(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】吐水制御装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/05 20060101AFI20230925BHJP
【FI】
E03C1/05
(21)【出願番号】P 2019109311
(22)【出願日】2019-06-12
【審査請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝 宣広
(72)【発明者】
【氏名】白井 雄喜
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-019480(JP,A)
【文献】特開2014-118798(JP,A)
【文献】特開2015-148107(JP,A)
【文献】特開2012-107427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00-1/10
G06T 7/00
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水部と、
前記吐水部の吐水、止水を切り替える吐水切替部と、
前記吐水部の吐水領域に物体がある物体有状態か、前記吐水領域に物体がない物体無状態かを検知する物体検知部と、
使用者が指示した指示量を取得する指示量取得部と、
前記物体有状態である場合の前記吐水部の吐水量
を取得する吐水量取得部と、
前記物体有状態における前記吐水量が前記指示量に達した場合に、前記吐水部が止水するように前記吐水切替部を制御する制御部と、を有している吐水制御装置。
【請求項2】
前記物体検知部は、前記吐水部に設けられた非接触式のセンサを有し、前記センサが被検知物を検知したときを前記物体有状態と検知し、前記センサが被検知物を検知しないときを前記物体無状態と検知する請求項1に記載の吐水制御装置。
【請求項3】
前記物体検知部は、前記吐水部が設置された水回り空間の画像を撮像する撮像部を有し、前記画像から前記物体有状態か前記物体無状態かを検知する請求項1に記載の吐水制御装置。
【請求項4】
前記画像から人の手と用品とを区別して検知する物体抽出部を有し、
前記物体検知部は、前記人の手と用品とを区別して前記物体有状態か前記物体無状態かを検知し、
前記吐水量取得部は、前記物体が前記用品である場合と前記人の手である場合とを区別して前記吐水量を取得する請求項3に記載の吐水制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐水制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、設定した量の水が吐水されると自動的に止水される定量吐水が可能な吐水制御装置が知られている。例えば下記特許文献1に記載の吐水制御装置は、水量設定機構で希望の吐水量を決めてセットスイッチを押すと、吐水が開始される。吐水が開始されたときから吐水量は測定され、その吐水量が希望の吐水量に達すると、止水される。この吐水制御装置によれば、鍋などを吐水口の下に置いた後に、希望の吐水量を指示すると、指示した量の水が鍋などに汲まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような構成では、指示した量の水を鍋などに正確に汲むことが難しい場合がある。それは、例えば使用者が希望の吐水量を指示してから、鍋などを吐水口の下に置く場合である。このような場合、使用者が鍋などを置く前に吐水が開始され、その吐水量が指示した量に達したところで止水する。このため、鍋に汲まれる水量は、指示した量より少なくなる。また、使用者が鍋などを吐水口の下に置いて通常の吐水を開始してから、希望の吐水量を指示した場合である。このような場合、使用者が吐水量を指示する前に吐水が開始され、指示した後に希望の量が吐水される。このため、鍋に汲まれる水量は、指示した量より多くなる。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、指示した量の水を鍋などに正確に汲むことが可能な吐水制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吐水制御装置は、吐水部と、前記吐水部の吐水、止水を切り替える吐水切替部と、前記吐水部の吐水領域に物体がある物体有状態か、前記吐水領域に物体がない物体無状態かを検知する物体検知部と、使用者が指示した指示量を取得する指示量取得部と、前記物体有状態である場合の前記吐水部の吐水量と、前記物体無状態である場合の前記吐水量とを区別して取得する吐水量取得部と、前記物体有状態における前記吐水量が前記指示量に達した場合に、前記吐水部が止水するように前記吐水切替部を制御する制御部と、を有している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施例1における吐水制御装置の構成例を示すブロック図
【
図3】実施例2における吐水制御装置の構成例を示すブロック図
【
図5】実施例3における吐水制御装置の構成例を示すブロック図
【
