(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20230927BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G15/01 Y
G03G15/01 114
(21)【出願番号】P 2020054317
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 雅樹
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-025359(JP,A)
【文献】特開2013-068892(JP,A)
【文献】特開2009-093155(JP,A)
【文献】特開2003-098794(JP,A)
【文献】特開2000-035704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準色の単色画像を、周回移動可能に懸架された転写ベルト上に形成する第1画像形成部と、
非基準色の単色画像を、前記転写ベルト上に形成する第2画像形成部と、
前記第1画像形成部に、第1基準色画像および前記第1基準色画像に対して前記転写ベルトの周回移動方向に間隔を隔てて配置される第2基準色画像を前記転写ベルト上に形成させる基準色画像形成手段と、
前記第2画像形成部に、前記第1基準色画像よりも前記周回移動方向の画像幅が小さ
い第1非基準色画像を、当該第1基準色画像の範囲内において前記周回移動方向の上流側および下流側の一方
の端部に沿うように、および前記第2基準色画像よりも前記周回移動方向の画像幅が小さ
い第2非基準色画像を、当該第2基準色画像の範囲内において前記周回移動方向の上流側および下流側の他方
の端部に沿うように、それぞれ前記転写ベルト上に形成させる非基準色画像形成手段と、
前記転写ベルト上に形成された、前記第1基準色画像および前記第1非基準色画像を含む画像の前記周回移動方向の画像幅である第1画像幅並びに前記転写ベルト上に形成された、前記第2基準色画像および前記第2非基準色画像を含む画像の前記周回移動方向の画像幅である第2画像幅をそれぞれ検出する画像幅検出手段と、
前記第1基準色画像の前記周回移動方向の設定上の画像幅と前記第1画像幅との差と、前記第2基準色画像の前記周回移動方向の設定上の画像幅と前記第2画像幅との差とに応じた画像位置のずれ量を検出するずれ量検出手段と、
前記ずれ量検出手段によって検出された前記画像位置のずれ量に応じて、前記第2画像形成部における画像形成タイミングを調整するためのレジスト調整値を設定する調整値設定手段と、を備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1非基準色画像は、当該第1非基準色画像の前記周回移動方向の下流側端部が前記第1基準色画像の前記周回移動方向の下流側端部に沿うように形成され、
前記第2非基準色画像は、当該第2非基準色画像の前記周回移動方向の上流側端部が前記第2基準色画像の前記周回移動方向の上流側端部に沿うように形成される、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1非基準色画像は、当該第1非基準色画像の前記周回移動方向の上流側端部が前記第1基準色画像の前記周回移動方向の上流側端部に沿うように形成され、
前記第2非基準色画像は、当該第2非基準色画像の前記周回移動方向の下流側端部が前記第2基準色画像の前記周回移動方向の下流側端部に沿うように形成される、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1非基準色画像の前記周回移動方向の画像幅および前記第2非基準色画像の前記周回移動方向の画像幅のそれぞれは、推定される画像位置の最大のずれ量よりも大きい、請求項1から3までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1基準色画像と前記第2基準色画像との間隔は、推定される画像位置の最大のずれ量よりも大きい、請求項1から4までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
基準色の単色画像を、周回移動可能に懸架された転写ベルト上に形成する第1画像形成部と、非基準色の単色画像を、前記転写ベルト上に形成する第2画像形成部とを備える画像形成装置によって実行される制御プログラムであって、
前記画像形成装置のプロセッサに、
前記第1画像形成部に、第1基準色画像および前記第1基準色画像に対して前記転写ベルトの周回移動方向に間隔を隔てて配置される第2基準色画像を前記転写ベルト上に形成させる基準色画像形成ステップ、
前記第2画像形成部に、前記第1基準色画像よりも前記周回移動方向の画像幅が小さ
い第1非基準色画像を、当該第1基準色画像の範囲内において前記周回移動方向の上流側および下流側の一方
の端部に沿うように、および前記第2基準色画像よりも前記周回移動方向の画像幅が小さく、当該第2基準色画像の範囲内において前記周回移動方向の上流側および下流側の他方
の端部に沿うように、それぞれ前記転写ベルト上に形成させる非基準色画像形成ステップ、
前記転写ベルト上に形成された、前記第1基準色画像および前記第1非基準色画像を含む画像の前記周回移動方向の画像幅である第1画像幅並びに前記転写ベルト上に形成された、前記第2基準色画像および前記第2非基準色画像を含む画像の前記周回移動方向の画像幅である第2画像幅をそれぞれ検出する画像幅検出ステップ、
前記第1基準色画像の前記周回移動方向の設定上の画像幅と前記第1画像幅との差と、前記第2基準色画像の前記周回移動方向の設定上の画像幅と前記第2画像幅との差とに応じた画像位置のずれ量を検出するずれ量検出ステップ、および
前記ずれ量検出ステップによって検出された前記画像位置のずれ量に応じて、前記第2画像形成部における画像形成タイミングを調整するためのレジスト調整値を設定する調整値設定ステップを実行させる、制御プログラム。
【請求項7】
基準色の単色画像を、周回移動可能に懸架された転写ベルト上に形成する第1画像形成部と、非基準色の単色画像を、前記転写ベルト上に形成する第2画像形成部とを備える画像形成装置の制御方法であって、
(a)前記第1画像形成部に、第1基準色画像および前記第1基準色画像に対して前記転写ベルトの周回移動方向に間隔を隔てて配置される第2基準色画像を前記転写ベルト上に形成させるステップ、
(b)前記第2画像形成部に、前記第1基準色画像よりも前記周回移動方向の画像幅が小さ
い第1非基準色画像を、当該第1基準色画像の範囲内において前記周回移動方向の上流側および下流側の一方
の端部に沿うように、および前記第2基準色画像よりも前記周回移動方向の画像幅が小さ
い第2非基準色画像を、当該第2基準色画像の範囲内において前記周回移動方向の上流側および下流側の他方
の端部に沿うように、それぞれ前記転写ベルト上に形成させるステップ、
(c)前記転写ベルト上に形成された、前記第1基準色画像および前記第1非基準色画像を含む画像の前記周回移動方向の画像幅である第1画像幅並びに前記転写ベルト上に形成された、前記第2基準色画像および前記第2非基準色画像を含む画像の前記周回移動方向の画像幅である第2画像幅をそれぞれ検出するステップ、
