(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】フィルタユニット及びフィルタユニットを備えた送風装置
(51)【国際特許分類】
B01D 46/10 20060101AFI20231004BHJP
F24F 8/108 20210101ALI20231004BHJP
F24F 13/28 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B01D46/10 B
F24F8/108
F24F13/28
(21)【出願番号】P 2020026693
(22)【出願日】2020-02-20
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(72)【発明者】
【氏名】山本 明
(72)【発明者】
【氏名】中村 亘志
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-004518(JP,U)
【文献】特開2002-079020(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0001248(US,A1)
【文献】米国特許第6461396(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/00-46/90
F24F 8/108
F24F 13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポータブル型空気清浄機の所定の取付部に押し当てながらスライドさせて着脱可能なフィルタユニットであって、
前記フィルタユニットは、フィルタと、可撓性のフィルタ枠と、を備え、
前記フィルタ枠は、前記取付部にスライドさせて係止される引掛部と、前記取付部に挿入して係止される一対の突起部と、を有し、
前記一対の突起部は、前記フィルタ枠をスライドさせる方向を高さ方向とした場合の幅方向の両側に設けられ、
前記引掛部は、前記幅方向の中央側に設けられ
、
前記フィルタ枠は、前記一対の突起部が設けられる装着面と反対側の面に設けられ、かつ、前記一対の突起部と表裏方向において重ならない位置から突出する第1の突部を有し、
前記第1の突部は、前記フィルタ枠をスライドさせる方向に直交する方向に伸びる指掛面を有し、
前記フィルタユニットは、前記取付部に取り付けられた状態において、前記反対側の面から前記指掛面に指をかけて前記取付部側に押し付けながらスライドすることで、前記取付部から取り外し可能である、フィルタユニット。
【請求項2】
前記フィルタ枠は、前記フィルタ枠をスライドさせる方向に伸びる中央リブをさらに備え、
前記一対の突起部は、前記中央リブを間に挟んで、前記中央リブから互いにはなれる両側に設けられる、請求項1に記載のフィルタユニット。
【請求項3】
前記突起部は、前記フィルタ枠のスライドにともなって前記取付部に形成される第1の開口部に当接される第1の傾斜面と、前記フィルタ枠のスライドにともなって前記取付部の縁部に当接される第2の傾斜面と、を含み、
前記第1の傾斜面の勾配は、前記第2の傾斜面の勾配よりも大きくなるように形成される、請求項1又は請求項2に記載のフィルタユニット。
【請求項4】
所定の取付部に押し当てながらスライドさせて着脱可能なフィルタユニットと、
円筒状に形成されるとともに、内周面の一部が前記取付部となるカバーと、
前記カバーの端部に形成される第2の開口部を通じて挿入され、前記カバーに係止される送風機本体と、
を備え、
前記フィルタユニットは、フィルタと、可撓性のフィルタ枠と、を備え、
前記フィルタ枠は、前記取付部にスライドさせて係止される引掛部と、前記取付部に挿入して係止される一対の突起部と、を有し、
前記一対の突起部は、前記フィルタ枠をスライドさせる方向を高さ方向とした場合の幅方向の両側に設けられ、
前記引掛部は、前記幅方向の中央側に設けられ、
前記フィルタ枠は、前記一対の突起部が設けられる装着面と反対側の面から突出して設けられる第2の突部を有し、
前記第2の突部は、前記送風機本体が前記カバーに係止された状態において、前記送風機本体と接触し、前記取付部及び前記突起部の係止状態を解除する方向にスライドすることを規制する規制面を有する
、送風装置。
【請求項5】
前記送風機本体は、前記カバーに係止された状態において、前記取付部と対向する間隔が、前記取付部の周方向における端部から中央部にかけて広くなるように形成され、
