IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アナベラ テック リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】母乳ポンプ
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/06 20060101AFI20231023BHJP
【FI】
A61M1/06
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019568629
(86)(22)【出願日】2018-06-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 IL2018050667
(87)【国際公開番号】W WO2018229782
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-06-15
(31)【優先権主張番号】62/519,897
(32)【優先日】2017-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519438589
【氏名又は名称】アナベラ テック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】エデルマン ロン
(72)【発明者】
【氏名】ワルドベルグ セミオン
(72)【発明者】
【氏名】ワルドベルグ マリア
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-183143(JP,A)
【文献】特表2015-500045(JP,A)
【文献】米国特許第06004288(US,A)
【文献】特開2005-279043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳房から母乳を搾り出すための母乳ポンプシステムとともに使用するための母乳ポンプユニットであって、前記母乳ポンプシステムは母乳容器を備え、前記母乳ポンプユニットは、
前部および後部を有する本体と、
前記本体の前部と関連付けられ、乳房の少なくとも一部を受容するように構成される近位部と、前記本体の後部と関連付けられる遠位部と、漏斗の少なくとも下部で延びる柔軟な部分とを有する漏斗であって、前記漏斗の内部に負圧を生起させるように、前記漏斗は、真空ユニットと協働するように構成され、それにより、乳房が少なくとも部分的に前記近位部の内部に受容されるときに、乳房から前記漏斗へと母乳は抽出されることができ、搾り出された母乳を前記漏斗から前記母乳容器へと送給するように、前記遠位部は、前記母乳容器に流体接続されるように構成される、漏斗と、
前記柔軟な部分と位置合わせして配置されて、前記柔軟な部分を操作するために構成される操作機構であって、前記操作機構を操作するように構成されたモータを含む、操作機構と、
前記操作機構に機械的に接続され、前記漏斗に関して前記操作機構の位置を調整するように構成される調整機構であって、前記調整機構は、前記操作機構が上に配置される可動ベースを含み、前記可動ベースは、少なくとも前記漏斗の前記柔軟な部分を横切る方向において、前記本体に関して前記操作機構を変位させるように構成される、調整機構と、
を備える、母乳ポンプユニット。
【請求項2】
前記本体は、前記操作機構の上に配置される口蓋模倣部材をさらに備える、請求項1に記載の母乳ポンプユニット。
【請求項3】
前記操作機構は、
前記柔軟な部分に対して押されるように構成される少なくとも1つのローラーセグメントと
前記ローラーセグメントを保持するように構成されるアームと、
を備え、
前記モータは、前記ローラーセグメントと一緒に前記アームを回転させるように構成される、
請求項1に記載の母乳ポンプユニット。
【請求項4】
前記柔軟な部分は、その周囲に比べてより柔軟である、請求項1に記載の母乳ポンプユニット。
【請求項5】
前記操作機構は、少なくとも前記本体の前部から後部に延びる方向において、前記漏斗の前記柔軟な部分を押すためにさらに構成される、請求項1に記載の母乳ポンプユニット。
【請求項6】
前記操作機構は、前記漏斗の前記柔軟な部分を波状の動きで押すために構成される、請求項5に記載の母乳ポンプユニット
【請求項7】
前記操作機構により前記漏斗の前記柔軟な部分が押されている間、前記柔軟な部分は、前記漏斗の前記柔軟な部分が前記漏斗の対向する上部から非係合のままであり、両者間に隙間を形成する、最上位位置を有する、請求項1に記載の母乳ポンプユニット。
【請求項8】
前記漏斗は、その前記遠位部を介して前記真空ユニットと協働するように構成される、請求項1に記載の母乳ポンプユニット。
【請求項9】
前記漏斗の前記柔軟な部分と前記母乳容器との間を流体接続するように構成される接続要素をさらに備える、請求項1に記載の母乳ポンプユニット。
【請求項10】
前記漏斗の前記遠位部は、可変の負圧を前記漏斗に周期的に伝えるように構成され、前記操作機構は、前記可変の負圧の周期と同期した周期的に前記柔軟な部分を押すように構成される、請求項1に記載の母乳ポンプユニット。
【請求項11】
前記真空ユニットをさらに備える、請求項1に記載の母乳ポンプユニット
【請求項12】
前記真空ユニットは、可変の負圧を周期的に生成するように構成され、前記操作機構は、前記可変の負圧の周期と同期した周期的に前記柔軟な部分を押すように構成される、請求項10に記載の母乳ポンプユニット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、母乳を収集するための母乳ポンプに関し、より詳しくは、授乳中の乳児の舌の動きを模倣するように設計された舌模倣機構を含む乳児および乳児の哺乳を模倣することにより、母乳の産生を改善し、母親への損傷および痛みを低減するように設計された母乳ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
母乳を搾り出し、短期間(最大6か月間)保管することは、第3者が不在でも乳児に母乳を与えることを可能にすることにより、そして何らかの理由で母乳で育てることができない母親に母乳を提供することにより、母乳育児中の母親が自立できるため、非常に有益である。そのため、母乳を搾り出すためにさまざまな母乳ポンプが開発された。それらはすべて、収集容器に接続されたダイヤフラムポンプなどのポンプを用いる脈動負圧を使用する。負圧により乳首は脈動するように母乳を吸引し、それにより乳頭に負圧により乳が集められて乳首から吸引されるポンプ効果を生み出す。
【0003】
既知の母乳ポンプの例は、例えば、特許文献1~6に記載されている。
【0004】
しかし、現在の母乳ポンプには、脈動する負圧に起因するうるささなど、多くの欠点がある。別の欠点は、記載された乳首の吸引および伸長が、乳首とポンプ(すなわち、ポンプの漏斗)との間に摩擦を生じ、それが刺激を引き起こし、および/または乳首を傷付ける可能性があり得るという事実である。
【0005】
現在の母乳ポンプのその他の主な欠点は、乳房内のすべての母乳を搾乳できないため、母乳の産生量が少なくなる可能性があること、および自然な授乳と比較して効率が分かれ、母親が不必要な搾乳を複数回行わなければならないことである。現在の搾乳器の欠点は、通常、人間の乳房と生理学的に互換性がないため、強い真空および脈動運動は、母親が効率的に母乳を搾り出すのに十分ではないことである。さらに、今日の搾乳器には、乳房から母乳を抽出するために必要な正しい形がない。そのため、乳児や手の表情ほど効率的に母乳を抽出できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第6,004,288号
【文献】米国特許出願公開第2016/058928号
【文献】米国特許出願公開第2014/330200号
【文献】米国特許出願公開第2005/234400号
【文献】米国特許出願公開第2016/206794号
