(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】ハウジング付きバイアルアダプタ
(51)【国際特許分類】
A61J 1/20 20060101AFI20231002BHJP
A61M 39/18 20060101ALI20231002BHJP
【FI】
A61J1/20 314B
A61M39/18
(21)【出願番号】P 2020544704
(86)(22)【出願日】2018-11-08
(86)【国際出願番号】 IL2018051202
(87)【国際公開番号】W WO2019092713
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-10-28
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520160381
【氏名又は名称】シンプリヴィア ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】シェメシュ,エリ
(72)【発明者】
【氏名】シナ,ヤロン
(72)【発明者】
【氏名】アシェロヴ,アサフ
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-504155(JP,A)
【文献】特表2017-513611(JP,A)
【文献】特表2015-508700(JP,A)
【文献】特表2014-521491(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0142388(US,A1)
【文献】米国特許第04673404(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
A61M 39/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイアルアダプタ(10a~10e、110a~110i、1010)であって、
本体部(20、20d~20h、120、1020)であって、
バイアル接続ポート(22、22f~22g、1022)、
シリンジ接続ポート(24、1024)、
前記バイアル接続ポートと前記シリンジ接続ポートとの間のアクセス通路(26、1026)、および
調整通路(28、1028)
を含む、本体
部と、
気体およ
び液体に対して不透過性
でかつ拡張可能な剛性のハウジング(50、50d~50g、150a~150i、1050)内に覆われるように構成された拡張可能
かつ縮小可能なチャンバ(40、40a、1040)であって、前記調整通路
は、前記バイアル接続ポートと前記チャンバとの間
を接続するように構成され、前記ハウジングは、前記ハウジングが拡張または縮小するときに、互いに対して伸縮自在に摺動するように構成された少なくとも2つの部分(52、56)を備える、チャンバと
、
を備える、バイアルアダプ
タ。
【請求項2】
前記チャンバは、前記ハウジングを拡張させるように構成される、請求項1に記載のバイアルアダプタ。
【請求項3】
前記ハウジングは、縮小状態および拡張状態を有し、前記ハウジングは、前記拡張状態よりも前記縮小状態の方が嵩低であり、前記ハウジングは、前記縮小状態および前記拡張状態のいずれにおいても前記チャンバを覆う、請求項1また
は2に記載のバイアルアダプタ。
【請求項4】
前記チャンバ(40、40a)
は少なくとも可撓
性部分を備え、前記可撓
性部分
は少なくとも1枚のシート(42、44、42a)を備え、前記可撓
性部分
は溶接された2枚のシート(42、44)を備え、前記2枚のシート(42、44)
はそれぞれ環状形状を有し、前記2枚のシート
はそれぞれの外縁部(45)において溶接される、請求項1
乃至3のいずれか一項に記載のバイアルアダプタ。
【請求項5】
前記バイアル接続ポート
はバイアル接続軸(A)を画定し、前記ハウジン
グは前記バイアル接続軸を取り囲む、請求項1
乃至4のいずれか一項に記載のバイアルアダプタ。
【請求項6】
前記ハウジン
グは、前記本体部の少なくとも一部分(30、30e~30g)を取り囲み
、前記バイアル接続ポートは、バイアル接続軸(A)を画定し、前記ハウジン
グが取り囲む前記本体部の
一部分(30、30e~30g)は、前記バイアル接続軸に沿って延在する、請求項1
乃至5のいずれか一項に記載のバイアルアダプタ。
【請求項7】
前記ハウジング(50)は、トロイド状内部空間(51)を画定し、
かつ、前記チャンバ(40、40a)は、トロイド状内部空間(41、41a)を画定する、請求項
5または
6に記載のバイアルアダプタ。
【請求項8】
前記バイアルアダプタは、バイアルに接続されたときに、前記ハウジング(50、50d~50g、150b、150c、150f)が前記バイアルの方向(D)に向かって拡張し、
かつ前記チャンバ(40、40a)が前記バイアルの方向(D)に向かって拡張するように構成される、請求項1
乃至7のいずれか一項に記載のバイアルアダプタ。
【請求項9】
前記本体部は、圧
入によっ
て前記バイアルアダプタの
少なくとも1つの構成要素に組み付けられ、
前記チャンバは、溶接によって前記バイアルアダプタの
少なくとも1つの構成要素に組み付けられ、
かつ
前記ハウジング(50)は、カバー(56)およびボウル(52)を備え、前記カバーは、前記ボウルにスナップ嵌めされる、
請求項1
乃至8のいずれか一項に記載のバイアルアダプタ。
【請求項10】
前記バイアルアダプタは、調整ポート(66、68e、66f、68g)を含む結合部(63a、63b、63e~63g)をさらに備え、前記バイアルアダプタは、前記調整ポートと前記調整通路(282、282e~282g)の末端との間の流体経路を備え、前記バイアルアダプタは、前記調整ポートと前記チャンバとの間の別の流体経路を備
え、前記結合部(63a、63b、63e~63g)は通路(61)を形成し、前記本体部
の中央部分は前記通路内に挿入される、請求項1
乃至9のいずれか一項に記載のバイアルアダプタ。
【請求項11】
前記結合部(63a、63b、63e、63g、63f)は、前記通路(61)を形成するスリーブ部(602、602e、602g、584f)を備え、前記バイアル接続ポート(22、22g)は、前記スリーブ部の一端に配置され、前記シリンジ接続ポート(24)は、前記スリーブ部の対向する端部に配置される、請求項
10に記載のバイアルアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療状況において受容器を取り扱うために使用される器具および方法の分野に関し、より具体的には、バイアルアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
バイアルアダプタは、例えば医療物質を収容するバイアルに接続されるように構成された器具である。シリンジは、例えばシリンジアダプタを介して、バイアルアダプタに接続され得る。アセンブリは、シリンジとバイアルとの間の流体連通を確立し、例えば、バイアルからシリンジへの液体の移送を可能にするように操作され得る。
【0003】
いくつかの既知のバイアルアダプタは、気体および/または液体に対して不透過性の拡張可能および/または縮小可能なチャンバを備える。これらの既知のバイアルアダプタは、バイアルとチャンバとの間が流体連通するように構成される。シリンジとバイアルとの間が流体連通している場合、バイアルアダプタは、それに応じて、バイアルとチャンバとの間を流体連通させ得る。バイアルとチャンバとの間のこのような流体連通は、バイアルと周囲空気(すなわち、清浄化および/または滅菌され得る作業環境の空気)との間の流体連通を少なくとも低減(すなわち、防止または低減)し得る。例えば、液体がバイアルからシリンジに移送されると、チャンバ内に収容されている気体は、それに応じて、チャンバからバイアルに移送され、バイアルと周囲空気との間の気体連通が少なくとも低減されることによって、バイアル内部の圧力を調整し得る。
【0004】
このような背景において、改良型バイアルアダプタを提供する必要性がある。
【0005】
【発明の概要】
【0006】
したがって、本体部と、気体および/または液体に対して不透過性の拡張可能および/または縮小可能なチャンバとを備えるバイアルアダプタが提供される。本体部は、バイアル接続ポート、シリンジ接続ポート、バイアル接続ポートとシリンジ接続ポートとの間のアクセス通路、およびバイアル接続ポートとチャンバとの間の調整通路を含む。アクセス通路は、バイアル接続ポートとシリンジ接続ポートとの間の流体連通を可能にするように構成される。調整通路は、バイアル接続ポートとチャンバとの間の流体連通を可能にするように構成される。
【0007】
第1の態様によれば、バイアルアダプタはさらに、チャンバを覆う拡張可能なハウジングを備え得る。ハウジングは、チャンバを保護する。ハウジングの拡張性は、バイアルアダプタの空間を最適化することができる。
【0008】
第1の態様の実施例では、バイアルアダプタは、以下の特徴のいずれか1つまたは任意の組み合わせを有し得る。
・チャンバは、ハウジングを拡張させるように構成され、
・ハウジングは、縮小状態および拡張状態を有し、ハウジングは、拡張状態よりも縮小状態の方が嵩低であり、ハウジングは、縮小状態および拡張状態のいずれにおいてもチャンバを覆い、
・ハウジングは、さらに縮小可能であり、
・チャンバは、少なくとも可撓性および/または弾性部分を備え、可撓性および/または弾性部分は、随意選択で少なくとも1枚のシートを備え、
・可撓性および/または弾性部分は、互いに溶接された2枚のシートを備え、
・2枚のシートの各々は、環状形状を有し、
・2枚のシートは、それぞれの外縁部において溶接され、
・ハウジングは、拡張したときに、互いに対して摺動するように構成された少なくとも2つの部分を備え、
・ハウジングは、伸縮自在であり、
・バイアル接続ポートは、バイアル接続軸を画定し、ハウジングおよび/またはチャンバは、バイアル接続軸を取り囲み、
・ハウジングおよび/またはチャンバは、本体部の少なくとも一部分を取り囲み、
・バイアル接続ポートは、バイアル接続軸を画定し、ハウジングおよび/またはチャンバが取り囲む本体部の一部分は、バイアル接続軸に沿って延在し、
・ハウジングはトロイド状内部空間を画定し、および/またはチャンバはトロイド状内部空間を画定し、
・バイアルアダプタは、ハウジングがバイアル接続軸を中心として均一に拡張ならびに/もしくは縮小し、および/またはチャンバがバイアル接続軸を中心として均一に拡張ならびに/もしくは縮小するように構成され、
・バイアル接続ポートは、バイアル接続軸を画定し、バイアルアダプタは、ハウジングがバイアル接続軸に対して少なくとも実質的に平行な方向に沿って拡張ならびに/もしくは縮小し、および/またはチャンバがバイアル接続軸に対して少なくとも実質的に平行な方向に沿って拡張ならびに/もしくは縮小するように構成され、
・バイアルアダプタは、バイアルに接続されたときに、ハウジングがバイアルの方向に向かって拡張し、および/またはチャンバがバイアルの方向に向かって拡張するように構成され、
・本体部は、圧入および/またはスナップ嵌めによって、バイアルアダプタの1つまたは複数の他の構成要素に組み付けられ、
・チャンバは、溶接によってバイアルアダプタの1つまたは複数の他の構成要素に組み付けられ、
・ハウジング(50)は、カバー(56)およびボウル(52)を備え、カバーは、ボウルにスナップ嵌めされ、
・バイアルアダプタは、調整ポートを含む結合部をさらに備え、バイアルアダプタは、調整ポートと調整通路の末端との間の流体経路を備え、バイアルアダプタは、調整ポートとチャンバとの間の別の流体経路を備え、
・結合部は、通路を形成し、本体部の中央部分は、通路内に挿入され、
・調整通路の末端は、結合部とは別個の本体部の中央部分に形成され、調整通路の末端は、例えば、前記中央部分に形成された開口部によって画定され、
・結合部は、通路を形成するスリーブ部を備え、バイアル接続ポートは、スリーブ部の一端に配置され、シリンジ接続ポートは、スリーブ部の他端に配置され、
・チャンバは、少なくとも部分的に、結合部に、および/またはスリーブ部の周辺のバイアルアダプタの領域に溶接され、
・調整通路の末端は、本体部の壁に形成され、バイアルアダプタは、前記壁に接触して配置され、調整ポートと調整通路の末端との間の流体連通の気密性を確保するシール部材を備え、
・シール部材は、弾性材料を含み、
・バイアルアダプタは、調整通路とチャンバとの間に配置されたフィルタをさらに備え、
・バイアルアダプタは、チャンバと調整通路の末端との間に配置されたダクト部材を備え、ダクト部材の少なくとも一部の直径は、調整通路の末端の直径よりも小さく、
・ダクト部材は、調整通路の末端と調整ポートとの間に配置され、
・ダクト部材の少なくとも一部の直径は、調整ポートの直径よりも小さく、
・ダクト部材は、シール部材と一体形成され、および/または
・バイアルアダプタは、調整通路とチャンバとの間の調整区画をさらに備える。
【0009】
第2の態様によれば、チャンバは、溶接された2枚のシートを備える、少なくとも可撓性および/または弾性部分を備え得る。このことにより、製造が比較的容易なチャンバが提供される。
【0010】
第3の態様によれば、バイアル接続ポートは、バイアル接続軸を画定し得、チャンバは、バイアル接続軸を取り囲み得る。バイアルアダプタはさらに、バイアルに接続されたときに、チャンバがバイアルの方向に向かって拡張するように構成され得る。このことにより、使用中、特に、チャンバの拡張中に、安定したバイアルアダプタが提供される。
【0011】
第4の態様によれば、バイアルアダプタは、調整ポートを含む結合部を備え得る。バイアルアダプタは、調整ポートと調整通路の末端との間の流体経路を備え得る。バイアルアダプタは、調整ポートとチャンバとの間の別の流体経路をさらに備え得る。このことにより、製造が比較的容易で、安全に使用することができるバイアルアダプタが提供される。
【0012】
第5の態様によれば、バイアルアダプタは、密閉されたパッケージに入れて、かつチャンバ内に正の体積の気体(例えば、清浄化および/または滅菌された)が収容された状態で提供され得る。このことにより、流体形態(例えば、液体として)の内容物を有するバイアルと共に使用できる状態のバイアルアダプタが提供される。
【0013】
これらの追加の態様の実施例では、バイアルアダプタは、チャンバを覆うハウジングを備えない場合がある。代替の実施例では、バイアルアダプタは、チャンバを覆うハウジングを備え得る。ハウジングは、拡張不可能であり得る。ハウジングの体積は、一定であり得る、および/またはバイアルアダプタの使用中にチャンバが拡張するのに十分な体積であり得る。あるいは、ハウジングは、拡張可能であり得、したがって、可変体積を有し得る。ハウジングが拡張可能である場合、ハウジングは随意選択で、第1の態様の任意の実施例の任意の関連する特徴または特徴の組み合わせをさらに有し得る。全ての場合において、バイアルアダプタは、随意選択で、第1の態様の任意の実施例の任意の他の特徴または特徴の組み合わせを示し得る。
【0014】
第6の態様によれば、バイアルアダプタは、チャンバを保護するが、チャンバを覆わない可変サイズのシールド、例えば部分的なスカート部を備え得る。シールドは、実施例では、剛性および/または半剛性の材料で作られ得る。このことにより、チャンバが保護される。シールドのサイズの可変性により、バイアルアダプタの空間を最適化することができる。バイアルアダプタは、随意選択で、他の態様の任意の実施例の任意の他の特徴または特徴の組み合わせを有し得る。
【0015】
さらに、態様のいずれか1つに係るバイアルアダプタを備えるキットが提供される。キットは、シリンジアダプタおよび/またはシリンジをさらに備え得る。シリンジアダプタは、バイアルアダプタと協働するように構成され得る。シリンジアダプタは、例えば、バイアルアダプタに接続されるように構成され得る。シリンジは、流体混合を可能にし得る。
【0016】
さらに、本発明の態様のいずれか1つに係るバイアルアダプタを使用する方法が提供される。該方法は、少なくともバイアルアダプタ、流体形態または固体形態の内容物を含むバイアル、およびシリンジを提供するステップを含む。該方法はさらに、バイアルアダプタをバイアルおよびシリンジに接続するステップと、その後、バイアル内の溶液の再構成および/または取り出しを行うステップとを含む。
【0017】
さらに、態様のいずれか1つに係るバイアルアダプタの製造方法が提供される。該方法は、少なくとも本体部およびチャンバを提供するステップと、調整通路がバイアル接続ポートとチャンバとの間の流体連通を確立するように構成されるように、本体部をチャンバに組み付けるステップとを含む。該方法は、その後、もしあれば、ハウジングを組み立てるステップを含み得る。
【0018】
以下の添付図面を参照しながら、非限定的な実施例について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】バイアルアダプタを備えるアセンブリの一例の概略図である。
【
図2】バイアルアダプタおよびその構成要素の一例を示す図である。
【
図3】バイアルアダプタおよびその構成要素の一例を示す図である。
【
図4】バイアルアダプタおよびその構成要素の一例を示す図である。
【
図5】バイアルアダプタおよびその構成要素の一例を示す図である。
【
図6】バイアルアダプタおよびその構成要素の一例を示す図である。
【
図7】バイアルアダプタおよびその構成要素の一例を示す図である。
【
図8】バイアルアダプタおよびその構成要素の一例を示す図である。
【
図9】バイアルアダプタおよびその構成要素の一例を示す図である。
【
図10】バイアルアダプタおよびその構成要素の一例を示す図である。
【
図11】バイアルアダプタおよびその構成要素の一例を示す図である。
【
図12】バイアルアダプタおよびその構成要素の一例を示す図である。
【
図13】バイアルアダプタおよびその構成要素の一例を示す図である。
【
図14】バイアルアダプタおよびその構成要素の一例を示す図である。
【
図15】バイアルアダプタおよびその構成要素の一例を示す図である。
【
図16】バイアルアダプタおよびその構成要素の一例を示す図である。
【
図17】バイアルアダプタおよびその構成要素の一例を示す図である。
【
図18】バイアルアダプタの一実施例のシリンジアダプタの一実施例との協働を示す図である。
【
図19】バイアルアダプタの一実施例のシリンジアダプタの一実施例との協働を示す図である。
【
図20】バイアルアダプタの操作の実施例を示す図である。
【
図21】バイアルアダプタの操作の実施例を示す図である。
【
図22】バイアルアダプタの操作の実施例を示す図である。
【
図23】バイアルアダプタの操作の実施例を示す図である。
【
図24】バイアルアダプタの操作の実施例を示す図である。
【
図25】バイアルアダプタの操作の実施例を示す図である。
【
図26】バイアルアダプタの操作の実施例を示す図である。
【
図27】バイアルアダプタの操作の実施例を示す図である。
【