図6】実施例4における吐水制御装置の構成例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の好ましい形態を以下に示す。
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1について、
図1及び
図2を参照しつつ詳細に説明する。
本実施例における吐水制御装置10は、例えばキッチン等の水が使用される場所に設けられる。吐水制御装置10は、
図1に示すように、吐水部11と、吐水切替部21と、吐水切替部21を制御する吐水切替制御部22と、を備えている。吐水切替制御部22は、物体検知部23と、指示量取得部24と、吐水量取得部25と、制御部26と、を備えている。
【0009】
吐水切替部21は、吐水部11の吐水、止水を切り替える電磁弁である。物体検知部23は、吐水部11の吐水領域Tに物体がある物体有状態か、吐水領域Tに物体がない物体無状態かを検知する。指示量取得部24は、使用者が指示受け部15に指示した希望する吐水量(指示量)を取得する。吐水量取得部25は、物体有状態である場合の吐水部11の吐水量と、物体無状態である場合の吐水量とを区別して取得する。制御部26は、物体有状態である場合は、吐水部11が吐水するように吐水切替部21を制御し、物体無状態である場合は、吐水部11が止水するように吐水切替部21を制御する。制御部26は、物体有状態における吐水量が指示量に達した場合に、吐水部11が止水するように吐水切替部21を制御する。
【0010】
吐水部11は、吐水口を有する吐水管12を備えている。吐水管12は、例えばキッチンのシンク周辺のカウンタに設置される。吐水管12の先端側の上面には、手かざし用のセンサ13が備えられている。手かざし用のセンサ13は、使用者がかざした手を検知する。手かざし用のセンサ13が手を検知すると吐水が開始される。この吐水は、手かざし用のセンサ13が手を検知しなくなっても継続する。吐水部11が吐水している状態で手かざし用のセンサ13が再び手を検知すると止水される。
【0011】
物体検知部23は、吐水部11に設けられた非接触式のセンサ14を有する。センサ14は、吐水管12の先端側の下面に設けられている。センサ14は、所定の検知領域内に使用者の手や用品等の被検知物(物体)があるか否かを検知し、センサ14が被検知物を検知すると吐水が開始される。この吐水は、センサ14が被検知物を検知している間は継続され、センサ14が被検知物を検知しなくなると止水される。
【0012】
物体検知部23は、センサ14が被検知物を検知している状態を、吐水部11の吐水領域Tに物体がある状態(物体有状態)として検知する。物体検知部23は、センサ14が被検知物を検知していない状態を、吐水領域Tに物体がない状態(物体無状態)として検知する。すなわち、本実施例における吐水領域Tは、センサ14の検知領域である。物体検知部23は、検知結果を吐水量取得部25及び制御部26に出力する。
【0013】
指示量取得部24は、使用者が希望する吐水量を指示するための指示受け部15を有している。指示量取得部24は、使用者が指示受け部15に指示した指示量を取得する。指示受け部15は、スイッチやマイク等である。指示受け部15は、スイッチやマイク等に限らず、例えばスマートフォンなどの装置であってもよい。この場合、スマートフォンなどの装置にレシピをダウンロードし、レシピの材料に示された水の量を、例えば無線通信回線を介して、指示量取得部24に送信してもよい。指示量取得部24は、取得した指示量を制御部26に出力する。
【0014】
吐水量取得部25は、羽根車式の流量計(図示せず)を有している。吐水部11から吐水される吐水量は、流量計により常に測定されている。吐水量取得部25は、物体有状態である場合には流量計により測定された吐水量を取得し、物体無状態である場合には流量計により測定された吐水量を取得しない。吐水量取得部25は、取得した吐水量を制御部26に出力する。
【0015】
制御部26は、指示量取得部24からの指示量と、吐水量取得部25からの吐水量とを比較し、吐水量が指示量に達すると、吐水部11が止水するように吐水切替部21を制御する。
【0016】
次に、本実施例における吐水制御装置10の動作を
図2を参照して説明する。吐水制御装置10は、
図2の開始から終了に至るまでの動作を、終了から開始に戻って繰り返し行う。
【0017】
まず、センサ14による自動吐水で定量吐水する場合について説明する。吐水制御装置10は、制御を開始すると、使用者から吐水量の指示があるか否かを判断する(ステップS100)。使用者から吐水量の指示があったと判断した場合、吐水制御装置10は定量吐水状態になり、指示量取得部24は指示量を取得する(ステップS101)。次に、吐水制御装置10は、物体検知部23が物体有状態であることを検知しているか否か(センサ14が被検知物を検知しているか否か)を判断する(ステップS102)。物体検知部23は、物体有状態であると検知し、吐水量取得部25は流量計により測定された吐水量を取得する状態になる(ステップS103)。また、制御部26は、吐水量取得部25が取得した吐水量が、指示量取得部24が取得した指示量以上になっているか否かを判断する状態になる(ステップS104)。センサ14による自動吐水が開始され(ステップS105)、ステップS104において流量計により測定された吐水量が指示量以上になると、吐水制御装置10は定量吐水状態ではなくなり、吐水量取得部25は取得した吐水量をゼロにしてリセットする(ステップS106)。制御部26は、吐水部11が止水するように吐水切替部21を制御する(ステップS107)。吐水部11が止水した後、吐水制御装置10は、物体検知部23が物体有状態であることを検知しているか否か(センサ14が被検知物を検知しているか否か)を判断する(ステップS113)。物体検知部23が物体無状態であることを検知すると吐水制御装置10の動作は終了する。
