(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】自動運転可能な車両
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230928BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20230928BHJP
B60Q 1/50 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 H
G08G1/09 F
B60Q1/50 Z
(21)【出願番号】P 2019175674
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-08-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100182051
【氏名又は名称】松川 直宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179280
【氏名又は名称】河村 育郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180747
【氏名又は名称】小森 剛彦
(72)【発明者】
【氏名】山崎 研太郎
(72)【発明者】
【氏名】木下 真
(72)【発明者】
【氏名】高山 圭介
(72)【発明者】
【氏名】村松 悠太
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-137365(JP,A)
【文献】特開2019-114188(JP,A)
【文献】特開2016-115356(JP,A)
【文献】特開2012-11849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00 - 1/56
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
B62D 6/00 - 6/10
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行を自動運転と手動運転とで切り替えて制御する走行制御部と、
自動運転の際に前記車両の外から視認されるように点灯可能な自動運転表示ランプと、
前記走行制御部が前記車両の走行を自動運転で制御する自動運転中に、自動運転状態であることを示す前記自動運転表示ランプを点灯するように制御するランプ制御部と、
を有し、
前記ランプ制御部は、
自動運転中に、走行制御状態の変化および走行環境の変化の少なくとも一方に応じて前記自動運転表示ランプの点灯状態を変化さ
せ、
自動運転中に前記自動運転表示ランプを消灯した状態で前記走行制御部が前記車両の走行を自動運転から手動運転に切り替える場合、前記自動運転表示ランプを再点灯した後、前記自動運転表示ランプを消灯する、
自動運転可能な車両。
【請求項2】
車両の走行を自動運転と手動運転とで切り替えて制御する走行制御部と、
自動運転の際に前記車両の外から視認されるように点灯可能な自動運転表示ランプと、
前記走行制御部が前記車両の走行を自動運転で制御する自動運転中に、自動運転状態であることを示す前記自動運転表示ランプを点灯するように制御するランプ制御部と、
を有し、
前記ランプ制御部は、
自動運転中に
、走行制御状態の変化および走行環境の変化の少なくとも一方に応じて前記自動運転表示ランプの点灯状態を変化させ、
自動運転中に
前記自動運転表示ランプを消灯した状態で前記車両の走行に影響する異常または外乱が検出または予測される場合、自動運転中に
消灯していた前記自動運転表示ランプを
再点灯する、
自動運転可能な車両。
【請求項3】
前記ランプ制御部は、
自動運転中であっても点灯が不要な走行環境である場合には、自動運転中に前記自動運転表示ランプを消灯する、
請求項1または2記載の、自動運転可能な車両。
【請求項4】
前記ランプ制御部は、
自動運転中に
前記車両が走行している場所の属性情報を取得し、
自動運転中の前記車両が自動運転専用の道路またはレーンを走行している場合には、自動運転中
に前記自動運転表示ランプを
消灯する、
請求項1から3のいずれか一項記載の、自動運転可能な車両。
【請求項5】
前記ランプ制御部は、
自動運転中
に前記自動運転表示ランプを消灯した後に、自動運転中に前記車両が走行している場所の属性情報を取得し、
自動運転中の前記車両が自動運転専用の道路またはレーンから離脱して走行している場合には、自動運転中に消灯していた前記自動運転表示ランプを
再点灯する、
請求項1から4のいずれか一項記載の、自動運転可能な車両。
【請求項6】
前記ランプ制御部は、
自動運転中
の前記車両が自動運転専用の道路またはレーンを走行している場合に、さらに前記車両の制動灯・方向指示器・後退灯以外の信号灯または前照灯の点灯状態の情報を取得し、
前記車両が消灯して自動運転により走行しているときには自動運転中に前記自動運転表示ランプを消灯し、
前記車両が点灯して自動運転により走行しているときには前記自動運転表示ランプを
点灯したままに維持する、
請求項1から5のいずれか一項記載の、自動運転可能な車両。
【請求項7】
前記ランプ制御部は、
自動運転中
での前記自動運転表示ランプの点灯制御についてのユーザ設定に基づいて、自動運転中に、前記自動運転表示ランプ
の点灯状態を変化させる、
請求項1から6のいずれか一項記載の、自動運転可能な車両。
【請求項8】
前記ランプ制御部
が前記車両の走行を自動運転で制御する自動運転中に前記自動運転表示ランプの点灯状態を変化させる場合に警告を発する警報装置、を有する、
請求項1から7のいずれか一項記載の、自動運転可能な車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転可能な車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両では、車両の走行を自動化する自動運転の研究開発が進んでいる。
車両は、将来的には、たとえば目的地を設定すると、その目的地まで自動制御により走行し、目的地において駐停車するようになることが期待されている。
このような自動運転可能な車両では、走行する経路の適切な選択、進路の安全性の確認、危険の回避制御、を実行して、目的地まで事故などを起こすことなく走行することが求められると考えられる。
しかしながら、このような安全走行のための制御を実行し得たとしても、100%の安全性を保障し得るとは限らない。自動運転可能な車両による走行制御だけでは、確保可能な安全性について限界がある可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-032433号公報
【文献】特開2019-064471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、このような自動運転可能な車両では、車両が自動運転中である場合に、たとえば車両の外から視認されるように自動運転表示ランプを点灯することが考えられる(特許文献1、2)。
