(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】アウトリガ用敷板設置装置及びこれを備えたアウトリガ
(51)【国際特許分類】
B66C 23/78 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
B66C23/78 G
(21)【出願番号】P 2019162791
(22)【出願日】2019-09-06
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】506002823
【氏名又は名称】古河ユニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】田中 邦典
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-157461(JP,U)
【文献】特開平09-255296(JP,A)
【文献】実開昭48-112016(JP,U)
【文献】特開2000-335885(JP,A)
【文献】実開昭51-019412(JP,U)
【文献】特開2018-177432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/00-23/04
E02F 9/00-9/18;
9/24-9/28
B60S 3/00-13/02
B66F 9/00-11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空のアウタボックスと、該アウタボックスの内部に摺嵌されたインナボックスと、該インナボックスの下面に設けられた接地板と、一端を前記インナボックスに他端を前記アウタボックスに連結したアクチュエータとを有し、前記アクチュエータによって伸縮動作する縦アウトリガボックスを備えたアウトリガに適用可能なアウトリガ用敷板設置装置であって、
前記接地板よりも広い接地面積を有する敷板と、
前記縦アウトリガボックスの最縮小時に前記敷板の姿勢を、前記敷板の板面が前記アウタボックスの側面と平行となる敷板格納姿勢に維持する姿勢維持部と、
前記インナボックスの伸長動作に連動して、前記敷板の姿勢が前記敷板格納姿勢から前記接地板と地面との間に前記敷板が敷設された敷板設置姿勢へと変化するように、前記敷板を変位させる敷板設置機構部と、
前記縦アウトリガボックスの縮小動作に連動して、前記敷板の姿勢を前記敷板設置姿勢から前記敷板格納姿勢へと変化させる敷板格納機構部と、を備え、
前記アウトリガを有する作業機に搭載され、前記アウトリガは、敷板格納姿勢時の位置から前記作業機の側方に張り出し可能な横アウトリガボックスと、該横アウトリガボックスの先端部に設けられた前記縦アウトリガボックスとを備え、
前記敷板格納姿勢における前記敷板の板面は、前記縦アウトリガボックスの前記作業機の内側を向く面と平行な姿勢であり、
前記敷板の姿勢が前記敷板格納姿勢で且つ前記アウトリガが格納状態のときに、前記敷板は、前記縦アウトリガボックスと前記作業機との間の隙間内に配置され、
前記敷板の板面に、回転支軸を軸心としてねじりバネが設けられた前記回転支軸を介して回動可能に軸支されたアームを備え、
前記ねじりバネは、螺旋状のコイル部と該コイル部の両端部から接線方向に延びる2本の腕部とを有し、一方の前記腕部が前記敷板の板面を前記アームが回動する回動方向の一方に付勢すると共に他方の前記腕部が前記アームを前記回動方向の他方に付勢するように設けられており、
前記姿勢維持部は、前記縦アウトリガボックスに設けられ、前記縦アウトリガボックスが最縮小時に前記アームを前記アウタボックスに固定するアーム固定部材を有し、
前記敷板設置機構部は、前記縦アウトリガボックスに設けられ、前記縦アウトリガボックスの伸長動作時に、前記アームに作用して前記敷板の変位の軌道が前記敷板格納姿勢から前記敷板設置姿勢へと変化する軌道をとるように案内する設置案内部材を有し、
前記敷板格納機構部は、前記接地板上に設けられ、前記縦アウトリガボックスの縮小動作によって発生する上方向の力を前記アームに伝達する伝達部材と、前記縦アウトリガボックスに設けられ、前記縦アウトリガボックスの縮小動作時に、前記アームに作用して前記敷板の変位の軌道が前記敷板設置姿勢から前記敷板格納姿勢へと変化する軌道をとるように案内する格納案内部材とを有するアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項2】
中空のアウタボックスと、該アウタボックスの内部に摺嵌されたインナボックスと、該インナボックスの下面に設けられた接地板と、一端を前記インナボックスに他端を前記アウタボックスに連結したアクチュエータとを有し、前記アクチュエータによって伸縮動作する縦アウトリガボックスを備えたアウトリガに適用可能なアウトリガ用敷板設置装置であって、
前記接地板よりも広い接地面積を有する敷板と、
前記縦アウトリガボックスの最縮小時に前記敷板の姿勢を、前記敷板の板面が前記アウタボックスの側面と平行となる敷板格納姿勢に維持する姿勢維持部と、
前記インナボックスの伸長動作に連動して、前記敷板の姿勢が前記敷板格納姿勢から前記接地板と地面との間に前記敷板が敷設された敷板設置姿勢へと変化するように、前記敷板を変位させる敷板設置機構部と、
前記縦アウトリガボックスの縮小動作に連動して、前記敷板の姿勢を前記敷板設置姿勢から前記敷板格納姿勢へと変化させる敷板格納機構部と、を備え、
前記アウトリガを有する作業機に搭載され、前記アウトリガは、敷板格納姿勢時の位置から前記作業機の両側方に張り出し可能な左右の横アウトリガボックスと、該横アウトリガボックスの先端部にそれぞれ設けられた左右の前記縦アウトリガボックスとを備え、
前記敷板は、前記左右の縦アウトリガボックスにそれぞれ設けられ、
前記敷板格納姿勢における前記敷板の板面は、前記縦アウトリガボックスの前記作業機の側面側に当たる外板面と平行な姿勢であり、該敷板格納姿勢のときの前記左右の縦アウトリガボックスにそれぞれ設けられた敷板の一方から他方までの幅は、前記作業機の横幅以内に納まるよう配置され、
前記敷板の板面に、回転支軸を軸心としてねじりバネが設けられた前記回転支軸を介して回動可能に軸支されたアームを備え、
前記ねじりバネは、螺旋状のコイル部と該コイル部の両端部から接線方向に延びる2本の腕部とを有し、一方の前記腕部が前記敷板の板面を前記アームが回動する回動方向の一方に付勢すると共に他方の前記腕部が前記アームを前記回動方向の他方に付勢するように設けられており、
前記姿勢維持部は、前記縦アウトリガボックスに設けられ、前記縦アウトリガボックスが最縮小時に前記アームを前記アウタボックスに固定するアーム固定部材を有し、
前記敷板設置機構部は、前記縦アウトリガボックスに設けられ、前記縦アウトリガボックスの伸長動作時に、前記アームに作用して前記敷板の変位の軌道が前記敷板格納姿勢から前記敷板設置姿勢へと変化する軌道をとるように案内する設置案内部材を有し、
前記敷板格納機構部は、前記接地板上に設けられ、前記縦アウトリガボックスの縮小動作によって発生する上方向の力を前記アームに伝達する伝達部材と、前記縦アウトリガボックスに設けられ、前記縦アウトリガボックスの縮小動作時に、前記アームに作用して前記敷板の変位の軌道が前記敷板設置姿勢から前記敷板格納姿勢へと変化する軌道をとるように案内する格納案内部材とを有するアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項3】
中空のアウタボックスと、該アウタボックスの内部に摺嵌されたインナボックスと、該インナボックスの下面に設けられた接地板と、一端を前記インナボックスに他端を前記アウタボックスに連結したアクチュエータとを有し、前記アクチュエータによって伸縮動作する縦アウトリガボックスを備えたアウトリガに適用可能なアウトリガ用敷板設置装置であって、
前記接地板よりも広い接地面積を有する敷板と、
前記縦アウトリガボックスの最縮小時に前記敷板の姿勢を、前記敷板の板面が前記アウタボックスの側面と平行となる敷板格納姿勢に維持する姿勢維持部と、
前記インナボックスの伸長動作に連動して、前記敷板の姿勢が前記敷板格納姿勢から前記接地板と地面との間に前記敷板が敷設された敷板設置姿勢へと変化するように、前記敷板を変位させる敷板設置機構部と、を備え、
前記縦アウトリガボックスの縮小動作に連動して、前記敷板の姿勢を前記敷板設置姿勢から前記敷板格納姿勢へと変化させる敷板格納機構部と、を備え、
前記アウトリガを有する作業機に搭載され、前記アウトリガは、敷板格納姿勢時の位置から前記作業機の側方に張り出し可能な横アウトリガボックスと、該横アウトリガボックスの先端部に設けられた前記縦アウトリガボックスとを備え、
前記敷板格納姿勢における前記敷板の板面は、前記縦アウトリガボックスの前記作業機の内側を向く面と平行な姿勢であり、
前記敷板の姿勢が前記敷板格納姿勢で且つ前記アウトリガが格納状態のときに、前記敷板は、前記縦アウトリガボックスと前記作業機との間の隙間内に配置され、
前記敷板の板面に、回転支軸を軸心としてねじりバネが設けられた前記回転支軸を介して回動可能に軸支されたアームを備え、
前記ねじりバネは、螺旋状のコイル部と該コイル部の両端部から接線方向に延びる2本の腕部とを有し、一方の前記腕部が前記敷板の板面を前記アームが回動する回動方向の一方に付勢すると共に他方の前記腕部が前記アームを前記回動方向の他方に付勢するように設けられており、
前記姿勢維持部は、前記縦アウトリガボックスに設けられ、前記縦アウトリガボックスが最縮小時に前記アームを前記アウタボックスに固定するアーム固定部材を有し、
前記敷板設置機構部は、前記縦アウトリガボックスに設けられ、前記縦アウトリガボックスの伸長動作時に、前記アームに作用して前記敷板の変位の軌道が前記敷板格納姿勢から前記敷板設置姿勢へと変化する軌道をとるように案内する設置案内部材を有し、
前記敷板格納機構部は、前記接地板上に設けられ、前記縦アウトリガボックスの縮小動作によって発生する上方向の力を前記アームに伝達する伝達部材と、前記縦アウトリガボックスに設けられ、前記縦アウトリガボックスの縮小動作時に、前記アームに作用して前記敷板の変位の軌道が前記敷板設置姿勢から前記敷板格納姿勢へと変化する軌道をとるように案内する格納案内部材とを有するアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項4】
中空のアウタボックスと、該アウタボックスの内部に摺嵌されたインナボックスと、該インナボックスの下面に設けられた接地板と、一端を前記インナボックスに他端を前記アウタボックスに連結したアクチュエータとを有し、前記アクチュエータによって伸縮動作する縦アウトリガボックスを備えたアウトリガに適用可能なアウトリガ用敷板設置装置であって、
前記接地板よりも広い接地面積を有する敷板と、
前記縦アウトリガボックスの最縮小時に前記敷板の姿勢を、前記敷板の板面が前記アウタボックスの側面と平行となる敷板格納姿勢に維持する姿勢維持部と、
前記インナボックスの伸長動作に連動して、前記敷板の姿勢が前記敷板格納姿勢から前記接地板と地面との間に前記敷板が敷設された敷板設置姿勢へと変化するように、前記敷板を変位させる敷板設置機構部と、
前記縦アウトリガボックスの縮小動作に連動して、前記敷板の姿勢を前記敷板設置姿勢から前記敷板格納姿勢へと変化させる敷板格納機構部と、を備え、
前記アウトリガを有する作業機に搭載され、前記アウトリガは、敷板格納姿勢時の位置から前記作業機の側方に張り出し可能な横アウトリガボックスと、該横アウトリガボックスの先端部に設けられた前記縦アウトリガボックスとを備え、