【文献】米国特許出願公開第2011/270162号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の欠点および、既知の母乳ポンプでは、搾乳プロセスが乳児の自然な吸引とは実質的に異なるという事実のために、多くの女性は、母乳搾乳が不快で、痛みを伴いおよび/または刺激があり、したがって控えることを見つける。したがって、本発明は、前述の不利益を受けず、より詳細には、使用中に乳房および乳首に優しく、乳児の母乳吸引機構をよりよく模倣する母乳ポンプ10を提供する。強い真空に起因して母乳が乳房から出るという基本的な仮定は正確ではないことに注意されたい。事実、体内のオキシトシン濃度が高いことに起因して母乳が抽出されることがわかっているが、これは乳児の吸引動作によって引き起こされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様において、本発明は、母の乳房から母乳を搾り出すための母乳ポンプ10であって、(a)本体20と、(b)遠位端26および近位端24を有する漏斗30と、(c)真空ユニットと、(d)下部操作機構50と、(e)少なくとも1つのセンサと、(f)メモリおよびインターフェースに結合されたプロセッサを備えるマイクロコンピュータであって、メモリは、プロセッサによって実行されると、(i)前記少なくとも1つのセンサから(継続的に)受信するデータ、および(ii)前記メモリに格納された所定のパラメータに基づいて、プロセッサに、前記真空ユニットおよび前記下部操作機構50を周期的に作動/停止させ、任意に真空強度、下部操作機構50の速度およびその位置を変更する命令を含む、マイクロコンピュータと、を備え、(i)前記漏斗30は、前記本体20に適合するように設計され、(ii)前記漏斗の近位端24は、乳房および乳首を包み込むように設計された円錐形状を有し、柔軟な材料で作られ、(iii)前記真空ユニットは、前記漏斗30と関連付けられ、ポンプ10内および漏斗30と乳房との間に負圧(真空)を生成するように設計され、(iv)前記下部操作機構50は、授乳中に乳児の舌の動きを模倣するように設計された舌模倣機構であり、前記少なくとも1つのセンサは、下部操作機構50の位置、下部操作機構50の回転(速度および数)、負圧強度、漏斗と乳房との間の距離、母乳の流れ、および上部可動要素42の位置、のうちの少なくとも1つ、またはそれらの任意の組み合わせ、を感知/測定するように設計されている、母乳ポンプ10を提供する。
【0009】
別の態様では、本発明は、母の乳房から母乳を搾り出すための母乳システムであって、(1)乳房および乳首に取り付けられるように設計された最小母乳ポンプユニット100であって、前記ユニット100は、(a)本体20、(b)遠位端26および近位端24を有する漏斗30、および(c)下部操作機構50、を備え、(i)前記漏斗30は、前記本体20内に適合するように設計され、(ii)前記漏斗の近位端24は、乳首を包み込むように設計された円錐形状を有し、柔軟な材料で作られ、(iii)前記下部操作機構50は、授乳中の乳房/乳首の上の乳児の舌の動きを模倣するように設計された舌模倣機構である、最小母乳ポンプユニット100と、(2)搾り出された母乳を収集するための遠隔ユニット101であって、前記ユニット101は、(a)取り外し可能な母乳容器、および、前記漏斗30に関連し、ポンプ10内および漏斗30と乳房との間に負圧(真空)を生成するように設計された真空ユニット、を備える、遠隔ユニット101と、(iii)下部操作機構50の位置、下部操作機構50の回転(速度および数)、負圧強度、漏斗と乳房との間の距離、母乳の流れ、および上部可動要素42の位置、のうちの少なくとも1つ、またはそれらの任意の組み合わせ、を感知/測定するように設計される、少なくとも1つのセンサと、(iv)メモリおよびインターフェースに結合されたプロセッサを備えるマイクロコンピュータであって、メモリは、プロセッサによって実行されると、(i)前記少なくとも1つのセンサから(継続的に)受信するデータ、および(ii)前記メモリに格納された所定のパラメータに基づいて、プロセッサに、前記真空ユニットおよび前記下部操作機構50を周期的に作動/停止させ、任意に真空強度、下部操作機構50の速度およびその位置を変更する命令を含む、マイクロコンピュータと、を備え、前記漏斗30は、前記母乳容器に流体接続されている、母乳ポンプシステムに関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A図1Aは、本発明による母乳ポンプの3次元図である。
図1B図1Bは、本発明による母乳ポンプの起動ボタンを示す上部図である。
図1C図1Cは、本発明による母乳ポンプの主要コンポーネントを示す側断面図である。
図1D図1Dは、本発明による母乳ポンプの主要コンポーネントを示す3次元断面図である。
図2A図2Aは、本発明による静的母乳ポンプの側断面図である。
図2B図2Bは、本発明による静的母乳ポンプの内部モータが舌のような動きを作り出すためにどのように回転するかを示す図である。
図2C図2Cは、本発明による静的母乳ポンプの内部モータが舌のような動きを作り出すためにどのように回転するかを示す図である。
図3A図3Aは、本発明による動的母乳ポンプのローラの最小位置を示す図である。
図3B図3Bは、本発明による動的母乳ポンプのローラの最大位置を示す図である。
図3C図3Cは、本発明による動的母乳ポンプのローラの動きが舌のような動きをどのように模倣するかを示す図である。
図4A図4Aは、ローラの構造についてローラの可能な構成を示す図である。
図4B図4Bは、ローラの構造についてローラの可能な構成を示す図である。
図4C図4Cは、ローラの構造についてローラの可能な構成を示す図である。
図4D図4Dは、ローラの構造についてローラの可能な構成を示す図である。
図4E図4Eは、ローラの構造について乳首に対するローラの構造の影響を示す図である。
図4F図4Fは、ローラの構造について乳首に対するローラの構造の影響を示す図である。
図5図5は、本発明の母乳ポンプの本体内の漏斗のアセンブリを示す図である。
図6A図6Aは、本発明のいくつかの実施形態による漏斗の構造を示す図である。
図6B図6Bは、本発明のいくつかの実施形態による漏斗の構造を示す図である。
図6C図6Cは、本発明のいくつかの実施形態による漏斗の構造を示す図である。
図6D図6Dは、本発明のいくつかの実施形態による漏斗の構造を示す図である。
図6E図6Eは、本発明のいくつかの実施形態による漏斗の構造を示す図である。
図7A図7Aは、本発明の母乳ポンプにおける真空ユニットの役割を示す図である。
図7B図7Bは、本発明の母乳ポンプにおける真空ユニットの役割を示す図である。
図8A図8Aは、本発明のいくつかの実施形態による母乳ポンプの舌のような動きおよび真空模倣機構の動作を示す図である。
図8B図8Bは、本発明のいくつかの実施形態による母乳ポンプの舌のような動きおよび真空模倣機構の作用を示す図である。
図8C図8Cは、本発明のポンプにおけるポンピングプロセスおよび各構成要素の異なる役割を示す図である。
図8D図8Dは、本発明のポンプにおけるポンピングプロセスおよび各構成要素の異なる役割を示す図である。
図8E図8Eは、本発明のポンプにおけるポンピングプロセスおよび各構成要素の異なる役割を示す図である。
図9A図9Aは、本発明のいくつかの実施形態による母乳ポンプを含むシステムを示す図である。
図9B図9Bは、本発明のいくつかの実施形態による母乳ポンプを含むシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、効率的で、静かで、軽量で、携帯可能で、母親の乳首および乳房への不快感、痛みおよび損傷を最小限に抑える、効率的な母乳ポンプを提供することを目的とする。
【0012】
したがって、本発明は、母乳を搾り出すための母乳ポンプ10であって、(a)本体20と、(b)遠位端26および近位端24を有する漏斗30と、(c)真空ユニットと、(d)下部操作機構50と、を備え、(i)前記漏斗30は、前記本体20に適合するように設計され、(ii)前記漏斗の近位端24は、乳首を包み込むように設計された円錐形状を有し、柔軟な材料で作られ、(iii)前記下部操作機構50は、授乳中に乳児の舌の動きを模倣するように設計された舌模倣機構である、母乳ポンプ10を提供する。
【0013】