図39】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図40】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図41】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図42】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図43】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図44】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図45】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図46】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図47】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図48】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図49】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図50】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図51】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図52】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図53】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図54】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図55】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図56】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図57】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図58】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図59】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図60】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図61】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図62】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図63】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図64】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図65】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図66】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【
図67】バイアルアダプタの他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、第1の態様に係るバイアルアダプタの実施例について説明する。任意の他の態様に係るバイアルアダプタは、随意選択で、これらの説明される実施例のいずれかの任意の特徴または特徴の組み合わせを有し得る。
【0021】
図1は、バイアルアダプタ1010を備えるアセンブリ1000を概略的に示す。
【0022】
バイアルアダプタ1010は、本体部1020を備える。本体部1020は、バイアル接続ポート1022、シリンジ接続ポート1024、アクセス通路1026、および調整通路1028を含む。アクセス通路1026は、バイアル接続ポート1022とシリンジ接続ポート1024との間にある。つまり、アクセス通路1026は、バイアル接続ポート1022とシリンジ接続ポート1024との間の流体連通を確立する、または可能にするように構成される、または換言すれば、バイアル接続ポート1022とシリンジ接続ポート1024との間の流体経路を形成するように構成されるということである。アクセス通路1026は、流体経路を形成し得る、または流体経路を形成する構成要素(例えば、シリンジアダプタ1080の中空針)が挿入され得る導管を形成し得る。バイアルアダプタ1010はさらに、気体および/または液体に対して不透過性である拡張可能および/または縮小可能なチャンバ1040を備える。調整通路1028は、バイアル接続ポート1022とチャンバ1040との間にある。つまり、調整通路1028は、バイアル接続ポート1022とチャンバ1040との間の流体連通を確立する、または可能にするように構成される、または換言すれば、バイアル接続ポート1022とチャンバ1040との間の流体経路を形成するように構成されるということである。バイアルアダプタ1010はさらに、チャンバ1040を覆う拡張可能なハウジング1050を備える。このことにより、改良型バイアルアダプタが提供される。
【0023】
特に、バイアル接続ポート1022は、バイアルアダプタ1010のバイアル1070への接続を可能にし、シリンジ接続ポート1024は、シリンジ1090のバイアルアダプタ1010への接続を可能にする。アクセス通路1026は、シリンジ1090とバイアル1070との間の流体連通を可能にする。したがって、バイアルアダプタ1010は、シリンジ1090とバイアル1070との間の中間要素を形成し、その結果、突出した針を有する手動式シリンジによるバイアル1070への直接アクセスを回避することが可能になる。したがって、バイアルアダプタ1010は、少なくとも刺針リスクを低減する。また、バイアルアダプタ1010は、バイアル1070に接続されると、定位置で維持され得る。
【0024】
調整通路1028は、流体経路を形成するように構成され、そのことにより、バイアル1070がバイアル接続ポート1022に接続されると(
図1に示すように)、バイアル1070(バイアル接続ポート1022を介して)とチャンバ1040との間の流体連通を確立することができる。したがって、バイアル1070からの流体の抜き取り中、またはバイアル1070の中への流体の注入中(例えば、粉末薬剤の再構成の間)および/またはバイアル1070のセプタムの穿刺の時点で、流体連通(特に、気体の交換)は、バイアル1070とチャンバ1040との間で生じ得る。実際に、流体の抜き取りもしくは注入または前記セプタムの穿刺は、バイアル1070の内部の圧力に影響を及ぼし得る(すなわち、前記圧力を上昇または低下させる傾向がある)。したがって、バイアル1070とチャンバ1040との間の流体連通の確立は、そのような影響を相殺することによってバイアル1070の内部の圧力を調整することを可能にする。これは、このようなチャンバを有さないバイアルアダプタとは異なり、バイアル1070と周囲空気との間の流体連通が全く無いまたはほとんど無い状態で行われる。したがって、バイアルアダプタ1010は、バイアル1070ならびに/もしくはシリンジ1090の内容物の周囲空気へのエアロゾル化ならびに/もしくは漏出、および/または、バイアル1070ならびに/もしくはシリンジ1090の前記内容物の周囲空気による汚染を少なくとも低減することによって、使用の安全性を向上させる。
【0025】
さらに、バイアルアダプタ1010は、チャンバ1040を覆い、そのことによりチャンバ1040を保護するハウジング1050を備える。このような保護は、少なくともチャンバ1040の損傷(例えば、穿刺および/または破裂)のリスク、および/またはその結果(例えば、チャンバ1040の内容物の周囲空気へのエアロゾル化ならびに/もしくは漏出、および/またはチャンバ1040の内容物の汚染によるバイアル1070ならびに/もしくはシリンジ1090の内容物の周囲空気による汚染)を少なくとも低減する。その結果、ハウジング1050は、使用の安全性をさらに向上させる。
【0026】
さらに、ハウジング1050は、その体積がチャンバ1040の体積に適合され得るように拡張可能である。このことにより、例えば、ハウジング1050を縮小させる(すなわち、圧縮する)ことによって、ひいては、必要に応じてバイアルアダプタ1010を圧縮することによって、空間を最適化することができ、その結果、バイアルアダプタ1010が比較的扱いやすくなる。したがって、バイアルアダプタ1010は、空間または扱いやすさに関して比較的低コストで使用の安全性を向上させることができる。このような空間最適化は、ハウジング1050および/またはバイアルアダプタ1010の保管および/または輸送(例えば、まとめて)の最適化に、特に有用である。また、ハウジング1050の体積可変性により、例えば、バイアルアダプタ1010は圧縮されたときに操作が比較的容易であり得るので、バイアルアダプタ1010は使用者にとって比較的操作し易くなる。
【0027】
バイアルアダプタの本体部1020は、本体部1020の全体形状を画定する複数の一体形成された構成要素のアセンブリまたは単一の一体形成された構成要素、および/または前記一体形成された構成要素に一体化された1つまたは複数の追加の構成要素を備え得る、またはそれらで構成され得る。一体形成された構成要素(単数または複数)は、剛性および/または半剛性の材料、例えば、プラスチックで作られ得る。一体形成された構成要素(単数または複数)は、成形され得る、例えば、射出成形され得る。
【0028】
シリンジ接続ポート1024は、シリンジ1090の動作時にアクセス通路1026を介してシリンジ1090とバイアル1070との間の流体連通を可能にするようにシリンジ1090(例えば、ルアーフィット式シリンジ)の接続に適合された本体部の構造体である。シリンジ1090のシリンジ接続ポート1024への接続は、少なくとも実質的に気密な方法で行われ得るので、シリンジ1090とバイアル1070との間で連通しているときに外部への漏出が全くないか、ほとんどない、および/または外部からの汚染が全くないか、ほとんどない。シリンジ接続ポート1024は、間接接続および/または直接接続用に構成され得る。間接接続の場合(
図1で表されている)、シリンジ1090は、シリンジアダプタ1080のようなバイアルアダプタ1010に装着されている中間要素を介して、バイアルアダプタ1010に接続される。直接接続の場合(図示せず)、シリンジ1090は、中間要素なしでバイアルアダプタ1010に直接接続する。同じシリンジ接続ポート1024が、直接式接続および間接式接続の両方の接続用に構成され得る。
【0029】
シリンジ接続ポート1024は、例えば、本体部1020上に形成され、(水平面上で支持されると考えられるバイアル1070に対して)アクセス通路1026の上端を画定する開口部を備え得る。本体部1020は、アクセス通路1026の前記上端を封止するセプタムを一体化し得る。本体部1020は、アクセス通路1026の前記上端を気密に閉鎖するようにセプタムをしっかりと維持するケーシングを備え得る。セプタムは、例えば、エラストマー材料を含み得る。エラストマー材料は、中空針がセプタムを貫通し、エラストマー材料が針の周囲を少なくとも実質的に気密に封止するように、シリンジアダプタ1080またはシリンジの中空針によって穿刺されたときに変形するように構成され得る。エラストマー材料は、弾性であり得、すなわち、中空針が引き抜かれたときにその初期形状に戻るように変形して、アクセス通路1026の上端を再び少なくとも実質的に封止するようにさらに構成され得る。エラストマー材料は、例えば、シリコーンゴムおよび/またはブチルゴムのようなゴムを含み得る。代替的にまたは追加的に、本体部1020は、アクセス通路1026の上端を閉鎖するようにシリンジ接続ポート1024上に装着され得る着脱可能なキャップを備え得る。着脱可能なキャップは、実施例では、アクセス通路1026の上端を封止し得る。着脱可能なキャップは、シリンジ1090をシリンジ接続ポート1024に接続する必要があるときに取り外され得る。着脱可能なキャップは、完全に取り外し可能であり得る、あるいは、例えば、着脱可能なキャップをバイアルアダプタ1010に接続するヒンジを介して、取り外された後にシリンジ接続ポート1024に留まった状態で維持され得る。
【0030】
実施例では、アクセス通路1026の上端を画定する開口部は、本体部1020の管状部材の先端に形成され得る。したがって、管状部材の内部は、アクセス通路1026の一部を構成し得る。実施例では、管状部材は、随意選択で、略円筒形状であり得る。シリンジ接続ポート1024は、シリンジアダプタ1080に解放可能に接続するように構成され得る。シリンジアダプタ1080は、概ねスリーブ状のシリンジアダプタ本体を備え得る。シリンジ接続ポート1024は、例えば、前記管状部が前記スリーブ内に挿入されるように構成され得る。例えば、前記管状部材は、前記スリーブの開口端を介してスリーブの内部に摺動され得る。シリンジアダプタ1080は、スリーブの他端を閉鎖するベース要素からスリーブの内部に延在する中空針を備え得る。シリンジ1090のノズルは、シリンジアダプタ1080のシリンジ装着ポートに、中空針と流体連通した状態で装着され得る。シリンジ装着ポートは、ベース要素の針が延在する側とは反対側に形成され得る。シリンジ装着ポートは、シリンジ1090のノズルを直接装着するように構成され得る。シリンジ1090のノズルは、非針状タイプのノズル、例えばルアータイプのノズルであり得、および/または非金属材料、例えばプラスチックで形成されたノズルであり得る。したがって、シリンジアダプタ1080は、突出した金属針を有さない構成要素の使用を可能にし得る。
【0031】
そのような実施例では、シリンジアダプタ1080は、随意選択で、中空針を備えるスリーブの内部の空間を取り囲むようにスリーブ内に配置されたコルクをさらに備え得る。コルクは、針を隔離し得る。コルクは、針開口を閉鎖し得る(したがって、使用者は、シリンジアダプタ1080が接続されていないときにシリンジプランジャを押すことができない)。コルクは、実施例では、(例えば、単一および/または塊状の)セプタムであり得る。コルクは、実施例では、一定量の空気を取り囲む2つのセプタムを備え得る(休止位置にある針の開口は、コルク内の位置、特に中央の「空気」部分にある)。コルクの他の実施例は、遠位円板状セプタムと、針開口または遠位円板状セプタムのみを閉鎖するスリーブセプタムとを含み得る。このようなコルクは、使用の安全性を向上させる。
【0032】
コルクは、セプタムを含み得る。シリンジアダプタのセプタムは、バイアルアダプタ1010のセプタムのいずれかの実施例の任意の特徴または特徴の組み合わせを有し得る。コルクは可動であり、バイアルアダプタの管状部材自体がスリーブの内部に摺動されるときにスリーブの内部を摺動するように構成され得る。管状部材は、コルクに到達して、コルクを摺動させることができ、その結果、シリンジアダプタ1080の中空針がシリンジアダプタ1080のセプタムを通って密閉空間から出て、その後、コルクおよび管状部材がスリーブの内部に摺動され続けるので、前記中空針はバイアルアダプタ1010のセプタムをさらに穿刺する。中空針の先端は、シリンジアダプタ1080がバイアルアダプタ1010上に装着される前に、最初にセプタムの内側に埋め込まれ得る。あるいは、中空針の先端は、最初に密閉空間の内部に配置され得る。このことは、中空針の前記先端の汚染リスクを少なくとも低減する。シリンジアダプタ1080は、シリンジアダプタ1080がバイアルアダプタ1010から取り外されたときに、コルクがスリーブ内の初期位置まで摺動するように構成されたばね要素をさらに備え得る。ばね要素は、コルクおよびベース要素を連結し、そのことによってコルクを遠位に付勢する圧縮可能なばねであり得る。
【0033】
実施例では、シリンジ接続ポート1024(例えば、管状部材)は、随意選択で、シリンジアダプタ1080の装着がアタッチメントを介して(例えばスナップ嵌めによって)行われるように構成された構造体を備え得る。このような構造体は、シリンジアダプタ1080の対応するクランプ(単数または複数)またはそれぞれの凹部(単数または複数)と協働するように構成された凹部(単数または複数)またはそれぞれのクランプ(単数または複数)を備え得る。シリンジアダプタ1080は、スナップ嵌めを外すために(例えば手動で)、シリンジアダプタの前記クランプ(単数または複数)または凹部(単数または複数)を制御するように構成されたハンドルを備え得る。
【0034】
バイアル接続ポート1022は、バイアル1070に接続するように適合された本体部の構造体である。バイアルに接続されると、アクセス通路1026を介したバイアル1070とシリンジ1090との間、および調整通路1028を介したバイアル1070とチャンバ1040との間の流体連通が可能になり得る。バイアル接続ポート1022のバイアル1070への接続は、少なくとも実質的に気密な方法で実施され得、その結果、流体がバイアル1070とシリンジ1090との間ならびに/もしくはバイアル1070とチャンバ1040との間で連通しているときに、外部への漏出が全くないか、ほとんどない、および/または外部からの汚染が全くないか、ほとんどない。
【0035】
バイアル接続ポート1022は、バイアルアダプタ1010を任意の1つまたは複数のタイプのバイアルに接続するように構成され得る。バイアルは、任意のタイプの医療物質を収容するか、または収容するように構成された受容器またはボトルである。バイアルアダプタ1010は、任意の1つまたは複数のタイプのバイアルと共に、例えば、抗癌剤を収容するバイアルのような化学療法で使用される薬剤を収容するバイアルと共に使用するように構成され得る。したがって、バイアルアダプタ1010を製造するために使用される材料およびプロセスは、そのような使用に適切であり得る。バイアル1070は、流体形態(例えば、液体)または可溶性固体形態(例えば、粉末)で収容される物質を備え得る。バイアルは、バイアルアダプタのバイアル接続ポートを装着するように構成されたバイアルネックと、物質を収容するように構成された容器部とを備え得る。
【0036】
バイアルネックは、周知のように、容器部の一方の末端に配置された容器ネック上に装着されたキャップを備え得る。容器ネックは、容器部と一体形成され得る。容器ネックおよび/または容器部は、剛性または半剛性材料、例えば、ガラスまたはプラスチックで作られ得る。容器部は、管状形状を有し得る。容器ネックおよび/またはバイアルネックは、管状形状を有し得る。容器ネックは、キャップで封止される開口部を備え得る。 キャップは、セプタムを一体化し得る。キャップは、例えば、ケーシングを備え得る。ケーシングは、キャップを容器ネックに装着して気密に取り付けるように構成されたスカート部と、キャップの頂部を画定し、セプタムによって埋められた開口を有する実質的な平面部とを備え得る。ケーシングは、開口を気密に閉鎖するように、セプタムをしっかりと維持し得る。開口およびそれに応じてセプタムは、略円板形状を有し、および/またはキャップの頂部の中央に配置され得る。ケーシングは、剛性または半剛性材料、例えば、金属(例えば、アルミニウム)またはプラスチックで作られ得る。スカート部は、容器ネックに対して相補的な形状、例えば、管状形状を有し得る。スカート部は、容器ネックの対応するねじ山にキャップを螺合させるように構成されたねじ山を備え得る。あるいは、スカート部は、容器ネックを気密に圧着するように構成され得る。容器ネックは、例えば、周辺突出部を形成する周囲ビードを備え得、スカート部は、金属(例えば、アルミニウム)製であり、ビード上に圧着され得る。キャップは、セプタムを保護し、バイアルの使用前に着脱可能であるように構成された取り外し可能なカバーをさらに備え得る。
【0037】
バイアル接続ポート1022は、直接接続および/または間接接続用に構成され得る。直接接続の場合(
