(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】自立式水切りゴミ袋及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B01D 39/16 20060101AFI20230920BHJP
B65F 1/00 20060101ALI20230920BHJP
E03C 1/26 20060101ALI20230920BHJP
B01D 29/27 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
B01D39/16 Z
B65F1/00 102F
E03C1/26 Z
B01D23/04
(21)【出願番号】P 2020002100
(22)【出願日】2020-01-09
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】317002445
【氏名又は名称】秋田 安則
(74)【代理人】
【識別番号】100115598
【氏名又は名称】石橋 脩
(72)【発明者】
【氏名】秋田 安則
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3209288(JP,U)
【文献】中国実用新案第205470897(CN,U)
【文献】特開平11-152149(JP,A)
【文献】登録実用新案第3218784(JP,U)
【文献】登録実用新案第3092175(JP,U)
【文献】登録実用新案第3159425(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/16
B65F 1/00
E03C 1/26
B01D 29/27
B65D 33/00~33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶着性と腰の強さとを有し、
所定の領域に所定の穿孔が施された熱可塑性樹脂フィルムシートによって形成され、周囲に外折された折代が形成された開口と、所定幅のマチ底と、前記折代の両端
及び前記マチ底の両端それぞれと一体的に溶着された両側部と、を備え、該マチ底を拡開して舟底形の底面を形成して自立自在となり、
収容された生ごみの水切りを行なう自立式水切りゴミ袋であって、
少なくとも前記折代及び該折代が重なる前記開口周囲は無孔であり、生ごみが収容されたときには該折代と該開口周囲との隙間に手を差し込むことにより、前記生ごみを廃棄する際の取手になることを特徴とする自立式水切りゴミ袋。
【請求項2】
前記所定の領域には、2.0ミリメートル以下の大きさの孔が10ミリメートル以下の間隔で穿孔されていることを特徴とする請求項1記載の自立式水切りゴミ袋。
【請求項3】
折代が周囲に形成された開口、拡開すると自立自在な舟底形の底面になるマチ底、及び該折代の両端及び該マチ底の両端それぞれと一体的に溶着された両側部を有し、所定の領域に、所定の穿孔が施された自立式水切りゴミ袋の製造方法であって、
溶着性と腰の強さとを有する熱可塑性樹脂フィルムシートの原反から該シートを所定の速度で移動させ、該シート両側の無孔領域を除外した有孔領域に、穿孔機構を用いて所定の大きさの孔を所定の間隔で穿孔した後に、該無孔領域それぞれを折代機構を用いて同じ側に折り曲げて前記折代を両側に形成し、該折代が外側になるようにして該シートの中央を二つ折り機構で二つ折りして折目を形成し、該折目をマチ形成機構を用いて内折してマチを形成し、一端側には該マチが連続的に形成され、他端側には該折代に挟まれた前記開口が連続的に形成された二つ折シートを形成する第一工程と、
前記第一工程で形成された前記二つ折シートを所定の速度で移動させ、所定の長さ毎に溶着機構で溶着し、溶着部位の中央をカッター機構で切断
して前記自立式水切りゴミ袋を連続的に製造する第二工程と、を含むことを特徴とする自立式水切りゴミ袋の製造方法。
【請求項4】
前記穿孔機構は、周面に円錐形の熱針が形成された穿孔ローラを有し、該穿孔ローラを通過する前記シートの前記有孔領域に2.0ミリメートル以下の大きさの孔を10ミリメートル以下の間隔で穿孔することを特徴とする
請求項3記載の自立式水切りゴミ袋の製造方法。
【請求項5】
前記有孔領域は、前記シートの両端から少なくとも80乃至120mmまでの無孔領域を除外した領域であり、
前記折代機構は、折曲部材とローラーとを有し、前記無孔領域のうち、両端から40乃至60mmまでを該折曲部材で折り曲げて、該ローラーでテンショを加えて前記折代を形成し、
