(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】無線通信基地局装置、無線通信システム、信号判定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 28/04 20090101AFI20231011BHJP
H04W 4/70 20180101ALI20231011BHJP
H04W 72/21 20230101ALI20231011BHJP
H04B 17/309 20150101ALI20231011BHJP
【FI】
H04W28/04
H04W4/70
H04W72/21
H04B17/309
(21)【出願番号】P 2019124912
(22)【出願日】2019-07-04
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】丸山 邦総
【審査官】伊藤 嘉彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/026421(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0289205(US,A1)
【文献】国際公開第2018/030228(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/127591(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
H04B 17/309
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り返し送信期間
内で繰り返し無線送信される
N個(Nは2以上の整数)の同一信号を受信する無線受信部と、
前記繰り返し送信期間内
であって、前記N個の同一信号のうちの一部であるM個(Mは2以上の整数であってN>M)の同一信号を含む所定期間毎に、前記無線受信部での受信状況から前記所定期間内の
M個の前記同一信号が正常に受信できたか否かを判定する第1判定部と、
前記第1判定部において前記繰り返し送信期間内に得られた
複数の前記所定期間に関する複数の判定結果に基づいて、前記繰り返し送信期間で信号が正常に受信できたか否かを判定する第2判定部と、
を備えた、無線通信基地局装置。
【請求項2】
前記第2判定部は、前記複数の判定結果のうち
M個の前記同一信号が正常に受信できたことを示す判定結果の数が閾値を超えたか否かに基づいて、前記繰り返し送信期間で信号が正常に受信できたか否かを判定する、
請求項1に記載の無線通信基地局装置。
【請求項3】
前記第2判定部は、前記複数の判定結果を全て得る前に、前記閾値を超えた場合、前記繰り返し送信期間で信号が正常に受信できたと判定する、
請求項2に記載の無線通信基地局装置。
【請求項4】
前記第2判定部は、前記複数の判定結果を全て得る前に、前記閾値以下になることが算出された場合、前記繰り返し送信期間で信号が正常に受信できなかったと判定する、
請求項2又は3に記載の無線通信基地局装置。
【請求項5】
前記第1判定部は、前記同一信号毎に前記同一信号が正常に受信できたか否かを判定し、正常に受信できた前記同一信号の数が他の閾値を超えたか否かに基づき、前記所定期間内の
M個の前記同一信号が正常に受信できたか否かを判定する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の無線通信基地局装置。
【請求項6】
前記同一信号を前記所定期間について同相加算する加算部を備え、
前記第1判定部は、前記加算部で同相加算された
M個の前記同一信号について判定を行う、
請求項1から
4のいずれか1項に記載の無線通信基地局装置。
【請求項7】
前記所定期間を変更する変更部を備えた、
請求項1から6のいずれか1項に記載の無線通信基地局装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の無線通信基地局装置と、前記繰り返し送信期間内に
前記同一信号を繰り返し無線送信する端末装置と、を備えた無線通信システム。
【請求項9】
無線通信基地局装置が、繰り返し送信期間
内で繰り返し無線送信される
N個(Nは2以上の整数)の同一信号を受信する受信ステップと、
前記無線通信基地局装置が、前記繰り返し送信期間内
であって、前記N個の同一信号のうちの一部であるM個(Mは2以上の整数であってN>M)の同一信号を含む所定期間毎に、前記受信ステップでの受信状況から前記所定期間内の
M個の前記同一信号が正常に受信できたか否かを判定する第1判定ステップと、
前記無線通信基地局装置が、前記第1判定ステップにおいて前記繰り返し送信期間内に得られた
複数の前記所定期間に関する複数の判定結果に基づいて、前記繰り返し送信期間で信号が正常に受信できたか否かを判定する第2判定ステップと、
を備えた、信号判定方法。
【請求項10】
無線通信基地局装置における制御コンピュータに、
繰り返し送信期間
内で繰り返し無線送信される
N個(Nは2以上の整数)の同一信号を受信する受信ステップと、
前記繰り返し送信期間内
であって、前記N個の同一信号のうちの一部であるM個(Mは2以上の整数であってN>M)の同一信号を含む所定期間毎に、前記受信ステップでの受信状況から前記所定期間内の
M個の前記同一信号が正常に受信できたか否かを判定する第1判定ステップと、
前記第1判定ステップにおいて前記繰り返し送信期間内に得られた
複数の前記所定期間に関する複数の判定結果に基づいて、前記繰り返し送信期間で信号が正常に受信できたか否かを判定する第2判定ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信基地局装置、無線通信システム、信号判定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル通信においては、基地局と端末との間における通信の高速化・大容量化だけでなく、IoT(Internet of Things)サービス向けに端末の低価格化、カバレッジ広域化、低消費電力化が求められている。ここで、基地局は無線通信基地局装置を指し、端末は無線通信端末装置を指す。
【0003】
3GPP Release13仕様では、端末の低価格化、カバレッジ広域化、低消費電力化を実現するために、カテゴリM1とNB-IoTの2つのUEカテゴリがサポートされている。3GPPは3rd Generation Partnership Projectの略であり、NB-IoTはNarrow Band-IoTの略である。
【0004】
カテゴリM1は、端末の送受信帯域幅を1.08MHzに制限し、LTE(Long Term Evolution)帯域の一部を使用して送受信を行う。NB-IoTは、端末の送受信帯域を180KHzに制限し、LTE帯域内や帯域外を使用して送受信を行う。送受信帯域幅を制限することにより低価格化、低消費電力化が図られている。また、カテゴリM1、NB-IoTの端末は、複数のサブフレームにわたり、同一信号の送信を複数サブフレーム繰り返すことで、通信品質を向上させカバレッジ広域化を実現している。
