(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】空気清浄機
(51)【国際特許分類】
F24F 8/22 20210101AFI20231013BHJP
F24F 1/0328 20190101ALI20231013BHJP
F24F 3/16 20210101ALI20231013BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20231013BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20231013BHJP
F24F 8/108 20210101ALI20231013BHJP
【FI】
F24F8/22
F24F1/0328
F24F3/16
A61L9/20
F24F8/80 220
F24F8/80 238
F24F8/108 120
(21)【出願番号】P 2020220101
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2022-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000161976
【氏名又は名称】京浜精密工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】駒場 徹郎
(72)【発明者】
【氏名】川目 信幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 行則
(72)【発明者】
【氏名】和田部 雅司
(72)【発明者】
【氏名】中山 将汰
(72)【発明者】
【氏名】岩目地 峻人
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0098014(US,A1)
【文献】実開昭60-010649(JP,U)
【文献】特開昭64-011622(JP,A)
【文献】特開2000-262855(JP,A)
【文献】実開平06-003346(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第110887132(CN,A)
【文献】実開昭60-025826(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第10006575(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 8/22
F24F 8/80
F24F 1/0328
F24F 3/16
A61L 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に接するスタンドと、
空気の導入口と、空気の排出口と、前記導入口と前記排出口とを連結する本体部と、
外気を導入する吸気口を有し、前記スタンドに連結された導入口ケースと、
排出口を有し、前記本体部に連結される排出口ケースと、
を備え、
前記本体部は直管状の複数の円筒を並列に備え、
前記円筒のそれぞれに、前記円筒と同心もしくは、同心に近い位置に円管状の紫外線光源を配置し、
前記導入口ケースは前記本体部の下端に連結され、前記導入口ケースの内部はそれぞれの前記円筒の内部空間に連通し、
前記排出口ケースは
、それぞれの前記
円筒の上端に連結され
る接合部を有し、
前記接合部は、前記排出口ケースの内部
とそれぞれの前記円筒の内部空間
とを連通さ
せる開口を有し、
前記排出口ケースの前記接合部と前記排出口との間にHEPAフィルタを配置し、
前記紫外線光源が発する紫外線が、前記接合部の開口を通して前記HEPAフィルタに到達する構成とし、
前記吸気口から導入した前記外気を前記円筒の内部で上昇させて
前記HEPAフィルタを通過させ、前記排出口から流出させる、空気清浄機。
【請求項3】
