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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
G03G15/20 510
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019130760
(22)【出願日】2019-07-15
(65)【公開番号】P2021015233
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 則行
(72)【発明者】
【氏名】内藤 康隆
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 誠
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-203767(JP,A)
【文献】特開2011-116543(JP,A)
【文献】特開2015-175985(JP,A)
【文献】特開平11-174768(JP,A)
【文献】特開2011-246224(JP,A)
【文献】特開平08-234616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が転写された記録媒体を加熱して画像を記録媒体に定着させる定着装置と、
記録媒体の幅方向に隙間を空けて複数設けられ、周回して記録媒体を搬送して記録媒体を前記定着装置に受け渡す無端状のベルトと、
前記ベルトの上方の空気を吸気することで記録媒体を前記ベルトの周面に接触させる吸気ファンと、
前記吸気ファンの回転数を制御し、記録媒体の種類に応じて、記録媒体を前記ベルトの周面に接触させる接触力を切り替える制御部と、
回転しながら記録媒体を挟んで搬送し、記録媒体を前記ベルトに受け渡す受渡部材と、を備え、
前記制御部は、前記吸気ファンの回転数を制御し、記録媒体としてコート紙を用いる場合に、普通紙を用いる場合と比して、前記接触力を弱くし、かつ、前記受渡部材及び前記ベルトの少なくとも一方を制御し、記録媒体としてコート紙を用いる場合に、記録媒体の先端が前記ベルトの周面に接触してから記録媒体の先端が前記定着装置に到達するまでの間の少なくとも一部の期間において、前記ベルトの搬送速度を、前記受渡部材の搬送速度と比して速くする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、記録媒体としてコート紙を用いる場合に、少なくとも、記録媒体の先端が前記ベルトの周面に接触してから記録媒体の先端が前記定着装置に到達するまでの間、前記ベルトの搬送速度を、前記受渡部材の搬送速度と比して速くする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記定着装置は、画像が転写された記録媒体を挟んで回転しながら搬送し、
前記制御部は、記録媒体としてコート紙を用いる場合に、記録媒体の後端が前記受渡部材によって送り出されてから、記録媒体の後端が前記ベルトの周面と離間するまで間の少なくとも一部の期間において、前記ベルトの搬送速度を、前記定着装置の搬送速度と比して遅くする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、記録媒体としてコート紙を用いる場合に、少なくとも、記録媒体の後端が前記受渡部材によって送り出されてから、記録媒体の後端が前記ベルトの周面と離間するまでの間、前記ベルトの搬送速度を、前記定着装置の搬送速度と比して遅くする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像が転写された記録媒体を加熱して画像を記録媒体に定着させる定着装置と、
記録媒体の幅方向に隙間を空けて複数設けられ、周回して記録媒体を搬送して記録媒体を前記定着装置に受け渡す無端状のベルトと、
前記ベルトの上方の空気を吸気することで記録媒体を前記ベルトの周面に接触させる吸気ファンと、
前記吸気ファンの回転数を制御し、記録媒体の種類に応じて、記録媒体を前記ベルトの周面に接触させる接触力を切り替える制御部と、
回転しながら記録媒体を挟んで搬送し、記録媒体を前記ベルトに受け渡す受渡部材と、を備え、
前記制御部は、前記吸気ファンの回転数を制御し、記録媒体としてコート紙を用いる場合に、普通紙を用いる場合と比して、前記接触力を弱くし、かつ、前記受渡部材及び前記ベルトの少なくとも一方を制御し、記録媒体としてコート紙を用いる場合に、前記受渡部材及び前記ベルトの少なくとも一方の搬送速度を制御し、記録媒体の先端が前記ベルトの周面に接触してから記録媒体の先端が前記定着装置に到達するまでの間の少なくとも一部の期間において、記録媒体の先端部分が前記ベルトの周面に接触し、記録媒体の記録面が前記ベルトの周面と離間するように、記録媒体を搬送させる画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、記録媒体としてコート紙を用いる場合に、前記受渡部材及び前記ベルトの少なくとも一方の搬送速度を制御し、少なくとも、記録媒体の先端が前記ベルトの周面に接触してから記録媒体の先端が前記定着装置に到達するまでの間、記録媒体の先端部分が前記ベルトの周面に接触し、記録媒体の記録面が前記ベルトの周面と離間するように、記録媒体を搬送させる請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記定着装置は、画像が転写された記録媒体を挟んで回転しながら搬送し、
前記制御部は、記録媒体としてコート紙を用いる場合に、前記ベルト及び前記定着装置の少なくとも一方の搬送速度を制御し、記録媒体の後端が前記受渡部材によって送り出されてから、記録媒体の後端が前記ベルトの周面と離間するまでの間の少なくとも一部の期間において、記録媒体の後端部分が前記ベルトの周面に接触し、記録媒体の記録面が前記ベルトの周面と離間するように、記録媒体を搬送させる請求項5又は6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、記録媒体としてコート紙を用いる場合に、前記ベルト及び前記定着装置の少なくとも一方の搬送速度を制御し、少なくとも、記録媒体の後端が前記受渡部材によって送り出されてから、記録媒体の後端が前記ベルトの周面と離間するまでの間、記録媒体の後端部分が前記ベルトの周面に接触し、記録媒体の記録面が前記ベルトの周面と離間するように、記録媒体を搬送させる請求項7に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の画像形成装置は、未定着のトナー像を用紙上に第1の速度で転写する転写手段と、用紙上の未定着トナーを第1の速度よりも遅い第2の速度で定着する定着ニップ部を有する定着手段と、転写手段と定着手段との間に設けられ、転写手段において未定着トナーが転写された用紙を定着手段に搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトへの用紙の密着力を調整する密着力調整手段と、先行する用紙の先端が定着ニップ部に進入した後、当該先行する用紙に対する密着力を、先行する用紙に後行する用紙に対する密着力より小さくするように密着力調整手段を制御する制御手段と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-117666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、記録媒体の搬送方向において定着装置の上流側に周回する複数の無端状のベルトを備えたベルトユニットが配置されており、周回する無端状のベルトが、記録媒体を搬送して定着装置に受け渡す構成がある。このベルトユニットでは、ベルトの周面に記録媒体の記録面を接触させるようになっている。また、ベルトユニットに設けられた複数のベルトは、記録媒体の幅方向に隙間を空けて配置されている。