前記二つ折機構は、三角形の補助部材と送りローラーとを有し、前記シートの中央を前記折代それぞれが外側になるように該補助部材で折り曲げ、該送りローラーに挟んで該シートを二つ折りにすることを特徴とする
請求項3記載の自立式水切りゴミ袋の製造方法。
【請求項6】
前記マチ形成機構は、回転する円盤を有し、
前記二つ折機構で二つ折りにされた前記シートの折目に前記円盤を差し込んで内折し、マチ幅が100乃130mmの前記マチを形成することを特徴とする
請求項3記載の自立式水切りゴミ袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンのシンク等にそのまま置いて、収容した生ゴミ等の水切りを簡便に行うことができる自立式水切りゴミ袋及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、調理するときや食後に発生した野菜屑、魚のあら、残飯、ティーバックや茶殻などの生ゴミは、シンクのコーナーに設置した容器に内嵌めした水切り袋ゴミ袋に収容し、その袋が一杯になったら、袋ごと別のゴミ袋に廃棄している。
しかしながら、容器に内嵌めした水切り袋ゴミ袋は、容器から取り外すのが容易ではないうえ、容器は生ごみから流出する微細粒状物で汚れやすく、洗浄するのに手間暇がかかること、また、狭いシンクの一定スペースがその容器によって占有されてしまうという課題があった。 そこで、シンクにそのまま置ける自立式の水切りゴミ袋が提案されている。
【0003】
例えば、単糸繊度が6~50dtex、目付が25~50グラム/平方メートルのサーマルボンド不織布あるいはエアレイド不織布を、長手方向ほぼ中央部で内側に山折りに折り返して底部を形成し、上端部が内側又は外側に折り返して開口部を形成し、左右の端部をヒートシールで接合した自立可能な水切り袋(特許文献1)や、ポリエチレン繊維とポリプロピレン繊維とを等量ずつ配合してサーマルボンド法で形成された目付量30グラム未満の不織シートを、長手方向中央で2つ折りし、折り目を内方に山折してマチ底とした自立式水切りゴミ袋(特許文献2)などがある。
しかしながら、不織布を用いた水切りゴミ袋は、水に濡れると自立性が悪くなり、生ゴミを入れにくくなるという課題がある。
そこで、水濡れしてもヘタレないポリエチレンやポリプロピレンのシートを用い、さらに孔がシンクの壁面や底面に接して水切り性が悪化するのを改善するため、中空で頂部に穴が開いた錘形状突起を多数設けた水切り袋(特許文献3)や、生ゴミが溜まった後にそれを廃棄する場合に、掴むところが無く運びにくい点を改善するため、側面及び底面に複数の水切り孔を設けると共に、開口している上端部から所定長だけ離れた折返しラインで下方に折返し側面の一部を切欠いて把持を設けた自立性水切り袋(特許文献4)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3159425号公報
【文献】実用新案登録第3218784号公報
【文献】特開2014-51392号公報
【文献】特開2016-117542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献3に記載された水切り袋は、穴の開いた錐形状突起を多数設けてあり、水切り性、自立性は良いが、図示されている錐形状突起は、袋の下部側だけに設けられており、生ゴミが袋の上部にまで収容されたときの水切り性に難点があるうえ、袋の構造自体が不明確である。特許文献4に記載された自立式水切り袋は、材質が不明であり、仮にポリエチレンフィルムシートを使用する場合には、形状保持性がやや弱いうえ、設ける孔数や孔の大きさによっては自立性がなくなってしまうので、水切り性と自立性とのバランスをとることが難しい。また、把持部を設けるために、一部を切り欠く工程や斜めにシールする工程が加わるので、加工に手間が掛かる。
上記事情に鑑み、本発明は、シンク等にそのまま置いて、水切りを簡便に行うことができるうえ、水に濡れても形状が保たれるので、生ゴミの入れやすさや自立性に優れ、さらに、余分な工程を加えることなく取手が形成されるので、廃棄する際の持ち運びが容易である自立式水切りゴミ袋、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自立式水切りゴミ袋は、溶着性と腰の強さとを有し、所定の領域に所定の穿孔が施された熱可塑性樹脂フィルムシートによって形成され、周囲に外折された折代が形成された開口と、所定幅のマチ底と、上記折代の両端及び上記マチ底の両端それぞれと一体的に溶着された両側部と、を備え、該マチ底を拡開して舟底形の底面を形成して自立自在となり、収容された生ごみの水切りを行なう自立式水切りゴミ袋であって、少なくとも上記折代及び該折代が重なる上記開口周囲は無孔であり、生ごみが収容されたときには該折代と該開口周囲との隙間に手を差し込むことにより、上記生ごみを廃棄する際の取手になることを特徴とする。