前記紫外線光源は直管型の紫外線ランプであり、前記円筒の軸方向に沿って一つもしくは、複数配置した、請求項1または2に記載の空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線の殺菌作用を利用するため、空気に紫外線を照射する装置が知られている。例えば、特許文献1は、本体部に流入する流体に対し、本体部の端部に配置された光源から紫外線を照射することにより、空気等の流体を殺菌する殺菌モジュールを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された殺菌モジュールは、本体部における流体の流速を制御するための複雑な構造を採用しているため、製造工数が多く、小型化が難しい。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、効率よく空気の除菌等が可能な空気清浄機を、シンプルな構造で実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、空気の導入口と、空気の排出口と、前記導入口と前記排出口とを連結する本体部と、を備え、前記本体部は円筒を備え、前記円筒に、前記円筒と同心もしくは、同心に近い位置に円管状の紫外線光源を配置したことを特徴とする。
【0006】
上記空気清浄機において、前記本体部は、複数の前記円筒を並列に備え、前記円筒のそれぞれに、前記円筒と同心もしくは、同心に近い位置に前記紫外線光源を配置した構成としてもよい。
【0007】
上記空気清浄機において、各々の前記本体部の一端は前記導入口に連結され、他端は前記排出口に連結される構成としてもよい。
【0008】
上記空気清浄機において、各々の前記円筒に連結される導入口ケースを備え、前記導入口ケースは送風ファンを備え、前記送風ファンにより前記導入口から導入される空気が、前記導入口ケースを経て前記円筒に流入する構成としてもよい。
【0009】
上記空気清浄機において、前記本体部は、第1円筒と、第2円筒とを備え、前記第1円筒の一端は前記導入口に連通し、前記第2円筒の一端は前記排出口に連通し、前記第1円筒と前記第2円筒とが連結される構成としてもよい。
【0010】
上記空気清浄機において、ステンレス製の前記円筒を備え、前記円筒の内面は鏡面である構成としてもよい。
【0011】
上記空気清浄機において、前記紫外線光源は直管型の紫外線ランプであり、前記円筒の軸方向に沿って一つもしくは、複数配置した構成としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、導入口から導入されて排出口から排出される空気に、本体部に同心もしくは、同心に近い位置に配置された紫外線光源によって紫外線を照射する。これにより、シンプルな構成を有する空気清浄機によって、紫外線光源の周囲を流れる空気を効率よく除菌できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】 第1実施形態の空気清浄機の斜視図である。
【
図4】
図1のA-A線における破断斜視図である。
【
図7】 第2実施形態の空気清浄機の斜視図である。
【
図8】 第3実施形態の空気清浄機の斜視図である。
【
図9】 第4実施形態の空気清浄機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、本発明を適用した第1実施形態に係る空気清浄機1の設置状態を示す斜視図である。
【0016】
空気清浄機1は、本体部2と、本体部2の一端に設けられた導入口3と、本体部2の他端に設けられた排出口4とを有する。
【0017】
本実施形態において、本体部2は、円筒21及び円筒22により構成される。円筒21、22は、並列に配置される。円筒21、22は、例えば、直径120mmのステンレス製のパイプであり、内面は鏡面に仕上げられている。
【0018】
図1に示すように、導入口3には、円筒21、22の端部に固定された導入口ケース31と、スタンド33とが配置される。本実施形態の空気清浄機1は、円筒21、22が設置面に対してほぼ垂直となるように縦置き設置される。
【0019】
導入口ケース31の内部は空洞であり、この空洞に、円筒21の端部及び円筒22の端部がそれぞれ開口する。すなわち、円筒21及び円筒22の内部空間は導入口ケース31の内部に連通する。
【0020】
スタンド33は、空気清浄機1の設置面に接し、空気清浄機1を支持する。スタンド33と導入口ケース31とはスペーサー32により連結される。スペーサー32は、導入口ケース31とスタンド33との間に開口30を形成する。開口30は、外気を本体部2に流入させる吸気口として機能する。
【0021】
排出口4には、円筒21、22の端部に固定された排出口ケース41と、排出口ケース41に固定されたエンドプレート42と、エンドプレート42の上方を覆うカバー44と、が配置される。