一態様において、本発明は、母親の乳房から母乳を搾り出すための母乳ポンプ10であって、(a)本体20と、(b)遠位端26および近位端24を有する漏斗30と、(c)真空ユニットと、(d)下部操作機構50と、(e)少なくとも1つのセンサと、(f)メモリおよびインターフェースに結合されたプロセッサを備えるマイクロコンピュータであって、前記メモリは、前記プロセッサによって実行されると、(i)前記少なくとも1つのセンサから(継続的に)受信するデータ、および(ii)前記メモリに格納された所定のパラメータに基づいて、前記プロセッサに、前記真空ユニットおよび前記下部操作機構50を周期的に作動/停止させ、任意に真空強度、下部操作機構50の速度およびその位置を変更する命令を含む、マイクロコンピュータと、を備え、(i)前記漏斗30は、前記本体20に適合するように設計され、(ii)前記漏斗の近位端24は、乳首を包み込むように設計された円錐形状を有し、柔軟な材料で作られ、(iii)前記真空ユニットは、前記漏斗30と関連付けられ、前記ポンプ10内および前記漏斗30と乳房との間に負圧(真空)を生成するように設計され、(iv)前記下部操作機構50は、授乳中に乳児の舌の動きを模倣するように設計された舌模倣機構であり、前記少なくとも1つのセンサは、下部操作機構50の位置、下部操作機構50の回転(速度および数)、負圧強度、漏斗と乳房との間の距離、母乳の流れ、および上部可動要素42の位置、のうちの少なくとも1つ、またはそれらの任意の組み合わせ、を感知/測定するように設計されている、母乳ポンプ10を提供する。
【0014】
特定の実施形態では、母乳ポンプ10は、搾り出された母乳を貯蔵するための母乳容器をさらに備え、前記漏斗の遠位端26は、母乳容器に流体接続される。前記母乳チャンバ/容器は、本体に直接接続されてその一部を構成してもよく、または例えば母乳を送達する管を介して本体に遠隔的に関連付けられてもよい。特定の実施形態では、前記母乳容器は、カップリング装置またはねじ機構などの任意の適切な手段によって、漏斗30および/または本体20に取り外し可能に接続される。
【0015】
特定の実施形態では、上記の実施形態のいずれか1つの母乳ポンプ10は、漏斗の上部の形状および/または位置を変更して乳房および乳首の最適な適合を得て、それにより母乳の流れを改善し、乳首の擦りむけを減少させるための制御ノブ44をさらに備える。
【0016】
特定の実施形態では、上記の実施形態のいずれか1つの母乳ポンプ10は、ユーザが真空強度および/またはパルス/サイクルを制御できるようにする真空強度制御をさらに備える。
【0017】
特定の実施形態では、上記の実施形態のいずれか1つの母乳ポンプ10は、ユーザが(i)下部操作機構50の位置、および/または(ii)回転速度および/またはサイクルを制御および調整できるようにするための下部操作機構50制御ユニットをさらに備える。。
【0018】
特定の実施形態では、上記の実施形態のいずれか1つの母乳ポンプ10の異なる実施形態および機能の全部または一部の制御は、遠隔コントローラまたはスマートフォンまたはタブレットなどの遠隔コンピュータから無線で行われる。
【0019】
本明細書で互換的に使用される「コンピュータ」または「マイクロコンピュータ」という用語は、コンピュータプログラミングを介して算術または論理演算のシーケンスを自動的に実行するように指示できる任意のタイプのコンピュータを指す。本発明のポンプ10またはポンプシステムの内蔵マイクロコンピュータは、本発明のポンプ10内のさまざまなセンサ(例えば、下部操作機構50の位置を検出するセンサ、真空圧を測定/検出するセンサ、など)およびポンプ10またはポンプシステムのさまざまなボタンやコントロールやコントローラからデータを読み取る。内蔵マイクロコンピュータは、本発明のポンプ10またはポンプシステムの異なるモータ、通気バルブ、スクリーン、および他のコンポーネントの活動を制御する。加えて、特定の実施形態では、マイクロコンピュータは全体のポンピングプロセスを制御する。
【0020】
上記の実施形態のいずれか1つの母乳ポンプ10の特定の実施形態では、下部操作機構50は、前記本体20に関連付けられ、本体20に対して移動することができる可動ベース130に配置され、それにより漏斗30内の乳首に対して舌模倣機構50を移動させることによって漏斗の下部の位置および配向を調整する(図1Cの矢印を参照)。特定の実施形態では、下部操作機構50は、移動できない本体130の固定下部に位置し、下部操作機構50は、下部操作機構50を本体20に対して任意の方向に移動させることができる調整機構に取り付けられる。特定の実施形態では、下部操作機構50の動きは、ポンピング効率および快適性を高め、擦りむけを低減するために、ユーザーが漏斗30を乳首に適合することができるように設計される。特定の実施形態では、下部操作機構50の動きは、マイクロコンピュータによって制御される。
【0021】
特定の実施形態では、下部操作機構50は、前記漏斗30の下部内に配置され、本体20に対して任意の方向に移動することができる。
【0022】
特定の実施形態では、上記の実施形態のいずれか1つの母乳ポンプ10は、下部操作機構50の位置および速度を自動的に調整する機構の有無にかかわらず、下部操作機構50の位置をシフトするためのモータをさらに含む。
【0023】
上記実施形態のいずれか1つの母乳ポンプ10の特定の実施形態では、真空ユニットは負圧ポンプである。さらなる実施形態では、真空ユニットは、ポンピングプロセスの進行にしたがって可変の、すなわち、ポンピングプロセスの進行につれて母乳のポンピングをそれぞれ増加または減少させるために、生成される真空を増加または減少させる負圧/真空を生成するように設計される。
【0024】
上記実施形態のいずれか1つの母乳ポンプ10の特定の実施形態では、真空ユニットは、真空パルスを生成するように設計される。
【0025】
上記実施形態のいずれか1つの母乳ポンプ10の特定の実施形態では、マイクロコンピュータは、(i)下部操作機構50の位置および/または回転速度を修正し、(ii)前記真空ユニットを起動/停止し、任意に、(iii)可変の真空速度および強度を含むポンピングシーケンスを生成するための、上部可動要素42を介した漏斗の上部の位置および/または方向、(iv)下部操作機構50および上部可動要素42を自動的に配置して、最良の真空状態を得るために乳首/乳房に対する漏斗30の最適な接触および位置を得る。
【0026】
上記実施形態のいずれか1つの母乳ポンプ10の特定の実施形態では、真空ユニットは、オープンシステムまたはクローズドシステムのポンプである。「クローズドシステムポンプ」という用語は、モータと母乳収集キットとの間にバリアがあり、母乳がエアチューブに入らないようにするシステムを指す。「オープンシステムポンプ」という用語は、そのようなバリアを持たず、一部の母乳粒子がエアチューブに入ることができるシステムを指す。
【0027】
上記の実施形態のいずれか1つの母乳ポンプ10の特定の実施形態では、ポンピングシーケンス、すなわち、要求に応じてユーザーが「再生」するために、下部操作機構50の可変、真空、速度および位置、上部可動要素42の位置の組み合わせを時間の関数として記録または記憶することができる。
【0028】
上記実施形態のいずれか1つの母乳ポンプ10の特定の実施形態では、ポンプの動作中に生成される負圧/真空は可変である。特定の実施形態では、ポンプ10は、生成される負圧/真空を変化させるための圧力調整機構をさらに備える。特定の実施形態では、乳児の哺乳サイクルを模倣するために、真空の生成および解放は、舌模倣機構50の速度および位置と同期される。例えば、真空が所定の負圧に達するまで舌模倣機構50を作動させながら真空が作動し、その時点で舌模倣機構50および真空発生の両方が停止し、乳首と漏斗30との間の空間に空気が解放され、乳児の嚥下の模倣を作り出す。
【0029】
特定の実施形態では、本明細書の実施形態のいずれかの下部操作機構50は、モータ90とそれに関連する1つ以上のローラーセットを含み、各ローラーセットは1つ以上のローラーセグメント150~156を含み、複数のローラが前から後ろへの動きを制限するようにモータ90が1つ以上のローラーセットを回転させ、それにより前記漏斗30の下部の波状の動きを作り出し、それにより授乳中に乳首の下部を横切る乳児の舌の動きを模倣する。特定の実施形態では、ポンプ10は静的ポンプであり、モータ90は固定軸上で回転する。さらに別の特定の実施形態では、ポンプ10は動的ポンプであり、モータ90はシフト可能な軸(すなわちモータの軸は本体20に対して任意の方向に動く)上で回転する。
【0030】
