(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】監視装置、監視方法、および、プログラム、並びに、監視システム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20231011BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20231011BHJP
G06Q 50/12 20120101ALI20231011BHJP
【FI】
G06T7/00 660Z
G06T7/00 300F
H04N7/18 D
H04N7/18 K
G06T7/00 P
G06Q50/12
(21)【出願番号】P 2019137822
(22)【出願日】2019-07-26
【審査請求日】2022-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】石岡 誠登
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/098190(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/111252(WO,A1)
【文献】特開2015-228626(JP,A)
【文献】特開2006-048443(JP,A)
【文献】浅井康博他,手荷物の種類と向きを考慮した人物画像からの手荷物の所持判定に関する検討,電子情報通信学会技術研究報告,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2013年12月05日,第113巻 第346号,pp.115-120
【文献】志和敏之他,センサ情報を利用した会話中に出現する物体の特定,電子情報通信学会技術研究報告,日本,社団法人電子情報通信学会,2006年08月21日,第106巻 第219号,pp.19-24
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 10/10
G06Q 30/00 - 30/08
G06Q 50/00 - 50/20
G06Q 50/26 - 99/00
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
H04N 7/18
CSDB(日本国特許庁)
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像から認識された物体に関する物体情報と、前記画像から認識された人に関する人情報に基づいて、前記物体を扱っている人を特定する人特定手段と、
前記物体と前記物体を扱っている人を関連付けて前記物体の所有者を設定する設定手段と、を備え、
前記物体の所有者が設定されていない場合、
前記設定手段は、特定された前記物体を扱っている人を前記物体の所有者として初期設定
し、
前記物体の所有者が設定されている場合、
前記人特定手段は、前記物体の所有者が手で前記物体を指し示すジェスチャーと、前記物体の譲渡先の人を指し示すジェスチャーとを、前記物体を譲渡する譲渡行動として前記画像から検出し、検出した前記譲渡行動を示す譲渡行動情報を生成し、
前記設定手段は、前記譲渡行動情報に基づいて、
設定されている所有者から前記譲渡先の人に前記
物体の所有者を変更する
、
監視装置。
【請求項2】
前記物体情報は、前記物体の領域を示す物体領域を含み、
前記人情報は、前記人の領域を示す人領域を含み、
前記人特定手段は、前記物体領域と前記人領域の重なりに基づいて、前記人による前記物体の扱いを検知する、
請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記物体情報は、前記物体を識別するための物体識別子を更に含み、
前記人情報は、前記人を識別するための人識別子を更に含み、
前記人特定手段は、前記物体領域と前記人領域の重なりに基づいて、前記物体を扱っている人を特定する、
請求項2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記画像から前記人と前記物体を認識して前記物体情報と前記人情報を生成する認識手段、を更に備え、
前記認識手段は、前記画像に人の一部が撮像されている場合、前記人の一部の特徴に基づいて前記人識別子を生成する、
請求項
3に記載の監視装置。
【請求項5】
前記認識手段は、前記画像
から認識された人の顔の特徴を示す顔情報を生成し、前記人情報に含める
請求項4に記載の監視装置。
【請求項6】
前記設定手段は、前記物体の所有者が設定されている場合、前記画像から認識される前記物体の所有者による譲渡行動を示す動作に関する情報、譲渡行動を示す音声に関する情報、又は、外部装置から入力された譲渡行動を示す情報のいずれか
に基づいて、前記物体を扱っている人と異なる人に、前記物体の所有者を変更する
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の監視装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項の監視装置と、
前記物体を扱っている人が、前記物体の所有者として設定されていない場合、警告をする警告手段と、を備える監視システム。
【請求項8】
請求項1乃至
6のいずれか1項の監視装置と、
前記画像を撮像するカメラと、
前記物体の所有者に関する情報を報知する報知手段と、を備える監視システム。
【請求項9】
画像から認識された物体に関する物体情報と、前記画像から認識された人に関する人情報に基づいて、前記物体を扱っている人を特定する人特定処理と、
前記物体の所有者が設定されていない場合、特定された前記物体を扱っている人を前記物体の所有者として初期設定する初期設定処理と、
前記物体の所有者が設定されている場合、
前記物体の所有者が手で前記物体を指し示すジェスチャーと、前記物体の譲渡先の人を指し示すジェスチャーとを、前記物体を譲渡する譲渡行動として前記画像から検出する検出処理と、
検出した前記譲渡行動を示す譲渡行動情報を生成する生成処理と、
前記譲渡行動情報に基づいて、
設定されている所有者から前記譲渡先の人に前記
物体の所有者を変更する変更処理と、
を含む監視方法。
【請求項10】
画像から認識された物体に関する物体情報と、前記画像から認識された人に関する人情報に基づいて、前記物体を扱っている人を特定する人特定処理と、
前記物体の所有者が設定されていない場合、特定された前記物体を扱っている人を前記物体の所有者として初期設定する初期設定処理と、
前記物体の所有者が設定されている場合、
前記物体の所有者が手で前記物体を指し示すジェスチャーと、前記物体の譲渡先の人を指し示すジェスチャーとを、前記物体を譲渡する譲渡行動として検出する検出処理と、
検出した前記譲渡行動を示す譲渡行動情報を生成する生成処理と、
前記譲渡行動情報に基づいて、
設定されている所有者から前記譲渡先の人に前記
物体の所有者を変更する変更処理
と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物体の監視等に関する。
【背景技術】
【0002】
複数人で焼肉を食べるとき、自分のものとして認識していた肉が他の人に取られてしまうことがある。そこで人は自分が食べたい肉を自ら周りに主張するか、自分の肉を見張っておき、速やかに食べる必要がある。
【0003】
卓上の所有物を監視する技術としては次のものがある。特許文献2には、テーブルや座席から荷物が移動された場合に警告を出力するオーダー端末による荷物監視方法が開示されている。特許文献2には、本人であることが確認された場合に荷物監視モードの解除を行うことが開示されている。
【0004】
なお、本開示に関連する技術として、特許文献1には、置き去り又は持ち去りの行為者特定のための参考情報を迅速に提供する置き去り又は持ち去り検知システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-235300号公報
【文献】特開2014-123240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の開示において、物の置き去りの行為者と持ち去りの行為者が異なる場合に、持ち去りの行為者がその物を持ち去る正当な権利を有しているかなどを判断することができない。