【0018】
次に、手かざし操作による自動吐水で定量吐水する場合について説明する。吐水制御装置10は、制御を開始すると、使用者から吐水量の指示があるか否かを判断する(ステップS100)。使用者から吐水量の指示があったと判断した場合、吐水制御装置10は定量吐水状態になり、指示量取得部24は指示量を取得する(ステップS101)。次に、吐水制御装置10は、物体検知部23が物体有状態であると検知しているか否か(センサ14が被検知物を検知しているか否か)を判断する(ステップS102)。物体検知部23は、物体無状態であることを検知する。次いで、吐水制御装置10は、定量吐水状態であるか否かを判断する(ステップS108)。吐水制御装置10が、定量吐水状態であると判断すると、吐水制御装置10は、手かざし用のセンサが手を検知するか否かを判断する(ステップS109)。手かざし用のセンサ13が手を検知した場合、そのときの吐水部11の状態が手かざし操作による吐水状態でない場合は、手かざし操作による吐水状態になる(ステップS110)。なお、吐水部11の状態が手かざし操作による吐水状態である場合は、手かざし操作による止水状態になる(ステップS111)。また、吐水制御装置10は、手かざし用のセンサが手を検知しない場合、吐水部11が手かざし操作による吐水状態であるか否かを判断する(ステップS112)。手かざし操作による吐水状態である場合(ステップS110またはステップ112でYes)、ステップS102において物体検知部23が物体有状態であることを検知していないから、吐水量取得部25が吐水量を取得しない。このため、ステップS104において吐水量取得部25が取得した吐水量は指示量取得部24が取得した指示量以上にならず、手かざし操作による吐水状態は継続する(ステップS105)。その後、ステップS102において物体検知部23が物体有状態であると検知すると、吐水量取得部25は流量計により測定された吐水量を取得する(ステップS103)。また、制御部26は、吐水量取得部25が取得した吐水量が、指示量取得部24が取得した指示量以上になっているか否かを判断する(ステップS104)。流量計により測定された吐水量が指示量以上になった場合、吐水制御装置10は定量吐水状態ではなくなり、吐水量取得部25は取得した吐水量をゼロにしてリセットする(ステップS106)。制御部26は、吐水部11が止水するように吐水切替部21を制御する(ステップS107)。なお、手かざし操作による止水状態になると(ステップS111またステップS112でNo)、制御部26は吐水部11が止水するように吐水切替部21を制御する(ステップS107)。
【0019】
このように、吐水制御装置10は、ステップS100において使用者から吐水量の指示があったと判断した場合であっても、ステップS102において物体検知部23が物体有状態であることを検知しない限り、吐水量取得部25は吐水量を取得しない。
【0020】
吐水制御装置10は、ステップS100において使用者から吐水量の指示があったと判断し、ステップS102において物体検知部23が物体有状態であることを検知すると、吐水量取得部25は吐水量を取得する。ステップS104において、制御部26により、吐水量取得部25が取得した吐水量が、指示量取得部24が取得した指示量以上になっていないと判断される状態で、ステップS102において物体検知部23が物体無状態であると検知した場合、ステップS108において吐水制御装置10は定量吐水状態であるから吐水量取得部25が取得した吐水量はゼロにリセットされない。そして、ステップ102において再び物体検知部23が物体有状態であると検知した場合、ステップS104において制御部26は、先に取得された吐水量に後で取得された吐水量を加算した吐水量が、指示量取得部24が取得した指示量以上になっているか否かを判断する。
【0021】
また、吐水制御装置10は、ステップS100において使用者から吐水量の指示がないと判断した場合であっても、ステップS102において物体検知部23が物体有状態であると検知すると、吐水量取得部25は流量計により測定された吐水量を取得する状態になる(ステップS103)。そして、センサ14による自動吐水が開始されると(ステップS105)、吐水量取得部25は流量計により測定された吐水量を取得する。その後、ステップS100において使用者から吐水量の指示があったと判断した場合、吐水制御装置10は定量吐水状態になり、指示量取得部24は指示量を取得し(ステップS101)、制御部26は、吐水量取得部25が取得した吐水量が、指示量取得部24が取得した指示量以上になっているか否かを判断する(ステップS104)。
【0022】
