一つ、二つ又は三つのアミノ、-NRARB基を含有することができ、ここで、それぞれの-RAは、独立に水素又はC1-4アルキルであり、それぞれの-RBは、独立に水素又はC1-4アルキルであり、或いは-NRARBは、グアニジン基である。
【0146】
-RT基は、一つ、二つ又は三つのアミノ基を含有することができ、ここで、このようなアミノ基は、窒素含有複素環、例えばアゼチジン、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル又はモルホリニル、或いは窒素含有ヘテロアルキル基内に存在する。
【0147】
-RT基は、ヒドロキシル及びアミノ官能基の両方を含有することができる。
一つの態様において、-RTは、例えば-X-が-C(O)-である場合、アミノ置換シクロヘキシルではない。
【0148】
式(I)の化合物は、ポリミキシンBの脱アシル化版(デアシルポリミキシンB-DAPB)、D、E(デアシルコリスチン-DAC)又はM、或いはサーキュリンAを包含しない。式(I)の化合物は、ポリミキシンBのノナペプチド版(PMBN)、D、E又はM、或いはサーキュリンAを包含しない。
【0149】
一つの態様において、RT-X-は、α-アミノ酸残基ではない。α-アミノ酸残基は、-X-が-C(O)-であり、そして-RTが、-X-基に対してαである炭素原子に対する置換基として-NRARB基(例えば-NH2)を有する基である。
【0150】
α-アミノ酸に対する言及は、所望により他のα-アミノ酸と一緒に、タンパク質構成性(“天然の”)α-アミノ酸に対する言及でもある。
タンパク質構成性ではないα-アミノ酸の例は、翻訳後修飾又は他の手段によって産生されたアミノ酸である。例は、Dab、Dap、Dgp(α,β-ジグアニジノプロパノイル)、オルニチン及びノル-バリンを含む。
【0151】
一つの態様において、RT-X-は、Thr、Ser、α,γ-ジアミノ酪酸(Dab)又はα,β-ジアミノプロピオン酸(Dap)ではない。
一つの態様において、例えば、式(I)の化合物の核がポリミキシンBである場合、RT-X-は、Lys、Arg、Dap、Ser、Phe、Trp、Leu又はAla残基ではない。
【0152】
一つの態様において、RT-X-は、Lys、Arg、Dap、Ser、Phe、Trp、Leu、Ala、Glu、α,γ-ジアミノ酪酸(Dab)又はα,β-ジアミノプロピオン酸(Dap)残基ではない。
【0153】
一つの態様において、RT-X-は、Ala、Ser、Thr、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Tyr、Trp、His、Lys、Glu、又はArg残基ではない。
【0154】
一つの態様において、RT-X-は、Ala、Ser、Thr、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Tyr、Trp、His、Lys、Glu、Arg、α,γ-ジアミノ酪酸(Dab)又はα,β-ジアミノプロピオン酸(Dap)残基ではない。
【0155】
一つの態様において、RT-X-は、タンパク質構成性(“天然の”)α-アミノ酸残基或いはα,γ-ジアミノ酪酸(Dab)又はα,β-ジアミノプロピオン酸(Dap)残基ではない。
【0156】
上記のアミノ酸に対する言及は、L-又はD-型、例えばL-型に対する言及でもあることができる。
一つの態様において、-RTは、ジアミノフェニル、例えば-X-が-C(O)である場合、例えば3,5-ジアミノフェニルではない。
【0157】
-RTの例
本発明人等は、ポリミキシンノナペプチド化合物のN末端基の修飾、例えばPMBNのN末端修飾を以前に記載している。
【0158】
この作業は、その内容が本明細書中に参考文献としてその全てが援用される、WO2013/072695中に記載されている。
-RT基は、更に又は別に、その内容が本明細書中に参考文献としてその全てが援用される、PCT/GB2014/051547及び/又はGB1404301.2のN末端基から選択することができる。
【0159】
一つの態様において、-RT基は、WO2013/072695の末端基から選択される基ではない。
WO2013/072695の末端基
本発明の末端基-RTは、WO2013/072695中に記載されたとおりの-R5であることができる。
【0160】
従って、一つの態様において、そして例えば、-A1-が非存在である場合、-RTは、C0-12アルキル(C4-6窒素ヘテロシクリル)、或いはC2-12アルキル又はC0-12アルキル(C3-8シクロアルキル)からなる群から選択され、ここにおいて、アルキル又はシクロアルキルは、(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基;或いは(ii)一つの-NRARB基;或いは(iii)一つの-NRARB基及び一つ又は二つのヒドロキシル基を保有する。一つの態様において、-RTは、例えば-A1-が非存在である場合、このリストから選択される基ではない。
【0161】
C0-12アルキル基は、窒素ヘテロシクリル又はシクロアルキルを-X-に連結する、アルキレンスペーサーである。
スペーサーは、非存在であることができる(これはC0である)。
【0162】
C0-12アルキル基は、C0-6アルキル又はC0-4アルキル、或いはC1-12アルキル、例えばC1-6アルキル、例えばC1-4アルキルであることができる。アルキル基は、直鎖又は分枝鎖、例えば直鎖であることができる。
【0163】
一つの態様において、-RTは、C0-12アルキル(C4-6窒素ヘテロシクリル)である。
C4-6窒素ヘテロシクリルは、少なくとも一つの窒素の環の原子、例えば1又は2個の窒素の環の原子を含んでなる、例えば一つのみの窒素の環の原子並びに所望により酸素及び硫黄から選択される更なる環の異種原子を含有する、飽和の炭素環式環である。
【0164】
C4-6ヘテロシクリル基の例は、アゼチジン、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル及びモルホリニル、例えばアゼチジン、ピロリジニル及びピペリジニルを含む。
一つの態様において、ヘテロシクリルは、窒素を経由して分子の残りに連結される。用語“C4-6ヘテロシクリル”において、C4-6の表現は、炭素及び異種原子を含む環の原子の合計を表す。
【0165】
一つの態様において、-RTは、C2-12アルキル又はC0-12アルキル(C3-8シクロアルキル)であり、ここにおいて、アルキル又はシクロアルキルは、(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基;或いは(ii)一つの-NRARB基;或いは(iii)一つの-NRARB基及び一つ又は二つのヒドロキシル基を保有する。
【0166】
一つの態様において、-RTは、先に記載したように置換された、C2-12アルキルである。
C2-12アルキル基は、C3-12アルキル、C4-12アルキル、C5-12アルキル又はC6-12アルキルであることができる。
【0167】
一つの態様において、-RTは、先に記載したように置換された、C0-12アルキル(C3-8シクロアルキル)である。
C3-8シクロアルキル基は、C3-6シクロアルキル、例えばC5-6シクロアルキル、例えばC5シクロアルキル又はC6シクロアルキルであることができる。
【0168】
一つの態様において、-RTは、一つの置換基を保有する。
一つの態様において、-RTは、二つの置換基を保有する。
一つの態様において、-RTは、三つの置換基を保有する。
【0169】
一つの態様において、-RTは、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、例えば一つのヒドロキシル基を保有する。
一つの態様において、-RTは、一つのアミン基を、例えば一つのアミンを保有するC2-12アルキル、例えば一つのアミンを保有するC2-4アルキルを保有する。
【0170】
一つの態様において、-RTは、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、例えば一つのヒドロキシル基を保有する。
一つの態様において、-RTは、一つのアミン基、及び一つのヒドロキシル基を保有する。
【0171】
一つの態様において、-RTは、一つのアミン基、及び二つのヒドロキシル基を保有する。
-RTが一つ又はそれより多いヒドロキシルを保有する一つの態様において、アルキル鎖はC5-12である。
【0172】
一つの態様において、-RTは、一つより多いアミン基を保有しない。
一つの態様において、-RTは、一つより多い置換基を保有し、置換基は同じ炭素上に位置しない。
【0173】
一つの態様において、少なくとも一つの-RT置換基(例えば一つの置換基)は、直鎖アルキル又はアルキル分枝鎖、例えば直鎖アルキルの末端炭素上にある。本明細書中で使用されるような末端炭素は、これが置換基を保有しない場合、-CH3であるものである炭素を指すことを意図する。
【0174】
一つの態様において、-RT基は、先に記載したような基ではない。
-RA及び-RB
一つの態様において、-RAは、水素である。
【0175】
一つの態様において、-RAは、C1-4アルキル、例えばメチル、エチル又はプロピル、例えばメチルである。
一つの態様において、-RBは、水素である。
【0176】
一つの態様において、-RBは、C1-4アルキル、例えばメチル、エチル又はプロピル、例えばメチルである。
一つの態様において、-RBが水素、メチル又はエチルである場合、-RAは、エチルではない。
【0177】
一つの態様において、-RBが水素、メチル又はエチルである場合、-RAは、メチルではない。
一つの態様において、-RAは水素であり、そして-RBは、水素である。
【0178】
一つの態様において、-NRARBは、グアニジン基ではない。
PCT/GB2014/051547(WO2014/188178)の末端基
本発明人等は、修飾された末端基を有する更なる化合物が、生物学的活性を有することができることを確証している。これらの更なる化合物は、PCT/GB2014/051547(今はWO2014/188178として公開された)中に記載されている。これらの(there)末端基は、WO2013/072695中に記載されていない。
【0179】
本発明の末端基-RTは、PCT/GB2014/051547中の式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)、(IIf)及び(IIg)の化合物に対して記載されたような-R5基であることができる。
【0180】
従って、一つの態様において、-RTは、G-L2-L1-であり、そしてGは、C5-12アリールであり、
-L1-は、共有結合、C1-12アルキレン又はC2-12ヘテロアルキレンであり、
-L2-は、共有結合又はC4-10ヘテロシクリレンであり、
-RTは:
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの-NRARB基、又は
(iii)一つ又は二つの-NRARB、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
により置換されるが、
但し、-L1-が窒素含有C2-12ヘテロアルキレンであり、及び/又は-L2-が窒素含有C4-10ヘテロシクリレンである場合、(i)、(ii)及び(iii)は、所望による置換基であることを条件とし、
そしてアリール基は、所望により置換されている。
【0181】
一つの態様において、-RTは、G-L2-L1-基であり、そしてGは、C3-10シクロアルキルであり、
-L1-は、共有結合、C1-12アルキレン又はC2-12ヘテロアルキレンであり、
-L2-は、共有結合又はC4-12ヘテロシクリレンであるが、
但し、-L1-がC2-10ヘテロアルキレンである場合にのみ、-L2-は共有結合であることを条件とし、
-RTは:
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの-NRARB基、又は
(iii)一つ又は二つの-NRARB基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
により置換されるが、
但し、-L1-が窒素含有C2-12ヘテロアルキレンであり、及び/又は-L2-が窒素含有C4-10ヘテロシクリレンである場合、(i)、(ii)及び(iii)は、所望による置換基であることを条件とし、
そして所望によりシクロアルキル基は、独立に所望により置換されている。
【0182】
一つの態様において、-RTは、G-L2-L1-基であり、ここで、-Gは、C3-10シクロアルキル又はC2-12アルキルであり、
-L1-は、共有結合又はC1-12アルキレンであり、
-L2-は、共有結合であるが、
但し、-GがC2-12アルキルである場合、-L1-はC1-12アルキレンではないことを条件とし、
-RTは:
(i)二つ又は三つの-NRARB基、又は
(ii)二つの-NRARB基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
により置換され;
そしてアルキル又はシクロアルキル基は、独立に所望により置換されている。
【0183】
一つの態様において、-RTは、D-L1-であり、ここで、D-L1-は:
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの-NRARB基、又は
(iii)一つ又は二つの-NRARB基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
により置換され、
-Dは、C4-10ヘテロシクリルであり、
-L1-は、共有結合、C1-12アルキレン又はC2-12ヘテロアルキレンであるが、
但し、-L1-が窒素含有C2-12ヘテロアルキレンである場合、(i)、(ii)及び(iii)は、所望による置換基であることを条件とし、
そしてヘテロシクリル基は、独立に所望により置換されている。
【0184】
一つの態様において、-A1-、-A2-及び-A3-が存在する場合、-RTは、-RPである。
【0185】
一つの態様において、-A1-が非存在であり、そして-A2-及び-A3-が存在する場合、-RTは、-RPであるが、但し、-X-及び-RTは一緒に、L-α-アミノ酸残基ではなく、例えば-X-及び-RTは一緒に、L-Lys、L-Arg、L-Dap、L-Ser、L-Dab、L-Dgp(L-α,β-ジグアニジノプロパノイル)又はL-Abuではない。
【0186】
-RP基は、以下に記載されるとおりである。
アリール基が-RT中に存在する場合、これは、-C1-10アルキル、例えば-C1-4アルキル、ハロ、-CN、-NO2、-CF3、-NR10C(O)R10、-OCF3、-CON(R10)2、-COOR9、-OCOR10、-NR10COOR10、-OCON(R10)2、-NR10CON(R10)2、-OR9、-SR9、-NR10SO2R10、-SO2N(R10)2及び-SO2R10から選択される、独立に所望により置換された一つ又はそれより多い置換基であり、ここで、それぞれの-R9は、独立に-C1-10アルキル、例えば-C1-4アルキルであり、そしてそれぞれの-R10は、独立に-H又は-C1-10アルキル、例えば-C1-4アルキルである。
【0187】
アルキル、シクロアルキル、又はヘテロシクリル基が-RT中に存在する場合、これは、-C1-10アルキル、例えば-C1-4アルキル、ハロ、-CN、-NO2、-CF3、-C(O)R10、-NR10C(O)R10、-OCF3、-CON(R10)2、-COOR9、-OCOR10、-NR10COOR10、-OCON(R10)2、-NR10CON(R10)2、-OR9、-SR9、-NR10SO2R10、-SO2N(R10)2及び-SO2R10から選択される独立に所望により置換された一つ又はそれより多い置換基であり、ここで、それぞれの-R9は、独立に-C1-10アルキル、例えば-C1-4アルキルであり、そしてそれぞれの-R10は、独立に-H又は-C1-10アルキル、例えば-C1-4アルキルであるが、アルキルがアルキルで置換されないことを除く。
【0188】
-RP
-RPは、G-L2-L1-であり、ここで、
-Gは:
C2-12アルキル、
C5-12アリール、
C3-10シクロアルキル
から選択され、
-L1-は、共有結合、C1-12アルキレン又はC2-12ヘテロアルキレンであり、
-L2-は、共有結合又はC4-10ヘテロシクリレンであるが、
但し、-GがC2-12アルキルである場合、-L1-はC1-12アルキレンではないことを条件とし、
そしてG-L2-L1-は:
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの-NRARB基、又は
(iii)一つ又は二つの-NRARB基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
により置換されるが、
但し、-L1-が窒素含有C2-12ヘテロアルキレンであり、及び/又は-L2-が窒素含有C4-10ヘテロシクリレンである場合、(i)、(ii)及び(iii)は、所望による置換基であることを条件とし、
或いは-RPは、D-L1-であり、ここで、-Dは、C4-10ヘテロシクリルであり、そして-L1-は、先に定義したとおりであり、そしてD-L1-は:
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの-NRARB基、又は
(iii)一つ又は二つの-NRARB基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
により置換されるが、
但し、-L1-が窒素含有C2-12ヘテロアルキレンであり、及び/又は-Dが窒素含有C4-10ヘテロシクリルである場合、(i)、(ii)及び(iii)は、所望による置換基であることを条件とする。
【0189】
所望による置換基は、先に記載したとおりの所望による置換基であることができる。
一つの態様において、-X-及び-RPは一緒に、L-α-アミノ酸ではなく、例えば所望によりDgp及びAbuと一緒に、Lys、Arg、Dap、Ser、Phe、Trp、Leu、Ala、α,γ-ジアミノ酪酸(Dab)又はα,β-ジアミノプロピオン酸(Dap)ではない。
【0190】
GB1404301.2及びWO2015/135976の末端基
ポリミキシンにおいて、1位のアミノ酸残基は、脂肪酸アシル鎖でそのN末端においてアシル化されたジアミノ酪酸(Dab)残基である。GB1404301.2中に記載されている化合物内で、Dab及び脂肪酸アシル鎖を含んでなるポリミキシンのN末端基は、更なる置換基に連結された、しかしアミド結合によっては連結されていないアミノ含有部分によって置換されている。WO2015/135976は、GB1404301.2に対する優先権を主張している。
【0191】
GB1404301.2に記載されているN末端基は、本発明において使用することができる。本発明中の末端基-RTは、式(III)の化合物のためにGB1404301.2中に記載されるとおりの-R15基であることができる。更に又は別に、WO2015/135976に記載されているN末端基は、本発明において使用することができる。本発明中の末端基-RTは、式(III)の化合物のためにWO2015/135976中に記載されるとおりの-R15基であることができる。
【0192】
GB1404301.2及びWO2015/135976は、6及び/又は7位のアミノ酸が、もう一つのアミノ酸で置換されたポリミキシン化合物を明確には記載していない。
【0193】
従来は、ポリミキシンBの1位のDabアミノ酸残基の存在は、活性のために重要ではなく、そしてこのアミノ酸は、除去することができると考えられていた。従って、ポリミキシンノナペプチドは、微生物の処理において使用するために、当技術において知られている。
【0194】
本発明人等は、最適な活性のために、天然に存在するポリミキシン構造中のDab側鎖を模倣するために、アミノ置換基が必要であることを信じる。従って、本発明人等は、ポリミキシンノナペプチドのN末端におけるX基に対してβ又はγである炭素原子において、アミノ基-NR16R17又は-N(R16)-が提供される化合物を、GB1404301.2中に(そして更にWO2015/135976中に)記載した。-X-基は、1位のアミノ酸残基のカルボニル部分-C(O)-と等価と考えることができる。本発明人等は、アミノ基が、-X-基に対してαである炭素原子において単独で提供される化合物が、劣った生物学的活性を有することを見出している。
【0195】
PMBNのN末端における-X-基に対してβ又はγである炭素原子において、アミン置換基が提供される化合物は、WO2013/072695中に記載されている。然しながら、これらの化合物は、置換されている場合、アミンに接続する炭素上に置換基を有する。本発明人等は、更なる置換基が提供され、そして更に、この置換基がアミンに接続する炭素上にないことが重要であることを見出している。従って、GB1404301.2の化合物は、メチレン炭素基(-CH2-)に接続されたアミノ基-NR16R17又は-N(R16)-を有する。
【0196】
幾つかの場合、例えば更なる置換基が-X-に対してαである炭素原子において提供される場合、立体化学は、活性の重要な決定因子である。これらの場合、この位置における立体化学が、ポリミキシンB中のL-Dab残基のそれと同一であることが好ましい。
【0197】
アミノ基が-X-基に対してβ-又はγ-のままであることを条件として、アミン基は、窒素含有複素環の一部であることができる。WO2013/072695は、ノナペプチドのN末端に窒素含有複素環を有する化合物を記載している。然しながら、このような化合物は置換されていない。本発明人等は、置換基の付加が活性を改良することを見出している。従って、GB1404301.2(そして更にWO2015/135976)の化合物は、アミン-N(R16)-が環構造の一部である場合、環の置換基を有する。
【0198】
GB1404301.2の化合物は、1位のL-Dab基のα炭素におけるアミノ基及び脂肪酸アシル鎖から形成されるポリミキシンのアミド官能基を保有しないという理由のために、ポリミキシンデカペプチドにより特徴づけられる。本発明の化合物において、α炭素においてアミノ基が提供される場合、これは、アミド基の一部ではない。同じ解説は、WO2015/135976の化合物に対して適用される。
【0199】
アミド結合を経由して1位のL-Dab残基に接続された短いアシル鎖(例えばブタノイル)を有するポリミキシンデカペプチド誘導体が、不良な抗細菌活性を有することが知られている。例えば、ペンタノイル及びブタノイル誘導体は、ポリミキシンBより10-20倍少ない活性であることが報告されている(de Visser et al.J.Pept.Res.2003,61,298を参照されたい)。
【0200】
上記で注目したように、α炭素におけるアミノ基の単独の存在は、良好な活性を提供するためには十分ではない。β又はγ炭素におけるアミノ基が必要である。アミノ基、例えば-NR16R17又は-N(R16)-が、β又はγ炭素において提供される場合、更なる置換されたアミノ基をα炭素において提供することができる(このアミノ基はアミド結合の一部ではない)。このような化合物は、良好な活性を有する。
【0201】
GB1404301.2中に(そして更にWO2015/135976中に)記載された化合物は、-A1-が非存在であり、-A2-がL-トレオニン又はL-セリン残基であり、そして-A3-が、以下の式:
【0202】
【0203】
によって表されるアミノ酸残基である本発明のものに対応する化合物であり、
ここで、星印は、-A2-への接続の点であり、そして-R3は、一つのアミノ又は一つのヒドロキシル置換基を有するC1-6アルキルである。
【0204】
-A1-、-A2-及び-A3-が、これらの意味を有する場合、-RT基は、アミノ含有基-R15であることができる。
一つの態様において、-RTは、以下の式:
【0205】
【0206】
のアミノ含有基であり、
式中、
-RAは、水素又は-LA-LAAであり;
-Q-は、共有結合又は-CH(RB)-であり;
-RBは、水素又は-LB-LBBであり;
或いは、-Q-が-CH(RB)-である場合、-RA及び-RBは一緒に、5ないし10員の単環式又は二環式の炭素環を形成し、或いは-RA及び-RBは一緒に、5ないし10員の単環式又は二環式の複素環を形成し;
そして-Q-が共有結合である場合、-RAは-LA-LAAであり、そして-Q-が-CH(RB)-である場合、一つ又は両方の-RA及び-RBは水素ではなく;
-R16は、独立に水素又は-C1-4アルキルであり;
-R17は、独立に水素又は-C1-4アルキルであり;
或いは-NR16R17は、グアニジン基であり;
或いは-R17及び-RAは一緒に、5ないし10員の窒素含有単環式又は二環式の複素環を形成し;
或いは、-Q-が-CH(RB)-である場合、-R17及び-RBは一緒に、5ないし10員の窒素含有の単環式又は二環式の複素環を形成し;
そして-R17及び-RAが一緒に、単環式の窒素含有複素環を形成する場合、-R17及び-RA中のそれぞれの環の炭素原子は、-RCにより所望により一又は二置換され、そして単環式の複素環は、存在する場合、-RC、-RN、-RNA及び-LB-RBBから選択される少なくとも一つの基で置換され、
そして-R17及び-RBが一緒に、単環式の窒素含有複素環を形成する場合、-R17及び-RB中のそれぞれの環の炭素原子は、-RCで所望により一又は二置換され、そして単環式の複素環は、存在する場合、-RC、及び-RNから選択される少なくとも一つの基で置換され、或いは単環式の複素環は、-RAが-LA-RAAである場合、所望により置換され;
そして単環式の窒素含有複素環は、一つの更なる窒素、酸素又は硫黄の環の原子を所望により含有し、そして更なる窒素の環の原子が存在する場合、これは、-X-基に対してαである炭素に接続された更なる窒素の環の原子を除き、-RNで所望により置換され、この窒素の環の原子は、-RNAで所望により置換され;
-R17及び-RA又は-R17及び-RBが一緒に、二環式の窒素含有複素環を形成する場合、-R17及び-RA又は-R17及び-RB中のそれぞれの環の炭素原子は、-RDで所望により一又は二置換され;
そして二環式の窒素含有複素環は、一つ、二つ又は三つの更なる異種原子を所望により含有し、ここで、それぞれの異種原子は、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立に選択され、そしてここで、更なる窒素の環の原子が存在する場合、それぞれの更なる窒素の環の原子は、-X-基に対してαである炭素に接続された窒素の環の原子を除き、-RNで所望により置換され、この窒素の環の原子は-RNAで所望により置換され;
-RA及び-RBが一緒に、5ないし10員の単環式の炭素環又は複素環を形成する場合、-RA及び-RB中のそれぞれの環の炭素原子は、-RCで所望により一又は二置換され、そして窒素の環の原子は、単環式の複素環中に存在する場合、-X-基に対してαである炭素に接続された窒素の環の原子を除き、-RNで所望により置換され、この窒素の環の原子は-RNAで所望により置換され;
-RA及び-RBが一緒に、5ないし10員の二環式の炭素環又は複素環を形成する場合、-RA及び-RB中のそれぞれの環の炭素原子は、-RDで所望により一又は二置換され、そして窒素の環の原子は、二環式の複素環中に存在する場合、-X-基に対してαである炭素に接続された窒素の環の原子を除き、-RNで所望により置換され、この窒素の環の原子は-RNAで所望により置換され;
そしてR17及び-RA又は-R17及び-RBが一緒に、5ないし10員の窒素含有単環式又は二環式の複素環を形成する場合、或いは-RA及び-RBが一緒に、5ないし10員の単環式又は二環式の炭素環を形成し、或いは一緒に5ないし10員の単環式又は二環式の複素環を形成する場合、-R17及び-RA、-R17及び-RB、又は-RA及び-RB中の炭素の環の原子は、所望により、別に、オキソ(=O)で置換され;
それぞれの-RCは、独立に-LC-RCCであり;
それぞれの-RDは、-RC、ハロ、-NO2、-OH、及び-NH2から独立に選択され;
それぞれの-RNは、独立に-LN-RNNであり;
それぞれの-RNAは、独立に-RL-RNN又は-RNNであり;
-RAA、-RBB、及びそれぞれの-RCC並びに-RNNは、存在する場合、C1-12アルキル、C3-10シクロアルキル、C4-10ヘテロシクリル、及びC5-12アリールから独立に選択され;
それぞれの-LA-は、独立に共有結合、又は-RL-*、-O-LAA-*、-OC(O)-LAA-*、-N(R11)-LAA-*、及び-C(O)-LAA-*から選択される連結基であり、ここで、星印は、-LA-基の-RAAへの接続の点を示し;
それぞれの-LB及び-LCは、独立に共有結合、又は-RL-*、-O-LAA-*、-OC(O)-LAA-*、-N(R11)-LAA-*、-N(R11)C(O)-LAA-*、-C(O)-LAA-*、-C(O)O-LAA-*、及び-C(O)N(R11)-LAA-*から選択される連結基であり、そして所望により更に-N(R11)S(O)-LAA-*、-N(R11)S(O)2-LAA-*、-S(O)N(R11)-LAA-*、及び-S(O)2N(R11)-LAA-*から選択され、ここで、星印は、-LB-基の-RBBへの又は-LC-基の-RCCへの接続の点を示し;
それぞれの-LN-は、独立に共有結合又は-S(O)-LAA-*、-S(O)2-LAA-*、-C(O)-LAA-*及び-C(O)N(R11)-LAA-*から選択される基であり、ここで、星印は、-LN-基の-RNNへの接続の点であり;
そしてそれぞれの-LAA-は、独立に共有結合又は-RL-であり;
そしてそれぞれの-RL-は、C1-12アルキレン、C2-12ヘテロアルキレン、C3-10シクロアルキレン及びC5-10ヘテロシクリレンから独立に選択され、そしてここで、-LAA-は、C1-12アルキル基に接続され、-RL-はC1-12アルキレンではなく;
そしてそれぞれのC1-12アルキル、C3-10シクロアルキル、C4-10ヘテロシクリル、C5-12アリール、C1-12アルキレン、C2-12ヘテロアルキレン、C3-10シクロアルキレン及びC5-10ヘテロシクリレン基は、所望により置換され、ここで、-RSは、炭素に対する所望による置換基であり、そして-R12は、窒素に対する所望による置換基であり;
それぞれの-RSは、-OH、-OR12、-OC(O)R12、ハロ、-R12、-NHR12、-NR12R13、-NHC(O)R12、-N(R12)C(O)R12、-SH、-SR12、-C(O)R12、-C(O)OH、-C(O)OR12、-C(O)NH2,-C(O)NHR12及びC(O)NR12R13から独立に選択され;-R12はC1-12アルキル基に対する置換基ではないことを除き;或いはここで、炭素原子は-RSで二置換され、これらの基は、これらが接続している炭素と一緒に、C3-6炭素環又はC5-6複素環を形成することができ、ここで、炭素環及び複素環は、一つ又はそれより多い-R12基で所望により置換され;
それぞれの-R12は、独立にC1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、フェニル又はベンジルであり;
それぞれの-R13は、独立にC1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、フェニル又はベンジルであり;
或いは-R12及び-R13は、Nに接続された場合、一緒に、5又は6員の複素環を形成することができ、これは、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、フェニル又はベンジルで所望により置換され;
それぞれの-R11は、独立に水素又はC1-4アルキルである。
【0207】
式(II)のポリミキシン化合物
式(II)の化合物は、ポリミキシンBの変種である。式(II)の化合物の核は、ポリミキシン化合物の変種、例えばポリミキシンBデカペプチド、ノナペプチド(PMBN、ポリミキシン2-10)、オクタペプチド又はヘプタペプチドの変種であり、ここで、6位のアミノ酸は、本明細書中に記載されるようにもう一つのアミノ酸で置換され、そして所望により1、2、3、7及び10位のアミノ酸残基は、もう一つのアミノ酸残基で置換されている。所望により1、2、3位のアミノ酸残基の一つ、二つ又は三つは削除することができる。
【0208】
式(II)の化合物のN末端基、-TA基は、特に制約されないが、しかしある種の優先度は以下で考察される。
式(II)の化合物は、式(I)の化合物と同一のN末端基を有することができる。この場合、式(II)の化合物は、式(I)の化合物からの選択である。従って、-TA基は、式(I)の化合物による-RT-X-基であることができる。
【0209】
式(I)及び(II)の化合物は、6位におけるアミノ酸残基の置換を可能にする。式(II)の化合物のために記載される置換基は、式(I)の化合物のために記載された可能な置換の選択である。式(II)の化合物の6位におけるアミノ酸残基は、本明細書中の新しい開示であると信じる。従って、6位におけるアミノ酸残基は、Velkov等のWO2010/130007又はWO2012/051663に記載されていないと信じる。
【0210】
Velkov等は、ポリミキシンB及びコリスチンの6位における置換を記載している。著者等は、6位におけるD-フェニルアラニン又はD-ロイシンの、三つの異なったアミノ酸残基による置換を開示している。それぞれのアミノ酸は、アミノ酸側鎖基の性質においてフェニルアラニン及びロイシンとは異なっている。従って、フェニルアラニンのフェニル基、又はロイシンのブチル基は、オクチル(D-OctGly)、ジフェニルメチル(D-BipAla)又はベンジル保護4-ヒドロキシフェニル(D-Tyr(Bzl))で置換されている。6位に対する他の修飾は記載又は示唆されていない。
【0211】
Velkov等は、更に、6位の置換と共にポリミキシンのN末端基の修飾を記載している。従って、ポリミキシンBのメチルオクタノイル又はメチルヘプタノイル末端基は、オクタノイル、ビフェニルアシル、又はフェナシルで置換されている。
【0212】
Velkov等に伴う補足的な情報は、6位におけるD-OctGly、D-BipAla又はD-Tyr(Bzl)置換を保持する化合物が、P.aeruginosa、A.baumannii及びK.pneumoniae株に対する、2-32mg/Lの範囲のMIC値の活性を有することを示す。変種は、更に、特にP.aeruginosa、A.baumannii及びK.pneumoniaeのポリミキシン耐性株に対する活性を有すると言われている。
【0213】
WO2010/130007は、ポリミキシンの6及び7位における置換を大まかに記載している。然しながら、作業した実施例は、7位において置換された化合物の調製を証明しているのみである。全ての作業した実施例は、D-フェニルアラニンを6位に保持している。ポリミキシンのN末端基も、更に修飾されている。作業した実施例は、オクタノイル、ノナノイル又はビフェニルアシル基をN末端に有する。
【0214】
WO2012/051663は、ポリミキシンの6及び7位における置換を大まかに記載している。作業した実施例は、6位が置換された化合物を含む。然しながら、実施例は限定的である。一つの実施例において、6位のアミノ酸残基は、D-OctGlyであり、そしてもう一つの実施例において、6位のアミノ酸残基は、D-Cys(S-Hex)(即ち、チオール基がヘキシルチオ基であるシステインアミノ酸)である。ポリミキシンのN末端も、更に修飾されている。作業した実施例は、オクタノイル、デカノイル、ビフェニルアシル又はビフェニルメチルアシルをN末端に有する。
【0215】
本発明人等は、6位におけるある種の別の置換が、例えばグラム陰性細菌に対する、例えばE.coli、P.aeruginosa、K.pneumonia、及びA.Baumanniiに対する、抗細菌活性を有する化合物を提供することを見出している。
【0216】
このような置換は、親の非修飾化合物と比較して抗細菌活性を向上することができる。本発明に示すように、式(II)の化合物は、6位のフェニルアラニンアミノ酸残基が、フェニル基の4位にブロモ置換基を保有するフェニルアラニン類似体で置換されたポリミキシンB変種である。化合物2は、多くのE.coli、P.aeruginosa、K.pneumonia、及びA.Baumannii株に対してポリミキシンBより優れた活性を有する。
【0217】
式(II)の化合物は、Velkov等による以前の作業に照らして、構造的に不明確である6位においてアミノ酸残基を有する化合物を包含する。
本発明は、式(II)の化合物及び治療の方法におけるこの化合物の使用を提供する。式(II)の化合物は、以下の式:
【0218】
【0219】
によって表され、
式中:
-TAは、水素、C1-4アルキル又はRN-X-であり;
-A1-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A2-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A3-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-X-は、-C(O)-、-NHC(O)-、-OC(O)-、-CH2-又は-SO2-であり;
-RNは、末端基、例えば本明細書中に記載される-RT基であり;
-R6Aは、C1-12アルキル、C0-12アルキル(C3-10シクロアルキル)、C0-12アルキル(C3-10ヘテロシクリル)又はC0-12アルキル(C5-10アリール)であり、ここで、C1-12アルキル、C3-10シクロアルキル基 C3-10ヘテロシクリル基、及びC5-10アリール基は、所望により置換され、そして所望による置換基は本明細書中に記載されるとおりであり、そして但し、-R6Aはベンジル、イソ-ブチル、イソ-プロピルではなく、そして所望により-R6Aはメチル、フェニル、4-ヒドロキシフェニル、(1H-インドール-3-イル)メチル、4-フェニルフェン-1-イルメチル、-(CH2)7CH3、4-(OBn)-フェン-1-イルメチル又は-CH2S(CH2)5CH3ではなく、そして所望により-R6Aは、n-プロピル、n-ブチル、又はtert-ブチルではないことを条件とし;
-R7Aは、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、アミノ酸残基であり;
R10は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、トレオニン又はロイシン残基である;
前記化合物及びこれらの塩、溶媒和物、保護された形態、及び/又はプロドラッグの形態である。
【0220】
-TAが水素(-H)である式(II)の化合物は、式(I)の化合物、及び-TAがC1-4アルキル又はRN-X-である式(II)の他の化合物の調製のための中間体として使用することができることは注目される。
【0221】
一つの態様において、式(II)の化合物は、以下の式:
【0222】
【0223】
のように表される。
-R6A
一つの態様において、-R6Aは、C1-12アルキル、C0-12アルキル(C3-10シクロアルキル)、C0-12アルキル(C3-10ヘテロシクリル)又はC0-12アルキル(C5-10アリール)であり、ここで、C1-12アルキル、C3-10シクロアルキル基 C3-10ヘテロシクリル基、及びC5-10アリール基は、所望により置換されている。
【0224】
一つの態様において、-R6Aは、C0-12アルキル(C3-10シクロアルキル)、C0-12アルキル(C3-10ヘテロシクリル)又はC0-12アルキル(C5-10アリール)であり、ここで、C3-10シクロアルキル基、C3-10ヘテロシクリル基、及びC5-10アリール基は、所望により置換されている。
【0225】
一つの態様において、-R6Aは、C0-12アルキル(C3-10シクロアルキル)又はC0-12アルキル(C5-10アリール)であり、ここで、C3-10シクロアルキル基及びC5-10アリール基は、所望により置換されている。
【0226】
一つの態様において、-R6Aは、ベンジル、イソ-ブチル又はイソ-プロピルではない(6位における残基は、フェニルアラニン、ロイシン又はバリン、そして特にこれらのD型であることはできない)。
【0227】
更に又は別に、一つの態様において、-R6A基は、メチル、4-ヒドロキシフェニル、(1H-インドール-3-イル)メチル又はフェニルではない(6位の残基は、アラニン、チロシン、トリプトファン及びフェニルグリシンであることはできない)。
【0228】
一つの態様において、-R6A基は、4-フェニルフェン-1-イルメチル、-(CH2)7CH3、4-(OBn)-フェン-1-イル又は-CH2S(CH2)5CH3ではない。
【0229】
更に又は別に、6位の残基は、ノルバリン、ノルロイシン及びt-ブチルグリシン、特にこれらのD型であることはできない。従って、-R6A基は、n-プロピル、n-ブチル及びtert-ブチルであることはできない。
【0230】
別の態様において、6位における残基は、フェニルアラニン、ロイシン、ノルバリン、ノルロイシン及びtert-ブチルグリシン、特にこれらのD型であることはできない。従って、-R6A基は、ベンジル、イソ-ブチル、n-プロピル、n-ブチル及びtert-ブチルであることはできない。
【0231】
C1-12アルキル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10ヘテロシクリル基、及びC5-10アリール基は、置換され、例えば一つ又はそれより多い-RZ基で所望により置換されていることができ、ここで、それぞれの-RZ基は、ハロ、所望により置換されたC1-12アルキル、所望により置換されたC2-12アルケニル、所望により置換されたC2-12アルキニル、所望により置換されたC3-10シクロアルキル、所望により置換されたC3-10ヘテロシクリル、所望により置換されたC5-12アリール、-CN、-NO2、-ORQ、-SRQ、-N(RW)C(O)RQ、-N(RQ)2、及び-C(O)N(RQ)2から選択され、
ここで、-RWは、H又はC1-4アルキルであり;そして
-RQは、H又は-RQ1であり、そして-RQ1は、所望により置換されたC1-12アルキル、C2-12アルケニル、C2-12アルキニル、及びC5-12アリールから選択され、
そして-N(RQ)2において、-RQ基は、これが接続する窒素原子と一緒に、C5-6複素環を形成することができ、ここで、複素環は、所望により置換されるが、
但し、C1-12アルキルが、アルキル、アルケニル又はアルキニルで置換されないことを条件とする。
【0232】
-R6Aは、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、ロイシン、イソ-ロイシン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン又はノルバリン残基ではない。
【0233】
更に又は別に、-R6Aは、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、チロシン残基ではない。
上記で注目したように、C1-12アルキル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10ヘテロシクリル基、及びC5-10アリール基は、一つ又はそれより多い-RZ基で置換されていることができる。-RZ基の例は、所望により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール及び複素環基を含む。
【0234】
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール及び複素環のような基が、所望により置換されている場合、この基は、ハロ、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、及びアリールから選択される一つ又はそれより多い置換基を有することができ、アルキル アルケニル、及びアルキニル基は、アルキル アルケニル、及びアルキニル基に対する置換基ではないことは除く。適した基は、-R6に対する-RPの定義に関連して記載されている。
【0235】