【0007】
特許文献2において、複数人で同じテーブルを利用する際に、例えば一人が席を外し、一人が席に残っている間、「テーブルに人がいる」と認識されるので、荷物監視モードに移行することができない。また特許文献2は、複数人で同じテーブルを利用する際に、同じテーブルの人が監視領域内の荷物を移動させる場合に対応していない。
【0008】
したがって、本開示は、物を監視する際に、物体と人の関連付けをし、関連付けの変更を可能にする監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る監視装置は、画像から認識された物体に関する物体情報と、前記画像から認識された人に関する人情報に基づいて、前記物体を扱っている人を特定する人特定手段と、前記物体と前記物体を扱っている人を関連付けて前記物体の所有者を設定する設定手段と、を備え、前記設定手段は、前記物体の所有者が設定されていない場合、特定された前記物体を扱っている人を前記物体の所有者として初期設定する初期設定手段と、前記物体の所有者が設定されている場合、前記物体を譲渡する行動を示す譲渡行動情報に基づいて、前記物体を扱っている人と異なる人に前記所有者を変更する変更手段と、を有する。
【0010】
本開示に係る監視方法は、画像から認識された物体に関する物体情報と、前記画像から認識された人に関する人情報に基づいて、前記物体を扱っている人を特定する人特定処理と、前記物体と前記物体を扱っている人を関連付けて前記物体の所有者を設定する設定処理と、を備え、前記設定処理は、前記物体の所有者が設定されていない場合、特定された前記物体を扱っている人を前記物体の所有者として初期設定する初期設定処理と、前記物体の所有者が設定されている場合、前記物体を譲渡する行動を示す譲渡行動情報に基づいて、前記物体を扱っている人と異なる人に前記所有者を変更する変更処理と、を有する。
【0011】
本開示に係るプログラムは、画像から認識された物体に関する物体情報と、前記画像から認識された人に関する人情報に基づいて、前記物体を扱っている人を特定する人特定処理と、前記物体と前記物体を扱っている人を関連付けて前記物体の所有者を設定する設定処理と、をコンピュータに実行させ、前記設定処理は、前記物体の所有者が設定されていない場合、特定された前記物体を扱っている人を前記物体の所有者として初期設定する初期設定処理と、前記物体の所有者が設定されている場合、前記物体を譲渡する行動を示す譲渡行動情報に基づいて、前記物体を扱っている人と異なる人に前記所有者を変更する変更処理を含む。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、物を監視する際に、物体と人の関連付けをし、物体と人の関連付けを変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る監視装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、物体とその周囲の人を撮影した画像の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態における物体情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態における人情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態における人特定情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態における譲渡物体情報の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態における所有者情報の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る監視装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、監視装置10のステップS102の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、物体の周囲の人が常時含まれない画像の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態において物体を扱っている人を識別する手法を説明する図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態における物体情報の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態において出現位置を用いた人情報の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態において手の特徴を用いた人情報の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、第3実施形態における監視装置20の構成を示す図である。
【
図16】
図16は、第3実施形態における人物情報710の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、第3実施形態における設定部23の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、第3実施形態におけるステップS203の処理を示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、第4実施形態に係る監視システムの構成を示すブロック図である。
【
図20】
図20は、第4実施形態の監視システムが利用される卓を示す図である。
【
図21】
図21は、卓撮影カメラ51で撮影された画像の一例を示す図である。
【
図22】
図22は、第4実施形態における物体情報の一例を示す図である。
【
図23】
図23は、プロジェクションマッピングにより、肉片に顔の映像を投影した例を示す図である。
【
図24】
図24、第4実施形態における情報端末の画面を示す図である。
【
図25】
図25は、第4実施形態における監視システムの動作を示すフローチャートである。
【
図26】
図26は、第4実施形態におけるステップS305の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図27】
図27は、肉と所有者と消費者の履歴の一例を示す図である。
【
図28】
図28は、卓撮影カメラ51で撮影された画像の他の例を示す図である。
【
図29】
図29は、監視装置として機能するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照して、本開示の実施形態について詳しく説明する。なお、各実施形態において、各装置の各構成要素は、機能単位のブロックを示している。
【0015】
<第1実施形態>
[構成]
第1実施形態に係る監視装置について図面を用いて説明する。
図1は第1実施形態に係る監視装置の構成を示す図である。第1実施形態に係る監視装置10は、物体の周囲に複数の人が配置されるときに、物体の所有者の設定に利用される。監視装置10は、人特定部12と、設定部13とを有する。設定部13は、初期設定部14と変更部15とを有する。
【0016】
人特定部12は、画像から認識された物体と人に基づいて、物体を扱っている人を特定する。画像から認識された物体と人は、物体と人をカメラで撮像した画像から既知の画像認識技術によって生成される情報であり、物体情報と人情報が含まれる。物体情報には、画像認識された物体の物体識別ID(identifier)が含まれ、人情報には、画像認識された人の人識別IDが含まれる。人識別IDは人識別子とも呼ばれる。物体を扱っている人とは、例えば、物体に触れている人、物体を移動させている人、又は、物体の形を変化させている人などが含まれる。
【0017】
図2は、物体とその周囲の人を撮影した画像の一例を示す図である。