自動運転可能な車両が自動運転中に自動運転表示ランプを点灯することにより、自動運転可能な車両が走行する道路やレーンにいる他の車両の乗員やその周囲にいる歩行者は、車両が自動運転中であることを把握でき、それに応じた行動や事前対応を準備することが可能になる。このように、自動運転可能な車両が走行する環境では、安全性を高めるためには、車両単独の制御のみでは限界があり、それ以外の歩行者や他の車両による協力が必要不可欠であると考えられる。
【0005】
しかしながら、自動運転可能な車両において、自動運転中に自動運転表示ランプを点灯し続けることは、消費電力の増加となる。特に、電動式の車両の場合、消費電力の定常的な増加は、走行可能距離の短縮を招いて走行性能にダイレクトに影響を与える。
また、自動運転表示ランプは、夜間だけでなく昼間の明るい環境においても点灯していることが視認できるようにする必要がある。このため、自動運転表示ランプには、たとえばターコイズブルーのように鮮やかな色が選択される可能性がある。そして、ターコイズブルーは鮮やかな色であるために、車外の人によっては常に点灯し続けていることにより違和感を受ける可能性がある。
【0006】
このように自動運転可能な車両では、改善することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の一形態に係る自動運転可能な車両は、車両の走行を自動運転と手動運転とで切り替えて制御する走行制御部と、自動運転の際に前記車両の外から視認されるように点灯可能な自動運転表示ランプと、前記走行制御部が前記車両の走行を自動運転で制御する自動運転中に、自動運転状態であることを示す前記自動運転表示ランプを点灯するように制御するランプ制御部と、を有し、前記ランプ制御部は、自動運転中に、走行制御状態の変化および走行環境の変化の少なくとも一方に応じて前記自動運転表示ランプの点灯状態を変化させ、自動運転中に前記自動運転表示ランプを消灯した状態で前記走行制御部が前記車両の走行を自動運転から手動運転に切り替える場合、前記自動運転表示ランプを再点灯した後、前記自動運転表示ランプを消灯する。
本発明の実施の他の一形態に係る自動運転可能な車両は、車両の走行を自動運転と手動運転とで切り替えて制御する走行制御部と、自動運転の際に前記車両の外から視認されるように点灯可能な自動運転表示ランプと、前記走行制御部が前記車両の走行を自動運転で制御する自動運転中に、自動運転状態であることを示す前記自動運転表示ランプを点灯するように制御するランプ制御部と、を有し、前記ランプ制御部は、自動運転中に、走行制御状態の変化および走行環境の変化の少なくとも一方に応じて前記自動運転表示ランプの点灯状態を変化させ、自動運転中に前記自動運転表示ランプを消灯した状態で前記車両の走行に影響する異常または外乱が検出または予測される場合、自動運転中に消灯していた前記自動運転表示ランプを再点灯する。
【0008】
好適には、前記ランプ制御部は、自動運転中であっても点灯が不要な走行環境である場合には、自動運転中に前記自動運転表示ランプを消灯する、とよい。
【0009】
好適には、前記ランプ制御部は、自動運転中に前記車両が走行している場所の属性情報を取得し、自動運転中の前記車両が自動運転専用の道路またはレーンを走行している場合には、自動運転中に前記自動運転表示ランプを消灯する、とよい。
【0010】
好適には、前記ランプ制御部は、自動運転中に前記自動運転表示ランプを消灯した後に、自動運転中に前記車両が走行している場所の属性情報を取得し、自動運転中の前記車両が自動運転専用の道路またはレーンから離脱して走行している場合には、自動運転中に消灯していた前記自動運転表示ランプを再点灯する、とよい。
【0011】
好適には、前記ランプ制御部は、自動運転中の前記車両が自動運転専用の道路またはレーンを走行している場合に、さらに前記車両の制動灯・方向指示器・後退灯以外の信号灯または前照灯の点灯状態の情報を取得し、前記車両が消灯して自動運転により走行しているときには自動運転中に前記自動運転表示ランプを消灯し、前記車両が点灯して自動運転により走行しているときには前記自動運転表示ランプを点灯したままに維持する、とよい。
【0014】
好適には、前記ランプ制御部は、自動運転中での前記自動運転表示ランプの点灯制御についてのユーザ設定に基づいて、自動運転中に、前記自動運転表示ランプの点灯状態を変化させる、とよい。
【0015】
好適には、前記ランプ制御部が前記車両の走行を自動運転で制御する自動運転中に前記自動運転表示ランプの点灯状態を変化させる場合に警告を発する警報装置、を有する、とよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、車両の走行制御部が車両の走行を自動運転で制御する自動運転中には、自動運転表示ランプを点灯する。これにより、車両の外にいるたとえば歩行者や他の車両の乗員は、車両が自動運転中であることを認識できる。
しかも、本発明では、自動運転中に点灯している自動運転表示ランプの点灯状態は、走行制御状態の変化および走行環境の変化の少なくとも一方に応じて変化する。これにより、車両の外にいるたとえば歩行者や他の車両の乗員は、単に車両が自動運転中であることを認識できるだけでなく、自動運転のための走行制御状態の変化または走行環境の変化を、自動運転表示ランプの点灯状態の変化により認識できる。自動運転中の車両は、自動運転中であることを自動運転表示ランプの点灯により知らせるだけでなく、自動運転のための走行制御状態の変化または走行環境の変化を、自動運転表示ランプの点灯状態の変化により知らせることができる。その結果、自動運転表示ランプは、単に自動運転中であることを知らせるランプして利用できるだけでなく、車外の人とのコミュニケーションに用いられる多機能のランプとしても利用することができる。
特に、自動運転表示ランプは、自動運転中において常に点灯状態に維持されるのでなく、走行制御状態の変化および走行環境の変化の少なくとも一方に応じて、その点灯状態が変化する。たとえば、ランプ制御部は、自動運転中であっても点灯が不要な走行環境である場合には、自動運転中に自動運転表示ランプを消灯する。具体的にはたとえば、自動運転中の車両が自動運転専用の道路またはレーンを走行している場合には、自動運転中に自動運転表示ランプを消灯する。これにより、自動運転表示ランプによる消費電力は削減される。自動運転表示ランプが常に点灯し続ける場合と比べて、自動運転表示ランプの消費電力が減り、たとえば車両の外にいるたとえば歩行者や他の車両の乗員へのコミュニケーションが不要な状況での電力の消費を減らすことができる。また、車外の人が、常時点灯している自動運転表示ランプの光により、不快感や違和感を受けることがないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る、自動運転可能な自動車の説明図である。
【
図3】