【0005】
このような構成では、ベルトが定着装置によって加熱され、ベルトが昇温する。このため、周回するベルトによって搬送される記録媒体において、ベルトの周面に接触している部位とベルトの周面に接触していない部位とで温度差が生じる。この温度差が記録媒体に生じている状態で、記録媒体の画像が定着装置によって加熱される。例えば、普通紙と比して光沢度が高いコート紙を用いると、この温度差に起因して、定着装置で定着された画像に光沢むらが顕著に生じることがある。
【0006】
本発明の課題は、周回する複数の無端状のベルトを用いて記録媒体を定着装置に向けて搬送する構成において、記録媒体の種類に関わらず記録媒体をベルトの周面に接触させる接触力が常に同じ場合と比して、記録媒体の種類に応じて、画像に光沢むらが生じるのを抑制可能な構成を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る画像形成装置は、画像が転写された記録媒体を加熱して画像を記録媒体に定着させる定着装置と、記録媒体の幅方向に隙間を空けて複数設けられ、周回して記録媒体を搬送して記録媒体を前記定着装置に受け渡す無端状のベルトと、記録媒体を前記ベルトの周面に接触させる接触部と、前記接触部を制御し、記録媒体の種類に応じて、記録媒体を前記ベルトの周面に接触させる接触力を切り替える制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の第2態様に係る画像形成装置は、第1態様に記載の画像形成装置において、前記制御部は、記録媒体の光沢度が高い場合に、低い場合と比して、前記接触力を弱くすることを特徴とする。
【0009】
本発明の第3態様に係る画像形成装置は、第1又は第2態様に記載の画像形成装置において、前記制御部は、記録媒体としてコート紙を用いる場合に、普通紙を用いる場合と比して、前記接触力を弱くすることを特徴とする。
【0010】
本発明の第4態様に係る画像形成装置は、第3態様に記載の画像形成装置において、回転しながら記録媒体を挟んで搬送し、記録媒体を前記ベルトに受け渡す受渡部材を備え、前記制御部は、前記受渡部材及び前記ベルトの少なくとも一方を制御し、記録媒体としてコート紙を用いる場合に、記録媒体の先端が前記ベルトの周面に接触してから記録媒体の先端が前記定着装置に到達するまでの間の少なくとも一部の期間において、前記ベルトの搬送速度を、前記受渡部材の搬送速度と比して速くすることを特徴とする。
【0011】
本発明の第5態様に係る画像形成装置は、第4態様に記載の画像形成装置において、前記制御部は、記録媒体としてコート紙を用いる場合に、少なくとも、記録媒体の先端が前記ベルトの周面に接触してから記録媒体の先端が前記定着装置に到達するまでの間、前記ベルトの搬送速度を、前記受渡部材の搬送速度と比して速くすることを特徴とする。
【0012】
本発明の第6態様に係る画像形成装置は、第4又は第5態様に記載の画像形成装置において、前記定着装置は、画像が転写された記録媒体を挟んで回転しながら搬送し、前記制御部は、記録媒体としてコート紙を用いる場合に、記録媒体の後端が前記受渡部材によって送り出されてから、記録媒体の後端が前記ベルトの周面と離間するまで間の少なくとも一部の期間において、前記ベルトの搬送速度を、前記定着装置の搬送速度と比して遅くすることを特徴とする。
【0013】
本発明の第7態様に係る画像形成装置は、第6態様に記載の画像形成装置において、前記制御部は、記録媒体としてコート紙を用いる場合に、少なくとも、記録媒体の後端が前記受渡部材によって送り出されてから、記録媒体の後端が前記ベルトの周面と離間するまでの間、前記ベルトの搬送速度を、前記定着装置の搬送速度と比して遅くすることを特徴とする。
【0014】
本発明の第8態様に係る画像形成装置は、第3態様に記載の画像形成装置において、回転しながら記録媒体を挟んで搬送し、前記ベルトに記録媒体を受け渡す受渡部材を備え、前記制御部は、前記受渡部材及び前記ベルトの少なくとも一方を制御し、記録媒体としてコート紙を用いる場合に、前記受渡部材及び前記ベルトの少なくとも一方の搬送速度を制御し、記録媒体の先端が前記ベルトの周面に接触してから記録媒体の先端が前記定着装置に到達するまでの間の少なくとも一部の期間において、記録媒体の先端部分が前記ベルトの周面に接触し、記録媒体の記録面が前記ベルトの周面と離間するように、記録媒体を搬送させることを特徴とする。
【0015】
本発明の第9態様に係る画像形成装置は、第8態様に記載の画像形成装置において、前記制御部は、記録媒体としてコート紙を用いる場合に、前記受渡部材及び前記ベルトの少なくとも一方の搬送速度を制御し、少なくとも、記録媒体の先端が前記ベルトの周面に接触してから記録媒体の先端が前記定着装置に到達するまでの間、記録媒体の先端部分が前記ベルトの周面に接触し、記録媒体の記録面が前記ベルトの周面と離間するように、記録媒体を搬送させることを特徴とする。
【0016】
本発明の第10態様に係る画像形成装置は、第8又は第9態様に記載の画像形成装置において、前記定着装置は、画像が転写された記録媒体を挟んで回転しながら搬送し、前記制御部は、記録媒体としてコート紙を用いる場合に、前記ベルト及び前記定着装置の少なくとも一方の搬送速度を制御し、記録媒体の後端が前記受渡部材によって送り出されてから、記録媒体の後端が前記ベルトの周面と離間するまでの間の少なくとも一部の期間において、記録媒体の後端部分が前記ベルトの周面に接触し、記録媒体の記録面が前記ベルトの周面と離間するように、記録媒体を搬送させることを特徴とする。
【0017】
本発明の第11態様に係る画像形成装置は、第10態様に記載の画像形成装置において、前記制御部は、記録媒体としてコート紙を用いる場合に、前記ベルト及び前記定着装置の少なくとも一方の搬送速度を制御し、少なくとも、記録媒体の後端が前記受渡部材によって送り出されてから、記録媒体の後端が前記ベルトの周面と離間するまでの間、記録媒体の後端部分が前記ベルトの周面に接触し、記録媒体の記録面が前記ベルトの周面と離間するように、記録媒体を搬送させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1態様に係る画像形成装置は、周回する複数の無端状のベルトを用いて記録媒体を定着装置に向けて搬送する構成において、記録媒体の種類に関わらず記録媒体をベルトの周面に接触させる接触力が常に同じ場合と比して、記録媒体の種類に応じて、画像に光沢むらが生じるのを抑制可能な構成を得ることができる。
【0019】
本発明の第2態様に係る画像形成装置は、記録媒体の光沢度に関わらず記録媒体をベルトの周面に接触させる接触力が常に同じ場合と比して、光沢度が高い記録媒体の画像に光沢むらが生じるのを抑制することができる。
【0020】
本発明の第3態様に係る画像形成装置は、コート紙に付与する接触力と普通紙に付与する接触力とが同じ場合と比して、コート紙の画像に光沢むらが生じるのを抑制することができる。
【0021】
本発明の第4態様に係る画像形成装置は、ベルトの搬送速度と受渡部材の搬送速度とが同じ場合と比して、コート紙の画像に光沢むらが生じるのを抑制することができる。
【0022】
