IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-DRAMのリフレッシュ管理 図1
  • 特許-DRAMのリフレッシュ管理 図2
  • 特許-DRAMのリフレッシュ管理 図3
  • 特許-DRAMのリフレッシュ管理 図4
  • 特許-DRAMのリフレッシュ管理 図5
  • 特許-DRAMのリフレッシュ管理 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】DRAMのリフレッシュ管理
(51)【国際特許分類】
   G06F 12/00 20060101AFI20230928BHJP
   G11C 11/408 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G06F12/00 550B
G11C11/408 140
【請求項の数】 33
(21)【出願番号】P 2022567615
(86)(22)【出願日】2021-04-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-23
(86)【国際出願番号】 US2021029296
(87)【国際公開番号】W WO2021231075
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】16/875,281
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591016172
【氏名又は名称】アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100111615
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】ケビン エム. ブランドル
(72)【発明者】
【氏名】ケダーナシュ バラクリシュナン
(72)【発明者】
【氏名】ジン ワン
(72)【発明者】
【氏名】グァンハオ シェン
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-166832(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0228813(US,A1)
【文献】特表2020-521267(JP,A)
【文献】国際公開第2018/215715(WO,A1)
【文献】特表2016-504702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 12/00
G11C 11/408
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
メモリコントローラを備え、
前記メモリコントローラは、
メモリアクセス要求を受信するための第1の入力を有するコマンドキューと、
少なくとも1つのダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)に結合するように構成されたメモリチャネルに結合するための出力を有するメモリインターフェースキューと、
前記コマンドキューからエントリを選択し、前記エントリを前記メモリインターフェースキューに配置して前記エントリを前記メモリチャネル上で送信させるために、前記コマンドキューに結合されたアービタと、
前記アービタに結合されたリフレッシュ制御回路と、を備え、
前記リフレッシュ制御回路は、
前記メモリチャネルを介してメモリ領域に送信されたアクティブ化コマンドの数をカウントするアクティブ化カウンタを監視することと、
前記アクティブ化カウンタが中間管理閾値を超え且つ最大管理閾値以下であることに応じて、前記メモリ領域について前記リフレッシュ制御回路に現在保持されているリフレッシュ(REF)コマンドが存在しない場合に、リフレッシュ管理(RFM)コマンドのみを発行することと、を行うように動作可能である、
装置。
【請求項2】
前記リフレッシュ制御回路は、前記アクティブ化カウンタが前記最大管理閾値を超えていることに応じて、REFコマンドが前記メモリ領域について前記リフレッシュ制御回路に現在保持されているかどうかを判定し、保持されていない場合に、REFコマンドを前記メモリ領域に送信させ、保持されている場合に、保留中のREFコマンドを、前記RFMコマンドを発行させることなく発行することを可能にし、前記RFMコマンド又は前記保留中のREFコマンドのうち何れかがスケジュールされるまで新たなアクティブ化コマンドが前記メモリ領域にスケジュールされることを抑制する、
請求項1の装置
【請求項3】
前記アービタは、少なくともそれぞれのコマンドのメモリ領域についてのそれぞれのアクティブ化カウンタ値に基づいて、コマンド選択の適格性を判定する、
請求項1の装置
【請求項4】
メモリ領域は、メモリバンク又はサブバンクの何れかである、
請求項1の装置
【請求項5】
前記メモリ領域は、メモリバンクのサブバンクであり、前記リフレッシュ制御回路は、前記メモリバンクの複数のサブバンクのそれぞれについて複数のアクティブ化カウンタを監視するように動作可能である、
請求項4の装置
【請求項6】
前記リフレッシュ制御回路は、前記メモリバンクに向けられたREF及びRFMコマンドに応じて、前記アクティブ化カウンタをデクリメントさせるように動作可能である、
請求項5の装置
【請求項7】
前記リフレッシュ制御回路は、前記複数のサブバンクの粒度レベルで前記アクティブ化カウンタを監視し、前記REF及びRFMコマンドを前記メモリバンクの粒度レベルで発行することを可能にする又は発行させるように動作可能である、
請求項5の装置
【請求項8】
前記複数のサブバンクにわたって連続するメモリアドレスを広げ、前記複数のサブバンクをアドレス指定するためのメモリアドレスビットを提供するように動作可能なフレキシブルアドレスデコーダロジックを更に備える、
請求項5の装置
【請求項9】
前記リフレッシュ制御回路は、メモリバンク又はサブバンクのアクティブ化カウンタを提供するように構成可能である、
請求項4の装置
【請求項10】
前記リフレッシュ制御回路は、前記アクティブ化カウンタの指定条件に応じて、前記指定条件が修正されるまで、前記メモリ領域のリフレッシュレートを倍増させるように更に動作可能である、
請求項1の装置
【請求項11】
前記メモリコントローラと通信する1つ以上のプロセッサコアと、
前記メモリコントローラと通信し、前記メモリ領域を含む1つ以上のメモリデバイスであって、前記1つ以上のメモリデバイスは、前記メモリコントローラによって発行された前記RFMコマンドを受信する、1つ以上のメモリデバイスと、を更に備える、
請求項1の装置。
【請求項12】
方法であって、
メモリ読み取り及びメモリ書き込みを含む複数のメモリアクセス要求を受信することと、
前記メモリアクセス要求を満たすためのメモリアクセスコマンドをメモリインターフェースキューに選択的に配置し、前記メモリアクセスコマンドを、前記メモリインターフェースキューから少なくとも1つのダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)に結合されたメモリチャネルに送信することと、