(d)前記第1基準色画像の前記周回移動方向の設定上の画像幅と前記第1画像幅との差と、前記第2基準色画像の前記周回移動方向の設定上の画像幅と前記第2画像幅との差とに応じた画像位置のずれ量を検出するステップ、および
(e)前記ステップ(d)で検出された前記画像位置のずれ量に応じて、前記第2画像形成部における画像形成タイミングを調整するためのレジスト調整値を設定するステップを含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法に関し、特にたとえば、複数の像担持体から一次転写ベルトに画像を一次転写する一次転写部と、一次転写ベルトから記録媒体に画像を二次転写する二次転写部とを有する、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、背景技術の画像形成装置の一例が開示される。背景技術の画像形成装置は、転写装置において一次転写ベルトを介して記録媒体に画像の転写を行う中間転写方式を採用しており、この画像形成装置では、各色の画像がずれないように各像担持体上の各潜像の位置を補正する自動レジスト調整が実施される。
【0003】
背景技術の画像形成装置で実行される自動レジスト調整では、転写ベルト上のセンサに対応する位置に各色のトナーマークを含むパターン画像が複数形成され、各パターン画像における各色のトナーマークの位置がセンサで検出され、各色のトナーマーク間の距離のずれ量に基づいて自動レジスト調整が実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、背景技術の画像形成装置では、レジスト調整の精度を確保するために多数のパターン画像を形成する必要があり、レジスト調整において多くのトナーを消費してしまうこと、レジスト調整に要する時間が長くなることなど、種々の問題がある。この問題を解決するために、パターン画像を用いるレジスト調整の頻度を低くして、パターン画像を用いるレジスト調整を行わない時間帯では温度等に応じた予想制御によって各潜像の位置を調整することが考えられる。しかしながら、予想制御では、外気温度等の要因によって適切に調整できない場合がある。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【0007】
この発明の他の目的は、トナー消費量およびレジスト調整の所要時間を抑えながらレジスト調整を適切に実施することができる、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、第1画像形成部、第2画像形成部、基準色画像形成手段、非基準色画像形成手段、画像幅検出手段、ずれ量検出手段および調整値設定手段を備える画像形成装置である。第1画像形成部は、基準色の単色画像を、周回移動可能に懸架された転写ベルト上に形成する。第2画像形成部は、非基準色の単色画像を、転写ベルト上に形成する。基準色画像形成手段は、第1画像形成部に、第1基準色画像および第1基準色画像に対して転写ベルトの周回移動方向に間隔を隔てて配置される第2基準色画像を転写ベルト上に形成させる。非基準色画像形成手段は、第2画像形成部に、第1基準色画像よりも周回移動方向の画像幅が小さい第1非基準色画像を、当該第1基準色画像の範囲内において周回移動方向の上流側および下流側の一方の端部に沿うように、および第2基準色画像よりも周回移動方向の画像幅が小さい第2非基準色画像を、当該第2基準色画像の範囲内において周回移動方向の上流側および下流側の他方の端部に沿うように、それぞれ転写ベルト上に形成させる。画像幅検出手段は、転写ベルト上に形成された、第1基準色画像および第1非基準色画像を含む画像の周回移動方向の画像幅である第1画像幅並びに転写ベルト上に形成された、第2基準色画像および第2非基準色画像を含む画像の周回移動方向の画像幅である第2画像幅をそれぞれ検出する。ずれ量検出手段は、第1基準色画像の周回移動方向の設定上の画像幅と第1画像幅との差と、第2基準色画像の周回移動方向の設定上の画像幅と第2画像幅との差とに応じた画像位置のずれ量を検出する。調整値設定手段は、ずれ量検出手段によって検出された画像位置のずれ量に応じて、第2画像形成部における画像形成タイミングを調整するためのレジスト調整値を設定する。
【0009】
第2の発明は、第1の発明に従属する画像形成装置であって、第1非基準色画像は、当該第1非基準色画像の周回移動方向の下流側端部が第1基準色画像の周回移動方向の下流側端部に沿うように形成され、第2非基準色画像は、当該第2非基準色画像の周回移動方向の上流側端部が第2基準色画像の周回移動方向の上流側端部に沿うように形成される。
【0010】
第3の発明は、第1の発明に従属する画像形成装置であって、第1非基準色画像は、当該第1非基準色画像の周回移動方向の上流側端部が第1基準色画像の周回移動方向の上流側端部に沿うように形成され、第2非基準色画像は、当該第2非基準色画像の周回移動方向の下流側端部が第2基準色画像の周回移動方向の下流側端部に沿うように形成される。
【0011】
第4の発明は、第1の発明から第3の発明までのいずれかに従属する画像形成装置であって、第1非基準色画像の周回移動方向の画像幅および第2非基準色画像の周回移動方向の画像幅のそれぞれは、推定される画像位置の最大のずれ量よりも大きい。
【0012】
第5の発明は、第1の発明から第4の発明までのいずれかに従属する画像形成装置であって、第1基準色画像と第2基準色画像との間隔は、推定される画像位置の最大のずれ量よりも大きい。
【0013】
第6の発明は、基準色の単色画像を、周回移動可能に懸架された転写ベルト上に形成する第1画像形成部と、非基準色の単色画像を、転写ベルト上に形成する第2画像形成部とを備える画像形成装置によって実行される制御プログラムであって、画像形成装置のプロセッサに、第1画像形成部に、第1基準色画像および第1基準色画像に対して転写ベルトの周回移動方向に間隔を隔てて配置される第2基準色画像を転写ベルト上に形成させる基準色画像形成ステップ、第2画像形成部に、第1基準色画像よりも周回移動方向の画像幅が小さい第1非基準色画像を、当該第1基準色画像の範囲内において周回移動方向の上流側および下流側の一方の端部に沿うように、および第2基準色画像よりも周回移動方向の画像幅が小さい第2非基準色画像を、当該第2基準色画像の範囲内において周回移動方向の上流側および下流側の他方の端部に沿うように、それぞれ転写ベルト上に形成させる非基準色画像形成ステップ、転写ベルト上に形成された、第1基準色画像および第1非基準色画像を含む画像の周回移動方向の画像幅である第1画像幅並びに転写ベルト上に形成された、第2基準色画像および第2非基準色画像を含む画像の周回移動方向の画像幅である第2画像幅をそれぞれ検出する画像幅検出ステップ、第1基準色画像の周回移動方向の設定上の画像幅と第1画像幅との差と、第2基準色画像の周回移動方向の設定上の画像幅と第2画像幅との差とに応じた画像位置のずれ量を検出するずれ量検出ステップ、およびずれ量検出ステップによって検出された画像位置のずれ量に応じて、第2画像形成部における画像形成タイミングを調整するためのレジスト調整値を設定する調整値設定ステップを実行させる。
【0014】