一つの態様において、-R6Aは、C0-12アルキル(C5-10アリール)であり、ここで、C5-10アリール基は、所望により置換され、そしてC5-10アリール基は、一つ又はそれより多い-RZで置換され、ここで、それぞれの-RZ基は、ハロ、所望により置換されたC1-12アルキル、-CN、及び-NO2から選択される。
【0236】
一つの態様において、-R6Aは、C0-12アルキル(C5-10アリール)であり、ここで、C5-10アリール基は、所望により置換され、そしてC5-10アリール基は、一つ又はそれより多い-RZで置換され、ここで、それぞれの-RZ基は、ハロ、所望により置換されたC1-12アルキル、所望により置換されたC2-12アルケニル、-CN、及び-NO2から選択される。
【0237】
一つの態様において、-R6Aは、C0-12アルキル(C3-10シクロアルキル)であり、ここで、C3-10シクロアルキル基は、所望により置換され、そしてC3-10シクロアルキル基は、一つ又はそれより多い-RZで置換され、ここで、それぞれの-RZ基は、ハロ、所望により置換されたC1-12アルキル、所望により置換されたC2-12アルケニル、所望により置換されたC2-12アルキニル、所望により置換されたC3-10シクロアルキル、所望により置換されたC3-10ヘテロシクリル、所望により置換されたC5-12アリール、-ORQ、-SRQ、-N(RW)C(O)RQ、-N(RQ)2、及び-C(O)N(RQ)2から選択される。
【0238】
一つの態様において、-R6Aは、C0-12アルキル(C6シクロアルキル)、例えばC1アルキル(C6シクロアルキル)である。本発明の作業した実施例は、-R6A基がC1アルキル(C6シクロアルキル)(-CH2(C6H11))である多くの化合物を含む。
【0239】
一つの態様において、-R6Aは、所望により置換されたC1-12アルキルであり、ここで、C1-12アルキルは、ハロ、例えばフルオロ、所望により置換されたC3-10シクロアルキル、所望により置換されたC3-10ヘテロシクリル、所望により置換されたC5-12アリール、-CN、-NO2、-ORQ、-SRQ、-N(RW)C(O)RQ、-N(RQ)2、及び-C(O)N(RQ)2から選択される一つ又はそれより多い基で所望により置換されている。
【0240】
一つの態様において、-R6Aは、所望により置換されたC1-12アルキルである。
アルキル基は、典型的には、C1-12アルキル基、例えばC2-12アルキル、例えばC8-12アルキル、例えばC4-12アルキル、例えばC5-12アルキル、例えばC6-12アルキル、例えばC8-12アルキル、例えばC2-10アルキル、C4-10アルキル、C5-10アルキル及びC6-10アルキルである。
【0241】
アルキル基は、C9-12アルキル基、例えばC9、C11及びC12アルキルであることができる。
アルキル基は、C1-5アルキル基であることができる。
【0242】
アルキル基は、C5-12アルキル基であることができる。
一つの態様において、-R6Aは、所望により置換されたC2-12アルキルである。
アルキル基は、直鎖又は分枝鎖であることができる。
【0243】
アルキル基が置換されている場合、これは、一置換であることができる。置換基は、アルキル基の末端において提供することができる。
C0-12アルキル基は、C1-12アルキル基、例えばC2-12アルキル基、C1-3アルキル基、及びC5-12アルキル基であることができる。
【0244】
一つの態様において、C0-12アルキル基は、C1アルキルである。
一つの態様において、C0-12アルキル基は、C0アルキルである。
一つの態様において、C0-12アルキル基は、直鎖C4アルキルではない。
【0245】
一つの態様において、C0-12アルキル基は、C0アルキル及び/又はC1アルキルではない。
一つの態様において、-R6Aは、-CH2S(CH2)5CH3、-CH2O(CH2)5CH3、-CH2S(CH2)5CF3、-CH2OCH2Ph、又は-CH2SCH2Phではない。
【0246】
一つの態様において、-R6Aは、C0-12アルキル(C5-10アリール)、例えばC1-12アルキル(C5-10アリール)であり、ここで、C5-10アリール基は、所望により置換されている。
【0247】
一つの態様において、-R6Aは、C0-12アルキル(C5-10アリール)である。
一つの態様において、-R6Aは、C2-12アルキル(C5-10アリール)である。
【0248】
一つの態様において、-R6Aは、C0-12アルキル(C5-10ヘテロアリール)である。
一つの態様において、-R6Aは、C0-12アルキル(C5-10アリール)であり、ここで、アリールは、ハロ、所望により置換されたC2-12アルケニル、所望により置換されたC2-12アルキニル、所望により置換されたC3-10シクロアルキル、所望により置換されたC3-10ヘテロシクリル、置換されたC5-12アリール、-CN、-NO2、-SRQ、-N(RW)C(O)RQ、-N(RQ)2、及び-C(O)N(RQ)2で所望により置換されている。
【0249】
一つの態様において、-R6Aは、C0-12アルキル(C5-10アリール)であり、ここで、アリールは、ハロ、所望により置換されたC2-12アルケニル、所望により置換されたC2-12アルキニル、所望により置換されたC3-10ヘテロシクリル、-CN、-NO2、-SRQ、-N(RW)C(O)RQ、-N(RQ)2、及び-C(O)N(RQ)2で所望により置換されている。
【0250】
アリール基は、カルボアリール又はヘテロアリール基であることができる。
カルボアリール基は、フェニルであることができる。アルキル基は直鎖又は分枝鎖であることができる。
【0251】
一つの態様において、-R6Aは、置換されたベンジル(-CH2Ph)である。
一つの態様において、-R6Aは、一置換されたベンジルである。
一つの態様において、-R6Aは、一置換されたベンジルであり、ここで、フェニル基は、2、3又は4位、例えば2又は4位で置換されている。
【0252】
一つの態様において、-R6Aは、一置換されたベンジルであり、ここで、フェニル基は、ハロ、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたシクロアルキル、又は所望により置換されたアリールで2位において置換されている。
【0253】
一つの態様において、-R6Aは、一置換されたベンジルであり、ここで、フェニル基は、ハロ、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたシクロアルキル又は所望により置換されたアリールで2位において置換されている。
【0254】
一つの態様において、-R6Aは、一置換されたベンジルであり、ここで、フェニル基は、ハロ、所望により置換されたアルキル、又は所望により置換されたアリールで2位において置換されている。
【0255】
一つの態様において、-R6Aは、一置換されたベンジルであり、ここで、フェニル基は、ハロ、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアリール、又は所望により置換されたヘテロアリールで4位において置換されている。
【0256】
一つの態様において、-R6Aは、一置換されたベンジルであり、ここで、フェニル基は、ハロ、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアリール、又は所望により置換されたヘテロアリールで4位において置換されている。
【0257】
一つの態様において、-R6Aは、一置換されたベンジルであり、ここで、フェニル基は、ハロ、所望により置換されたアルキル、置換されたアリール、又は所望により置換されたヘテロアリールで4位において置換されている。
【0258】
一つの態様において、-R6Aは、一置換されたベンジルであり、ここで、フェニル基は、ハロ、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、置換されたアリール、又は所望により置換されたヘテロアリールで3位において置換されている。
【0259】
一つの態様において、-R6Aは、一置換されたベンジルであり、ここで、フェニル基は、ハロ、所望により置換されたアルキル、置換されたアリール、又は所望により置換されたヘテロアリールで3位において置換されている。
【0260】
一つの態様において、-R6Aは、一置換されたベンジルであり、ここで、フェニル基は、アリール、例えばフェニルで2位において置換されている。
一つの態様において、-R6Aは、一置換されたベンジルであり、ここで、フェニル基は、アリール、例えばC5-10アリール、例えばC5-6アリール、例えばフェニル又はピリジンで3位において置換されている。アリール基は、所望により置換されている、例えば置換されている。
【0261】
一つの態様において、-R6Aは、一置換されたベンジルであり、ここで、フェニル基は、アリール、例えばC5-10アリール、例えばC5-6アリール、例えばフェニル又はピリジンで4位において置換されている。アリール基は、所望により置換されている、例えば置換されている。
【0262】
一つの態様において、-R6Aは、一置換されたベンジルであり、ここで、フェニル基は、ヘテロアリール、例えばC5-10ヘテロアリール、例えばC5-6ヘテロアリール、例えばピリジンで3位において置換されている。
【0263】
一つの態様において、-R6Aは、一置換されたベンジルであり、ここで、フェニル基は、ヘテロアリール、例えばC5-10ヘテロアリール、例えばC5-6ヘテロアリール、例えばピリジンで4位において置換されている。
【0264】
一つの態様において、-R6Aは、一置換されたベンジルであり、ここで、フェニル基は、ハロ、例えばブロモで3位において置換されている。
一つの態様において、-R6Aは、一置換されたベンジルであり、ここで、フェニル基は、ハロ、例えばブロモで4位において置換されている。
【0265】
一つの態様において、-R6Aは、一置換されたベンジルであり、ここで、フェニル基は、アルキル、例えばC1-12アルキル、例えばC2-12アルキル、例えばC6-12アルキル、例えばC8アルキルで3位において置換されている。アルキル基は、直鎖又は分枝鎖であることができる。
【0266】
一つの態様において、-R6Aは、一置換されたベンジルであり、ここで、フェニル基は、アルキル、例えばC1-12アルキル、例えばC2-12アルキル、例えばC6-12アルキル、例えばC8アルキルで4位において置換されている。アルキル基は、直鎖又は分枝鎖であることができる。
【0267】
一つの態様において、-R6Aは、C0-12アルキル(C3-10シクロアルキル)、例えばC1-12アルキル(C3-10シクロアルキル)であり、ここで、C3-10シクロアルキル基は所望により置換されている。
【0268】
一つの態様において、-R6Aは、C1アルキル(C3-10シクロアルキル)、例えばC1アルキル(シクロヘキシル)であり、ここで、C3-10シクロアルキル基は、所望により置換されている。
【0269】
一つの態様において、-R6Aは、C1-12アルキル(シクロヘキシル)である。この種類の化合物は、-R6AがC1-16アルキル(フェニル)である化合物から、本明細書中に記載されるように、フェニル基の適当な還元によって調製することができる
一つの態様において、-R6Aは、C0-12アルキル(C3-10シクロアルキル)、例えばC1アルキル(シクロヘキシル)であり、ここで、C3-10シクロアルキル基は、ハロ、置換されたC1-12アルキル、所望により置換されたC2-12アルケニル、所望により置換されたC2-12アルキニル、所望により置換されたC3-10シクロアルキル、所望により置換されたC3-10ヘテロシクリル、所望により置換されたC5-12アリール、-CN、-NO2、-ORQ、-SRQ、-N(RW)C(O)RQ、-N(RQ)2、及び-C(O)N(RQ)2から選択される一つ又はそれより多い基で所望により置換されている。
【0270】
一つの態様において、-R6Aは、C0-12アルキル(C3-10シクロアルキル)、例えばC1アルキル(シクロヘキシル)であり、ここで、C3-10シクロアルキル基は、ハロ、所望により置換されたC2-12アルケニル、所望により置換されたC2-12アルキニル、所望により置換されたC3-10シクロアルキル、所望により置換されたC3-10ヘテロシクリル、所望により置換されたC5-12アリール、-CN、-NO2、-ORQ、-SRQ、-N(RW)C(O)RQ、-N(RQ)2、及び-C(O)N(RQ)2から選択される一つ又はそれより多い基で所望により置換されている。
【0271】
C3-10シクロアルキルは、C5-7シクロアルキル基、例えばC5-6シクロアルキル基であることができる。
一つの態様において、C3-10シクロアルキルは、シクロペンチル又はシクロヘキシル、例えばシクロヘキシルである。
【0272】
シクロアルキル基は、所望により置換、例えば所望により一置換されていることができる。
シクロアルキル基がシクロヘキシルである場合、シクロヘキシルは、2、3又は4位、例えば2又は4位、例えば4位で所望により置換されている。
【0273】
一つの態様において、R6及び/又はR7は、-(CH2)4-シクロヘキシルではない。
一つの態様において、R6及び/又はR7は、例えば-Pr基が直鎖プロピル基である場合、-(C6H10)-Prではない。
【0274】
一つの態様において、-R6Aは、C0-12アルキル(C3-10ヘテロシクリル)、例えばC1-12アルキル(C3-10ヘテロシクリル)であり、ここで、C3-10ヘテロシクリル基は、所望により置換されている。
【0275】
C0-12アルキルがC0である場合、ヘテロシクリル基の異種原子は、β位には提供されない(即ち、異種原子はα炭素に接続されない)。
ヘテロシクリル基は、N、O及びSから選択される異種原子を含有し、そして所望により更なる異種原子を含有する。Nに対する言及は、複素環内の-NH-基に対する言及でもあり、そしてSに対する言及は、-S-、-S(O)-又は-S(O)2-でもある。
【0276】
ヘテロシクリルは、炭素の環の原子において又はこのようなものが存在する場合窒素の環の原子において置換することができる。窒素の環の原子が置換されている場合、置換基は、所望により置換されたC1-12アルキル、所望により置換されたC2-12アルケニル、所望により置換されたC2-12アルキニル、所望により置換されたC3-10シクロアルキル、所望により置換されたC3-10ヘテロシクリル、所望により置換されたC5-12アリール、及び-C(O)N(RQ)2から選択される-RZ基であることができる。炭素の環の原子が置換されている場合、置換基は、先に記載したような-RZ基であることができる。
【0277】
ヘテロシクリルは、C5-10ヘテロシクリル、例えばC5-6ヘテロシクリル、例えばC5又はC6ヘテロシクリルであることができる。
ヘテロシクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル及びチオモルホリニルからなる群から選択することができる。
【0278】
アルキル基が、ハロで所望により置換されている場合、アルキル基がフルオロで所望により置換されていることが好ましい。
一つの態様において、-R6Aは、4-ヒドロキシフェニルメチルではない(即ち、-R6Aは、これが接続する炭素の対してアルファであるカルボニル基及び窒素と一緒に、チロシン残基ではない)。
【0279】
上記の解説は、6位のαアミノ酸残基が、-R6A及びHで置換されたα炭素原子を有する化合物を指す。-Hは、更に置換のための部位であることができ、6位に二置換されたαアミノ酸残基を提供する。
【0280】
別の態様において、6位のαアミノ酸残基内のα炭素原子は二置換され、ここで、それぞれの置換基は本明細書中に記載するとおりの-R6A基である。
別の態様において、6位のαアミノ酸残基内のα炭素原子は二置換され、ここで、それぞれの置換基は、-R6A基であり、ここで、-R6A基は、これらが接続しているα炭素原子と一緒に、C4-6炭素環又はC5-6複素環を形成することができ、ここにおいて、炭素環及び複素環は、先に記載したように、一つ又はそれより多い-RZ基で所望により置換されている。炭素環は、本明細書中に記載したとおりのシクロアルキル基である。複素環は、本明細書中に記載したとおりのヘテロシクリル基である。
【0281】
複素環が存在する場合、ヘテロシクリル基の異種原子は、β位には提供されない(即ち、異種原子はα炭素に接続されない)。
複素環は、N、O及びSから選択される異種原子を含有し、そして所望により更なる異種原子を含有する。Nに対する言及は、複素環内の-NH-基に対する言及でもあり、そしてSに対する言及は、-S-、-S(O)-又は-S(O)2-でもある。
【0282】
ヘテロシクリルは、炭素の環の原子又はこのようなものが存在する場合、窒素の環の原子において置換することができる。窒素の環の原子が置換されている場合、置換基は、所望により置換されたC1-12アルキル、所望により置換されたC2-12アルケニル、所望により置換されたC2-12アルキニル、所望により置換されたC3-10シクロアルキル、所望により置換されたC3-10ヘテロシクリル、所望により置換されたC5-12アリール、及び-C(O)N(RQ)2から選択される-RZ基であることができる。炭素の環の原子が置換されている場合、置換基は、先に記載したような-RZ基であることができる。
【0283】
複素環は、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン及びチオモルホリンからなる群から選択することができる。
一つの態様において、-R6Aは、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、α炭素に対するgem二置換基であるピペリジン側鎖を有するアミノである。従って、α炭素は、ピペリジン環の環の原子である。これは、Dabの環式類似体である。
【0284】
一つの態様において、-RZは、ハロ、所望により置換されたC1-12アルキル、所望により置換されたC2-12アルケニル、所望により置換されたC2-12アルキニル、所望により置換されたC5-12アリール、-ORQ、-SRQ、-N(RW)C(O)RQ、-N(RQ)2、及び-C(O)N(RQ)2から選択される。
【0285】
一つの態様において、-RZは、ハロ、所望により置換されたC2-12アルケニル、所望により置換されたC2-12アルキニル、所望により置換されたC3-10シクロアルキル、所望により置換されたC5-12アリール、-ORQ、-SRQ、-N(RW)C(O)RQ、-N(RQ)2、及び-C(O)N(RQ)2から選択される。
【0286】
一つの態様において、-RZは、ハロ、所望により置換されたC2-12アルケニル、所望により置換されたC2-12アルキニル、所望により置換されたC5-12アリール、-ORQ、-SRQ、-N(RW)C(O)RQ、-N(RQ)2、及び-C(O)N(RQ)2から選択される。
【0287】
一つの態様において、-RZは、ハロ、所望により置換されたC1-12アルキル、所望により置換されたC2-12アルケニル、所望により置換されたC2-12アルキニル、所望により置換されたC3-10シクロアルキル、-ORQ、-SRQ、-N(RW)C(O)RQ、-N(RQ)2、及び-C(O)N(RQ)2から選択される。
【0288】
一つの態様において、-RZは、ハロ、所望により置換されたC2-12アルケニル、所望により置換されたC2-12アルキニル、-ORQ、-SRQ、-N(RW)C(O)RQ、-N(RQ)2、及び-C(O)N(RQ)2から選択される。
【0289】
一つの態様において、6位のアミノ酸残基は、L-又はD-アミノ酸残基、例えばD-アミノ酸残基である。
-R7A
一つの態様において、-R7Aは、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、ロイシン、イソ-ロイシン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン又はノル-バリン残基であることができる。
【0290】
一つの態様において、-R7A基は、式(I)の化合物のために先に記載したとおりの-R7基であることができる。
一つの態様において、-R7Aは、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、ロイシン、OctGly、BipAla、及びCys、例えばCys(S-Hex)及びCys(S-Bzl)、そして例えばこれらのL型からなる群から選択されるアミノ酸残基である。更に又は別に、-R7Aは、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、トレオニン、セリン、バリン、2-アミノ酪酸(Abu)及び2-アミノイソ酪酸(Aib)、そして例えばこれらのL型からなる群から選択されるアミノ酸残基である。
【0291】
一つの態様において、-R7Aは、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、ロイシン残基、例えばL-ロイシンである。この態様において、7位のアミノ酸残基は、ポリミキシンBの7位におけるアミノ酸残基に対して言及したものにより置換されない。
【0292】
一つの態様において、-R7Aは、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、OctGly、BipAla、Cys、例えばCys(S-Hex)及びCys(S-Bzl)、トレオニン、セリン、バリン、2-アミノ酪酸(Abu)及び2-アミノイソ酪酸(Aib)、そして例えばこれらのL型からなる群から選択されるアミノ酸残基である。
【0293】
一つの態様において、7位のアミノ酸残基は、L-又はD-アミノ酸残基、例えばL-アミノ酸残基である。
-TA
一つの態様において、-TAは、水素又は-X-RN-である。
【0294】
一つの態様において、-TAは、水素である。このような化合物は、N末端に遊離のアミノ酸(第一アミン、-NH2)を有する。
一つの態様において、-TAは、C1-4アルキルである。ここで、化合物は、N末端にアルキル化されたアミノ基を有する。C1-4アルキル基は、直鎖又は分枝鎖であることができる。C1-4アルキル基は、メチル、エチル、プロピル及びブチル、例えばメチル及びエチルから選択することができる。C1-4アルキル基は、メチルであることができる。
【0295】
一つの態様において、-TAは、-X-RN-である。ここで、化合物のN末端基は修飾される。N末端に対する修飾は、当技術において公知である。実際、天然の産物のポリミキシンB及びコリスチンも、更にN末端で修飾されている。
【0296】
-X-
-X-基は、式(I)の化合物で定義したとおりである。
-RN
-RN基は、末端基である。
【0297】
末端基は、その基をポリミキシンB及びコリスチン中に存在する末端基と比較した場合に、生物学的活性を維持するか、又は改良された生物学的活性を提供する基であることができる。
【0298】
一つの態様において、-RN基は、式(I)の化合物に対して上記で定義したとおりの-RT基である。-RT基は、典型的にはヒドロキシル及び/又はアミノ官能基を保有する。
【0299】
別に、-RN基は、親油性基であることができる。
一つの態様において、-RN基は、ベンジルである。
一つの態様において、-RN基は、M-L11-L10-であり、ここで:
-L10-は、共有結合、C1-12アルキレン又はC2-12ヘテロアルキレンであり、
-Mは、所望により置換されたC1-12アルキル、C2-12アルケニル、C3-10シクロアルキル及びC5-12アリールから選択され、
そして但し、-MがC1-12アルキルである場合、-L10-はC1-12アルキレンではないことを条件とする。
【0300】
所望による置換基は、所望により置換されたC1-10アルキル、C2-12アルケニル、C5-12アリール、C3-10シクロアルキル、-OH、-OR19、-NH2、-NHR19、-N(R19)2、-COOR19、-OCOR19、-CON(R10)2、及び-NR10C(O)R10からなる群から選択することができ、ここで、それぞれのR19は、独立にC1-10アルキル、C2-12アルケニル、C5-12アリール、C3-10シクロアルキルであり、そして所望による置換基は、-OH及び-NH2である。
【0301】
一つの態様において、-RNは、所望により置換されたC1-12アルキル及び-L12-Vから選択され、ここで、-L12-は、非存在又はC2-4アルケニルであり、そしてV-は、所望により置換されたC5-12アリール、例えばC6-10カルボアリール及びC5-12ヘテロアリールであり、ここで、所望による置換基はW-L
13
-であり、そして;
-L13-は、共有結合、C1-3アルキレン又はC2-7ヘテロアルキレンであり、
-Wは、C5-12アリール、例えばC6-10カルボアリール及びC5-12ヘテロアリールである。
【0302】
一つの態様において、-RNは、C1-12アルキルである。
C1-12アルキル基は、C4-12、C6-12、C4-10又はC6-10アルキル基であることができる。
【0303】
アルキル基は、直鎖又は分枝鎖であることができる。
一つの態様において、アルキル基は、C6-8アルキルである。上記で注目したように、アルキル基は、直鎖又は分枝鎖であることができる。C6-8アルキルが分枝鎖である場合、分枝の点は、最長の直鎖アルキルの最後から2番目の炭素に位置することができる。分枝は、メチル分枝であることができる。
【0304】
一つの態様において、例えば-X-が-C(O)-である場合、-RNは、5-メチルヘプチルである。N末端基中(is)のこのような基は、ポリミキシンB1及びコリスチンA中に存在する(即ち、-X-RNと一緒に6-メチルオクタノイルである場合)。
【0305】
一つの態様において、例えば-X-が-C(O)-である場合、-RNは、5-メチルヘキシルである。N末端基中(is)のこのような基は、ポリミキシンB2及びコリスチンB中に存在する(即ち、-X-RNと一緒に6-メチルヘプタノイルである場合)。
【0306】
一つの態様において、例えば-X-が-C(O)-である場合、-RNは、ヘプチルである。N末端基中(is)のこのような基は、ポリミキシンB3中に存在する(即ち、-X-RNと一緒に6-オクタノイルである場合)。
【0307】
一つの態様において、例えば-X-が-C(O)-である場合、-RNは、ヘキシルである。N末端基中(is)のこのような基は、ポリミキシンB4中に存在する(即ち、-X-RNと一緒に6-ヘプタノイルである場合)。
【0308】
一つの態様において、-RNは、ジフェニルメチル、例えば4-フェニルフェニルメチルである。
一つの態様において、-RNは、所望により置換されたC5-10アリールである。
【0309】
一つの態様において、所望により置換されたC5-10アリールは、フェニルで置換されたフェニル(即ち、ビフェニル)、例えば4-フェニルフェニル又は2-フェニルフェニルである。
【0310】
一つの態様において、-RNは、フェニル又はベンジルであり、ここで、フェニル又はベンジルは、一つ又はそれより多いハロ又はニトロ基で所望により置換されている。
一つの態様において、-RNは、例えば-X-が-NH(CO)-である場合、ハロフェニル、例えばクロロフェニル、例えば2-クロロフェニルである。
【0311】
一つの態様において、例えば-A1-が、L-Dap、L-Dab又はL-Lysであり、-A2-が、L-Thrであり、そして-A3-が、L-Dap、L-Dab又はL-Lysである場合、-RNは、-X-と一緒に、WO2015/149131中に記載されているように、R1基ではない。
【0312】
-A1-、-A2-及び-A3-
一つの態様において、-A1-は非存在であり、-A2-及び-A3-は存在する。
一つの態様において、-A1-及び-A2-は非存在であり、-A3-は存在する。このような化合物は、オクタペプチドと呼ぶことができる。
【0313】
一つの態様において、-A1-、-A2-及び-A3-は非存在である。このような化合物は、ヘプタペプチドと呼ぶことができる。
それぞれの-A1-、-A2-及び-A3-は、α-アミノ酸であることができる。
【0314】
α-アミノ酸に対する言及は、タンパク質構成性(“天然の”)α-アミノ酸を、所望により他のα-アミノ酸と一緒に含む。
タンパク質構成性ではないα-アミノ酸の例は、翻訳後修飾又は他の手段によって産生されたアミノ酸である。例は、Dab、Dap、Dgp(α,β-ジグアニジノプロパノイル)、オルニチン及びノルバリンを含む。
【0315】
更に含まれるものは、α炭素に対するgem二置換であるピペリジン側鎖を有するアミノである。従って、α炭素は、ピペリジン環の環の原子である。これは、Dabの環式類似体である。
【0316】
アミノ酸、例えばα-アミノ酸は、L-又はD-アミノ酸であることができる。一つの態様において、それぞれの-A1-、-A2-及び-A3-は、存在する場合、L-アミノ酸である。
【0317】
一つの態様において、-A1-、-A2-及び-A3-の一つ又はそれより多くが非存在であり、そして所望により、-A1-、-A2-及び-A3-の全てが存在する場合、RT-X-は、アミノ酸残基、例えばAla、Ser、Thr、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Tyr、Trp、His、Lys、Arg、α,γ-ジアミノ酪酸(Dab)及びα,β-ジアミノプロピオン酸(Dap)からなる群から選択されるα-アミノ酸残基であることができる。
【0318】
一つの態様において、-A3-は、以下の式:
【0319】
【0320】
によって表されるアミノ酸残基であり、
ここで、星印は、-A2-への接続の点であり、そして-R3は、ポリミキシン化合物の3位におけるアミノ酸の側鎖に対応する。
【0321】
一つの態様において、-R3基は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、アミノ及び/又はヒドロキシル含有側鎖を有するアミノ酸残基である。従って、-R3基は、アミノ及び/又はヒドロキシル官能基を有する。
【0322】
一つの態様において、式(II)の化合物に対して、それぞれの-A1-、-A2-及び-A3-は、式(I)の化合物と同じ意味を有する。
保護された形態
本発明の化合物、例えば式(I)及び(II)の化合物は、保護された形態で提供することができる。ここで、反応性官能基、例えばアミノ官能基は、合成行程中のその反応を防止するために、遮蔽することができる。保護基は、反応性官能基を遮蔽するために提供され、そしてこの保護基は、本来の反応性官能基を明らかにするために合成の後の段階で除去することができる。
【0323】
式(Ia)の化合物、及びその塩、溶媒和物並びに水和物が提供され、これは、保護された形態の式(I)の化合物である。例えば、化合物(I)中に存在するアミノ、ヒドロキシル、カルボキシル及びチオール官能基は、本明細書中に記載されるような保護基で保護することができる。式(Ia)の化合物は、式(I)の化合物の調製のための中間体であることができる。従って、化合物(I)は、化合物(Ia)から、例えば保護基の除去(脱保護)によって調製することができる。
【0324】
同様に、式(IIa)の化合物、及びその塩、溶媒和物並びに水和物が提供され、これは、保護された形態の式(II)の化合物である。例えば、化合物(II)中に存在するアミノ、ヒドロキシル、カルボキシル及びチオール官能基は、本明細書中に記載されるような保護基で保護することができる。式(IIa)の化合物は、式(II)の化合物の調製のための中間体であることができる。従って、化合物(II)は、化合物(IIa)から、例えば保護基の除去(脱保護)によって調製することができる。
【0325】
一つの態様において、保護された形態は、アミノ、ヒドロキシル、チオール、及び/又はカルボキシル官能基が保護基によって保護(遮蔽)された化合物である。一つの態様において、保護された形態は、化合物に伴うアミノ酸残基の側鎖官能基が保護された化合物である。
【0326】
式(I)及び(II)の化合物において、5、8及び9位のアミノ酸残基は、Dab残基であり、そしてDab残基の側鎖はアミノ官能基を含む。それぞれのDab残基のアミノ酸官能基は、本明細書中に記載されるようにアミノ保護基で保護することができる。
【0327】
本発明のある態様において、アミノ酸残基-A3-は、存在する場合、側鎖がアミノ官能基を含むアミノ酸残基である。-A3-の例は、Dab、リシン残基、オルニチン残基、及びDab残基を含む。これらの残基のアミノ官能基は、本明細書中に記載されるようなアミノ保護基で保護することができる。
【0328】
本発明のある態様において、アミノ酸残基-A3-は、存在する場合、側鎖がヒドロキシル官能基を含むアミノ酸残基である。-A3-の例は、セリン及びトレオニン残基を含む。これらの残基のヒドロキシル官能基は、本明細書中に記載されるようなヒドロキシル保護基で保護することができる。
【0329】
本発明のある態様において、アミノ酸残基-A2-は、存在する場合、側鎖がヒドロキシル官能基を含むアミノ酸残基である。-A2-の例は、セリン及びトレオニン残基を含む。これらの残基のヒドロキシル官能基は、本明細書中に記載されるようにヒドロキシル保護基で保護することができる。本発明のある態様において、アミノ酸残基-A2-は、存在する場合、側鎖がアミノ官能基を含むアミノ酸残基である。これらの残基のアミノ官能基は、本明細書中に記載されるようなアミノ保護基で保護することができる。
【0330】
本発明のある態様において、アミノ酸残基-A1-は、存在する場合、側鎖がアミノ又はヒドロキシル官能基を含むアミノ酸残基である。例は、-A1-に関連して先に記述したアミノ酸を含む。これらの官能基は、本明細書中に記載されるようなヒドロキシル又はアミノ保護基で保護することができる。
【0331】
アミノ酸残基、例えばアミノ酸残基-A1-は、存在する場合、側鎖が窒素芳香族基、例えばヒスチジン残基中に見出されるようなイミダゾール基を含むアミノ酸残基であることができる。窒素の環の原子は、本明細書中に記載されるようなアミノ保護基で保護することができる。
【0332】
アミノ酸残基、例えばアミノ酸残基-A1-は、存在する場合、側鎖がカルボキシル官能基を含むアミノ酸残基であることができる。この官能基は、本明細書中に記載されるようなカルボキシル保護基で保護することができる。
【0333】
本発明のある態様において、-R10は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、側鎖がヒドロキシル官能基を含むアミノ酸残基である。-R10を含むアミノ酸残基の例は、トレオニンである。この残基のヒドロキシル官能基は、本明細書中に記載されるようにヒドロキシル保護基で保護することができる。
【0334】
ある態様において、-RT又は-RNは、アミノ、ヒドロキシル カルボキシル又はチオール官能基のような官能基を含有する。アミノ、ヒドロキシル カルボキシル又はチオール官能基は、本明細書中に記載されるようにアミノ、ヒドロキシル カルボキシル又はチオール保護基で保護することができる。
【0335】
アミノ酸残基のためのもののような保護基は公知であり、そして当技術において十分に記載されている。
側鎖基保護を、所望によりアミノ及びカルボキシ保護と一緒に有するアミノ酸は、商業的に入手可能である。従って、保護されたポリミキシン化合物は、適当に保護されたアミノ酸出発物質から調製することができる。
【0336】
Velkov等は、適した保護されたアミノ酸を使用する固相上のポリミキシン化合物の調製を段階的に記載している。トレオニン及びDabの保護された形態の使用が開示されている(補足情報を参照されたい)。
【0337】
然しながら、上記で注目したように、Velkov等は、少なくとも6位のアミノ酸残基がVelkov等中で例示されていないという理由のために、式(II)の化合物を記載していない。
【0338】
保護基が使用される場合、これは、ポリミキシン核の構造を実質的に破壊しない条件、例えばアミノ酸残基の立体化学を変更しない条件下で除去可能である。
一つの態様において、保護基は、酸に不安定、塩基に不安定であり、又は還元性条件下で除去可能である。
【0339】
アミノ官能基のための保護基の例は、Boc(tert-ブトキシカルボニル)、Bn(ベンジル、Bzl)、CbZ(Z)、2-CL-Z(2-クロロ)、Dde(1-[4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ(oxocylcohex)-1-イリデン]-3-メチルブチル)、Fmoc(フルオレニルメチルオキシカルボニル)、HSO3-Fmoc(スルホニル化Fmoc、例えば2-スルホ-Fmoc、例えばSchechter et al,J.Med Chem 2002,45(19)4264中に記載されるような)、ivDde(1-[4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン]エチル)、Mmt(4-メトキシトリチル)、Mtt(4-メチルトリチル)、Nvoc(6-ニトロベラトロイルオキシカルボニル(nitroveratroyloxycarbonyl))、及びTfa(トリフルオロアセチル(trifloacetyl))を含む。
【0340】
芳香族窒素官能基のための保護基の例は、Boc、Mtt、Trt及びDnp(ジニトロフェニル)を含む。
一つの態様において、アミノ官能基のための保護基は、Boc、CbZ、Bn並びにFmoc及びHSO3-Fmocから選択される。
【0341】
一つの態様において、アミノ官能基のための保護基は、Boc、Fmoc又はCbZである。
ヒドロキシル官能基のための保護基の例は、Trt(トリチル)、Bn(ベンジル)、tBu(tert-ブチル)、及び2-アセトアミド-2-デオキシ-3,4,6-トリ-Oアセチル-α-ガラクトピラノシルを含む。
【0342】
一つの態様において、アミノ官能基のための保護基は、Trtである。
保護基の更なる例は、シリルエーテル保護基、例えばTMS、TES、TBS、TIPS、TBDMS、及びTBDPSを含む。このような保護基は、例えばTBAFで除去可能である。
【0343】
カルボキシル官能基のための保護基の例は、Bn(ベンジル、Bz)、tBu(tert-ブチル)、TMSET(トリメチルシリルエチル)及びDmab({1-[4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシル-1-イリデン]-3-メチルブチル}アミノベンジル)を含む。
【0344】
芳香族窒素官能基のための保護基の例は、Boc、Mtt、Trt及びDnp(ジニトロフェニル)を含む。
幾つかの態様において、幾つかの種類の官能基のみが保護される。例えば、アミノ基、例えばアミノ酸残基の側鎖のアミノ基のみが保護される。
【0345】
一つの態様において、アミノ基及びヒドロキシル基が保護される。
LogP
本発明の化合物、例えば式(I)又は(II)の化合物は、LogP値として表示されるような、ある限度内の分配係数を有することができる。分配係数は、化合物の親油性の表示を提供することができる。
【0346】
化合物に対するLogP値は、実験的に決定することができる(例えばオクタノール及び水間の化合物の分配によって)か、又はこれは標準的な計算的方法を使用して予測することができる。例えば、LogPに対する言及は、ALogPに対する言及でもあることができ、これは、その内容が本明細書中に参考文献としてその全てが援用されるGhose et al.J.Phys.Chem.A,1998,102,3762-3772によって記載されている方法を使用して決定することができる。従って、ALogPは、LogPに対するGhose/Crippen群の寄与推定値である。
【0347】
一つの態様において、化合物は、LogP値、例えば少なくとも-3.0、少なくとも-3.5、少なくとも-4.0、少なくとも-6.0、少なくとも-6.3、少なくとも-6.5、少なくとも-6.7、又は少なくとも-7.0のALogP値を有する。
【0348】
一つの態様において、化合物は、LogP値、例えば多くとも-2.0、多くとも-3.0、多くとも-3.5、多くとも-4.0、多くとも-4.5、多くとも-5.0、多くとも-5.2、多くとも-5.5、又は多くとも-5.7のALogP値を有する。
【0349】
一つの態様において、化合物は、上記に与えた限度から適当に選択される上限及び下限を有する範囲のLogP値、例えば-5.0ないし-6.3、例えば-5.5ないし-6.3の範囲を有する。
【0350】
上記で考察した限度内のALogP値のようなLogP値を有する化合物は、ポリミキシン感受性及びポリミキシン耐性の両方の細菌株に対する優れた活性を有することが見いだされている。このような化合物は、更に、ポリミキシンBと比較して減少された細胞毒性を有することができる。
【0351】
もう一つの態様において、化合物は、上記に与えた限度から選択される上限及び下限を有する範囲内のLogP値、例えば-2.0ないし-4.0、例えば-2.0ないし-3.5、例えば-2.0ないし-3.0の範囲を有する。
【0352】
上記で考察した限度内のALogP値のようなLogP値を有する化合物は、ポリミキシン耐性の株に対する最適の活性を有することが見出されている。
本発明人等は、適したLogP値を有する化合物は、N末端基(例えば-RT又は-RN基の選択)及び6及び/又は7位のアミノ酸残基(例えば-R6及び/又は-R7の適当な選択による)の適当な選択によって得ることができることを見出している。
【0353】
ポリミキシンB
ポリミキシンBデカペプチドの脱アシル化形態は、以下:
【0354】
【0355】
に示す構造を有し、
ここで、1、2、4、6、7及び10位が示され(ポリミキシンBデカペプチドに対して使用される標準的な番号付け系に対する言及を伴い)、そしてアミノ酸残基は、示さない限りL-配置である。
【0356】
ポリミキシンBノナペプチド、オクタペプチド及びヘプタペプチドの形態は、更に当技術において既知であり、そしてこれらの化合物は、上記に示したデカペプチドのトランケート版である。
【0357】
本発明の化合物は、ポリミキシンBデカペプチド、ノナペプチド、オクタペプチド及びヘプタペプチドの変種であり、ここで、6位及び/又は7位のアミノ酸は、本明細書中に記載するように、もう一つのアミノ酸で置換され、そして所望により、2、3及び10位のアミノ酸残基は、もう一つのアミノ酸残基で置換されている。
【0358】
式(I)の化合物は、ポリペプチド(これはデカペプチド、ノナペプチド又はその他であることができる)のN末端基が修飾されている化合物である。
式(II)の化合物は、N末端アミノ基が所望により修飾されている化合物である。
【0359】
便宜上、本発明の化合物は、1、2、3、6、7又は10位におけるアミノ酸が、それぞれ-A1-、-A2-及び-A3-、-R6、-R7及び-R10基の特質によって決定される式(I)によって表される。先に記載した変種を含む本発明の化合物は、生物学的に活性である。
【0360】
化合物の変種は、一つ又はそれより多い、例えば1ないし5個、例えば1、2、3又は4個のアミノ酸が、もう一つのアミノ酸によって置換されている化合物である。アミノ酸は、6位及び/又は7位、そして所望により1、2、3、及び10位から選択される位置にあることができる(ポリミキシンBにおいて使用される残基の番号付けを参照して)。置換は、もう一つのアミノ酸又は立体異性体に対するものであることができる。
【0361】
調製の方法
式(I)及び(II)の化合物は、当業者にとって既知の方法を使用する慣用的なペプチド合成によって調製される。適した方法は、Yamada et al,J.Peptide Res.64,2004,43-50によって記載されているような溶液相合成、又はVelkov et al.,ACS Chemical Biology,9,2014,1172(補足情報を含む)、de Visser et al.,J.Peptide Res,61,2003,298-306、及びVaara et al.,Antimicrob.Agents and Chemotherapy,52,2008.3229-3236によって記載されているような固相合成を含む。これらの方法は、適した保護戦略、及び環化行程のための方法を含む。
【0362】