このように、溶着性と腰の強さのある熱可塑性樹脂フィルムシートを用いて側部を概ね5mm幅で熱溶着された袋体を形成すると、自立性があり形状保持性 が良く、また袋体のほぼ全域に水切り用の孔が穿孔されていれば、台所のシンクに 置かれたときに、収容された一般の生ゴミの水切りを簡便に行うことができる。
そして、上記所定の領域には、2.0ミリメートル以下の大きさの孔が10ミリメートル以下の間隔で穿孔されていることが好ましい。
開口端の折代の端が側端と一体的にヒートシールされることによって幅が40乃至60mm程度の把持部が形成されているので、収容されたゴミが一杯になって廃棄するときは、その把持部に指を差し込むこと等により、容易に持ち運ぶことができ、使い勝手のよい自立式水切りゴミ袋になる。
ここで、上記袋体は、上記折代及び該折代が重なる面を除き、所定の大きさの孔が所定の間隔で穿孔され、底幅をWとしたとき、高さがW以下、上記マチ幅がW/3以上で、上記底幅が200乃至250mm、上記高さが130乃至160mm、上記マチ幅が100乃130mmであって、直径が2mm以下で相互の間隔が概ね10mm以下の上記孔が穿孔されたものであれば、台所のシンクに丁度よいサイズであり、また収容された一般生ゴミを簡便に水切りすることができる。
【0007】
本発明の自立式水切りゴミ袋の製造方法は、折代が周囲に形成された開口、拡開すると自立自在な舟底形の底面になるマチ底、及び該折代の両端及び該マチ底の両端それぞれと一体的に溶着された両側部を有し、所定の領域に、所定の穿孔が施された自立式水切りゴミ袋の製造方法であって、溶着性と腰の強さとを有する熱可塑性樹脂フィルムシートの原反から該シートを所定の速度で移動させ、該シート両側の無孔領域を除外した有孔領域に、穿孔機構を用いて所定の大きさの孔を所定の間隔で穿孔した後に、該無孔領域それぞれを折代機構を用いて同じ側に折り曲げて上記折代を両側に形成し、該折代が外側になるようにして該シートの中央を二つ折り機構で二つ折りして折目を形成し、該折目をマチ形成機構を用いて内折してマチを形成し、一端側には該マチが連続的に形成され、他端側には該折代に挟まれた上記開口が連続的に形成された二つ折シートを形成する第一工程と、上記第一工程で形成された上記二つ折シートを所定の速度で移動させ、所定の長さ毎に溶着機構で溶着し、溶着部位の中央をカッター機構で切断して上記自立式水切りゴミ袋を連続的に製造する第二工程と、上記自立式水切りゴミ袋を連続的に製造する第二工程と、を含むことを特徴とする。
その場合、上記穿孔機構は、周面に円錐形の熱針が形成された穿孔ローラを有し、該穿孔ローラを通過する上記シートの上記有孔領域に2.0ミリメートル以下の大きさの孔を10ミリメートル以下の間隔で穿孔することが好ましい。
また、上記有孔領域は、上記シートの両端から少なくとも80乃至120mmまでの無孔領域を除外した領域であり、上記折代機構は、折曲部材とローラーとを有し、上記無孔領域のうち、両端から40乃至60mmまでを該折曲部材で折り曲げて、該ローラーでテンショを加えて上記折代を形成し、上記二つ折機構は、三角形の補助部材と送りローラーとを有し、上記シートの中央を上記折代それぞれが外側になるように該補助部材で折り曲げ、該送りローラーに挟んで該シートを二つ折りにすることができる。
さらに、上記マチ形成機構は、回転する円盤を有し、上記二つ折機構で二つ折りにされた上記シートの折目に上記円盤を差し込んで内折し、マチ幅が100乃130mmの上記マチを形成することができる。
このような方法を用いれば、高密度ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂フィルムシートで、自立性があり形状保持性が良い自立式水切りゴミ袋を連続的に製造することができる。また、折代によって取手が形成されているので、生ゴミで一杯になった自立式水切りゴミ袋を廃棄する際の持ち運びが容易であり、口を折り返す煩わしさがなく、袋を広げてそのまま置いて使える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自立式水切りゴミ袋は、 シンク等において生ゴミ等を収容している際の自立性、形状保持性が高い上、両側面の略全体及び底面全体に一定の大きさの孔が多数空いているので、簡便に水切りができて、目詰まりを生じさせる恐れが少ない。