アクティブ化カウンタにおいて、前記メモリチャネルを介してメモリ領域に送信されたアクティブ化コマンドの数をカウントすることと、
前記アクティブ化カウンタが管理閾値を超え且つ最大管理閾値以下であることに応じて、前記メモリ領域についてリフレッシュ制御回路に現在保持されているリフレッシュ(REF)コマンドが存在しない場合に、リフレッシュ管理(RFM)コマンドのみを発行することと、を含む、
方法。
【請求項13】
前記アクティブ化コマンドの数が前記最大管理閾値を超えることに応じて、RFMコマンドを前記メモリ領域に送信させることを更に含む、
請求項12の方法。
【請求項14】
前記リフレッシュ制御回路が、前記アクティブ化カウンタが前記最大管理閾値を超えていることに応じて、REFコマンドが前記メモリ領域について前記リフレッシュ制御回路に現在保持されているかどうかを判定し、保持されていない場合に、REFコマンドを前記メモリ領域に送信させ、保持されている場合に、保留中のREFコマンドを、前記RFMコマンドを発行させることなく発行することを可能にし、前記RFMコマンド又は前記保留中のREFコマンドのうち何れかがスケジュールされるまで新たなアクティブ化コマンドが前記メモリ領域にスケジュールされることを抑制することを更に含む、
請求項12の方法。
【請求項15】
コマンドアービタにおいて、少なくともそれぞれのコマンドのメモリ領域についてのそれぞれのアクティブ化カウンタ値に基づいて、コマンド選択の適格性を判定することを更に含む、
請求項12の方法。
【請求項16】
前記メモリ領域は、メモリバンク又はサブバンクの何れかである、
請求項12の方法。
【請求項17】
前記メモリ領域がメモリバンクのメモリサブバンクである場合に、前記方法は、前記メモリバンクの複数のサブバンクのそれぞれについて複数のアクティブ化カウンタを監視することを更に含む、
請求項16の方法。
【請求項18】
記メモリバンクに向けられたREF及びRFMコマンドに応じて、前記複数のアクティブ化カウンタをデクリメントさせることを更に含む、
請求項17の方法。
【請求項19】
前記複数のサブバンクの粒度レベルで前記アクティブ化カウンタを監視することと、前記REF及びRFMコマンドを前記メモリバンクの粒度レベルで発行することと、を更に含む、
請求項17の方法。
【請求項20】
前記複数のサブバンクにわたって連続するメモリアドレスを広げることを更に含む、
請求項17の方法。
【請求項21】
前記連続するメモリアドレスを広げることは、前記複数のサブバンクをアドレス指定するためのメモリアドレスビットを提供するフレキシブルアドレスデコーダにおいて実行される、
請求項20の方法。
【請求項22】
前記リフレッシュ制御回路は、メモリバンク又はサブバンクのアクティブ化カウンタを提供するように構成可能である、
請求項16の方法。
【請求項23】
前記アクティブ化カウンタの指定条件に応じて、前記指定条件が修正されるまで、前記メモリ領域のリフレッシュレートを倍増させることを更に含む、
請求項12の方法。
【請求項24】
データ処理システムであって、
データプロセッサと、
前記データプロセッサに結合されたデータファブリックと、
前記データプロセッサからのメモリ要求を満たすために前記データファブリックに結合されたメモリコントローラと、を備え、
前記メモリコントローラは、
メモリアクセス要求を受信するための第1の入力を有するコマンドキューと、
少なくとも1つのダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)に結合するように構成されたメモリチャネルに結合するための出力を有するメモリインターフェースキューと、
前記コマンドキューからエントリを選択し、前記エントリを前記メモリインターフェースキューに配置して前記エントリを前記メモリチャネル上で送信させるために、前記コマンドキューに結合されたアービタと、
前記アービタに結合されたリフレッシュ制御回路と、を備え、
前記リフレッシュ制御回路は、
前記メモリチャネルを介してメモリ領域に送信されたアクティブ化コマンドのローリング数をカウントするアクティブ化カウンタを監視することと、
前記アクティブ化カウンタが中間管理閾値を超え且つ最大管理閾値以下であることに応じて、前記メモリ領域について前記リフレッシュ制御回路に現在保持されているリフレッシュ(REF)コマンドが存在しない場合に、リフレッシュ管理(RFM)コマンドのみを発行することと、を行うように動作可能である、
データ処理システム。
【請求項25】
前記リフレッシュ制御回路は、前記アクティブ化カウンタが前記最大管理閾値を超えていることに応じて、REFコマンドが前記メモリ領域について前記リフレッシュ制御回路に現在保持されているかどうかを判定し、保持されていない場合に、REFコマンドを前記メモリ領域に送信させ、保持されている場合に、保留中のREFコマンドを、前記RFMコマンドを発行させることなく発行することを可能にし、前記RFMコマンド又は前記保留中のREFコマンドのうち何れかがスケジュールされるまで新たなアクティブ化コマンドが前記メモリ領域にスケジュールされることを抑制する、
請求項24のデータ処理システム。
【請求項26】
前記アービタは、少なくともそれぞれのコマンドのメモリ領域についてのそれぞれのアクティブ化カウンタ値に基づいて、コマンド選択の適格性を判定する、
請求項24のデータ処理システム。
【請求項27】
前記メモリ領域は、メモリバンク又はサブバンクの何れかである、
請求項24のデータ処理システム。
【請求項28】
前記メモリ領域は、メモリバンクのサブバンクであり、前記リフレッシュ制御回路は、前記メモリバンクの複数のサブバンクのそれぞれについて複数のアクティブ化カウンタを監視するように動作可能である、
請求項27のデータ処理システム。
【請求項29】
前記リフレッシュ制御回路は、前記メモリバンクに向けられたREF及びRFMコマンドに応じて、前記アクティブ化カウンタをデクリメントさせるように動作可能である、
請求項28のデータ処理システム。
【請求項30】
前記リフレッシュ制御回路は、前記複数のサブバンクの粒度レベルで前記アクティブ化カウンタを監視し、前記REF及びRFMコマンドを前記メモリバンクの粒度レベルで発行することを可能にする又は発行させるように動作可能である、
請求項28のデータ処理システム。
【請求項31】
前記複数のサブバンクにわたって連続するメモリアドレスを広げ、前記複数のサブバンクをアドレス指定するためのメモリアドレスビットを提供するように動作可能なフレキシブルアドレスデコーダロジックを更に備える、
請求項28のデータ処理システム。
【請求項32】
前記リフレッシュ制御回路は、メモリバンク又はサブバンクのアクティブ化カウンタを提供するように構成可能である、
請求項28のデータ処理システム。
【請求項33】
前記リフレッシュ制御回路は、前記アクティブ化カウンタの指定条件に応じて、前記指定条件が修正されるまで、前記メモリ領域のリフレッシュレートを倍増させるように更に動作可能である、
請求項24のデータ処理システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
