(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】データ管理システム、データ管理方法、および、データ管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G01D 9/00 20060101AFI20231017BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
G01D9/00 A
G05B23/02 Z
(21)【出願番号】P 2020110043
(22)【出願日】2020-06-25
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江間 伸明
(72)【発明者】
【氏名】吉田 善貴
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/116513(WO,A1)
【文献】特開2019-121223(JP,A)
【文献】特開2013-243551(JP,A)
【文献】特開2019-109882(JP,A)
【文献】特開2011-258042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 9/00- 9/42
G08C 15/00-19/48
G05B 23/00-23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象を測定した測定データを取得するデータ取得部と、
前記測定データを記録するデータ記録部と、
前記測定データのデータ量を低減させた低減データを生成するデータ量低減部と、
前記測定データと前記低減データとの差分を示す差分データを生成する差分生成部と、
前記測定データの再生用に前記差分データを記録する差分記録部と、
データを利用する他のデータ利用装置が前記低減データを利用し前記差分データを利用しない場合に、前記低減データおよび前記差分データのうち前記低減データ
のみを、
前記他のデータ利用装置へ送信するデータ送信部と
を備える、データ管理システム。
【請求項2】
記録された前記測定データを消去するデータ消去部を更に備える、請求項
1に記載のデータ管理システム。
【請求項3】
前記低減データを前記他のデータ利用装置から受信するデータ受信部を更に備える、請求項
2に記載のデータ管理システム。
【請求項4】
前記差分データと前記低減データを用いて前記測定データを再生するデータ再生部を更に備える、請求項
2または3に記載のデータ管理システム。
【請求項5】
測定対象を測定した測定データを取得するデータ取得部と、
前記測定データを記録するデータ記録部と、
前記測定データのデータ量を低減させた低減データを生成するデータ量低減部と、
前記測定データと前記低減データとの差分を示す差分データを生成する差分生成部と、
前記差分データを記録する差分記録部と、
前記低減データを、データを利用する他のデータ利用装置へ送信するデータ送信部と、
記録された前記測定データを消去するデータ消去部と、
前記低減データを前記他のデータ利用装置から受信するデータ受信部と、
前記差分データと前記他のデータ利用装置から受信した前記低減データを用いて前記測定データを再生するデータ再生部と
を備える、データ管理システム。
【請求項6】
前記データ消去部は、予め定められた時間が経過したことに応じて、記録された前記測定データを消去する、請求項
2から5のいずれか一項に記載のデータ管理システム。
【請求項7】
前記データ消去部は、前記測定データを記録可能な残り容量が予め定められたしきい値を下回ったことに応じて、記録された前記測定データを消去する、請求項
2から6のいずれか一項に記載のデータ管理システム。
【請求項8】
前記データ量低減部は、前記測定データを処理するためのローパスフィルタを有する、請求項1
から7のいずれか一項に記載のデータ管理システム。
【請求項9】
前記ローパスフィルタのフィルタ特性を変更可能な特性変更部を更に備える、請求項
8に記載のデータ管理システム。
【請求項10】
記録する前記差分データのビット幅を低減させるビット幅低減部を更に備える、請求項1から
9のいずれか一項に記載のデータ管理システム。
【請求項11】
前記データ送信部は、前記他のデータ利用装置からの要求に応じて、前記差分データを前記他のデータ利用装置へ送信する、請求項
1から10のいずれか一項に記載のデータ管理システム。
【請求項12】
測定対象を測定した測定データを取得することと、
前記測定データを記録することと、
前記測定データのデータ量を低減させた低減データを生成することと、
前記測定データと前記低減データとの差分を示す差分データを生成することと、
前記測定データの再生用に前記差分データを記録することと、
データを利用する他のデータ利用装置が前記低減データを利用し前記差分データを利用しない場合に、前記低減データおよび前記差分データのうち前記低減データ
のみを、
前記他のデータ利用装置へ送信することと
を備える、データ管理方法。
【請求項13】
測定対象を測定した測定データを取得することと、
前記測定データを記録することと、
前記測定データのデータ量を低減させた低減データを生成することと、
前記測定データと前記低減データとの差分を示す差分データを生成することと、
前記差分データを記録することと、
前記低減データを、データを利用する他のデータ利用装置へ送信することと、
記録された前記測定データを消去することと、
前記低減データを前記他のデータ利用装置から受信することと、
前記差分データと前記他のデータ利用装置から受信した前記低減データを用いて前記測定データを再生することと
を備える、データ管理方法。
【請求項14】
コンピュータにより実行されて、前記コンピュータを、
測定対象を測定した測定データを取得するデータ取得部と、