図3は、自動運転と手動支援運転とを切り替える制御のフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図3の運転切替制御に応じた自動運転表示ランプの点灯制御のフローチャートである。
【
図5】
図5は、本発明の第一実施形態での、自動運転中の自動運転表示ランプの点灯状態制御のフローチャートである。
【
図6】
図6は、自動運転が解除された場合での、自動運転表示ランプの点灯状態制御のフローチャートである。
【
図7】
図7は、自動運転中の外乱または異常の検出または予測した場合での、自動運転表示ランプの点灯状態制御のフローチャートである。
【
図8】
図8は、ユーザ設定に応じて自動運転中の自動運転表示ランプの点灯状態制御を起動するためのフローチャートである。
【
図9】
図9は、本発明の第二実施形態での、自動運転中の自動運転表示ランプの点灯状態制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0019】
[第一実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る、自動運転可能な自動車1の説明図である。
図1は、本発明の実施形態に係る車両の一例としての自動車1の説明図である。
図1(A)は、自動車1の上面図である。
図1(A)には、他の自動車2、複数の歩行者3が併せて図示されている。
図1(B)は、自動車1の側面図である。
図1(C)は、自動車1の後面図である。
【0020】
図1の自動車1は、自動運転と手動運転とで切り替えて走行可能な自動車1であり、自動運転中に点灯する自動運転表示ランプ5が配置される。
自動運転表示ランプ5は、自動運転状態であることを示すために点灯されるランプである。自動運転表示ランプ5は、たとえば車体6の前後左右の側面について全周的に設けられている。これにより、自動車1の周囲にいる歩行者3や他の自動車2の乗員は、自動運転の際に点灯する自動運転表示ランプ5を自動車1の外から視認することができる。自動運転中に自動運転表示ランプ5が点灯することにより、自動車1の周囲にいる歩行者3や他の自動車2の乗員の協力が得られ、自動車1そのものだけでの走行制御では得られない安全性が得られることが期待できる。
この他にもたとえば、自動運転表示ランプ5は、車体6の前後左右の四角に分割して設けられたり、車室の上のルーフパネルの外周に沿って設けられたり、ルーフパネルの上に突出して設けられたりしてよい。
【0021】
自動運転表示ランプ5は、自動車1が自動運転で走行している場合に点灯されるものである。そして、自動車1の周囲が強い日差しの夏の昼間であっても、自動車1の外にいる歩行者3や他の自動車2の乗員がしっかりと自動運転表示ランプ5の点灯の有無を視認できるようにすることが望まれる。このため、自動運転表示ランプ5は、たとえばターコイズブルーのように自然界にあまり存在していない色や明るさのものを選択するとよい。また、自動運転表示ランプ5は、自然界に存在するものよりも鮮やかな色および輝度で点灯できるものにするとよい。ターコイズブルーの光で強く発光することにより、自動車1の外にいる歩行者3や他の自動車2の乗員は、自動運転表示ランプ5が点灯していること、点灯していないことを視認できる可能性が高くなる。その結果、自動車1の外にいる歩行者3や他の自動車2の乗員は、たとえば自動運転中の自動車1に対して、それに応じた行動や事前対応を準備することが可能になる。
【0022】
しかしながら、自動運転可能な自動車1において、自動運転中に自動運転表示ランプ5を点灯し続けることは、消費電力の増加となる。自動運転表示ランプ5を高輝度で発光させるためには、より多くの電力が必要になる。そして、特に電気駆動式の自動車1では、このような自動運転中の消費電力の定常的な増加は、走行可能距離の短縮を招く。走行性能にはダイレクトな影響がある。
また、自動運転表示ランプ5としてたとえばターコイズブルーのように自然界にあまり存在していない鮮やかな色を選択した場合、それを視認する人によっては、自動運転表示ランプ5が点灯し続けることにより不快感や違和感を受ける可能性がある。自動運転可能な自動車1が常に存在するような場所で働く人にとっては、常にターコイズブルーのように自然界にあまり存在していない鮮やかな色の光を受け続けることになる。
このように自動運転可能な自動車1では、改善することが求められる。
【0023】
図2は、
図1の自動車1の制御系10の説明図である。
図2には、自動車1の制御系10を構成する複数の制御装置が、それぞれに組み込まれる制御ECU(Electronic Control Unit)により代表して示されている。制御装置は、制御ECUの他に、たとえば制御プログラムおよびデータを記録する記憶部材、制御対象物またはその状態検出装置と接続される入出力ポート、時間や時刻を計測するタイマ、およびこれらが接続される内部バス、を有してよい。
図2に示される制御ECUは、具体的にはたとえば、駆動ECU11、操舵ECU12、制動ECU13、自動運転/運転支援ECU14、運転操作ECU15、検出ECU16、外通信ECU17、UI操作ECU18、ランプECU19、警報ECU20、ランプECU19、UI操作ECU18、である。自動車1の制御系10は、図示しない他の制御ECUを備えてよい。
【0024】
複数の制御ECUは、自動車1で採用されるたとえばCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)といった車ネットワーク26に接続される。車ネットワーク26は、複数の制御ECUを接続可能な複数のバスケーブル27と、複数のバスケーブル27が接続される中継装置としてのセントラルゲートウェイ(CGW)28と、で構成されてよい。複数の制御ECUには、互いに異なる識別情報としてのIDが割り当てられる。制御ECUは、基本的に周期的に、他の制御ECUへ通知データを出力する。通知データには、出力元の制御ECUのIDと、出力先の制御ECUのIDとが付加される。他の制御ECUは、バスケーブル27を監視し、出力先のIDがたとえば自らのものである場合、通知データを取得し、通知データに基づく処理を実行する。セントラルゲートウェイ28は、接続されている複数のバスケーブル27それぞれを監視し、出力元の制御ECUとは異なるバスケーブル27に接続されている制御ECUを検出すると、そのバスケーブル27へ通知データを出力する。このようなセントラルゲートウェイ28の中継処理により、複数の制御ECUは、それぞれが接続されてるバスケーブル27とは異なるバスケーブル27に接続されている他の制御ECUとの間で通知データを入出力できる。
【0025】
外通信ECU17は、たとえば、自動車1の外に存在する通信基地局101、他の自動車2の通信装置と無線通信する。通信基地局101は、たとえばADAS(Advanced Driver Assistance System)通信網の基地局であっても、キャリア通信網の基地局であってもよい。キャリア通信網の基地局は、他の自動車2の通信装置だけでなく、歩行者3が所持する携帯機器102と通信してよい。外通信ECU17は、直接的に通信する相手の種類ごとに複数に分けて自動車1に設けられてよい。そして、通信基地局101、他の自動車2の通信装置、および携帯機器102は、サーバ装置103とともに、交通システム100を構成する。外通信ECU17は、直接的には通信基地局101または他の自動車2の通信装置と無線通信することにより、サーバ装置103、他の自動車2または携帯機器102との間で通信データを送受する。