図2に示す画像Pは、実線で示される3つの物体とその周囲の4人の人を上方又は斜め上方からから撮影した画像である。画像Pから、画像認識装置(図示せず)によって、3つの物体は、破線で示す物体A、物体B、物体Cと識別され、4人の人は、破線で示す人W、人X、人Y、人Zと識別される。画像Pにおいて、人W、人X、人Y、人Zは、少なくとも頭部又は胴体を含む。
【0018】
画像認識装置は、さらに、画像Pにおいて認識された物体A、物体B、物体Cが存在する領域をそれぞれの物体領域として、認識された人W、人X、人Y、人Zが存在する領域をそれぞれの人領域として算出する。物体領域と人領域は、例えば、画像Pに画像座標系を適用し、座標集合として算出される。例えば、画像認識装置は、画像Pにおける物体Aの物体領域として、物体Aが占有する領域の座標集合、あるいは、物体Aの外縁の座標集合を算出する。物体Bと物体Cの物体領域、人W、人X、人Y、人Zの人領域の座標も同様に算出される。
【0019】
図3は、画像Pに関する物体情報の一例を示す図である。
図4は、画像Pに関する人情報の一例を示す図である。物体情報と人情報は、例えば、監視装置10と通信可能に接続された画像認識装置(図示せず)から送信される。なお、画像認識装置は、画像における人の手の領域を含めて人を識別し、人の手の領域を含めて人領域を算出する。例えば、
図2の人Wでは、人の手の領域を含めて人が識別され、人Wの手の領域を含めて人領域の座標が算出される。
【0020】
図2に示す画像Pは、上面から人が全て映るように撮影された領域となっているがこれに限られない。他の人と識別できるのであれば、人の一部分であってもよい。カメラから送信される画像Pが更新される度に、更新された画像Pから認識された物体と人に関する物体情報と人情報が、画像認識装置から監視装置10に送信される。
【0021】
人特定部12は、画像中で人が物体を扱っていることを検知し、物体を扱っている人を特定する。具体的には、人特定部12は、人の手を含む人領域が物体の物体領域と交わる場合、人が物体を扱っていると検知し、物体領域と重なる人領域に関連する人識別IDから物体を扱っている人を特定する。
図2の例では、人特定部12が、人領域(領域W1)の座標が物体Aの物体領域(領域A1)と重なっていることを検知すると、領域W1の人が物体Aを触っていると検知し、領域W1に関連する人識別ID(人W)を特定する。
図5は、第1の実施形態における人特定情報の一例を示す図である。
図5において、物体Aを扱っている人として人Wが物体Aに関連付けされ、物体Cを扱っている人として人Xが物体Cに関連付けされている。人特定部12は、物体を扱っている人として、物体識別IDと人識別IDを関連付けた人特定情報を設定部13に送信する。
【0022】
また、人特定部12は、画像から認識された人の動作に基づいて、物体を譲渡する行動を検出し譲渡行動情報を生成してもよい。物体を譲渡する行動とは、例えば、認識された人の手、又は、人の顔や胴体の向き、視線の動きなどである。人の手の動きは、譲渡する物体、譲渡先の人を示すジェスチャーである。譲渡する物体を示すジェスチャーは、例えば、物体を人差し指で指差す動きである。譲渡先の人を示すジェスチャーは、例えば手のひらを広げて譲渡先の人を指し示す動きである。
【0023】
図6は、第1実施形態における譲渡物体情報の例を示す図である。図中、物体Cは譲渡対象となる物体識別IDを表し、人Xは譲渡行動を示す人の人識別IDを表し、人Yは譲渡先となる人の物体識別IDを表す。人特定部12は、譲渡行動情報を生成して設定部13の変更部15に送信する。
【0024】
設定部13は初期設定部14と変更部15を備え、人特定情報、又は、譲渡行動情報に基づいて物体の所有者を設定して、物体の所有者情報を生成する。生成された所有者情報は、例えば、物体の所有者情報を報知するための報知装置(図示せず)に出力される。
図7は、第1実施形態における所有者情報の一例を示す図である。
【0025】
所有者情報に物体の所有者が設定されていない場合、初期設定部14は、人特定情報に基づき物体の所有者を設定する。具体的には、人特定部12で物体を扱っている人が特定されると、初期設定部14は、その物体に所有者が設定されているか所有者情報を確認する。物体の所有者が設定されていない場合、初期設定部14は、人特定部12が特定した人を、認識された物体の所有者として初期設定する。
【0026】
一方、所有者情報に物体の所有者が設定されていると、変更部15は、人特定情報で示された物体に対する譲渡行動情報の受信を確認する。譲渡行動情報を受信している場合、変更部15は、物体を譲渡する行動を示す譲渡行動情報に基づいて物体の所有者の設定を変更する。具体的には、変更部15は、所有者が設定された物体に対し、譲渡行動情報に基づいて、譲渡元を示す人から譲渡先を示す人に物体の所有者を変更して、所有者情報を更新する。
図7に示す所有者情報の例では、物体Cの所有者が人Xと設定されているときに、変更部15は、人Xが物体Cを人Yに譲渡することを示す譲渡行動情報に基づいて、物体Cの所有者を領域X1の人Xから領域Y1の人Yに変更する。
【0027】
上記の例では、人特定部12で生成された譲渡行動情報に基づき物体の所有者の設定を変更する例を用いて説明したが、これに限られない。例えば、監視装置10に通信可能に接続された情報端末(図示せず)から送信される譲渡行動情報であってもよい。情報端末は、譲渡対象、譲渡元の人、譲渡先の人を音声入力又はキー入力等で受け付けて譲渡行動情報を生成して監視装置10に送信する。音声は、例えば、物体の周囲にいる人の会話などである。なお、監視装置10は、画像認識装置を含む構成であってもよい。画像認識装置は、単に識別部とも呼ばれる。情報端末の各種機能については後述する。
【0028】
[動作]
次に、第1実施形態に係る監視装置の動作について図面を用いて説明する。
図8は、第1実施形態に係る監視装置10の動作を示すフローチャートである。
【0029】
監視対象となる物体とその周囲の複数の人が、カメラ(図示せず)で撮像される。撮像された画像は、画像認識装置(図示せず)によって物体とその周囲の人が認識され、物体情報と人情報が生成される。監視装置10は、画像認識装置から画像から認識された物体と人に関する物体情報と人情報を受信する。
【0030】
人特定部12は、物体情報と人情報が示す画像から認識された物体と人に基づいて、物体を扱っている人を特定する(ステップS101)。設定部13は、画像から認識された物体の所有者を設定し(ステップS102)、物体の所有者を示す所有者情報を生成する。設定部13において、物体の所有者を設定する処理は、人特定情報に基づく初期設定と、譲渡行動情報に基づく物体の所有者の変更とに分けられる。
【0031】
図9は、ステップS102の設定処理の例を示すフローチャートである。ステップS102の設定処理において、初期設定部14は、認識された物体に対して所有者が設定されているか所有者情報を確認する(ステップS1021)。
【0032】
所有者情報に物体の所有者が設定されていない場合(ステップS1021のNo)、初期設定部14は、人特定部12が特定した物体を扱っている人を、認識された物体の所有者として初期設定する(ステップS1022)。
【0033】
所有者情報に物体の所有者が設定されている場合(ステップS1021のYes)、変更部15は、認識された物体の譲渡行動があるか確認する(ステップS1023)。具体的には、変更部15は、画像認識装置から物体の譲渡行動を示す譲渡行動情報を受信しているか確認する。
【0034】
物体の譲渡行動がある場合(ステップS1023のYes)、変更部15は、譲渡行動情報に基づいて物体の所有者の設定を変更する(ステップS1024)。例えば、変更部15は、人Xの人が物体Cの所有者であると設定されている場合、物体Cの所有者を人Yとする譲渡行動情報に基づいて、所有者情報における物体Cの所有者を人Yに変更する。物体の譲渡行動がない場合(ステップS1023のNo)、変更部15は処理を終了する。
【0035】
[効果]
第1実施形態に係る監視装置10によれば、物を監視する際に、物体と人の関連付けをし、関連付けの変更を可能にする。第1の実施形態の監視装置10は、人特定部12が物体とその物体を扱っている人を特定し、設定部13が、物体を扱っている人を物体の所有者として設定することで、物体と人を関連付けて監視する。さらに設定部13は、物体の譲渡行動を示す物体譲渡情報に基づいて物体の所有者を変更することで、物体を取り扱っていない人をその物体の所有者に変更できる。