上記の実施形態のいずれか1つの母乳ポンプ10の特定の実施形態では、1つ以上のローラーセットは、2つ以上のローラーセグメント150~156を備え、前記ローラーセグメントは、ポンプサイクル中に漏斗を介して乳首に押し付けられたときに互いに対して軸方向を変更し得る。軸の向きのこのような変更により、乳首と漏斗の下部との最大の接触が可能になり、ポンピングプロセスが改善される。
【0031】
上記実施形態のいずれか1つの母乳ポンプ10の特定の実施形態では、モータ90およびローラーセットの回転速度は、ポンピングプロセスの進行にしたがって可変であり、すなわち、ポンピングプロセスの進行につれて母乳のポンピングをそれぞれ増加または減少させるために、回転速度を増加または減少させる。特定の実施形態では、回転速度は前記マイクロコンピュータによって自動的に制御される。
【0032】
特定の実施形態では、例えば、ローラーモータ90、真空モータなどの本発明のポンプの異なるモータは、出力が0から最大まで調整可能な動的モータであり、これにより、ポンピングプロセス中の必要に応じて、活動および起動強度を制御および調整できる。このようなモータは(PWM)モータとも呼ばれる。
【0033】
上記実施形態のいずれか1つの母乳ポンプ10の特定の実施形態では、漏斗30は、漏斗と乳首との間の空間への空気の通過を可能にするように設計されたバルブ27に関連付けられた空気入口をさらに含み、真空発生が停止または減少し、空気が前記バルブ27を介して前記空間に送り込まれ/押し込まれ/吸い込まれるときに、漏斗30は、乳児の舌しゃぶりメカニズムを模倣する下部操作機構50の停止と任意に相関して乳児の嚥下メカニズムを模倣する乳頭の抱き合わせを緩める。その特定の実施形態では、マイクロコンピュータは、空気入口のバルブ27をさらに制御して、ポンプへの空気の進入を可能にし、その中の真空を放出/解放する。
【0034】
上記実施形態のいずれか1つの母乳ポンプ10の特定の実施形態では、下部操作機構50および前記真空ユニットは、相乗効果を生じさせてポンピングプロセスを改善する。特定の実施形態では、相乗効果は、乳児の哺乳サイクルを模倣することによって得られる。すなわち、乳首と漏斗との間に真空が生成されると、下部操作機構50が作動し、それにより乳児の吸引を模倣し、母乳の搾乳を促進する。そして、真空が所定の負圧値に達する、および/または一定量の母乳が抽出されると、真空生成ユニットおよび下部操作機構50の両方が動作を停止し、バルブ27を介して漏斗と乳首との間の空間に空気が入ることが許容され、それにより乳児の嚥下を模倣する。哺乳サイクルのこの模倣により、ポンピングプロセスが改善され、母乳の流れおよび産生が増加し、乳首への擦りむけや圧力などの望ましくない影響が軽減される。特定の実施形態では、相乗効果は、例えば、舌模倣機構の強度および速度、ならびに任意に真空強度および/または真空サイクルおよび/または上部可動要素42の位置など、ポンピングプロセス中の真空強度と舌模倣機構の回転速度との間の母乳ポンプ10の異なる機能間のさまざまな同期によって得られる。
【0035】
上記実施形態のいずれか1つの母乳ポンプ10の特定の実施形態では、ポンプ10は電動母乳ポンプである。
【0036】
上記実施形態のいずれか1つの母乳ポンプ10の特定の実施形態では、ポンプ10は、一体型電源をさらに備える。
【0037】
上記の実施形態のいずれか1つの母乳ポンプ10の特定の実施形態では、ポンプ10は、母乳ポンプ10を表示し、任意に操作するための一体型スクリーンまたはタッチスクリーンをさらに備える。
【0038】
本発明はさらに、母乳を搾り出すための母乳ポンプシステムであって、(1)乳房および乳首に取り付けられるように設計された最小母乳ポンプユニット100であって、前記ユニット100は、(a)本体20、(b)遠位端26および近位端24を有する漏斗30、および(c)下部操作機構50、を備え、(i)前記漏斗30は、前記本体20内に適合するように設計され、(ii)前記漏斗の近位端24は、乳首を包み込むように設計された円錐形状を有し、柔軟な材料で作られ、(iii)前記下部操作機構50は、授乳中の乳児の舌の動きを模倣するように設計された舌模倣機構である、最小母乳ポンプユニット100と、(2)搾り出された母乳を収集するための遠隔ユニット101であって、前記ユニット101は、母乳容器を備える、遠隔ユニット101と、を備え、前記漏斗30は、前記母乳容器に流体接続されている、母乳ポンプシステムを提供する。
【0039】
特定の実施形態では、本発明は、母親の乳房から母乳を搾り出すための母乳ポンプシステムであって、(1)乳房および乳首に取り付けられるように設計された最小母乳ポンプユニット100であって、前記ユニット100は、(a)本体20、(b)遠位端26および近位端24を有する漏斗30、および(c)下部操作機構50、を備え、(i)前記漏斗30は、前記本体20内に適合するように設計され、(ii)前記漏斗の近位端24は、乳首を包み込むように設計された円錐形状を有し、柔軟な材料で作られ、(iii)前記下部操作機構50は、授乳中の乳房/乳首の上の乳児の舌の動きを模倣するように設計された舌模倣機構である、最小母乳ポンプユニット100と、(2)搾り出された母乳を収集するための遠隔ユニット101であって、前記ユニット101は、(a)取り外し可能な母乳容器、および(b)前記漏斗30に関連し、前記ポンプ10内および前記漏斗30と乳房との間に負圧(真空)を生成するように設計された真空ユニット、を備える、遠隔ユニット101と、(3)下部操作機構50の位置、下部操作機構50の回転(速度および数)、負圧強度、漏斗と乳房との間の距離、母乳の流れ、および上部可動要素42の位置、のうちの少なくとも1つ、またはそれらの任意の組み合わせ、を感知/測定するように設計される、少なくとも1つのセンサと、(4)メモリおよびインターフェースに結合されたプロセッサを備えるマイクロコンピュータであって、メモリは、プロセッサによって実行されると、(i)前記少なくとも1つのセンサから(継続的に)受信するデータ、および(ii)前記メモリに格納された所定のパラメータに基づいて、プロセッサに、前記真空ユニットおよび前記下部操作機構50を周期的に作動/停止させ、任意に真空強度、下部操作機構50の速度およびその位置を変更する命令を含む、マイクロコンピュータと、を備え、前記漏斗30は、前記母乳容器に流体接続されている、母乳ポンプシステムを提供する。
【0040】
上記実施形態の母乳ポンプシステムの特定の実施形態では、遠隔ユニット101は、前記取り外し可能な母乳容器のみを含む。
【0041】
上記の実施形態の母乳ポンプシステムの特定の実施形態では、システムはさらに、システムを表示し、任意にシステムを操作するためのスクリーンまたはそれに関連するタッチスクリーンを含む。
【0042】
上記実施形態の母乳ポンプシステムの特定の実施形態では、漏斗30は、バルブ27に関連付けられた空気入口をさらに備え、前記マイクロコンピュータは、空気入口のバルブ27をさらに制御して、ポンプへの空気の流入およびポンプの中の真空の放出/解放を可能にする。
【0043】
上記実施形態のいずれか1つの母乳ポンプシステムの特定の実施形態では、遠隔ユニット101は、乳首と漏斗との間に真空を生成するための電源および/または真空ユニットをさらに備える。
【0044】
上記実施形態のいずれか1つの母乳ポンプシステムの特定の実施形態では、遠隔ユニット101は、例えば、システムを起動し、ポンピングプロセス(例えば、ポンピング速度および真空強度、下部操作機構50および任意に漏斗の上部の位置、ポンピングサイクル、下部操作機構50の動作速度およびサイクル、またはそれらの任意の組み合わせ)を制御するための操作ボタンをさらに備える。
【0045】
上記実施形態のいずれか1つの母乳ポンプシステムの特定の実施形態では、遠隔ユニット101は、上述のプロセッサおよびメモリを備えるマイクロコンピュータをさらに備える。
【0046】
上記実施形態のいずれか1つの母乳ポンプシステムの特定の実施形態では、遠隔ユニット101は、電源、真空ユニット、プロセッサおよびメモリを含むマイクロコンピュータ、母乳容器、操作ボタン、および任意に電源を含む。
【0047】
特定の実施形態では、本発明は、ユーザが両乳房から母乳を同時に搾乳できるようにするための第2の最小母乳ポンプユニット100をさらに備える、上記実施形態のいずれか1つによる母乳ポンプシステムを提供する。