また、生ゴミ等でいっぱいになったらそのまま袋ごと廃棄すればよく、折代が取手を構成するので、廃棄する際の持ち運びも容易である。さらに、コンパクトで便利なサイズの袋を手で拡開すれば、楕円形の開口や舟底形の底面が形成されて自立するので、そのまま置けばよく、使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態の自立式水切りゴミ袋の製造方法の第1工程の一例を示す正面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の自立式水切りゴミ袋の製造方法の第1工程の一例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、第1工程の折代形成機構におけるシートの断面形状を示す図である。
【
図4】
図4は、第1工程の二つ折り機構の補助部材におけるシートの断面形状を示す図である。
【
図5】
図5は、第1工程のマチ形成機構におけるシートの断面形状を示す図である。
【
図6】
図6は、第2工程の一例を示す正面図である。
【
図7】
図7は、第2工程の一例を示す平面図である。
【
図8】
図8は、第2工程の溶着機構及びカッター機構を通過するシートを示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態で形成された袋体の一例を示す正面図である。
【
図10】
図10は、本実施形態の袋体の厚さ方向を拡大した側面図である。
【
図11】
図11は、本実施形態の袋体の側部の溶着を行う前段階の展開図である。
【
図12】
図12は、本実施形態の袋体を手で拡開して形成された自立性水切りゴミ袋の一例を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、本実施形態の袋体を手で拡開して形成された自立性水切りゴミ袋の一例を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の自立式水切りゴミ袋の製造方法及びその製造方法で製造された自立式水切りゴミ袋の実施形態について図に基づいて説明する。
図1から
図5は、本実施形態の自立式水切りゴミ袋の製造方法の一例を示す概略図であり、
図1及び
図2は、高密度ポリエチレンシートの原反を穿孔し、開口とマチ底とを連続的に形成する第1工程の一例を示す図であり、
図1は正面図、
図2は平面図である。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の第1工程は、原反2の高密度ポリエチレンシート1を所定の速度で移動させる駆動機構5と、高密度ポリエチレンシート(以下、本実施形態では単に「シート」と称する。)1に所定の大きさの多数の孔を設ける窄孔機構31と、折代形成機構6と、二つ折り機構7(駆動機構5を兼ねる)と、マチ形成機構8と、折代10とマチ12とが形成されたシート1をローラー9aに巻き取る巻取機構9とを備えている。
ここで、本実施形態では、溶着性と腰の強さとを有する熱可塑性樹脂として、軟化温度が120℃、融点が150℃と比較的高温に耐え、引っ張り強さ、腰の強さがあり、薄手でも強度が得られるほか、防湿性やバリヤ性を有する高密度ポリエチレンを使用しているが、必ずしも高密度ポリエチレンに限定する必要はなく、ポリプロピレンなどであってもよい。
窄孔機構31は、回転する穿孔ローラー32の周面に円錐形の熱針32aが多数形成され、それらの熱針32aは電気的に所定の温度に加熱することができる。従って、シート1がその穿孔ローラー32を所定速度で通過すると、熱針32aの熱でシート1に多数の孔33が空き、穿孔ローラー32に形成された熱針32aの範囲を変えることにより、シート1に孔が空く領域
(有孔領域と称する。)を特定することができる。
本実施形態では、次の折代形成機構6で折代10が形成されるシート1の両側縁及びそれら両側縁が重なる領域には孔33が空かない領域
(無孔領域と称する。)にしているが、シート1の全面に孔33を空けることにしてもよい。
ここで、シート1を作成する、例えばインフレーション成形工程でシート1の全表面にエンボス加工による凹凸模様を施し、形成された袋体の開口性を向上させること もできる。