前記測定データを記録するデータ記録部と、
前記測定データのデータ量を低減させた低減データを生成するデータ量低減部と、
前記測定データと前記低減データとの差分を示す差分データを生成する差分生成部と、
前記測定データの再生用に前記差分データを記録する差分記録部と、
データを利用する他のデータ利用装置が前記低減データを利用し前記差分データを利用しない場合に、前記低減データおよび前記差分データのうち前記低減データ
のみを、
前記他のデータ利用装置へ送信するデータ送信部と
して機能させる、データ管理プログラム。
【請求項15】
コンピュータにより実行されて、前記コンピュータを、
測定対象を測定した測定データを取得するデータ取得部と、
前記測定データを記録するデータ記録部と、
前記測定データのデータ量を低減させた低減データを生成するデータ量低減部と、
前記測定データと前記低減データとの差分を示す差分データを生成する差分生成部と、
前記差分データを記録する差分記録部と、
前記低減データを、データを利用する他のデータ利用装置へ送信するデータ送信部と、
記録された前記測定データを消去するデータ消去部と、
前記低減データを前記他のデータ利用装置から受信するデータ受信部と、
前記差分データと前記他のデータ利用装置から受信した前記低減データを用いて前記測定データを再生するデータ再生部と
して機能させる、データ管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ管理システム、データ管理方法、および、データ管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「移動平均処理部104は、プラントデータ履歴ファイル部103に保存されたプラントデータを移動平均処理する。」と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2011-253491
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、データ管理システムを提供する。データ管理システムは、測定対象を測定した測定データを取得するデータ取得部を備えてよい。データ管理システムは、測定データを記録するデータ記録部を備えてよい。データ管理システムは、測定データのデータ量を低減させた低減データを生成するデータ量低減部を備えてよい。データ管理システムは、測定データと低減データとの差分を示す差分データを生成する差分生成部を備えてよい。データ管理システムは、差分データを記録する差分記録部を備えてよい。データ管理システムは、低減データを、データを利用する他のデータ利用装置へ送信するデータ送信部を備えてよい。
【0004】
データ量低減部は、測定データを処理するためのローパスフィルタを有してよい。
【0005】
データ管理システムは、ローパスフィルタのフィルタ特性を変更可能な特性変更部を更に備えてよい。
【0006】
データ管理システムは、記録する差分データのビット幅を低減させるビット幅低減部を更に備えてよい。
【0007】
データ管理システムは、記録された測定データを消去するデータ消去部を更に備えてよい。
【0008】
データ管理システムは、低減データを他のデータ利用装置から受信するデータ受信部を更に備えてよい。
【0009】
データ管理システムは、差分データと低減データを用いて測定データを再生するデータ再生部を更に備えてよい。
【0010】
データ送信部は、他のデータ利用装置からの要求に応じて、差分データを他のデータ利用装置へ送信してよい。
【0011】
データ消去部は、予め定められた時間が経過したことに応じて、記録された測定データを消去してよい。
【0012】
データ消去部は、測定データを記録可能な残り容量が予め定められたしきい値を下回ったことに応じて、記録された測定データを消去してよい。
【0013】
本発明の第2の態様においては、データ管理方法を提供する。データ管理方法は、測定対象を測定した測定データを取得することを備えてよい。データ管理方法は、測定データを記録することを備えてよい。データ管理方法は、測定データのデータ量を低減させた低減データを生成することを備えてよい。データ管理方法は、測定データと低減データとの差分を示す差分データを生成することを備えてよい。データ管理方法は、差分データを記録することを備えてよい。データ管理方法は、低減データを、データを利用する他のデータ利用装置へ送信することを備えてよい。
【0014】
本発明の第3の態様においては、データ管理プログラムを提供する。データ管理プログラムは、コンピュータにより実行されてよい。データ管理プログラムは、コンピュータを、測定対象を測定した測定データを取得するデータ取得部として機能させてよい。データ管理プログラムは、コンピュータを、測定データを記録するデータ記録部として機能させてよい。データ管理プログラムは、コンピュータを、測定データのデータ量を低減させた低減データを生成するデータ量低減部として機能させてよい。データ管理プログラムは、コンピュータを、測定データと低減データとの差分を示す差分データを生成する差分生成部として機能させてよい。データ管理プログラムは、コンピュータを、差分データを記録する差分記録部として機能させてよい。データ管理プログラムは、コンピュータを、低減データを、データを利用する他のデータ利用装置へ送信するデータ送信部として機能させてよい。
【0015】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係るデータ管理システム100のブロック図の一例を、プラント10と共に示す。
【
図2】本実施形態に係るデータ管理システム100が測定データを管理するフローの一例を示す。
【
図3】本実施形態に係るデータ管理システム100が管理する測定データの一例を示す。
【
図4】本実施形態に係るデータ管理システム100が生成する低減データの一例を示す。