本明細書中に示すように、脱アシル化ポリミキシン化合物、例えば脱アシル化ノナペプチドのN末端基を、ポリミキシン化合物の側鎖に存在するアミノ基を誘導体化することなく、誘導体化することは可能である。本明細書中に記載するように、ポリミキシン化合物の側鎖は、N末端基を保護することなく、選択的に保護することができる。次いで、N末端基を反応させて、適当なN末端置換基を提供することができる。側鎖の保護は、その後、除去することができる。
【0363】
本発明人等は、更に、ポリミキシン化合物の6位又は7位のアミノ酸を、合成の方法において修飾することができ、これによって修飾されたアミノ酸を有する産物を有する産物のポリミキシンを提供することを見出している。
【0364】
本発明人等は、ハロゲン化フェニルアラニンアミノ酸残基が、修飾されたアミノ酸の調製のための有用な中間体であることを確認している。ハロゲン基は、有用な反応性官能基であり、そして他の基に対して、例えばクロスカップリング反応、例えばボロン酸又はエステルとのSuzuki型クロスカップリング反応で、金属触媒の存在中で置換することができる。
【0365】
本発明は、6位又は7位のアミノ酸残基が、ハロゲン化フェニル基を含有する式(II)の化合物を提供する。然しながら、本発明は、このような化合物の使用に制約されず、そして式(II)の化合物の変種も更に提供され、そして合成において有用である。例えば、本発明は、更に、式(III)の化合物を提供し、これは、ハロアリール基を含んでなる。
【0366】
一つの態様において、この方法は、フェニルアラニンの修飾である。
本発明の一つの態様において、ハロゲン化ポリミキシン化合物を調製する方法が提供され、この方法は、ポリミキシン化合物をハロゲン化剤で処理する工程を含んでなり、これによってハロゲン化ポリミキシン化合物を提供する。ここで、6位又は7位の一つのアミノ酸残基は、アリール基を含有する。
【0367】
一つの側面において、アリール基、例えばアミノ酸残基中のアリール基を含んでなるポリミキシン化合物をハロゲン化する方法が提供され、この方法は、ポリミキシン化合物をハロゲン化剤で処理することを含んでなる。反応の生成物は、ハロアリール基、例えばアミノ酸残基中のハロアリール基を含有するポリミキシン化合物である。このような化合物は、ハロゲン化ポリミキシン化合物と呼ぶことができる。
【0368】
一つの態様において、ポリミキシン化合物は、フェニルアラニン、チロシン又はヒスチジン残基を含んでなる。
一つの態様において、ポリミキシン化合物は、フェニルアラニン残基を含んでなる。
【0369】
一つの態様において、この方法は、6位又は7位においてフェニルアラニン残基を有するポリミキシン化合物のハロゲン化である。
フェニルアラニン残基のフェニル基は、4位又は2位においてハロゲン化することができ、或いは反応は、二つの混合物を有する生成物を産生することができる。
【0370】
2-及び4-ハロゲン化生成物を、例えばHPLCによって、分離することが可能である。
一つの態様において、ポリミキシン化合物は、α-アミノ酸を含んでなり、ここで、アミノ酸の側鎖は、芳香族基、例えばカルボアリール基を含んでなる。
【0371】
一つの態様において、ポリミキシン化合物は、α-アミノ酸を含んでなり、ここで、アミノ酸の側鎖は、フェニル基を含んでなり、これは所望により置換されている。
一つの態様において、ポリミキシン化合物は、α-アミノ酸を含んでなり、ここで、アミノ酸の側鎖は、ベンジル基を含んでなり、これは所望により置換されている。
【0372】
一つの態様において、式(IV)のポリミキシン化合物の調製のための方法が提供され、この方法は、式(III)のアリール含有ポリミキシン化合物を処理する工程を含んでなる。
【0373】
一つの態様において、式(III)及び(IV)のポリミキシン化合物は、以下の式:
【0374】
【0375】
のように表され、
式中:
-TAは、水素、C1-4アルキル、又はRN-X-であり;
-A1-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A2-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A3-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-X-は、-C(O)-、-NHC(O)-、-OC(O)-、-CH2-又は-SO2-であり;
-RNは、末端基、例えば本明細書中に記載されるとおりの-RT基であり;
-R6は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、アミノ酸残基であり;
-R7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、アミノ酸残基であり;
そして式(IV)の化合物に対して、-R6及び-R7の一つは、ハロアリール基を含んでなり;そして式(III)の化合物に対して、-R6及び-R7の一つは、アリール基を含んでなり
R10は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、トレオニン又はロイシン残基である;
前記化合物及びこれらの塩、溶媒和物、及び/又は保護された形態である。
【0376】
一つの態様において、-R6は、ハロアリール又はアリール基を含んでなる。
一つの態様において、-R7は、ハロアリール又はアリール基を含んでなる。
一つの態様において、-A1-、-A2-、-A3-及びRN-は、所望により置換されたアリール基を含有しない。
【0377】
一つの態様において、-R6及び-R7の一つは、ベンジル基を含んでなり、ここで、フェニルは、ハロで置換、例えば一置換されている。
一つの態様において、-R6及び-R7の一つは、ハロアリール基を含んでなる。
【0378】
一つの態様において、-R6及び-R7の一つは、ブロモアリール基を含んでなる。
一つの態様において、-RN基は、式(II)の化合物のために定義したとおりである。
【0379】
一つの態様において、ポリミキシン化合物は、ポリミキシンBである。従って、-X-は-C(O)-であり、そして-RNは、5-メチルヘプチル、5-メチルヘキシル、ヘプチル、及びヘキシルから選択される。
【0380】
一つの態様において、-RN基は、アリール基を含有せず、例えばカルボアリール又はヘテロアリール基を含有しない。
一つの態様において、-R6は、式(III)の化合物に対してベンジルであり、そしてフェニル基が2又は4位においてハロ、例えばブロモにより置換されている場合(式(IV)の化合物に対して)、-R6はベンジルである。
【0381】
一つの態様において、ハロゲン化反応は、ポリミキシン化合物に対して行われ、ここで、アミノ酸残基の側鎖官能基及び所望により-RN内の官能基は保護されない。本発明人等は、アミノ酸官能基を保護するか、又は-RN内の官能基を保護することを必要とせず、直接ポリミキシン出発物質に対してハロゲン化反応を、好都合に行うことができることを見出している。従って、ハロゲン化生成物は、ポリミキシン出発物質から一工程で産生することができる。
【0382】
ハロゲン化ポリミキシン化合物、例えば化合物(IV)は、基を保護する必要なく調製することができる。このような化合物が調製された後、将来の合成のために、反応性官能基を保護すること(ti)が必要であることができる。
【0383】
式(III)の化合物は、式(IV)の化合物を得るために、ハロゲン化試薬と反応させることができる。
一つの態様において、ハロゲン化試薬は、ブロム化試薬であり、そして反応の生成物は、ブロム化された生成物である。
【0384】
一つの態様において、ハロゲン化試薬は、N-ハロスクシンイミドである。
一つの態様において、ハロゲン化試薬は、NBS(N-ブロモスクシンイミド)、NCS(N-クロロスクシンイミド)、及びNIS(N-ヨードスクシンイミド)から選択される。
【0385】
一つの態様において、ハロゲン化試薬は、NBSである。
一つの態様において、ハロゲン化試薬は、アリール含有化合物のモル量に対して少なくとも1モル当量で使用される。
【0386】
一つの態様において、ハロゲン化試薬は、アリール含有化合物のモル量に対して多くとも2モル当量で使用される。
一つの態様において、ハロゲン化試薬は、アリール含有化合物のモル量に対して概略1.5モル当量で使用される。
【0387】
一つの態様において、ハロゲン化試薬は、ルイス酸と一緒に使用される。
一つの態様において、ルイス酸は、BF3である。
一つの態様において、ルイス酸は、BF3・2H2O及びBF3・2AcOH、例えばBF3・2H2Oから選択される。
【0388】
ルイス酸は、反応のための溶媒であることができる。
更に又は別に(alternatively)、H2O、CH3CN、AcOHは存在することができる。好ましくは、他の溶媒は存在しない。
【0389】
ハロゲン化反応は、周囲温度又はそれ未満で行うことができる。典型的には、ハロゲン化反応は、好ましいルイス酸が5℃未満の温度では結晶化するために、5℃より上で行われる。
【0390】
ハロゲン化ポリミキシン化合物、例えば化合物(IV)は、本明細書中に記載されるような医学的治療の方法において使用するために適している。ハロゲン化ポリミキシン化合物は、更に、以下で更に詳細に記載されるように、別のポリミキシン化合物の調製における中間体として使用するために適している。
【0391】
本発明の一つの側面において、合成の方法が提供され、この方法は、ハロゲン化デカペプチド、ハロゲン化ノナペプチド及びハロゲン化オクタペプチドから選択されるハロゲン化ポリミキシン化合物を消化し、これによってハロゲン化ヘプタペプチドポリミキシン化合物を得る工程を含んでなる。消化は、ポリペプチド内のアミノ酸残基の合計を減少する工程を指す。
【0392】
一つの態様において、式(IVa)の化合物は、式(IVb)の化合物を得るために消化される。
式(IVa)の化合物は、ハロゲン化デカペプチド、ハロゲン化ノナペプチド又はハロゲン化オクタペプチドである。式(IVa)の化合物は、-A3-がアミノ酸残基である式(IV)の化合物である。式(IVa)の化合物は、-R6又は-R7が、ハロアリール基を含んでなる化合物である。開裂反応後、ハロアリール基は、開裂された生成物中に保持される。
【0393】
式(IVb)の化合物は、ハロゲン化ヘプタペプチドポリミキシン化合物である。式(IVb)の化合物は、-A1-、-A2-及び-A3-が非存在であり、そして-TAが水素である式(IV)の化合物である。ここで、式(IVa)の化合物が、-R6又は-R7がハロアリール基を含んでなる化合物であり、式(IVb)の化合物は、-R6又は-R7がハロアリール基を含んでなる化合物であることが生じる。
【0394】
一つの態様において、プロテアーゼ、例えばセリンプロテアーゼ、例えばスブチリシンが消化の方法において使用される。
一つの態様において、ハロゲン化ポリミキシン化合物を消化するために、サビナーゼが使用される。
【0395】
式(IVb)の化合物は、ポリミキシン化合物の調製のための有用な中間体である。式(IVb)の化合物は、非修飾のN末端を有し、そしてこの末端を官能化することができる。式(IVb)の化合物は、更に、ハロアリール基を有し、そしてハロゲンは、置換されたアリール基を得るために、もう一つの基で置換することができる。
【0396】
従って、一つの側面において、合成の方法が提供され、この方法は、ハロゲン化ヘプタペプチドポリミキシン化合物のN末端を修飾して、ハロゲン化デカペプチド、ハロゲン化ノナペプチド又はハロゲン化オクタペプチドを有するハロゲン化ポリミキシン化合物を得る工程を含んでなり、ここにおいて、ハロゲン化デカペプチド、ハロゲン化ノナペプチド又はハロゲン化オクタペプチドのN末端は、所望により修飾され、そしてハロゲン化ヘプタペプチドは、修飾されたN末端を有する。
【0397】
一つの態様において、ハロゲン化ヘプタペプチドポリミキシン化合物は、式(IVb)の化合物である。反応の生成物は、以下の式(V):
【0398】
【0399】
のポリミキシン化合物であり、
式中:
-TAは、水素、C1-4アルキル、又はRN-X-であり;
-A1-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A2-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A3-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
そして-A1-、-A2-、及び-A3-が非存在である場合、-TAは、C1-4アルキル又はRN-X-であり;
-X-は、-C(O)-、-NHC(O)-、-OC(O)-、-CH2-又は-SO2-であり;
-RNは、末端基、例えば本明細書中に記載されるとおりの-RT基であり;
-R6は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、アミノ酸残基であり;
-R7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、アミノ酸残基であり;
そして-R6及び-R7の一つは、-R6又は-R7が接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、ハロアリール基を有するアミノ酸残基であり;
R10は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、トレオニン又はロイシン残基である;
前記化合物及びこれらの塩、溶媒和物、及び/又は保護された形態である。
【0400】
化合物(V)は、典型的には(IVb)からアミドカップリング反応によって形成される。従って、式(IVb)の化合物中の末端アミノ基は、アミド生成物を得るために、適当なカルボン酸化合物又は活性化されたカルボン酸化合物と反応させられる。
【0401】
カルボン酸化合物は、以下の式(IVc):
【0402】
【0403】
の化合物、及びその活性化された形態であることができ、
ここで、-A1-、-A2-、-A3-及び-TAは、式(V)の化合物と同じ意味を有する。
【0404】
一つの態様において、カルボン酸のアミンとの反応は、当技術において公知であるように、一つ又はそれより多いアミドカップリング試薬の存在中で行うことができる。カップリング試薬は、所望により塩基、例えば有機塩基と一緒に使用することができる。
【0405】
使用するために適したアミドカップリング試薬は、以下に更に詳細に記載されるような、カルボジイミド(例えば、FDC及びDCC)、ホスホニウム塩(例えば、PyBOP)、並びにウロニウム(uronium)及びグアニジニウム塩(例えば、HATU及びHBTU)を含む。
【0406】
カルボジイミドは、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボ-ジイミド(EDC)、1-tert-ブチル-3-エチルカルボジイミド、N-シクロヘキシル-N’-2-モルホリノエチル)カルボジイミド、及びジイソプロピルカルボジイミドを含むことができる。
【0407】
ホスホニウム塩は、ヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウム(PyBoP)、ヘキサフルオロリン酸(7-アザベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム(PyAOP)及びヘキサフルオロリン酸クロロトリピロリジノホスホニウム(PyBroP)含むことができる。
【0408】
ウロニウム(uronium)及びグアニジニウム塩は、特に、ヘキサフルオロリン酸O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム(HBTU)、テトラフルオロリン酸O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム(TBTU)、ヘキサフルオロリン酸O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム(HATU)、テトラフルオロホウ酸N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(N-スクシンイミジル)ウロニウム(TSTU)及びテトラフルオロホウ酸O-[(エトキシカルボニル)シアノメチレンアミノ]-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム(TNTU)を含む。
【0409】
他のベンゾトリアゾール含有薬剤、例えばN-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)及び1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)を含む他の薬剤、又は1-(メシチレン-2-スルホニル)-3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール(MSNT)及びプロピルホスホン酸無水物(T3P)のような試薬を使用することができる。
【0410】
カップリング試薬の例は、商業的供給源、例えばChemFiles 2007,4, No.2中に記載されているようなSigma-Aldrichから入手可能である。
上記で注目したように、酸及びカルボン酸の反応は、塩基の存在中で行うことができる。塩基の例は、アルキルアミン塩基、例えばN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)及びトリエチルアミン(TEA)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ピリジン、及び4-メチルモルホリン(NMM)を含む。
【0411】
アミド形成反応は、溶媒又は溶媒混合物中で行うことができる。使用するための溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)及びジクロロメタン(DCM)、トルエン並びにアセトニトリルを含むことができる。他のアルキルホルムアミド、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、及びニトリルのような他の溶媒を、必要に応じて使用することができる。
【0412】
アミド形成反応において使用されるカルボン酸化合物は、カルボン酸の活性化された形態を事前形成するために、アミドカップリング試薬と最初に反応させることができる。次いで、アミン化合物を、その後反応混合物に加えることができる。これは必須ではなく、そして反応成分は、本明細書中の作業実施例中に記載されるように、別の順序で混合することができる。
【0413】
カルボン酸の活性化形態は、ハロゲン化アシル、ハロギ酸塩、酸無水物、又はカルボン酸エステルを含む。カルボン酸は、当技術において既知の方法によって、ハロゲン化アシル、ハロギ酸塩、酸無水物、又はカルボン酸エステルを形成するために反応させることができる。
【0414】
本発明の一つの側面において、合成の方法が提供され、この方法は、置換された芳香族基を有するポリミキシンを得るために、ハロゲン化ポリミキシン化合物内のハロゲンを置換する工程を含んでなる。ハロゲン化ポリミキシン化合物は、ハロアリール基を有する化合物である。
【0415】
一つの態様において、ハロゲン化ヘプタペプチドポリミキシン化合物は、式(IV)の化合物である。反応の生成物は、以下の式(VI):
【0416】
【0417】
のポリミキシン化合物であり、
式中:
-TAは、水素、C1-4アルキル、又はRN-X-であり;
-A1-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A2-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A3-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
そして-A1-、-A2-、及び-A3-が非存在である場合、-TAは、C1-4アルキル又はRN-X-であり;
-X-は、-C(O)-、-NHC(O)-、-OC(O)-、-CH2-又は-SO2-であり;
-RNは、末端基、例えば本明細書中に記載されるとおりの-RT基であり;
-R6は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、アミノ酸残基であり;
-R7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、アミノ酸残基であり;
そして-R6又は-R7の一つは、置換されたアリール基を含んでなり
R10は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、トレオニン又はロイシン残基である;
前記化合物及びこれらの塩、溶媒和物、及び/又は保護された形態である。
【0418】
一つの態様において、-R6は、置換されたアリール基、例えばベンジル基を含んでなる。
一つの態様において、-R7は、置換されたアリール基、例えばベンジル基を含んでなる。
【0419】
置換反応は、クロスカップリング反応であることができる。
置換反応は、金属触媒置換反応であることができる。
置換反応は、Pd触媒置換反応であることができる。
【0420】
置換反応は、Suzukiに基づくカップリング(置換)反応であることができる。従って、ハロアリール含有ポリミキシン化合物を、ボロン酸又はエステルと、金属触媒の存在中で反応させて、置換された生成物を得る。
【0421】
一つの態様において、置換されたアリール基は、-RFで置換されたアリールであり、ここで、-RFは、所望により置換されたC1-12アルキル、所望により置換されたC2-12アルケニル、所望により置換されたC2-12アルキニル、所望により置換されたC3-10シクロアルキル、所望により置換されたC3-10ヘテロシクリル、所望により置換されたC5-12アリールから選択され、そして所望による置換基は、ハロ、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、及びアリールから選択される一つ又はそれより多い置換基を有することができ、アルキル アルケニル、及びアルキニル基は、アルキル アルケニル、及びアルキニル基に対する置換基ではないことを除く。適した基は、-R6のための-RPの定義に関連して記載されている。
【0422】
一つの態様において、置換されたアリール基は、所望によりC5-12アリールで置換されたアリールである。
従って、置換反応は、ハロアリール基の-RF基を含有する反応性の相手との反応を含む。例えば、反応性に相手は、-RF基を含んでなるボロン酸又はエステルである。
【0423】
修飾されたN末端を有するハロゲン化ポリミキシン化合物は、修飾されたN末端を有する置換されたポリミキシン化合物を得るために、更に反応させることができる。
本発明の一つの側面において、合成の方法が提供され、この方法は、修飾されたN末端及び置換された芳香族基を有するポリミキシン生成物を得るために、修飾されたN末端を有するハロゲン化ポリミキシン化合物内のハロゲンを置換する工程を含んでなる。修飾されたN末端を有するハロゲン化ポリミキシン化合物は、ハロアリール基を持つアミノ酸残基を有する化合物である。
【0424】
置換反応に対する言及に伴う用語“置換された”は、本明細書中で使用する場合、もう一つの基によるハロゲン基の型どおりの置換を指す(これは異なった種類のハロゲン基であることができる)。
【0425】
一つの態様において、この方法は、異なったハロゲン基によるハロゲン基の置換である。
この反応の方法は、商業的に入手可能な出発物質又は天然に産生する出発物質を、式(I)又は(II)の化合物に転換することを可能にする。
【0426】
本発明の更なる側面において、アリール含有ポリミキシン化合物を還元する方法、例えば式(III)又は(VI)の化合物、例えば(III)又は(VI)の保護された形態を還元するための(or)方法が提供される。
【0427】
一つの態様において、この方法は、式(III)又は(VI)の化合物或いはこれらの保護された形態を、金属触媒と、水素の存在中で接触させ、これによってアリール基を還元する工程を含んでなる。金属触媒は、酸化白金であることができる。
【0428】
このような方法は、本明細書中で例示するように、フェニル含有化合物からのシクロヘキシル含有化合物の調製のために特に有用である。
活性剤
式(I)又は(II)の化合物は、それぞれ第2の薬剤と一緒に使用することができる。本発明人等は、このような組合せが、両方の化合物の個々の活性から予測されるものであるものより大きい生物学的活性を有することを見出している。特に、式(I)又は(II)の化合物は、その薬剤の抗微生物、例えばグラム陰性細菌に対する活性を向上するために、第2の薬剤と一緒に使用することができる。
【0429】
理論によって束縛されることを望むものではないが、式(I)又は(II)の化合物が細胞、例えばグラム陰性細菌細胞の外部膜に作用して、その細胞への第2の薬剤の取込みを容易にすると信じられる。従って、他の方法では外部膜を通過することが不能又は不良である薬剤が、式(I)又は(II)の化合物の作用によって標的細胞に取り込まれることができる。
【0430】
一つの態様において、式(I)又は(II)の化合物の第2の薬剤との組合せは、グラム陰性細菌に対して活性である。ここで、式(I)又は(II)の化合物或いは第2の薬剤のいずれかが、個々にグラム陰性細菌に対する活性を有することは必須ではない。
【0431】
一つの態様において、第2の薬剤は、特定の微生物、例えば細菌に対する、10より小さい、5より小さい、又は1マイクログラム/mLより小さい測定されたMIC値を有する薬剤である。微生物は、グラム陰性細菌、例えばE.coli、S.enterica、K.pneumoniae、K.oxytoca;E.cloacae、E.aerogenes、E.agglomerans、A.calcoaceticus、A.baumannii;Pseudomonas aeruginosa、Stenotrophomonas maltophila、Providencia stuartii、P.mirabilis、及びP.vulgarisからなる群から選択されるグラム陰性細菌である。
【0432】
グラム陰性細菌に対する活性を有する第2の薬剤の例は、ベータ-ラクタム、テトラサイクリン、アミノグリコシド及びキノロンを含む。
一つの態様において、第2の薬剤は、特定の微生物、例えばグラム陰性細菌に対する、4より多い、8より多い、16より多い、又は32マイクログラム/mLより多い測定されたMIC値を有する薬剤である。この態様において、第2の薬剤は、グラム陽性細菌に対して活性であることができる。例えば、第2の薬剤は、特定のグラム陽性細菌に対する、10より少ない、5より少ない、又は1マイクログラム/mLより少ない測定されたMIC値を有する薬剤である。ここで、式(I)又は(II)の化合物は、第2の薬剤のグラム陰性細菌細胞への取込みを容易にするために作用する。従って、第2の薬剤は、グラム陰性細菌の細胞内の標的に作用することが可能であり、この標的は、グラム陽性細菌の細胞内の第2の薬剤の標的と同じであることができる。
【0433】
グラム陽性細菌は、Staphylococcus及びStreptococcus bacteria、例えばS.aureus(MRSAを含む)、S.epidermis、E.faecalis、及びE.faeciumからなる群から選択することができる。
【0434】
グラム陽性細菌に対して活性を有し(例えば、上記で与えたMIC値で)、そしてグラム陰性細菌に対して中程度の活性を有する第2の薬剤の例は、リファンピシン、ノボビオシン、マクロライド、プレウロムチリンを含む。一つの態様において、グラム陰性細菌に対して中程度の活性を有する化合物は、32より小さい、64より小さい、又は128マイクログラム/mLより小さいグラム陰性細菌に対する測定されたMIC値を有することができる。
【0435】
更に使用するために適したものは、グラム陽性細菌に対する活性を有し、そしてグラム陰性細菌に対して本質的に不活性である薬剤である。例は、フシジン酸、オキサゾリジノン(oxazolidinine)(例えばリネゾリド)、グリコペプチド(例えばバンコマイシン)、ダプトマイシン及びランチビオティクスを含む。
【0436】
一つの態様において、グラム陰性細菌に対して本質的に活性を持たない化合物は、グラム陰性細菌に対する32より多い、64より多い、128より多い、256マイクログラム/mLより多い測定されたMIC値を有することができる。
【0437】
通常の状況下で、このような薬剤は、グラム陰性細菌細胞の外部膜を通過する比較的不良なその能力のために、グラム陰性細菌に対する使用に対して必ずしも適していない。上記で説明したように、式(I)又は(II)の化合物と一緒に使用する場合、このような薬剤は使用のために適している。
【0438】
一つの態様において、活性剤は、リファンピシン(リファンピン)、リファブチン、リファラジル、リファペンチン、リファキシミン、アズトレオナム、オキサシリン、ノボビオシン、フシジン酸、アジスロマイシン、シプロフロキサシン、メロペネム、チゲサイクリン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン及びムピロシン、並びに医薬的に受容可能なこれらの塩、溶媒和物及びプロドラッグの形態からなる群から選択することができる。
【0439】
本発明人等は、式(I)及び(II)のポリミキシン化合物が、リファマイシンファミリーのある種の化合物と一緒に、微生物感染を治療するために使用することができることを見出している。リファマイシンファミリーは、単離菌のリファマイシンA、B、C、D、E、S及びSV、並びにこれらの化合物の合成的に誘導体化された変種、例えばリファンピシン(リファンピン)、リファブチン、リファラジル、リファペンチン、及びリファキシミン、並びに医薬的に受容可能なこれらの塩及び溶媒和物を含む。一つの態様において、活性剤は、リファンピシン(リファンピン)及び医薬的に受容可能なその塩、溶媒和物及びプロドラッグの形態である。
【0440】
塩、溶媒和物及び他の形態
式(I)及び(II)の化合物の塩の例は、全ての医薬的に受容可能な塩、例えば、制約されるものではないが、強無機酸の酸付加塩、例えばHCl及びHBr塩、並びに強有機酸の付加塩、例えばメタンスルホン酸塩を含む。塩の更なる例は、硫酸塩及び酢酸塩、例えばトリフルオロ酢酸塩又はトリクロロ酢酸塩を含む。
【0441】
一つの態様において、本開示の化合物は、硫酸塩又はトリフルオロ酢酸(TFA)塩として提供される。一つの態様において、本開示の化合物は、酢酸塩として提供される。
式(I)及び(II)の化合物は、更にプロドラッグとして処方することができる。プロドラッグは、本明細書中に記載される、一つ又はそれより多いアミノ基が、in vivoで開裂して、生物学的に活性な化合物を放出することができる基で保護されている抗細菌化合物含むことができる。一つの態様において、プロドラッグは、“アミンプロドラッグ”である。アミンプロドラッグの例は、例えば、Bergen et al,Antimicrob.Agents and Chemotherapy,2006,50,1953中に記載されているようなスルホメチル、又は例えばSchechter et al,J.Med Chem 2002,45(19)4264中に記載されているようなHSO3-FMOC及びその塩を含む。アミンプロドラッグの更なる例は、Krise and Oliyai in Biotechnology:Pharmaceutical Aspects,2007,5(2),101-131によって与えられている。
【0442】
一つの態様において、式(I)又は(II)の化合物は、プロドラッグとして提供される。
式(I)又は(II)の化合物、或いは本明細書中に記載される他の化合物に対する言及は、更に、この化合物の溶媒和物に対する言及でもある。溶媒和物の例は、水和物を含む。
【0443】
式(I)又は(II)の化合物、或いは本明細書中に記載される他の化合物は、原子が、天然に存在する又は天然に存在しない同位元素によって置換された化合物を含む。一つの態様において、同位元素は、安定な同位元素である。従って、本明細書に記載される化合物は、例えば重水素を含有する化合物等を含む。例えば、Hは、1H、2H(D)、及び3H(T)を含むいずれもの同位元素の形態であることができ;Cは、12C、13C、及び14Cを含むいずれもの同位元素の形態であることができ;Oは、16O及び18Oを含むいずれもの同位元素の形態であることができる;等である。
【0444】
式(I)又は(II)のある種の化合物、或いは本明細書中に記載される他の化合物は、制約されるものではないが、cis及びtrans型;E及びZ型;c、t、及びr型;エンド及びエキソ型;R、S及びメソ型;D及びL型;d及びl型;(+)及び(-)型;ケト、エノール、及びエノラート型;シン及びアンチ型;向斜及び背斜型;α及びβ型;アキシアル及びエクアトリアル型;ボート、イス、ネジレ、封筒、及び半イス型;及びこれらの混合物を含む一つ又はそれより多い特定の幾何、光学、鏡像異性、ジアステレオ異性、エピマー、アトロプ、立体異性、互変異性、配座異性、又はアノマーの形態で存在することができ、本明細書中で、以下集合的に“異性体”(又は異性の形態)と呼ぶ。
【0445】
互変異性型に対して以下で考察されるようなものを除き、本明細書中で使用されるような“異性体”の用語から具体的に除外されるものは、構造的(構成的)異性体(即ち、単に空間中の原子の位置によるより、むしろ原子間の接続において異なっている異性体)であることに注目されたい。例えば、メトキシ基、-OCH3に対する言及は、その構造異性体、ヒドロキシメチル基、-CH2OHに対する言及とは解釈されない。同様に、オルト-クロロフェニルに対する言及は、その構造異性体、メタ-クロロフェニルに対する言及とは解釈されない。然しながら、構造の群に対する言及は、その群に入る構造的異性の形態を十分に含むことができる(例えば、C1-6アルキルは、n-プロピル及びイソ-プロピルを含み;ブチルは、n-、イソ-、sec-、及びtert-ブチルを含み;メトキシフェニルは、オルト-、メタ-、及びパラ-メトキシフェニルを含む)。
【0446】
他に規定しない限り、特定の化合物に対する言及は、その混合物(例えば、ラセミ混合物)を含む全てのこのような異性の形態をも含む。このような異性の形態の調製(例えば不斉合成)及び分離(例えば、分別結晶化及びクロマトグラフ的手段)の方法は、当技術において既知であるか、又は本明細書中で教示される方法、又は既知の方法、或いは既知の様式を適合することによるかのいずれかによって容易に得ることができる。
【0447】
本発明の一つの側面は、実質的に精製された形態及び/又は実質的に混入物を含まない形態の化合物に関する。
一つの態様において、実質的に精製された形態は、少なくとも50重量%、例えば少なくとも60重量%、例えば少なくとも70重量%、例えば少なくとも80重量%、例えば少なくとも90重量%、例えば少なくとも95重量%、例えば少なくとも97重量%、例えば少なくとも98重量%、例えば少なくとも99重量%である。
【0448】
規定されない場合、実質的に精製された形態は、いずれもの立体異性又は鏡像異性の形態の化合物を指す。例えば、一つの態様において、実質的に精製された形態は、即ち、他の化合物に関して精製された、立体異性体の混合物を指す。一つの態様において、実質的に精製された形態は、一つの立体異性体、例えば光学的に純粋な立体異性体を指す。一つの態様において、実質的に精製された形態は、鏡像異性体の混合物を指す。一つの態様において、実質的に精製された形態は、鏡像異性体の等モルの混合物(即ち、ラセミ混合物、ラセミ体)を指す。一つの態様において、実質的に精製された形態は、一つの鏡像異性体、例えば光学的に純粋な鏡像異性体を指す。
【0449】
一つの態様において、混入物は、50重量%より多くない、例えば40重量%より多くない、例えば30重量%より多くない、例えば20重量%より多くない、例えば10重量%より多くない、例えば5重量%より多くない、例えば3重量%より多くない、例えば2重量%より多くない、例えば1重量%より多くないことを表す。
【0450】
規定しない限り、混入物は、他の化合物、即ち、立体異性体又は鏡像異性体以外のものを指す。一つの態様において、混入物は、他の化合物及び他の立体異性体を指す。一つの態様において、混入物は、他の化合物及び他の鏡像異性体を指す。
【0451】
一つの態様において、実質的に精製された形態は、少なくとも60%光学的に純粋(即ち、モル基準で化合物の60%が、所望の立体異性体又は鏡像異性体であり、そして40%は所望しない立体異性体又は鏡像異性体である)、例えば少なくとも70%光学的に純粋、例えば少なくとも80%光学的に純粋、例えば少なくとも90%光学的に純粋、例えば少なくとも95%光学的に純粋、例えば少なくとも97%光学的に純粋、例えば少なくとも98%光学的に純粋、例えば少なくとも99%光学的に純粋である。
【0452】
治療の方法
式(I)又は(II)の化合物、或いはこれらの化合物を含有する医薬的製剤は、治療及び予防の方法における使用のために適している。化合物は、それを必要とする被験者に投与することができる。化合物は、活性剤(“第2の活性剤”)、例えば第2の活性剤、即ち、抗細菌剤と一緒の使用のために適している。
【0453】
式(I)又は(II)の化合物は、療法によるヒト又は動物の身体の治療の方法における使用のためのものである。本発明の幾つかの側面において、式(I)又は(II)の化合物は、微生物感染を治療するために、哺乳動物の被験者、例えばヒトに投与することができる。
【0454】
本発明のもう一つの側面は、治療における使用のための医薬の製造における式(I)又は(II)の化合物の使用に関する。一つの態様において、医薬は、式(I)又は(II)の化合物を含んでなる。一つの態様において、医薬は、微生物感染の治療における使用のためのものである。
【0455】
用語“微生物感染”は、宿主動物の病原性微生物による侵襲を指す。これは、動物の身体中又は身体上に通常存在する微生物の過剰な増殖を含む。更に一般的に、微生物感染は、微生物集団(一つ又は複数)の存在が宿主動物を損傷しているいずれもの状況であることができる。従って、動物は、過剰の数の微生物集団が動物の身体中に又は身体上に存在する場合、或いは微生物集団(一つ又は複数)の存在が動物の細胞又は他の組織を損傷している場合、微生物感染に“罹って”いる。
【0456】
化合物は、微生物感染、又は微生物、例えば細菌からの感染の危険性を有する被験者を治療するために使用することができる。
微生物感染は、細菌感染、例えばグラム陰性菌感染であることができる。
【0457】
グラム陰性菌の例は、制約されるものではないが、Escherichia spp.、Klebsiella spp.、Enterobacter spp.、Salmonella spp.、Shigella spp.、Citrobacter spp.、Morganella morganii、Yersinia pseudotuberculosis及び他の腸内細菌科、Pseudomonas spp.、Acinetobacter spp.、Moraxella、Helicobacter、Stenotrophomonas、Bdellovibrio、酢酸バクテリア、Legionella及びアルファ-プロテオバクテリア、例えばWolbachia及び多くの他のものを含む。
【0458】
医学的に関連するグラム陰性球菌は、性感染症(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎(Neisseria meningitidis)、及び呼吸器症状(Moraxella catarrhalis)を起こす三つの生物体を含む。
【0459】
医学的に関連するグラム陰性桿菌は、多数の種を含む。その幾つかは、主として、呼吸器の問題(Hemophilus influenzae,Klebsiella pneumoniae,Legionella pneumophila,Pseudomonas aeruginosa)、主として尿の問題(Escherichia coli, Enterobacter cloacae)、及び主として消化器の問題(Helicobacter pylori、Salmonella enterica)を起こす。
【0460】
院内感染に関係するグラム陰性細菌は、Acinetobacter baumanniiを含み、これは、菌血症、続発性髄膜炎、及び病院施設の集中治療室の人工呼吸器関連肺炎を起こす。
【0461】
一つの態様において、グラム陰性細菌種は、E.coli、S.enterica、K.pneumoniae、K.oxytoca;E.クロアカ、E.エロゲネス、E.アルロメランス、A.calcoaceticus、A.baumannii;Pseudomonas aeruginosa、Stenotrophomonas maltophila、Providencia stuartii、P.mirabilis、及びP.vulgarisからなる群から選択される。
【0462】
一つの態様において、グラム陰性細菌種は、E.coli、K.pneumoniae、Pseudomonas aeruginosa、及びA.baumanniiからなる群から選択される。
【0463】
式(I)又は(II)の化合物或いは同一物を含んでなる組成物は、皮膚及び軟組織感染、消化器感染、尿路感染、肺炎、敗血症、腹腔内感染及び産/婦人科感染の治療のために有用である。感染は、グラム陽性又はグラム陰性細菌感染であることができる。
【0464】
式(I)又は(II)の化合物或いは同一物を含んでなる組成物は、P.aeruginosa感染を含むPseudomonas感染、例えば皮膚及び軟組織感染、消化器感染、尿路感染、肺炎及び敗血症の治療のために有用である。
【0465】
式(I)又は(II)の化合物或いは同一物を含んでなる組成物は、肺炎、尿路感染及び敗血症に対する、A.baumanii感染を含むAcinetobacter感染の治療のために有用である。
【0466】
式(I)又は(II)の化合物或いは同一物を含んでなる組成物は、肺炎、尿路感染、髄膜炎及び敗血症に対する、K.pneumoniae感染を含むKlebsiella感染の治療のために有用である。
【0467】
式(I)又は(II)の化合物或いは同一物を含んでなる組成物は、菌血症、胆嚢炎、胆管炎、尿路感染、新生児髄膜炎、及び肺炎に対する、E.coli感染を含むE.coli感染の治療のために有用である。
【0468】
活性剤は、微生物に対する活性を有する薬剤であることができる。活性剤は、グラム陰性細菌に対して活性であることができる。活性剤は、上記に与えたリストから選択される微生物に対して活性であることができる。
【0469】
一つの態様において、第2の活性剤は、式(I)又は(II)の化合物の非存在において、微生物、例えばE.coliに対する10マイクログラム/mL又はそれより小さいMIC値を有する。微生物は、上記の群から選択される微生物であることができる。
【0470】
第2の活性剤としての使用のための具体的な化合物は、本明細書中に記載され、そして:
リファンピシン、リファブチン、リファラジル、リファペンチン、及びリファキシミン;
オキサシリン、メチシリン、アンピシリン、クロキサシリン、カルベニシリン、ピペラシリン、チカルシリン(tricarcillin)、フルクロキサシリン、及びナフシリン;
アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、テリスロマイシン、セスロマイシン、及びソリスロマイシン;
アズトレオナム及びBAL30072;
メロペネム、ドリペネム、イミペネム、エルタペネム、ビアペネム、トモペネム、及びパニペネム;
チゲサイクリン、オマダサイクリン、エラバサイクリン、ドキシサイクリン、及びミノサイクリン;
シプロフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、及びデラフロキサシン;
フシジン酸;
ノボビオシン;
テイコプラニン、テラバンシン、ダルババンシン、及びオリタバンシン;
並びに医薬的に受容可能なこれらの塩及び溶媒和物;
を含む。
【0471】
一つの態様において、第2の活性剤としての使用のための具体的な化合物は、本明細書中に記載され、そしてリファンピシン(リファンピン)、リファブチン、リファラジル、リファペンチン、リファキシミン、アズトレオナム、オキサシリン、ノボビオシン、フシジン酸、アジスロマイシン、シプロフロキサシン、メロペネム、チゲサイクリン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、及びムピロシン、並びに医薬的に受容可能なこれらの塩及び溶媒和物を含む。
