(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】布類識別装置
(51)【国際特許分類】
D06H 3/08 20060101AFI20231012BHJP
D06F 89/00 20060101ALI20231012BHJP
G01N 21/59 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
D06H3/08
D06F89/00
G01N21/59 M
(21)【出願番号】P 2018213947
(22)【出願日】2018-11-14
【審査請求日】2021-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】597090907
【氏名又は名称】東都フォルダー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】弁理士法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【氏名又は名称】茂木 康彦
(72)【発明者】
【氏名】前嶋 祐介
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-113100(JP,A)
【文献】特開平06-241732(JP,A)
【文献】特開2017-203764(JP,A)
【文献】特開2003-194669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06H 1/00- 7/24
G01N 21/00-21/01,
21/17-21/61,
21/84-21/958
D06F 89/00-89/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1の布類と、他の布類とを識別するために、測定しようとする布類に光を照射する投光部と、
前記投光部が発する光を受ける受光部と、
前記受光部が受けた光の透過率から前記測定しようとする布類が、前記1の布類か、
前記他の布類か、を識別する判断部と、
1の布類と他の布類とを識別するための閾値を記憶する記憶部と、を有し、
前記1の布類の複数個所の透過率を加工した1の布類の第1の加工値と、
前記他の布類の複数箇所の透過率を加工した他の布類の第2の加工値と、
前記第1の加工値は、前記1の布類の複数個所の透過率の平均値であり、
前記第2の加工値は、前記他の布類の複数個所の透過率の平均値であり、
前記第1の加工値と、
前記第2の加工値と、の中間値を前記閾値とし、
前記判断部は、前記記憶部に記憶されている前記閾値を呼び出し、その閾値と、前記受光
部が受けた前記測定しようとする布類の透過率と、を対比し、
前記閾値より大又は小によって、測定しようとする布類が、1の布類か、他の布類か、を識別する、布類識別装置。
【請求項2】
前記請求項1記載の布類識別装置を有する布類折りたたみ装置。
【請求項3】
コンピュータである前記請求項1または2記載の布類識別装置に実行させるプログラムであって、
1の布類と他の布類との区別するための閾値を決定し、この閾値を記憶部に記憶する閾値決定工程と、
測定しようとする布類を透過した光を受光部が、受光する布類受光工程と、
前記布類受光工程において、透過した光を受けた受光部が、前記測定しようとする布類の透過率を検出する透過率検出工程と、
前記透過率検出工程において検出した前記測定しようとする布類の透過率を判断部が受け取る透過率受け取り工程と、
判断部が、閾値決定工程によって、記憶部に記憶されている閾値をその記憶部に問い合わせる閾値問い合わせ工程と、
前記透過率受け取り工程において受け取った透過率と、閾値問い合わせ工程において問い合わせた閾値を対比し、その透過率が、閾値を越える値か、あるいは閾値以下かを判断部が判断する閾値判断工程と、を順次コンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚さの一様な複数種類の布類を種類毎に分別する布類識別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リネンサプライ業と呼ばれる分野では多種類の布製品を同時に取扱う集配システムがとられている。現在の集配システムでは、ルートマンがホテル毎にフェイスタオルやバスマット、バスタオル等の布製品を種類と枚数を確認してリネン工場へ持ち帰り、そのリネン工場では、ホテルごとに区別しつつ、フェイスタオルやバスマット、バスタオル等を区別することなくまとめて洗濯した後に、作業者がそれらフェイスタオルやバスマット、バスタオルを分別し、その後、折り畳装置に投入するという処理が行われている。その後再びホテル毎に布製品の種類と枚数をそろえて配達するということが繰り返される。これはホテル、旅館等に限らず、病院で使用される布製品についても同様である。
