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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】飲料水循環用の水中撹拌装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 27/96 20220101AFI20231011BHJP
   B01F 27/13 20220101ALI20231011BHJP
   B01F 27/25 20220101ALI20231011BHJP
   C02F 1/00 20230101ALI20231011BHJP
【FI】
B01F27/96
B01F27/13
B01F27/25
C02F1/00 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021506478
(86)(22)【出願日】2019-08-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2019071029
(87)【国際公開番号】W WO2020030596
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-05-09
(31)【優先権主張番号】102018119039.5
(32)【優先日】2018-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509233585
【氏名又は名称】インベント ウムウェルト- ウント フェルファーレンステヒニック アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】ヘフケン・マルクス
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-521295(JP,A)
【文献】特表2010-535610(JP,A)
【文献】中国実用新案第204848468(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0161838(US,A1)
【文献】特開2006-061780(JP,A)
【文献】特表2017-502826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 27/00 - 27/96
C02F 1/00
C02F 3/08
C02F 7/00
B08B 3/10
E03B 11/00 - 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のハウジング(1)を有する水中モーターであって、前記水中モーターの一端からシャフト(3)が延びている水中モーターと、
前記シャフト(3)に取り付けられた双曲面撹拌体(5)と、
前記ハウジング(1)に沿って延び、かつ前記ハウジング(1)に接続された複数の支持体(4)を備えるフレーム(2)であって、前記支持体(4)が、径方向外側に曲がった湾曲部(6)を有し、前記湾曲部が、底部で前記フレーム(2)を支持するために前記双曲面撹拌体(5)の周縁(U)を越えて延びている、フレーム(2)と、
平面視で環状であり、前記支持体(4)の前記湾曲部()に取り付けられた導流要素(8)とを備える飲料水循環用の水中撹拌装置であって、
前記導流要素(8)が、前記ハウジング(1)に向かって先細の円錐状に形成されており、
前記水中モーターに面する前記双曲面撹拌体(5)の上側に搬送リブ(9)が設けられており、前記搬送リブが、前記径方向に延び、前記周縁(U)に向かって前記周縁(U)の第1の接線方向に湾曲しており、
前記双曲面撹拌体(5)の前記上側の平面視において、前記支持体(4)の前記湾曲部()が、前記第1の接線方向とは反対の前記周縁(U)の第2の接線方向に湾曲している、水中撹拌装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水中撹拌装置において、前記フレーム(2)が、前記支持体(4)を3個だけ備える、水中撹拌装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の水中撹拌装置において、前記支持体(4)同士が、前記ハウジング(1)におけるシャフト側の前記一端とは反対側の他端で、接続要素(10)により接続されている、水中撹拌装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一項に記載の水中撹拌装置において、前記双曲面撹拌体(5)が、鋳物の一部として前記搬送リブ(9)と一体にステンレス鋼で作られている、水中撹拌装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれか一項に記載の水中撹拌装置において、前記ハウジング(1)、前記導流要素(8)および前記フレーム(2)が、ステンレス鋼で作られている、水中撹拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングを有し、一端からシャフトが延びる水中モーターと、前記シャフトに取り付けられた双曲面撹拌体と、タンクの底部で前記水中撹拌装置を支持する支持構造とを備える飲料水循環用の水中撹拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水中撹拌装置は、本願出願人により“Hyperdive Mixer”という製品名で提供されている。この装置は、特に、浄化タンク内の汚水を循環させるために用いられる。