【0036】
<第2実施形態>
次に第2実施形態に係る監視装置について図面を用いて説明する。第2実施形態の監視装置は、監視対象となる物体に対して、物体の周囲に人が常時含まれていない画像を用いて物体を扱っている人を特定し、物体の所有者を設定する例である。
図10は、物体の周囲に人が常時含まれていない画像の一例を示す図である。
図10に示す画像Qにおいて、物体の周囲の人は画像Qの外に存在している。
図10に示すように、物体と人の手が撮像された画像Qの場合、第1の実施形態の例では手の画像から人を認識して物体を扱っている人を識別することが難しい。
【0037】
このため、第2実施形態では、画像認識装置(図示せず)が画像Qにおいて物体を扱っている人の手が画像Qの領域の端から現れる出現位置に基づいて、画像領域外に存在する人を識別する。
【0038】
図11は、第2実施形態において画像領域外に存在する人を識別する手法を説明する図である。
図11には2つの物体と1つの人の手が含まれる。画像Qの頂点をF、G、H、Iとすると、画像Qは、辺FG、辺GH、辺HI、辺IFで囲まれた領域となる。
【0039】
人の手の出現位置は、物体を扱っている人の手が、画像FGHIを表す4つの辺のどの位置から出現しているかを示す情報である。具体的には、物体を扱っている人の手が画像Qの辺GKから出現していること示す情報である。なおKは、辺GHを分割する点である。辺GHを分割する点は複数あってもよい。画像Qにおいて同一の辺から出現する手は同一の人の手として識別し、出現位置に関連する情報を人識別IDとして用いる。
【0040】
図12は、第2実施形態における物体情報の一例を示す図である。
図12に示す物体識別IDは画像Qから画像認識により生成される。物体領域の領域D1、領域E1は第1実施形態と同様に画像Qの画像座標系を用いて算出される。
図13は、第2実施形態において人の手の出現位置を用いた人情報の一例を示す図である。図中、画像Qの領域外の人GKの手について、画像Q内の手領域を領域GK2とすると、領域GK2は、画像Qの画像座標系を用いて算出される。出現位置の線分GKは画像認識と画像Qの画像座標系により生成される。また人識別ID(例えばGK0)は手の出現位置の違いに基づき生成される。
【0041】
上記では、人の手が画像領域の端から現れる出現位置に基づいて人を識別しているが、これに限られない。例えば、画像Qから人識別IDが抽出できない場合、画像Qに現れる人の手の特徴に基づいて人の手を識別して手識別IDを生成し、これを人識別IDとして用いてもよい。人の手の特徴は、既知の画像認識により手(服の一部を含む)の色、形、手の稼働域などに基づき手の特徴量が生成される。
図14は、第2実施形態において手の特徴を用いた人情報の一例を示す図である。図中、人領域の領域GK3は出現位置の場合と同様に画像座標系で生成され、人識別ID(手識別ID)の例であるHW0は、画像Qで認識される人の手の特徴量FHWに基づいて生成される。手の出現位置で人を識別する場合は、その人の配置場所が固定されていることが前提となる。例えば、卓の周囲にいる人が席替えすると物体を扱っている人が誤って特定される可能性があり、監視装置10の信頼性が低下する。一方、手の特徴で人認識する場合は、画像Qの画像領域外にいる人の配置場所が変わっても、人の手の特徴量に基づき人識別されるため、監視装置10の信頼性の低下を抑制できる。
【0042】
第2実施形態の画像認識装置は、上述のように画像Qを画像認識して物体情報、人情報を生成し、
図12、
図13、又は、
図14に示すような物体情報、人情報を監視装置10に送信する。第2実施形態の監視装置10において、第1実施形態の監視装置10と同様、物体情報、人情報に基づき画像から認識された物体を扱っている人(人の手)を検知し、物体の周囲に配置された人(人の手)の位置を用いて物体を扱っている人を特定することができる。なお、第2実施形態の監視装置10における人特定部12、設定部13の構成とその動作は第1実施形態の監視装置10と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0043】
[効果]
第2実施形態に係る監視装置10によれば、物を監視する際に、物体と人の関連付けをし、関連付けの変更を可能にする。第2の実施形態の監視装置10は、第1実施形態と同様に人特定部12が物体とその物体を扱っている人を特定し、設定部13が、物体を扱っている人を物体の所有者として設定することで、監視装置10は、物体と人を関連付けて監視する。さらに設定部13は、物体の譲渡行動を示す物体譲渡情報に基づいて物体の所有者を変更することで、物体を取り扱っていない人をその物体の所有者に変更できる。
【0044】
さらに、第2実施形態に係る監視装置10によれば、物体とその周囲にいる人の画像で人の一部だけ撮像された画像であっても、物体を扱っている人を特定することができる。
【0045】
<第3実施形態>
<構成>
第3実施形態に係る監視装置の構成について図面を用いて説明する。
図15は、第3実施形態に係る監視装置の構成を示すブロック図である。監視装置20は、人物情報受付部21、人特定部22、設定部23と、を有する。人特定部22と設定部23は、第1実施形態の監視装置10における人特定部12と設定部13と同等の機能を有する。
【0046】
人物情報受付部21は、人物情報710を受け付ける。人物情報710は、監視装置20に通信可能に接続された外部装置(図示せず)で生成され、監視装置20に送信される。外部装置は、例えば、画像認識装置(図示せず)あるいは情報端末(図示せず)である。
図16は、第3実施形態における人物情報710の一例を示す図である。人識別ID720は、物体の周囲に配置された複数の人を識別する識別情報であり、図中、人W、人X、人Y、人Zで表される。人配置730は、物体の周囲に配置された人の配置場所を示す情報である。図中、配置W0、配置X0、配置Y0、配置Z0で表される。人配置は、例えば、座席のように予め人の配置場所が定められているものであってもよい。人物情報710に含まれる名前、顔情報は物体の周囲にいる人に固有の固有情報である。固有情報は、名前、顔情報以外であってもよい。
【0047】
外部装置が画像認識装置である場合、画像認識装置は、物体の周囲に配置された人を撮像した画像を画像認識した結果に基づき、人物情報710を生成する。画像認識によって画像から顔の特徴量を取得できれば人物情報710に顔情報が含まれる。画像認識した結果、物体の周囲に配置された人の位置又は領域を人配置730として取得できれば、画像認識装置は、監視装置20に送信される人物情報710に人配置730を含めることができる。その場合、人配置730は第1実施形態と同様、画像座標系によって算出される人領域を用いることもできる。
【0048】
外部装置が入力機能を備える情報端末である場合、物体の周囲に配置された人によって情報端末に人物情報710の一部が入力される。情報端末により入力される人物情報710の例は、物体に周囲に配置された人に関する人配置730と人の名前である。例えば、情報端末は、画像認識装置、又は、監視装置から人識別ID、人配置に関する人情報を取得し、人情報に基づいて情報端末の画面に物体の周囲にいる人識別IDとその配置を表示する。情報端末は、表示された人識別IDと人配置に対して物体の周囲にいる人が関連する名前又は人配置を入力させて、人識別IDと名前、人配置を関連付けする。
【0049】
人特定部22は、画像認識装置から物体情報、人情報を受付ける。人特定部22は、人物情報受付部21が受け付けた人物情報710と画像認識装置(図示せず)から受け付けた物体情報と人情報に基づいて、物体を扱っている人を特定する。人特定部22による物体を扱っている人の特定は、第1実施形態の人特定部11と同様に、画像座標系における物体識別IDごとの物体領域と人識別IDごとの人領域との重なりによって物体を扱っている人の人識別IDを特定する。
【0050】