本発明の第5態様に係る画像形成装置は、記録媒体の先端がベルトの周面に接触してから記録媒体の先端が定着部に到達するまでの間の一部の期間だけで、ベルトの搬送速度が受渡部材の搬送速度に対して速い場合と比して、コート紙の画像に光沢むらが生じるのを抑制することができる。
【0023】
本発明の第6態様に係る画像形成装置は、ベルトの搬送速度と受渡部材の搬送速度とが同じ場合と比して、コート紙の画像に光沢むらが生じるのを抑制することができる。
【0024】
本発明の第7態様に係る画像形成装置は、記録媒体の後端が受渡部材によって送り出されてから記録媒体の後端がベルトの周面と離間するまでの間の一部の期間だけで、ベルトの搬送速度が受渡部材の搬送速度に対して遅い場合と比して、コート紙の画像に光沢むらが生じるのを抑制することができる。
【0025】
本発明の第8態様に係る画像形成装置は、記録面をベルトの周面に接触させてコート紙を搬送する場合と比して、コート紙の画像に光沢むらが生じるのを抑制することができる。
【0026】
本発明の第9態様に係る画像形成装置は、記録媒体の先端がベルトの周面に接触してから記録媒体の先端が定着部に到達するまでの間の一部の期間だけで、記録媒体の記録面をベルトの周面と離間させる場合と比して、コート紙の画像に光沢むらが生じるのを抑制することができる。
【0027】
本発明の第10態様に係る画像形成装置は、記録面をベルトの周面に接触させてコート紙を搬送する場合と比して、コート紙の画像に光沢むらが生じるのを抑制することができる。
【0028】
本発明の第11態様に係る画像形成装置は、記録媒体の後端が受渡部材によって送り出されてから記録媒体の後端がベルトの周面と離間するまでの間の一部の期間だけで、記録媒体の記録面をベルトの周面と離間させる場合と比して、コート紙の画像に光沢むらが生じるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の受渡部材、ベルトユニット、及び定着装置を示した構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の受渡部材、ベルトユニット、及び定着装置を示し、コート紙の搬送工程を示した第1工程図である。
図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の受渡部材、ベルトユニット、及び定着装置を示し、コート紙の搬送工程を示した第2工程図である。
図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置の受渡部材、ベルトユニット、及び定着装置を示し、コート紙の搬送工程を示した第3工程図である。
図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置の受渡部材、ベルトユニット、及び定着装置を示し、コート紙の搬送工程を示した第4工程図である。
図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置の受渡部材、ベルトユニット、及び定着装置を示し、コート紙の搬送工程を示した第5工程図である。
図7】本発明の実施形態に係る画像形成装置の受渡部材、ベルトユニット、及び定着装置を示し、コート紙の搬送工程を示した第6工程図である。
図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置の受渡部材、ベルトユニット、及び定着装置を示し、コート紙の搬送工程を示した第7工程図である。
図9】本発明の実施形態に係る画像形成装置の受渡部材、ベルトユニット、及び定着装置を示し、コート紙の搬送工程を示した工程図である。
図10】本発明の実施形態に係る画像形成装置の受渡部材、ベルトユニット、及び定着装置を示し、コート紙の搬送工程を示した第8工程図である。
図11】本発明の実施形態に係る画像形成装置の受渡部材、ベルトユニット、及び定着装置を示し、コート紙の搬送工程を示した第9工程図である。
図12】本発明の実施形態に係る画像形成装置の受渡部材、ベルトユニット、及び定着装置を示し、コート紙の搬送工程を示した第10工程図である。
図13】本発明の実施形態に係る画像形成装置の受渡部材、ベルトユニット、及び定着装置を示し、普通紙の搬送工程を示した第1工程図である。
図14】本発明の実施形態に係る画像形成装置の受渡部材、ベルトユニット、及び定着装置を示し、普通紙の搬送工程を示した第2工程図である。
図15】本発明の実施形態に係る画像形成装置の受渡部材、ベルトユニット、及び定着装置を示し、普通紙の搬送工程を示した第3工程図である。
図16】本発明の実施形態に係る画像形成装置のベルトユニット、及び定着装置を示した斜視図である。
図17】本発明の実施形態に係る画像形成装置のベルトユニットを示した断面図である。
図18】本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御部の制御系を示した制御ブロック図である。
図19】本発明の実施形態に係る画像形成装置のトナー画像形成部を示した構成図である。
図20】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
図21】本発明の実施形態に対する比較形態に係る画像形成装置の制御部の制御系を示した制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を図1図21に従って説明する。なお、各図に示す矢印Hは鉛直方向であって装置上下方向を示し、矢印Wは、水平方向であって装置幅方向を示し、矢印Dは、水平方向であって装置奥行方向を示す。
【0031】
(画像形成装置の全体構成)
画像形成装置10は、図20に示されるように、電子写真方式によりトナー画像を形成する画像形成部12と、搬送経路16に沿って記録媒体Pを搬送する搬送部14とを備えている。また、画像形成装置10は、記録媒体Pを収容する収容部18と、各部を制御する制御部28とを備えている。さらに、画像形成装置10は、記録媒体Pの両面に画像を形成させる(両面印刷)ために、表面に画像が形成された記録媒体Pの表裏を反転させて再度画像形成部12へ向けて搬送する反転経路26を備えている。
【0032】
上記構成による画像形成装置10では、画像形成部12によって形成されたトナー画像が、搬送経路16に沿って搬送される記録媒体Pの表面に形成される。さらに、トナー画像が形成された記録媒体Pは、装置本体10aの外部へ排出される。
【0033】
一方、記録媒体Pの裏面にトナー画像を形成する場合は、表面にトナー画像が形成された記録媒体Pが反転経路26に沿って搬送され、再度画像形成部12で記録媒体Pの裏面にトナー画像が形成される。
【0034】
〔画像形成部12〕
画像形成部12は、図20に示されるように、各色のトナー画像を夫々形成する複数のトナー画像形成部30と、トナー画像形成部30で形成されたトナー画像を記録媒体Pに転写する転写部32とを備えている。さらに、画像形成部12は、転写部32によって記録媒体Pに転写されたトナー画像を記録媒体Pに定着する定着装置34を備えている。
【0035】
-トナー画像形成部30-
トナー画像形成部30は、色ごとにトナー画像を形成するように複数備えられている。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー画像形成部30が設けられている。なお、以後の説明では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)を区別する必要が無い場合は、符号に付するY、M、C、及びKを省略する。
【0036】
