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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】URAT-1阻害剤の新規塩型
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/44 20060101AFI20230929BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20230929BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230929BHJP
   A61P 13/04 20060101ALI20230929BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230929BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20230929BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230929BHJP
   A61P 39/02 20060101ALI20230929BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20230929BHJP
   A61P 5/18 20060101ALI20230929BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230929BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230929BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230929BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230929BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230929BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20230929BHJP
   A61K 31/426 20060101ALI20230929BHJP
   C07D 213/70 20060101ALN20230929BHJP
【FI】
A61K31/44
A61P19/06
A61P19/02
A61P13/04
A61P13/12
A61P9/12
A61P9/00
A61P39/02
A61P17/06
A61P5/18
A61P29/00
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K9/20
A61K9/48
A61K31/519
A61K31/426
C07D213/70
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020551976
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 CN2019079619
(87)【国際公開番号】W WO2019184897
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-11
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/080889
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517023404
【氏名又は名称】インベンティスバイオ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】タイ シン
(72)【発明者】
【氏名】チアン ユエハン
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-524704(JP,A)
【文献】特表2013-528655(JP,A)
【文献】特表2013-530186(JP,A)
【文献】薬剤学,2006年,66(6),P.435-439
【文献】Journal of Pharmaceutical Sciences,1977年,66(1),P.1-19
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/
A61K 9/
C07D 213/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸ナトリウム(化合物1-Na):
の結晶型IIと、任意で薬学的に許容される賦形剤又は担体とを含む、医薬組成物であって、
該結晶形IIが、2θが8.8、15.2、16.2、17.2、17.6、18.6、20.2、20.9、21.7、22.2、23.1、25.2、25.9、及び26.4°±0.2°であるピークのうちの4つを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とし、
該医薬組成物が経口固体剤形である、医薬組成物
【請求項2】
2θが8.8、15.2、16.2、17.2、17.6、18.6、20.2、20.9、21.7、22.2、23.1、25.2、25.9、及び26.4°±0.2°であるピークのうちの8つ有するXRPDパターンを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物
【請求項3】
2θが8.8、15.2、16.2、17.2、17.6、18.6、20.2、20.9、21.7、22.2、23.1、25.2、25.9、及び26.4°±0.2°であるピークを有するXRPDパターンを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
腸溶コーティングされていない、請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
錠剤又はカプセルの形態である、請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記医薬組成物の活性成分が、本質的に2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸ナトリウムからなる、請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
治療有効量の請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物であって、その必要がある対象における、痛風、痛風性関節炎、再発性痛風発作、高尿酸血症、関節の炎症、関節炎、尿路結石症、腎臓疾患、腎結石、腎不全、高血圧、心血管疾患、冠状動脈性心疾患、レッシュ・ナイハン症候群、ケリー・シーグミラー症候群、鉛毒症、副甲状腺機能亢進症、乾癬、及びサルコイドーシスから選ばれる1種又は複数種の疾患又は障害を治療するための医薬組成物。
【請求項8】
治療有効量の請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物であって、その必要がある対象における、高尿酸血症を治療するための医薬組成物。
【請求項9】
治療有効量の請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物であって、その必要がある対象における、痛風を治療するための医薬組成物。
【請求項10】
痛風を治療するのに有効な第2の薬剤と組み合わせて用いられる、請求項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は2018年3月28日に提出された国際出願番号PCT/CN2018/080889の優先権を主張し、その内容はすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
各種実施形態において、本発明は概して、URAT-1阻害剤の新規塩型、それを含む医薬組成物、並びにその製造及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
尿酸は、ヒト体内でのプリンの最終代謝産物である。尿酸は主にナトリウム塩の形で血液中に存在する。ヒトの血清尿酸レベルは通常6mg/dL未満である。血清中の尿酸レベルが7mg/dL(Shiら、Nature 2003、425:516-523(非特許文献1))を超えると、尿酸のナトリウム塩が結晶化して関節や身体の他の部位に沈殿する可能性があり、これが痛風、尿路結石、腎結石などの疾患又は障害を引き起こす可能性がある。このような疾患又は障害を患っている患者は、他の合併症を伴っていることが多い。例えば、痛風患者は、高血圧、糖尿病、高脂血症、脂質異常症、アテローム硬化症、肥満症、代謝性疾患、腎症、心血管疾患、及び呼吸器疾患などの合併症も有することが多い(Rockら、Nature Reviews Rheumatology 2013、9:13-23(非特許文献2))。
【0004】
2002年、日本の科学者(遠藤グループ)は、アニオントランスポーターチャネルタンパク質URAT1が腎臓中の尿酸の再吸収を担当する主要タンパク質であると報告した。同グループはまた、タンパク質濃度の低下又は非機能性タンパク質を招く特定のURAT1遺伝子の変異を持つ人たちの血液中の尿酸レベルが、正常な人たちで観察されたレベルの10分の1にすぎないことを発見した(Enomotoら、Nature 2002 417:447-452(非特許文献3))。これらのヒト遺伝学的証拠は、腎臓中のURAT1アニオントランスポータータンパク質が血液中の尿酸濃度の調節において非常に重要な役割を果たしていることをさらに証明している。
【0005】
ヒト尿酸塩アニオントランスポーター1(hURAT1)は、アニオントランスポーターファミリーのメンバーであり、腎近位曲尿細管の上皮細胞の管腔表面側に位置し、主に腎近位曲尿細管における尿酸の再吸収に関与している。URAT1は、管腔内の尿酸と細胞内の一価アニオンを交換することで、尿酸の再吸収と少量の尿酸の排泄を達成する。腎近位曲尿細管に位置するアニオントランスポーターチャネルタンパク質には、アニオントランスポーターチャネルタンパク質OAT4も含まれており、これはURAT1(タンパク質のアミノ酸)と42%の類似性を有している。通常、URAT1阻害剤はまた、尿酸を尿細管から再び血液に吸収するOAT4及びいくつかの他のアニオントランスポーターチャネルタンパク質にも、阻害性作用を有している。
【0006】
以上のことから、URAT1を阻害することは、血液中の尿酸レベルを下げ、痛風などの関連疾患又は障害を治療するための非常に良い特異的な方策であることが示された。一部の薬物と候補薬物(例えば、ベンズブロマロン、プロベネシド、レシヌラド)は、腎臓URAT1アニオントランスポーターチャネルタンパク質の阻害剤であり、血液中の尿酸レベルを6mg/dL以下に下げることを目標として、痛風とそれに伴う合併症の治療における1つの目的を達成するのに役立ち得る。これは、アロプリノール及びフェブキソスタットなどの化合物でキサンチンオキシダーゼを阻害する方法への追加を表し、尿酸の産生を減少させることで血液中の尿酸レベルを低下させる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】Shiら、Nature 2003、425:516-523
【文献】Rockら、Nature Reviews Rheumatology 2013、9:13-23
【文献】Enomotoら、Nature 2002 417:447-452
【発明の概要】
【0008】
発明の簡単な概要