第7の発明は、基準色の単色画像を、周回移動可能に懸架された転写ベルト上に形成する第1画像形成部と、非基準色の単色画像を、転写ベルト上に形成する第2画像形成部とを備える画像形成装置の制御方法であって、(a)第1画像形成部に、第1基準色画像および第1基準色画像に対して転写ベルトの周回移動方向に間隔を隔てて配置される第2基準色画像を転写ベルト上に形成させるステップ、(b)第2画像形成部に、第1基準色画像よりも周回移動方向の画像幅が小さい第1非基準色画像を、当該第1基準色画像の範囲内において周回移動方向の上流側および下流側の一方の端部に沿うように、および第2基準色画像よりも周回移動方向の画像幅が小さい第2非基準色画像を、当該第2基準色画像の範囲内において周回移動方向の上流側および下流側の他方の端部に沿うように、それぞれ転写ベルト上に形成させる非基準色画像形成ステップ、(c)転写ベルト上に形成された、第1基準色画像および第1非基準色画像を含む画像の周回移動方向の画像幅である第1画像幅並びに転写ベルト上に形成された、第2基準色画像および第2非基準色画像を含む画像の周回移動方向の画像幅である第2画像幅をそれぞれ検出するステップ、(d)第1基準色画像の周回移動方向の設定上の画像幅と第1画像幅との差と、第2基準色画像の周回移動方向の設定上の画像幅と第2画像幅との差とに応じた画像位置のずれ量を検出するステップ、および(e)ステップ(d)で検出された画像位置のずれ量に応じて、第2画像形成部における画像形成タイミングを調整するためのレジスト調整値を設定するステップを含む、制御方法である。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、トナー消費量およびレジスト調整の所要時間を抑えながらレジスト調整を適切に実施することができる。
【0016】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1はこの発明の第1実施例である画像形成装置を正面から見た場合の概略構成を示す図解図である。
【
図2】
図2は画像形成部を正面から見た場合の概略構成を示す図解図である。
【
図3】
図3は
図1の画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は転写ユニットおよび検出センサを下から見た場合の概略構成を示す図解図である。
【
図5】
図5は検出センサおよびその周辺構造の概略を示す図解図である。
【
図6】
図6は画像位置および画像幅の検出方法を示す図解図である。
【
図7】
図7は従来のパターン画像を示す図解図である。
【
図8】
図8は本実施例のパターン画像を示す図解図である。
【
図9】
図9は本実施例のパターン画像を拡大した図解図である。
【
図10】
図10は本願発明のパターン画像の一部を示す概略斜視図である。
【
図11A】
図11Aは基準色と非基準色とにずれがない状態を示す概略斜視図である。
【
図11B】
図11Bは基準色と非基準色とがずれた状態の一例を示す概略斜視図である。
【
図11C】
図11Cは基準色と非基準色とがずれた状態の他の例を示す概略斜視図である。
【
図13】
図13は画像形成装置の調整値設定処理の一例を示すフロー図である。
【
図14】
図14は第2実施例における画像位置のずれ量の推移を示すグラフである。
【
図15】
図15は第2実施例における調整値設定処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施例]
図1を参照して、この発明の一実施例である画像形成装置10は、両面印刷機能を有する電子写真方式の画像形成装置であって、帯電、露光、現像、転写および熱定着というプロセスを経ることによって、用紙(記録媒体)の表面上および裏面上に多色の画像(カラー画像)または単色の画像を形成(印刷)する。この第1実施例では、画像形成装置10は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)である。ただし、画像形成装置10は、複合機に限定される必要はなく、カラー画像の印刷機能を備えていればよい。たとえば、画像形成装置10は、複写機、プリンタおよびファクシミリなどでもよい。
【0019】
先ず、画像形成装置10の基本構成について概略的に説明する。
図1に示すように、画像形成装置10は、画像形成部30等を備える装置本体12、およびその上方に配置される画像読取部14を含む。
【0020】
画像読取部14は、透明材によって形成される原稿載置台16を備える。原稿載置台16の上方には、ヒンジ等を介して原稿押えカバー18が開閉自在に取り付けられる。この原稿押えカバー18には、原稿載置トレイ20に載置された原稿を画像読取位置22に対して1枚ずつ自動的に給紙する自動原稿送り装置(ADF:Auto Document Feeder)24が設けられる。また、原稿載置台16の前面側には、ユーザによる入力操作を受け付けるタッチパネルおよび操作ボタン等を含む操作部(図示せず)が設けられる。
【0021】
また、画像読取部14には、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える画像読取部26が内蔵される。画像読取部26は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
【0022】
図1および
図2に示すように、画像形成部30は、露光装置32、現像器34、感光体ドラム36、クリーナユニット38、帯電器40、転写ユニット42および定着ユニット46等を備え、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50から搬送される用紙上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排紙トレイ52に排出する。用紙上に画像を形成するための画像(印刷画像)のデータ(印刷画像データ)としては、画像読取部26で読み取った画像データまたは外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
【0023】
感光体ドラム36は、導電性を有する円筒状の基体の表面に感光層が形成された像担持体であり、帯電器40は、この感光体ドラム36の表面を所定の電位に帯電させる部材である。また、露光装置32は、レーザダイオード(LD)およびポリゴンミラー等を備えたレーザスキャニングユニットとして構成され、感光体ドラム36の下方に配置される。露光装置32は、所定の電位に帯電された感光体ドラム36の表面を露光することによって、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム36の表面に形成する。現像器34は、感光体ドラム36上に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーによって顕像化するものである。また、クリーナユニット38は、現像および画像転写後における感光体ドラム36の表面に残留したトナーを除去する。
【0024】