【
図5】本実施形態に係るデータ管理システム100が生成する差分データの一例を示す。
【
図6】本実施形態の変形例に係るデータ管理システム100のブロック図の一例を示す。
【
図7】本実施形態の別の変形例に係るデータ管理システム100のブロック図の一例を示す。
【
図8】本実施形態の別の変形例に係るデータ管理システム100が測定データを再生するフローの一例を示す。
【
図9】本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
図1は、本実施形態に係るデータ管理システム100のブロック図の一例を、プラント10と共に示す。本図においては、データ管理システム100が、プラント10に設けられた少なくとも1つのセンサ20から取得した測定データを管理対象とする場合について一例として示す。しかしながら、これに限定されるものではない。データ管理システム100は、プラント10とは異なる如何なる場所に設けられた1または複数のセンサ20からの測定データを管理対象としてもよい。
【0019】
プラント10は、化学等の工業プラントの他、ガス田や油田等の井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力等の発電を管理制御するプラント、太陽光や風力等の環境発電を管理制御するプラント、および、上下水やダム等を管理制御するプラント等であってよい。このようなプラント10には、1または複数のセンサ20が設けられていてよい。
【0020】
センサ20は、測定対象を測定した測定データを取得可能であってよい。センサ20は、例えば、OT(Operational Technology)領域に設置されているセンサ(例えば、プロセス制御(測定)用センサ)やIoT(Internet of Things)センサであってよく、一例として、プラントに設けられた1または複数のフィールド機器と接続、または、一体に構成された産業用(Industrial)センサであってよい。
【0021】
また、このようなプラントに設けられたフィールド機器は、例えば、圧力計、流量計、温度センサ等のセンサ機器、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、ファンやモータ等のアクチュエータ機器、プラント内の状況や対象物を撮影するカメラやビデオ等の撮像機器、プラント内の異音等を収集したり警報音等を発したりするマイクやスピーカ等の音響機器、および、各機器の位置情報を出力する位置検出機器等であってよい。
【0022】
本実施形態に係るデータ管理システム100は、例えば、温度、圧力、流量、加速度、磁界、位置、カメラ映像、スイッチのオン/オフデータ、音、および、これらの組み合わせ等、センサ20自身によって測定された測定データやフィールド機器の内部で測定された測定データを、管理対象としてよい。
【0023】
本実施形態に係るデータ管理システム100は、1または複数のセンサ20から測定データを取得して記録する。そして、データ管理システム100は、測定データのデータ量を低減させた低減データを生成して他の装置へ送信するとともに、測定データと低減データとの差分を示す差分データを生成して自身で記録する。
【0024】
データ管理システム100は、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ワークステーション、サーバコンピュータ、または汎用コンピュータ等のコンピュータであってよく、複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムであってもよい。このようなコンピュータシステムもまた広義のコンピュータである。また、データ管理システム100は、コンピュータ内で1または複数実行可能な仮想コンピュータ環境によって実装されてもよい。これに代えて、データ管理システム100は、データの管理用に設計された専用コンピュータであってもよく、専用回路によって実現された専用ハードウェアであってもよい。また、データ管理システム100がインターネットに接続可能な場合、データ管理システム100は、クラウドコンピューティングにより実現されてもよい。
【0025】
データ管理システム100は、データ取得部110と、データ記録部120と、データ量低減部130と、差分生成部140と、差分記録部150と、データ送信部160とを備える。なお、これらブロックは、それぞれ機能的に分離された機能ブロックであって、実際のデバイス構成とは必ずしも一致していなくてもよい。すなわち、本図において、1つのブロックとして示されているからといって、それが必ずしも1つのデバイスにより構成されていなくてもよい。また、本図において、別々のブロックとして示されているからといって、それらが必ずしも別々のデバイスにより構成されていなくてもよい。
【0026】
データ取得部110は、測定対象を測定した測定データを取得する。一例として、データ取得部110は、通信部であってよく、例えば、通信ネットワークを介して、測定対象を測定した測定データを1または複数のセンサ20のそれぞれから時系列に取得する。
【0027】
このような通信ネットワークは、複数のコンピュータを接続するネットワークであってよい。例えば、通信ネットワークは、複数のコンピュータネットワークを相互接続したグローバルなネットワークであってよく、一例として、通信ネットワークは、インターネット・プロトコルを使用したインターネット等であってよい。これに代えて、通信ネットワークは、専用回線により実現されていてもよい。すなわち、データ取得部110は、携帯電話、スマートフォン、第4世代(4G)端末、および、第5世代(5G)端末等との間で直接的に、または、間接的にやり取りし、測定データを取得することもできる。
【0028】