前記第2の突部は、前記取付部の周方向における一方の端部と対向する位置に設けられる、
請求項4に記載の送風装置。
【請求項6】
前記フィルタユニットは、前記カバーの軸線に対して対称となるように一対設けられる、
請求項4又は請求項5に記載の送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルタユニット及びフィルタユニットを備えた送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、空気清浄機である機器本体と、空気清浄機の外観を決定する外側カバーと、を備えたポータブル型空気清浄機が開示されている。上述のポータブル型空気清浄機の外側カバーは、空気清浄機の上部に配置される上部カバーと、空気清浄機の下部に配置される下部カバーと、に分割され、下部カバーの外周面には、機器本体の空気吸込口に対応する複数の円弧状のスリット孔からなる空気吸込口が形成されている。下部カバーの内側には、空気吸込口を覆うように、塵埃除去用のフィルタが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、一例として、所定の取付部に容易に着脱可能なフィルタユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るフィルタユニットは、所定の取付部に押し当てながらスライドさせて着脱可能なフィルタユニットであって、前記フィルタユニットは、フィルタと、可撓性のフィルタ枠と、を備え、前記フィルタ枠は、前記取付部にスライドさせて係止される引掛部と、前記取付部に挿入して係止される一対の突起部と、を有し、前記一対の突起部は、前記フィルタ枠をスライドさせる方向を高さ方向とした場合の幅方向の両側に設けられ、前記引掛部は、前記幅方向の中央側に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施形態に係る空気清浄機を示す前方斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る空気清浄機の機器本体を示す前方斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る空気清浄機の機器本体を示す後方斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る空気清浄機の上部カバー及び下部カバーを示す前方斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る空気清浄機のカバーの取付手順を示す側面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る空気清浄機の下部カバーに対するフィルタユニットの取付手順を示す前方斜視図である。
【
図7A】本発明の実施形態に係る空気清浄機のフィルタユニットの装着面を示す図である。
【
図7B】
図7Aに示したフィルタユニットのVI-VI線断面図である。
【
図7C】
図7Aに示したフィルタユニットのVII-VII線断面図である。
【
図8A】本発明の実施形態に係る空気清浄機のフィルタユニットが装着された下部カバーの側面図である。
【
図8B】
図8Aに示したフィルタユニットが装着された下部カバーのVIII-VIII線断面図である。
【
図8C】
図8Aに示したフィルタユニットが装着された下部カバーのIX-IX線断面図である。
【
図9A】本発明の実施形態に係る空気清浄機の下部カバーが装着された機器本体を示す側面図である。
【
図9B】
図9Aに示した下部カバーが装着された機器本体のX-X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施の形態について説明する。なお、本明細書及び図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付することにより重複する説明は省略し、また、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する場合がある。さらに、かかる実施の形態に示す構成要素の形態はあくまでも例示であって、これらの形態に限定されるものではない。
【0008】
以下では、本発明の一態様に係るフィルタユニット及びフィルタユニットを備えた送風装置について説明する。フィルタユニットは、空気中の塵埃を捕捉するためのものである。フィルタユニットを備えた送風装置として、ポータブル型空気清浄機100を例に挙げて説明する。