【0005】
カテゴリM1について、上りリンクで用いられるチャネルには、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)等がある。ここで、PUSCHは、上りリンクデータ信号の送信に使用される。PUCCHは、下りACK/NACKや、CSI(Channel State Information)の報告、上りリンク帯域割り当て要求(SR:Scheduling Request)の送信に使用される。NB-IoTについて、上りリンクで用いられるチャネルには、NPUSCH(Narrowband Physical Uplink Shared Channel)等がある。NPUSCHには2つのフォーマットがあり、NPUSCH format1が上りリンクデータ信号送信に、NPUSCH format2が下りACK/NACKの報告に、それぞれ使用される。なお、NPUSCHは、CSIとSRをサポートしていない。
【0006】
ここで、下りACK/NACKは、基地局から送信された下りデータ信号のトランスポートブロックに対して、端末の受信した結果が誤りなし(ACK)、又は誤りあり(NACK)のいずれかを示す情報である。CSIは、下りリンクチャネル品質の測定結果を示す情報である。SRは、端末からの上りリンク帯域割り当て要求を示す情報である。
【0007】
下りACK/NACKについては、劣悪な伝搬状況により端末が下りデータ信号を受信できない場合、端末は基地局の意図したタイミングで下りACK/NACKを送信することができない。その理由は、下り制御信号を受信できなかった端末は、無線リソース割り当て情報を取得できず、下りデータ信号自体の受信処理を行えないためである。CSIについては、下りACK/NACKと送信タイミングが同じ場合、端末のオプションによっては、下りACK/NACKだけを送信するため、端末は、基地局が意図したタイミングでCSIを送信することができない。SRについては、上り信号の送信要求有無に応じて、端末がその送信、非送信を決定する。
【0008】
以上のように、カテゴリM1について、基地局は、端末が下りACK/NACK、CSI、SRを送信したか否かを認識することができない。そのため、カテゴリM1について、基地局は、PUCCHの受信の有無を推定し、PUCCHの送信なし(DTX:Discontinuous Transmission)、送信あり(非DTX)を判定する必要がある。NB-IoTについても同様に、基地局は、端末が下りACK/NACKを送信したか否かを認識できないため、NPUSCH format2の受信の有無を推定し、NPUSCH format2の送信なし、送信ありを判定する必要がある。ここでも、送信なしはDTX、送信ありは非DTXに該当する。
【0009】
ここで、各信号種別に対して、端末がそれらを送信していないDTX時に、基地局が非DTXを検出した場合の、基地局動作に対する影響を示す。下りACK/NACKについては、基地局が誤ってACKと認定した場合、端末がPDSCHを正しく受信できていないにも関わらず、基地局によるPDSCHの再送が行われなくなる。CSIについては、基地局は信頼度の低い回線状態情報を使用することになり、下りリンクに対し、適切なスケジューリングが行えなくなる。SRについては、上りリンクに対し、不必要にULリソース割り当ててしまうことになる。そのため、端末がPUCCHやNPUSCH format2を送信していない場合、基地局はできるだけ正しく当該信号のDTXを検出できるようにする必要がある。
【0010】
再送に関し、特許文献1には、無線アクセスネットワークのノードを動作させる方法が記載されている。特許文献1に記載の方法は、第1の送信時間間隔の期間に、無線アクセスネットワークからの第1及び第2のデータブロックを、それぞれMIMO無線チャネルの第1及び第2のMIMOレイヤで無線端末へ送信するステップを含む。なお、MIMOは、Multiple-Input And Multiple-Outputの略である。また、この方法は、第2のデータブロックについてのNACKメッセージの受信に応じて、第2の送信時間間隔についての下りリンク・シグナリングを、無線アクセスネットワークから無線端末へ送信するステップを含む。このステップでは、当該下りリンク・シグナリングは、第1のMIMOレイヤについてのDTXインジケータと、第2のMIMOレイヤについての再送データインジケータと、を含む。また、この方法は、第2のデータブロックについてのNACKメッセージの受信に応じて、第2の送信時間間隔の期間に、当該第2のデータブロックを、無線アクセスネットワークから第2のMIMOレイヤで無線端末へ再送するステップを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のDTX判定は、基地局が繰り返し送信された同一サブフレームを繰り返し送信期間(換言すれば判定対象期間)の最後まで受信した段階で行われている。しかしながら、電波環境などにより、繰り返し送信期間内の一部の区間(又はタイミング)において受信状態が特異的に悪く、他の区間において受信状態が良いといった現象が発生することがある。この現象は、狭帯域を使用するNB-IoTで顕著になることが予想される。よって、上述のようなDTX判定の手法では、上述のような場面において、一部の特異的な受信状態に影響を受けて、正常なDTX判定を行うことができない場合がある。なお、特許文献1に記載の方法は、このような問題を解決できるものではない。
【0013】
本開示の目的は、上述した課題を解決する無線通信基地局装置、無線通信システム、信号判定方法、及びプログラムを提供することにある。上記課題は、繰り返し送信期間で繰り返し無線送信される複数の同一信号について、繰り返し送信期間で信号が正常に受信できたか否かを高い精度で判定することを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示の第1の態様に係る無線通信基地局装置は、繰り返し送信期間で繰り返し無線送信される複数の同一信号を受信する無線受信部と、前記繰り返し送信期間内の所定期間毎に、前記無線受信部での受信状況から前記所定期間内の同一信号群が正常に受信できたか否かを判定する第1判定部と、前記第1判定部において前記繰り返し送信期間内に得られた複数の判定結果に基づいて、前記繰り返し送信期間で信号が正常に受信できたか否かを判定する第2判定部と、を備えた、ものである。
【0015】
本開示の第2の態様に係る信号判定方法は、無線通信基地局装置が、繰り返し送信期間で繰り返し無線送信される複数の同一信号を受信する受信ステップと、前記無線通信基地局装置が、前記繰り返し送信期間内の所定期間毎に、前記受信ステップでの受信状況から前記所定期間内の同一信号群が正常に受信できたか否かを判定する第1判定ステップと、前記無線通信基地局装置が、前記第1判定ステップにおいて前記繰り返し送信期間内に得られた複数の判定結果に基づいて、前記繰り返し送信期間で信号が正常に受信できたか否かを判定する第2判定ステップと、を備えた、ものである。
【0016】