【0003】
上記のシステムにおいては、それらの布類を1枚1枚作業者が手で拡げてその種類を確認し、フェイスタオルやバスマットの種別ごとにユーザーの希望する折り畳みをしてから配達するということが行われている。これには人手の作業を行うことにより、作業効率が悪化するという問題がある。またその布類を識別する作業のための人員は勿論のこと、さらに、布類の内、1点でも不足すれば配達ができないためその識別をする作業者の熟練度が要求される。
【0004】
このような問題に対して、本出願人が有する特許第3220692号公報が開示されている。これは、ホテルや病院等で使われる布製品その他の布類を洗濯したのち、種類毎に自動で分別することができるというものである。この発明は、布類の重なり状態の差による厚さの変化を透過光量の差によって検出するための投光部と透過光受光部とから成る厚さ計測手段を有するものであり、上記公報における
図11に示したように、透過量のパターンを識別することで、シーツ、額縁包布、全包布の種別を認識することができる装置である。
【0005】
しかしながら、上記装置では、特に、フェイスタオルと、バスマットの識別をすることができないという問題がある。すなわち、それらの大きさ、外形は近似し、それらはいずれも一枚の布類であって、それらは一様な厚さであることから、
図11で示した額縁包布や全包布に特有の透過量のパターンが、バスマットやフェイスタオルには現れず、それらを識別することができない。このように、大きさ、外形の近似した1の布類と他の布類を識別することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記の点に着目してなされたもので、大きさの近似する1の布類と他の布類と、を識別する装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するため、第1観点の布類識別装置は、1の布類と、他の布類とを識別するために、測定しようとする布類に光を照射する投光部と、投光部が発する光を受ける受光部と、受光部が受けた光の透過率から前記測定しようとする布類が、前記1の布類か、前記他の布類か、を識別する判断部と、1の布類と他の布類とを識別するための閾値を記憶する記憶部と、を有し、判断部は、記憶部に記憶されている閾値を呼び出し、その閾値と、受受光部が受けた測定しようとする布類の透過率と、を対比することによって、閾値より大又は小によって、測定しようとする布類が、1の布類か、他の布類か、を識別するというものである。
【0009】
第2観点の布類識別装置は、第1観点において、閾値は、前記1の布類の複数個所の透過率を加工した1の布類の第1の加工値と、他の布類の複数箇所の透過率を加工した他の布類の第2の加工値と、のそれぞれの中間値をその閾値とするというものである。
【0010】
第3観点の布類識別装置は、第1観点において、閾値は、1の布類又は前記他布類のいずれか一方の複数個所の透過率の平均値を第3加工値とし、第3加工値をその閾値とするというものである。
【0011】
第4観点の布類折りたたみ装置は、第1観点から、第3観点の布類識別装置を有するものである。
【0012】