各色のトナー画像形成部30は、用いるトナーを除き基本的に同様に構成されており、図19に示されるように、回転する円筒状の像保持体40と、像保持体40を帯電する帯電器42とを備えている。さらに、トナー画像形成部30は、帯電した像保持体40に露光光を照射して静電潜像を形成する露光装置44(図20参照)と、トナーを含んだ現像剤Gで静電潜像をトナー画像として現像する現像装置46とを備えている。これにより、各色のトナー画像形成部30では、各色の画像を、各色のトナーを用いて形成するようになっている。
【0037】
また、各色の像保持体40は、図20に示されるように、周回移動する転写ベルト50(詳細は後述)に接触している。そして、転写ベルト50の周回方向(図中矢印参照)において、上流側からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)のトナー画像形成部30が、この順番で水平方向に並んで配置されている。
【0038】
-転写部32-
転写部32は、図20に示されるように、複数のロール(符号省略)に巻き掛けられて図中矢印方向に周回する転写ベルト50と、転写ベルト50を挟んで各色の像保持体40の反対側に夫々配置され、各色の像保持体40に形成されたトナー画像を転写ベルト50に転写する一次転写ロール52とを備えている。
【0039】
さらに、転写部32は、転写ベルト50が巻き掛けられたた巻掛ロール56と、転写ベルト50を挟んで巻掛ロール56の反対側に配置され、転写ベルト50上に転写されたトナー画像を記録媒体Pに転写する二次転写ロール54とを備えている。さらに、転写部32は、転写ベルト50が巻き掛けられ、転写ベルト50に回転力を伝達する駆動ロール58を備えている。そして、二次転写ロール54と転写ベルト50との間には、記録媒体Pにトナー画像を転写する転写ニップNTが形成されている。
【0040】
この構成において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の順番で、転写ベルト50上にトナー画像が一次転写ロール52によって一次転写される。一方、転写ベルト50と二次転写ロール54との間に挟まれて搬送される記録媒体Pに、転写ベルト50からトナー画像が転写される。さらに、トナー画像が転写された記録媒体Pは、後述するベルトユニット60に受け渡され、定着装置34に向けて搬送される。
【0041】
このように、駆動ロール58、転写ベルト50、巻掛ロール56、及び二次転写ロール54を含んで、記録媒体Pをベルトユニット60に受け渡す受渡部材48が構成されている。
【0042】
〔搬送部14〕
搬送部14は、図20に示されるように、搬送経路16に沿って記録媒体Pを搬送する複数の搬送ロール(符号省略)と、トナー画像が転写された記録媒体Pを搬送して定着装置34へ受け渡すベルトユニット60とを備えている。なお、ベルトユニット60については、詳細を後述する。
【0043】
〔定着装置34〕
定着装置34は、図20に示されるように、記録媒体Pの搬送方向においてベルトユニット60の下流側に配置されている。定着装置34は、記録媒体Pに転写されたトナー画像を加熱、加圧して記録媒体Pに定着させる。なお、定着装置34の構成については、詳細を後述する。
【0044】
〔反転経路26〕
反転経路26は、図20に示されるように、定着装置34を通過した記録媒体Pが送り込まれるようになっている。反転経路26は、記録媒体Pの搬送方向を逆向きに折り返すことで(スイッチバック搬送させて)表裏を反転させる。そして、両面印刷の場合は、表面にトナー画像が形成された記録媒体Pを、反転経路26に沿って搬送し、表裏を反転させて、再度画像形成部12へ向けて搬送するようになっている。
【0045】
〔収容部18〕
収容部18は、記録媒体Pを収容可能な、3個の収容トレイ20a、20b、20cと、夫々の収容トレイ20a、20b、20cに収容された記録媒体Pを搬送経路16に送り出す送出ロール22a、22b、22cとを備えている。
【0046】
3個の収容トレイ20a、20b、20cには、記録媒体Pが積載可能となっており、収容トレイ20b及び収容トレイ20cは、画像形成装置10の装置本体10aの下方側の部分で、装置幅方向に並んでいる。また、収容トレイ20aは、収容トレイ20b及び収容トレイ20cの上方に配置されており、収容トレイ20b及び収容トレイ20cと比して、サイズの大きい記録媒体Pが積載可能となっている。
【0047】
この構成において、送出ロール22a、22b、22cは、収容トレイ20a、20b、20cに積載された最上位の記録媒体Pを搬送経路16に送り出す。
【0048】
〔制御部28〕
制御部28は、図18に示されるように、画像形成装置10に備えられた各部を制御する。制御部28については、詳細を後述する。
【0049】
(要部構成)
次に、ベルトユニット60と、定着装置34、及び制御部28について説明する。
【0050】
〔ベルトユニット60〕
ベルトユニット60は、図1図16に示されるように、記録媒体Pの搬送方向において、定着装置34の上流側に配置されている。ベルトユニット60は、複数の無端状の搬送ベルト62と、搬送ベルト62が巻き掛けられた駆動ロール64a及び従動ロール64bと、搬送ベルト62の内側で吸気する吸気部66とを含んで構成されている。
【0051】
-搬送ベルト62-
搬送ベルト62は、ゴム材料を用いて形成されており、搬送される記録媒体Pの幅方向である装置奥行方向に隙間を空けて複数設けられている。さらに、搬送ベルト62には、搬送ベルト62の周方向、及び搬送ベルト62の幅方向に並んで、複数の円状の貫通孔62aが形成されている。搬送ベルト62は、ベルトの一例である。
【0052】
このように、搬送ベルト62が装置奥行方向に隙間を空けて複数設けられていることで、搬送される記録媒体Pについては、搬送ベルト62の周面に上方から接触する接触部分と、搬送ベルト62に接触しない非接触部分とが生じる。
【0053】
-駆動ロール64a、従動ロール64b-
駆動ロール64a、及び従動ロール64bは、軸方向を装置奥行方向としており、駆動ロール64aは、記録媒体Pの搬送方向において、従動ロール64bの下流側に配置されている。また、駆動ロール64aは、駆動源から回転力が伝達されて回転するようになっている。
【0054】
この構成において、回転する駆動ロール64aの回転力が、搬送ベルト62に伝達されて、搬送ベルト62が周回する。さらに、周回する搬送ベルト62に従動して、従動ロール64bが回転する。そして、周回する搬送ベルト62が、記録媒体Pを搬送する。
【0055】
-吸気部66-
吸気部66は、搬送ベルト62の内部に配置されており、装置奥行方向に延びている。また、吸気部66は、吸気部66の上方の空気を吸気する複数の吸気ファン66aを備えている。吸気ファン66aは、接触部の一例である。なお、吸気部66による吸気の有無に関わらず、周回する搬送ベルト62が、記録媒体Pを搬送する。
【0056】
この構成において、吸気ファン66aが吸気部66の上方の空気を吸気することで、搬送ベルト62によって搬送される記録媒体Pを搬送ベルト62の周面に接触させる。このように、吸気ファン66aは、記録媒体Pを搬送ベルト62に接触させる接触力を記録媒体Pに付与する接触力付与手段として機能している。
【0057】
〔定着装置34〕
定着装置34は、図1図16に示されるように、記録媒体Pを加熱する加熱ユニット70と、記録媒体Pを加熱ユニット70側へ加圧する加圧ユニット72とを備えている。加熱ユニット70と加圧ユニット72とは上下方向に並んでおり、加熱ユニット70は、加圧ユニット72の上方に配置されている。
【0058】
-加熱ユニット70-