【0026】
UI操作ECU18には、たとえば乗員とのユーザインタフェース機器として、表示デバイス21、操作デバイス22、が接続される。表示デバイス21は、たとえば液晶デバイス、映像投影デバイス、でよい。操作デバイス22は、たとえばタッチパネル、キーボード、非接触操作検出デバイス、でよい。表示デバイス21および操作デバイス22は、たとえば乗員が乗る車室の内面に設置されてよい。UI操作ECU18は、車ネットワーク26から通知データを取得し、表示デバイス21に表示する。UI操作ECU18は、操作デバイス22に対する操作入力を、車ネットワーク26へ出力する。また、UI操作ECU18は、操作入力に基づく処理を実行し、その処理結果を通知データに含めてよい。UI操作ECU18は、たとえば、表示デバイス21に目的地などを設定するためのナビ画面を表示し、操作入力により選択した目的地までの経路を探索し、その経路データを通知データに含めてよい。経路データには、現在地から目的地までの移動に使用する道路のたとえばレーンなどの属性情報が含まれてよい。
【0027】
運転操作ECU15には、乗員が自動車1の走行を制御するために操作部材として、たとえばハンドル31、ブレーキペダル32、アクセルペダル33、シフトレバー34、などが接続される。操作部材が操作されると、運転操作ECU15は、操作の有無、操作量などを含む通知データを、車ネットワーク26へ出力する。また、運転操作ECU15は、操作部材に対する操作についての処理を実行し、その処理結果を通知データに含めてよい。運転操作ECU15は、たとえば自動車1の進行方向に他の移動体や固定物がある状況においてアクセルペダル33が操作された場合、その異常操作を判断し、その判断結果を通知データに含めてよい。
【0028】
検出ECU16には、自動車1の走行状態を検出するための検出部材として、たとえば自動車1の速度を検出する速度センサ41、自動車1の加速度を検出する加速度センサ42、自動車1の外側の周囲を撮像する例えばステレオカメラといった外カメラ43、自動車1の位置を検出するGPS受信機44、などが接続される。検出ECU16は、検出部材から検出情報を取得し、検出情報を含む通知データを、車ネットワーク26へ出力する。また、検出ECU16は、検出情報に基づく処理を実行し、その処理結果を通知データに含めてよい。検出ECU16は、たとえば、加速度センサ42が衝突検出閾値を超える加速度を検出した場合、衝突検出を判断し、衝突検出結果を通知データに含めてよい。検出ECU16は、外カメラ43の画像に基づいて自車の周囲に存在する歩行者3や他の自動車2といった移動体を抽出し、移動体の種類や属性を判断し、画像中の移動体の位置や大きさや変化に応じて移動体の相対方向、相対距離、移動方向を推定し、これらの推定結果を含む移動体の情報を通知データに含めて車ネットワーク26へ出力してよい。
【0029】
自動運転/運転支援ECU14は、車ネットワーク26から通知データを取得し、自動車1の走行を自動運転と手動運転とで切り替える。
また、自動運転/運転支援ECU14は、車ネットワーク26から通知データを取得し、自動車1の自動運転または運転支援のための制御を実行し、走行制御データを生成して駆動ECU11、操舵ECU12、および制動ECU13へ出力する。駆動ECU11、操舵ECU12、および制動ECU13は、入力される走行制御データに基づいて、自動車1の走行を制御する。
自動車1を自動運転する場合、自動運転/運転支援ECU14は、走行制御部として、車ネットワーク26から通知データを取得し、目的地までの経路を探索または取得する。自動運転/運転支援ECU14は、車ネットワーク26から通知データを取得し、自動車1に異常や危険がないか否かを判断し、自動車1に異常や危険がない場合には、経路にそって移動する進路についての走行制御データを生成して通知データとして出力する。自動運転/運転支援ECU14は、目的地の駐車場などに停車するまで、目的地に到達するまでその移動経路に沿って走行するようにGPS受信機44などの自車の位置情報に基づいて、自動車1の走行を制御する。自動車1についての異常または危険がある場合、自動運転/運転支援ECU14は、その異常または危険を回避するように走行制御データを生成して通知データとして出力する。
自動車1の運転を支援する場合、自動運転/運転支援ECU14は、車ネットワーク26を通じてUI操作ECU18から操作入力の通知データを取得し、その操作入力による操作を調整した走行制御データを生成して通知データとして出力する。自動運転/運転支援ECU14は、乗員の運転操作に応じて、自動車1の走行を制御する。自動車1についての異常または危険がある場合、自動運転/運転支援ECU14は、その異常または危険を回避するように走行制御データを生成して通知データとして出力する。
【0030】
ランプECU19には、自動車1の車体6の前部に設けられるヘッドランプ51、車体6の前後左右に設けられるターンランプ52、車体6の後部に設けられるストップランプ53、自動運転表示ランプ5、が接続される。また、図には、ランプECU19に接続されるメモリ59が示されている。ランプECU19に接続されるメモリ59には、ランプECU19が制御に用いる設定値などが記録される。ランプECU19は、ランプ制御部として、車ネットワーク26からランプを制御するための通知データを取得し、それに応じてヘッドランプ51、ターンランプ52、ストップランプ53、自動運転表示ランプ5、の点灯状態を制御する。ランプECU19は、たとえば自動運転/運転支援ECU14が自動車1の走行を自動運転で制御している場合、自動運転中に自動運転表示ランプ5を点灯する。これにより、たとえば歩行者3や他の自動車2といった車外の移動体は、点灯している自動運転表示ランプ5により自動車1が自動運転中であることを視認でき、自動運転中の自動車1の走行に対処することができる。ランプECU19は、自動運転中に、たとえば点灯が不要な走行環境であるときには、その走行環境に応じて自動運転表示ランプ5をたとえば消灯するように点灯制御してよい。
【0031】
警報ECU20には、外スピーカ61、が接続される。警報ECU20は、車ネットワーク26から警報出力の通知データを取得し、それに応じて外スピーカ61から警報音を出力する。
【0032】
図3は、自動運転と手動支援運転とを切り替える制御のフローチャートである。
自動運転/運転支援ECU14は、たとえば自動車1に乗員が乗車する場合、
図3の処理を繰返し実行する。
【0033】
ステップST1において、自動運転/運転支援ECU14は、自動車1の走行を開始するか否かを判断する。自動車1の走行を開始しない場合、自動運転/運転支援ECU14は、