コンピュータである第1観点から、第4観点の布類識別装置に実行させるプログラムであって、1の布類と他の布類との区別するための閾値を決定し、この閾値を記憶部に記憶する閾値決定工程と、測定しようとする布類を透過した光を受光部が、受光する布類受光工程と、布類受光工程において、透過した光を受けた受光部が、前記測定しようとする布類の透過率を検出する透過率検出工程と、透過率検出工程において検出した前記測定しようとする布類の透過率を判断部が受け取る透過率受け取り工程と、判断部が、閾値決定工程によって、記憶部に記憶されている閾値をその記憶部に問い合わせる閾値問い合わせ工程と、透過率受け取り工程において受け取った透過率と、閾値問い合わせ工程において問い合わせた閾値を対比し、その透過率が、閾値を越える値か、あるいは閾値以下かを判断部が判断する閾値判断工程と、を順次コンピュータに実行させるというものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以上の如く構成されるため、大きさの近似する1の布類と他の布類と、を識別する装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】布類識別装置を有する折りたたみ装置の側面図である。
【
図2】Aは、布類識別装置を有する折りたたみ装置の平面図である。Bは、布類識別装置を有する折りたたみ装置の正面図である。
【
図3】布類識別装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】布類識別装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】第1閾値を特定する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】第2閾値を特定する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】布類を2つ折り(1回折り)するための折りたたみ装置の動作を示した図であり、Aは、布類を折りたたみ装置に取り付けた状態の図である。Bは、布類を搬送する状態の図である。Cは、布類が、隙間を通過する状態の図である。
【
図8】Dは、布類を2つ折り(1回折り)するための折りたたみ装置の動作において、2折りする状態の図である。Eは、布類をバスマット積載部に落とす状態の図である。
【
図9】布類を3つ折り(2回折り)するための折りたたみ装置の動作を示した図であり、Aは、布類を折りたたみ装置に取り付けた状態の図である。Bは、布類を搬送する状態の図である。Cは、布類を2つ折りする状態の図である。
【
図10】Dは、布類が、隙間に押し込まれた状態の図である。Eは、さらに2折りする状態の図である。Fは、布類をバスマット積載部に落とす状態の図である。
【
図11】布類を4つ折り(2回折り)するための折りたたみ装置の動作を示した図であり、Aは、布類を折りたたみ装置に取り付けた状態の図である。Bは、布類を搬送する状態の図である。Cは、布類を2つ折りする状態の図である。
【
図12】Dは、布類が、隙間に押し込まれた状態の図である。Eは、さらに2折りする状態の図である。Fは、布類をフェイスタオル積載部に落とす状態の図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図示の実施形態を参照して実施例について説明する。実施例における布類識別装置10は、折りたたみ装置800に取り付けられており、その布類識別装置10によって、混合された状態の複数種類の布類を種類毎に分別するためのものである。例えば、これから測定しようとする布類が、1の布類であるバスマットか、あるいは、他の布類であるフェイスタオルか、を識別し、識別されたバスマットとフェイスタオルをそれぞれ、折りたたみ装置800によって、種類別に分別されて、ユーザーの希望する折り畳み状態にするというものである。
【0016】
従って例えば、バスマットは、2つ折り、フェイスタオルは3つ折りするというユーザーの希望通りに、混合された布類を種別ごとに識別し、種別ごとに折り畳んだ布類をそれぞれ積載するというものである。特に、実施例における布類識別装置10は、布類の大きさがそれぞれ近似する1の布類であるバスマットと他の布類であるフェイスタオルとを識別することができる。
【0017】
すなわち、1の布類であるバスマットと他の布類であるフェイスタオルはその外形の大きさでは識別することができず、一様な厚さであるものの、その厚さがバスマットとフェイスタオルとで、それぞれ異なるものである。従って、本実施例の布類識別装置10は、それぞれの布類に光を照射したときに、それらの光の透過率が異なることで、布類の種別を識別することができることを見出したのである。例えば、1の布類であるバスマットの光の透過率を測定すると、その透過率は4.4パーセントであり、他の布類であるフェイスタオルの光の透過率を測定するとその透過率は30パーセントである。従って後述するように、1の布類であるバスマットの光の透過率を複数の箇所で測定し、その複数個所の透過率の平均値を求める。この平均値を第1の加工値とする。また、他の布類であるフェイスタオルの光の透過率を複数の箇所で測定し、その複数個所の透過率の平均値を求める。これを第2の加工値とする。この第1の加工値と、第2の加工値との中間の値を閾値として設定し、その閾値を超える値(大)であれば、フェイスタオルと認定し、その閾値以下(小)であればバスマットとして認定することで、それらを識別することができる。