また、吐水制御装置10は、ステップS100において使用者から吐水量の指示がないと判断し、ステップS102において物体検知部23が物体有状態であることを検知し、吐水量取得部25が吐水量を取得している状態において、ステップ102において物体検知部23が物体無状態であることを検知すると、ステップS108において吐水制御装置10は定量吐水状態でないから、吐水量取得部25は取得した吐水量をゼロにしてリセットする(ステップS114)。
【0023】
次に、本実施例における吐水制御装置10の具体的な動作の例を説明する。
まず、鍋等の物体に水を定量吐水するべく、シンク等に鍋等の物体を置いてから吐水量を指示する場合について説明する。シンク等に物体を置くと、センサ14が物体を検知して吐水が開始される。もしくは手かざし用のセンサ13に手をかざして吐水を開始し、シンク等に物体を置くと、センサ14が物体を検知する。なお、手かざし用のセンサ13で吐水を開始することにより、物体の側面が吐水されて濡れることを防止できる。
【0024】
センサ14が物体を検知すると、吐水量取得部25は吐水量を取得する。吐水量取得部25が取得する吐水量は、物体に吐水された量と一致する。使用者が、指示受け部15に吐水量を指示すると、指示量取得部24が指示量を取得する。制御部26は、吐水量取得部25が取得する吐水量と指示量とを比較し、吐水量と指示量とが一致すると、吐水部11を止水する。これにより、物体には使用者が指示した量の水が汲まれる。
【0025】
次に、鍋等の物体に水を定量吐水するべく、吐水量を指示してからシンク等に鍋等の物体を置く場合について説明する。使用者が、指示受け部15に吐水量を指示すると、指示量取得部24が指示量を取得する。使用者がシンク等に物体を置くと、センサ14が物体を検知して吐水が開始される。もしくは手かざし用のセンサ13に手をかざして吐水を開始してからシンク等に物体を置くと、センサ14が物体を検知する。センサ14が物体を検知すると、吐水量取得部25は吐水量を取得する。吐水量取得部25が取得する吐水量は、物体に吐水された量と一致する。制御部26は、吐水量取得部25が取得する吐水量と指示量とを比較し、吐水量と指示量とが一致すると、吐水部11を止水する。これにより、物体には使用者が指示した量の水が汲まれる。
【0026】
次に、上記のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
本実施例の吐水制御装置10は、吐水部11と、吐水切替部21と、物体検知部23と、指示量取得部24と、吐水量取得部25と、制御部26と、を有している。吐水切替部21は、吐水部11の吐水、止水を切り替える。物体検知部23は、吐水部11の吐水領域Tに物体がある物体有状態か、吐水領域Tに物体がない物体無状態かを検知する。指示量取得部24は、使用者が指示した指示量を取得する。吐水量取得部25は、物体有状態である場合の吐水部11の吐水量と、物体無状態である場合の吐水量とを区別して取得する。制御部26は、物体有状態である場合は、吐水部11が吐水するように吐水切替部21を制御し、物体無状態である場合は、吐水部11が止水するように吐水切替部21を制御する。制御部26は、物体有状態における吐水量が指示量に達した場合に、吐水部11が止水するように吐水切替部21を制御する。
【0027】
この構成によれば、使用者が、吐水したい量を指示してから鍋などの物体を吐水口の下に置いた場合、鍋などが置かれたときに吐水部11が吐水を開始し、鍋などが置かれた物体有状態における吐水量が取得され、吐水量が指示量に達すると、吐水部11が止水する。このため、鍋などに汲まれる水量は、指示量になる。また、使用者が、鍋などを吐水口の下に置いて通常の吐水を開始してから、吐水したい量を指示した場合、通常の吐水が開始されたときから吐水量が取得され、吐水量が指示量に達すると、吐水部11が止水する。このため、鍋などに汲まれる水量は、指示量になる。したがって、指示した量の水を鍋などに正確に汲むことができる。
【0028】
また、物体検知部23は、吐水部11に設けられた非接触式のセンサ14を有し、センサ14が被検知物を検知したときを物体有状態と検知し、センサ14が被検知物を検知しないときを物体無状態と検知する。この構成によれば、吐水部11などに接触することなく、物体有状態か物体無状態かが検知されるから、使い勝手をよくすることができる。
【0029】
<実施例2>
次に、本発明を具体化した実施例2に係る吐水制御装置30を
図3及び
図4によって説明する。
本実施例の吐水制御装置30は、物体検知部23が、吐水部11が設置された水回り空間の画像を撮像する撮像部31を有し、画像から物体有状態か物体無状態かを検知する点で、実施例1とは相違する。なお、実施例1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0030】
本実施例の吐水制御装置30は、実施例1と同様、吐水部11と、吐水切替部21と、吐水切替部21を制御する吐水切替制御部22と、を備えている。吐水切替制御部22は、物体抽出部32と、吐水領域抽出部33と、物体検知部23と、吐水量取得部25と、指示量取得部24と、制御部26と、を備えている。
【0031】