【0472】
別の側面において、式(I)の化合物は、例えば抗真菌剤と一緒の組合せにおいて、真菌感染の治療における使用のために適している。抗真菌剤は、ポリエン抗真菌剤、例えばアンホテリシンB、イミダゾール、トリアゾール、又はチアゾール真菌剤、例えばミコナゾール(micaonazole)、フルコナゾール又はアバファンジン(abafungin)、アリルアミン、エキノキャンディン、又は他の薬剤、例えばシクロピロクスから選択することができる。
【0473】
治療
用語“治療”は、症状を治療する文脈において本明細書中で使用される場合、ヒト又は動物(例えば獣医学的適用)であるかに関わらず、一般的に、幾つかの所望の治療効果、例えば、症状の進行の阻害が達成される治療及び療法に関係し、そして進行の速度の減少、進行の速度の停止、症状の徴候の軽減、症状の回復、及び症状の治癒を含む。予防的手段(即ち予防法)としての治療も更に含まれる。例えば、症状をいまだ発症していないが、しかし症状を発症する危険性を持つ患者に伴う使用は、用語“治療”に包含される。
【0474】
用語“治療的に有効な量”は、本明細書中で使用する場合、所望の治療計画によって投与された場合、妥当な利益/危険度比と釣り合った、ある程度の所望の治療効果を産生するために有効な化合物、又は物質、化合物を含んでなる組成物又は剤形の量に関する。
【0475】
用語“治療”は、本明細書中に記載されるような組合せ治療及び療法を含み、ここにおいて、二つ又はそれより多い治療剤又は療法が、例えば連続的に又は同時に組合される。
組合せ療法
式(I)又は(II)の化合物は、活性剤と併せて投与することができる。
【0476】
投与は、同時、別個又は連続であることができる。
投与の方法及び様式は、式(I)又は(II)の化合物及び第2の薬剤の薬物動態に依存するものである。
【0477】
“同時”投与によって、式(I)又は(II)の化合物及び第2の薬剤が、同一経路の投与による単一投与で被験者に投与されることを意味する。
“別個”投与によって、式(I)又は(II)の化合物及び第2の薬剤が、同時に起こる二つの異なった経路の投与によって被験者に投与されることを意味する。これは、例えば一つの薬剤が注入によって投与され、そして他方が、注入の過程中に経口投与される場合に起こることができる。
【0478】
“連続”によって、二つの薬剤が異なった時点で投与されることを意味するが、但し、第2の薬剤が投与された時点で、最初に投与された薬剤の活性が被験者中に存在し、そして継続していることを条件とする。
【0479】
一般的に、連続投与は、二つの薬剤の二番目が、第1の薬剤の48時間内に、好ましくは24時間内、例えば12、6、4、2又は1時間(単数又は複数)内に投与されるように起こるものである。別の方法として、最初に活性剤を、続いて式(I)又は(II)の化合物を投与することができる。
【0480】
最終的に、組合せ治療における化合物及び第2の薬剤の投与の順序並びに時間は、それぞれの薬物動態学的特性に依存するものである。
被験者に投与される式(I)又は(II)の化合物の量は、最終的に、治療される被験者の特質及び疾病に依存するものである。同様に、被験者に投与される活性剤の量は、最終的に、治療される被験者及び疾病の特質に依存するものである。
【0481】
製剤
一つの側面において、本発明は、式(I)又は(II)の化合物を、医薬的に受容可能な担体と一緒に含んでなる医薬組成物を提供する。医薬組成物は、第2の活性剤を更に含んでなることができる。別の態様において、第2の薬剤が治療における使用のために提供される場合、第2の薬剤は、式(I)又は(II)の化合物と別個に処方することができる。従って、式(I)又は(II)の化合物に関して以下で行われる解説は、別個に処方される場合、第2の薬剤にも適用することができる。
【0482】
式(I)又は(II)の化合物を、単独で又は第2の薬剤と一緒に投与することは可能であるが、これを、少なくとも一つの本明細書中に記載するような式(I)又は(II)の化合物と、制約されるものではないが、医薬的に受容可能な担体、希釈剤、賦形剤、アジュバント、充填剤、緩衝剤、保存剤、抗酸化剤、潤滑剤、安定剤、可溶化剤、界面活性剤(例えば、湿潤剤)、遮蔽剤、着色剤、芳香剤、及び甘味剤を含む、一つ又はそれより多い当業者にとって公知の他の医薬的に受容可能な成分とを一緒に含んでなる医薬製剤(例えば、組成物、製剤、医薬)として与えることが好ましい。製剤は、更に他の活性剤、例えば、他の治療又は予防剤を含んでなることができる。
【0483】
従って、本発明は、更に、先に定義したような医薬組成物、及び本明細書中に記載されるような少なくとも一つの式(I)又は(II)の化合物を、一つ又はそれより多い当業者にとって公知の他の医薬的に受容可能な成分、例えば、担体、希釈剤、賦形剤、等と一緒に混合することを含んでなる医薬組成物を製造する方法を提供する。別々の単位(例えば、錠剤、等)として処方される場合、それぞれの単位は、所定の量(投与量)の化合物を含有する。組成物は、所望により更に、第2の活性成分を所定の量で含んでなる。
【0484】
用語“医薬的に受容可能”は、本明細書中で使用する場合、健全な医学的判断の範囲において、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、或いは他の問題又は合併症を伴わずに、妥当な利益/危険度の比と釣り合って、当該被験者(例えばヒト)の組織との接触における使用のために適している化合物、成分、物質、組成物、剤形、等に関する。それぞれの担体、希釈剤、賦形剤、等は、更に、製剤の他の成分と適合性であるという意味で“受容可能”でなければならない。
【0485】
適した担体、希釈剤、賦形剤、等は、標準的な医薬の教科書、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th edition,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1990;及びHandbook of Pharmaceutical Excipients,5th edition,2005中に見出すことができる。
【0486】
製剤は、薬学の技術で公知のいずれもの方法によって調製することができる。このような方法は、式(I)又は(II)の化合物を、一つ又はそれより多い補助成分を構成する担体と混合する工程を含む。一般的に、製剤は、化合物を担体(例えば、液体担体、微細に分割された担体、等)と共に均一に、そして緊密に混合し、そして次いで、必要な場合、生成物を成形することによって調製される。
【0487】
製剤は、急速又は緩慢放出;即時、遅延、時限、又は継続放出;或いはこれらの組合せで提供するために調製することができる。
製剤は、適当には、液体、溶液(例えば、水性、非水性)、懸濁液(例えば、水性、非水性)、乳液(例えば、水中油、油中水)、エリキシル、シロップ、舐剤、口腔洗浄剤、ドロップ、錠剤(例えば、被覆錠剤を含む)、顆粒、粉末、ロゼンジ、トローチ、カプセル(例えば、硬質及び軟質ゼラチンカプセルを含む)、カシェー、丸薬、アンプル、ボーラス、座薬、ペッサリー、チンキ、ゲル、ペースト、軟膏、クリーム、ローション、油、泡、噴霧、霧、又はエアゾールの形態であることができる。
【0488】
製剤は、適当には、例えば、透過、浸透、及び吸収向上剤を含む一つ又はそれより多い化合物、及び所望により一つ又はそれより多い他の医薬的に受容可能な成分で含浸された貼布、絆創膏、包帯、ドレッシング材、等として提供される。製剤は、更に、適当には、デポー又はリザーバーの形態で提供することができる。
【0489】
化合物は、一つ又はそれより多い他の医薬的に受容可能な成分中に溶解、懸濁、又は混合することができる。化合物は、化合物が、例えば血液成分或いは一つ又はそれより多い器官を標的とするように設計されたリポソーム又は他の微粒子中で提示されることができる。リポソームが使用される場合、リポソームが、式(I)又は(II)の化合物及び第2の薬剤の両方を含有することができることが注目される。
【0490】
経口投与のために適した製剤は(例えば、経口摂取による)、液体、溶液(例えば、水性、非水性)、懸濁液(例えば、水性、非水性)、乳液(例えば、水中油、油中水)、エリキシル、シロップ、舐剤、錠剤、顆粒、粉末、カプセル、カシェー、丸薬、アンプル、ボーラスを含む。
【0491】
頬側投与のために適した製剤は、口腔洗浄剤、ロゼンジ、トローチ、並びに、貼布、絆創膏、デポー、及びリザーバーを含む。ロゼンジは、典型的には、通常スクロース及びアラビアゴム又はトラガカントゴムである芳香基剤中の化合物を含んでなる。トローチは、典型的には、不活性基質、例えばゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアラビアゴム中の化合物を含んでなる。口腔洗浄剤は、典型的には、適した液体担体中の化合物を含んでなる。
【0492】
舌下投与のために適した製剤は、錠剤、ロゼンジ、トローチ、カプセル、及び丸薬を含む。
口腔粘膜経由投与のために適した製剤は、液体、溶液(例えば、水性、非水性)、懸濁液(例えば、水性、非水性)、乳液(例えば、水中油、油中水)、口腔洗浄剤、ロゼンジ、
トローチ、並びに貼布、絆創膏、デポー、及びリザーバーを含む。
【0493】
非口腔粘膜経由投与のために適した製剤は、液体、溶液(例えば、水性、非水性)、懸濁液(例えば、水性、非水性)、乳液(例えば、水中油、油中水)、座薬、ペッサリー、ゲル、ペースト、軟膏、クリーム、ローション、油、並びに貼布、絆創膏、デポー、及びリザーバーを含む。
【0494】
経皮投与のために適した製剤は、ゲル、ペースト、軟膏、クリーム、ローション、及び油、並びに貼布、絆創膏、包帯、ドレッシング、デポー、及びリザーバーを含む。
錠剤は、慣用的手段、例えば、所望により一つ又はそれより多い補助成分と共に、圧縮又は成形することによって製造することができる。圧縮錠剤は、自由流動形態、例えば粉末又は顆粒の化合物を、所望により一つ又はそれより多い結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、アラビアゴム、ソルビトール、トラガカントゴム、ヒドロキシピロピルメチルセルロース);充填剤又は希釈剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロース、リン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ);崩壊剤(例えば、グリコール酸デンプンナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム);表面活性或いは分散又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム);保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、ソルビン酸);芳香剤、芳香向上剤、及び甘味剤と共に混合し、適した機械で圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿潤化された粉末の化合物の混合物を、適した機械で成形することよって製造することができる。錠剤は、所望により被覆し、又は刻み目を入れることができ、そして例えば、所望の放出特性を提供するために、各種の比率のヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用して、その中の化合物の遅延又は制御放出を提供するように処方することができる。錠剤は、所望により被覆、例えば、放出に影響するために、例えば胃ではなく腸の一部における放出を提供するための腸溶性被覆を伴って提供することができる。
【0495】
軟膏は、典型的には、化合物及びパラフィン系又は水混和性の軟膏基剤から調製される。
クリームは、典型的には、化合物及び水中油クリーム基剤から調製される。所望する場合、クリーム基剤の水相は、例えば、少なくとも30重量/重量%の多価アルコール、即ち、二つ又はそれより多いヒドロキシル基を有するアルコール、例えばプロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール及びポリエチレングリコール並びにこれらの混合物を含むことができる。局所製剤は、好ましくは、皮膚又は影響された部位を通る化合物の吸収又は浸透を向上する化合物を含むことができる。このような皮膚透過向上物質の例は、ジメチルスルホキシド及び関連する類似体を含む。
【0496】
乳剤は、典型的には、化合物及び所望により単に乳化剤(他にエマルジェント(emulgents)として知られる)を含んでなることができる油性相から調製されるか、或いはこれは、少なくとも一つの乳化剤の、脂肪又は油との、或いは脂肪及び油の両方との混合物を含んでなることができる。好ましくは、親水性乳化剤が、安定剤として作用する親油性乳化剤と一緒に含まれる。油及び脂肪の両方を含むことが更に好ましい。まとめれば、安定剤(一つ又は複数)を伴う又は伴わない乳化剤(一つ又は複数)は、いわゆる乳化ワックスを作り出し、そしてワックスは、油及び/又は脂肪と一緒に、いわゆる乳化軟膏基剤を作り出し、これは、クリーム製剤の油分散相を形成する。
【0497】
適したエマルジェント及び乳化安定剤は、Tween60、Span80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、及びラウリル硫酸ナトリウムを含む。製剤のための適した油又は脂肪の選択は、医薬的な乳化製剤に使用される可能性のある殆どの油中の化合物の溶解度が、非常に低いものであり得るために、所望の美容的特性を達成することに基づく。従って、クリームは、好ましくは、チューブ又は他の容器からの漏洩を回避するための適した稠度を伴う、べたべたせず、染まらない、そして洗浄可能な産物でなければならない。ジ-イソアジピン酸の直鎖或いは分枝鎖の一又は二塩基性アルキルエステル、例えばステアリン酸イソセチル、ココナツ脂肪酸のプロピレングリコールのジエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル又はクロダモルCAPとして知られる分枝鎖エステルのブレンドを使用することができ、最後の三つが好ましいエステルである。これらは、必要な特性により、単独で又は組合せて使用することができる。別の方法として、高融点脂質、例えば白色軟質パラフィン及び/又は液体パラフィン或いは他の鉱油を使用することができる。
【0498】
鼻腔内投与のために適した製剤は、担体が液体である場合、例えば鼻腔噴霧、点鼻剤を含み、或いはネブライザーによるエアゾール投与によるものは化合物の水性又は油性溶液を含む。投与の別の方法として、乾燥粉末の送達を、噴霧化エアゾールの代替物として使用することができる。
【0499】
鼻腔内投与のために適した製剤は、担体が固体である場合、例えば、嗅ぎ薬が摂取される様式で、即ち鼻に密接して保持された粉末の容器からの鼻腔を経由する急速な吸入により投与される、例えば約20ないし約500ミクロンの範囲の粒子サイズを有する粗い粉末として提示されるものを含む。
【0500】
肺投与(例えば、吸入又は吹送療法による)のために適した製剤は、適した噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロ-テトラフルオロエタン、二酸化炭素、又は他の適したガスの使用を伴う、加圧パックからのエアゾール噴霧として提示されるものを含む。更に又は別に、肺投与のための製剤は、ネブライザー又は乾燥粉末吸入器からの投与のために処方することができる。例えば、製剤は、肺の適当な部分に達するために適した粒子サイズを提供し、肺組織における保持を向上するために適当な投与量の送達を援助するために、担体又はリポソームと共に提供することができる。
【0501】
眼内投与のために適した製剤は、化合物が適した担体、特に化合物のための水性溶媒中に溶解又は懸濁された点眼剤を含む。
直腸投与のために適した製剤は、例えば天然の又は硬化された油、ワックス、脂肪、半液体又は液体ポリオール、例えば、ココアバター又はサリチル酸塩を含んでなる適した基剤を伴う座薬として;或いは浣腸による治療のための溶液又は懸濁液として提示することができる。
【0502】
膣投与のために適した製剤は、化合物に加えて、当技術において適当であると知られたような担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡又は噴霧製剤として提示することができる。
【0503】
非経口投与(例えば、注射による)のために適した製剤は、化合物が、溶解、懸濁、又は他の方法で(例えば、リポソーム又は他の微粒子中の)提供される水性又は非水性の、等張の、パイロジェンフリーの、滅菌液体(例えば、溶液、懸濁液)を含む。このような液体は、更に、他の医薬的に受容可能な成分、例えば抗酸化剤、緩衝剤、保存剤、安定剤、殺細菌剤、懸濁剤、増粘剤、及び製剤を意図する受容者の血液(又は他の関連する体液)と等張にする溶質を含有することができる。賦形剤の例は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油、等を含む。このような製剤中の使用のために適した等張の担体は、塩化ナトリウム液、リンゲル液、又は乳酸リンゲル液を含む。典型的には、液体中の化合物の濃度は、約1ng/mLから約100μg/mLまで、例えば約10ng/mLから約10μg/mLまで、例えば約10ng/mLから約1μg/mLまでである。製剤は、単位投与又は多回投与の密封容器、例えばアンプル及びバイアル中で提示することができ、そして注射のために滅菌液体担体、例えば使用の直前に、水の添加のみを必要とする冷凍乾燥(凍結乾燥)条件で貯蔵することができる。即時注射溶液及び懸濁液は、滅菌粉末、顆粒、及び錠剤から調製することができる。
【0504】
投与量
一般的に、本発明の方法は、抗細菌効果を提供するために、有効な量の式(I)又は(II)の化合物を被験者に投与することを含んでなることができる。式(I)又は(II)の化合物は、第2の活性剤の活性を増強するために十分な量で投与することができる。第2の活性剤は、抗細菌効果を提供するように有効な量で被験者に投与される。
【0505】
式(I)又は(II)の化合物或いは活性剤、及び式(I)又は(II)の化合物或いは活性剤を含んでなる組成物の適当な投与量が、患者によって変更することができることは当業者によって認識されるものである。最適な投与量を決定することは、一般的にいずれもの危険性又は有害な副作用に対する治療の利益のレベルの釣り合いをとることを含むものである。選択される投与量のレベルは、制約されるものではないが、式(I)又は(II)の特定の化合物或いは活性剤の活性、投与の経路、投与の時間、化合物の排出の速度、治療の期間、組合せて使用される他の薬物、化合物、及び/又は物質、症状の重篤度、並びに患者の種、性別、年齢、体重、症状、一般的健康状態、及び従来の病歴を含む各種の因子に依存するものである。式(I)又は(II)の化合物或いは活性剤の量及び投与の経路は、一般的に投与量は、作用の部位における局所濃度を達成し、実質的に危険な又は有害な副作用を起こすことなく所望の効果を達成するために選択されるものであるが、最終的に医師、獣医師、又は臨床医の裁量にあるものである。
【0506】
投与は、治療の過程を通して、一回投与、連続的又は間欠的に(例えば、適当な間隔の分割投与で)行うことができる。投与の最も有効な手段及び投与量を決定する方法は、当業者にとって公知であり、そして治療のために使用される製剤、治療の目的、治療される標的細胞(一つ又は複数)、及び治療される被験者に伴い変化するものである。一回又は多数回投与は、治療する医師、獣医師、又は臨床医師によって選択される投与量レベル及び様式によって行うことができる。
【0507】
一般的に、式(I)又は(II)の化合物或いは活性剤の適した投与量は、一日当たり、被験者の体重のキログラム当たり約10μgないし約250mg(更に典型的には、約100μgないし約25mg)の範囲である。式(I)又は(II)の化合物或いは活性剤が塩、エステル、アミド、プロドラッグ、等である場合、投与される量は、親化合物に基づいて計算され、そして従って使用される実際の重量は、比例的に増加される。
【0508】
キット
本発明の一つの側面は、例えば、好ましくは適した容器中で及び/又は適した包装を伴って提供される(a)式(I)又は(II)の化合物、或いは式(I)又は(II)のいずれか一つにおいて定義されたような化合物を含んでなる組成物;及び(b)化合物又は組成物を投与する方法に対する使用のための指示、例えば文書の指示を含んでなるキットに関する。
【0509】
文書の指示は、更に、式(I)又は(II)の化合物が、適した治療剤である適応症のリストを含むことができる。
一つの態様において、キットは、更に(c)第2の活性剤、又は第2の活性剤を含んでなる組成物を含んでなる。ここで、文書の指示は、更に第2の活性剤が、式(I)又は(II)の化合物と一緒に、治療のために適している適応症のリストを含むことができる。
【0510】
投与の経路
式(I)又は(II)の化合物、第2の薬剤、或いは式(I)又は(II)の化合物、或いは第2の薬剤を含んでなる医薬組成物は、全身的に/末梢的に又は局所的に(即ち、所望の作用の部位において)を問わず、いずれもの慣用的な投与の経路によって被験者に投与することができる。
【0511】
投与の経路は、制約されるものではないが、口腔(例えば、経口摂取による);頬側;舌下;経皮(例えば、貼布、プラスター、等を含む);粘膜経由(例えば、貼布、プラスター、等を含む);鼻腔内(例えば、鼻腔噴霧による);眼(例えば、点眼剤による);肺(例えば口又は鼻を通して、例えばエアゾール使用する、例えば吸入又は吹送療法による);直腸(例えば、座薬又は浣腸による);膣(例えば、ペッサリーによる);例えば、皮下、皮内、筋肉内、静脈内、動脈内、心臓内、クモ膜下腔内、脊髄内、嚢内、嚢下、眼窩内、腹腔内、気管内、表皮下、関節内、クモ膜下、及び胸骨内を含む注射による非経口;例えば皮下或いは筋肉内的なデポー又はリザーバーのインプラントによるものを含む。
【0512】
被験者/患者
被験者/患者は、脊索動物、脊椎動物、哺乳動物、有胎盤哺乳動物、有袋類(例えば、カンガルー、ウオンバット)、齧歯類(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ(例えば、マウス)、ウサギ(例えば、兎)、鳥類(例えば、鳥)、イヌ(例えば、犬)、ネコ(例えば、猫)、ウマ(例えば、馬)、ブタ(例えば、豚)、ヒツジ(例えば、羊)、ウシ(例えば、牛)、霊長動物、サル(例えば、猿又は類人猿)、サル(例えば、マーモセット、ヒヒ)、類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、手長猿)、又はヒトであることができる。更に、被験者/患者は、その成長の形態のいずれか、例えば胎児であることができる。
【0513】
一つの好ましい態様において、被験者/患者は、ヒトである。
本発明が、微生物感染を有する非ヒト動物に対して実行することができることも更に想定されている。非ヒトの哺乳動物は、齧歯類であることができる。齧歯類は、研究所の研究に使用される、ラット、マウス、モルモット、チンチラ及び他の類似のサイズの小さい齧歯類を含む。
【0514】
他の優先事項
先に記載した態様のそれぞれの及びあらゆる適合性の組合せは、それぞれの及びあらゆる組合せが、個々に、そして明確に引用されているように、本明細書中に明確に開示される。
【0515】
本発明の各種の更なる側面及び態様は、本開示の観点から、当業者にとって明白であるものである。
“及び/又は”は、本明細書中で使用される場合、二つの具体的な特徴又は成分のそれぞれの、他方を伴う、又は伴わない具体的な開示と解釈されるものである。例えば、“A及び/又はB”は、(i)A、(ii)B並びに(iii)A及びBのそれぞれの、単にそれぞれが本明細書中に個々に記述されたような、具体的な開示と解釈される。
【0516】
文脈が他に指示しない限り、先に記載した特徴の記載及び定義が、本発明のいずれもの特定の側面又は態様を制約するものではなく、そして記載された全ての側面及び態様に均等に適用される。技術的に適当である場合、態様は組合せることができ、そして従って、開示は、本明細書中に提供される態様の全ての順列及び組合せに拡張される。
【0517】
本発明のある種の側面及び態様は、ここに、実施例及び先に記載した図に対して言及したものによって例示されるものである。
【実施例】
【0518】
以下の実施例は、単に本発明を例示するために提供され、そして本明細書中に記載されるような本発明の範囲を制約することは意図していない。
命名法-化合物は、これらが合成的に誘導された天然のポリミキシン核に基づいて命名される。
【0519】
略語 意味
PMBN ポリミキシンBノナペプチド
PMB ポリミキシンB
Thr トレオニン
Ser セリン
DSer D-セリン
Leu ロイシン
Ile イソロイシン
Phe フェニルアラニン
Dphe D-フェニルアラニン
Val バリン
Dab α,γ-ジアミノ酪酸
DIPEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン
HATU ヘキサフルオロリン酸2-(7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1-3,3-テトラメチルウロニウム
DCM ジクロロメタン
TFA トリフルオロ酢酸
ND 決定せず
N/A 適用せず
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
PMBH ポリミキシンBヘプタペプチド(3-10)
PMBD ポリミキシンBデカペプチド
Pro プロリン
Dap α,β-ジアミノプロピオン酸
Gly グリシン
His ヒスチジン
Phe フェニルアラニン。
【0520】
DCHA ジクロロヘキシルアミン
Xphos 2-ジクロロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル
NorLeu ノルロイシン
NorVal ノルバリン
OctGly オクチルグリシン。
【0521】
合成実施例
比較基準化合物C1ないしC3を調製した。
ポリミキシンBは、6位にD-フェニルアラニン残基を有する。N末端基は、6-メチルオクタノイル基である。ポリミキシンBは、容易に入手可能である。
【0522】
化合物C1及びC2は、本発明人等によって以前に調製されている。これらの化合物は、ポリミキシンBノナペプチド誘導体である。化合物は、6位にD-フェニルアラニン残基を有する。2位におけるアミノ酸残基のN末端は、示すように修飾されている。これらの化合物の調製は、本明細書中に記載され、そしてGB1404301.2中に記載されている。
【0523】
化合物C3は、6位におけるD-(ビフェニル)アラニン残基(D-(4-フェニルフェニル)アラニン残基)によるフェニルアラニン残基の置換においてポリミキシンBと異なっているポリミキシンBの変種である。化合物C3は、Velkov等によって記載された変種と構造的に密接に関連する。C3は、ポリミキシンB(具体的にはポリミキシンB1)のように同じN末端基を共有し、一方、Velkov等は、修飾されたN末端を記載している。化合物C3は、Velkov等中に記載される方法によって、末端のカップリング工程における脂肪酸の適当な置換を伴って調製することができる(この文書の補足情報を参照されたい)。
【0524】
作業した実施例1-26のそれぞれにおいて、6位のアミノ酸は、もう一つのアミノ酸で置換されている。幾つかの実施例において、1位のアミノ酸残基は削除され、そして2位のアミノ酸残基のN末端は、示すように修飾される。
【0525】
更なる実施例化合物27-79も更に提供され、ここで、6位のアミノ酸は、もう一つのアミノ酸で置換されている。幾つかの実施例において、1位のアミノ酸残基は削除され、そして2位のアミノ酸残基のN末端は、示すように修飾されている。
【0526】
更なる比較基準化合物C4ないしC7を調製した。
本発明において使用するための化合物を、以下に記載するように調製した。それぞれの化合物は、ポリミキシンヘプタペプチド核を有する(6位又は7位のアミノ酸を除く)。化合物は、ポリミキシン中の2位に対応する位置にL-Thr残基を、そしてポリミキシン中の3位に対応する位置にL-Dab又はL-Dap残基を保有する(ここで、L-Thr及びL-Dabは、ポリミキシンB内のこれらの位置に存在する天然のアミノ酸残基である)。
【0527】
本発明の化合物は、以下に記載する詳細な方法の適合によって調製することができ、そして更に、その内容が本明細書中に参考文献としてその全てが援用されるWO2015/135976中に記載される方法の適合によって調製することもできる。本発明において使用される方法は、更にその内容が本明細書中に参考文献としてその全てが援用されるWO2013/072695及びWO2014/188178のものを含む。
【0528】
本発明の化合物は、6及び/又は7位のアミノ酸残基の特質において(即ち-R6、-R6A、-R7、及び-R7A基の特質において)、WO2015/135976の化合物と異なっている。然しながら、WO2015/135976の化合物のN末端基は、本発明の化合物において使用するために適している。従って、本発明の式(I)又は(II)の化合物中の-RT基又は-RN基は、WO2015/135976中に記載された-R15基であることができる。
【0529】
従って、WO2015/135976中のN末端修飾の記載及び例示は、本発明の作業に関連する。WO2015/135976は、ある種のN末端基が、野生型のポリミキシンB(例えば)と比較して、向上した抗細菌活性及び/又は減少した細胞毒性を提供することを示す。このようなN末端基は、本発明において、本発明人等によって記載されるような6及び/又は7位におけるアミノ酸置換と一緒に使用することができる。
【0530】
特に、本発明は、参考文献として、WO2015/135976の65頁から90頁の詳細な合成実施例を援用する(この実施例は、更に本発明が、優先権を主張するGB1421020.7及びGB1516059.1中に提示されている)。
【0531】
中間体5- トリ-(Boc)ポリミキシンBヘプタペプチド
PMB硫酸塩(2g)を、水(20mL)中に溶解し、続いて1,4-ジオキサン(40mL)を加え、そして10分間室温で撹拌したままにした。反応混合物に、Boc無水物(4.42g)を固体として加え、そして反応物を室温で撹拌し、そしてHPLCによってモニターした。次いで反応混合物を1MのHClを使用して、pH6に調節し、形成した沈殿物を濾過し、そして水(50mL)及びヘプタン(50mL)で洗浄して、Boc5PMBを、白色の固体(2.4g、85%)として残した。この物質(1g)を、1,4-ブタンジオール(112.5mL)中に溶解し、そして混合物を40℃で一晩撹拌した。溶液に、リン酸カリウム(75mL、0.125M、pH8.0)を1分かけて加え、白色の懸濁物の形成を起こした。反応物を112.5mLのブタンジオール及び75mLのリン酸カリウム(0.125M pH8.0)の添加によって希釈したが、しかし白色の乳濁液が継続した。反応物の温度を37℃に減少し、そして次いでサビナーゼ16L(250μL)を加え、そして反応物を室温で一晩撹拌した。反応が進行するに従って、白色の乳濁液が綺麗になって、より溶解性のPMBH-Boc3の形成によって、透明な溶液が形成された。反応混合物を水(50ml)で希釈し、そして次いでDCM(100mL)で抽出した。DCM層を収集し、そして真空中で蒸発して、無色の油状物を得た。得られた油状物を50%メタノール(水溶液)で希釈し、そして四本の前処理済みの10gのVarian Bond Elut SCXカートリッジに装填し、そして通過画分を収集した。カートリッジを2カラム体積分の50%メタノール(水溶液)で洗浄し、そして次いでPMBH-Boc3を2カラム体積分のメタノール中の20%アンモニアを使用してカラムから溶出した。得られらた溶出液を真空中で乾燥状態まで蒸発して、精製されたPMBH-Boc3(610mg)を得た。m/z1062.6[M+H]+。
【0532】
中間体7- Thr(O-tBu)テトラ-(N-Boc)ポリミキシンBノナペプチド
工程1- (S)-2-((S)-2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-tert-ブトキシ-ブチリルアミノ)-4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-酪酸メチルエステル
(S)-2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-tert-ブトキシ-酪酸DHCA塩(3.65g、7.4mmol)及び(S)-2-アミノ-4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-酪酸メチルエステルHCl塩(2.0g、7.4mmol)のDCM(60mL)及びDMF(120mL)の混合物中の撹拌された懸濁液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.85mL、22.1mmol)を加えた。この撹拌された混合物に、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(1.0g、7.3mmol)を、続いてN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミドHCl塩(1.42g、7.4mmol)を加えた。混合物を17時間、周囲温度で撹拌し、次いで吸引下で濾過して、不溶性副産物を除去し、これを廃棄した。濾液を黄色の油状物まで濃縮し、これをEtOAc/Et2O(1:1)の溶媒の混合物(250mL)及び0.5Mの塩酸(200mL)間に分配した。水相を新鮮な溶媒混合物(100mL)で再抽出し、そして混合した有機抽出物を、水(150mL)及び飽和NaHCO3溶液(150mL)で連続して洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、そして無色の油状物(3.72g)まで濃縮した。この油状物を100gのSepPakカートリッジのシリカゲルクロマトグラフィーによって、EtOAc/i-ヘキサン(0-70%)溶媒の勾配で溶出して精製した。生成物を含有する画分(3:7のEtOAc/i-ヘキサン中でRf0.26、KMnO4噴霧で可視化)をプールし、そして濃縮して、表題化合物を無色の泡状物(3.58g、6.8mmol、92%収率)として得た。m/z524(MH+、100%)。
【0533】
工程2- (S)-2-((S)-2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-tert-ブトキシ-ブチリルアミノ)-4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-酪酸
水酸化リチウム一水和物(0.861g、20.5mmol)の水(16mL)中の溶液を、(S)-2-((S)-2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-tert-ブトキシ-ブチリルアミノ)-4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-酪酸メチルエステル(3.58g、6.8mmol)のメタノール(64mL)中の撹拌された溶液に、周囲温度で加え、そして19時間撹拌した。この溶液に、1MのHCl(24mL)を加え、ミルク状の混合物(pH1)を得て、これをDCM(3×135mL)で迅速に抽出した。混合した有機抽出物を乾燥(Na2SO4)し、そして濃縮して、表題化合物を無色の泡状物(3.27g、6.4mmol、94%収率)として得た。M/z532[MNa]+、1041[2M+Na]+。
【0534】
工程3- CbzHNPMBN(OBu)(Boc)4
(S)-2-((S)-2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-tert-ブトキシ-ブチリルアミノ)-4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-酪酸(1.73g、3.39mmol)及びトリ-(N-Boc)ポリミキシンBヘプタペプチド(WO2012/168820によって調製、3.0g、2.8mmol)を、フラスコに入れ、これに、乾燥DCM(85mL)及び乾燥DMF(17mL)を撹拌しながら加えた。撹拌された溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.46mL、8.4mmol)を加え、そして5分間撹拌した後、ヘキサフルオロリン酸O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム(1.29g、3.39mmol)を単一部分で加えた。混合物を2分間超音波処理し、次いで周囲温度で18時間撹拌したままにした。次いで反応混合物を蒸発し、そして残渣をトルエン(3×100mL)から再蒸発した。残渣を真空下で3時間乾燥して、トルエンの除去を確実にした。水(50ml)をこの物質に加え、そして混合物を、時々超音波処理を行いながら3時間急速に撹拌した。表題化合物を吸引濾過によって微細な白色の固体として収集し、そして水(2×25mL)で洗浄し、次いで真空下で15時間乾燥した(4.6g、3.0mmol、100%収率)。m/z1554[MH+]。
【0535】
工程4- 表題化合物
工程3からの生成物(5.41g、3.48mmol)、ギ酸アンモニウム(6.6g、104.4mmol)及び10%Pd-C(2.0g)を、N2下でフラスコに入れた。MeOH(270mL)を加え、そして混合物をN2下で4.5時間撹拌した。LCMSは、生成物に対するMH+及び出発物質の喪失を示した。混合物をセライトのパッドを通して吸引下で濾過し、そしてMeOH(50mL)で洗浄した。濾液及び洗液を無色の油状物まで蒸発し、これを、EtOAc/MeOH(4:1)の溶媒の混合物(250mL)及び水(250mL)間に分配した。水相を同じ新鮮な溶媒混合物(2×100mL)で更に抽出した。混合した有機抽出物を乾燥(Na2SO4)し、そして無色の油状物(約6g)まで蒸発した。この物質をシリカゲルのクロマトグラフィー(100gのSepPakカラム)によって、MeOH/EtOAc(0-4%)の勾配で溶出して精製した。生成物を含有する画分(95:5:1のEtOAc/MeOH/NH4OH880中のRf0.30、KMnO4噴霧で可視化)をプールし、そして蒸発して、表題化合物を砕けやすい泡状物(4.0g、2.8mmol、81%収率)として得た。m/z1420[MH+]。
【0536】
中間体11- テトラ-(N-Boc)-L-Thr(O-tBu)-L-Dap-ポリミキシンBヘプタペプチド
表題化合物を、(S)-2-((S)-2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-tert-ブトキシ-ブチリルアミノ)-3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-プロピオン酸及び中間体5から、中間体7の工程3及び4のための方法によって調製した。m/z1405、[MH]+。
【0537】
中間体16 (BOC)3D-[(4-ブロモ)Phe]-6-ポリミキシンヘプタペプチド及び
中間体17 (BOC)3D-[(2-ブロモ)Phe]-6-ポリミキシンヘプタペプチド
工程1- D-[(4-ブロモ)Phe]-6-ポリミキシン及びD-[(2-ブロモ)Phe]-6-ポリミキシン
【0538】
【0539】
ポリミキシンB硫酸塩(供給源:Biotika)(20.0g、15.4mmol)及びN-ブロモスクシンイミド(4.2g、23.6mmol)を、効率的なオーバーヘッドパドル攪拌機及びN2入口を備えた1Lの三口丸底フラスコに入れた。N2下のフラスコに、三フッ化ホウ素二水和物(200mL)を加え、そして混合物を周囲温度で1時間激しく撹拌し、この時間中に全ての固体が溶解して、泡状のオレンジ色の溶液を得た。次いで溶液をアンモニアの880溶液(400mL)及び氷(900g)の撹拌された混合物に5分かけて注いで、白色の懸濁液を得た。懸濁液(pH9)に、水(300mL)を加え、そして混合物を周囲温度で2時間撹拌し、次いで大きいガラスの焼結ロート(直径20cm、多孔度2)を通して吸引下で濾過した。固体を水(200mL)で洗浄し、そして過剰の水分がなくなるまで吸引した。次いで物質をメタノール(1.5L)中に懸濁し、そして残渣まで再蒸発した。これを更なるメタノール(1.5L)で繰り返して、泡状物を得て、これを周囲温度の真空中で3時間乾燥し(22.4g)、そして表題化合物として確認した。m/z=1282/4(MH)+、643(M+2H)+。粗製の物質を精製なしに、次の段階で使用した。
【0540】
アリコートを、一般的方法1の条件を使用して分離用HPLCによって精製して、実施例化合物2を得た(表中にデータ)。
工程2- (Boc)5D-[(4-ブロモ)Phe]-6-ポリミキシン
【0541】
【0542】
粗製のD-[(4-ブロモ)Phe]-6-ポリミキシン(15.4mmolの名目的量、使用されたポリミキシンB硫酸塩に基づく)を、フラスコに入れ、そしてアセトニトリル(400mL)及び水(200mL)を加えた。撹拌された溶液に、トリエチルアミン(15mL、108mmol)を、続いて二炭酸ジ-tert-ブチル(23.5g、108mmol)のアセトニトリル(200mL)中の溶液を加えた。濁った混合物を周囲温度で20時間撹拌した。次いで反応混合物を真空中で濃縮し、そして残渣をメタノール(1L)から再蒸発し、そして乾燥した。乾燥した残渣をジエチルエーテル(75mL)及びイソ-ヘキサン(75mL)の混合物と共に0.5時間撹拌し、そして不溶性の固体を真空下で濾過して除去した。固体をジクロロメタン/メタノール(9:1)(400mL)及び10%食塩水(300mL)間に分配した。有機抽出物にメタノール(40mL)を加え、そして溶液を10%食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、そして真空中で泡状の残渣まで濃縮した。この物質をジクロロメタン/メタノール(95:5)(140mL)中に懸濁し、そして0.5時間静置したままにした。混合物を吸引下で濾過して、不必要なゼラチン状固体を除去し、そして濾液をシリカゲルのクロマトグラフィーによって、ジクロロメタン/メタノールの勾配で溶出して精製して、表題化合物を無色の泡状物(5.1g)として得た。m/z1782/4。この部分的に精製された物質を、次の段階で直接使用した。
【0543】
工程3- (BOC)3D-[(4-ブロモ)Phe]-6-ポリミキシンヘプタペプチド及び(BOC)3D-[(2-ブロモ)Phe]-6-ポリミキシンヘプタペプチド
【0544】
【0545】
粗製の(Boc)5D-[(4-ブロモ)Phe]-6-ポリミキシン(2.65g、1.49mmol)の1,4-ブタンジオール(76mL)中の懸濁液を、濃厚な溶液が形成されるまで1時間50℃で撹拌した。リン酸緩衝溶液(pH8)(19mL)を加え、そして撹拌された溶液を37℃に冷却した。サビナーゼ溶液(Bacillus種からのプロテアーゼ、液体>16U/g、Sigma Aldrichから)(3mL)を加え、そして粘性の溶液を37℃で4日間撹拌した。溶液を酢酸エチル(150mL)及び水(100mL)の混合物中に注ぎ、そして全体を激しく撹拌した。水層を酢酸エチル(50mL)で再抽出し、そして混合した有機抽出物を水(2×75mL)で再洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、そして真空中で蒸発して、油状物(1.94g)を得た。この物質を酢酸エチル/メタノール(4:1)(10mL)中に溶解し、そして溶液をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって、溶媒A/酢酸エチルの勾配(0-60%)で溶出して精製し、ここで、溶媒A=メタノール/アンモニア880溶液(9:1)であった。関係する画分をプールし、そして表題化合物と確認された無色の油状物(970mg)まで蒸発した。m/z1140/4。
【0546】