【0022】
排出口ケース41の内部は空洞であり、この空洞に、円筒21の端部および円筒22の端部がそれぞれ開口する。すなわち、円筒21及び円筒22の内部空間は排出口ケース41の内部に連通する。
【0023】
排出口ケース41の上端面はエンドプレート42によって塞がれる。エンドプレート42の中央には開口が設けられ、この開口にフィンガーガード43が設置される。カバー44は、エンドプレート42から所定距離だけ離れた位置でエンドプレート42の上方を覆う板状部材である。カバー44とエンドプレート42との間には開口40が形成され、開口40は、本体部2から空気を排出する排出口として機能する。
【0024】
空気清浄機1は、開口30から本体部2の内部に空気を取り入れ、本体部2において紫外線により空気を浄化し、浄化された空気を開口40から排出する。
【0025】
ここで、空気清浄機1が行う空気の浄化とは、菌を除菌または殺菌すること、および、ウイルス等の病原体を不活化することの少なくともいずれかを含む。除菌および殺菌は、本体部2に導入された空気中の菌の少なくとも一部を減少させることを指す。空気清浄機1の構成を、完全な滅菌を実現し得る構成に限定する意図はない。また、除菌或いは殺菌可能な菌の種類は限定されない。病原体の不活化は、本体部2に導入された空気中の病原体の少なくとも一部について、病原性および/または感染性を低下または消失させることを指す。空気清浄機1の構成を、完全な不活化や病原体の完全な破壊を実現し得る構成に限定する意図はない。
【0026】
図2は、空気清浄機1の分解斜視図である。
導入口ケース31の内部には、送風ファン34が配置される。送風ファン34は、モーターカバー35を介して、導入口ケース31に固定される。送風ファン34は、不図示の電源回路から供給される電力によって回転し、開口30から本体部2の内部に向けて空気を送風する。送風ファン34は、軸流式のファンであってもよいし、シロッコファンやクロスフローファンを用いてもよい。
送風ファン34の下面は開口30に露出しており、この露出面にファンガード36が取り付けられる。
【0027】
モーターカバー35は、送風ファン34の周囲を閉鎖する板状部材である。モーターカバー35の中央には開口が設けられ、この開口に送風ファン34がはめ込まれる。
【0028】
導入口ケース31は、円筒21の下側の端部212に連結される接合部311と、円筒22の下側の端部222に連結される接合部312と、を有する。
端部212は接合部311に被さるようにはめ込まれ、端部222は、接合部312に被さるようにはめ込まれる。
接合部311、312には空気を流通させる開口が形成されている。このため、送風ファン34により送風される空気が接合部311、312を通じて円筒21、22に流入する。
【0029】
接合部311には、直管型蛍光灯用のランプソケットを有するランプホルダー53が固定される。同様に、接合部312には、直管型蛍光灯用のランプソケットを有するランプホルダー54が固定される。
【0030】
ランプホルダー53、54には、円管状の紫外線ランプ51、52が取り付けられる。紫外線ランプ51、52は、紫外線光源の一例に対応する。紫外線ランプ51、52は、例えば、管径26φの直管型ランプである。
【0031】
紫外線ランプ51、52は、波長100nm以上の紫外線を発する。好ましくは、紫外線ランプ51、52は、波長100nm~280nmのUV-C波を発し、より好ましくは、殺菌力が高いことで知られる253.7nmの紫外線を発生する。紫外線ランプ51、52は、例えば、殺菌用の直管型蛍光灯を用いることができる。
【0032】
ランプホルダー53は、紫外線ランプ51が円筒21の軸方向に沿って配置されるように、紫外線ランプ51を支持する。同様に、ランプホルダー54は、紫外線ランプ52が円筒22の軸方向に沿って配置されるように、紫外線ランプ52を支持する。
【0033】
空気清浄機1は、送風ファン34及び紫外線ランプ51、52に電力を供給する不図示の電源回路を備える。空気清浄機1の電源回路は、電源ケーブル61(
図6)により商用交流電源に接続される。空気清浄機1の電源回路は、紫外線ランプ51、52を点灯させるグロースタータ、或いは、電子点灯回路を備えてもよい。空気清浄機1は、送風ファン34及び紫外線ランプ51、52に対する通電をオン/オフするスイッチを備えてもよい。