本開示の第3の態様に係るプログラムは、無線通信基地局装置における制御コンピュータに、繰り返し送信期間で繰り返し無線送信される複数の同一信号を受信する受信ステップと、前記繰り返し送信期間内の所定期間毎に、前記受信ステップでの受信状況から前記所定期間内の同一信号群が正常に受信できたか否かを判定する第1判定ステップと、前記第1判定ステップにおいて前記繰り返し送信期間内に得られた複数の判定結果に基づいて、前記繰り返し送信期間で信号が正常に受信できたか否かを判定する第2判定ステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本開示により、上記課題を解決する無線通信基地局装置、無線通信システム、信号判定方法、及びプログラムを提供することができる。即ち、本開示によれば、繰り返し送信期間で繰り返し無線送信される複数の同一信号について、無線通信基地局装置において繰り返し送信期間で信号が正常に受信できたか否かを高い精度で判定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態1に係る無線通信基地局装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図2】比較例に係る無線通信基地局装置を示すブロック図である。
【
図3】
図2の無線通信基地局装置におけるDTX判定処理を示す概念図である。
【
図4】実施形態2に係る無線通信基地局装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図4の無線通信基地局装置におけるDTX判定処理の一例を示す概念図である。
【
図6】実施形態2に係る無線通信基地局装置における一部の処理例を説明するためのフロー図である。
【
図7】無線通信基地局装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図8】3GPP TS22.368 V13.2.0(2017-01-13) Annex Bの表を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。なお、実施形態において、同一又は同等の要素には、同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。また、以下に説明する図面には一方向性の矢印を描いている図面があるが、この矢印はある信号(データ)の流れの方向を端的に示したもので、双方向性を排除するものではない。
【0020】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る無線通信基地局装置の一構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る無線通信基地局装置1は、無線受信部1a、第1判定部1b、及び第2判定部1cを備える。
【0021】
無線受信部1aは、無線端末装置等から無線送信された信号を受信する機能を有することができ、そのため、受信ポートを有することができる。無論、無線通信基地局装置1は、無線受信部1aの他に図示しない送信ポートを有する無線送信部を備えること、或いはそれらを備える無線通信部を備えることもできる。
【0022】
そして、無線受信部1aは、繰り返し送信期間で繰り返し無線送信される同一信号を受信する。この同一信号は、繰り返し送信期間において、複数サブフレームにわたり繰り返し無線送信される信号である。つまり、送信側では、複数サブフレームにわたり、同一信号の送信を複数サブフレーム繰り返すことになる。上記同一信号は、例えば制御信号とすることができる。
【0023】
第1判定部1bは、繰り返し送信期間内の所定期間毎に、無線受信部1aでの受信状況から所定期間内の同一信号群が正常に受信できたか否かを判定する。つまり、第1判定部1bは、無線受信部1aで所定期間内に受信した信号において、所定期間内に正常に受信された同一信号群の有無を判定する。各同一信号についての受信状況は、例えば、無線受信部1aにおけるその同一信号の受信品質を測定し、その受信品質が良いか否かで判定することで得ることができる。第1判定部1bは、所定期間毎の判定結果を第2判定部1cに渡す。
【0024】
第2判定部1cは、第1判定部1bにおいて繰り返し送信期間内に得られた複数の判定結果に基づいて、繰り返し送信期間で信号が正常に受信できたか否かを判定する。つまり、第2判定部1cは、第1判定部1bで得た複数の判定結果に基づき、繰り返し送信期間に無線送信された信号に対応する受信信号であって正常に受信された信号である正常受信信号の有無を判定する。なお、第2判定部1cが第1判定部1bによる判定結果を得て最終的に正常受信信号の有無を判定することから、第1判定部1bはその仮判定を行う仮判定部と該当するとも言える。
【0025】
なお、第1判定部1b及び第2判定部1cは、無線通信基地局装置1の全体を制御する制御部に含めることができる。この制御部は、例えば、集積回路(Integrated Circuit)によって実現することができる。また、上記制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、作業用メモリ、及び無線通信基地局装置1の全体を制御するための上記プログラムを記憶した不揮発性の記憶装置などによって実現することもできる。無論、第1判定部1b、第2判定部1cの少なくとも一方を含む部位だけでも、集積回路によって、或いは、CPU、作業用メモリ、及び記憶装置によって、構成することができる。
【0026】
本実施形態によれば、繰り返し送信期間で繰り返し無線送信される複数の同一信号について、無線通信基地局装置1において繰り返し送信期間で信号が正常に受信できたか否かを高い精度で判定することが可能になる。また、本実施形態では、無線通信基地局装置1と、繰り返し送信期間内に繰り返し同一信号を無線送信する端末装置と、を備えることで、このような効果を奏する無線通信システムを構築することができる。この端末装置としては、例えばユーザ端末、移動端末、モバイルデバイス、無線端末などが適用できる。
【0027】
ここで、カテゴリM1、NB-IoTを含むIoT通信方式におけるDTX(Discontinuous Transmission)判定処理を例に挙げて説明する。本実施形態では、DTX判定を行う区間(判定対象区間)を小区間(例えばM個のサブフレームでなる小区間)毎に分け、各小区間においてDTX仮判定を行い、これらのDTX仮判定結果に基づいてDTXの最終判定を行い、DTX最終判定結果を得る。なお、Mは2以上の整数である。また、小区間は短区間と称することもできる。
【0028】
このようなDTX判定処理の採用により、電波環境等により一部に特異的な受信結果が生じ、正常な受信結果と混在するような場合でも、前者の受信結果に引きずられないこと、つまり前者の受信結果がDTX判定処理の全体に及ぼす影響を軽減することができる。これにより高い精度でDTX判定を行うことができる。つまり、このDTX判定処理では、同一信号の繰り返し送信を行うに際し、伝搬環境や、セル間、ユーザ間の干渉レベルなどがダイナミックに変動して受信品質が劣化したようなサブフレームが存在した場合でも、高い精度でDTX判定を行うことができる。また、本実施形態では、繰り返し送信された信号に対し、繰り返し送信期間内にDTX判定を複数回実施することになるため、この点でも判定精度を向上させることができると言える。