吐水切替部21は、モータを使用したアクチュエーターで駆動する電動弁である。物体抽出部32は、画像から物体を抽出する。吐水領域抽出部33は、画像から吐水部11の吐水領域Tを抽出する。物体検知部23は、実施例1と同様、吐水部11の吐水領域Tに物体がある物体有状態か、吐水領域Tに物体がない物体無状態かを検知する。指示量取得部24は、実施例1と同様、使用者が指示受け部15に指示した指示量を取得する。吐水量取得部25は、実施例1と同様、物体有状態である場合の吐水量と、物体無状態である場合の吐水量とを区別して取得する。制御部26は、物体有状態である場合は、吐水部11が吐水するように吐水切替部21を制御し、物体無状態である場合は、吐水部11が止水するように吐水切替部21を制御する。制御部26は、実施例1と同様、物体有状態における吐水量が指示量に達した場合に、吐水部11が止水するように吐水切替部21を制御する。
【0032】
撮像部31は、キッチンの上方(例えばキッチンの天井や、アッパーキャビネットの下面など)に配置されている。撮像部31は、下方の空間を撮像するように設置される。撮像部31は、吐水部11が設置された水回り空間の画像データを取得する。水回り空間は、吐水部11を含む空間であり、シンク等の水回りの設備が設けられた空間である。撮像部31は、例えばシンクよりも広い領域(シンクとコンロとを含む領域など)を撮像する。撮像部31は、例えば無線通信回線を介して、撮像した画像の画像情報を物体抽出部32及び吐水領域抽出部33に送信する。撮像部31は、動画像を撮像してもよいし、静止画像を撮像してもよい。また、撮像部31は、カラー画像を撮像しても良いし、白黒画像を撮像してもよい。
【0033】
吐水領域抽出部33は、撮像部31が撮像した画像から吐水部11の吐水口の位置を検知し、吐水口を含む領域を吐水領域Tとして抽出する。本実施例2における吐水領域Tは、実際に水が落ちる領域よりもわずかに大きい領域である。吐水領域抽出部33は、撮像部31により撮像された画像、及び吐水領域Tの抽出結果に基づいて、画像における吐水領域Tの位置や大きさを抽出する。吐水領域Tの位置は、例えば吐水領域Tの中心付近の位置を示す座標であってもよいし、吐水領域Tの外周を示す座標群であってもよい。吐水領域抽出部33は、吐水領域Tの位置や大きさの抽出結果を物体検知部23に出力する。
【0034】
物体抽出部32は、撮像部31が撮像した画像に物体が写っているときは、画像から物体を抽出する。物体抽出部32は、例えば撮像部31により撮像された画像データにおける輝度の差分に基づいてエッジ検出を行い、画像に撮像された様々な物体を抽出する。具体的には、物体検知部23は、画像に様々な矩形の枠(セル)をあてはめ、枠の内部と比較して、枠の外部に輝度の差分が少ない場合に、その枠内に物体があると判定し、枠を抽出することで画像から物体を抽出する。
【0035】
物体抽出部32は、撮像部31により撮像された画像、及び物体の抽出結果に基づいて、画像における物体の位置を抽出する。物体の位置は、例えば物体の中心付近の位置を示す座標であってもよいし、物体の外周を示す座標群であってもよい。物体抽出部32は、物体の抽出結果を物体検知部23に出力する。
【0036】
物体検知部23は、吐水領域抽出部33及び物体抽出部32により抽出された物体と吐水領域Tとが所定の位置関係にあるか否かにより、吐水領域Tに物体がある物体有状態か、吐水領域Tに物体がない物体無状態かを検知する。物体と吐水領域Tとが所定の位置関係にあるときとは、使用者が、物体に水を汲むべく物体を吐水領域Tに配する場合に、物体と吐水領域Tとが配されると予想される位置関係にあるときである。それは例えば物体と吐水領域Tとを鉛直方向の上側から見たときに、物体の一部と吐水領域Tの一部とが重なっているとき、あるいは物体又は吐水領域Tの一方の全体が他方に含まれているときなどである。物体検知部23は、検知結果を吐水量取得部25に出力する。
【0037】
吐水量取得部25は、実施例1と同様、物体有状態である場合には吐水量を取得し、物体無状態である場合には吐水量を取得しない。吐水量取得部25は、取得した吐水量を制御部26に出力する。
【0038】
制御部26は、実施例1と同様、指示量取得部24からの指示量と、吐水量取得部25からの吐水量とを比較し、吐水量が指示量に達すると、吐水部11が止水するように吐水切替部21を制御する。
【0039】
次に、本実施例における吐水制御装置30の動作を
図4を参照して説明する。吐水制御装置30は、
図4の開始から終了に至るまでの動作を、終了から開始に戻って繰り返し行う。
まず、撮像部31が、水回り空間の画像を撮像する(ステップS200)。
次に、吐水領域抽出部33が、画像から吐水領域Tを抽出する(ステップS201)。また、物体抽出部32が、画像から物体を抽出する(ステップS202)。ステップS201とステップS202とを行う順序は逆であってもよい。
【0040】
物体検知部23は、吐水領域抽出部33による吐水領域Tの抽出結果、及び物体抽出部32による物体の抽出結果に基づいて、物体無状態か物体有状態かを検知する(ステップS203)。
【0041】