なお、上述の説明では、データ取得部110が通信ネットワークを介して1または複数のセンサ20から測定データを取得する場合を一例として示したが、これに限定されるものではない。データ取得部110は、例えば、ユーザ入力や各種メモリデバイス等、通信ネットワークとは異なる他の手段を介して1または複数のセンサ20のそれぞれから測定データを取得してもよい。
【0029】
データ取得部110は、例えば、流量、圧力、温度、および、これらの組み合わせ等の測定データを、1または複数のセンサ20のそれぞれから取得してよい。また、データ取得部110は、これらのデータを基に数式を用いて生成された値を測定データとして取得してもよい。データ取得部110は、1または複数のセンサ20のそれぞれから取得した測定データを、データ記録部120へ供給する。なお、上述の説明では、データ取得部110がセンサ20から取得した測定データをそのままデータ記録部120へ供給する場合を一例として示したが、センサ20から取得した測定データを加工してデータ記録部120へ供給してもよい。例えば、データ取得部110は、センサ20から取得した測定データを、離散フーリエ変換や離散コサイン変換等により、周波数領域へ変換してから、データ記録部120へ供給してもよい。
【0030】
データ記録部120は、取得した測定データを記録する。一例として、データ記録部120は、データ取得部110から供給された1または複数のセンサ20からの測定データを、センサ20毎に時系列に記録してよい。
【0031】
データ量低減部130は、データ記録部120にアクセス可能であってよく、データ記録部120に記録された1または複数のセンサ20からの測定データを閲覧する。そして、データ量低減部130は、記録された測定データのデータ量を低減させた低減データを生成する。一例として、データ量低減部130は、測定データを処理するためのローパスフィルタを有していてよく、このようなローパスフィルタは、デジタルフィルタにより形成されていてもよいし、アナログフィルタにより形成されていてもよい。そして、データ量低減部130は、測定データにローパスフィルタをかけ、フィルタをかけたデータを、間隔を拡げてサンプリングすることによって、低減データを生成してよい。これについては後述する。データ量低減部130は、センサ20毎に時系列に生成した低減データを、差分生成部140およびデータ送信部160へ供給する。
【0032】
差分生成部140は、データ記録部120にアクセス可能であってよく、データ記録部120に記録された1または複数のセンサ20からの測定データを閲覧する。そして、差分生成部140は、記録された測定データと、データ量低減部130から供給された低減データとの差分を示す差分データを生成する。差分生成部140は、センサ20毎に時系列に生成した差分データを、差分記録部150へ供給する。
【0033】
差分記録部150は、差分データを記録する。一例として、差分記録部150は、差分生成部140から供給された差分データを、センサ20毎に時系列に記録してよい。
【0034】
データ送信部160は、低減データを、データを利用する他のデータ利用装置へ送信する。一例として、データ送信部160は、データ量低減部130から供給された低減データを、データ管理システム100とは異なる他のデータ利用装置へ送信してよい。また、データ送信部160は、差分記録部150にアクセス可能であってよく、他のデータ利用装置からの要求に応じて、差分記録部150から読み出した差分データを他のデータ利用装置へ送信してもよい。
【0035】
図2は、本実施形態に係るデータ管理システム100が測定データを管理するフローの一例を示す。
【0036】
ステップ210において、データ管理システム100は、測定データを取得する。一例として、データ取得部110は、通信ネットワークを介して、測定対象を測定した測定データを、1または複数のセンサ20のそれぞれから時系列に取得する。データ取得部110は、1または複数のセンサ20のそれぞれから取得した測定データを、データ記録部120へ供給する。
【0037】
ステップ220において、データ管理システム100は、測定データを記録する。一例として、データ記録部120は、ステップ210においてデータ取得部110から供給された測定データを、センサ20毎に時系列に記録する。
【0038】
ステップ230において、データ管理システム100は、低減データを生成する。一例として、データ量低減部130は、ステップ220においてデータ記録部120が記録した測定データを閲覧する。そして、データ量低減部130は、記録された測定データのデータ量を低減させた低減データを生成する。
【0039】
データ量低減部130は、例えば、測定データを処理するローパスフィルタを有してよい。一例として、データ量低減部130は、次式により、時刻T=mにおける移動平均A
mを算出してよい。ここで、X
mは時刻T=mにおける測定データの値を示している。また、nは移動平均演算に用いる直近の測定データの個数を示している。データ管理システム100は、例えば、このnの値を変更することによって、フィルタ特性を調整することができる。
【数1】
【0040】
すなわち、例えば、n=10とした場合、データ量低減部130は、時刻T=1~10における測定データX1~X10の各値を加算して、10で除算することによって、時刻T=10における移動平均A10を算出する。次に、データ量低減部130は、mをインクリメントして、時刻T=2~11における測定データX2~X11の各値を加算して、10で除算することによって、時刻T=11における移動平均A11を算出する。同様に、データ量低減部130は、時刻T=3~12における測定データX3~X12の各値を加算して、10で除算することによって、時刻T=12における移動平均A12を算出する。
【0041】