前記敷板格納姿勢における前記敷板の板面は、前記縦アウトリガボックスの前記作業機の内側を向く面と平行な姿勢であり、
前記敷板の姿勢が前記敷板格納姿勢で且つ前記アウトリガが格納状態のときに、前記敷板は、前記縦アウトリガボックスと前記作業機との間の隙間内に配置され、
前記アウトリガを有する作業機に搭載され、前記アウトリガは、敷板格納姿勢時の位置から前記作業機の両側方に張り出し可能な左右の横アウトリガボックスと、該横アウトリガボックスの先端部にそれぞれ設けられた左右の前記縦アウトリガボックスとを備え、
前記敷板は、前記左右の縦アウトリガボックスにそれぞれ設けられ、
前記敷板格納姿勢における前記敷板の板面は、前記縦アウトリガボックスの前記作業機の側面側に当たる外板面と平行な姿勢であり、該敷板格納姿勢のときの前記左右の縦アウトリガボックスにそれぞれ設けられた敷板の一方から他方までの幅は、前記作業機の横幅以内に納まるよう配置され、 一端部が前記敷板の板面に回転自在に軸支されたアームを備え、
前記姿勢維持部は、前記縦アウトリガボックスに設けられ、前記縦アウトリガボックスが最縮小時に前記アームを前記アウタボックスに固定するアーム固定部材を有し、
前記敷板設置機構部は、前記縦アウトリガボックスに設けられ、前記縦アウトリガボックスの伸長動作時に、前記アームに作用して前記敷板の変位の軌道が前記敷板格納姿勢から前記敷板設置姿勢へと変化する軌道をとるように案内する設置案内部材を有し、
前記敷板格納機構部は、前記接地板上に設けられ、前記縦アウトリガボックスの縮小動作によって発生する上方向の力を前記アームに伝達する伝達部材と、前記縦アウトリガボックスに設けられ、前記縦アウトリガボックスの縮小動作時に、前記アームに作用して前記敷板の変位の軌道が前記敷板設置姿勢から前記敷板格納姿勢へと変化する軌道をとるように案内する格納案内部材とを有するアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項5】
前記アーム固定部材、前記設置案内部材及び前記格納案内部材は、前記アウタボックスの前記作業機の前後方向を向く一対の面のそれぞれの下端部に前記作業機の前後方向に突出して設けられた一対の回転支軸と、前記敷板の姿勢が前記敷板格納姿勢のときに前記接地板上の前記アウタボックスの前記一対の面と対向する位置にそれぞれ立設された一対の板部を有するブラケット及び該ブラケットの前記一対の板部の内側面にそれぞれ内側に突出して設けられた円柱状の一対のカムとを共有して含み、
前記アームは、前記敷板の姿勢が前記敷板格納姿勢のときに前記アウタボックスの前記一対の面を間に挟んで対向する一対のアームプレートを有し、該一対のアームプレートの一端部が前記敷板に前記ねじりバネ付きの回転支軸を介して回動可能に軸支され且つ他端部が前記一対の回転支軸の外径よりも大きい内径の懐部を有するフック形状に構成されていると共に、前記敷板の姿勢が前記敷板格納姿勢のときに前記一対のアームプレートの前記懐部の内周面に前記一対の回転支軸の外周面が当接するように構成され、
前記姿勢維持部は、前記敷板の姿勢が前記敷板格納姿勢のときに、前記一対の回転支軸が前記一対のアームプレートの前記懐部の内周面と当接することに加えて前記一対のカムが前記一対のアームプレートの前記懐部の背面側の側面と当接して前記一対のアームプレートをそれぞれ狭持することで前記アームを前記アウタボックスに固定し、前記インナボックスが伸長して前記カムが前記接地板と共に下方向に移動することで前記固定の状態を解除するように構成され、
前記敷板設置機構部は、前記インナボックスの伸長動作に連動して、前記アームを前記一対の回転支軸回りに回動させると共に、前記一対のアームプレートの前記懐部の背面側の側面に前記一対のカムを摺接させることで前記アームを下側から支持しながら前記敷板の変位の軌道を前記敷板の姿勢が前記敷板格納姿勢から前記敷板設置姿勢へと変化する軌道をとるように案内し、
前記敷板格納機構部は、前記インナボックスの縮小動作に連動して、前記伝達部材が前記アームに当接して前記アームに前記インナボックスの縮小動作を伝達すると共に、前記一対のアームプレートの前記懐部の背面側の側面に前記一対のカムを敷板設置時とは逆方向に摺接させ、更に、前記アームを前記一対の回転支軸回りに敷板設置時とは逆方向に回動させることで前記アームを下側から支持しながら前記敷板の変位の軌道を前記敷板の姿勢が前記敷板設置姿勢から前記敷板格納姿勢へと変化する軌道をとるように案内する請求項1又は2に記載のアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項6】
前記アーム固定部材、前記設置案内部材及び前記格納案内部材は、前記アウタボックスの前記作業機の前後方向を向く一対の面のそれぞれの下端部に前記作業機の前後方向に突
出して設けられた一対の回転支軸と、前記敷板の姿勢が前記敷板格納姿勢のときに前記接地板上の前記アウタボックスの前記一対の面と対向する位置にそれぞれ立設された一対の板部を有するブラケット及び該ブラケットの前記一対の板部の内側面にそれぞれ内側に突出して設けられた円柱状の一対のカムとを共有して含み、
前記アームは、前記敷板の姿勢が前記敷板格納姿勢のときに前記アウタボックスの前記一対の面を間に挟んで対向する一対のアームプレートを有し、該一対のアームプレートの一端部が前記敷板に回転自在に軸支され且つ他端部が前記一対の回転支軸の外径よりも大きい内径の懐部を有するフック形状に構成されていると共に、前記敷板の姿勢が前記敷板格納姿勢のときに前記一対のアームプレートの前記懐部の内周面に前記一対の回転支軸の外周面が当接するように構成され、
前記姿勢維持部は、前記敷板の姿勢が前記敷板格納姿勢のときに、前記一対の回転支軸が前記一対のアームプレートの前記懐部の内周面と当接することに加えて前記一対のカムが前記一対のアームプレートの前記懐部の背面側の側面と当接して前記一対のアームプレートをそれぞれ狭持することで前記アームを前記アウタボックスに固定し、前記インナボックスが伸長して前記カムが前記接地板と共に下方向に移動することで前記固定の状態を解除するように構成され、
前記敷板設置機構部は、前記インナボックスの伸長動作に連動して、前記アームを前記一対の回転支軸回りに回動させると共に、前記一対のアームプレートの前記懐部の背面側の側面に前記一対のカムを摺接させることで前記アームを下側から支持しながら前記敷板の変位の軌道を前記敷板の姿勢が前記敷板格納姿勢から前記敷板設置姿勢へと変化する軌道をとるように案内し、
前記敷板格納機構部は、前記インナボックスの縮小動作に連動して、前記伝達部材が前記アームに当接して前記アームに前記インナボックスの縮小動作を伝達すると共に、前記一対のアームプレートの前記懐部の背面側の側面に前記一対のカムを敷板設置時とは逆方向に摺接させ、更に、前記アームを前記一対の回転支軸回りに敷板設置時とは逆方向に回動させることで前記アームを下側から支持しながら前記敷板の変位の軌道を前記敷板の姿勢が前記敷板設置姿勢から前記敷板格納姿勢へと変化する軌道をとるように案内する請求項3又は4に記載のアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項7】
前記敷板格納機構部は、前記アウタボックスの前記一対の面の下端部に設けられ、前記敷板の姿勢が前記敷板設置姿勢から前記敷板格納姿勢へと変化する途中で、前記アームプレートの他端側の内側面と摺接して、前記一対のアームプレートの互いの対向方向の位置ずれを修正する一対の位置修正部材を備える請求項5又は6に記載のアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項8】
前記カムは、該カムを形成する円柱の中心軸から偏心した位置に支軸が設けられており、前記インナボックスが最縮小時における、前記姿勢維持部の前記回転支軸と前記カムとの間の距離を可変可能に調整できる請求項5~7のいずれか1項に記載のアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項9】
前記伝達部材は、前記インナボックスの伸長途中で且つ前記敷板が接地する前に、前記接地板の下側に位置する敷板設置準備姿勢の状態で支持するように構成され、
前記敷板の姿勢が前記敷板設置準備姿勢のときに、前記一対のアームプレートの前記懐部の開口側は、前記インナボックスの伸長動作に連動して、前記回転支軸から分離するように構成されており、
前記敷板設置機構部は、前記インナボックスの伸長動作に連動して、前記敷板の変位の軌道を前記敷板の姿勢が前記敷板格納姿勢から前記敷板設置準備姿勢へと変位する軌道をとるように案内し、引き続き、前記インナボックスの伸長動作に連動して、前記敷板を前記敷板設置準備姿勢を維持しながら下降させ、前記敷板の少なくとも一部が接地後は、前記敷板設置準備姿勢の敷板を前記接地板が上方から踏み付けることで、前記敷板の姿勢を
前記敷板設置準備姿勢から前記敷板設置姿勢に変化させるように構成されている請求項5~8のいずれか1項に記載のアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項10】
前記一対のアームプレートの中央には、前記敷板の姿勢が前記敷板設置準備姿勢のとき、前記接地板上に設けた緩衝部材に載置する突起部を有しており、
前記緩衝部材は、前記敷板の姿勢が前記敷板格納姿勢から前記敷板設置準備姿勢に変化する際の前記敷板及び前記一対のアームプレートによる載置衝撃を吸収する、請求項9に記載のアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項11】
前記一対のアームプレートは、前記敷板の姿勢が前記敷板設置準備姿勢のときに前記突起部よりも一端部側が前記敷板の板面に向かって直交する方向に折れ曲がった折曲部と、該折曲部と前記突起部との間に形成された溝状の切り込み部とを有し、
前記ブラケットの前記一対の板部には、前記敷板の姿勢が前記敷板設置準備姿勢のときに前記切り込み部の内周面と当接する丸棒状の支持部材が架設されており、
前記突起部及び前記支持部材は、前記敷板の姿勢が前記敷板格納姿勢から前記敷板設置準備姿勢に変化するときに、前記支持部材が前記切り込み部の内周面に当接するよりも先に、前記突起部の平坦部が前記緩衝部材と当接するように構成されている請求項10に記載のアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項12】
前記ブラケットの前記一対の板部は、前記敷板の姿勢が前記敷板設置準備姿勢及び前記敷板設置姿勢のときに、前記一対のアームプレートの一部を内側に挟み込むようにして前記一対のアームプレートの一部と重なる部分を有する形状に構成されている請求項9~11のいずれか1項に記載のアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項13】
前記敷板は、前記縦アウトリガボックスから離脱可能に構成されている請求項1~12のいずれか1項に記載のアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項14】
前記敷板の姿勢が前記敷板格納姿勢のときに前記敷板を前記アウタボックスに固定可能なロック機構を備え、
前記ロック機構によって前記敷板を固定時に、前記インナボックスが伸長動作をしても、前記敷板が前記敷板格納姿勢を維持するように構成されている請求項1~13のいずれか1項に記載のアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項15】