コンピュータシステムは、典型的には、メインメモリ用の安価で高密度のダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)チップを使用する。DRAMチップ内の特定の行(row)が読み取り又は書き込みのためにアクティブ化される場合、行に関連付けられたワード線がアクティブ化され、行に沿ったメモリセルの内容がページバッファに読み込まれる。行内のメモリセルへの後続の読み取り及び書き込みアクセスは、再び行にアクセスすることなく、ページバッファ内で全体的に行うことができる。データプロセッサが後で同じメモリバンク内の別の行にアクセスする場合、行に沿ったメモリセルは、別の行がアクティブ化され得る前にプリチャージ動作で復元される。
【0002】
現代のDRAMチップは、典型的には、ディープサブミクロン技術(deep sub-micron technology)を使用して、1~8ギガビット(Gb)データを記憶する。高密度及び小フィーチャサイズ(small feature size)のために、メモリの行が他の行に物理的に非常に近接しているため、特定の行のアクティブ化は、メモリセルコンデンサ上の電荷を変化させることによって隣接行に記憶されたデータを混乱させる可能性がある。メモリセルが定期的にリフレッシュされるため、これまで、こうした混乱は、典型的には無害であった。しかしながら、時折、いくつかのメモリアクセスパターンは、次のリフレッシュサイクルの前に特定の行を何度もアクティブ化及びプリチャージさせることがあるため、隣接行のメモリセルが破損し、論理状態を逆転させる。破損した後、元のデータが失われ、後続のリフレッシュサイクルで復元させることができない。フィーチャサイズが小さくなるにつれて、「ロウハンマー(row hammer)」として知られるこの問題は、問題を引き起こすのに要する行アクティブ化の数がより小さくなるため、軽減することが一層困難になる。
【0003】
データ混乱の問題(data upset problem)に対処するための1つの既知の技術は、ターゲット行リフレッシュ(TRR)として知られている。DRAMの行がリフレッシュ期間内に何回もアクティブ化されないように確保するため、メモリコントローラは、特定のモードレジスタビットを設定することによってDRAMをTRRモードに配置する。TRRモードでは、連続的なアクティブ化及びプリチャージコマンドが、ターゲット行及び2つの物理的に隣接する行に送信される。TRRモードが有効にされると、TRRモードが完了するまで、他のモードレジスタコマンドが許可されない。TRRモードが自動クリアされ、モードレジスタビットがTRRモードの完了後に設定される。TRRにより、メモリコントローラは、特定の期間内の特定の行への過剰なアクティブ化を回避することができる一方、TRRがモードレジスタを設定することによって開始され、これには、コントローラがモードレジスタセットコマンドを発行することができる前に全てのバンクがアイドル状態になければならないため、相当の時間を必要とする。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】先行技術で知られている加速処理ユニット(APU)及びメモリシステムを示すブロック図である。
図2】いくつかの実施形態による、図1のようなAPUでの使用に適したメモリコントローラを示すブロック図である。
図3】いくつかの実施形態による、リフレッシュ管理を処理するためのプロセスのフロー図である。
図4】いくつかの実施形態による、フレキシブルアドレスデコーダを示すブロック図である。
図5図4に示すようなフレキシブルアドレスデコーダを使用して、論理メモリアドレスを物理メモリ位置にマッピングするプロセスを示す図である。
図6】いくつかの実施形態による、メモリサブバンクのリフレッシュ管理を実行するための回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
異なる図面における同じ符号の使用は、類似又は同一のアイテムを示す。特に明記しない限り、「結合された」という用語及びそれに関連する動詞形態は、当技術分野で知られている手段による直接的な接続及び間接的な電気的接続の両方を含み、特に明記しない限り、直接的な接続の如何なる説明も、間接的な電気接続の適切な形態を使用する代替の実施形態を示唆する。
【0006】
メモリコントローラは、メモリアクセス要求を受信するための第1の入力を有するコマンドキューと、少なくとも1つのダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)モジュールに接続するように適合されたメモリチャネルに結合するための出力を有するメモリインターフェースキューと、を含む。メモリコントローラは、メモリチャネル上でDRAMモジュールのメモリ領域に送信されたアクティブ化コマンドのローリング数(rolling number)をカウントするアクティブ化カウンタを監視するリフレッシュ制御回路を含む。アクティブ化カウンタが中間管理閾値(intermediate management threshold value)を超えることに応じて、リフレッシュ制御回路は、メモリ領域についてリフレッシュコマンド回路に現在保持されているREFコマンドが存在しない場合に、リフレッシュ管理(RFM)コマンドのみを発行する。
【0007】
方法は、メモリ読み取り及びメモリ書き込みを含む複数のメモリアクセス要求を受信することを含む。メモリアクセス要求を満たすためのメモリアクセスコマンドが、メモリインターフェースキューに選択的に配置され、メモリインターフェースキューから少なくとも1つのダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)に結合されたメモリチャネルに送信される。本方法は、アクティブ化カウンタで、メモリチャネル上でメモリ領域に送信されたアクティブ化コマンドのローリング数をカウントする。本方法は、アクティブ化カウンタが中間管理閾値を超え、且つ、最大管理閾値(maximum management threshold value)以下であることに応じて、メモリ領域についてリフレッシュコマンド回路に現在保持されているREFコマンドが存在しない場合に、リフレッシュ管理(RFM)コマンドのみを発行する。
【0008】
データ処理システムは、データプロセッサと、中央処理ユニットに結合されたデータファブリックと、中央処理ユニットからメモリ要求を満たすためにデータファブリックに結合されたメモリコントローラと、を含む。メモリコントローラは、コマンドキューと、メモリインターフェースキューと、アービタと、リフレッシュ制御回路と、を含む。コマンドキューは、メモリアクセス要求を受信するための第1の入力を有する。メモリインターフェースキューは、少なくとも1つのダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)モジュールに結合するように適合されたメモリチャネルに結合するための出力を有する。アービタは、コマンドキューからエントリを選択し、エントリをメモリインターフェースキューに配置して、メモリチャネル上で送信させるために、コマンドキューに接続される。リフレッシュ制御回路は、アービタに接続され、アクティブ化カウンタを監視して、メモリチャネル上でメモリ領域に送信されたアクティブ化コマンドのローリング数をカウントするように動作する。アクティブ化カウンタが中間管理閾値を超えることに応じて、リフレッシュ制御回路は、メモリ領域についてリフレッシュコマンド回路に現在保持されているREFコマンドが存在しない場合に、リフレッシュ管理(RFM)コマンドのみを発行する。