なお、画像形成装置10において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、現像器34、感光体ドラム36、クリーナユニット38および帯電器40のそれぞれは、各色に応じた4種類のトナー像(単色画像)を個別に形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーション(単色画像形成部)が構成される。
【0025】
図2に示すように、4つの画像ステーションは、それぞれ独立して設けられ、この第1実施例では、中間転写ベルト54の周回移動方向の上流側から順に、イエロー(Y)用の画像ステーション、マゼンタ(M)用の画像ステーション、シアン(C)用の画像ステーションおよびブラック(K)用の画像ステーションが設けられる。
【0026】
転写ユニット42は、中間転写ベルト54、駆動ローラ56、従動ローラ58、4つの中間転写ローラ60および2次転写ローラ44などを備え、各画像ステーションの感光体ドラム36の上方に配置される。
【0027】
中間転写ベルト54は、可撓性を有する無端状のベルトであって、カーボンブラック等の導電性材料を適宜配合した合成樹脂またはゴム等によって形成される。中間転写ベルト54は、駆動ローラ56および従動ローラ58によって懸架され、その外周面が感光体ドラム36の外周面に当接するように配置される。そして、中間転写ベルト54は、駆動ローラ56の回転駆動に伴い、所定方向(
図2では反時計回り)に周回移動する。以下、説明の簡単のため、中間転写ベルト54の周回移動方向の上流側を、単に「上流側」といい、中間転写ベルト54の周回移動方向の下流側を、単に「下流側」ということがある。
【0028】
駆動ローラ56は、図示しない駆動部によってその軸線回りに回転可能に設けられる。従動ローラ58は、中間転写ベルト54の周回移動に伴って回転すると共に、中間転写ベルト54に一定の張力を与えて中間転写ベルト54の弛みを防止する。
【0029】
中間転写ローラ60は、中間転写ベルト54を挟んで各感光体ドラム36と対向する位置のそれぞれに配置される。画像形成時には、中間転写ローラ60に所定の電圧(1次転写電圧)が印加されることによって、感光体ドラム36と中間転写ベルト54との間に転写電界が形成される。そして、この転写電界の作用によって、各画像ステーションの感光体ドラム36の外周面に形成されたトナー像が中間転写ベルト54の外周面に転写(1次転写)される。
【0030】
2次転写ローラ44は、中間転写ベルト54を挟んで駆動ローラ56と対向する位置に配置され、駆動ローラ56との間で中間転写ベルト54を押圧するように設けられる。画像形成時には、2次転写ローラ44に所定の電圧(2次転写電圧)が印加されることによって、中間転写ベルト54と2次転写ローラ44との間に転写電界が形成される。そして、この転写電界の作用によって、中間転写ベルト54と2次転写ローラ44との間の転写ニップ域(2次転写ニップ部)を用紙が通過する間に、中間転写ベルト54の外周面に形成されたトナー像が用紙に転写(2次転写)される。
【0031】
図1に戻って、定着ユニット46は、ヒートローラ62および加圧ローラ64を備え、2次転写ローラ44の上方に配置される。ヒートローラ62は、所定の定着温度となるように設定されており、ヒートローラ62と加圧ローラ64との間のニップ域を用紙が通過することによって、用紙に転写されたトナー像が加熱および圧接されて、用紙に対してトナー像が熱定着される。
【0032】
このような装置本体12内には、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50からの用紙をレジストローラ68、2次転写ローラ44および定着ユニット46を経由させて排紙トレイ52に送るための第1用紙搬送路L1が形成される。また、用紙に対して両面印刷を行う際に、表面側の印刷が終了して定着ユニット46を通過した後の用紙を、2次転写ローラ44の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路L1に戻すための第2用紙搬送路L2が形成される。この第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2には、用紙に対して補助的に推進力を与えるための複数の搬送ローラ66が適宜設けられる。
【0033】
レジストローラ68は、搬送ローラ66によって搬送された用紙を挟持した状態で待機(一旦停止)し、転写ユニット42と同期させて用紙の搬送を開始する。このとき、レジストローラ68は、中間転写ベルト54の周速度と等しい周速度で回転される。
【0034】
画像形成装置10において片面印刷を行う際には、用紙は、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50から1枚ずつ第1用紙搬送路L1に導かれ、搬送ローラ66によってレジストローラ68まで搬送される。そして、レジストローラ68によって、用紙の先端と中間転写ベルト54上の画像情報の先端とが整合するタイミングで用紙が2次転写ローラ44(2次転写ニップ部)に搬送され、用紙上にトナー像が転写される。その後、定着ユニット46(定着ニップ部)を通過することによって用紙上の未定着トナーが熱定着されて、排紙トレイ52上に用紙が排出される。
【0035】
一方、両面印刷を行う際には、表面側の印刷が終了して定着ユニット46を通過した用紙の後端部が排紙トレイ52近傍の搬送ローラ66まで到達したとき、この搬送ローラ66を逆回転させることによって、用紙が逆走して第2用紙搬送路L2に導かれる。第2用紙搬送路L2に導かれた用紙は、搬送ローラ66によって第2用紙搬送路L2を搬送されて、レジストローラ68の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路L1に導かれる。この時点で用紙の表裏は反転されており、レジストローラ68、2次転写ローラ44および定着ユニット46を用紙が通過することによって、用紙の裏面側に印刷が行われる。
【0036】
図3は
図1に示す画像形成装置10の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、画像形成装置10はCPU80を含み、CPU80には、バス82を介して、RAM84、記憶部86、画像読取部26、画像形成部30および検出センサ88などが接続される。また、図示は省略するが、操作部等の各コンポーネントもバス82を介してCPU80に接続される。
【0037】
CPU80は、画像形成装置10の全体的な制御を司り、上述した画像形成装置10の各コンポーネントの動作を統括的に制御する。
【0038】
RAM84は、CPU80のワーク領域およびバッファ領域として使用される。記憶部86は、たとえばHDDであり、CPU80が画像形成装置10の各コンポーネントの動作を制御するための制御プログラムおよび後述する調整値データ304c(
図12参照)などを記憶する画像形成装置10の主記憶装置である。ただし、HDDに代えて、またはHDDとともに、SSD、フラッシュメモリ、EEPROMなどの他の不揮発性メモリが用いられてもよい。
【0039】
検出センサ88は、中間転写ベルト54の外周面に近接して配置され、中間転写ベルト54上の画像(トナー像)の位置(画像位置)および画像の周回移動方向(副走査方向)の幅寸法(副走査方向の画像幅)を検出するためのセンサである。