【0029】
なお、本実施形態は、カテゴリM1、NB-IoTを含むIoT通信方式だけでなく、及び同一サブフレームの送信等の同一信号の送信を繰り返し行う無線通信方式において同様に適用できる。
【0030】
<実施形態2>
実施形態2について、
図2~
図6を併せて参照しながら、実施形態1との相違点を中心に説明するが、実施形態1で説明した様々な例が適用できる。
【0031】
本実施形態について説明するに先立ち、
図2及び
図3を参照しながら、比較例に係る無線通信基地局装置について簡単に説明する。
図2は、比較例に係る無線通信基地局装置を示すブロック図である。
図3は、
図2の無線通信基地局装置におけるDTX判定処理を示す概念図である。
【0032】
図2に示す比較例に係る無線通信基地局装置100は、カテゴリM1、NB-IoT等のIoT信号を受信する受信機である。無線通信基地局装置100は、A/D変換部101、CP(Cyclic Prefix)除去部102、FFT(Fast Fourier Transform)部103、及びサブキャリアデマッピング部104を備える。さらに、無線通信基地局装置100は、チャネル推定部105、復調部106、受信品質測定部107、合成部108、メモリ109、スケジューラ110、復号部111、及びDTX判定部114を備える。
【0033】
A/D変換部101は、図示しないアンテナ等により受信した受信信号であって、伝搬路などの影響を受けた時間領域の受信信号を、デジタル信号に変換し、CP除去部102に出力する。CP除去部102は、CPに相当する部分を、デジタル変換された受信信号から除去して有効な信号部分を抽出し、FFT部103に出力する。FFT部103は、CP除去された受信信号にFFT処理を施すことで、時間領域から周波数領域の受信信号に変換し、サブキャリアデマッピング部104に出力する。
【0034】
サブキャリアデマッピング部104は、FFT部103から出力された周波数領域の受信信号から、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)信号を抽出する。若しくは、サブキャリアデマッピング部104は、FFT部103から出力された周波数領域の受信信号から、NPUSCH(Narrowband Physical Uplink Shared Channel)信号を抽出する。前者がカテゴリM1に対応の場合、後者がNB-IoTに対応の場合であり、以下、同様とする。サブキャリアデマッピング部104は、抽出した信号をチャネル推定部105及び復調部106に出力する。
【0035】
チャネル推定部105は、PUCCH又はNPUSCHの復調用のリファレンス信号を用いて、PUCCH又はNPUSCHのチャネル推定値を求め、復調部106に出力する。チャネル推定値は、例えば、信号が無線チャネルを経由した際に受けた減衰量及び位相回転量などを推定した値とすることができる。
【0036】
復調部106は、チャネル推定部105で生成したチャネル推定値を用いて、PUCCH信号又はNPUSCH信号に対して伝搬路変動などに起因する信号歪みを補正し、復調信号を生成し、受信品質測定部107及び合成部108に出力する。
【0037】
受信品質測定部107は、復調信号に対するSINR(Signal to Noise Interference Ratio)などの、受信信号の受信品質を測定し、合成部108に出力する。合成部108は、最大繰り返しサブフレーム数Nだけ繰り返し受信した同一信号についての復調信号を入力し、それらを合成する。ここで、Nは2以上の整数である。Nはスケジューラ110から指定される値とすることができる。スケジューラ110は、サブフレームの時間単位、つまりTTI(Transmission Time Interval)で合成タイミングを決定し、合成部108に伝える。
【0038】
合成部108は、逐次、合成した信号をメモリ109に出力する。メモリ109は、合成部108から出力される合成信号を保持し、合成部108からのRead要求に応じて、保持データを出力する。合成部108は、メモリ109と連動し、サブフレーム数N分だけ合成した後の合成信号(合成後信号)を生成することになる。合成部108は、その合成信号を復号部111及びDTX判定部114に出力する。
【0039】
復号部111は、合成部108からの合成信号に対して復号処理を行い、復号結果を他の図示しない部位又は外部に出力する。
【0040】
DTX判定部114は、合成部108からの合成信号に対してDTX判定を行い、その判定結果を他の図示しない部位又は外部に出力する。
図3で例示するように、12サブフレームにわたり、同一信号の送信が繰り返される場合において、6番目のサブフレームの信号を受信した際にその受信品質が異常値を示した場合を想定する。このような場合、DTX判定部114では、異常値を含む信号を全区間(
図3の例における12サブフレームの区間)で合成した合成信号により判定がなされるため、この異常値が悪影響を及ぼし、DTXの判定精度が劣化し易い。
【0041】
次に、
図4及び
図5を併せて参照しながら、本実施形態に係る無線通信基地局装置の一構成例について説明する。
図4は本実施形態に係る無線通信基地局装置の一構成例を示すブロック図で、
図5は
図4の無線通信基地局装置におけるDTX判定処理の一例を示す概念図である。
【0042】
図4に示す本実施形態に係る無線通信基地局装置10は、カテゴリM1、NB-IoT等のIoT信号を受信する受信機とすることができる。無線通信基地局装置10は、無線受信部1aの一例として、図示しないアンテナ、A/D変換部11、CP除去部12、FFT部13、サブキャリアデマッピング部14、チャネル推定部15、復調部16、及び受信品質測定部17を備えることができる。これらの部位については比較例に係る無線通信基地局装置100の同名の部位と同様であり、その説明を省略する。但し、復調部16は、生成した復調信号を受信品質測定部17及び合成部18だけでなく短区間合成部22にも出力し、受信品質測定部17は、測定した受信品質を、合成部18だけでなく短区間合成部22にも出力する。
【0043】
また、無線通信基地局装置10は、合成部18、メモリ19、スケジューラ20、及び復号部21を備えることができる。さらに、無線通信基地局装置10は、短区間合成部22、短区間メモリ23、第1判定部1bの一例としてのDTX判定部24、及び第2判定部1cの一例としてのDTX最終判定部25を備えることができる。DTX判定部24は、短区間合成部22とDTX最終判定部25との間に設けられている。
【0044】
合成部18は、最大繰り返しサブフレーム数Nだけ繰り返し受信した同一信号についての復調信号を入力し、それらを合成する。ここで、Nはスケジューラ20から指定される値とすることができ、繰り返し送信期間内に無線送信されるサブフレーム数を示す値とすることができる。スケジューラ20は、サブフレームの時間単位、つまりTTIで合成タイミングを決定し、合成部18及び短区間合成部22に伝える。