米国特許第9,809,580号には、URAT1の阻害に有効でありかつ痛風及び高尿酸血症などの疾患又は障害の治療に利用できる、チオ酪酸化合物などの様々なチオ置換カルボン酸が記載されている。各種の実施形態において、本発明は、例えば結晶形態及び/又は実質的に純粋な単離塩であるチオ置換カルボン酸及びその薬学的に許容される塩、それを含む医薬組成物、その製造方法、並びにその使用方法に関する。
【0009】
本発明の特定の実施形態は、化合物1(2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸)又はその薬学的に許容される塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、又はカルシウム塩に関する。
【0010】
本明細書の化合物1とその薬学的に許容される塩は、実質的に純粋であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、本発明は実質的に純粋な化合物1を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は化合物1の実質的に純粋な塩、例えば、化合物1の実質的に純粋なナトリウム塩(化合物1-Na)、化合物1の実質的に純粋なカリウム塩(化合物1-K)、又は化合物1の実質的に純粋なカルシウム塩(例えば、化合物1-Ca)を提供する。
【0011】
ここに記載されたいずれかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は結晶形態であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1は、化合物1のI型を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなることができる。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Naは、化合物1-NaのII型を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなることができる。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Kは、化合物1-KのIII型を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなることができる。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Caは、化合物1-CaのIV型を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなることができる。結晶型I、II、III、及びIV型は本明細書で定義する。
【0012】
いくつかの実施形態では、本発明は、化合物1又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の実質的に純粋な化合物(例えば、化合物1、1-Na、1-K、又は1-Ca)の1つ又は複数と、任意で薬学的に許容される賦形剤又は担体とを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなることができる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物1のI型、化合物1-NaのII型、化合物1-KのIII型、及び化合物1-CaのIV型から選択される1種又は複数種の結晶型と、任意で薬学的に許容される賦形剤又は担体とを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなることができる。
【0013】
ある特定の実施形態は、治療に有効な量の例えば結晶II型の化合物1-Naを含む医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、医薬組成物の活性成分は、化合物1-Naを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなることができる。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の化合物1-Naは結晶II型として存在する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、結晶II型を除いて、化合物1-Naの固体形態を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、医薬組成物は化合物1を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、医薬組成物は化合物1の非ナトリウム塩を実質的に含まない。
【0014】
本明細書に記載の医薬組成物は、任意の適切な投与経路のために製剤化することができる。いくつかの実施形態では、医薬組成物を経口投与用に製剤化することができる。例えば、本明細書に記載のいずれかの実施形態では、医薬組成物は錠剤又はカプセルの形態に製剤化することができる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は腸溶コーティングの形態であってもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、医薬組成物は非腸溶コーティングの形態であってもよい。
【0015】
本明細書に記載の化合物、塩及び結晶形態は単独で使用することも、互いに組み合わせて使用することも、第2の薬剤とともに使用することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、キサンチンオキシダーゼ阻害剤、キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤、キサンチンオキシドレダクターゼ阻害剤、及びそれらの組み合わせから選択される第2の薬剤を含むことができる。本明細書に記載のいずれかの実施形態では、第2の薬剤はアロプリノール、フェブキソスタット、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態は、異常尿酸レベルに関連する疾患又は障害を治療するために、本明細書に記載の化合物、塩、結晶型、及び/又は医薬組成物を用いる方法に関する。いくつかの実施形態では、この方法は、その必要がある対象に、治療有効量の1種又は複数種の本明細書に記載の化合物(例えば、化合物1、1-Na、1-K、又は1-Ca)、例えば、本明細書に記載の実質的に純粋な化合物、本明細書に記載の結晶型、あるいは治療有効量の本明細書に記載のいずれかの医薬組成物を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、この方法は痛風、痛風性関節炎、再発性痛風発作、高尿酸血症、関節の炎症、関節炎、尿路結石症、腎臓疾患、腎結石、腎不全、高血圧、心血管疾患、冠状動脈性心疾患、レッシュ・ナイハン症候群、ケリー・シーグミラー症候群、鉛毒症、副甲状腺機能亢進症、乾癬、及びサルコイドーシスから選ばれる1種又は複数種の疾患又は障害の治療のためのものである。いくつかの実施形態では、この方法は、血液中の尿酸レベルを下げるため、又は尿酸の排泄を促進するためのものである。いくつかの具体的な実施形態では、この方法は痛風の治療のためのものである。いくつかの具体的な実施形態では、この方法は高尿酸血症の治療のためのものである。本明細書に記載の方法は、任意の特定の投与経路にも限定されない。例えば、本明細書に記載のいずれかの実施形態では、投与は経口投与であってもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、その必要がある対象に、(例えば、本明細書に記載の)第2の薬剤を投与する工程をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2の薬剤は同時又は順次に投与されてもよい。
[本発明1001]
2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸ナトリウム(化合物1-Na):
の結晶型II。
[本発明1002]
2θが8.8、15.2、16.2、17.2、17.6、18.6、20.2、20.9、21.7、22.2、23.1、25.2、25.9、及び26.4°±0.2°であるピークの1つ又は複数を有するX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする、本発明1001の結晶型II。
[本発明1003]
2θが8.8、15.2、16.2、17.2、17.6、18.6、20.2、20.9、21.7、22.2、23.1、25.2、25.9、及び26.4°±0.2°であるピークの4つ以上を有するXRPDパターンを特徴とする、本発明1001の結晶型II。
[本発明1004]
2θが8.8、15.2、16.2、17.2、17.6、18.6、20.2、20.9、21.7、22.2、23.1、25.2、25.9、及び26.4°±0.2°であるピークの8つ以上を有するXRPDパターンを特徴とする、本発明1001の結晶型II。
[本発明1005]
XRPDパターンが図2Aに示すものと実質的に同じであることを特徴とする、本発明1001の結晶型II。
[本発明1006]
示差走査熱量測定(DSC)パターンが図2Bに示すものと実質的に同じであることを特徴とする、本発明1001~1005のいずれかの結晶型II。
[本発明1007]
本発明1001~1006のいずれかの結晶型IIと、任意で薬学的に許容される賦形剤又は担体とを含む、医薬組成物。
[本発明1008]
2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸ナトリウムの他の固体形態を実質的に含まない、本発明1007の医薬組成物。
[本発明1009]
2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸を実質的に含まない、本発明1007又は1008の医薬組成物。
[本発明1010]
腸溶コーティングされていない、本発明1007~1009のいずれかの医薬組成物。
[本発明1011]
錠剤又はカプセルの形態である、本発明1007~1010のいずれかの医薬組成物。
[本発明1012]
前記医薬組成物の活性成分が、本質的に2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸ナトリウムからなる、本発明1007~1011のいずれかの医薬組成物。
[本発明1013]
その必要がある対象に、治療有効量の本発明1001~1006のいずれかの結晶型II又は本発明1007~1012のいずれかの医薬組成物を投与する工程を含む、痛風、痛風性関節炎、再発性痛風発作、高尿酸血症、関節の炎症、関節炎、尿路結石症、腎臓疾患、腎結石、腎不全、高血圧、心血管疾患、冠状動脈性心疾患、レッシュ・ナイハン症候群、ケリー・シーグミラー症候群、鉛毒症、副甲状腺機能亢進症、乾癬、及びサルコイドーシスから選ばれる1種又は複数種の疾患又は障害を治療する方法。
[本発明1014]
その必要がある対象に、治療有効量の本発明1001~1006のいずれかの結晶型II又は本発明1007~1012のいずれかの医薬組成物を投与する工程を含む、高尿酸血症を治療する方法。
[本発明1015]
その必要がある対象に、治療有効量の本発明1001~1006のいずれかの結晶型II又は本発明1007~1012のいずれかの医薬組成物を投与する工程を含む、痛風を治療する方法。
[本発明1016]
痛風を治療するのに有効な第2の薬剤を、前記対象に投与する工程をさらに含む、本発明1015の方法。
[本発明1017]
前記第2の薬剤が、キサンチンオキシダーゼ阻害剤、キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤、キサンチンオキシドレダクターゼ阻害剤、又はそれらの組み合わせである、本発明1016の方法。