【0034】
排出口ケース41は、円筒21の上側の端部211に連結される接合部411と、円筒22の上側の端部221に連結される接合部412と、を有する。端部211は接合部411に被さるようにはめ込まれ、端部221は、接合部412に被さるようにはめ込まれる。接合部411、412の下面には開口が設けられている。円筒21、22の内部を上に向けて流れた空気は、接合部411、412を通じて排出口ケース41に流入する。
【0035】
図2に仮想線で示すように、排出口ケース41に、フィルタ56を配置してもよい。
フィルタ56は、接合部411、412と、エンドプレート42との間に配置される板状のフィルタである。フィルタ56は、例えば、スポンジ状の樹脂フィルタや、不織布を用いて構成される。好ましくは、フィルタ56はHEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)である。フィルタ56は、円筒21、22を通過してエンドプレート42から排出される空気に含まれる粒子を捕集する。この粒子は、例えば、花粉やハウスダスト等の塵埃、菌やウイルス等の病原体、これらの病原体を含む粒子である。
【0036】
紫外線ランプ51、52が発する紫外線は、接合部411、412の開口を通してフィルタ56に到達する。従って、空気清浄機1が導入口3から導入した空気に含まれる病原体は、円筒21、22を通過する間に紫外線の照射を受け、さらに、フィルタ56に捕集されて紫外線の照射を受ける。フィルタ56は、紫外線ランプ51、52が点灯している間は常に紫外線の照射を受けるので、フィルタ56に捕集された病原体には、長時間、紫外線が照射される。従って、排出口ケース41にフィルタ56を配置することによって、空気清浄機1に導入された空気中の病原体を、より確実に、殺菌または不活化できる。
【0037】
図3は、空気清浄機1の要部透視図である。
図3に示すように、空気清浄機1は、送風ファン34の動作によって空気清浄機1の下方の開口30から外気を吸引する。送風ファン34が吸引した外気は、接合部311を通じて円筒21の内部に流入し、円筒21の内部を上昇し、排出口ケース41を通り、フィンガーガード43を通過して外部に流出する。また、送風ファン34が吸引した外気は、接合部312を通じて円筒22の内部に流入し、円筒22の内部を上昇し、フィンガーガード43を通過して外部に流出する。
【0038】
円筒21、22の内部において、導入口ケース31から流入した空気は紫外線ランプ51、52により紫外線の照射を受ける。これにより、空気中の菌やウイルス等の病原体を、紫外線ランプ51、52の紫外線により殺菌、除菌、或いは不活化する処理が行われ処理後の空気が開口40から排気される。
【0039】
図4は
図1のA-A線における破断斜視図である。また、
図5は
図1のA-A線における断面視図である。
図4及び
図5に示すように、紫外線ランプ51は円筒21の内部に、円筒21の軸方向に沿って配置される。円筒21の断面において、円筒21の断面である円の中心もしくは、中心近くの位置に紫外線ランプ51が位置する。詳細には、紫外線ランプ51は、円管状の紫外線ランプ51の軸中心が円筒21の軸中心と完全に一致する位置、または、これに近い位置にある。円筒22の内部においても同様に、紫外線ランプ52は円筒22の断面における中心もしくは中心に近い位置にある。従って、円筒21の断面方向において、紫外線ランプ51から円筒21の内面までの距離は、円筒21のおよそ半径以下である。円筒22についても同様である。
ここで、円筒21の中心近くの位置とは、円筒21の軸中心から所定距離以内の領域を指す。所定距離は、例えば、円筒21の断面半径の1/2に相当する距離とすることができる。或いは、所定距離は、紫外線ランプ51の直径に相当する距離とすることができる。
【0040】
このため、円筒21、22の内部では、紫外線ランプ51、52が発する紫外線の強度が高い空間が形成されるので、効率よく空気を浄化できる。
【0041】
さらに、円筒21、22の内面は、鏡面に仕上げられたステンレスである。紫外線ランプ51、52が発する紫外線が円筒21、22の内面で反射することによって、より高い効率で空気を浄化できる。
【0042】