吐水制御装置30は、使用者から吐水量の指示があるか否かを判断する(ステップS210)。使用者から吐水量の指示があると、吐水制御装置30は定量吐水状態になり、指示量取得部24は指示量を取得する(ステップS204)。吐水制御装置30は、物体検知部23が物体有状態であると検知しているか否かを判断する(ステップS211)。物体検知部23が物体有状態である場合、吐水量取得部25は吐水量を取得する(ステップS205)。制御部26は、吐水量取得部25が取得した吐水量が、指示量取得部24が取得した指示量以上になっているか否かを判断する(ステップS206)。制御部26は、吐水量が指示量に達すると、吐水部11が止水するように吐水切替部21を制御する(ステップS207)。制御部26は、吐水量取得部25が取得した吐水量が、指示量取得部24が取得した指示量以上でない場合、吐水を継続する(ステップS214)。
【0042】
ステップS211において物体検知部23が物体無状態であることを検知した場合、吐水制御装置30は、定量吐水状態であるか否かを判断する(ステップS212)。吐水制御装置30は、定量吐水状態でないと判断した場合、取得した吐水量をゼロにしてリセットする(ステップS208)。制御部26は、吐水部11が止水するように吐水切替部21を制御する(ステップS207)。
【0043】
ステップS211において物体検知部23が物体無状態であることを検知し、吐水制御装置30が定量吐水状態である場合、吐水量取得部25が取得した吐水量が、指示量取得部24が取得した指示量以上になっているか否かを判断する(ステップS213)。吐水量取得部25が取得した吐水量が、指示量取得部24が取得した指示量以上になっている場合、吐水制御装置30を定量吐水状態ではない状態にし、吐水量取得部25は取得した吐水量をゼロにしてリセットし(ステップS209)、制御部26は吐水部11が止水するように吐水切替部21を制御する(ステップS207)。一方、吐水量取得部25が取得した吐水量が、指示量取得部24が取得した指示量以上になっていない場合、吐水制御装置30を定量吐水状態に維持したまま、吐水量取得部25は取得した吐水量をゼロにせず、制御部26は吐水部11が止水するように吐水切替部21を制御する(ステップS207)。その後、ステップS211において再び物体検知部23が物体有状態であることを検知した場合、ステップS206において制御部26は、先に取得された吐水量に後で取得された吐水量を加算した吐水量が指示量取得部24が取得した指示量以上になっているか否かを判断する。
【0044】
次に、上記のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
本実施例の吐水制御装置30は、実施例1と同様、吐水部11と、吐水切替部21と、物体検知部23と、指示量取得部24と、吐水量取得部25と、制御部26と、を有している。これにより、実施例1と同様、使用者が、吐水したい量を指示してから鍋などの物体を吐水口の下に置いた場合や、鍋などを吐水口の下に置いて通常の吐水を開始してから、吐水したい量を指示した場合に、鍋などに汲まれる水量は指示量になる。したがって、指示した量の水を鍋などに正確に汲むことができる。
【0045】
加えて、物体検知部23は、吐水部11が設置された水回り空間の画像を撮像する撮像部31を有し、画像から物体有状態か物体無状態かを検知する。この構成によれば、センサ14を吐水部11に設ける場合に比べて、吐水部11のデザイン性を高めることができる。また、シンクに鍋などの物体を置いた場合、シンクの深さ寸法が大きかったり、物体の高さ寸法が小さかったりすると、物体がセンサ14に検知されないことがある。このような場合、手かざし用のセンサ13に手をかざして吐水する必要があるけれども、本実施例では、鍋が画像に撮像されるから、手かざし用のセンサ13に手をかざさなくても自動吐水できる。
【0046】
<実施例3>
次に、本発明を具体化した実施例3に係る吐水制御装置40を
図5によって説明する。
本実施例の吐水制御装置40は、物体検知部41が、人の手と用品とを区別して物体有状態か物体無状態かを検知する点で、実施例2とは相違する。なお、実施例2と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0047】
本実施例の吐水制御装置40は、実施例2と同様、吐水部11と、吐水切替部21と、吐水切替部21を制御する吐水切替制御部22と、を備えている。吐水切替制御部22は、物体抽出部42と、吐水領域抽出部33と、物体検知部41と、吐水量取得部25と、指示量取得部24と、制御部26と、を備えている。
【0048】
物体抽出部42は、撮像部31が撮像した画像から物体を抽出し、物体を人の手と用品とを区別して抽出する。物体抽出部42は、実施例2と同様、例えば画像データにおける輝度の差分に基づいてエッジ検出を行い、画像に撮像された様々な物体を検出する。物体抽出部42は、例えば次のような方法で画像から検出された物体を人の手と用品とに区別する。物体抽出部42は、予め図示しない記憶部に記憶された手の画像と、撮像部31により撮像された画像に検出した物体の画像とを比較する。記憶部には、予め手を様々な撮影条件(撮像角度や照明等)により撮像した画像を記憶させておく。記憶部に記憶された手の画像と、撮像された画像に検出された物体の画像とが、所定の類似条件を充足する場合に、その物体の画像が手であると判定し、他の物体の画像を用品であると判定して、手と用品とを区別する。
【0049】