図1に表されている)、バイアル接続ポート1022は、バイアル1070上に直接装着され得る。このことにより、組み立てが簡単になる。間接接続の場合(図示せず)では、接続は、例えば、バイアルコンバータのようなバイアル1070上に装着された中間要素を介して行われ得る。このことにより、異なるタイプのバイアルへの接続のために同じバイアルアダプタ1010を使用することが可能になる。バイアルコンバータは、バイアルネック上に装着され得る。バイアルコンバータは、特に、バイアル接続ポートの直接装着の範囲から外れた直径を含む、異なるバイアルネック直径に対して同じバイアルアダプタを使用することを可能にし得る。同じバイアル接続ポートが、直接式接続および間接式接続の両方の接続用に構成され得る。
【0038】
バイアル接続ポート1022は、バイアル接続軸を画定し得る。バイアルアダプタ1010のバイアルネックまたはバイアルコンバータ上への装着は、前記バイアル接続軸に沿ったバイアルアダプタ1010とバイアルネックとの間の相対並進移動を含み得る。バイアル接続軸は、装着中にバイアルネックが延在する方向の軸、例えば、バイアルネックの中心長手方向直線軸であり得る。
【0039】
実施例では、バイアル接続ポート1022は、随意選択で、バイアル1070またはバイアルコンバータへの装着がアタッチメントを介して、例えばスナップ嵌めによって、行われるように構成された構造体を備え得る。このような取付構造体は、バイアルまたはバイアルコンバータの対応する構造体、例えばバイアルネックと協働するように構成されたクランプ(単数または複数)および/または凹部(単数または複数)を備え得る。取り付けおよび/またはスナップ嵌めは、バイアルアダプタ1010の取付構造体をバイアル接続軸に沿ってバイアル1070またはバイアルコンバータの対応する構造体に押し付けることによって行われ得る。
【0040】
バイアル接続ポート1022は、例えば、バイアルアダプタ1010の本体部1020によって形成されたドッキング構造体を備え得る。バイアル接続軸は、ドッキング構造体の中心軸であり得る。ドッキング構造体は、バイアルネックまたはバイアルコンバータがドッキング構造体の中心軸に沿ってドッキング構造体の内部に挿入され得る、例えば、ドッキング構造体の内部に圧入されるように、バイアルネックまたはバイアルコンバータに適合した形状を有し得る。バイアル接続ポート1022は、ドッキング構造体の中心軸に少なくとも実質的に平行な方向に延在し、ドッキング構造体を境界付ける1つまたは複数の周壁を備え得る。1つまたは複数の周壁は、例えばスカート部のように、バイアルネックまたはバイアルコンバータを収容するように構成され得る。1つまたは複数の周壁は、バイアルネックまたはバイアルコンバータに嵌合されるように構成され得る。このことにより、ドッキング構造体がバイアルネックまたはバイアルコンバータを包み込むことができ、したがって、バイアルアダプタを容易にかつ安定的に装着することができる。ドッキング構造体は、略角柱(例えば、円筒形)の形状を有し得る。バイアル接続ポート1022は、実施例では、ドッキング構造体を画定し、ドッキング構造体の入口を画定するリムを有する単一の周壁を備え得る。代替の実施例では、バイアル接続ポート1022は、ドッキング構造体を画定する脚部を形成するいくつかの周壁を備え得る。
【0041】
ドッキング構造体は、バイアルネックまたはバイアルコンバータの直径よりも大きい直径(すなわち、ドッキング構造体の中心軸に垂直な平面内の最大寸法)を有し得る。ドッキング構造体の直径は、例えば、バイアル1070のキャップの直径よりも大きい直径であり得る。ドッキング構造体はさらに、ドッキング構造体の内部に挿入されたときに、バイアルネックが半径方向に安定するように成形され得る。ドッキング構造体は、医療業界において使用されるバイアルに対して設けられた任意の標準に対応し得る。
【0042】
バイアル接続ポート1022は、バイアルへの接続後、例えば、ドッキング構造体の内部にバイアルネックまたはバイアルコンバータを挿入した後に、バイアル1070を保持するためのシステムを備え得る。バイアルアダプタ1010は、バイアルネックまたはバイアルコンバータがドッキング構造体の内部に押し込まれてスナップ嵌めされるようにバイアルアダプタ1010をバイアルネックまたはバイアルコンバータに押し付けることによって、バイアル接続ポート1022をバイアル1070に接続するように構成され得る。ドッキング構造体の1つまたは複数の周壁は、例えば、ドッキング構造体の中心軸に向かって内側に延在するクランプを備え得る。ドッキング構造体のクランプによって境界付けられた部分の直径は、バイアル1070のキャップの直径またはバイアルコンバータの頂部の直径よりも小さい直径であり得る。ドッキング構造体の1つまたは複数の周壁は、少なくともわずかな弾性を有し得る。クランプは、スナップ嵌め後にバイアル1070のキャップのスカート部の底縁部またはバイアルコンバータの頂部に当接するように構成され、その結果、バイアル1070を保持するためのシステムとして機能し得る。
【0043】
バイアル接続ポート1022は、バイアル接続ポート1022がバイアルネックに装着されたときにバイアル1070のセプタムを穿刺するように構成された先端を有する穿刺部材を備え得る。バイアルのセプタムは、例えば、エラストマー材料を含み得る。エラストマー材料は、穿刺部材がセプタムを貫通し、エラストマー材料が穿刺部材の周囲を少なくとも実質的に気密に封止するように、穿刺部材によって穿刺されたときに変形するように構成され得る。エラストマー材料は、例えば、シリコーンゴムおよび/またはブチルゴムのようなゴムを含み得る。穿刺部材は、バイアル接続ポート1022がバイアルネックまたはバイアルコンバータに装着されたときに、穿刺部材の先端がセプタムを突き抜けてバイアル内部に入るように構成された長さを有し得る。
【0044】
バイアル接続ポート1022がバイアルネックまたはバイアルコンバータを挿入するためのドッキング構造体を備える場合、穿刺部材は、例えば、ドッキング構造体の中心軸に対して平行な方向、例えば、ドッキング構造体の底面からバイアル1070に向かって、ドッキング構造体内で延在し得る。穿刺部材は、例えば、実質的にドッキング構造体の底面の中心から、および/または実質的にドッキング構造体の中心軸に沿って延在し得る。
【0045】
穿刺部材は、1つまたは複数のスパイクを備え得る、または1つまたは複数のスパイクで構成され得る。スパイク(単数または複数)は、尖った先端を備え得る。スパイク(単数または複数)は、剛性または半剛性であり得る。スパイク(単数または複数)は、バイアルの本体部と一体形成され、および/またはバイアルの本体部と同じ材料で、例えばプラスチックで形成され得る。穿刺部材は、代替的にまたは追加的に、1つまたは複数の針を備え得る。針(単数または複数)は、金属製であり得る。針(単数または複数)は、バイアルアダプタ1010の本体部1020に一体化され得る。実施例では、穿刺部材は、1つまたは複数の(例えば、金属製の)針(単数または複数)を(それぞれ)埋め込む(すなわち、被覆する)1つまたは複数の(例えば、プラスチック製の)スパイクを備え得る。他の実施例では、穿刺部材は、1つまたは複数の被覆されていない針を備え得る、または1つまたは複数の被覆されていない針で構成され得る。針は、例えば薄い中空スパイクに比べて、製造するのが比較的容易であり得る。
【0046】
このような穿刺部材の代わりに、またはそのような穿刺部材に加えて、バイアル接続ポート1022は、中空針のような別個の穿刺要素を通過させるように構成された1つまたは複数のオリフィスを備え得る。1つまたは複数のオリフィスは、実施例では、バイアル接続ポート1022のバイアル1070に対向する表面、例えば、バイアル接続ポート1022のドッキング構造体の底面、および/または、もしあれば、穿刺部材の脇に形成され得る。
【0047】
アクセス通路1026は、バイアル1070とシリンジ1090との間の流体連通を可能にするように、バイアル接続ポート1022とシリンジ接続ポート1024との間の接続を可能にする導管構造体である。調整通路1028は、バイアル接続ポート1022に接続され、バイアル1070とチャンバ1040との間の流体連通を確立することを可能にする導管構造体である。調整通路1028は、例えば、バイアル接続ポート1022を本体部1020上に形成された少なくとも1つの開口部1282に気密に接続し得、前記開口部1282は、(水平面上で支持されると考えられるバイアル1070に対して)調整通路1028のそれぞれの上端1282を画定する。バイアルアダプタ1010は、前記開口部1282とチャンバ1040との間の流体連通を確立するように構成され得る。アクセス通路1026および調整通路1028は、切り離され得る、すなわち、それらの間が流体連通しなくなり得る。アクセス通路1026および/または調整通路1028はそれぞれ、1つまたは複数の線形導管(すなわち、マニホールドなし)、例えば、直線導管で構成され得る。
【0048】
バイアル接続ポート1022がバイアルセプタムを穿刺するように構成された穿刺部材を備える場合、穿刺部材は、アクセス通路1026の末端および/または調整通路1028の末端部を一体化し得る。各々のそのような通路(1026および/または1028)の末端部は、穿刺部材がバイアルのセプタムを穿刺したときの通路とバイアルとの間の流体連通を可能にするように、穿刺部材の先端にそれぞれの開口部を形成し得る。穿刺部材の先端、ひいては開口部は、実際には、その時点でバイアルの内部に存在し得る。実施例では、バイアル接続ポート1022は、調整通路1028の末端のみを一体化する穿刺部材を備え得る。このような実施例の特定の構成では、アクセス通路1026は、シリンジ接続ポート1024と、別個の穿刺要素を通過させるように構成された上述のオリフィスとの間の導管を形成し得る。このような構成では、バイアルアダプタ1010は、アクセス通路1026の内部に(例えば、シリンジアダプタ1080の)中空針を挿入するように構成され得、中空針は、バイアルセプタムを穿刺し、バイアル1070の内容物にアクセスするために、前記オリフィスから突き出て来る。
【0049】
実施例では、穿刺部材は、アクセス通路および調整通路のそれぞれの部分を形成するいくつかのルーメン(および実施例では、これらの2つのルーメンのみ)を備えるように一体形成された単一のスパイクを備え得る。他の実施例では、穿刺部材は、いくつかのスパイクを備え得、1つのスパイクは、アクセス通路の末端部を形成するルーメン(および実施例では、この1つのルーメンのみ)を備えるように一体形成され、別のスパイクは、調整通路の末端部を形成するルーメンを備えるように一体形成される。他の実施例では、穿刺部材は、各々が1つまたは複数の中空針を埋め込むように一体形成された1つまたは複数のスパイクを備え得、中空針の内部は通路末端部を形成する。さらに他の実施例では、穿刺部材は、いくつかの被覆されていない中空針で構成され得る。他の実施例では、穿刺部材は、バイアルアダプタ1010内に一体化され、本体部1020からバイアル接続ポート1022のスカート部の中へと突出する針で構成され得る。アクセス通路1026は、バイアルアダプタ本体部1020内にオリフィスを備え得る。前記ルーメンは、シリンジアダプタ1080からバイアルアダプタ1010を通って取り外し可能に挿入可能である針を案内するように構成され得る。
【0050】
実施例では、本体部1020は、バイアル接続ポート1022を形成する末端部分、シリンジ接続ポート1024を形成する別の末端部分、および2つの末端部分間の中央部分を備え得る、またはそれらで構成され得る。本体部1020は、細長い形状を有し得、その部分は、本体部1020の(例えば、直線状の)中心軸に沿って延在し得る。バイアル接続軸は、本体部1020の中心軸であり得る。本体部の1つまたは複数の(例えば、全ての)部分は、略角柱(例えば、円筒形)の外形を有し得る。本体部1020のこのような実施例は、製造が比較的簡単であり、比較的コンパクトである。
【0051】
このような実施例では、バイアル接続ポート1022は、前述したように、ドッキング構造体を備え得る。ドッキング構造体の中心軸は、本体部1020の中心軸であり得る。バイアル接続ポート1022は、前述した穿刺部材、例えば、いくつかのルーメンを備えるまたはいくつかの中空金属針を埋め込んだ一体形成スパイクをさらに備え得る。穿刺部材は、ドッキング構造体の中心軸に対して少なくとも実質的に平行に、および/またはドッキング構造体の中心軸に沿って延在し得る。シリンジ接続ポート1022は、前述したような開口部を備え得る。開口部は、前述したように、本体部1020の管状部材の先端に形成され得る。開口部および/または管状部材の中心軸は、本体部1020の中心軸であり得る。アクセス通路1026は、少なくとも実質的に直線状であり得る。アクセス通路1026は、少なくとも実質的に本体部1020の中心軸に沿って、例えば、シリンジ接続ポート1024の開口部と穿刺部材の先端との間に延在し得る。ドッキング構造体および開口部について言えば、ドッキング構造体および開口部は、本体部の中心軸の反対方向に配向され得る。したがって、本体部1020は、本体部1020の中心軸に沿ってドッキング構造体の内部にバイアルネックまたはバイアルコンバータを差し込むことによってバイアルネックまたはバイアルコンバータ上にバイアルアダプタ1010を装着するのを可能にし、(例えば、その後)同じ本体部1020の同じ中心軸に沿ってシリンジアダプタ1080をシリンジ接続ポート1024上に装着することができる。シリンジアダプタ1080は、シリンジアダプタ1080がシリンジ1090に組み付けられた後、または組み付けられる前、シリンジ接続ポート1024上に装着され得る。
【0052】
調整通路1028は、バイアル接続ポート1022から、本体部1020上に形成され、各々が(水平面上で支持されると考えられるバイアル1070に対して)調整通路1028の上端1282を画定する1つまたは複数の開口部1282まで延在し得る。調整通路1028の末端を画定する各開口部1282は、本体部1020の壁、例えば中央部分の壁(例えば、周壁)上に形成され得る。調整通路1028の第1の軸方向部分は、例えば、穿刺部材の先端から、少なくとも実質的に本体部1020の中心軸に沿って(ひいては、例えば、アクセス通路1026の第1の部分に対して平行に、および/またはアクセス通路1026の第1の部分の脇に)延在し得る。調整通路1028は、中央部分の壁(例えば、周壁)に向かってそれぞれ延在する、中央部分内の1つまたは複数の第2の半径方向部分をさらに有し得る。アクセス通路1026は、シリンジ接続ポート1024まで中央部分内で長手方向に延在する第2の部分をさらに備え得る。調整通路1028は、例えば、このような第2の部分を1つのみ有し得る。調整通路1028の第1の部分および/または第2の部分は、少なくとも実質的に線形であり得る。調整通路1028の第2の部分(単数または複数)は、調整通路1026の第1の部分と角度を成し得る、例えば、少なくとも実質的に直角の角度を形成し得る。本体部1020のこのような実施例は、製造が比較的簡単であり、使用時に安定している。
【0053】
このような実施例では、本体部1020の中央部分および/またはシリンジ接続ポート1024の部分は、バイアル接続ポート1022の部分の直径に実質的に等しいかまたはそれよりも小さい直径を有し得る。このことにより、本体部1020をコンパクトに保つことができる。特に、バイアル接続ポート1022の部分は、ドッキング構造体によって必要とされる最小値以上の直径を有し得る。シリンジ接続ポート1024の部分は、中央部分の直径のオーダーの直径を有し得る。このことにより、シリンジ接続ポート1024の部分を介して、例えば、圧入および/またはスナップ嵌めによって、スリーブ部のような結合部の中空部分の内部に本体部を挿入することが可能になる。一部分の「直径」は、本体部1020の中心軸に対して垂直な平面内に含まれる前記部分の最も長い線分の長さを指すことができる。したがって、本体部1020は、一般に、バイアル接続ポート1022からシリンジ接続ポート1024に向かって次第に細くなる形状を有し得る。
【0054】
実施例では、バイアル接続ポート1022、シリンジ接続ポート1024、アクセス通路1026、調整通路1028、シリンジアダプタ1080、シリンジ1090、および/またはバイアル1070は、随意選択で、国際公開第2005/041846(A2)号パンフレットに記載されている任意の他の特徴または特徴の組み合わせを有し得、この点に関して、特に、20頁~24頁にあるシリンジアダプタおよびバイアルアダプタを参照によって本願明細書に引用したものとする。
【0055】
チャンバ1040は、調整通路1028を介して、例えばシリンジ1090の動作によって、バイアルと流体連通するように構成される。したがって、チャンバ1040は、気体および/または液体を収容し、この気体および/または液体をバイアル1070と交換するために利用可能な内部空間を画定する。つまり、チャンバ1040は、アクセス通路1026を介してバイアル1070にならびに/もしくはバイアル1070から、気体ならびに/もしくは液体を追加ならびに/もしくは除去するときに、またはバイアル1070のセプタムを穿刺するときに、バイアル1070の内部の圧力調整(例えば、周囲圧力との平衡化)のための交換を行うように構成され得る。
【0056】
チャンバ1040は、気体および/または液体に対して不透過性である。したがって、チャンバ1040は、例えば少なくとも一時的に(例えば、最小期間の間)、少なくとも実質的に外部への漏出がない、および/または外部からの汚染がない状態で、気体および/または液体を保持することが可能である。最小期間は、バイアルアダプタの製造および密封包装後7日間よりも長い期間、例えば、28日間であり得る。バイアルアダプタ1010が密封パッケージから取り出された後、最小期間は短くなり得る。シリンジ1090、バイアルアダプタ1010、およびバイアル1070(さらに、随意選択で、シリンジアダプタ1080および/またはバイアルコンバータ)のアセンブリは、閉鎖流体循環システム、すなわち、周囲空気との流体交換が全く無いか、またはほとんど無いシステムを形成し得る。
【0057】
チャンバ1040は、拡張可能かつ縮小可能である、すなわち、可変体積を有する。チャンバ体積は、チャンバ1040の内部空間の体積である。チャンバは、換言すれば、例えば、チャンバ1040が膨張および/または収縮したときに、バイアルの内部の圧力を調整するために拡張および/または縮小する(すなわち、縮む)ように構成される。したがって、チャンバ1040は、前記調整を行うために可変体積の気体および/または液体を収容し、それに伴って、チャンバ1040が収容する気体および/または液体の前記体積に応じて、より大きいまたはより小さい空間を占有するように構成される。物体によって占有される空間は、前記物体によって占有される全ての3D位置の凸包または凹包の体積として理解され得る。凸包は、前記物体によって占有される前記3D位置の全てを含む3D位置の最も小さい凸集合である。凹包は、前記物体によって占有される前記全ての3D位置に適用される所定の凹包決定スキームに対応し得る。
【0058】
ハウジング1050は、チャンバ1040を覆うバイアルアダプタ1010の構造体である。ハウジング1050は、チャンバ1040とは異なる別個のものである。ハウジング1050は、拡張可能である、 すなわち、増加可能な体積を有する。したがって、ハウジング1050は、チャンバ1040が占有するのに利用可能な内部空間を画定する。ハウジングの体積は、前記内部空間の体積である。実施例では、ハウジング1050の実質的に全ての内部空間は、チャンバ1040が占有するのに利用可能である。ハウジング1050は、剛性および/または半剛性材料で作られた1つまたは複数の部分を備え得る、またはそれらで構成され得る。ハウジング1050は、例えば、プラスチックで作られた、例えば、成形されたもしくは射出成形された、1つまたは複数の構成要素を備え得る、またはそれらで構成され得る。バイアルアダプタ1010のハウジング1050および本体部1020は、組み立てられる別個の構成要素であり得る。あるいは、ハウジング1050は、本体部1020の少なくとも一部を形成し得、および/または本体部1020は、ハウジング1050の少なくとも一部を形成し得る。