図3の処理を終了する。自動車1の走行を開始する場合、自動運転/運転支援ECU14は、処理をステップST2へ進める。
【0034】
ステップST2において、自動運転/運転支援ECU14は、自動車1の走行が自動運転であるか否かを判断する。自動運転/運転支援ECU14は、UI操作ECU18から取得する運転モードの設定値などに基づいて、自動車1の走行が自動運転であるか否かを判断してよい。自動運転での走行である場合、自動運転/運転支援ECU14は、処理をステップST3へ進める。自動運転以外のたとえば運転支援走行である場合、自動運転/運転支援ECU14は、処理をステップST7へ進める。
【0035】
ステップST3において、自動運転/運転支援ECU14は、自動運転での走行を開始する。自動運転/運転支援ECU14は、自動車1の走行を自動運転で制御する。
【0036】
ステップST4において、自動運転/運転支援ECU14は、自動車1の走行を終了するか否かを判断する。自動運転/運転支援ECU14は、たとえば、外通信ECU17やGPS受信機44から取得する自車の位置情報が、自動運転の目的地のたとえば駐車場などであって、加速度が0となるように停車している場合、自動車1の走行を終了すると判断する。自動車1の走行終了と判断する場合、自動運転/運転支援ECU14は、
図3の処理を終了する。これにより、自動運転による走行が終了する。自動車1の走行終了と判断しない場合、自動運転/運転支援ECU14は、処理をステップST5へ進める。
【0037】
ステップST5において、自動運転/運転支援ECU14は、自動車1の走行が自動運転から自動運転以外のたとえば手動運転へ切り替わるか否かを判断する。自動運転/運転支援ECU14は、UI操作ECU18から取得する運転モードの設定値などに基づいて自動運転からの切り替えを判断してよい。自動運転から自動運転以外へ切り替わらない場合、自動運転/運転支援ECU14は、処理をステップST4へ戻す。自動運転/運転支援ECU14は、自動運転中にはステップST4およびステップST5による判断を繰り返す。自動運転から自動運転以外へ切り替わる場合、自動運転/運転支援ECU14は、処理をステップST6へ進める。
【0038】
ステップST6において、自動運転/運転支援ECU14は、自動車1の走行を自動運転から自動運転以外のたとえば手動支援運転へ切り替える。これにより、自動運転による走行が終了し、手動運転による走行が開始する。その後、自動運転/運転支援ECU14は、処理をステップST8へ進める。
【0039】
ステップST7において、自動運転/運転支援ECU14は、自動運転以外の手動支援運転を開始する。
【0040】
ステップST8において、自動運転/運転支援ECU14は、自動車1の走行を終了するか否かを判断する。自動運転/運転支援ECU14は、たとえば、加速度が0となるように停車して自動車1のたとえばイグニションスイッチが操作されている場合、自動車1の走行を終了すると判断する。自動車1の走行終了と判断する場合、自動運転/運転支援ECU14は、
図3の処理を終了する。これにより、手動支援運転による走行が終了する。自動車1の走行終了と判断しない場合、自動運転/運転支援ECU14は、処理をステップST9へ進める。
【0041】
ステップST9において、自動運転/運転支援ECU14は、自動車1の走行が手動支援運転から自動運転へ切り替わるか否かを判断する。自動運転/運転支援ECU14は、UI操作ECU18から取得する運転モードの設定値などに基づいて手動支援運転からの切り替えを判断してよい。手動支援運転から自動運転へ切り替わらない場合、自動運転/運転支援ECU14は、処理をステップST8へ戻す。自動運転/運転支援ECU14は、手動支援運転中にはステップST8およびステップST9による判断を繰り返す。手動支援運転から自動運転へ切り替わる場合、自動運転/運転支援ECU14は、処理をステップST10へ進める。
【0042】
ステップST10において、自動運転/運転支援ECU14は、自動車1の走行を手動支援運転から自動運転へ切り替える。これにより、手動支援運による走行が終了し、自動運転による走行が開始する。その後、自動運転/運転支援ECU14は、処理をステップST4へ進める。
【0043】
このように自動運転/運転支援ECU14は、たとえば自動車1に乗員が乗車して走行する場合、
図3の処理を繰返し実行する。たとえば自動運転/運転支援ECU14は、車ネットワーク26を通じてUI操作ECU18からの運転モードの設定情報を含む通知データを取得し、自動車1の走行を自動運転と手動支援運転との間で切り替えてよい。また、自動運転/運転支援ECU14は、たとえば検出ECU16などからの異常検出に基づく強制的な手動運転への切替指示を含む通知データを取得し、自動車1の走行を自動運転と手動支援運転との間で切り替えてよい。また、自動運転/運転支援ECU14は、自ら異常検出に基づく強制的な手動運転への切替指示を含む通知データを生成し、自動車1の走行を自動運転と手動支援運転との間で切り替えてよい。
【0044】
図4は、
図3の運転切替制御に応じた自動運転表示ランプ5の点灯制御のフローチャートである。
ランプECU19は、たとえば自動運転/運転支援ECU14が自動車1の走行を制御する場合、その情報を通知データとして取得し続けながら、
図4の処理を繰返し実行する。
【0045】
ステップST11において、ランプECU19は、自動運転による自動車1の走行が開始されているか否かを判断する。ランプECU19は、たとえば自動運転/運転支援ECU14が自動運転の制御のために車ネットワーク26へ出力する情報や通知を取得し、自動運転による自動車1の走行が開始されているか否かを判断してよい。自動運転による自動車1の走行が開始されていない場合、ランプECU19は、
図4の処理を終了する。自動運転による自動車1の走行が開始されている場合、ランプECU19は、処理をステップST12へ進める。
【0046】
ステップST12において、ランプECU19は、消灯している自動運転表示ランプ5を点灯する。
【0047】
ステップST13において、ランプECU19は、自動運転による自動車1の走行が終了しているか否かを判断する。ランプECU19は、たとえば自動運転/運転支援ECU14が自動運転の制御のために車ネットワーク26へ出力する情報を取得しなくなったり、または自動運転終了の通知を取得したりして、自動運転による自動車1の走行が終了しているか否かを判断してよい。自動運転による自動車1の走行が終了していない場合、ランプECU19は、ステップST13の判断処理を繰り返す。自動運転による自動車1の走行が終了している場合、ランプECU19は、処理をステップST14へ進める。
【0048】
ステップST14において、ランプECU19は、点灯させた自動運転表示ランプ5を消灯する。
【0049】
このようにランプECU19は、基本的に、自動運転/運転支援ECU14が自動車1の走行を自動運転で制御する自動運転中において自動運転表示ランプ5を点灯させる。
【0050】