ランプホルダー53、54の陰になる位置には、紫外線ランプ51、52からの直接光が照射されないが、この位置には円筒21、22の内面で反射した紫外線が照射される。円筒21、22の内面は鏡面仕上げされたステンレスで構成されるため、紫外線の反射光の強度は十分に高く、病原体を殺菌、除菌、不活化する効果が期待できる。このため、ランプホルダー53、54の陰になる位置においても、空気中の病原体を殺菌、除菌、不活化することができる。
【0043】
以上説明したように、第1実施形態に係る空気清浄機1は、空気の導入口3と、空気の排出口4と、導入口3と排出口4とを連結する本体部2と、を備え、本体部2は円筒21、22を備え、円筒21、22に、円筒21、22と同心もしくは、同心に近い位置に円管状の紫外線ランプ51、52を配置した構成を有する。
【0044】
この構成によれば、導入口3から排出口4に向けて空気を流通させることで、円筒21、22の内部において、紫外線ランプ51、52が発する紫外線により効率よく空気を浄化することができる。空気清浄機1は、円筒21、22の内部に紫外線ランプ51、52を配置したシンプルな構成からなる。このため、少ない工数で製造が可能である、小型化および軽量化が可能である等の利点を有する。また、紫外線ランプ51、52は、本体部2を構成する円筒21、22に同心に配置される。このため、円筒21、22の内部空間にある空気は、紫外線ランプ51、52から円筒21、22のおよそ半径以内の距離にある。従って、円筒21、22の内部にある空気の大部分に対し、紫外線ランプ51、52によって強い強度で紫外線が照射される。このため、効率よく空気を浄化できる。
【0045】
空気清浄機1では、本体部2は、複数の円筒21、22を並列に備える。空気清浄機1は、円筒21、22のそれぞれに、円筒21、22と同心に紫外線ランプ51、52を配置した構成を有する。この構成により、複数の円筒21、22を利用して、単位時間あたりに多くの空気に紫外線を照射して、浄化することができる。
【0046】
空気清浄機1において、各々の円筒21、22の一端は導入口ケース31に連結され、他端は排出口ケース41に連結される。この構成により、開口30から導入される空気を確実に円筒21、22の内部に流入させて紫外線により浄化し、開口40から排出できる。また、複数の円筒21、22を利用して空気を浄化する装置を、非常にシンプルな構成によって実現できる。
【0047】
空気清浄機1は、円筒21、22の各々に連結される導入口ケース31を備える。導入口ケース31は送風ファン34を備える。空気清浄機1において、送風ファン34により開口30から導入される空気が、導入口ケース31を経て円筒21、22に流入する。この構成により、開口30から円筒21、22のそれぞれに、効率よく空気を導入することができる。
【0048】
空気清浄機1は、ステンレス製の円筒21、22を備え、円筒21、22の内面は鏡面である。この構成により、円筒21、22の内面が紫外線を高い反射率で反射する。このため、紫外線ランプ51、52が発する紫外線によって、より効率よく空気を浄化できる。
【0049】
空気清浄機1が備える紫外線光源は直管型の紫外線ランプ51、52である。紫外線ランプ51、52は、円筒21、22の軸方向に沿って配置される。このため、空気清浄機1を小型化できる。
【0050】
上記第1実施形態では、空気清浄機1を床置き設置する場合について説明したが、空気清浄機1は、天井等から吊り下げ設置することができる。
図6は、空気清浄機1の別の設置例を示す図であり、空気清浄機1を吊り下げ設置した状態を示す。この設置状態では、円筒21、22が水平となるように、空気清浄機1が天井等に固定される。
【0051】
空気清浄機1を床置きしない場合、導入口ケース31への空気の導入が容易であるため、スペーサー32及びスタンド33を設ける必要がない。このため、例えば、
図6に示すように導入口ケース31にエンドプレート42を取り付けてもよい。この構成では、エンドプレート42に設けられたフィンガーガード43を通じて送風ファン34が外気を吸引し、吸引された空気が本体部2において浄化され、排出口4から排出される。空気清浄機1は、床置き設置された場合と同様に、効率よく空気を浄化できる。
【0052】
[第2実施形態]
図7は、本発明を適用した第2実施形態に係る空気清浄機1Aの斜視図である。
第1実施形態では、本体部2が2本の円筒21、22により構成される例を説明したが、本体部2における円筒の数は制限されない。