【0009】
図1は、従来技術で知られている加速処理ユニット(APU)100及びメモリシステム130を示すブロック図である。APU100は、ホストデータ処理システム内のプロセッサとしての使用に適した集積回路であり、概して、中央処理ユニット(CPU)コア複合体110と、グラフィックコア120と、ディスプレイエンジン122のセットと、メモリ管理ハブ124と、データファブリック125と、周辺コントローラ160のセットと、周辺バスコントローラ170のセットと、システム管理ユニット(SMU)180と、を含む。
【0010】
CPUコア複合体110は、CPUコア112及びCPUコア114を含む。この例では、CPUコア複合体110は、2つのCPUコアを含むが、他の実施形態では、CPUコア複合体110は、任意の数のCPUコアを含むことができる。CPUコア112,114の各々は、制御ファブリックを形成するシステム管理ネットワーク(SMN)と、データファブリック125と、に双方向に接続されており、データファブリック125にメモリアクセス要求を提供することができる。CPUコア112,114の各々は、単一コアであってもよいし、キャッシュ等の特定のリソースを共有する2つ以上の単一コアを備えたコア複合体であってもよい。
【0011】
グラフィックコア120は、高度に統合された並列様式で、頂点処理、フラグメント処理、シェーディング、テクスチャブレンド等のグラフィック動作を実行することができる高性能グラフィックス処理ユニット(GPU)である。グラフィックコア120は、SMN及びデータファブリック125に双方向に接続されており、データファブリック125にメモリアクセス要求を提供することができる。これに関して、APU100は、CPUコア複合体110とグラフィックコア120が同じメモリ空間を共有する一体型メモリアーキテクチャ、又は、CPUコア複合体110及びグラフィックコア120がメモリ空間の一部を共有するが、グラフィックコア120がCPUコア複合体110によってアクセス可能ではないプライベートグラフィックメモリも使用するメモリアーキテクチャもサポートし得る。
【0012】
ディスプレイエンジン122は、モニタ上に表示するためにグラフィックコア120によって生成されたオブジェクトをレンダリング及びラスタリングする。グラフィックコア120及びディスプレイエンジン122は、メモリシステム130内の適切なアドレスへの均一な変換のために共通のメモリ管理ハブ124に双方向に接続されており、メモリ管理ハブ140は、そのようなメモリアクセスを生成し、メモリシステムから返された読み取りデータを受信するために、データファブリック125に双方向に接続されている。
【0013】
データファブリック125は、メモリアクセスエージェントとメモリ管理ハブ140との間のメモリアクセス要求及びメモリ応答をルーティングするためのクロスバースイッチを含む。また、データファブリックは、システム構成及び各仮想接続のためのバッファに基づいてメモリアクセスの宛先を決定するために、基本入力/出力システム(BIOS)によって定義されるシステムメモリマップも含む。
【0014】
周辺コントローラ160は、ユニバーサルシリアルバス(USB)コントローラ162及びシリアルアドバンストテクノロジーアタッチメント(SATA)インターフェースコントローラ164を含み、それらの各々は、システムハブ166とSMNバスに双方向に接続されている。これら2つのコントローラは、APU100で使用され得る周辺コントローラの単なる例示である。
【0015】
周辺バスコントローラ170は、システムコントローラ又は「サウスブリッジ」(SB)172及び周辺コンポーネントインターコネクトエクスプレス(PCIe)コントローラ174を含み、それらの各々は、入力/出力(I/O)ハブ176とSMNバスに双方向に接続されている。I/Oハブ176は、システムハブ166及びデータファブリック125に双方向に接続されている。したがって、例えば、CPUコアは、USBコントローラ162、SATAインターフェースコントローラ164、SB172、又は、PCIeコントローラ174内のレジスタを、データファブリック125がI/Oハブ176を通じてルーティングするアクセスによってプログラムすることができる。APU100のためのソフトウェア及びファームウェアは、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュ電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)等の様々な不揮発性メモリタイプのうちの何れかであり得るシステムデータドライブ又はシステムBIOSメモリ(図示省略)に記憶される。典型的には、BIOSメモリは、PCIeバスを介してアクセスされ、システムデータドライブは、SATAインターフェースを介してアクセスされる。
【0016】
SMU180は、APU100上のリソースの動作を制御し、それらの間の通信を同期させるローカルコントローラである。SMU180は、APU100上の様々なプロセッサの電源投入シーケンシングを管理し、リセット、イネーブル及び他の信号を介して複数のオフチップデバイスを制御する。SMU180は、APU100の各構成要素にクロック信号を提供するために、位相ロックループ(PLL)等の1つ以上のクロック源(図示省略)を含む。また、SMU180は、様々なプロセッサ及び他の機能ブロックの電力を管理し、CPUコア112,114及びグラフィックコア120から測定された電力消費値を受信して、適切な電力状態を判定し得る。
【0017】
この実施形態では、メモリ管理ハブ140及びそれに関連する物理インターフェース(PHY)151,152は、APU100と統合される。メモリ管理ハブ140は、メモリチャネル141,142と、パワーエンジン149と、を含む。メモリチャネル141は、ホストインターフェース145と、メモリチャネルコントローラ143と、物理インターフェース147と、を含む。ホストインターフェース145は、シリアル存在検出リンク(SDP)を介してメモリチャネルコントローラ143をデータファブリック125に双方向に接続する。物理インターフェース147は、メモリチャネルコントローラ143をPHY151に双方向に接続し、DDRPHYインターフェース(DFI)仕様に準拠する。メモリチャネル142は、ホストインターフェース146と、メモリチャネルコントローラ144と、物理インターフェース148と、を含む。ホストインターフェース146は、別のSDPを介してメモリチャネルコントローラ144をデータファブリック125に双方向に接続する。物理インターフェース148は、メモリチャネルコントローラ144をPHY152に双方向に接続し、DFI仕様に準拠する。パワーエンジン149は、SMNバスを介してSMU180に、APBを介してPHY151,152に双方向に接続されており、また、メモリチャネルコントローラ143,144にも双方向に接続されている。PHY151は、メモリチャネル131への双方向接続を有する。PHY152は、双方向接続メモリチャネル133を有する。