【0048】
上記実施形態のいずれか1つの母乳ポンプシステムの特定の実施形態では、遠隔ユニット101は、最小母乳ポンプユニット100に流体接続された母乳容器のみを含む。そのような実施形態では、システムの他のすべての構成要素は、最小母乳ポンプユニット100内、および/またはそれに関連する近くの遠隔コントローラ内に配置される。
【0049】
特定の実施形態では、上記実施形態のいずれか1つによるポンプまたはシステムのマイクロコンピュータは、最後に搾乳された搾乳シーケンス、時間の関数として、真空強度、下部操作機構50の速度、位置などを含む特定のユーザー選好を記録するように設計される。さらに他の実施形態では、マイクロコンピュータは、すべてのパラメータの統計を収集し、必要に応じて分析および任意にユーザまたは医療関係者に報告するためにスマートフォンなどの遠隔マイクロコンピュータに任意に転送するように設計される。
【0050】
本発明は、添付図面に関して読まれるとき、以下の詳細な説明を参照することにより理解され得る。図1図9は、本発明の異なる実施形態による母乳ポンプ10およびその構成要素の例を示す。
【0051】
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多くの特定の詳細が述べられる。しかし、これらの特定の詳細なしで本発明を実施し得ることが当業者には理解されるであろう。他の例では、本発明を不明瞭にしないために、周知の方法、手順、および構成要素は詳細には説明されない。
【0052】
説明を簡単かつ明確にするために、図に示される要素は必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解されよう。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確にするために他の要素に比べて誇張されている場合がある。さらに、適切であると考えられる場合、対応する要素または類似の要素を示すために、参照番号を図の間で繰り返すことがある。
【0053】
システムへの明細書の参照は、必要な変更を加えて、システムで実行できる方法に適用する必要がある。方法への明細書の参照は、必要な変更を加えて、方法を実行できるシステムに適用する必要がある。
【0054】
本発明の図示された実施形態は、大部分において、当業者に知られている電子部品および回路を使用して実装され得るので、本発明の教示を分かりにくくしたり、そらせたりしないようにするため、本発明の基礎となる概念の理解のために、上で図示されたように必要であると考えられるものよりも詳細には説明されない。
【0055】
本発明による母乳ポンプ10の特定の非限定的な実施形態を、添付図面を参照して説明する。
【0056】
図1は、(a)内部空間を画定し、保持するように設計された本体20、(b)本明細書で漏斗30と呼ばれる柔軟なインターフェース要素を示す母乳ポンプ10を示し、前記漏斗30は、乳房および乳首と直接接触するように設計され、入口として機能する近位端24と、ポンピングされた母乳をその目的地に送達するように設計され、出口として機能する遠位端26とを有する。
【0057】
特定の実施形態では、ポンプ10は、電力スイッチ120を有する電動ポンプである。特定の実施形態では、電動ポンプ10は、主電力網に接続されるように設計される。代替の特定の実施形態では、電動ポンプ10は、オプションで再充電可能な電池によって電力供給されるように設計され、その場合、オプションで再充電可能な一体型電源をさらに備えてもよい。
【0058】
図1Cに見られるように、特定の実施形態では、母乳ポンプ10は、(i)漏斗30の上部の形状に影響を及ぼすための上部操作機構40を備える。上部操作機構40は、湾曲、平坦、または口蓋の形状をとり得る上部可動要素42を含み得て、異なる位置間で移動し得て、それにより漏斗30の上部の形状を変え得る。上部可動要素42は、本体20の外側に延び得て、ユーザにより制御され得る制御ノブ44の制御下で移動され得る。(ii)漏斗の下部の形状に影響を与える下部操作機構50。図に示されるように、下部操作機構50は、漏斗30に挿入される(少なくとも)その乳首を有する乳房から乳を繰り返し搾るためにポンピングサイクルの間繰り返し動かされる1つ以上のローラーセグメント150~156を備える1つ以上のローラーセットを含み得る。特定の実施形態では、下部操作機構50は、本体20に対するその位置を調整するための電気モータをさらに備え、それにより、ユーザが漏斗30を彼女の乳房および乳首に適合させることを可能にする。そのような実施形態では、本体20は、モータを制御するための、および下部操作機構50の位置を調整するための制御ユニット/ボタンをさらに備える。特定の実施形態では、上部可動要素42は、本体20に対するその位置を調整するための電気モータをさらに備え、それにより、ユーザが漏斗30を彼女の乳房および乳首に適合させることを可能にする。そのような実施形態では、本体20は、モータを制御するための、および上部可動要素42の位置を調整するための制御ユニット/ボタンをさらに備える。
【0059】
特定の実施形態では、母乳ポンプ10は、真空ユニットを制御するための、それにより真空強度の制御を可能にする制御ユニット/ボタンをさらに備える。
【0060】
図6A図6Cは、本発明のいくつかの実施形態による漏斗30の構造の実施形態を示す。特定の実施形態では、漏斗は、シリコーンなどの弾性材料でできている。図に見られるように、漏斗30は、乳首を包囲するために円錐形の近位端24を有する。さらに、漏斗30の弾性により、生成された真空および舌模擬装置の動作に起因しておよび/またはそれに応じてその形状を修正すること、乳首に最適に適合して乳首との最大の接触を得ることを可能にし、したがって、ポンピング効率と母のための快適性が向上する。特定の実施形態では、漏斗の近位端は、その形状を修正して乳児の口を模倣し、成長中の乳児の口の形状の変化にしたがって調整可能である。そのような弾性はまた、乳児の口を模倣し、口蓋を引き出す。漏斗30はまた、乳児の喉に似た遠位端26を有し、遠位端26は、搾られた母乳を収集するための容器に流体的に接続されるように設計される。特定の実施形態では、漏斗30は、嚥下効果を模倣するために内向きおよび/または外向きの空気の通過を可能にするために、一方向バルブまたは電気バルブなどのバルブ27に流体接続される空気入口をさらに備える。
【0061】
特定の実施形態では、図6D図6Eに示されるように、漏斗30の厚さおよび柔軟性は、その異なる領域間で変化する。特定の実施形態では、この可変性により、漏斗30はさまざまな領域で異なって崩壊し、それにより、漏斗の上部(口蓋を模倣)と漏斗の下部(舌を模倣)との間に最適な接触と圧力を作り出しながら、ポンピングプロセス中に乳首/乳房を完全に包み込むことができる。図6D(側面図)および図6E(正面図)に見られるように、漏斗30は、乳児の上部口蓋領域31および舌領域32を模したより厚い領域を含み得る。特定の実施形態では、乳児の舌の動きの模倣は、漏斗30の底部のより厚い領域によって得られ、これは、より厚い領域内またはその下のいずれかに位置する下部操作機構50を介して前方波状動作で移動する。さらに、漏斗30のより薄い領域は、これら(およびその中の他の領域)の折り畳みおよび崩壊能力を改善して、乳房/乳首をよりよく包み込む。特定の実施形態では、この可変性は、乳房/乳首と接触する漏斗表面全体にわたって、漏斗と乳房/乳首との間に可変圧力点を作り出す。
【0062】
特定の実施形態では、漏斗近位端24の端部は、挿入/配置後、本体20の開口部の縁部を覆うように設計される(例えば、図1C参照)。
【0063】
図1C(ポンプ10の底部にある矢印)に示すように、特定の実施形態では、下部操作機構50は、本体20/ハウジングに対して移動することができる。この運動は、正面および背面に向かう、すなわち、入口24に向かうまたはそこから離れる直線運動であり得る。上下、左右、斜めなどの他の動きも使用し得る。特定の実施形態では、下部操作機構50の動きは、ポンピングプロセスを変更し、ポンピング効率を増加または減少するように、すなわち乳首および乳房への漏斗30の適合をより良く調整することにより、および下部操作機構50によって生成された舌模倣を、使用者の乳首および乳房の形状および構造に適合させることにより、使用者によって設定し得る。特定の実施形態では、ポンピングプロセスは、ポンピング速度を同時に制御することにより、すなわち、下部操作機構50の回転速度を増加させて、漏斗と乳首を介したローラーセグメント間の接触数を増加させることにより、および/または、ポンプ強度を制御する、すなわち、真空ユニットにより生成される負圧を増加させることにより、さらに改善される。