ここで、第2実施形態として、1本の円筒21を備える空気清浄機1Aの構成を説明する。
【0053】
空気清浄機1Aは、導入口3A、排出口4A、及び、導入口3Aと排出口4Aとを繋ぐ本体部2Aを有する。本体部2Aは、1本の円筒21により構成される。円筒21、及び、円筒21の内部の構成は、第1実施形態で説明した通りである。
【0054】
空気清浄機1Aは、導入口ケース31A、スペーサー32、スタンド33A、排出口ケース41A、エンドプレート42A、及び、カバー44Aを有する。導入口ケース31A、スタンド33A、排出口ケース41A、エンドプレート42A、及び、カバー44Aは、それぞれ、第1実施形態で説明した導入口ケース31、スタンド33、排出口ケース41、エンドプレート42、及び、カバー44を、1本の円筒21に合わせて小型化したものである。
【0055】
導入口3Aには、円筒21の端部に固定された中空の導入口ケース31Aと、スタンド33Aとが配置される。
図7に示すように、空気清浄機1Aは、例えば、円筒21が設置面に対してほぼ垂直となるように縦置き設置される。円筒21の内部空間は導入口ケース31Aの内部に連通する。
【0056】
スタンド33Aは、空気清浄機1の設置面に接して空気清浄機1を支持する。スタンド33Aはスペーサー32を介して導入口ケース31Aに連結され、導入口ケース31Aとスタンド33Aとの間に開口30Aが形成される。開口30Aは、外気を本体部2Aに流入させる吸気口として機能する。導入口ケース31Aには送風ファン34が配置され、開口30Aから外気を吸引し、円筒21に空気を送り込む。
【0057】
排出口4Aには、円筒21の端部に固定された中空の排出口ケース41Aと、排出口ケース41Aに固定されたエンドプレート42Aと、エンドプレート42Aの上方を覆うカバー44Aと、が配置される。円筒21の内部空間は排出口ケース41Aの内部に連通する。
【0058】
エンドプレート42Aには、エンドプレート42Aの中央に配置されるフィンガーガード43を有する開口が形成される。カバー44Aは、エンドプレート42Aから所定距離だけ離れた位置でエンドプレート42Aの上方を覆い、開口40Aを形成する。開口40Aは、本体部2Aから空気を排出する排出口として機能する。
【0059】
空気清浄機1Aは、開口30Aから本体部2Aの内部に空気を取り入れ、本体部2Aにおいて紫外線により空気を浄化し、浄化された空気を開口40Aから排出する。
【0060】
空気清浄機1Aは、空気の導入口3Aと、空気の排出口4Aと、導入口3Aと排出口4Aとを連結する本体部2Aと、を備え、本体部2Aは円筒21を備え、円筒21に、円筒21と同心に円管状の紫外線ランプ51を配置した構成を有する。空気清浄機1Aは、第1実施形態で説明した空気清浄機1と同様に、導入口3Aから本体部2Aに空気を導入し、本体部2Aにおいて紫外線ランプ51により空気を浄化して、排出口4Aから排出する。この構成によれば、シンプルな構成を有する空気清浄機1Aによって効率よく空気を浄化できる。
【0061】
[第3実施形態]
続いて、第3実施形態として、3本の円筒24、25、26を備える空気清浄機1Bの構成を説明する。
図8は、本発明を適用した第3実施形態に係る空気清浄機1Bの斜視図である。
空気清浄機1Bは、導入口3B、排出口4B、及び、導入口3Bと排出口4Bとを繋ぐ本体部2Bを有する。本体部2Bは、並列に配置される円筒24、25、26を備える。円筒24、25、26は、例えば、直径120mmのステンレス製のパイプであり、内面は鏡面に仕上げられている。
【0062】
導入口3Bには、円筒24、25、26の端部に固定された中空の導入口ケース37と、スタンド39とが配置される。空気清浄機1Bは、円筒24、25、26が設置面に対してほぼ垂直となるように縦置き設置される。円筒24、25、26の内部空間は、それぞれ、導入口ケース37の内部に連通する。
【0063】
スタンド39は、空気清浄機1の設置面に接し、空気清浄機1を支持する。スタンド39はスペーサー38を介して導入口ケース37に連結され、導入口ケース37とスタンド39との間に開口30Bが形成される。開口30Bは、外気を本体部2Bに流入させる吸気口として機能する。導入口ケース37には送風ファン34が配置され、開口30Bから外気を吸引し、円筒24、25、26に空気を送り込む。
【0064】