物体抽出部42は、撮像部31により撮像された画像、及び物体抽出部42により出力された用品の検知結果に基づいて、画像における用品の位置を算出する用品抽出部43を有している。用品の位置は、例えば用品の中心付近の位置を示す座標であってもよいし、用品の外周を示す座標群であってもよい。用品抽出部43は、物体の抽出結果として用品の抽出結果を物体検知部41に出力する。
【0050】
物体検知部41は、実施例2と同様、物体と吐水領域Tとが所定の位置関係にあるか否かにより、吐水領域Tに物体がある物体有状態か、吐水領域Tに物体がない物体無状態かを検知する。このときの物体は人の手を含まない。すなわちこのときの物体は用品のみを含む。よって、手と吐水領域Tとが所定の位置関係にあったとしても物体無状態と検知される。物体検知部41は、検知結果を吐水量取得部25に出力する。
吐水量取得部25は、実施例1と同様、物体有状態である場合の吐水部11の吐水量と、物体無状態である場合の吐水量とを区別して取得する。
【0051】
次に、本実施例の吐水制御装置40を用いて、鍋等の物体に希望する温度に昇温した水(湯)を定量吐水する場合の具体的な動作について説明する。
使用者は、吐水部11に手を接近させて自動吐水を開始し、指示受け部15に吐水量を指示する。物体抽出部42は、物体が手であると判定する。このため、物体検知部41は物体無状態であることを検知し、吐水量取得部25は吐水量を取得しない。使用者は、吐水部11から吐水される水の温度が希望する温度に上昇したことを確認した後、鍋等の用品をシンク等に置く。すると、物体抽出部42は、物体が用品であると判定する。このため、物体検知部41は物体有状態であることを検知し、吐水量取得部25は吐水量を取得する。吐水量取得部25が取得する吐水量は、用品に吐水されたお湯の量と一致する。制御部26は、吐水量と指示量とが一致すると、吐水部11を止水する。これにより、用品には使用者が指示した量のお湯が汲まれる。なお、指示量の指示は、吐水量が指示量に達する前であれば、どのタイミングで行ってもよい。
【0052】
次に、上記のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
本実施例は、実施例2と同様、物体検知部23が、吐水部11が設置された水回り空間の画像を撮像する撮像部31を有し、画像から物体有状態か物体無状態かを検知するから、センサ14を吐水部11に設ける場合に比べて、吐水部11のデザイン性を高めることができる。
【0053】
加えて、本実施例の吐水制御装置40は、画像から人の手と用品とを区別して抽出する物体抽出部42を有する。物体検知部41は、人の手と用品とを区別して物体有状態か物体無状態かを検知する。吐水量取得部25は、物体が用品である場合と人の手である場合とを区別して吐水量を取得する。この構成によれば、例えば吐水部11が吐水している途中で、物体が人の手から用品に入れ替わった場合に、吐水量取得部25は、人の手が用品に入れ替わったときからの吐水量を区別して取得するから、より正確に鍋などの用品に汲まれた量を測定できる。
【0054】
<実施例4>
次に、本発明を具体化した実施例4に係る吐水制御装置50を
図6によって説明する。
本実施例の吐水制御装置50は、物体検知部51が、吐水口の真下から所定の距離ずれた位置に人の手が静止している場合を、物体有状態と検知する点で、実施例3とは相違する。なお、実施例3と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0055】
本実施例の吐水制御装置50は、実施例3と同様、吐水部11と、吐水切替部21と、吐水切替部21を制御する吐水切替制御部22と、を備えている。吐水切替制御部22は、物体抽出部42と、吐水領域抽出部33と、物体検知部51と、吐水量取得部25と、指示量取得部24と、制御部26と、を備えている。
【0056】
物体抽出部42は、実施例3と同様、画像から人の手と用品とを区別して抽出する。物体抽出部42は、実施例3と同様、撮像部31により撮像された画像、及び物体抽出部42により出力された用品の検知結果に基づいて、画像における用品の位置を算出する用品抽出部43を有している。用品抽出部43は、用品の抽出結果を物体検知部51に出力する。
【0057】
物体抽出部42は、撮像部31により撮像された画像、及び物体抽出部42により出力された手の検知結果に基づいて、画像における手の位置を算出する手の抽出部53を有している。手の位置は、例えば手の中心付近の位置を示す座標であってもよいし、手の外周を示す座標群であってもよい。手の抽出部53は、手の抽出結果を物体検知部51に出力する。
【0058】
吐水領域抽出部33は、吐水口の位置を抽出する吐水口抽出部52を有している。吐水口抽出部52は、撮像部31が撮像した画像から検知した吐水部11の吐水口の位置を算出する。吐水口の位置は、例えば吐水口の中心付近の位置を示す座標であってもよいし、吐水口の外周を示す座標群であってもよい。吐水口抽出部52は、抽出した吐水口の位置を物体検知部51に出力する。
【0059】
物体検知部51は、実施例3と同様、用品と吐水領域Tとが所定の位置関係にあるか否かにより、吐水領域Tに物体がある物体有状態か、吐水領域Tに物体がない物体無状態かを検知する。