【0059】
ハウジング1050は、チャンバ体積変動の間、チャンバ1040を被覆する。つまり、バイアルアダプタの常時の使用中、どんなチャンバの体積であっても(少なくとも所定の閾値未満)、ハウジング1050がチャンバ1040を包囲するということである。「包囲する(enveloping)」、「被覆する(shelling)」、または「覆う(casing)」とは、実施例では、チャンバがハウジングの内部にあるという意味を示し得る。したがって、ハウジング1050は、チャンバ1040の保護バリアとなる。
【0060】
ハウジング1050は、可変体積を有する。ハウジング1050は、拡張可能である。実施例では、ハウジング1050は、縮小可能(すなわち、圧縮可能)でもあり得る。したがって、バイアルアダプタ1010は、拡張可能および/または圧縮可能である。したがって、ハウジング1050は、チャンバ1040が内部空間の可変体積を利用できるようにして、チャンバ1040が利用できる内部空間の前記体積に応じて、より大きいまたはより小さい空間を占有するように構成され、それに応じて、バイアルアダプタ1010がより大きいまたはより小さい空間を占有する。このことにより、ハウジング体積を必要なチャンバ体積に適合させることができる。換言すれば、ハウジング体積は、ハウジング1050が常にチャンバ1040を包囲するが、できる限りコンパクトな状態で維持されるように変化し得る。このことは、バイアルアダプタ1010によって占有される空間がハウジング1050によって占有される空間に対応するので、チャンバ1040によって占有されるかまたは占有される必要がある空間に対してバイアルアダプタ1010の空間占有を最適化するために適用され得る。
【0061】
ハウジング体積は、最小値から最大値まで変化する(最大値は、最小値よりも厳密に高い)。ハウジング体積の最大値は、チャンバ体積の所定の閾値に対応し得る。したがって、ハウジング1050は、ハウジング体積が最小値に等しい縮小状態(すなわち、圧縮状態)、およびハウジング体積が最大値に等しい拡張状態を含み得る。ハウジング1050は、随意選択で、縮小状態と拡張状態との間の他の中間状態を含み得る。チャンバ1040は、最小ハウジング体積よりも大きい体積の空間を占有するように拡張されるように構成され得る。何らかの理由で、このような拡張が必要である場合、ハウジング1050は、縮小状態から異なる状態に拡張し得、バイアルアダプタ1010は、それに応じて拡張し、より大きい空間を占有し得る。チャンバ1040は、ハウジング1050の少なくとも実質的に全ての内部空間を占有するように、チャンバ1040を常に拡張させることができるように構成され得る。最大ハウジング体積は、チャンバ1040に対して企図される最大体積に対応し得る。
【0062】
ハウジング1050は、少なくともある時点において、ハウジング1050の内部空間ひいてはチャンバ1040を外部から見ることができる1つまたは複数の開口を備え得る。ハウジング1050は、例えば、チャンバ1040を包囲する拡張可能な/縮小可能なケージまたはバスケットを形成し得る。1つまたは複数の開口は、バイアルアダプタ1010の滅菌を簡略化し得る。実施例では、1つまたは複数の開口は、拡張状態を含みおよび/または少なくとも縮小状態を除外する、1つまたは複数の状態で現れ得る。
【0063】
あるいは、ハウジング1050は、そのような開口を備えず、そのため常にチャンバ1040を覆い得る。つまり、ハウジング1050の内部空間ひいてはチャンバ1040は、開口を通して外部から実質的に見えないということである。このことにより、チャンバ1040のいかなる部分も(少なくとも直接または簡単に)外部からアクセス不可能であるので、チャンバ1040は、特に高いレベルの保護を受ける。
【0064】
実施例では、ハウジング1050には、例えば手動で作動/停止させることができる、ハウジング1050の体積変動を防止するためのロックシステムが設けられ得る。
【0065】
ハウジング1050の1つまたは複数の構成要素は、少なくとも部分的に透明材料、例えば、透明プラスチックで作られ得る。このことにより、ハウジング1050が完全にまたは実質的にチャンバ1040を覆っている場合であっても、バイアルアダプタ1010の使用中にハウジング1050の内部を見ることが可能になる。
【0066】
ハウジング1050は、1つもしくは複数のハウジングユニットを備え得、またはそれらで構成され得、各々のハウジングユニットは、接続された内部空間を有する。各々のハウジングユニットは、可変体積を有し、可変体積のチャンバのそれぞれの部分を包囲し得る。ハウジングユニット(単数または複数)およびそれぞれのチャンバ部(単数または複数)の体積変動は、ハウジングユニット(単数または複数)およびそれぞれのチャンバ部(単数または複数)の外表面の面積変動に対応し得る。すなわち、ハウジングユニットおよびそれぞれのチャンバユニットが拡張される(それぞれ縮小される)と、ハウジングユニットおよびそれぞれのチャンバ部の外表面の面積がそれに応じて増加する(それぞれ減少する)。
【0067】
ハウジング1050および/またはチャンバ1040はそれぞれ、(例えば、本体部に対する)1つまたは複数の可動部を備え得、その移動は、ハウジング1050および/またはチャンバ1040の体積変動に対応する。ハウジング1050の1つまたは複数の可動部は、ハウジング1050の内部空間と周囲空気との間の移動境界を特に形成し得、ハウジング1050の内部空間と周囲空気との間に他の構造体および/または通気区画がない。
【0068】
ハウジング1050は、単なる重力の作用でハウジング1050が拡張しないように、ハウジング1050を縮小状態で保持するために力を加えるためのシステムを備え得る。ハウジング1050は、追加的にまたは代替的に、例えばチャンバ1040が縮んだときに、ハウジング1050が縮小状態に自然に戻るように、対抗する抵抗が無い場合にハウジング1050を縮小させる力を加えるためのシステムを備え得る。このようなシステムは、例えば、ばねを備え得る。力は、必要時のチャンバ1040の拡張を防止しない、または拡張の妨げにならない程度の小さい力であり得る。あるいは、ハウジング1050は、ハウジング1050を縮小させるためのこのようなシステムを備えず、その結果、ハウジング1050が拡張して非縮小状態になると、チャンバ1040が収縮したとしても、ハウジング1050は、前記非縮小状態のままであり得る。実施例では、ハウジング1050は、重力の作用がハウジング1050を縮小状態に戻すように保持され得る。他の実施例では、ハウジング1050は、前記重力の作用を防止する機構を備え得、その結果、(例えば、機構が手動で停止されない限り)ハウジング1050は拡張状態のまま維持される。
【0069】
チャンバ1040は、実施例では、ハウジング1050(ひいてはバイアルアダプタ1010)を拡張させるように構成され得る。換言すれば、チャンバ1040が拡張すると、例えば、チャンバ1040が膨張すると、チャンバは、ハウジング1050の実質的に全ての内部空間を占有し得る。チャンバ1040は、チャンバの拡張時に、(例えば本体部1020および/または、例えばシートのような膜に対する)1つまたは複数の可動部を備え得、これらの可動部は、ハウジング1050のそれぞれの(例えば、本体部1020および/または、例えば、ハウジング1050の壁に対する)可動部分と接触し、チャンバ1040が拡張し続けると、チャンバ1040の各々の可動部は、ハウジング1050の前記可動部を外側に向けて押圧し得る。実施例では、チャンバ1040全体は、拡張するときに移動する。ハウジング1050は、拡張して、このような押圧の際にバイアルアダプタ1010により大きな空間を占有させるように構成され得る。つまり、ハウジング1050は、そのようなチャンバに付与された拡張を妨げる抵抗を有さない。このことは、バイアルアダプタの使用の人間工学性を高める。なぜなら、バイアルアダプタ1010は、圧縮状態で提供されてバイアルに接続され、その後、使用時に人手を介さずに自動的に拡張することができるからである。代替的にまたは追加的に、ハウジング1050は手動で拡張可能であり得る。
【0070】
次に、バイアルアダプタ1010の使用例について説明する。
【0071】
バイアルアダプタ1010の使用は、最初にバイアルアダプタ1010およびバイアル1070を提供し、次いでバイアルアダプタ1010をバイアル1070に(随意選択でバイアルコンバータを介して)接続し、その後、例えば灌流および/または注入による患者への投与のために、シリンジ1090を操作して、バイアル1070からシリンジ1090内へ内容物を取り出す(すなわち、抜き取る)ことを含み得る。シリンジ1090は、その操作の前の任意の時点で、提供されてバイアルアダプタ1010に接続され得る(随意選択でシリンジアダプタ1080を介して)。取り出し前の少なくともある時点で、バイアル1070に流体内容物(例えば、液体)が充填され得る。バイアル1070に、そのような流体内容物が実質的に完全に充填され得る。バイアル1070は、1mL、10mL、もしくは20mLよりも多い、および/または500mL、200mL、もしくは100mLよりも少ない容量を有し得る。容量は、例えば、医療業界で使用されるバイアルに対して設けられた任意の標準に対応し得、例えば、1mL~200mL、例えば、50mLである。取り出しは、医療用途に応じて、1回で、あるいは数回で実施され得る。バイアルアダプタ1010は、全取り出しプロセスの間、バイアル1070に接続された状態で維持され得る。換言すれば、バイアルアダプタ1010は、バイアル1070の内容物全体が取り出されるまで、バイアル1070に接続された状態のままであり得る。このことは、ユーザの操作を容易にする。
【0072】
以下では、バイアルアダプタ1010をバイアル1070に接続する前に、バイアルアダプタ1010およびバイアル1070を最初に提供する方法の実施例について説明する。
【0073】
最初に、バイアルアダプタ1010は、流体形態(例えば、液体として)の内容物を有するバイアル1070に対して準備された状態で提供され得る。バイアル1070の内容物は、このような場合、取り出せる状態にあり得る。バイアルアダプタ1010には、例えば、最初に、チャンバ1040内に正の体積の気体が収容された状態で、例えば、ハウジング1050の最初に提供された状態で許容される最大体積の気体が収容された状態で、提供され得る。換言すれば、バイアルアダプタ1010は、チャンバ1040が収縮していない(少なくとも完全にではなく)状態で提供され得る。チャンバ1040内に最初に収容される気体は、清浄および/または滅菌された気体、例えば清浄および/または滅菌された空気であり得る。このことにより、特に、調整の準備のためにシリンジ1090で気体を注入してチャンバ1040を膨張させる必要なしに、バイアルアダプタ1010を使用してバイアル1070の内容物を直接取り出すことができる。チャンバ1040内の正の体積の気体の初期の存在は、圧力調整の準備が既になされた状態にすることによって、バイアル1010の内容物の直接使用の状況を単純化する。
【0074】
バイアルアダプタ1010は、代替的にまたは追加的に、最初に、可溶性固体形態(例えば、粉末として)の内容物を有するバイアル1070に対して準備された状態で提供され得る。バイアル1070の内容物は、このような場合、使用される前に再構成する必要があり得る。換言すれば、バイアル1070の内容物は、バイアル1070内で使用できる状態の溶液を再構成するために、シリンジ1090でバイアル1070に液体を追加する必要がある状態であり得る。バイアルアダプタ1010は、例えば、最初に、ハウジングが拡張状態とは異なる状態、例えば縮小状態で提供され得る。再構成の際に、ハウジング1050およびバイアルアダプタ1010は、再構成のためにチャンバ1040が拡張するにつれて拡張し得る。再構成後にチャンバ1040は拡張されているので、その後、チャンバ1040の内容物は、再構成された内容物をバイアル1070から後で取り出すときに圧力調整を行うことが可能であり、その結果、バイアルアダプタ1010は、再構成後にバイアル1070に接続された状態のまま維持され、その後の取り出しで使用され得る。
【0075】
バイアルアダプタ1010が最初にチャンバ1040内に正の体積の気体が収容された状態で提供される実施例では、前記体積は、バイアル容量以上の体積であり得る。チャンバ1040は、チャンバ1040を完全に(すなわち、チャンバ体積が実質的に0になるまで)収縮させることが常に可能であるように構成され得る。このような場合、チャンバ1040内に最初に収容される気体の体積は、バイアル容量に実質的に等しい体積であり得る。このことにより、バイアルアダプタ1010の空間を最適化することができる。特に、バイアルアダプタ1010は、最初に、チャンバ1040がハウジング1050の内部空間を完全に占有している状態で、提供され得る。このような状態は、縮小状態であり得る。このことにより、空間が最適化されると同時に、バイアル1070の内容物の直接使用が簡単になる。
【0076】
バイアルアダプタ1010が、最初に、拡張状態とは異なる状態、例えば圧縮状態で提供される実施例では、バイアルアダプタ1010は、チャンバ1040が使用中(例えば、再構成中)に、バイアル容量以上の体積の気体(例えば、もしあれば、最初に入れられている気体の体積に加えて)を受容するように構成され得る。この気体の受容可能な体積は、バイアル容量に実質的に等しい体積であり得る。このことにより、空間が最適化されると同時に、必要に応じてバイアル1070を充填するためにバイアル内容物を再構成することができる。
【0077】
実施例では、バイアルアダプタ1010は、最初に流体形態の内容物が入れられたバイアル、および最初に可溶性固体形態の内容物が入れられたバイアルの両方と共に使用されるように最初に準備された状態で提供され得る。バイアルアダプタ1010は、最初に、圧縮状態で、かつ圧縮状態で許容される最大体積の清浄および/または滅菌された気体がチャンバ1040に収容された状態で提供され得る。前記気体の体積は、例えば、医療業界で使用されるバイアルに対して設けられた任意の標準(例えば、1mL、10mL、もしくは20mLより大きい、および/または500mL未満、200mL未満、もしくは100mL未満、例えば、1mL~200mL、例えば、50mLに等しい)に対応する、任意の所定のバイアル容量以上の体積であり得る。バイアルアダプタ1010は、ハウジング1050が拡張されたときにハウジング体積が少なくとも2倍になり、その結果、チャンバ体積も少なくとも2倍になるようにさらに構成され得る。このようなバイアルアダプタ1010は、最初に提供されるときに空間を最適化すると同時に、両方のタイプのバイアルと共に使用され得る。圧縮状態は、対応する最大チャンバ体積がバイアル容量の1.5倍または1.1倍未満であり、例えば、実質的にバイアル体積に等しい状態であり得る。代替的にまたは追加的に、拡張状態は、対応する最大チャンバ体積がバイアル体積の2.5倍または2.1倍未満であり、例えば、実質的にバイアル体積の2倍に等しい状態であり得る。このことにより、所定のバイアル容量に対してハウジングを不必要に大幅な圧縮状態および/または拡張状態にしないことによって、前記所定のバイアル容量に対して空間をさらに最適化することができる。
【0078】
バイアルアダプタ1010は、最初に、パッケージ、例えば密封パッケージに入れて提供され得る。バイアルアダプタ1010およびチャンバ1040内またはパッケージ内に収容される気体は、包装前に清浄および/または滅菌され得る。バイアルアダプタ1010は、このような場合、パッケージから取り出され、上述の使用例のいずれかのためにバイアル1070に接続され得る。
【0079】
清浄気体は、気体が無菌気体に分類され、関連する権限および/または任意の規格によって容認されるような程度まで、粒子および/または生存可能な微生物を除去するためにフィルタによって濾過された気体である。純度は、気体の所与の流量に対してフィルタを通過させることが可能な最大粒子で表すことができる。実施例では、5μmを超える粒径を有する粒子は、清浄された気体中に存在することができない、またはほとんど存在することができない。しかしながら、許容される粒径は、現在の用途における要件によって決定される。いくつかの薬剤治療では、0.15μmを超える粒径を有する実質的に全ての粒子が高性能フィルタ(particulate air filter)によって気体から除去される必要がある。一実施例として、メッシュサイズ0.2μmのフィルタを使用して、そのサイズまたはそれより大きい実質的に全ての粒子および微生物を除去することができる。滅菌気体は、生存可能な微生物を除去するための滅菌方法で滅菌された気体である。滅菌方法は、当技術分野で周知の標準的な方法であり得る。例えば、「無菌」と指定される医療デバイスに対する欧州における現行の規制は、標準「ETO:ISO11135:2014」および「ETO/ECH:ISO10993-7:2008」に示されている。他の国では他の規制が存在し得る。滅菌は、エチレンオキシド滅菌、照射による滅菌、または(湿熱)加熱滅菌、または任意の他の容認された方法であり得る。欧州標準要件は、滅菌デバイス上/内に存在する生存可能な微生物が存在する理論的確率が、1×10-6以下であるべきであることを示唆している。気体が滅菌される場合、上述したように清浄プロセスに従って気体を清浄する必要が必ずしもないが、このような清浄および滅菌を組み合わせることができる。しかしながら、必要に応じて気体から粒子を除去するために他の方法が使用されてもよく、または滅菌プロセス自体が、気体を清浄気体かつ滅菌気体と考えられる状態にするのに十分であり得る。
【0080】
実施例では、バイアルアダプタ1010は、上述したように、すなわち、拡張状態とは異なる状態、例えば圧縮状態で、および/または、チャンバ1040内に正の体積の清浄ならびに/もしくは気体が収容されている状態で、例えば、圧縮状態で許容される最大体積の気体が収容されている状態で、包装され得る(したがって、パッケージから取り出されたときに現れる)。バイアルアダプタ1010および/またはパッケージは、実施例では、バイアル容量を示す(およびバイアルアダプタ1010が使用されることが意図される最大バイアル容量に対応する)情報(例えば、文字を含む刻印)をさらに含み得る。このような場合、前述したように、チャンバ1040内に最初に収容される気体の体積は、実質的に前記表示されているバイアル容量以上であり得、および/またはバイアルアダプタ1010は、使用中に(例えば、再構成中に)チャンバ1040が実質的に前記表示されているバイアル容量以上の体積の気体を受容するように構成され得る。このことにより、使用者にとってバイアルアダプタ1010の操作がより人間工学的なものになる。
【0081】
実施例では、本体部1020のバイアル接続ポート1022は、少なくとも拡張状態とは異なる状態、例えば圧縮状態で、バイアルアダプタ1010上に突出部を形成し得る。突出部は、バイアル接続軸に沿って延在し得る。このことにより、バイアルアダプタ1010がこのような状態にあるときにバイアル1070への接続が簡単になる。あるいは、バイアル接続ポート1022は、このような突出部を形成しない場合がある。このことにより、特に圧縮状態において、バイアルアダプタ1010を比較的さらにコンパクトにすることができる。
【0082】
次に、バイアルアダプタの異なる実施例について説明する。
【0083】
チャンバ1040は、少なくとも1つの可撓性および/または弾性部分を備えるか、または少なくとも1つの可撓性および/または弾性部分で構成され得る。このような部分は、チャンバ体積を画定する可撓性および/または弾性材料で作られ得る。チャンバ1040は、膨張可能な/収縮可能なバルーンを形成し得、および/または膨張可能な/収縮可能な体積を画定する折り畳み可能なブラダもしくはダイヤフラムを備え得る。このような場合、このような実施例ではチャンバ1040は比較的壊れやすいので、ハウジング1050の存在は特に意味がある。