加熱ユニット70は、無端状の定着ベルト74と、定着ベルト74を加熱する第一加熱ロール78と、定着ベルト74を加熱する第二加熱ロール80と、定着ベルト74が巻き掛けられているパッド部材82とを備えている。さらに、加熱ユニット70は、第一加熱ロール78の周面の温度を検出する温度センサ86と、搬送される記録媒体Pの先端を検出する先端センサ84と、各部材を上方から覆う上側カバー90とを備えている。
【0059】
[定着ベルト74]
定着ベルト74は、無端状で、一例として、ポリアミドからなる基材の表面にフッ素樹脂を被覆されて構成されている。そして、定着ベルト74は、下方が三角形状の頂点となる姿勢に、第一加熱ロール78、第二加熱ロール80、及びパッド部材82に巻き掛けられている。
【0060】
また、定着ベルト74は、定着ベルト74の一部が搬送ベルト62の一部と装置幅方向で重なる(ラップする)ように、配置されている(図1のLa参照)。そして、この重なっている部分では、定着ベルト74が、搬送ベルト62の上方に配置されている。
【0061】
このように、定着ベルト74が、搬送ベルト62の上方に配置されることで、定着ベルト74は、搬送ベルト62を加熱する加熱手段として機能している。
【0062】
[パッド部材82]
パッド部材82は、第一加熱ロール78及び第二加熱ロール80に対して下方に配置されており、パッド部材82には、定着ベルト74において下方側の頂点部分が巻き掛けられている。さらに、パッド部材82は、装置奥行方向に延びており、断面矩形状とされている。また、パッド部材82は、装置奥行方向の両端部分で、図示せぬフレーム部材に取り付けられている。
【0063】
この構成において、パッド部材82が、加圧ユニット72を構成する後述する加圧ロール102からのニップ荷重を受けることで、定着ベルト74と加圧ロール102との間にニップ部Nが形成されている。
【0064】
また、ニップ部Nから、二次転写ロール54と転写ベルト50とが接触している部分までの搬送経路16に沿った距離(図1のL01)は、画像形成装置10で画像形成可能な最小サイズの記録媒体Pの長手方向と比して短くなっている。
【0065】
[第一加熱ロール78、第二加熱ロール80]
第一加熱ロール78は、パッド部材82に対して、上方で、かつ、装置幅方向の一方側(図中左側)に配置されており、軸方向を装置奥行方向としている。また、第一加熱ロール78は、内部にハロゲンヒータを備えている。さらに、第一加熱ロール78は、装置奥行方向の両端部分で、図示せぬフレーム部材に回転可能に取り付けられている。
【0066】
第二加熱ロール80は、パッド部材82に対して、上方で、かつ、装置幅方向の他方側(図中右側)に配置されており、軸方向を装置奥行方向としている。また、第二加熱ロール80は、内部にハロゲンヒータを備えている。さらに、第二加熱ロール80は、装置奥行方向の両端部分で、図示せぬフレーム部材に取り付けられ、駆動源から回転力が伝達されて回転するようになっている。
【0067】
この構成において、第二加熱ロール80が回転することで、定着ベルト74が姿勢を維持した状態で、図中矢印R1方向に周回する。さらに、第一加熱ロール78は、周回する定着ベルト74に従動して回転する。
【0068】
また、内部のハロゲンヒータに電圧が印加されることで第一加熱ロール78、及び第二加熱ロール80が昇温する。さらに、昇温した第一加熱ロール78、及び第二加熱ロール80によって、定着ベルト74が昇温する。これにより、定着ベルト74は、画像が転写されて搬送される記録媒体Pに接触し、回転しながら記録媒体Pを加熱する。
【0069】
[先端センサ84]
先端センサ84は、記録媒体Pの搬送方向においてニップ部Nの下流側で、かつ、搬送経路16の上方向に配置されており、搬送される記録媒体Pの先端を検出するようになっている。
【0070】
[上側カバー90]
上側カバー90は、定着ベルト74の上方側の部分を上方から覆うように配置されており、装置奥行方向に延びている。そして、装置奥行方向に対して直交する面で切断した切断形状は、下方が開口したU字状とされている。
【0071】
この構成において、定着ベルト74が昇温することで加熱された空気の上方への移動が、上側カバー90によって抑制され、定着ベルト74の熱が上方へ逃げない。一方、前述したように、定着ベルト74と搬送ベルト62が装置幅方向で重ねっている部分では、定着ベルト74が、搬送ベルト62の上方に配置されている。このため、定着ベルト74の熱は、搬送ベルト62側に逃げる。
【0072】
-加圧ユニット72-
加圧ユニット72は、図1に示されるように、記録媒体Pを定着ベルト74へ加圧する加圧ロール102と、加圧ロール102を移動させる移動部106と、各部材を下方から覆う下側カバー110とを備えている。
【0073】
[加圧ロール102]
加圧ロール102は、定着ベルト74を間に置いてパッド部材82の反対側に配置されており、軸方向を装置奥行方向としている。加圧ロール102は、一例として、アルミニウム製の円柱状のロール本体(図示省略)の外周に、シリコンゴム製の弾性体層が被覆されて構成されている。また、この弾性体層には、フッ素系樹脂の剥離層が形成されている。
【0074】
さらに、加圧ロール102は、装置奥行方向の両端部分で、移動部106に取り付けられ、図示せぬ駆動源から回転力が伝達されて、図中矢印R2方向に回転するようになっている。
【0075】
[移動部106]
移動部106は、加圧ロール102の両端側に一対配置されており、既知の機械要素部品を組み合させて構成されている。
【0076】
この構成において、移動部106は、加圧ロール102を、パッド部材82に巻き掛けられている部分の定着ベルト74に対して近接離間する方向へ移動させる。具体的には、定着装置34がトナー画像を記録媒体Pに定着させる場合は、移動部106は、加圧ロール102を、搬送される記録媒体Pを定着ベルト74に加圧する接触位置(図1の実線参照)に移動させる。これに対して、定着装置34が非稼働の場合、及び定着ベルト74の温度を閾値まで昇温させる場合は、移動部106は、加圧ロール120を、定着ベルト74と離間する離間位置(図1の二点鎖線参照)に移動させる。
【0077】
また、加圧ロール102が離間位置に配置された状態で、定着ベルト74を周回させる場合は、回転する第二加熱ロール80の回転力が定着ベルト74へ伝達される。一方、加圧ロール102が接触位置に配置された状態で、定着ベルト74を周回させる場合は、第二加熱ロール80の回転力が解除され、回転する加圧ロール102の回転力が、定着ベルト74へ伝達される。
【0078】
[下側カバー110]
下側カバー110は、加圧ロール102及び移動部106を下方から覆うように配置されており、装置奥行方向に延びている。また、下側カバー110は、本体部110aと、記録媒体Pを搬送経路16に沿って案内する板状の案内部110bとを有している。
【0079】
装置奥行方向に対して直交する面で本体部110aを切断した切断形状は、上方が開口したU字状とされている。
【0080】
案内部110bは、記録媒体Pの搬送方向においてニップ部Nの下流側の部分の本体部110aの開口を塞いでいる。そして、案内部110bの板面は、装置奥行方向から見て、装置幅方向の他端が一端に対して上方となるように傾斜している。
【0081】
この構成において、加圧ロール102が接触位置に配置された状態で、定着装置34のニップ部Nから送り出された記録媒体Pの先端は、上方から案内部110bに接触し、記録媒体Pは、搬送経路16に沿って案内される(図14参照)。
【0082】
〔制御部28〕