【0009】
図1から
図4までを参照して、ポータブル型空気清浄機100(以下では、空気清浄機100とも称する)について説明する。
図1は、空気清浄機100を示す前方斜視図である。
図2は、機器本体110を示す前方斜視図である。
図3は、機器本体110を示す後方斜視図である。
図4は、上部カバー130及び下部カバー140を示す前方斜視図である。以下では、空気清浄機100の載置側を下側とし、その反対側を上側とし、上部カバー130のロゴLが設けられる側を正面側とし、その反対側を背面側として説明する。
【0010】
空気清浄機100は、一例として、車内の空気を浄化するためのものである。空気清浄機100は、例えば、ドリンクホルダに設置可能に構成される。空気清浄機100への給電は、シガーソケットや、USBポートから行う構成としてもよい。その他、電池やバッテリーを搭載させてもよい。
【0011】
空気清浄機100は、機器本体(送風機本体)110と、機器本体110を収容するカバー120と、を備える。カバー120は、上部カバー130および下部カバー140を有する。空気清浄機100は、後述の上部カバー130の挿入口131から機器本体110を挿入して上部カバー130に係止させた状態で、後述の下部カバー140を上部カバー130に装着することで構成される(
図5参照)。
【0012】
図2及び
図3を用いて、機器本体110について説明する。機器本体110は、例えば、下部に設けられたファン吸込口111、上部に設けられた吹出口112、ファン113を備える。機器本体110は、ファン113により、空気をファン吸込口111から吸込み、吹出口112から吹き出すように構成される。また、機器本体110は、例えば、吹出口112から吹き出される空気にイオンを付加するイオン発生部115を備える。機器本体110は、一例として、カバー120を外した状態において、自立するように構成されている。
【0013】
ファン113は、機器本体110の下部の内部に収容されている。ファン113は、一例として、シロッコファン(遠心ファン)である。シロッコファンは、略筒状に形成される本体部を有し、筒軸方向において両側から空気を吸い込むことを可能としている。ファン113は、一例として、筒軸方向が左右方向となるように収容されている。
【0014】
機器本体110は、例えば、機器本体110の下部から上方に進むにつれて拡幅する外形を有する。機器本体110の上面には、ファン吸込口111と連通する吹出口112が形成される。機器本体110は、下部において、左右に対向する側面に、ファン吸込口111がそれぞれ形成されている。ファン吸込口111は、一例として、スリット状に形成される複数の孔を有する。機器本体110は、ファン吸込口111及び吹出口112を連通する風路(図示せず)を有し、風路に臨むようにイオン発生部115が配置されている。
【0015】
機器本体110の上面は、カバー120の上方の端部に形成される挿入口131から外部へ露出するように構成されている。すなわち、機器本体110の上面は、空気清浄機100の上面である。機器本体110は、正面側よりも背面側が高くなるように、その上面が後方上側に傾斜して設けられる。また、機器本体110の上面は、前部に外部へ空気を吹き出す吹出口112が形成されている。機器本体110の上面における吹出口112の後側には、空気清浄機100の各種の操作を行うための操作部116が設けられる。ユーザが操作部116を操作することによって、空気清浄機100の運転モード等を切り替えることができる。
【0016】
図4を用いて、カバー120について説明する。カバー120は、空気清浄機100の外周面を構成するものである。カバー120は、機器本体110の周面を囲うように設けられる。カバー120は、一例として、上下方向に分離可能な、上部カバー130と、下部カバー140と、を有する。
【0017】
上部カバー130は、機器本体110の上部に配置される。上部カバー130は、機器本体110の外形に応じて、挿入口131(上方)に向けて拡幅する形状を有する。上部カバー130の周面の一部は、下方に向けて伸びるように形成されている。上部カバー130は、水平面で切った際の断面形状が、角部が丸みを帯びた略矩形状となるように形成されている。
【0018】
上部カバー130は、上方に向けて開口し、機器本体110を挿入可能な挿入口131を有する。挿入口131は、正面側から背面側に向かって高くなるように傾斜している。また、上部カバー130は上部接続口132を有する。上部接続口132は、上部カバー130の下端部に設けられ、下部カバー140の下部接続口141に接続される。