前記敷板の姿勢が前記敷板格納姿勢のときに前記アウタボックスの前記敷板と対向する面に前記敷板と当接するように設けられた緩衝部材を備える請求項1~14のいずれか1項に記載のアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項16】
上下方向に延在して設けられた中空のアウタボックスと、該アウタボックスの内部に摺嵌されたインナボックスと、該インナボックスの下面に設けられた接地板と、一端を前記インナボックスに他端を前記アウタボックスに連結したアクチュエータとを有し、前記アクチュエータによって伸縮動作する縦アウトリガボックスと、
請求項1~15のいずれか1項に記載のアウトリガ用敷板設置装置と、を備えるアウトリガ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン等の作業機の備えるアウトリガ用敷板設置装置及びこのアウトリガ用敷板設置装置を備えたアウトリガに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばクレーンや高所作業車等の作業機においては、作業中に作業機が転倒しないようにアウトリガが備えられている。例えば、車両搭載型のクレーンは、荷吊作業を行う際に、アウトリガを車体の側方に最大限に張り出した後、地面に設置させることで、クレーンの有する吊り上げ能力を最大に発揮できるようになっている。このアウトリガは、例えば車体から水平梁(以下、横アウトリガボックスと呼ぶ)を車体側方に伸長させ、その後、横アウトリガボックスの先端に直立に固設された縦アウトリガボックス(アクチュエータにより上下方向にインナボックスを作動可能)を下方に伸長させ、最下面に設けてある接地板(フロートともいう)を地面に圧接させることで設置される。
【0003】
アウトリガを設置する場合、その地面は、水平堅土でなければならない。しかし、例えば、平坦ではない地面、軟弱な地盤の地面、滑りやすい地面など、作業現場の地面の状態が悪い場合もある。このような状態の悪い地面上では、アウトリガを安定して設置できないため、車体が転倒する恐れがあり、荷吊作業を行うことができない場合がある。特にクレーンでは、車体及び吊荷の質量によって接地板が地面にめり込みやすくなり、アウトリガの沈下現象が生じやすくなる。
【0004】
ところで、例えば移動式クレーン等の移動式の作業機の場合、接地板は、車両走行時に車幅等の制限を満足するために、小型且つ小径に構成されている。そのため、接地面積が小さくなり、地面の状態が悪い場合では、車両を安定して支持することができず、車両の転倒等、安全性を確保することが難しいという問題がある。このような問題を解消するため、一般に、接地板と地面との間に、接地板よりも接地面積が広くなるように「敷板」を敷設している。即ち、敷板によって、接地面積を広げて荷重を分散させることで、接地板が地面にめり込むといったことを防止している。しかし、敷板は重量が大きく且つ人手によって設置する必要があるため、作業者にとって煩わしい作業となっていた。
【0005】
これに対して、例えば特許文献1には、回転軸を介して上下に重ね合わされた2枚の板状半体を有するアウトリガフロートの発明が開示されている。このアウトリガフロートは、車両走行時には、2枚の板状半体が上下に重ね合わされた状態にされて、車両の幅方向へのはみ出し量を抑えている。一方、アウトリガの設置時には、作業者の手により下方の板状半体を回転軸回りに回転させて上方の板状半体と重なっている部分を外側に露出させた状態にする。即ち、2枚の板状半体で1枚の板状体を形成し、広い接地面積を確保している。これにより、敷板の敷設自体を不要とすることが可能となり、重たい敷板を手で持って接地板の下に敷設するといった煩わしい作業を不要にすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1のアウトリガフロートは、アウトリガの設置前に手動で下方の板状半体を回転させて1枚の板状体を形成するといった手間が発生する。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、縦アウトリガボックスの伸長動作に連動させて敷板を自動で接地板の下に敷設することが可能なアウトリガ用敷板設置装置及びこれを備えたアウトリガを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に係るアウトリガ用敷板設置装置は、中空のアウタボックスと、該アウタボックスの内部に摺嵌されたインナボックスと、該インナボックスの下面に設けられた接地板と、一端を前記インナボックスに他端を前記アウタボックスに連結したアクチュエータとを有し、前記アクチュエータによって伸縮動作する縦アウトリガボックスを備えたアウトリガに適用可能なアウトリガ用敷板設置装置であって、前記接地板よりも広い接地面積を有する敷板と、前記縦アウトリガボックスの最縮小時に前記敷板の姿勢を前記敷板の板面が前記アウタボックスの側面と平行となる敷板格納姿勢に維持する姿勢維持部と、前記インナボックスの伸長動作に連動して前記敷板の姿勢が前記敷板格納姿勢から前記接地板と地面との間に前記敷板が敷設された敷板設置姿勢へと変化するように、前記敷板を変位させる設置機構部と、を備える。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に係るアウトリガは、中空のアウタボックスと、該アウタボックスの内部に摺嵌されたインナボックスと、該インナボックスの下面に設けられた接地板と、一端を前記インナボックスに他端を前記アウタボックスに連結したアクチュエータとを有し、前記アクチュエータによって伸縮動作する縦アウトリガボックスと、上記アウトリガ用敷板設置装置とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るアウトリガ用敷板設置装置によれば、縦アウトリガボックスのインナボックスの伸長動作に連動して敷板の姿勢が敷板格納姿勢から敷板設置姿勢へと変化するように、敷板を変位させることが可能である。これにより、インナボックスの伸長動作に連動させて、敷板を接地板の下に自動で敷設することが可能となり、従来と比較して、敷板設置のための手作業を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るアウトリガ用敷板設置装置を備えた車両搭載型クレーンの側面図である。
【
図2】車両から取り外した状態のクレーンの正面図であり、クレーンの備えるアウトリガ及びアウトリガ用敷板設置装置の構成を説明するための図である。
【
図3】アウトリガ用敷板設置装置を車両前方側から見た正面図である。
【
図5】アウトリガ用敷板設置装置を車幅方向内側から見た図である。同図では、敷板本体の一部を破断して表示している。
【
図6】(a)~(e)は、敷板設置動作時の敷板ユニットの変位の流れを説明するための図である。同図では、アウトリガ用敷板設置装置を車両前方側から見た場合を示している。
【
図7】(a)は、敷板格納姿勢時におけるアームプレートとボスとカムとの当接関係を示す部分拡大図であり、(b)及び(c)は、敷板設置動作時のアームプレートとカムとの動作の流れを示す部分拡大図である。同図では、接地側ブラケットの一部を破断していると共に、カム及びボルトとクッションの一部とを断面表示している。
【
図8】(a)は、敷板ユニットをロック状態にしたときの縦アウトリガボックスの張出動作を説明するための図であり、(b)は、(a)の一点鎖線Bで囲んだ範囲の拡大図である。同図(a)は、敷板設置姿勢時の縦アウトリガボックスの一部及びアウトリガ用敷板装置の全体を車両前方側から見た場合を示しており、また、同図(b)では、アームプレートの一部を破断表示していると共に、敷板の一部及びクッションを断面表示している。
【
図9】(a)及び(b)は、偏心構造のカムの固定位置を変更する構造を説明するための図である。同図(a)では、敷板格納姿勢時の縦アウトリガボックス及びアウトリガ用敷板装置の下部を車両前方側から見た場合を示しており、凸板の一部を破断表示していると共にボルトを断面表示している。また、同図(b)では、(a)の一部を側面から見た場合を示し、接地側ブラケットの一部を断面表示している。
【
図10】変形例に係るアウトリガ用敷板設置装置を車両前方側から見た図である。
【
図11】(a)~(e)は、変形例に係る敷板設置動作時の敷板ユニットの変位の流れを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るアウトリガ用敷板設置装置の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0013】
(実施形態)
[全体構成]
本発明の一実施形態に係るアウトリガ用敷板設置装置1(以下、単に「敷板設置装置1」という)を備えたクレーン搭載車両100は、
図1に示すように、車両101と、車両101の荷台102と運転室103との間のシャーシフレーム104上に搭載されたクレーン105とを備える。
【0014】
このクレーン105は、アウトリガ80を備えたベース91と、ベース91上に旋回自在に設けられたコラム92と、コラム92の上端部に起伏自在に枢支された伸縮式のブーム93と、フック94とを備えている。コラム92にはウインチ(図示略)が設けられており、このウインチのワイヤロープをブーム93の先端部に導いて、フック94に掛け回すことにより、フック94がブーム93の先端部から吊り下げられている。
【0015】
クレーン105は、更に、コラム92(ブーム93)の旋回、ブーム93の起伏と伸縮、ウインチによるフック94の巻上げ、巻下げ、及びアウトリガ80の伸縮の作動を行うための各種アクチュエータ(図示略)を備えている。これら各種アクチュエータは、図示省略するが、車両101の油圧源から切換制御弁装置を介して個別に圧油が供給されることにより作動する。
また、
図1及び
図2に示すように、アウトリガ80は、ベース91内にスライド移動可能に摺嵌された左右の横アウトリガボックス81と、左右の横アウトリガボックス81の先端側にそれぞれ設けられた左右の縦アウトリガボックス82とを備える。
【0016】
左右の各横アウトリガボックス81は、ベース91から車両101の側方に張り出した張出位置H、及びベース91内に格納された格納位置Kにスライド移動可能とされている。なお、本実施形態では、オペレータがアウトリガ80に設けられた把持部(図示略)を手で掴んで引っ張ったり押し込んだりすることで、左右の各横アウトリガボックス81をスライド移動することが可能となっている。
【0017】
また、左右の各縦アウトリガボックス82は、左右の各横アウトリガボックス81の先端部にそれぞれ固定された上下方向に延在する中空のアウタボックス83と、アウタボックス83内にスライド移動可能に摺嵌されたインナボックス84とを備える。更に、アウタボックス83及びインナボックス84の内側に配設された油圧シリンダ(図示略)と、インナボックス84の下端に設けられた接地板85とを備える。油圧シリンダは、一端部がアウタボックス83の内側上部に固定され、他端部がインナボックス84の内側下端部に固定されている。かかる構成によって、左右の各縦アウトリガボックス82は、油圧シリンダの伸縮作動によって、インナボックス84を上下方向にスライド移動させることが可能となっている。これによって、インナボックス84を下方にスライド移動することで自身下部の接地板85を接地可能になっている。また、接地板85を接地後は、左右の縦アウトリガボックス82のインナボックス84を同時に伸長させて、車両101をジャッキアップさせることが可能である。これにより、クレーン105の作業時における安定性を確保する。
【0018】
図1及び