【0018】
メモリ管理ハブ140は、2つのメモリチャネルコントローラを有するメモリコントローラの具体例であり、以下で更に説明するように、共有パワーエンジン149を使用して、メモリチャネルコントローラ143及びメモリチャネルコントローラ144の両方の動作を制御する。メモリチャネル141,142の各々は、DDRバージョン4(DDR4)、低電力DDR4(LPDDR4)、グラフィックDDRバージョン5(gDDR5)及び高帯域幅メモリ(HBM)等の最新技術のDDRメモリに接続することができ、将来のメモリ技術に適合させることができる。これらのメモリは、高バス帯域幅及び高速動作を提供する。同時に、それらはまた、ラップトップコンピュータ等の電池駆動アプリケーションの電力を節約するために低電力モードを提供し、内蔵熱監視も提供する。
【0019】
メモリシステム130は、メモリチャネル131及びメモリチャネル133を含む。メモリチャネル131は、この例では別個のランクに対応する代表的なDIMM134,136,138を含む、DDRxバス132に接続されたデュアルインラインメモリモジュール(DIMM)のセットを含む。同様に、メモリチャネル133は、代表的なDIMM135,137,139を含む、DDRxバス129に接続されたDIMMのセットを含む。
【0020】
APU100は、ホストデータ処理システムの中央処理ユニット(CPU)として動作し、現代のコンピュータシステムにおいて有用な様々なバス及びインターフェースを提供する。これらのインターフェースは、2つのダブルデータレート(DDRx)メモリチャネル、PCIeリンクに接続するためのPCIeルート複合体、USBネットワークに接続するためのUSBコントローラ、及び、SATA大容量ストレージデバイスへのインターフェースを含む。
【0021】
また、APU100は、様々なシステム監視及び省電力機能を実装する。特に、1つのシステム監視機能は、熱監視である。例えば、APU100が高温になる場合、SMU180は、CPUコア112,114及び/又はグラフィックコア120の周波数及び電圧を低減することができる。APU100が高くなりすぎる場合、完全にシャットダウンさせることができる。また、熱イベントは、SMNバスを介してSMU180によって外部センサから受信することができ、SMU180は、それに応じて、クロック周波数及び/又は電源電圧を低減することができる。
【0022】
図2は、図1に示すようなAPUでの使用に適したメモリコントローラ200を示すブロック図である。メモリコントローラ200は、概して、メモリチャネルコントローラ210及びパワーコントローラ250を含む。メモリチャネルコントローラ210は、概して、インターフェース212と、メモリインターフェースキュー214と、コマンドキュー220と、アドレス生成器222と、コンテンツアドレサブルメモリ(CAM)224と、リプレイキュー230を含むリプレイ制御ロジック231と、リフレッシュロジックブロック232と、タイミングブロック234と、ページテーブル236と、アービタ238と、エラー訂正コード(ECC)チェック回路242と、ECC生成ブロック244と、データバッファ246と、を含む。
【0023】
インターフェース212は、外部バスを介したデータファブリック125への第1の双方向接続を有し、出力を有する。メモリコントローラ200では、この外部バスは、「AXI4」として知られる、イギリス、ケンブリッジ、ARM Holdings,PLC製の高度拡張可能インターフェースバージョン4と互換性があるが、他の実施形態では他のタイプのインターフェースであり得る。インターフェース212は、FCLK(又はMEMCLK)ドメインとして知られる第1のクロックドメインから、UCLKドメインとして知られるメモリコントローラ200の内部の第2のクロックドメインにメモリアクセス要求を変換する。同様に、メモリインターフェースキュー214は、UCLKドメインからDFIインターフェースに関連付けられたDFICLKドメインへメモリアクセスを提供する。
【0024】
アドレス生成器222は、AXI4バスを介してデータファブリック125から受信したメモリアクセス要求のアドレスを復号する。メモリアクセス要求は、正規化フォーマットで表される物理アドレス空間内のアクセスアドレスを含む。アドレス生成器222は、正規化されたアドレスを、メモリシステム130内の実際のメモリデバイスに対処するだけでなく、関連するアクセスを効率的にスケジュールするために使用することができるフォーマットに変換する。このフォーマットは、メモリアクセス要求を特定のランク、行アドレス、列アドレス、バンクアドレス、及び、バンクグループと関連付ける領域識別子を含む。起動時に、システムBIOSは、メモリシステム130内のメモリデバイスに照会して、それらのサイズ及び構成を決定し、アドレス生成器222と関連付けられた構成レジスタのセットをプログラムする。アドレス生成器222は、構成レジスタに記憶された構成を使用して、正規化アドレスを適切なフォーマットに変換する。コマンドキュー220は、CPUコア112,114及びグラフィックコア120等のようにAPU100内のメモリアクセスエージェントから受信されるメモリアクセス要求のキューである。コマンドキュー220は、アドレス生成器222によって復号されたアドレスフィールドと、アービタ238が、アクセスタイプ及びサービス品質(QoS)識別子を含むメモリアクセスを効率的に選択することを可能にする他のアドレス情報と、を記憶する。CAM224は、書き込み後書き込み(WAW)及び書き込み後読み取り(RAW)順序規則等の順序規則を実施するための情報を含む。
【0025】
エラー訂正コード(ECC)生成ブロック244は、メモリに送信される書き込みデータのECCを判定する。ECCチェック回路242は、受信されたECCを入力ECCに対して照合する。
【0026】
リプレイキュー230は、アドレス及びコマンドパリティ応答等の応答を待機するアービタ238によって捕捉された選択メモリアクセスを記憶するための一時的なキューである。リプレイ制御ロジック231は、ECCチェック回路242にアクセスして、返されたECCが正しいか、又は、エラーを示すかを判定する。リプレイ制御ロジック231は、これらのサイクルのうち何れかのパリティ又はECCエラーの場合にアクセスがリプレイされる修復シーケンスを開始し制御する。リプレイされたコマンドは、メモリインターフェースキュー214に置かれる。
【0027】