【0084】
「可撓性」材料とは、折り畳まれるように変形させることができる材料を意味する。したがって、チャンバ1040は、特にハウジング1050が圧縮状態にあるときに折り畳まれる、少なくとも1つの折り畳み可能な部分を備え得る。折り畳み可能な部分は、折り畳み可能な材料で作られ得る。剛性材料または半剛性材料とは対照的に、可撓性材料は、大きく(すなわち、わずかではなく)、例えば少なくとも10°または45°より大きく、折り畳まれ得る表面を形成し得る。「弾性」材料とは、力の印加によって変形可能であり、力の印加が停止されたときに元の形状に戻ろうとする材料を意味する。チャンバ1040の可撓性および/または弾性部分は、チャンバ1040がチャンバの体積変動に応じて拡張または縮小するにつれて変形され得る。
【0085】
可撓性および/または弾性部分は、少なくとも1枚のシートを備え得る。シートは、単一の材料層、または複数の材料層の積層体を含み得る。シートは、製造が比較的容易である。シートは、特に、真空形成され得る。換言すれば、(例えば、プラスチック製)平面シートを提供し、シートを適切な金型で真空成形し(例えば、真空成形機内の金型上に平面シートを配置し、平面シートを加熱し、および/または空気を圧送することを含む)、その後、随意選択で、シート上で1つまたは複数の穴を開けることによって、シートは3D表面形状にされ得る。
【0086】
さらに、チャンバ1040は、バイアルアダプタの1つまたは複数の他の構成要素に溶接され得る。したがって、チャンバ1040は、他の構成要素と一体形成されないが、後で他の構成要素に組み付けられ得る。溶接により気密性が確保される。チャンバ1040がシートを備える場合、このような溶接は、シートの縁部において比較的容易に行われ得る。シートは、例えば、このような溶接に適した周辺領域(例えば、リムのような周縁部)を含む別の構成要素の周辺に溶接される少なくとも1つの周縁部を含み得る。シートの縁部の別の物体への溶接は、補強要素(例えば、シートの円形周縁部に使用される補強リング)のような中間要素を介して行われ得る。したがって、シートの使用は、バイアルアダプタ1010の製造をさらに容易にする。
【0087】
可撓性および/または弾性部分は、特に、溶接された2枚のシートを含み得る、またはそれらで構成され得る。シートは、それぞれの縁部で溶接され得る。このことにより、チャンバ1040に対する拡張方向を事前に規定することが可能であり、1枚のシートの場合には、反転動作は回避される。実施例では、2枚のシートはそれぞれ、略環状形状(すなわち、環帯にトポロジー的に等価な2次元のマニホールド形状)を有し得る。このような環状形状は、製造が特に容易である。2枚のシートはさらに、それぞれの外縁部と互いに重ね合わせられ得るようなサイズであり得る。このようにして、2枚のシートは、それぞれの外縁部で溶接され得る。次いで、2枚のシートの自由内縁部は、バイアルアダプタ1010の1つまたは複数の他の部品に溶接され得る。環状形状の縁部は、周縁部であり得、および/またはリング形状を有し得る。各々のこのようなリング形状の溶接は、補強リングを介して行われ得る。このとき、2枚のシート間の空間は、チャンバ1040の内部空間を構成する。このような製造は、比較的容易に行うことができる。
【0088】
チャンバ1040は、一般に、拡開、展開、拡張、縮小、膨張、収縮、圧縮、および/または伸張するように構成され得る。チャンバ1040は、多種多様な可撓性および/または拡張可能な材料のうちのいずれか1つを含み得る。実施例では、チャンバ1040は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、サラン、ラテックスゴム、ポリイソプレン、シリコーンゴム、ビニル、ポリウレタン、または他の材料を含み得る。実施例では、チャンバ1040は、バッグの材料、例えば、金属化二軸配向ポリエチレンテレフタレート(PETとしても周知であり、Mylar(登録商標)の商品名で市販されている)からの流体(気体または空気を含む)の漏出をさらに防止するために金属成分を有する材料を含み得る。実施例では、チャンバ1040は、積層体を備え得る。例えば、チャンバ1040は、0.36Mil(7.8#)の金属化された(例えば、アルミニウム)PETフィルムの層と、0.65Mil(9.4#)の直鎖状低密度ポリエチレンの層とから構成され得る。実施例では、チャンバ1040は、溶接される任意の材料と共に実質的に気密に封止を行うことができる材料を含み得る。実施例では、チャンバ1040は、透明であり得る、または実質的に透明であり得る。他の実施例では、チャンバ1040は、不透明であり得る。実施例では、チャンバ1040は、液体および空気に対して概ね不透過性である材料を含み得る。実施例では、チャンバ1040は、バイアル1070の意図された内容物に対して不活性な材料を含み得る。例えば、チャンバ1040は、化学療法で使用される特定の薬剤と反応しない材料を含み得る。実施例では、チャンバ1040は、約10~約40のデュロメータを有するラテックスフリーのシリコーンを含み得る。実施例では、チャンバ1040は、コーティングを備え得る。実施例では、チャンバ1040は、チャンバの多孔性を低減させるコーティングを備え得る。実施例では、コーティングは、蒸着されたアルミニウムまたは金であり得る。実施例では、コーティングは、気体の通過を妨げるバリアを形成するように構成された水溶性プラスチックを含む。実施例では、コーティングは、チャンバの外側に塗布され得る。他の実施例では、コーティングは、チャンバ1040の内側に塗布され得る。実施例では、コーティングは、チャンバ1040の内側および外側に塗布され得る。実施例では、コーティングはポリオレフィンである。
【0089】
ハウジング1050は、互いに対して、例えば一方が他方の上で摺動するように構成された少なくとも2つの部分を備え得る。摺動は、ハウジング1050の体積変動に対応し得る。換言すれば、ハウジング1050が拡張する、または縮小する(すなわち、圧縮される)と、ハウジング1050の前記少なくとも2つの部分は、それに応じて、互いに対して摺動する。逆に、ハウジング1050の前記少なくとも2つの部分が互いに対して摺動すると、ハウジング1050は、それに応じて拡張する、または縮小する。バイアルアダプタ1010をバイアル1070に接続した後、2つの摺動部分のうちの一方は、実施例では、本体部1020および/またはバイアルに対して固定され、他方は、摺動時に本体部1020および/またはバイアル1070に対して移動し得る。摺動は、並進摺動および/または回転摺動であり得る。特定の実施例では、一方の部分の少なくとも1つの面は、他方の部分の対応する面に対して摺動するように構成され得る。実施例では、面のうちの1つは、他の面の対応する1つまたは複数のガイドと協働するように構成された1つまたは複数の溝を備え得る。このようなハウジング1050は、空間を最適化する体積変動を可能にする。あるいは、ハウジング1050は、例えば蛇腹を形成する、可撓性部分を備え得る。
【0090】
摺動は、2つの構成に従って行われ得る。第1の構成は、ハウジング1050が拡張する状態に対応し、第2の構成は、ハウジング1050が圧縮される状態に対応し得る。ハウジング1050が拡張状態とは異なる状態にあるとき、チャンバ1040の拡張は、拡張状態に向かって(例えば、拡張するまで)、ハウジング1050に第1の構成の摺動を付与し得る。ハウジング1050が縮小状態/圧縮状態とは異なる状態にあり、チャンバ1040がハウジング1050の実質的に全ての内部空間を占有しない場合、第2の構成の摺動が、例えば手動で、縮小/圧縮状態に向かって(例えば、縮小/圧縮されるまで)ハウジング1050に付与され得る。
【0091】
ハウジング1050は、伸縮自在であり得る(したがって、互いに対して伸縮自在に摺動するように構成された少なくとも2つの部分を備え得る)。換言すれば、ハウジング1050は、伸縮部分を各々が備える伸縮ユニットを備え得る。各伸縮部分は、別の伸縮部分に適合するので、前述したように、これらの伸縮部分は、互いに対して(例えば、一方が他方の中へ)摺動する。これらの2つの伸縮部分は、互いに対向する一端で開口しており、チャンバが占有するのに利用可能な内部空間を画定し得る。したがって、伸縮運動は、ハウジング1050の拡張/圧縮に対応する。2つの伸縮部分は、他端で閉鎖され得る。取り付けは、スナップ嵌めによって行われ得る。
【0092】
実施例では、ハウジング1050は、カバーおよびボウルを備え得、またはカバーおよびボウルで構成され得、カバーおよびボウルはそれぞれ、協働するそれぞれの伸縮部分を含む。実施例では、ボウルの伸縮部分は、カバーの伸縮部分の中へ滑り込むように構成され得る。したがって、ハウジング1050は、コンパクトな形状を有し得る。実施例では、カバーは、固定され得、ボウルは、本体部1020および/またはバイアル1070に対して可動であり得る。ボウルは、バイアルアダプタをバイアルに接続した後、カバーとバイアルとの間に配置され得る。したがって、アセンブリは、コンパクトな形状を有し得る。
【0093】
次に、本体部1020に対するハウジング1050および/またはチャンバ1040の配置の実施例について説明する。
【0094】
ハウジング1050および/またはチャンバ1040は、バイアル接続軸を取り囲み得る。つまり、ハウジング1050の内部空間および/またはチャンバ1040の内部空間がバイアル接続軸を完全に環状に囲い込むように、ハウジング1050および/またはチャンバ1040がバイアル接続軸の周囲全体に形成されるということである。さらに換言すれば、ハウジング1050および/またはチャンバ1040は、バイアル接続軸の一部分の周辺に形成される。随意選択で、ハウジング1050、チャンバ1040、ハウジング1050の内部空間、および/またはチャンバ1040の内部空間のうちの少なくとも1つの形状は、一般に、バイアル接続軸を中心とした回転対称性を有し得る。実施例では、ハウジング1050の内部空間および/またはチャンバ1040の内部空間は、一般に、トロイド形状を有し得る。代替的にまたは追加的に、ハウジング1050、チャンバ1040、ハウジング1050の内部空間、および/またはチャンバ1040の内部空間の形状は、一般に、バイアル接続軸に対する軸対称性を有し得る。このような配置の実施例は、バイアルアダプタの主要な重量がバイアル接続軸の周囲で適切に割り当てられるので、バイアル1070への接続が比較的容易なバイアルアダプタ1010、および接続されたときに比較的均衡の取れたアセンブリを提供する。
【0095】
代替的にまたは追加的に、ハウジング1050および/またはチャンバ1040は、本体部1020の少なくとも一部分を取り囲み得る。つまり、ハウジング1050および/またはチャンバ1040は、本体部1020の前記部分の周囲全体に形成されるので、ハウジング1050の内部空間および/またはチャンバ1040の内部空間が本体部1020の前記部分を完全に環状に囲い込むということである。さらに換言すれば、ハウジング1050および/またはチャンバ1040は、本体部1020の前記部分の周辺に形成される。随意選択で、ハウジング1050、チャンバ1040、ハウジング1050の内部空間、および/またはチャンバ1040の内部空間のうちの少なくとも1つの形状は、一般に、本体部1020の前記部分の中心軸を中心とした回転対称性を有し得る。実施例では、ハウジング1050の内部空間および/またはチャンバ1040の内部空間は、一般に、トロイド形状を有し得る。代替的にまたは追加的に、ハウジング1050、チャンバ1040、ハウジング1050の内部空間、および/またはチャンバ1040の内部空間の形状は、一般に、中心軸に対する軸対称性を有し得る。このような配置の実施例は、バイアルアダプタ1010の主要な重量が本体部1020の一部分の周囲で適切に割り当てられるので、比較的コンパクトなバイアルアダプタ1010を提供する。
【0096】
次に、ハウジング1050および/またはチャンバ1040が体積変動をどのようにして実現し得るかの実施例について説明する。
【0097】
バイアルアダプタ1010は、ハウジング1050および/またはチャンバ1040がバイアル接続軸を中心として均一に容積変動を実現するように構成され得る。換言すれば、ハウジング1050および/またはチャンバ1040は拡張または縮小(すなわち、圧縮/収縮)することによって体積変動を実現するので、体積は、バイアル接続軸を中心としてほぼ均一に増加または減少する。さらに換言すれば、体積の増加または減少の空間的分布は、一般に、バイアル接続軸に対する回転対称性を有する。ハウジング1050および/またはチャンバ1040が上述したような回転対称性または軸対称性を有する場合、ハウジング1050および/またはチャンバ1040は、常に、すなわち、拡張または圧縮/収縮のいずれの状態でも、そのような対称性を有し得る。ハウジング内部空間および/またはチャンバ内部空間がトロイド形状を有する場合、バイアルアダプタ1010は、ハウジング内部空間および/またはチャンバ内部空間が常に、すなわち、ハウジング体積および/またはチャンバ体積の値がどんな値であっても、前記トロイド形状を有するように構成され得る。このような均一な変動により、体積変動中であっても、比較的コンパクトであり、常に均衡の取れたバイアルアダプタ1010になる。
【0098】
代替的にまたは追加的に、バイアルアダプタ1010は、ハウジング1050および/またはチャンバ1040が、実質的に長手方向に(すなわち、直線方向に沿って)、例えば、バイアル接続部軸に対して少なくとも実質的に平行な体積変動を実現するように構成され得る。換言すれば、ハウジング1050および/またはチャンバ1040は、少なくとも大部分が前記方向に沿って拡張または圧縮/収縮されるように構成される。特に、ハウジング1050が互いに対して摺動するように構成された部分を備える場合、少なくとも2つのそのような部分(例えば、全て)は、前記方向への相対的な摺動を実現するように構成され得る。実施例では、バイアルアダプタ1010は、垂直方向に保持されたバイアルおよびバイアルに接続されたバイアルアダプタに関して、例えば垂直方向の伸縮自在な摺動によって、垂直方向に拡張可能であり得る。このことにより、バイアル接続軸に対して角度を成した突出が回避されるので、バイアル1070への接続後は、体積変動中であっても、比較的安定したコンパクトなバイアルアダプタ1010になる。
【0099】
代替的にまたは追加的に、バイアルアダプタ1010は、ハウジング1050および/またはチャンバ1040がバイアルの方向に向かって拡張(完全に)するように構成され得る。このような向きは、バイアル1070がそのネックが上方を向いた状態で垂直方向に位置決めされたときの下方へ向かう向きであり、バイアル1070は、例えば、その内容物を再構成するためにテーブルまたは作業面上の水平支持体上に立っている。このような場合、バイアルアダプタ1010は、ハウジング1050および/またはチャンバ1040が、例えば、その内容物を取り出すために、バイアル1070が後で使用者によって扱われ、逆さまに保持された後に、再び下方に圧縮/収縮するように構成され得る。実施例では、ネックが上方を向いた状態で垂直方向に保持されたバイアルおよびバイアルに接続されたバイアルアダプタに関して、バイアルアダプタ1010は、例えば、下方に向かって伸縮自在に摺動することによって下方に向かって拡張可能であり得る。したがって、このようなバイアルアダプタ1010は、その使用の全ての段階において、十分に均衡が保たれており、特に人間工学的であり、バイアルを含むアセンブリは、コンパクトな状態のままであり、したがって、比較的操作しやすい。
【0100】
実施例では、ハウジング1050および/またはチャンバ1040は、バイアル接続軸に沿って延在する本体部1020の一部分、例えば、本体部1020の中央部分を取り囲み得る。前述したように、本体部1020は、細長い形状を有し得、その部分は、本体部1020の中心軸に沿って延在し得、この中心軸はさらに、バイアル接続軸を画定する。このような場合、ハウジング1050および/またはチャンバ1040は、前述したように、本体部1020の少なくとも一部分を取り囲み得、例えば、少なくとも本体部1020の中央部分の周辺に存在し得る。随意選択で、ハウジング1050の内部空間および/またはチャンバ1040の内部空間は、一般に、例えば、実質的に常に、トロイド形状を有し得る。バイアルアダプタ1010は、中心軸に沿って延在する中央通路をさらに備え得、本体部の少なくとも一部分(例えば、中央部分を含む)は、中央通路内に配置され得、すなわち、中心軸に沿って中央通路内に挿入または格納され、例えば、圧入および/またはスナップ嵌めされ得る。ハウジング1050は、ボウルおよびカバーで構成され得る。ボウルおよびカバーはそれぞれ、バイアル接続軸に沿って延在し、バイアル接続軸を取り囲む、それぞれの伸縮部分を備え得る。ハウジング1050および/またはチャンバ1040の拡張は、バイアル1070に向かって行われ得る。このことにより、例えば、本体部1020の周囲に形成された略コンパクトな回転形状を有し、本体部1020のバイアル1070へ向かう方向に長手方向に拡張可能である、特にコンパクトで人間工学的なバイアルアダプタ1010になる。
【0101】
このような実施例において、伸縮部分の内部空間は、ハウジング1050の内部空間を形成し得る。伸縮部分はそれぞれ、内部空間と周囲空気との間の境界を画定するそれぞれの外壁を備え得る。随意選択で、一方または両方の伸縮部分は、内部空間と中央通路との間の境界を画定するそれぞれの外壁をさらに備え得る。あるいは、内部空間は、本体部自体によって画定され得る。それぞれの外壁は、互いに対して摺動するように構成され得る。随意選択の内壁は、互いに対して摺動するように構成され得る。伸縮部分は、バイアル接続部軸に対して平行に、互いに対して並進摺動するように構成され得る。一方または両方の伸縮部分が内壁を備える場合、中央通路は、前記内壁によって画定された空間内に存在し得る。
【0102】
次に、本体部1020とハウジング1050および/またはチャンバ1040との間の協働の実施例について説明する。
【0103】
本体部1020は、圧入および/またはスナップ嵌めによって、バイアルアダプタ1010内に組み付けられ得る。中央通路について言えば、本体部1020は、中央通路の内部に圧入ならびに/もしくはスナップ嵌めされ得、または別の構成要素に圧入ならびに/もしくはスナップ嵌めされ、その後、例えば、前記他の構成要素に再び圧入および/またはスナップ嵌めすることによって、中央通路の内部に挿入され得る。したがって、本体部1020およびハウジング1050は、別個の(すなわち、一体形成されていない)構成要素であり得る。さらに、ハウジング1050がカバーおよびボウルを備える場合、カバーは、ボウルに嵌合および/またはスナップ嵌めされ得、例えば、ボウルは、カバーの内部に、またはその逆の形で嵌め込まれ得る。このようなスナップ嵌めは、カバーに対するボウルの摺動を依然として可能にするように構成され得る。カバーおよびボウルは、互いに対してスナップ嵌めされ、スナップ嵌めされた後に互いに対して摺動するように構成されたそれぞれの伸縮部分を備え得る。スナップ嵌めステップは、簡単な製造を可能にする。チャンバ1040は、気密性を確保するために、例えば前述したように、溶接によって組み立てられ得る。
【0104】