【0018】
また、上述のとおり、1の布類であるバスマットの光の透過率を、複数の箇所で測定すると、その複数個所の透過率の平均値も4.4パーセント程度で収まることが予想される。従ってその平均値を第3加工値とし、その第3加工値を第2閾値とすれば、その第2閾値を超えるものの場合は1の布類であるバスマットではなく、他の布類であるフェイスタオルと判断することができる。従って、第2閾値を越える値であればフェイスタオルと認定し、あるいは第2閾値以下であればバスマットとして認定することで、それらを識別することができる。一般的に、バスマットのほうがフェイスタオルに比べ厚く、透過率は、バスマットのほうがフェイスタオルより低い。
【0019】
図1は、布類識別装置10の構成を示す図である。
図1、2、3に示すように、布類識別装置10は、1の布類と、他の布類とを識別するために、光を、測定しようとする布類に照射をする投光部20と、その投光部20が発する光を受ける受光部30と判断部40と記憶部50とを有する。投光部20が、発した光が、測定しようとする布類を透過し、その透過した光を受光部30が受けることでその布類の透過率を算出し、算出した透過率が、あらかじめ記憶部50に記憶されている閾値より、大か、小か、を判断部40が判断することで、測定しようとする布類が、1の布類か他の布類か、を識別することができるものである。
【0020】
閾値は以下のように導くことができる。あらかじめ1の布類の複数個所のバスマットの透過率を測定する。その複数箇所のバスマットのそれぞれの透過率を加工して得た第1加工値を得る。次に、あらかじめ他の布類の複数箇所のフェイスタオルの透過率を測定する。その複数箇所のフェイスタオルのそれぞれの透過率を加工して得た第2加工値を得る。
【0021】
次に、1の布類である複数箇所のバスマットのそれぞれの透過率を加工して得た第1加工値と、他の布類である複数箇所のフェイスタオルのそれぞれの透過率を加工して得た第2加工値と、の中間の値である中間値を第1閾値として導くことができる。尚、第3加工値については以下に詳述する。
【0022】
光を照射する投光部20は、たとえば、LEDなど光源となり光を照射するものであることが好ましい。また、受光部30は、複数の受光素子により構成される、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等が好ましい。また、受光部30は、フォトトランジスタ、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、光導電セル、を使用することができる。
【0023】
判断部40は、例えばCPU(Central Processing Unit)によって構成することができ、判断部40は、記憶部40に記憶された後述する布類を識別するためのプログラムに従ってソフトウェア処理を実行することにより、布類識別装置10が有する機能を制御することができる。また、記憶部50は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)が好ましい。このように、布類識別装置10は、コンピュータである。
【0024】
次に、測定しようとする布類を識別するための工程をフローチャート(
図4参照)によって説明する。最初に、1の布類であるバスマットと他の布類であるフェイスタオルをそれぞれ取り出す。次にそれぞれ、投光部20が、その1の布類であるバスマットを搬送しつつ複数回光を照射し、そのバスマット、または、およびフェイスタオルを透過した光を受光部30が、複数回受光し、その受光した複数の透過率を記憶部50に記憶する。この複数回のバスマットの透過率から、第1加工値、第2加工値、第3加工値を算出する。なお、第1加工値、第2加工値、第3加工値については詳述する。
【0025】