【0060】
加えて、物体検知部51は、手の抽出部53の抽出結果及び吐水口抽出部52の抽出結果に基づいて、手が吐水口の真下から所定の距離ずれた位置に静止している場合を物体有状態、そうでない場合(手と吐水口との距離が所定の距離でない、または手が動いている場合)を物体無状態と検知する。手の抽出部53の抽出結果に基づく物体有状態は、手が透明なコップなどの用品を把持して透明な用品に吐水しようとしているときを想定している。
【0061】
物体検知部51が、吐水口の真下から所定の距離ずれた位置、とは、例えば透明な用品に水を汲むべく用品を吐水口の真下に配する場合に、吐水口に対して手が配されると予想される位置関係である。それは例えば手と吐水口とを鉛直方向の上側から見たときに、手の位置が吐水口の位置から用品の半径(全幅の半分)程度の寸法分だけ、水平方向にずれた位置である。
【0062】
手の抽出部53の抽出結果に基づく物体無状態は、手が用品を把持していない、もしくは手が用品を把持していても用品に吐水しようとしていないときを想定している。物体検知部51は、検知結果を吐水量取得部25に出力する。
吐水量取得部25は、実施例3と同様、物体有状態である場合の吐水部11の吐水量と、物体無状態である場合の吐水量とを区別して取得する。
【0063】
次に、本実施例の吐水制御装置50を用いて、透明なコップなどの用品に水を定量吐水する場合の具体的な動作を説明する。
使用者は、透明な用品を把持し、用品を吐水口の下方に位置させて、指示受け部15に吐水量を指示する。物体抽出部42は、画像から手を抽出し、手の抽出結果を物体検知部51に出力する。吐水口抽出部52は、画像から吐水口の位置を抽出し、吐水口の抽出結果を物体検知部51に出力する。物体検知部51は、物体抽出部42の抽出結果及び吐水口抽出部52の抽出結果に基づいて、手と吐水口との距離が所定の距離であることから物体有状態であることを検知する。これにより、制御部26は、吐水部11の吐水を開始し、吐水量取得部25は吐水量を取得する。吐水量取得部25が取得する吐水量は、透明な用品に吐水された水の量と一致する。制御部26は、吐水量と指示量とが一致すると、吐水部11を止水する。これにより、透明な用品には使用者が指示した量の水が汲まれる。なお、指示量の指示は、吐水量が指示量に達する前であれば、どのタイミングで行ってもよい。
【0064】
次に、上記のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
本実施例は、実施例3と同様、物体検知部51が、吐水部11が設置された水回り空間の画像を撮像する撮像部31を有し、画像から物体有状態か物体無状態かを検知するから、センサ14を吐水部11に設ける場合に比べて、吐水部11のデザイン性を高めることができる。
【0065】
加えて、画像から人の手と用品とを区別して抽出する物体抽出部42を有し、物体検知部51は、人の手と用品とを区別して物体有状態か物体無状態かを検知し、手の位置が所定の条件を満たす場合を物体有状態、そうでない場合を物体無状態と検知する。ここで、透明な物体は、物体抽出部42により抽出されない虞があるけれども、本実施例によれば、物体抽出部42が物体を把持した手を抽出して物体有状態を検知する。これにより、透明な物体に対して確実に定量吐水をすることができる。
【0066】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、使用者が指示量を指示するタイミングを具体的に例示したが、使用者が指示量を指示するタイミングは、吐水部から吐水された吐水量(物体に汲まれた水量)が指示量に達する前であれば、どのタイミングで行ってもよい。
(2)上記実施例では、使用者が、定量吐水が完了するまでに指示量を1度だけ指示する場合を例示したが、これに限らず、使用者は定量吐水が完了するまでに複数回指示量を指示してもよく、その場合、例えば最後に指示した指示量を有効な指示量としてもよい。
(3)上記実施例では、吐水量取得部25が、物体有状態である場合には流量計により測定された吐水量を取得し、物体無状態である場合には流量計により測定された吐水量を取得しないが、これに限らず、吐水量取得部は、物体有状態である場合の吐水量と、物体無状態である場合の吐水量とを区別して両方取得してもよい。この場合、制御部が、物体有状態である場合の吐水量と物体無状態である場合の吐水量と区別し、物体有状態である場合の吐水量と指示量とを比較すればよい。
(4)上記実施例1では、吐水切替部21が電磁弁であり、上記実施例2~4では、吐水切替部21がモータ駆動式の電動弁である場合を例示したが、吐水切替部はどちらを使用してもよい。
(5)上記実施例3では、物体抽出部42が、物体が手であるときに物体の抽出結果を出力しないと説明したが、これに限らず、物体抽出部は、物体が手であるときの物体の抽出結果を出力してもよい。この場合、物体検知部が、物体が手であるときは物体無状態、物体が用品であるときは物体有状態として検知すればよい。
【符号の説明】
【0067】
T…吐水領域
10,30,40,50…吐水制御装置
11…吐水部
14…センサ
21…吐水切替部
23,41,51…物体検知部
24…指示量取得部
25…吐水量取得部
26…制御部
31…撮像部
42…物体抽出部