【0003】
飲料水の貯蔵所では、異なる温度を有する水の層が形成されるというおそれがある。この種の水の層の間では液体の交換があまり行われない。これにより、藻類の発生、ポスト細菌負荷(post-bacterial load)が生じる可能性があり、かつ/または化学物質の濃度が制御されていない状態となり得る。上記の欠点を回避するために、飲料水の貯蔵所で保管される飲料水は撹拌装置により循環される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、撹拌効率が向上した飲料水循環用の水中撹拌装置を明示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、請求項1の構成により達成される。本発明の好適な実施形態は、従属請求項の構成から明らかとなる。
【0006】
本発明によれば、飲料水循環用の水中撹拌装置が提案され、この水中撹拌装置は、
円筒状のハウジングを有する水中モーターであって、前記水中モーターの一端からシャフトが延びている水中モーターと、
前記シャフトに取り付けられた双曲面撹拌体と、
前記ハウジングに沿って延び、かつ前記ハウジングに接続された複数の支持体を備えるフレームであって、前記支持体が、径方向外側に曲がった湾曲部を有し、前記湾曲部が、底部で前記フレームを支持するために前記双曲面撹拌体の周縁を越えて延びている、フレームと、
平面視で環状であり、前記支持体の前記湾曲部に取り付けられた導流要素とを備える。
【0007】
提案する前記水中撹拌装置は、簡単でコンパクトな設計である。環状の導流要素を設けたことにより、前記双曲面撹拌体の周縁における円状または渦巻状の渦流が回避される。その結果、提案する前記水中撹拌装置は、特に高い撹拌効率を有する。つまり、提案する前記水中撹拌装置により、エネルギーの消費を低減して、所定量の飲料水を循環させることが可能である。
【0008】
有利な実施形態によれば、前記水中モーターに面する前記双曲面撹拌体の上側に搬送リブが設けられており、前記搬送リブが、前記径方向に延び、前記周縁に向かって第1の接線方向に湾曲している。提案する前記搬送リブの実施形態は、前記水中撹拌装置の効率をさらに向上させることに寄与する。前記双曲面撹拌体が回転するとき、その上側に向かう流れが生成され、前記周縁に向かって径方向に偏向される。
【0009】
前記導流要素は、有利には、前記湾曲部に支持されている。しかしながら、前記導流要素は、前記双曲面撹拌体に面する前記湾曲部の下縁に取り付けられていてもよい。好適には、前記導流要素は、前記湾曲部に溶接されている。
【0010】
前記導流要素は、有利には、前記ハウジングに向かって先細の円錐状に形成されている。これにより、望ましくない渦流(特に、円状または渦巻状の渦流)を回避することに寄与する。
【0011】
さらに有利な実施形態によれば、前記フレームは、前記支持体をちょうど3個備える。提案する前記フレームの構成は簡単でコンパクトである。この他にも、前記水中撹拌装置は傾斜しないように確実にタンクの底部で支持されている。
【0012】
前記撹拌要素の上側の平面視において、有利には、前記支持体の前記湾曲部は、前記第1の接線方向とは反対の第2の接線方向に湾曲している。前記第2の接線方向は、前記撹拌体の周縁から流れる水の方向と実質的に一致する。障害となる望ましくない流れが形成されて、これにより渦流が形成されることも、提案する実施形態により抑制される。よって、提案する前記水中撹拌装置の効率も向上させることができる。
【0013】
さらなる実施形態によれば、前記支持体同士は、前記ハウジングにおけるシャフト側の前記一端とは反対側の他端で、接続要素により接続されている。これにより、提案する前記水中撹拌装置を昇降するためのケーブルを容易に取り付けることができる。
【0014】
前記双曲面撹拌体は、好適には、鋳物の一部として前記搬送リブと一体にステンレス鋼で作られている。同様に、前記ハウジング、前記導流要素および前記フレームは、ステンレス鋼で作られていてもよい。高級鋼として、組成X6CrNiMoTi17-12-2の鋼を使用することが好ましい。また、組成X2CrNiMo17-12-2の鋼を用いることもできる。この種類の鋼は、飲料水の貯蔵所において飲料水を循環させるために特に適している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】水中撹拌装置の斜視図である。
図2】同装置の側面図である。
図3】同装置の平面図である。
図4】同装置の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下において、本発明の例示的な実施形態を、図面に言及しつつ説明する。
【0017】