布類の複数個所の透過率の第1加工値、第2加工値、第3加工値から、1の布類であるバスマットと他の布類であるフェイスタオルの区別するための閾値を決定し、この閾値を記憶部40に保存する(閾値決定工程s100)。なお閾値決定工程s100については、さらに後述する。ここで閾値とは、1の布類であるバスマットと他の布類であるフェイスタオルとを識別するための基準となる値である。例えば、上述のとおり、閾値は、1の布類であるバスマットの複数個所の光の透過率の平均値を第1加工値とし、他の布類であるフェイスタオルの複数個所の光の透過率の平均値を第2加工値とし、第1加工値と第2加工値の中間の値をその第1閾値とすることができる。
【0026】
また、第2閾値は、1の布類であるバスマット又は、他の布類であるフェイスタオルにおいて、いずれかの布類の複数個所において、光の透過率を測定し、その複数の透過率の平均値を第3加工値とし、その第3加工値を第2閾値とする場合がある。
【0027】
次に、
図4、
図5、
図6に示すフローチャートの処理方法をコンピュータが実行可能なプログラムを以下に示す。また、その
図4、
図5、
図6に示すフローチャートの処理方法をコンピュータが実行可能なプログラムであり、本発明の記憶部50に、
図4、
図5、
図6に示す処理方法をコンピュータが実行可能なプログラムが記憶されている。
【0028】
図示しない作業者が、1の布類であるバスマットか、他の布類であるフェイスタオルであるかのいずれかである測定しようとする布類を識別装置10に載置し、投光部20が、その布類に対し、光を照射し、その布類を透過した光を受光部30が、受光する(布類受光工程s200)。
【0029】
上記布類受光工程s200において、透過した光を受けた受光部30において、測定しようとする布類の透過率を検出する(透過率検出工程s300)。
【0030】
次に、透過率検出工程s300において検出した測定しようとする布類の透過率を判断部40が受け取る(透過率受け取り工程s400)。
【0031】
次に、判断部40が、閾値決定工程s100によって、記憶部50に記憶されている閾値をその記憶部50に問い合わせる(閾値問い合わせ工程s500)。
【0032】
透過率受け取り工程s400において受け取った透過率と、閾値問い合わせ工程s500において問い合わせた閾値を対比し、その透過率が、閾値を超える値か、あるいは以下かを判断部40が判断する(閾値判断工程s600)。
【0033】
上記閾値判断工程s600において、判断部40が、測定しようとする布類の透過率が、閾値と同一の値を含まず、かつ、閾値以上であるか、すなわち、閾値を越える値であるか、あるいは閾値以下かを判断し、閾値以下であれば1の布類であるバスマットであると判断し、閾値を越える値であれば、他の布類であるフェイスタオルと判断する。1の布類であるバスマットか、または、他の布類であるフェイスタオルかを判断すると、一連の処理フローを終了する。
【0034】
このように、測定しようとする布類を、1の布類であるバスマットあるいは他の布類であるフェイスタオルのように、厚さの一様な2種類の布類を識別することができる。このように閾値を複数設定すれば、2種以上の布類を識別することができる。
【0035】
なお、第1閾値を決定する第1の閾値決定工程s100の詳細は以下のとおりである。すなわち、装置に載置した、例えば1の布類であるバスマットに対し、そのバスマットを搬送しながら投光部20が光を複数回照射する(投光部照射工程s101)。
【0036】
次に、投光部照射工程s101により複数回照射した光が、その1の布類であるバスマットを透過し、その透過した光を授光部が受光し、その受光部30が透過率を検出する(透過率検出工程s102)。この際に複数の透過率を測定する。
【0037】
透過率検出工程s102において、検出した複数の透過率の数値を記憶部50に保存する(透過率保存工程s103)。
【0038】
上記各工程をあらかじめ定められた複数の透過率を記憶部50に記憶したかを判断部40が、確認する(数量確認工程s104)。所定の数量の透過率が確認できない場合はその数量を充足するまで、さらに別の1の布類であるバスマットについて、投光部照射工程s101から透過率保存工程s103を繰り返す。
【0039】