【0019】
下部カバー140は、機器本体110の下部に配置される。下部カバー140は、一例として、ドリンクホルダにはまる部分として形成される。下部カバー140は、円筒状に形成される。より具体的には、円筒状の周面の一部を上下に切り欠いた形状を有している。下部カバー140は、水平面で切った際の断面形状が略円弧状となるように形成されている。
【0020】
下部カバー140は下部接続口141(第2の開口部)を有する。下部接続口141は、上方に向けて開口し、機器本体110を挿入可能である。下部カバー140の下端部(底部)には、環状のフランジ部142が形成されている。下部カバー140の周面には、外部の空気を取り入れる吸込口143が形成されている。
【0021】
本実施形態の下部カバー140では、一対の吸込口143が周方向に並んで、かつ左右に対向するように設けられている。各吸込口143は、下部カバー140の軸方向(上下方向)に並んで配置された複数の長孔143aを含む。各長孔143aは、下部カバー140の周方向を長手方向とする。
【0022】
カバー120は、上部カバー130の上部接続口132及び下部カバー140の下部接続口141が接続されることで上部カバー130及び下部カバー140の外周面が面一となるように取り付けられる。下部カバー140の内周面には、吸込口143と対向する位置に、フィルタユニット150が取り付けられている。下部カバー140の吸込口143は、機器本体110が取り付けられた状態において、ファン吸込口111と対向するように設けられている。すなわち、ファン吸込口111と吸込口143との間にフィルタユニット150が設けられている。
【0023】
図5を用いて、機器本体110へのカバー120の取付手順について説明する。
図5は、カバー120の取付手順を示す斜視図である。まず、機器本体110の下端部(底面側)が上部カバー130の挿入口131に挿入される。挿入された機器本体110が上部カバー130の係止部(図示せず)に係止されることで、機器本体110は上部カバー130に取り付けられる。機器本体110が取り付けられた上部カバー130の上部接続口132が、下部カバー140の下部接続口141に接続される。このとき、機器本体110が下部カバー140の係止部(図示せず)に係止されることによって、機器本体110はカバー120に取り付けられる。以上の構成において、カバー120は、機器本体110に対して着脱可能に設けられている。
【0024】
図6から
図8Cまでを用いて、フィルタユニット150について説明する。
図6は、下部カバー140に対するフィルタユニット150の取付手順を示す前方斜視図である。
図7Aは、フィルタユニット150の装着面150aを示す図である。装着面150aとは、フィルタユニット150が取り付けられる面を指す。
図7Bは、
図7Aに示したフィルタユニット150のVI-VI線断面図である。
図7Cは、
図7Aに示したフィルタユニット150のVII-VII線断面図である。
図8Aは、フィルタユニット150が装着された下部カバー140の側面図である。
図8Bは、
図8Aに示したフィルタユニット150が装着された下部カバー140のVIII-VIII線断面図である。
図8Cは、
図8Aに示したフィルタユニット150が装着された下部カバー140のIX-IX線断面図である。
【0025】
図6に示すように、フィルタユニット150は、下部カバー140の内周面(取付部)144に着脱可能に設けられる。具体的には、フィルタユニット150は、内周面144に押し当てながらスライドさせることによって着脱されている。内周面144は、下部カバー140の吸込口143を含む所定の領域である。フィルタユニット150は、各吸込口143を含む内周面144にそれぞれ取り付けられる。より具体的には、下部カバー140の軸線に対して対称となるように、一対のフィルタユニット150が設けられる。
【0026】
フィルタユニット150は、内周面144に対向する装着面150aを有する。装着面150aは、内周面144に沿って湾曲状に形成されている。詳細には、装着面150aは、フィルタユニット150の幅方向(
図7Aの左右方向)の中央側に向かうに連れて、フィルタユニット150の表面側(
図7Aの紙面手前側)に膨らむように湾曲する。フィルタユニット150は、装着面150aを内周面144に沿ってスライドさせることで、下部カバー140に装着されるように構成される。以下では、内周面144にフィルタユニット150が装着された状態を、装着状態とも称する。