図2に示すように、クレーン搭載車両100は、更に、左右の縦アウトリガボックス82にそれぞれ設けられた左右の敷板設置装置1を備える。
左右の各敷板設置装置1は、縦アウトリガボックス82のインナボックス84を、その格納位置から下方向に伸長させることによって、アウタボックス83の車両101側(以下、「車幅方向内側」という)の面と対向する位置に格納された敷板30(後述)を、接地板85の下に自動で敷設する装置である。加えて、敷板30が接地板85の下に敷設された状態で、縦アウトリガボックス82のインナボックス84を上方向に縮小させることによって、敷板30をその格納位置へと自動で格納する装置である。
【0019】
[敷板設置装置1の構成]
以下、敷板設置装置1の具体的な構成を説明する。
この敷板設置装置1は、
図3~
図5に示すように、敷板ユニット2と、アウタ側案内機構4と、接地側案内機構5と、ロック機構6と、一対のクッション7と、一対のクッション8とを備える。
【0020】
(敷板ユニット2の構成)
まず、敷板ユニット2の具体的な構成を説明する。
敷板ユニット2は、
図3及び
図5に示すように、アーム20と、敷板30とを備える。
アーム20は、敷板30の姿勢が
図3に示す格納時の姿勢である敷板格納姿勢のときに、アウタボックス83の車両101の前後方向(以下、「車両前後方向」という)を向く2面とそれぞれ対向する板状の一対のアームプレート21と、これら一対のアームプレート21を接続する接続板28とを備えている。一対のアームプレート21は、敷板30の姿勢が敷板格納姿勢のときに、アウタボックス83の下端部の車両101の幅方向における車両101から離間する側(以下、「車幅方向外側」という)の端部から、車幅方向内側へと向かって斜め上方に延在して配置されている。そして、一対のアームプレート21は、その車幅方向内側の端部である基端部21P側の一部が、アウタボックス83の車両前後方向の面から車幅方向内側へとはみ出しており、このはみ出している部分の内側部間にて、一対のアームプレート21を接続板28によって連接している。
【0021】
各アームプレート21は、
図3及び
図4に示すように、敷板30の姿勢が敷板格納姿勢のときに、その中央部に車幅方向内側に突出して形成された、車両前方又は後方側から見て略台形状の突起部22を有する。突起部22から基端部21P側は、車幅方向内側に向かって折れ曲がっており、この折れ曲がった部分である折曲部23の下側の側面と突起部22の底面との境界部には、略V字に切り込まれた切り込み部24が形成されている。
【0022】
各アームプレート21の車幅方向外側の端部である先端部21D側には、切り込み部24とは反対側に開口する鉤フック形状のフック部25が形成されている。このフック部25は、その開口部を形成する略V字に切り欠かれた懐部25aを有している。また、突起部22の先端部21D側の側面(
図4中の上側の破線位置)から先端部21D(
図4中の下側の破線位置)までの側面には、カム摺接面26が形成されている。また、アームプレート21の基端部21Pには、アームプレート21を敷板本体31に軸支するための軸孔27が設けられている。
【0023】
敷板30は、
図3及び
図5に示すように、接地板85よりも接地面積が広く、且つ側面視(
図5)で略矩形板状の敷板本体31を備えている。敷板本体31は、例えば、鉄などの金属材料から構成されている。なお、金属材料に限らず、木材、廃プラスチック材など他の材料から敷板本体31を構成してもよい。敷板30は、更に、ブラケット32を備えている。このブラケット32は、敷板30の姿勢が敷板格納姿勢のときに、敷板本体31の長手方向の中央上部に固定されたブラケット下部32Dと、ブラケット下部32Dの上端から上方に突出したブラケット上部32Uとを有している。
【0024】
ブラケット下部32Dは、側面視で略矩形板状を有し、その略全体が、その長手方向を車両前後方向に向けた姿勢で、溶接等によって敷板本体31上に固着されている。ブラケット下部32Dには、その車両前後方向の中央の下端寄りの位置に、クッション7よりも大きい略矩形の切り欠き孔32hが設けられている。そして、アウタボックス83の切り欠き孔32hの内側に位置する面には、立方体形状且つゴム製のクッション7が車幅方向内側に向かって立設されている。また、同じ面上の下端寄りの位置にも、同じ構成のクッション7が立設されている。即ち、ブラケット下部32Dに切り欠き孔32hを設けることで、クッションを共通化させて、アウタボックス83の敷板30と対向する面と敷板30との間の距離を同じ距離とし、対向面と平行な格納姿勢が形成されるようにしている。これら一対のクッション7は、敷板30の格納時に、敷板30のアウタボックス83への衝突を防止すると共に、格納時の衝突音を低減する機能を有している。なお、真夏などの高気温時や直射日光などでクッション7が敷板本体31に貼り付いて、敷板ユニット2の動作に支障が生じることが考えられる。この現象を回避するために、クッション7の当接面に適宜空気孔を設け、接触面積を減少させる構成としてもよい。
【0025】
一方、ブラケット上部32Uは、ブラケット下部32Dの上端部における車両後方側の略半分の部分が、側面視で略半台形板状に上方に突出した構成となっている。この略半台形板状のブラケット上部32Uの車両前方側の端部には、車幅方向外側に向かって突出する、車両前方側から見て略正方形板状の突出部32Pが設けられている。この突出部32Pには、後述するロックピン63の挿通用の貫通孔であるピン孔32Phが設けられている。
【0026】
また、ブラケット32は、更に、そのブラケット下部32Dの下端から、一対のアームプレート21間の幅よりも短い幅で下側に突出した、側面視で略矩形板状のアーム取付用ベース部32Bを備えている。加えて、アーム取付用ベース部32Bの長手方向の両端部に車幅方向外側に向かって突出して設けられた、正面視又は背面視で略半円板状である一対のピン取付用ボス33を備えている。更に、一対のピン取付用ボス33には、それぞれピン34を挿通するための貫通孔が設けられている。
【0027】
敷板30は、更に、アーム取付用ベース部32B上の一対のピン取付用ボス33の間の長手方向の中央位置に、長手方向に所定間隔を空けて対向し、且つ車幅方向外側に向かって突出して設けられた板状のストッパ35を備えている。なお、アーム取付用ベース部32Bと板状のストッパ35、一対のピン取付用ボス33は、ブラケット32と一体形状でも良い。
【0028】
そして、敷板ユニット2は、アーム20の一対のアームプレート21の基端部21Pが、敷板30の一対のピン取付用ボス33の外側に、それぞれの貫通孔と軸孔27とが同軸に重なるように配されている。加えて、軸孔27とピン取付用ボス33とにピン34が挿通された状態で、ピン34の両端部はアームプレート21に軸支されている。加えて、
図3、
図5、
図8(b)に示すように、ピン34の両端であって、一対のアームプレート21内側には、それぞれ、ピン34を軸心としてダブルトーション型のねじりバネ36が設けられている。各ねじりバネ36は、螺旋状の2つのコイル部36aと、ねじりバネ36の両端部から接線方向に延びる腕部36bと、これらコイル部36a同士を連接した中央に、コイル部36aの接線方向に延びる腕部36cとを有する。
各ねじりバネ36の両端の腕部36bは、敷板30のブラケット32のブラケット下部32Dに接しており、敷板30を付勢するように設けられている。各ねじりバネ36の中央の腕部36cは、アーム20の一対のアームプレート21の基端部21P側の接続板28に接しており、アーム20を付勢している。各ねじりバネ36の付勢力は、
図8(b)に示すように、ピン34を軸に、敷板30を、常に時計回りへ回動させる方向に作用する。即ち、敷板30は、2つのねじりバネ36の付勢力を超えるトルクが付加されない限り、逆方向の反時計回りに回動することはない。このため、敷板本体31の下端は、
図3に示す敷板格納姿勢では、車幅方向外側に回動することで、縦アウトリガボックス82に常に近づくようになり、敷板設置姿勢では、敷板本体31の先端は上向きに跳ね上がった方向へと付勢するため、例えば、
図6(d)のように、敷板30の自重とバランスすることで、敷板本体31は水平になる。
【0029】
(アウタ側案内機構4の構成)
アウタ側案内機構4は、
図3、
図5及び
図6(d)に示すように、アウタ側ブラケット41と、一対のボス42と、一対の摺動板43とを備えている。
アウタ側ブラケット41は、アウタボックス83の車両前後方向を向く一対の面の下端部で、且つ車幅方向外側の端部寄りに設けられた、車両前方又は後方側から正面視又は背面視で略半台形板状である一対の半台形板部41aを備えている。加えて、これら一対の半台形板部41aをアウタボックス83の車幅方向外側の側面上で接続する、接続板部41bを備えている。
【0030】
接続板部41bは、その車両前後方向の端部が、半台形板部41aの車幅方向外側の端部と接続されている。半台形板部41a及び接続板部41bは、半台形板部41aの上底側を下向きにした姿勢で、例えば、溶接によって、アウタボックス83の面上に一体的に設けられている。なお、この構成に限らず、アウタ側ブラケット41は、例えば、一枚の金属板を折り曲げ加工等して形成してもよい。
一対のボス42は、円柱状を成しており、一対の半台形板部41aの板面上の下側に、車両前方側及び車両後方側にそれぞれ突出して設けられている。
【0031】
一対の摺動板43は、一対の半台形板部41a上の上側に設けられている。一対の摺動板43は、車両前方側又は車両後方側から正面視又は背面視で矩形板状を有し、車両前方側(車両後方側)から見て、その長手方向の一端側が左上(右上)を向き、且つ他端側が右下(左下)を向く姿勢で斜めに固定されている。一対の摺動板43は、例えば、ネジ止め等によって固定されている。更に、一対の摺動板43は、車両前方側(車両後方側)から見て、その右下側(左下側)の端部が、アウタボックス83の車両前方側(車両後方側)の面に対して離間した位置から接近する方向に、左上側(右上側)から右下側(左下側)に向かって傾斜する傾斜面43sを有している。ここで、一対の摺動板43を説明する上記文章内の括弧内の方向の記載は、車両後方側から見た場合に対応している。
【0032】
(接地側案内機構5の構成)
接地側案内機構5は、
図3、
図5及び
図8(a)に示すように、接地側ブラケット51と、一対のカム52と、一対のボルト53と、パイプ54とを備えている。
接地側ブラケット51は、上方から平面視で略C字状である取付用板部51aと、車両前方側又は後方側から正面視又は背面視で略凸字形状である一対の凸板51bとを備えている。取付用板部51aは、略C字状の開口側を車幅方向外側に向けた姿勢で、且つ開口側の内側にインナボックス84の一部を挟んだ状態で、接地板85上に溶接等によって固着されている。
【0033】
略凸字形状の一対の凸板51bは、取付用板部51aの車両前方側及び後方側の端部上にそれぞれ突側を上にして、例えば折り曲げ加工や溶接によって立設されている。また、一対の凸板51b上部の突部分の車幅方向外側寄りの位置には、ボルト53の挿通用の貫通孔が設けられている。
【0034】
一対のカム52は、
図9(a)及び(b)に示すように、それぞれ円柱状を成しており、その円中心から偏心した位置に、接地側ブラケット51への固定用のボルト孔が、それぞれ軸方向に貫通して設けられている。これらボルト孔の内周には雌ねじが切られている。そして、一対のカム52は、一対の凸板51bの内側で、その偏心した位置にあるボルト孔を凸板51bの貫通孔に同軸に重ね合わせて、外側からボルト53を、貫通孔を通じてボルト孔に螺合することで、凸板51bの突部の内側に固定されている。
【0035】