データ量低減部130は、このように演算対象とする時刻をシフトさせながら、センサ20から取得された測定データにローパスフィルタをかける。そして、データ量低減部130は、測定データにローパスフィルタをかけたデータを、間隔を拡げてサンプリングすることによって、低減データを生成する。このようにして、生の測定データに移動平均(ローパスフィルタの一種)をかけると(すなわち周波数帯域を低域に制限すると)、サンプリング定理に基づき時間軸上のサンプリング回数を低減(例えば、2分の1に低減)させることができる。よって、時間軸上のサンプリング間隔が拡がり、データ量が低減される。
【0042】
なお、上述の説明においては、データ量低減部130が、測定データにローパスフィルタをかける例として、移動平均処理を施す場合を一例として示した。しかしながら、これに限定されるものではない。データ量低減部130は、例えば、波形品質をより重視する場合には、測定データのデータ量を低減させるにあたって、ベッセルトムソン型のローパスフィルタを用いてもよい。なお、この場合には、データ量低減部130は、移動平均処理を施す場合よりも、サンプリング間隔を狭く設定するとよい。データ量低減部130は、このようにセンサ20毎に時系列に生成した低減データを、差分生成部140およびデータ送信部160へ供給する。
【0043】
ステップ240において、データ管理システム100は、差分データを生成する。一例として、差分生成部140は、ステップ220においてデータ記録部120が記録した測定データと、ステップ230においてデータ量低減部130から供給された低減データとの差分を時系列に算出し、当該差分を示す差分データを生成する。例えば、差分生成部140は、データ量低減部130から供給された低減データを補間処理することによって、各時刻における移動平均Amを取得する。そして、差分生成部140は、例えば、時刻T=10における測定データX10から時刻T=10における移動平均A10を減算することで、時刻T=10における差分データD10を生成する。同様に、差分生成部140は、時刻T=11における測定データX11から時刻T=11における移動平均A11を減算することで、時刻T=11における差分データD11を生成する。なお、上述の説明では、差分生成部140が、サンプリング回数が低減された後の低減データを補間処理することによって、移動平均Amを取得する場合を一例として示した。しかしながら、これに限定されるものではない。データ量低減部130は、サンプリング回数が低減される前のデータ、すなわち、各時刻における移動平均Amを差分生成部140へ供給してもよい。そして、差分生成部140は、測定データから、データ量低減部130から供給された移動平均Amを減算することで、差分データDを生成してもよい。差分生成部140は、このようにセンサ毎に時系列に生成した差分データを、差分記録部150へ供給する。
【0044】
ステップ250において、データ管理システム100は、差分データを記録する。一例として、差分記録部150は、ステップ240において差分生成部140から供給された差分データを、センサ毎に時系列に記録する。
【0045】
ステップ260において、データ管理システム100は、低減データを送信する。一例として、データ送信部160は、ステップ230においてデータ量低減部130から供給された低減データを、データ管理システム100とは異なる他のデータ利用装置へ送信する。
【0046】
このようにして、データ管理システム100は、フローを終了する。なお、上述の説明においては、データ管理システム100が低減データのみを他のデータ利用装置へ送信する場合を一例として示した。しかしながら、これに限定されるものではない。データ管理システム100は、低減データに加えて、差分データを他のデータ利用装置へ送信してもよい。この場合、一例として、データ送信部160は、他のデータ利用装置からの要求に応じて、差分記録部150から読み出した差分データを他のデータ利用装置へ送信してもよい。
【0047】
図3は、本実施形態に係るデータ管理システム100が管理する測定データの一例を示す。本図において、横軸は時刻Tを示しており、縦軸は測定データの値を示している。また、本図において、ドットはサンプリング点を示している。本図は、一例として、1つのセンサ20から時刻T=1~100[s]において1秒間隔で取得した測定データX
1~X
100を時系列に示している。本実施形態に係るデータ管理システム100は、例えば、このような測定データを取得して記録する。
【0048】
図4は、本実施形態に係るデータ管理システム100が生成する低減データの一例を示す。本図において、横軸は時刻Tを示しており、縦軸は低減データの値を示している。また、本図において、ドットはサンプリング回数を低減(例えば、2分の1に低減)した後におけるサンプリング点を示している。本図は、一例として、
図3に示す測定データを、(数1)式においてn=10として、時刻T=10~100について算出した移動平均A
10~A
100を、2秒間隔でサンプリングした低減データを示している。本実施形態に係るデータ管理システム100は、
図3に示すような生の測定データではなく、例えば、本図に示すようなデータ量を低減させた低減データを、データを利用する他のデータ利用装置へ送信する。
【0049】
図5は、本実施形態に係るデータ管理システム100が生成する差分データの一例を示す。本図において、横軸は時刻Tを示しており、縦軸は差分データの値を示している。また、本図において、ドットはサンプリング点を示している。本図は、一例として、時刻T=10~100について
図3における測定データX
10~X
100と、
図4における低減データを補間処理して取得した移動平均A
10~A
100との差分を算出した差分データD
10~D
100を示している。本実施形態に係るデータ管理システム100は、
図4に示すような低減データを他のデータ利用装置へ送信する一方で、本図に示すような差分データを自身で記録する。
【0050】