分離用HPLC(一般的方法1の表Aを参照されたい)による更なる精製により、純粋な表題化合物の中間体16、(BOC)3D-[(4-ブロモ)Phe]-6-ポリミキシンヘプタペプチド及び中間体17、D-[(2-ブロモ)Phe]-6-ポリミキシンヘプタペプチドを得た。m/z1140/2(MH+)。
【0547】
中間体18- (Cbz)(BOC)4Thr(OtBu)-D-[(4-ブロモ)Phe]-6-PMBノナペプチド
中間体16及び(S)-2-((S)-2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-tert-ブトキシ-ブチリルアミノ)-4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-酪酸から、中間体7の工程3の方法を使用して調製して、表題化合物を得た。m/z1633(MH+)。
【0548】
中間体19- (BOC)4Thr(OtBu)-L-Dap-(D-Cha-6)-PMBヘプタペプチド
【0549】
【0550】
酸化白金(200mg)を、テトラ-(N-Boc)-L-Thr(O-tBu)-L-Dap-ポリミキシンBヘプタペプチド(中間体11)(1.8g、1.28mmol)の酢酸(80mL)中の溶液に加えた。水素ガスを導入し、そして反応物を24時間撹拌した。酸化白金(400mg)を加え、そして反応物を水素下で更に48時間撹拌した。溶媒を蒸発し、そして粗製の物質をトルエンと共沸した(2×)。粗製の油状物をEtOAc中に溶解し、そして次いでAmbersep900(OH)樹脂で処理した。樹脂を濾過して除去し、更にEtOAcで洗浄し(2×)、そして混合した有機物を蒸発して、表題化合物をオフホワイト色の固体(1.76g)として得た。MH+=1412.0、C66H118N14O19は、1411.7を必要とする。
【0551】
中間体20- (BOC)4Thr(OtBu)-(D-Cha-6)-PMBノナペプチド
中間体7(Thr(O-tBu)テトラ-(N-Boc)ポリミキシンBノナペプチド)から、中間体19の調製のため先に記載した条件を使用して調製して、表題化合物を得た。MH+=1425.6、C67H120N14O19は1425.8を必要とする。
【0552】
一般的方法1: ノナペプチドアミドの調製
工程1- 保護されたポリミキシンノナペプチド(0.07mmol)を、ジクロロメタン(4mL)中に溶解し、そして対応するカルボン酸(ポリミキシン基質に対して1.5当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.0当量)で、続いてHATU(2.0当量)で処理した。16時間後、反応の完結をLC-MSによって確認し、そして反応混合物を乾燥状態まで蒸発した。水(約10mL)を加え、そして混合物を摩砕し、次いで1時間激しく撹拌した。得られた沈殿物を濾過によって収集し、そして真空中で一晩乾燥した。
【0553】
工程2- 工程1からのBoc保護された誘導体を、ジクロロメタン(3mL)中に溶解し、そしてTFA(1mL)で処理した。反応混合物を、LCMSが完全な脱保護を確認するまで室温で撹拌した。溶媒を蒸発し、そして残渣を分離用HPLCによって、表Aの条件を使用してクロマトグラフィーにかけた。
【0554】
【0555】
生成物を含有する画分を混合し、低体積まで蒸発し、そして凍結乾燥して、生成物をTFA塩として得た。化合物の純度を、HPLCによって、表Bに概略記載される条件を使用して評価した。
【0556】
【0557】
一般的方法2: ポリミキシンBヘプタペプチドのジペプチドアミド誘導体の調製のための一般的方法
別の方法において、カルボン酸を、適当に保護されたアミノ酸メチルエステルに、中間体1の工程3のHATUカップリング条件を使用してカップリングした。メチルエステルを、中間体1の工程2のように加水分解し、次いで適当に保護されたアミノ酸メチルエステルに、中間体7の工程1のHATUカップリング条件を使用してカップリングした。エステルの加水分解(中間体7の工程2)後、アシルジペプチドを必要なポリミキシンヘプタペプチド中間体にカップリングし、続いて一般的方法1に記載されたように脱保護して、実施例化合物を得た。
【0558】
一般的方法3: Suzukiカップリング法
(Cbz)(BOC)4Thr(OtBu)-D-[(4-フェニルフェニル)アラニン]-6-PMBノナペプチドの合成によって例示
中間体18(Cbz)(BOC)4Thr(OtBu)-D-[(4-ブロモ)Phe]-6-PMBノナペプチド、605mg、0.371mmol)の溶液に、トルエン(10mL)中の、ベンゼンボロン酸(68mg、0.556mmol)、酢酸パラジウム(II)(8.3mg、0.0371mmol)、XPhos(35mg、0.0741mmol)及び三塩基性リン酸カリウム(157mg、0.741mmol)を加え、そして撹拌された混合物を窒素で2分間脱ガスした。反応物を密封し、そして100℃で18時間加熱した。冷却後、混合物をEtOAc及び水で希釈した。相を分離し、そして水層を更にEtOAc中の10%IPAで抽出した。混合した有機物を乾燥(MgSO4)し、そして溶媒を蒸発して、粗製の油状物を得た。これをEtOAc中の0ないし10%MeOHの勾配を使用する40gのカラムのクロマトグラフィーによって精製して、所望の化合物を無色のガラス状物として得た。m/z1630(MH+)。
【0559】
一般的方法4: 酸化白金による水素化
D-[シクロヘキシル]アラニン-6-ポリミキシンの合成によって例示
【0560】
【0561】
酸化白金(20mg、0.088mmol)の酢酸(2mL)中の懸濁液を、ポリミキシンB(200mg、0.166mmol)の酢酸(20mL)中の撹拌された溶液に加えた。反応物を24時間周囲温度及び常圧で水素化した。更なる200mgの酸化白金を反応の過程中に分割して加えた。反応混合物をセライトを通して濾過し、そして水(100mL)で洗浄した。濾液を減圧下で蒸発して、ベージュ色の固体を残した。固体を水(2mL)中に溶解し、そして一般的方法1に記載したように分離用HPLCによって精製した。生成物を含有する画分を混合し、そして凍結乾燥して、表題化合物をTFA塩として得た。m/z1209.8(MH+)、C56H104N16O13の正確な質量は、1208.80である。
【0562】
一般的方法5: 炭素上のパラジウムによる接触移動水素化
(Trans-5-(イソブチル-ピペリジン)-3-カルボニルL-Thr-L-Dap-ポリミキシンD-[(4-オクチル)Phe]-6-ヘプタペプチドの合成によって例示。
【0563】
(Trans-5-(イソブチル-ピペリジン)-3-カルボニルL-Thr-L-Dap-ポリミキシンD-[(4-(E)-オクタ-1-エニル)Phe]-6-ヘプタペプチド異性体1を、中間体7の工程4のために記載した条件下で水素化して、表題化合物を得た。m/z1228[MH+]、614[M+2H]2+。C60H105N15O12は、1227.81を必要とする。
【0564】
実施例24: ポリミキシンB[D-(4-シアノ)Phe]-6
(Boc)5D-[(4-ブロモ)Phe]-6-ポリミキシン(100mg、0.056mmol)、シアン化亜鉛(45mg、0.383mmol、6.8モル当量)及び1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(6mg、2モル当量)のDMF(2ml)中の懸濁液を、脱ガスし、そして次いでトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(5mg、1モル当量)で処理した。試験管を密閉し、そして100℃で3日間加熱した。溶媒を蒸発し、そして残渣を水及び酢酸エチル間に分配した。有機相を無水の硫酸マグネシウムで乾燥し、そして蒸発した。残渣を、酢酸エチル中の0-10%(メタノール中の1%の.880アンモニア)で溶出するシリカ上でクロマトグラフィーにかけ、続いて水中の20-95%アセトニトリル(足す1%TFA)で溶出する分離用HPLCによって更に精製した。生成物を含有する画分を混合し、そして油状物まで蒸発した。これをTFA(2mL)及びDCM(8mL)中に溶解し、そして室温で6時間撹拌した。溶媒を蒸発し、そして残渣を水から凍結乾燥して、所望の生成物を白色の固体(2.8mg)として得た。m/z614[M+2H]2+。C57H97N17O13は、1227.75を必要とする。
【0565】
実施例29 L-Dab-L-Thr-L-Dap-ポリミキシン[D-(4-オクチルPhe)]-6ヘプタペプチド
工程1. (BOC)3D-[(4-ブロモ)Phe]-6-ポリミキシンヘプタペプチド(中間体16)を、(S)-2-((S)-2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-tert-ブトキシ-ブチリルアミノ)-3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-プロピオン酸に、中間体7の工程3のための方法によってカップリングして、CBZ-テトラ-(N-Boc)-L-Thr(O-tBu)-L-Dap-ポリミキシンB[D-(4-ブロモ)Phe]-6ヘプタペプチドを得た。
【0566】
工程2. CBZ-テトラ-(N-Boc)-L-Thr(O-tBu)-L-Dap-ポリミキシンB[D-(4-ブロモ)Phe]-6ヘプタペプチドを、一般的方法3のSuzukiカップリング条件下でオクテニルボロン酸で処理して、CBZ-テトラ-(N-Boc)-L-Thr(O-tBu)-L-Dap-ポリミキシンB[D-(4-オクタ-2-エニル)Phe]-6ヘプタペプチドを得た。
【0567】
工程3. CBZ-テトラ-(N-Boc)-L-Thr(O-tBu)-L-Dap-ポリミキシンB[D-(4-オクタ-2-エニル)Phe]-6ヘプタペプチドを、中間体7の工程3のために記載したように、炭素上の10%パラジウムの存在中でギ酸アンモニウムで処理して、テトラ-(N-Boc)-L-Thr(O-tBu)-L-Dap-ポリミキシンB[D-(4-オクチル)Phe]-6ヘプタペプチドを得た。
【0568】
工程4. 工程3からの生成物を、(S)-2-((2-(ベンジルオキシ)-2-オキソエチル)アミノ)-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ブタン酸DCHA塩に、中間体7の工程3の標準的なカップリング条件下でカップリングして、テトラ-(N-BOC)L-Dab-L-Thr-L-Dap-ポリミキシン[D-(4-オクチルPhe)]-6ヘプタペプチドを得た。
【0569】
工程5. 工程4からの生成物を、一般的方法1の工程2に記載したように脱保護し、続いて分離用HPLCにかけて、表題化合物、L-Dab-L-Thr-L-Dap-ポリミキシン[D-(4-オクチルPhe)]-6ヘプタペプチドを白色の固体として得た。m/z1161[MH+]、581[M+2H]2+。C54H96N16O12 は、1160.74を必要とする。
【0570】
カルボン酸の合成
ポリミキシン誘導体の構築のために使用されるカルボン酸は、商業的供給源経由で、又は当業者にとって既知の方法を使用して調製するかのいずれかで確保される。以下のカルボン酸の実験の詳細は、本発明の化合物の合成において使用される類似の酸中間体の合成のための代表的な実施例として役立つ。
【0571】
4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-(4-クロロフェニル)ブタン酸
工程1- 2-(4-クロロフェニル)-2-オキソ-酢酸エチル
【0572】
【0573】
シュウ酸ジエチル(1mL、7.36mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)中の-50℃の溶液に、臭化4-クロロフェニルマグネシウム(ジエチルエーテル中の1M溶液、7.3mL、7.30mmol)を加えた。反応混合物を-15℃まで温まらせ、そしてこの温度で更に1.5時間撹拌した。反応を1Mの塩酸(7mL)の添加によってクエンチし、そして室温で2分間撹拌した。層を分離し、そして次いで、水相をジエチルエーテルで更に抽出した(×2)。混合した有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮して、粗製の表題化合物を黄色い油状物(1.63g、>100%)として得た。m/z235(MNa+)、C10H9ClO3の正確な質量は、212.02である。
【0574】
工程2- 2-(4-クロロフェニル)-3-シアノ-プロパ-2-エン酸エチル
【0575】
【0576】
粗製の2-(4-クロロフェニル)-2-オキソ-酢酸エチル(約7.3mmol)のトルエン(30mL)中の溶液に、(トリフェニルホスホラニリデン)アセトニトリル(2.20g、7.30mmol)を加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、そして次いで、減圧で濃縮した。生成物をシリカゲルのクロマトグラフィーによって、イソ-ヘキサン中の0-40%酢酸エチルで溶出して精製して、表題化合物を無色の油状物(1.38g、81%)として得た。m/z258(MNa+)、C12H10ClNO2の正確な質量は、235.04である。
【0577】
工程3- 4-アミノ-2-(4-クロロフェニル)ブタン酸エチル
2-(4-クロロフェニル)-3-シアノ-プロパ-2-エン酸エチル(1.36g、5.79mmol)のメタノール(60mL)中の溶液に、塩化コバルト(1.51g、11.6mmol)を加えた。反応混合物を0℃に冷却し、そして次いで、水素化ホウ素ナトリウム(2.2g、57.8mmol)で分割して処理した。添加後、反応物を0℃で1時間撹拌した。混合物を1Mの塩酸の添加によってクエンチし、そして室温で20分間撹拌した。pHを880アンモニアの添加によって11に調節し、そして次いで、混合物をセライトのパッドを通して濾過し、これをジクロロメタンで洗浄した。層の分離後、水相をジクロロメタンで再抽出した(×2)。混合した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮して、表題化合物を淡褐色の油状物(838mg、60%)として得た。m/z242(MH+)、C12H16ClNO2の正確な質量は、241.09である。
【0578】
工程4- 4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-(4-クロロフェニル)ブタン酸エチル
4-アミノ-2-(4-クロロフェニル)ブタン酸エチル(836mg、3.47mmol)のジクロロメタン(40mL)中の溶液に、二炭酸ジ-tert-ブチル(1.06g、4.86mmol)を加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、そして次いで減圧で濃縮した。生成物をシリカゲルのクロマトグラフィーによって、イソ-ヘキサン中の0-40%酢酸エチルで溶出して精製して、表題化合物を無色の油状物(784mg、66%)として得た。m/z364(MNa+)、C17H24ClNO4の正確な質量は、341.83である。
【0579】
工程5- 4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-(4-クロロフェニル)ブタン酸
【0580】
【0581】
4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-(4-クロロフェニル)ブタン酸エチル(780mg、2.29mmol)のジオキサン(10mL)及び水(10mL)中の溶液に、水酸化リチウム一水和物(300mg、7.14mmol)を加えた。反応混合物を室温で3日間撹拌し、そして次いで減圧で濃縮した。残渣をジエチルエーテル及び水間に分配し、そしてpHを1Mの塩酸の添加によって1に調節した。層の分離後、水相をジエチルエーテルで再抽出した(×2)。混合した有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮した。表題化合物を無色の油状物(663mg、93%)として単離した。m/z312(M-H)-、C15H20ClNO4の正確な質量は、313.11である。
【0582】
(S)-2-(ベンジルオキシ)-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ブタン酸
工程1- (S)-2-(ベンジルオキシ)-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ブタン酸メチル
(S)-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-ヒドロキシブタン酸メチル(Dewitt et al.Org.Biomol.Chem.2011,9,1846を参照されたい)(233mg、1.0mmol)の乾燥酢酸エチル(10mL)中の溶液に、酸化銀(350mg、1.5mmol)を、続いて臭化ベンジル(0.179mL、1.5mmol)を加えた。混合物を暗所で室温で一晩撹拌し、次いで50℃で8時間加熱した。混合物を冷却し、珪藻土を通して濾過し、そして蒸発した。残渣をヘキサン中の0-100%酢酸エチルで溶出するシリカのクロマトグラフィーにかけて、所望の生成物を無色の油状物(67mg、20%)として得た。m/z323.6。C17H25NO5は、323.17を必要とする。
【0583】
工程2- (S)-2-(ベンジルオキシ)-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ブタン酸
【0584】
【0585】
(S)-2-(ベンジルオキシ)-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ブタン酸メチル(67mg、0.2mmol)を、水(1mL)及びジオキサン(2mL)中に溶解した。水酸化リチウム(15mg)を加え、そして混合物を室温で一晩撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮し、水(4mL)で希釈し、そして酢酸エチルで洗浄した。水相を1MのHClでpH2に調節し、そしてジクロロメタンで抽出した(3×4mL)。ジクロロメタン抽出物を混合し、そして蒸発して、表題化合物を白色の固体(40mg、64%)として得た。m/z309.6(MH+)、332(MNa+)。C16H23NO5は、309.16を必要とする。
【0586】
更なる合成実施例
(S)-4-アミノ-2-(シクロヘキシルメトキシ)ブタノイルL-Thr-L-Dap-ポリミキシン[D-シクロヘキシルアラニン-6]-ヘプタペプチド(化合物84)
(S)-4-アミノ-2-(ベンジルオキシ)ブタノイルL-Thr-L-Dap-ポリミキシン[D-シクロヘキシルアラニン-6]-ヘプタペプチドトリフルオロ酢酸塩(実施例42)(18mg)を、イソプロパノール(5mL)及び水(1mL)中に溶解し、そしてアルミナ上の5%ロジウム(10mg)で処理した。混合物を水素の雰囲気下で18時間撹拌した。触媒を濾過によって除去し、そして濾液を一般的方法3の条件を使用する分離用HPLCによって精製した。生成物を含有する画分を混合し、低体積まで蒸発し、そして白色の固体(0.8mg)に凍結乾燥した。m/z1153[MH+]、1265[M+TFA]+。C53H97N15O13は、1151.74を必要とする。
【0587】
6及び/又は7位のアミノ酸残基に対する変化
実施例化合物94ないし99(以下の表1C中に示すように)を、樹脂から切り離すことによって行われる環化行程を伴う固相ペプチド合成によって調製した。適した方法論は、WO2014/188178(実施例50)中に与えられている。固相合成の別の方法は、Velkov等及びWO2015/149131中に与えられている。
【0588】
構造は、ポリミキシンヘプタペプチド骨格上のN末端基及び側鎖を示す(以下に示すPMBH)。相対立体化学は、太線又は破線によって示す。絶対立体化学は、太線又は破線の楔形結合によって示す。
【0589】
【0590】
以下に記載される化合物は、ポリミキシンの2位に対応する位置にL-Thr残基を有する。化合物は、ポリミキシンの3位に対応する位置にL-Dap又はL-Dab残基のいずれかを有する。
【0591】
本発明は、その内容が本明細書中に参考文献としてその全てが援用されるGB1421020.7に基づく。この場合、幾つかの実施例化合物の2位におけるThr残基の立体化学は不正確に描かれている。これは、本発明中で提示される実施例化合物中で修正されている。文脈中で、本発明の化合物を含む実施例化合物は、化合物が2位にL-Thr残基を保持するポリミキシンBから間接的に調製されるか、或いは化合物が、L-Thr含有基とカップリングされたポリミキシンBヘプタペプチドから調製されて、最終的に、適当なN末端で誘導体化されたノナペプチド又はデカペプチド生成物が得られるために、2位にL-Thr残基を有することは明白である。
【0592】
実施例化合物に対して正確な名前が使用されたことも更に注目される。
【0593】
【0594】
【0595】
【0596】
【0597】
【0598】
【0599】
【0600】
【0601】
【0602】
【0603】
【0604】
【0605】
【0606】
【0607】
【0608】
【0609】
【0610】
【0611】
【0612】
【0613】
【0614】
【0615】
【0616】
【0617】
【0618】
【0619】
【0620】
【0621】
【0622】
以下の一般構造A:
【0623】
【0624】
において、6及び/又は7位に修飾を伴う更なる化合物を、表1Cに示す。
【0625】
【0626】
【0627】
生物学的活性
化合物の効力及び薬効範囲を評価するために、感受性試験を、グラム陰性病原体、Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Klebsiella pneumoniae及びAcinetobacter baumanniiのそれぞれの九つまでの株に対して行った。
【0628】
比較基準化合物C1ないしC3も、更にポリミキシンBと共に試験した。
生物学的データを、実施例及び比較基準化合物に対して提示する。
表2中の数値は、ポリミキシンに対する上昇したMICを示す株を含む、E.Coli、K.pneumoniae、P.aeruginosa及びA.baumaniiの株に対するMIC(μg/mL)である。
【0629】
データは、6位のD-フェニルアラニンに対するハロゲン原子の導入が、ポリミキシン耐性株に対する活性を向上することを示す(PMBと比較した、実施例2を参照されたい)。
【0630】
6位のD-フェニルアラニンのフェニル基に対する親油性置換基の導入は、耐性株に対する活性を有意に改良する(実施例4及びC1、並びに実施例5及びC2を参照されたい)。
【0631】
N末端基の修飾は、耐性株に対する化合物の活性を更に改良する(C3と比較した、実施例4及び実施例5を参照されたい)。
著者等は、化合物がN末端基で二つのジアステレオ異性体の形態で調製された場合、幾つかの実施例におけるジアステレオ異性体間の活性の有意な差を証明している。
【0632】
更なる化合物を調製し、そして更なる生物学的データを表2Aに提示する。更なる化合物を、PMB及び比較基準化合物C4-C7に対して比較した。比較基準化合物C4-C6を表1Aに示す。比較基準化合物C7は、Velkov等(ACS Chemical Biology,2014,9,1172)によりFADDI-002として報告されたオクタノイル-Dab-Thr-Dab-Cy[Dab-Dab-D-Phe-L-OctGly-Dab-Dab-Thr]に対応する。
【0633】
表2A中の数値は、MIC(μg/mL)である。
更に、本発明人等は、所望の特性(ポリミキシン感受性株に対する活性、ポリミキシンに対する減少した感受性を持つ株に対する活性、即ちMIC≧4μg/mL、細胞毒性、薬物動態、組織分布)の組合せを持つポリミキシン誘導体を提供するために、ポリミキシンのN末端基及び6位及び/又は7位のアミノ酸残基の両方を修飾することが有益であることができることを見出している。
【0634】
一定のN末端基に対して、6及び/又は7位のアミノ酸残基の側鎖の親油性を増加することは、上記で考察したように、ポリミキシンに対して減少した感受性を持つ株(MIC≧4μg/mL;いわゆる‘ポリミキシン耐性株’)に対する化合物の活性を改良する。
【0635】
分子の核に対する、及びN末端に対する置換基は、切り離して考えるべきではなく、そして本発明人等は、これらの具体的な幾何学、並びに分子の全体的な親油性の両方に基づくこれらの基の組合せが、最適な生物学的特性のために非常に重要であることを見出している。
【0636】
化合物の親油性は、logPとして表示することができ、ここで、Pは、オクタノール:水の分配係数である。このパラメーターの推定の方法は公知であり、そしてこのような推定の方法の一つは、AlogPの計算値を使用する。ALogPは、LogPに対するGhose/Crippen群の寄与の推定値の計算であり、ここで、Pは、オクタノール対水中の化合物の相対的溶解度である(Ghose,A.K.,Viswanadhan,V.N.,and Wendoloski,“J.J.,Prediction of Hydrophobic(Lipophilic)Properties of Small Organic Molecules Using Fragment Methods:An Analysis of AlogP and CLogP Methods.”J.Phys.Chem.A,1998,102,3762-3772)。
【0637】
Velkov等は、ポリミキシンデカペプチドの6位及び/又は7位のアミノ酸残基の側鎖として高度に親油性の部分を提供することが(天然のポリミキシンアシル鎖又はデカペプチドのN末端のアシル基の適した置換のいずれかを伴う)、耐性株に対する活性を改良することを示している(Velkov et al.ACS Chem Biol 9,1172;2014を参照されたい)。
【0638】
本発明人等は、このような化合物の活性を、本明細書中に記載されるN末端基を使用して更に改良することができることを見出している。例えば、化合物26は、Velkov等によって報告された化合物FADDI-02であるC7と比較して、ポリミキシン耐性株に対する改良された活性を更に示す。C7と比較した化合物26の生物学的活性を、表2Cに報告する。表2C中の数値は、MIC(μg/mL)である。
【0639】
従って、誘導体化されたポリミキシン化合物は、ポリミキシン耐性株に対する最適な活性を伴って提供することができ、ここで、N末端部分及び6位及び7位のアミノ酸残基の組合せは、-4.0より大きい(即ち、負が少ない)、理想的には-3.5より大きい、例えば-3.0及び-2.0間の全体的AlogPを与えるように選択される。
【0640】
26及びC7のような化合物が、ポリミキシン感受性株に対して、更に大きい負のAlogPの範囲の化合物より少ない活性であることを知ることができる。本発明人等は、-5.0ないし-6.3の範囲、例えば-5.5ないし-6.3の範囲内にあるALogP値を有する化合物が、これらが最適な幾何学を持つN末端基を有することを条件として、ポリミキシン感受性及び耐性株の両方に対する優れた活性を有することを見出している。
【0641】
適当なN末端部分及び6位及び7位のアミノ酸部分を伴うこの領域のALogPを持つ化合物は、更に、ポリミキシンBと比較して減少した細胞毒性を有することができる。
ある種の好ましい部分がポリミキシン骨格のN末端に存在する場合、ALogP値は、最適範囲に入らないかもしれない。アミノ酸6及び/又は7の側鎖を変化することにより親油性を調節することは、このような化合物を最適な範囲に持ち込むことができる。
【0642】
例えば、短いアルキル側鎖を持つ比較基準化合物C4(ALogP6.5)は、中程度の活性しか持たない。これは、N末端においてC5(ALogP5.5)によるか、又はアミノ酸6の側鎖の親油性をシクロヘキシルへの還元(化合物40を参照されたい;ALogP5.8)によって増加することによるかのいずれかで、親油性を増加することによって改良することができる。幾つかの場合、N末端部分ではなく、核の(6及び/又は7位のアミノ酸における)親油性を増加することは、改良された生物学的特性に導くことができ、例えば、化合物41は、C6と比較して、有意に低い細胞毒性を有する。
【0643】
【0644】
【0645】
【0646】
【0647】
【0648】
【0649】
【0650】
【0651】
試験化合物の親油性は、先に記載したようにAlogPの計算された数値を使用して推定した。ALogP値を、表2Bに与える。
HK-2細胞のIC50値は、本明細書中に記載されるように決定し、そして表2Bに報告してある。数値は、ポリミキシンBと比較して報告されている。
【0652】
【0653】
【0654】
【0655】
化合物26及びC7(FADDI-02)の耐性細菌株に対するin vitroの活性を比較した。耐性株は、Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Klebsiella pneumoniae及びAcinetobacter baumannii株を含んだ。データを表2Cに提供し、ここで、株が特定されている。表2中の数値は、MIC(μg/mL)である。
【0656】
【0657】
更なる定義
式(I)の化合物、及び所望により式(II)の化合物は、更にN末端基-X-RTを有する。
【0658】
-RT基は、WO2013/072695中に記載されたような-R5基、PCT/GB2014/051547(WO2014/188178)中に記載されたような-R5基又はGB1404301.2、及びWO2015/135976中に記載されたような-R15基であることができる。
【0659】
GB1404301.2及びWO2015/135976の実施例は、修飾されたN末端を有するポリミキシン化合物の調製を記載している。記載され、そして試験された化合物のそれぞれに対して、6及び7位のアミノ酸残基は、修飾されていなく、従ってL-フェニルアラニン残基(ポリミキシンB)又はL-ロイシン残基(コリスチン)は、6位に存在し、そしてL-ロイシン残基は7位に存在する。
【0660】
これらの実施例は、N末端基の修飾が、生物学的活性を制限することなく行うことができることを示す。更に、これらの実施例は、N末端基に対する変化は、ポリミキシンBに関する生物学的活性を改良することができることを示す。N末端基の修飾は、更に毒性の減少、特に腎毒性の減少を伴うことができる。
【0661】
本発明の作業した実施例は、これらのN末端基が、生物学的活性の損失を伴わずに6及び/又は7位の変種である化合物内で使用することができることを示す。実際に、幾つかの場合、6及び/又は7位における変化が、改良された生物学的活性を有する化合物を提供することができる。
【0662】
更なる優先事項
以下の解説は、PCT/GB2014/051547(今はWO2014/188178として公開)及びGB1404301.2、並びに更に又は別に、WO2015/135976中に記載された末端基を考慮した末端基-RTに対する優先事項である。
【0663】
-Q-
一つの態様において、-Q-は、共有結合である。
【0664】
一つの態様において、-Q-は、-CH(RB)-である。この態様において、-RBは、-LA-RBB基であることができ、又は-RBは、-R17と一緒に、更なる詳細が以下に記載されるような、5ないし10員の窒素含有単環式又は二環式の複素環を形成することができる。
【0665】
-R17及び-RAが一緒に、窒素含有複素環を形成する場合、-Q-基は、好ましくは共有結合である。
一つの態様において、-Q-は、-CH(RB)-であり、そして窒素含有複素環の一部を形成する。この態様において、-RBは、水素であることができる。
【0666】
窒素含有複素環
-R17及び-RA基は、これらが接続している炭素原子と一緒に、窒素含有複素環を形成することができる。同様に、-R17及び-RBは、これらが接続している炭素原子と一緒に、窒素含有複素環を形成することができる。窒素含有複素環中の窒素は、-N(R16)-中の窒素原子を指す。
【0667】
窒素含有複素環は、単環式又は二環式の窒素含有複素環であることができる。二環式の窒素含有複素環は、二つの縮合環を有する。窒素含有複素環は、合計5ないし10個の環の原子を含有する。窒素含有複素環が単環式である場合、これは、5ないし7個の環の原子、例えば5ないし6個、例えば6個の環の原子を有することができる。窒素含有複素環が二環式である場合、これは、8ないし10個の環の原子、例えば9ないし10個、例えば10個の環の原子を有することができる。二環式の複素環のそれぞれの環は、5ないし7個の環の原子、例えば5又は6個、例えば6個の環の原子を有することができる。
【0668】
窒素含有複素環が二環式である場合、一つの環は、芳香族又は部分的に不飽和であることができる。-X-基に対してα及びβの炭素原子と一緒に形成される環(第1の環)は、芳香族ではない。これは、第1に縮合する環である第2の環であり、これは芳香族であることができる。第1の環は、第2の環と共有する炭素環の原子(架橋原子)を除き、飽和であり、これは例えば、第2の環の芳香族環系の一部であることができる。
【0669】
窒素含有複素環が単環式である場合、-R17及び-RA中のそれぞれの炭素の環の原子又は-R17及び-RB中のそれぞれの炭素の環の原子は、-RCで、所望により一又は二置換されている。
【0670】
窒素含有複素環が二環式である場合、-R17及び-RA中のそれぞれの炭素の環の原子又は-R17及び-RB中のそれぞれの炭素の環の原子は、-RDで、適宜に所望により一又は二置換されている。炭素の環の原子は、この炭素の環の原子が芳香族環系の一部であるか又は不飽和結合の一部である場合、非置換であるか又は-RDで一置換されている。
【0671】
-RD基は、-RC基を含む。一つの態様において、窒素含有複素環が二環式である場合、第2の環のそれぞれの炭素の環の原子は、-RDで所望により一又は二置換され、そして第1の環のそれぞれの炭素の環の原子は、-RCで所望により一又は二置換されている。
【0672】
一つの態様において、窒素含有複素環は、単環式の窒素含有複素環である。
一つの態様において、窒素含有複素環は、二環式の窒素含有複素環である。
一つの態様において、窒素含有複素環中の一つの炭素の環の原子は、-RCで一又は二置換、例えば一置換されているか、或いは存在する場合、-LB-RBBで置換され、例えば-RCで一置換されている。一つの態様において、-R17及び-RA又は-R17及び-RB中の一つの炭素の環の原子は、-RCで、例えば-LA-RCCで一又は二置換、例えば一置換されている。これらの態様において、窒素含有複素環中の残りの炭素原子は、非置換である。この態様は、窒素含有複素環が単環式である場合に好ましい。
【0673】
窒素含有複素環が二環式である場合、窒素含有複素環中のそれぞれの炭素の環の原子は、非置換であることができる。別の態様として、窒素の複素環が二環式である場合、窒素含有複素環中の一つの炭素の環の原子は、-RC又は-LB-RBBで、例えば-RCで、一又は二置換、例えば一置換することができる。例えば、窒素含有複素環が二環式である場合、-R17及び-RA又は-R17及び-RA中の一つの炭素の環の原子は、-RCで、例えば-LA-RCCで一又は二置換、例えば一置換されている。これらの態様において、窒素含有複素環中の残りの炭素原子は非置換である。
【0674】
窒素含有複素環は、窒素、酸素及び硫黄から独立に選択される更なる異種の環の原子を含有することができる。窒素含有複素環が単環式である場合、複素環は、一つの更なる窒素、酸素又は硫黄の環の原子を所望により含有する。窒素含有複素環が二環式の窒素含有複素環である場合、複素環は、一つ、二つ又は三つの更なる異種原子を所望により含有し、ここで、それぞれの異種原子は、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立に選択される。二環系において、更なる異種原子は、第1又は第2の環、例えば第1の環に提供することができる。
【0675】
一つの態様において、更なる異種原子が提供される場合、この異種原子は窒素である。
一つの態様において、一つの更なる異種原子、例えば一つの更なる窒素異種原子が提供される。
【0676】
一つの態様において、窒素含有複素環は、更なる異種原子を含有しない。
二つの異種原子が一つの環中に提供された場合、これらは、非置換のメチレン基(-CH2-)又は一置換されたメチレン基(例えば-CH(RC)-)によって分離されず、そして所望によりこれらは、二置換されたメチレン基(例えば-C(RC)2-)によって分離されない。
【0677】
更なる窒素の環の原子に対する言及が行われる場合、環の原子は、-NH-基として提供することができ、そして窒素原子は、適宜に-RN又は-RNAで所望により置換することができる。更なる窒素の環の原子は、これが芳香族環系の一部であるか、又は不飽和結合の一部である場合、非置換であることができる。
【0678】
更なる硫黄の環の原子に対する言及が行われる場合、硫黄の環の原子は、-S-、-S(O)-又は-S(O)2-、例えば-S-として提供することができる。
それぞれの更なる窒素の環の原子は、-X-基に対してαである炭素に接続された更なる窒素の環の原子を除き、適宜に-RN基で所望により置換され、この窒素の環の原子は、-RAで所望により置換されている。これを、更なる窒素の環の原子を含有する単環式の複素環を含んでなる二つの例示的R15-X-基に対して略図的に以下に示す:
【0679】
【0680】
ここで、右の環系は、-X-基に対してαである炭素原子に接続されている窒素の環の原子を有する。このような窒素原子は、-RNAで所望により置換され、そして-RAで置換されていることが示されている。左の環系は、-X-基に対してαである炭素原子に接続されていない窒素の環の原子を有する(これは-X-基に対してβの炭素に接続している)。このような窒素原子は、-RNで所望により置換され、そして-RNで置換されていることが示されている。上記に示した例示的な環の構造において、炭素の環の原子は、非置換であることが示されている。本明細書中に記載するように、-R17及び-RA中に存在する炭素の環の原子は、所望により一又は二置換されている。
【0681】
-RNAに対する定義が、更なる窒素の環の原子と一緒にアミド基を形成するものである基を包含しないことは注目される。
第2の環が存在し、そしてその第2の環が一つ又はそれより多い更なる窒素原子を含有する芳香族環である場合、芳香族環中の窒素原子は、適宜に-RN基で置換することはできない。
【0682】
更なる窒素の環の原子が、-RN又は-RNAで適宜に置換されている場合、窒素含有複素環中のそれぞれの炭素の環の原子は、非置換であることができる。
-R17及び-RAが一緒に単環式の窒素含有複素環を形成する場合、複素環は、-RC、及び-RN、-RNA及び-LB-RBBから選択される少なくとも一つの基で置換され、即ち、これらの基の少なくとも一つは、環の置換基として適当な位置に存在しなければならない。従って、この態様において、窒素含有複素環が単環式であり、そして更なる窒素原子を含有しない場合、少なくとも一つの炭素の環の原子は、存在する場合、-RC又は-LB-RBBで置換されていなければならない。更に、この態様において、窒素含有複素環が単環式であり、そして更なる窒素原子を含有し、そしてこの窒素原子が非置換である場合、少なくとも一つの炭素の環の原子は、存在する場合、-RC又は-LB-RBBで置換されていなければならない。単環式の窒素含有複素環中の更なる窒素原子が-RN又は-RNA基で置換されている場合、炭素の環の原子は、非置換であるか、或いは所望により一又は二置換されていることができる。
【0683】
-R17及び-RBが、一緒に、単環式の窒素含有複素環を形成する場合、複素環は、存在する場合、-RC、及び-RNから選択される少なくとも一つの基で置換されている。別の態様として、複素環は、-RAが-LA-RAAである場合、所望により置換されている。一つの態様において、単環式の窒素含有複素環は、-RA基が-LA-RAAである場合、非置換である。
【0684】
-RAが水素である場合、単環式の窒素含有複素環は、存在する場合、-RC、及び-RNから選択される少なくとも一つの基で置換されていなければならない。ここで、窒素含有複素環が単環式であり、そして更なる窒素原子を含有しない場合、少なくとも一つの炭素の環の原子は、-RCで置換されていなければならない。更に、この態様において、窒素含有複素環が単環式であり、そして更なる窒素原子を含有し、そしてこの窒素原子が非置換である場合、少なくとも一つの炭素の環の原子は、-RCで置換されていなければならない。単環式の窒素含有複素環中の更なる窒素原子が、-RN基で置換されている場合、炭素の環の原子は、非置換であるか、或いは所望により一又は二置換されていることができる。
【0685】
窒素含有複素環が二環式である場合、それぞれの更なる窒素の環の原子は、非置換であることができる。別の態様において、窒素の複素環が二環式である場合、一つの更なる窒素の環の原子は、更なる窒素の環の原子が-X-基に対してαである炭素に接続されている場合を除き、-RN基で置換することができ、この更なる窒素の環の原子は-RNA基で置換されている。
【0686】
一つの態様において、単環式の窒素含有複素環は、-RCで一置換されている。従って-R17及び-RA又は-R17及び-RB基中の一つの炭素の環の原子は、-RCで一置換されている。
【0687】
一つの態様において、更なる窒素の環の原子を含有する単環式の窒素含有複素環は、-RC、-RN又は-RNA基で一置換、例えば-RN又は-RNA基で一置換、或いは-RC基で一置換されている。従って、-R17及び-RA又は-R17及び-RB基中の一つの環の原子は、一置換されている。
【0688】
窒素含有複素環は、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、1,4-ジアゼピン、インドリン、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリン、1,2,3,4,6,7,8,8a-オクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン、1,2,3,4-テトラヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン、5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン及び1,2,3,4-テトラヒドロ-2,6-ナフチリジンからなる群から選択することができる。二環系において、芳香族環は、存在する場合、第2の環として提供される。
【0689】
単環式の窒素含有複素環のピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、及び1,4-ジアゼピンは、上記で考察したように置換されている。
二環式の窒素含有複素環のインドリン、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン及び1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリンは、上記で考察したように置換されるか又は非置換であることができる。
【0690】
窒素含有複素環は、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、及び1,4-ジアゼピンからなる群から選択することができる。
一つの態様において、窒素含有複素環は、ピロリジン、ピペリジン及びピペラジンから選択される。
【0691】
一つの態様において、二環式の窒素含有複素環は、芳香族環であることができる第2の環に縮合した、ピロリジン、ピペリジン及びピペラジンから選択される第1の環を有する。第2の環の例は、シクロヘキサン、ベンゼン及びピリジン環を含む。
【0692】
一つの態様において、-Q-が共有結合である場合、-R17及び-RA基は、一緒に窒素の複素環を形成する。ここで、-NR16-基は、-X-基に対してβである炭素原子上に位置する。
【0693】
もう一つの態様において、-Q-が共有結合でない場合、-R17及び-RA基は、一緒に窒素の複素環を形成する。ここで、-NR16-基は、-X-基に対してγである炭素原子上に位置する。
【0694】