リフレッシュ制御ロジック232は、メモリアクセスエージェントから受信した通常の読み取り及び書き込みメモリアクセス要求とは別に生成される、様々な電源遮断、リフレッシュ、及び、終端抵抗(ZQ)較正サイクルのための状態機械を含む。例えば、メモリランクは、プリチャージ遮断にある場合、リフレッシュサイクルを実行するために定期的に起動されなければならない。リフレッシュ制御ロジック232は、DRAMチップ内のメモリセルの蓄電コンデンサからの電荷の漏れによって引き起こされるデータエラーを防止するために、定期的に及び指定された条件に応じて、リフレッシュコマンドを生成する。メモリ領域は、いくつかの実施形態ではメモリバンクであり、以下で更に説明するように、他の実施形態ではメモリサブバンクである。また、リフレッシュ制御ロジック232は、リフレッシュ(REF)コマンド及びリフレッシュ管理(RFM)コマンドの両方を含むリフレッシュコマンドを生成し、RFMコマンドは、以下で更に説明するように、行ハンマーの問題を軽減するためのリフレッシュ機能を実行するようにメモリに指示する。更に、リフレッシュ制御ロジック232は、ZQを定期的に較正して、システムの熱変化によるオンダイ終端抵抗の不一致を防止する。
【0028】
アービタ238は、コマンドキュー220に双方向に接続されており、メモリチャネルコントローラ210の中心である。アービタ238は、メモリバスの使用を改善するためのアクセスのインテリジェントスケジューリングによって効率を改善する。アービタ238は、タイミングブロック234を使用して、コマンドキュー220内の特定のアクセスがDRAMタイミングパラメータに基づく発行に適格であるかどうかを判定することによって適切なタイミング関係を実施する。例えば、各DRAMは、「tRC」として知られる、アクティブ化コマンド間の最小指定時間を有する。タイミングブロック234は、このタイミングパラメータ及びJEDEC仕様で指定された他のタイミングパラメータに基づく適格性を判定するカウンタのセットを保持し、リプレイキュー230に双方向に接続されている。ページテーブル236は、アービタ238のメモリチャネルの各バンク及びランク内のアクティブページに関する状態情報を保持し、リプレイキュー230に双方向に接続されている。アービタ238は、アクティブ化カウンタ248を含み、この実施形態では、メモリチャネル上でメモリ領域に送信されたアクティブ化コマンドのローリング数をカウントする、各メモリ領域に対するカウンタを含む。ローリング数を提供するために、各アクティブ化コマンドがカウントされるが、リフレッシュコマンド又はリフレッシュ管理コマンドがメモリ領域に対して発行される場合、カウント以下に説明されるように低減される。アービタ238は、リフレッシュ制御ロジック232に双方向に接続されており、リフレッシュコマンドを監視し、リフレッシュアクティビティを指示する。
【0029】
インターフェース212から受信された書き込みメモリアクセス要求に応じて、ECC生成ブロック244は、書き込みデータに従ってECCを計算する。データバッファ246は、受信したメモリアクセス要求の書き込みデータ及びECCを記憶する。アービタ238がメモリチャネルへの送出のために対応する書き込みアクセスを捕捉する場合、データバッファは、結合された書き込みデータ/ECCをメモリインターフェースキュー214に出力する。
【0030】
パワーコントローラ250は、概して、高度拡張可能インターフェースバージョン1(AXI)へのインターフェース252と、高度周辺バス(APB)インターフェース254と、パワーエンジン260と、を含む。インターフェース252は、SMNへの第1の双方向接続を有し、SMNは、図2に別々に示される「EVENT_n」とラベル付けされたイベント信号を受信するための入力と出力とを含む。APBインターフェース254は、インターフェース252の出力に接続された入力と、APB上のPHYに接続するための出力と、を有する。パワーエンジン260は、インターフェース252の出力に接続された入力と、メモリインターフェースキュー214の入力に接続された出力と、を有する。パワーエンジン260は、構成レジスタ262のセットと、マイクロコントローラ(μC)264と、セルフリフレッシュコントローラ(SLFREF/PE)266と、高信頼読み取り/書き込みタイミングエンジン(RRW/TE)268と、を含む。構成レジスタ262は、AXIバス上でプログラムされ、メモリコントローラ200内の様々なブロックの動作を制御するための構成情報を記憶する。したがって、構成レジスタ262は、図2に詳細に示されていないこれらのブロックに接続された出力を有する。セルフリフレッシュコントローラ266は、リフレッシュ制御ロジック232によるリフレッシュの自動生成に加えて、リフレッシュの手動生成を可能にするエンジンである。高信頼読み取り/書き込みタイミングエンジン268は、DDRインターフェース最大読み取り待ち時間(MRL)トレーニング及びループバック試験等の目的のために、メモリ又はI/Oデバイスに連続メモリアクセスストリームを提供する。
【0031】
メモリチャネルコントローラ210は、関連付けられたメモリチャネルへの送出のためにメモリアクセスを捕捉することを可能にする回路を含む。所望のアービトレーション決定を行うために、アドレス生成器222は、アドレス情報を、ランク、行アドレス、列アドレス、バンクアドレス及びバンクグループを含む予め復号された情報に復号し、コマンドキュー220は、予め復号された情報を記憶する。構成レジスタ262は、アドレス生成器222が受信したアドレス情報をどのように復号するかを決定するための構成情報を記憶する。アービタ238は、復号されたアドレス情報、タイミングブロック234によって示されるタイミング適格性情報、及び、ページテーブル236によって示されるアクティブページ情報を使用して、サービス品質(QoS)要件等の他の基準を観察しながらメモリアクセスを効率的にスケジュールする。例えば、アービタ238は、メモリページを変更するために必要とされるプリチャージ及びアクティブ化コマンドのオーバーヘッドを回避するためにオープンページへのアクセスを優先し、あるバンクへのオーバーヘッドアクセスを、それらと別のバンクへの読み取り及び書き込みアクセスとをインターリーブすることによって隠す。特に通常動作中、アービタ238は、通常、異なるページを選択する前にプリチャージされる必要があるまで、異なるバンク内でページを開放し続ける。いくつかの実施形態では、アービタ238は、少なくともそれぞれのコマンドのターゲットメモリ領域についてのアクティブ化カウンタ248のそれぞれの値に基づいて、コマンド選択の適格性を決定する。
【0032】
図3は、いくつかの実施形態による、リフレッシュ管理を処理するためのプロセス300のフロー図である。プロセス300は、いくつかの実施形態ではリフレッシュ制御ロジック232(図2)によって、又は、他の実施形態では同様の機能を有するメモリコントローラデジタルロジック又はコントローラによって実行される。本実施形態では、リフレッシュ制御ロジック232は、アービタ238に接続されており、アクティブ化カウンタ248を監視するように動作し、このカウンタは、ブロック302に示されるようにメモリチャネル上でメモリ領域に送信されたアクティブ化コマンドのローリング数をカウントする。メモリ領域は、いくつかの実施形態ではメモリバンクであるが、以下で更に説明するように、他の実施形態ではメモリサブバンクである。プロセス300は、各メモリ領域について繰り返される。ブロック304で、プロセス300は、リフレッシュ(REF)コマンドがそれぞれの監視領域に発行される場合、第1の指定量だけカウンタをデクリメントすることによってカウンタを管理する。ブロック304は、特定のメモリバンクに向けられる「バンク毎」REFコマンド、及び、特定のメモリランク内の全てのバンクに向けられる「全バンク」REFコマンドについて説明する。例えば、メモリバンクのためのアクティブ化カウンタは、一実施形態では、バンク毎REFであるか又は全バンクREFであるかに関係なく、REFコマンドがメモリバンクに発行されたことに応じて50だけデクリメントされる。したがって、全バンクREFコマンドは、影響を受ける全バンクに対して複数のアクティブ化カウンタを減少させる。また、プロセス300は、ブロック306に示すように、RFMコマンドがメモリ領域に発行される場合に、カウンタを第2の指定量だけデクリメントすることによって、リフレッシュ管理(RFM)コマンドの発行を説明する(accounts for)。例えば、メモリバンクのアクティブ化カウンタは、一実施形態では、RFMコマンドがメモリバンクに発行されたことに応じて100だけデクリメントされる。