【0045】
合成部18は、逐次、合成した信号をメモリ19に出力する。メモリ19は、合成部18から出力される合成信号を保持し、合成部18からのRead要求に応じて、保持データを出力する。合成部18は、メモリ19と連動し、サブフレーム数N分だけ合成した後の合成信号(合成後信号)を生成することになる。合成部18は、その合成信号を復号部21に出力する。合成部18及び後述する短区間合成部22において、合成とは同相加算することを指す。なお、同相加算の手法は既知の技術を用いることができる。復号部21は、復号部111と同様に、合成部18からの合成信号に対して復号処理を行い、復号結果を他の図示しない部位又は外部に出力する。
【0046】
スケジューラ20は、上述したようにサブフレームを示すTTIを指定することができるとともに、短区間サブフレーム数Mを指定することができる。短区間合成部22は、合成部18が合成するN個のサブフレームをスケジューラ20から指定された短区間サブフレーム数Mで分割した区間(M個のサブフレームでなる小区間)の復調信号、つまりM個の復調信号を合成する。
【0047】
具体的には、短区間合成部22は、逐次、合成した信号を短区間メモリ23に出力する。短区間メモリ23は、短区間合成部22から出力される信号を保持し、短区間合成部22からのRead要求に応じて、保持データを出力する。短区間合成部22は、短区間メモリ23と連動し、サブフレーム数Mだけ合成した後の合成信号(合成後信号)を生成することになる。短区間合成部22は、その合成信号をDTX判定部24に出力する。
【0048】
ここでは、繰り返し送信期間が示す全区間を短区間に分け、各短区間には所定数(ここではM個)のサブフレームの信号があることを前提として説明しているが、各小区間にある信号数を可変とすることもできる。つまり、Mは可変とすることができる。例えば、Mは受信品質等に応じて動的に変えるようにしてよい。そのために、無線通信基地局装置10は、所定期間(ここではM個のサブフレーム分の期間)を変更する変更部を備えるとよい。この変更部は、無線受信部1aでのサブフレームの信号の受信品質に応じて動的に変更するものとすることができる。但し、この変更部は、このような動的な変更を行うこと、或いはユーザにより手動で変更する操作を受け付けて変更すること、或いはそれらの双方の変更を可能とすることができる。この変更部は、スケジューラ20で例示することができ、その場合、例えば受信品質測定部17が受信品質をスケジューラ20へも出力するようにしておけばよい。
【0049】
DTX判定部24は、短区間合成部22からのM個のサブフレームの合成信号に対してDTX判定を行い、その判定結果をDTX最終判定部25に出力する。DTX判定部24は、例えば、まずサブフレーム毎にサブフレームが正常に受信できたか否かを判定する。そして、DTX判定部24は、例えば、正常に受信できたサブフレームの数が閾値(便宜上、第1閾値と称する)を超えたか否かに基づき、上記所定期間内のサブフレーム群が正常に受信できたか否かを判定することができる。なお、ここでの判定結果に関し、正常に受信できた数を第1閾値と比較するものとして説明しているが、これは、異常であると判定された数をそれに対応する閾値と比較することと技術的に同義であると言え、いずれを採用することもできる。
【0050】
DTX最終判定部25は、Mサブフレーム毎の複数のDTX判定結果を保持し、当該複数のDTX判定結果を用いて、最終的なDTX判定を行う。DTX最終判定部25は、DTX最終判定を行った結果を他の図示しない部位又は外部に出力する。また、DTX最終判定部25は、そのDTX最終判定結果を復号部21に通知するようにし、復号部21は、DTX最終判定結果を取得した段階で、復号処理を開始する、或いは不要な部分を削除するなどの後処理を行うこともできる。上記段階は、例えばその繰り返し送信期間で受信した信号(繰り返し送信期間内の信号)が非DTXであるとの結果を得た段階などを指す。
【0051】
上記複数のDTX判定結果はN/M(但し小数点は切り捨て)個のDTX判定結果、つまりfloor(N/M)個のDTX判定結果を指すことができる。DTX最終判定部25は、例えば、floor(N/M)個の判定結果のうちサブフレーム群が正常に受信できたことを示す判定結果の数が他の閾値(便宜上、第2閾値と称する)を超えたか否かに基づき、最終的な判定処理を行う。ここでの判定処理は、繰り返し送信期間で信号が正常に受信できたか否かを判定する処理を指す。正常に受信できた場合が、非DTXに該当し、そうでなかった場合(劣悪であった場合)がDTXに該当する。なお、判定結果に関し、正常に受信できた数を第2閾値と比較するものとして説明しているが、これは、異常であると判定された数をそれに対応する閾値と比較することと技術的に同義であると言え、いずれを採用することもできる。
【0052】
このような構成により、例えば次のような判定がなされる。
図5で例示するように、
図3の例と同様に、12サブフレームにわたり、同一信号の送信が繰り返される場合において、6番目のサブフレームの信号を受信した際にその受信品質が異常値を示した場合を想定する。また、
図5では、一例として、上述のようにN=12の場合で、且つM=4の場合における、タイミングを示している。
【0053】
このような場合、DTX判定部24では、第1~第4のサブフレームでなるサブフレーム群について、第5~第8のサブフレームでなるサブフレーム群について、並びに第9~第12のサブフレームでなるサブフレーム群について、個別に仮DTX判定を行う。例えば、それぞれのサブフレーム群の区間についての仮判定結果は、非DTX、DTX、非DTXとなる。その後、これらの3つの判定結果を得て、DTX最終判定部25が繰り返し送信期間(全区間)についての最終なDTX判定を行う。DTX最終判定部25での判定基準は、DTX判定部24でのサブフレーム群毎の仮DTX判定を経ているため、緩く設定し易くなる。よって、無線通信基地局装置10では、
図3で示したような異常値を含む信号を全区間(12サブフレームの区間)で合成した合成信号により判定がなされる比較例とは異なり、サブフレーム1つの異常値が悪影響を及ぼし難いようなDTX判定が可能となる。
【0054】
次に、
図6を併せて参照しながら、無線通信基地局装置10における具体的な処理例として、短区間合成部22における或るサブフレームに対する処理例を挙げて説明する。
図6は、本実施形態に係る無線通信基地局装置10における一部の処理例を説明するためのフロー図である。
【0055】
まず、短区間合成部22は、i=1か否かを判定する(ステップS1)。ここで、iは、現在のサブフレームについて、同一サブフレームの信号(同一信号)が繰り返されている回数(繰り返し回数)を示す正の整数である。このパラメータiは、スケジューラ20から設定されることができ、1≦i≦N(M≦N)、或いは1≦i≦Mとすることができる。前者の場合、iは繰り返し送信期間における繰り返し回数を指し、後者の場合、iは1つのサブフレーム群(4つのサブフレームでなる1つのサブフレーム群内で見た場合の繰り返し回数を指すことになる。