図示される水中撹拌装置の場合、水中モーターは、全体として参照符号2により示されるフレームに取り付けられている。円筒状のハウジング1を有するこの水中モーターからシャフト3が延びている。双曲面撹拌体5がシャフト3に取り付けられている。このような双曲面撹拌体5は、例えば、独国特許出願公開第102013225658号から知られている。
【0018】
フレーム2は、ハウジング1に沿って延び、かつハウジング1に接続された複数の支持体4を備える。支持体4は、双曲面撹拌体5の方向にハウジング1を越えて延びている。支持体4は、双曲面撹拌体5よりも上の部分に、径方向外側に曲がった湾曲部6を有する。湾曲部6は、双曲面撹拌体5の周縁Uを越えて延び、底部においてフレーム2を支持する足部7をそれぞれの端に有する。
【0019】
平面視で環状の導流要素8が、湾曲部6に支持されている。導流要素8は、例えば溶接により、湾曲部6に固定的に接続されている。
【0020】
双曲面撹拌体5は、ハウジング1に面する上側に搬送リブ9を有する。双曲面撹拌体5は、好適には、鋳物の一部として搬送リブ9と一体にステンレス鋼で作られている。
【0021】
搬送リブ9は、まず、シャフト3から双曲面撹拌体5の表面に沿って径方向に延びている。そして、搬送リブは、周縁Uに向かって第1の接線方向に湾曲している。
【0022】
特に図3から分かるように、双曲面撹拌体5の上側の平面視において、支持体4の湾曲部6は、第1の接線方向とは反対の第2の接線方向に湾曲している。導流要素8は、ハウジング1に向かって先細の円錐状に形成されている。参照符号10は接続要素を示し、この接続要素は、ハウジング1におけるシャフト側の前記一端とは反対側の他端で、支持体4同士を接続している。水中撹拌装置を昇降するためのケーブルを接続要素10に取り付けてもよい。
【0023】
前記水中撹拌装置の機能は以下のとおりである。
水中モーターにより、双曲面撹拌体5は時計回りに回転する。その結果、双曲面撹拌体5の上側に向かう流れが形成される。この流れは導流要素8を通過する。導流要素8の作用および双曲面撹拌体5の効果により、この流れは径方向に偏向される。同様に、周縁Uからの流れも時計回りに循環する。第2の接線方向に設けられた湾曲部6の湾曲により、流れがその経路において受ける抵抗は、極めて小さい抵抗のみである。導流要素8の効果により、渦巻状の渦流の形成が回避される。提案する水中撹拌装置によって、より高い効率で、飲料水容器内で飲料水を循環させることができる。本発明に従って提案される実施形態により、循環に要する電力は従来の水中撹拌装置よりも少ない。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
[態様1]
円筒状のハウジング(1)を有する水中モーターであって、前記水中モーターの一端からシャフト(3)が延びている水中モーターと、
前記シャフト(3)に取り付けられた双曲面撹拌体(5)と、
前記ハウジング(1)に沿って延び、かつ前記ハウジング(1)に接続された複数の支持体(4)を備えるフレーム(2)であって、前記支持体(4)が、径方向外側に曲がった湾曲部(6)を有し、前記湾曲部が、底部で前記フレーム(2)を支持するために前記双曲面撹拌体(5)の周縁(U)を越えて延びている、フレーム(2)と、
平面視で環状であり、前記支持体(4)の前記湾曲部(U)に取り付けられた導流要素(8)とを備える飲料水循環用の水中撹拌装置。
[態様2]
態様1に記載の水中撹拌装置において、前記水中モーターに面する前記双曲面撹拌体(5)の上側に搬送リブ(9)が設けられており、前記搬送リブが、前記径方向に延び、前記周縁(U)に向かって第1の接線方向に湾曲している、水中撹拌装置。
[態様3]
態様1または2に記載の水中撹拌装置において、前記双曲面撹拌体(5)の前記上側の平面視において、前記支持体(4)の前記湾曲部(U)が、前記第1の接線方向とは反対の第2の接線方向に湾曲している、水中撹拌装置。
[態様4]
態様1から3のいずれか一態様に記載の水中撹拌装置において、前記導流要素(8)が、前記ハウジング(1)に向かって先細の円錐状に形成されている、水中撹拌装置。
[態様5]
態様1から4のいずれか一態様に記載の水中撹拌装置において、前記フレーム(2)が、前記支持体(4)を3個だけ備える、水中撹拌装置。
[態様6]
態様1から5のいずれか一態様に記載の水中撹拌装置において、前記支持体(4)同士が、前記ハウジング(1)におけるシャフト側の前記一端とは反対側の他端で、接続要素(10)により接続されている、水中撹拌装置。
[態様7]
態様1から6のいずれか一態様に記載の水中撹拌装置において、前記双曲面撹拌体(5)が、鋳物の一部として前記搬送リブ(9)と一体にステンレス鋼で作られている、水中撹拌装置。
[態様8]
態様1から7のいずれか一態様に記載の水中撹拌装置において、前記ハウジング(1)、前記導流要素(8)および前記フレーム(2)が、ステンレス鋼で作られている、水中撹拌装置。
[その他]
出願当初の特許請求の範囲に記載のすべての請求項を、明細書の「発明を実施するための形態」の欄の末尾に[態様]として転記する補正を行いました。
【符号の説明】
【0024】
1 ハウジング
2 フレーム
3 シャフト
4 支持体
5 双曲面撹拌体
6 湾曲部
7 足部
8 導流要素
9 搬送リブ
10 接続部
U 周縁
図1
図2
図3
図4