[本発明1018]
前記第2の薬剤が、アロプリノール、フェブキソスタット、又はそれらの組み合わせである、本発明1017の方法。
[本発明1019]
その必要がある対象に、有効量の本発明1001~1006のいずれかの結晶型II又は本発明1007~1012のいずれかの医薬組成物を投与する工程を含む、血液中の尿酸レベルを低下させるか又は尿酸の排泄を促進する方法。
[本発明1020]
前記結晶型II又は医薬組成物を、前記対象に経口投与で投与する、本発明1013~1019のいずれかの方法。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A図1Aは、化合物1(2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸)の結晶型Iの代表的なX線粉末回折(XRPD)スペクトルを示す。
図1B図1Bは、化合物1の結晶型Iの代表的な熱重量分析(TGA)と示差走査熱量測定(DSC)解析を示す。
図2A図2Aは、化合物1-Na(2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸ナトリウム)の結晶型IIの代表的なXRPDスペクトルを示す。
図2B図2Bは、化合物1-Naの結晶型IIの代表的なTGAとDSC解析を示す。
図2C図2Cは、化合物1-Naの代表的な動的水分吸着(DVS)スペクトルを示す。
図3A図3Aは、化合物1-K(2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸カリウム)の結晶型IIIの代表的なXRPDスペクトルを示す。
図3B図3Bは、化合物1-Kの結晶型IIIの代表的なTGAとDSC解析を示す。
図3C図3Cは、化合物1-Kの代表的なDVSスペクトルを示す。
図4A図4Aは、化合物1-Ca(2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸カルシウム)の結晶型IVの代表的なXRPDスペクトルを示す。
図4B図4Bは、化合物1-Caの結晶型IVの代表的なTGAとDSC解析を示す。
図4C図4Cは、化合物1-Caの代表的なDVSスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
様々な実施形態では、例えば結晶型又は実質的に純粋な化合物であるチオ置換カルボン酸化合物及び薬学的に許容される塩が提供される。また、医薬組成物、その製造方法、及びそれらを用いる方法を提供する。より具体的な実施形態は、2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸及びその薬学的に許容される塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、又はカルシウム塩に関する。
【0020】
化合物/塩
様々な実施形態では、本発明に係るチオ置換カルボン酸化合物の塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はカルシウム塩)は、URAT-1の有効な阻害剤であり、痛風又は高尿酸血症などの様々な疾患及び障害の治療に有用である。このようなカルボン酸化合物の例は、以前に米国特許第9,809,580号に記載されており、その内容は全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0021】
いくつかの具体的な実施形態では、本発明は化合物1の塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はカルシウム塩)を提供する。化学名が2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸である化合物1は、以下に示す構造を有し、URAT-1の強力な阻害剤であり、痛風又は高尿酸血症など様々な疾患及び障害の治療に有用である。
【0022】
いくつかの実施形態では、化合物1の単離塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又はカルシウム塩)が提供される。いくつかの実施形態では、単離塩はナトリウム塩である。いくつかの実施形態では、単離塩はカリウム塩である。いくつかの実施形態では、単離塩はカルシウム塩である。
【0023】
本明細書でいう単離塩は、実質的に純粋であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、化合物1の単離塩(例えば、ナトリウム塩又はカリウム塩)は、重量及び/又はHPLC面積で、純度が少なくとも70%(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%)であることを特徴とする。いくつかの実施形態では、化合物1の単離塩(例えば、ナトリウム塩又はカリウム塩)は、重量及び/又はHPLC面積で、純度が約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約99%、又は特定した値の間の任意の範囲であることを特徴とする。文脈から明らかにそうではないとならない限り、実質的に純粋な化合物又は塩中の化合物/塩の重量百分率を計算する目的では、化合物又は塩又はその溶媒和物又は水和物の形態以外のいずれかの物質は、不純物とみなされ、これには例えば残留溶媒、水分含有量などが含まれる。疑問を避けるために、本明細書に記載の実質的に純粋な化合物又は塩と1種又は複数種の他の成分とを含む組成物は、本明細書に記載の実質的に純粋な化合物又は塩と、水、薬学的に許容される賦形剤などの1種又は複数種の他の成分とを混合することによって直接又は間接的に得られる組成物であると理解されるべきである。
【0024】
いくつかの具体的な実施形態では、本発明は化合物1のナトリウム塩に関し、本明細書では化合物1-Naと命名され、その化学名は2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸ナトリウムであり、以下に示す構造を有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、本発明は実質的に純粋な化合物1-Naを提供する。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Naは、重量及び/又はHPLC面積で、純度が少なくとも70%(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%)である。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Naは、重量及び/又はHPLC面積で、純度が約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約99%、又は特定した値の間の任意の範囲である。
【0026】
実質的に純粋な化合物1から、実質的に純粋な化合物1-Naを製造することができる。本明細書で開示するプロセスに従って、高純度で化合物1を製造することができる。典型的には、本明細書に記載のプロセスで製造された化合物1は、HPLCにより測定する場合、全不純物が1%未満(例えば、0.8%未満、0.5%未満、0.2%未満)である。いくつかの実施形態では、化合物1は、HPLCによって測定する場合、単一の不純物を1%を超える量では含まない(例えば、0.8%以下、0.5%以下、0.2%以下)。実施例部分に示すように、化合物1は結晶型Iなどの結晶形態で製造することができる。いくつかの実施形態では、化合物1のI型から実質的に純粋な化合物1-Naを製造することができる。本明細書で用いられるように、I型は化合物1の結晶形態を指し、図1Aに示すものと実質的に同じXRPDパターン;図1Aの主要ピーク(例えば、相対強度が20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、又は90%以上のピーク)を有するXRPDスペクトル;2θが7.0、10.2、10.6、14.0、20.4、21.9、23.4、24.9、及び25.9°±0.2°であるピークの1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、又は全て)を有するXRPDパターン;吸熱ピークを有し、かつピーク温度が約175.9℃のDSCパターン;図1Bに示すものと実質的に同じDSCプロファイル;図1Bに示すものと実質的に同じTGAプロファイル;又はそれらの組み合わせを特徴とすることができる。ここで用いるXRPDスペクトルの主要ピークとは、4~30度(2θ)の間の回折角と10%以上の相対強度を有するピークのことである。いくつかの実施形態では、XRPDスペクトルの主要ピークとは、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、又は90%以上の相対強度を有するピークを指すことができる。
【0027】
本明細書における実質的に純粋な化合物1-Naは典型的に、化合物1-Naの式に基づいて計算された理論ナトリウム含有量に近いナトリウム含有量を有する。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Naは、ナトリウムと化合物1-Naのカルボレート部分とのモル比が約1:1であることを特徴とする。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Naのナトリウム含有量は、理論ナトリウム含有量の約80%から約125%である。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Naは、ナトリウム含有量が重量で約6.0%から約7.3%である。
【0028】
本明細書における実質的に純粋な化合物1-Naは、化合物1を含まなくても実質的に含まなくてもよく、及び/又は化合物1の他の塩を含まなくても実質的に含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Naは、化合物1を実質的に含まず、例えばその量は、重量で5%未満(例えば、3%未満、1%未満、0.2%未満、0.1%未満、又は0.05%未満)である。いくつかの実施形態では、バランスによって存在できる量を除いて、実質的に純粋な化合物1-Naは化合物1を含まない。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Naは、検出可能量の化合物1を含まない。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Naは、例えば、化合物1の他の塩を実質的に含まず、例えばその量は、重量で5%未満(例えば、3%未満、1%未満、0.2%未満、0.1%未満、又は0.05%未満)である。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Naは、検出可能量の化合物1の他の塩を含まない。
【0029】