設定部23は、物体の所有者を設定し、設定された所有者情報を出力する。設定部23の初期設定部24は、人特定部22が特定した人識別IDを参照し、人情報の人識別IDと物体情報の物体IDとを関連付けることで、物体の所有者を初期設定する。例えば初期設定部24は、配置W0にいる人W(AAさん)を物体Cの所有者として設定する。設定部23が有する変更部25は、所有者として設定された人と異なる人に所有者の設定を変更する。例えば変更部25は、所有者の設定を人X(AAさん)から人Y(BBさん)へと変更する。
【0051】
[動作]
第3実施形態に係る監視装置20の動作について図面を用いて説明する。
図17は、第3実施形態に係る監視装置20の動作を示すフローチャートである。
【0052】
人物情報受付部21は、監視装置20に通信可能に接続された外部装置から人物情報を受け付ける(ステップS201)。外部装置は情報端末又は画像認識装置である。
【0053】
監視対象となる物体とその周囲の複数の人が、カメラ(図示せず)で撮像される。撮像された画像は、画像認識装置(図示せず)によって物体とその周囲の人が認識され、物体情報と人情報が生成される。監視装置10は、画像認識装置から画像から認識された物体と人に関する物体情報と人情報を受信する。
【0054】
人特定部12は、物体情報と人情報が示す画像から認識された物体と人に基づいて、物体を扱っている人を特定する(ステップS202)。設定部23は、画像から認識された物体の所有者を設定し(ステップS203)、物体の所有者を示す所有者情報を生成する。設定部13において、物体の所有者を設定する処理は、人特定情報に基づく初期設定と、譲渡行動情報に基づく物体の所有者の変更とに分けられる。
【0055】
図18は、ステップS203の設定処理の例を示すフローチャートである。ステップS202の設定処理において、初期設定部24は、認識された物体に対して所有者が設定されているか所有者情報を確認する(ステップS2021)。
【0056】
所有者情報に物体の所有者が設定されていない場合(ステップS2031のNo)、初期設定部24は、人特定部22が特定した物体を扱っている人を、認識された物体の所有者として初期設定する(ステップS2032)。
【0057】
所有者情報に物体の所有者が設定されている場合(ステップS2031のYes)、変更部25は、認識された物体の譲渡行動があるか確認する(ステップS2033)。具体的には、変更部25は、画像認識装置から物体の譲渡行動を示す譲渡行動情報を受信しているか確認する。
【0058】
物体の譲渡行動がある場合(ステップS2033のYes)、変更部25は、譲渡行動情報に基づいて物体の所有者の設定を変更する(ステップS2034)。更に人物情報受付部21で受け付けた人物情報に人情報の追加情報があれば、追加情報を物体の所有者情報に追加する。物体の譲渡行動がない場合(ステップS2033のNo)、変更部25は処理を終了する。
【0059】
[効果]
第3実施形態に係る監視装置20によれば、第1の実施形態と同様に、物を監視する際に、物体と人の関連付けをし、関連付けの変更を可能にする。監視装置20は、人特定部22が物体とその物体を扱っている人を特定し、設定部23が、物体と物体を扱っている人物体の所有者として設定することで、物体と人を関連付けて監視する。さらに設定部23は、物体の譲渡行動を示す物体譲渡情報に基づいて物体の所有者を変更することで、物体を取り扱っていない人をその物体の所有者に変更できる。
【0060】
第3実施形態に係る監視装置20によれば、人物情報受付部21が、人物情報を受け付け、設定部23は人と物体を関連付けて物体の所有者を設定するため、物体の所有者に対するより詳細な情報を関連付けることが可能となる。
【0061】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態に係る監視システムについて図面を用いて説明する。第4実施形態の監視システムは、第3実施形態の監視装置20を焼肉店における卓上の物体の監視に適用した例である。第4実施形態では、監視装置20による監視対象として焼肉網(以下、単に網と記す)の上で、焼かれる肉を例に説明する。なお、監視対象は肉以外、野菜、魚などの食べ物でもよい。
【0062】
以下の実施の形態に記載されている構成要素は例示であり、本開示の技術範囲をそれらに限定する趣旨のものではない。
【0063】
図19は、第4実施形態に係る監視システムの構成を示すブロック図である。
図19に示す監視システム100は、第3実施形態に係る監視装置20と、報知部30と、警告部40、カメラ50、認識部60と、記憶部70を備える。監視装置20、報知部30、警告部40、カメラ50、認識部60、記憶部70のそれぞれは、通信ネットワークを介して接続される。監視システム100の監視装置20は、第1、第2実施形態の監視装置10に置き換えられてもよい。監視装置20は、店舗のバックヤード等に配置されるサーバ内に設置されてもよい。
【0064】
図20は、第4実施形態の監視システムが利用される卓を示す図である。
図20に示す卓上には、監視対象となる肉を焼くための網Aが配置されている。
図20は卓の周りに4人が着席し、焼き網の上で食材を調理して料理を食べる例である。焼き網は金属板や鍋などで代替されてもよい。図中に示すトングの数は例示であり、これに限られない。トングは着席した人数分より多くても少なくてもよい。人はトング以外の調理器具を用いてもよい。
【0065】
[構成の概要]
報知部30は、監視装置20の設定部23から出力される物体の所有者情報に基づき、報知情報を報知する。報知部30は、例えば、表示装置である。物体の周りの人たちは、報知部30から報知される報知情報によって物体の所有者を知ることができる。物体の周りの人は、他人が所有する物体を扱わないように気を付けることができる。
図20の例では、報知部30は、設定部23から出力される肉の所有者を報知情報として報知する。
【0066】
なお、報知部30から報知される報知情報は、物体の所有者情報に限られない。物体に関する他の情報を報知してもよい。例えば、監視装置20は、卓上の肉を撮像した画像に基づく肉の焼き加減の情報を取得できれば、報知部30を介して肉の焼き加減を卓の周りの人たちに報知してもよい。
【0067】
警告部40は、監視装置20の人特定部22において物体を扱っていると特定された人が、当該物体の所有者として所有者情報に設定された人と一致しない場合、音声又は表示を用いて警告する。
図20の例では、警告部40の警告により、肉を扱っている人は、自分の所有でない肉を扱っていることを知ることが可能になる。
【0068】
カメラ50は、物体又は人を撮像して画像データを生成する。カメラ50は、例えば、
図20に示すように卓上の物体を上から撮像する任意の位置に設置される、卓撮影カメラ51である。
図21は、卓撮影カメラ51で撮影された画像の一例を示す図である。
図21は、簡略化のためトングの描画は略されている。
図21では、卓上の網Aの複数の肉と人の手までが画像領域となっているが、これに限られない。
【0069】
カメラ50として、卓撮影カメラ51に加えて、顔撮影カメラ52を設置してもよい。顔撮影カメラ52の設置は、例えば、
図21に示すように卓の周りの人の顔を撮像できる任意の位置でよい。顔撮影カメラ52で撮影した画像は、人識別情報720の顔情報の抽出、又は、顔認証に用いられる。
【0070】
認識部60は、カメラ50で撮影した画像から、既知の画像認識技術により、画像内の物体及び物体を囲む複数の人を認識する。認識部60はカメラ50又は監視装置20に備えられてもよい。
図21の例で卓撮影カメラ51によって撮影される物体は、網A上の肉となる。認識部60は、
図21の画像から2つの人の手および3片の肉を認識し、認識された各肉に物体識別情報として、肉ID(肉A、肉B、肉C)を生成する。認識部60は、トング、箸などの掴持手段と人の手をそれぞれ分けて認識してもよく、掴持手段含めて人の手として認識してもよい。
【0071】
また、認識部60は、画像座標系を用いて、画像から認識された物体および人に対する、物体領域情報および人領域情報を生成する。
図21に示す画像では、認識部60は、物体領域情報として肉ごとの領域(領域1、領域2、領域3)および人の手の領域を算出する。認識部60は、画像から認識した肉ごとに物体識別IDと物体領域を関連付けて物体情報として出力する。さらに、認識部60は、画像から認識された人(又は掴持手段を含む)ごとに人識別IDと、画像座標系を用いた人の人領域(人配置)を関連付けて人情報として出力する。