折代形成機構6は、所定の速度で移動するシート1の両側縁それぞれを折曲部材6aで折り曲げ、ローラーによって加えられるテンションで、両側縁それぞれがシート1面に重ね合わされて折代10が両側に形成される。
二つ折機構7は、三角形の補助部材7aと送りローラー7bとで構成され、補助部材7 aで折代10が外側になるようにしてシート1の中央を徐々に折り曲げて重ね合わせる。そして、重ね合わせた折代10相互と二つに折り曲げた折り目11を送りローラー7bに挟んで、シート1を完全に二つ折りにする。そのときのシート1の面は、折代機構6を通過する際のシート1の面を90度回転した状態になる。
マチ形成機構8は、二つ折りされたシート1の折目11に、回転する円盤8aを差し込み、折り目11を内折りして図に現れないマチ12を形成する。
巻取機構9は、穿孔加工されて折代10とマチ12とが形成されると共に、二つ折りされたシート1をローラー9aに巻き取る。そして、巻き取ったローラー9aは、第2工程に送られる。
【0011】
図3から
図5は、第1工程の各機構におけるシートの断面形状を示す図であり、
図3は折代形成機構における断面形状、
図4は、二つ折り機構の補助部材における断面形状、
図5は、マチ形成機構における断面形状を示す。
図3に示すシート1は、両側縁を折曲部材6aで同じ側に折り曲げられ、折り曲げられた側縁それぞれをローラーによって加えられるテンションでシート1の面に重ね合わされて、両側に折代10が形成される。
図4に示すシート1は、中央を三角形の補助部材7aで、折代10が折られたのと反対側に徐々に折り曲げて折代10相互を接近させる。その後は、折り曲げた折り目11と重ね合わせた折代10相互を送りローラー7bに挟んで通過させ、シート1を二つ折りにする。
図5に示すシート1は、二つ折りした折り目11に回転する円盤8aを差し込み、折り目11を内折りしてマチ12を形成する。
【0012】
図6から
図8は、本実施形態の自立式水切りゴミ袋の製造方法の一例を示す概略図であり、
図6及び
図7は、第2工程の一例を示す図であり、
図6は、正面図、
図7は平面図である。
図6及び
図7に一例を示す第2工程は、シート1を移動させる駆動機構5と、溶着機構13及びカッター機構14を備えている。そして、溶着機構13とカッター機構14とは、隣接して配置されている。
シート1は、駆動機構5(送りローラー)に駆動されて移動し、溶着機構13は、移動方向と直交方向に熱溶着バーでシート1を所定の間隔ごとに熱溶着する。そのとき、カッター機構14は、前後の袋体の側部となる溶着部位1a(図に現われていない)の中央を刃で切断し、袋体15の側部19が形成される。そして、この動作が繰り返される。
その結果、外折した折代10が周囲に形成された開口と、所定のマチ幅のマチ底と、折代の端が一体的に熱溶着された太幅の側部とを有する袋体15が形成され、袋体15は、駆動機構5に押し出されて包装台16に送られる。
本実施形態では、溶着機構13とカッター機構14とを隣接配置して側部19を形成しているが、溶着と切断とを同時に行う溶断機構を用いて線状の溶断シールからなる側部19を形成することにしてもよい。
【0013】
図8は、第2工程の溶着機構及びカッター機構を通過するシートを示す図である。
図8に示すシート1は、駆動機構5によって矢印方向に移動している。そして、溶着機構13で所定の幅だけ溶着されると、その溶着部位1aは、隣接した位置に配置されているカッター機構14で切断される。そして、カッター機構14で切断されたシート1は、両側が切断されて、幅がWの袋体15となり、その袋体15は、駆動機構5に押し出されて、包装台16に送られる。
本実施形態の第1工程では、折代10とマチ12とが形成された後に、一旦ローラー9aに巻き取ることで、第2工程と分離しているが、ローラー9aに巻き取るのを省き、第1工程と第2工程とを連続して行うこともできる。
【0014】
図9から
図11は、本実施形態で形成された袋体の一例を示す図であり、
図9は正面図、
図10は、厚さ方向を拡大した側面図、
図11は、袋体の側部の溶着を行う前段階の展開図である。
図9に一例を示すように、本実施形態の袋体15は、底幅Wが235mm、マチ底17のマチ幅Dが120mm、高さHが135mmに設定され、開口18の周囲に外折りされた折代10は幅Lが45mmに設定されている。そして、両側部19は、
例えば5mm幅で熱溶着され、折代10の両端は、両方の側部19それぞれと一体的に熱溶着されている。
そして、折代10や、折代10が重なっている開口18周囲の袋面22を除外した、マチ底17を含む袋体15には、水切り用の直径概ね1.5mm程度の孔33が多数設けてある。