いくつかの実施形態では、本発明は化合物1-Naの結晶型IIを提供する。化合物I-NaのII型は、所望の安定性、溶解性、及びその他の理化学プロファイルを示し、その一部は実施例部分で例示する。本明細書で用いるように、II型は化合物1-Naの結晶形態を指し、図2Aに示すものと実質的に同じXRPDパターン;図2Aの主要ピーク(例えば、相対強度が20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、又は90%以上のピーク)を有するXRPDスペクトル;2θが8.8、15.2、16.2、17.2、17.6、18.6、20.2、20.9、21.7、22.2、23.1、25.2、25.9、及び26.4°±0.2°であるピークの1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14)を有するXRPDスペクトル;吸熱ピークを有し、かつピーク温度が約301.3℃のDSCパターン;図2Bに示すものと実質的に同じDSCプロファイル;図2Bに示すものと実質的に同じTGAプロファイル;又はそれらの組み合わせを特徴とする。例えば、いくつかの実施形態では、化合物1-Naの結晶型IIは、2θが8.8、15.2、16.2、17.2、17.6、18.6、20.2、20.9、21.7、22.2、23.1、25.2、25.9、及び26.4°±0.2°であるピークの4つ以上を有するXRPDスペクトルを特徴とする。いくつかの実施形態では、化合物1-Naの結晶型IIは、2θが8.8、15.2、16.2、17.2、17.6、18.6、20.2、20.9、21.7、22.2、23.1、25.2、25.9、及び26.4°±0.2°であるピークの8つ以上を有するXRPDスペクトルを特徴とする。いくつかの実施形態では、化合物1-Naの結晶型IIは、2θが8.8、15.2、16.2、17.2、17.6、18.6、20.2、20.9、21.7、22.2、23.1、25.2、25.9、及び26.4°±0.2°であるピークの全部を有するXRPDスペクトルを特徴とする。いくつかの実施形態では、化合物1-Naの結晶型IIは、図2Aに示すものと実質的に同じXRPDスペクトルを特徴とする。本明細書に記載のいずれかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Naは、化合物1-NaのII型から本質的になることができる。本明細書に記載のいずれかの実施形態では、化合物1-NaはII型として存在することができる。本明細書に記載のいずれかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Na又は化合物1-Naを含む医薬組成物は、II型の形態でのみ化合物1-Naを含むことができ、すなわちXRPDで同定できる化合物1-Naの他の固体形態を含まない。
【0030】
本明細書において、結晶性化合物1-Naを製造するための例示的な方法を記載する。典型的に、実質的に純粋な化合物1(例えばI型)を溶媒(例えばTHF)に溶解して溶液を形成する。溶液に約1当量のNaOH(又は別のナトリウム塩基)を加えて化合物1-Naを形成する。その後、例えば蒸発により溶媒の量を減らして化合物1-Naを沈殿させることができる。NaOH(又は別のナトリウム塩基)は、固体として添加されてもよく、又は水溶液もしくはアルコール(例えば、メタノール又はエタノール)溶液に添加されてもよい。実施例部分では、化合物1-NaのII型の製造例を提供する。
【0031】
いくつかの実施形態では、化合物1-Naは適切な条件で再結晶することができる。再結晶に用いる適当な溶媒としては、THF、トルエン、MeOH、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、メチルtert-ブチルエーテル、エーテル、イソアミロール、酢酸ブチル、ギ酸エチル、1,4-ジオキサン、n-ブタノール、tert-ブタノール、n-ヘプタン、シクロヘキサン、メチルイソブチルケトン、ジメチルベンゼン、酢酸イソブチル、2-ブタノン、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、及び水が含まれるが、これらに限定されない。溶剤は、単独で又は様々な組み合せで用いることができる。再結晶技術は本分野で一般に公知のものである。
【0032】
いくつかの具体的な実施形態では、本発明はまた、化合物1のカリウム塩を提供し、本明細書では化合物1-Kと命名され、その化学名は2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸カリウムであり、以下に示す構造を有する。
【0033】
いくつかの実施形態では、本発明は実質的に純粋な化合物1-Kを提供する。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Kは、重量及び/又はHPLC面積で、純度が少なくとも70%(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%)である。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Kは、重量及び/又はHPLC面積で、純度が約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約99%、又は特定した値の間の任意の範囲である。
【0034】
実質的に純粋な化合物1から、実質的に純粋な化合物1-Kを製造することができる。例えば、いくつかの実施形態では、化合物1のI型から、実質的に純粋な化合物1-Kを製造することができる。
【0035】
本明細書における実質的に純粋な化合物1-Kは典型的に、化合物1-Kの式に基づいて計算された理論カリウム含有量に近いカリウム含有量を有する。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Kは、カリウムと化合物1-Kのカルボレート部分とのモル比が約1:1であることを特徴とする。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Kのカリウム含有量は、理論カリウム含有量の約80%から約125%である。
【0036】
本明細書における実質的に純粋な化合物1-Kは、化合物1を含まなくても実質的に含まなくてもよく、及び/又は化合物1の他の塩を含まなくても実質的に含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Kは、化合物1を実質的に含まず、例えばその量は、重量で5%未満(例えば、3%未満、1%未満、0.2%未満、0.1%未満、又は0.05%未満)である。いくつかの実施形態では、バランスによって存在できる量を除いて、実質的に純粋な化合物1-Kは化合物1を含まない。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Kは、検出可能量の化合物1を含まない。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Kは、化合物1の他の塩を実質的に含まず、例えばその量は、重量で5%未満(例えば、3%未満、1%未満、0.2%未満、0.1%未満、又は0.05%未満)である。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Kは、検出可能量の化合物1の他の塩を含まない。
【0037】
いくつかの実施形態では、本発明は化合物1-Kの結晶型IIIを提供する。化合物I-KのIII型は、所望の安定性、溶解性、及びその他の理化学プロファイルを示し、その一部は実施例部分で例示する。本明細書で用いるように、III型は化合物1-Kの結晶形態を指し、図3Aに示すものと実質的に同じXRPDパターン;図3Aの主要ピーク(例えば、相対強度が20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、又は90%以上のピーク)を有するXRPDスペクトル;2θが8.3、14.5、14.8、15.6、16.7、17.0、18.2、19.6、20.2、22.2、22.6、及び25.1°±0.2°であるピークの1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は全て)を有するXRPDスペクトル;吸熱ピークを有し、かつピーク温度が約299.9℃のDSCパターン;図3Bに示すものと実質的に同じDSCプロファイル;図3Bに示すものと実質的に同じTGAプロファイル;又はそれらの組み合わせを特徴とする。例えば、いくつかの実施形態では、化合物1-Kの結晶型IIIは、2θが8.3、14.5、14.8、15.6、16.7、17.0、18.2、19.6、20.2、22.2、22.6、及び25.1°±0.2°であるピークの4つ以上を有するXRPDスペクトルを特徴とする。いくつかの実施形態では、化合物1-Kの結晶型IIIは、2θが8.3、14.5、14.8、15.6、16.7、17.0、18.2、19.6、20.2、22.2、22.6、及び25.1°±0.2°であるピークの8つ以上を有するXRPDスペクトルを特徴とする。いくつかの実施形態では、化合物1-Kの結晶型IIIは、2θが8.3、14.5、14.8、15.6、16.7、17.0、18.2、19.6、20.2、22.2、22.6、及び25.1°±0.2°であるピークの全部を有するXRPDスペクトルを特徴とする。いくつかの実施形態では、化合物1-Kの結晶型IIIは、図3Aに示すものと実質的に同じXRPDスペクトルを特徴とする。本明細書に記載のいずれかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Kは、化合物1-KのIII型から本質的になることができる。本明細書に記載のいずれかの実施形態では、化合物1-KはIII型として存在することができる。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-K又は化合物1-Kを含む医薬組成物は、III型の形態でのみ化合物1-Kを含むことができ、すなわちXRPDで同定できる化合物1-Kの他の固体形態を含まない。
【0038】
いくつかの具体的な実施形態では、本発明はまた、化合物1のカルシウム塩も提供する。いくつかの実施形態では、カルシウム塩は化合物1-Caであり、化学名2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸カルシウムを有し、以下に示す構造を有する。
【0039】
いくつかの実施形態では、本発明は実質的に純粋な化合物1-Caを提供する。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Caは、重量及び/又はHPLC面積で、純度が少なくとも70%(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%)である。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Caは、重量及び/又はHPLC面積で、純度が約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約99%、又は特定した値の間の任意の範囲である。
【0040】
実質的に純粋な化合物1から、実質的に純粋な化合物1-Caを製造することができる。例えば、いくつかの実施形態では、化合物1のI型から、実質的に純粋な化合物1-Caを製造することができる。あるいは、例えば化合物1-Kとの塩交換反応により、実質的に純粋な化合物1-Caを製造することもできる。
【0041】
本明細書における実質的に純粋な化合物1-Caは典型的に、化合物1-Caの式に基づいて計算された理論カルシウム含有量に近いカルシウム含有量を有する。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Caは、カルシウムと化合物1-Caのカルボレート部分とのモル比が約1:2であることを特徴とする。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Caのカルシウム含有量は、理論カルシウム含有量の約80%から約125%である。
【0042】