制御部28は、図18に示されるように、画像形成装置10に備えられた各部を制御する。記録媒体Pとしてコート紙を用いる場合と、記録媒体Pとして普通紙を用いる場合とで、各部の制御を切り替える。制御部28の各部に対する制御については、後述する作用と共に説明する。なお、説明の便宜上、以後の説明では、普通紙を普通紙P1と記載し、コート紙をコート紙P2と記載する。
【0083】
また、本実施形態の画像形成装置10では、図20に示す収容トレイ20bに普通紙P1が積載されるように設定されており、収容トレイ20cにコート紙P2が積載されるように設定されている。
【0084】
ここで、「コート紙」とは、画像が形成される前の状態で、60度光沢度(JIS Z 87411 1997)が、60〔%〕以上の記録媒体である。より具体的には、表面に樹脂層が形成され、60度光沢度が、60〔%〕以上の記録媒体である。例えば、富士ゼロックス製のOSコート紙があげられる。これに対して、「普通紙」とは、画像が形成される前の状態で、60度光沢度が、60〔%〕未満の記録媒体である。より具体的には、表面に樹脂層が形成されておらず、60度光沢度が、60〔%〕未満の記録媒体である。また、60度光沢度計としては、例えば、Gardner社製 micro-TRI-gloss4520を用いることができる。
【0085】
(要部構成の作用)
次に、要部構成の作用について、比較形態に係る画像形成装置210の作用と共に説明する。比較形態の画像形成装置210については、画像形成装置10と異なる部分を主に説明する。先ず比較形態の画像形成装置210の構成について説明する。
【0086】
〔画像形成装置210の構成〕
画像形成装置210は、図21に示されるように、各部を制御する制御部228を備えている。制御部228による各部の制御については、後述する作用と共に説明する。
【0087】
〔画像形成装置10、210の作用〕
画像形成装置10では、普通紙P1を用いる場合と、コート紙P2を用いる場合とで、制御部28による各部の制御が異なる。これに対して、画像形成装置210では、普通紙P1を用いる場合と、コート紙P2を用いる場合とで、制御部228による各部の制御が同様である。具体的には、画像形成装置210では、画像形成装置10で普通紙P1を用いる場合と同様の制御が、コート紙P2を用いる場合も実行される。
【0088】
-普通紙P1を用いる場合-
先ず、普通紙P1を用いて、普通紙P1にトナー画像を形成させる場合について説明する。なお、画像形成装置10、210の非稼働状態では、各部が停止している。さらに、加圧ロール102は離間位置に配置されている。
【0089】
ユーザが、普通紙P1を指定して印刷ジョブを開始させると、図18図21に示す制御部28、228は、図20に示す画像形成部12を制御し、転写ベルト50を周回させ、各色のトナー画像形成部30でトナー画像を形成させる。転写ベルト50を周回させることで、駆動ロール58、転写ベルト50、巻掛ロール56、及び二次転写ロール54を含んで構成されている受渡部材48が、普通紙P1を搬送することができる状態となる。
【0090】
また、制御部28、228は、図1に示す定着装置34を制御し、第一加熱ロール78の内部のハロゲンヒータ、及び第二加熱ロール80の内部のハロゲンヒータに電圧を印加し、さらに、第二加熱ロール80を回転させて定着ベルト74を周回させる。
【0091】
そして、温度センサ86が第一加熱ロール78の周面の温度を検出し、第一加熱ロール78の温度が閾値以上になると、移動部106が、離間位置に配置されている加圧ロール102を接触位置へ移動させる。このとき、本実施形態では、定着ベルト74の温度は、一例として、180〔℃〕とされている。
【0092】
さらに、制御部28、228は、搬送部14を制御し、図1に示すベルトユニット60を稼働させる。具体的には、駆動ロール64aを回転させて搬送ベルト62を周回させる。また、搬送ベルト62の内側に配置された吸気部66の吸気ファン66aを稼働させ、吸気部66の上方の空気を吸気する。なお、定着装置34が稼働していることで、搬送ベルト62は、定着ベルト74によって加熱され、一例として、80〔℃〕まで昇温する。
【0093】
ここで、受渡部材48によって普通紙P1を搬送する搬送速度を、V1aとし、ベルトユニット60によって普通紙P1を搬送する搬送速度を、V2aとする。さらに、定着装置34によって普通紙P1を搬送する搬送速度を、V3aとする。そうすると、速度V1aと、速度V2aと、速度V3aとは、下記式(1)の関係を満たしている。
【0094】
V1a=V2a=V3a・・・・・・(1)
【0095】
本実施形態では、搬送速度V1a、搬送速度V2a、及び搬送速度V3aは、一例として、450〔mm/s〕とされている。
【0096】
そして、図20に示す送出ロール22bが、収容トレイ20bに積載された最上位の普通紙P1を、搬送経路16へ送り出し、送り出された普通紙P1は、搬送経路16に沿って搬送される。さらに、転写ニップNTで、搬送される普通紙P1にトナー画像が転写される。
【0097】
また、普通紙P1は、受渡部材48によって搬送され、図13に示されるように、受渡部材48によって搬送される普通紙P1の先端部分は、周回する搬送ベルト62の周面に接触する。
【0098】
さらに、搬送される普通紙P1は、図14に示されるように、記録面が周回する搬送ベルト62の周面に接触した状態で搬送ベルト62によって搬送される。さらに、搬送ベルト62によって搬送される普通紙P1は、周回する定着ベルト74と加圧ロール102との間に挟まれて搬送されることで、普通紙P1に転写されたトナー画像が加熱、加圧されて普通紙P1に定着させる。そして、図15に示されるように、搬送される普通紙P1は、搬送ベルト62の周面との接触が維持された状態で、搬送方向の下流側へ搬送され、装置本体10aの外部に排出される。
【0099】
-画像形成装置210でコート紙P2を用いる場合-
画像形成装置210で、コート紙P2を用いる場合は、画像形成装置210で、普通紙P1を用いる場合と同様の制御が実行される。
【0100】
このため、周回する搬送ベルト62は、図14図15に示されるように、搬送ベルト62の周面にコート紙P2の記録面が接触した状態で、コート紙P2を定着装置34に受け渡す。このように、画像形成装置210では、記録媒体Pを搬送ベルト62の周面に接触させる接触力は、記録媒体Pの種類に関わらず常に同じ大きさとされている。
【0101】
ここで、前述したように、搬送ベルト62は、定着ベルト74によって加熱され、一例として、80〔℃〕まで昇温する。搬送ベルト62は、図16図17に示されるように、搬送される記録媒体Pの幅方向である装置奥行方向に隙間を空けて複数設けられている。つまり、コート紙P2には、搬送ベルト62に接触する接触部分と、搬送ベルト62に接触しない非接触部分とが生じる。
【0102】
このため、コート紙P2の接触部分では、昇温しており、コート紙P2の非接触部分では、接触部分と比して昇温しておらず、コート紙P2には、装置奥行方向に温度むらが生じる。そして、定着装置34は、温度むらが生じているコート紙P2を、加熱、加圧して、トナー画像をコート紙P2に定着する。
【0103】
ここで、前述したように、コート紙P2は、普通紙P1に比して、60度光沢度が高い記録媒体Pである。このため、定着装置34によってコート紙P2に定着されたトナー画像には、顕著な光沢むらが生じてしまう。
【0104】
-画像形成装置10でコート紙P2を用いる場合-
次に、画像形成装置10で、コート紙P2を用いる場合の作用について説明する。なお、コート紙P2を用いる場合については、普通紙P1を用いる場合と異なる部分を主に説明する。
【0105】