図1、
図2および
図4に示すように、検出センサ88は、4つの画像ステーションのうち、最も下流側の画像ステーション(本実施例ではブラック用の画像ステーション)と、2次転写ニップ部との間に配置される。
【0040】
また、
図4および
図5に示すように、第1実施例の画像形成装置10では、2つの検出センサ88が設けられる。2つの検出センサ88は、中間転写ベルト54の幅方向(主走査方向)において互いに異なる位置に配置される。一方の検出センサ88は、主走査方向における一方端部(画像形成装置10の前面側)に配置され、他方の検出センサ88は、主走査方向における他方端部(画像形成装置10の背面側)に配置される。
【0041】
図5に示すように、検出センサ88は、筐体880、発光部882および受光部884を含む。発光部882は、発光ダイオードなどの発光素子を含み、中間転写ベルト54の表面に向かって光を照射する。受光部884は、フォトダイオードなどの受光素子を含み、発光部882から照射された光が中間転写ベルト54で反射した反射光を受光して、その受光量に応じた電気信号または受光量を電圧値に変換した電気信号を出力する。ただし、
図6に示すように、受光部884において反射光を受光可能な検出領域およびその領域に対応する中間転写ベルト54上の領域(中間転写ベルト54上の検出領域)は、略円状または略楕円状に形成される。
【0042】
また、受光部884の受光量は、中間転写ベルト54上の画像の有無によって変化する。すなわち、中間転写ベルト54上の画像の有無によって、受光部884から出力される電気信号に応じた電圧値が変化する。したがって、中間転写ベルト54上の検出領域を画像が通過する場合には、中間転写ベルト54上の検出領域に画像が入ると電圧値が低下し、中間転写ベルト54上の検出領域から画像が出ると電圧値が上昇する。
【0043】
ここで、電圧値が所定のしきい値を下回ったとき(a1)に、中間転写ベルト54上の検出領域の中央を画像の先端が通過したと判定され、その後、電圧値が所定のしきい値を上回ったとき(a2)に、中間転写ベルト54上の検出領域の中央を画像の後端が通過したと判定される。なお、しきい値は、通常時(中間転写ベルト54上に画像が無い状態)の電圧値の略半分の値に設定される。
【0044】
そして、画像の先端が通過した時間(a1)と、画像の後端が通過した時間(a2)との差(時間差)から、周回移動方向の幅寸法(副走査方向の画像幅)が算出される。また、画像の先端が通過した時間(a1)と、画像の後端が通過した時間(a2)から、中間転写ベルト54上の検出領域の中央を画像の中央位置が通過した時間、すなわち中間転写ベルト54上の画像の位置(中央位置)が算出される。
【0045】
なお、
図3に示す画像形成装置10の電気的な構成は単なる一例であり、これに限定される必要はない。
【0046】
このような構成の画像形成装置では、複数色の画像ステーションの感光体ドラム36上にそれぞれの色の画像を形成してから、各感光体ドラム36上の各色の画像を中間転写ベルト54上に順次重ねて転写するため、中間転写ベルト54上の各色の画像の転写位置がずれてしまう(色ずれが発生する)ことがある。
【0047】
このような問題を解決するために、従来の画像形成装置では、所定のプリント枚数毎や、所定の時間毎(所定の累積時間到達時)に定期的に自動的にレジスト調整が実施され、一定の画像品質を維持している。具体的には、レジスト調整が開始されると、
図7に示すように、中間転写ベルト54上の検出センサ88に対応する位置(前面側の検出センサ88および背面側の検出センサ88のそれぞれに対応する位置)に、各色のパターン画像が所定の間隔で形成され、検出センサ88の出力に応じて、各色のパターン画像の位置が算出される。そして、各色のパターン画像のそれぞれの位置(中央)を検出して、各色のパターン画像の位置の相互のずれ量、すなわち各画像ステーションで転写される各色の画像の転写位置のずれ量が算出(検出)される。
【0048】
たとえば、基準色のパターン画像の転写位置に対する基準色以外の非基準色のパターン画像の転写位置のずれ量が算出される。この各非基準色のパターン画像の転写位置のずれ量に応じて、各非基準色の画像ステーション毎にレジスト調整値が設定される。レジスト調整値とは、露光装置32による各感光体ドラム36への静電潜像の書き込みタイミング、すなわち各画像ステーションにおける画像形成のタイミングの初期値を調整するための値である。このレジスト調整値が時間に換算されて、露光装置32による各感光体ドラム36への静電潜像の書き込みタイミングが調整され、中間転写ベルト54上の各色の画像の位置ずれが補正される。このように、レジスト調整が実施されることによって、用紙に転写されるカラー画像の品質を確保することができる。
【0049】
しかしながら、従来の画像形成装置で実行される自動レジスト調整では、レジスト調整の精度を確保するために多数のパターン画像を形成する必要があり、レジスト調整において多くのトナーを消費してしまうこと、レジスト調整に要する時間が長くなることなど、種々の問題がある。このような問題を解決するために、パターン画像を用いるレジスト調整の頻度を低く(1日あたり3~4回)して、パターン画像を用いるレジスト調整を行わない時間帯では温度等に応じた予想制御によって各潜像の位置を調整することが考えられる。しかしながら、予想制御では、外気温度等の要因によって適切に調整できない場合がある。
【0050】
そこで、本実施例では、トナー消費量およびレジスト調整の所要時間を抑えることができる新規なパターン画像を用いるようにした。以下、本実施例のパターン画像の形態およびレジスト調整方法について説明する。
【0051】
図8は本実施例のパターン画像120を示す図解図である。
図8に示すように、パターン画像120は、基準色(本実施例ではブラック)の画像の転写位置(画像位置)に対する基準色以外の非基準色(本実施例ではシアン、マゼンタおよびイエロー)の画像の転写位置の差(画像位置のずれ量)を検出するための画像であり、非基準色毎のパターン画像(本実施例では120Y,120M,120C)を含む。
【0052】
詳細は後述するが、各パターン画像120Y,120M,120Cのそれぞれは、基準色の画像と、1つの非基準色の画像とが重ねられた画像であり、基準色の画像ステーションおよび対応する非基準色の画像ステーションによって形成される。また、パターン画像120Y,120M,120Cは、中間転写ベルト54の周回移動方向(副走査方向)に所定の間隔で並ぶように形成される。
図8に示す例では、上流側から順に、イエロー(Y)のパターン画像120Y、マゼンタ(M)のパターン画像120M、およびシアン(C)のパターン画像120Cが中間転写ベルト54上に形成される。以下、パターン画像120Y,120M,120Cを特に区別しない場合には単に「パターン画像120」と言うことがある。なお、図示は省略するが、パターン画像120は、中間転写ベルト54上の検出センサ88に対応する位置に形成される。
【0053】
図8~