本明細書における実質的に純粋な化合物1-Caは、化合物1を含まなくても実質的に含まなくてもよく、及び/又は化合物1の他の塩を含まなくても実質的に含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Caは、化合物1を実質的に含まず、例えばその量は、重量で5%未満(例えば、3%未満、1%未満、0.2%未満、0.1%未満、又は0.05%未満)である。いくつかの実施形態では、バランスによって存在できる量を除いて、実質的に純粋な化合物1-Caは化合物1を含まない。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Caは、検出可能量の化合物1を含まない。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Caは、例えば、化合物1の他の塩を実質的に含まず、例えばその量は、重量で5%未満(例えば、3%未満、1%未満、0.2%未満、0.1%未満、又は0.05%未満)である。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Caは、検出可能量の化合物1の他の塩を含まない。
【0043】
いくつかの実施形態では、本発明は化合物1-Caの結晶型IVを提供する。化合物1-CaのIV型は、ある所望の安定性、溶解性、及びその他の理化学プロファイルで存在し、その一部は実施例部分で例示する。本明細書で用いるように、IV型は化合物1-Caの結晶形態を指し、図4Aに示すものと実質的に同じXRPDパターン;図4Aの主要ピーク(例えば、相対強度が20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、又は90%以上のピーク)を有するXRPDスペクトル;2θが4.4、6.5、9.1、12.3、13.0、13.4、13.7、14.5、16.0、16.8、18.2、19.8、21.0、及び21.6°±0.2°であるピークの1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は全て)を有するXRPDスペクトル;吸熱ピークを有し、かつピーク温度が約145.1℃のDSCパターン;図4Bに示すものと実質的に同じDSCプロファイル;図4Bに示すものと実質的に同じTGAプロファイル;又はそれらの組み合わせを特徴とする。例えば、いくつかの実施形態では、化合物1-Caの結晶型IVは、2θが4.4、6.5、9.1、12.3、13.0、13.4、13.7、14.5、16.0、16.8、18.2、19.8、21.0、及び21.6°±0.2°であるピークの4つ以上を有するXRPDスペクトルを特徴とする。いくつかの実施形態では、化合物1-Caの結晶型IVは、2θが4.4、6.5、9.1、12.3、13.0、13.4、13.7、14.5、16.0、16.8、18.2、19.8、21.0、及び21.6°±0.2°であるピークの8つ以上を有するXRPDスペクトルを特徴とする。いくつかの実施形態では、化合物1-Caの結晶型IVは、2θが4.4、6.5、9.1、12.3、13.0、13.4、13.7、14.5、16.0、16.8、18.2、19.8、21.0、及び21.6°±0.2°であるピークの全部を有するXRPDスペクトルを特徴とする。いくつかの実施形態では、化合物1-Caの結晶型IVは、図4Aに示すものと実質的に同じXRPDスペクトルを特徴とする。本明細書に記載のいずれかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Caは、化合物1-CaのIV型から本質的になることができる。本明細書に記載のいずれかの実施形態では、化合物1-CaはIV型として存在することができる。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な化合物1-Ca又は化合物1-Caを含む医薬組成物は、IV型の形態でのみ化合物1-Caを含むことができ、すなわちXRPDで同定できる化合物1-Caの他の固体形態を含まない。
【0044】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物(例えば、化合物1、1-Na、1-K、又は1-Ca)は、溶媒和物又は水和物の形態で存在することができる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物(例えば、化合物1、1-Na、1-K、又は1-Ca)は、薬学的に許容される溶媒和物の形態で存在することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物(例えば、化合物1、1-Na、1-K、又は1-Ca)は水和物の形態で存在することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物(例えば、化合物1、1-Na、1-K、又は1-Ca)は無水の形態で存在することができる。
【0045】
医薬組成物
いくつかの実施形態では、本発明は、1種又は複数種の本明細書に記載の化合物(例えば、化合物1、1-Na、1-K、又は1-Ca)を含む医薬組成物を提供する。典型的に、医薬組成物は、本明細書に記載の治療有効量の1種又は複数種の化合物(例えば、化合物1、1-Na、1-K、又は1-Ca)と、任意で薬学的に許容される賦形剤又は担体とを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の実質的に純粋な化合物1、1-Na、1-K、及び1-Caのうちの1種又は複数種を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物1のI型、化合物1-NaのII型、化合物1-KのIII型、及び化合物1-CaのIV型から選択される1種又は複数種の結晶型を含む。医薬組成物は、任意の投与経路、例えば経口投与のために製剤化することができる。
【0046】
本発明のいくつかの特定の実施形態は、治療有効量の化合物1-Naと、任意で薬学的に許容される賦形剤又は担体とを含む医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、化合物1-Naを含む医薬組成物を、経口投与、非経口、経鼻、経肺、経頬、局所、又は経皮投与のために製剤化することができる。例えば、いくつかの実施形態では、化合物1-Naを含む医薬組成物は、カプセル、錠剤、又は水溶液などの経口製剤であってもよい。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の実質的に純粋な化合物1-Naを含む。いくつかの実施形態では、化合物1-NaはII型として存在する。いくつかの実施形態では、医薬組成物はII型以外の如何なる固体形態の化合物1-Naも含まない、又は実質的に含まない。例えば、いくつかの実施形態では、医薬組成物は、II型以外に、XRPDで検出可能な如何なる化合物1-Naの固体形態も含まない。
【0047】
化合物1-Naを含む医薬組成物は典型的に、貯蔵安定性である。例えば、一例において、40℃、相対湿度75%で最長6ヶ月又はそれ以上(例えば、1、2、3、4、5、6ヶ月)保存して安定性試験を行った場合、医薬組成物は、(a)HPLCで測定したものと実質的に同じ量の化合物1-Naを含有し、(b)HPLCで決定した不純物又は分解物の量の増加がなく、及び/又は(c)本明細書に記載の溶出方法で決定したものと本質的に同じ溶出プロファイルを持つ。
【0048】
化合物1-Naを含む医薬組成物はまた、インビトロ溶出プロファイルによって特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、カプセル又は錠剤などの固体剤形として製剤化することができる。いくつかの実施形態では、固体剤形は即放性製剤として製剤化することができ、例えば、USP II Paddleを用いてpH約6.8の溶出媒体(900mL)(リン酸二水素ナトリウム緩衝液を用いた)において50rpmのパドル速度で試験を行った場合、45分以内に少なくとも70%(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は本質的に全部)の化合物1-Naが放出される。
【0049】
典型的には、化合物1-Naを含む医薬組成物は、固形剤形として製剤化される。いくつかの実施形態では、固体剤形は経口固体剤形である。いくつかの実施形態では、固体剤形はカプセル又は錠剤である。いくつかの実施形態では、カプセル又は錠剤は腸溶コーティングの形態である。いくつかの実施形態では、カプセル又は錠剤は非腸溶コーティングの形態である。本明細書に記載のいずれかの実施形態では、医薬組成物は非腸溶コーティングの形態であってもよい。
【0050】
本明細書の医薬組成物は、様々な量、例えば、痛風又は高尿酸血症などの本明細書に記載の疾患又は障害を治療するのに有効な量で、化合物1-Naを含むことができる。本明細書には、他の適切な量が記載される。
【0051】
いくつかの実施形態では、医薬組成物中の活性成分は、本質的に化合物1-Naからなることができる。例えば、本明細書の医薬組成物は、化合物1-Naとその遊離酸形態を、唯一の活性成分として含むことができる。化合物1-Naはナトリウム塩であるが、当業者にとって、例えばバランスにより、一部の遊離酸形態が医薬組成物中に存在し得ることが理解される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物1-Na及びその遊離酸形態を唯一の活性成分として含む。典型的に、医薬組成物は化合物1を実質的に含まず、例えば、その含有量は重量で5%未満(例えば、3%未満、1%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.05%未満、又は検出不能)である。いくつかの実施形態では、医薬組成物はまた、化合物1の他の塩も実質的に含まず、例えば、その含有量が重量で5%未満(例えば、3%未満、1%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.05%未満、又は検出不能)である。しかしながら、いくつかの実施形態では、本明細書の医薬組成物はまた、他の活性成分、例えば、本明細書に記載の他の化合物、又は痛風もしくは高尿酸血症などの本明細書に記載の疾患もしくは障害の治療に使用できる他の活性成分も含むこともできる。
【0052】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は第2の薬剤を含む。いくつかの実施形態では、第2の薬剤は、キサンチンオキシダーゼ阻害剤、キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤、キサンチンオキシドレダクターゼ阻害剤、又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、第2の薬剤はアロプリノール、フェブキソスタット、又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、第2の薬剤は、痛風又は高尿酸血症を治療するのに有効な量で医薬組成物に含まれる。
【0053】
いくつかの実施形態では、第2の薬剤及び本明細書に記載の化合物(例えば、化合物1-Na)は、単一の錠剤又は単一のカプセルなどの単一の剤形に製剤化される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物(例えば、化合物1-Na)の1種又は複数種を含む単位剤形と、第2の薬剤を含む別個の単位剤形とを含む薬剤キットが提供される。例えば痛風又は高尿酸血症の治療において、並用投与(例えば、同時投与や順次投与)が治療的に有効である限り、本明細書に記載の化合物(例えば、化合物1-Na)及び第2の薬剤の量は変化することができる。
【0054】