例えば、OT(Operational Technology)領域にあるプロセス制御システムが、IT(Information Technology)領域のシステムと結合される等、データ量が爆発的に増加することが予想される。このような場合に、OT領域において取得された全ての測定データをそのままの形でIT領域にある他のデータ利用装置へ送信することは現実的ではなく、データ量の低減もしくは取捨選択が必要である。また、一般に、IT領域にある他のデータ利用装置においては、OT領域において取得された測定データの全てが必要な訳ではなく、俯瞰した情報(大きな傾向)のみが得られればよい場合が多い。このような場合、他のデータ利用装置にとっては、細かいデータの微増減等の情報は過剰であり得る。ここで、従来、プラントデータを移動平均処理する技術が知られている。しかしながら、従来の技術では、プラントの異常を検知するためのパラメータの一つとして移動平均処理を施すものであって、送信するデータ量を低減させるために移動平均処理を施すものではない。
【0051】
これに対して、本実施形態に係るデータ管理システム100は、測定データのデータ量を低減させた低減データを生成して他のデータ利用装置へ送信するとともに、測定データと低減データとの差分を示す差分データを生成して自身で記録する。これにより、本実施形態に係るデータ管理システム100によれば、他のデータ利用装置の要求を満たしつつ、他のデータ利用装置へ送信するデータ量を低減することができる。一方で、本実施形態に係るデータ管理システム100によれば、差分データを自身で記録するので、引き続き詳細なデータを用いた制御を行うことができるとともに、データを分散しておくことによって、生の測定データの流出等、セキュリティ上の問題に対しても対策を図ることができる。また、本実施形態に係るデータ管理システム100は、測定データのデータ量を事後的に低減させるのみで、測定データの取得および記録は継続する。これにより、本実施形態に係るデータ管理システム100によれば、例えば、プロセス側に急変があった場合等においても、当該測定データをリアルタイム制御に用いることができる。
【0052】
また、本実施形態に係るデータ管理システム100は、測定データにローパスフィルタをかけたデータを、サンプリング間隔を拡げて取得することにより、測定データのデータ量を低減させる。これにより、本実施形態に係るデータ管理システム100によれば、複雑な演算を行うことなく、サンプリング間隔を拡げてデータ量を低減させることができる。
【0053】
また、本実施形態に係るデータ管理システム100は、他のデータ利用装置からの要求に応じて、低減データに加えて差分データをも他のデータ利用装置へ送信する。これにより、本実施形態に係るデータ管理システム100によれば、原則、他のデータ利用装置への送信は低減データのみとする一方で、他のデータ利用装置からの要求に応じて追加的に差分データをも送信するので、他のデータ利用装置の要求に応じて、より柔軟にデータを送信することができる。
【0054】
図6は、本実施形態の変形例に係るデータ管理システム100のブロック図の一例を示す。
図6においては、
図1と同じ機能および構成を有する部材に対して同じ符号を付すとともに、以下相違点を除き説明を省略する。本変形例に係るデータ管理システム100は、特性変更部610と、ビット幅低減部620とを更に備える。
【0055】
上述のとおり、データ量低減部130は、測定データを処理するためのローパスフィルタを有してよい。特性変更部610は、このようなローパスフィルタのフィルタ特性を変更可能である。一例として、特性変更部610は、(数1)式におけるnの値を変更することによって、ローパスフィルタの通過帯域を調整可能であってよい。これに代えて、または、加えて、特性変更部610は、移動平均またはベッセルトムソン型等、ローパスフィルタの型自体を変更可能であってもよい。特性変更部610は、ユーザ入力に応じて、または、他の装置からの指示に応じて、受動的にフィルタ特性を変更してもよい。また、特性変更部610は、測定データの特性(例えば、データ間隔や変動特性等)に応じて、能動的にフィルタ特性を変更してもよい。そして、データ量低減部130は、ローパスフィルタのフィルタ特性に応じて、データを取得するサンプリング間隔を最適化する。
【0056】
また、上述の説明においては、差分生成部140が、生成した差分データを差分記録部150へ供給する場合を一例として示したが、本変形例に係るデータ管理システム100においては、差分生成部140は、生成した差分データを差分記録部150に代えて、ビット幅低減部620へ供給する。
【0057】
ビット幅低減部620は、記録する差分データのビット幅を低減させる。例えば、
図5に示される差分データは、
図3に示される測定データに比べてレンジ(最大値と最小値との差)が小さい。このような場合、差分データの数値軸のビット幅を低減(例えば、16ビットから8ビットへ低減)しても、数値軸の分解能としては十分であり得る。したがって、ビット幅低減部620は、測定データから移動平均が減算された差分データについて、ビット幅を低減することができる。これにより、ビット幅低減部620は、差分データを記録するために必要なデータ量を削減することができる。ビット幅低減部620は、ユーザ入力に応じて、または、他の装置からの指示に応じて、ビット幅をどの程度低減させるかを受動的に決定してもよい。また、ビット幅低減部620は、差分データの特性(例えば、最大値と最小値との差等)や、特性変更部610によって調整されたフィルタ特性に応じて、ビット幅をどの程度低減させるかを能動的に決定してもよい。ビット幅低減部620は、このようにビット幅を低減させた差分データを、差分記録部150へ供給する。
【0058】
そして、本変形例においては、差分記録部150は、差分生成部140が生成した差分データをそのまま記録するのではなく、差分生成部140が生成し、ビット幅低減部620がビット幅を低減させた差分データを記録する。これにより、本変形例に係るデータ管理システム100によれば、差分データを記録するために必要なデータ量を削減することができる。