バイアルアダプタ1010は、本体部1020の中央部分とは別個の結合部を備え得る。結合部は、バイアルアダプタ1010内への本体部1020の組み付けを可能にするバイアルアダプタ1010の構造体(例えば、ハウジング1050)である。バイアルアダプタ1010は、中央部分に形成され、(水平面上で支持されると考えられるバイアル1070に対して)調整通路1028の上端1282を画定する開口部を備え得る。このような場合に、結合部は調整ポートを含み得、バイアルアダプタ1010は、調整ポートと上方調整通路開口部1282との間および調整ポートとチャンバ1040との間で、それぞれの流体経路を設けることによって流体連通を確立するように構成される。結合部は、実施例では、本体部1020とは完全に別個のものであり得る。代替の実施例では、結合部は、本体部1020の一部(中央部分を含まない)と一体形成され得る。
【0105】
結合部は、調整通路1028とチャンバ1040との間の中間部分を構成する。結合部は、特に、アクセス通路1026と調整通路1028とを完全に一体化し得る本体部の少なくとも1つの部品とは別個のものであり得る。このような部品は、通路が特に注意して形成される必要があるため、製造するのが比較的複雑である。したがって、このような製造は、むしろ、専らこのような部品を対象とするものであり得、どんな結合も考慮に入れられない。
【0106】
結合部は、単一の一体形成された構成要素、または剛性ならびに/もしくは半剛性材料製のいくつかの一体形成された構成要素を備え得る、またはそれらで構成され得る。結合部は、例えば、成形または射出成形された、例えば、プラスチック製の1つまたは複数の構成要素を備え得る、またはそれらで構成され得る。調整ポートは、このような材料で作られた結合部の壁に形成され得る。調整ポートは、実施例では、5mmを下回る直径の1つまたは複数の開口で構成され得る。
【0107】
実施例では、結合部は通路を形成し得、本体部の中央部分は、例えば圧入および/またはスナップ嵌めによって、通路内に挿入され、および/または嵌合され得る。実施例では、中央部分は、通路を形成する結合部の任意の1つまたは複数の構成要素に圧入および/またはスナップ嵌めされ得る。結合部は、特に、通路(スリーブの内部に)を形成するスリーブ部を含み得、本体部1020の中央部分は、前記スリーブ部の内部に挿入され得る。バイアル接続ポート1022およびシリンジ接続ポート1024は、スリーブ部の対向する端部に配置され得る。本体部1020は、細長い形状を有し、例えば、本体部1020の中央部分がスリーブ部の内部で維持されるように、圧入および/またはスナップ嵌めされるまで、前述したようにシリンジ接続ポート1022を介してスリーブ部の内部に挿入され得る。実施例では、中央部分は、スリーブ部に圧入および/またはスナップ嵌めされ得る。このような挿入は、製造中に、スリーブ部が形成された後に行われ得る。本体部1020の中央部分は、組み立てられた後に、スリーブ部によって取り囲まれ得る。実施例では、スリーブ部および本体部1020は、略角柱(例えば、円筒形)の形状であり得る。
【0108】
チャンバ1040は、バイアルアダプタ1010の本体部1020の周辺の領域で溶接され得る。このことにより、本体部1020の中心軸を中心としてチャンバ1040の比較的均一な膨張/収縮が可能になる。チャンバ1040は、実施例では、それぞれがバイアルアダプタの本体部1020の周辺のそれぞれの領域で溶接された2つの周縁部を備え得る。2つの周辺溶接領域は、それらの間に、(例えば、環状形状を有する)周辺チャンバゲートを形成し得る。チャンバゲートは本体部1020の周辺にあるので、気体は、均一な膨張/収縮を可能にするために、本体部1020を取り囲むチャンバ1040内のチャンバゲートを通って本体部1020全体を通過する。
【0109】
バイアルアダプタ1010がスリーブ部を含む結合部を備える場合、チャンバ1040は、スリーブ部を取り囲むようにスリーブ部の周辺の領域で溶接され得る。実施例では、チャンバ1040は、少なくとも部分的に結合部に溶接され得る。他の実施例では、チャンバ1040は、スリーブ部の周辺の領域において他の構成要素(例えば、カバー)に溶接され得る。
【0110】
チャンバ1040の第1の周縁部は、例えば、結合部に溶接され得、チャンバ1040の第2の周縁部は、結合部またはハウジング1050の任意の他の領域、例えば、カバーの任意の領域に、溶接され得る。
【0111】
チャンバ1040の第1の周縁部が結合部の周壁に溶接される場合、前記周壁は、実施例では、カバーの伸縮部分の内壁を形成し得る。特に、バイアルアダプタ1010は、内壁の縁部とカバーとの間の通気路を備え得る。そのような場合の実施例では、チャンバ1040の第1の周縁部は、カバーの内壁のこのような通気路画定縁部上に溶接され得る。このことにより、チャンバ1040が占有するハウジング1050の内部空間が最大になる。
【0112】
チャンバ1040の第2の周縁部は、結合部の別の領域で、例えば、スリーブ部に一体形成されたまたは溶接された結合部の領域(例えば、縁部)で、またはスリーブ部に一体形成されたハウジングの任意の領域で溶接され得る。このことにより、結合部の構成要素のハウジング1050への溶接を回避することができる。代替の実施例では、第2の周縁部は、スリーブ部とは別個のハウジング1050の領域で溶接され得、その場合、バイアルアダプタ1010は、気密性を確保するために、スリーブ部とハウジング1050との間の溶接を含み得る。
【0113】
結合部の調整ポートおよび調整通路1028の上方調整通路開口部1282は、実施例では、互いに対向し得る。結合部がスリーブ部を備え、本体部が細長い形状を有し、スリーブ部の内部に挿入される場合、チャンバ1040は、前記スリーブ部の周辺に存在し、したがって本体部1020の周辺に存在し得る。調整ポートは、本体部1020の周壁、例えば、本体部1020の中央部分の周壁と協働するスリーブ部の内壁に形成され得る。上方調整通路開口部1282は、前記周壁上に、および/または調整ポートに対向して形成され得る。
【0114】
バイアルアダプタ1010は、実施例では、調整通路とチャンバ1040との間に配置された1つまたは複数のフィルタをさらに備え得る。1つまたは複数のフィルタは、調整通路とチャンバ1040との間のいずれかの場所に、例えば、上方調整通路開口部1282、調整ポート、および/またはハウジングに形成されチャンバと流体連通する別のポートに配置され得る。フィルタは、任意のそのような開口部またはポートに接触して、例えば、チャンバ側に配置され得る。フィルタは、チャンバ1040と調整通路1028との間で伝達される空気を清浄化し、および/または液体の通過を少なくとも低減することができる。
【0115】
実施例では、フィルタは、例えば、接着剤もしくはスナップリングによって、化学的または機械的に保持され得る、または溶接され得る。バイアルアダプタ1010の特定の実施例は、複数のフィルタを含む。いくつかの実施例では、フィルタは、一般に、気体を通過させることができるが、液体の通過を阻止または防止するように構成された疎水性膜である。いくつかの実施例では、気体(例えば、滅菌された空気)は、ビアとバッグとの間を移動するためにフィルタを通過することができるが、バイアルからの液体は、フィルタによって遮断される。したがって、フィルタを含むアダプタの実施例は、バイアルアダプタが取り外されたとしても、バイアルから液体が漏れる可能性を低減することができる。実施例では、フィルタは、フィルタを通過する気体から粒子および/または汚染物質を除去することができる。例えば、実施例では、フィルタは、直径が0.3μmの浮遊微小粒子のほぼ全てまたは約99.9%を除去するように構成され得る。いくつかの実施例では、フィルタは、微生物を除去するように構成され得る。実施例では、フィルタは、ナイロン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、または他のプラスチックを含む。いくつかの実施例では、フィルタは、活性炭素、例えば活性炭を含む。特定の構成では、フィルタは、規則的またはランダムに配置された繊維、例えば、ガラス繊維のマットを備える。いくつかの構成では、フィルタは、Gortex(登録商標)材料またはTeflon(登録商標)材料を含む。
【0116】
上方調整通路開口部1282は、本体部1020の壁、例えば、本体部1020の中央部分の周壁に形成され得る。バイアルアダプタ1010は、前記壁に接触して配置され、結合部の調整ポートと上方調整通路開口部1282との間の流体連通の気密性を確保するシール部材を備え得る。本体部1020の壁および結合部は、別個の構成要素上に形成されるか、または別個の構成要素によって形成される。本体部1020は、例えば、結合部1020とは別個の1つまたは複数の構成要素を備え得る、またはそれらで構成され得る。この場合、本体部1020および結合部は、結合部の調整ポートと上方調整通路開口部1282との間の流体連通が気密になるように組み付けられ得る。シール部材は、製造の観点から、特に、本体部の壁と結合部の壁とを溶接してそれらの間に密閉通路を形成するような溶接作業と比較して、上記の組み付けの簡単な方法を提供する。このような溶接は、アクセスが困難な領域では特に複雑である。シール部材は、アセンブリの残りの部分とは別個であり、および/または任意の機械的接続ならびに/もしくは溶接なしにアセンブリの残りの部分に組み付けられる、1つまたは複数の一体形成された構成要素を備え得る、またはそれらで構成され得る。
【0117】
調整通路開口部1282が形成される壁は、結合部と協働し、例えば、結合部に対して相補的な形状を有し得る(例えば、中央部分は結合部のスリーブ部の内部に嵌め込まれる)。シール部材は、そのような場合、壁および結合部に接触して配置され得る。結合部がスリーブ部を含み、本体部1020が細長い形状を有し、スリーブ部の内部に挿入される(例えば、嵌め込まれる)場合、シール部材は、本体部1020の周壁とスリーブ部の内面とによって挟まれ得る、あるいは、本体部1020の周壁、スリーブ部の縁部、および1つまたは複数の他の構成要素によって挟まれ得る。
【0118】
シール部材は、エラストマー材料(例えば、ゴム)のような弾性材料を含み得る。シール部材は、このような実施例では、本体部の周壁およびバイアルアダプタの1つまたは複数の構成要素に押し付けられて、これらによって押圧され得る。このような押圧により、気密性が確保される。シール部材は、本体部1020と、開口部1282および調整ポートと流体連通している結合部との間に気密な間隙空間を形成するように構成され得、間隙空間は、構成要素の壁および押圧される弾性材料によって気密に画定される。したがって、押圧により、間隙空間の気密性が確保され、ひいては、調整通路開口部1282と調整ポートとが気密な流体連通状態になる。
【0119】
シール部材は、1つまたは複数のリングを備え得る。調整通路開口部1282を備える本体部の一部分が略円筒形の形状を有する場合、本体部の前記部分は、気密嵌合によってそのようなリング(単数または複数)に容易に挿入され得る。シール部材は、ゴムリングまたは1つまたは複数のOリング、例えば、一対のOリングを備え得る、またはこれらで構成され得、Oリングは、オーバーモールドされてもよいし、オーバーモールドされなくてもよい。本体部は、それに応じて、1つまたは複数の溝、例えば、Oリングを埋め込むように構成された溝を備え得る。調整通路開口部1282が調整ポートと対向している場合、シール部材は、調整通路開口部1282の両側に配置されたOリングを備え得る。シール部材がゴムリングを備える場合、前記ゴムリングは、調整通路開口部1282の周囲に配置され、かつ、調整通路開口部1282からゴムリングを押圧する構成要素と協働する調整ポートへと流体を案内するように構成された凹部および/または通路を備え得る。
【0120】
バイアルアダプタ1010は、調整通路開口部1282と調整ポートとの間に配置されたダクト部材を備え得る。ダクト部材は、調整通路開口部1282および/または調整ポートの直径よりも小さい直径を有する少なくとも一部を備え得る。したがって、ダクト部材は、調整通路開口部の前記直径を減少させ、ひいては流体の流れを低減するための手段を形成し得る。これは、製造の観点から比較的低いコストで行われる。後でダクト部材によって小さくされる比較的大きな調整通路開口部および/または調整ポートの製造は、実際には、最初に比較的小さい調整通路開口部1282および/または調整ポートを製造するよりも簡単であり得る。
【0121】
ダクト部材は、具体的には、調整通路開口部1282に接触して配置され、および/または調整通路の内部に差し込まれ、前記調整通路開口部1282の直径を減少させ得る。このことにより、間隙空間内の流れを低減することができ、その結果、シール部材の不具合および漏れのリスクを低減することができる。
【0122】
実施例では、ダクト部材は、シール部材と一体形成され得る。したがって、シール部材およびダクト部材は、単一の部品を形成し得る。特に、シール部材は、一対のオーバーモールドされたOリングを備え得、オーバーモールドは、2つのOリングを接続し、さらにOリング間のダクト部材を形成する。このことにより、オーバーモールドされたOリングは1動作で本体部1020に組み付けられ得るので、バイアルアダプタ1010の組み立てが簡単になる。ゴムリングの場合、ゴムリング内の通路がこのようなダクト部材として機能し得る。
【0123】
バイアルアダプタ1010は、調整通路1028とチャンバとの間に調整区画をさらに備え得る。調整区画は、気体が循環し得る調整通路1028とチャンバ1040との間の中間室を構成する。このことにより、チャンバの膨張/収縮の均一性が向上し得る。調整区画は、本体部の周辺に形成され得る。調整区画は、調整通路1028の体積よりも大きい体積を有し得る。調整区画は、例えば、結合部および/またはハウジング1050によって、調整ポートとチャンバ1040との間に形成され得る。調整区画は、例えば、トロイド形状を有し、および/またはスリーブ部を取り囲み得る。調整区画は、実施例では、チャンバ1040とスリーブ部との間、例えば、スリーブ部とカバーの伸縮部分の内壁との間に形成され得る。代替の実施例では、調整区画は、カバーの内側に形成され得る。
【0124】
結合部は、実施例では、カバーの少なくとも一部とは別個の結合ユニットを備え得る。結合ユニットは、スリーブ部を形成する内壁と、前述したように、内壁の縁部とカバーとの間の通気路を有するカバーの伸縮部分の内壁を形成する外壁とを備え得る。実施例では、スリーブ部および外壁は、実質的に同心であり、本体部の中心軸を中心とし得る。チャンバの第1の周縁部は、例えば、結合ユニットの外壁に(例えば、通気路画定縁部に)溶接され得、チャンバ1040の第2の周縁部は、スリーブ部に(例えば、スリーブ部の縁部に)溶接され得る。チャンバゲートは、チャンバ1040の2つの周縁部によって画定された環状形状を有し得、この環状形状は、例えば、通気路画定縁部およびスリーブ部の縁部によって画定される空間に対応する。調整区画は、スリーブ部と、結合ユニットの外壁と、前記スリーブ部と前記外壁とを接続する結合ユニットの別の壁との間に形成され得る。このような結合ユニットは、チャンバ1040が結合ユニットに容易に溶接され得、得られたアセンブリが、実施例では、後で、例えば、嵌合、圧入および/またはスナップ嵌めによって、本体部およびハウジング1050(の残りの部分)に組み付けられるので、特に簡単な製造を可能にする。
【0125】
次に、
図2~
図67を参照しながら、バイアルアダプタの実施例について説明する。
【0126】
図2~
図17は、バイアルアダプタ10bおよびその構成要素の一例を示す。
【0127】
図2を参照すると、バイアル接続軸を画定する中心軸Aに沿ったバイアルアダプタ10bの分解組立図が示されている。バイアルアダプタ10bは、ボウル52と、本体部20と、本体結合部材60bと本体部20との間に配置されるシール部材を形成するOリング32bと、ハウジング結合部材62と、ハウジング結合部材62の内部に配置されたフィルタ65と、チャンバ40と、カバー56と、着脱可能なキャップ59とを備える。チャンバ40は、拡張可能および/または縮小可能であり、気体および/または液体に対して不透過性である。ボウル52、カバー56は、ハウジング結合部材62と協働して、伸縮自在であり、ケーシングチャンバ40のために構成された拡張可能なハウジングを形成する。各々の構成要素は、最初に、または製造中に使用される任意の時点で、予備成形(例えば、射出成形のように成形)された状態で提供され得る。次いで、構成要素は、概ね軸Aに沿って組み立てられる。実施例では、全ての構成要素は、製造中に、例えば、チャンバ40およびフィルタ65を除いて、および/またはアクセスが困難な領域での溶接作業をほとんどせずに、組み立てられ得る。
【0128】
さらに
図2を参照すると、本体部結合部材60b、ハウジング結合部材62、およびフィルタ65は、本体部20とチャンバ40との間の中間構造体として機能する結合ユニット63bを形成する。結合ユニット63bのユニットは、本体部20とは完全に別個のものである。また、本体部結合部材60bとハウジング結合部材62とは、別個の構成要素である。しかしながら、以下の説明は、結合ユニットの一部が他の構成要素と一体形成されている、例えば、ハウジング結合部材がハウジングのカバーと一体形成される、および/または本体部結合部材とハウジング結合部材とが一体形成される、代替の実施例にも適用され得る。
【0129】
【0130】
図3および
図4を参照すると、ボウル52は、(ハウジング結合部材62の外側周壁584に対して摺動するように構成された)内側周壁544を備える伸縮部分54を備える。ボウル52はさらに、カバー56の外側周壁582に対して摺動するように構成された外側周壁542を備える。ボウル52は、底部522をさらに備え、カバー56は、ハウジングの内部空間51を閉鎖し、チャンバ40を完全に覆うように、頂部588を備える。頂部588は、縁部586を備える。カバー56は、外壁582の内面に形成され、ボウル52の外壁542の外面に形成された図示されていない溝と協働するように構成された長手方向ガイド589を備える。ボウル52およびカバー56は、スナップ嵌めによって組み付けられるように構成され得る。
【0131】
図5および
図6を参照すると、カバー56は、縁部586によって画定された中央通路585を形成し、ボウル52は、内壁545によって画定された中央通路545を形成する。中央通路545、585は、例えば、スナップ嵌めによって、本体部20と結合ユニット63bとのアセンブリを格納するように構成される。
【0132】
【0133】
図7を参照すると、チャンバ40は、外縁部45および内縁部46、48を有する2つの環状の可撓性/折り畳み可能なシート42、44を備える。縁部45、46、48は、溶接されるそれぞれの領域に対応するように寸法決めされたリング形状を有する。外縁部45は、同じ寸法を有し、溶接され得る。
【0134】
【0135】
図8および
図9を参照すると、本体部20は、バイアル接続ポート22およびシリンジ接続ポート24を備える。バイアル接続ポート22は、本体部20の中心軸Aを中心としたドッキング構造体225を備える。バイアル接続ポート22は、軸Aに沿って延在する一体形成されたスパイク23をさらに備える。スパイク23は、バイアルセプタムを穿刺するための尖った先端232を備える。シリンジ接続ポート24は、開口部244を備える。開口部244は、軸Aを中心とした本体部20の管状部材242の先端に形成される。ドッキング構造体225と開口部244とは、軸Aの反対方向に配向される。したがって、本体部20は、スパイク23でバイアルのセプタムを穿刺するために中心軸Aに沿ってバイアル接続ポート22のドッキング構造体225の内部にバイアルネックまたはバイアルコンバータを差し込むことによってバイアルネックまたはバイアルコンバータにバイアルアダプタ10bを装着することができ、(例えば、その後)同じ軸Aに沿ってシリンジアダプタをシリンジ接続ポート24に装着することができる。
【0136】
さらに
図8および