一つの態様において、-R17及び-RAは、*-CH(RC1)CH(RC1)CH(RC1)-、*-CH(RC1)CH(RC1)-、及び*-N(RNA)CH(RC1)CH(RC1)-から選択され、ここで、*は、-X-基に対してαの炭素への接続の点を示し、-RC1は、水素又は-RCであり、そして少なくとも一つの炭素又は窒素原子は、-RC又は-RNAで適宜に置換されている。
【0695】
例示的な窒素含有複素環の構造は、以下の-R15の節で与えられる。
炭素環及び複素環
一つの態様において、-RA及び-RBは、一緒に5ないし10員の炭素環又は複素環を形成する。ここで、-Q-は共有結合ではない。炭素環又は複素環は、置換されているか、又は非置換であることができる。
【0696】
炭素環又は複素環は、単環式又は二環式であることができる。二環式の炭素環又は複素環は、二つの縮合環を有する。
炭素環又は複素環は、合計5ないし10個の環の原子を含有する。炭素環又は複素環が単環式である場合、これは、5ないし7個の環の原子を、例えば5ないし6個、例えば6個の環の原子を有することができる。炭素環又は複素環が二環式である場合、これは、8ないし10個の環の原子を、例えば9ないし10個、例えば10個の環の原子を有することができる。二環系のそれぞれの環は、5ないし7個の環の原子を、例えば5又は6個、例えば6個の環の原子を有することができる。
【0697】
炭素環又は複素環が二環式である場合、一つの環は、芳香族又は部分的に不飽和であることができる。-X-基に対してα及びβの炭素原子と一緒に形成される環(第1の環)は、芳香族ではない。これは、第1に縮合する環である第2の環であり、これは芳香族であることができる。第1の環は、第2の環と共有する炭素環の原子(架橋原子)を除き、飽和であり、これは、例えば第2の環の芳香族環系の一部であることができる。
【0698】
二環式の複素環は、第1又は第2の環のいずれかに、異種原子、例えばN、S、又はOを有する複素環である。
一つの態様において、異種原子は、第1の環中に存在する。一つの態様において、異種原子は、第2の環中に存在する。
【0699】
複素環は、N、S、及びOから独立に選択される一つ又はそれより多い異種原子を含む。一つの態様において、複素環は、一つ又は二つ、例えば一つの異種原子を含む。
一つに態様において、異種原子は窒素である。
【0700】
一つの態様において、一つの異種原子、例えば一つの窒素異種原子が存在する。
炭素環又は複素環が単環式である場合、-RA及び-RB中のそれぞれの炭素の環の原子は、-RCで、所望により一又は二置換されている。
【0701】
炭素環又は複素環が二環式である場合、-RA及び-RB中のそれぞれの炭素の環の原子は、-RCを含む-RDで、所望により一又は二置換されている。
窒素の環の原子に対する言及が行われる場合、環の原子は、-NH-基として提供することができ、そして窒素原子は、適宜に-RN又は-RNAで所望により置換することができる。更なる窒素の環の原子は、これが芳香族環系の一部であるか、又は不飽和結合の一部である場合、非置換であることができる。
【0702】
複素環中の硫黄の環の原子に対する言及が行われる場合、硫黄の環の原子は、-S-、-S(O)-又は-S(O)2-、例えば-S-として提供することができる。
一つの態様において、炭素環又は複素環中の一つの炭素の環の原子は、適宜に-RC又は-RDで一又は二置換、例えば一置換されている。この態様において、炭素環又は複素環中の残りの炭素原子は、非置換であることができる。この態様は、炭素環又は複素環が単環式である場合に好ましい。
【0703】
一つの態様において、複素環は、窒素の環の原子を有し、そしてこの原子は、-X-基に対してαである炭素に接続する窒素の環の原子を除き、-RNで所望により置換され、この窒素の環の原子は、-RNAで所望により置換されている。一つの態様において、窒素の環の原子が複素環中に存在する場合、この環の原子は、置換することができる。この態様において、炭素環又は複素環中の残りの炭素原子は、非置換であることができる。この態様は、複素環が単環式である場合に好ましい。
【0704】
-RNに対する定義が、窒素の環の原子と一緒にアミド基を形成するものである基を包含しないことは注目される。
第2の環が存在し、そしてその第2の環が一つ又はそれより多い窒素原子を含有する芳香族環である場合、芳香族環中の窒素原子は、適宜に-RN基で置換することができる。
【0705】
一つの態様において、単環式の炭素環は、シクロヘキサン及びシクロペンタンから選択され、これらは、上記で考察したように置換することができる。
一つの態様において、単環式の複素環は、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピペリジン、ピペラジン、1,4-ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン及び1,4-ジアゼピンから選択され、これらは、上記で考察したように置換することができる。
【0706】
一つの態様において、単環式の炭素環は、インダン及びテトラリンから選択される。
一つの態様において、二環式の複素環は、インドリン、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリン、クロマン(chromane)、及びジヒドロベンゾフランから選択され、これらは、上記で考察したように置換されていることができる。
【0707】
-R15
-R15は-X-と一緒に、式(III)の化合物中のN末端置換基として考えることができる。-R15は、-NR16R17基、又は-NR16-基であることができるアミノ基を含有し、ここで、窒素は、窒素含有複素環中の環の原子として存在する。
【0708】
本発明の化合物において、窒素基-NR16R17は、一つのメチレン基(即ち-CH2-基)に結合していなければならない。従って、-R15は、-CH2NR16R17を含有しなければならない。
【0709】
窒素基-NR16-が窒素含有複素環中に提供される(即ち-R17及び-RAが環を形成するか、又は-R17及び-RBが環を形成する)場合、窒素原子は、メチレン基の一部である一つの隣接する炭素原子に結合していなければならない。これは、-R15基に対する要求事項である。然しながら、他の隣接する環の炭素原子は、メチレン基の一部である必要はない(これは、メチレン又はメチン基であることができる)。一つの態様において、-NR16-中の窒素原子は、二つの環のメチレン基に結合する(即ち両方の隣接する環の炭素原子は、メチレン基中に提供される)。一つの態様において、-NR16-中の窒素原子は、メチレン基の一部である炭素の環の原子に、並びにメチレン又はメチン基の一部である炭素の環の原子に結合する。
【0710】
一つの態様において、-R15は、以下に列挙する基から選択される。以下に示す基は、-R17及び-RAが一緒に窒素含有複素環を形成する基を含む。
以下の態様において、-RC1は水素又は-RCであり;-RN1は水素又は-RNAであり;-RD1は水素又は-RDであり;-RAは水素又は-LA-RAAであり;-RBは水素又は-LB-RBBであり;そして-R16は独立に水素又はC1-4アルキルであり;-R17は独立に水素又はC1-4アルキルであり;或いは-NR16R17はグアニジン基である。上記で注目したように、-Q-が共有結合である場合、-RAは-LA-RAAであり、そして-Q-が-CH(RB)-である場合、一つ又は両方の-RA及び-RBは、水素ではない。窒素含有複素環が単環式である場合、これは、-RC、及び-LB-RBB、-RNA並びに-RNから選択される少なくとも一つの基で置換されていなければならない。
【0711】
一つの態様において、-R15は:
【0712】
【0713】
からなる群から選択される。
一つの態様において、-R15は:
【0714】
【0715】
からなる群から選択される。
一つの態様において、-R15は:
【0716】
【0717】
からなる群から選択される。
一つの態様において、-R15は:
【0718】
【0719】
からなる群から選択される。
一つの態様において、-R15は:
【0720】
【0721】
からなる群から選択される。
一つの態様において、-R15は:
【0722】
【0723】
からなる群から選択される。
一つの態様において、-R15は:
【0724】
【0725】
からなる群から選択される。
一つの態様において、-R15は:
【0726】
【0727】
からなる群から選択される。
一つの態様において、-R15は:
【0728】
【0729】
からなる群から選択される。
一つの態様において、-R15は:
【0730】
【0731】
からなる群から選択される。
一つの態様において、-R15は:
【0732】
【0733】
からなる群から選択される。
一つの態様において、-R15は:
【0734】
【0735】
からなる群から選択される。
一つの態様において、-R15は:
【0736】
【0737】
である。
一つの態様において、-R15は:
【0738】
【0739】
である。
一つの態様において、-R15は:
【0740】
【0741】
である。
一つの態様において、-R15は:
【0742】
【0743】
である。
一つの態様において、-R15は:
【0744】
【0745】
である。
上記に示した構造は、-R15が、窒素含有複素環を含有する例を含む。これらは、-R17及び-RAが、これらが接続している炭素原子と一緒に、窒素の複素環を形成する化合物である。上記に示した窒素の複素環は、単環式の窒素の複素環である。
【0746】
-R17及び-RA基中のそれぞれの炭素の環の原子は、-RC1で置換されることができる。-RC1が水素である場合、炭素の環の原子は非置換である。
-R17は及び-RA基中の窒素の環の原子は、存在する場合、-RN1で置換されている。
【0747】
-RN1が水素である場合、窒素の環の原子は非置換である。
窒素含有複素環が、更なる窒素原子を含有する場合、更なる窒素原子は、-RN又は-RNAで適宜に置換されていることが好ましい。この態様において、環の炭素原子は、非置換であることができる。窒素含有複素環が、更なる窒素原子を含有しない場合、炭素の環の原子の一つは、-RC又は-LB-RBBで置換され、そして好ましくは、-R17及び-RA基の炭素の環の原子の一つは、-RCで置換されている。
【0748】
本発明の化合物は、更に、-R17及び-RAが、これらが接続している炭素原子と一緒に、二環式の窒素の複素環を形成する化合物を含む。この態様において、-R17及び-RA中の炭素又は窒素の環の原子は、置換されている必要はない(即ち-RD及び-RNのそれぞれは水素であることができる)。
【0749】
更に、又は別に、上記に示した-R15基に対して、-R15は:
【0750】
【0751】
から選択される。
更に、又は別に、上記に示した-R15基に対して、-R15は:
【0752】
【0753】
から選択される。
更に、又は別に、上記に示した-R15基に対して、一つの態様において、-R15は:
【0754】
【0755】
から選択される。
一つの態様において、-RA及び-RBは、一緒に炭素環又は複素環を形成することができる。炭素環又は複素環の環の原子は、所望により置換することができる。炭素の環の原子は、-RCで所望により一又は二置換することができる。窒素の環の原子は、存在する場合、-X-基に対してαである炭素に接続している窒素の環の原子が-RNAで所望により置換されていることを除き、-RNで所望により置換することができる。
【0756】
以下の態様において、-RC1は水素又は-RCであり;-RN1は水素又は-RNAであり;-RD1は水素又は-RDであり;そして-R16は独立に水素又はC1-4アルキルであり;-R17は独立に水素又はC1-4アルキルであり;或いは-NR16R17はグアニジン基である。窒素含有炭素環 複素環が単環式である場合、これは、-RC、及び-RNA並びに-RNから選択される少なくとも一つの基で所望により置換されている。
【0757】
更に、又は別に、上記に示した-R15基に対して、一つの態様において、-R15は:
【0758】
【0759】
から選択される。
更に、又は別に、上記に示した-R15基に対して、一つの態様において、-R15は:
【0760】
【0761】
から選択される。
-RA
一つの態様において、-RAは水素ではない。一つの態様において、-RAは、-LA-RAAである。一つの態様において、-RAは、-RAAである。これらの態様において、-RBは、存在する場合、水素であることができる。
【0762】
一つの態様において、-RAが水素ではない場合、例えば-RAが-LA-RAA又は-RAであり、そして-R17が一緒に窒素含有複素環を形成する場合、-R15は、アミノ含有基:
【0763】
【0764】
である。
-RAが-LA-RAAである場合、この基が、-C(O)N(R11)-*基を含有する置換基を包含しないことは注目され、ここで、星印は、-X-基に対してαである炭素に対する接続の点を示す。本発明人等は、-C(O)N(R11)-*基が存在する場合、生物学的活性が減少することを見出している。
【0765】
一つの態様において、-RA及び-R17は、一緒に5ないし10員の窒素含有単環式又は二環式の複素環を形成する。
一つの態様において、-RA及び-RBは、一緒に5ないし10員の炭素環又は複素環を形成する。ここで、-Q-は共有結合ではない。
【0766】
一つの態様において、-RAは-NHEt又は-NEt2ではなく、例えばここで、R15-X-は、ポリミキシンBノナペプチド(PMBN)に対するN末端置換基である。
一つの態様において、-RAは、-NHRPA又は-N(RPA)2ではなく、ここで、それぞれの-RPAは、C1-10アルキル、例えばC8-10アルキル、例えばC1-8アルキル、例えばC1-4アルキル、例えばC1-2アルキルであり、例えば、ここで、R15-X-は、ポリミキシンBノナペプチド(PMBN)に対するN末端置換基である。
【0767】
一つの態様において、-RAは、-X-基に対してαである炭素に接続している酸素原子を有する基ではない。一つの態様において、-RAは、-X-基に対してαである炭素に接続している窒素原子を有する基ではない。-LA-RAA基に対する定義は、そのように解釈することができる。
【0768】
-RB
一つの態様において、-RBは、存在する場合、水素である。一つの態様において、-Q-は、共有結合であり、そして-RBは、従って非存在である。
【0769】
一つの態様において、-RBは-LA-RBBである。一つの態様において、-RBは-RBBである。これらの態様において、-RAは水素であることができる。
一つの態様において、-RBは、C3-10シクロアルキルではなく、例えばシクロヘキシルではない。
【0770】
一つの態様において、-RB及び-R17は、一緒に5ないし10員の窒素含有単環式又は二環式の複素環を形成する。
一つの態様において、-RA及び-RBは、一緒に5ないし10員の炭素環又は複素環を形成する。ここで、-Q-は共有結合ではない。
【0771】
-Q-が存在し、そしてこれが窒素含有複素環の一部であり、そして-RBが-LA-RBBである場合、窒素含有複素環は、所望により置換されている。従って、-RB及び-R17中のそれぞれの炭素の環の原子は、-RCで所望により置換され、そして-RB及び-R11中のそれぞれの窒素の環の原子は、-RNで所望により置換されている。
【0772】
一つの態様において、-RA及び-RBの一つは水素である。従って、-RA及び-RBの他方は水素ではない。
-LB-RBBが、-C(O)N(R11)-*基を含有する置換基を包含することは注目され、ここで、星印は、-X-基に対してβである炭素に対する接続の点を示す。
【0773】
-RC、-RN及び-RNA
-RA及び-R17又は-RB及び-R17は、一緒に5ないし10員の窒素含有の単環式又は二環式の複素環を形成することができ、そして-RA及び-RBは、一緒に5ないし10員の単環式又は二環式の炭素環を、或いは一緒に5ないし10員の単環式又は二環式の複素環を形成することができる。窒素含有複素環及び炭素環又は複素環中に存在する環の原子は、本明細書中に記載されるように置換されているか又は非置換であることができる。
【0774】
窒素含有複素環は、-RA及び-R17又は-RB及び-R17の一部である環の原子を含む。-RA及び-R17又は-RB及び-R17が、窒素含有の単環式又は二環式の複素環を形成する場合、-RA及び-R17基又は-RB及び-R17基中のそれぞれの炭素の環の原子は、-RCで所望により置換することができる。これらの炭素の環の原子は、-RCで一又は二置換することができる。一つの態様において、それぞれの炭素の環の原子は、-RCで所望で一置換されている。
【0775】
本明細書中に記載されるように、窒素含有の単環式の複素環は、置換されていなければならない。置換基は、-RA及び-R17又は-RB及び-R17の一部である環の原子に対する置換基として存在することができる。従って、-RC、-RN又は-RNA基は、適宜に存在する。別の態様において、置換基は、-X-基に対する炭素において存在することができ、即ち-LB-RBBが存在する。
【0776】
窒素含有複素環は、更なる窒素の環の原子を含有することができる。それぞれの更なる窒素の環の原子は、適宜に-RNで所望により置換されることができる。然しながら、更なる窒素原子が-X-基に対してαである炭素に結合している場合、この環の窒素原子は-RNAで所望により置換されている。
【0777】
一つの態様において、-RA及び-RBは、一緒に5ないし10員の単環式又は二環式の炭素環或いは複素環を形成する。単環式において、-RA及び-RB中のそれぞれの環の炭素原子は、-RCで所望により一又は二置換されている。これらの炭素の環の原子は、-RCで所望により一又は二置換することができる。一つの態様において、それぞれの炭素の環の原子は、-RCで所望により一置換されている。二環式において、-RA及び-RB中のそれぞれの環の炭素原子は、-RDで所望により一又は二置換されている。これらの炭素の環の原子は、-RDで一又は二置換されることができる。
【0778】
5ないし10員の単環式又は二環式の複素環は、窒素の環の原子を含有することができる。それぞれの窒素の環の原子は、適宜に、-RNで所望により置換されることができる。然しながら、更なる窒素原子が-X-基に対してαである炭素に結合している場合、この環の窒素原子は、-RNAで所望により置換されている。
【0779】
-RA及び-R17又は-RB及び-R17、又は-RA及び-RBの一部である炭素の環の原子の一つは、オキソ(=O)で置換されていることができる。-N(R16)-中の窒素原子に接続している環の炭素原子は、オキソで置換されない。このような炭素の環の原子がオキソで置換されている場合、これは、更なる窒素の環の原子(このようなものが存在する場合)に結合して、アミド基を形成することができる。更なる窒素原子が、-X-基に対してαである炭素原子に接続することができることは注目される。本発明人等は、窒素含有複素環内に-X-基に対してβの炭素に対する置換基としてアミド基が存在する場合、生物学的活性は減少されないことを理解している。
【0780】
一つの態様において、環の炭素原子が-X-基に対してαである炭素原子に接続している更なる窒素の環の原子に接続する場合、この環の炭素原子は、オキソで置換されない。
同様に、このような炭素の環の原子がオキソで置換されている場合、これは、更なる酸素の環の原子(このようなものが存在する場合)に接続することができ、そしてエステル基を形成することができる。
【0781】
一つの態様において、窒素含有複素環は、環のアミド、カルバミン酸、尿素又はエステル基を含まない。
一つの態様において、-X-基に対してαである炭素に接続している更なる窒素の環の原子は、アミド、カルバミン酸又は尿素基の一部ではない。
【0782】
一つの態様において、-X-基に対してαである炭素に接続している更なる酸素の環の原子は、カルバミン酸又はエステル基の一部ではない。
-R17及び-RAが単環式の窒素含有複素環を形成する場合、一つの環(-X-基に対してα及びβの炭素原子と一緒に形成される)の原子は、置換されなければならない。ここで、単環式の窒素の複素環は、炭素の環の原子、又は存在する場合、更なる窒素の環の原子上に存在する置換基を持たなければならない。従って、少なくとも一つの-RC、-RN、-RNA又は-LB-RBB基は、窒素含有複素環に対する置換基として存在しなければならない。一つの態様において、少なくとも一つの-RC、-RN又は-RNA基は、窒素含有複素環に対する置換基として存在しなければならない。
【0783】
一つの態様において、-R17及び-RAが単環式の窒素含有複素環を形成する場合、-R17及び-RA中の一つ又は二つの環の原子は、置換されている。-R17及び-RA中の残りの環の原子は、非置換である。一つの態様において、-R17及び-RA中の一つの環の原子は、置換されている。
【0784】
一つの態様において、R17及び-RAが単環式の窒素含有複素環を形成する場合、-R17及び-RA中の一つの炭素の環の原子は、-RCで置換され、そして-R17及び-RA中の残りの環の原子は、非置換である。
【0785】
一つの態様において、-R17及び-RAが単環式の窒素含有複素環を形成し、そして複素環が更なる窒素の環の原子を有する場合、更なる窒素は、-RN又は-RNAで適宜に置換され、そして-R17及び-RA中の残りの環の原子は、非置換である。
【0786】
一つの態様において、R17及び-RAが単環式の窒素含有複素環を形成し、そして複素環が更なる窒素の環の原子を有する場合、-R17及び-RA中の一つの炭素の環の原子は、-RCで置換され、そして-R17及び-RA中の残りの環の原子は非置換である。
【0787】
-R17及び-RBが単環式の窒素の複素環を形成する場合、環(-X-基に対してβの炭素原子と一緒に形成される)中の環の原子は、置換されている必要はない。-RA基が水素である場合、単環式の窒素の複素環は、炭素の環の原子、又は存在する場合、更なる窒素の環の原子上に存在する置換基を持たなければならない。然しながら、-RA基が水素ではない場合、炭素の環の原子、又は存在する場合、更なる窒素の環の原子は、置換されている必要はない。
【0788】
一つの態様において、-R17及び-RBが単環式の窒素含有複素環を形成する場合、-R17及び-RB中の一つ又は二つの環の原子は、置換されている。-R17及び-RB中の残りの環の原子は、非置換である。一つの態様において、-R17及び-RB中の一つの環の原子は、置換されている。これらの態様において、-RAは水素であることができる。
【0789】
一つの態様において、-R17及び-RBが単環式の窒素含有複素環を形成する場合、-R17及び-RB中の一つの炭素の環の原子は、-RCで置換され、そして-R17及び-RB中の残りの環の原子は、非置換である。
【0790】
一つの態様において、-R17及び-RBが単環式の窒素含有複素環を形成し、そして複素環が更なる窒素の環の原子を有する場合、更なる窒素は-RNで置換され、そして-R17及び-RB中の残りの環の原子は、非置換である。
【0791】
一つの態様において、-R17及び-RBが単環式の窒素含有複素環を形成し、そして複素環が更なる窒素の環の原子を有する場合、-R17及び-RB中の一つの炭素の環の原子は、-RCで置換され、そして-R17及び-RB中の残りの環の原子は、非置換である。
【0792】
二環式の窒素含有複素環は、非置換であることができる。ここで、第2の縮合環は、第1の環に対する置換基と考えることができる。
一つの態様において、-R17及び-RAが二環式の窒素含有複素環を形成する場合、-R17及び-RA中の一つの炭素の環の原子は、-RDで置換され、そして-R17及び-RA中の残りの環の原子は、非置換である。
【0793】
一つの態様において、R17及び-RAが二環式の窒素含有複素環を形成し、そして複素環が更なる窒素の環の原子を有する場合、更なる窒素は、-RN又は-RNAで適宜に置換され、そして-R17及び-RA中の残りの環の原子は、非置換である。
【0794】
一つの態様において、-R17及び-RAが二環式の窒素含有複素環を形成し、そして複素環が更なる窒素の環の原子を有する場合、-R17及び-RA中の一つの炭素の環の原子は、-RDで置換され、そして-R17及び-RA中の残りの環の原子は、非置換である。
【0795】
一つの態様において、-RD基は、これが二環式の窒素含有複素環の第1の環の置換基として提供される場合、-RCである。
-RD
一つの態様において、それぞれの-RDは、-RC、ハロ、-OH、及び-NH2から独立に選択される。
【0796】
一つの態様において、それぞれの-RDは、-RC及びハロから独立に選択される。
一つの態様において、それぞれの-RDは、独立に-RCである。
一つの態様において、それぞれの-RDは、独立に-LC-RCCである。
【0797】
二環式の窒素含有複素環は、第1の環及び第2の環を含有する。第1の環は、-X-基に対してβである炭素原子を含む窒素の複素環である。
一つの態様において、第1の環の一部である-R17及び-RA中のそれぞれの炭素の環の原子は、-RCで所望により一又は二置換されている。
【0798】
第2の環は、第1の環に縮合する環である。第2の環の一部である-R17及び-RA中のそれぞれの炭素の環の原子は、-RDで所望により一又は二置換されている。
-LA-
-LA-基は、共有結合であることができる。
【0799】
別の態様において、-LA-は、連結基であることができる。星印は、-LA-基の-RAAへの接続の点を示すために使用される。従って、残りの接続の点は、-X-基に対してαである炭素に接続する。
【0800】
-LA-が-N(R11)C(O)-*基ではないことは注目され、ここで、星印は-RAAへの接続の点である。本発明人等は、このような基が、上記で考察したように、不良な生物学的活性を有することを見出している。
【0801】
一つの態様において、連結基は、-RL-*、-O-LAA-*、-N(R11)-LAA-*、及び-C(O)-LAA-*から選択される。
一つの態様において、連結基は、-RL-*、-O-LAA-*、及び-C(O)-LAA-*から選択される。
【0802】
一つの態様において、連結基は、-RL-*、-N(R11)-LAA-*、及び-C(O)-LAA-*から選択される。
一つの態様において、連結基は、-RL-*及び-C(O)-LAA-*から選択される。
【0803】
一つの態様において、連結基は、-RL-*、-O-LAA-*、及び-N(R11)-LAA-*から選択される。
一つの態様において、連結基は、-RL-*及び-O-LAA-*から選択される。
【0804】
一つの態様において、連結基は、-RL-*である。
-LB-
-LB-基は、共有結合であることができる。
【0805】
別に、-LB-は、連結基であることができる。
星印は、-LB-基の-RBBへの接続の点を示すために使用される。従って、残りの接続の点は、-X-基に対してβである炭素に接続する(即ち-CH(RB)-中の炭素原子である)。
【0806】
一つの態様において、連結基は、RL-*、-O-LAA-*、-OC(O)-LAA-*、-N(R11)-LAA-*、-C(O)-LAA-*、及び-C(O)O-LAA-*から選択される。
【0807】
一つの態様において、連結基は、-RL-*、-O-LAA-*、-N(R11)-LAA-*、-C(O)-LAA-*、-C(O)O-LAA-*、及び-C(O)N(R11)-LAA-*から選択される。
【0808】
一つの態様において、連結基は、-RL-*、-O-LAA-*、-N(R11)-LAA-*、-C(O)-LAA-*、及び-C(O)O-LAA-*から選択される。
一つの態様において、連結基は、-RL-*、-O-LAA-*、及び-N(R11)-LAA-*から選択される。
【0809】
一つの態様において、連結基は、-RL-*である。
更に又は別に、連結基は、-N(R11)S(O)-LAA-*及び-N(R11)S(O)2-LAA-*から選択される。
【0810】
一つの態様において、連結基は、-N(R11)S(O)2-LAA-*である。
一つの態様において、連結基は、-N(R11)S(O)2-*である。
【0811】
更に又は別に、連結基は、-S(O)N(R11)-LAA-*、及び-S(O)2N(R11)-LAA-*から選択される。
一つの態様において、連結基は、-S(O)N(R11)-LAA-*である。
【0812】
一つの態様において、連結基は、-S(O)2N(R11)-LAA-*である。
-LC-
-LC-基は、共有結合であることができる。
【0813】
-LC-基は、連結基であることができる。
星印は、-LC基の-RCCへの接続の点を示すために使用される。従って、残りの接続の点は、炭素の環の原子に接続する。
【0814】
一つの態様において、連結基は、RL-*、-O-LAA-*、-OC(O)-LAA-*、-N(R11)-LAA-*、-C(O)-LAA-*、及び-C(O)O-LAA-*から選択される。
【0815】
一つの態様において、連結基は、-RL-*、-O-LAA-*、-N(R11)-LAA-*、-C(O)-LAA-*、-C(O)O-LAA-*、及び-C(O)N(R11)-LAA-*から選択される。
【0816】
一つの態様において、連結基は、RL-*、-O-LAA-*、-N(R11)-LAA-*、-C(O)-LAA-*、及び-C(O)O-LAA-*から選択される。
一つの態様において、連結基は、-RL-*、-O-LAA-*、及び-N(R11)-LAA-*から選択される。
【0817】
一つの態様において、連結基は、-RL-*である。
更に又は別に、連結基は、-N(R11)S(O)-LAA-*及び-N(R11)S(O)2-LAA-*から選択される。
【0818】
一つの態様において、連結基は、-N(R11)S(O)2-LAA-*である。
一つの態様において、連結基は、-N(R11)S(O)2-*である。
一つの態様において、連結基は、-S(O)N(R11)-LAA-*、及び-S(O)2N(R11)-LAA-*から選択される。
【0819】
更に又は別に、連結基は、-S(O)N(R11)-LAA-*、及び-S(O)2N(R11)-LAA-*から選択される。
一つの態様において、連結基は、-S(O)N(R11)-LAA-*である。
【0820】
一つの態様において、連結基は、-S(O)2N(R11)-LAA-*である。
-LAA-
一つの態様において、-LAA-は、独立に共有結合である。
【0821】
一つの態様において、-LAA-は、独立に-RLである。
-LN-
一つの態様において、-LN-基は、独立に共有結合である。
【0822】
一つの態様において、-LN-基は、連結基である。
星印は、-LN-基の-RNNへの接続の点を示すために使用される。従って、残りの接続の点は、窒素の環の原子に接続する。
【0823】
連結基は、-S(O)-LAA-*、-S(O)2-LAA-*、-C(O)-LAA-*及び-C(O)N(R11)-LAA-*から独立に選択することができる。従って、連結基は、これらが接続している窒素原子と一緒に、それぞれスルフィンアミド、スルホンアミド、アミド及び尿素官能基を形成することができる。
【0824】
一つの態様において、連結基は、-S(O)2-LAA-*、-C(O)-LAA-*及び-C(O)N(R11)-LAA-*から独立に選択される。
一つの態様において、連結は、-S(O)2-LAA-*及び-C(O)N(R11)-LAA-*から独立に選択される。
【0825】
-LN-基が、-X-基に対してαである炭素に接続していない更なる環の窒素原子に対する置換基としてのみ存在することは注目される。更なる環の窒素原子が-X-に対してαである炭素に接続している場合、これは、-RL-RNNで所望により置換されている。-RL-RNN基は、スルフィンアミド、スルホンアミド、アミド及び尿素基が、-X-基に対してαである炭素に接続することを許容しない。スルフィンアミド、スルホンアミド、アミド及び尿素官能基の存在は、他の環の位置では許容されると信じられる。
【0826】
-RL-
一つの態様において、それぞれの-RL-は、C1-12アルキレン、C2-12ヘテロアルキレン、C3-10シクロアルキレン及びC5-10ヘテロシクリレンから独立に選択される。
【0827】
然しながら、-LAA-がC1-12アルキル基に接続している場合、-RL-は、C1-12アルキレンではない。更なる態様において、-LAA-がC1-12アルキル基に接続している場合、-RL-は、C1-12アルキレンではなく、そしてこれは、C2-12ヘテロアルキレンではない。
【0828】
-RL-がへテロアルキレンである場合、これは、ヘテロアルキレン基の異種原子、例えば存在する場合、N、O又はS、或いはヘテロアルキレン基の炭素原子を経由して-RAA、-RBB、-RCC、又は-RNNに接続することができる。他の接続の点は、例えばヘテロアルキレンが炭素原子或いは異種原子、例えばN、O又はSに接続している場合、ヘテロアルキレン基の炭素原子を経由して作られる。他の接続の点は、例えばヘテロアルキレンが炭素原子に接続している場合、ヘテロアルキレン基の異種原子を経由して作ることができる。然しながら、特に-RL-が-LAA-基中に存在する場合、他の接続の点が、ヘテロアルキレン基の炭素原子を経由して作られることが好ましい。
【0829】
-RL-が、ヘテロシクリレンである場合、これは、存在する場合、ヘテロシクリレン基の環の窒素異種原子を、又はヘテロシクリレン基の炭素の環の原子を経由して-RAA、-RBB、-RCC、又は-RNNに接続することができる。他の接続の点は、例えばヘテロシクリレンが炭素原子又は異種原子、例えばN、O又はSに接続している場合、ヘテロシクリレン基の環の炭素原子を経由して作られる。他の接続の点は、例えばヘテロシクリレンが炭素原子に接続している場合、ヘテロシクリレン基の環の窒素の異種原子を経由して作ることができる。
【0830】
一つの態様において、-RL-基は、C1-12アルキレン、及びC2-12ヘテロアルキレンから独立に選択される。
一つの態様において、-RL-基は、C1-12アルキレン及びC3-10シクロアルキレンから独立に選択される。
【0831】
一つの態様において、-RL-基は、独立にC1-12アルキレンである。
-RL-基は、一つ又はそれより多い-RS基で置換されることができる。従って、それぞれのC1-12アルキレン、C2-12ヘテロアルキレン、C3-10シクロアルキレン及びC5-10ヘテロシクリレンは、一つ又はそれより多い-RS基で所望により置換される。規定された基は、非置換であるか、又は一置換されることができる。-RS基は、炭素原子に対する置換基として存在することができる。炭素原子は、-RS基で所望により一又は二置換されることができる。
【0832】
窒素原子が、ヘテロシクリレン基又はヘテロアルキレン基のような基中に存在する場合、この窒素原子は、-R12基で所望により置換されることができる。
一つの態様において、-RL-基は非置換である。
【0833】
一つの態様において、C1-12アルキレン基は、C1-6アルキレン、C1-4アルキレン、C2-6アルキレン、及びC2-4アルキレンから選択される。
一つの態様において、アルキレン基は、直鎖である。
【0834】
一つの態様において、C1-12アルキレン基は、-CH2-、-CH2CH2-、及び-CH(CH3)-から選択される。
一つの態様において、C1-12アルキレン基は、例えばこれがシクロアルキル、ヘテロシクリル、又はアリール基に接続している場合、-CH2である。
【0835】
一つの態様において、C2-12ヘテロアルキレン基は、C2-6ヘテロアルキレン、及びC2-4ヘテロアルキレン(heteroalklyene)から選択される。
一つの態様において、C2-12ヘテロアルキレン基は、-CH2O-*、-CH2CH2O-*、-CH2NH-*、-CH2CH2NH-*、-CH2N(R12)-*、及び-CH2CH2N(R12)-*から選択され、ここで、星印は、-RAA、-RBB、-RCC、又は-RNNへの接続の点を示す。従って、ヘテロアルキレン基中の異種原子は、-RAA、-RBB、-RCC、又は-RNNに接続することができる。他の接続の点は、ヘテロアルキレン基の炭素原子を経由して作ることができる。
【0836】
S原子が、ヘテロアルキレン基中に存在する場合、これは、S、S(O)又はS(O)2の形態であることができる。
一つの態様において、C3-10シクロアルキレンは、シクロプロピレン、シクロペンチレン及びシクロヘキシレンから選択される。一つの態様において、C3-10シクロアルキレンはシクロヘキシレンである。
【0837】
一つの態様において、C5-10ヘテロシクリレンは、C5-6ヘテロシクリレンである。
一つの態様において、C5-10ヘテロシクリレンは、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン及びチオモルホリンから選択される。ヘテロシクリレンは、環の炭素又は環の窒素原子を経由して-RAA、-RBB、-RCC、又は-RNNに接続することができる。他の接続の点は、ヘテロシクリレン基の炭素原子を経由して作ることができる。
【0838】
窒素原子は、存在する場合、-R12で所望により置換される。
S原子が、ヘテロシクリレン基中に存在する場合、これは、S、S(O)又はS(O)2の形態であることができる。
【0839】
-RAA、-RBB、-RCC、及び-RNN
それぞれの-RAA、-RBB、-RCC、及び-RNNは、存在する場合、C1-12アルキル、C3-10シクロアルキル、C4-10ヘテロシクリル、及びC5-12アリールから独立に選択される。
【0840】
一つの態様において、C1-12アルキルは、C1-6アルキル、C1-7アルキル、C1-4アルキル、C2-6アルキル、C2-4アルキル、C3-10アルキル、C3-7アルキル、C4-10アルキル及びC6-10アルキルから選択される。
【0841】
一つの態様において、アルキル基は、直鎖である。
一つの態様において、アルキル基は、分枝鎖である。
一つの態様において、C1-12アルキル基は、C8アルキルを含まない。
【0842】
一つの態様において、C3-10シクロアルキル基は、C3-6シクロアルキル又はC5-6シクロアルキルである。
一つの態様において、C3-10シクロアルキル基は、シクロヘキシルである。
【0843】
一つの態様において、C4-10ヘテロシクリル基は、C5-10ヘテロシクリル、C6-10ヘテロシクリル、C5-7ヘテロシクリル及びC5-6ヘテロシクリルから選択される。
【0844】
一つの態様において、C4-10ヘテロシクリル基は、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル及びピペラジニルから選択される。
【0845】
一つの態様において、C4-10ヘテロシクリル基は、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、ピペリジニル及びピペラジニルから選択される。
S原子が、ヘテロシクリル基中に存在する場合、これは、S、S(O)又はS(O)2の形態であることができる。
【0846】
窒素原子は、存在する場合、-R12で所望により置換される。
ヘテロシクリル基は、環の窒素の異種原子又は環の炭素原子を経由して接続することができる。ヘテロシクリル基が、窒素原子に対する置換基である(例えば-RL-基中に存在する)場合、ヘテロシクリル基は、この窒素原子に、環の炭素原子を経由して接続される。
【0847】
アリール基、特にヘテロアリール基、例えばインドールは、環の窒素異種原子又は環の炭素原子を経由して接続することができる。ヘテロアリール基が窒素原子に対する置換基である場合、ヘテロアリール基は、この窒素原子に、環の炭素原子を経由して接続される。典型的には、アリール基は環の炭素原子を経由して接続される。
【0848】
一つの態様において、C5-12アリールは、C6-12カルボアリール及びC5-12ヘテロアリールから選択される。
一つの態様において、C5-12アリールは、フェニル、ピリジル、及びナフチルから、所望により1,3-ベンゾジオキソリル及びピリドニルと一緒に選択される。
【0849】
一つの態様において、C6-12カルボアリールは、フェニル、ナフチル、クロマニル、イソ-クロマニル及び1,3-ベンゾジオキソリルから選択される。クロマニル、イソ-クロマニル及び1,3-ベンゾジオキソリル基は、芳香族環の炭素原子を経由して接続される。用語カルボアリールの意味に関する更なる考察は、-G基に対する言及に伴い以下に提供される。
【0850】
一つの態様において、C6-12カルボアリールは、フェニル及びナフチルから選択される。
一つの態様において、C5-12ヘテロアリールは、C5-10ヘテロアリール及びC5-6ヘテロアリールから選択される。
【0851】
一つの態様において、C5-12ヘテロアリールは、独立に、フラニル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル及びピリドニルからなる群から選択される。
【0852】
用語ヘテロアリールの意味に関する更なる考察は、-G基に対する言及に伴い以下に提供される。
それぞれのC1-12アルキル、C3-10シクロアルキル、C4-10ヘテロシクリル、及びC5-12アリール基は、炭素において-RSで、そして存在する場合、窒素において-R12で所望により置換される。それぞれの基は、一つ、二つ、三つ又はそれより多い-RS基を有することができる。一つの態様において、ヘテロシクリル基又はヘテロアリール基は、一つ、二つ、三つ又はそれより多い-R12基を有することができる。
【0853】
一つの態様において、一つの基は、一置換される。
一つの態様において、一つの基は、非置換である。
-RS基は、炭素原子に対する置換基として存在する。炭素原子は、-RSで所望により一又は二置換されることができる。
【0854】
ヘテロシクリル基又はヘテロアリール基のように、窒素原子が提供される場合、この窒素は、-R12基で所望により置換されることができる。
一つの態様において、-RAAは、C1-12アルキル及びC5-12アリールから独立に選択される。
【0855】
一つの態様において、-RAAは、独立にC1-12アルキルである。一つの態様において、-RAAは、独立にC2-12アルキル、例えばC3-12アルキルである。
一つの態様において、-RAAは、独立にC5-12アリールである。
【0856】
一つの態様において、例えば-LBが共有結合である場合、又は例えば-RAが水素である場合、-RBBは、C1-12アルキル、C4-10ヘテロシクリル及び、C5-12アリールから独立に選択される。
【0857】
一つの態様において、例えば-RBが複素環の炭素原子に対する置換基である場合、-RBBは、C1-12アルキル、C3-10シクロアルキル、C4-10ヘテロシクリル、及びC5-12アリールから独立に選択される。
【0858】
一つの態様において、-RBBは、C1-12アルキル及びC5-12アリールから独立に選択される。
一つの態様において、-RBBは、独立にC1-12アルキルである。一つの態様において、-RBBは、独立にC2-12アルキル、例えばC3-12アルキルである。
【0859】
一つの態様において、-RBBは、独立にC5-12アリールである。
一つの態様において、-RNN基は、C1-12アルキル及びC5-12アリールから独立に選択される。
【0860】
一つの態様において、-RNNは、独立にC1-12アルキルである。一つの態様において、-RNNは、独立にC2-12アルキル、例えばC3-12アルキルである。
一つの態様において、-RNNは、独立にC5-12アリールである。
【0861】
-RS
-RS基は、それぞれのC1-12アルキル、C3-10シクロアルキル、C4-10ヘテロシクリル、C5-12アリール、C1-12アルキレン、C2-12ヘテロアルキレン、C3-10シクロアルキレン及びC5-10ヘテロシクリレン基に対する所望による置換基である。一つの基が所望により置換される場合、これは、一つ又はそれより多い-RS基で所望により置換されることができる。一つの基は、-RSで所望により一置換されることができる。
【0862】
-RS基は、炭素原子に対する所望による置換基である。炭素原子は、一、二又は三置換されることができる。
一つの態様において、それぞれの-RSは、存在する場合、-OH、-OR12、ハロ、-R12、-NHR12、-NR12R13、-C(O)R12、-COOH及び-COOR12から独立に選択される。
【0863】