次に、他の布類であるフェイスタオルについても所定の回数について上記投光部照射工程s101から数量確認工程s103を繰り返す。このように、1の布類であるバスマットと、他の布類であるフェイスタオルについて、例えば、3箇所づつ、複数回におよぶ透過率を得ることができるために、それら透過率のばらつきを抑えることができる。ここでその複数個所をあらかじめ設定することができる。
【0040】
記憶部50に保存された1の布類であるバスマットの複数個所の透過率を再び呼びだすとともに、他の布類であるフェイスタオルの複数個所の透過率を再び呼びだす(透過率呼び出し工程s105)。
【0041】
その後、呼び出した1の布類であるバスマットの複数個所の透過率の平均値を導出しその平均値を第1加工値とする。また、呼び出した他の布類であるフェイスタオルの複数個所の透過率の平均値を導出しその平均値を第2加工値とする(数値加工工程s106)。
【0042】
すなわち、数値加工工程s106において、1の布類であるバスマットの複数個所の透過率の平均値と、他の布類であるフェイスタオルの複数個所の透過率の平均値とを、算出し、それらの数値を第1加工値と第2加工値として記憶部50に保存する(加工値記憶工程s107)。
【0043】
1の布類であるバスマットと、他の布類であるフェイスタオルと、のそれぞれの透過率を加工した第1加工値と第2加工値とが、記憶部50に保存されているかを判断部40が確認する(加工値確認工程s108)。
【0044】
加工値確認工程s108において、1の布類であるバスマットと、他の布類であるフェイスタオルとのそれぞれの複数個所の透過率の平均値である第1加工値と第2加工値が記憶部50に保存されていないことを判断部40が判断した場合は、再び上述の投光部照射工程s101に戻る。
【0045】
加工値確認工程s106において、1の布類であるバスマットの第1加工値と、他の布類であるフェイスタオルとの第2加工値がそれぞれ記憶部50に保存されていることを判断部40が判断した場合は、記憶部50からそれぞれの加工値を判断部40に呼び戻す(判断部呼び戻し工程s109)。
【0046】
バスマットの透過率を加工した第1加工値と、フェイスタオルの透過率を加工した第2加工値と、の中間値を第1閾値と判断部40が決定する(閾値確定工程s110)。このように1の布類であるバスマットの複数個所の透過率と、他の布類であるフェイスタオルの複数個所の透過率からそれぞれ、第1加工値と第2加工値を算出し、その第1加工値と第2加工値から、第1閾値を算出することによって、それを基準として、布類を識別することができる。
【0047】
次に以下のプログラムをコンピュータに実施させることによって、第3加工値を求め、それを第2閾値とすることができる。第3加工値とは、その複数回測定したフェイスタオルの透過率の平均値又は、複数回測定したバスマットの透過率の平均値とのいずれかを第3加工値とし、その第3加工値を第2閾値として導出するものである。
【0048】
上述の第2閾値を決定する工程について説明する。
例えば1の布類であるバスマットの複数の個所に投光部20が光を照射する(第2投光部照射工程s121)。例えば、後述する投入コンベア110上にそのバスマットを載置しつつ、後方に搬送することで、バスマットの複数の個所に投光部20が光を照射することができる。次に、第2投光部照射工程s121により照射した光が、その1の布類であるバスマットを透過し、その透過した光を授光部が受光する。これを、投入コンベア110上にそのバスマットを載置しつつ、後方に搬送することで、複数回行い、その受光部30の複数個所の透過率を検出する(第2透過率検出工程s122)。
【0049】
第2透過率検出工程s122において、検出した複数個所の透過率の数値を記憶部50に保存する(第2透過率保存工程s123)。
【0050】
上記第2透過率保存工程s123により、記憶部50に保存されたバスマットにおける複数個所の透過率を判断部40が呼び出す(記憶部呼び出し工程s124)。
【0051】
呼び出した複数個所の透過率の平均値を判断部40が算出し、その平均値を求めそれを第3加工値とする(第3加工値導出工程s125)。
【0052】
上記平均値導出工程s125により求めた平均値である第3加工値を、バスマットであるか、フェイスタオルであるかを識別するための第2閾値とする(第2閾値決定工程s126)。
【0053】