また、一対の凸板51b下部の車幅方向内側端部には、円筒状のパイプ54が、長手方向を車両前後方向に向けた姿勢で溶接等によって架設されている。また、取付用板部51aの車両前後方向の両端部上で、且つ一対の凸板51bの内側の、カム52とパイプ54との間の位置には、それぞれゴム製のクッション8が設けられている。加えて、これら一対のクッション8は、カム52とパイプ54の上端部よりも低い高さに構成されている。本実施形態では、一対のクッション8は、パイプ54の半分くらいの高さに上面が位置するように構成されている。
【0036】
(ロック機構6の構成)
ロック機構6は、敷板30の姿勢が敷板格納姿勢のときに、敷板本体31の上部をアウタボックス83に固定するための機構である。このロック機構6は、
図3、
図5、
図6(a)~(f)に示すように、上述したブラケット上部32Uと、固定ブロック62と、ロックピン63とを含んで構成されている。
【0037】
固定ブロック62は、アウタボックス83の車幅方向内側の側面における、敷板30の姿勢が敷板格納姿勢のときに、ブラケット上部32Uと対向する位置に設けられた立方体形状のブロック部62aと、このブロック部62aを車両前後方向に貫通して形成されたピン孔62hとを備えている。ブロック部62aは、六面あるうちの一面を、アウタボックス83の車幅方向内側の面に当接して溶接等により固着されている。ピン孔62hは、ブラケット上部32Uの突出部32Pのピン孔32Phと同形且つ同径に形成されている。
【0038】
突出部32Pと固定ブロック62とは、敷板30の姿勢が敷板格納姿勢のときに、突出部32Pが固定ブロック62の車両後方側の端部と近接した位置に配置され、且つ両者のピン孔32Ph及び62hが同軸に重なるように構成されている。
【0039】
ロックピン63は、ピン孔32Ph及び62hに対して僅かな隙間を隔てて挿入可能な外径寸法、並びに突出部32Pの車両後方側の面及びブロック部62aの車両前方側の面の両面に亘って貫通可能な軸長をもつ、円柱状の軸部を有する。この軸部の一端側には、取付孔を介して略半円環状の把持部が設けられている。また、この軸部の他端側(先端側)の外周部には、ピン孔62h内を摺接中は軸部の内側に引っ込み、ピン孔62hの外部へと抜けたときに径方向外側へと突出して軸部の抜けを防止する抜止部が設けられている。
【0040】
即ち、敷板30の姿勢が敷板格納姿勢のときに、ロック機構6によって、ロックピン63を、突出部32Pのピン孔32Ph及び固定ブロック62のピン孔62hに差し込むことで、敷板本体31の上部をアウタボックス83に固定することが可能となっている。以下、この固定した状態を「ロック状態」と称する。
【0041】
[敷板設置装置1の動作]
A:敷板格納状態
敷板設置装置1の敷板設置動作を説明する前に、まず、敷板格納状態について説明する。
敷板格納状態では、
図3及び
図6(a)に示すように、敷板30の姿勢が敷板格納姿勢且つロック機構6によりロック状態になっている。更に、縦アウトリガボックス82のインナボックス84が最縮小状態になっている。即ち、敷板本体31は、その板面がアウタボックス83の車幅方向内側の面と対向した姿勢で、その上部がロック機構6によってアウタボックス83へと固定された状態となっている。
【0042】
この状態において、敷板ユニット2は、各アームプレート21のフック部25の懐部25a内にボス42が当接した状態となる。加えて、敷板ユニット2は、各アームプレート21のどちらかの内側が摺動板43と摺接することで、車両前後方向に正しく位置決めされて格納されている。更に、敷板ユニット2は、各アームプレート21のカム摺接面26の略中央位置にカム52が当接した状態となる。即ち、
図7(a)に示すように、先端部21D側のフック部25がボス42とカム52とに挟まれた状態となる。そのため、敷板ユニット2は、ロック状態を解除したとしても車幅方向に動かない状態、即ち敷板ユニット2は倒れることのない状態となっている。
また、敷板ユニット2の車両前後方向の動きについても、一対のアームプレート21の内寸と一対の摺動板43のアームプレート21との当接面間の幅寸法とが、一対のアームプレート21の内寸の方が若干広い程度で略同寸となっており、車両前後方向にも略動かない状態となっている。
【0043】
B:敷板設置前の準備
次に、敷板設置前の準備(以下、「設置前準備」という)について説明する。
まず、敷板設置装置1が敷板本体31を接地板85と地面との間に敷設する動作を行うスペースを確保するために、アウトリガ80を車両101の側方(車幅方向外側)に張り出す。次に、ロック機構6によるロック状態を解除する。ここで、ロック状態では、敷板本体31がアウタボックス83に固定されているため、縦アウトリガボックス82のインナボックス84を伸長させても、敷板本体31が設置されない状態となる。そのため、設置前準備としてロック状態を解除する必要がある。ロック状態の解除は、敷板ユニット2側のブラケット上部32Uのピン孔32Phと、アウタボックス83側の固定ブロック62のピン孔62hとに差し込まれたロックピン63を引き抜くことで行う。ロック状態を解除することで、敷板ユニット2がアウタボックス83から分離可能な状態となる。これにより、設置前準備が完了する。
【0044】
C:敷板設置動作
次に、敷板設置動作について説明する。なお、
図6(a)~(e)及び
図7(a)~(c)は、車両前方側から見た各構成部の動作を示しているが、車両後方側から見た各構成部についても同様の動作となる。
【0045】
設置前準備の完了後に、敷板本体31を敷設すべく縦アウトリガボックス82のインナボックス84を少し伸長させると、
図6(b)及び
図7(b)に示すように、一対のカム52が下方に移動する。これにより、一対のボス42と一対のカム52とで狭持されていた一対のアームプレート21の先端部21D側が、固定状態から解放される。このとき、敷板本体31は、自重によって、アーム20が一対のカム52上に載置された状態で、縦アウトリガボックス82の伸長と共に降下する。但し、各フック部25の懐部25aの内周面には、ボス42が当接した状態となっており、アーム20は、一対のカム52の降下に応じて、一対のボス42を回転支軸としてこの軸回りに回動する。即ち、質量の大きい敷板本体31側が降下する一方、一対のアームプレート21の先端部21D側は、カム52が支点となって上方に持ち上げられるようにボス42に圧接された状態となる。
【0046】
つまり、一対のカム52が降下するにつれ、一対のボス42が回転中心となり、一対のカム52が一対のアームプレート21の先端部21D側を下側から支えつつ、敷板本体31の自重で一対のアームプレート21が回動し、徐々に敷板本体31が接地板85の下側に移動を始める。このとき、一対のアームプレート21の基端部21P側は、先端部21D側のカム摺接面26をカム52に摺接させながら降下する。
【0047】
引き続き、縦アウトリガボックス82のインナボックス84が更に伸長して、
図6(c)及び
図7(c)に示すように、一対のアームプレート21は、その基端部21Pが接地板85よりも下側に来るまで回動すると、一対のアームプレート21の突起部22が、接地板85側の一対のカム52とパイプ54との間に入り込んだ状態となる。このとき、一対のアームプレート21のフック部25の懐部25aが上方を向くと共に、一対のボス42から分離した状態となる。以下、この状態のときの敷板ユニット2の姿勢を「敷板設置準備姿勢」と称する。
【0048】
敷板ユニット2の姿勢が敷板設置準備姿勢の状態になると、一対のアームプレート21の切り込み部24の内周面が、パイプ54の外周部に上側から当接した状態となる。即ち、一対のアームプレート21の基端部21P側が、パイプ54上に載置された状態となる。本実施形態では、この状態となるときに、各アームプレート21の切り込み部24の内周面がパイプ54の外周部と当接するよりも先に、突起部22の底面が接地板85側のクッション8の上面と当接する。即ち、クッション8によって、切り込み部24の内周面がパイプ54の外周部と当接する際の衝撃を緩和するようにしている。これにより、切り込み部24の内周面にパイプ54が当接する際の金属音を小さくすることが可能である。
【0049】
また、敷板ユニット2の質量は、最終的に一対のカム52とパイプ54との2ヶ所で支えられる。加えて、敷板ユニット2の姿勢が敷板設置準備姿勢のときは、敷板本体31の重心が、ちょうどカム52とパイプ54との間の真下に位置するように設計してあるため、敷板ユニット2は、敷板本体31の自重によって、接地板85の真下に安定した状態で載置される。なお、敷板ユニット2はクッション8の上面と当接するため、このクッション8の素材を充分硬い素材として、クッション8のアームプレート21への反力を加えた3ヶ所で支える構成としてもよい。
また、敷板本体31は、上記2つのねじりバネ36の付勢力によって、敷板設置準備姿勢において、地面、及び地面に対して水平な接地板85と同様に水平となる。
【0050】
引き続き、縦アウトリガボックス82のインナボックス84が伸長すると、
図6(d)に示すように、敷板ユニット2は、カム52及びクッション8の上に載置された状態(敷板設置準備姿勢の状態)を維持しながら降下していく。このとき、一対のアームプレート21の突起部22が、一対のカム52とパイプ54との間に入り込んだ状態となっているため、設置動作の途中で敷板ユニット2が車幅方向にずれて落下するのを防止することが可能である。
【0051】
引き続き、敷板設置準備姿勢の状態で敷板ユニット2が降下していくことで、敷板本体31が地面と水平な姿勢で接地するため、敷板本体31の下面全体が略同時に接地する。その後、
図6(e)に示すように、縦アウトリガボックス82のインナボックス84の伸長動作に連動して、接地板85が敷板本体31を踏みつけることで接地板85が敷板本体31上に載置される。即ち、敷板30の姿勢が、敷板設置姿勢となる。敷板設置姿勢では、一対のアームプレート21の突起部22が、一対のクッション8から分離すると共に、一対のカム52とパイプ54との間から上方へと離脱した状態となる。
【0052】
この敷板ユニット2が降下していく際、アームプレート21は、接地側ブラケット51のパイプ54で支えられており、且つ敷板本体31の重心が、パイプ54よりも車幅方向外側にある。このため、アームプレート21は、例えば、敷板ユニット2の自重によって、車幅方向内側へと倒れて落下するようなことはない。
【0053】
また、前述したとおり、一対のアームプレート21の突起部22と接地側ブラケット51の一対の凸板51b上部の突出部とが、車両前後方向に重なった状態となる。即ち、一対のアームプレート21の突起部22は、一対の凸板51bの突出部に外側から挟まれた状態となるため、アーム20が、その一対のアームプレート21がインナボックス84に接触する程、車両前後方向へ大きくずれることはない。
【0054】
D:敷板格納動作
次に、敷板格納動作について説明する。
敷板格納動作は、基本的に、
図6(a)~(e)の敷板設置動作の逆の動作となる。
【0055】
即ち、
図6(e)に示す敷板設置姿勢から、敷板30を格納すべく縦アウトリガボックス82のインナボックス84を縮小させると、接地板85が接地側ブラケット51と共に上昇する。接地板85が上昇していくと、まず接地側ブラケット51のパイプ54が、基端部21P側の略V字の切り込み部24の内周面に対して下方から当接する。その後、パイプ54を基軸に、敷板本体31は地面と水平な姿勢で浮き上がり始めつつ、アームプレート21の先端部21Dは降下するので、突起部22の底面がクッション8の上面に当接し、次に一対のカム52上にアームプレート21が載置する。その後、敷板ユニット2は、パイプ54及び一対のカム52、又はそれらに一対のクッション8を加えたものを載置した状態で上方へと移動し、