図5は、本発明の第一実施形態での、自動運転中の自動運転表示ランプ5の点灯状態制御のフローチャートである。
ランプECU19は、ランプ制御部として、たとえば運転支援ECU14が自動車1の走行を自動運転などにより制御する場合、その情報を通知データとして取得し続けながら、
図5の処理を繰返し実行する。
【0051】
ステップST21において、ランプECU19は、自動運転中であるか否かを判断する。ランプECU19は、たとえば自動運転/運転支援ECU14が自動運転の制御のために車ネットワーク26へ出力する情報や通知を取得し、自動運転中であるか否かを判断してよい。自動運転中でない場合、ランプECU19は、
図5の処理を終了する。自動運転中である場合、ランプECU19は、処理をステップST22へ進める。
【0052】
ステップST22において、ランプECU19は、車ネットワーク26を通じて自動車1の各種の制御ECUから、自動車1の走行制御状態の情報を通知データとして取得する。ランプECU19は、たとえば自車についての位置、速度、加速度、進路、故障の有無、各種ランプの点灯状態、といった情報を取得する。
【0053】
ステップST23において、ランプECU19は、車ネットワーク26を通じてたとえば外通信ECU17、検出ECU16といった自動車1の各種の制御ECUから、走行環境の情報を通知データとして取得する。ランプECU19は、たとえば自車が走行しているレーンについての属性情報を取得する。この他にもたとえば、ランプECU19は、自車の周囲に存在する他の移動体についての位置、速度、進路の予想、衝突の可能性、属性、といった情報を取得してよい。外通信ECU17は、ナビ情報、V2Vの受信情報、ADAS通信によるETC情報により、走行する道路の車線の属性情報を取得し得る。検出ECU16は、外カメラ43の撮像画像により走行中の車線を検出し得る。また、検出ECU16は、撮像画像に映り込む自動運転専用レーンの路面マーク、標識、出入口のゲートにより、自車が走行するレーンが自動運転に専用のレーンであるか否かを検出し得る。
【0054】
ステップST24において、ランプECU19は、自車の走行位置が自動運転の専用のレーンを走行しているか否かを判断する。自動運転の専用のレーンを走行している場合、ランプECU19は、処理をステップST25へ進める。自動運転の専用のレーンを走行していない場合、ランプECU19は、処理をステップST27へ進める。
【0055】
自動運転専用レーンは、たとえば同一方向の複数車線の中の一部の車線が自動運転車に専用のレーンとして設定されている場合である。自動運転専用レーンには、道路そのものが自動運転車に専用の道も含まれてよい。この場合、自動運転専用レーンは、基本的に自動運転状態の自動車1のみが走行することになる。これに対し、自動運転できない自動車1、および自動運転状態にない自動車1は、自動運転専用レーン以外の通常レーンや道路を走行することになる。そして、外通信ECU17は、サーバ装置103から、経路のナビ情報やETC情報に含まれる走行中の道路の属性情報である車線情報を取得し、外通信ECU17またはランプECU19は、外通信ECU17が取得した情報に基づいて走行中の車線が自動運転専用レーンであるか否かを判断して、よい。この他にもたとえば外通信ECU17は、車車間通信などにより、これらの情報を取得して判断してよい。また、外カメラ43は、自車が走行中の道路を撮像し、検出ECU16またはランプECU19は、撮像された画像に含まれる走行中の自動運転専用レーンの路面マーク、標識、出入口のゲートを検出して、よい。外通信ECU17は、これらの情報に基づいて、自車が走行中の車線が自動運転専用レーンであるか否かを判断すればよい。
【0056】
ステップST25において、ランプECU19は、自動運転表示ランプ5が点灯しているか否かを判断する。自動運転表示ランプ5が点灯している場合、ランプECU19は、処理をステップST29へ進める。自動運転表示ランプ5が点灯していない場合、ランプECU19は、処理をステップST26へ進める。
【0057】
ステップST26において、ランプECU19は、点灯している自動運転表示ランプ5を消灯する。ランプECU19は、ステップST24の判断処理から一定の時間が経過した後に、点灯している自動運転表示ランプ5を消灯してよい。これにより、自動運転表示ランプ5を消灯するタイミングでは、自車が自動運転の専用の場所を走行していることを保証し得る。
【0058】
ステップST27において、ランプECU19は、自動運転表示ランプ5が消灯しているか否かを判断する。自動運転表示ランプ5が消灯していない場合、ランプECU19は、処理をステップST29へ進める。自動運転表示ランプ5が消灯している場合、ランプECU19は、処理をステップST28へ進める。
【0059】
ステップST28において、ランプECU19は、消灯している自動運転表示ランプ5を再点灯する。
【0060】
ステップST29において、ランプECU19は、自動運転表示ランプ5の点灯状態が変化したか否かを判断する。点灯している自動運転表示ランプ5が消灯されている場合、または消灯している自動運転表示ランプ5が再点灯されている場合、自動運転表示ランプ5の点灯状態が変化する。この場合、ランプECU19は、処理をステップST30へ進める。自動運転表示ランプ5の点灯状態が変化していない場合、ランプECU19は、
図5の処理を終了する。
【0061】
ステップST30において、ランプECU19は、警報の出力指示を、車ネットワーク26へ出力する。警報ECU20は、車ネットワーク26から警報の出力指示を取得すると、外スピーカ61から警報音を出力する。警報ECU20は、ランプECU19が自動車1の走行を自動運転で制御する自動運転中に自動運転表示ランプ5の点灯状態が変化すると、警告を発する。周囲にいる他の自動車2の乗員は、警報音を聞くことができる。
【0062】
このようにランプECU19は、自動運転中に、走行制御状態の変化および走行環境の変化の少なくとも一方に応じて、自動運転表示ランプ5の点灯状態を変化させることができる。ランプECU19は、自動運転中であっても自動運転の専用の場所といった点灯が不要な走行環境である場合には、自動運転中に自動運転表示ランプ5を消灯できる。
また、ランプECU19は、自動運転の専用の場所以外の走行環境である場合、自動運転の専用のレーンの自動運転中に消灯していた自動運転表示ランプ5を再点灯することができる。また、自動運転中に自動運転表示ランプ5の点灯状態を変化させる場合、警報ECU20は、警告を発することができる。
【0063】
図6は、自動運転が解除された場合での、自動運転表示ランプ5の点灯状態制御のフローチャートである。
ランプECU19は、ランプ制御部として、たとえば運転支援ECU14が自動車1の走行を自動運転などにより制御する場合、その情報を通知データとして取得し続けながら、
図6の処理を繰返し実行する。
【0064】