【0056】
ステップS1での判定は、新規の信号であるか否かの判定に該当する。i=1の場合(ステップS1でYESの場合)、新規の信号であって短区間メモリ23に同一信号がWriteされていないことを示すため、短区間合成部22は、内部に保持するWriteフラグを0にする(ステップS2)。
【0057】
次に、短区間合成部22は、受信品質測定部17から通知される現在のサブフレームの復調信号に対するSINR等の受信品質測定結果を、受信判定閾値(Th)と比較する(ステップS3)。このThは、短区間合成部22が予め保持する値、或いは外部から設定された値とすることができる。ステップS3において、短区間合成部22は、受信品質測定結果がTh以下であるか否かを判定する。
【0058】
受信品質測定結果がTh以下の場合(ステップS3でYESの場合)、短区間合成部22は、受信品質が劣悪であると判断し、復調信号を破棄する(ステップS4)。
【0059】
一方で、受信品質測定結果がThより大きい場合(ステップS3でNOの場合)、短区間合成部22は、Writeフラグが1であるか否かを判定する(ステップS5)。Writeフラグが0である場合(ステップS5でNOの場合)、短区間合成部22は、現在のサブフレームの復調信号をそのまま短区間メモリ23に書き込み、Writeフラグを1にする(ステップS8)。一方、Writeフラグが1である場合(ステップS5でYESの場合)、短区間合成部22は、同一信号の復調信号を短区間メモリ23から読み出し(ステップS6)、現在のサブフレームの復調信号と合成する(ステップS7)。このように、ステップS7はステップS3でYESの場合には実行されないことになり、劣悪ではないサブフレームについての復調信号のみが合成されることになる。その後、短区間合成部22は、短区間メモリ23に合成後の復調信号を書き込み、Writeフラグを1にする(ステップS8)。
【0060】
ステップS8に続き、短区間合成部22は、iのMによる剰余が0であるか否かを判定する(ステップS9)。ステップS4の信号破棄処理後もステップS9の処理がなされる。ステップS9でNOの場合、つまりiのMによる剰余が0ではない場合、当該サブフレームについての処理を終える。
【0061】
一方、iのMによる剰余が0である場合(ステップS9でYESの場合)、短区間合成部22は、Writeフラグが1であるか否かを判定する(ステップS10)。Writeフラグが1である場合(ステップS10でYESの場合)、短区間合成部22は、合成後の信号をDTX判定部24に出力し(ステップS11)、Writeフラグを0に設定する(ステップS12)。
【0062】
Writeフラグが1ではない場合(ステップS10でNOの場合)、短区間合成部22は、合成後の信号を必ずDTXと判定される信号に置き換えてDTX判定部24に出力する(ステップS13)。このような置き換え出力により、ステップS3でYESとなった(対象のサブフレームの受信品質が劣悪であった)結果として、短区間メモリ23に対象のサブフレームの信号が書き込まれていないことを示すことができる。必ずDTXと判定される信号とは、例えば、オール0の信号とすることができる。ステップS12,S13の処理後はいずれも当該サブフレームについての処理を終える。
【0063】
続いて、DTX最終判定部25における処理例について説明する。
DTX最終判定部25は、DTX判定部24から出力される最大N/M回分のDTX判定結果を保持する。なお、上述したように、N/Mが整数とならない場合、N/M回は小数点以下を切り捨てた整数とすればよい。DTX最終判定部25は、その中から、非DTXと判定された回数が第2閾値を超えた場合、最終的にその繰り返し送信期間内の信号が非DTXであると判定する。第2閾値は、DTX最終判定部25が予め保持する値、或いは外部から設定された値とすることができる。一方、非DTXと判定された回数が第2閾値以下であった場合、DTX最終判定部25は、最終的にその繰り返し送信期間内の信号がDTXであると判定する。無論、上述したように、DTX最終判定部25は、DTXと判定された回数がDTX判定回数閾値(例えば第2閾値とfloor(N/M)とに応じた閾値)以上であった場合、最終的にその繰り返し送信期間内の信号がDTXであると判定することもできる。この例におけるDTX最終判定部25は、DTX判定回数閾値未満であった場合、最終的にその繰り返し送信期間内の信号が非DTXであると判定することができる。
【0064】
以上に説明したように、本実施形態では、DTX判定部24での閾値処理を経た後にDTX最終判定部25での閾値処理によりDTX/非DTXの判定を行うことができる。よって、本実施形態によれば、実施形態1による効果に加えて、各閾値処理での閾値を適切に設定することで繰り返し送信期間の全体を対象とした場合に正常に信号が受信できたか否かの判定を高い精度で実施することができ、また閾値の設定も適切に行い易くなる。さらに、本実施形態では、Mを変更する変更部を備えることで、より受信状態に合った設定を行うことができるようになる。なお、本実施形態は、実施形態1と同様に、カテゴリM1、NB-IoTを含むIoT通信方式、及び同一信号の送信を繰り返し行う無線通信方式において同様に適用できる。
【0065】
また、短区間合成部22で例示したように、無線通信基地局装置10は、サブフレームを所定期間(ここではM個のサブフレーム分の期間)について同相加算する加算部を備えることが好ましい。この加算部は、サブフレームを合成するため合成部と称することもできる。そして、無線通信基地局装置10がこの加算部を備える場合、DTX判定部24で例示した第1判定部1bは、この加算部で同相加算されたサブフレーム群について判定を行うことが好ましい。
【0066】
例として、繰り返し送信期間で100サブフレームにわたり同一信号が繰り返し送信される場合において、100サブフレームを100区分に分けて得た100回のDTX仮判定結果に基づいて、1つの最終結果を出す場合を挙げる。この例の場合には、100回分の仮判定が終わるまで次の動作に進めない。そのため、例えば、連続して何回か良い結果が得られた場合、その結果を最終結果とみなして、残りの判定を行わずに、次の動作に進むこともできる。これにより、復号部21がDTX最終判定結果を取得した段階で復号処理を開始する又は不要な部分を削除するなどの後処理を行う場合、DTX最終判定結果をより早く取得し復号処理を進めることができる。
【0067】
換言すれば、DTX最終判定部25は、例えば、floor(N/M)個の判定結果を全て得る前に、第2閾値を超えた場合、繰り返し送信期間で信号が正常に受信できた(受信良好である)と判定することもできる。つまり、DTX最終判定部25は、floor(N/M)回分の判定結果を得る前に、{(第2閾値)+1}と等しい数だけDTXと判定されなかった場合、最終的に非DTXと判定することができる。
【0068】