各種賦形剤又は担体は、本明細書に記載の医薬組成物に含むことができる。典型的に、本明細書の医薬組成物は、充填剤(例えば、乳糖、微結晶セルロース、マンニトールなど)、崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウムなど)、流動促進剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素など)、滑剤(例えば、ステアリルフマル酸ナトリウムなど)、酸化防止剤、安定剤、防腐剤、希釈剤、溶剤、甘味料、粘度増加剤、キレート剤、界面活性剤、着香剤、コーティング剤、ゲル化剤、バインダー、及び離型剤から選択される1種又は複数種の賦形剤又は担体を含むことができる。当業者には、他の賦形剤/担体も使用できることが公知であり、かつ、本明細書の化合物を所望の用途に応じて製剤化する際に、適切な賦形剤/担体を選択する方法も公知である。いくつかの具体的な実施形態では、医薬組成物は、乳糖、微結晶セルロース、マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、及びステアリルフマル酸ナトリウムの1種又は複数種(例えば、1、2、3、4、5、6、又は7)を含む。このような賦形剤及び担体は、任意の適切な量を使用することができる。賦形剤及び/又は担体の量は、例えば、本明細書に記載の所望の即時放出溶出プロファイルを達成するように調整されてもよい。いくつかの実施形態では、賦形剤及び担体は、米国食品医薬品局又は他の対応する管轄機関が人間に安全に使用できると決定したそれぞれの賦形剤又は担体の上限量以下の量で使用される。賦形剤又は担体のさらなる適切な例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Pub. Co., New Jersey (1991)、及び「Remington: The Science and Practice of Pharmacy」、Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia、第20版(2003)と第21版(2005)に記載され、これらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
本明細書に記載の他の化合物、例えば、化合物1、1-K、及び1-Caのいずれか1つ又は複数は、本明細書で化合物1-Naについて述べたものと同様に製剤化することができる。例えば、このような化合物は、固体の剤形(例えば腸溶コーティング錠剤もしくはカプセル、又は非腸溶コーティング錠剤もしくはカプセル)に製剤化することができる。
【0056】
例えば、化合物1-Kは、化合物1-Naが適切であると示される本明細書に記載の任意の医薬組成物に含まれてもよい。いくつかの実施形態では、化合物1-Kは化合物1-Naが適切であると示される本明細書に記載の任意の医薬組成物において、活性成分として化合物1-Naと置き換えることができる。いくつかの実施形態では、化合物1-KのIII型が医薬組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の化合物1-KはIII型であり、他の固体形態は実質的に含まれない。
【0057】
いくつかの実施形態では、化合物1は、化合物1-Naが適切であると示される任意の医薬組成物に含まれてもよい。いくつかの実施形態では、化合物1は、化合物1-Naが適切であると示される本明細書に記載の任意の医薬組成物において、活性成分として化合物1-Naと置き換えることができる。いくつかの実施形態では、化合物1のI型が医薬組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の化合物1はI型であり、他の固体形態は実質的に含まれない。
【0058】
いくつかの実施形態では、化合物1-Caは、化合物1-Naが適切であると示される任意の医薬組成物に含まれてもよい。いくつかの実施形態では、化合物1-Caは、化合物1-Naが適切であると示される本明細書に記載の任意の医薬組成物において、活性成分として化合物1-Naと置き換えることができる。いくつかの実施形態では、化合物1-CaのIV型が医薬組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の化合物1-CaはIV型であり、他の固体形態は実質的に含まれない。
【0059】
治療方法
本明細書に記載の化合物及び医薬組成物は、様々な疾患及び障害の治療に利用できる。米国特許第9,809,580号に示されているように、化合物1などのカルボン酸化合物はURAT-1の有効な阻害剤であり、尿酸レベル異常による各種疾患及び障害の治療に利用できる。
【0060】
いくつかの実施形態では、その必要がある対象において疾患又は障害を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、前記疾患又は障害は尿酸の異常レベルによるものである。いくつかの実施形態では、URAT-1を阻害することは、疾患又は障害の治療に有益である。いくつかの実施形態では、前記疾患又は障害は、痛風、痛風性関節炎、再発性痛風発作、高尿酸血症、関節の炎症、関節炎、尿路結石症、腎臓疾患、腎結石、腎不全、高血圧、心血管疾患、冠状動脈性心疾患、レッシュ・ナイハン症候群、ケリー・シーグミラー症候群、鉛毒症、副甲状腺機能亢進症、乾癬、及びサルコイドーシスから選択される1種又は複数種である。いくつかの実施形態では、前記疾患又は障害は痛風である。いくつかの実施形態では、前記疾患又は障害は高尿酸血症である。
【0061】
いくつかの実施形態では、その必要がある対象の血液中の尿酸レベルを下げる方法を提供する。
【0062】
いくつかの実施形態では、その必要がある対象に尿酸の排泄を促進する方法を提供する。
【0063】
典型的に、本明細書に記載の方法は、治療有効量の1種又は複数種の本明細書に記載の化合物(例えば、化合物1、1-Na、1-K、又は1-Ca)又は本明細書に記載の医薬組成物(例えば、化合物1-Na又は1-Kを含む医薬組成物)を、対象に投与する工程を含む。化合物及び医薬組成物は、任意の投与経路を介して対象に投与することができる。例えば、いくつかの実施形態では、化合物及び医薬組成物を、経口で対象に投与することができる。
【0064】
いくつかの具体的な実施形態では、この方法は痛風の治療のためである。いくつかの実施形態では、この方法は、治療有効量の化合物1-Na、例えば、本明細書に記載のいずれかの実質的に純粋な化合物1-Naを、対象に経口投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、この方法は、化合物1-Naを含む本明細書に記載のいずれかの医薬組成物を治療有効量で、対象に経口投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、化合物1-NaはII型として存在することができる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は化合物1-NaのII型を含み、かつ化合物1-Naの任意の他の形態を、例えばXRPDで検出できないほど実質的に含まない。いくつかの実施形態では、医薬組成物の活性成分は本質的に化合物1-Naからなる。しかしながら、いくつかの実施形態では、この方法は、本明細書に記載の第2の薬剤、例えば、キサンチンオキシダーゼ阻害剤、キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤、キサンチンオキシドレダクターゼ阻害剤、又はそれらの組み合わせを、対象に投与する工程をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の薬剤は、アロプリノール、フェブキソスタット、又はそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、第2の薬剤は、同時に(例えば、単一の剤形で)又は順次に(例えば、別個の剤形で)対象に投与されてもよい。本明細書に記載の化合物(例えば、化合物1-Na)と第2の薬剤の量は、並用投与(例えば、同時投与又は順次投与)が、例えば痛風又は高尿酸血症の治療にとって治療上有効である限り、変化することができる。
【0065】
定義
本明細書で使用されるように、本発明に関連する量を修飾する用語「約」は、例えば、通常の測定及び処理、このような測定及び処理中の意図しないエラー、本発明に用いる成分の製造、由来、又は純度の違いなどによって生じ得る数量のバリエーションを意味する。ここで使用するように、「約」特定の値は、この特定の値も含み、例えば、約10%は10%を含む。用語「約」で修飾されているかどうかにかかわらず、特許請求の範囲には記載された量の同等の形が含まれる。一実施形態では、用語「約」は報告された数値の20%以内を意味する。
【0066】
本明細書で用いられるように、用語「治療」(「treat」「treating」「treatment」など)とは、疾患もしくは状態及び/又はそれらに関連する症状を、解消、軽減、又は改善することを意味する。排除されなくとも、疾患又は状態を治療することは、疾患、状態、又はそれらに関連する症状を完全に取り除くことを必要としない。本明細書で用いられるように、用語「治療」(「treat」「treating」「treatment」など)とは、「予防的治療」を含むことができ、これは、疾患もしくは状態または疾患もしくは状態の再発を有さないが、それを再度発症するリスクがあるか又は再度発症しやすい対象において、疾患又はもしくは状態を再度発症する可能性又は以前に制御された疾患もしくは状態の再発の可能性を低減することを意味する。用語「治療」とその同義語は、このような治療を必要とする対象に、治療有効量の本明細書に記載の化合物を投与することを企図している。
【0067】
本明細書で使用されるように、用語「治療有効量」とは、疾患もしくは状態(例えば痛風、高尿酸血症)の1つもしくは複数の症状を軽減するか、又は疾患もしくは状態の出現もしくは進行を防止するか、又は疾患もしくは状態を消退させるかもしくは治癒するのに十分な治療剤(例えば、本明細書に記載の化合物のいずれか1つ又は複数)の量を意味する。
【0068】
本明細書で用いられるように、用語「対象」(本明細書では代替的に「患者」と呼ぶことができる)とは、治療、観察、又は実験の対象となった動物を指し、哺乳動物であることが好ましく、ヒトであることが最も好ましい。本明細書に記載のいずれかの実施形態では、対象はヒトであってもよい。
【0069】
代替実施例
実施形態1。化合物1、化合物1-Na、化合物1-K、又は化合物1-Caの結晶形態。
【0070】
実施形態2。実施形態1の結晶形態であって、化合物1の結晶型Iであり、2θが7.0、10.2、10.6、14.0、20.4、21.9、23.4、24.9、及び25.9°±0.2°であるピークの1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、又は全て)を有するXRPDパターンを特徴とする結晶形態。
【0071】
実施形態3。実施形態2の結晶形態であって、2θが7.0、10.2、10.6、14.0、20.4、21.9、23.4、24.9、及び25.9°±0.2°であるピークの4つ以上(例えば、4、5、6、7,8、又は全て)を有するXRPDパターンを特徴とする結晶形態。
【0072】
実施形態4。実施形態2の結晶形態であって、2θが7.0、10.2、10.6、14.0、20.4、21.9、23.4、24.9、及び25.9°±0.2°であるピークの6つ以上を有するXRPDパターンを特徴とする結晶形態。
【0073】
実施形態5。実施形態2の結晶形態であって、図1Aに示すものと実質的に同じXRPDパターンを特徴とする結晶形態。
【0074】
実施形態6。実施形態2~5のいずれか一つの結晶形態であって、(1)ピーク温度が約175.9℃の吸熱ピークを有する示差走査熱量測定(DSC)パターン;(2)図1Bに示すものと実質的に同じ示差走査熱量測定(DSC)パターン;又はそれらの組み合わせを特徴とする結晶形態。
【0075】