図9を参照すると、バイアル接続ポート22は、軸Aに対して実質的に平行に延在する周壁222を備える。周壁222は、ドッキング構造体225を画定し、ドッキング構造体225の入口を画定するリム226を有する。ドッキング構造体225は、略円筒形状を有する。周壁222は、軸Aに向かって内側へ延在し、かつ、ドッキング構造体225内部にバイアルネックまたはバイアルコンバータを取り付け、および/またはスナップ嵌めするように構成されたクランプ224を備える。周壁222はさらに、スナップ嵌めを容易にする、半径方向に横断する凹部228を有する。他の構成が想定されてもよい。例えば、本体部は、ドッキング構造体を画定する脚部を形成し、リムを有さないいくつかの周壁を備え得る。
【0137】
図10および
図11を参照すると、スパイク23は、アクセス通路26および調整通路28を形成するいくつかのルーメンを備える。開口部244は、軸Aを中心とする本体部20の管状部材242の先端に形成され、アクセス通路26の末端を画定する。アクセス通路26は、実質的に直線状であり、シリンジ接続ポート24の開口部244とスパイク23の先端232との間で実質的に軸Aに沿って延在する。スパイク23は、アクセス通路26の末端部と調整通路28の末端部とを一体化する。スパイク23がバイアルのセプタムを穿刺したときに通路26、28とバイアルとの間の流体連通を可能にするように、調整通路28は、スパイク23の先端232にそれぞれの開口部288を形成し、アクセス通路26は、スパイク23の先端232にそれぞれの開口部268を形成する。調整通路28は、バイアル接続ポート22から、本体部20の中央部分30の周壁31上に形成された1つの調整通路開口部282へと延在する。開口部282は、調整通路の末端を画定する。調整通路28の第1の直線部分286は、スパイク23の先端232から実質的に軸Aに沿って、アクセス通路26の第1の直線部分266の脇に延在する。調整通路286はさらに、中央部分30の壁31に向かって延在する中央部分30内の第2の部分284を有するが、アクセス通路26は、シリンジ接続ポート24まで軸Aに沿って第2の直線部分267へと続く。第2の部分284は、第1の部分286と実質的に直角をなす。
【0138】
さらに
図10および
図11を参照すると、本体部20は、3つの部分、すなわち、バイアル接続ポート22を形成する末端部分、シリンジ接続ポート24を形成する別の末端部分、およびそれらの間の中央部分30で構成される。本体部20は、細長い形状を呈し、その部分は、バイアル接続軸を画定する直線中心軸Aに沿って延在する。本体部20の全ての部分は、略角柱(例えば、円筒形)の外形を有する。したがって、本体部20は、製造が比較的簡単であり、比較的コンパクトである。中央部分30およびシリンジ接続ポート24の部分は、バイアル接続ポート22の部分の直径よりも小さい直径を有する。したがって、本体部20は、コンパクトであり、一般に、バイアル接続ポート22からシリンジ接続ポート24に向かって次第に細くなる細長い形状を有する。このことにより、管状部材242を本体部結合部材60bのスリーブ部分の内部へ滑り込ませることができる。
【0139】
さらに
図10および
図11を参照すると、本体部20は、一対のOリング32bのそれぞれを埋め込むように構成された周辺溝33bをさらに備える。Oリング32bは、調整ポートと調整通路開口部282との間の流体連通の気密性を確保するシール部材を構成する。
【0140】
【0141】
図12を参照すると、本体部結合部材60bは、中央通路61に挿入および嵌合される(例えば、圧入および/またはスナップ嵌めされる)略円筒形状の本体部20の中央部分30に対する略円筒形状の中央通路61を形成する。本体部結合部材60bは、中央通路61を形成する(すなわち、画定する)管状のスリーブ部602を含む。本体部結合部材60bは、プレート605とスリーブ部602との間に形成された周辺リング角部611上に配置された調整ポート66を含む。調整ポート66は、中央通路61側の本体部20の調整通路28と流体連通し得る。例えば、調整通路28と調整ポート66との間の流体連通を確立するために、中央通路61の直径は、調整通路が形成され得る中央部分30の直径を上回る(例えば、10%大きい)ように構成され得る。
【0142】
図13を参照すると、本体部結合部材60bは、スリーブ部602が終端するリム縁部609を含む。結合スリーブ部材60bのスリーブ部602は、溶接を容易にするためにリム縁部609に凹部608を備える。本体部結合部材60bはさらに、支持体として機能する本体部結合部材60bの周壁604から外向きにかつ半径方向に延在する周辺フランジ606を含む。
【0143】
図14および
図15は、ハウジング結合部材62を示す。
図14を参照すると、ハウジング結合部材62は、本体部結合部材60bのスリーブ部602に対して相補的な管状形状の(内部)スリーブ部631を含む。スリーブ部631は、本体部結合部材60bのスリーブ部602を挿入するための中央通路630を形成する。ハウジング結合部材62は、外側周壁または(外部)スリーブ584をさらに含む。外側周壁584は、本体部結合部材60bとハウジング結合部材62との組み立て後に、本体部結合部材60bの周辺フランジ606によって支持され得る。ハウジング結合部材62はさらに、環状形状を有するプレート628と、接続スリーブ部631と、外壁584とを含む。したがって、ハウジング結合部材62は、内部環状プレート628によって接合された2つの同心スリーブ584、631の構造体を有し得る。プレート628は、本体部結合部材60bのプレート605と協働するように構成され、両方のプレートは相補的な環状形状を有する。
【0144】
さらに
図14を参照すると、調整ポート66はさらに、プレート628上に形成されたオリフィス68と流体連通している。例えば、ハウジング結合部材32のスリーブ部631の直径は、調整ポート66が形成され得る本体部結合部材60bのスリーブ部602の直径を上回る(例えば、10%大きい)ように構成され得る。オリフィス68はそれぞれ、プレート628の下面の内周縁部から半径方向に延在する凹部に形成され、その結果、流体は前記オリフィスと、前記スリーブ部631、602間に形成された間隙空間との間を流れることができる。オリフィス68は、調整区画64(
図15参照)へとつながる。図から分かるように、オリフィス68は、4個のオリフィスであり、流体の伝達を均一に分配するように、スリーブ部602の周囲に均一に配置される。他の構成が想定されてもよい。再び
図12を参照すると、実施例の構成において、調整ポート66は、プレート605とスリーブ部602との間に形成された周辺リング角部611上に配置される。他の構成が想定されてもよい。
【0145】
図15を参照すると、プレート628は、一方の側に、スリーブ部602を取り囲む固定リング627を有し、その上にオリフィス68が配置される。固定リング627は、例えば溶接によって、環状形状を有する結合ユニット63bのフィルタ65の固定を容易にする。フィルタ65は、チャンバ40が不用意に分解された場合に、さらなる保護を行う。また、フィルタ65は、少なくともバイアルからチャンバ40に通過する液体を減少させ得る。
【0146】
さらに
図15を参照すると、重力の作用は、リムエッジ622上のシート42を押圧し、リムエッジ622一面でシート42上のカバー56の頂部588を押圧する傾向がある。したがって、カバー56の頂部588の下方に形成され、リム縁部622によって画定される通気路は、部分的に閉塞され得る。これに応じて、リムエッジ622は、通気路を形成するための隆起部629およびスロット623を備え、このことにより、実質的に常に、通気路画定リム縁部622によって画定される領域での比較的良好な流れが保証される。
【0147】
さらに
図15を参照すると、スリーブ部602のスリーブ部631への挿入後、スリーブ部602は、結合ユニット63bの内壁を形成し、外壁584は、結合ユニット63bの外壁を形成する。スリーブ部602および外壁584は、実質的に同心であり、中心軸を中心とし、前記中心軸は、スリーブ部602の内部に挿入される本体部20の中心軸Aに対応する(さらに
図17を参照)。スリーブ部631、外壁584、およびプレート628の間には、前記中心軸を中心としたトロイド形状を有する調整区画64が形成される。
【0148】
図16および
図17は、バイアルアダプタ10bの全ての構成要素のアセンブリを示す。
【0149】
図16を参照すると、バイアルアダプタ10bが斜視図で示されている。バイアルアダプタ10bは、カバー56に組み付けられ、カバー56の内外に並進的にかつ垂直方向に摺動するように構成されたボウル52を備える。バイアルアダプタ10bは、カバー56に組み付けられた着脱可能なキャップ59をさらに備える。バイアルアダプタ10bは、使用者にとって着脱可能なキャップ59の簡単な取り扱いを可能にする、カバー56の外面上に形成された凹部57を備える。着脱可能なキャップ59は、シリンジ接続ポート24の開口部を閉鎖し、封止することができる。着脱可能なキャップ59は、実施例では、完全に取り外し可能である。代替の実施例では、着脱可能なキャップ59は、ヒンジを介してカバー56に接続されたまま維持され得る。
【0150】
次に、
図17を参照しながら、バイアルからチャンバ40への流体連通について説明する。流体は、チャンバ40からバイアルに逆方向に伝達される。バイアル内の気体は、最初に、調整通路28の開口部288に入り、次いで調整通路28の第1の部分286および第2の部分284に沿って流れ、調整通路開口部282から出る。気体は、このとき、封止Oリング32bのおかげで、調整ポート66へ気密状態で伝達される。いくつかの実施例では、調整ポート66は、調整通路開口部282に対向し得る。その後、気体は、ハウジング結合部材62と本体部結合部材60bとの間に形成された間隙空間内で気密に循環し、フィルタ65を通ってハウジング結合部材62のオリフィス68から出て、調整区画64に到達する。気体は、ハウジング結合部材62の通気路画定縁部622の上方かつカバー56の頂部588の下方に形成された円形通気路内を通過するシート42、44間のチャンバ40の空間41の内部に入る。図から分かるように、調整区画64は、調整ポート66とチャンバ40との間にトロイド状の中間室を形成する。オリフィス68の分布、調整区画64の形状、および縁部622とカバー56との間に形成された通気路の形状の軸Aを中心とした回転対称性は、チャンバ40の均一な膨張/収縮を可能にし、このことにより、使用の安全性が向上し、少なくとも破裂リスクが低減される。
【0151】
図18および
図19は、バイアルアダプタ10aとシリンジアダプタ80との協働を示す。
【0152】
図18は、着脱可能なキャップ59が取り外された後にシリンジ接続ポート24に装着され得るシリンジアダプタ80を示す。シリンジアダプタ80は、シリンジ接続ポート24の管状部材242を滑り込ませるように構成されたスリーブ85の開放端84を備える。シリンジアダプタ80は、シリンジのノズルを直接装着するように構成されたシリンジ装着ポート82をさらに備える。シリンジアダプタ80は、シリンジ接続ポート24へのシリンジアダプタ80の装着がスナップ嵌めによって行われ得るように、シリンジ接続ポート24の対応する凹部245と協働するように構成されたクランプ88をさらに備える。シリンジアダプタ80は、スナップ嵌めを外すためにクランプ88を制御するように構成されたハンドル86をさらに備える。
【0153】
図19は、着脱可能なキャップ59が取り外され、シリンジアダプタ80がシリンジ接続ポート24に装着された状態のバイアルアダプタ10bを示す。
【0154】
図20~
図27は、バイアルアダプタ10a~10bの動作を示す。
【0155】
図20および
図21について説明する。
図20は、圧縮状態のバイアルアダプタ10bを示しており、
図21は、拡張状態のバイアルアダプタ10bを示している。図から分かるように、ハウジング50は、圧縮状態よりも拡張状態の方がより大きな空間を占有し、換言すれば、バイアルアダプタ10bは、圧縮状態よりも拡張状態の方が嵩高である。このことは、チャンバによって占有される、または占有される必要があるハウジング50の内部空間に対する空間占有を最適化すると同時に、ハウジング50がバイアルアダプタ10bの使用中のチャンバおよびチャンバの対応する体積変動を常に包囲し、保護するために適用され得る。ハウジング50および/またはバイアルアダプタ10bは、特に、ハウジング50および/またはバイアルアダプタ10bの最適な保管および/または輸送のために(例えば、まとめて)、最初に圧縮状態で提供され得る。次に、チャンバが拡張されるためにより大きな空間を必要とするとき、ハウジング50は、バイアルアダプタが拡張状態に達するように拡張され得る。さらに、バイアルアダプタ10bは、例えばバイアルへの接続のために、圧縮されたときの操作が容易である。この実施例では、ハウジング50の拡張(それぞれ圧縮)は、ハウジング50の外表面Sの面積、ひいてはバイアルアダプタ10aの面積の増加(それぞれ減少)をさらに伴う。
【0156】
さらに
図20および
図21を参照すると、図示されている実施例では、ハウジング50は、チャンバを完全に包囲する単一のハウジングユニットで構成される。ハウジングユニット自体は、2つの伸縮ユニット、すなわち、ボウル50およびカバー56で構成され、ボウル50およびカバー56はそれぞれ、チャンバによって占有されるのに利用可能な内部空間を画定する伸縮部分54、58を有する。ハウジング50は、常にチャンバを覆う。しかしながら、ハウジング50は、修正されてもよく、例えば滅菌を容易にするために、例えば伸縮部分54に形成された1つまたは複数の開口を有し得る。さらに、ハウジング50の1つまたは複数の構成要素は、少なくとも部分的に、透明材料、例えば、透明プラスチック製であり得る(例えば、ボウル52および/またはカバー56)。圧縮状態では、本体部20のバイアル接続ポート22は、ハウジング50から突出している。このことにより、バイアルアダプタ10bのバイアルへの接続が簡単になる。
【0157】
図22は、バイアル70内の粉末薬剤を再構成するための人間のオペレータによるバイアルアダプタ10bの使用を示す。
【0158】
バイアルアダプタ10bは、圧縮された状態で、例えば、清浄および/または滅菌された状態で、随意選択で密封パッケージに入れて、提供され得る。パッケージからの取り外し後、バイアルアダプタ10bは、バイアル接続ポート22をバイアル70のネック上に(例えば、依然として圧縮状態で)直接装着することによって、バイアル70に接続され得る。図面に示されているように、バイアルアダプタ10bは、全取り出しプロセスの間、バイアル70に接続された状態で維持され得る。シリンジ90が提供され、シリンジアダプタ80を介してバイアルアダプタ10bのシリンジ接続ポート24に接続され得る。
【0159】
可溶性固体形態(例えば、粉末として)であり、使用される前に再構成を必要とする内容物を有するバイアル70が提供され得る。液体溶液を収容するシリンジ90が提供され得る。使用者は、シリンジ90を操作して、バイアル70に、例えば少なくとも実質的に完全に、液体を充填し得る。
図22に示されているように、この操作は、最初に、バイアルネックを上方に向けた状態で、例えば、バイアル70が水平支持体上に(例えば、テーブルまたは作業面上に)立っている状態で、バイアル70を垂直方向に位置決めすることによって、単純な方法で実施され得る。再構成時に、ハウジング50およびバイアルアダプタ10bは、再構成のためにチャンバが拡張されるにつれて拡張される。
図22に示されているように、ハウジング50およびチャンバは、バイアル70へ向かう方向Dへ拡張する。
図22は、ハウジング50が拡張状態にある、再構成プロセスの終了状態を示す。
【0160】
図23は、バイアル70からシリンジ内へ液体を取り出すために人間のオペレータによってバイアルアダプタ10bが使用される様子を示す。
【0161】
図23に示されているように、アセンブリは、このとき、逆さまにされ、空のシリンジ90は、バイアル70から再構成された溶液を取り出すように操作され得る。チャンバは再構成後には拡張されているので、その後、チャンバの内容物によって、このような取り出しの間の圧力調整を行うことが可能になる。
図23は、ハウジング50が元の圧縮状態にある、取り出しプロセスの終了状態を示す。
【0162】
バイアルアダプタ10bは、さらに、流体形態(例えば、液体として)の内容物を有するバイアルが準備された状態で提供され得る。このような場合、アセンブリが形成された後、
図23に示されているように、アセンブリは、すぐに(すなわち、再構成ステップなしで)逆さまにされ、空のシリンジ90は、バイアル70から溶液を取り出すように操作され得る。バイアルアダプタ10bは、例えば、正の体積の気体がチャンバ内に収容されている状態で包装され得る。このような最初に存在する気体は、取り出し中にバイアル70の内部の圧力調整を可能にする。チャンバ内に最初に収容されている気体は、清浄および/または滅菌された気体、例えば、清浄化および/または滅菌された空気であり得る。チャンバ内に最初に収容されている気体は、圧縮状態で許容される気体の最大体積であり得、バイアルアダプタ10bが使用されることが意図される最大バイアル容量に対応する。
【0163】
したがって、バイアルアダプタ10bは、最初に流体形態の内容物が入れられたバイアルと、最初に可溶性固体形態の内容物が入れられたバイアルの両方で使用されるように準備された状態で包装され得る。バイアルアダプタ10bは、圧縮状態で、および圧縮状態で許容される最大体積の清浄および/または滅菌された気体がチャンバ内に収容された状態で包装され得る。バイアルアダプタ10bは、ハウジング50が拡張されたときにハウジング体積が少なくとも2倍になり、その結果、チャンバ体積が少なくとも2倍になるようにさらに構成され得る。
【0164】
図24~
図27は、使用中のバイアルアダプタ10aの異なる状態を示す。バイアルアダプタ10aは、バイアルアダプタ10bのチャンバ40bとは異なり、異なる形で溶接されたバイアルアダプタ10aのチャンバ40aを除いて、またバイアルアダプタ10bの結合スリーブ部材60bとは異なるバイアルアダプタ10aの結合スリーブ部材60aを除いて、バイアルアダプタ10bと概ね同じある。
【0165】
図24~
図27は、本体部20と、可変体積を有し、気体および/または液体に対して不透過性であるチャンバ40aと、可変体積を有し、チャンバ40aを包囲するハウジング50とを備えるバイアルアダプタ10aを示す。本体部20は、バイアル接続ポート22、シリンジ接続ポート24、バイアル接続ポート22とシリンジ接続ポート24との間の流体連通を確立するように構成されたアクセス通路26、およびバイアル接続ポート22とチャンバ40aとの間の流体連通を確立するように構成された調整通路28を含む。チャンバ40aは、拡張可能および縮小可能であるように、可撓性および/または弾性の材料で作られる。ハウジング50は、バイアルアダプタ10aによって占有される空間を最適化するために、ハウジング50の内部空間51がどの時点でもチャンバ40aによって占有される空間に適合され得るように、拡張可能である。
【0166】
図24は、ハウジング50が圧縮状態であり、チャンバ40aが拡張され、チャンバ40aの内部空間41aがハウジング50の圧縮状態で許容される最大体積の気体を収容している状態である、バイアルアダプタ10aの断面図である。
図3では、チャンバ40aは、ハウジング50の実質的に全ての利用可能な内部空間51を占有している。本体部結合部材60aは、フランジを備えていないという点においてのみ、バイアルアダプタ10bの本体部結合部材60bとは異なる。ハウジング結合部材62の外壁584は、カバー56の伸縮部分58の内壁を形成する。代替の実施例では、カバー56の残りの部分と一体形成された内壁は、外壁584と同じ役割を果たし得る。