【0027】
図7Aから
図7Cまでに示すように、フィルタユニット150は、可撓性のフィルタ枠151と、空気中の塵埃を捕捉するフィルタ152と、を備える。
【0028】
フィルタ枠151は、可撓性を有する樹脂材料によって形成される。フィルタ枠151は、互いに間隔をあけて配置される一対の縦枠部151aと、一対の縦枠部151aの上端部の間にまたがる上枠部151bと、一対の縦枠部151aの下端部の間にまたがる下枠部151cと、を備える。また、フィルタ枠151は、上枠部151bから下枠部151cに向けて伸びる縦リブ(中央リブ)151dと、一方の縦枠部151aから他方の縦枠部151aに向けて伸びる複数の横リブ151eと、を備える。
【0029】
一対の縦枠部151aは、第1方向に伸びるように形成される。第1方向とは、内周面144に対してフィルタユニット150を着脱(スライド)させる方向と平行な方向(後述の高さ方向)である。第1方向は、一例として、下部カバー140の軸方向(上下方向)を指す。
【0030】
上枠部151bは、一対の縦枠部151aの上端部間をつなぐ。上枠部151bは、第1方向からみて、内周面144に沿うように、湾曲状に形成される。なお、上枠部151bの曲率は、内周面144の曲率と同様の曲率、もしくは、内周面144の曲率よりもやや小さい曲率である。曲率とは、曲率半径の逆数である。これにより、フィルタ枠151(上枠部151b)を、内周面144側により密着させることができる。
【0031】
下枠部151cは、一対の縦枠部151aの下端部間をつなぐ。下枠部151cは、上枠部151bと同様に、第1方向からみて、内周面144に沿うように、湾曲状に形成される。下枠部151cの曲率は、上枠部151bの曲率と同様である。曲率とは、曲率半径の逆数である。これにより、フィルタ枠151(下枠部151c)を、内周面144側により密着させることができる。
【0032】
縦リブ151dは、一対の縦枠部151aと同様に、第1方向に伸びるように形成される。縦リブ151dは、各縦枠部151aからの対向する間隔が略等しくなるように、一対の縦枠部151a間の中央に配置されている。言い換えれば、一対の縦枠部151aは、縦リブ151dを挟んで、縦リブ151dから互いに離れる両側に設けられている。
【0033】
横リブ151eは、上枠部151b及び下枠部151cと同様に、第1方向から見て、内周面144に沿うように、湾曲状に形成される。横リブ151eは、一例として、第1方向に3つ並べて配置される。縦リブ151d及び各横リブ151eは、交差して配置されている。
【0034】
以上の構成において、フィルタ枠151は、一例として、曲板状に形成される。より具体的には、フィルタ枠151は、第1方向から見て、曲面状の外形を有し、内周面144と対向する方向(以下、第2方向とも称する)から見て、略矩形状の外形を有する。以上のように、フィルタ枠151は、曲板状に形成されているが、これに限らず、フィルタユニット150の取付部の形状に応じて形成されればよく、例えば、平板状に形成されてもよい。また、フィルタ枠151は、可撓性を有する樹脂から構成されているが、これに限らず、可撓性を有する材料から構成されていればよい。
【0035】
フィルタ152は、例えば、微細な網目状の構造を有しており、空気中に含まれる塵埃、花粉などのアレル物質、空気汚染の原因となる微小粒子状物質などを捕捉する。フィルタ152は、脱臭機能を有する素材で形成されてもよい。フィルタ152は、フィルタ枠151の外形とほぼ同等の大きさ、もしくは、外形よりもやや小さい略矩形状になるように形成される。フィルタ152は、フィルタ枠151に形成される複数の開口を覆うように、フィルタ枠151の適宜の箇所に、例えば、熱溶着等の手段により固定されている。
【0036】
図7Aから
図7Cまでに示すように、フィルタ枠151は、一対の突起部153と引掛部154とを備える。一対の突起部153は、内周面144に挿入して係止される。具体的には、一対の突起部153は、内周面144に形成される吸込口143(第1の開口部)に係止される。引掛部154は、内周面144にスライドして係止される。
【0037】
図7Aに示すように、一対の突起部153は、第1方向を高さ方向(
図7Aの上下方向)としたときの幅方向(
図7Aの左右方向)の両側に設けられる。より具体的には、一対の突起部153は、縦リブ151dを間に挟んで、縦リブ151dから互いに離れる両側に設けられる。突起部153は、一例として、一対の縦枠部151aの上部にそれぞれ設けられる。突起部153は、装着面150aから外側(第2方向)に突出するように設けられる。