ユーザが、コート紙P2を指定して印刷ジョブを開始させると、図20に示す制御部28は、画像形成部12を制御し、転写ベルト50を周回させ、各色のトナー画像形成部30でトナー画像を形成させる。転写ベルト50を周回させることで、受渡部材48が、コート紙P2を搬送することができる状態となる。
【0106】
また、制御部28は、図1に示す定着装置34を制御し、第一加熱ロール78の内部のハロゲンヒータ、及び第二加熱ロール80の内部のハロゲンヒータに電圧を印加し、第二加熱ロール80を回転させて定着ベルト74を周回させる。
【0107】
そして、温度センサ86が第一加熱ロール78の周面の温度を検出し、第一加熱ロール78の温度が閾値以上になると、移動部106が、離間位置に配置されている加圧ロール102を接触位置へ移動させる。このとき、本実施形態では、定着ベルト74の温度は、一例として、180〔℃〕とされている。
【0108】
さらに、制御部28は、搬送部14を制御し、図1に示すベルトユニット60を稼働させる。具体的には、駆動ロール64aを回転させて搬送ベルト62を周回させる。また、搬送ベルト62の内側に配置された吸気部66の吸気ファン66aについては、停止状態を維持させる。このように、制御部28は、コート紙P2を用いる場合は、普通紙P1を用いる場合と比して、記録媒体Pを搬送ベルト62の周面に接触させる接触力を弱くする。なお、搬送ベルト62は、定着装置34によって加熱され、一例として、80〔℃〕まで昇温する。
【0109】
ここで、受渡部材48によってコート紙P2を搬送する搬送速度を、V1bとし、搬送ベルト62によってコート紙P2を搬送する搬送速度を、V2bとする。さらに、定着装置34によってコート紙P2を搬送する搬送速度を、V3bとする。そうすると、下記式(2)、(3)の関係を満たしている。
【0110】
V1b=V3b=V1a=V3a・・・(2)
V2b>V1b(V3b)・・・・・・(3)
【0111】
本実施形態では、搬送速度V1b及び搬送速度V3bは、搬送速度V1a及び搬送速度V3aと同様で、一例として、450〔mm/s〕とされている。また、搬送速度V2bは、搬送速度V1b、V3bと比して速く、一例として、600〔mm/s〕とされている。
【0112】
なお、搬送速度V2bの搬送速度V1bに対する速度比は、110〔%〕以上150〔%〕以下でよく、120〔%〕以上145〔%〕以下であればさらによく、130〔%〕以上140〔%〕以下であれば特によい。
【0113】
そして、図20に示す送出ロール22cが、収容トレイ20cに積載された最上位のコート紙P2を、搬送経路16へ送り出し、送り出されたコート紙P2は、搬送経路16に沿って搬送される。さらに、転写ニップNTで、搬送されるコート紙P2にトナー画像が転写される。
【0114】
また、コート紙P2は、受渡部材48によって搬送され、図2図3に示されるように、受渡部材48によって搬送されるコート紙P2の先端部分の少なくとも一部は、周回する搬送ベルト62の周面に接触する。ここで、「コート紙P2の先端部分」とは、コート紙P2の搬送方向の長さを10とした場合に、先端から後端に向かって1までの部分である。
【0115】
ここで、前述したように、吸気部66の吸気ファン66aについては、停止状態が維持されている。さらに、搬送ベルト62の搬送速度V2bは、受渡部材48の搬送速度V1bと比して速くされている。
【0116】
このため、コート紙P2において、受渡部材48に挟まれている部分と、搬送ベルト62の周面に接触している先端部分との間に、記録媒体Pの搬送方向に張力が生じる。この張力によって、図4図5に示されるように、コート紙P2の先端部分が搬送ベルト62の周面に接触し、コート紙P2の記録面が搬送ベルト62の周面と離間するように、コート紙P2が搬送される。ここで、「コート紙P2の記録面」とは、先端部分と後述する後端部分を除いた部分の面である。
【0117】
さらに、図6図7に示されるように、コート紙P2の先端から定着装置34に挟まれ、定着装置34は、コート紙P2を搬送する。コート紙P2が受渡部材48及び定着装置34によって挟まれて搬送されている状態では、コート紙P2の記録面は、搬送ベルト62と離間する。
【0118】
さらに、受渡部材48が、図8に示されるように、コート紙P2の後端を記録媒体Pの搬送方向の下流側へ送り出すと、制御部28は、駆動ロール64aを制御し、搬送ベルト62によってコート紙P2を搬送する搬送速度を切り替える。具体的には、先端センサ84がコート紙P2の先端を検出してから、印刷job情報から受け取ったコート紙P2の搬送方向の長さを考慮して、コート紙P2の後端が受渡部材48によって送り出される時間が経過すると、制御部28は、駆動ロール64aを制御し、搬送ベルト62によってコート紙P2を搬送する搬送速度を切り替える。
【0119】
ここで、受渡部材48によってコート紙P2を搬送する搬送速度を、V1cとし、搬送ベルト62によってコート紙P2を搬送する搬送速度を、V2cとする。さらに、定着装置34によってコート紙P2を搬送する搬送速度を、V3cとする。そうすると、下記式(4)、(5)の関係を満たしている。
【0120】
V1c=V3c=V1b=V3b=V1a=V3a・・(4)
V2c<V3c(V1c)・・・・・・・・・・(5)
【0121】
本実施形態では、搬送速度V1c及び搬送速度V3cは、搬送速度V1a及び搬送速度V3aと同様で、一例として、450〔mm/s〕とされている。また、搬送速度V2cは、搬送速度V1c、V3cと比して遅く、一例として、300〔mm/s〕とされている。
【0122】
なお、搬送速度V2cの搬送速度V3cに対する速度比は、50〔%〕以上90〔%〕以下でよく、55〔%〕以上80〔%〕以下であればさらによく、60〔%〕以上70〔%〕以下であれば特によい。
【0123】
ここで、前述したように、吸気部66の吸気ファン66aについては、停止状態が維持されている。さらに、搬送ベルト62の搬送速度V2cは、定着装置34の搬送速度V1cと比して遅くされている。
【0124】
このため、コート紙P2において、定着装置34に挟まれている部分と、搬送ベルト62の周面に接触している後端部分との間に、記録媒体Pの搬送方向に張力が生じる。この張力によって、図9図10に示されるように、コート紙P2の後端部分の少なくとも一部が搬送ベルト62の周面に接触し、コート紙P2の記録面が搬送ベルト62の周面と離間するように、コート紙P2が搬送される。
【0125】
ここで、「コート紙P2の後端部分」とは、コート紙P2の搬送方向の長さを10とした場合に、後端から先端に向かって1までの部分である。
【0126】
さらに、図11図12に示されるように、コート紙P2の後端が搬送ベルト62の周面と離間すると、制御部28は、駆動ロール64aを制御し、搬送ベルト62によってコート紙P2を搬送する搬送速度を切り替える。具体的には、先端センサ84がコート紙P2の先端を検出してから、印刷job情報から受け取ったコート紙P2の搬送方向の長さを考慮して、コート紙P2の後端が搬送ベルト62の周面と離間する時間が経過すると、制御部28は、駆動ロール64aを制御し、前述した式(2)、(3)の関係を満たすように各部を制御する。そして、定着装置34は、コート紙P2を搬送し、装置本体10aの外部に排出する。
【0127】
以上説明したように、画像形成装置10でコート紙P2を用いる場合には、コート紙P2の先端部分及び後端部分のみが、搬送ベルト62の周面に接触する。このため、画像形成装置210でコート紙P2を用いる場合と比して、定着装置34に受け渡されるコート紙P2に温度むらが生じるのが抑制される。
【0128】
(まとめ)