また、この判定と併せて又はこの判定とは別に次のような判定を行うこともできる。すなわち、DTX最終判定部25は、例えば、floor(N/M)個の判定結果を全て得る前に、第2閾値以下になることが算出された場合(判明した場合)、繰り返し送信期間で信号正常に受信できなかったと判定することもできる。つまり、DTX最終判定部25は、floor(N/M)回分の判定結果を得る前に、{floor(N/M)-((第2閾値)-1)}回、DTXと判定した場合、最終的にDTXと判定することができる。
【0069】
これらについて、DTX判定回数閾値(例えば第2閾値とfloor(N/M)とに応じた閾値)を用いた閾値処理の例を挙げる。DTX最終判定部25は、floor(N/M)回分の判定結果を得る前に、DTX判定回数閾値と等しい数だけ、DTXと判定した場合、最終的にDTXと判定することができる。また、DTX最終判定部25は、floor(N/M)回分の判定結果を得る前に、{floor(N/M)-((DTX判定回数閾値)-1)}回、DTXと判定されなかった場合、最終的に非DTXと判定することができる。
【0070】
<他の実施形態>
[a]
実施形態1では、
図1に示す無線通信基地局装置1の無線受信部1a、第1判定部1b、及び第2判定部1cの機能について説明したが、無線通信基地局装置1としてこれらの機能が実現できればよい。同様に、実施形態2では、
図4に示す無線通信基地局装置10内の各構成要素の機能について説明したが、無線通信基地局装置としてこれらの機能が実現できればよい。
【0071】
[b]
実施形態1又は2に係る無線通信基地局装置は、次のようなハードウェア構成を有していてもよい。
図7は、実施形態1又は2に係る無線通信基地局装置のハードウェア構成の一例を示す図である。なお、上記他の実施形態[a]についても同様である。
【0072】
図7に示す無線通信基地局装置70は、プロセッサ71、メモリ72、及び通信インターフェース(I/F)73を有する。プロセッサ71は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processor Unit)、又はCPUなどであってもよい。プロセッサ71は、複数のプロセッサを含んでもよい。メモリ72は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。実施形態1又は2で説明した無線通信基地局装置における機能は、プロセッサ71がメモリ72に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより実現される。この際、情報の入出力は図示しない入出力インターフェースを介して行うことができ、他の装置との情報の送受は通信I/F73を介して行うことができる。
【0073】
上記プログラムは、無線通信基地局装置における制御コンピュータに、次のような受信ステップ、第1判定ステップ、及び第2判定ステップを実行させるためのプログラムとすることができる。上記受信ステップは、繰り返し送信期間で繰り返し無線送信される複数の同一信号を受信する。上記第1判定ステップは、上記繰り返し送信期間内の所定期間毎に、上記受信ステップでの受信状況から上記所定期間内の同一信号群が正常に受信できたか否かを判定する。上記第2判定ステップは、上記第1判定ステップにおいて上記繰り返し送信期間内に得られた複数の判定結果に基づいて、上記繰り返し送信期間で信号が正常に受信できたか否かを判定する。なお、その他の例については、上述した様々な実施形態で説明した通りである。
【0074】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。さらに、この例は、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/Wを含む。さらに、この例は、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0075】
[c]
さらに、上述した様々な実施形態において、無線通信基地局装置又は無線通信システムにおける信号判定方法の手順を例示したように、本開示は、信号判定方法としての形態も採り得る。この信号判定方法は、次のような受信ステップ、第1判定ステップ、及び第2判定ステップを備える。上記受信ステップは、無線通信基地局装置が、繰り返し送信期間で繰り返し無線送信される複数の同一信号を受信する。上記第1判定ステップは、無線通信基地局装置が、上記繰り返し送信期間内の所定期間毎に、上記受信ステップでの受信状況から上記所定期間内の同一信号群が正常に受信できたか否かを判定する。上記第2判定ステップは、無線通信基地局装置が、上記第1判定ステップにおいて上記繰り返し送信期間内に得られた複数の判定結果に基づいて、上記繰り返し送信期間で信号が正常に受信できたか否かを判定する。なお、その他の例については、上述した様々な実施形態で説明した通りである。
【0076】
[d]
本明細書における、ユーザ端末(User Equipment:UE)(もしくは移動局(mobile station)、移動端末(mobile terminal)は、無線インターフェースを介して、ネットワークに接続されたエンティティである。同様に、モバイルデバイス(mobile device)、又は無線端末(wireless device)などを含む)も、無線インターフェースを介して、ネットワークに接続されたエンティティである。
【0077】
本明細書のUEは、専用の通信装置に限定されるものではなく、本明細書中に記載されたUEとしての通信機能を有する次のような任意の機器であっても良い。
【0078】
用語として「(3GPPで使われる単語としての)ユーザ端末(User Equipment、UE)」、「移動局」、「移動端末」、「モバイルデバイス」、「無線端末」のそれぞれは、一般的に互いに同義であることを意図している。これらは、ターミナル、携帯電話、スマートフォン、タブレット、セルラIoT端末、IoTデバイス、などのスタンドアローン移動局であってもよい。なお用語としての「UE」、「無線端末」は、長期間にわたって静止している装置も包含することが理解されよう。
【0079】
またUEは、例えば、生産設備・製造設備及び/又はエネルギー関連機械(一例として次のようなものが挙げられる)であっても良い。例えば、ボイラー、機関、タービン、ソーラーパネル、風力発電機、水力発電機、火力発電機、原子力発電機、蓄電池、原子力システム、原子力関連機器、重電機器、真空ポンプなどを含むポンプ、圧縮機、ファン、送風機が挙げられる。さらに例えば、油圧機器、空気圧機器、金属加工機械、マニピュレータ、ロボット、ロボット応用システム、工具、金型、ロール、搬送装置、昇降装置、貨物取扱装置、繊維機械、縫製機械、印刷機、印刷関連機械、紙工機械、化学機械が挙げられる。さらに例えば、鉱山機械、鉱山関連機械、建設機械、建設関連機械、農業用機械及び/又は器具、林業用機械及び/又は器具、漁業用機械及び/又は器具、安全及び/又は環境保全器具、トラクター、軸受、精密ベアリング、チェーン、歯車(ギアー)が挙げられる。さらに例えば、動力伝動装置、潤滑装置、弁、管継手が挙げられる。さらに例えば、上記で述べた任意の機器又は機械のアプリケーションシステム、又は、上記アプリケーションシステムと上記で述べた任意の機器又は機械との組合せなどが挙げられる。