【0033】
アクティブ化カウンタ248はブロック302,304,306によって更新されるが、この値は、メモリ領域に発行する通常のREFコマンドに加えて、様々なリフレッシュ管理アクションを行うブロック308~320に示すようにプロセス300によって監視される。一般に、プロセス300は、リフレッシュ制御ロジック232(図2)の周期的リフレッシュ機能によって生成されたREFコマンドを選択しつつ、何らかのタイプ(REF又はRFM)のリフレッシュコマンドを提供するように機能する。この選択は、アクティブ化カウンタが中間管理閾値を超え、最大管理閾値を下回ることに応じて、保留中のリフレッシュ(REF)コマンドが現在、メモリ領域のリフレッシュ制御回路に保持されているかどうかを判定し、保持されていない場合、リフレッシュ管理(RFM)コマンドをメモリ領域に送信させることによって達成される。保持されている場合、保留中のREFコマンドは、RFMコマンドが発行されない場合に発行が許可される。アクティブ化カウンタが最大管理閾値以上であることに応じて、プロセスは、メモリ領域に対してRFMコマンドをスケジュールさせ、RFMコマンドがスケジュールされるか、又は、保留中のREFコマンドがスケジュールされるまで、新しいアクティブ化コマンドがメモリ領域にスケジュールされることを防止する。異なる実施形態では、異なる論理プロセスを使用してこれを達成する。
【0034】
図示したプロセス300では、ブロック308は、アクティブ化カウンタ248の値を監視する。ブロック310で、値が最大管理閾値以上である場合、プロセス300はブロック316に進み、REFコマンドがメモリ領域についてアービタ238で保留されているかどうかをチェックする。ブロック316は、問題のバンクに適用される「バンク毎」REFコマンド及び「全バンク」REFコマンドをチェックする。問題のバンクをカバーする何れかのタイプのREFコマンドのうち何れかが保留中である場合、プロセスは、ブロック318に進み、アービタに信号を伝達して、保留中のREFコマンドを、スケジュール及び発行させるように優先順位付けする。ブロック316で保留中のREFコマンドが見つからない場合、プロセス300はブロック320に進み、アービタによってスケジュールされる新しいRFMコマンドを作成する。ブロック318又は320の何れかの後、プロセス300はブロック322に進む、新たに生成されたRFMコマンドがスケジュールされるか、又は、保留中のREFがスケジュールされるまで、アクティブ化コマンドがアービタ238でスケジュールされることを防止する。いくつかの代替的な実施形態では、リフレッシュ制御回路は、ブロック310での最大閾値を超える等のアクティブ化カウンタ248の指定条件に応じて、指定条件が修正されるまで、メモリ領域のリフレッシュレートを倍増させるように更に動作可能である。そのようなレート増は、ブロック320でRFMコマンドを生成することに加えて、又は、その代わりに実行され得る。いくつかの実施形態では、リフレッシュ制御ロジックは、レート増を含むように構成可能である。
【0035】
ブロック310でアクティブ化カウンタ248が最大管理閾値を超えない場合、ブロック314は、アクティブ化カウンタ248が中間管理閾値以上であるかどうかをチェックする。以上でない場合、ブロック315は単にブロック308に戻り、アクティブ化カウンタの監視を継続する。以上である場合、プロセス300はブロック324に進み、REFコマンドがメモリ領域についてアービタ238で保留中であるかどうかをチェックする。ブロック316は、問題のバンクに適用される「バンク毎」REFコマンド及び「全バンク」REFコマンドをチェックする。問題のバンクをカバーする何れかのタイプのREFコマンドのうち何れかが保留中である場合、プロセスは、ブロック326に進み、アービタに信号を伝達して、保留中のREFコマンドを、スケジュール及び発行させるように優先順位付けする。保留中でない場合、プロセス300はブロック328に進み、アービタによってスケジュールされる新たなRFMコマンドを生成する。
【0036】
示されたプロセスブロックが順番に示されているが、この順序は限定的ではなく、図示した論理的機能又はその論理的等価物は、典型的には、並列に動作する様々なデジタル論理回路によって達成される。様々な実施形態では、デジタル論理回路は、アクティブ化カウンタの変化に応じて、又は、アクティブなカウンタ値を中間閾値及び最大閾値の一方又は両方と繰り返し比較することによって、様々な方法でアクティブ化カウンタの監視を実行する。ブロック308での監視は、図示した論理機能の各分岐の後に続く。
【0037】
中間管理閾値及び最大管理閾値は、メモリコントローラが、様々な製造業者からの異なるDRAMモジュールでも十分に機能することを可能にするように調整可能であることが好ましく、REF及びRFMコマンドは、それらの実行において変動することが多い。いくつかの実施形態では、中間管理閾値及び最大管理閾値は、監視プロセスの簡略化バージョンを実行するために同じ値に設定することができる。これら2つの閾値を等しく設定することは、好ましくは、最大管理閾値ロジック(ブロック310)を無効にするように機能し、中間管理閾値の比較を実施するロジック(ブロック314,315,324,326,328)が、カウンタが等しい閾値を超える状況を処理することを可能にする。そのような実施態様は、それによって、新しいRFMコマンドを生成するのではなく、存在する場合に保留中のREFコマンドを選択するように機能する。この選択は、様々なDRAMモジュールの実施態様において、大抵の場合、REFコマンドの方がRFMコマンドよりも高速であるために効率を向上させることが多い。他の実施態様では、中間管理閾値のみが使用される。
【0038】