【0072】
図22は、認識部60が送信する物体情報の一例を示す図である。
図22において、肉には肉ID(物体識別ID)として、肉A、肉B、肉Cが付され、肉領域(物体領域)として領域1、領域2、領域3が付されている。認識部60は、例えば、画像から肉の特徴を抽出し、抽出した肉の特徴に基づき、記憶部70に記憶された該当するメニューの品を認識する。この場合、記憶部70には、メニューの品、肉ID(物体識別ID)、肉の特徴が関連付けて記憶されているものとする。認識部60は、卓における注文履歴に基づきメニューの品(肉の種類)を絞り込んでから認識してもよい。
図22上、物体情報では、肉Aはカルビ、肉Bはホルモンとして関連付けされている。
【0073】
焼いている肉は、網上に載せられた時間により画像が変化する。認識部60は、機械学習を用いて、肉の見た目(例えば、色、形)が変化しても、その肉の肉ID(物体識別ID)を変えないものとる。認識部60は肉の焼き具合に関する情報を生成してもよい。認識部60は、焼き加減による変化を認識することで、見た目が変化する肉を移動させても、同一の肉IDの肉領域をトレースすることができる。
【0074】
記憶部70は各種必要な情報を記憶する。記憶部70は監視装置20に設けられてもよいし、各種装置に分散して設けられてもよい。
【0075】
[構成の詳細]
監視システム100の各構成に対し、以下のような態様が適用される。報知部30は、投影機であってもよい。投影機は、プロジェクションマッピングにより肉の所有者として人物情報710に含まれる情報を、肉上又は肉の周辺に投影する。人物情報710に含まれる名前を表す情報を肉の周辺に投影してもよい。また人物情報710の人配置を卓の席配置として表すことができるのであれば肉の所有者の席配置を投影してもよい。
【0076】
報知部30は、卓に設置された表示部を有する情報端末、あるいは、スマートグラスなどのウェアラブル端末であってもよい。スマートグラスは拡張現実技術を用いて、人物情報710が肉上又は肉の周辺に見えるように表示してもよい。
【0077】
警告部40は、人特定部22が肉を扱っている人と特定された人が、当該肉の所有者情報と一致しない場合、警告をする。警告部40は、肉の所有者以外が肉に接触した場合に、取り間違いの警告をしてもよいし、肉が網から取り除かれた時に取り間違いの警告をしてもよい。
【0078】
警告部40はスピーカー、トングに設けられた振動装置、投影機、卓にある注文端末のディスプレイであってもよい。投影機を警告部40として用いる例を
図17に示す。
図17は、プロジェクションマッピングにより、肉片に顔の映像を投影した例を示す図である。
プロジェクションマッピングによる投影は顔の映像以外でもよく、例えば、肉片の周辺に吹き出しの映像を投影してもよい。吹き出しの映像は肉が発話しているように擬人的に表現させてもよい。
図17の例では、警告部40は、肉Bの所有者でない人の手Cによって肉Bが扱われていることに対して、怒りの表情を示す顔の映像と「私の肉だよ」という吹き出し映像を投影して警告を行っている。なお、プロジェクションマッピングによって肉又は肉周辺に顔等の映像を投影する場合、監視装置20が取得する認識部60からの物体情報に含まれる物体領域(肉領域)に基づいて顔等の映像が投影される。
【0079】
また、警告部40は、投影機とスピーカーを組み合わせることにより、顔の映像を投影しつつ、吹き出しの内容を映像の代わり音声として出力してもよい。肉に投影する顔の映像は、顔撮影カメラ52で撮影した肉の所有者の顔のデータを用いて生成してもよい。
【0080】
記憶部70は、例えば、物体識別IDと物体領域を含む物体情報を記憶する。また、記憶部70は、人物情報受付部21が受け付けた人物情報710を記憶する。人物情報710は、例えば、名前、ニックネーム、符号、番号、色、顔情報、アバター等のいずれかが含まれていてもよい。人物情報710が顔情報、名前等を含む場合、顔情報と名前等を記憶部70に保持しておくことで、同一の人が再度来店した場合、顔情報に基づく名前等を抽出することで人物情報710に含まれる名前を登録する必要がなくなる。さらに記憶部70は肉の所有者情報を記憶する。
【0081】
人特定部22は、認識部60において人が肉を扱う動作が検出されると、肉を扱う人を特定する。肉を扱う動作とは、例えばトング等を用いて肉に接触する動作、肉を移動させる動作、肉を裏返す動作などである。例えば、人特定部22は、認識部60で認識された、人の手の領域と肉領域と、記憶部70に記憶された、人物情報710及び物体情報に基づいて、肉を扱う人を特定する。
【0082】
人特定部22は、肉を扱う人をより確実に特定するために、さらに、顔撮影カメラ52を用いて、顔認証を行ってもよい。顔認証を行うと、席替えにより人の席位置が変わった場合も肉を扱う人をより正確に特定することができる。
【0083】
例えば、人特定部22は、人の手の領域に基づく代わりに、認識部60で認識された各人に固有の印に基づき、各人を特定してもよい。各人に固有の印とは例えば、人の手首につけられたリストバンド、手の甲に付されたマークなどである。人特定部22はさらに、人の手の動きに基づいて、各人を特定してもよい。
【0084】
初期設定部24は、肉の所有者が設定されていない場合、人特定部22が特定した人を、肉の所有者として初期設定し、変更部25は、肉の所有者が設定されている場合、譲渡行動情報に基づいて、肉の所有者を変更する。以下に各種類の譲渡行動情報に基づいて肉の所有者を変更する場合について説明する。
【0085】
(視線推定)
画像から認識される人の視線の動きに関する情報を、譲渡行動情報として用いる場合について説明する。人特定部22は、肉Bの所有者(BB)が肉Bに触れていることを特定する。認識部60は、BBが視線を一定時間別の人(AA)に向けていることを推定すると、変更部25は人AAを肉Bの所有者として設定する。認識部60は顔撮影カメラ52によって撮像された画像から人Mの両目の瞳の位置を特定することで、視線を推定する。認識部60は推定した視線の先に座る人M’を、譲渡先として推定する。変更部25は、認識部60が、BBが譲渡先の人物(AA)と視線を合わせていることを推定すると、所有者の設定を変更する構成としてもよい。
【0086】
(会話)
次に、人の音声に関する情報を、譲渡行動情報として用いる場合について説明する。認識部60はマイク等からの音声に基づいて、人の会話を一般的な音声認識方法によって認識する。例えば、肉Bの所有者(BB)が肉Bに触れている状態で「AAさん、どうぞ。」などと肉Bを譲渡することを表す内容を発話する。認識部60がBBの発話が認識すると、変更部25は肉Bの所有者をBBからAAに変更する。変更部25は、肉Bの譲受人であるAAが「BBさん、ありがとう。」などと肉を受け取ることを承諾する内容の発話が認識されてから、設定を変更する構成としてもよい。
【0087】
(ジェスチャー)
次に、画像から認識される人の手の動きに関する情報を、譲渡行動情報として用いる場合について説明する。上記の視線推定と音声認識の例では肉と人とが物理的に接触した状態で設定の変更のための動作を行っている。しかし肉と人の物理的な接触は必ずしも必要ではない。変更部25は、肉の所有者が、別の人に自らの所有する肉の所有権を譲渡するジェスチャーをすることで設定を変更する構成としてもよい。
【0088】
(情報端末)
次に、譲渡行動情報として外部装置から入力された情報を用いる場合について説明する。外部装置とは卓に設置された、外部装置は、例えば、注文用タブレットなどの情報端末である。
図24は所有者の設定の変更に関する入力を受け付ける情報端末の画面を示す。
図24に示すように、情報端末の表示部は、網上にある肉を表示し、各肉上に各肉に関連付けられている人を表示する。表示部はカメラ50で撮像した画像を表示してもよいし、撮像され認識された物体をオブジェクトで代替して表示してもよい。
【0089】