【0038】
図7Bに示すように、引掛部154は、フィルタ枠151を内周面144の上端部に引っ掛ける部位である。引掛部154は、フィルタ枠151の幅方向の中央側に設けられる。引掛部154は、装着面150aの一部と、装着面150aの外側に位置し、装着面150aと対向する対向面154aと、を含む。より具体的には、引掛部154は、装着面150aの上端部と、対向面154aの上端部と、をつないで形成される。すなわち、引掛部154は、装着面150aの上端部からフィルタユニット150の表面側(
図7Bの左側)に向けて伸びた後、下方に向けて屈曲する形状を有する。
【0039】
図8Bに示すように、内周面144の上端部には、引掛部154を引っ掛けるための凸部161が設けられる。凸部161は、内周面144の一部が上方に向けて突出して設けられる。凸部161は、引掛部154を構成する装着面150aと、対向面154aとの間に形成される溝に挿入される。
【0040】
引掛部154を凸部161に引っ掛けた際の、装着面150aと内周面144との間隔は、少なくとも突起部153の装着面150aから突出する長さよりも短く設定される。すなわち、引掛部154を凸部161に引っ掛けた際に、一対の突起部153が内周面144に当接するように構成されている。
【0041】
図6及び
図8Bに示すように、内周面144の下端部には、フィルタ枠151の下端部を挿入する凹部(規制部)162が設けられる。凹部162は、内周面144の下端部と、内周面144よりも内側に設けられ、内周面144と対向する規制面162aと、で囲まれるように形成されている。内周面144と規制面162aとの対向する間隔は、凸部161に引掛部154を引っ掛けて、フィルタ枠151を下方にスライドした際に、フィルタ枠151の下端部を内周面144側に押圧できる程度の間隔を指す。すなわち、規制面162aは、フィルタ枠151をスライドさせる際に、フィルタ枠151の下端部が接触されることにより、フィルタ枠151の下端部を内周面144側に押圧するものである。規制部は、一例として、凹部162に形成されているが、これに限らず、少なくともフィルタ枠151の下端部と接触可能な規制面162aを有していればよい。
【0042】
図7Aに示すように、フィルタ枠151の下端部は、凹部162に挿入することができるように、周方向に間隔をあけて一対の切欠部155が形成されている。これにより、凹部162に挿入されたフィルタ枠151の下端部は周方向の移動を規制されるため、フィルタ枠151が内周面144に対してずれることなく、正しい位置に係止することが可能となる。
【0043】
図6及び
図8B及び
図8Cを用いて、フィルタユニット150の内周面144への装着手順について説明する。まず、フィルタ枠151の下端部を凹部162に挿入する。次に、引掛部154を凸部161に引っ掛ける。そして、凸部161が引掛部154を構成する溝に沿って挿入されると、フィルタ枠151が内周面144に沿って下方にスライドされる。このとき、フィルタ枠151の下端部が凹部162(規制面162a)に接触することで、一対の突起部153を内周面144に当接させながら下方にスライドしている。さらに、フィルタ枠151が下方にスライドされると、一対の突起部153が内周面144に押圧されながら、吸込口143に挿入され、吸込口143の上縁部に当接される。これにより、一対の突起部153が吸込口143に係止され、フィルタ枠151は、内周面144に係止される。一対の突起部153が係止される吸込口143は、複数の長孔143aのうち、最も上側に位置する長孔143aを指す。
【0044】
次に、フィルタユニット150の内周面144から外す手順について説明する。まず、引掛部154を凸部161から離れる方向(上方向)にスライドさせる。これにより、フィルタ枠151がたわむことにより、一対の突起部153の吸込口143への係止状態が解除される。ゆえに、引掛部154を凸部161に沿って上方にスライドさせることで、フィルタユニット150を内周面144から外すことができる。
【0045】