図6(d)に示すように、敷板本体31が地面から浮き上がった状態となる。即ち、敷板ユニット2の姿勢が、敷板設置準備姿勢の状態となる。
【0056】
引き続き、
図6(c)及び
図7(c)に示すように、縦アウトリガボックス82のインナボックス84の縮小動作に連動して、接地板85が最縮小位置に近づくと、一対のアームプレート21のフック部25の懐部25aの内周面が、一対のボス42の外周部に当接する。懐部25aの略V字の切り欠き部は、ボス42の直径よりも十分に広く開口されているため、車幅方向にずれが生じていても、余裕を持って内側へとボス42を収容可能である。
【0057】
引き続き、縦アウトリガボックス82のインナボックス84の縮小動作に連動して、接地板85が最縮小位置に更に近づくと、インナボックス84を縮小する時の推力が、一対のカム52から一対のアームプレート21に伝達される。これにより、一対のボス42を回転支点として、一対のアームプレート21の基端部21P側が持ち上げられ、
図6(b)及び
図7(b)に示すように、敷板本体31が格納位置に向かって移動する。このとき、一対のアームプレート21は、そのフック部25と突起部22との間の内側面を摺動板43に摺接させながら回動する。
【0058】
ここで、本実施形態では、一対のアームプレート21の先端部21D側(フック部25)の一部は、敷板30の姿勢が敷板格納姿勢のときに、接地側ブラケット51の一対の凸板51bの間に、一部が収まった状態となるように構成されている。加えて、一対の凸板51bの内側部と一対のアームプレート21のフック部25との間には、一対の凸板51bの間に確実にフック部25の一部を収容するために、車両前後方向に設けたクリアランスがある。そのため、敷板ユニット2は、車両前後方向に動くことができる。即ち、このクリアランスによって、敷板格納動作のたびに、一対のアームプレート21の車両前後方向へのずれが発生してしまうため、例えば、ロック機構6でうまく固定できない状況になる等といった不具合が発生する恐れがある。そのため、本実施形態の一対の摺動板43には上述した傾斜面43sが設けられている。この傾斜面43sによって、例えば、
図7(c)に示す状態のときに、一対のアームプレート21が車両前後方向にずれていた場合に、一対のアームプレート21のフック部25と突起部22との間の内側面の一方は、先に摺動板43の傾斜面43sと摺接する。これにより、一対のアームプレート21は、傾斜面43sに沿って自動調心され、敷板格納動作時において、一対のアームプレート21の車両前後方向のずれが修正される。また、一対の摺動板43は、一対のアームプレート21がアウタボックス83と直接接触することを防ぐことができるため、敷板格納動作時において、アームプレート21の接触による塗装のはがれも防止することが可能である。
【0059】
引き続き、縦アウトリガボックス82のインナボックス84が縮小されて接地板85が最縮小位置になると、敷板30は、敷板本体31のアウタボックス83側の面がクッション7A及び7Bと当接して止まり、
図6(a)に示すように、敷板30の姿勢が敷板格納姿勢となる。この状態で、敷板30側のブラケット上部32Uのピン孔32Phと、アウタボックス83側の固定ブロック62のピン孔62hとにロックピン63を差し込むことで、敷板ユニット2はロック状態となる。
ここで、敷板設置準備姿勢の状態から敷板格納姿勢の状態に変化するに当たり、敷板本体31の下端は、上記2つのねじりバネ36の付勢力によって、車幅方向内側へ傾くことなく姿勢が一定に保持されている。本来、敷板本体31の下部は、敷板格納姿勢への移行途中で自重と遠心力により車幅方向内側へ振られる。そのあと、いわゆる振り子の復元力の作用による速度、それに加えてアーム20の回転に伴い、敷板本体31に作用する回転速度との合成速度で、車幅方向外側の接地板85に激しく打ちつけられてしまうという現象が生じてしまうおそれがある。
【0060】
しかし、敷板30に発生する上記の振り子の復元力は、上記2つのねじりバネ36の付勢力によって発生しない。よって、接地板85に打ちつけられる敷板本体31は、敷板本体31に作用する回転速度のみとなる。
例えば、上記2つのねじりバネ36による付勢が無い場合を考える。この場合、敷板格納状態から敷板設置状態への移行は、例えば、
図11(a)~(e)の順に同図(a)~(e)に示す態様で行われ、敷板設置姿勢から敷板格納姿勢への移行は
図11(e)~(a)の順で行われる。
【0061】
敷板設置姿勢から敷板格納姿勢への移行において、
図11(b)に示すように、インナボックス84が最縮小状態になる手前で、アームプレート21のフック部25の懐部25aの内周面がボス42に当接し、アームプレート21は敷板格納姿勢へと回動を始める。このとき、ねじりバネ36が無い状態では、敷板本体31の下端は、ピン34を軸心として自重と遠心力により車幅方向内側に回動し、アームプレート21の基端部21Pの端面が敷板本体31のブラケット32に当接することで、
図11(b)のように傾斜する。このままアームプレート21が回動を続けると、敷板本体31の下端には、振り子の復元力による車幅方向外側方向の速度と、アーム20の回転で敷板本体31に作用する回転速度との合成速度が、車幅方向外側方向に働いてしまう。よって、敷板本体31は格納位置でクッション7に当接する前に、敷板本体31の下端側の上面が接地板85の車幅方向内側端に激しく衝突する。
【0062】
そこで、ピン34を軸心としたねじりバネ36を備えることにより、ねじりバネ36の付勢力の効果により、
図11(b)に示すねじりバネ36の無い場合と比較して、
図6(b)に示すように、敷板本体31の下端は上向きに跳ね上がった状態となる。即ち、敷板本体31は、
図6(b)に示すように、敷板本体31の下端側の上面が、アームプレート21の回動途中、跳ね上がったまま最初に接地板85の車幅方向内側端に接触する。その後も当該付勢力の働きにより、敷板本体31は、敷板本体31の下端側の上面を接地板85に接触、または摺接させたまま、格納位置に向かって回動する。そして、敷板本体31が格納位置でクッション7に当接し、密着することで、接地板85との摺接は解かれるが、それまで摺接を続けた効果によって、敷板本体31が接地板85に激しく衝突することはない。
【0063】
E:敷板本体31を敷設しない場合の張出動作
次に、敷板本体31を敷設しない場合の縦アウトリガボックス82の張出動作を説明する。この場合、敷板ユニット2が、ロック状態のまま縦アウトリガボックス82のインナボックス84を伸長させる。
図8(a)に示すように、ロック状態のまま縦アウトリガボックス82のインナボックス84を伸長させても、ロック機構6によって敷板本体31の上部がアウタボックス83に固定されているため、インナボックス84のみが下方にスライド移動する。即ち、一対のカム52が下方に移動して、一対のボス42及び一対のカム52による一対のアームプレート21のフック部25の狭持状態が解除されても、敷板本体31がアウタボックス83にぶら下がった状態で敷板ユニット2が保持される。そのため、
図8(b)に示すように、一対のアームプレート21が一対のボス42回りに回動しない。その結果、敷板設置動作が行われず、通常の縦アウトリガボックス82の張出動作が行われる。
【0064】
F:敷板格納姿勢の調整
敷板30の敷板格納姿勢は、
図9(a)に示すように、縦アウトリガボックス82のインナボックス84を格納時(最縮小時)の、一対のボス42と一対のカム52との間の距離(隙間)Dcによって決まる。この距離Dcが適正な場合は、敷板30を格納時に敷板本体31が縦アウトリガボックス82と平行になり、ピン孔62h及び32Phとが同軸となる位置にくるため、ロック機構6により敷板本体31を固定することができる。しかし、一対のボス42及び一対のカム52と、これらの間に挟まれた一対のアームプレート21の先端部21D側とが、一対のアームプレート21の回動による摺動によって摩耗することで、距離Dcが変化していくために、正常な敷板格納姿勢をとれなくなる場合がある。このような場合に、本実施形態の接地側案内機構5は、
図9(b)に示すように、偏心した位置でボルト53によって固定された各カム52を、回転させてその固定位置を変えることで、各カム52と各ボス42との間の距離Dcを増減させることが可能となっている。即ち、各ボルト53を緩締状態にして一対のカム52の固定位置を変更して、再度各ボルト53で締結することで、一対のボス42と一対のカム52との間の距離Dcを、適正な距離へと調整することが可能である。なお、製造時の組立誤差による調整も同様に行うことが可能である。
【0065】
実施形態において、一対のボス42及び一対のカム52が、姿勢維持部、アーム固定部材、設置案内部材及び格納案内部材に対応する。また、アウタ側案内機構4及び接地側案内機構5が敷板設置機構部に対応し、アウタ側案内機構4及び接地側案内機構5が敷板格納機構部に対応し、パイプ54及び一対のカム52、又はそれらに一対のクッション8を加えたものが、伝達部材に対応する。
【0066】
また、クレーン搭載車両100が、作業機に対応し、ボス42が、回転支軸に対応し、フック形状部が、フック部25に対応し、一対の凸板51bが、一対の板部に対応し、パイプ54が、支持部材に対応し、位置修正部材が摺動板43に対応する。
【0067】
[実施形態の作用及び効果]
実施形態に係る敷板設置装置1は、接地板85よりも広い接地面積を有する敷板本体31を有する敷板30と、一端部が敷板本体31の板面に、ピン34を軸心としてねじりバネ36の設けられたねじりバネ付きのピン34を介して回動可能に軸支されたアーム20とを備え、アウタボックス83に設けられた一対のボス42及び接地板85に設けられた一対のカム52が、縦アウトリガボックス82のインナボックス84の最縮小時にアーム20をアウタボックス83に固定することで、敷板30の姿勢を、敷板本体31の板面がアウタボックス83の側面と平行となる敷板格納姿勢に維持する。また、アウトリガ80は、敷板格納姿勢時の位置から車両101の側方に張り出した張出位置Hにスライド移動可能な左右の横アウトリガボックス81と、左右の横アウトリガボックス81の先端部に設けられた左右の縦アウトリガボックス82とを備え、敷板格納姿勢は、敷板本体31の板面がアウタボックス83の車幅方向内側を向く面と平行な姿勢となっている。更に、敷板30の姿勢が敷板格納姿勢で且つアウトリガ80が格納状態のときに、敷板本体31は、縦アウトリガボックス82と車両101との間の隙間内に配置される。
【0068】
この敷板設置装置1は、更に、アウタボックス83に設けられ且つ上記一対のボス42を含んで構成されたアウタ側案内機構4と、接地板85に設けられ且つ上記一対のカム52を含んで構成された接地側案内機構5を備える。そして、アウタ側案内機構4及び接地側案内機構5が、縦アウトリガボックス82のインナボックス84の伸長動作に連動して、敷板30の姿勢が、敷板格納姿勢から接地板85と地面との間に敷板本体31が敷設された敷板設置姿勢へと変化するように、敷板30を変位させる。
【0069】
この構成であれば、縦アウトリガボックス82のインナボックス84が最縮小時に、敷板30を敷板格納姿勢に維持することが可能である。加えて、縦アウトリガボックス82のインナボックス84をアクチュエータによって伸長作動させることで、縦アウトリガボックス82のインナボックス84の伸長動作に連動させて、敷板本体31を接地板85と地面との間に敷設することが可能となる。これにより、従来と比較して、敷板設置のための手作業を低減することが可能となる。また、縦アウトリガボックス82のインナボックス84の伸縮作動に用いる油圧シリンダの動力を利用するため、新たなアクチュエータを追加する必要がない。また、敷板本体31は、敷板格納姿勢で且つアウトリガ80が格納状態のときに、縦アウトリガボックス82と車両101の車体との間のわずかな隙間に、内側に隠れるように配置されるため、車幅方向外側へと出っ張ることが無い。