情報端末の操作部を用いて、肉に関連付けられる人が変更される。操作部は、表示部の上面を覆うように透明電極を格子状に配置した感圧式(抵抗膜圧式)のタッチパネルであり、手指やタッチペン等によるタッチ操作を検出する。なお、操作部は、感圧式に限らず、他の静電容量式、光学式、電磁誘導方式等であってもよい。表示部は、人が肉を情報端末上で選択した後、プルダウンメニューを開いて表示してもよい。
【0090】
監視装置20の変更部25は、人が所有者を選択したら新たな所有者を設定してもよい。顔撮影カメラ52を用いて、肉の所有者が操作しなければ、その肉の所有者を変更できないこととしてもよい。
【0091】
カメラ50は、レンズとCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサといった撮像素子を備え、例えばIP(Internet Protocol)カメラ等のネットワークカメラである。ネットワークカメラは、たとえば、無線LAN(Local Area Network)通信機能を有し、通信ネットワーク、すなわちルータなどの中継装置(不図示)を介してサーバに接続される。
【0092】
ここで、画像データは、静止画および動画の少なくともいずれかであってよい。データ形式、ファイル形式、ファイルサイズ、画像サイズ、画像の解像度、動画のフレームレート等も特に限定されず、カメラ50およびサーバの仕様、規格、性能等、あるいは、画像解析の処理能力、精度等に応じて様々な形式のものを採用し得る。カメラ50は監視カメラ、デジタルカメラ、携帯電話等、撮影機能を備えた任意の電子機器とすることができる。カメラ50とサーバは直接接続されてもよいし、上記したように通信ネットワークなどを介して接続されてもよい。また、カメラ50により撮像された画像データは、記憶部70に記憶されてもよい。そして、サーバは、記憶部70から画像データを読み出してもよい。あるいは、カメラ50が画像認識処理機能を有し、認識結果をサーバに送信する構成としてもよい。
【0093】
また、カメラ50からサーバへの画像の送信のタイミングは、リアルタイム配信、例えば、ストリーミング配信であってもよいし、所定間隔で所定期間分の画像を送信してもよい。この送信タイミングは、カメラ50又はサーバのメモリ容量、通信容量、画像処理能力、及び、カメラ50とサーバ間の通信状況等に基づいて、適宜選択されてもよいし、又は、状況変化に応じて変更されてもよい。
【0094】
[動作]
第4実施形態に係る監視システムの動作について図面説明する。
図25は、第4実施形態に係る監視システム100の動作を示すフローチャートである。
【0095】
カメラ50の卓撮影カメラ51は、卓上の肉と卓の周りの複数の人を撮影した卓画像を認識部60に送信する。
【0096】
監視装置20の人物情報受付部21は、人物情報710を受け付ける(ステップS301)。人物情報710は、入店時に入口付近に設置されたカメラで撮像された顔画像に基づいて認識部60によって生成されてもよく、卓上に設置された情報端末30に入力された情報に基づいて生成されてもよい。
【0097】
認識部60は、画像から肉および人の手あるいはトングを認識する(ステップS302)。認識部60は肉および人の手あるいはトングが移動した場合、その位置を追跡する。認識部60は、人の手を認識する場合、手の領域と肉の領域から、人が物を触っていることを認識する(ステップS303)。
【0098】
人特定部22は、認識部60において人が肉を扱うことが検出されると、肉扱う人を特定する(ステップS304)。認識部60は、網上の卓上カメラ51に映る人の手あるいは焼用トングが、どの席の人のものであるかを、人物情報710と撮像された画像の人の手領域に基づいて特定する。
【0099】
設定部23は、肉の所有者の設定の有無を判定する(ステップS305)。
図26は、第4実施形態におけるステップS305の処理の一例を示すフローチャートである。初期設定部24は、所有者の設定がない場合、肉の所有者を初期設定する(ステップS306)。変更部25は、所有者の設定がある場合、譲渡行動情報に基づいて、所有者の設定を変更する(ステップS307)。設定部23は設定に関する情報を出力する。報知部30は設定部23が設定した肉の所有者の設定に関する情報を報知する(ステップS308)。
【0100】
警告部40は人特定部で特定された人が所有者であるか否かを判定する。肉の取違が発生した場合、警告部40は警告をする(ステップS309)。
【0101】
監視システム100は、肉が食べられると肉の追跡を終了する。
【0102】
[効果]
焼肉において、好みの焼き加減や食べたいタイミングは、人によって異なっている。複数人で焼肉を食べるとき、自分のものと認識して焼いていた肉が他の人に食べられてしまうことがある。したがって、肉を一枚ずつ監視し、肉の所有者を管理する必要がある。
【0103】
本実施形態におけるシステムにより、各人は自分のものと認識している肉が他の人に食べられる心配なく、自分のタイミングで焼肉を食べることができる。
【0104】
複数人で焼肉を食べるとき、代表者が肉を焼き、肉を管理する場合がある。初期設定部により最初に肉を焼き始めた人が、肉の所有者として初期設定される。本実施形態に係るシステムにより、肉の所有者を変更することができ、各肉の所有者の管理が容易となる。
【0105】
[その他の機能]
監視システム100は、さらに以下の変形例に示す機能を有していてもよい。
<変形例1:食べた肉のカウント>
卓内の人が食べた肉の種類及び量のデータは、履歴として記憶部70に記録することができる。
図27は、肉と所有者と消費者の履歴の一例を示す図である。
【0106】
認識部60は、網から肉が取り除かれ時に、肉の追跡を終了してもよい。この場合、記憶部70は、肉を取り除いた人物が「肉を食べた人物である」又は「肉の消費者である」として記録する。網から取り除いた後に肉を譲渡する場合、情報端末上で肉の消費者の変更を可能としてもよい。認識又は追跡においてミスがあり、食べた肉の記録に誤りがある場合、情報端末で記憶部70の記録を修正できるようにしてもよい。
【0107】
認識部60は、網から人の前のお皿などに肉が移動したときに肉の追跡を終了してもよい。この場合、記憶部70は、自分の前に置かれた取り皿に肉を置かれたことを認識された人が「肉を食べた人物である」として記憶する。顔撮影カメラ52を用いる場合、肉が口の中に入るまで肉を追跡してもよい。この場合、記憶部70は、肉を口の中に入れた人が「肉を食べた人物である」として記憶する。
【0108】
<変形例2:履歴に基づく推薦>
監視システム100は、卓内の人が食べた物の履歴に基づいて、その卓又は卓の特定の人に応じて、嗜好やおすすめ品の分析を行ってもよい。監視システム100は各人が食べた物の履歴に基づいて好みの傾向を判定する。情報端末の表示部は判定した好みに合わせて、推薦品を表示する。
【0109】
<変形例3:履歴に基づく会計>
さらに、監視システム100は、卓内の人が食べた肉の種類及び量のデータの履歴に基づいて、各人の支払額を算出できるようにしてもよい。表示部は算出された各人の支払額を表示する。
【0110】
通常の焼肉店では、各人が食べた量は管理されていないため、小食な人や大食いの人が卓にいる場合に、会計の際に合計金額を人数で均等に割ると、一人当たりの支払額が食べた量に見合わないため、不平等となる。変形例3の監視システムを利用することで、各人が食べた量を管理でき、各人ごとに金額を割り出した決済が可能になる。
【0111】
また卓に置かれたオーダー端末は会計機能を有していてもよい。オーダー端末を用いて決済をすることで店舗の省人化が可能になる。
【0112】
<変形例4:店員と区別>
認識部60は、画像から認識する人のうち、客と店員とを区別するようにしてもよい。認識部60は客と店員の区別は客同士の区別と同様に、人の手の領域に基づいて、所定領域の人の手は店員であると判断してもよい。認識部60は、客と異なるトングを用いる、又は、手袋や軍手をつける店員を、客のトング又は手と異なって認識してもよい。認識部60は店員の制服を認識してもよい。
【0113】
第1実施形態の警告部40は、所有者が設定された肉に、店員以外の人が触れた場合に警告を発する。監視システムは店員が物に触れる場合は監視を開始せず、客が物に触れてから監視を開始するようにしてもよい。
【0114】