以上のように、フィルタ枠151を内周面144に沿ってスライドさせることで、内周面144に容易に着脱することができる。また、フィルタ枠151が可撓性であるため、フィルタ枠151のたわみを利用して、突起部153を吸込口143へ係止したり、突起部153の吸込口143への係止状態を解除したりすることができる。さらに、一対の突起部153は、縦リブ151dを間に挟んで、縦リブ151dから互いに離れる両側に設けられることで、フィルタ枠151を着脱する際に、一対の突起部153を裏側から押さえてしまい、内周面144からフィルタ枠151を外すことができないといった状況を回避することができ、着脱を容易にしている。なお、突起部153は内周面144に形成される吸込口143に係止されているが、これに限らず、突起部153は内周面144に挿入して係止できればよい。例えば、突起部153は、内周面144に形成される凹部、穴部、溝部等に挿入して係止されてもよい。
【0046】
また、引掛部154を凸部161に係止させる構成を有することで、フィルタ枠151の上端部が装着面150aから離れることを規制している。また、フィルタ枠151の下端部を凹部162に挿入させる構成を有することで、フィルタ枠151が装着面150aから離れることを規制している。さらに、一対の突起部153が吸込口143の上縁部に当接して係止される構成を有することで、フィルタ枠151が装着状態において、上方向にスライドされることを規制している。
【0047】
図7C及び
図8Cを用いて、突起部153について詳細に説明する。突起部153は、第1の傾斜面153aと第2の傾斜面153bと、を有する。第1の傾斜面153aは、フィルタ枠151(突起部153)のスライドにともなって、吸込口143(第1の開口部)に当接される。第2の傾斜面153bは、フィルタ枠151(突起部153)のスライドにともなって、内周面144の上縁部に当接される。第1の傾斜面153aと、第2の傾斜面153bとは、装着面150aからそれぞれ傾斜して設けられ、且つ装着面150aから離れるほど、互いに近づくように対向して設けられる。すなわち、突起部153は、周方向からみて、山形に形成される。
【0048】
第1の傾斜面153aの勾配は、第2の傾斜面153bの勾配よりも大きくなるように形成される。第1の傾斜面153aの勾配とは、装着面150aに対する直角又は鋭角の傾きを指す。第2の傾斜面153bの勾配とは、装着面150aに対する鋭角の傾きを指す。第1の傾斜面153aの勾配を、第2の傾斜面153bの勾配よりも大きくすることで、吸込口143に第1の傾斜面153aが当接した際に、吸込口143から第1の傾斜面153aが外れにくくなり、突起部153を吸込口143に着実に係止させることができる。また、内周面144の上縁部に第2の傾斜面153bが当接した際に、内周面144の上縁部への引っ掛かりを低減して、内周面144に突起部153を容易に導くことができる。なお、第2の傾斜面153bの勾配は、第1の傾斜面153aの勾配よりも小さくなるように形成されているが、これに限らず、突起部153を内周面144に容易にのりあげることが可能な構造であればよく、例えば内周面144側(例えば、内周面144の上縁部)に突起部153を案内するための傾斜を形成してもよい。この場合、第2の傾斜面153bの勾配は、第1の傾斜面153aの勾配よりも小さくなるように形成されていなくてもよい。
【0049】
図7B及び
図8Bに示すように、フィルタ枠151は第1の突部156を有する。第1の突部156は、装着面150aと反対側の面(以下、裏面150bと称する)に設けられ、かつ、一対の突起部153と表裏方向(第2方向)において重ならない位置から突出する。第1の突部156は、一例として、縦リブ151dの上端部からフィルタユニット150の裏面側(
図7Bの右側)に突出する。第1の突部156は、一対の突起部153と略同等の高さに設けられる。
【0050】
図7Bに示すように、第1の突部156は、第1方向に直交する方向に伸びる指掛面156aを有する。指掛面156aは、第1方向から見て、周方向に長い略矩形状に形成される。
【0051】
以上の構成において、指掛面156aに指をかけた際に、フィルタユニット150の幅方向(
図7Aの左右方向)の中央で第1方向(上下方向)に力を加えることが容易となるため、フィルタユニット150を内周面144から容易に引き上げることができる。また、指掛面156aが第1方向に直交する方向に伸びる面を有することで、フィルタユニット150を内周面144から外す方向を容易に把握することができる。そのため、ユーザはフィルタユニット150を内周面144から外す際の指標としても利用することができる。
【0052】
図6、
図9A及び
図9Bを用いて、第2の突部157について説明する。
図9Aは、下部カバー140が装着された機器本体110を示す側面図である。
図9Bは、
図9Aに示した下部カバー140が装着された機器本体110のX-X線断面図である。
図9A及び