【0064】
特定の実施形態では、下部操作機構50は、例えば、レール(図示せず)上をスライドすることにより、本体20に対して移動し得るベース130に接続される。
【0065】
特定の実施形態では、制御ノブ44の動きは、上部可動要素42の位置を変更させ、それが次に、漏斗の上部の形状および/または位置を修正して、擦りむけを低減して母乳産生を改善するために乳房および乳首の形状に最も適合させる。
【0066】
図1A図1Bに示されるように、制御ノブ44は、4つの位置の間で直線運動を実行し得て、それにより、上部可動要素42を制御ノブ44の運動に追従させる。これは単なる非限定的な例であり、制御ノブ44は、4つよりも多いまたは少ない位置の間で非線形の動きで動かされ得る。
【0067】
特定の実施形態では、上部可動要素42は、制御ノブ44と平行に移動し得て、制御ノブ44に対して任意の移動を実行し得る。
【0068】
特定の実施形態では、制御ノブ44を母乳ポンプ10の正面に向かって移動させると、(a)漏斗30の上部と漏斗30の底部との間の距離が短くなり得て、および/または(b)漏斗30が乳首に向かって狭くなり、その後、ポンピングプロセスをより硬くさせ、すなわちポンプをより強くさせ得る。
【0069】
本明細書で使用される「ポンピングプロセス」という用語は、母乳ポンピング手順を指し、ポンピング速度(下部操作機構50の回転速度によって影響される)、ポンピング強度(真空強度によって影響される)、母乳の流れ/産生、乳首と乳房に加えられる圧力と負圧、本体20に対する下部操作機構50の位置、空気および真空の解放の持続時間、などのさまざまなパラメータの任意の組み合わせを含み、それらの全ては、時間の関数としてポンピング中に動的に変化する。
【0070】
特定の実施形態では、制御ノブ44は、ポンピングセッション中に数回(または0回)動かされ得る。他の実施形態では、制御ノブ44は、電子的に、例えばマイクロコンピュータにより動かされ得る。
【0071】
代替の実施形態では、上部可動要素42は、制御ノブ44により任意的に動作可能なモータによって動かされ得る。
【0072】
特定の実施形態では、下部操作機構50は、手動でまたは専用モータ90により動かされ得る1つ以上のローラーセグメント150~156を含む1つ以上のローラーセットを含む。図4A図4Fは、そのようなローラーセットを回転させるモータ90を示す。説明を簡潔にするために、以下の説明では、モータ90を含む下部操作機構50を参照する。特定の実施形態では、下部操作機構50および上部可動要素42は、乳首および乳房への漏斗の近接、ポンピング中に加えられる圧力、母乳の量および流速などを測定するセンサから得られるデータを用いることにより、乳首および乳房への最適な適合を自動的に調整する。
【0073】
特定の実施形態では、1つ以上のローラーセットの運動は、乳児による舌の動きおよび母乳の吸い込みを模倣することを目的とする。したがって、1つ以上のローラーセットの複数の回転により、複数の哺乳が模倣される。
【0074】
特定の実施形態では、前記1つ以上のローラーセグメント150~156を含む1つ以上のローラーセットは、回転軸80の周りに回転され得る。特定の実施形態では、回転軸80は、本体20の縦軸に垂直である。代替の実施形態では、回転軸80と本体20との間に他の任意の向きが存在する。
【0075】
図4A図4Fに見られるように、特定の実施形態では、1つ以上のローラーセットは、1つ以上のローラーセグメントを含む1、2、3、4、5、6以上のセットである。さらに他の実施形態では、1つ以上のローラーセットの各ローラーセットは、1つ以上のローラーセグメント150~156、すなわち1、2、3、4、またはそれ以上のローラーセグメントを含む。特定の実施形態では、1つ以上のローラーセットは2~4セットであり、各々2つのローラーセグメントを含む。特定の実施形態では、ローラーセットの数は、2、3または4セットなどの任意の正の整数である。
【0076】
特定の実施形態では、1つ以上のローラーセグメント150~156を含む1つ以上のローラーセットは、ポンピングサイクルの一部の間に、回転軸80に対して配向されたローラーセグメントを含む。特定の実施形態では、ローラーセットが漏斗30を通して乳首を感知すると、そのローラーセグメントは互いに対する向きを変え(すなわち、回転軸80に対してもはや向きを変えない)、それにより乳首を取り囲む。ローラーセグメントの運動角とも呼ばれるこの設計は、舌が乳頭を飲み込む乳児の舌のようなメカニズムをよりよく模倣しており、それにより、ポンピングプロセスを容易にし、ポンピングプロセスの効率を高める。特定の実施形態では、各ローラーセットが乳首を離れた(ロールから離れる)後、セットが漏斗30を介して乳首を感知しないとき、例えば、回転軸80に対して配向されて、デフォルト位置に戻り得る。
【0077】
特定の実施形態では、図4E図4Fに示されるように、ローラーセグメント間の運動角は柔軟であり、ローラーセグメントがすべての乳首のサイズおよび形状にぴったり合うように設計される。運動角の柔軟性により、ポンピングセッション中にローラーセグメント間の角度を自律的にリアルタイムで変更できるため、乳房が枯渇したりおよび/または乳首の剛性が変化したりすると、ローラーセグメント間の角度がそれに応じて調整され、ポンピングプロセスを最高の効率で維持する。
【0078】
特定の実施形態では、ローラーセットは、セットが漏斗30を通して乳首を感知するときだけでなく、絶えず定位置に配置され得る。
【0079】
特定の実施形態では、1つまたは複数のローラーセットがポンピングサイクル中に互いに対して向きを変えることができる2つのローラーセグメントを含む場合、ローラーセグメントの1つはポンピングサイクル全体の間静止しているが、他方のローラーセグメントはそれに関連して向きを変える。代替の実施形態では、両方のローラーセグメントが向きを変える。さらに他の代替実施形態では、1つ以上のローラーセットが、ポンピングサイクル中に互いに対して向きを変えることができる3つ以上のローラーセグメントを含む場合、ローラーセグメントの少なくとも1つは、ポンピングサイクル全体にわたって静止しているが、他のローラーセグメントは、それに対する向きを変える。
【0080】
特定の実施形態では、1つ以上のローラーセグメント150~156を含むローラーセットは、柔軟性または剛性である。
【0081】
特定の実施形態では、ローラーセグメント150~156は円筒形状を有する。別の実施形態では、それらは円錐形などの他の形状を有する。特定の実施形態では、ローラーセグメントは、各ポンピングサイクル中に乳首が入る溝状構造を作成するために、剛性の円錐形であり得る。
【0082】
特定の実施形態では、ローラーセットの回転速度または他の動きは、ユーザーによって、または他の方法、例えばポンピングの進行に応じて自動的に変更し得る。例えば、母乳の流れが減少したことをポンプ10が識別した場合、母乳の流れを増やすために、ポンプ10は、ローラーセットの回転速度を増加または減少させ、および/またはそれらの向きを一方に対して他方を修正し得る。
【0083】
特定の実施形態では、各ローラーセットは、モータ90および/または任意のギア機構により回転され得る保持要素間に配置される。
【0084】
特定の実施形態では、そして例えば図4に、ローラーセットを保持し、回転軸80から外側に延び、回転軸80を中心に回転するように設計された複数対のアーム110、112、114、116が示される。
【0085】
特定の実施形態では、一組の下部インターフェース要素は、アーム110、112、114、116の各対の間に配置され、アームの対の少なくとも一方に機械的に結合される。特定の実施形態では、一対のアーム110、112、114、116は、機械的インターフェース要素を含み、および/またはローラーセットを担持する(またはそうでなければ取り付けられる)機械的インターフェース要素に結合される。例えば、一対のアームの各アームは、ローラが配置される軸(柔軟性または非柔軟性)を含み得る。別の例では、単一の軸(柔軟性または非柔軟性)をアームの1つに接続し得て、セットを軸に接続するかまたは軸の周りに回転させ得る。