排出口4Bには、円筒24、25、26の端部に固定された中空の排出口ケース45と、排出口ケース45に固定されたエンドプレート46と、エンドプレート46の上方を覆うカバー48と、が配置される。円筒24、25、26の内部空間は排出口ケース45の内部に連通する。
【0065】
エンドプレート46は排出口ケース45の上端面を塞ぐように配置され、エンドプレート46の中央には、フィンガーガード47を有する開口が形成される。カバー48は、エンドプレート46から所定距離だけ離れた位置でエンドプレート46の上方を覆い、開口40Bを形成する。開口40Bは、本体部2から空気を排出する排出口として機能する。
【0066】
円筒24、25、26の内部には、円筒21、22と同様に紫外線ランプが設置される。紫外線ランプは、円筒24、25、26と同心もしくは、同心に近い位置に配置される。
【0067】
空気清浄機1Bは、開口30Bから本体部2Bの内部に空気を取り入れ、本体部2Bにおいて紫外線により空気を浄化し、浄化された空気を開口40Bから排出する。
【0068】
空気清浄機1Bは、第1実施形態で説明した空気清浄機1と同様に、導入口3Bから本体部2Bに空気を導入し、本体部2Bにおいて紫外線ランプにより空気を浄化して、排出口4Bから排出する。この構成によれば、シンプルな構成を有する空気清浄機1Bによって効率よく空気を浄化できる。
【0069】
空気清浄機1Bは、紫外線ランプを内蔵する3本の円筒24、25、26を利用する。このため、例えば、空気清浄機1Bでは、空気の浄化の効率を低下させることなく、空気清浄機1に比べて送風ファン34の送風量を多くすることができる。従って、空気清浄機1Bは、空気清浄機1に比べて、より多くの空気を浄化できるという利点がある。
【0070】
[第4実施形態]
図9は、本発明を適用した第4実施形態の空気清浄機1Cの斜視図である。
空気清浄機1Cは、円筒21、円筒22を有する本体部2の一端に端部ケース63を装着し、他端に封止ケース68を装着して構成される。本体部2の構成は、第1実施形態で説明した空気清浄機1と共通である。
【0071】
端部ケース63は、円筒21及び円筒22の端部のそれぞれに連結される。端部ケース63には、スペーサー64を介してスタンド65が固定される。端部ケース63とスタンド65との間は、スペーサー64によって離間しており、開口30Bを形成する。
【0072】
空気清浄機1Cは、例えば、スタンド39を下に向けて、床置き設置される。スタンド39は、空気清浄機1Cの設置面に接し、空気清浄機1Cを支持する。
【0073】
端部ケース63は中空であり、円筒21及び円筒22の内部空間は、それぞれ端部ケース63の内部に連通する。
【0074】
端部ケース63の内部空間は開口30Bに開口する。端部ケース63のうち、円筒21の直下の部分は導入口3Cとして機能し、円筒22の直下の部分は排出口4Cとして機能する。
【0075】
導入口3Cにおいて、端部ケース63は、送風ファン34を内蔵する。送風ファン34は、円筒21の端部212の下方に位置し、開口30Bから外気を吸引して、円筒21の内部に向けて送風する。
排出口4Cにおいて、円筒22の端部222は、端部ケース63の内部に開口する。
【0076】
封止ケース68は、円筒21の端部211、及び、円筒22の端部221に接合される中空部材である。封止ケース68の内部において、円筒21の内部空間と円筒22の内部空間とが連通する。封止ケース68の側面および上面は封止されており、端部211及び端部221において外気は出入りしない。
【0077】
円筒21、22は、封止ケース68によって連結され、端部212から端部222に至る長い送風経路を構成する。円筒21は第1円筒の一例に対応し、円筒22は第2円筒の一例に対応する。
【0078】
空気清浄機1Cは、送風ファン34の動作により開口30Bから外気を円筒21に導入する。円筒21に導入された空気は円筒21の内部で浄化され、封止ケース68に到達する。この空気は封止ケース68から円筒22の内部に流入し、円筒22の内部で浄化されて、端部222から開口30Bに流出する。
【0079】
このように、空気清浄機1Cは、空気の導入口3C、空気の排出口4C、及び、導入口3Cと排出口4Cとを連結する本体部2を備える。本体部2は、円筒21、22を並列に備え、円筒21、22のそれぞれに、円筒21、22と同心もしくは、同心に近い位置に紫外線ランプ51、52を配置した構成を有する。