ステップST41において、ランプECU19は、自動運転中であるか否かを判断する。ランプECU19は、たとえば自動運転/運転支援ECU14が自動運転の制御のために車ネットワーク26へ出力する情報や通知を取得し、自動運転中であるか否かを判断してよい。自動運転中でない場合、ランプECU19は、ステップST41の判断処理を繰り返す。自動運転中である場合、ランプECU19は、処理をステップST42へ進める。
【0065】
ステップST42において、ランプECU19は、自動運転の開始の後に、その自動運転が解除されたか否かを判断する。ランプECU19は、たとえば自動運転/運転支援ECU14が自動運転の制御のために車ネットワーク26へ出力する情報や通知を取得し、自動運転が解除されたか否かを判断してよい。自動運転が解除されていない場合、ランプECU19は、
図6の処理を終了する。自動運転が解除されている場合、ランプECU19は、処理をステップST43へ進める。
【0066】
ステップST43において、ランプECU19は、自動運転表示ランプ5の点灯状態の情報を取得し、自動運転中に自動運転表示ランプ5が消灯しているか否かを判断する。自動運転表示ランプ5が消灯していない場合、すなわち自動運転中において自動運転表示ランプ5が点灯している場合、ランプECU19は、処理をステップST45へ進める。自動運転中に自動運転表示ランプ5が消灯している場合、ランプECU19は、処理をステップST44へ進める。
【0067】
ステップST44において、ランプECU19は、自動運転中に消灯させていた自動運転表示ランプ5を再点灯する。
【0068】
ステップST45において、ランプECU19は、一時的に再点灯させた、または点灯していた自動運転表示ランプ5を消灯する。
【0069】
これにより、自動運転中に自動運転表示ランプ5を消灯した後に自動運転/運転支援ECU14が自動車1の走行状態を自動運転から手動支援運転などへ切り替える場合、自動運転表示ランプ5を再点灯してから消灯することができる。自動運転表示ランプ5を消灯した自動運転中に自動運転から手動運転へのオーバーライドが発生した場合、ランプECU19は、自車が自動運転専用レーンを走行中であったとしても、自動運転表示ランプ5を一旦点灯してから消灯することができる。自動運転専用レーンなどにおける後続車などは、自動運転表示ランプ5の再点灯により、自動車1の運転状態が変化したことを認識することができる。
【0070】
図7は、自動運転中の外乱または異常の検出または予測した場合での、自動運転表示ランプ5の点灯状態制御のフローチャートである。
ランプECU19は、ランプ制御部として、たとえば運転支援ECU14が自動車1の走行を自動運転などにより制御している場合、その間の通知データを取得し続けながら、
図7の処理を繰返し実行する。
たとえば検出ECU16は、外カメラ43により撮像された周囲の移動体との衝突を予測し、加速度センサ42により衝突を検出し、これらを通知データとして出力する。外通信ECU17は、ADAS通信による交通情報などにより、自車が走行するレーンまたは道路での交通渋滞、落下物などの情報を取得して通知データとして出力する。自動運転/運転支援ECU14は、自車の装備の故障状態を判断し、通知データとして出力する。
【0071】
ステップST51において、ランプECU19は、ランプECU19は、自動運転中であるか否かを判断する。ランプECU19は、たとえば自動運転/運転支援ECU14が自動運転の制御のために車ネットワーク26へ出力する情報や通知を取得し、自動運転中であるか否かを判断してよい。自動運転中でない場合、ランプECU19は、ステップST51の判断処理を繰り返す。自動運転中である場合、ランプECU19は、処理をステップST52へ進める。
【0072】
ステップST52において、ランプECU19は、自動運転の開始の後に、外乱または異常が検出されたか、またはそれらが予測されたか否かを判断する。ランプECU19は、たとえば自動運転/運転支援ECU14などから通知を取得し、自動運転の開始の後の外乱または異常の有無を判断してよい。自動運転の開始の後の外乱または異常がない場合、ランプECU19は、
図7の処理を終了する。自動運転の開始の後の外乱または異常がある場合、ランプECU19は、処理をステップST53へ進める。
【0073】
ステップST53において、ランプECU19は、自動運転表示ランプ5の点灯状態の情報を取得し、自動運転中に自動運転表示ランプ5が消灯しているか否かを判断する。自動運転表示ランプ5が消灯していない場合、すなわち自動運転中において自動運転表示ランプ5が点灯している場合、ランプECU19は、
図7の処理を終了する。自動運転中に自動運転表示ランプ5が消灯している場合、ランプECU19は、処理をステップST54へ進める。
【0074】
ステップST54において、ランプECU19は、自動運転中に消灯させていた自動運転表示ランプ5を再点灯する。
【0075】
これにより、自動運転中に自動運転表示ランプ5を消灯した後に外乱または異常があると、ランプECU19は、自動運転中に消灯していた自動運転表示ランプ5を再点灯する。ランプECU19は、自動運転中に自動運転表示ランプ5を消灯している状態で、自動車1の走行に影響する異常または外乱が検出または予測される場合、自動運転中に消灯していた自動運転表示ランプ5を再点灯できる。自動運転専用レーンなどにおける後続車などは、自動運転表示ランプ5の再点灯により、自動運転中の自動車1に、異常事態を含む何らかの変化が生じたことを認識することができる。
【0076】
図8は、ユーザ設定に応じて自動運転中の自動運転表示ランプ5の点灯状態制御を起動するためのフローチャートである。
ランプECU19は、たとえば自動車1に乗員が乗車して自動車1が起動する場合、
図8の処理を繰返し実行する。ランプECU19は、たとえば自動車1に設けられる図示外のスタートスイッチが操作されてUI操作ECU18から起動指示の通知データを取得すると、
図8の処理を繰返し実行してよい。
【0077】
ステップST61において、ランプECU19は、自動車1を起動するか否かを判断する。自動車1を起動しない場合、ランプECU19は、
図8の処理を終了する。自動車1を起動する場合、ランプECU19は、処理をステップST62へ進める。
【0078】
ステップST62において、ランプECU19は、ランプECU19に接続されているメモリ59から、ユーザ設定値を取得する。メモリ59に記録されているユーザ設定値は、予めのユーザの設定操作によりUI操作ECU18から取得したランプの点灯設定値でよい。ユーザ設定値には、自動運転中の自動運転表示ランプ5の点灯制御の可否の設定値が含まれてよい。デフォルトの設定値は、点灯制御を許可するものであっても、点灯制御を禁止するものであってもよい。
【0079】
ステップST63において、ランプECU19は、取得した自動運転表示ランプ5の点灯制御の可否の設定値が、点灯制御を許可するものであるか否かを判断する。点灯制御を許可しない禁止する設定値である場合、ランプECU19は、
図8の処理を終了する。点灯制御を許可する設定値である場合、ランプECU19は、処理をステップST64へ進める。
【0080】