一つの態様において、それぞれの-RSは、存在する場合、-OR12、ハロ、-R12、-NHR12、-NR12R13、-C(O)R12、-COOH及び-COOR12から独立に選択される。
【0864】
一つの態様において、それぞれの-RSは、存在する場合、-OR12、ハロ、及び-R12から独立に選択される。
-RSがアルキル基に対する置換基である場合、-RSは、-R12ではない。
【0865】
-RSがハロである場合、これは、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード、例えばクロロ及びブロモ、例えばクロロから選択することができる。
一つの態様において、炭素原子が-RSで二置換される場合、これらの基は、これらが接続している炭素と一緒に、C3-6炭素環又はC5-6複素環を形成することができ、ここで、炭素環及び複素環は、一つ又はそれより多い-R12基で所望により置換される。S原子が、複素環基中に存在する場合、これは、S、S(O)又はS(O)2の形態であることができる。
【0866】
一つの態様において、C3-6炭素環は、シクロペンタン又はシクロヘキサン、例えばシクロヘキサンである。
一つの態様において、C5-6複素環は、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、テトラヒドロフラン及びテトラヒドロピランから選択される。
【0867】
-R12及び-R13
それぞれの-R12及び-R13は、独立にC1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、フェニル又はベンジルである。
【0868】
-R12及び-R13が、両方ともNに接続している場合、これらは、N原子と一緒に5又は6員の複素環、例えばピロリジン、ピペラジン、ピペリジン、チオモルホリン又はモルホリンを形成することができる。複素環は、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、フェニル又はベンジルで所望により置換されることができる。
【0869】
一つの態様において、-R12及び-R13基は、独立にC1-6アルキル、フェニル又はベンジルである。
一つの態様において、-R12及び-R13基は、独立にC1-6アルキルである。
【0870】
一つの態様において、C1-6アルキルは、メチル及びエチルから選択される。
一つの態様において、C1-6ハロアルキルは、-CF3である。
-R11
一つの態様において、-R11基は、水素、メチル及びエチルから独立に選択される。
【0871】
一つの態様において、-R11は、独立に水素である。
WO2014/188178からの化合物(I)及び(II)に関連する態様
本発明の化合物は、WO2014/188178の化合物(I)及び(II)からの-R5基を、-RT基として使用することができる。
【0872】
-X-及び-R5
式(I)の化合物は、ポリミキシンBの脱アシル化版(脱アシルポリミキシンB-DAPB)、D、E(脱アシルコリスチン-DAC)、又はM、或いはサーキュリンAを包含しない。式(I)の化合物は、ポリミキシンBのノナペプチド版(PMBN)、D、E又はM、或いはサーキュリンAを包含しない。
【0873】
一つに態様において、一緒のX-及び-R5-は、例えば-A-が共有結合である場合、α-アミノ酸残基ではない。α-アミノ酸残基は、-X-が-C(O)-であり、そして-R5が、-X-基に対してαである炭素原子に対する置換基としての-NR6R7基(例えば-NH2)を有する基である。
【0874】
一つの態様において、一緒の-X-及び-R5は、Thr、Ser、α,γ-ジアミノ酪酸(Dab)又はα,β-ジアミノプロピオン酸(Dap)残基ではない。
一つの態様において、例えば式(I)の化合物の核がポリミキシンBである場合、一緒の-X-及び-R5は、Lys、Arg、Dap、Ser、Phe、Trp、Leu又はAla残基ではない。
【0875】
一つの態様において、一緒の-X-及び-R5は、Lys、Arg、Dap、Ser、Phe、Trp、Leu、Ala α,γ-ジアミノ酪酸(Dab)又はα,β-ジアミノプロピオン酸(Dap)残基ではない。
【0876】
一つの態様において、一緒の-X-及び-R5は、Ala、Ser、Thr、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Tyr、Trp、His、Lys又はArg残基ではない。
【0877】
一つの態様において、一緒の-X-及び-R5は、Ala、Ser、Thr、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Tyr、Trp、His、Lys、Arg、α,γ-ジアミノ酪酸(Dab)又はα,β-ジアミノプロピオン酸(Dap)残基ではない。
【0878】
一つの態様において、一緒の-X-及び-R5は、α-アミノ酸、例えばD又はL α-アミノ酸、例えばL α-アミノ酸ではない。
一つの態様において、-X-が-C(O)-である場合、-R5は、ジアミノフェニル、例えば、3,5-ジアミノフェニルではない。
【0879】
-R5
一つの態様において、-R5は、G-L2-L1-である。
-R5は、例えば-L2-が共有結合である場合、G-L1-であることができる。
【0880】
-R5は、例えば-L1-が共有結合である場合、G-L2-であることができる。
-R5は、例えば-L1-及び-L2-が共有結合である場合、-Gであることができる。
【0881】
一つの態様において、-R5は、D-L1-である。
-R5は、例えば-L1-が共有結合である場合、-Dであることができる。
一つの態様において、-R5は、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル及び/又は-NR6R7基を有する。これらの基は、-G、-D、-L1-及び-L2-を含む-R5内のいずれもの基上に提供することができる。一つの態様において、これらの基は、-G、-D、及び-L1-に対する置換基として提供される。
【0882】
ヒドロキシル及び-NR6R7基が、D-L1-基に対する所望による置換基であることは注目される。
ヒドロキシル及び-NR6R7置換基が以下で考察される場合、これらは、-R5に対する置換基として言及することができる。
【0883】
一つの態様において、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル及び/又は-NR6R7基は、-R5に対する所望による置換基である。これは、-L1-が窒素含有C2-12ヘテロアルキレンであり、及び/又は-L2-が窒素含有C4-10ヘテロシクリレンであり、及び/又は-Dが窒素含有C4-10ヘテロシクリルである事例であることができる。
【0884】
一つの態様において、-R5は、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個又は少なくとも8個の存在する炭素原子を有する。
一つの態様において、-R5は、1、2、又は3個の存在する窒素原子を有する。一つの態様において、窒素原子は、塩基性窒素原子である。窒素の原子は、NHとして存在することができる。
【0885】
一つの態様において、-R5は、1、2、又は3個の存在する酸素原子を有する。
一つの態様において、例えば-A-が共有結合であり、-X-が-C(O)-であり、そして-R1、-R2及び-R3がポリミキシンBのアミノ酸残基である場合、-R5は、アミノシクロヘキシルではない。
【0886】
Okimura等は、N末端にアミノシクロヘキシル基を有するポリミキシンBノナペプチド化合物を記載している。これらの化合物は、活性剤との組合せにおける使用に対して記載されていない。
【0887】
一つの態様において、-R5は、cis-2-アミノシクロヘキシル、trans-2-アミノシクロヘキシル、cis-3-アミノシクロヘキシル、cis-4-アミノシクロヘキシル、及びtrans-4-アミノシクロヘキシルからなる群から選択されるアミノシクロヘキシル基ではない。更に又は別に、-R5は、trans-3-アミノシクロヘキシルではない。
【0888】
リンカー:-L2-L1-及び-L1-
G-L2-L1-及びD-L1-基内で、-L2-L1-及び-L1-は、-X-基を-G又は-Dに接続するリンカーとして考えることができる。リンカーは、例えば-L1-及び-L2-が共有結合である場合、非存在であることができる。
【0889】
G-L2-L1-中の-L2-L1-
一つの態様において、-L1-及び-L2-は、両方とも共有結合である。従って、-G基は、直接-X-に結合される。ここで、ヒドロキシル又はアミノ基(例えば一つ、二つ又は三つのヒドロキシル及び/又は-NR6R7基)が、-G上に存在しなければならない。
【0890】
-L1-が窒素含有C2-12ヘテロアルキレンであり、及び/又は-L2-が窒素含有C4-10ヘテロシクリレンである場合、G-L2-L1-が一つ、二つ又は三つのヒドロキシル及び/又は-NR6R7基で置換される必要はない。
【0891】
D-L1-中の-L1-
一つの態様において、-L1-は、共有結合である。従って、-D基は、直接-X-に接続される。D-L1-基がヒドロキシル又はアミノ基(例えば一つ、二つ又は三つのヒドロキシル及び/又は-NR6R7基)で置換される場合、この基は、-D上に存在しなければならない。
【0892】
-L1-が窒素含有C2-12ヘテロアルキレンであり、及び/又は-Dが窒素含有C4-10ヘテロシクリルである場合、D-L1-が、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル及び/又は-NR6R7基で置換される必要はない。
【0893】
-L1-
一つの態様において、-L1-は、共有結合又はC1-12アルキレン基である。
一つの態様において、-L1-は、共有結合である。
【0894】
一つの態様において、-L1-は、C1-12アルキレン基又はC2-12ヘテロアルキレン基である。
一つの態様において、-L1-は、C1-12アルキレン基である。
【0895】
一つの態様において、-L1-は、C1-12アルキレン基、例えばC1-6アルキレン基、C1-4アルキレン基又はC1-2アルキレン基である。
一つの態様において、-L1-は、-CH2-又は-CH2CH2-である。
【0896】
一つの態様において、-L1-は、C2-12アルキレン、例えばC2-6アルキレン又はC2-4アルキレンである。
一つの態様において、-L1-は、C3-12アルキレン、例えばC3-6アルキレン、C4-12アルキレン、C5-12アルキレン、又はC6-12アルキレンである。
【0897】
アルキレン基は、飽和の、脂肪族アルキレン基である。
アルキレン基は、直鎖又は分枝鎖アルキレン基であることができる。一つの態様において、アルキレン基は、直鎖である。
【0898】
-L1-がアルキレン基であり、そしてR5が一つ、二つ又は三つのヒドロキシル及び/又は-NR6R7基で置換されている場合、一つ又はそれより多い置換基は、アルキレン基に対する置換基であることができる。
【0899】
一つの態様において、アルキレン基は、一つ、二つ又は三つの置換基を有する。
一つの態様において、アルキレン基は、一つ又は二つの置換基、例えば一つの置換基を有する。
【0900】
一つの態様において、アルキレン基上の置換基の数は、アルキレン基中の炭素原子の数より多くない。従って、-L1-がC2アルキレン基である場合、これは、二つより多くない置換基で置換されることができる。
【0901】
更なる置換基は、存在する場合、適宜に-G又は-D上に位置することができる。
一つの態様において、アルキレン基は、非置換である。
一つの態様において、-L1-は、C2-12ヘテロアルキレンである。ヘテロアルキレン基は、一つ又はそれより多く、例えば二つ又は三つ、或いはそれより多い炭素原子が、N、O及びSから選択される異種原子で置換されているアルキレン基である。下付き文字、例えばC4中の4は、炭素原子及び窒素原子の合計を指す。ヘテロアルキレン基の異種原子は、ペンダントのアミノ、ヒドロキシル又はチオール基ではないことは理解される。
【0902】
一つの態様において、ヘテロアルキレン基は、一つ又は二つの異種原子を、例えば一つ又は二つの窒素原子、例えば一つ又は二つの-NH-を含有する。
一つの態様において、ヘテロアルキレン基は、窒素含有ヘテロアルキレン基である。異種原子は、アルキレン鎖の中断、例えば-CH2-NH-CH2-として提供することができる。
【0903】
異種原子は、-X-、-L2-、-G又は-D、例えば-CH2-CH2-NH-又は-NH-CH2-CH2-に対する接続のための末端基として提供することができる。これらの態様において、異種原子は、-X-、-L2-、-G又は-D中の炭素原子に結合される。
【0904】
一つの態様において、ヘテロアルキレン基の異種原子は、-X-基に共有的に結合しない。
一つの態様において、ヘテロアルキレン基の異種原子は、存在する場合、-L2-、-G又は-D基に共有的に結合しない。別の態様において、ヘテロアルキレン基の異種原子、例えば-NH-は、存在する場合、-L2-、-G又は-D基に共有的に結合する。
【0905】
一つの態様において、-L1-は、C2-12ヘテロアルキレン、例えばC2-6ヘテロアルキレン、C2-4ヘテロアルキレン、C3-6ヘテロアルキレン、C3-12ヘテロアルキレン、C4-6ヘテロアルキレン又はC4-12ヘテロアルキレンである。
【0906】
ヘテロアルキレン基は、飽和の、脂肪族ヘテロアルキレン基である。
ヘテロアルキレン基は、直鎖又は分枝鎖のヘテロアルキレン基であることができる。一つの態様において、ヘテロアルキレン基は、直鎖である。
【0907】
一つの態様において、-L1-は、-NH-CH2CH2-NH-CH2-である。
一つの態様において、-L1-は、-CH2-NH-CH2CH2-である。
一つの態様において、ヘテロアルキレン基は非置換である。
【0908】
一つの態様において、ヘテロアルキレン基は、例えば一つ又は二つのヒドロキシル及び/又は-NR6R7基、例えば一つのヒドロキシル又は-NR6R7基で置換される。置換基は、ヘテロアルキレン基内の炭素原子上に提供される
一つの態様において、ヘテロアルキレン基上の置換基の数は、ヘテロアルキレン基中の炭素原子の数より多くない。
【0909】
ヘテロアルキレン基が置換される場合、置換基は、好ましくはヘテロアルキレン基の異種原子に共有的に結合する炭素原子上には提供されない。
ヘテロアルキレン基が置換される場合、置換基は、異種原子に結合していない炭素原子上に提供することができる。
【0910】
-L2-
一つの態様において、-L2-は、共有結合である。
一つの態様において、-L2-は、例えば-L1-がC1-12アルキレン基である場合、C4-10ヘテロシクリレン基である。
【0911】
一つの態様において、-L2-は、C4-7ヘテロシクリレン基、例えばC5-7ヘテロシクリレン基又はC5-6ヘテロシクリレン基である。
一つの態様において、C4-10ヘテロシクリレンは、N、S及びOから選択される一つ又は二つの異種原子を含有する。S原子が存在する場合、これは、S、S(O)又はS(O)2の形態であることができる。N原子が存在する場合、これは、NH又はNRの形態であることができ、ここで、-Rは、C1-4アルキル、例えばメチル又はエチルである。
【0912】
一つの態様において、ヘテロシクリレン基は、窒素含有ヘテロシクリレンである。
ヘテロシクリレン基は、一つ又は二つの窒素原子を含有することができる。それぞれの窒素原子は、適宜にC1-4アルキルで所望により置換されることができる。一つの態様において、ヘテロシクリレン基は、窒素の異種原子のみを含有する。
【0913】
一つの態様において、ヘテロシクリレン基は、非置換である。従って、ヒドロキシル及び/又は-NR6R7基は、必要に応じて他の場所に、例えば存在する場合、-L1-上に、或いは-G又は-D上に提供される。
【0914】
一つの態様において、ヘテロシクリレンは、ヘテロシクリレン環の炭素原子又は存在する場合、窒素原子を経由して、-L1-又は-X-に接続する。
一つの態様において、ヘテロシクリレンは、ヘテロシクリレン環の炭素原子、又は存在する場合、窒素原子を経由して、-Gに接続する。
【0915】
一つの態様において、-L2-は、ピペリジニレン、ピペラジニレン及びピロリジニレン(pyrroldinylene)から選択される。
一つの態様において、-L2-は、ピペリジニル-1,4-エン、ピペラジニル-1,4-エン及びピロリジニル(pyrroldinyl)-1,3-エンから選択される。
【0916】
ヒドロキシル及び-NR6R7置換基の位置
一つの態様において、-R5、例えばG-L2-L1-又はD-L1-は、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基で置換されることができる。
【0917】
一つの態様において、-R5は、一つのヒドロキシルで置換される。
一つの態様において、-R5基は、一つ、二つ又は三つの-NR6R7基で置換されることができる。
【0918】
一つの態様において、-R5は、一つの-NR6R7基で置換される。
一つの態様において、-R5は、二つ又は三つの-NR6R7基で置換される。
一つの態様において、-R5基は、一つ又は二つの-NR6R7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基で置換されることができる。
【0919】
一つの態様において、-R5は、一つの-NR6R7基及び一つのヒドロキシル基で置換される。
一つの態様において、ヒドロキシル基、例えば一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基は、-Gに対する置換基である。
【0920】
一つの態様において、ヒドロキシル基、例えば一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基は、-Dに対する置換基である。
一つの態様において、ヒドロキシル基、例えば一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基は、例えば-L1-がアルキレン又はヘテロアルキレンである場合、適宜に-L1-に対する置換基である。
【0921】
一つの態様において、ヒドロキシル基、例えば一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基は、例えば-L2-がヘテロシクリレンである場合、適宜に、-L2-に対する置換基である。
【0922】
一つの態様において、-NR6R7基、例えば一つ、二つ又は三つの-NR6R7基は、-Gに対する置換基である。
一つの態様において、-NR6R7基、例えば一つ、二つ又は三つの-NR6R7基は、-Dに対する置換基である。
【0923】
一つの態様において、-NR6R7基、例えば一つ、二つ又は三つの-NR6R7基は、例えば-L1-がアルキレン又はヘテロアルキレンである場合、適宜に-L1-に対する置換基である。
【0924】
一つの態様において、-NR6R7基、例えば一つ、二つ又は三つの-NR6R7基は、例えば-L2-がヘテロシクリレンである場合、適宜に-L2-に対する置換基である。
【0925】
一つの態様において、G-L2-L1-は、例えばL1-が窒素含有C2-12ヘテロアルキレンであるか及び/又は-L2-が窒素含有C4-10ヘテロシクリレンである場合、(i)、(ii)及び(iii)で所望により置換される。一つの態様において、条件は適用されず、従って(i)、(ii)及び(iii)は、所望による置換基ではない。
【0926】
一つの態様において、G-L2-L1-は:
(i)一つ又は二つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ又は二つの-NR6R7基、又は
(iii)一つの-NR6R7基及び一つのヒドロキシル基
で置換されるが、但し、-L1-が窒素含有C2-12ヘテロアルキレンであるか及び/又は-L2-が窒素含有C4-10ヘテロシクリレンである場合、(i)、(ii)及び(iii)は、所望による置換基であることを条件とする。
【0927】
疑義の回避のために、-R5基が一つのヒドロキシル基(-OH)で置換されていると記述された場合、更なるヒドロキシル基は-R5内に存在しない。同様に、-R5基が一つの-NR6R7基で置換されていると記述された場合、更なる-NR6R7基は-R5内に存在しない。同様に、-R5が、二つ又は三つのヒドロキシル或いは-NR6R7基を有する場合、ヒドロキシル又は-NR6R7基の合計の数は、二つ又は三つである。
【0928】
本明細書中に記載するように、-NR6R7基が存在する場合、これが-X-基に対してαの炭素原子における置換基ではないことが好ましい。
以下に更に詳細に記載されるように、ヒドロキシル基が存在する場合、これが-X-基に対してαの炭素原子における置換基であることが好ましい。
【0929】
一つの態様において、-R5が一つより多い置換基を有する場合、置換基は同じ炭素原子上に位置しない。
カルボキシル基(-COOH)は、本発明のヒドロキシル基とは解釈されない。
【0930】
-L1-が、存在する二つより多い炭素原子を有する場合(例えばC2-12アルキレン又はC3-12ヘテロアルキレン)、置換基は、存在する場合、-X-基に対してαである炭素原子において提供することができる。
【0931】
同様に、-L1-及び-L2-が、両方とも共有結合であり、そして-GがC2-12アルキルである場合、C2-12アルキル基は、-X-基に対してαである炭素原子において置換基を有することができる。
【0932】
一つの態様において、-L1-は、ヒドロキシル基(例えば、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基)で置換され、そしてヒドロキシル基は、-X-基に対してαである炭素原子において提供される。このような置換を有する化合物の例は、本発明の実施例化合物27を含む。本発明人等は、ヒドロキシル基をα炭素において有する化合物が、ヒドロキシル基が、例えば-X-に対してαではない、例えば-X-基に対してβ又はγの炭素原子に接続している化合物、例えば実施例化合物25と比較して、特に改良され増強された活性を有することを見出している。
【0933】
同様に、-L1-及び-L2-が、両方とも共有結合であり、そして-GがC2-12アルキルである場合、C2-12アルキル基は、-X-基に対してαである炭素原子において提供されるヒドロキシル基を有することができる。
【0934】
-L1-が存在する二つより多い炭素原子を有する(例えばC2-12アルキレン又はC3-12ヘテロアルキレン)場合、置換基は、存在する場合、-X-基に対してαではない炭素原子において提供することができる。例えば、置換基は、-X-基に対してβ又はγの炭素原子において提供することができる。一つの態様において、置換基は、-X-基に対してαである炭素原子において提供されない。
【0935】
同様に、-L1-及び-L2-が、両方とも共有結合であり、そして-GがC2-12アルキルである場合、C2-12アルキル基は、-X-基に対してαである炭素原子において提供される置換基を有することができない。例えば、置換基は、-X-基に対してβ又はγの炭素原子において提供されることができる。
【0936】
一つの態様において、-L1-は、アミノ基(例えば一つ又は二つのアミノ基)で置換され、そしてアミノ基(即ち-NR6R7)は、-X-基に対してαではない炭素原子において提供される。このような置換を有する化合物の例は、本発明の実施例化合物10を含む。本発明人等は、α炭素においてアミノ基を有する化合物、例えば実施例化合物40が、アミノ基が、例えば-X-基に対してβ又はγである炭素原子に接続されている化合物と比較して、特に減少した増強された活性を有することを見出している。
【0937】
同様に、-L1-及び-L2-が、両方とも共有結合であり、そして-GがC2-12アルキルである場合、C2-12アルキル基は、-X-基に対してαではない、例えば-X-に対してβ又はγである炭素原子において提供されるアミノ基を有することができる。
【0938】
一つの態様において、アミノ又はヒドロキシル置換基は、-L1-基(例えばC2-12アルキレン又はC2-12ヘテロアルキレン)の末端炭素、又は存在する場合、-C2-12アルキルの末端炭素において提供される。
【0939】
一つの態様において、D-L1-中の-L1-基は、共有結合である。従って、C4-10ヘテロシクリルである-Dは、-X-基に直接接続される。
一つの態様において、-L2-は、C4-10ヘテロシクリルである。-L1-が共有結合である場合、-L2-は、-X-基に直接接続される。
【0940】
これらのヘテロシクリル基のいずれかの-X-への接続は、以下で考察される。
一つの態様において、-X-基に対してαである原子は、ヘテロシクリル基の環の炭素原子であることができる。へテロシクリル基の環の異種原子は、-X-基に対してαである環の原子に共有的に結合することができ、即ち環の異種原子は、-X-基に対してβである。一つの態様において、X基に対してβの環の異種原子は、O又はS、例えばOである。一つの態様において、X基に対してβの環の異種原子は、Nではない。
【0941】
一つの態様において、X基に対してγの環の異種原子は、O、S又はNである。
一つの態様において、-L1-及び-L2-が、両方とも共有結合であり、そして-GがC5-12ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、-X-基に対してαである環の炭素原子を経由して-X-基に接続されることができる)。一つの態様において、環の異種原子、例えばNは、-X-基に対してαである環の炭素原子には接続されない。別の態様において、環の異種原子、例えばO又はSは、-X-基に対してαである環の炭素原子に接続される。
【0942】
一つに態様において、G-L2-L1-は、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基及び/又は-NR6R7置換基を有する。これらの置換基は、-G-、-L2-又は-L1-の一つ又はそれより多くに適宜に提供されることができる。一つの態様において、置換基は、-G-及び/又は-L1-上に提供される。-L1-が、C2-12ヘテロアルキレンである場合、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基及び/又は-NR6R7置換基は、任意選択である。
【0943】
D-L1-基は、所望により一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基及び/又は-NR6R7置換基を有する。
置換基が存在する場合、これらは、適宜に-D又は-L1-上に提供されることができる。
【0944】
一つの態様において、-R5は、G-L2-L1-であり、ここで、-Gは、C5-12アリールである。
一つの態様において、-R5は、G-L2-L1-であり、ここで、-Gは、C3-10シクロアルキル又は-C2-12アルキルであるか、或いは-R5は、D-L1-であり、ここで、Dは、C4-10ヘテロシクリルである。
【0945】
一つの態様において、G-L2-L1-は、(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、(ii)一つ、二つ又は三つの-NR6R7基、又は(iii)一つ又は二つの-NR6R7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基で置換される。G-L2-L1-中にアリール基が存在する場合、これは、-C1-4アルキル、ハロ、-CN、-NO2、-CF3、-NR10C(O)R10、-CON(R10)2、-COOR9、-OCOR10、-NR10COOR10、-OCON(R10)2、-OCF3、-NR10CON(R10)2、-OR9、-SR9、-NR10SO2R10、-SO2N(R10)2及び-SO2R10から選択される一つ又はそれより多い置換基で独立に所望により置換され、ここで、それぞれの-R9は、独立に-C1-4アルキルであり、そしてそれぞれの-R10は、独立に-H又は-C1-4アルキルである。
【0946】
一つの態様において、D-L1-は、(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、(ii)一つ、二つ又は三つの-NR6R7基、又は(iii)一つ、二つ又は三つの-NR6R7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基で所望により置換される。
【0947】
一つの態様において、D-L1-は、(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、(ii)一つ、二つ又は三つの-NR6R7基、又は(iii)一つ、二つ又は三つの-NR6R7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基で置換される。
【0948】
C3-10シクロアルキル C2-12アルキル及びC4-10ヘテロシクリルは、ヒドロキシル及び/又は-NR6R7基で置換されることができる。シクロアルキル又はヘテロシクリル基が縮合芳香族環を含む場合、この芳香族環は、本明細書中に記載される所望による置換基で所望により置換されることができる。所望による更なる置換基は、ヒドロキシル及び/又は-NR6R7基を含まない。
【0949】
C5-12アリール基は、ヒドロキシル及び/又は-NR6R7基で置換され、そしてC5-12アリール基は、所望により更に置換される。所望による更なる置換基は、ヒドロキシル及び/又は-NR6R7基を含まない。
【0950】
-G及び-DのC3-10シクロアルキル C2-12アルキル、C5-12アリール及びC4-10ヘテロシクリル基が、ヒドロキシル及び/又は-NR6R7基で置換されることは必須ではない。一つの態様において、ヒドロキシル及び/又は-NR6R7基は、-R5のリンカー要素、例えば、存在する場合、-L1-及び/又は-L2-上に提供されることができる。
【0951】
-R5が、例えば-L1-、-L2-或いは-Dの一部としてヘテロシクリル又はヘテロアルキレン基、例えば窒素含有ヘテロシクリル又はヘテロアルキレン基を含有する場合、ヒドロキシル及び/又は-NR6R7基は、任意選択である。
【0952】
一つの態様において、G-L2-L1-は:
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの-NR6R7基、又は
(iii)一つ又は二つの-NR6R7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
で置換されるが、但し、-L1-が窒素含有C2-12ヘテロアルキレンであり及び/又は-L2-が窒素含有C4-10ヘテロシクリルである場合、(i)、(ii)及び(iii)は所望による置換基であることを条件とする。
【0953】
一つの態様において、G-L2-L1-は:
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの-NR6R7基、又は
(iii)一つ又は二つの-NR6R7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
で置換される。
【0954】
-D
ポリミキシン化合物のN末端置換基は、C4-10ヘテロシクリル基(“ヘテロシクリル基”)を含むことができる。従って、一つの態様において、-R5は-D基を含み、これはC4-10ヘテロシクリルである。
【0955】
一つの態様において、-Dは、窒素含有ヘテロシクリル基である。このような態様において、ヒドロキシル及び-NR6R7基は、任意選択である。
ヘテロシクリル基が窒素原子を含有しない場合、-D及び-L1-のいずれか又は両方は、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル及び/又は-NR6R7基で置換されなければならず、或いは-L1-は、窒素含有C2-12ヘテロアルキレンでなければならない。
【0956】
一つの態様において、C4-10ヘテロシクリルは、C4-6又はC5-6ヘテロシクリル、例えばC5ヘテロシクリル又はC6ヘテロシクリルである。
一つの態様において、C4-10ヘテロシクリルは、N、S及びOから選択される一つ又は二つの異種原子を含有する。S原子が存在する場合、これは、-S-、-S(O)-又は-S(O)2-の形態であることができる。N原子が存在する場合、これは、NH又はNRの形態であることができ、ここで、Rは、C1-4アルキル、例えばメチル又はエチルである。
【0957】
一つの態様において、ヘテロシクリル基は、窒素含有ヘテロシクリル基である。
一つの態様において、C4-10ヘテロシクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ジオキサニル、チオモルホリニル(酸化されたチオモルホリニルを含む)、又はピロリジニルである。
【0958】
一つの態様において、C4-10ヘテロシクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル、チオモルホリニル(酸化されたチオモルホリニルを含む)、ピロリジニル又はモルホリニルである。
【0959】
一つの態様において、C4-10ヘテロシクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル又はピロリジニルである。
ヘテロシクリルが存在する場合、これは、環の炭素原子又は存在する場合、環のN原子を経由して-L1-又は-X-に接続される。一つの態様において、ヘテロシクリルは、環の炭素原子を経由して接続される。もう一つの態様において、ヘテロシクリルは、存在する場合、環の窒素原子を経由して接続される。
【0960】
ヘテロシクリルが、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル及び/又は-NR6R7基で置換される場合、これらの基は、ヘテロシクリルの環の炭素原子に対する置換基である。
一つの態様において、ヒドロキシル又は-NR6R7基は、存在する場合、環の異種原子に対してβである環の炭素原子に対する置換基である。
【0961】
一つの態様において、ヘテロシクリルは、置換されている場合、最大一つ又は二つの置換基を有し、これは、同一であるか、又は異なっていることができる。
一つの態様において、ヘテロシクリル基中の炭素原子の合計は、-R6及び-R7(存在する場合)中に存在する炭素原子の合計と一緒に、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個又は少なくとも8個である。
【0962】
疑義の回避のために、“C4-7ヘテロシクリル”等のような用語中の指標“Cx-y”は、炭素原子又は異種原子(例えば、N、O、S)であることができる環の原子の数を指す。例えば、ピペリジニルは、C6ヘテロシクリル基の例である。
【0963】
-D基に対する言及における用語“ヘテロシクリル”は、(1)これが、環系の一部を形成する一つ又はそれより多い異種原子(例えばN、O、S)を有し、ここにおいて、環系は、一つの環、或いは二つ又は三つの縮合環を含んでなり、ここにおいて、環系の少なくとも一つの環は非芳香族であり、そして(2)これが、非芳香族環の原子(即ち、環系の一部である非芳香族環の一部である環の原子)によって残りの分子に接続している基を指す。
【0964】
例えば:ピペリジノ及びピペリジン-4-イルは、両方ともC6ヘテロシクリル基の例であり;2,3-ジヒドロ-1H-インドール-1-イルは、C9ヘテロシクリル基の例であり;そしてデカヒドロ-キノリン-5-イル及び1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-4-イルの両方は、C10ヘテロシクリル基の例である。
【0965】
【0966】
所望による置換基は、C5-12アリール基のための所望による置換基として記載されるものである。
一つの態様において、ヘテロシクリル基が二つ又はそれより多い縮合環を含有する場合、それぞれの環は、非芳香族である。
【0967】
一つの態様において、ヘテロシクリル基は、一つの環を含んでなる。
-G
-G基は、C3-10シクロアルキル、C2-12アルキル及びC5-12アリールから選択される。これらのそれぞれの説明は、以下に与えられる。以下で考察される基は、いずれもの-L1-及び-L2-と、適宜に一緒に使用することができる。
【0968】
C3-10シクロアルキル
ポリミキシン化合物のN末端置換基は、C3-10シクロアルキル基(“シクロアルキル基”)を含むことができる。従って、-Gは、C3-10シクロアルキルであることができる。
【0969】
-GがC3-10シクロアルキルである場合、-L1-は、共有結合、C1-12アルキレン又はC2-10ヘテロアルキレン、例えば共有結合又はC1-12アルキレンであることができる。
【0970】
-GがC3-10シクロアルキルである場合、-L2-は、共有結合又はC4-12ヘテロシクリル、例えば共有結合であることができる。
一つの態様において、C3-10シクロアルキルは、C3-8又はC3-6シクロアルキルである。
【0971】
一つの態様において、C3-10シクロアルキルは、シクロペンチル又はシクロヘキシルである。
一つの態様において、シクロアルキルは、置換されている場合、最大一つ又は二つの置換基を有し、これらは、同一であるか、又は異なっていることができる。
【0972】
一つの態様において、シクロアルキル基上の置換基の数は、シクロアルキル基中の炭素原子の数より多くない。従って、アルキル基がC6アルキル基である場合、これは、6個より多くない置換基で置換されることができる。
【0973】
一つの態様において、シクロアルキル基中の炭素原子の合計は、-R6及び-R7(存在する場合)中に存在する炭素原子の合計と一緒に、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個又は少なくとも8個である。
【0974】
一つの態様において、シクロアルキルは、単一のヒドロキシル又は-NR6R7基を有するシクロヘキシル、例えば4-置換されたシクロヘキシル基である。一つの態様において、シクロアルキルは、単一のヒドロキシル又は-NR6R7基を有するシクロペンチル、例えば2-又は3-置換されたシクロペンチル基である。
【0975】
一つの態様において、シクロアルキルは、非置換である。この態様において、置換基は、リンカー-L2-L1-上に位置し、従ってこれは、共有結合であることはできない。
一つの態様において、例えば、式(I)の化合物の核がポリミキシンBである場合、G-L2-L1-基は、2-アミノシクロヘキシル、3-アミノシクロヘキシル又は4-アミノシクロヘキシルではない。
【0976】
疑義の回避のために、“シクロアルキル”は、(1)これが、一つの環或いは二つ又はそれより多い縮合環を含んでなる環系を有し、ここにおいて、縮合環系の一つの環は、芳香族環であることができ、そして(2)これが、非芳香族環の原子(即ち、環系の一部である非芳香族環の一部である環の原子)によって残りの分子に接続されている基を指す。例えば:シクロヘキシルは、C6シクロアルキル基の例であり;そしてテトラリン-2-イルは、C10シクロアルキル基の例である。
【0977】
【0978】
芳香族環が存在する場合、これは、所望により置換されることができる。所望による置換基は、C5-12アリール基のための所望による置換基として記載されるものである。
一つの態様において、シクロアルキルが二つ又はそれより多い縮合環を含んでなる場合、それぞれの環は、非芳香族である。
【0979】
一つの態様において、シクロアルキル基は、一つの環を含んでなる。
C2-12アルキル
ポリミキシン化合物のN末端置換基は、C2-12アルキル基(“アルキル基”)であることができる。従って、-Gは、C2-12アルキルであることができる。
【0980】
-GがC2-12アルキルである場合、-L1-は、共有結合又はC2-10ヘテロアルキレン、例えば共有結合であることができる。
-GがC2-12アルキルである場合、-L2-は、共有結合又はC4-12ヘテロシクリル、例えば共有結合であることができる。
【0981】
一つの態様において、-GがC2-12アルキルである場合、両方の-L1-及び-L2-は、共有結合である。従って、-Gは、-X-に直接接続される。
一つの態様において、C2-12アルキルは、C3-12アルキル、例えばC4-12アルキル又はC6-12アルキルである。
【0982】
一つの態様において、C2-12アルキルは、C2-6アルキル、例えばC2-4アルキルである。
アルキル基は、飽和の脂肪族アルキル基である。アルキル基は、直鎖又は分枝鎖アルキル基であることができる。
【0983】
一つの態様において、アルキル基は、分枝鎖であり、そして分枝は、-L2-、-L1-、又は-X-基に対してαである炭素原子においてではない。
一つの態様において、アルキル基上の置換基の数は、アルキル基中の炭素原子の数より大きくない。従って、アルキル基がC2アルキル基である場合、これは、二つより多くない置換基で置換されることができる。
【0984】
一つの態様において、アルキル基中の炭素原子の合計は、-R6及び-R7(存在する場合)中に存在する炭素原子の合計と一緒に、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個又は少なくとも8個である。
【0985】
一つの態様において、アルキル基は、末端炭素において置換基を有する。末端炭素は、これが置換基を保有しない場合、-CH3であるものである炭素原子を指す。分枝鎖アルキル基において、この炭素は、アルキル基の最も長い直鎖部分の末端における炭素原子であることができる。
【0986】
一つの態様において、アルキル基は、末端炭素原子のβ又はγである炭素原子に位置する置換基を有する。
上記で注目したように、一つの態様において、-NR6R7基は、アルキル基の置換基として存在する場合、-L2-、-L1-、又は-X-基に対してαではない炭素原子に対する置換基である。
【0987】
上記で注目したように、一つの態様において、ヒドロキシル基は、アルキル基に対する置換基として存在する場合、-L2-、-L1-、又は-X-基に対してαである炭素原子に対する置換基である。
【0988】
一つの態様において、アルキル基は、-L2-、-L1-、又は-X-基に対してαである炭素原子に置換基を持たない。
一つの態様において、アルキルは、置換される場合、最大一つ又は二つの置換基を有し、これは、同一であるか、又は異なっていることができる。
【0989】
本発明の別の側面において、ポリミキシン化合物のN末端置換基は、C1-12アルキル基である。一つの態様において、-R5は、C1-12アルキル基、例えばC1アルキル基である。-R5がC1アルキルである場合、一つの置換基が、例えば一つの-NR6R7基が存在する。
【0990】
C5-12アリール
ポリミキシン化合物のN末端置換基は、C5-12アリール基(“基”)を含むか、又はそれであることができる。従って、-Gは、C5-12アリールであることができる。
【0991】
-GがC5-12アリールである場合、-L1-は、共有結合、C1-12アルキレン又はC2-10ヘテロアルキレン、例えば共有結合又はC1-12アルキレンであることができる。
【0992】
-GがC5-12アリールである場合、-L2-は、共有結合又はC4-12ヘテロシクリル、例えば共有結合であることができる。
アリール基は、いずれものヒドロキシル又は-NR6R7基に加えて、これらの置換基で所望により置換される。
【0993】
一つの態様において、C5-12アリールは、C5-7アリールである。
一つの態様において、C5-12アリールは、C6-10カルボアリール又はC5-12ヘテロアリールである。
【0994】
一つの態様において、C5-12アリールは、C6-10カルボアリールである。
一つの態様において、C6-10アリールは、フェニル又はナフチルである。
一つの態様において、C6-10アリールは、フェニルである。
【0995】
一つの態様において、C5-12アリールは、C5-12ヘテロアリール、例えばC5-10ヘテロアリール、C5-6ヘテロアリール、C5ヘテロアリール又はC6ヘテロアリールである。
【0996】
ヘテロアリールは、一つ又は二つの窒素原子を含有することができ、そして更に又は別に、ヘテロアリールがC5ヘテロアリールである場合、これは、酸素又は硫黄原子を含有することができる