以上説明してように、画像形成装置10では、制御部28は、記録媒体Pを搬送ベルト62の周面に接触させる接触力を、記録媒体Pの種類に応じて切り替える。このため、記録媒体Pを搬送ベルト62の周面に接触させる接触力が、記録媒体Pの種類に関わらず常に同じ場合と比して、記録媒体Pの種類に応じて、トナー画像に光沢むらが生じるのを抑制可能な構成が得られる。
【0129】
また、画像形成装置10では、制御部28は、光沢度が高いコート紙P2を用いる場合は、光沢度が低い普通紙P1を用いる場合と比して、記録媒体Pを搬送ベルト62の周面に接触させる接触力を弱くする。このため、画像形成装置210のように、記録媒体Pを搬送ベルト62の周面に接触させる接触力が、記録媒体Pの種類に関わらず常に同じ場合と比して、定着装置34に受け渡されるコート紙P2に生じる温度むらが抑制される。
【0130】
また、画像形成装置10では、定着装置34に受け渡されるコート紙P2に生じる温度むらが抑制されることで、記録媒体Pを搬送ベルト62の周面に接触させる接触力が、記録媒体Pの種類に関わらず常に同じ場合と比して、コート紙P2に形成されたトナー画像に生じる光沢むらが抑制される。
【0131】
また、画像形成装置10では、制御部28は、光沢度が高いコート紙P2を用いる場合は、光沢度が低い普通紙P1を用いる場合と比して、記録媒体Pを搬送ベルト62の周面に接触させる接触力を弱くする。換言すれば、制御部28は、光沢度が低い普通紙P1を用いる場合は、光沢度が高いコート紙P2を用いる場合と比して、記録媒体Pを搬送ベルト62の周面に接触させる接触力を強くする。このため、普通紙P1の搬送姿勢が安定することで、定着装置34によって挟まれることで生じる紙しわが抑制される。
【0132】
また、画像形成装置10では、制御部28は、コート紙P2を用いる場合に、受渡部材48が、コート紙P2の後端を記録媒体Pの搬送方向の下流側へ送り出すまで、搬送ベルト62の搬送速度を、受渡部材48の搬送速度と比して速くする。これにより、図4図5に示されるように、コート紙P2の先端部分が搬送ベルト62の周面に接触し、コート紙P2の記録面が搬送ベルト62の周面と離間するように、コート紙P2が搬送される。このため、定着装置34に受け渡されるコート紙P2に生じる温度むらが抑制される。つまり、受渡部材48の搬送速度と搬送ベルト62の搬送速度とが同じ場合と比して、コート紙P2に形成されたトナー画像に生じる光沢むらが抑制される。
【0133】
また、画像形成装置10では、制御部28は、受渡部材48が、コート紙P2の後端を記録媒体Pの搬送方向の下流側へ送り出してから、コート紙P2の後端が搬送ベルト62の周面と離間するまで、搬送ベルト62の搬送速度を、定着装置34の搬送速度と比して遅くする。これにより、図9図10に示されるように、コート紙P2の後端部分が搬送ベルト62の周面に接触し、コート紙P2の記録面が搬送ベルト62の周面と離間するように、コート紙P2が搬送される。このため、定着装置34に受け渡されるコート紙P2に生じる温度むらが抑制される。つまり、定着装置34の搬送速度と搬送ベルト62の搬送速度とが同じ場合と比して、コート紙P2に形成されたトナー画像に生じる光沢むらが抑制される。
【0134】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、画像形成装置10でコート紙P2を用いる場合は、普通紙P1を用いる場合と比して搬送ベルト62の搬送速度を切り替えた。しかし、コート紙P2を用いる場合と普通紙P1を用いる場合とで各部の搬送速度が同様であってもよい、しかし、この場合には、搬送ベルト62の搬送速度を切り替えることで生じる作用は生じない。
【0135】
また、上記実施形態では、光沢度の違いによって、記録媒体Pを搬送ベルト62の周面に接触させる接触力を切り替えたが、例えば、表面に樹脂層が有るか否かのjob情報によって、接触力を切り替えてもよい。この場合には、制御部は、樹脂層が有る場合は、樹脂層が無い場合と比して、接触力を弱くする。
【0136】
また、上記実施形態では、吸気ファン66aを稼働、非稼働とすることで、記録媒体Pを搬送ベルト62の周面に接触させる接触力を切り替えたが、例えば、吸気ファンの回転数を変えることで、接触力を切り替えてもよい。つまり、接触力を弱める場合に、吸気ファンの回転数を低くすることで、接触力を弱めてもよい。
【0137】
また、上記実施形態では、コート紙P2を用いる場合に、受渡部材48が、コート紙P2の後端を記録媒体Pの搬送方向の下流側へ送り出すまで、搬送ベルト62の搬送速度を、受渡部材48の搬送速度と比して速くした。しかし、コート紙P2の先端が搬送ベルト62の周面に接触してからコート紙P2の先端が定着装置34に到達するまでの間の少なくとも一部の期間において、搬送ベルト62の搬送速度を、受渡部材48の搬送速度と比して速くしてもよい。これにより、搬送ベルトの搬送速度と受渡部材の搬送速度とが常に同じ場合と比して、コート紙P2の画像に生じる光沢むらが抑制される。
【0138】
また、上記実施形態では、コート紙P2を用いる場合に、受渡部材48が、コート紙P2の後端を記録媒体Pの搬送方向の下流側へ送り出すまで、搬送ベルト62の搬送速度を受渡部材48の搬送速度と比して速くした。しかし、コート紙P2を用いる場合に、少なくとも、コート紙P2の先端が搬送ベルトに接触してからコート紙P2の先端が定着装置34に到達するまでの間、搬送ベルト62の搬送速度を受渡部材48の搬送速度と比して速くすればよい。
【0139】
また、上記実施形態では、コート紙P2を用いる場合に、受渡部材48が、コート紙P2の後端を記録媒体Pの搬送方向の下流側へ送り出してから、コート紙P2の後端が搬送ベルト62の周面と離間するまで、搬送ベルト62の搬送速度を、定着装置34の搬送速度と比して遅くする。しかし、コート紙P2の後端が受渡部材によって送り出されてから、コート紙P2の後端が搬送ベルトの周面と離間するまで間の少なくとも一部の期間において、搬送ベルト62の搬送速度を、定着装置34の搬送速度と比して遅くしてもよい。これにより、搬送ベルトの搬送速度と受渡部材の搬送速度とが常に同じ場合と比して、コート紙P2のトナー画像に光沢むらが生じるのが抑制される。
【0140】
また、上記実施形態では、搬送ベルト62の搬送速度を切り替えることで、受渡部材48との間に速度差を設けたが、受渡部材48の搬送速度を切り替えることで、速度差を設けてもよい。
【0141】
また、上記実施形態では、搬送ベルト62の搬送速度を切り替えることで、定着装置34との間に速度差を設けたが、定着装置34の搬送速度を切り替えることで、速度差を設けてもよい。
【0142】
また、上記実施形態では、吸気ファン66aを稼働させることで、記録媒体Pを搬送ベルト62の周面に接触させる接触力を生じさせたが、例えば、静電力等によって記録媒体Pを搬送ベルト62の周面に接触させる接触力を生じさせてもよい。
【0143】
また、上記実施形態では、吸気ファン66aを制御することで、記録媒体Pを搬送ベルト62の周面に接触させる接触力を制御して、記録媒体Pと搬送ベルト62の周面との接触面積を変えたが、吸気ファン66aを制御することなく、搬送ベルト62の搬送速度を制御することで、記録媒体Pと搬送ベルト62の周面との接触面積を変えてもよい。
【符号の説明】
【0144】
10 画像形成装置
28 制御部
34 定着装置
48 受渡部材
62 搬送ベルト(ベルトの一例)
66a 吸気ファン(接触部の一例)
P 記録媒体
P1 普通紙
P2 コート紙
図1
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