【0086】
特定の実施形態では、上記の実施形態のいずれかの母乳ポンプ10の設計は、母親にとって非常に効率的で快適な最適なポンピングプロセスを提供する。
【0087】
特定の実施形態では、漏斗30は、シリコーンまたは他の柔軟な材料でできており、これらはまた容易に洗浄、消毒、および/または滅菌することができる。
【0088】
図5に示されるように、特定の実施形態では、漏斗30は、例えば清掃、交換または廃棄のために本体20から取り外され得る。したがって、特定の実施形態では、漏斗30は、交換可能(または不可能)および/または使い捨て可能(または不可能)である。
【0089】
特定の実施形態では、本体20(および漏斗30)の前部は、凹形状または乳房に適合し得る任意の他の形状を有する。特定の実施形態では、本体20(および漏斗30)の前部の形状は、ユーザーの特定の乳首に最も適合するように調整可能である。
【0090】
特定の実施形態では、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つの母乳ポンプ10は、母乳のポンピングおよび、漏斗の入口24から出口26への、そして最終的には母乳容器への母乳の送り込みを支援する負圧を生成するように設計された真空ユニットをさらに備える。
【0091】
図7Bは、真空ユニットの動作機構を示す図である。特定の実施形態では、真空ユニットは、ポンピングプロセスおよび効率を改善し、それにより、強力なポンピングの必要性を減らす。強烈なポンピングの減少は、本発明の母乳ポンプの振動および音量の減少を支援する。したがって、特定の実施形態では、本明細書のいずれか1つの実施形態による母乳ポンプ10は、ポンピングプロセスおよびその効率を改善し、振動および音量を低減し、乳児の吸引の模倣を支援する真空ユニットをさらに備える。
【0092】
図8A図8Bは、乳児の舌の動作を模倣する下部操作機構50および真空が、ポンピングプロセスおよびその効率を改善する相乗作用においてどのように機能するかを示す。したがって、本明細書の実施形態のいずれか1つによる母乳ポンプ10の特定の実施形態では、下部操作機構50は、負圧ポンプなどの真空機構とともに相乗作用して、ポンピングプロセスおよびその効率を改善し、乳児の吸引プロセスをよりよく模倣する。特定の実施形態では、相乗効果は、乳児の哺乳サイクルを模倣すること、すなわち、(i)下部操作機構50の回転と組み合わせて、漏斗の前から後ろへ波状の動きを生成し、それにより乳児の吸い込みを模倣し、母乳の搾乳を促進する、乳頭と漏斗との間に負圧(すなわち、真空)のサイクルを生成すること、および(ii)所定の負圧値に達するか、または一定量の母乳が抽出されて下部操作機構50が停止し、バルブ27を介して漏斗と乳首との間の空間に空気が入るようになったら、真空を放出し、それにより乳児の嚥下を模倣すること、によって得られる。哺乳サイクルのこの模倣により、ポンピングプロセスが改善され、母乳の流れと産生が増加し、ポンピング時間が短縮され、乳首の擦りむけや圧力などの望ましくない影響が軽減される。
【0093】
図8C図8Eは、ポンプ10およびその中の異なるコンポーネントが、ポンピングプロセス中にどのように動作および同期して、異なるコンポーネントの活動間の相乗効果を生成して、乳児の哺乳プロセスの現実の模倣を作成するかの例示的な実施形態を示す。図8C図8Dに示されるように、真空ユニット(3)は、母乳容器/チャンバ(1)および漏斗(2)に真空を生成し、舌を模倣する下部操作機構50は、ローラーセグメントの半径方向回転用モータ(4)と、ローラーセグメントの位置を感知する「舌」位置センサ(5)と、乳首からのローラーセグメントおよび/または漏斗の距離を感知するオプションのセンサと、で構成され、通気バルブ(6)を使用して、システム内(漏斗と乳首との間)の真空を低減/除去し、母乳容器/チャンバ(1)への母乳の流れを改善するための空気の流れを作り出し、真空センサ(7)を使用して、システム内の現在の真空を測定し、コントローラ(8)、真空ポンプ(3)、ベントバルブ(6)とともに、所望の圧力を維持する。
【0094】
図8Eは、モータが動的な電力制御(0から最大電力まで)を可能にするパルス幅変調(PWM)モータ(3)、(4)であり、2つの状態を有するベントバルブ(6)、開閉(オン/オフ)、ポンプ/システム内のリアルタイムの真空圧を測定する真空センサ(7)、舌の位置を読み取る舌(下部操作機構50)センサ(5)、ユーザーコントロールインターフェイスの一部としての押しボタンおよび画面(メッセージLED)、ユーザー向けのコントローラ出力メッセージ、を示す。
【0095】
特定の実施形態では、真空センサ(7)は、漏斗30と乳房/乳首との間、または母乳容器と真空ポンプとの間(図8Dに示すように)など、母乳ポンプ10のどこにでも配置される。
【0096】
特定の実施形態では、図2A図2Cに示すように、上記の実施形態のいずれか1つの母乳ポンプ10は、モータ90がその軸から動かない静的ポンプとして設計される。このような構成では、1つまたは複数のローラーセグメント150~156を含むローラーセットが固定ラウンドで軸の周りを回転し、ローラーセットが漏斗の下部に押し付けられると、漏斗が前から後ろへ内側に押されて波状の動きを生成し、乳首に押し付けられる(そして乳首はその上部から口蓋に押し付けられる)。そのような特定の実施形態では、漏斗30は、乳児の口腔の形状を取り、口蓋を引き出す。
【0097】
特定の実施形態では、図3A図3Cに示すように、上記の実施形態のいずれか1つの母乳ポンプ10は、モータ90がその軸から移動する動的ポンプとして設計される。モータ90のそのような動きは、各ローラーセットのローラーセグメントを本体の下部に押し付けることによって達成され、それに応じてモータ90は漏斗30の下部に押し上げられ、漏斗30は内側に押し込まれ、乳首に押し付けられる(そして乳首は漏斗30の上側にある口蓋に押し付けられる)。そのような特定の実施形態では、漏斗30は、乳児の口腔の形状を取り、口蓋を引き出す。図3Cに示すように、直線運動はローラーセットの最小点と最大点との間で定義され、漏斗の軌道の機能は舌の動きを定義する。
【0098】
図9A図9Bは、例えば、外出中または夜間に母乳を搾り出すための母乳ポンプシステムを示す。システムの設計は、(i)快適で邪魔にならない方法で乳房および乳首に取り付けられるように設計された最小ユニット100、および(ii)搾り出された母乳を収集するための遠隔ユニット101を含み、両ユニットは、最小ユニット100から遠隔ユニット101への母乳輸送のため、および最小ユニット100にモータ90の電気を通過させるために流体接続される。そのようなシステムは、例えば、母親の睡眠や他の活動を妨げることなく、一晩中、母乳の長時間の搾乳を可能にする。したがって、特定の実施形態では、本発明は、(i)乳房および乳首に取り付けられるように設計され、上記の実施形態のいずれか1つによる舌の動きを模倣する機構を含む乳首ユニット、および(ii)搾乳された母乳を収集するための遠隔ユニット101および操作ボタン、およびオプションで電源、を含む母乳ポンプシステムを提供する。特定の実施形態では、遠隔ユニット101は、真空ユニットと、プロセッサおよびメモリを含むマイクロコンピュータとをさらに含む。
【0099】
特定の実施形態では、真空ユニット/モータ、マイクロコンピュータ、電源(存在する場合)、および母乳容器は、遠隔ユニット101内に配置される。代替の実施形態では、遠隔ユニットは母乳容器のみを備え、他の構成要素は、最小ユニット100内に配置されるか、または、例えば、システムに関連付けられた近くのコントローラにあるマイクロコンピュータおよびスクリーン/タッチスクリーン(存在する場合)と、最小ユニット100内の残りの部分とに広げられる。
【0100】
特定の実施形態では、本発明の母乳ポンプシステムは、母乳育児中の母親が眠っている夜間に動作するように設計される。そのような実施形態では、マイクロコンピュータは、例えば、事前に定義された期間の数分または数時間ごとに、または識別された母乳の流れ/産生へのコードにシステムを周期的に自動的に起動するように設計される。
【0101】