このように、実施例における布類識別装置10は、測定しようとする布類を、1の布類であるバスマットか、あるいは、他の布類であるフェイスタオルか、を上述の第1閾値または第2閾値によって識別することができる。従って、その布類識別装置10を、折りたたみ装置800に配置すると、例えば、1の布類であるバスマットは、2折りし、他の布類であるフェイスタオルは3つ折りすることを、あらかじめ折りたたみ装置800に入力すれば、これらを自動で行うことができる。すなわちあらかじめ、折り畳装800に、布類の種別ごとに2折り、3つ折り4つ折などの折り姿を入力することで、種類ごとに分別され異なる折り姿の布類にすることができる。
【0054】
ここで、布類識別装置10を有する折りたたみ装置800について説明する。
図1、
図2、
図3は布類識別装置10を有する折りたたみ装置800を説明するものであり、布類を搬送する投入コンベア810と、その投入コンベア810を駆動する投入コンベア駆動モータ810mと、を有する。また、投入コンベア810と近接した位置に配置された、1折り正逆コンベア830と、その投入コンベア810と1折り正逆コンベア830との間に隙間840を有する。
【0055】
布類識別装置10における投光部20と、受光部30は、折りたたみ装置800における投入コンベア810の上下に配置することができ、投入コンベア810上に載置した布類にその光を照射し、その布類を透過した光を受けることで透過率を取得することができるというものである。
【0056】
また、折りたたみ装置800は、公知の第1側長センサー801を有する(
図1参照)。これは光電センサーを用いることで、光電センサー上を布類が通過する場合に、布類がその光を遮って授光をしない場合を検出することで、布類の長さを判別するものであり、第3の布類であるバスタオルと、1の布類であるバスマットおよび他の布類であるフェイスタオルと、を識別することができる。すなわち、バスタオルと、バスマットまたはフェイスタオルと、はその長さが異なるために、バスタオルと、長さが異なるバスマットまたはフェイスタオルとの判別はその第1側長センサー801で可能であるが、バスマットとフェイスタオルとの長さは近似するものであり、その第1側長センサー801では、バスマットと、フェイスタオルとの判別は困難である。従って上述の、布類識別装置10を有することにより、バスマットと、フェイスタオルとの判別が可能となったのである。よって、布類識別装置10を有する折りたたみ装置800は、例えば、1の布類であるバスマットと、他の布類であるフェイスタオルと、第3の布類であるバスタオルと、をそれぞれ識別することができる。
【0057】
さらに、折りたたみ装置800は、2折り正逆コンベア860と、2折りコンベア870とを有する。またその落し部880を有し、バスマット積載部910と、フェイスタオル積載部920と、バスタオル積載部930とを有する。さらに2折り正逆コンベア860を駆動する2折り正逆コンベア駆動モータ860mと、2折りコンベア870を駆動する2折りコンベアモータ870mと、を有する。
【0058】
折りたたみ装置800は、以下のとおり、布類を、2折り(1回折り)、3つ折り(2回折り)、4つ折り(2回折り)にすることができる。
【0059】
ここで、布類Wを2折り(1回折り)する場合について説明する。布類Wを投入コンベア810上に載置すると(
図7A参照)、後方Rに搬送される(
図7B参照)。その後、隙間840を通過し(
図7C参照)、2折り正逆コンベア駆動モータ860mによって、2折り正逆コンベア860上にその布類が搬送される。そのときに、その布類Wの長さの半分が、その2折り正逆コンベア860上に搬送(
図8D参照)されることを第3測長センサー803または第4測長センサー804のいずれか一方又は双方で計測し、その布類Wの長さの半分が、その2折り正逆コンベア860上に搬送されたときに、2折り正逆コンベア860の回転が逆回転する。
【0060】
2折り正逆コンベア160によってその布類Wが前方向Fに搬送され始め、その布類Wの長さの中間部分が、2折りコンベア870と、投入コンベア810の下部810aとの間に挟まれるように前方向Fに搬送され、落し部880に搬送される。その落し部880に搬送された2折りされた布類Wは、バスマット積載部910、フェイスタオル積載部920、バスタオル積載部930のいずれかに落すことができるが、本実施例においては例えば、バスマット積載部910に落されて積載される(