実施形態7。実施形態1の結晶形態であって、化合物1-Naの結晶型IIであり、2θが8.8、15.2、16.2、17.2、17.6、18.6、20.2、20.9、21.7、22.2、23.1、25.2、25.9、及び26.4°±0.2°であるピークの1つ又は複数を有するX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする結晶形態。
【0076】
実施形態8。実施形態7の結晶形態であって、2θが8.8、15.2、16.2、17.2、17.6、18.6、20.2、20.9、21.7、22.2、23.1、25.2、25.9、及び26.4°±0.2°であるピークの4つ以上を有するXRPDパターンを特徴とする結晶形態。
【0077】
実施形態9。実施形態7の結晶形態であって、2θが8.8、15.2、16.2、17.2、17.6、18.6、20.2、20.9、21.7、22.2、23.1、25.2、25.9、及び26.4°±0.2°であるピークの8つ以上を有するXRPDパターンを特徴とする結晶形態。
【0078】
実施形態10。実施形態7の結晶形態であって、図2Aに示すものと実質的に同じXRPDパターンを特徴とする結晶形態。
【0079】
実施形態11。実施形態7~10のいずれか一つの結晶形態であって、(1)ピーク温度が約301.3℃の吸熱ピークを有する示差走査熱量測定(DSC)パターン;(2)図2Bに示すものと実質的に同じ示差走査熱量測定(DSC)パターン;又はそれらの組み合わせを特徴とする結晶形態。
【0080】
実施形態12。実施形態1の結晶形態であって、化合物1-KのIII型であり、2θが8.3、14.5、14.8、15.6、16.7、17.0、18.2、19.6、20.2、22.2、22.6、及び25.1°±0.2°であるピークの1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は全て)を有するXRPDパターンを特徴とする結晶形態。
【0081】
実施形態13。実施形態12の結晶形態であって、2θが8.3、14.5、14.8、15.6、16.7、17.0、18.2、19.6、20.2、22.2、22.6、及び25.1°±0.2°であるピークの4つ以上(例えば、4、5、6、7、8、9、10、又は全て)を有するXRPDパターンを特徴とする結晶形態。
【0082】
実施形態14。実施形態12の結晶形態であって、2θが8.3、14.5、14.8、15.6、16.7、17.0、18.2、19.6、20.2、22.2、22.6、及び25.1°±0.2°であるピークの8つ以上(例えば、8、9、10、又は全て)を有するXRPDパターンを特徴とする結晶形態。
【0083】
実施形態15。実施形態12の結晶形態であって、図3Aに示すものと実質的に同じXRPDパターンを特徴とする結晶形態。
【0084】
実施形態16。実施形態12~15のいずれか一つの結晶形態であって、(1)ピーク温度が約299.9℃の吸熱ピークを有する示差走査熱量測定(DSC)パターン;(2)図3Bに示すものと実質的に同じ示差走査熱量測定(DSC)パターン;又はそれらの組み合わせを特徴とする結晶形態。
【0085】
実施形態17。実施形態1の結晶形態であって、化合物1-CaのIV型の結晶形態であり、2θが4.4、6.5、9.1、12.3、13.0、13.4、13.7、14.5、16.0、16.8、18.2、19.8、21.0、及び21.6°±0.2°であるピークの1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は全て)を有するXRPDパターンを特徴とする結晶形態。
【0086】
実施形態18。実施形態17の結晶形態であって、2θが4.4、6.5、9.1、12.3、13.0、13.4、13.7、14.5、16.0、16.8、18.2、19.8、21.0、及び21.6°±0.2°であるピークの4つ以上(例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は全て)を有するXRPDパターンを特徴とする結晶形態。
【0087】
実施形態19。実施形態17の結晶形態であって、2θが4.4、6.5、9.1、12.3、13.0、13.4、13.7、14.5、16.0、16.8、18.2、19.8、21.0、及び21.6°±0.2°であるピークの8つ以上(例えば、8、9、10、11、12、13、又は全て)を有するXRPDパターンを特徴とする結晶形態。
【0088】
実施形態20。実施形態17の結晶形態であって、図4Aに示すものと実質的に同じXRPDパターンを特徴とする結晶形態。
【0089】
実施形態21。実施形態17~20のいずれか一つの結晶形態であって、(1)ピーク温度が約145.1℃の吸熱ピークを有する示差走査熱量測定(DSC)パターン;(2)図4Bに示すものと実質的に同じ示差走査熱量測定(DSC)パターン;又はそれらの組み合わせを特徴とする結晶形態。
【0090】
実施形態22。(1)実施形態2~6のいずれか一つの結晶形態を含む実質的に純粋な化合物1、(2)実施形態7~11のいずれか一つの結晶形態を含む実質的に純粋な化合物1-Na、(3)実施形態12~16のいずれか一つの結晶形態を含む実質的に純粋な化合物1-K、及び(4)実施形態17~21のいずれか一つの結晶形態を含む実質的に純粋な化合物1から選択される、実質的に純粋な化合物。
【0091】
実施形態23。実施形態1~21の結晶形態又は実施形態22の実質的に純粋な化合物のいずれか1種又は複数種と、任意で薬学的に許容される賦形剤又は担体とを含む、医薬組成物。
【0092】
実施形態24。実施形態23の医薬組成物であって、実施形態2~6のいずれか一つの化合物1のI型を含み、化合物1又はその薬学的に許容される塩の他の固体形態を実質的に含まない(例えばXRPDでは検出できない)医薬組成物。
【0093】
実施形態25。実施形態23の医薬組成物であって、実施形態7~11のいずれか一つの化合物1-NaのII型を含み、化合物1-Naの他の固体形態を実質的に含まない(例えばXRPDでは検出できない)医薬組成物。
【0094】
実施形態26。実施形態25の医薬組成物であって、化合物1も、その非ナトリウム塩も、又はそれらの組み合わせも実質的に含まない医薬組成物。
【0095】
実施形態27。実施形態23の医薬組成物であって、実施形態12~16のいずれか一つの化合物1-KのIII型を含み、化合物1-Kの他の固体形態を実質的に含まない(例えばXRPDでは検出できない)医薬組成物。
【0096】
実施形態28。実施形態27の医薬組成物であって、化合物1も、その非カリウム塩も、それらの組み合わせも実質的に含まない医薬組成物。
【0097】
実施形態29。実施形態23の医薬組成物であって、実施形態17~21のいずれか一つの化合物1-CaのIV型を含み、化合物1-Caの他の固体形態を実質的に含まない(例えばXRPDでは検出できない)医薬組成物。
【0098】
実施形態30。実施形態29の医薬組成物であって、化合物1も、その非カルシウム塩も、それらの組み合わせも実質的に含まない医薬組成物。
【0099】
実施形態31。実施形態23~30のいずれか一つの医薬組成物であって、腸溶コーティングされていない医薬組成物。
【0100】
実施形態32。実施形態23~30のいずれか一つの医薬組成物であって、腸溶コーティングされている医薬組成物。
【0101】
実施形態33。実施形態23~32のいずれか一つの医薬組成物であって、錠剤又はカプセルの形態である医薬組成物。
【0102】
実施形態34。実施形態23~33のいずれか一つの医薬組成物であって、前記医薬組成物の活性成分が、化合物1、化合物1-Na、化合物1-K、又は化合物1-Caから本質的になる医薬組成物。
【0103】
実施形態35。その必要がある対象に、治療有効量の実施形態1~21のいずれか一つの結晶形態又は実施形態22の実質的に純粋な化合物又は実施形態23~34のいずれか一つの医薬組成物を投与する工程を含む、痛風、痛風性関節炎、再発性痛風発作、高尿酸血症、関節の炎症、関節炎、尿路結石症、腎臓疾患、腎結石、腎不全、高血圧、心血管疾患、冠状動脈性心疾患、レッシュ・ナイハン症候群、ケリー・シーグミラー症候群、鉛毒症、副甲状腺機能亢進症、乾癬、及びサルコイドーシスから選ばれる1種又は複数種の疾患又は障害を治療する方法。
【0104】
実施形態36。その必要がある対象に、治療有効量の実施形態1~21のいずれか一つの結晶形態又は実施形態22の実質的に純粋な化合物又は実施形態23~34のいずれか一つの医薬組成物を投与する工程を含む、高尿酸血症を治療する方法。
【0105】
実施形態37。その必要がある対象に、治療有効量の実施形態1~21のいずれか一つの結晶形態又は実施形態22の実質的に純粋な化合物又は実施形態23~34のいずれか一つの医薬組成物を投与する工程を含む、痛風を治療する方法。
【0106】
実施形態38。実施形態37の方法であって、痛風の治療に有効である第2の薬剤を前記対象に投与する工程をさらに含む、方法。
【0107】
実施形態39。実施形態38の方法であって、第2の薬剤が、キサンチンオキシダーゼ阻害剤、キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤、キサンチンオキシドレダクターゼ阻害剤、又はそれらの組み合わせである、方法。
【0108】
実施形態40。実施形態38の方法であって、第二薬剤がアロプリノール、フェブキソスタット、又はそれらの組み合わせである、方法。
【0109】
実施形態41。その必要がある対象に、治療有効量の実施形態1~21のいずれか一つの結晶形態又は実施形態22の実質的に純粋な化合物又は実施形態23~34のいずれか一つの医薬組成物を投与する工程を含む、血液中の尿酸レベルを下げる方法。
【0110】
実施形態42。その必要がある対象に、治療有効量の実施形態1~21のいずれか一つの結晶形態又は実施形態22の実質的に純粋な化合物又は実施形態23~34のいずれか一つの医薬組成物を投与する工程を含む、尿酸の排泄を促進する方法。
【0111】
実施形態43。実施形態35~42のいずれか一つの方法であって、前記結晶形態又は医薬組成物を経口で前記対象に投与する方法。
【実施例
【0112】
実施例1。一般的方法
材料:出発材料、試薬、溶剤などは、概ね市販で入手できた。
粉末X線回折(XRPD):X線回折計(Bruker D8 advance)を用いて固体試料を検査した。システムにはLynxEye検出器が備えられている。X線の波長は1.5406Åである。試料は、3°から40°の2θで走査し、ステップサイズは0.02°の2θであった。チューブ電圧と電流はそれぞれ40KVと40mAであった。試料を試料容器からゼロバックグラウンドXRPDホルダーに移し、静かに接地した。
【0113】
TGA分析:TGA分析は、TA Instruments TGA Q500で行われた。タール白金又はアルミニウムパンに試料を配置し、自動的に重量を量り、TGA炉に挿入した。試料を10℃/minの速度で最終温度まで加熱した。パージガスは窒素であり、それぞれバランス速度は40mL/min、試料測定時は60mL/minであった。
【0114】
DSC分析:DSC分析は、TA Instruments Q200で行われた。較正基準はインジウムであった。重量試料をTA DSCパンに入れ、重量を正確に記録した。カール圧縮したパンを分析に用い、試料を窒素ガス(50mL/min)下で10℃/minの速度で最終温度まで加熱した。
【0115】
動的水分吸着率:IGA sorp(英国ウォリントンのHiden Isochema社)を用いて、動的水分の吸着と脱着を検討した。製造した試料約3~5mgを試料バスケットに入れ、IGA Sorpの測定室に吊り下げた。等温線試験では、水浴により反応室の温度を一定の25±1℃に保った。ステップモードでは、目的の相対湿度10~90%の全範囲で試料を試験した。相対湿度は10%刻みで分析した。各相対湿度の持続時間は、試料が反応室環境とバランスできるように、少なくとも30分から最大120分に設定された。3分ごとにデータを収集した。