本発明は、母乳をポンピングする方法をさらに提供し、この方法は、および明細書および/または図の説明による母乳ポンプ10のいずれか1つを用いて母乳をポンピングすることを含む。
【0102】
したがって、特定の実施形態では、本発明は、母乳をポンピングするための方法を提供し、この方法は、(a)上述の実施形態のいずれかによる母乳ポンプ10または母乳システムを提供するステップと、(b)漏斗30をユーザーの乳首上に配置するステップと、(c)ポンプ10またはシステムを起動し、それによりポンピングプロセスを開始するステップと、を含み、母乳ポンプ10またはシステムを起動すると、ポンプまたはシステムは、(i)ポンプ/システム内および乳首と漏斗30との間に真空を生成し、(ii)乳児の舌の動作を模倣するために下部操作機構50を起動し、(iii)乳首と漏斗30との間に生成される真空強度を継続的に監視し、(iv)所定の値に達すると真空を解除し、乳児の嚥下動作を模倣するために下部操作機構50を停止し、真空、乳児の舌の動作の模倣、および乳児の嚥下の動作の模倣は、乳児の授乳サイクルを模倣するために同期して繰り返される。
【0103】
別の特定の実施形態では、本発明は、母乳をポンピングする方法を提供し、この方法は、(a)上述の実施形態のいずれかによる母乳ポンプ10または母乳システムを提供するステップと、(b)漏斗30をユーザーの乳首上に配置するステップと、(c)ポンプ10またはシステムを起動し、それによりポンピングプロセスを開始するステップと、を含み、母乳ポンプ10またはシステムを起動すると、ポンプまたはシステムは、(i)ポンプ/システム内および乳首と漏斗30との間に真空を生成し、(ii)乳児の舌の動作を模倣するために下部操作機構50を起動し、(iii)乳首と漏斗30との間に生成される真空強度を継続的に監視し、真空は全ポンピングプロセス中に解放されず、さまざまなレベルに維持され、その強度はマイクロコンピュータによって制御され、真空、乳児の舌の動作の模倣、および乳児の嚥下の動作の模倣は、乳児の授乳サイクルを模倣するために同期して繰り返される。
【0104】
上記実施形態のいずれかの方法の特定の実施形態では、下部操作機構50の真空強度および/またはローリング速度は、マイクロコンピュータを介して自動的にまたは手動で、ポンピングプロセス中に変化することができる。
【0105】
母乳ポンプ10またはシステムの起動時に、ポンプまたはシステムは、所定の値に達するか、または一定量の乳が抽出されたときにさらに真空を解除し、下部操作機構50を停止して、これにより乳児の嚥下動作を模倣する。
【0106】
本発明は、授乳中の乳児の舌の動きを模倣するように設計された下部操作機構50をさらに提供する。このような模倣は、下部操作機構50の上に配置された膜を、前から後ろへ波状の動きで押すことにより達成される。
【0107】
本発明は、本明細書に記載の下部操作機構50を備える母乳ポンプをさらに提供する。
【0108】
本発明は、本明細書に記載の下部操作機構50を含む、母乳産生を誘導/増加させる装置をさらに提供する。
【0109】
本発明はさらに、母乳の産生を誘導/増加させるための装置であって、(a)本体20と、(b)遠位端26および近位端24を有する漏斗30と、(c)下部操作機構50と、(d)メモリおよびインターフェースに結合されたプロセッサを備えるマイクロコンピュータであって、メモリは、プロセッサによって実行されると、メモリに格納された所定のパラメータに基づいて、プロセッサに、下部操作機構50を周期的に作動/停止させ、任意に強度、速度およびその位置を変更する命令を含む、マイクロコンピュータと、を備え、(i)前記漏斗30は、前記本体20に適合するように設計され、(ii)前記漏斗の近位端24は、乳首を包み込むように設計された円錐形状を有し、柔軟な材料で作られ、(iii)前記下部操作機構50は、授乳中に漏斗30を乳房/乳首の上に前から後ろへ波状の動きで押すことにより、乳児の舌の動きを模倣するように設計された舌模倣機構である、装置を提供する。特定の実施形態では、装置は、下部操作機構50の位置、下部操作機構50の回転(速度および数)、漏斗30と乳房との間の距離、および母乳の流れ、のうちの少なくとも1つ、またはそれらの任意の組み合わせ、を感知/測定するように設計された少なくとも1つのセンサをさらに備え、メモリは、プロセッサによって実行されると、(i)前記メモリに格納された前記所定のパラメータ、および(ii)前記少なくとも1つのセンサから(継続的に)受信するデータに基づいて、プロセッサに、前記下部操作機構50を周期的に作動/停止させ、任意に強度、速度およびその位置を変更する命令を含む。さらに他の特定の実施形態では、装置は、乳房から母乳を引き出すための真空発生ユニットをさらに備える。
【0110】
本発明は、本明細書に記載の母乳の産生を誘導/増加させるための装置を含む母乳ポンプをさらに提供する。
【0111】
本発明は、授乳期の母親の母乳の産生を誘導/増加させる方法であって、(a)上記の母乳の産生を誘導/増加させるための装置を提供するステップと、(b)漏斗30を母親の乳首の上に配置するステップと、(c)装置を起動し、それにより母親の乳房における母乳産生の誘導/増加を開始するステップと、を含み、装置の起動時に、前記装置は、乳児の舌の動作を模倣するために下部操作機構50を起動し、乳児の舌の動作の模倣は、体内のオキシトシンレベルを増加させ、より多くの母乳を抽出させる乳児の授乳サイクルを模倣するために繰り返されかつ同期される、方法をさらに提供する。
【0112】
前述の明細書では、本発明の実施形態の特定の例を参照して本発明を説明した。しかし、添付の特許請求の範囲に記載されている本発明のより広い精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな修正および変更を行うことができることは明らかであろう。
【0113】
同じ機能を実現するためのコンポーネントの配置は、効果的に「関連付け」られ、目的の機能が実現される。したがって、特定の機能を実現するためにここで組み合わされた任意の2つのコンポーネントは、アーキテクチャまたは中間コンポーネントに関係なく、望ましい「機能」が実現されるように互いに「関連付けられる」と見なすことができる。同様に、そのように関連付けられた任意の2つのコンポーネントは、目的の機能を実現するために、互いに「動作可能に接続」または「動作可能に結合」していると見なすこともできる。
【0114】
さらに、当業者は、上記の動作間の境界が単なる例示であることを認識するであろう。複数の操作を組み合わせて単一の操作にすることができ、単一の操作を追加の操作に分散することができ、操作を少なくとも部分的に時間的に重複して実行することができる。さらに、代替の実施形態は、特定の動作の複数のインスタンスを含むことができ、動作の順序はさまざまな他の実施形態で変更することができる。
【0115】
ただし、他の修正、変更、代替も可能である。したがって、明細書および図面は、制限的な意味ではなく、例示的なものと見なされるべきである。
【0116】
請求の範囲では、括弧の間に置かれた参照符号は請求の範囲を限定するものとして解釈されてはならない。本明細書で使用される「含む」という用語は、特許請求の範囲にリストされている他の要素またはステップの存在を排除しない。さらに、本明細書で使用される「a」または「an」という用語は、1つまたは複数として定義される。また、請求の範囲での「少なくとも1つ」や「1つ以上」などの導入フレーズの使用は、同じ請求項に「1つ以上」または「少なくとも1つ」という導入句と「a」や「an」などの不定冠詞が含まれる場合でも、そのような要素を1つだけ含む発明に対しては、不定冠詞「a」または「an」による別の請求の範囲の要素の導入が特定の制限を意味すると解釈されるべきではない。定冠詞の使用についても同様である。
【0117】
本明細書では本発明の特定の特徴を例示および説明したが、多くの修正、置換、変更、および同等物が当業者に思い浮かぶであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神の範囲内にあるこのようなすべての修正および変更を網羅することを意図していることを理解されたい。

図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A-9B】