【0080】
またUEは、例えば、輸送用装置(一例として、車両、自動車、二輪自動車、自転車、列車、バス、リヤカー、人力車、船舶(ship and other watercraft)、飛行機、ロケット、人工衛星、ドローン、気球など)であっても良い。
【0081】
またUEは、例えば、情報通信用装置(一例として、電子計算機及び関連装置、通信装置及び関連装置、電子部品など)であっても良い。
【0082】
またUEは、例えば、冷凍機、冷凍機応用製品及び装置、商業及びサービス用機器、自動販売機、自動サービス機、事務用機械及び装置、民生用電気・電子機械器具であっても良い。民生用電気・電子機械器具としては、一例として音声機器、スピーカー、ラジオ、映像機器、テレビ、オーブンレンジ、炊飯器、コーヒーメーカー、食洗機、洗濯機、乾燥機、扇風機、換気扇及び関連製品、掃除機などが挙げられる。
【0083】
またUEは、例えば、電子応用システム又は電子応用装置(一例として、X線装置、粒子加速装置、放射性物質応用装置、音波応用装置、電磁応用装置、電力応用装置など)であっても良い。
【0084】
またUEは、例えば、電球、照明、計量機、分析機器、試験機及び計測機械(一例として、煙報知器、対人警報センサ、動きセンサ、無線タグなど)、時計(watch又はclock)、理化学機械、光学機械であっても良い。またUEは、医療用機器及び/又は医療用システム、武器、利器工匠具、又は手道具などであっても良い。
【0085】
またUEは、例えば、無線通信機能を備えたパーソナルデジタルアシスタント又は装置(一例として、無線カードや無線モジュールなどを取り付けられる、もしくは挿入するよう構成された電子装置)であっても良い。この電子装置としては、例えば、パーソナルコンピュータや電子計測器などが挙げられる。
【0086】
またUEは、例えば、有線や無線通信技術を使用した「あらゆるモノのインターネット(IoT:Internet of Things)」において、以下のアプリケーション、サービス、ソリューションを提供する装置又はその一部であっても良い。
【0087】
IoTデバイス(もしくはモノ)は、デバイスが互いに、及び他の通信デバイスとの間で、データ収集及びデータ交換することを可能にする適切な電子機器、ソフトウェア、センサ、ネットワーク接続、などを備える。
【0088】
またIoTデバイスは、内部メモリの格納されたソフトウェア指令に従う自動化された機器であっても良い。
【0089】
またIoTデバイスは、人間による監督又は対応を必要とすることなく動作しても良い。
またIoTデバイスは、長期間にわたって備え付けられている装置及び/又は、長期間に渡って非活性状態(inactive)状態のままであっても良い。
【0090】
またIoTデバイスは、据え置き型な装置の一部として実装され得る。IoTデバイスは、非据え置き型の装置(例えば車両など)に埋め込まれ得る、又は監視される/追跡される動物や人に取り付けられ得る。
【0091】
人間の入力による制御又はメモリに格納されるソフトウェア命令、に関係なくデータを送受信する通信ネットワークに接続することができる、任意の通信デバイス上に、IoT技術が実装できることは理解されよう。
【0092】
IoTデバイスが、機械型通信(Machine Type Communication、MTC)デバイス、又はマシンツーマシン(Machine to Machine、M2M)通信デバイス、NB-IoT UEと呼ばれることもあるのは理解されよう。
【0093】
またUEが、1つ又は複数のIoT又はMTCアプリケーションをサポートすることができることが理解されよう。
【0094】
MTCアプリケーションのいくつかの例は、
図8に示す表(出典:3GPP TS22.368 V13.2.0(2017-01-13) Annex B、その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に列挙されている。このリストは、網羅的ではなく、一例としてのMTCアプリケーションを示すものである。
【0095】
アプリケーション、サービス、ソリューションは、一例として、次に例示するようなものであっても良い。例えば、MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)サービス/システム、防災無線サービス/システムが挙げられる。さらに例えば、構内無線電話(PBX(Private Branch eXchange:構内交換機))サービス/システム、PHS/デジタルコードレス電話サービス/システム、POS(Point of sale)システムが挙げられる。さらに例えば、広告発信サービス/システム、マルチキャスト(MBMS(Multimedia Broadcast and Multicast Service))サービス/システムが挙げられる。さらに例えば、V2X(Vehicle to Everything:車車間通信及び路車間・歩車間通信)サービス/システム、列車内移動無線サービス/システム、位置情報関連サービス/システム、災害/緊急時無線通信サービス/システムが挙げられる。さらに例えば、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)サービス/システム、コミュニティーサービス/システム、映像配信サービス/システム、Femtoセル応用サービス/システムが挙げられる。さらに例えば、VoLTE(Voice over LTE)サービス/システム、無線TAGサービス/システム、課金サービス/システム、ラジオオンデマンドサービス/システム、ローミングサービス/システムが挙げられる。さらに例えば、ユーザ行動監視サービス/システム、通信キャリア/通信NW選択サービス/システム、機能制限サービス/システム、PoC(Proof of Concept)サービス/システム、端末向け個人情報管理サービス/システムが挙げられる。さらに例えば、端末向け表示・映像サービス/システム、端末向け非通信サービス/システム、アドホックNW/DTN(Delay Tolerant Networking)サービス/システムなどが挙げられる。
【0096】
なお、上述したUEのカテゴリは、本明細書に記載された技術思想及び実施形態の応用例に過ぎない。これらの例に限定されるものではなく、当業者は種々の変更が可能であることは勿論である。
【0097】
なお、本開示は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1、10、70 無線通信基地局装置
1a 無線受信部
1b 第1判定部
1c 第2判定部
11 A/D変換部
12 CP除去部
13 FFT部
14 サブキャリアデマッピング部
15 チャネル推定部
16 復調部
17 受信品質測定部
18 合成部
19 メモリ
20 スケジューラ
21 復号部
22 短区間合成部
23 短区間メモリ
24 DTX判定部
25 DTX最終判定部
71 プロセッサ
72 メモリ
73 通信インターフェース