様々な実施形態では、アクティブ化カウンタが監視されるメモリ領域は、メモリバンク又はサブバンクである。メモリ領域がメモリバンクのサブバンクである場合、リフレッシュ制御回路は、メモリバンクのそれぞれの複数のサブバンクの複数のアクティブ化カウンタを監視し、バンクレベルでREF及びRFMコマンドを適用するように動作可能である。そのようなコマンドは、バンク内のサブバンクについての全てのサブバンクアクティブ化カウンタを更新させる。同様に、全てのバンクREFコマンドは、それぞれのランク内の全てのサブバンクについてのサブバンクアクティブ化カウンタを更新させる。したがって、プロセス300は、複数のサブバンクの粒度レベルでアクティブ化カウンタを監視し、REF及びRFMコマンドを選択されたメモリバンクの粒度レベルで発行することを可能にするか、又は、発行させるように動作可能である。リフレッシュ制御回路は、メモリバンク又はサブバンクのアクティブ化カウンタを提供するように構成可能であってもよく、リフレッシュ管理プロセスも、バンク又はサブバンクを考慮するように調整可能である。
【0039】
図4は、いくつかの実施形態による、フレキシブルアドレスデコーダ400を示すブロック図である。いくつかの実施形態において、複数のサブバンクにわたって連続メモリアドレスを広げ(spread)し、複数のサブバンクをアドレス指定するためのメモリアドレスビットを提供するために、フレキシブルアドレスデコーダ400がアドレス生成器222(図2)に含まれる。フレキシブルアドレスデコーダ400は、復号されているメモリコマンドと関連付けられた入力論理アドレスADDRを受信し、入力論理アドレスをDRAMモジュール内の出力物理アドレスにマッピングすることによって、アドレスをそれぞれのDRAMモジュール内の物理的メモリ位置にマッピングするハッシュ関数又は他の適切な数学的分布関数を適用する。図示したように、このバージョンでは、出力アドレスビットは、メモリランクを選択する1つ以上のランクビットと、メモリバンクを選択する1つ以上のバンクビットと、サブバンクを選択する1つ以上のサブバンクビットと、行を選択する1つ以上の行ビットと、列を選択する1つ以上の列ビットと、を含む。
【0040】
図5は、図4に示すようなフレキシブルアドレスデコーダを使用して、論理メモリアドレスを物理メモリ位置にマッピングするプロセス500を示す図である。プロセス500は、メモリバンク内の異なるサブバンクにわたって連続した論理アドレスを行に分布することによって、「行ハンマー」の問題を軽減するのに役立つ。図示したように、DRAMモジュールのメモリランクは、いくつかのメモリバンクであるバンク0~バンクnを含む。本実施形態では、4つのサブバンクは、DRAMモジュールの各バンクであるサブバンク0、サブバンク1、サブバンク2及びサブバンク3内で使用される。他の実施形態では、2つのサブバンクが使用されてもよいし、4つ以上のサブバンクが使用されてもよい。連続的なロジックメモリ位置A~Dの範囲が図示されており、バンク内の異なるサブバンクへのフレキシブルなアドレス復号に従ってマッピングされているとして矢印によって示されている。本明細書に記載のリフレッシュ管理技術は、いくつかの実施形態では、図5のようなアドレスマッピングプロセスと組み合わせて使用され、メモリバンクレベルではなく各サブバンクに対するアクティブ化カウンタを提供する。
【0041】
図6は、いくつかの実施形態による、メモリサブバンクのリフレッシュ管理を実行するための回路600を示すブロック図である。回路600は、図3を参照して上述したリフレッシュ管理技術を実行し、サブバンクレベルの粒度でカウントをアクティブ化する。この例示的な実施形態では、リフレッシュ管理が行われるメモリバンクは、4つのサブバンクを含む。サブバンクであるサブバンク0~サブバンク3の各々のアクティブ化(ACT)コマンドは、図示したように、各サブバンクのそれぞれのアクティブ化カウンタ602で追跡される。図3のプロセス等のリフレッシュ管理プロセスを実行するために、各サブバンクに対してリフレッシュ管理回路604が提供される。本実施形態では、別個のリフレッシュ管理回路604が各サブバンクに対して提供されているが、他の実施形態では、単一のリフレッシュ管理回路が、全てのサブバンクを循環して関連する条件をチェックすることによって、全サブバンクを管理することができる。
【0042】
各リフレッシュ管理回路604は、それぞれのアクティブ化カウンタ602の値のための入力と、図示した管理閾値入力「MGMNT閾値」等の調整可能な構成値のための追加の入力と、を有し、その追加入力を通じて、中間管理閾値及び最大管理閾値等の調整可能な値が提供される。4つのリフレッシュ管理回路604の出力は、例えば、図3のプロセス等のように、採用されるリフレッシュ管理プロセスに従って、RFMコマンドをそれぞれのサブバンクに対して発行すべきかどうかを信号で伝達する。これらの4つの出力は4つの入力ORゲート606に供給され、これらのゲートは、監視されているメモリバンクに対してRFMコマンドが発行されることを示す出力「バンクRFM」を生成する。それにより、回路600は、サブバンク粒度レベルでのリフレッシュ管理を提供するが、メモリバンクの粒度レベルでRFMコマンドをアクティブ化する。
【0043】
図2のメモリコントローラ200又はアービタ238及びリフレッシュ制御回路232等のその一部は、データベースの形態のコンピュータアクセス可能なデータ構造、又は、集積回路を製造するためにプログラムによって読み取られ、直接的又は間接的に使用され得る他のデータ構造によって説明又は表示され得る。例えば、データ構造は、Verilog又はVHDL等の高レベル設計言語(high-leveldesignlanguage、HDL)におけるハードウェア機能の行動レベルの記述又はレジスタ転送レベル(register-transferlevel、RTL)の記述であり得る。記述は、ゲートのリストを含むネットリストを合成ライブラリから生成するために記述を合成することができる合成ツールにより読み取り得る。ネットリストは、集積回路を含むハードウェアの機能も表すゲートのセットを含む。ネットリストは、次いで、マスクに適用される幾何学的形状を記述するデータセットを生成するために配置され、ルーティングされ得る。次いで、マスクを様々な半導体製造ステップで使用して、集積回路を生成し得る。代替的に、コンピュータアクセス可能格納媒体上のデータベースは、所望に応じて、ネットリスト(合成ライブラリの有無にかかわらず)若しくはデータセット、又は、グラフィックデータシステム(Graphic Data System、GDS)IIデータであり得る。
【0044】
特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態に対する様々な修正が当業者には明らかであろう。例えば、メモリチャネルコントローラ210及び/又はパワーエンジン250の内部アーキテクチャは、異なる実施形態では異なり得る。メモリコントローラ200は、高帯域幅メモリ(HBM)、RAMbusDRAM(RDRAM)等のDDRx以外の他のタイプのメモリにインターフェース接続することができる。図示した実施形態は、別個のDIMM又はSIMMに対応するメモリの各ランクを示したが、他の実施形態では、各モジュールは、複数のランクをサポートすることができる。更に他の実施形態は、ホストマザーボードに取り付けられるDRAM等のように、特定のモジュールに含まれていない他のタイプのDRAMモジュール又はDRAMを含み得る。したがって、添付の特許請求の範囲によって、開示された実施形態の範囲内にある開示された実施形態の全ての修正を網羅することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6