図9Bでは、説明の便宜のため、上部カバー130について省略している。
【0053】
フィルタ枠151は、裏面150bから突出して設けられる第2の突部157を有する。第2の突部157は規制面157aを有する。規制面157aは、機器本体110がカバー120(下部カバー140)に係止された状態において、機器本体110と接触し、吸込口143及び一対の突起部153の係止状態を解除する方向(一例として、上方向)にスライドすることを規制する。
【0054】
図9Bに示すように、規制面157aは、一例として、機器本体110の挿入方向(ここでは、上下方向)と直交する方向に伸びる面からなる。規制面157aは、吸込口143から吸い込まれる空気に干渉しない位置に設けられる。規制面157aは、一例として、一方の縦枠部151aの上部から内側に突出している。
【0055】
機器本体110は、下部カバー140と係止された状態において、規制面157aと接触可能な押さえ板117を備える。押さえ板117は、機器本体110のファン吸込口111の上方の壁面に設けられる。押さえ板117は、機器本体110の壁面から下部カバー140に向けて突出して形成される。押さえ板117は、機器本体110の挿入方向と直交する方向に伸びる面を有する。
【0056】
以上の構成において、機器本体110が挿入され、下部カバー140に係止されると、機器本体110の押さえ板117が、フィルタユニット150の第2の突部157の規制面157aと接触する。これにより、フィルタユニット150が内周面144との係止状態を解除する方向(上方向)に動くことを規制することができる。ゆえに、例えば、予期せぬ振動等によって、フィルタユニット150に対して上方向に外力が働いたとしても、フィルタユニット150が内周面144から外れることを防止することができる。
【0057】
機器本体110は、下部カバー140に係止された状態において、内周面144と対向する間隔が、内周面144の周方向における端部から中央部にかけて広くなるように形成されている。これは、機器本体110のファン吸込口111が形成される面が平面状に形成されているのに対して、下部カバー140の内周面及びフィルタユニット150が曲面状に形成されているためである。
【0058】
機器本体110の左側面には、給電用のUSBポート118が設けられる(
図3参照)。USBポート118は、ファン吸込口111の上方の壁面に設けられる。USBポート118は、機器本体110の左側面と内周面144との対向する間隔が狭い一方の端部に設けられている。機器本体110と内周面144との対向する間隔が広い中央部は、USBポート118に接続されるUSB端子を有するケーブル(図示せず)を接続したり、取り回しを行ったりするスペースとして利用される。
【0059】
機器本体110の右側面には、押さえ板117が設けられる。押さえ板117は、機器本体110の右側面と内周面144との対向する間隔が狭い一方の端部に設けられている。第2の突部157は、押さえ板117に対応した位置、具体的には、機器本体110の右側面と対向する内周面144の周方向における一方の端部と対向する位置に設けられる。以上のように、機器本体110と内周面144との対向する間隔が狭い端部において、機器本体110とフィルタユニット150とを接触させるように構成することで、例えば、USBポート118に接続されるケーブルを取り回すためのスペースを圧迫することなく、有効に利用することができる。
【0060】
なお、フィルタユニット150は、下部カバー140に形成される取付部に着脱可能に設けられているが、これに限らず、上部カバー130や、一体的に成形されたカバーに形成される取付部に着脱可能に設けてもよい。また、フィルタユニット150は、ポータブル型空気清浄機100のような小型の送風装置に着脱可能に設けられることが望ましいが、これに限らず、外部と内部とを連通する開口部を有する壁部に取り付けられてもよい。
【0061】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0062】
100 空気清浄機、110 機器本体、120 カバー、140 下部カバー、143 吸込口(第1の開口部)、144 内周面(取付部)、150 フィルタユニット、150a 装着面、150b 裏面、151 フィルタ枠、151d 縦リブ(中央リブ)、153 一対の突起部、153a 第1の傾斜面、153b 第2の傾斜面、154 引掛部、156 第1の突部、156a 指掛面、157 第2の突部、157a 規制面、162 凹部(規制部)