図10に示すように、パターン画像120は、上流側に形成される上流側の検出用画像122と、下流側に形成される下流側の検出用画像124とを含む。上流側の検出用画像122および下流側の検出用画像124のそれぞれは、主走査方向に延びる線状の画像であり、上流側の検出用画像122および下流側の検出用画像124の主走査方向の長さは略同じである。また、上流側の検出用画像122と下流側の検出用画像124とは、周回移動方向に所定の間隔Cを隔てて略平行に配置される。ただし、上流側の検出用画像122と下流側の検出用画像124との間隔Cの寸法は、推定される非基準色の画像位置の最大のずれ量(たとえば0.2mm~0.8mm)よりも大きく設定される。
【0054】
上流側の検出用画像122は、基準色の画像である第1基準色画像122aおよび非基準色の画像である第1非基準色画像122bを含む。下流側の検出用画像124は、基準色の画像である第2基準色画像124aおよび非基準色の画像である第2非基準色画像124bを含む。ただし、同じパターン画像120に含まれる第1非基準色画像122bと第2非基準色画像124bとは、同じ色の画像である。
【0055】
また、第1基準色画像122aおよび第2基準色画像124aの周回移動方向の長さ(副走査方向の画像幅)W1は、略同じであり、第1非基準色画像122bおよび第2非基準色画像124bの副走査方向の画像幅W2は、略同じである。すなわち、第1基準色画像122aと第2基準色画像124aとは、略同じ形状であり、第1非基準色画像122bと第2非基準色画像124bとは、略同じ形状である。
【0056】
さらに、第1非基準色画像122bおよび第2非基準色画像124bの副走査方向の画像幅W2は、第1基準色画像122aおよび第2基準色画像124aの副走査方向の画像幅W1よりも小さい。たとえば、第1非基準色画像122bおよび第2非基準色画像124bの副走査方向の画像幅W2は、第1基準色画像122aおよび第2基準色画像124aの副走査方向の画像幅W1の略半分である。ただし、第1非基準色画像122bおよび第2非基準色画像124bの副走査方向の画像幅W2は、推定される非基準色の画像の位置の最大のずれ量よりも大きく設定される。
【0057】
さらに、第1非基準色画像122bの設定上の位置は、少なくとも副走査方向において第1基準色画像122aの範囲内に収まるように設定され、第2非基準色画像124bの設定上の位置は、少なくとも副走査方向において第2基準色画像124aの範囲内に収まるように設定される。すなわち、副走査方向において、第1非基準色画像122bの設定上の位置は第1基準色画像122aに重なるように設定され、第2非基準色画像124bの設定上の位置は、第2基準色画像124aに重なるように設定される。
【0058】
さらにまた、第1非基準色画像122bの設定上の位置は、第1基準色画像122aの範囲内において、上流側および下流側の一方に寄った位置に設定され、第2非基準色画像124bの設定上の位置は、第2基準色画像124aの範囲内において、上流側および下流側の他方に寄った位置に設定される。すなわち、上流側の検出用画像122と下流側の検出用画像124とは、中間転写ベルト54上の周回移動方向に直交する線を中心に線対称に配置される。
【0059】
また、第1非基準色画像122bの設定上の位置は、第1基準色画像122aの範囲内において上流側に寄せて設定され、第2非基準色画像124bの設定上の位置は、第2基準色画像124aの範囲内において下流側に寄せて設定される。より詳しくは、第1非基準色画像122bの設定上の位置は、その上流側端部が第1基準色画像122aの上流側端部に沿うように設定され、第2非基準色画像124bの設定上の位置は、その下流側端部が第2基準色画像124aの下流側端部に沿うように設定される。すなわち、第1非基準色画像122bの上流側端部と第1基準色画像122aの上流側端部とが揃うように、第1基準色画像122aおよび第1非基準色画像122bが配置され、第2非基準色画像124bの下流側端部と第2基準色画像124aの下流側端部とが揃うように、第2基準色画像124aおよび第2非基準色画像124bが配置される。
【0060】
なお、図示は省略するが、第1非基準色画像122bが、第1基準色画像122aの範囲内において下流側に寄せて配置され、第2非基準色画像124bは、第2基準色画像124aの範囲内において上流側に寄せて配置されていてもよい。この場合、第1非基準色画像122bが、その下流側端部が第1基準色画像122aの下流側端部に沿うように配置され、第2非基準色画像124bが、その上流側端部が第2基準色画像124aの上流側端部に沿うように配置されてもよい。
【0061】
そして、本実施例のレジスト調整では、まず、パターン画像120に含まれる上流側の検出用画像122および下流側の検出用画像124のそれぞれの副走査方向の画像幅が検出される。ただし、上述したように、第1非基準色画像122bの設定上の位置は、第1基準色画像122aの範囲内に収まるように設定され、第2非基準色画像124bの設定上の位置は、第2基準色画像124aの範囲内に収まるように設定される。このため、上流側の検出用画像122の基準(設定上)の画像幅は、第1基準色画像122aの画像幅と同じであり、下流側の検出用画像124の設定上の画像幅は、第2基準色画像124aの画像幅と同じである。
【0062】
図11Aに示すように、基準色の画像位置と非基準色の画像位置とに位置ずれが無いまたは殆ど無い場合には、第1基準色画像122aの画像幅がそのまま上流側の検出用画像122の画像幅として検出され、第2基準色画像124aの画像幅がそのまま下流側の検出用画像124の画像幅として検出される。このため、上流側の検出用画像122の実際の画像幅は、上流側の検出用画像122の設定上の画像幅と同じである。また、下流側の検出用画像124の実際の画像幅は、下流側の検出用画像124の設定上の画像幅と同じである。すなわち、上流側の検出用画像122および下流側の検出用画像124のいずれにおいても、実際の画像幅と設定上の画像幅との差が無い。さらに、上流側の検出用画像122の実際の画像幅と、下流側の検出用画像124の実際の画像幅とが同じである。
【0063】
このように、上流側の検出用画像122および下流側の検出用画像124のいずれにおいても、実際の画像幅と設定上の画像幅との差が無い場合(または上流側の検出用画像122の実際の画像幅と、下流側の検出用画像124の実際の画像幅とに差が無い場合)には、基準色の画像位置と非基準色の画像位置とにずれが無い(画像位置のずれ量がゼロである)と判断される。
【0064】
一方、
図11Bに示すように、基準色の画像位置に対して非基準色の画像位置が上流側にずれている場合には、第1基準色画像122aおよび第2基準色画像124aの画像位置に対して、第1非基準色画像122bおよび第2非基準色画像124bの画像位置が上流側にずれた状態となる。この場合、第1非基準色画像122bの上流側端部が、第1基準色画像122aの上流側端部からはみ出した状態となる。そして、第1非基準色画像122bが第1基準色画像122aからはみ出した部分も含めて上流側の検出用画像122の画像幅が検出されるので、上流側の検出用画像122の実際の画像幅は、設定上の画像幅よりも大きくなる。一方、第2非基準色画像124bは、第2基準色画像124aの範囲内に留まっているので、下流側の検出用画像124の実際の画像幅は、設定上の画像幅と同じである。
【0065】