ここで、孔33の直径は、必ずしも1.5mmである必要はなく、2.0mm以下であればよい。また孔33の形状や相互の間隔などは、限定されないが、相互の間隔を概ね10mm以下にすることが好ましい。
また本実施形態の袋体15は、折代10や、折代10が重なっている開口18周囲の袋面22には孔を設けないことにしているが、袋体15の全体に孔33を設けてもよい。
【0015】
図10に誇張して示すように、袋体15の側面は熱溶着された太幅の側部19であり、上部側は、下から指を差し込み取手となる折代10が形成されているので、4枚のシート1が重ね合わされ、少しふくらみを持っている。そして、下部側は、内部にマチ底17が設けてあるので、4枚のシート1が重ね合わされ、少しふくらみを持っている。
従って、マチ底17を拡開したとき、周囲に折代10が形成された開口付近は、太幅の側部19と相まって、他の袋面22よりも強度があり、形状の保持性が高まる。
ここでは、溶着と切断とを別個に行い、太幅の側部19を形成させているが、溶着と切断を同時に行い、線状の溶断シールからなる側部19を形成させてもよい。
【0016】
図11に示すように、袋体の側部を溶着する前段階のシート1は矩形をなし、上下両端に幅Lが45mmの外折りする折代10があり、それら折代10を含む長さが480mmに設定されている。そして、長さ方向の中央Cで、折代10とは反対方向に谷折りし、そこから60mm離れた位置それぞれを山折りすることにより形成されている。
ここでは、袋体15の幅Wを235mm、高さHを135mm、マチ底17のマチ幅Dを120mmに設定しているが、必ずしもこれらの数値に限定する必要はなく、袋体15の底幅をWとしたとき、袋体15の高さがW以下、マチ底17のマチ幅がW/3以上であり、折代10の幅Lが40乃至60mmであればよく、袋体15の幅Wを200乃至250ミリメートルに、袋体15の高さHを130乃至160mmに、マチ底17のマチ幅Dを100乃至130mmに設定することもできる。
【0017】
図12及び
図13は、本実施形態の袋体を手で拡開して形成された自立性水切りゴミ袋の一例を示す図であり、
図12は斜視図、
図13は、底面図である。
図12及び
図13に示すように、本実施形態の自立式水切りゴミ袋20は、マチ底17となるマチ12の両側が側部19と一体的に熱溶着され、側部19に固定されているので、マチ底17を展開して形成された底部23は、先端 及び後端が高く、中央が低い舟底形となり、袋面22は、底部23の形状に合わせて丸みを帯びる一方、開口18は、底部23と略同形の楕円形をなしている。
シート1を構成する高密度ポリエチレンは、吸水性が極めて小さい熱可塑性樹脂であり、シートが硬くて腰があり、耐熱性、耐寒性に優れている。従って、自立性、形状保持性を必須要件とする自立式水切りゴミ袋20には好適である。
さらに、熱溶着された側部19
が5mm程度の幅を有する
ものは、その側部19と一体的に熱溶着された折代10は、幅が45mm程度あるので、シート1を構成する材料の性質と相まって、自立性、形状保持性が
一層高まり、収容した生ごみ
によって、形状が大きく変化したり腰折れしたりすることがない。
また、開口18周囲の折代10は外折りされ、両端が側部19と一体的に熱溶着されているので、中央寄りに指を差し込むと、生ゴミが収容された自立式水切りゴミ袋20を持ち運ぶことが容易な取手となるので便利である。
そして、その取手を折り返せば、袋体15の開口18を覆うこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
キッチンのシンクにそのまま置いて、生ゴミを収容し、簡便に水切りすることができる。また、袋体はコンパクトなので、携行して身近かな場所や自動車内などのゴミ袋として、また濡れた小物を一時的に収容して水切りする収納袋などとして活用することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 高密度ポリエチレンシート
1a 溶着部位
2 原反
5 駆動機構
6 折代機構
6a 折曲部材
7 二つ折機構
7a 補助部材
7b 送りローラー
8 マチ形成機構
8a 円盤
9 巻取機構
9a ローラー
10 折代
11 折目
12 マチ
13 溶着機構
14 カッター機構
15 袋体
16 包装台
17 マチ底
18 開口
19 側部
20 自立式水切りゴミ袋
21 底面
22 袋面
23 底部
31 穿孔機構
32 穿孔ローラー
32a 針
33 孔
D マチ幅
H 袋体の高さ
L 折代の幅
W 袋体の底幅