一つの態様において、C5-12ヘテロアリールは、独立に、フラニル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、キノリニル、イソキノリニル又はインドールである。更に又は別に、C5-12ヘテロアリールは、独立にピリドンである。
【0997】
ヘテロアリールが-G基中に存在する場合、これは、-L1-、-L2-又は-X-に、環の炭素原子又は存在する場合、環のN原子を経由して接続される。一つの態様において、ヘテロアリールは、環の炭素原子を経由して接続される。もう一つの態様において、ヘテロアリールは、存在する場合、環の窒素原子を経由して接続される。
【0998】
一つの態様において、C5-12ヘテロアリールは、フェニル又はピリジンである。
疑義の回避のために、“ヘテロアリール”は、(1)これが、環系の一部を形成する一つ又はそれより多い異種原子(例えばN、O、S)を有し、ここにおいて、環系は、一つの環、或いは二つ又はそれより多い縮合環を含んでなり、ここにおいて、環系の少なくとも一つの環は芳香族環であり、そして(2)これが、芳香族環の原子(即ち、環系の一部である芳香族環の一部である環の原子)によって残りの分子に接続している基を指す。例えば:ピリジルは、C6ヘテロアリール基の例であり;イソキノリルは、C10ヘテロアリール基の例であり;そして1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-7-イルは、C10ヘテロアリール基の例である。
【0999】
【1000】
非芳香族環が提供される場合、これは、所望による置換基を持たない(これは、一つ又はそれより多いヒドロキシル或いは-NR6R7基と共に提供されることができるが)。
一つの態様において、ヘテロアリールが二つ又はそれより多い縮合環を含んでなる場合、それぞれの環は、芳香族環である。
【1001】
一つの態様において、ヘテロアリール基は、一つの芳香族環を含んでなる。
ヘテロアリール基は、更に、ピリドニル基を含むことができ、これは、2-又は4-ヒドロキシル置換基を有するピリジニル基に対応する構造と考えることができる。
【1002】
同様に、“カルボアリール”は、(1)これが、一つの環或いは二つ又はそれより多い縮合環を含んでなる環系を有し、ここにおいて、環系の少なくとも一つの環は芳香族環であり、そして(2)これが、芳香族の環の原子(即ち、環系の一部である芳香族環の一部である環の原子)によって残りの分子に接続される基を指す。例えば:フェニルは、C6カルボアリール基の例であり;そしてテトラリン-6-イルは、C10カルボアリール基の例である。
【1003】
【1004】
一つの態様において、カルボアリールが二つ又はそれより多い縮合環を含んでなる場合、それぞれの環は、芳香族環である。
非芳香族環が存在する場合、この環は、炭素環(テトラリンのために上記に示したような)であることができるか、又は環は、ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル基のために以下に示すような複素環であることができる。
【1005】
【1006】
一つの態様において、C5-12アリールは、例えば-X-が-C(O)-であり、そして-L1-及び-L2-が両方とも共有結合である場合、ジアミノフェニル、例えば3,5-ジアミノフェニルではない。
【1007】
一つの態様において、-X-が-C(O)-である場合、C5-12アリールは、トリヒドロキシフェニル、例えば3,4,5-トリヒドロキシフェニルではない。
Sandow等が、修飾されたN末端を有するポリミキシンオクタペプチドを記載していることは注目される。N末端基は、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、カルボキシル、アルキルアミノ及びハロゲンから選択される1,2又は3個の同一又は異なっている基によって所望により置換されたフェニル基を含有する。フェニル基は、アルキレンスペーサー(pacer)及び/又はイミノオキシム基を経由してN末端に連結することができる。別の態様として、N末端基は、2-アミノチアゾール-4-イル基を含有する。
【1008】
Sandow等の作業した実施例は、2-アミノチアゾール-4-イル基、ベンジル基又は3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するオクタペプチドに限定されている。ノナペプチド又はデカぺプチドが使用された実施例はなく、そしてN末端基がアミノ官能基を含有する実施例はない。
【1009】
WO2012/168820が、修飾されたN末端を有するポリミキシンデカペプチドを記載していることは注目される。この出願公開は、N末端基が、他の選択肢中で、アリール、アラルキル、ヘテロアリール及びヘテロアラルキル官能基を含むことができることを示唆している。アリール及びヘテロアリール基は、他の選択肢中で、もう一つのアリール又はヘテロアリール基に連結することができる。リンカーは、単結合、-(CH2)n-、-(CH2)n-O-(CH2)p-、-(CH2)n-S-(CH2)p-、又は-(CH2)n-NR3-(CH2)p-であることができ、ここで、nは0、1、2又は3であり;そしてpは0、1、2又は3であり;そしてR3はH又はCH3である。
【1010】
WO2012/168820の作業された実施例は、一つのアリール又はヘテロアリール基が、もう一つのアリール又はヘテロアリール基に直接連結している化合物に限定されている。リンカーが存在する実施例はない。
【1011】
アリール基の置換基
-R5基は、例えば-GがC5-12アリールであるか、又はC3-10シクロアルキルが縮合した芳香族環を含有する場合、或いは-Dが縮合した芳香族環を含有するC4-10ヘテロシクリルである場合、アリール基を含むことができる。
【1012】
それぞれのアリール基は、一つ又はそれより多い置換基で所望により置換される。
アリール基が所望により置換される場合、一つ、二つ又は三つの所望による置換基が存在することができる。
【1013】
ヘテロアリール基が置換される場合、置換基は、環の炭素原子、例えば芳香族環の炭素原子上に提供することができる。
それぞれの所望による置換基は、-C1-4アルキル、ハロ、-CN、-NO2、-CF3、-NR10C(O)R10、-CON(R10)2、-COOR9、-OCOR10、-NR10COOR10、-OCON(R10)2、-OCF3、-NR10CON(R10)2、-OR9、-SR9、-NR10SO2R10,-SO2N(R10)2及び-SO2R10からなるリストから選択され、ここで、それぞれの-R9は、独立に-C1-4アルキルであり、そしてそれぞれの-R10は、独立に-H又は-C1-4アルキルである。
【1014】
一つの態様において、それぞれの所望による置換基は、-C1-4アルキル、ハロ、-NR10C(O)R10、-CON(R10)2、-COOR9、-OCOR10、-NR10COOR10、-OCON(R10)2、-OCF3、-NR10CON(R10)2、-OR9、及び-SR9から独立に選択され、ここで、それぞれの-R9は、独立に-C1-4アルキルであり、そしてそれぞれの-R10は、独立に-H又は-C1-4アルキルである。
【1015】
一つの態様において、それぞれの所望による置換基は、-C1-4アルキル及びハロから独立に選択される。
一つの態様において、ハロ基は、-F、-Cl又は-Brである。
【1016】
一つの態様において、窒素原子が芳香族環に提供される場合、これは、-R9又は-R10で、適宜に所望により置換されることができる。
所望による置換基は、C1-4アルキル基を、例えば単独か、或いは大きい置換基の一部としてのいずれかの-R9又は-R10を含むことができる。それぞれの存在するC1-4アルキル基が、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル及び/又は-NR6R7基で置換されることができることは注目される。
【1017】
一つの態様において、-R9又は-R10は、ヒドロキシル又は-NR6R7基で置換されていない。
-R6又は-R7
一つの態様において、それぞれの-R6又は-R7は、存在する場合、Hである。
【1018】
一つの態様において、-R6はHであり、そして-R7は、アルキル、例えばメチル又はエチル、例えばメチルである。
一つの態様において、-R6は、メチル又はエチル、例えばメチルである。
【1019】
-Gがアリール又はシクロアルキル基である場合、-R6及び-R7は、窒素原子と一緒に、複素環、例えばC4-10ヘテロシクリルを形成することができる。
一つの態様において、C4-10ヘテロシクリルは、N、S及びOから選択される一つ又は二つの異種原子を含有する。S原子が存在する場合、これは、S、S(O)又はS(O)2の形態であることができる。N原子が存在する場合、これは、NH又はNRの形態であることができ(me)、ここで、Rは、C1-4アルキル、例えばメチル又はエチルである。
【1020】
一つの態様において、C4-10ヘテロシクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ジオキサニル、チオモルホリニル(酸化されたチオモルホリニルを含む)、又はピロリジニルである。
【1021】
一つの態様において、C4-10ヘテロシクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル、チオモルホリニル(酸化されたチオモルホリニルを含む)、ピロリジニル又はモルホリニルである。
【1022】
一つの態様において、C4-10ヘテロシクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル又はピロリジニルである。
一つの態様において、一つの-NR6R7基は、存在する場合、グアニジン基、例えば-NHC(NH)NH2である。
【1023】
-R9
一つの態様において、-R9は、メチル又はエチルである。
一つの態様において、-R9は、メチルである。
【1024】
-R10
一つの態様において、-R10は、-Hである。
一つの態様において、-R10は、メチル又はエチルである。
【1025】
一つの態様において、-R
10は、メチルである。
非限定的に、本発明は以下の態様を含む。
[態様1] 以下の式(I):
【化1】
[式中:
-Tは、R
T-X-であり;
-A
1-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A
2-は、トレオニン及びセリン、例えばL-トレオニン及びL-セリンから選択されるアミノ酸残基であり;
-A
3-は、以下の式:
【化2】
によって表されるアミノ酸残基であり;
ここにおいて、星印は、-A
2-への接続の点であり、そして-R
3は、一つのアミノ又は一つのヒドロキシル置換基を有するC
1-6アルキル、例えばC
1-4アルキルであり;
-X-は、-C(O)-、-NHC(O)-、-OC(O)-、-CH
2-又は-SO
2-であり;
-R
Tは、ヒドロキシル及び/又はアミノ官能基を含有する末端基であり、そして-A
1-が非存在である場合、R
T-X-は、遊離α-アミノ基(-NH
2)を有するα-アミノ酸残基ではなく、ここで、α-アミノ酸残基は、Ala、Ser、Thr、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Tyr、Trp、His、Lys、Arg、α,γ-ジアミノ酪酸(Dab)及びα,β-ジアミノプロピオン酸(Dap)からなる群から選択され;
-R
6は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にアミノ酸残基であり;
-R
7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にアミノ酸残基であり;
そして-R
6は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、フェニルアラニン、ロイシン又はバリン残基ではなく、及び/又は-R
7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、ロイシン、イソ-ロイシン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン又はノル-バリン残基ではなく;
R
10は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にトレオニン又はロイシン残基である;]
の化合物及びこれらの塩、溶媒和物、保護された形態及び/又はプロドラッグの形態。
[態様2] -R
6が、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、フェニルアラニン、ロイシン又はバリン残基ではない、態様1に記載の化合物。
[態様3] -R
7が、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、ロイシン、イソ-ロイシン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン又はノル-バリン残基ではない、態様2に記載の化合物。
[態様4] -R
6が、C
1-12アルキル、C
0-12アルキル(C
3-10シクロアルキル)、C
0-12アルキル(C
3-10ヘテロシクリル)又はC
0-12アルキル(C
5-10アリール)であり、ここで、C
1-12アルキル、C
3-10シクロアルキル基 C
3-10ヘテロシクリル基、及びC
5-10カルボアリール基は、所望により置換されている、態様1ないし3のいずれか1項に記載の化合物。
[態様5] -R
6が、C
5-10カルボアリール基が所望により置換されているC
0-12アルキル(C
5-10アリール)である、態様4に記載の化合物。
[態様6] C
5-10アリール基がフェニルであり、そしてフェニル基が所望により置換されている、態様5に記載の化合物。
[態様7] C
5-10アリール基が、非置換である、態様5又は6のいずれか1項に記載の化合物。
[態様8] C
5-10アリール基が、一つ又はそれより多い-R
Z基で置換され、ここで、それぞれの-R
Z基は、ハロ、所望により置換されたC
1-12アルキル、所望により置換されたC
2-12アルケニル、所望により置換されたC
2-12アルキニル、所望により置換されたC
3-10シクロアルキル、所望により置換されたC
3-10ヘテロシクリル、所望により置換されたC
5-12アリール、-CN、-NO
2、-OR
Q、-SR
Q、-N(R
W)C(O)R
Q、-N(R
Q)
2、及び-C(O)N(R
Q)
2から選択され、
ここで、-R
Wは、H又はC
1-4アルキルであり;そして
-R
Qは、H又は-R
Q1であり、そして-R
Q1は、所望により置換されたC
1-12アルキル、C
2-12アルケニル、C
2-12アルキニル、及びC
5-12アリールから選択され、
そして-N(R
Q)
2基において、-R
Q基は、これらが接続している窒素原子と一緒にC
5-6複素環を形成することができ、ここで、複素環は、所望により置換されている、態様5又は6のいずれか1項に記載の化合物。
[態様9] C
5-10アリール基が、一置換されている、態様8に記載の化合物。
[態様10] C
5-10アリール基が、ハロ、所望により置換されたC
5-12アリール、所望により置換されたC
1-12アルキル、所望により置換されたC
2-12アルケニル、及び-CNで一置換されている、態様9に記載の化合物。
[態様11] C
5-10アリール基が、ハロ、所望により置換されたC
5-12アリール、所望により置換されたC
1-12アルキル、及び所望により置換されたC
2-12アルケニルで一置換されている、態様10に記載の化合物。
[態様12] C
5-10アリール基が、ハロ、所望により置換されたC
5-12アリール、所望により置換されたC
1-12アルキル、及びC
2-12アルケニルで一置換されている、態様10に記載の化合物。
[態様13] C
5-10アリール基が、ハロで一置換されている、態様10に記載の化合物。
[態様14] C
5-10アリール基が、所望により置換されたC
5-12アリールで一置換されている、例えば所望により置換されたC
6アリールで一置換されている、態様10に記載の化合物。
[態様15] C
5-10アリール基が、置換されたC
5-12アリールで一置換されている、例えば置換されたC
6アリールで一置換されている、態様14に記載の化合物。
[態様16] C
0-12アルキル(C
5-10アリール)が、C
1アルキル(C
5-10アリール)である、態様5ないし15のいずれか1項に記載の化合物。
[態様17] -R
6が、C
3-10シクロアルキル基が所望により置換されているC
0-12アルキル(C
3-10シクロアルキル)である、態様4に記載の化合物。
[態様18] C
3-10シクロアルキル基がシクロヘキシルであり、そしてシクロヘキシル基が所望により置換されている、態様17に記載の化合物。
[態様19] C
3-10シクロアルキル基が非置換である、態様17又は18のいずれか1項に記載の化合物。
[態様20] C
3-10シクロアルキル基が、一つ又はそれより多い-R
Z基で所望により置換され、ここで、それぞれの-R
Z基は、ハロ、所望により置換されたC
1-12アルキル、所望により置換されたC
2-12アルケニル、所望により置換されたC
2-12アルキニル、所望により置換されたC
3-10シクロアルキル、所望により置換されたC
3-10ヘテロシクリル、所望により置換されたC
5-12アリール、-CN、-NO
2、-OR
Q、-SR
Q、-N(R
W)C(O)R
Q、-N(R
Q)
2、及び-C(O)N(R
Q)
2から選択され、
ここで、-R
Wは、H又はC
1-4アルキルであり;そして
-R
Qは、H又は-R
Q1であり、そして-R
Q1は、所望により置換されたC
1-12アルキル、C
2-12アルケニル、C
2-12アルキニル、及びC
5-12アリールから選択され、
そして-N(R
Q)
2基において、-R
Q基は、これらが接続している窒素原子と一緒に、C
5-6複素環を形成することができ、ここで、複素環は、所望により置換されている、態様17又は18のいずれか1項に記載の化合物。
[態様21] C
0-12アルキル(C
3-10シクロアルキル)が、C
1アルキル(C
3-10シクロアルキル)、例えばC
1アルキル(C
6シクロアルキル)である、態様17ないし29のいずれか1項に記載の化合物。
[態様22] -R
6が、所望により置換されたC
1-12アルキルである、態様4に記載の化合物。
[態様23] -R
6が、非置換のC
1-12アルキルである、態様22に記載の化合物。
[態様24] -R
6が、C
6-12アルキルである、態様22又は23のいずれか1項に記載の化合物。
*****
[態様25] -A
1-が、非存在である、態様1ないし24のいずれか1項に記載の化合物。
[態様26] -A
2-が、L-トレオニン又はL-セリンである、態様1ないし25のいずれか1項に記載の化合物。
[態様27] -R
3-が、一つのアミノ置換基を有する、態様1ないし26のいずれか1項に記載の化合物。
[態様28] -R
3-が、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、α,γ-ジアミノ酪酸(Dab)又はα,β-ジアミノプロピオン酸(Dap)、例えばL-Dab又はL-Dapである、態様27に記載の化合物。
[態様29] -R
10-が、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、トレオニン残基、例えばL-トレオニンである、態様1ないし28のいずれか1項に記載の化合物。
[態様30] -X-が、-C(O)-である、態様1ないし29のいずれか1項に記載の化合物。
[態様31] -R
Tが、ヒドロキシル及び/又はアミノ官能基を含有する、態様1ないし30のいずれか1項に記載の化合物。
[態様32] -R
Tが、以下の式:
【化3】
[式中:
-R
Aは、水素又は、-L
A-R
AAであり;
-Q-は、共有結合又は-CH(R
B)-であり;
-R
Bは、水素又は-L
B-R
BB基であり;
或いは、-Q-が-CH(R
B)-である場合、-R
A及び-R
Bは一緒に、5ないし10員の単環式又は二環式の炭素環を形成するか、或いは-R
A及び-R
Bは一緒に、5ないし10員の単環式又は二環式の複素環を形成し;
そして、-Q-が共有結合である場合、-R
Aは、-L
A-R
AAであり、そして-Q-が-CH(R
B)-である場合、一つ又は両方の-R
A及び-R
Bは水素ではなく;
-R
16は、独立に水素又はC
1-4アルキルであり;
-R
17は、独立に水素又はC
1-4アルキルであり;
或いは、-NR
16R
17は、グアニジン基であり;
或いは、-R
17及び-R
Aは一緒に、5ないし10員の窒素含有の単環式又は二環式の複素環を形成し;
或いは、-Q-が-CH(R
B)-である場合、-R
17及び-R
Bは一緒に、5ないし10員の窒素含有の単環式又は二環式の複素環を形成し;
そして-R
17及び-R
Aが、一緒に単環式の窒素含有複素環を形成する場合、-R
17及び-R
A中のそれぞれの環の炭素原子は、-R
Cで所望により一又は二置換され、そして単環式の複素環は、存在する場合、-R
C、-R
N、-R
NA及び-L
B-R
BBから選択される少なくとも一つの基で置換され、
そして-R
17及び-R
Bが、一緒に単環式の窒素含有複素環を形成する場合、-R
17及び-R
B中のそれぞれの環の炭素原子は、-R
Cで所望により一又は二置換され、そして単環式の複素環は、存在する場合、-R
C、及び-R
Nから選択される少なくとも一つの基で置換され、又は単環式の複素環は、-R
Aが-L
A-R
AAである場合、所望により置換され、
そして単環式の窒素含有複素環が、一つの更なる窒素、酸素又は硫黄の環の原子を所望により含有し、そしてここで、更なる窒素の環の原子が存在する場合、これは、-X-基に対してαである炭素に接続する更なる窒素の環の原子を除き、-R
Nで所望により置換され、この窒素の環の原子は、-R
NAで所望により置換され;
-R
17及び-R
A又は-R
17及び-R
Bが、一緒に、二環式の窒素含有複素環を形成する場合、-R
17及び-R
A又は-R
17及び-R
Bが中のそれぞれの環の炭素原子は、-R
Dで所望により一又は二置換され;
そして二環式の窒素含有環の原子の複素環は、一つ、二つ又は三つの更なる異種元素を所望により含有し、ここで、それぞれの異種原子は、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立に選択され、そしてここで、更なる窒素の環の原子が存在する場合、それぞれの更なる窒素の環の原子は、-X-基に対してαである炭素に接続する窒素の環の原子を除き、-R
Nで所望により置換され、この窒素の環の原子は-R
NAで所望により置換され;
-R
A及び-R
Bが一緒に、5ないし6員の単環式の炭素環又は複素環を形成する場合、-R
A及び-R
B中のそれぞれの環の炭素原子は、-R
Cで所望により一又は二置換され、そして窒素の環の原子は、単環式の複素環中に存在する場合、-X-基に対してαである炭素に接続する窒素の環の原子を除き、-R
Nで所望により置換され、この窒素の環の原子は-R
NAで所望により置換され;
-R
A及び-R
Bが一緒に、5ないし10員の二環式の炭素環又は複素環を形成する場合、-R
A及び-R
B中のそれぞれの環の炭素原子は、-R
Dで所望により一又は二置換され、そして窒素の環の原子は、二環式の複素環中に存在する場合、-X-基に対してαである炭素に接続する窒素の環の原子を除き、-R
Nで所望により置換され、この窒素の環の原子は-R
NAで所望により置換され;
そして-R
17及び-R
A又は-R
17及び-R
Bが、一緒に、5ないし10員の窒素含有単環式又は二環式の炭素環を形成するか、或いは-R
A及び-R
Bが一緒に、5ないし10員の単環式又は二環式の炭素環を形成するか、或いは一緒に、5ないし10員の単環式又は二環式の複素環を形成する場合、-R
17及び-R
A、-R
17及び-R
B又は-R
A及び-R
B中の炭素の環の原子は、オキソ(=O)で、所望により、別に置換され;
それぞれの-R
Cは、独立に-L
C-R
CCであり;
それぞれの-R
Dは、-R
C、ハロ、-NO
2、-OH、及び-NH
2から独立に選択され;
それぞれの-R
Nは、独立に-L
N-R
NNであり;
それぞれの-R
NAは、独立に-R
L-R
NN又は-R
NNであり;
-R
AA、-R
BB、並びにそれぞれの-R
CC及び-R
NNは、存在する場合、C
1-12アルキル、C
3-10シクロアルキル、C
4-10ヘテロシクリル、及びC
5-12アリールから独立に選択され;
それぞれの-L
A-は、独立に共有結合又は、-R
L-
*、-O-L
AA-
*、-OC(O)-L
AA-
*、-N(R
11)-L
AA-
*、及び-C(O)-L
AA-
*から選択される連結基であり、ここで、星印は、-L
A-基の-R
AAへの接続の点を示し;
それぞれの-L
B-及び-L
C-は、独立に共有結合、又は-R
L-
*、-O-L
AA-
*、-OC(O)-L
AA-
*、-N(R
11)-L
AA-
*、-N(R
11)C(O)-L
AA-
*、-C(O)-L
AA-
*、-C(O)O-L
AA-
*、及び-C(O)N(R
11)-L
AA-
*から選択される連結基であり、そして-N(R
11)S(O)-L
AA-
*、-N(R
11)S(O)
2-L
AA-
*、-S(O)N(R
11)-L
AA-
*、及び-S(O)
2N(R
11)-L
AA-
*から更に所望により選択され、ここで、星印は、-L
B-基のR
BBへの、又は-L
C-基の-R
CCへの接続の点を示し;
それぞれの-L
N-は、独立に共有結合、又は-S(O)-L
AA-
*、-S(O)
2-L
AA-
*、-C(O)-L
AA-
*及び-C(O)N(R
11)-L
AA-
*から選択される基であり、ここで、星印は、-L
N-基の-R
NNへの接続の点を示し;
そしてそれぞれの-L
AA-は、独立に共有結合又は-R
L-であり;
そしてそれぞれの-R
L-は、C
1-12アルキレン、C
2-12ヘテロアルキレン、C
3-10シクロアルキレン及びC
5-10ヘテロシクリレンから独立に選択され、そしてここで、-L
AA-がC
1-12アルキル基に接続している場合、-R
L-は、C
1-12アルキレンではなく;
そしてそれぞれのC
1-12アルキル、C
3-10シクロアルキル、C
4-10ヘテロシクリル、C
5-10アリール、C
1-12アルキレン、C
2-12ヘテロアルキレン、C
3-10シクロアルキレン及びC
5-10ヘテロシクリレン基は、所望により置換され、ここで、-R
Sは、炭素に対する所望による置換基であり、そして-R
12は、窒素に対する所望による置換基であり;
それぞれの-R
Sは、-R
12がC
1-12アルキル基に対する置換基ではないことを除き、-OH、-OR
12、-OC(O)R
12、ハロ、-R
12、-NHR
12、-NR
12R
13、-NHC(O)R
12、-N(R
12)C(O)R
12、-SH、-SR
12、-C(O)R
12、-C(O)OH、-C(O)OR
12、-C(O)NH
2、-C(O)NHR
12及びC(O)NR
12R
13から独立に選択され;或いは炭素原子が-R
Sで二置換されている場合、これらの基は、これらが接続している炭素と一緒にC
3-6炭素環又はC
5-6複素環を形成することができ、ここで、炭素環及び複素環は、一つ又はそれより多い-R
12基で所望により置換され;
それぞれの-R
12は、独立にC
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、フェニル又はベンジルであり;
それぞれの-R
13は、独立にC
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、フェニル又はベンジルであり;
或いは、-R
12及び-R
13は、Nに接続している場合、一緒に5又は6員の複素環を形成し、これは、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、フェニル又はベンジルで所望により置換され;
それぞれの-R
11は、独立に水素又はC
1-4アルキルである;]
のアミノ含有基である、態様31に記載の化合物。
*****
[態様33] 以下の式(II):
【化4】
[式中:
-T
Aは、水素、C
1-4アルキル、又はR
N-X-であり;
-A
1-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A
2-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A
3-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-X-は、-C(O)-、-NHC(O)-、-OC(O)-、-CH
2-又は-SO
2-であり;
-R
Nは、末端基であり;
-R
6Aは、C
1-12アルキル、C
0-12アルキル(C
3-10シクロアルキル)、C
0-12アルキル(C
3-10ヘテロシクリル)又はC
0-12アルキル(C
5-10アリール)であり、ここで、C
1-12アルキル、C
3-10シクロアルキル基 C
3-10ヘテロシクリル基、及びC
5-10アリール基は、所望により置換され、但し、-R
6Aは、ベンジル、イソ-ブチル、イソ-プロピル、4-フェニルフェン-1-イルメチル、-(CH
2)
7CH
3、4-(OBn)-フェン-1-イルメチル又は-CH
2S(CH
2)
5CH
3ではないことを条件とし;
-R
7Aは、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にアミノ酸残基であり;
R
10は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にトレオニン又はロイシン残基である;]
の化合物及びこれらの塩、溶媒和物、保護された形態及び/又はプロドラッグの形態。
[態様34] -R
6Aが、C
5-10カルボアリール基が所望により置換されている、C
0-12アルキル(C
5-10アリール)である、態様33に記載の化合物。
[態様35] -R
6Aが、C
5-10カルボアリール基がハロで置換されている、C
0-12アルキル(C
5-10アリール)である、態様34に記載の化合物。
[態様36] -R
6Aが、C
5-10カルボアリール基がブロモで置換されている、C
0-12アルキル(C
5-10アリール)である、態様34に記載の化合物。
[態様37] -R
6Aが、C
5-10カルボアリール基がアルキル又はアルケニル、例えばアルキルで置換されているC
0-12アルキル(C
5-10アリール)である、態様34に記載の化合物。
[態様38] -R
6Aが、C
5-10カルボアリール基がアリールで置換されている、C
0-12アルキル(C
5-10アリール)である、態様33に記載の化合物。
[態様39] C
5-10アリール基が、一置換されている、態様34又は37のいずれか1項に記載の化合物。
[態様40] C
0-12アルキル(C
5-10アリール)が、C
1アルキル(C
5-10アリール)、例えばC
1アルキル(C
6アリール)である、態様34ないし39のいずれか1項に記載の化合物。
[態様41] -R
6Aが、C
3-10シクロアルキルが所望により置換されている、C
0-12アルキル(C
3-10シクロアルキル)である、態様33に記載の化合物。
[態様42] -R
6Aが、C
3-10シクロアルキルがC
6シクロアルキルである、C
0-12アルキル(C
3-10シクロアルキル)である、態様41に記載の化合物。
[態様43] C
0-12アルキル(C
3-10シクロアルキル)が、C
1アルキル(C
3-10シクロアルキル)、例えばC
1アルキル(C
6シクロアルキル)である、態様38ないし42のいずれか1項に記載の化合物。
[態様44] -A
1-が、非存在である、態様33ないし43のいずれか1項に記載の化合物。
[態様45] -A
2-が、L-トレオニン又はL-セリンである、態様33ないし44のいずれか1項に記載の化合物。
[態様46] -R
3が、一つのアミノ置換基を有する、態様33ないし45のいずれか1項に記載の化合物。
[態様47] -R
3が、これが接続する炭素に対してアルファであるカルボニル基及び窒素と一緒に、α,γ-ジアミノ酪酸(Dab)又はα,β-ジアミノプロピオン酸(Dap)、例えばL-Dab又はL-Dapである、態様46に記載の化合物。
[態様48] -R
10が、これが接続する炭素に対してアルファであるカルボニル基及び窒素と一緒に、トレオニン残基、例えばL-トレオニンである、態様33ないし47のいずれか1項に記載の化合物。
[態様49] -X-が、-C(O)-である、態様33ないし48のいずれか1項に記載の化合物。
[態様50] -R
Tが、ヒドロキシル及び/又はアミノ官能基を含有する、態様33ないし49のいずれか1項に記載の化合物。
*****
[態様51] 態様1ないし50のいずれか1項に記載の化合物を含んでなる医薬組成物。
[態様52] 治療又は予防のための方法において使用するための、態様1ないし50のいずれか1項に記載の化合物又は態様51に記載の医薬組成物。
[態様53] 微生物感染を治療するための方法において使用するための、態様1ないし50のいずれか1項に記載の化合物又は態様51に記載の医薬組成物。
[態様54] 感染が細菌感染である、態様53に記載の化合物又は医薬組成物。
[態様55] 細菌感染が、グラム陰性細菌感染である、態様54に記載の化合物又は医薬組成物。
[態様56] グラム陰性細菌感染が、大腸菌菌種、肺炎桿菌菌種、エンテロバクター菌種、サルモネラ菌種、赤痢菌菌種、シトロバクター菌種、Morganella morganii、Yersinia pseudotuberculosis及び他の腸内細菌科、シュードモナス菌種、アシネトバクター菌種、Moraxella、Helicobacter、Stenotrophomonas、Bdellovibrio、酢酸バクテリア、Legionella及びアルファ-プロテオバクテリアから選択される、態様55に記載の化合物又は医薬組成物。
*****
[態様57] ヘテロアリール基を有する式(IV)のポリミキシン化合物を、アリール基を有する式(III)の化合物から調製するための方法であって、この方法は、式(III)の化合物をハロゲン化試薬で処理する工程を含んでなり、ここにおいて、式(III)及び(IV)の化合物は、以下の式:
【化5】
[式中:
-T
Aは、水素、C
1-4アルキル、又はR
N-X-であり;
-A
1-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A
2-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A
3-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-X-は、-C(O)-、-NHC(O)-、-OC(O)-、-CH
2-又は-SO
2-であり;
-R
Nは、末端基であり;
-R
6は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にアミノ酸残基であり;
-R
7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にアミノ酸残基であり;
そして式(IV)の化合物に対して、-R
6及び-R
7の一つは、ハロアリール基を含んでなり;そして式(III)の化合物に対して、-R
6及び-R
7の一つは、アリール基を含んでなり;
R
10は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にトレオニン又はロイシン残基である;]
のように表される、前記化合物及びこれらの塩、溶媒和物、及び/又は保護された形態。
[態様58] ハロゲン化試薬が、N-ハロスクシンイミドである、態様57に記載の方法。
[態様59] ハロゲン化試薬が、N-ブロモスクシンイミドである、態様58に記載の方法。
[態様60] 式(IV)の化合物に対して、-R
6は、ハロアリール基を含んでなり;そして式(III)の化合物に対して、-R
6は、アリール基を含んでなる、態様57ないし59のいずれか1項に記載の方法。
[態様61] 式(IV)の化合物に対して、-R
6は、ハロフェニル基を含んでなり;そして式(III)の化合物に対して、-R
6は、フェニル基を含んでなる、態様60に記載の方法。
[態様62] 式(IV)の化合物に対して、-R
6は、ハロフェニル基を含んでなるベンジル基を含んでなり;そして式(III)の化合物に対して、-R
6は、ベンジル基を含んでなる、態様61に記載の方法。
[態様63] 式(IV)の化合物に対して、-R
6は、ハロフェニル基を含んでなるベンジル基であり;そして式(III)の化合物に対して、-R
6は、ベンジル基である、態様62に記載の方法。
[態様64] 式(III)の化合物が、ポリミキシンB化合物である、態様63に記載の方法。
*****
[態様65] ハロアリール基を有する式(IVa)のポリミキシン化合物を消化して、式(IVb)の化合物を得るための方法であって、この方法は、式(IVa)の化合物をプロテアーゼで処理する工程を含んでなり、ここにおいて、式(IVa)及び(IVb)の化合物は、以下の式:
【化6】
[式中:
-T
Aは、水素、C
1-4アルキル、又はR
N-X-であり;
-A
1-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A
2-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A
3-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-X-は、-C(O)-、-NHC(O)-、-OC(O)-、-CH
2-又は-SO
2-であり;
-R
Nは、末端基であり;
-R
6は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にアミノ酸残基であり;
-R
7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にアミノ酸残基であり;
そして式(IV)の化合物に対して、-R
6及び-R
7の一つは、ハロアリール基を含んでなり;そして式(III)の化合物に対して、-R
6及び-R
7の一つは、アリール基を含んでなり;
R
10は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にトレオニン又はロイシン残基であり;
ここにおいて、式(IVa)は、-A
3-がアミノ酸残基である化合物であり、そして式(IVb)の化合物は、-A
1-、-A
2-、及び-A
3-が非存在であり、そして-T
A-が水素である式の化合物である;
前記化合物及び塩、溶媒和物、及び/又はその保護された形態;]
のように表される、前記方法。
[態様66] プロテアーゼが、セリンプロテアーゼである、態様65に記載の方法。
[態様67] セリンプロテアーゼが、サブチリシンである、態様66に記載の方法。
*****
[態様68] 式(V)のポリミキシン化合物を、式(IVb)の化合物から調製するための方法であって、この方法は、式(IVb)の化合物のN末端を修飾する工程を含んでなり、ここにおいて、式(IVb)の化合物は、態様65に記載のとおりであり、そして以下の式(V):
【化7】
[式中:
-T
Aは、水素、C
1-4アルキル、又はR
N-X-であり;
-A
1-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A
2-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A
3-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
そして-A
1-、-A
2-、及び-A
3-が非存在である場合、-T
Aは、C
1-4アルキル又はR
N-X-であり;
-X-は、-C(O)-、-NHC(O)-、-OC(O)-、-CH
2-又は-SO
2-であり;
-R
Nは、末端基、例えば本明細書中に記載されるような-R
T基であり;
-R
6は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にアミノ酸残基であり;
-R
7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にアミノ酸残基であり;
そして-R
6及び-R
7の一つは、-R
6及び-R
7が接続している炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒に、ハロアリール基を有するアミノ酸残基であり;
R
10は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にトレオニン又はロイシン残基である;]
及びその塩、溶媒和物、及び/又は保護された形態である、前記方法。
[態様69] 式(IVb)の化合物が、式(IVc):
【化8】
[式中、-A
1-、-A
2-、-A
3-及び-T
A-は、式(V)の化合物と同じ意味を有する;]
の化合物であることができるカルボン酸化合物、及びその活性化された形態と、所望により一つ又はそれより多いカップリング試薬の存在中で及び/又は塩基と一緒に反応させられる態様68に記載の方法。
*****
[態様70] 置換されたアリール基を有するポリミキシンを調製する方法であって、この方法は、式(IV)の化合物を反応させて、式(VI)の化合物を得る工程を含んでなり、ここにおいて、式(IV)の化合物は、先に態様57に記載のとおりであり、そして式(VI)の化合物は、以下の式:
【化9】
[式中:
-T
Aは、水素、C
1-4アルキル、又はR
N-X-であり;
-A
1-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A
2-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
-A
3-は、非存在であるか又はアミノ酸残基であり;
そして-A
1-、-A
2-、及び-A
3-が非存在である場合、-T
Aは、C
1-4アルキル又はR
N-X-であり;
-X-は、-C(O)-、-NHC(O)-、-OC(O)-、-CH
2-又は-SO
2-であり;
-R
Nは、末端基であり;
-R
6は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にアミノ酸残基であり;
-R
7は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にアミノ酸残基であり;
そして-R
6及び-R
7の一つは、置換されたアリール基を含んでなり;
R
10は、これが接続する炭素に対してアルファのカルボニル基及び窒素と一緒にトレオニン又はロイシン残基である;]
であり、及びその塩、溶媒和物、及び/又は保護された形態である、前記方法。
[態様71] 置換されたアリール基が、-R
Fで置換されたアリールであり、ここで、-R
Fは、所望により置換されたC
1-12アルキル、所望により置換されたC
2-12アルケニル、所望により置換されたC
2-12アルキニル、所望により置換されたC
3-10シクロアルキル、所望により置換されたC
3-10ヘテロシクリル、所望により置換されたC
5-12アリールから選択され、そして所望により置換された基は、アルキル アルケニル、及びアルキニルは、アルキル アルケニル、及びアルキニルに対する置換基ではないことを除き、ハロ、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、及びアリールから選択される一つ又はそれより多い置換基を有することができる、態様70に記載の方法。
[態様72] 反応がクロスカップリング反応である、態様70又は71のいずれか1項に記載の方法。
[態様73] 反応がSuzukiに基づくカップリング(置換)反応である、態様72に記載の方法。
参考文献
本明細書中に記述される全ての文書は、本明細書中に参考文献としてその全てが援用される。
【1026】