【0116】
HPLC分析:以下に代表的なHPLC方法を示した。この方法は、例えば、本明細書の化合物の純度を分析するために使用することができる。
機器:Agilent 1260シリーズ
流速:1.2mL/min
移動相:A:0.1%TFA/水
B:0.1%TFA/メタノール
試料注入量:2μL
カラム:Agilent Eclipse plus C18,3.5um、4.6*100mm
カラム温度:40℃
検出:255nm
稼働時間:8分(次の注入まで2分間隔)
勾配(T/B%):0.0/30、6.0/70、及び8.0/90
【0117】
実施例2。2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸の製造
【0118】
工程1:4-(4-クロロピリジル-3-イル)ベンゾニトリル(20-b)の合成
雰囲気下、1,4-ジオキサン(10v)、3-ブロモ-4-クロロピリジン(1400.0g,1.0eq)、4-シアノフェニルボロン酸(1.02eq)、NaCO(2M aq、2.0eq)と、KOAc(1.0eq)を反応器に添加した。窒素で反応器を不活性化し、その後Pd(PPh(0.02wt)を添加した。3-ブロモ-4-クロロピリジンの含有量が≦5.0%になるまで、得られた混合物を90±5℃で24時間加熱した。反応混合物を20±5℃に冷却し、ろ過してケーキを1,4-ジオキサン(2v)で洗浄した。合わせたろ液を10vまで減圧濃縮した後、HO(20v)を加えると、白色固体が形成された。混合物をろ過し、ろ過ケーキをHO(2v)で洗浄した。ケーキをDCM(5v)に溶解し、得られた混合物を分離し、残った水を除去した。3-メルカプトプロピルエチルスルフィドシリカ(0.15wt)を加え、混合物をろ過して、DCM(2v)で洗浄した。合わせたろ液に再度3-メルカプトプロピルエチルスルフィドシリカ(0.15wt)を加え、混合物をろ過して、DCM(2v)で洗浄した。得られたろ液を2~3vに濃縮し、純水(8v)を加えた。混合物を、少なくとも30分間撹拌してからろ過した。ろ過ケーキを水(2v)で洗浄し、50±5℃の真空オーブンで乾燥させて、白色固体(純度:90.4%)として粗生成物が得られ、これは、さらに精製することなく次の反応に用いた。
【0119】
工程2:2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸メチル(20-c)の合成
雰囲気下、DMF(6v)を反応器に入れた後、化合物20-b(1313.6g,1.0eq)、2-(1-メルカプトメチル)シクロプロピル酢酸メチル(1.05eq)及びKCO(1.2eq)を加えた。化合物20bの含有量が≦1.0%になるまで、得られた混合物を80±5℃で3時間加熱した。反応混合物を20±5℃まで冷却し、ろ過してEA(2v)でケーキを洗浄した。合わせたろ液にHO(10v)を加え、EA(5v)で抽出した。有機相を合わせ、飽和NaHCO溶液とNaCl溶液で洗浄した。得られた有機相を2~3vに減圧濃縮し、n-ヘプタン(10v)を加えた。混合物をろ過し、n-ヘプタン(2v)で洗浄した。ろ過したケーキをEA(10v)に溶解し、得られた有機相を、50±5℃(水温)で2~3vまで減圧濃縮した。n-ヘプタン(10v)を混合物に加え、40±5℃で1時間撹拌した後に、ろ過によって固体を回収し、n-ヘプタン(2v)で洗浄した。ろ過したケーキを、50±5℃でMTBE(10v)に溶解し、3-メルカプトプロピルエチルスルフィドシリカ(0.20wt)を加えた。得られた混合物を、50±5℃で少なくとも5時間撹拌し、ろ過し、MTBE(2v)で洗浄した。合わせたろ液に、再度3-メルカプトプロピルエチルスルフィドシリカ(0.20wt)を加え、50±5℃で少なくとも5時間撹拌した。ろ過したケーキはMTBE(2v)で洗浄し、合わせた有機相を2~3vに減圧濃縮した。n-ヘプタン(10v)を混合物に加えて、ろ過よって固体を回収した。ろ過したケーキを真空オーブンで50±5℃で乾燥させ、白色固体として粗化合物20-cが得られた(純度:95.2%)。
【0120】
2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸(1)の合成
雰囲気下、THF(10v)における化合物20-c(1533.0g、1.0eq)の撹拌溶液を、LiOH水溶液(2M、1.1eq)に加えた。化合物20-cの含有量が≦1.0%になるまで、得られた混合物を25±3℃で2時間撹拌した。反応混合物をHO(10v)でクエンチングした後、MTBEで抽出した。水相を0±5℃まで冷却し、20%HOAc水溶液を0±5℃でゆっくりと加え、pH 5.0~6.0に調整した。得られた固体をろ過により回収し、HO(5v)で洗浄して乾燥させ、オフホワイト固体として化合物1のI型が得られ、これを、XRPDにより特徴付けた(純度:99.6%)。
【0121】
(表1)化合物1の結晶型IのXRPD回折角
【0122】
実施例3。2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸ナトリウムの製造
2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸(2.003g)をガラスフラスコに入れた。その後、THF(80mL)を加えて、清澄溶液を形成した。その後、NaOH(264.2mg)をフラスコに入れ、黄色沈殿が現れるまで、混合物を4時間撹拌した。ナトリウム塩固体をろ過し、THFで洗浄し、真空乾燥させた。
【0123】
得られた固体を分析した。図2Aは代表的なXRPDスペクトルを示し、図2Bは代表的なDSCスペクトルを示した。ナトリウム塩は無水物であると測定され、融解開始温度は約297.2℃であった。
【0124】
(表2)化合物1-Naの結晶型IIのXRPD回析角
【0125】
実施例4。2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸カリウムの製造
2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸(50.04mg)をバイアルに添加した。次いでTHF(2mL)を添加し、超音波後に清澄溶液を形成した。その後、KOHのメタノール溶液(0.1 mol/L、1.54mL)を加え、2時間撹拌した。溶媒を蒸発させてほぼ乾燥させ、酢酸エチル1.0mLを加えた。懸濁液を30分間撹拌し、黄色沈殿が現れた。固体をろ過し、回収し、真空で乾燥させた。
【0126】
得られた固体を分析した。図3Aは代表的なXRPDスペクトルを示し、図3Bは代表的なDSCスペクトルを示した。カリウム塩は無水物であると測定され、融解開始温度は約293.40℃であった。
【0127】
(表3)化合物1-Kの結晶型IIIのXRPD回析角
【0128】
実施例5。2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸カルシウムの製造
2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸カリウム(79.92mg)をバイアルに添加し、塩化カルシウム溶液(12.27mg/1.0mL水)を加えた。混合物を2.5時間撹拌したところ、白い沈殿が現れた。カルシウム塩固体がろ過によって得られ、次いで水で洗浄し、真空下で乾燥させた。
【0129】
得られた固体を分析した。図4Aは代表的なXRPDスペクトルを示し、図4Bは代表的なDSCスペクトルを示した。カルシウム塩の結晶型は水和物であると測定された。DSCは吸熱ピークを示し、開始温度は約131.98℃であり、脱水によるものと考えられた。
【0130】
あるいは、カルシウムメトキシドを用いることにより、カルシウム塩を製造することができる。
【0131】
(表4)化合物1-Caの結晶型IVのXRPD回析角
【0132】
実施例6。2-(1-(((3-(4-シアノフェニル)ピリジン-4-イル)チオ)メチル)シクロプロピル)酢酸とその塩の性質
1-Na、1-K、1-Ca、及び化合物1(遊離酸)の溶解度試験
試料固体(1-Ca塩又は化合物1)5mgをガラスバイアル8mLに秤量した後、pH6.8緩衝液又は水を1ml加えた。0.3~0.5mLの懸濁液を、25℃、200rpmで、それぞれ0.5時間および2時間遠心した。それぞれの時点で懸濁液をろ過して固体を除去し、ろ液をHPLCで分析した。
【0133】
1-Naと1-K塩は溶解度が非常に高いため、目視観察で溶解度を決定した。試料固体(1-Na又は1-K塩)約5mgを2mLのバイアル瓶に秤量した後、固体が溶解するまでpH6.8緩衝液又は水を5Lずつ添加した。
【0134】
pH 6.8緩衝液及び水で3種類の塩と化合物1の溶解度を検討し、データを表5にまとめた。
【0135】
(表5)塩及び遊離酸の溶解度(mg/mL)
【0136】
溶解度の結果から、水及びpH 6.8緩衝液の両方において遊離酸に対する3種類の塩の溶解度が改善されたことが示された。これら3種類の塩のうち、1-Na及び1-K塩(>400mg/mL)の溶解度は、1-Ca塩より有意に高かかった。
【0137】
1-Na、1-K、及び1-Ca塩の固体安定性試験
20mgの塩(1-Na又は1-K又は1-Ca塩)を20mLのガラスに秤量し、加速条件下(40℃/75%RH)に置いた。1週間及び2週間の時点で、5mgの固体を10mLの容量フラスコに秤量し、希釈剤(メタノール:水=1:1)を加えて溶解し、希釈剤で目盛りまで希釈した。HPLC及びXRPDの分析はそれぞれ0、1、2週間目に行った。
【0138】
3種類の塩はすべて、40℃/RH75%で2週間安定であった。HPLC分析ではピーク面積に変化がないことが示された。
【0139】
固相安定性試験では、3種類すべての塩が、40℃/RH75%で物理的及び化学的に2週間安定であった。
【0140】
溶解度の結果から、水及びpH 6.8緩衝液の両方において遊離酸に対する3種類の塩の溶解度が改善されたことが示された。これら3種類の塩のうち、1-Na塩及び1-K塩(>400mg/mL)の溶解度は1-Ca塩より非常に高かった。加えて、80%RHでは、1-Na塩は8.28%の水を吸収し、1-K塩は50.63%の水を吸収した。そのため、少なくとも吸湿性については、ナトリウム塩はカリウム塩よりも優位であった。
【0141】
なお、「概要」及び「要約」の部分ではなく、「詳細な説明」の部分が、特許請求の範囲を説明するためのものであることを理解すべきである。この「概要」部分及び「要約」部分は、本発明のすべての例示的な実施形態ではなく、発明者が想定した本発明の1つ又は複数の例示的な実施形態を説明し得るものであり、したがって本発明及び添付の特許請求の範囲をいずれかの態様でも限定することを意図していない。
【0142】
以上、特定の機能及びその関係の実現を示す機能構成ブロックを用いて本発明について説明した。これらの機能構成ブロックの境界は、説明の便宜上、本明細書では任意に定義した。指定された機能とその関係を適切に実行すれば、他の境界を定義することができる。
【0143】
特定の実施形態の前述の説明は、このように本発明の一般的な性質を十分に明らかにして、他の人が過度の実験をする必要がなく、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、当技術分野における知識を加えることで、これらの特定の実施形態のような様々なアプリケーションを容易に修正及び/又は適応できるようにする。したがって、本明細書で提示される教示及び指導に基づいて、このような適応及び修正は、開示される実施形態の等価形の意味及び範囲内であることが意図される。本明細書における語句又は用語は、本明細書に記載の用語又は表現が教示及び指導に基づいて当業者によって解釈され得るように、説明の目的であって限定の目的ではないことを理解されたい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C