【0167】
図25は、ハウジング50が拡張状態であり、チャンバ40aが拡張され、ハウジング50の拡張状態で許容される最大体積の気体で満たされた状態である、バイアルアダプタ10aの断面図である。
図25では、チャンバ40aは、ハウジング50の実質的に全ての内部空間51を占有しており、前記利用可能な内部空間51は、圧縮状態の場合よりも大きい。
【0168】
チャンバ40aは、
図24に示されている状態から
図25に示されている状態への移行が、チャンバ40aの拡張時に、例えば、チャンバ40aの膨張時に、自動的に行われ得るように、ハウジング50を拡張させるように構成され得る。随意選択で、ハウジング50の拡張は、チャンバ40aがハウジング50を拡張させることができるように手動で停止させる必要があり得るロックシステムによって防止され得る。
【0169】
チャンバ40aは、ハウジング50が拡張または縮小/収縮するにつれてハウジング50の内部を移動する。ハウジング50は、本体部20に対して固定されたカバー56と、本体部20に対して可動なボウル52とを備える。ボウル52は、伸縮部分54を含み、カバー56は、伸縮部分58を含む。伸縮部分54は、ハウジング50が伸縮自在であるように、伸縮部分58内へと滑り込む(また、伸縮部分58外へと滑り出る)ように構成されている。
【0170】
チャンバ40aが拡張され、その可動部分がボウル52に到達して接触すると、チャンバ42の拡張が伸縮部分58から伸縮部分54を押し出すことで、ハウジング50を摺動させ、拡張させる。伸縮部分54は、ハウジング50の内部空間51と作業環境の(例えば、清浄化および/または滅菌された)周囲空気との間の境界のみを形成するので、内部空間51から始まる伸縮部分54の横断は、直接(すなわち、ハウジング50の内部空間51と周囲空気との間の任意の他の保護構造体および/または通気区画ではなく)周囲空気へとつながる。したがって、ボウル52は、チャンバ40aを周囲空気から常に保護する可動境界を形成する。
【0171】
図26および
図27は、ハウジング50が拡張状態であり、チャンバ40aがハウジング50の全ての利用可能な内部空間51を占有していない状態である、バイアルアダプタ10aの断面図である。
図26では、チャンバ40aは、ハウジング50の圧縮状態で許容される最大体積の気体を収容している。このような状態は、バイアルアダプタ10aの使用後に生じ得る。
図27では、チャンバ40aは収縮されている。このような状態は、バイアルアダプタ10aの製造中、またはバイアルアダプタの使用後に生じ得る。
【0172】
図24~
図27を参照すると、ハウジング50の内部空間51およびチャンバ40aの内部空間は、実質的に常に軸Aおよび中央部分30を取り囲む(すなわち、それらを環状に囲い込む)実質的にトロイド形状を有する。したがって、ハウジング50およびチャンバ40aは、常に,軸Aを中心とした略回転対称性(および拡張により、前記軸Aに対する軸対称性)を有する。バイアルアダプタ10aは、中空トーラスハウジング50の全体形状を有する。中空トーラスハウジング50のトロイド内部空間51は、中空トーラスチャンバ40aによって占有される。トーラスの長手方向の中心穴は、細長い本体部20によって占有される。
【0173】
ハウジング50およびチャンバ40aは、軸Aを中心として均一に体積変動するので、バイアルアダプタ10aは、常に、実質的に軸Aを中心とした重量の均衡が保たれる。さらに、ハウジング50およびチャンバ40aは、長手方向に、かつ軸Aに対して少なくとも実質的に平行な方向に沿って、体積変動を実現する。
【0174】
ボウル52は、カバー56に対して並進的にのみ摺動するように構成される。
図22の状態に関して、ボウル52は、ハウジング50の拡張が強制的に下方に向けて(すなわち、バイアル70に向かって)行われるように、カバー56に対して垂直方向に摺動するように構成される。チャンバ40aは、実質的に常に、ハウジング50の実質的に全ての内部空間51を占有するので、チャンバの拡張も、強制的に下方に向けて(すなわち、バイアル70に向かって)行われ得る。そうすることによって、バイアルアダプタ10aは、特に、コンパクトであり十分に均衡が保たれ、その使用の全ての段階において人間工学的なものとなる。
【0175】
図24~
図27を参照すると、バイアルアダプタ10bは、例えば、
図24に示されている状態で提供され得る。バイアルアダプタ10bは、実施例では、薬剤の再構成が完了した後に、
図25に示されている状態に達し得る。バイアルアダプタ10bは、例えば重力の作用を受けて、ハウジング50が圧縮状態に戻る(この場合、バイアルアダプタ10bは、
図24に示されている状態に戻る)を除いて、液体の抜き取りが完了した後には
図26に示されている状態に達し得る。
【0176】
図28~
図33は、バイアルアダプタ10bの構成および製造を示す。以下では、本開示の実施形態に係るバイアルアダプタの構成要素を組み立てるステップについて説明する。
【0177】
図28を参照すると、結合ユニット63bの組み立ては、本体部結合部材60bのスリーブ部602をハウジング結合部材62のスリーブ部631の中央通路630内に挿入して嵌合させることを含む。次に、ハウジング結合部材62は、周縁部607で周縁部632を溶接することによって、本体部結合部材60bに溶接され得る(さらに
図12~
図15を参照)。このことにより、プレート628とプレート605との間に形成された間隙空間が一方の側で封止される。
【0178】
図29を参照すると、スリーブ部631は、チャンバ40を溶接するように構成されたリム縁部626を画定する。リム縁部626はさらに、スリーブ部602、特に、スリーブ部が終端するリム縁部609に溶接され得る(さらに
図12~
図15を参照)。このことより、プレート628とプレート605との間に形成された間隙空間が他方の側で封止され、その結果、調整ポート66はオリフィス68と気密に流体連通する。結合スリーブ部材60bのスリーブ部602は、溶接を容易にするリム縁部609に凹部608を備える。
【0179】
製造は、外縁部45および内縁部46、48を有する2つの環状の可撓性/折り畳み可能なシート42、44を備えるチャンバ40を提供することを含み得る。縁部45、46、48は、溶接されるそれぞれの領域に対応するように寸法決めされたリング形状を有する。それぞれの外縁部45は、同じ寸法を有し、溶接され得る。次いで、内縁部48は、前述したように、ハウジング結合部材62のスリーブ部631の縁部626に溶接される。内縁部46は、ハウジング結合部材62のリム縁部622に溶接される。2枚のシート42、44を備えるチャンバ40を設けることにより、製造が簡単になる。
【0180】
図30は、全ての溶接ステップ後の結果を示す。シート42とシート44との間の空間は、チャンバ40の内部空間41を構成する。チャンバゲートは、リム縁部626、622によって画定される。結果として、本体部20の中心軸Aを中心としたチャンバ40の比較的均一な膨張/収縮が可能になる。
【0181】
【0182】
結合ユニット63bは、略円筒形状の本体部20の中央部分30が中央通路61内に挿入および嵌合される(例えば、圧入および/またはスナップ嵌めされる)ように、略円筒形状の中央通路61を形成する。
【0183】
調整ポート66および調整通路開口部282は、本体部20が結合ユニット63bのスリーブ部602内へ挿入された後のアセンブリの断面図である
図31に示されているように、互いに対向した状態で組み立てられ得る。このような挿入は、例えば、
図55に示されているように、チャンバ40を結合ユニット63bに溶接した後に、行われ得る。
図31から分かるように、チャンバ40は、スリーブ部60および本体部20を取り囲む。調整ポート66は、本体部20の中央部分30の周壁31と協働するスリーブ部602の内壁に形成される。調整通路開口部282は、周壁31に形成され、調整ポート66に対向して配置される。
【0184】
周壁31は、スリーブ部602と協働し、スリーブ部602に対して相補的な形状を有する。Oリング32bは、周壁31およびスリーブ部602に接触して配置される。本体部20の中央部分30がスリーブ部602の内部に嵌合(例えば、圧入)され、Oリング32bは、周壁31とスリーブ部602との間に挟まれる(そして押圧される)。したがって、Oリング32bの弾性材料は、アクセスが困難な領域において簡単な方法で気密性を確保する。Oリング32bは、本体部20上の調整通路開口部282の両側に配置され、そのことによって、調整通路開口部282と調整ポート66との間の気密な流体連通を可能にする周壁31とスリーブ部602との間の気密な間隙空間を形成する。
【0185】
図33を参照すると、管状部242は、最初に、中央通路585の中にスナップ嵌めされ、次いで、ボウル52は、例えば、スナップ嵌めステップを妨げないようにチャンバ40を収縮させた後に、チャンバ40を適切に配置しながらカバー56の中にスナップ嵌めされ得る。次いで、チャンバが膨張されて、ハウジング50を拡張させ、次いで、ボウル52が押圧されて圧縮状態になり、このとき、チャンバ40は部分的に収縮される。アセンブリおよび/または気体は、任意の時点で清浄化および/または滅菌され得る。着脱可能なキャップ59が、組み付けられ得、これで製造プロセスが終了され得る。
【0186】
次に、
図34~
図38を参照しながら、他の実施例について説明する。
【0187】
図34は、バイアルアダプタ10dの一部を示すことによって第1の例を示している。チャンバ40の内縁部48は、スリーブ部631に溶接されるのではなく、頂部588の縁部586に溶接される。調整区画64dを封止するために、縁部586もスリーブ部602に、例えば、リム縁部609に溶接され得る。縁部586のリム縁部609への溶接は、チャンバ40の内縁部48を溶接するときに1回の溶接ステップで行われ得る。
【0188】
図35~
図38は、バイアルアダプタ10aのチャンバ40aおよびチャンバ40aをアセンブリに溶接する方法を示すことによって別の実施例を示す。
【0189】
この実施例では、チャンバ40aは、1枚のシート42aで作られたダイヤフラムで構成される。シート42aは、円錐断面の形状を有するように真空成形され得る。小さい方の周縁部45aは、結合ユニット63aの外側リム縁部622に溶接され得る。次いで、チャンバ40aがひっくり返され、結合ユニット63aがカバー56に対して位置決めされた後に、他の溶接ステップが実行され得る。チャンバ40aの大きい方の自由周縁部46aは、カバー56の頂部588の外側周辺領域583に溶接される。そして、ハウジング結合部材62の内側リム縁部626は、頂部588の縁部586に溶接される。このことにより、チャンバ40の内部空間41とは異なる、トロイド形状のチャンバ40aの内部空間41aが形成される。
【0190】
図39~
図47は、他のバイアルアダプタ10cおよび10e~10gと、異なるシール部材32cおよび32e~32gを示す。
【0191】
図39は、シール部材を除いて、バイアルアダプタ10aと同様のバイアルアダプタ10cを示す。バイアルアダプタ10cは、Oリング32bのような一対のOリング32cを備える。しかし、Oリング32cは、単一の部品35cを形成するために、調整通路開口部282の内部に挿入される/差し込まれるダクト部材33cにオーバーモールドされて、ダクト部材33cと一体形成される。
【0192】
図40に示されているように、単一部品35cは、ダクト部材33cの両側にあるOリング32cを接続するアーム36cを備える。ダクト部材33cは、調整通路開口部282を小さくする直径を有するチャネル穴332cを含む中空インサートを備える。このような部品35cは、製造が簡単であり、初めから調整通路開口部282を小さく形成するのに比べて、製造が簡単である。
【0193】
図41は、ゴムリング32eのシール部材を備えるバイアルアダプタ10eを示しており、この場合、本体部20eは、ゴムリング32eが本体部20eの調整通路開口部282eが形成される部分を取り囲むように挿入され得る。
【0194】
図42~
図43に示されているように、ゴムリング32eは、周縁部326e、329eと通路33eとの間に形成された周辺凹部324eのような凹部を備える。ゴムリング32eは、調整通路開口部282eが形成される本体部20eの周壁31e、ハウジングのカバー56eによって形成され、ハウジング結合部材62eと結合部63eを構成するスリーブ部602eの縁部586e、ハウジング結合部材62e、および本体部20eのプレート部37eによって、押圧される。ゴムリング32eは、このような押圧の際に、凹部(
図60では、ゴムリング32eの下にある)およびハウジング結合部材62eのプレート628eに形成された調整ポート68eへと向かう通路33eを介して、流体を調整通路開口部282eから調整ポート68aへと案内するように構成される。プレート628eは、スリーブ部602eと、カバー56eの伸縮部分の内壁を形成するハウジング結合部材62eの外壁584eとの間に配置される。
【0195】
【0196】
バイアルアダプタ10fは、フィルタ327fと円錐形ニップルを有するアダプタ328fとを含むシール部材32fを備える。アダプタ328fは、調整通路開口部282fが形成される本体部20fの中央部分30fの壁に溶接される。カバー56fから延在し、かつカバー56fによって形成されるスリーブ部602f、584fは、本体部20fが格納される中央通路を形成する。この場合、アダプタ328fの円錐形ニップルは、バイアル接続ポート22fからの気体を、ハウジングのカバー56fの頂部588f内に形成された調整ポート66fへと案内する。その後、調整ポート66fは、開口部68fを有する管564fを介して、トロイド形状を有し、カバー56f内に形成された調整区画64fへと気体を送る。チャンバ40aは、カバー56fの頂部588fの外側周辺領域583f、および調整区画64fと流体連通されるスリーブ部602fの縁部に溶接される。
【0197】
【0198】
バイアルアダプタ10gは、アクセス通路および調整通路を形成するルーメンを備え、結合部63gの結合ユニット21gと協働して本体部20gを形成するスパイク19gを備える。結合ユニット21gは、バイアル接続ポート22gを形成する周壁222gと、調整通路開口部282gが形成されるスパイク19gの中央部分30gを挿入するためのスリーブ部602gと、カバー56gの伸縮部分の内壁を形成する外壁584gとを備える。カバー56gから延在し、カバー56gによって形成された壁586g間には、トロイド形状の調整区画64gが形成される。
【0199】
バイアルアダプタ10gは、開口部282gと調整ポート68gとの間の流体連通に気密性を付与する環状のシール要素32gを備える。バイアルアダプタ10gはさらに、開口部282gの内部に差し込まれたオーバーモールドされたゴムシールで構成される別個のダクト部材33gを備え、このダクト部材33gもまた、封止を行う。
【0200】
図48~
図67は、先に提示した実施例とは異なるハウジング拡張性を有する実施例を示す。
【0201】
図48~
図67は、バイアル接続軸に沿って延在し、かつ、図面では矢印Dで示された異なる摺動形式で互いに対して摺動するように構成された少なくとも2つの部分152a~152i、156a~156iを備える本体部120を介してバイアル70に装着されるバイアルアダプタ110a~110iを示す。
【0202】
図48および
図49は、伸縮自在なアセンブリを形成するために、固定部156aの伸縮部分158aの内部へ摺動するように構成された可動部152aの伸縮部分154aを備えるバイアルアダプタ110aを示す。
図50および
図51は、同じ中央固定部156bの伸縮部分158bの内部へ摺動するように構成された可動部152bそれぞれの2つの伸縮部分154bを備えるバイアルアダプタ110bを示す。いずれの実施例においても、ハウジング150a、150bは、単一のハウジングユニットで構成される。バイアルアダプタ10a、10bに関して、各々の摺動は並進的かつ垂直方向の摺動であり、ハウジング150a、150bは、本体部120の少なくとも一部分、ひいてはバイアル接続軸を取り囲み、ハウジング150a、150bは、前記一部分および軸を中心として均一に体積変動を実現する。したがって、チャンバはさらに、前記一部分および軸を取り囲み、前記一部分および軸を中心として均一に体積変動を実現し得、ハウジングおよびチャンバの内部空間は、トロイド形状を有し得る。ハウジング150bはさらに、(2つの可動部152bのうちの一方を介して)バイアル70へ向かう方向Dに拡張するように構成されるが、他方の可動部152bは拡張中に摺動するので、一部のみ拡張する(すなわち、完全には拡張しない)。
【0203】
図52~
図54は、固定ユニット156cの伸縮部分158cの内部へそれぞれ摺動するように構成された可動部152cそれぞれの2つの伸縮部分154cを備えるバイアルアダプタ110cを示す。
図55~
図57は、固定ユニット156dの伸縮部分158dの内部へそれぞれ摺動するように構成された可動部152dそれぞれの2つの伸縮部分154dを備えるバイアルアダプタ110dを示す。いずれの実施例においても、ハウジング150c、150dは、2つのハウジングユニットで構成され、摺動は、回転摺動である(しかし、異なる向きの摺動である)。バイアルアダプタ10a、10bとは対照的に、ハウジング150cから150dまで、150dはバイアル接続軸を取り囲まず、前記バイアル接続軸に対して軸対称性を有し、その結果、アセンブリは、並進摺動がバイアル接続軸に対して平行でない場合であっても、依然として十分に均衡が保たれる。バイアルアダプタ110cは、バイアル70へ向かう方向Dへ拡張するので、アセンブリを比較的コンパクトに維持することができる。
【0204】
図58および
図59は、固定ユニット156eの伸縮部分158eの内部へそれぞれ摺動するように構成された可動部152eそれぞれの2つの伸縮部分154eを備えるバイアルアダプタ110eを示す。バイアルアダプタ110c、110dと同様に、ハウジング150eは、2つのハウジングユニットで構成され、ハウジング150eは、バイアル接続軸に対して軸対称性のみを有し、摺動は並進的である。バイアルアダプタ10aとは異なり、並進摺動は、バイアル接続軸に対して平行ではなく、バイアル70へ向かう方向への拡張も伴わない。
【0205】
図60および
図61は、カバー156fの伸縮部分158fに対して摺動するように構成されたボウル152fの伸縮部分154fを備えるバイアルアダプタ110fを示す。バイアルアダプタ10aと同様に、ハウジング150fは、単一のユニットで構成され、摺動は、並進的であり、バイアル接続軸に対して平行であり、バイアル70へ向かう方向への拡張を伴う。しかし、バイアルアダプタ10aとは異なり、ハウジング150fは、バイアル接続軸を取り囲まず、バイアル接続軸に対する対称性を有さない。
【0206】
図62~
図67は、摺動部152g~152i、156g~156iの伸縮部分154g~154i、158g~158iを備える、さらに別の伸縮自在なバイアルアダプタ110g~110iを示す。バイアルアダプタ10aと異なり、ハウジングは、バイアル接続を取り囲まず、バイアル接続軸に対する対称性を有さず、また、摺動は、バイアル接続軸に対して平行でなく、バイアル70へ向かう方向への拡張も伴わない。
【0207】
バイアルアダプタの第1の態様について説明してきた。しかしながら、上記の説明は、バイアルアダプタの他の態様にも同様に適用されることが理解されるであろう。特に、全ての説明されている実施例は、チャンバを包囲するハウジングなしで、または一定の体積を有し、チャンバを包囲するハウジングを用いて(この場合、ハウジングの体積はチャンバが任意の企図される体積変動を実現するのに十分な体積である)機能するように適合され得る。さらに、上述の任意のサブアセンブリも想定され得る。