【0059】
また、本変形例に係るデータ管理システム100は、上述のとおり、特性変更部610がローパスフィルタのフィルタ特性を変更可能である。また、本変形例に係るデータ管理システム100は、上述のとおり、ビット幅低減部620が差分データのビット幅をどの程度低減させるかを変更可能である。本変形例に係るデータ管理システム100は、このようなフィルタ特性に係る情報や、ビット幅の低減に係る情報を秘匿することによって、低減データおよび差分データを取得した者が生の測定データを推測することの困難性を高めることができる。これにより、本変形例に係るデータ管理システム100によれば、生の測定データの流出等、セキュリティ上の問題に対して、より強固な対策を図ることができる。
【0060】
図7は、本実施形態の別の変形例に係るデータ管理システム100のブロック図の一例を示す。
図7においては、
図6と同じ機能および構成を有する部材に対して同じ符号を付すとともに、以下相違点を除き説明を省略する。本別の変形例に係るデータ管理システム100は、データ消去部710と、データ受信部720と、データ再生部730とを更に備える。
【0061】
データ消去部710は、記録された測定データを消去する。一例として、データ消去部710は、データ記録部120に記録された測定データの中から、低減データおよび差分データが生成された測定データを消去する。
【0062】
データ受信部720は、低減データを他のデータ利用装置から受信する。一例として、データ受信部720は、データ送信部160が他のデータ利用装置へ送信した低減データを、当該他のデータ利用装置へ要求して、受信する。データ受信部720は、受信した低減データを、データ再生部730へ供給する。
【0063】
データ再生部730は、差分データと低減データを用いて測定データを再生する。一例として、データ再生部730は、差分記録部150にアクセス可能であってよい。そして、データ再生部730は、差分記録部150から読み出した差分データと、データ受信部720から供給された低減データを用いて(例えば、差分データと、低減データを補間処理して取得した移動平均とを加算して)、元データである測定データを再生する。
【0064】
図8は、本実施形態の別の変形例に係るデータ管理システム100が測定データを再生するフローの一例を示す。
【0065】
ステップ810において、本別の変形例に係るデータ管理システム100は、測定データを記録可能な残り容量が予め定められたしきい値を下回るか否か判定する。一例として、データ管理システム100は、測定データを記録可能な全容量から、
図2のステップ220においてデータ記録部120が記録済のデータ容量を減算して、測定データを記録可能な残り容量を算出する。そして、データ管理システム100は、測定データを記録可能な残り容量とあらかじめ定められたしきい値とを比較する。測定データを記録可能な残り容量が予め定められたしきい値を下回らない(No)と判定された場合、データ管理システム100は、処理をステップ820に進める。
【0066】
ステップ820において、データ管理システム100は、予め定められた時間が経過したか否か判定する。このような予め定められた時間は、例えば、
図2のステップ220において測定データが記録されてからの経過時間であってよい。これに代えて、または、加えて、予め定められた時間は、記録されている測定データが最後にアクセスされてからの経過時間であってもよい。予め定められた時間が経過していない(No)と判定された場合、データ管理システム100は、処理をステップ810に戻して、フローを継続する。
【0067】
一方、ステップ810において、測定データを記録可能な残り容量が予め定められたしきい値を下回る(Yes)と判定された場合、または、ステップ820において、予め定められた時間が経過した(Yes)と判定された場合、データ管理システム100は、処理をステップ830に進める。
【0068】
ステップ830において、データ管理システム100は、測定データを消去する。一例として、データ消去部710は、
図2のステップ220において記録された測定データの中から、ステップ230およびステップ240において低減データおよび差分データが生成された測定データを消去する。このように、データ消去部710は、予め定められた時間が経過したことに応じて(ステップ810においてYesと判定されたことに応じて)、記録された測定データを消去してよい。また、データ消去部710は、測定データを記録可能な残り容量が予め定められたしきい値を下回ったことに応じて(ステップ820においてYesと判定されたことに応じて)、記録された測定データを消去してよい。
【0069】
ステップ840において、データ管理システム100は、測定データを消去後に当該測定データの利用がトリガされたか否か判定する。測定データの利用がトリガされていないと判定された場合、データ管理システム100は、フローを終了する。一方、測定データの利用がトリガされたと判定された場合、データ管理システム100は、処理をステップ850に進める。
【0070】
ステップ850において、データ管理システム100は、低減データを受信する。一例として、データ受信部720は、
図2のステップ260においてデータ送信部160が低減データを送信した他のデータ利用装置へ要求して、低減データを当該他のデータ利用装置から受信する。データ受信部720は、受信した低減データを、データ再生部730へ供給する。
【0071】
ステップ860において、データ管理システム100は、測定データを再生する。一例として、データ再生部730は、