ステップST64において、ランプECU19は、自動運転中に自動運転表示ランプ5の点灯状態を制御する処理を起動する。ここで起動される処理には、たとえば
図5、
図6、および
図7の処理でよい。ユーザが自動運転中での自動運転表示ランプ5の点灯制御を許可する場合、そのユーザ設定に基づいて、自動運転表示ランプ5は、自動運転中に点灯状態が制御されることになる。
これに対し、ユーザが自動運転中での自動運転表示ランプ5の点灯制御を禁止する場合、ステップST64の処理は実行されない。ランプECU19は、
図4の処理のみを実行することになる。この場合、自動運転表示ランプ5は、自動運転中に点灯状態が制御されなくなり、自動運転中に点灯し続けることになる。
【0081】
このようにランプECU19は、自動運転中での自動運転表示ランプ5の点灯制御についてのユーザ設定に基づいて、自動運転中に、走行制御状態の変化および走行環境の変化の少なくとも一方に応じて自動運転表示ランプ5の点灯状態を変化させることができる。
なお、ランプECU19は、自動運転表示ランプ5以外の他のランプについても、ユーザ設定に基づいて、自動運転中であるか否かなどに応じて点灯状態を制御してもよい。たとえば自動運転中の自動運転表示ランプ5の点灯制御に応じて、ランプECU19は、自動運転表示ランプ5以外の他のランプの点灯を制御してよい。
【0082】
以上のように、本実施形態では、自動車1の走行制御部が自動車1の走行を自動運転で制御する自動運転中には、自動運転表示ランプ5を点灯する。これにより、自動車1の外にいるたとえば歩行者3や他の自動車2の乗員は、自動車1が自動運転中であることを認識できる。
【0083】
しかも、本実施形態では、自動運転中に点灯している自動運転表示ランプ5の点灯状態は、走行制御状態の変化および走行環境の変化の少なくとも一方に応じて変化する。これにより、自動車1の外にいるたとえば歩行者3や他の自動車2の乗員は、単に自動車1が自動運転中であることを認識できるだけでなく、自動運転のための走行制御状態の変化または走行環境の変化を、自動運転表示ランプ5の点灯状態の変化により認識できる。自動運転中の自動車1は、自動運転中であることを自動運転表示ランプ5の点灯により知らせるだけでなく、自動運転のための走行制御状態の変化または走行環境の変化を、自動運転表示ランプ5の点灯状態の変化により知らせることができる。自動運転表示ランプ5は、単に自動運転中であることを知らせるものとしてだけでなく、車外の人とのコミュニケーションに用いられる多機能のランプとすることができる。
【0084】
特に、自動運転表示ランプ5は、自動運転中において常に点灯状態に維持されるのでなく、その点灯状態が変化する。たとえば、ランプ制御部は、自動運転中であっても点灯が不要な走行環境である場合には、自動運転中に自動運転表示ランプ5を消灯する。具体的にはたとえば、自動運転中の自動車1が自動運転専用の道路またはレーンを走行していると自動運転中に自動車1が走行している場所の属性情報により判断できる場合には、自動運転中に自動運転表示ランプ5を消灯する。これにより、自動運転表示ランプ5による消費電力は削減する。自動運転表示ランプ5が常に点灯し続ける場合と比べて、自動運転表示ランプ5の消費電力を減らし、電力の無駄な消費を減らすことができる。また、車外の人が、常時点灯している自動運転表示ランプ5の光により、不快感や違和感を得ることがないようにできる。
【0085】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る自動車1について説明する。以下の説明では、主に上述した実施形態との相違点について説明する。上述した実施形態と同様の構成要素には、上述した実施形態と同じ符号を用いて、その説明を省略する。
【0086】
図9は、本発明の第二実施形態での、自動運転中の自動運転表示ランプ5の点灯状態制御のフローチャートである。
ランプECU19は、たとえば運転支援ECU14が自動車1の走行を自動運転により制御する場合、その情報を取得して
図6の処理を繰返し実行する。
【0087】
ステップ25において自動運転専用レーンを自動運転で走行している最中に自動運転表示ランプ5が点灯していると判断すると、ランプECU19は、処理をステップST71へ進める。
【0088】
ステップST71において、ランプECU19は、自動運転表示ランプ5以外のランプ、たとえば制動灯としてのストップランプ53・方向指示器としてのターンランプ52・後退灯以外の信号灯、または前照灯としてのヘッドランプ51が点灯してないか否かを判断する。これらいずれかのランプも点灯していない場合、ランプECU19は、処理をステップST26へ進める。これにより、ランプECU19は、自動運転中に自動運転表示ランプ5を消灯する。
これに対し、これらいずれかのランプが点灯している場合、ランプECU19は、ステップST26の処理を飛ばして、処理をステップST29へ進める。この場合、自動運転表示ランプ5は、点灯した状態に維持される。
【0089】
このようにランプECU19は、自動運転中の自動車1が自動運転専用の道路またはレーンを走行している場合に、さらに自動車1の前照灯の点灯状態または後灯火器の点灯状態の情報を取得し、前照灯または後灯火器を消灯して自動運転により走行しているときには自動運転中に自動運転表示ランプ5を消灯し、前照灯または後灯火器を点灯して自動運転により走行しているときには自動運転表示ランプ5を点灯したままに維持する、ことができる。自動運転表示ランプ5は、前照灯が点灯されている夜間においては点灯状態に維持され、前照灯が消灯されている昼間においては自動運転専用レーンを走行中に消灯され得る。
【0090】
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
【0091】
たとえば上述した実施形態では、自動運転表示ランプ5の点灯状態が変化した場合、警報ECU20は外スピーカ61から警報音を出力する。
この他にもたとえば、外通信ECU17は、自動運転表示ランプ5の点灯状態が変化した場合、自車の走行状態を通信データにより送信するようにしてもよい。
また、外通信ECU17は、自動運転中に自動運転表示ランプ5が消灯されている場合、自車の走行状態が自動運転中であることを通信データにより周期的に送信するようにしてもよい。
警報ECU20は、自動運転中に自動運転表示ランプ5が消灯されている場合、外スピーカ61から警報音を間欠的な周期で出力してよい。
UI操作ECU18は、自動運転中に自動運転表示ランプ5が消灯されている場合、表示デバイス21にその旨を表示し続けてもよい。
【0092】
上述した実施形態では、
図5から
図9に記載する判断処理は、すべてランプECU19において実施されている。
この他にもたとえば、
図5から
図9に記載する判断処理の一部またはすべては、ランプECU19以外のたとえば自動運転/運転支援ECU14などにおいて実施してよい。
【符号の説明】
【0093】
1…自動車(車両)、5…自動運転表示ランプ、14…自動運転/運転支援ECU、19…ランプECU、20…警報ECU、59…メモリ、61…外スピーカ