このように、上流側の検出用画像122において、実際の画像幅と設定上の画像幅とに差があり、下流側の検出用画像124において、実際の画像幅と設定上の画像幅との差が無い場合には、基準色の画像位置に対して非基準色の画像位置が上流側にずれていると判断される。
【0066】
また、
図11Cに示すように、基準色の画像位置に対して非基準色の画像位置が下流側にずれている場合には、第1基準色画像122aおよび第2基準色画像124aの画像位置に対して、第1非基準色画像122bおよび第2非基準色画像124bの画像位置が下流側にずれた状態となる。この場合、第2非基準色画像124bの下流側端部が、第2基準色画像124aの下流側端部からはみ出した状態となる。そして、第2非基準色画像124bが第2基準色画像124aからはみ出した部分も含めて下流側の検出用画像124の画像幅が検出されるので、下流側の検出用画像124の実際の画像幅は、設定上の画像幅よりも大きくなる。すなわち、下流側の検出用画像124において、実際の画像幅と設定上の画像幅とに差がある。一方、第1非基準色画像122bは、第1基準色画像122aの範囲内に留まっているので、上流側の検出用画像122の実際の画像幅は、設定上の画像幅と同じである。
【0067】
このように、下流側の検出用画像124において、実際の画像幅と設定上の画像幅とに差があり、上流側の検出用画像122において、実際の画像幅と設定上の画像幅との差が無い場合には、基準色の画像位置に対して非基準色の画像位置が下流側にずれていると判断される。
【0068】
そして、基準色の画像位置に対して非基準色の画像位置がずれていると判断された場合には、画像幅の差の寸法Dの大きさに応じて、画像位置のずれ量が検出され、画像位置のずれ量に応じて、非基準色の画像ステーションにおける画像形成のタイミング(露光装置32による各感光体ドラム36への静電潜像の書き込みタイミング)を調整するためのレジスト調整値が設定される。ここでは、基準色の画像位置に対する非基準色の画像位置が一致するように、レジスト調整値が設定される。
【0069】
画像形成装置10の上記のような動作は、CPU80がRAM84に記憶された制御プログラムを実行することによって実現される。具体的な処理については、後でフロー図を用いて説明する。
【0070】
図12は
図3に示したRAM84のメモリマップ300の一例を示す図解図である。
図12に示すように、RAM84は、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304を含む。RAM84のプログラム記憶領域302には、上述したように、画像形成装置10の制御プログラムが記憶される。制御プログラムは、パターン形成プログラム302a、画像幅検出プログラム302b、調整値設定プログラム302c、画像形成プログラム302dおよび画像読取プログラム302eを含む。
【0071】
パターン形成プログラム302aは、画像形成部30を制御して、パターン画像データ304aに応じてパターン画像120を中間転写ベルト54上に形成するためのプログラムである。
【0072】
画像幅検出プログラム302bは、検出センサ88の出力に応じて、中間転写ベルト54上に形成された、パターン画像120に含まれる上流側の検出用画像122および下流側の検出用画像124のそれぞれの実際の画像幅を検出するためのプログラムである。
【0073】
調整値設定プログラム302cは、画像幅検出プログラム302bに従って検出される上流側の検出用画像122および下流側の検出用画像124のそれぞれの実際の画像幅と、上流側の検出用画像122および下流側の検出用画像124のそれぞれの設定上の画像幅との差に応じて、レジスト調整値を設定するためのプログラムである。
【0074】
画像形成プログラム302dは、印刷ジョブが実行される際に、画像形成部30を制御して、印刷画像に応じて多色または単色の印刷画像を用紙に印刷するためのプログラムである。ただし、画像形成プログラム302dは、調整値設定プログラム302cに従って設定されたレジスト調整値を適用して露光装置32による各感光体ドラム36への静電潜像の書き込みタイミングを調整するためのプログラムでもある。
【0075】
画像読取プログラム302eは、画像読取部26を制御して、原稿の画像を読み取り、読み取った画像に対応する画像信号(画像データ)を出力するためのプログラムである。
【0076】
なお、図示は省略するが、プログラム記憶領域302には、画像形成装置10の各種の機能を選択および実行するためのプログラムなども記憶される。
【0077】
RAM84のデータ記憶領域304には、パターン画像データ304a、画像幅データ304bおよび調整値データ304cなどが記憶される。
【0078】
パターン画像データ304aは、パターン画像120についてのデータである。画像幅データ304bは、上流側の検出用画像122および下流側の検出用画像124のそれぞれの設定上の画像幅のデータ、および画像幅検出プログラム302bに従って検出されるパターン画像120に含まれる上流側の検出用画像122および下流側の検出用画像124のそれぞれの実際の画像幅を示すデータである。調整値データ304cは、調整値設定プログラム302cに従って設定されるレジスト調整値を示すデータである。ただし、調整値データ304cは、レジスト調整値が設定されたときに記憶部86に記憶され、印刷ジョブが実行される際に、記憶部86から読み出されてRAM84のデータ記憶領域304に記憶される。
【0079】
なお、図示は省略するが、データ記憶領域304には、露光装置32による各感光体ドラム36への静電潜像の書き込みタイミング、すなわち各画像ステーションにおける画像形成のタイミングの初期値についてのデータ、その他の制御プログラムの実行に必要なレジスタが設けられたり、制御プログラムの実行に必要な他のデータが記憶されたりする。
【0080】
図13は画像形成装置10のCPU80の調整値設定処理の一例を示すフロー図である。この調整値設定処理は、所定のタイミングで定期的に実行され、たとえば所定の時間毎(たとえば1時間毎)に実行される。
図13に示すように、CPU80は、調整値設定処理を開始すると、ステップS1で、画像形成部30を制御して、或る非基準色のパターン画像120を中間転写ベルト54に形成し、ステップS3で、検出センサ88の出力に応じて、下流側の検出用画像124の実際の画像幅を検出し、ステップS5で、検出センサ88の出力に応じて、上流側の検出用画像122の実際の画像幅を検出し、ステップS7で、上流側の検出用画像122および下流側の検出用画像124のそれぞれの実際の画像幅と、上流側の検出用画像122および下流側の検出用画像124のそれぞれの設定上の画像幅とを比較して、ステップS9で、上流側の検出用画像122および下流側の検出用画像124のそれぞれの実際の画像幅と、上流側の検出用画像122および下流側の検出用画像124のそれぞれの設定上の画像幅とに差があるかどうか、すなわち、基準色の画像位置と非基準色の画像位置とがずれているかどうかを判断する。
【0081】
ステップS9で“YES”であれば、つまり、基準色の画像位置と非基準色の画像位置とがずれていると判断した場合は、ステップS11で、画像幅の差(画像位置のずれ量)に応じて、レジスト調整値を設定して、ステップS13で、レジスト調整値を記憶して、ステップS15に進む。一方、ステップS9で“NO”であれば、つまり、基準色の画像位置と非基準色の画像位置とがずれていないと判断した場合は、ステップS11およびS13を経ずにステップS15に進む。