【0080】
この構成によれば、導入口3Cから円筒21及び円筒22を通じて空気を流通させ、円筒21、22の内部において、紫外線ランプ51、52が発する紫外線により効率よく空気を浄化することができる。空気清浄機1Cは、円筒21、22の内部に紫外線ランプ51、52を配置したシンプルな構成からなり、少ない工数で製造が可能である等の利点を有する。
【0081】
さらに、空気清浄機1Cの本体部2において、円筒21の端部212は導入口3Cに連通し、円筒22の端部222は排出口4Cに連通し、円筒21と円筒22とは、封止ケース68により連結される。
この構成によれば、円筒21と円筒22とが封止ケース68により繋がって、1つの長い送風経路を構成する。このため、導入口3Cから導入された空気は、円筒21と円筒22の両方を経由して浄化される。従って、導入口3Cから導入された空気に長時間、紫外線を照射して、効率よく空気を浄化できる。
【0082】
また、空気清浄機1Cにおいては、導入口3Cと排出口4Cとが、本体部2の一端部に並べて設けられる。この構成によれば、吸気と排気を1つの開口30Bによって行うことができるので、空気清浄機1Cの設置場所や設置の向きに関して自由度が高いという利点がある。
【0083】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【0084】
上記実施形態で説明した空気清浄機1、1A、1B、1Cは、円筒21に1本の紫外線ランプ51が配置された構成として説明した。本発明はこれに限定されず、例えば、紫外線光源として複数の円管状の紫外線ランプを、紫外線ランプの軸方向に沿って並べて配置してもよい。すなわち、円筒21の軸中心または中心近くに、複数の紫外線ランプが、円筒21の軸方向に沿って並べて配置されてもよい。この構成を用いる場合も、上記各実施形態で説明した効果が得られる。また、空気清浄機1、1Cが円筒22に備える紫外線ランプ52についても同様に、複数の紫外線ランプが軸方向に沿って並べて配置された構成であってもよい。同様に、空気清浄機1Bにおいて円筒24、25、26の内部にそれぞれ配置される紫外線光源は、円筒24、25、26の軸方向に沿って配置される1本の紫外線ランプであってもよいし、軸方向に並べて配置される複数の紫外線ランプであってもよい。
また、例えば、空気清浄機1、1A、1B、1Cにおいて、紫外線ランプ51、52に替えて、LED(Light Emitting Diode)を紫外線光源として設けてもよい。紫外線光源が発する紫外線の波長は、紫外線ランプ51、52の波長と同様であることが好ましい。
【0085】
また、排出口ケース41A、45に、第1実施形態で説明したフィルタ56と同様のフィルタを配置してもよい。また、端部ケース63の排出口4C側に、フィルタ56と同様のフィルタを配置してもよい。これらの構成によれば、第1実施形態で説明したように、空気中の病原体をより確実に除菌あるいは不活化できるという効果が得られる。
【0086】
また、空気清浄機1Cが備える円筒21、22の数に制限はなく、3本以上の円筒を有する構成であってもよい。
【0087】
また、空気清浄機1Cは、本体部2の端部のうち設置面に近い端部に開口30Bを有する構成として説明したが、設置状態における上部に開口30Bを有する構成であってもよい。また、空気清浄機1Cを水平にして、
図6に示したように吊り下げ設置してもよい。
【符号の説明】
【0088】
1、1A、1B、1C 空気清浄機
2、2A、2B 本体部
3、3A、3B、3C 導入口
4、4A、4B、4C 排出口
21 円筒(第1円筒)
22 円筒(第2円筒)
24 円筒
25 円筒
26 円筒
30、30A、30B 開口
31 導入口ケース
32 スペーサー
33 スタンド
34 送風ファン
35 モーターカバー
36 ファンガード
37 導入口ケース
38 スペーサー
39 スタンド
40、40A、40B 開口
41、45 排出口ケース
42、46 エンドプレート
43、47 フィンガーガード
44、48 カバー
51、52 紫外線ランプ(紫外線光源)
53、54 ランプホルダー
56 フィルタ
61 電源ケーブル
63 端部ケース
64 スペーサー
65 スタンド
68 封止ケース
211、212、221、222 端部
311、312 接合部
411、412 接合部