【0070】
また、実施形態に係る敷板設置装置1は、アウタ側案内機構4及び接地側案内機構5が、更に、縦アウトリガボックス82のインナボックス84の縮小動作に連動して、敷板30の姿勢が敷板設置姿勢から敷板格納姿勢へと変化するように、敷板30を変位させるように構成されている。
【0071】
具体的に、接地側案内機構5は、接地板85上に設けられたクッション8を備え、カム52及びパイプ54、又はそれらにクッション8を加えたものが、縦アウトリガボックス82のインナボックス84の縮小時に敷板ユニット2を載置させて協働状態となる。なお更に、アウタ側案内機構4及び接地側案内機構5のボス42及びカム52が、縦アウトリガボックス82のインナボックス84の縮小動作時に、アーム20に作用して敷板30の変位の軌道が敷板設置姿勢から敷板格納姿勢へと変化する軌道をとるように案内する。
【0072】
この構成であれば、縦アウトリガボックス82のインナボックス84を油圧シリンダによって縮小作動させることで、縦アウトリガボックス82のインナボックス84の縮小動作に連動させて、敷板30の姿勢を敷板設置姿勢から敷板格納姿勢へと変化させることが可能となる。これにより、敷板格納のための手作業を低減することが可能となる。また、縦アウトリガボックス82のインナボックス84の伸縮作動に用いる油圧シリンダの動力を利用するため、新たなアクチュエータを追加する必要がない。
【0073】
また、実施形態に係る敷板設置装置1は、更に、一対のボス42が、アウタボックス83の車両前後方向を向く一対の面のそれぞれの下端部に、車両前後方向に突出して設けられている。また、接地側案内機構5が、敷板30の姿勢が敷板格納姿勢のときに、接地板85上の車両前後方向にそれぞれ立設された一対の凸板51bを有する接地側ブラケット51を備えている。また、接地側案内機構5の一対のカム52は、円柱状を成しており、接地側ブラケット51の一対の凸板51bの内側面に対し、内側に突出して設けられている。
【0074】
また、アーム20は、敷板30の姿勢が敷板格納姿勢のときにアウタボックス83の上記一対の面を間に挟んで対向する一対のアームプレート21と、一対のアームプレート21を基端部21P側で接続する接続板28とを有する。一対のアームプレート21の基端部21Pは、敷板本体31の板面に、ピン34の一対のピン取付用ボス33の内側の部分に、2つのねじりバネ36の設けられたねじりバネ付きのピン34を介して、回転可能に軸支されている。これら2つのねじりバネ36は、螺旋状の2つのコイル部36aと、ねじりバネ36の両端部から接線方向に延びる腕部36bと、これらコイル部36a同士を連接した中央に、コイル部36aの接線方向に延びる腕部36cとを有する。各ねじりバネ36の中央の腕部36cが、アーム20の一対のアームプレート21の基端部21P側の接続板28に接しており、各ねじりバネ36の両端の腕部36bが、敷板30のブラケット32のブラケット下部32Dに接している。よって、各ねじりバネ36の付勢力は、ピン34を軸に、敷板30を、常に時計回りに回動させるように設けられている。
また、一対のアームプレート21の先端部21D側は、一対のボス42の外径よりも大きい内径の略V字状の懐部25aを有するフック形状に構成されている。加えて、一対のアームプレート21の懐部25aの内周面に、一対のボス42の外周面が当接された状態となるように構成されている。
【0075】
そして、アウタ側案内機構4及び接地側案内機構5は、敷板30の姿勢が敷板格納姿勢のときに、一対のボス42が一対のアームプレート21の懐部25aの内周面に当接し、且つ一対のカム52が一対のアームプレート21の懐部25aの背面側の側面(カム摺接面26)と当接して一対のアームプレート21を狭持することで、アーム20をアウタボックス83に固定する。これにより、敷板格納姿勢を維持する。一方、アウタ側案内機構4及び接地側案内機構5は、縦アウトリガボックス82のインナボックス84が伸長して、一対のカム52が接地板85と共に下方向に移動することで固定状態を解除する。
【0076】
加えて、アウタ側案内機構4及び接地側案内機構5は、縦アウトリガボックス82のインナボックス84の伸長動作に連動して、アーム20を一対のボス42回りに回動させると共に、一対のアームプレート21のカム摺接面26に一対のカム52を摺接させることで、アーム20を下側から支持しながら、敷板30の変位の軌道を敷板格納姿勢から敷板設置姿勢へと変化する軌道をとるように案内する。
【0077】
更に、アウタ側案内機構4及び接地側案内機構5は、縦アウトリガボックス82のインナボックス84の縮小動作に連動して、パイプ54及び一対のカム52、又はそれらに一対のクッション8を加えたものが敷板ユニット2を載置させて協働すると共に、一対のアームプレート21のカム摺接面26に一対のカム52を敷板設置時とは逆方向に摺接させ、更に、アーム20を一対のボス42回りに敷板設置時とは逆方向に回動させることで、アーム20を下側から支持しながら、敷板30の変位の軌道を敷板設置姿勢から敷板格納姿勢へと変化する軌道をとるように案内する。
【0078】
この構成であれば、敷板設置準備姿勢の状態から敷板格納姿勢の状態に変化するに当たり、敷板本体31は、上記2つのねじりバネ36の付勢力によって、車幅方向内側へと傾くことなく、敷板格納姿勢時にアウタボックス83の車幅方向内側の側面と平行となり、且つ敷板設置準備姿勢時に地面と平行となる姿勢を保持することが可能となる。この姿勢では、敷板本体31の下端側の上面が、アームプレート21の回動途中、最初に接地板85の車幅方向内側端に接触する。その後も当該付勢力の働きにより、敷板本体31は、敷板本体31の下端側の上面を接地板85に接触、摺接させたまま格納位置に向かって回動する。これにより、敷板本体31が、敷板格納姿勢への移行途中で、接地板85へと激しく衝突するといったことを防ぐことが可能となる。また、敷板準備姿勢のときに、地面、及び地面に対して水平な接地板85と同様に、敷板本体31も水平となるため、付勢していない場合と比較して、美感を向上することが可能となる。
また、アーム20を介して敷板30の格納姿勢の維持や変位の軌道案内を行うことが可能となり、敷板30の軌道を案内する摺動部を、ボス42、カム52、アーム20といった単純な形状の部品から構成することが可能となる。これにより、これらの部品の消耗等による動作不良を生じ難くすることが可能となる。
【0079】
また、実施形態に係る敷板設置装置1は、更に、アウタ側案内機構4が、アウタボックス83の下端部の上記一対の面に設けられ、敷板30が敷板設置姿勢から敷板格納姿勢へと変位する途中で、一対のアームプレート21の他端側の内側面と摺接して、一対のアームプレート21の互いの対向方向(車両前後方向)の位置ずれを修正する一対の摺動板43を備える。具体的に、一対の摺動板43は、位置ずれを修正する方向に一対のアームプレート21を誘導する傾斜面43sを備えている。
【0080】
この構成であれば、敷板30を敷板設置姿勢から敷板格納姿勢へと変化させるときに、一対のアームプレート21の車両前後方向の位置ずれを自動で修正することが可能となり、位置ずれによる不具合の発生を防止することが可能となる。また、一対の摺動板43は、一対のアームプレート21がアウタボックス83と直接接触することを防ぐことができるため、一対のアームプレート21のアウタボックス83への接触による塗装のはがれも防止することが可能である。
【0081】
また、実施形態に係る敷板設置装置1は、更に、一対のカム52が、その円柱の中心軸から偏心した位置に雌ねじが設けられており、この雌ねじを介して一対のボルト53により接地側ブラケット51の一対の凸板51bに固定され、一対のボルト53の軸回りの回動位置に固定位置を変更可能に構成されている。具体的に、各ボルト53の締結を緩めて各カム52をボルト軸回りに回動させた後に再度締結することで、各カム52の固定位置を変更することが可能な構成となっている。
ここで、敷板30の敷板格納姿勢は、縦アウトリガボックス82のインナボックス84を最縮小時の一対のボス42と一対のカム52との間の距離Dc(
図9(a)を参照)によって決まる。
【0082】
上記構成であれば、雌ねじが偏心位置にあるため、ボルト軸回りに各カム52の固定位置を変更することで、一対のカム52と一対のボス42との間の距離Dcを増減させることが可能である。これにより、各カム52の固定位置を変更して、距離Dcを適正な距離へと調整することで、一対のボス42、一対のカム52及びパイプ54、又は一対のアームプレート21の摺接部分の摩耗等による敷板格納姿勢の変位を調整することが可能となる。また、製造時の組立誤差による調整も同様に行うことが可能である。
【0083】
また、実施形態に係る敷板設置装置1は、更に、パイプ54及び一対のカム52、又はそれらに一対のクッション8を加えたものが、縦アウトリガボックス82のインナボックス84の伸長途中で且つ敷板本体31が接地する前に、敷板本体31をその板面が接地板85の板面に対して傾斜した状態で、接地板85の下側に位置する敷板設置準備姿勢の状態で支持するように構成されている(
図6(c)を参照)。加えて、アーム20は、敷板設置準備姿勢のときに、一対のアームプレート21の懐部25aの開口側が上方を向くと共に、縦アウトリガボックス82のインナボックス84の伸長動作に連動して、一対のボス42から分離するように構成されている。更に、アウタ側案内機構4及び接地側案内機構5が、縦アウトリガボックス82のインナボックス84の伸長動作に連動して、敷板30の変位の軌道を、敷板格納姿勢から敷板設置準備姿勢へと変化する軌道をとるように案内し、引き続き、縦アウトリガボックス82の伸長動作に連動して、敷板30を、敷板設置準備姿勢を維持しながら下降させ、敷板本体31の一部が接地した後は、縦アウトリガボックス82のインナボックス84の伸長動作に連動して、接地板85が敷板本体31を上方から踏み付けることで、敷板30を敷板設置準備姿勢から敷板設置姿勢へと変化させるように構成されている。
【0084】
この構成であれば、敷板設置準備姿勢の段階で、敷板本体31の板面が接地板85の板面と平行となるまで、敷板30を変位させる必要がないため、この変位のための機構が不要となる。これにより、アウタ側案内機構4及び接地側案内機構5の構成を簡易にすることが可能となる。
【0085】
また、実施形態に係る敷板設置装置1は、更に、一対のアームプレート21の中央部であって、パイプ54及びカム52との当接位置に挟まれた位置に、敷板30の姿勢が敷板設置準備姿勢のときに下方に向かって突出し、且つ底面が平坦な突起部22を備える。接地板85のクッション8は、ゴム製の緩衝部材から構成され、敷板設置準備姿勢のときに、アームプレート21の突起部22の底面と対向する位置に設けられ、且つ底面と当接するように構成されている。
この構成であれば、敷板30を敷板格納姿勢から敷板設置準備姿勢へと変化させたときに、アームプレート21の突起部22をクッション8で受けることが可能となるので、当接時に発生する音を小さくすることが可能となる。
【0086】