【0082】
ステップS15では、調整値設定処理を終了するかどうかを判断する。ステップS15で“NO”であれば、つまり、調整値設定処理を終了しないと判断した場合には、ステップS17で、次のパターン画像120を中間転写ベルト54に形成し、ステップS3に戻る。一方、ステップS15で“YES”であれば、つまり、調整値設定処理を終了すると判断した場合には、調整値設定処理を終了する。
【0083】
この第1実施例によれば、従来のパターン画像に比べてパターン画像120を小型化することができ、トナー消費量およびレジスト調整の所要時間を抑えることができる。
【0084】
また、第1実施例によれば、第1非基準色画像122bの設定上の位置は、その上流側端部が第1基準色画像122aの上流側端部に沿うように設定され、第2非基準色画像124bの設定上の位置は、その下流側端部が第2基準色画像124aの下流側端部に沿うように設定されるので、画像位置のずれ量を正確に検出することができる。
【0085】
さらに、第1実施例では、上流側の検出用画像122と下流側の検出用画像124との間隔Cの寸法は、推定される非基準色の画像位置の最大のずれ量よりも大きく設定される。このため、画像位置のずれ量が大きい場合でも上流側の検出用画像122と下流側の検出用画像124とが重ならないので、画像位置のずれ量を適切に検出することができる。
【0086】
さらにまた、第1実施例では、第1非基準色画像122bおよび第2非基準色画像124bの副走査方向の画像幅W2は、推定される非基準色の画像の位置の最大のずれ量よりも大きく設定される。このため、画像位置のずれ量が大きい場合でも第1非基準色画像122bおよび第2非基準色画像124bのそれぞれが第1基準色画像122aおよび第2基準色画像124aのそれぞれの範囲外に形成されることがないので、画像位置のずれ量を適切に検出することができる。
[第2実施例]
第2実施例の画像形成装置10は、レジスト調整値の設定方法が異なる以外は、第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
【0087】
第2実施例では、基準色の画像位置に対して非基準色の画像位置がずれていると判断された場合には、画像位置のずれ量が、所定の閾値以上かどうかが判断される。画像位置のずれ量が閾値未満であれば、画像位置のずれ量に応じて、レジスト調整値が設定される。すなわち、画像位置のずれ量が閾値未満の場合には、第1実施例と同じようにレジスト調整値が設定される。
【0088】
一方、画像位置のずれ量が閾値以上であれば、すなわち、画像位置のずれ量が大きい場合には、閾値に応じた一定のレジスト調整値が設定される。したがって、画像位置のずれ量が閾値以上の場合には、実際の画像位置のずれ量よりも小さい画像位置のずれ量に応じたレジスト調整値が設定される。つまり、基準色の画像位置に対する非基準色の画像位置が近づくように、すなわち、基準色の画像位置に対する非基準色の画像位置の差が小さくなるように、レジスト調整値が設定される。
【0089】
図14は第2実施例における画像幅のずれ量の推移を示すグラフである。
図14に示すように、画像位置のずれ量が閾値以上である場合には、閾値に応じた一定のレジスト調整値が設定されるので、最初のレジスト調整では、基準色の画像位置に対する非基準色の画像位置が一致しない。ただし、レジスト調整を行う毎に、少しずつ基準色の画像位置に対する非基準色の画像位置の差が小さくなり、レジスト調整を繰り返すことによって、基準色の画像位置に対する非基準色の画像位置が一致する。
【0090】
また、第2実施例では、上述したような動作を実現するために、画像形成装置10のRAM84に記憶された画像形成装置10用の情報処理プログラムには、画像位置のずれ量が閾値以上であるかどうかを判定するための判定プログラムが含まれる。RAM84のデータ記憶領域304には、閾値のデータが記憶される。
【0091】
以下、フロー図を用いて、第2実施例における画像形成装置10の調整値設定処理および画像形成処理について説明するが、第1実施例で説明した調整値設定処理および画像形成処理と同じ処理については同じ参照符号を付し、重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
【0092】
図15は第2実施例における調整値設定処理の一例を示すフロー図である。
図15に示すように、CPU80は、調整値設定処理を開始すると、ステップS9で“YES”であれば、ステップS31で、画像幅の差(画像位置のずれ量)が閾値以上かどうかを判断する。ステップS31で“YES”であれば、つまり、画像位置のずれ量が閾値以上であると判断した場合は、ステップS33で、閾値に応じたレジスト調整値を設定して、ステップS13に進む。一方、ステップS31で“NO”であれば、つまり、画像位置のずれ量が閾値未満であると判断した場合は、ステップS11に進む。
【0093】
なお、ステップS1からステップS17までの処理の内容については、第1実施例と同じであるので詳しい説明を省略する。
【0094】
この第2実施例によれば、第1実施例と同様に、従来のパターン画像に比べてパターン画像120を小型化することができ、トナー消費量およびレジスト調整の所要時間を抑えることができる。
【0095】
また、第2実施例によれば、画像位置のずれ量が閾値以上である場合には、閾値に応じた一定のレジスト調整値が設定されるので、レジスト調整1回あたりの、画像幅の検出ばらつきおよび各コンポーネントの機械的なばらつきの影響を少なくすることができる。
【0096】
なお、上述の実施例では、上流側の検出用画像122および下流側の検出用画像124のそれぞれが主走査方向に延びる線状の画像である場合を例に挙げて説明したが、
図16に示すように、上流側の検出用画像122および下流側の検出用画像124としては、主走査方向に延びる線状の画像と、主走査方向および副走査方向に対して斜めに延びる画像とが併用されてもよい。このようにすれば、各画像ステーションにおける画像の主走査方向の位置ずれも測定することができる。
【0097】
また、非基準色の画像が、推定される非基準色の画像の位置の最大のずれ量よりも大きくずれた場合には、上流側の検出用画像122と下流側の検出用画像124とが重なったり、第1非基準色画像122bおよび第2非基準色画像124bのそれぞれが第1基準色画像122aおよび第2基準色画像124aのそれぞれの範囲外に形成されたりして、画像位置のずれ量を検出できなくなることがある。このように、画像位置のずれ量が大きすぎる場合には、従来の画像形成装置で実行される自動レジスト調整を実行してもよい。
【0098】
さらに、上述の実施例で挙げた具体的な数値、構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0099】
10 …画像形成装置
14 …画像読取部
30 …画像読取部
36 …感光体ドラム
42 …転写ユニット
54 …中間転写ベルト
88 …検出センサ
120…パターン画像