図2のステップ250において差分記録部150に記録された差分データと、ステップ860においてデータ受信部720から供給された低減データを用いて(例えば、差分データと、低減データを補間処理して取得した移動平均とを加算して)、ステップ830において消去した元データである測定データを再生する。
【0072】
このように、本別の変形例に係るデータ管理システム100は、記録された測定データを消去する。これにより、本別の変形例に係るデータ管理システム100によれば、他のデータ利用装置へ送信するデータ量を削減させるとともに、自身が記録するデータ量をも削減させることができる。
【0073】
また、本別の変形例に係るデータ管理システム100は、記録可能な残り容量が予め定められたしきい値を下回る場合、または、予め定められた時間が経過したことに応じて、測定データを消去する。これにより、本別の変形例に係るデータ管理システム100によれば、記録する測定データのデータ量を削減したいタイミングで、測定データを消去することができる。
【0074】
また、本別の変形例に係るデータ管理システム100は、低減データを他のデータ利用装置から受信する。これにより、本別の変形例に係るデータ管理システム100によれば、測定データを消去した場合においても、低減データを入手することができる。特に、本別の変形例に係るデータ管理システム100は、差分データと低減データを用いて測定データを再生する。これにより、本別の変形例に係るデータ管理システム100によれば、測定データを消去した後においても、測定データを再生して復元させることができる。
【0075】
なお、上述の説明においては、OT領域に設けられたデータ管理システム100と、IT領域に設けられた他のデータ利用装置との間で低減データを送受する場合を、一例として示した。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、本実施形態に係る態様を、フィールド機器やI/Oモジュールと、プロセス制御システム内のコントローラとの関係に適用させてもよい。すなわち、データ管理システム100をフィールド機器やI/Oモジュールとし、他のデータ利用装置をコントローラとして、フィールド機器やI/Oモジュールが、低減データをコントローラに送信する一方、差分データを自身で記録してもよい。例えば、コントローラと、フィールド機器やI/Oモジュールとをオープンネットワークで接続する場合であっても、フィルタ特性に係る情報や、ビット幅をどの程度低減させるかに係る情報を秘匿することによって、その情報を知らない者からは、生の測定データを推測しにくくなるという、セキュリティ上の効果を持たせてもよい。
【0076】
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0077】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0078】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0079】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0080】
図9は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0081】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インターフェイス2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0082】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0083】
通信インターフェイス2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0084】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0085】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0086】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェイス2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェイス2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0087】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0088】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0089】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0090】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0091】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0092】
10 プラント
20 センサ
100 データ管理システム
110 データ取得部
120 データ記録部
130 データ量低減部
140 差分生成部
150 差分記録部
160 データ送信部
610 特性変更部
620 ビット幅低減部
710 データ消去部
720 データ受信部
730 データ再生部
2200 コンピュータ
2201 DVD-ROM
2210 ホストコントローラ
2212 CPU
2214 RAM
2216 グラフィックコントローラ
2218 ディスプレイデバイス
2220 入/出力コントローラ
2222 通信インターフェイス
2224 ハードディスクドライブ
2226 DVD-ROMドライブ
2230 ROM
2240 入/出力チップ
2242 キーボード