また、実施形態に係る敷板設置装置1は、更に、一対のアームプレート21が、敷板設置準備姿勢のときに、突起部22よりも基端部21P側が敷板本体31の板面に向かって直交する方向に折れ曲がった折曲部23と、折曲部23と突起部22との間に形成された略V溝状の切り込み部24とを有する。加えて、接地側ブラケット51の一対の凸板51bには、敷板設置準備姿勢のときに、切り込み部24の内周面と当接する外周面を有するパイプ54が架設されている。そして、突起部22及びパイプ54は、敷板格納姿勢から敷板設置準備姿勢に変化するときに、パイプ54が切り込み部24の内周面に当接するよりも先に、突起部22がクッション8と当接するように構成されている。具体的に、パイプ54は、一対の凸板51bの下部の車幅方向内側の端面において、車両前後方向に長手方向を向けて架設されている。
【0087】
この構成であれば、敷板30を敷板格納姿勢から敷板設置準備姿勢へと変化させたときに、アームプレート21の切り込み部24がパイプ54と当接するよりも先に、アームプレート21の突起部22をクッション8で受けることが可能となるので、パイプ54との当接時に発生する音を低減することが可能となる。また、敷板ユニット2が、ピン等によって縦アウトリガボックス82に接続されていないため、敷板30を敷設時にピン等の接続部品に力をかけることが無く、故障しにくくすることが可能となる。
【0088】
また、実施形態に係る敷板設置装置1は、更に、一対のクッション8が、接地板85上の一対のカム52とパイプ54との間に設けられていると共に、突起部22の平坦部との当接面が一対のカム52及びパイプ54の上部よりも低い位置となる高さに構成されている。
この構成であれば、敷板30の姿勢が敷板設置準備姿勢のときに、突起部22がカム52とパイプ54との間に入り込む構成となるので、敷板ユニット2が車幅方向に倒れるのを防ぐことが可能となる。
【0089】
また、実施形態に係る敷板設置装置1は、更に、接地側ブラケット51の一対の凸板51bが、敷板30の姿勢が敷板設置準備姿勢及び敷板設置姿勢のときに、一対のアームプレート21の一部を内側に挟み込むようにして、これら一対のアームプレート21の一部と重なる部分を有する形状に構成されている。具体的に、一対の凸板51bは、略凸字形状を有し、敷板30の姿勢が敷板設置準備姿勢のときに、略凸字形状の上部の突出部を含む一部が一対のアームプレート21の一部と重なるように構成されている。
この構成であれば、敷板30の姿勢が敷板設置準備姿勢及び敷板設置姿勢のときに、敷板ユニット2が車両前後方向に大きくずれるのを防ぐことが可能となる。
【0090】
また、実施形態に係る敷板設置装置1は、更に、敷板30を含む敷板ユニット2が、縦アウトリガボックス82に対して着脱可能に構成されている。
この構成であれば、敷板ユニット2を縦アウトリガボックス82から離脱させることで、通常の縦アウトリガボックス82のインナボックス84の張出動作を行うことが可能となる。これにより、例えば、敷板30を敷設する余裕のない場所等において、通常通り接地板85を直接張出することが可能となる。また、敷板30が摩耗等した場合に、容易に交換作業を行うことが可能となる。
【0091】
また、実施形態に係る敷板設置装置1は、更に、一対のアームプレート21の懐部25a及び切り込み部24を略V字形状に構成した。
この構成であれば、懐部25a及び切り込み部24に、ボス42及びパイプ54が噛み込むことを防ぐことが可能となるので、敷板ユニット2の着脱を容易とすることが可能となる。
【0092】
また、実施形態に係る敷板設置装置1は、更に、敷板格納姿勢のときに、敷板30を含む敷板ユニット2をアウタボックス83に固定可能なロック機構6を備える。加えて、ロック機構6によって敷板30を固定時に、縦アウトリガボックス82のインナボックス84が伸長動作をしても、敷板30の姿勢が敷板格納姿勢を維持するように構成されている。
この構成であれば、ロック機構6をロック状態としたまま縦アウトリガボックス82のインナボックス84を伸長作動させることで、敷板ユニット2を離脱させることなく、通常の縦アウトリガボックス82の張出動作を行うことが可能となる。また、車両走行中における振動等によって、敷板ユニット2が脱落するのを防ぐことも可能である。
【0093】
また、実施形態に係る敷板設置装置1は、更に、敷板格納姿勢のときに、アウタボックス83の敷板本体31と対向する面に敷板本体31と当接するように設けられた一対のクッション7を備える。
この構成であれば、敷板30を格納時に、敷板本体31のアウタボックス83への衝突を防止すると共に格納時の衝突音を低減することが可能である。
【0094】
また、実施形態に係るアウトリガ80は、上下方向に延在して設けられた中空のアウタボックス83と、このアウタボックス83の内部に摺嵌されたインナボックス84と、このインナボックス84の下面に設けられた接地板85と、インナボックス84を伸縮させる動力をインナボックス84に付与するアクチュエータとを有する縦アウトリガボックス82と、上記敷板設置装置1とを備える。
この構成であれば、上記敷板設置装置1と同様の作用及び効果が得られる。
【0095】
[変形例]
なお、上記実施形態の敷板格納姿勢では、敷板本体31の板面は、縦アウトリガボックス82と車両101の車体との隙間であって、内側に隠れるように配置されている例で説明したが、この構成に限らない。
例えば、
図10の変形例に示すように、この敷板設置装置1の取り付けを、縦アウトリガボックス82の垂直中心軸に対して左右対称に取り付けた構造としてもよい。即ち、敷板格納姿勢における敷板30の板面は、アウタボックス83の車幅方向外側の外板面より外側に格納されることになる。そのため、敷板格納姿勢では、左右の敷板30同士が、最も車幅方向外側に配置されるため、敷板格納姿勢では左右どちらかの敷板30から他方の敷板30までの幅は、車幅以内(作業機の横幅以内)に納まるよう配置されなければならない。
【0096】
この構成であれば、敷板30を敷板格納姿勢から敷板設置準備姿勢へと変化させたときに、敷板30と干渉するものがなければ、横アウトリガボックス81が格納された状態、いわゆる横アウトリガボックス81が最小張出時でも、敷板設置装置1を使用することが可能である。この場合、当該装置1が格納時である敷板格納姿勢では、一般的にサイドガードと呼ばれる、車両側面に設置された板またはパイプから成る保護装置の一部として使用しても良い。
また、上記実施形態の敷板ユニット2では、敷板30とアーム20とはねじりバネ36に設けられたピン34で回動可能に軸支されて構成されているが、この構成に限らない。例えば、ピン34にねじりバネ36を設けずに、アーム20を敷板30に回転自在に軸支する構成としてもよい。
【0097】
この構成では、
図11(a)~(c)に示すように、敷板格納姿勢から敷板設置準備姿勢へと移行時に、敷板本体31が車幅方向内側に回動して、敷板本体31は、アームプレート21の基端部21Pがブラケット32に当接した状態となる。即ち、敷板設置準備姿勢において、敷板本体31の板面は、地面及び接地板85とは平行にならず、敷板本体31の車幅方向外側の端部が、車幅方向内側の端部よりも下がった傾斜姿勢となる。
このとき、敷板ユニット2は、自重によって車幅方向内側へと倒れて落下しようとするが、接地側ブラケット51のパイプ54で支えられているため、落下することはない。敷板本体31の重心が、パイプ54よりも車幅方向外側にあるからである。また、一対のアームプレート21の基端部21P側の端面が、ブラケット32の上面に対してストッパを成しているため、敷板本体31が垂れ下がってしまうことなく、敷板ユニット2は、
図11(d)の状態で保持される。
また、敷板設置準備姿勢から敷板設置姿勢への移行では、
図11(d)~(e)に示すように、敷板設置準備姿勢の状態で敷板ユニット2が降下していくことで、敷板本体31の車幅方向外側の端部が先に地面に接地する。その後、
図11(e)に示すように、縦アウトリガボックス82のインナボックス84の伸長動作に連動して、接地板85が敷板本体31を踏みつけるようにして上から押し下げることで、敷板本体31の下面全体が地面に接地すると共に、接地板85が敷板本体31上に載置される。即ち、敷板30の姿勢が、敷板設置姿勢となる。
【0098】
なお、敷板30とアーム20とをピン34で回動自在に軸支しているが、一対のアームプレート21のそれぞれの基端部21Pの端面がブラケット32に当接することで、基端部21Pの端面がストッパとして働くため、アームプレート21の折曲部23から先の直線部分が敷板本体31の板面に直交する姿勢を保持する。
また、上記実施形態では、ダブルトーション型のねじりバネ36を用いる構成を例に挙げて説明したが、この構成に限らず、シングルトーション型の通常のねじりバネを複数用いるなどして構成してもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、ロック機構6を、ロックピン63を用いて敷板30をアウタボックス83に対して、固定・解放できる構成としたが、この構成に限らず、同様の機能を有するものであれば、他の構成としてもよい。
また、上記実施形態では、クッション7及び8をゴム製としたが、この構成に限らず、同様の機能を果たすものであれば、他の材料から構成してもよい。
また、上記実施形態では、アウトリガ80の構成を、角筒形状のアウタボックス83と、角柱形状のインナボックス84を備える構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、アウトリガ80の構成を、例えば、円筒形状のチューブと円柱形状のロッドによって形成されたシリンダを備える構成としてもよい。したがって、アウトリガ80の構成を、円筒形状に構成してもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、アウタ側案内機構4及び接地側案内機構5にて、縦アウトリガボックス82のインナボックス84の伸縮動作に連動させて、敷板設置動作及び敷板格納動作を行う構成とした。アウタ側案内機構4及び接地側案内機構5の構成に限らず、縦アウトリガボックス82のインナボックス84の伸縮動作に連動して同様の動作が可能な構成であれば、他の構成としてもよい。
【0101】
また、上記実施形態では、本発明の敷板設置装置1を車両搭載型クレーンに適用したが、この構成に限らず、同様の構成のアウトリガを備えたものであれば、例えば、他のクレーンや、高所作業車等の他の作業車両に適用してもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 アウトリガ用敷板設置装置
2 敷板ユニット
4 アウタ側案内機構
5 接地側案内機構
6 ロック機構
7A~8 クッション
20 アーム
21 アームプレート
22 突起部
23 折曲部
24 切り込み部
25 フック部
25a 懐部
26 カム摺接面
27 軸孔
28 接続板
30 敷板
31 敷板本体
32 ブラケット
32B アーム取付用ベース部
32D ブラケット下部
32U ブラケット上部
32P 突出部
32h 切り欠き孔
32Ph,62h ピン孔
33 ピン取付用ボス
34 ピン
35 ストッパ
36 ねじりバネ
36a コイル部
36b,36c 腕部
41 アウタ側ブラケット
42 ボス
43 摺動板
43s 傾斜面
51 接地側ブラケット
51a 取付用板部
51b 凸板
52 カム
53 ボルト
54 パイプ
80 アウトリガ
81 横アウトリガボックス
82 縦アウトリガボックス
83 アウタボックス
84 インナボックス
85 接地板
91 ベース
92 コラム
93 ブーム
94 フック
100 クレーン搭載車両
101 車両
102 荷台
103 運転室
104 シャーシフレーム
105 クレーン