図8E参照)。
【0061】
次に、布類Wを3つ折り(2回折り)する場合について説明する。布類Wを投入コンベア810上に載置すると(
図9A参照)、後方Rに搬送される(
図9B参照)。第1側長センサー801または第3測長センサー803のいずれか一方又は双方で計測し、それにより布類Wの長さの3分の1が、1折り正逆コンベア830上に搬送されたときに、その、1折り正逆コンベア830が、逆回転し、後方Rに搬送された布類Wが、前方向Fに搬送され始め、その布類Wが隙間840に押し込まれる(
図9C参照)。このとき、布類Wの長さは3分の2になっている(
図10D参照)。
【0062】
この状態の布類Wが、後方Rに搬送され、2折り正逆コンベア860上に搬送される。そのときに、その布類Wの長さの半分が、その2折り正逆コンベア860上に搬送されることを第3測長センサー803または第4測長センサー804のいずれか一方又は双方で計測し、その布類Wの長さの半分が、その2折り正逆コンベア860上に搬送されたときに、2折り正逆コンベア860の回転が逆回転する(
図10E参照)。
【0063】
2折り正逆コンベア860によってその布類Wが前方向Fに搬送され始め、その布類Wの長さのさらに中間部分が、2折りコンベア870と、投入コンベア810の下部810aとの間に挟まれるように前方向Fに搬送され、3つ折りされた状態で落し部880に搬送される。その落し部880に搬送された3つ折りされた布類Wは、バスマット積載部910、フェイスタオル積載部920、バスタオル積載部930のいずれかに落すことができるが、本実施例においては例えば、バスマット積載部910に落されて積載される(
図10F参照)。
【0064】
次に、布類Wを4つ折り(2回折り)する場合について説明する。布類Wを投入コンベア810上に載置すると(
図11A参照)、後方Rに搬送される(
図11B参照)。第1側長センサー801または第3測長センサー803のいずれか一方又は双方で計測し、それにより布類Wの長さの2分の1が、1折り正逆コンベア830上に搬送されたときに、その布類Wが隙間840に押し込まれる。このとき、布類Wの長さは2分の1になっている(
図11C参照)。
【0065】
この状態の布類Wが、2折り正逆コンベア860上に搬送される(
図12D参照)。この状態の布類Wが、後方Rに搬送され、2折り正逆コンベア860上に搬送される。そのときに、すでに2つ折りされて半分の長さになった布類Wをさらに半分の長さ(4分の1の長さ)にするために、その布類Wの長さのさらに半分が、その2折り正逆コンベア860上に搬送されることを第3測長センサー803または第4測長センサー804のいずれか一方又は双方で計測し、その布類Wの長さのさらに半分が、その2折り正逆コンベア860上に搬送されたときに、2折り正逆コンベア860の回転が逆回転する(
図12E参照)。
【0066】
2折り正逆コンベア860によってその布類Wが前方向Fに搬送され始め、すでに2折りされている布類Wの長さのさらに中間部分が、2折りコンベア870と、投入コンベア810の下部810aとの間の第2隙間865に挟まれるように前方向Fに搬送され、4つ折りされた状態で落し部880に搬送される。その落し部880に搬送された4つ折りされた布類Wは、あらかじめ指定されたバスマット積載部910と、フェイスタオル積載部920と、バスタオル積載部930と、のいずれかに落とされ、それぞれ積載される。本実施例においては例えば、フェイスタオル積載部920に落されて積載される(
図12F参照)。なお、公知の第1側長センサー801及び第3測長センサー803、第4測長センサー804は、布類Wの長さを計測するものであることは言うまでもない。
【0067】
このように、布類識別装置10を有する折りたたみ装置800は、例えば、バスタオルと、バスマットと、フェイスタオルとにおいてあらかじめ折り姿を指定することで、自動でそれらの布類の種類を識別し、指定された折り姿である、2つ折り、3つ折り、4つ折などに分別処理することができる。
【符号の説明】
【0068】
10 布類識別装置
20 投光部
30 受光部
40 判断部
50 記憶部
s100 閾値決定工程
s200 布類受光工程
s300 透過率検出工程
s400 透過率受け取り工程
s500 閾値問い合わせ工程
s600 閾値判断工程
800 折りたたみ装置