変形例4の監視システムによれば、店員が肉を途中まで焼く場合、肉を店員に関連付けないことが可能になる。
【0115】
<変形例5:所定時間以内の所有者の設定>
変形例5の監視システムは、代表者が肉を途中まで焼く場合、代表者に肉を関連付けない。例えば、店員が運んできた肉を一人が全員分まとめて網の上に配置した方が、効率がよい場合がある。そこで最初に網の上に肉を置くために肉に触れた人は、肉の所有として設定されない構成としてもよい。設定部23は、網の上に肉が置かれた後に、所定の条件を満たす人、例えば肉を一定時間以上触った人に肉を関連付けてもよい。
【0116】
変形例5の監視システムによれば、代表者が肉を途中まで焼く場合に所有者の変更をする必要がなくなる。
【0117】
<変形例6:食べ頃の報知>
報知部30は、食べ頃などのタイミングについても報知してもよい。報知部30はまだ肉が焼けていないことや、焦げてしまうことなど、焼け具合の報知をしてもよい。
図16に示すようにデータベースには肉の焼け具合が記憶される。肉の焼け具合は画像認識によって判断する。プロジェクションマッピングを用いた報知の例を
図17に示す。
図16において肉Aは焦げそうになっている。そこで
図17において、肉Aには困った表情の顔が投影され、肉は「焦げそう」と発話するように吹き出しが投影されている。
【0118】
例えばホルモンは生焼けであったり焼き過ぎたりし、焼き加減が分かりにくい。変形例6によれば、人はタイミングを逃さずに肉を食べることが可能になる。
【0119】
さらに、肉には部位ごとにおいしい焼き方がある。そこで焼け具合の警告として、裏返すタイミング、あるいは、肉を網に押し付けるタイミングを警告してもよい。
【0120】
<その他の適用例>
第4実施形態の監視システム100は、焼肉の監視だけでなく、荷物の監視にも適用できる。
図28は、卓撮影カメラ51で撮影された画像の他の例を示している。
図28において、荷物として携帯電話が撮影されている。
【0121】
食事の際に自分の所有する携帯電話や腕時計を卓上に置く人がいる。携帯電話などの所有物を置いて席を外すと不安であるが、身に付けて移動するのは面倒な場合がある。そこで第3実施形態のシステムを用いて、食べ物以外の所有物も監視することができる。
【0122】
また第3実施形態の設定部23の機能を用いて荷物の所有者を変更することで、例えば携帯端末を同じ卓の人に預けることが可能になる。
【0123】
第4実施形態の監視システム100は、他にも工場における工具、棚の収納物、冷蔵庫の食べ物、空港の荷物の監視に用いることができる。
【0124】
<ハードウェアの説明>
また、上記した各実施形態に示した手順は、監視装置10、20として機能するコンピュータ(
図29の9000)に、監視装置10、20としての機能を実現させるプログラムにより実現可能である。このようなコンピュータは、
図29CPU(Central Processing Unit)9010、通信インターフェース9020、メモリ9030、補助記憶装置9040を備える構成に例示される。すなわち、
図29のCPU9010にて、監視プログラムを実行し、その補助記憶装置9040等に保持された各計算パラメーターの更新処理を実施させればよい。
【0125】
上記した各実施形態に示した監視装置の各部(処理手段、機能)は、監視装置に搭載されたプロセッサに、そのハードウェアを用いて、上記した各処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現することができる。
【0126】
本願発明は以上に説明した実施形態に限定されるものではない。以上に説明した実施形態の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0127】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
【0128】
(付記1)
画像から認識された物体に関する物体情報と、前記画像から認識された人に関する人情報に基づいて、前記物体を扱っている人を特定する人特定手段と、
前記物体と前記物体を扱っている人を関連付けて前記物体の所有者を設定する設定手段と、を備え、
前記設定手段は、
前記物体の所有者が設定されていない場合、特定された前記物体を扱っている人を前記物体の所有者として初期設定する初期設定手段と、
前記物体の所有者が設定されている場合、前記物体を譲渡する行動を示す譲渡行動情報に基づいて、前記物体を扱っている人と異なる人に前記所有者を変更する変更手段と、を有する監視装置。
【0129】
(付記2)
前記物体情報は、前記物体の領域を示す物体領域を含み、
前記人情報は、前記人の領域を示す人領域を含み、
前記人特定手段は、前記物体領域と前記人領域の重なりに基づいて、前記人による前記物体の扱いを検知する、
付記1に記載の監視装置。
【0130】
(付記3)
前記物体情報は、前記物体を識別するための物体識別子を更に含み、
前記人情報は、前記人を識別するための人識別子を更に含み、
前記人特定手段は、前記物体領域と前記人領域の重なりに基づいて、前記物体を扱っている人を特定する、
付記2に記載の監視装置。
【0131】
(付記4)
前記画像から前記人と前記物体を認識して前記物体情報と前記人情報を生成する認識手段、を更に備え、
前記認識手段は、前記画像に人の一部が撮像されている場合、前記人の一部の特徴に基づいて前記人識別子を生成する、
付記1乃至3のいずれか1つに記載の監視装置。
【0132】
(付記5)
前記認識手段は、前記画像された認識された人の顔の特徴を示す顔情報を生成し、前記人情報に含める
付記4に記載の監視装置。
【0133】
(付記6)
前記譲渡行動情報は、前記画像から認識される前記物体の所有者による譲渡行動を示す動作に関する情報、譲渡行動を示す音声に関する情報、又は、外部装置から入力された譲渡行動を示す情報のいずれかである、
付記1乃至5のいずれか1つに記載の監視装置。
【0134】
(付記7)
付記1乃至6のいずれか1つの監視装置と、
前記物体を扱っている人が、前記物体の所有者として設定されていない場合、警告をする警告手段と、
を備える監視システム。
【0135】
(付記8)
付記1乃至7のいずれか1つの監視装置と、
前記画像を撮像するカメラと、
前記物体の所有者に関する情報を報知する報知手段と、
を備える監視システム。
【0136】
(付記9)
画像から認識された物体に関する物体情報と、前記画像から認識された人に関する人情報に基づいて、前記物体を扱っている人を特定する人特定処理と、
前記物体と前記物体を扱っている人を関連付けて前記物体の所有者を設定する設定処理と、を含み、
前記設定処理は、
前記物体の所有者が設定されていない場合、特定された前記物体を扱っている人を前記物体の所有者として初期設定する初期設定処理と、
前記物体の所有者が設定されている場合、前記物体を譲渡する行動を示す譲渡行動情報に基づいて、前記物体を扱っている人と異なる人に前記所有者を変更する変更処理と、を有する監視方法。
【0137】
(付記10)
画像から認識された物体に関する物体情報と、前記画像から認識された人に関する人情報に基づいて、前記物体を扱っている人を特定する人特定処理と、
前記物体と前記物体を扱っている人を関連付けて前記物体の所有者を設定する設定処理と、をコンピュータに実行させ、
前記設定処理は、
前記物体の所有者が設定されていない場合、特定された前記物体を扱っている人を前記物体の所有者として初期設定する初期設定処理と、
前記物体の所有者が設定されている場合、前記物体を譲渡する行動を示す譲渡行動情報に基づいて、前記物体を扱っている人と異なる人に前記所有者を変更する変更処理を含む、プログラム。
【0138】
(付記11)
画像における複数の焼肉と複数の人を認識する認識手段と、
前記認識された焼肉と前記認識された人に基づいて、前記焼肉を扱っている人を特定するとともに、前記焼肉と人を関連付けする人特定手段と、
前記焼肉を扱っている人が、前記焼肉に関連付けされていない場合に警告する警告部と、
を備える監視装置。
【符号の説明】
【0139】
10、20 監視装置
12、22 人特定部
13、23 設定部
14、24 初期設定部
15、25 変更部
21 人物情報受付部
40 警告部
50 カメラ
60 認識部
70 記憶部